JP2010028147A - Iii−v族化合物半導体の製造方法、ショットキーバリアダイオード、発光ダイオード、レーザダイオード、およびそれらの製造方法 - Google Patents

Iii−v族化合物半導体の製造方法、ショットキーバリアダイオード、発光ダイオード、レーザダイオード、およびそれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】n型のキャリア濃度を低減できるIII−V族化合物半導体の製造方法、ショットキーバリアダイオード、発光ダイオード、レーザダイオード、およびそれらの製造方法を提供する。
【解決手段】III−V族化合物半導体の製造方法は、III族元素を含む原料を用いた有機金属気相成長法によってIII−V族化合物半導体を製造する方法である。まず、種基板を準備する準備工程(S10)を実施する。そして、III族元素を含む原料として0.01ppm以下のシリコンと、10ppm以下の酸素と、0.04ppm未満のゲルマニウムとを含む有機金属を用いて、種基板上にIII−V族化合物半導体を成長させる成長工程(S20)を実施する。
【選択図】図1

Description

本発明は、III−V族化合物半導体の製造方法、ショットキーバリアダイオード、発光ダイオード、レーザダイオード、およびそれらの製造方法に関し、たとえばn型のキャリア濃度を低減できるIII−V族化合物半導体の製造方法、ショットキーバリアダイオード、発光ダイオード、レーザダイオード、およびそれらの製造方法に関する。
III−V族化合物半導体は、ショットキーバリアダイオード、発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)、およびレーザダイオード(Laser Diode:LD)などの半導体デバイスとして非常に有用である。このようなIII−V族化合物半導体を製造するために、従来から、たとえば昇華法、HVPE(Hydride Vapor Phase Epitaxy:ハイドライド気相成長)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy:分子線エピタキシ)法、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:有機金属気相成長)法などの気相成長法が提案されている。
それらの中でも、有機金属気相成長法は、代表的な気相成膜法の一つであり、III族元素を含む原料の有機金属を気化させ、それを基板表面で熱的に分解させ、V族元素を含むガスと反応させて成膜する方法である。この方法は膜厚や組成の制御が可能であり、かつ生産性に優れていることから、III−V族化合物半導体を製造する際の成膜技術として広く用いられている。
このような有機金属気相成長法に用いるIII族元素を含む原料として、たとえば特開2006−342101号公報(特許文献1)に開示の有機金属化合物の製造方法により製造された有機金属化合物を用いることができる。特許文献1には、有機珪素不純物が0.05pp未満、酸素不純物が10ppm未満、炭化珪素不純物が10ppm未満である有機金属化合物の製造方法が開示されている。
特開2006−342101号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示の有機金属化合物の製造方法によって製造された有機金属化合物をIII族元素を含む原料としてMOCVD法によりアンドープのIII−V族化合物半導体を成長させると、n型不純物を導入しなくても、n型のキャリア濃度が高いという問題がある。このようなIII−V族化合物半導体を用いてショットキーバリアダイオードのドリフト層を形成すると、ドリフト層としては、n型のキャリア濃度が高すぎるとともに、その濃度よりも低いキャリア濃度に制御することができない。また、LEDなどを製造する場合において、p型のIII−V族化合物半導体を成長させる際に、n型の不純物濃度を大きく低減する必要が生じる。すなわち、上記特許文献1に開示の有機金属化合物を用いてMOCVD法によりIII−V族化合物半導体を成長させると、III−V族化合物半導体のn型のキャリア濃度が高すぎるので、n型のキャリア濃度が低いIII−V族化合物半導体や、p型のIII−V族化合物半導体を製造する方法に改善の余地がある。
したがって、本発明の目的は、n型のキャリア濃度を低減できるIII−V族化合物半導体の製造方法、ショットキーバリアダイオード、発光ダイオード、レーザダイオード、およびそれらの製造方法を提供することである。
本発明者は、鋭意研究の結果、成長させるアンドープのIII−V族化合物半導体のn型のキャリア濃度を、所定の濃度(たとえば5×1015cm-3以下)まで低減できるための条件を見出した。
すなわち、本発明のIII−V族化合物半導体の製造方法は、III族元素を含む原料を用いた有機金属気相成長法によってIII−V族化合物半導体を製造する方法であって、以下の工程を実施する。まず、種基板を準備する準備工程を実施する。そして、III族元素を含む原料として0.01ppm以下のシリコンと、10ppm以下の酸素と、0.04ppm未満のゲルマニウムとを含む有機金属を用いて、種基板上にIII−V族化合物半導体を成長させる成長工程を実施する。
本発明者は、MOCVD法によって、アンドープのIII−V族化合物半導体を製造するために、III族元素を含む原料としての有機金属が含有する不純物の上限を、シリコンが0.01ppm以下、酸素が10ppm以下、ゲルマニウムが0.04ppm未満であることを見出した。本発明によりアンドープのIII−V族化合物半導体を成長させると、得られるIII−V族化合物半導体のn型のキャリア濃度を、所望の濃度(たとえば5×1015cm-3以下)にまで低減できる。そのため、従来制御が難しかった低い範囲内でのn型キャリア濃度の制御、およびp型のIII−V族化合物半導体を製造する際に必要であったn型不純物の低減を容易にできる。
なお、上記シリコンの濃度は、誘導結合プラズマ発光分析法(ICP−AES)により測定される値である。また、上記酸素の濃度は、FT−NMR(フーリエ変換核磁気共鳴)により測定される値である。また、ゲルマニウムの濃度は、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS)により測定される値である。
上記III−V族化合物半導体の製造方法において好ましくは、有機金属は、トリメチルガリウム、トリエチルガリウム、トリメチルアルミニウム、およびトリメチルインジウムからなる群より選ばれた少なくとも一種の物質である。
有機金属として、トリメチルガリウム、トリエチルガリウム、トリメチルアルミニウム、およびトリメチルインジウムを用いると、アンドープのIII−V族化合物半導体を製造する場合に有効である。
上記III−V族化合物半導体の製造方法において好ましくは、成長工程では、III−V族化合物半導体としてAlxGayIn(1-x-y)N(0≦x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)を成長させる。
これにより、n型のキャリア濃度を低減したAlxGayIn(1-x-y)N(0≦x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)からなるIII−V族化合物半導体を成長させることができる。
上記III−V族化合物半導体の製造方法において好ましくは、III−V族化合物半導体として窒化ガリウムを成長させる。
これにより、n型のキャリア濃度を低減した窒化ガリウムからなるIII−V族化合物半導体を成長させることができる。
上記III−V族化合物半導体の製造方法において好ましくは、成長工程では、n型不純物を含む他の原料を有機金属とともに用いることにより、n型のキャリア濃度が5×1016cm-3以下になるように、III−V族化合物半導体を成長させる。
アンドープのIII−V族化合物半導体を製造する際にn型のキャリア濃度を低減できるので、n型のキャリア濃度を5×1016cm-3以下の低濃度に制御できる。そのため、上記範囲のキャリア濃度のIII−V族化合物半導体を製造できる。
上記III−V族化合物半導体の製造方法において好ましくは、n型不純物は、シリコン、ゲルマニウム、および酸素の少なくとも1つの元素を含んでいる。
これにより、n型のキャリア濃度を低い範囲内でも制御したIII−V族化合物半導体を製造できる。
上記III−V族化合物半導体の製造方法において好ましくは、n型不純物を含む他の原料は、モノシラン、ジシラン、モノメチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、テトラメチルシラン、トリエチルシラン、テトラエチルシラン、モノゲルマン、モノメチルゲルマニウム、テトラメチルゲルマニウム、テトラエチルゲルマニウム、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素、および水からなる群より選ばれた少なくとも一種の物質である。
これにより、n型不純物を低い濃度範囲で取り込んだIII−V族化合物半導体を製造できる。
上記III−V族化合物半導体の製造方法において好ましくは、成長工程では、p型不純物を含む他の原料を有機金属とともに用いることにより、p型のIII−V族化合物半導体を成長させる。
n型のキャリア濃度を低減できる条件の有機金属を用いているので、p型不純物を導入する際に、n型不純物による補償を低減できる。そのため、p型の有効なキャリア濃度を向上できる。
上記III−V族化合物半導体の製造方法において好ましくは、p型不純物を含む他の原料は、0.01ppm以下のシリコンを含むビスシクロペンタジエニルマグネシウムおよびビスエチルペンタジエニルマグネシウムの少なくとも一方を含んでいる。
p型不純物を含む他の原料中のシリコンの濃度が0.01ppm以下まで低減されているので、p型不純物を含む他の原料中のp型のキャリア濃度が高くなる。そのため、p型のIII−V族化合物半導体を製造する場合に有効である。
本発明のショットキーバリアダイオードの製造方法は、上記III−V族化合物半導体の製造方法を備えたショットキーバリアダイオードの製造方法であって、準備工程では、種基板としてn型窒化ガリウム基板を準備し、成長工程では、III−V族化合物半導体としてn型窒化ガリウムを成長させる。
本発明のショットキーバリアダイオードは、上記ショットキーバリアダイオードの製造方法により製造されるショットキーバリアダイオードであって、n型窒化ガリウム基板と、n型窒化ガリウム基板上に形成されたn型窒化ガリウムからなる層とを備えている。
本発明のショットキーバリアダイオードの製造方法およびショットキーバリアダイオードによれば、窒化ガリウムからなる層をドリフト層として用いた場合に、ドリフト層のn型のキャリア濃度を低濃度で制御できるショットキーバリアダイオードが得られる。
上記ショットキーバリアダイオードにおいて好ましくは、n型窒化ガリウムからなる層のキャリア濃度は、5×1015cm-3以上5×1016cm-3以下である。
アンドープのn型窒化ガリウムからなる層を成長させる際にn型のキャリア濃度を低減できるので、上記範囲内でn型のキャリア濃度を制御できる。5×1015cm-3以上とすることにより、ショットキーバリアダイオードの低いオン抵抗を維持できる。一方、5×1016cm-3以下とすることによって、ショットキーバリアダイオードの耐圧を向上できる。
本発明の発光ダイオードの製造方法は、上記III−V族化合物半導体の製造方法を備えた発光ダイオードの製造方法であって、準備工程では、種基板としてn型窒化ガリウム基板を準備し、成長工程では、III−V族化合物半導体としてp型AlxGayIn(1-x-y)N(0≦x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)を成長させる。
本発明の発光ダイオードは、上記発光ダイオードの製造方法により製造された発光ダイオードであって、n型窒化ガリウム基板と、n型窒化ガリウム基板上に形成されたp型AlxGayIn(1-x-y)N(0≦x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)からなる層とを備えている。
本発明の発光ダイオードの製造方法および発光ダイオードによれば、n型のキャリア濃度を低減できる条件の有機金属を用いてp型AlxGayIn(1-x-y)N(0≦x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)を成長させるので、p型不純物を導入して成長させる際に、n型不純物による補償を低減できる。そのため、p型の有効なキャリア濃度を向上できる発光ダイオードが得られる。
本発明のレーザダイオードの製造方法は、上記III−V族化合物半導体の製造方法を備えたレーザダイオードの製造方法であって、準備工程では、種基板としてn型窒化ガリウム基板を準備し、成長工程では、III−V族化合物半導体としてp型AlxGayIn(1-x-y)N(0≦x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)を成長させる。
本発明のレーザダイオードは、上記レーザダイオードの製造方法により製造されたレーザダイオードであって、n型窒化ガリウム基板と、n型窒化ガリウム基板上に形成されたp型AlxGayIn(1-x-y)N(0≦x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)からなる層とを備えている。
本発明のレーザダイオードの製造方法およびレーザダイオードによれば、n型のキャリア濃度を低減できる条件の有機金属を用いてp型AlxGayIn(1-x-y)N(0≦x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)を成長させるので、p型不純物を導入する際に、n型不純物による補償を低減できる。そのため、p型の有効なキャリア濃度を向上できるレーザダイオードが得られる。
以上説明したように、本発明のIII−V族化合物半導体の製造方法によれば、III族元素を含む原料として0.01ppm以下のシリコンを含む有機金属を用いているので、n型のキャリア濃度を低減できる。
本発明の実施の形態1におけるIII−V族化合物半導体の製造方法を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態2におけるショットキーバリアダイオードを示す概略断面図である。 本発明の実施の形態3における発光ダイオードを示す概略断面図である。 本発明の実施の形態4におけるレーザダイオードを示す概略断面図である。 実施例3におけるショットキーバリアダイオードの順方向における電圧と電流密度との関係を示す図である。 実施例3におけるショットキーバリアダイオードの逆方向における電圧と電流密度との関係を示す図である。 本発明例4のHEMTを示す概略断面図である。 本発明例5の縦型トランジスタを示す概略断面図である。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付しその説明は繰り返さない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるIII−V族化合物半導体の製造方法を示すフローチャートである。図1を参照して、本発明の実施の形態1におけるIII−V族化合物半導体の製造方法を説明する。実施の形態1におけるIII−V族化合物半導体の製造方法は、III族元素を含む原料を用いた有機金属気相成長法によってIII−V族化合物半導体を製造する方法である。
III−V族化合物半導体の製造方法は、図1に示すように、まず、種基板を準備する準備工程(S10)を実施する。準備工程(S10)では、たとえば有機金属気相成長装置において、サセプタの載置面に種基板を載置して、種基板をサセプタに保持させる。
準備工程(S10)において準備する種基板は特に限定されないが、たとえばn型GaN(窒化ガリウム)を用いることができる。なお、種基板は、後述する成長工程(S20)で成長させるIII−V族化合物半導体と同じ材料であることが好ましく、GaNからなっていることがより好ましい。
次に、図1に示すように、III族元素を含む原料として0.01ppm以下のシリコン(Si)と、10ppm以下の酸素(O)と、0.04ppm未満のゲルマニウム(Ge)とを含む有機金属を用いて、種基板上にIII−V族化合物半導体を成長させる成長工程(S20)を実施する。成長工程(S20)では、有機金属気相成長法によってIII−V族化合物半導体を成長させる。実施の形態1における成長工程(S20)では、たとえば、以下のようにしてIII−V族化合物半導体を成長させる。
たとえば、サセプタの載置面に種基板を保持した状態で、ヒータによってたとえば1100℃前後にサセプタを加熱する。そして、加熱したサセプタを回転しながら、供給口の各々からガスの各々を導入する。
たとえば、ガスとしては、III族元素を含む原料として、0.01ppm以下のシリコンと、10ppm以下の酸素と、0.04ppm未満のゲルマニウムとを含む有機金属が用いられる。また、有機金属を輸送するためのガスとして、H2(水素)ガスやN2(窒素)ガスなどの、キャリアガスが用いられる。また、別のガスとしては、V族元素を含む原料として、As(ヒ素)、P(リン)、またはNH3(アンモニア)などが用いられる。また、さらに別のガスとしてはH2(水素)ガスやN2(窒素)ガスなどの、原料ガスの反応を抑制するパージガスが用いられる。
なお、III族元素を含む原料は、キャリア濃度を低減できる観点から、シリコンが0.01ppm以下で、酸素が10ppm以下で、ゲルマニウムが0.04ppm未満の有機金属である。
また、III族元素を含む原料としての有機金属は、トリメチルガリウム(TMG:Ga(CH33)、トリエチルガリウム(TEG:Ga(C253)、トリメチルアルミニウム(TMA:Al(CH33)、およびトリメチルインジウム(TMI:In(CH33)からなる群より選ばれた少なくとも一種の物質であることが好ましく、特にトリメチルガリウムであることが好ましい。
なお、III族元素を含む原料としてのガスおよびV族元素を含む原料としてのガスは、ガスの流れを調整するためにH2ガス、N2ガス、またはArガスなどのキャリアガスで希釈されてもよい。具体的なガスの種類の一例を挙げると、たとえばIII族元素を含む原料としてのガスとしてH2で希釈されたトリメチルガリウムが用いられ、V族元素を含む原料としてのガスとしてH2で希釈されたアンモニア(NH3)が用いられる。
そして、ガスの各々は有機金属気相成長装置の内部空間(反応炉)において混合され、III族元素を含む原料としてのガスと、V族元素を含む原料としてのガスとが反応して、種基板の上面に、アンドープのIII−V族化合物半導体を成長させる。
成長工程(S20)では、たとえばGaAs、InP、AlN、GaN、InN、AlGaN、InGaN、またはAlInGaNなどのIII−V族化合物半導体を成長させる。なお、III−V族化合物半導体としてAlxGayIn(1-x-y)N(0≦x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)を成長させることが好ましく、GaNを成長させることがより好ましい。
また、成長工程(S20)で成長させるIII−V族化合物半導体は、アンドープに限定されず、n型またはp型のIII−V族化合物半導体を成長させてもよい。
n型のIII−V族化合物半導体を成長させる場合には、n型不純物を含む他の原料を、III族元素を含む原料である有機金属とともに用いる。n型不純物は、シリコン、ゲルマニウム、および酸素の少なくとも1つの元素を含んでいることが好ましい。このようなn型不純物を含む他の原料は、モノシラン、ジシラン、モノメチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、テトラメチルシラン、トリエチルシラン、テトラエチルシラン、モノゲルマン、モノメチルゲルマニウム、テトラメチルゲルマニウム、テトラエチルゲルマニウム、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素、および水からなる群より選ばれた少なくとも一種の物質であることが好ましい。
また、p型のIII−V族化合物半導体を成長させる場合には、p型不純物を含む他の原料を有機金属とともに用いる。p型不純物は、マグネシウムを含んでいることが好ましい。また、p型不純物を含む他の原料は、0.01ppm以下のシリコンを含んでいることが好ましい。このようなp型不純物を含む他の原料は、0.01ppm以下のシリコンを含むビスシクロペンタジエニルマグネシウムおよびビスエチルペンタジエニルマグネシウムの少なくとも一方を含んでいることがより好ましい。また、p型不純物を含む他の原料は、0.01ppm以下のシリコンと、10ppm以下の酸素と、0.04ppm未満のゲルマニウムとを含んでいることが好ましい。
なお、成長工程(S20)における成膜条件の一例を挙げると、反応炉内の全原料ガスの平均流速は0.1m/s〜5m/sであり、サセプタの温度は600℃〜1400℃であり、反応炉内の圧力は、10kPa〜110kPaである。また、V族元素を含む原料としてのガス(たとえばアンモニア)とIII族元素を含む原料としてのガスとの供給比(V/III)は、100〜100000である。
上記工程(S10,S20)を実施することによって、III−V族化合物半導体を種基板上に成長できる。得られるIII−V族化合物半導体は、アンドープとして成長させた場合には、5×1015cm-3以下にまで低減できる。また、アンドープとして低いキャリア濃度を実現できるので、n型のIII−V族化合物半導体を成長させた場合には、n型のキャリア濃度が5×1016cm-3以下、好ましくは5×1015cm-3以上2×1016cm-3以下になるように制御できる。さらに、アンドープとして低いキャリア濃度を実現できるので、p型のIII−V族化合物半導体を成長させた場合には、p型の有効なキャリア濃度を向上できる。
以上説明したように、実施の形態1におけるIII−V族化合物半導体の製造方法によれば、III族元素を含む原料として0.01ppm以下のシリコンと、10ppm以下の酸素と、0.04ppm未満のゲルマニウムとを含む有機金属を用いてIII−V族化合物半導体を成長させている。III族元素を含む原料としての有機金属が含有する不純物の上限を、シリコンが0.01ppm以下、酸素が10ppm以下、ゲルマニウムが0.04ppm未満であることを見出したことにより、得られるアンドープのIII−V族化合物半導体のn型のキャリア濃度を、所望の濃度(たとえば5×1015cm-3以下)にまで低減できる。そのため、従来制御が難しかった低いn型キャリア濃度の制御、およびp型III−V族化合物半導体を製造する際に必要であったn型不純物の低減を容易にできる。
(実施の形態2)
図2は、本発明の実施の形態2におけるショットキーバリアダイオードを示す概略断面図である。図2を参照して、本発明の実施の形態2におけるショットキーバリアダイオードを説明する。図2に示すように、実施の形態2におけるショットキーバリアダイオード100は、基板101と、ドリフト層102と、アノード電極103と、カソード電極104とを備えている。
基板101は、n型GaN(窒化ガリウム)基板である。ドリフト層102は、基板101上に形成されたn型GaNからなる層である。ドリフト層102のキャリア濃度は、5×1015cm-3以上5×1016cm-3以下であることが好ましく、5×1015cm-3以上2×1016cm-3以下であることがより好ましい。キャリア濃度を5×1015cm-3以上とすることにより、順方向に電圧が印加されたときのショットキーバリアダイオード100の低いオン抵抗を維持できる。一方、5×1016cm-3以下とすることによって、逆方向に電圧が印加されたときのショットキーバリアダイオード100の耐圧を向上できる。2×1016cm-3以下とすることによって、ショットキーバリアダイオード100の耐圧をより向上できる。
次に、図1および図2を参照して、実施の形態2におけるショットキーバリアダイオード100の製造方法を説明する。実施の形態2におけるショットキーバリアダイオード100の製造方法は、実施の形態1におけるIII−V族化合物半導体の製造方法を用いている。
具体的には、まず、準備工程(S10)では、種基板としてn型GaN基板を準備する。実施の形態2では、種基板をショットキーバリアダイオードにおける基板101として用いる。
次に、成長工程(S20)では、III−V族化合物半導体としてn型GaNをドリフト層102として、有機金属気相成長法によって成長させる。成長工程(S20)では、ドリフト層102として所望のn型キャリア濃度となるような条件で、n型不純物を含む他の原料を有機金属とともに用いる。これにより、基板101と、基板101上に形成されたドリフト層102とを形成できる。
次に、ドリフト層102上に、アノード電極103を形成する工程を実施する。この工程では、たとえば金などからなる電極を蒸着法により形成する。
次に、基板101のドリフト層102を形成した面と反対の面側にカソード電極104を形成する工程を実施する。この工程では、たとえばチタン(Ti)およびアルミニウム(Al)などが積層された電極を蒸着法により形成する。
上記工程(S10,S20)を実施することによって、図2に示す実施の形態2におけるショットキーバリアダイオード100を製造することができる。
以上説明したように、本発明の実施の形態2におけるショットキーバリアダイオード100によれば、III族元素を含む原料として0.01ppm以下のシリコンと、10ppm以下の酸素と、0.04ppm未満のゲルマニウムとを含む有機金属を用いて、ドリフト層102としてn型窒化ガリウム層を成長させている。これにより、アンドープのキャリア濃度を低減できるので、たとえば5×1015cm-3以上5×1016cm-3以下の低い濃度範囲でn型のキャリア濃度を制御できる。そのため、耐圧を向上できるとともに、高いオン抵抗を維持できるショットキーバリアダイオードが得られる。
(実施の形態3)
図3は、本発明の実施の形態3における発光ダイオードを示す概略断面図である。図3を参照して、本発明の実施の形態3における発光ダイオードを説明する。実施の形態3における発光ダイオード200は、n型GaN基板と、n型GaN基板上に形成されたp型AlxGayIn(1-x-y)N(0≦x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)からなる層とを備えている。
具体的には、図3に示すように、発光ダイオード200は、基板201と、n型バッファ層202と、活性層203と、p型電子ブロック層204と、p型コンタクト層205と、p型電極206と、n型電極207とを備えている。
基板201は、n型GaN基板である。n型バッファ層202は、基板201上に形成され、たとえばn型GaNからなっている。活性層203は、n型バッファ層202上に形成され、たとえばInGaNおよびGaNよりなる多重量子井戸構造により構成されている。なお、活性層203は、単一の半導体材料よりなっていてもよい。p型電子ブロック層204は、活性層203上に形成され、たとえばp型AlGaNからなっている。p型コンタクト層205は、p型電子ブロック層204上に形成され、たとえばp型GaNからなっている。p型電極206は、p型コンタクト層205上に形成され、たとえばニッケルおよび金などからなっている。n型電極207は、基板201のn型バッファ層202を形成した面と反対の面側上に形成され、たとえばチタンおよびアルミニウムなどよりなっている。
次に、図1および図3を参照して、実施の形態3における発光ダイオード200の製造方法を説明する。実施の形態3における発光ダイオードの製造方法は、実施の形態1におけるIII−V族化合物半導体の製造方法を用いている。
具体的には、まず、準備工程(S10)では、種基板としてn型GaN基板を準備する。実施の形態3では、種基板を発光ダイオード200の基板201として用いている。
次に、成長工程(S20)では、III−V族化合物半導体としてp型AlxGayIn(1-x-y)N(0≦x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)を有機金属気相成長法によって成長させる。具体的には、III族元素を含む原料として0.01ppm以下のシリコンと、10ppm以下の酸素と、0.04ppm未満のゲルマニウムとを含む有機金属を用いて、n型GaN基板である基板201上に、n型バッファ層202、活性層203、p型電子ブロック層204、およびp型コンタクト層205を、この順に成長させる。n型またはp型のIII−V族化合物半導体を成長させる際には、所望のn型またはp型のキャリア濃度となるような条件で、n型不純物を含む他の原料またはp型不純物を含む他の原料を、III族元素の原料である有機金属およびV族原料とともに用いる。
次に、p型コンタクト層205上に、p型電極206を形成する工程を実施する。この工程では、たとえばニッケルおよび金などが積層された電極を蒸着法により形成する。
次に、基板201のn型バッファ層202を形成した面と反対の面側にn型電極207を形成する工程を実施する。この工程では、たとえばチタンおよびアルミニウムなどが積層された電極を蒸着法により形成する。
上記工程(S10,S20)を実施することによって、図3に示す実施の形態3における発光ダイオード200を製造することができる。
以上説明したように、本発明の実施の形態3における発光ダイオード200によれば、III族元素を含む原料として0.01ppm以下のシリコンと、10ppm以下の酸素と、0.04ppm未満のゲルマニウムとを含む有機金属を用いて、III−V族化合物半導体としてp型AlxGayIn(1-x-y)N(0≦x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)を成長させている。これにより、アンドープのキャリア濃度を低減できるので、p型不純物を導入しp型AlxGayIn(1-x-y)N(0≦x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)を成長させる際に、n型不純物による補償を低減できる。そのため、p型の有効なキャリア濃度を向上できる発光ダイオード200が得られる。
(実施の形態4)
図4は、本発明の実施の形態4におけるレーザダイオードを示す概略断面図である。図4を参照して、本発明の実施の形態4におけるレーザダイオードを説明する。実施の形態4におけるレーザダイオード300は、n型GaN基板と、n型GaN基板上に形成されたp型AlxGayIn(1-x-y)N(0≦x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)とを備えている。
具体的には、図4に示すように、レーザダイオード300は、基板301と、n型クラッド層302と、アンドープガイド層303と、活性層304と、アンドープガイド層305と、p型電子ブロック層306と、p型クラッド層307と、p型コンタクト層308と、p型電極309と、n型電極310とを備えている。
基板301は、n型GaN基板である。n型クラッド層302は、基板301上に形成され、たとえばn型AlGaNからなっている。アンドープガイド層303は、n型クラッド層302上に形成され、たとえばInGaNからなっている。活性層304は、アンドープガイド層303上に形成され、たとえばInGaNおよびGaNよりなる多重量子井戸構造により構成されている。なお、活性層304は、単一の半導体材料よりなっていてもよい。アンドープガイド層305は、活性層304上に形成され、たとえばGaNからなっている。p型電子ブロック層306は、アンドープガイド層305上に形成され、たとえばp型AlGaNからなっている。p型クラッド層307は、p型電子ブロック層306上に形成され、たとえばp型AlGaNからなっている。p型コンタクト層308は、p型クラッド層307上に形成され、たとえばp型GaNからなっている。p型電極309は、p型コンタクト層308上に形成され、たとえばニッケルおよび金などからなっている。n型電極310は、基板301のn型クラッド層302を形成した面と反対の面側上に形成され、たとえばチタンおよびアルミニウムなどよりなっている。
次に、図1および図4を参照して、実施の形態4におけるレーザダイオード300の製造方法を説明する。実施の形態4におけるレーザダイオードの製造方法は、実施の形態1におけるIII−V族化合物半導体の製造方法を用いている。
具体的には、まず、準備工程(S10)では、種基板としてn型窒化ガリウム基板を準備する。実施の形態4では、種基板をレーザダイオード300の基板301として用いている。
次に、成長工程(S20)では、III−V族化合物半導体としてp型AlxGayIn(1-x-y)N(0≦x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)を有機金属気相成長法によって成長させる。具体的には、III族元素を含む原料として0.01ppm以下のシリコンと、10ppm以下の酸素と、0.04ppm未満のゲルマニウムとを含む有機金属を用いて、n型窒化ガリウム基板である基板301上に、n型クラッド層302、アンドープガイド層303、活性層304、アンドープガイド層305、p型電子ブロック層306、p型クラッド層307、およびp型コンタクト層308を、この順に成長させる。n型またはp型のIII−V族化合物半導体を成長させる際には、所望のn型またはp型のキャリア濃度となるような条件で、n型不純物を含む他の原料またはp型不純物を含む他の原料を、III族元素の原料である有機金属およびV族原料とともに用いる。
次に、p型コンタクト層308上に、p型電極309を形成する工程を実施する。この工程では、たとえばNiおよび金などが積層された電極を蒸着法により形成する。
次に、基板301のn型クラッド層302を形成した面と反対の面側にn型電極310を形成する工程を実施する。この工程では、たとえばTiおよびAlなどが積層された電極を蒸着法により形成する。
上記工程(S10,S20)を実施することによって、図4に示す実施の形態3におけるレーザダイオード300を製造することができる。
以上説明したように、本発明の実施の形態4におけるレーザダイオード300によれば、III族元素を含む原料として0.01ppm以下のシリコンと、10ppm以下の酸素と、0.04ppm未満のゲルマニウムとを含む有機金属を用いて、III−V族化合物半導体としてp型AlxGayIn(1-x-y)N(0≦x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)を成長させている。これにより、アンドープのキャリア濃度を低減できるので、p型不純物を導入してp型AlxGayIn(1-x-y)N(0≦x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)を成長させる際に、n型不純物による補償を低減できる。そのため、p型の有効なキャリア濃度を向上できるので、閾値電流やスロープ効率(レーザ発振後の電流に対する出力の増加率)を高めるレーザダイオード300が得られる。
実施例1では、本発明によるIII族元素を含む原料として0.01ppm以下のシリコンと、10ppm以下の酸素と、0.04ppm未満のゲルマニウムとを含む有機金属を用いて、種基板上にアンドープのIII−V族化合物半導体を成長させることの効果について確認した。
(本発明例1)
本発明例1では、実施の形態1におけるIII−V族化合物半導体の製造方法にしたがって、アンドープのIII−V族化合物半導体を製造した。具体的には、準備工程(S10)では、サファイア基板を準備した。
次に、成長工程(S20)では、温度が1050℃、圧力が100Torr、水素雰囲気中で、種基板のクリーニングを実施した。その後、500℃まで降温し、100Torrで、V族元素を含む原料とIII族元素を含む原料との比(V/III)が1600の条件で、有機金属気相成長法により、30nmのGaN層をバッファ層として成長させた。
その後、1050℃に昇温後、200Torrで、V族元素を含む原料とIII族元素を含む原料との比(V/III)が1250の条件で、2μmのGaN層を本発明例1におけるIII−V族化合物半導体として成長させた。
なお、III族元素を含む原料として、誘導結合プラズマ発光分析法で測定される0.01ppm以下のシリコンと、FT−NMRで測定される10ppm以下の酸素と、誘導プラズマ質量分析法で測定される検出下限0.04mで検出されないゲルマニウムとを含むTMGを用いた。V族元素を含む原料としては、純度が99.999%以上のアンモニアを用いた。また、キャリアガスとして、純度が99.999995%以上の水素および純度が99.999995%以上の窒素を用いた。
(比較例1)
比較例1におけるIII−V族化合物半導体の製造方法は、本発明例1におけるIII−V族化合物半導体の製造方法と基本的には同様の構成を備えているが、用いたIII族元素を含む原料が誘導結合プラズマ発光分析法で測定される0.02ppmのシリコンと、FT−NMRで測定される10ppm以下の酸素と、誘導プラズマ質量分析法で測定される検出下限0.04ppmで検出されないゲルマニウムとを含むTMGを用いた点においてのみ、本発明例1と異なる。
(測定方法)
本発明例1および比較例1におけるIII−V族化合物半導体について、C−V(Capacitance-Voltage)法でキャリア濃度を測定した。また、SIMS(2次イオン質量分析法)で不純物濃度を測定した。測定結果を下記の表1に示す。
Figure 2010028147
(測定結果)
表1に示すように、本発明例1のIII族元素を含む原料として、0.01ppm以下のシリコンと、10ppm以下の酸素と、0.04ppm未満のゲルマニウムとを含むTMGを用いて製造されたIII−V族化合物半導体は、比較例1と比較して、低いキャリア濃度であった。また、アンドープのIII−V族化合物半導体として望まれる5×1015cm-3以下の低いキャリア濃度を達成できることが確認できた。
また、III族元素を含む原料として用いたTMG中のSiの濃度と、製造されたIII−V族化合物半導体のSi濃度とは相関関係があったため、TMG中の不純物としてのSiがIII−V族化合物半導体中に取り込まれてn型不純物として働いていたことが確認できた。
以上より、実施例1によれば、III族元素を含む原料として0.01ppm以下のシリコンと、10ppm以下の酸素と、0.04ppm未満のゲルマニウムとを含む有機金属を用いることによって、成長させたアンドープのIII−V族化合物半導体のn型のキャリア濃度を低減できることが確認できた。
実施例2では、本発明によるIII族元素を含む原料として0.01ppm以下のシリコンと、10ppm以下の酸素と、0.04ppm未満のゲルマニウムとを含む有機金属を用いて、種基板上にn型のキャリア濃度を制御してIII−V族化合物半導体を成長させることの効果について確認した。
(本発明例2)
本発明例2では、実施の形態1におけるIII−V族化合物半導体の製造方法にしたがって、n型のIII−V族化合物半導体を製造した。本発明例2におけるIII−V族化合物半導体の製造方法は、基本的には、本発明例1におけるIII−V族化合物半導体の製造方法と同様の構成を備えているが、成長工程(S20)においてのみ、本発明例1と異なる。
具体的には、本発明例2における成長工程(S20)では、まず、本発明例1と同様に有機金属気相成長法によりバッファ層を成長させた。そして、n型不純物を含む他の原料としてH2を希釈した20ppmのモノシランガスを、本発明例1で用いたIII族元素を含む原料、V族元素を含む原料、およびキャリアガスとともに用いた。これにより、n型不純物としてSiを導入したIII−V族化合物半導体を製造した。
(比較例2)
比較例2のIII−V族化合物半導体の製造方法は、基本的には本発明例2と同様の構成を備えているが、成長工程(S20)においてn型不純物を含む他の原料としてH2を希釈した20ppmのモノシランガスを、比較例1で用いたIII族元素を含む原料であるTMG、V族元素を含む原料、およびキャリアガスとともに用いた点においてのみ異なる。
(測定方法)
本発明例2および比較例2におけるIII−V族化合物半導体について、実施例1と同様にC−V法によりキャリア濃度を測定した。
(測定結果)
本発明例2におけるIII−V族化合物半導体のキャリア濃度は、モノシランガスの供給量に応じて5×1015cm-3以上5×1016cm-3以下の範囲で変化した。このことから、Siによりn型キャリア濃度を良好に制御できたことがわかった。
一方、比較例2におけるIII−V族化合物半導体のキャリア濃度は、5×1016cm-3で変化しなかった。
以上より、実施例2によれば、本発明例2におけるIII−V族化合物半導体は、アンドープの層を形成する場合のキャリア濃度が低いため、意図的に導入したSiによりn型キャリア濃度を制御できることを確認できた。
実施例3では、本発明によるIII族元素を含む原料として0.01ppm以下のシリコンと、10ppm以下の酸素と、0.04ppm未満のゲルマニウムとを含む有機金属を用いて、ショットキーバリアダイオードを製造することの効果について確認した。
(本発明例3)
本発明例3では、実施の形態2におけるショットキーバリアダイオードの製造方法にしたがって、図2に示すショットキーバリアダイオードを製造した。
具体的には、準備工程(S10)では、n型の2インチのGaN基板を準備した。また、種基板のc面をIII−V族化合物半導体を成長させる面とした。なお、GaN基板のn型のキャリア濃度は5×1018cm-3であった。
次に、成長工程(S20)では、本発明例2のIII−V族化合物半導体の製造方法と同様の条件で、Siをn型不純物として導入された厚みが7μmのGaN層を有機金属気相成長法により成長させた。なお、このGaN層(ドリフト層102)のn型のキャリア濃度は、1×1016cm-3であった。
次に、アノード電極103として、金からなるショットキー電極をドリフト層102上に形成した。次に、カソード電極104としてTi、Al、Ti、およびAuが積層されたオーミック電極を、基板101のドリフト層102が形成された面と反対の面上に形成した。
(比較例3)
比較例3におけるショットキーバリアダイオードの製造方法は、基本的には本発明例3におけるショットキーバリアダイオードの製造方法と同様の構成を備えているが、成長工程(S20)において比較例2のIII−V族化合物半導体の製造方法と同様の条件でドリフト層を成長させた点においてのみ異なる。なお、このGaN層(ドリフト層102)のn型のキャリア濃度は、5×1016cm-3であった。
(測定方法)
本発明例3および比較例3におけるショットキーバリアダイオードについて、順方向および逆方向に電圧を印加したときの、電流と電圧との特性を直流に電圧を印加して測定した。その結果を表2、図5および図6に示す。なお、図5は、実施例3におけるショットキーバリアダイオードの順方向における電圧と電流密度との関係を示す図である。図5中、縦軸は電流密度(単位:A/cm-2)を、横軸は電圧(単位:V)を示す。また、図6は、実施例3におけるショットキーバリアダイオードの逆方向における電圧と電流密度との関係を示す図である。図6中、縦軸は電流密度(単位:A/cm-2)を、横軸は電圧(単位:V)を示す。
Figure 2010028147
(測定結果)
表2、図5、および図6に示すように、本発明例3におけるショットキーバリアダイオードは、n型のキャリア濃度が5×1015cm-3以上で十分低い範囲内であるため、比較例3と比較して、逆方向の電圧を印加した場合には、耐圧を向上できた。また、順方向の電圧を印加した場合には、本発明例3は、比較例3の低いオン抵抗とほぼ同様のオン抵抗となった。
以上より、実施例3によれば、n型のキャリア濃度が5×1015cm-3以上5×1016cm-3以上の低いドリフト層を備えるショットキーバリアダイオードを製造することによって、低損失で高耐圧のショットキーバリアダイオードを実現できることが確認できた。
実施例4では、本発明によるIII族元素を含む原料として0.01ppm以下のシリコンと、10ppm以下の酸素と、0.04ppm未満のゲルマニウムとを含む有機金属を用いて、高電子移動度トランジスタ(HEMT:High Electron Mobility Transistor)を製造することの効果について確認した。
(本発明例4)
本発明例4では、実施の形態2におけるショットキーバリアダイオードの製造方法にしたがって、図7に示すHEMTを製造した。なお、図7は、本発明例4のHEMTを示す概略断面図である。
具体的には、準備工程(S10)では、基板111としてn型の2インチのサファイア基板を準備した。また、種基板のc面をIII−V族化合物半導体を成長させる面とした。
次に、成長工程(S20)では、本発明例1と同様に、温度が1050℃、圧力が100Torr、水素雰囲気中で、種基板のクリーニングを実施した。その後、本発明例1と同様に、500℃まで降温し、100Torrで、V族元素を含む原料とIII族元素を含む原料との比(V/III)が1600の条件で、厚みが30nmのGaN層をバッファ層112として有機金属気相成長法によって成長させた。
その後、1050℃に昇温後、200Torrで、V族元素を含む原料とIII族元素を含む原料との比(V/III)が1250の条件で、厚みが30nmのアンドープGaN層113を有機金属気相成長法によって成長させた。なお、このアンドープGaN層113のキャリア濃度は高抵抗のため測定不可であり、Si濃度は、5×1015cm-3であった。
その後、さらに、100Torrで、V族元素を含む原料とIII族元素を含む原料との比(V/III)が1600の条件で、厚みが30nmで、Alの組成が0.25のアンドープAlGaN層114を有機金属気相成長法によって成長させた。なお、このアンドープAlGaN層114のn型のキャリア濃度は、1×1016cm-3以下であった。
バッファ層112、アンドープGaN層113、およびアンドープAlGaN層114を成長させる際に用いたIII族元素を含む原料、V族元素を含む原料、およびキャリアガスは、本発明例1と同様とした。
次に、ソース電極115およびドレイン電極117として、Ti、Al、TiおよびAuの積層構造を、アンドープAlGaN層114上に形成した。次に、ゲート電極116としてAuおよびNiの積層構造を、アンドープAlGaN層114上に形成した。以上の工程を実施することによって、本発明例4におけるHEMT110を製造した。
(比較例4)
比較例4におけるHEMTの製造方法は、基本的には本発明例4におけるHEMTの製造方法と同様の構成を備えているが、成長工程(S20)において比較例1のIII−V族化合物半導体の製造方法で用いたIII族元素を含む原料(シリコンを0.02ppm含むTMG)、V族元素を含む原料、およびキャリアガスを用いた点においてのみ異なる。
なお、比較例4におけるHEMTのアンドープGaN層113のキャリア濃度は高抵抗のため測定不可であり、Si濃度は5×1016cm-3であり、アンドープAlGaN層114のn型のキャリア濃度は、1×1016cm-3であった。
(測定方法)
本発明例4および比較例4におけるHEMTについて、実施例3と同様に、逆方向に電圧を印加したときの、電流と電圧との特性を測定することにより、バッファ層112の耐圧と順方向抵抗を測定した。その結果を表3に示す。
Figure 2010028147
(測定結果)
表3に示すように、本発明例4におけるHEMTは、アンドープGaN層113のSi濃度が低かったため、比較例4と比較して、バッファ層112の耐圧が高く、順方向抵抗が低かった。なお、本発明例4および比較例4におけるHEMTは、アンドープGaN層113のキャリア濃度を非常に低く形成するために、格子欠陥や他の不純物を導入してn型キャリア濃度を補償した。本発明例4では、高純度TMGを用いたので、アンドープGaN層113のSi濃度が低いため、n型キャリアを補償するために導入する欠陥や不純物濃度を下げることができた。そのため、電子移動度を上げることができ、順方向抵抗を下げることができた。
以上より、実施例4によれば、アンドープGaN層のキャリア濃度を低く抑えることができたので、バッファ層耐圧を高め、順方向の抵抗を低減したHEMTを製造できることを確認した。
実施例5では、本発明によるIII族元素を含む原料として0.01ppm以下のシリコンと、10ppm以下の酸素と、0.04ppm未満のゲルマニウムとを含む有機金属を用いて、縦型トランジスタを製造することの効果について確認した。
(本発明例5)
本発明例5では、実施の形態2におけるショットキーバリアダイオードの製造方法にしたがって、図8に示す縦型トランジスタを製造した。なお、図8は、本発明例5の縦型トランジスタを示す概略断面図である。
具体的には、準備工程(S10)では、n型の2インチのGaN基板121を準備した。また、種基板のc面をIII−V族化合物半導体を成長させる面とした。
次に、成長工程(S20)では、まず、n型不純物を含む他の原料としてH2を希釈した20ppmのモノシランガスを、本発明例1で用いたIII族元素を含む原料、V族元素を含む原料、およびキャリアガスとともに用いて、n型不純物としてSiを導入したドリフト層123を形成した。ドリフト層123のn型のキャリア濃度は、1×1016cm-3であった。
次に、フォトリソグラフィによりレジストパターンを形成後、イオン注入によりドリフト層123の所定の領域に導電性不純物としてのMgをウエル領域124に、Siをソース領域125に注入することにより、ウエル領域124およびソース領域125を形成した。次に、絶縁膜126となるべきSiO2からなる膜を形成する工程を実施した。次に、ゲート電極128としてAuおよびNiの積層構造を、膜上に形成した。このAuおよびNiの積層構造の上に、フォトリソグラフィによりレジストパターンを形成した。このレジストパターンをマスクとして用いて、AuおよびNiの積層構造と膜とをエッチングにより部分的に除去することにより、ゲート電極128および絶縁膜126を形成した。次に、ソース電極127として、Ti、Al、TiおよびAuの積層構造を、ソース領域125上に形成した。次に、ドレイン電極129として、Ti、Al、TiおよびAuの積層構造を、基板121のバッファ層122が形成される面と反対の面上に形成した。以上の工程を実施することによって、本発明例5における縦型トランジスタ120を製造した。
(比較例5)
比較例5における縦型トランジスタの製造方法は、基本的には本発明例5における縦型トランジスタの製造方法と同様の構成を備えているが、成長工程(S20)において比較例1で用いたIII族元素を含む原料(III−V族化合物半導体の製造方法で用いたシリコンを0.02ppm含むTMG)、V族元素を含む原料、およびキャリアガスを用いた点においてのみ異なる。
なお、比較例5における縦型トランジスタのドリフト層123のキャリア濃度、5×1016cm-3であった。
(測定方法)
本発明例5および比較例5における縦型トランジスタについて、実施例3と同様に、逆方向に電圧を印加したときの、電流と電圧との特性を測定することにより、耐圧を測定した。その結果を表4に示す。
Figure 2010028147
(測定結果)
表4に示すように、本発明例5における縦型トランジスタは、アンドープGaN層113のキャリア濃度が低かったため、比較例5と比較して、耐圧が高かった。
以上より、実施例5によれば、ドリフト層123のキャリア濃度を低く抑えることができたので、耐圧を高めた縦型トランジスタを製造できることを確認した。
実施例6では、本発明によるIII族元素を含む原料として0.01ppm以下のシリコンと、10ppm以下の酸素と、0.04ppm未満のゲルマニウムとを含む有機金属を用いて、LEDを製造することの効果について確認した。
(本発明例6)
本発明例6では、実施の形態3における発光ダイオードの製造方法にしたがって、図3に示す発光ダイオードを製造した。
具体的には、準備工程(S10)では、n型の2インチのGaN基板を準備した。また、種基板のc面をIII−V族化合物半導体を成長させる面とした。
次に、成長工程(S20)では、1150℃、750Torrで、V族元素を含む原料とIII族元素を含む原料との比(V/III)が1100の条件で、2μmのGaN層をn型バッファ層202として有機金属気相成長法によって成長させた。III族元素を含む原料、およびV族元素を含む原料として本発明例1と同様のものを用い、キャリアガスとして本発明例1と同様の水素および窒素を用い、n型不純物を含む他の原料として、モノメチルシランを用いた。なお、n型バッファ層202のn型のキャリア濃度は3×1018cm-3であった。
そして、活性層203として、780℃で、750Torrで、V族元素を含む原料とIII族元素を含む原料との比(V/III)が16000の条件で、3nmのIn0.14Ga0.86Nと15nmのGaNとがそれぞれ6層積層された多重量子井戸構造を有機金属気相成長法によって形成した。なお、III族元素を含む原料、およびV族元素を含む原料は本発明例1と同様のものを用い、Inの原料としてはシリコンが0.01ppm以下のトリメチルインジウムを、キャリアガスとしては窒素を用いた。
そして、p型電子ブロック層204として、1050℃で、750Torrで、V族元素を含む原料とIII族元素を含む原料との比(V/III)が7200の条件で、厚みが20nmのp型Al0.18Ga0.82Nを有機金属気相成長法によって成長させた。なお、III族元素を含む原料、およびV族元素を含む原料は、本発明例1と同様のものを用い、Alの原料としてはシリコンが0.01ppm以下のトリメチルアルミニウムを、p型不純物を含む他の原料としてはビスシクロペンタジエニルマグネシウムを、キャリアガスとしては窒素および水素を用いた。このp型電子ブロック層204のp型のキャリア濃度は7×1017cm-3であった。
そして、p型コンタクト層205として、1100℃で、750Torrで、V族元素を含む原料とIII族元素を含む原料との比(V/III)が1600の条件で、厚みが50nmのp型GaNを有機金属気相成長法によって成長させた。なお、III族元素を含む原料、およびV族元素を含む原料は、本発明例1と同様のものを用い、p型不純物を含む他の原料としてはビスシクロペンタジエニルマグネシウムを、キャリアガスとしては窒素および水素を用いた。このp型コンタクト層205のp型のキャリア濃度は1×1018cm-3であった。
次に、熱処理を行なって、TiとAlとが積層されたn型電極207を基板201のn型バッファ層202が形成された面と反対側の面上に形成した。そして、NiとAuとが積層されたp型電極206をp型コンタクト層205上に形成した。これにより、図3に示す本発明例6における青色発光ダイオード200を形成した。
(比較例6)
比較例6における発光ダイオードの製造方法は、基本的には本発明例6における発光ダイオードの製造方法と同様の構成を備えているが、成長工程(S20)において比較例1で用いたIII族元素を含む原料(III−V族化合物半導体の製造方法で用いたシリコンを0.02ppm含むTMG)、V族元素を含む原料、およびキャリアガスを用いた点においてのみ異なる。
なお、比較例6におけるp型電子ブロック層のp型のキャリア濃度は3×1017cm-3であり、p型コンタクト層205のp型キャリア濃度は7×1017cm-3であった。
(測定方法)
本発明例6および比較例6における発光ダイオードについて、p型電極およびn型電極に通電して、光出力を評価した。
(評価結果)
本発明例6および比較例6の発光ダイオードは、460nmで発光した。その時の光出力は、本発明例6のLEDは比較例6のLEDよりも10%高かった。
以上より、実施例6によれば、p型のIII−V族化合物半導体中のSi濃度を減少できたので、p型のキャリア濃度を向上できたため、発光効率を向上した発光ダイオードを製造できることを確認した。
実施例7では、本発明によるIII族元素を含む原料として0.01ppm以下のシリコンを含む有機金属を用いて、レーザダイオードを製造することの効果について確認した。
(本発明例7)
本発明例7では、実施の形態4におけるレーザダイオードの製造方法にしたがって、図4に示すレーザダイオードを製造した。
具体的には、準備工程(S10)では、n型の2インチのGaN基板を準備した。また、種基板のc面をIII−V族化合物半導体を成長させる面とした。
次に、成長工程(S20)では、まず、1150℃、760Torrで、V族元素を含む原料とIII族元素を含む原料との比(V/III)が5100の条件で、厚みが2.3μmのn型AlGaN層をn型クラッド層302として有機金属気相成長法によって成長させた。III族元素を含む原料、およびV族元素を含む原料は本発明例1と同様のものを用い、Alの原料として0.01ppm以下のシリコンを含むトリメチルアルミニウムを用い、キャリアガスとして水素および窒素を用い、n型不純物を含む他の原料として、モノメチルシランを用いた。なお、n型クラッド層302のn型のキャリア濃度は2×1018cm-3であった。
そして、アンドープガイド層303として、800℃で、760Torrで、V族元素を含む原料とIII族元素を含む原料との比(V/III)が22000の条件で、厚みが50nmのIn0.02Ga0.98Nを有機金属気相成長法によって成長させた。III族元素を含む原料、およびV族元素を含む原料は本発明例1と同様のものを用い、Inの原料として0.01ppm以下のシリコンを含むトリメチルインジウムを用い、キャリアガスとして窒素を用いた。なお、アンドープガイド層303のn型のキャリア濃度は1×1016cm-3であった。
そして、活性層304として、800℃で、760Torrで、V族元素を含む原料とIII族元素を含む原料との比(V/III)が13000の条件で、3nmのIn0.08Ga0.92Nと15nmのIn0.01Ga0.99Nとがそれぞれ3層積層された多重量子井戸構造を有機金属気相成長法によって形成した。なお、III族元素を含む原料、およびV族元素を含む原料は本発明例1と同様のものを用い、Inの原料としてはシリコンが0.01ppm以下のトリメチルインジウムを、キャリアガスとしては窒素を用いた。
そして、アンドープガイド層305として、1100℃で、760Torrで、V族元素を含む原料とIII族元素を含む原料との比(V/III)が2300の条件で、厚みが0.1μmのGaNを有機金属気相成長法によって成長させた。III族元素を含む原料、およびV族元素を含む原料は本発明例1と同様のものを用い、キャリアガスとして水素および窒素を用いた。なお、アンドープガイド層305のn型のキャリア濃度は1×1016cm-3であった。
そして、p型電子ブロック層306として、1100℃で、760Torrで、V族元素を含む原料とIII族元素を含む原料との比(V/III)が10000の条件で、厚みが20nmのp型Al0.18Ga0.82Nを有機金属気相成長法によって成長させた。なお、III族元素を含む原料、およびV族元素を含む原料は本発明例1と同様のものを用い、Alの原料としてはシリコンが0.01ppm以下のトリメチルアルミニウムを、p型不純物を含む他の原料としてはビスシクロペンタジエニルマグネシウムを、キャリアガスとしては窒素および水素を用いた。このp型電子ブロック層306のp型のキャリア濃度は5×1017cm-3であった。
そして、p型クラッド層307として、1100℃で、760Torrで、V族元素を含む原料とIII族元素を含む原料との比(V/III)が10000の条件で、厚みが0.4μmのp型Al0.07Ga0.93Nを有機金属気相成長法によって成長させた。なお、III族元素を含む原料、およびV族元素を含む原料は本発明例1と同様のものを用い、Alの原料としてはシリコンが0.01ppm以下のトリメチルアルミニウムを、p型不純物を含む他の原料としてはビスシクロペンタジエニルマグネシウムを、キャリアガスとしては窒素および水素を用いた。このp型クラッド層307のp型のキャリア濃度は7×1017cm-3であった。
そして、p型コンタクト層308として、1100℃で、760Torrで、V族元素を含む原料とIII族元素を含む原料との比(V/III)が3300の条件で、厚みが50nmのp型GaNを有機金属気相成長法によって成長させた。なお、III族元素を含む原料、およびV族元素を含む原料は本発明例1と同様のTMGを、p型不純物を含む他の原料としてはビスシクロペンタジエニルマグネシウムを、キャリアガスとしては窒素および水素を用いた。このp型コンタクト層308のp型のキャリア濃度は1×1018cm-3であった。
次に、熱処理を行なって、基板301のn型クラッド層302が形成された面と反対の面を研磨にて減厚した。さらに、TiとAlとが積層されたn型電極310を基板301のn型クラッド層302が形成された面と反対側の面上に形成した。そして、NiとAuとが積層されたp型電極309をp型コンタクト層308上に形成した。p型電極309は、幅が10μmのストライプに加工した。その後、劈開により共振器長が800μmのバーを作製した。これにより、図4に示す本発明例7における青紫色レーザダイオード300を形成した。
(比較例7)
比較例7におけるレーザダイオードの製造方法は、基本的には本発明例7におけるレーザダイオードの製造方法と同様の構成を備えているが、成長工程(S20)において比較例1で用いたIII族元素を含む原料(III−V族化合物半導体の製造方法で用いたシリコンを0.02ppm含むTMG)、V族元素を含む原料、およびキャリアガスを用いた点においてのみ異なる。
なお、比較例7における活性層上に形成されたアンドープガイド層のn型のキャリア濃度は5×1016cm-3であり、p型電子ブロック層のp型のキャリア濃度は3×1017cm-3であり、p型クラッド層307のp型のキャリア濃度は5×1017cm-3であり、p型コンタクト層205のp型キャリア濃度は5×1017cm-3であった。
(測定方法)
本発明例7および比較例7におけるレーザダイオードについて、p型電極およびn型電極に通電して、光出力を評価した。
(評価結果)
本発明例7のレーザダイオードは、比較例7と比較して、閾値電流が10%低く、レーザ発振後の電流に対する出力の増加率であるスロープ効率が10%高かった。
以上より、実施例7によれば、p型のIII−V族化合物半導体中のSi濃度を減少できたので、p型のキャリア濃度を向上できたため、発光効率を向上したレーザダイオードを製造できることを確認した。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
100 ショットキーバリアダイオード、101,111,121,201,301 基板、102 ドリフト層、103 アノード電極、104 カソード電極、110 HEMT、112 バッファ層、113 アンドープGaN層、114 アンドープAlGaN層、115,127 ソース電極、116,128 ゲート電極、117,129 ドレイン電極、120 縦型トランジスタ、123 ドリフト層、124 ウエル領域、125 ソース領域、126 絶縁膜、200 発光ダイオード、202 n型バッファ層、203,304 活性層、204,306 p型電子ブロック層、205,308 p型コンタクト層、206,309 p型電極、207,310 n型電極、300 レーザダイオード、302 n型クラッド層、303,305 アンドープガイド層、307 p型クラッド層。

Claims (16)

  1. III族元素を含む原料を用いた有機金属気相成長法によってIII−V族化合物半導体を製造する方法であって、
    種基板を準備する準備工程と、
    前記III族元素を含む原料として0.01ppm以下のシリコンと、10ppm以下の酸素と、0.04ppm未満のゲルマニウムとを含む有機金属を用いて、前記種基板上に前記III−V族化合物半導体を成長させる成長工程とを備える、III−V族化合物半導体の製造方法。
  2. 前記有機金属は、トリメチルガリウム、トリエチルガリウム、トリメチルアルミニウム、およびトリメチルインジウムからなる群より選ばれた少なくとも一種の物質である、請求項1に記載のIII−V族化合物半導体の製造方法。
  3. 前記成長工程では、前記III−V族化合物半導体としてAlxGayIn(1-x-y)N(0≦x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)を成長させる、請求項1または2に記載のIII−V族化合物半導体の製造方法。
  4. 前記成長工程では、前記III−V族化合物半導体として窒化ガリウムを成長させる、請求項1または2に記載のIII−V族化合物半導体の製造方法。
  5. 前記成長工程では、n型不純物を含む他の原料を前記有機金属とともに用いることにより、n型のキャリア濃度が5×1016cm-3以下になるように、前記III−V族化合物半導体を成長させる、請求項1〜4のいずれかに記載のIII−V族化合物半導体の製造方法。
  6. 前記n型不純物は、シリコン、ゲルマニウム、および酸素の少なくとも1つの元素を含む、請求項5に記載のIII−V族化合物半導体の製造方法。
  7. 前記n型不純物を含む他の原料は、モノシラン、ジシラン、モノメチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、テトラメチルシラン、トリエチルシラン、テトラエチルシラン、モノゲルマン、モノメチルゲルマニウム、テトラメチルゲルマニウム、テトラエチルゲルマニウム、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素、および水からなる群より選ばれた少なくとも一種の物質である、請求項5に記載のIII−V族化合物半導体の製造方法。
  8. 前記成長工程では、p型不純物を含む他の原料を前記有機金属とともに用いることにより、p型の前記III−V族化合物半導体を成長させる、請求項1〜4のいずれかに記載のIII−V族化合物半導体の製造方法。
  9. 前記p型不純物を含む他の原料は、0.01ppm以下のシリコンを含むビスシクロペンタジエニルマグネシウムおよびビスエチルペンタジエニルマグネシウムの少なくとも一方を含む、請求項8に記載のIII−V族化合物半導体の製造方法。
  10. 請求項5に記載のIII−V族化合物半導体の製造方法を備えたショットキーバリアダイオードの製造方法であって、
    前記準備工程では、種基板としてn型窒化ガリウム基板を準備し、
    前記成長工程では、前記III−V族化合物半導体としてn型窒化ガリウムを成長させる、ショットキーバリアダイオードの製造方法。
  11. 請求項10に記載のショットキーバリアダイオードの製造方法により製造されるショットキーバリアダイオードであって、
    前記n型窒化ガリウム基板と、
    前記n型窒化ガリウム基板上に形成されたn型窒化ガリウムからなる層とを備える、ショットキーバリアダイオード。
  12. 前記n型窒化ガリウムからなる層のキャリア濃度は、5×1015cm-3以上5×1016cm-3以下である、請求項11に記載のショットキーバリアダイオード。
  13. 請求項8または9に記載のIII−V族化合物半導体の製造方法を備えた発光ダイオードの製造方法であって、
    前記準備工程では、種基板としてn型窒化ガリウム基板を準備し、
    前記成長工程では、前記III−V族化合物半導体としてp型AlxGayIn(1-x-y)N(0≦x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)を成長させる、発光ダイオードの製造方法。
  14. 請求項13に記載の発光ダイオードの製造方法により製造された発光ダイオードであって、
    前記n型窒化ガリウム基板と、
    前記n型窒化ガリウム基板上に形成されたp型AlxGayIn(1-x-y)N(0≦x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)からなる層とを備える、発光ダイオード。
  15. 請求項8または9に記載のIII−V族化合物半導体の製造方法を備えたレーザダイオードの製造方法であって、
    前記準備工程では、種基板としてn型窒化ガリウム基板を準備し、
    前記成長工程では、前記III−V族化合物半導体としてp型AlxGayIn(1-x-y)N(0≦x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)を成長させる、レーザダイオードの製造方法。
  16. 請求項15に記載のレーザダイオードの製造方法により製造されたレーザダイオードであって、
    前記n型窒化ガリウム基板と、
    前記n型窒化ガリウム基板上に形成されたp型AlxGayIn(1-x-y)N(0≦x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)からなる層とを備える、レーザダイオード。
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