JP2010030941A - 高熱安定性を有する機能性フォスファジド - Google Patents
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Abstract
【解決手段】トリスジアルキルアミノホスフィンを出発物質として使用し、有機アジドを反応させることにより製造されたフォスファジドP4(I)は、高い熱安定性を有し、強い塩
基性を持っており、機能性触媒として有用であり、有機合成に利用できる。さらに高分子への固定化も容易に可能であり、回収再利用が可能な環境調和型の触媒として有望である。
【選択図】 図8
Description
ラン骨格を基本P1ユニットとする非金属性の有機塩基であり、従来の有機塩基とは比較にならないほどの強力な塩基性を有している(図1)〔Schwesinger, R.; Schlemper, H., Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 26, 1167-1169 (1987): 非特許文献1〕。例えば、t-Bu-P1塩基は一つのP1ユニットから構成されるフォスファゼン塩基であるが、DBUの2000倍もの
塩基性を有している。Schwesingerらは、イミン結合上の窒素がプロトン化されることで
生じたリン原子上のカチオンを、周囲の窒素原子の共鳴効果により広範囲にわたって非局在化できるため、強力な塩基性が発現すると述べている。4つのP1ユニットを持つt-Bu-P4塩基は有機リチウム試薬に匹敵するほどの高い塩基性を持ち、これまで強力な塩基試薬
として広く用いられてきた〔Kraus, G. A.; Zhang, N.; Verkade, J. G.; Nagarajan, M.; Kisanga, P. B., Org. Lett., 2, 2409-2410 (2000): 非特許文献2〕。
鉛化合物をルイス塩基的に活性化することによる様々な置換反応や付加反応における触媒として働くことを見いだしている(図2)〔(a) Imahori, T.; Hori, C.; Kondo, Y., Adv.
Synth. Catal., 346, 1090-1092 (2004): 非特許文献3; (b) Ueno, M.; Hori, C.; Suzawa, K.; Ebisawa, M.; Kondo, Y., Eur. J. Org. Chem., 1965-1968 (2005): 非特許文
献4; (c) Ueno, M.; Weatley, E. H. A.; Kondo, Y., Chem. Commun., 33, 3549-3350 (2006): 非特許文献5〕。特許文献1: 特許第3864199号。
以上のようにフォスファゼンP4は非常に特徴的な反応性を持つことから、不斉官能基、フルオラスタグの導入、ポリマーへの担持が可能となれば、不斉反応への応用や触媒回収が可能となることが期待できる。また、その他の様々な置換基を導入することで特徴的な物理的性質、化学選択性を利用した触媒反応の開発が可能になることが期待できる(図3)。
しかし、これらの方法は中間生成物(2)、(3)、最終生成物であるフォスファゼンP4(4)
の単離、精製が困難な他、低収率であることから、(4)に様々な置換基を効率的に導入す
ることは困難であった(図4)。
そこで、多様な置換基を持つフォスファゼンP4を合成するのに適した簡便で汎用性の高い合成法を開発して、機能性のフォスファゼンP4誘導体を製造することを目標に開発を行った。
〔1〕一般式(I):
アルキレンジアミノ基からなる群から選択されたものであり、Yは、置換されていてもよいアルキル基、ベンジル基以外の、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていて
もよいアリール基、置換されていてもよい複素環式基及び高分子残基からなる群から選択されたものである)
で表されることを特徴するフォスファジド化合物又はその塩。
〔2〕Xが、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、又はピロリジノ基であり、Yが、置換されていてもよいフェニル基、ナフチル基、置換されていてもよいフェニルプロピル基、1-メチル-3-フェニルプロピル基、1-アダマンチル基、又はシクロヘキシル基である
ことを特徴する上記〔1〕に記載の化合物又はその塩。
〔3〕Xが、ジメチルアミノ基で、Yが、フェニル基、フェニルプロピル基、1-メチル-3-フェニルプロピル基、又は1-アダマンチル基であることを特徴する上記〔1〕又は〔
2〕に記載の化合物又はその塩。
アルキレンジアミノ基からなる群から選択されたものであり、Zは、陰イオンである)
で表されるフォスフォニウム塩を、脱プロトン化した後、アジド化合物Y−N3
(式中、Yは、置換されていてもよいアルキル基、ベンジル基以外の、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよい複素環式基及び高分子残基からなる群から選択されたものである)
と反応させ、上記〔1〕に記載の一般式(I)のフォスファジド化合物
(式中、X及びYは、上記と同義である)
又はその塩を得ることを特徴とするフォスファジドの製造方法。
〔5〕一般式(III):
アルキレンジアミノ基からなる群から選択されたものである)
のフォスファゼンをPCl3と反応させ、得られた一般式(II)のフォスフォニウム塩
(式中、Xは、上記と同義であり、Zは、陰イオンである)
を塩交換処理した後、脱プロトン化し、次にアジド化合物Y−N3
(式中、Yは、置換されていてもよいアルキル基、ベンジル基以外の、置換されていても
よいアラルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよい複素環式基及び高分子残基からなる群から選択されたものである)
と反応させ、上記〔1〕に記載の一般式(I)のフォスファジド化合物
(式中、X及びYは、上記と同義である)
又はその塩を得ることを特徴とするフォスファジドの製造方法。
活性成分として含有することを特徴とする有機合成反応の求核反応触媒。
〔7〕請求項1〜3のいずれか一に記載の一般式(I)のフォスファジド化合物を求核反
応触媒として有機合成反応に使用する方法。
〔8〕請求項1〜3のいずれか一に記載の一般式(I)のフォスファジド化合物を溶液あ
るいは固定化触媒として用いる方法。
〔9〕求核置換反応又は求核付加反応において、一般式(IV):
で表される有機ケイ素化求核性化合物に、請求項1〜3のいずれか一に記載の一般式(I)
のフォスファジド化合物を作用させることを特徴とする求核置換反応又は求核付加反応方法。
〔10〕一般式(IIa):
アルキレンジアミノ基からなる群から選択されたものであり、Zaは、テトラ置換ボレートイオンである)
で表されるフォスフォニウム塩。
〔11〕一般式(V):
アルキレンジアミノ基からなる群から選択されたものである)
で表されるフォスファゼニルフォスフィン化合物とアジド化合物Y−N3
(式中、Yは、置換されていてもよいアルキル基、ベンジル基以外の、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよい複素環式基及び高分子残基からなる群から選択されたものである)
と反応させ、上記〔1〕に記載の一般式(I)のフォスファジド化合物
(式中、X及びYは、上記と同義である)
又はその塩を得ることを特徴とするフォスファジドの製造方法。
スフォリックトリアミド(V)とアジドを反応させることにより、様々な置換基を持つ新規
フォスファジドP4(I)を合成でき、さらに化合物(I)の置換基Yとして多様な官能基を導入することが可能であり、さらに、フォスファジドP4(I)は触媒活性を示し、t-Bu-P4 base
による触媒反応の基質適応範囲の拡大、不斉反応化、また新反応の開発、触媒の回収等への応用などが可能となる。
本発明のその他の目的、特徴、優秀性及びその有する観点は、以下の記載より当業者にとっては明白であろう。しかしながら、以下の記載及び具体的な実施例等の記載を含めた本件明細書の記載は本発明の好ましい態様を示すものであり、説明のためにのみ示されているものであることを理解されたい。本明細書に開示した本発明の意図及び範囲内で、種々の変化及び/又は改変(あるいは修飾)をなすことは、以下の記載及び本明細書のその他の部分からの知識により、当業者には容易に明らかであろう。本明細書で引用されている全ての特許文献及び参考文献は、説明の目的で引用されているもので、それらは本明細書の一部としてその内容はここに含めて解釈されるべきものである。
げられる。該一般式(I)中、置換基Xにおける「アルキル基」としては、直鎖又は分岐鎖
であってよく、炭素原子1〜6個を有していてよく、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、、i-ブチル基、t-ブチル基、n-オクチル基などが挙げられる。また、該置換基Xにおけるアルキレン基は、直鎖又は分岐鎖であってよく、炭素原子1〜6個を有していてよく、例えば、メチレン基、エチレン基、メチル置換メチレン基、プロピレン基、メチル置換エチレン基、ジメチル置換メチレン基、ブチレン基、メチル置換プロピレン基などが挙げられる。また、置換基Yの「置換されていてもよいア
ルキル基」における「アルキル基」としては、直鎖又は分岐鎖、さらには環式のもののいずれであってもよく、例えばC1-22アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソ
プロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、tert-ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デカニル、ヘキサデカニル、エイコサニル等)等、さらには、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等の環状アルキル基などが挙げられ、好ましくは、C1-6アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert-ブチル、ペンチ
ル等)が挙げられ、さらに好ましくは、C1-4アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert-ブチル等)が挙げられる。該「アルキル基」は、不飽
和であってもよく、例えば、C2-10アルケニル基、C2-10アルキニル基なども包含されてよい。該C2-10アルケニル基としては、例えば、ビニル、アリル、2-ブテニル、1-ペンテニ
ル基などが用いられる。該C2-10アルキニル基としては、例えば、1-エチニル、プロパル
ギル、2-ブチニル、1-ペンチニル基などが用いられる。
ル-3-フェニルプロピル、3-フェニルブチル、4-フェニルブチル、3-(1-ナフチル)プロピ
ル、3-(2-ナフチル)プロピル等が用いられる。また、「置換されていてもよいアリール基」における「アリール基」としては、1-ナフチル、2-ナフチル、2-ビフェニリル、3-ビフェニリル、4-ビフェニリル、2-アンスリル、3-インデニル、5-フルオレニル等が用いられる。「置換されていてもよい複素環式基」における「複素環式基」としては、同一又は異なっていてもよい、1〜4個の複素原子(酸素原子、窒素原子、硫黄原子などから選択される)を有していてよい、飽和又は不飽和の単環式あるいは縮合環式のものが包含されてよく、例えば、2-または3-チエニル、2-または3-フリル、2-または3-ピロリル、2-,3-ま
たは4-ピリジル、2-,4-または5-オキサゾリル、2-,4-または5-チアゾリル、3-,4-または5-ピラゾリル、2-,4-または5-イミダゾリル、3-,4-または5-イソオキサゾリル、3-,4-または5-イソチアゾリル、3-または5-(1,2,4-オキサジアゾリル)、1,3,4-オキサジアゾリル
、3-または5-(1,2,4-チアジアゾリル)、1,3,4-チアジアゾリル、4-または5-(1,2,3-チア
ジアゾリル)、1,2,5-チアジアゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、1H-
または2H-テトラゾリル、N-オキシド-2-,3-または4-ピリジル、2-,4-または5-ピリミジニル、N-オキシド-2-,4-または5-ピリミジニル、3-または4-ピリダジニル、ピラジニル、N
−オキシド-3-または4-ピリダジニル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサ
ゾリル、トリアジニル、オキソトリアジニル、テトラゾロ[1,5-b]ピリダジニル、トリア
ゾロ[4,5-b]ピリダジニル、オキソイミダジニル、ジオキソトリアジニル、ピロリジニル
、ピペリジニル、ピラニル、チオピラニル、1,4-オキサジニル、モルホリニル、1,4-チアジニル、1,3-チアジニル、ピペラジニル、ベンゾイミダゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、インドリジニル、キノリジニル、1,8-ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、ジベンゾフラニル、カルバゾリル、アクリジニル等が用いられる。
橋アガロース、セルロース、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロースアセテートなどの天然または変成セルロース、架橋デキストラン、天然ポリアミド、生分解性プラスチックなども包含される。「ポリマー」としては、例えば、熱可塑性樹脂であっても、熱硬化性樹脂あるいは光硬化性樹脂などであってもよく、さらにそれらの配合物であってもよい。該ポリマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プ
ロピレン共重合体、アクリロニトリル-ブタジェン-スチレン樹脂(ABS樹脂)、ポリスチ
レン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリカーボネート、ナイロンなどのポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリメタクリレートやポリアクリルアミドあるいは架橋ポリアクリルアミドを含むアクリル樹脂、スチレン−メタクリレート共重合体、ポリグリシジルメタクリレート、アクロレイン−エチレングリコールジメタクリレート共重合体、ポリアセタール樹脂、ポリフッ化ビニリデンを含むフッ素樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルサルファイド樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリサルフォン樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、シリコン樹脂などが挙げられる。
プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、イソブチルチオ、s-ブチルチオ、t-ブチルチオ等の炭素数1〜4のアルキルチオ基、例えばフエニルチオ等の炭素数6〜10のアリー
ルチオ基、例えばメチルスルフィニル、エチルスルフィニル等の炭素数1〜4のアルキルスルフィニル基、例えばフエニルスルフィニル等の炭素数6〜10のアリールスルフィニル基
、例えばメチルスルホニル、エチルスルホニル等の炭素数1〜4のアルキルスルホニル基、例えばフェニルスルホニル等の炭素数6〜10のアリールスルホニル基、アミノ基、例えば
アセチルアミノ、プロピオニルアミノ等のアルカノイルアミノ基等の炭素数2〜6のアシルアミノ基、メチルスルホニルアミド等の炭素数1〜4のアルキルスルホニルアミド基、p-メチルベンゼンスルホニルアミド等の炭素数6〜10のアリールスルホニルアミド基、例えば
メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、n-ブチルアミ
ノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ等のモノまたはジ炭素数1〜4のアルキル置換アミノ基、例えばシクロヘキシルアミノ等の炭素数3〜6のシクロアルキルアミノ基、例えばアニリノ等の炭素数6〜10のアリールアミノ基、例えばアセチル等のアルカノイル基等の炭素
数2〜4のアシル基、例えばベンゾイル等の炭素数6〜10のアリールカルボニル基などが挙
げられてよい。該置換基は、適宜、存在しているが、例えば、1〜5個存在していてよい
。
ン化した後、アジド化合物Y-N3と反応させることにより製造される。該脱プロトン化に先立って、該フォスフォニウム塩(II)は、好ましくは塩交換処理されているものであり、例えば、陰イオンとして、テトラ置換ボレートイオンとされているのが好ましい。テトラ置
換ボレートイオンの導入には、ボレート塩を使用することができる。該ボレート塩としては、例えば、アリール基、アラルキル基及びアルキル基からなる群から選択された置換基を有するテトラ置換ボレートが挙げられ、例えば、テトラフェニルボレート塩、テトラキス(p-クロロフェニル)ボレート塩、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート塩などのテトラアリールボレート塩、n-ブチルトリフェニルボレート塩、n-ブチルトリアニシルボレート塩、n-オクチルトリフェニルボレート塩などのモノアルキルトリアリールボレート塩などが挙げられる。該ボレート塩の対イオンとしては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属イオン、カルシウムイオン等のアルカリ金属イオンのような無機イオンであってもよいし、テトラアルキルアンモニウムイオンのような有機イオンであってもよい。
上記化合物(II)から化合物(I)の合成反応は、通常は適当な溶媒中で行われる。このよ
うな溶媒としては、反応試薬を溶解するものが好ましいが、場合によっては必ずしもそれに限定されず、適宜、公知の溶媒などから選択することができる。代表的な溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノールなどのアルコール類、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、例えば、ヘキサン、ヘプタン、ジクロロヘキサン等の飽和炭化水素類、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等のエーテル類、例えば、アセトン、メチルエチルケトン
等のケトン類、例えば、アセトニトリルなどのニトリル類、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)等のスルホキシド類、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチル
アセトアミド等の酸アミド類、例えば、酢酸エチル等のエステル類、例えば、酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸類等、ヘキサメチルホスホロトリアミド、ピリジン等の複素環化合物等が挙げられる。水を使用することもできる。これらの溶媒は単独で用いることもできるし、また必要に応じて二種又はそれ以上の多種類を適当な割合、例えば、1:1〜1:10
の割合で混合して用いてもよい。
本反応の反応温度は、通常、−50℃〜200℃、好ましくは−20℃〜80℃、より好ましく
は0℃〜50℃、さらに好ましくは10℃〜35℃で、反応時間は、通常、1分〜1週間、好まし
くは5分〜24時間、より好ましくは10分〜12時間、さらに好ましくは15分〜3時間の範囲である。本反応で得られた生成物又はその塩は、例えば、濃縮、減圧濃縮、蒸留、分留、溶媒抽出、液性変換、転溶、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、薄層クロマトグラフィー(TLC)、カラムクロマトグラフィーなどのクロマトグラフィー、結晶化、再結晶
等により、単離精製することができる。
一般式(IIa)のフォスフォニウム塩は、空気中で安定な化合物として単離することがで
き、さらに、この化合物(IIa)を使用して、簡単な操作で有機アジドと反応せしめて、安
定な化合物である機能性の化合物(I)を得ることができる。該化合物(I)及びその塩は、極めて高い熱安定性を有するとともに、フォスファゼンと同様の極めて強い塩基性を示し、新しい機能性有機触媒として有機合成のプロセスに利用することが期待できる。本フォスファジド(I)は有機合成における高機能触媒として様々な分子変換反応に利用が可能であ
り、特に、医薬品関連化合物のプロセス合成における環境に負荷のかからない合成法を提供する。従来のフォスファジドに比べ高い熱安定を有するとともに、フォスファゼン触媒と同等の触媒活性を有することから、化学選択性の高い環境調和型の合成プロセスを支える有機触媒としての利用を図るのに有用である。本フォスファジド(I)は環境調和型の有
機合成用の触媒および高分子固定化触媒である。
理することにより、通常は、塩素イオンを対イオンとしている塩の形態で反応系中に生成される。本反応は、通常は適当な溶媒中で行われる。このような溶媒としては、反応試薬を溶解するものが好ましいが、場合によっては必ずしもそれに限定されず、適宜、公知の溶媒などから選択することができる。溶媒としては、上記化合物(I)の合成反応で説明し
たようなものの中から選択してよい。本反応の反応温度は、通常、−50℃〜200℃、好ま
しくは−20℃〜80℃、より好ましくは0℃〜50℃、さらに好ましくは10℃〜35℃で、反応
時間は、通常、1分〜1週間、好ましくは5分〜24時間、より好ましくは10分〜12時間、さ
らに好ましくは15分〜3時間の範囲である。本反応で得られた生成物又はその塩は、単離
することなく次の工程に使用できるが、例えば、濃縮、減圧濃縮、蒸留、分留、溶媒抽出、液性変換、転溶、クロマトグラフィー、再結晶等により、単離精製することもできる。
明したようなものの中から選択してよい。本反応の反応温度は、通常、−50℃〜200℃、
好ましくは−20℃〜100℃、より好ましくは0℃〜60℃、さらに好ましくは10℃〜50℃で、反応時間は、通常、1分〜1週間、好ましくは5分〜24時間、より好ましくは10分〜12時間
、さらに好ましくは15分〜3時間の範囲である。本反応で得られた生成物又はその塩は、
単離することなく次の工程に使用できるが、例えば、濃縮、減圧濃縮、蒸留、分留、溶媒抽出、液性変換、転溶、クロマトグラフィー、再結晶等により、単離精製することもできる。
での合成にはあまり適していなかった(図5)〔(a) Saeki, T.; Shimamoto, M.; Izukawa,
T. (Mitsui Takeda Chemical Ink., Japan), Jpn. Kokai Tokkyo Koho; Jp,; 14 pp (2004); (b) Nobori, T.; Hara, I.; Kiyono, S.; Mizutani, K.; Hayashi, T.; Takagi, U.
(Mitsui Chemicals Inc., Japan), Jpn. Kokai Tokkyo Koho; Jp,; 6 pp (1998)〕。
そこで、より簡便で汎用性の高い方法を開発する目的で、Beddie, C.; Hollink, E.; Wei, P.; Gauld, J.; Stephan, D. W., Organometallics, 23, 5240-5251 (2004)の記載を参考にして、文献の条件に従ってトリスジメチルアミノフォスフィン(7)とトリメチルシ
リルアジドよりP1-SiMe3(8)を合成した後、ワンポットでメタノールを加えることにより
トリメチルシリル基を除去し、フォスファゼン(1)を合成する(図6)。中程度の収率では
あるが簡便に合成することができる。なお、化合物番号下の数値はリンのNMRケミカルシ
フトを示している。
USSR., 54, 1581-1589 (1984)〕に対しソディウムテトラフェニルボレートを加え塩交換せしめ、空気中でも安定な化合物としてフォスフォニウム塩(6)を得ることができ、それ
は単離することもできる。この化合物(6)を過剰量のt-ブトキシカリウムを用いて脱プロ
トン化し、反応系中て発生させた化合物(5)とフェニルアジドとを反応せしめ、フェニル
フォスファジドP4(12)を得ることができる(図7)。化合物(12)は安定な化合物として合成できる。化合物(12)は反応溶液中のt-ブタノールを減圧留去した後ヘキサンで抽出することにより、純粋な状態で単離することができる。
敵する塩基性を示し、強力なブレンステッド塩基として環境調和型の高効率有機合成反応
において有用と考えられる。特に、医薬品合成の分野で有望である。該フォスファジド化合物(I)は、種々の脱プロトン化反応に用いルことが可能であり、芳香環の脱プロトン化
−修飾反応にも用いることが可能で、脱ハロゲン化水素反応、酸の脱離反応、縮合反応、Wittig反応、Michael付加反応などを含めた様々な置換反応、付加反応といった有機合成
反応の触媒などとして有用である。非特許文献2〜5、特許文献1、R. Schwesinger et al., Liebigs Ann. 1996, 1055-1081 (1996)、T. Imahori et al., J. Am. Chem. Soc., 125, 8082-8083 (2003)、T. Imahori, Yakugaku Zasshi, 124, 509-517 (2004)などにお
けるフォスファゼン塩基に代えて、本発明のフォスファジド化合物(I)を使用できる。本
発明のフォスファジド化合物(I)は、抗生物質、ヌクレオチド類、ペプチドやタンパク質
の修飾や合成においてもそれを適用できる。
ファジド化合物(I)がケイ素化されると同時に活性型アニオン(反応性求核体)が形成さ
れ、この形成された活性型アニオン(反応性求核体)は系内に存在する親電子性化合物(親電子剤)あるいは求核試薬反応性物質と反応して、中間体アニオンを形成し、この中間体アニオンが前記ケイ素化されたフォスファジニウムと反応してフォスファジド化合物(I)が再生されるという、有機ケイ素化求核剤(有機ケイ素化求核性化合物)とフォスファ
ジド化合物(I)といった非金属有機塩基との相互作用を触媒的に利用することが可能であ
る。
本発明は、(A)有機ケイ素化求核性化合物(有機ケイ素化求核試薬)とフォスファジド
化合物(I)を作用させるステップ及び(B)該求核性化合物(求核試薬)と親電子性化合物(親電子剤)あるいは求核試薬反応性物質との反応で、フォスファジド化合物(I)を触媒的
に利用せしめるステップを使用する技術を提供している。
また、本発明は、(a)有機ケイ素化求核性化合物(有機ケイ素化求核試薬)とフォスフ
ァジド化合物(I)を作用させて、活性化された求核性化合物を形成せしめるステップ及び(b)該形成された活性化求核性化合物(活性化求核試薬)と親電子性化合物(親電子剤)あるいは求核試薬反応性物質とを反応せしめて、中間体アニオンを形成し、該中間体アニオンでもってケイ素化された非金属有機塩基から、フォスファジド化合物(I)を再生せしめ
るステップを使用する技術を提供している。上記両ステップ(a)及び(b)を使用したり、あるいは含んでいる、有機化合物(医薬品、医薬品候補分子あるいは医薬品合成中間体)を合成・製造する技術は、すべて本発明に包含されると理解される。
〔フォスファジド化合物(I)(Pz)と、有機ケイ素化求核性化合物(Nu-SiR3)とを反応させた後に、親電子剤(E)を加えてもよい〕、
例えば、次にスキームで示すようなサイクルを形成し、有機ケイ素化求核性化合物(IV)とフォスファジド化合物(I)とは触媒的相互作用をする。
本明細書において炭素求核剤、酸素求核剤、窒素求核剤及び硫黄求核剤は、有機合成分野で当業者に知られていたり、あるいは当業者により公知の技術を利用して容易に取得しえるものや合成できるものであり、さらに、例えば、Chemical Abstracts (CA)データベ
ースを「nucleophilic reagent(s)」、「nucleophile(s)」などの用語を使用して検索す
ることなどにより探し出したものから、適宜、選択できる。該有機ケイ素化求核性化合物(IV)は、所定の目的を達成できるものであれば、公知の求核剤を公知のケイ素化技術を適用して得ることができる。
」、「electrophile(s)」などの用語を使用して検索することなどにより探し出したもの
から、適宜、選択できる。代表的な親電子性化合物としては、芳香族フッ素化合物、エポキシド化合物、カルボニル化合物、イミン化合物、イミニウム化合物などが包含されるが、それに限定されず所定の目的を達成できるものであれば、使用できる。有機合成の分野で重要な親電子剤としては、金属塩、プロトンドナー、ハロゲン類、酸素、硫黄、二酸化硫黄、ハロゲン化リン(phosphorus halides)、ハロゲン化ケイ素(silicon halides)、ハ
ロゲン化ホウ素(boron halides)、二酸化炭素、酸ハライド類、カルボン酸エステル類、
アルデヒド類、ケトン類、ニトリル類、アミド類などが知られている。
上記置換基Rにおける「アルキル基」、「アリール基」及び「アルコキシル基」は、上記で説明したものと同様なものと考えてよい。また、上記置換基Rにおける「アラルキル基」としては、例えばベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル等のフエニルアルキル基等の炭素数7〜10のアラルキル基などが包含される。
のエーテル類、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、例えば、アセトニトリルなどのニトリル類、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)等のスルホキシド類、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド等の酸アミド類、例
えば、酢酸エチル等のエステル類、例えば、酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸類等、ヘキサメチルホスホロトリアミド、ピリジン等の複素環化合物等が挙げられる。水を使用することもできる。これらの溶媒は単独で用いることもできるし、また必要に応じて二種又はそれ以上の多種類を適当な割合、例えば、1:1〜1:10の割合で混合して用いてもよい。
場合によっては、例えば、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド、トリ-n-オクチル
メチルアンモニウムクロリド、トリメチルデシルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド等の第四級アンモニウム塩やクラウンエーテル類等の相間移動触媒の存在下に反応を行ってもよい。好適には、固定化触媒としてフォスファジド化合物(I)を
使用することができる。
親電子性化合物に対して触媒量でよい。該触媒量とは、各有機ケイ素化求核性化合物や親電子性化合物の量に対して少ない量を意味してよく、例えば、それらに対して1/1.1〜1/1000の量、通常、1/2〜1/100の量、ある場合には1/4〜1/50の量、又は1/5〜1/10の量など
が挙げられるが、もちろん、有機ケイ素化求核性化合物と親電子性化合物の組み合わせにより適宜適当な量を選択できる。上記「触媒的相互作用」及び「触媒的に利用」とは、触媒量でのフォスファジド化合物(I)の使用を意味することを含むものであってよい。
本反応の反応温度は、通常、−50℃〜200℃、好ましくは−20℃〜150℃、より好ましくは0℃〜150℃、さらに好ましくは10℃〜120℃で、反応時間は、通常、1分〜2週間、好ましくは5分〜50時間、より好ましくは10分〜35時間、さらに好ましくは15分〜20時間の範
囲である。本反応では、マイクロウェーブ(MW)を使用することもできる。本発明の反応で得られた生成物又はその塩は、例えば、濃縮、減圧濃縮、蒸留、分留、溶媒抽出、液性変換、転溶、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、薄層クロマトグラフィー(TLC)
、カラムクロマトグラフィーなどのクロマトグラフィー、結晶化、再結晶等により、単離精製することができる。
全ての実施例は、他に詳細に記載するもの以外は、標準的な技術を用いて実施したもの、又は実施することのできるものであり、これは当業者にとり周知で慣用的なものである。
反応は乾燥させた溶媒を使用し、Ar雰囲気下に実施した。融点(mp)は、微量融点測定器(Yazawa micro melting point apparatus) 〔(株)矢沢科学〕で決定し、補正を加えてい
ないものである。
赤外スペクトル(IR)のデータは、全反射吸収(Attenuated Total Reflectance: ATR)フ
ーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR) 〔米国、SensIR社〕で記録した。当該スペクトルは、システムReactIRTM 2.20ソフトウェアを使用し分解能4の32スキャン/スペクトルで取得された。吸収波長は、cm-1で示してある。
NMRデータは、JEOL AL400スペクトロメーター(395.75 MHz for 1H, 99.50 MHz for 13C)又はJEOL ECA600スペクトロメーター(600.172 MHz for 1H, 150.907 for 13C, 242.956 MHz for 31P)のいずれかにより記録された。ケミカルシフトは、d (ppm) で表記せしめられており、カップリング定数は、ヘルツ(Hz)で表されている。1H NMRスペクトルは、内部標準としてテトラメチルシランを使用して溶媒のシグナル(CDCl3: 7.26 ppm or C6D6: 7.15 ppm)に対比して示されている。13C NMRスペクトルは、内部標準としてテトラメチルシランを使用して溶媒のシグナル(CDCl3: 77.0 ppm or C6D6: 128.0 ppm) に対比して示さ
れている。31P NMRスペクトルは、D2O中の外部85% H3PO4に対比して示されている。次な
る略号を使用する: s = singlet, d = doublet, t = triplet, q = quartet, m = multiplet, dq = double quartet, tt = triple triplet, br = broad singlet。
低分解能マススペクトル(LRMS)と高分解能マススペクトル(HRMS)を、東北大学大学院薬学研究科核磁気共鳴測定室(Mass Spectrometry Resource, Graduate School of Pharmaceutical Sciences, Tohoku University)の装置JEOL JMS-DX303とJMS-700スペクトロメーターで取得した。
材料物質:特に別途記載しない限り、東京化成工業(株)、アルドリッチ社(Aldrich Inc.)及びその他の供給業者より入手し、適宜、精製(蒸留又は再結晶)した後使用された。
BEMP: 2-t-ブチルイミノ-2-ジエチルアミノ-1,3-ジメチルペルヒドロ-1,3,2-ジアザホス
ホリン(2-t-butylimino-2-diethylamino-1,3-dimethylperhydro-1,3,2-diazaphosphorine)
d: doublet
DBU: 1,8-ジアザビシクト[5.4.0]ウンデセ-7-エン(1,8-diazabicyclo[5.4.0]undec-7-ene)
DMSO: ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide)
eq.: 当量(equivalent)
Et: エチル(ethyl)
FG: 官能基(functional group)
M: モル(molar)
Me: メチル(methyl)
Ph: フェニル(phenyl)
q: quartet
quant.: 定量的(quantitative)
s: singlet
t: 第三級(tertiary)
THF: テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)
エン(30 mL)溶液に室温で添加した。得られた混合物を2時間還流した後、過剰のMe3SiN3を減圧下(室温/0.2 mmHg)に除去して、化合物(8)を粗製トルエン溶液(約100 mmol)として得た。本溶液は、さらに精製することなく、化合物(1)の合成に使用された。そのスペク
トルデータは、従来報告されているもの〔Beddie, C.; Hollink, E.; Wei, P.; Gauld, J.; Stephan, D. W., Organometallics, 23, 5240-5251 (2004)〕と一致した。
粗製溶液
1H NMR (600 MHz, C6D6) δ(ppm): 0.27 (s, 9H), 2.34 (d, J = 10.08 Hz, 18H)。
31P[1H] NMR (243 MHz, C6D6) δ(ppm): 17.5 (s)。
で添加した。得られた混合物を同じ温度で20時間攪拌した。得られた混合物を減圧下で濃縮し、真空蒸留(50〜60 ℃/0.2 mmHg)して精製し、化合物(1) (10.8 g, 60%)を得た。そ
のスペクトルデータは、従来報告されているもの〔Batsanov, A. S.; Copley, R. C. B.;
Davidson, M. G.; Fox, M. A.; Hibbert, T. G.; Howard, J. A. K.; Wade, k., Journal of Cluster Science, 17, 119-137 (2006)〕と一致した。
無色油状物
1H NMR (600 MHz, C6D6) δ(ppm): 0.23 (br, 1H), 2.37 (d, J = 10.08 Hz, 18H)。
31P[1H] NMR (243 MHz, C6D6) δ(ppm): 43.2 (s).LRMS (EI) m/z: 178。
HRMS: 計算値: C6H19N4P: 178.1347、測定値: 178.1333。
IR (neat): 2993, 2871, 2834, 2792, 1457, 1192, 1102, 957.0, 843.2, 712.0 cm-1。
添加した。得られた溶液を室温に温まるまで置いた後、1時間攪拌した。得られた反応混合物を、Et2Oで抽出してクロロベンゼンを除いた後、CH2Cl2で抽出した。有機相をロータリーエバポレーターで濃縮し、化合物(11)を粗油状物(0.834 g, 1.39 mmol)として得た。本油状物は、さらに精製することなく、化合物(6)の合成に使用された。そのスペクトル
データは、従来報告されているもの〔Marchenko, A. P.; Koidan, G. N.; Pinchuk, A. M.; Kursanov, A. V., Journal of General Chemistry of the USSR., 54, 1581-1589 (1984)〕と一致した。
粗油状物
1H NMR (600 MHz, C6D6) δ(ppm): 2.44 (d, J = 10.1 Hz, 1H), 7.53 (dq, J = 582, 5.52 Hz, 1H)。
31P NMR (243 MHz, C6D6) δ(ppm): −26.7 (q, J = 29.6 Hz), 23.9 (d, J = 29.6 Hz)
。
エバポレーターを使用して濃縮した。シリカゲル(CH2Cl2のみ)のカラムクロマトグラフィーにより精製処理し、MeOHから再結晶して、化合物(6) (0.887 g, 70%)を得た。
MeOHから再結晶して得られた無色結晶、mp 80-82 ℃。
元素分析、C42H75BN12P4の計算値: C, 57.14; H, 8.56; B, 1.22; N, 19.04; P, 14.03、測定値: C, 57.34; H, 8.43; N, 19.04。
1H NMR (600 MHz, C6D6) δ(ppm): 2.16 (d, J = 11.0 Hz, 54H), 7.04-7.13 (m, 4H), 7.17-7.31 (m, 8H), 7.29 (dq, J = 554, 5.52 Hz, 1H), 7.83-8.00 (m, 8H)。
13C[1H] NMR (150 MHz, C6D6) δ(ppm): 36.6 (d, J = 4.31 Hz) , 121.7 (s), 125.6 (s), 137.0 (s), 164.9 (q, J = 48.8 Hz)。
31P[1H] NMR (243 MHz, C6D6) δ(ppm): −27.2 (q, J = 29.6 Hz), 23.5 (d, J = 29.6 Hz)。
31P NMR (243 MHz, C6D6) δ(ppm): −27.2 (dq, J = 554, 29.6 Hz), 23.6 (m)。
LRMS (EI) m/z: 563 (M+−320)。
HRMS: C18H55N12P4の計算値: 563.3623、測定値: 563.3616。
IR (neat): 3053, 2881, 2846, 2804, 2314, 1580, 1478, 1183, 972.5, 702.3。
用して濃縮し、粗生成物を得た。シリカゲル(ペンタンのみ) のカラムクロマトグラフィ
ーにより精製処理し、フェニルアジド(0.777 g, 33%)を得た。そのスペクトルデータは、従来報告されているもの〔Barral, K.; Moorhouse, A. D.; Moses, J. E., Org. Lett., 9, 1809-1811 (2007)〕と一致した。
黄色油状物
1H NMR (400 MHz, CDCl3/TMS) δ(ppm): 7.01-7.11 (m, 2H), 7.13-7.21 (m, 1H), 7.34-7.45 (m, 2H)。
LRMS (EI) m/z: 119 (M+)。
HRMS: C6H5N3の計算値: 119.0483、測定値: 119.0485。
IR (neat): 2418, 2121, 2090, 1594, 1492, 1293, 1279, 1129, 895.3, 744.8 cm-1。
・5H2O (0.0050 g, 0.0020 mmol)に室温で添加した。得られた反応混合物を21時間攪拌し、次に濃HClで酸性とし、EtOAcで抽出した。有機相を食塩水で洗い、MgSO4上で乾燥し、
ロータリーエバポレーターを使用して濃縮し、粗生成物を得た。シリカゲル(グラジエン
ト溶出: 0〜9% AcOEtのヘキサン液)のカラムクロマトグラフィーにより精製処理し、3-フェニルプロピルアジド(0.230 g, 72%)を得た。そのスペクトルデータは、従来報告されているもの〔Benati, L.; Bencivenni, G.; Leardini, R.; Nanni, D.; Minozzi, M.; Spagnolo, P.; Scialpi, R.; Zanardi, G., Org. Lett., 8, 2499-2502 (2006)〕と一致した
。
無色油状物
1H NMR (400 MHz, CDCl3/TMS) δ(ppm): 1.94 (tt, J = 7.56, 6.48 Hz, 2H), 2.73 (t, J = 7.56。
Hz, 2H), 3.30 (t, J = 6.84 Hz, 2H), 7.17-7.27 (m, 3H), 7.28-7.35 (m, 2H)。
LRMS (EI) m/z: 133 (M+−28)。
HRMS: C9H11Nの計算値: 133.0891、測定値: 133.0856。
IR (neat): 3027, 2491, 2863, 2090, 1603, 1497, 1453, 1256, 742.9, 698.5 cm-1。
燥し、ロータリーエバポレーターを使用して濃縮し、粗生成物を得た。シリカゲル(グラ
ジエント溶出: 0〜9% AcOEtのヘキサン液)のカラムクロマトグラフィーにより精製処理し、1-メチル-3-フェニルプロピルアジド(0.300 g, 86%)を得た。そのスペクトルデータは
、従来報告されているもの〔Waser, J.; Nambu, H.; Carreira, E. M., J. Am. Chem. Soc., 127, 8294-8295 (2005)〕と一致した。
無色油状物
1H NMR (400 MHz, CDCl3/TMS) δ(ppm): 1.28 (d, J = 6.6 Hz, 3H), 1.70-1.86 (m, 2H), 2.61-2.78 (m, 2H), 3.40-3.46 (m, 1H), 7.14-7.23 (m, 3H), 7.24-7.32 (m, 2H)。
LRMS (EI) m/z: 147 (M+−28)。
HRMS: C10H13Nの計算値: 147.1048、測定値: 147.1012。
IR (neat): 3027, 2929, 2861, 2094, 1603, 1453, 1248, 1030, 744.8, 698.5 cm-1。
Ar雰囲気下、THF(0.5 mL)中の化合物(6)(0.177 g, 0.20 mmol) を、THF(2.0 mL)中のt-BuOK(0.224 g, 2.0 mmol)にシュレンクフラスコ中、室温で添加した。得られた混合物を
同じ温度で1時間攪拌した後、0 ℃でアジド(0.20 mmol)を添加した。得られた溶液を室
温に温まるまで置いた後、1〜3時間攪拌した。ジオキサン(10 mL)をその溶液に加えた
後、THF及びt-BuOHを減圧下(30 ℃/0.2 mmHg)に除去した。ヘキサン(10 mL)を残留物に加えて、t-BuOK及びKBPh4のほとんどを沈殿せしめた後、ろ過して除き、化合物(12), (14),
(15)又は(16)を粗製ヘキサン液として得た。
1H NMR (600 MHz, C6D6) δ(ppm): 2.52 (d, J = 10.1 Hz, 54H), 6.93-6.98 (m, 1H), 7.34-7.39 (m, 2H), 7.88-7.94 (m, 2H)。
13C[1H] NMR (150 MHz, C6D6) δ(ppm): 37.3 (d, J = 4.31 Hz), 119.84 (s), 119.85 (s), 128.2 (s), 158.0 (s)。
31P[1H] NMR (243 MHz, C6D6) δ(ppm): −0.01 (q, J = 36.2 Hz), 18.0 (m)。
31P NMR (243 MHz, C6D6) δ(ppm): 0.01 (q, J = 36.2 Hz), 18.0 (m)。
LRMS (EI) m/z: 682 (M++1)。
HRMS: C24H60N15P4の計算値: 682.4107、測定値: 682.4088。
IR (neat): 2975, 2869, 2856, 2354, 1480, 1260, 1069, 986.0, 910.7, 679.2 cm-1。
31P[1H] NMR (243 MHz, C6D6) δ(ppm): -0.05 (m), 16.5 (d, J =36.2 Hz)。
LRMS (EI) m/z: 724 (M++1).
HRMS: C27H66N15P4の計算値: 724.4576、測定値: Found: 724.4588。
IR (neat): 2973, 2860, 2358, 1289, 1192, 1069, 986.0, 910.7, 744.8, 679.2 cm-1。
31P[1H] NMR (243 MHz, C6D6) δ(ppm): 0.88 (m), 16.9 (d, J =32.9 Hz)。
LRMS (EI) m/z: 738 (M++1)。
HRMS: C28H68N15P4の計算値: 738.4733、測定値: 738.4716。
IR (neat): 2975, 2858, 1461, 1254, 1192, 1069, 986.0, 910.7, 731.3, 679.2 cm-1。
31P[1H] NMR (243 MHz, C6D6) δ(ppm): 1.25 (m), 16.9 (m)。
LRMS (EI) m/z: 740 (M++1)。
HRMS: C28H70N15P4の計算値: 740.4899、測定値: 740.4890。
IR (neat): 2975, 2871, 2861, 2358, 1480, 1192, 1069, 984.1, 912.7, 679.2 cm-1。
物として得られた(図8)。
得られたフォスファジドP4(13)をトルエン加熱還流下の加熱処理を加えたところ、フェニルフォスファジドP4は13時間の加熱によっても何も変化せず、3級のアダマンチルフォ
スファジドP4は16時間の加熱でわずかに分解反応が進行しただけであり、この結果は化合物(13)が過酷な条件でも触媒として機能する可能性を示唆するものであった。
用しての1,2-付加の一般的な方法〕
THF (1.0 mL)中のベンゾフェノン(0.091 g, 0.5 mmol)とフェニルエチニルトリメチル
シラン(0.118 mL, 0.60 mmol)の混合物にTHF (1.0 mL)中の化合物(12), (14), (15)又は(16)(0.050 mmol)をAr雰囲気下、0 ℃で滴下した。得られた反応混合物を1時間攪拌し、
次に飽和NH4Clで反応を止めて、EtOAcで抽出した。有機相を食塩水で洗い、MgSO4上で乾
燥し、ロータリーエバポレーターを使用して濃縮し、粗生成物を得た。シリカゲル(グラ
ジエント溶出: 0〜9% AcOEtのヘキサン液)のカラムクロマトグラフィーにより精製処理し、トリメチル-(1,1,3-トリフェニルプロプ-2-イニロキシ)シラン(0〜70%)と1,1,3-トリフェニルプロプ-2-インオール(8〜99%)を得た。そのスペクトルデータは、従来報告されて
いるもの〔(a) Kuwajima, I.; Nakamura, E.; Hashimoto, K., Tetrahedron, 39, 975-982 (1983); (b) Jagtap, Sachin R.; Bhanage, B. M., Journal of Chemical Research, 6, 370-372 (2007)〕と一致した。
1H NMR (400 MHz, CDCl3/TMS) δ(ppm): 0.15 (s, 9H), 7.18-7.38 (m, 9H), 7.47-7.54 (m, 2H), 7.58-7.68 (m, 4H)。
LRMS (EI) m/z: 356 (M+)。
HRMS: C24H24OSiの計算値: 356.1596、測定値: 356.1601。
IR (crystal): 3083, 2958, 2221, 1488, 1449, 1250, 1061 cm-1。
1H NMR (400 MHz, CDCl3/TMS) δ(ppm): 2.85 (s, 1H), 7.20-7.40 (m, 9H), 7.44-7.56 (m, 2H), 7.62-7.74 (m, 4H)。
LRMS (EI) m/z: 284 (M+)。
HRMS: C21H16Oの計算値: 284.1201、測定値: 284.1188。
IR (crystal): 3545, 3083, 3054, 2221, 1596, 1488, 1333, 1156, 988, 760 cm-1。
フォスファジドP4の反応性の評価を行った。得られた結果を、次の表1に示す。
せず、t-Bu-P4 baseを用いたときのみ生成物を高収率で与えることが知られている。フォスファジド P4 を用いて同条件で本反応を行った結果、化合物(12)、(14)、(15)、(16)において、t-Bu-P4 baseを用いたときと同程度の収率で生成物を得ることができた。このことから、少なくとも本反応においてフォスファジドP4はフォスファゼンP4と同様の反応性を持つということがわかった。
本フォスファジドP4化合物(I)は、従来のフォスファゼン触媒よりも安定性が高く、ま
た合成も簡便であり、さらに高分子への固定化も容易に可能であり、回収再利用が可能な環境調和型の触媒として有望で、新しい機能性有機触媒として有機合成のプロセスでの利用が期待できる。
本発明によるフォスファジドは有機合成における高機能触媒として様々な分子変換反応に利用が可能であり、とくに医薬品関連化合物のプロセス合成における環境に負荷のかからない合成法を提供する。本フォスファジドP4化合物(I)並びにその利用技術は、化学選
択性の高い環境調和型の合成プロセスを支える有機触媒としての利用を図る上で優れており、環境調和型の有機合成用の触媒および高分子固定化触媒としても優れている。
本発明は、前述の説明及び実施例に特に記載した以外も、実行できることは明らかである。上述の教示に鑑みて、本発明の多くの改変及び変形が可能であり、従ってそれらも本件添付の請求の範囲の範囲内のものである。
Claims (9)
- 一般式(I):
アルキレンジアミノ基からなる群から選択されたものであり、Yは、置換されていてもよいアルキル基、ベンジル基以外の、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよい複素環式基及び高分子残基からなる群から選択されたものである)
で表されることを特徴するフォスファジド化合物又はその塩。 - Xが、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、又はピロリジノ基であり、Yが、置換されていてもよいフェニル基、ナフチル基、置換されていてもよいフェニルプロピル基、1-メチル-3-フェニルプロピル基、1-アダマンチル基、又はシクロヘキシル基であることを特
徴する請求項1に記載の化合物又はその塩。 - Xが、ジメチルアミノ基で、Yが、フェニル基、フェニルプロピル基、1-メチル-3-フェ
ニルプロピル基、又は1-アダマンチル基であることを特徴する請求項1又は2に記載の化合物又はその塩。 - 一般式(II):
で表されるフォスホニウム塩を、脱プロトン化した後、アジド化合物Y−N3
(式中、Yは、置換されていてもよいアルキル基、ベンジル基以外の、置換されていても
よいアラルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよい複素環式基及び高分子残基からなる群から選択されたものである)
と反応させ、上記〔1〕に記載の一般式(I)のフォスファジド化合物
(式中、X及びYは、上記と同義である)
又はその塩を得ることを特徴とするフォスファジドの製造方法。 - 一般式(III):
のフォスファゼンをPCl3と反応させ、得られた一般式(II)のフォスホニウム塩
(式中、Xは、上記と同義であり、Zは、陰イオンである)
を塩交換処理した後、脱プロトン化し、次にアジド化合物Y−N3
(式中、Yは、置換されていてもよいアルキル基、ベンジル基以外の、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよい複素環式基及び高分子残基からなる群から選択されたものである)
と反応させ、上記〔1〕に記載の一般式(I)のフォスファジド化合物
(式中、X及びYは、上記と同義である)
又はその塩を得ることを特徴とするフォスファジドの製造方法。 - 請求項1〜3のいずれか一に記載の一般式(I)のフォスファジド化合物を活性成分として
含有することを特徴とする有機合成反応の求核反応触媒。 - 請求項1〜3のいずれか一に記載の一般式(I)のフォスファジド化合物を求核反応触媒と
して有機合成反応に使用する方法。 - 請求項1〜3のいずれか一に記載の一般式(I)のフォスファジド化合物を溶液あるいは固
定化触媒として用いる方法。
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