JP2010030906A - 難水溶性薬剤の薬液製剤、その薬液製剤製造方法および希釈薬液製剤製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】難水溶性薬剤であるエトポシドを、輸液レベルの濃度の希釈薬液製剤としたときに、沈殿形成を遅延させる効果がある薬液製剤を得る。
【解決手段】エトポシドをエタノール水溶液に溶解させて得た難水溶性薬剤の薬液製剤を、生理食塩水で20倍に希釈したときに沈殿形成遅延効果のある薬液製剤とするにあたり、該薬液製剤は、5mLのエタノール水溶液の薬液製剤として換算したとき、7〜34容量%の無水エタノールでエトポシドを溶解したものに、0.4mg/mL以上のアルブミンを添加したものである。
【選択図】なし
【解決手段】エトポシドをエタノール水溶液に溶解させて得た難水溶性薬剤の薬液製剤を、生理食塩水で20倍に希釈したときに沈殿形成遅延効果のある薬液製剤とするにあたり、該薬液製剤は、5mLのエタノール水溶液の薬液製剤として換算したとき、7〜34容量%の無水エタノールでエトポシドを溶解したものに、0.4mg/mL以上のアルブミンを添加したものである。
【選択図】なし
Description
本発明は、エトポシド等の難水溶性薬剤を用いた沈殿形成遅延効果のある難水溶性薬剤の薬液製剤、その薬液製剤製造方法および希釈薬液製剤製造方法の技術分野に属するものである。
今日、種々の難水溶性薬剤が用いられているが、このような難水溶性薬剤のなかには、例えば抗悪性腫瘍剤(抗癌剤)として用いられるエトポシド(Etoposide)が知られている。このような難水溶性薬剤を薬液製剤として非経口的に体内投与する場合、薬剤を溶剤(溶媒)に完全に溶解させた薬液製剤にすることが要求される。そこで界面活性剤を用いて溶解させることが試みられているが、ある種の界面活性剤は人体に対して血管内の炎症、アナフィラキシーショック、肝障害等の悪影響を及ぼすことが想定され、採用するのはできるだけ控えることが好ましい。
そこで界面活性剤に代えて血液由来成分であるヒト血清アルブミンを溶解補助剤として用いることが試みられている(例えば特許文献1、2または3)。
特表2001−508806号公報
特開昭58−216126号公報
特開昭63−192714号公報
そこで界面活性剤に代えて血液由来成分であるヒト血清アルブミンを溶解補助剤として用いることが試みられている(例えば特許文献1、2または3)。
ところが前記特許文献1のものは、低水溶性であって血漿タンパク質に結合能を有する薬剤と血漿タンパク質とを含む医薬組成物について示唆されているが、この医薬組成物は具体的には抗癌剤であるパクリタキセルである。ところがこのパクリタキセルは水に難溶性であるため溶剤としてクレモホールを用いて溶解させていたが、クレモホールは人体に好ましくない物質であり、そこでこれに代えてヒト血清アルブミンを用いることを提唱している。しかしながらこのものは、水とヒト血清アルブミンの溶液と、パクリタキセルの無水エタノール溶液を混合した後、凍結乾燥して得た固体残渣について、透明になるよう水で再溶解したものであるため、面倒な作業が強いられるだけでなく、これを輸液として使用される濃度まで生理食塩水で希釈した場合についての検討については述べられていない。
また特許文献2のものは、ヒト血清アルブミン水溶液に難溶性薬剤を直接溶解させる手法であるため、エトポシドのように高い難溶性を呈する薬剤をヒト血清アルブミン水溶液で直接溶解させることは事実上難しいという問題がある。
また特許文献3のものは、難溶性薬剤を最初に水と混合されるエタノール等の有機溶剤に溶解させておき、そして投与直前にヒト血清アルブミン水溶液で希釈して使用することで難溶性薬剤の沈殿発生が遅くなり、これによって非経口の体内注入薬液として使用しようとするものであるが、この使用例は何れも注射用の薬液として使用するものであって、薬液中の薬剤濃度が高いものである。このような薬剤濃度が高い薬液を点滴用の輸液としてそのまま用いた場合、一度に高濃度の薬剤が体内に投与されることになるため、腎臓障害や発熱、白血球や血小板の減少、肝臓障害を起こしたりする等、副作用を併発するという問題がある。ところで特許文献3には、ここに記載される処方によって調製した濃厚な注射液を水で希釈すると直ちに薬剤の沈殿が生じるという記載があり、この結果、特許文献3の薬液は、長時間かけて体内注入する非経口の輸液のように薬剤濃度が低濃度の薬液として用いることはできないという問題があり、ここに本発明が解決せんとする課題がある。
また特許文献2のものは、ヒト血清アルブミン水溶液に難溶性薬剤を直接溶解させる手法であるため、エトポシドのように高い難溶性を呈する薬剤をヒト血清アルブミン水溶液で直接溶解させることは事実上難しいという問題がある。
また特許文献3のものは、難溶性薬剤を最初に水と混合されるエタノール等の有機溶剤に溶解させておき、そして投与直前にヒト血清アルブミン水溶液で希釈して使用することで難溶性薬剤の沈殿発生が遅くなり、これによって非経口の体内注入薬液として使用しようとするものであるが、この使用例は何れも注射用の薬液として使用するものであって、薬液中の薬剤濃度が高いものである。このような薬剤濃度が高い薬液を点滴用の輸液としてそのまま用いた場合、一度に高濃度の薬剤が体内に投与されることになるため、腎臓障害や発熱、白血球や血小板の減少、肝臓障害を起こしたりする等、副作用を併発するという問題がある。ところで特許文献3には、ここに記載される処方によって調製した濃厚な注射液を水で希釈すると直ちに薬剤の沈殿が生じるという記載があり、この結果、特許文献3の薬液は、長時間かけて体内注入する非経口の輸液のように薬剤濃度が低濃度の薬液として用いることはできないという問題があり、ここに本発明が解決せんとする課題がある。
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、希釈用輸液で希釈して用いられる、輸液溶媒に溶解している難水溶性薬剤の薬液製剤であって、該薬液製剤がアルブミンを含有することを特徴とする難水溶性薬剤の薬液製剤である。
請求項2の発明は、難水溶性薬剤を有機溶媒に溶解させて得た難水溶性薬剤の薬液製剤を、希釈用輸液で希釈するにあたり、該薬液製剤は、7〜34容量%の有機溶媒で難水溶性薬剤を溶解したものに、0.4mg/mL以上のアルブミンを添加したものであることを特徴とする請求項1記載の難水溶性薬剤の薬液製剤である。
請求項3の発明は、アルブミンは、ヒト由来ヒト血清アルブミンまたは遺伝子組み換え技術によって産生されたヒト血清アルブミンであることを特徴とする請求項1または2記載の難水溶性薬剤の薬液製剤である。
請求項4の発明は、難水溶性薬剤はエトポシドであることを特徴とする請求項1〜3記載の難水溶性薬剤の薬液製剤である。
請求項5の発明は、難水溶性薬剤を有機溶媒に溶解させて得た難水溶性薬剤の薬液製剤を、希釈用輸液で希釈するにあたり、該薬液製剤は、7〜34容量%の有機溶媒に難水溶性薬剤を溶解させた後、アルブミンの添加量が0.4mg/mL以上になる量のアルブミンを添加するようにしたことを特徴とする難水溶性薬剤の薬液製剤製造方法である。
請求項6の発明は、難水溶性薬剤を有機溶媒に溶解させて得た難水溶性薬剤の薬液製剤を、希釈用輸液で希釈するにあたり、該薬液製剤は、7〜34容量%の有機溶媒に難水溶性薬剤を溶解させた後、アルブミンの添加量が0.4mg/mL以上になる量のアルブミンを添加して難水溶性薬剤の薬液製剤を製造し、しかる後、該薬液製剤を希釈用輸液で希釈することを特徴とする難水溶性薬剤の希釈薬液製剤製造方法である。
請求項2の発明は、難水溶性薬剤を有機溶媒に溶解させて得た難水溶性薬剤の薬液製剤を、希釈用輸液で希釈するにあたり、該薬液製剤は、7〜34容量%の有機溶媒で難水溶性薬剤を溶解したものに、0.4mg/mL以上のアルブミンを添加したものであることを特徴とする請求項1記載の難水溶性薬剤の薬液製剤である。
請求項3の発明は、アルブミンは、ヒト由来ヒト血清アルブミンまたは遺伝子組み換え技術によって産生されたヒト血清アルブミンであることを特徴とする請求項1または2記載の難水溶性薬剤の薬液製剤である。
請求項4の発明は、難水溶性薬剤はエトポシドであることを特徴とする請求項1〜3記載の難水溶性薬剤の薬液製剤である。
請求項5の発明は、難水溶性薬剤を有機溶媒に溶解させて得た難水溶性薬剤の薬液製剤を、希釈用輸液で希釈するにあたり、該薬液製剤は、7〜34容量%の有機溶媒に難水溶性薬剤を溶解させた後、アルブミンの添加量が0.4mg/mL以上になる量のアルブミンを添加するようにしたことを特徴とする難水溶性薬剤の薬液製剤製造方法である。
請求項6の発明は、難水溶性薬剤を有機溶媒に溶解させて得た難水溶性薬剤の薬液製剤を、希釈用輸液で希釈するにあたり、該薬液製剤は、7〜34容量%の有機溶媒に難水溶性薬剤を溶解させた後、アルブミンの添加量が0.4mg/mL以上になる量のアルブミンを添加して難水溶性薬剤の薬液製剤を製造し、しかる後、該薬液製剤を希釈用輸液で希釈することを特徴とする難水溶性薬剤の希釈薬液製剤製造方法である。
請求項1、2、5または6の発明とすることで、難水溶性薬剤の薬液製剤を希釈用輸液で希釈して輸液として使用する場合に、沈殿形成を遅延させることができることになる。
請求項3の発明とすることで、ヒト由来ヒト血清アルブミンだけでなくウイルス感染を考慮する必要がない遺伝子組み換え技術によって産生されたヒト血清アルブミンについても用いることができる。
請求項4の発明とすることで、抗癌剤として有用なエトポシドの輸液について沈殿形成を遅延させたものとして提供することができる。
請求項3の発明とすることで、ヒト由来ヒト血清アルブミンだけでなくウイルス感染を考慮する必要がない遺伝子組み換え技術によって産生されたヒト血清アルブミンについても用いることができる。
請求項4の発明とすることで、抗癌剤として有用なエトポシドの輸液について沈殿形成を遅延させたものとして提供することができる。
本発明に用いられるアルブミンとしては、人間の血液から分離採取したヒト由来ヒト血清アルブミン、遺伝子組み換え技術によって産生されたヒト血清アルブミンを用いることができる。
また本発明に用いられるアルブミンとは、純粋なアルブミンだけでなくアルブミンの固形剤,アルブミンを含有する溶液剤といった製剤化したものなども意味する。本発明で用いられるアルブミンは、アルブミン自体の構造・性状等に影響を与えない限り、種々の添加剤等を含有することが可能である。
また本発明に用いられる有機溶媒とは、難水溶性薬剤を溶解させることが可能な溶媒を意味し、具体的にはアルキルアルコール類、エーテル類等を例示することができる。
また本発明に用いられる希釈用輸液とは、静脈血管を介し体内に投与することが可能な水や電解質を含む溶液を意味し、点滴用輸液が特に好ましく、必要に応じてブドウ糖や有機酸、アミノ酸などを含有することが可能である。具体的には生理食塩水やブドウ糖溶液、糖電解質液などを例示することができる。
また本発明に用いられる難水溶性薬剤とは、水に対する溶解度が10mg/mL以下の薬剤を意味し、具体的にはエトポシド等の薬剤を例示することができる。
また本発明に用いられるアルブミンとは、純粋なアルブミンだけでなくアルブミンの固形剤,アルブミンを含有する溶液剤といった製剤化したものなども意味する。本発明で用いられるアルブミンは、アルブミン自体の構造・性状等に影響を与えない限り、種々の添加剤等を含有することが可能である。
また本発明に用いられる有機溶媒とは、難水溶性薬剤を溶解させることが可能な溶媒を意味し、具体的にはアルキルアルコール類、エーテル類等を例示することができる。
また本発明に用いられる希釈用輸液とは、静脈血管を介し体内に投与することが可能な水や電解質を含む溶液を意味し、点滴用輸液が特に好ましく、必要に応じてブドウ糖や有機酸、アミノ酸などを含有することが可能である。具体的には生理食塩水やブドウ糖溶液、糖電解質液などを例示することができる。
また本発明に用いられる難水溶性薬剤とは、水に対する溶解度が10mg/mL以下の薬剤を意味し、具体的にはエトポシド等の薬剤を例示することができる。
本発明は、エトポシドに代表される難水溶性薬剤を有機溶媒に溶解させて得た難水溶性薬剤の薬液製剤を、希釈用輸液で希釈したときに沈殿形成遅延効果のあるものとするものであり、その場合に、該薬液製剤には、7〜34容量%の有機溶媒と、0.4mg/mL以上のアルブミンとが添加されたものであり、このようにすることで、希釈用輸液で希釈前の薬液製剤は長時間に亘って沈殿形成がなく、しかもこのものを希釈用輸液で希釈して輸液として使用する場合においても、沈殿形成の遅延効果を発揮できることになって、難水溶性薬剤を、人体に負担がないよう時間をかけてゆっくりと体内供給することができる。
<実験例1>
試験管に、10mgの無水クエン酸を99.5重量%の無水エタノール(以下、単に「無水エタノール」という)の0.5mLで溶解した無水クエン酸の無水エタノール溶液を調製する。このものに100mgのエトポシドとその容器を洗浄した0.2mLの無水エタノールを添加する。次いでマクロゴール400を3gと、その容器を洗浄した0.55mLの無水エタノールを添加する。そしてエトポシドの溶解を確認した後、水を0.35mL添加する。しかる後、5重量%のヒト血清アルブミン(以下、単に「アルブミン」という)を、処方1〜5として、添加しないもの(ブランクとして)、0.02mL、0.04mL、0.1mL、0.2mL(アルブミン量として1、2、5、10mg相当)を添加し、しかる後、水でメスアップして全量で5mLの薬液製剤をそれぞれ得た(各製剤についてのサンプル数を2とした。)。
因みにエトポシドは弱酸性溶液中で安定性があり、そのためクエン酸を添加して安定化させるものである。
試験管に、10mgの無水クエン酸を99.5重量%の無水エタノール(以下、単に「無水エタノール」という)の0.5mLで溶解した無水クエン酸の無水エタノール溶液を調製する。このものに100mgのエトポシドとその容器を洗浄した0.2mLの無水エタノールを添加する。次いでマクロゴール400を3gと、その容器を洗浄した0.55mLの無水エタノールを添加する。そしてエトポシドの溶解を確認した後、水を0.35mL添加する。しかる後、5重量%のヒト血清アルブミン(以下、単に「アルブミン」という)を、処方1〜5として、添加しないもの(ブランクとして)、0.02mL、0.04mL、0.1mL、0.2mL(アルブミン量として1、2、5、10mg相当)を添加し、しかる後、水でメスアップして全量で5mLの薬液製剤をそれぞれ得た(各製剤についてのサンプル数を2とした。)。
因みにエトポシドは弱酸性溶液中で安定性があり、そのためクエン酸を添加して安定化させるものである。
<比較例1>
試験管に、実験例1と同様に調製した無水クエン酸の無水エタノール溶液を0.5mL添加した後、100mgのエトポシドとその容器を洗浄した0.2mLの無水エタノールを添加する。次いでマクロゴール400を3gと、その容器を洗浄した0.35mLの無水エタノールを添加する。そしてエトポシドの溶解を確認した後、可溶化剤(界面活性剤)としてポリソルベート80を0.4gと、その容器を洗浄した0.20mLの無水エタノールを添加し、しかる後、無水エタノールでメスアップして5mLとして比較例1の薬液製剤を得た(製剤についてのサンプル数を2とした。)。図1に示す表図に実験例1、比較例1の処方を示す。
試験管に、実験例1と同様に調製した無水クエン酸の無水エタノール溶液を0.5mL添加した後、100mgのエトポシドとその容器を洗浄した0.2mLの無水エタノールを添加する。次いでマクロゴール400を3gと、その容器を洗浄した0.35mLの無水エタノールを添加する。そしてエトポシドの溶解を確認した後、可溶化剤(界面活性剤)としてポリソルベート80を0.4gと、その容器を洗浄した0.20mLの無水エタノールを添加し、しかる後、無水エタノールでメスアップして5mLとして比較例1の薬液製剤を得た(製剤についてのサンプル数を2とした。)。図1に示す表図に実験例1、比較例1の処方を示す。
これら得た各薬液製剤について室温下で静置し、外観観察したところ、図2の表図に示すように実施例1、比較例1のどの薬液製剤も14時間を経過しても透明であって沈殿の発生は観測されなかった。
さらに前記実験例1、比較例1で調製した薬液製剤を、調製してから15時間経過したものについて、輸液として使用される濃度に対応させるべく生理食塩水で20倍に薄めた希釈薬液製剤について外観観察した(各製剤についてのサンプル数を4とした。)。この結果を図3の表図に示す。
これによると、何れのものも希釈直後では透明であったものが、アルブミンを添加しなかったもの、比較例1のものは30分後には全てのサンプルが沈殿形成により白濁した。またアルブミンを1mg添加したものは、30分後には3つのサンプルが白濁し、45分後には残りの一つのサンプルも白濁し、沈殿形成遅延の効果が薄いことが確認された。これに対し、アルブミンを2〜10mg添加したものは、45分経過しても白濁は観測されず透明のままであり、沈殿形成遅延効果が認められた。そしてこの沈殿形成遅延効果は、アルブミン添加量が多いほど白濁するまでの時間が長くなって効果があることが確認される。この場合において、沈殿形成遅延効果があるアルブミン添加量の下限値は0.4mg/mLであることが確認された。
尚、アルブミン添加による沈殿形成遅延効果は、実験例1においてはエトポシドの溶解確認後に、水を添加し、しかる後、アルブミンを添加したが、逆に、アルブミン水溶液を添加し、しかる後、水を添加したものについて同様にして沈殿形成遅延効果について確認したところ、同様の効果を確認できた。このことからアルブミンと水との添加順序は問わないことを意味している。
また、アルブミンの添加時期は難水溶性薬剤が有機溶媒に溶解した後であることが好ましく、さらにはアルブミンを添加した後には有機溶媒を加えないことがより好ましい。
これによると、何れのものも希釈直後では透明であったものが、アルブミンを添加しなかったもの、比較例1のものは30分後には全てのサンプルが沈殿形成により白濁した。またアルブミンを1mg添加したものは、30分後には3つのサンプルが白濁し、45分後には残りの一つのサンプルも白濁し、沈殿形成遅延の効果が薄いことが確認された。これに対し、アルブミンを2〜10mg添加したものは、45分経過しても白濁は観測されず透明のままであり、沈殿形成遅延効果が認められた。そしてこの沈殿形成遅延効果は、アルブミン添加量が多いほど白濁するまでの時間が長くなって効果があることが確認される。この場合において、沈殿形成遅延効果があるアルブミン添加量の下限値は0.4mg/mLであることが確認された。
尚、アルブミン添加による沈殿形成遅延効果は、実験例1においてはエトポシドの溶解確認後に、水を添加し、しかる後、アルブミンを添加したが、逆に、アルブミン水溶液を添加し、しかる後、水を添加したものについて同様にして沈殿形成遅延効果について確認したところ、同様の効果を確認できた。このことからアルブミンと水との添加順序は問わないことを意味している。
また、アルブミンの添加時期は難水溶性薬剤が有機溶媒に溶解した後であることが好ましく、さらにはアルブミンを添加した後には有機溶媒を加えないことがより好ましい。
<実験例2>
次に、沈殿形成遅延効果が高いアルブミン添加量5mg、10mgのものについて、無水エタノールの添加量を処方1〜27のように変化させた場合について検討した。処方の手順は実験例1の場合と同様にし、無水エタノールの添加量を図4に示す表図のように変化させて高濃度の薬液製剤を調製した。比較例1のものについても比較のため記載した。このように調製した薬液製剤について外観を観察し、その結果を図5の表図に示す(各製剤のサンプル数は2とした。)。
これによると、調製後、24時間経過しても沈殿形成がなく透明であったものは、アルブミン添加量の少ない5mgとしたものでは、無水エタノールの添加割合が7〜34容量%の範囲、多い10mgとしたものでは7〜25容量%の範囲であることが観察された。
次に、沈殿形成遅延効果が高いアルブミン添加量5mg、10mgのものについて、無水エタノールの添加量を処方1〜27のように変化させた場合について検討した。処方の手順は実験例1の場合と同様にし、無水エタノールの添加量を図4に示す表図のように変化させて高濃度の薬液製剤を調製した。比較例1のものについても比較のため記載した。このように調製した薬液製剤について外観を観察し、その結果を図5の表図に示す(各製剤のサンプル数は2とした。)。
これによると、調製後、24時間経過しても沈殿形成がなく透明であったものは、アルブミン添加量の少ない5mgとしたものでは、無水エタノールの添加割合が7〜34容量%の範囲、多い10mgとしたものでは7〜25容量%の範囲であることが観察された。
さらにアルブミン添加量を5mgとしたものについて、前記沈殿形成が24時間経過しても沈殿発生がない薬液製剤について、生理食塩水で20倍に希釈したものを外観観察した(各製剤のサンプル数は2)。この結果を図6の表図に示す。これによると、無水エタノールを10〜31容量%添加したものは、何れのものも45分以上は沈殿発生が観測されず、沈殿形成遅延効果が高いことが確認される。
Claims (6)
- 希釈用輸液で希釈して用いられる、有機溶媒に溶解している難水溶性薬剤の薬液製剤であって、該薬液製剤がアルブミンを含有することを特徴とする難水溶性薬剤の薬液製剤。
- 難水溶性薬剤を有機溶媒に溶解させて得た難水溶性薬剤の薬液製剤を、希釈用輸液で希釈するにあたり、該薬液製剤は、7〜34容量%の有機溶媒で難水溶性薬剤を溶解したものに、0.4mg/mL以上のアルブミンを添加したものであることを特徴とする請求項1記載の難水溶性薬剤の薬液製剤。
- アルブミンは、ヒト由来ヒト血清アルブミンまたは遺伝子組み換え技術によって産生されたヒト血清アルブミンであることを特徴とする請求項1または2記載の難水溶性薬剤の薬液製剤。
- 難水溶性薬剤はエトポシドであることを特徴とする請求項1〜3記載の難水溶性薬剤の薬液製剤。
- 難水溶性薬剤を有機溶媒に溶解させて得た難水溶性薬剤の薬液製剤を、希釈用輸液で希釈するにあたり、該薬液製剤は、7〜34容量%の有機溶媒に難水溶性薬剤を溶解させた後、アルブミンの添加量が0.4mg/mL以上になる量のアルブミンを添加するようにしたことを特徴とする難水溶性薬剤の薬液製剤製造方法。
- 難水溶性薬剤を有機溶媒に溶解させて得た難水溶性薬剤の薬液製剤を、希釈用輸液で希釈するにあたり、該薬液製剤は、7〜34容量%の有機溶媒に難水溶性薬剤を溶解させた後、アルブミンの添加量が0.4mg/mL以上になる量のアルブミンを添加して難水溶性薬剤の薬液製剤を製造し、しかる後、該薬液製剤を希釈用輸液で希釈することを特徴とする難水溶性薬剤の希釈薬液製剤製造方法。
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