JP2010027458A - 二次電池用正極材料およびその製造方法 - Google Patents

二次電池用正極材料およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】メカノケミカル反応を利用し、正極活物質粒子の結晶構造を破壊することなく比表面積の大きい導電材で正極活物質粒子が被覆された導電性の高い正極材料およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明により提供される二次電池用正極の構成要素として使用される正極材料は、二次電池の正極活物質から実質的に構成される正極活物質粒子を有しており、正極活物質粒子の表面には比表面積が100m/g以下のカーボンブラックから構成される第一カーボン層が形成されており、且つ、第一カーボン層の表面には第一カーボン層を構成するカーボンブラックの比表面積よりも大きい比表面積を有するカーボンブラックから構成される第二カーボン層が形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、二次電池用の正極の構成要素として用いられる正極材料およびその製造方法に関する。また、該正極材料を含む二次電池に関する。
近年、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池その他の二次電池は、車両搭載用電源、あるいはパソコンおよび携帯端末の電源として重要性が高まっている。特に、軽量で高エネルギー密度が得られるリチウムイオン電池は、車両搭載用高出力電源として好ましく用いられるものとして期待されている。
この種のリチウムイオン電池の一つの典型的な構成では、リチウムイオンを可逆的に吸蔵および放出し得る電極活物質が電極集電体の上に形成された構成の電極を備える。正極に用いられる電極活物質(正極活物質)の代表例としては、リチウムと一種または二種以上の遷移金属元素とを主構成金属元素として含むリチウム遷移金属複合酸化物が挙げられる。このような正極活物質は、典型的には粉末状の形態に形成される。通常、上記活物質は導電性が低いことから、高導電性材料の粉末(導電材)を混合して該活物質を主成分とする正極合材を調製し、該合材を正極集電体に保持した構成の正極構造とすることで導電性の向上を図っている。
かかる導電材としては、種々のカーボンブラック、例えばアセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、グラファイト、および活性炭等の導電性粉末が知られている。この種の導電性の向上に関する従来技術文献として特許文献1および2が挙げられる。
特許文献1に記載の技術では、正極活物質に導電材としての活性炭粉末を添加した配合物を正極集電体に保持させることにより電気容量を向上させている。また、特許文献2に記載の技術では、圧縮剪断応力を加えることにより正極活物質としての金属酸化物の粉体と粉状の炭素材料とを配合して、比表面積の大きな導電材を被覆する技術が開示されている。
特開2006−128049号公報 特開平9−92265号公報
導電材を粉砕する(例えば剪断力、ずり応力、摩擦力、圧縮などの機械的エネルギーを導電材に付加する)ことによって行うメカノケミカル反応は、導電材を正極活物質粒子の表面に極めて薄く被覆することができる利点があるが、一方で、かかる粉砕によって正極活物質粒子(典型的には結晶構造)までもが微粉化され、破壊される虞がある。
また、正極活物質粒子の表面を被覆する導電材としては、比表面積が大きいものほど少量の添加で薄膜形成が可能であることから好適であるが、かかる導電材を正極活物質粒子の表面に薄く被覆させるためには、より高い機械的エネルギーがメカノケミカル反応で必要とされる。その結果、かかる反応によって正極活物質粒子にも高エネルギーが負荷されて結晶構造が破壊され、電池の充放電サイクル特性の低下をもたらす虞がある。
そこで、メカノケミカル反応を利用し、如何にして比表面積の大きい導電材を正極活物質粒子の結晶構造を破壊することなく被覆するかが課題として挙げられる。
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、比表面積の大きいカーボンブラックで正極活物質粒子を被覆させることによって導電性を向上させた正極材料およびその製造方法を提供することである。また、このような正極材料を用いてなる二次電池を製造する方法の提供を他の目的とする。
本発明によると、二次電池用正極の構成要素として使用される正極材料が提供される。その正極材料は、前記二次電池の正極活物質から実質的に構成される正極活物質粒子を有しており、前記正極活物質粒子の表面には比表面積が100m/g以下のカーボンブラックから構成される第一カーボン層が形成されており、且つ、前記第一カーボン層の表面には該第一カーボン層を構成するカーボンブラックの比表面積よりも大きい比表面積を有するカーボンブラックから構成される第二カーボン層が形成されている。
なお、本明細書において「二次電池」とは、繰り返し充電可能な蓄電デバイス一般をいい、リチウム二次電池(典型的にはリチウムイオン電池)、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池等のいわゆる蓄電池ならびに電気二重層キャパシタ等の蓄電素子を包含する用語である。
また、「電極活物質」とは、二次電池において電荷担体となる化学種(例えば、リチウムイオン電池ではリチウムイオン)を可逆的に吸蔵および放出(典型的には挿入および脱離)可能な物質をいう。
本発明によって提供される上記正極材料では、正極活物質から実質的に構成される正極活物質粒子の表面には、正極活物質粒子よりも高い導電性を示すカーボン層が形成されているため、電荷担体となる化学種が活物質粒子と外部との間を抵抗なく通過することができる。
また、本発明によって提供される正極材料の最外層は、比表面積の大きいカーボンブラックから構成される第二カーボン層が形成されているため、電荷移動、即ち可逆的な吸蔵および放出が高効率で行われる。これにより、導電効率の高い2つのカーボン層によって被覆されていることによる効果(導電性を向上させる効果)をさらに発揮することができる。このような正極材料を含む正極合材を正極集電体に保持させた正極では、電荷移動が高効率で行われ、該集電体との導電性(導電パス)が向上する。これにより、該正極材料は、導電性の高い二次電池用正極を構成するものとなり得る。
本発明によって提供される正極材料の好ましい一態様では、前記第一カーボン層および前記第二カーボン層は、それぞれメカノケミカル反応により前記正極活物質粒子および第一カーボン層の表面に形成されたものである。
活物質粒子の表面を被覆する第一カーボン層、および第一カーボン層上を被覆する第二カーボン層は、いずれもメカノケミカル反応を利用して形成されている。カーボンブラックを粉砕して行う(例えば剪断力、ずり応力、摩擦力、圧縮などの機械的エネルギーをカーボンブラックに付加する)メカノケミカル反応を利用することによって、理想的な薄層のカーボン層を形成することができる。ここで、本発明においては上述の従来技術とは異なり、予め第一カーボン層によって正極活物質粒子が被覆されている。このため、比表面積が大きいカーボンブラックで直接正極活物質を被覆するよりも、メカノケミカル反応のエネルギーによる正極活物質粒子が受けるダメージ(典型的には結晶構造の破壊)が抑えられる。従って、上記構成の本発明に係る正極材料によると、放電サイクル特性に優れた導電性の高い二次電池用正極を構成することができる。
ここに開示される技術は、リチウムイオン電池用正極の構成要素として使用される正極材料およびその製造に好ましく適用され得る。例えば、正極合材が正極集電体に保持された構成のリチウムイオン電池用正極において、該正極合材の主成分として用いられる正極材料およびその製造方法として好適である。この場合において、上記正極活物質粒子は、リチウム遷移金属複合酸化物(リチウムおよび遷移金属を構成金属元素として含む酸化物)である。該リチウム遷移金属複合酸化物は、リチウムニッケル系複合酸化物、リチウムコバルト系複合酸化物およびリチウムマンガン系複合酸化物からなる群から選択される一種または二種以上であることが好ましい。
また好ましい一態様では、上記第一カーボン層を構成するカーボンブラックは、100m/g以下の比表面積を有するアセチレンブラックである。また好ましい他の一態様では、上記第二カーボン層を構成するカーボンブラックはケッチェンブラックである。かかるカーボンブラックを用いることにより、導電性を向上させる効果をさらに発揮することができる。従って、このような正極材料は、より導電性の高い二次電池用正極を構成するものとなり得る。
上記正極材料を用いて構成された二次電池用正極(例えば、該正極材料を主成分とする正極合材を正極集電体に保持してなる正極)は、活物質粒子と外部との間の電荷移動をより素早く行い得ることから、導電性の高いものとなり得る。このことは、該正極を用いて構築される二次電池の内部抵抗低減、高出力特性の向上等の観点から有利である。かかる特性を有する二次電池は、例えば車両(ハイブリッド自動車等)の動力源として好適に利用され得る。従って本発明は、他の側面として、ここに開示されるいずれかの正極材料を用いてなる二次電池用正極、該正極を用いて構築された二次電池を提供することができる。
また、本発明は、二次電池用正極の構成要素として使用される正極材料を製造する方法を提供する。即ち、本発明によって提供される二次電池用正極材料の製造方法は、前記二次電池の正極活物質から実質的に構成される正極活物質粒子を用意する工程;前記正極活物質粒子の表面の一部あるいは全部に比表面積が100m/g以下のカーボンブラックから構成される第一カーボン層を形成する工程;および、前記第一カーボン層の表面の一部あるいは全部に該第一カーボン層を構成するカーボンブラックの比表面積よりも大きい比表面積を有するカーボンブラックから構成される第二カーボン層を形成する工程を包含する。また、他の好ましい一態様では、前記第一カーボン層および前記第二カーボン層を形成する工程では、それぞれメカノケミカル反応により前記正極活物質粒子および第一カーボン層の表面に形成する。
かかる製造方法によると、従来の同種の製法とは異なり、メカノケミカル反応を利用し、正極材料の最外層に比表面積の大きな導電材としてのカーボンブラックを活物質粒子の結晶構造を破壊することなく好適に形成することができる。これにより放電サイクル特性の優れた二次電池を好適に製造し得る。なお、上記製造方法は、ここに開示されるいずれかの正極材料を製造する方法として好ましく用いられ得る。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
ここに開示される二次電池用正極の構成要素として使用される正極材料は、正極活物質から実質的に構成される正極活物質粒子の表面に、導電材としてのカーボンブラックから構成される第一および第二のカーボン層が形成されていることで特徴づけられる発明である。かかる正極活物質粒子は、電荷担体となる化学種を吸蔵および放出可能な物質が用いられ、典型的には金属等を焼成することによって得られる遷移金属複合酸化物である。そのため導電性は低い。そこで、カーボンブラックのような高導電性を有する材料を導電材として活物質粒子の表面を被覆させることによって、化学種が活物質粒子と外部との間を効率よく抵抗なく通過することができるように構成されている。
また、かかる正極活物質粒子を被覆するカーボン層としては、比表面積がそれぞれ異なるカーボンブラックによる2層のカーボン層が形成されている。先ず、該活物質粒子の表面には、比表面積が100m/g以下のカーボンブラックから構成される第一カーボン層が形成されている。そして、該第一カーボン層の表面には、第一カーボン層を構成するカーボンブラックの比表面積よりも大きい比表面積を有するカーボンブラックから構成される第二カーボン層が形成されている。即ち、正極活物質粒子を被覆する2層のカーボン層のうち、正極材料の最外層を構成する第二カーボン層の方が、正極活物質粒子の表面を被覆する第一カーボン層よりも、比表面積が大きいカーボンブラックにより構成されていることになる。このような比表面積の大きいカーボンブラックから構成される第二カーボン層が正極材料の最外層を形成しているため、該正極材料を含む正極合材を正極集電体に保持させた正極では、電荷移動が高効率で行われ、該集電体との導電性(導電パス)が向上されている。
ここに開示される正極材料における上記導電材としては、種々のカーボンブラックを用いることが可能である。例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、バルカン(Vulcan;登録商標)XC72R、およびグラファイト等のような導電性粉末が代表例として挙げられる。
カーボンブラックはオイルや天然ガスなどの炭化水素を原料として、熱分解法や不完全燃焼によって製造される。かかる製造方法の違いにより、粒子径、多孔度、吸油量、および比表面積等、生産されるカーボンブラックの諸物性は様々に異なり得る。しかし、いずれも個々の球状の粒子が融着して複雑な構造(ストラクチャー)を形成している。従って、正極活物質粒子の表面に薄い理想的なカーボン層を被覆するには、ストラクチャーを小さくして炭素粒子を分散させる必要がある。それには、後述する粉砕(混練、混合等)により行うことが可能である。
第一カーボン層を構成するカーボンブラックとしては、比表面積が100m/g以下(例えば、好ましくは80m/g以下、より好ましくは70m/g以下)の比表面積を有するカーボンブラックを好適に用いることができる。換言すると、比表面積が比較的小さいカーボンブラックが第一カーボン層を構成するカーボンブラックとして好ましい。そのようなカーボンブラックの代表例として、アセチレンブラックが挙げられる。かかる材料を限定するものではないが、例えば、比表面積が凡そ60〜80m/gのアセチレンブラックが好ましい。
比表面積の小さいカーボンブラック(アセチレンブラック)は一般的にストラクチャーが大きく分散性が良いため粉砕され易い。そのため、後述するメカノケミカル反応では正極活物質粒子の結晶構造を破壊することなく、正極活物質粒子の表面に薄い層を形成することができる。
また、第二カーボン層を構成するカーボンブラックとしては、上記第一カーボン層を構成するカーボンブラックの比表面積よりも、概ね2倍以上、好ましくは概ね10倍以上の比表面積を有するカーボンブラックが好ましく用いられる。例えば、該カーボンブラックの比表面積は、好ましくは150m/g以上、より好ましくは700m/g以上、特に好ましくは1000m/g以上であり得る。
このような第二カーボン層を構成するカーボンブラックとしてケッチェンブラックが挙げられる。ケッチェンブラックの粒子は、他のカーボンブラックと異なり、中空シェル状の構造(高多孔質構造)をとっており、比表面積が大きく少量の添加で高い導電性能を付与することができる。例えば、比表面積が1270m/gのケッチェンブラックEC600JD(ライオン社製)、800m/gのケッチェンブラックEC300J(ライオン社製)等が好ましい。
また、第二カーボン層を構成するカーボンブラックとしては、比表面積が214m/gのバルカンXC−72(キャボット社製)等を好適に用いることができる。さらに、アセチレンブラックであっても、第一カーボン層を構成するアセチレンブラックの比表面積よりも大きい比表面積を有するアセチレンブラックであれば好ましい導電材となり得る。
上記第一カーボン層および第二カーボン層は、それぞれメカノケミカル反応を利用して正極活物質粒子および第一カーボン層の表面に形成されている。
ここで、メカノケミカル反応とは、物質に機械的エネルギーを与えることで物質の物理化学的性質の変化、および周囲の物質との反応を生じさせる現象を利用した反応である。例えば、剪断力、ずり応力、摩擦、圧縮等をはじめとする大きな機械的エネルギーを固体に加えると、固体の表面の結晶構造が変化し、あるいは固体の表面が活性化され物理化学的性質が変化して周囲との界面で化学反応を起こす。
本発明では、かかるメカノケミカル反応を利用して、正極活物質粒子の表面に極めて薄く導電材を被覆することを実現している。即ち、導電材であるカーボンブラックを粉砕して機械的エネルギーを付加することにより、カーボンブラックの粒子表面を活性化させ、これにより正極活物質粒子の表面にカーボンブラックが薄く被覆された正極材料を形成し得るというものである。
メカノケミカル反応を生じさせる装置としては、剪断力、ずり応力、摩擦、圧縮等の機械的エネルギーがカーボンブラックに付加されればよく、特に限定されない。例えば、遊星ボールミル、混練分散装置、粉体混合装置、および高速気流中衝撃法を用いたハイブリダイゼーションシステム等を好ましく用いることができる。ただし、これらは例示にすぎず、本発明の実施を限定するものではない。
遊星ボールミルは広義のボールミルの一種であり、数個のポットないし円筒状のミルが自転しつつ、その回転軸と平行な軸のまわりを大きく公転する構造を有する。ミルの複雑な運動に伴ってミル内のボールおよび材料も複雑な動きを示し、微粉砕から超粉砕まで行うことができる。
また、混練分散装置、例えばミラクルKCK(浅田鉄工株式会社製)は、固体状態で強い剪断力をかけて混練する装置である。固定円盤キャビティと回転円盤キャビティのスライスを利用した一軸連続式であり、材料の圧縮、剪断、置換を繰り返して、混練を行うことができる。
その他の好ましい装置として、粉体混合装置、例えばノビルタ(ホソカワミクロン社製)を用いることができる。かかる装置は、水平円筒状の混合容器内で攪拌翼が高速回転することにより、材料である粒子個々に衝撃、圧縮、剪断の力を均一に作用させることで粉体の混合を行うことができる。
またその他の好ましい装置としては、高速気流中衝撃法を用いたハイブリダイゼーションシステムを用いることができる。かかる装置は、材料が高速回転するローター、ステーターおよび循環回路の作用で装置内に分散されながら圧縮、摩擦、剪断力などの作用を受け、短時間で反応を行うことができる。
次に、上記装置を用いて、本発明にかかる正極材料を製造する手順について説明する。まず、正極活物質粒子の表面に第一カーボン層を形成する。第一カーボン層を構成するカーボンブラックとしては、上述のような比表面積100m/g以下のものが好ましい。正極活物質粒子にカーボンブラックを添加し、混合粉体を調製する。そして、上記装置に該混合粉体を投入し、装置を作動させて混合粉体を粉砕(混練、混合等を含む。以下同じ。)することによってメカノケミカル反応が生じ、正極活物質粒子の表面に第一カーボン層が形成される。なお、該第一カーボン層は、正極活物質粒子の実質的に全表面を被覆するように形成されてもよく、該表面の一部のみを被覆するように(表面の一部はカーボン層に覆われない状態で残るように)形成されてもよい。正極活物質粒子の表面のうち、一部に第一カーボン層が形成され、他の一部が露出した方が好ましい。かかる構成によると、正極活物質粒子への電荷移動(化学種の挿入および脱離)抵抗が小さく、カーボン層が形成されることによる導電性の向上効果をより発揮することができるためである。
次いで、上記第一カーボン層の表面に第二カーボン層を形成する。第二カーボン層を構成するカーボンブラックとしては、上述するような第一カーボン層の形成で用いたカーボンブラックよりも大きい比表面積を有するカーボンブラックが好ましい。本発明では、第一カーボン層が正極活物質粒子の表面に先に被覆されるため、比表面積の大きいカーボンブラックを用いてメカノケミカル反応を行っても、従来技術のような正極活物質粒子の結晶構造が破壊されることを防止する。これにより比表面積の大きいカーボン層を被覆することができる。
まず、第一カーボン層が正極活物質粒子に被覆した状態の上記混合粉体の中に、第二カーボン層を構成するカーボンブラックを添加する。そして、上記装置を作動させてメカノケミカル反応を生じさせ、第一カーボン層の表面に第二カーボン層が形成された正極材料を得ることができる。
第二カーボン層を形成するための該装置としては、第一カーボン層を形成するのに用いた装置と同じ装置でもよく、異なる装置でも構わない。同じ装置を用いる場合、上記混合粉体を装置から取り出すことなく第二カーボン層を構成するカーボンブラックを連続して添加することができるので、操作性の観点から好ましい。なお、該第二カーボン層は、第一カーボン層の実質的に全表面を被覆するように形成されてもよく、該表面の一部のみを被覆するように形成されてもよい。
ここに開示される正極材料における上記正極活物質粒子としては、該正極材料を用いて構成される二次電池の種類等に応じて正極活物質として機能し得る正極活物質粒子(典型的には、第一カーボン層を形成するカーボンブラックよりも導電性の低い正極活物質粒子)であればよく、特に限定されない。例えば、リチウムイオン電池の正極に用いられる正極材料では、該正極活物質粒子はリチウム遷移金属複合酸化物である正極活物質粒子が好ましい。かかるリチウム遷移金属複合酸化物の代表例として、リチウムニッケル系複合酸化物、リチウムコバルト系複合酸化物およびリチウムマンガン系複合酸化物が例示される。
ここで、リチウムニッケル系複合酸化物とは、リチウム(Li)とニッケル(Ni)とを構成金属元素とする酸化物のほか、リチウムおよびニッケル以外に他の少なくとも一種の金属元素(即ち、LiとNi以外の遷移金属元素および/または典型金属元素)を典型的にはニッケルよりも少ない割合(原子数換算。LiおよびNi以外の金属元素を二種以上含む場合にはそれらの合計量としてNiよりも少ない割合)で構成金属元素として含む酸化物をも包含する意味である。上記LiおよびNi以外の金属元素は、例えば、コバルト(Co),アルミニウム(Al),マンガン(Mn),クロム(Cr),鉄(Fe),バナジウム(V),マグネシウム(Mg),チタン(Ti),ジルコニウム(Zr),ニオブ(Nb),モリブデン(Mo),タングステン(W),銅(Cu),亜鉛(Zn),ガリウム(Ga),インジウム(In),スズ(Sn),ランタン(La)およびセリウム(Ce)からなる群から選択される一種または二種以上の金属元素であり得る。
同様に、ここでいうリチウムコバルト系複合酸化物とは、LiおよびCo以外に他の少なくとも一種の金属元素(例えば、Ni,Mn,Cr,Fe,V,Mg,Ti,Zr,Nb,Mo,W,Cu,Zn,Ga,In,Sn,LaおよびCeからなる群から選択される一種または二種以上の金属元素)を含む複合酸化物をも包含する意味であり、リチウムマンガン系複合酸化物とは、LiおよびMn以外に他の少なくとも一種の金属元素(例えば、Ni,Co,Cr,Fe,V,Mg,Ti,Zr,Nb,Mo,W,Cu,Zn,Ga,In,Sn,LaおよびCeからなる群から選択される一種または二種以上の金属元素)を含む複合酸化物をも包含する意味である。
上記リチウム遷移金属複合酸化物から実質的に構成される正極活物質粒子としては、例えば、従来公知の方法で調製、提供されるリチウム遷移金属複合酸化物粉末を使用することができる。例えば、原子組成に応じて適宜選択されるいくつかの原料化合物を所定のモル比で混合し、適当な手段で焼成することによって該酸化物を調製することができる。また、焼成物を適当な手段で粉砕、造粒することにより、所望する平均粒径によって実質的に構成されたリチウム遷移金属複合酸化物の粉末を得ることができる。
本発明に係る正極材料は、二次電池用正極に具備される正極合材層の構成成分(典型的には、該合材層の主成分)として好適である。かかる正極合材層は、正極材料と従来公知の結着剤や増粘剤などの各種添加剤とを含む正極合材を正極集電体に付与することにより形成され得る。
該正極合材には、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF−HFP)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等のポリマーから適宜選択される一種または二種以上のポリマー材料を、結着剤や増粘剤などの各種添加剤として好適に用いることができる。また、溶媒としては、例えば、水等の水系溶媒、あるいはN−メチル−2−ピロリドン(NMP)、メチルエチルケトン、トルエン等の非水系溶媒を好適に用いることができる。
また、上記正極合材は、正極材料に導電性が付加されているため、導電助材(典型的には導電材粉末)を含有しない組成であっても、良好な導電性を示す正極合材層を形成するものであり得る。あるいは、より良好な導電性を実現するために導電助材を含む組成物であってもよい。ここに開示される正極材料を含む正極合材によると、より少量の導電助材としてカーボンブラック等の炭素系粉末を配合することによって所望の導電性を実現することができる。このことは、電池の高容量化等の観点から有利である。
そして、正極合材を正極集電体に付与(典型的には塗布)する操作は、従来の一般的な二次電池用正極の作製と同様にして行うことができる。例えば、適当な塗布装置(スリットコーター、ダイコーター、コンマコーター等)を使用して、所定量の正極合材を正極集電体に塗布するとよい。該組成物の塗布量(集電体の単位面積当たりの塗布量)は特に限定されず、電極および電池の形状や用途に応じて適宜異なり得る。
さらに、二次電池を構成するその他の材料および部材自体は、従来の二次電池に備えられるものと同様でよく、特に制限はない。
例えば負極は、負極集電体(例えば銅箔)の上に負極活物質層が形成された構成であり得る。負極活物質層の形成に用いる負極活物質としては、従来から二次電池に用いられる物質の一種または二種以上を特に限定なく使用することができる。リチウムイオン電池の場合、その好適例としては、グラファイトカーボン、アモルファスカーボン等の炭素系材料、リチウム遷移金属酸化物、リチウム遷移金属窒化物等が挙げられる。
また、電解液は、従来から二次電池に用いられる非水電解液と同様のものを特に限定なく使用することができる。かかる非水電解液は、典型的には、適当な非水溶媒に支持塩を含有させた組成を有する。上記非水溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート等からなる群から選択された一種または二種以上を用いることができる。また、上記支持塩としては、例えばリチウムイオン電池の場合、LiPF、LiBF、LiAsF等のリチウム塩を用いることができる。
ここに開示される技術をリチウムイオン電池の正極に適用する場合を例として、上記正極材料を構成要素(正極合材の構成成分、典型的には主成分)として使用した二次電池用正極および該正極を備えた二次電池のいくつかの実施例を説明する。ただし、本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。
<実施例1>
本実施例では、以下のようにして2032型(径20mm,厚さ3.2mm)のコイン型リチウムイオン電池を製造した。
まず、リチウムイオン電池の構成要素として使用される本実施例に係る正極材料を作製した。正極活物質粒子としてのリチウム遷移金属複合酸化物LiNi0.8Al0.05Co0.15を40g用意し、導電材として比表面積78m/gのアセチレンブラック(商品名デンカブラック、電気化学工業社製)0.46gを正極活物質粒子に添加して混合粉体を調製した。この混合粉体を遊星ボールミル装置(フリッチュ社製)に投入した後、装置を作動させ1時間粉砕を行うことによって、正極活物質粒子の表面に第一カーボン層を形成させた。
そして、さらにこの中に比表面積800m/gのケッチェンブラック(商品名ケッチェンブラックEC300J、ライオン社製)0.92gを添加し、該装置を作動させて2時間の粉砕を行い、該第一カーボン層の表面に第二カーボン層が形成された本実施例に係る正極材料を得た。
得られた正極材料と、導電助材としてのアセチレンブラック3.22g、および結着材としてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)1.4gを、溶媒N−メチル−2−ピロリドン(NMP)54gに添加し、プラネタリミキサーを用いて分散させて混合して正極合材ペーストを調製した。次いで、調製したペーストを正極集電体であるアルミニウム箔に塗布およびプレスして溶媒を揮発させ、正極集電体の両面に正極合材層が設けられた正極シートを作製した。ペーストの塗布はコーターを用いて行い、正極合材ペーストのプレスはロールプレス機を用いて行った。
一方、負極活物質としてのグラファイトを、負極結着材としてのPVDFとともに適当な溶媒NMPに分散させ、負極合材ペーストを調製した。該ペーストを負極集電体である銅箔に塗布およびプレスして溶媒を揮発させ、負極集電体の両面に負極合材層が設けられた負極シートを作製した。なお、負極合材ペーストの塗布はコーターを用いて行い、負極合材ペーストのプレスはロールプレス機を用いて行った。
そして、多孔質ポリエチレン製の2枚のセパレータシートを介してこれらの正極シートおよび負極シートを積層し、その積層体を捲回して捲回電極体を作製した。このようにして得られた捲回電極体を2032型のコイン型電池ケースに収容した。なお、電解液としては、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの3:7(質量比)混合溶媒に約1mol/リットルのLiPFを溶解させたものを用いた。このようにして、本実施例に係る試験用リチウムイオン電池を作製した。
X線回折装置を用いて、実施例1で調製した正極材料(典型的には、第一カーボン層および第二カーボン層が表面に形成された状態の正極活物質粒子)の結晶構造を解析した。また、メカノケミカル反応を行っていない正極活物質粒子(サンプル1)、メカノケミカル反応を用いてアセチレンブラックから構成されるカーボン層が形成された正極活物質粒子(サンプル2)、およびメカノケミカル反応を用いてケッチェンブラックから構成されるカーボン層が形成された正極活物質粒子(サンプル3)のそれぞれの結晶構造を解析した。図1は、それぞれの回折パターンを測定した結果を示す図である。上から順に、サンプル1、サンプル2、サンプル3、実施例1の回折パターンを示している。
図1によると、サンプル3の回折パターンは、2θ=約38°および約65°のときのピークが、他のサンプルおよび実施例1の同位置のピークに比べて特に減少している。このことは、サンプル3のケッチェンブラックから構成されるカーボン層が形成された正極活物質粒子の結晶構造が、他のサンプルおよび実施例1の正極活物質粒子の結晶構造と異なっていることを示している。これにより、比表面積の大きいケッチェンブラックは、メカノケミカル反応を生じさせる機械的エネルギー(粉砕)によって正極活物質粒子の結晶構造の一部が破壊されていることが確認された。
また、それとは対照的に、実施例1の回折パターンは、メカノケミカル反応を行っていないサンプル1とほぼ同じ位置に同じ強度のピークを有することが示された。これにより、実施例1の正極材料は、メカノケミカル反応で正極活物質粒子の結晶構造が破壊されていないことが確認された。
<実施例2>
本実施例では、以下のようにして2032型(径20mm,厚さ3.2mm)のコイン型リチウムイオン電池を製造した。
まず、リチウムイオン電池の構成要素として使用される本実施例に係る正極材料を作製した。正極活物質粒子としてのリチウム遷移金属複合酸化物LiNi0.8Al0.05Co0.15を40g用意し、導電材として比表面積78m/gのアセチレンブラック(商品名デンカブラック、電気化学工業社製)0.46gを正極活物質粒子に添加して混合粉体を調製した。この混合粉体をノビルタ(ホソカワミクロン社製)に投入した後、装置を作動させ10秒間の混合を行うことによって、正極活物質粒子の表面に第一カーボン層を形成させた。
そして、さらにこの中に比表面積800m/gのケッチェンブラック(商品名ケッチェンブラックEC300J、ライオン社製)0.92gを添加した後、該装置を作動させ20秒間の混合を行い、該第一カーボン層の表面に第二カーボン層が形成された本実施例に係る正極材料を得た。
本実施例では上記作製した正極材料を使用する以外は、実施例1と同様に処理することによって正極合材ペーストを調整し、該ペーストを正極集電体に保持させた正極シートを作製した。また、実施例1と同様の手順で負極シートを作製し、本実施例に係る試験用リチウムイオン電池を作製した。
<実施例3>
本実施例では、以下のようにして2032型(径20mm,厚さ3.2mm)のコイン型リチウムイオン電池を製造した。
まず、リチウムイオン電池の構成要素として使用される本実施例に係る正極材料を作製した。正極活物質粒子としてのリチウム遷移金属複合酸化物LiNi0.8Al0.05Co0.15を40g用意し、導電材として比表面積78m/gのアセチレンブラック(商品名デンカブラック、電気化学工業社製)0.46gを正極活物質粒子に添加して混合粉体を調製した。この混合粉体をミラクルKCK(浅田鉄工株式会社製)に投入した後、装置を4kg/hrの速度で作動させて0.5時間の混練を行うことによって、正極活物質粒子の表面に第一カーボン層を形成させた。
そして、さらにこの中に比表面積800m/gのケッチェンブラック(商品名ケッチェンブラックEC300J、ライオン社製)0.92gを添加した後、該装置を作動させ8g/hrの速度で0.5時間の混練を行い、第二カーボン層が形成された本実施例に係る正極材料を得た。
本実施例では上記作製した正極材料を使用する以外は、実施例1と同様に処理することによって正極合材ペーストを調整し、該ペーストを正極集電体に保持させた正極シートを作製した。また、実施例1と同様の手順で負極シートを作製し、本実施例に係る試験用リチウムイオン電池を作製した。
<比較例1>
本比較例では、以下のようにして2032型(径20mm,厚さ3.2mm)のコイン型リチウムイオン電池を製造した。
まず、正極活物質粒子としてのリチウム遷移金属複合酸化物LiNi0.8Al0.05Co0.15を40g用意し、導電材として比表面積78m/gのアセチレンブラック(商品名デンカブラック、電気化学工業社製)4.6g、および結着材としてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)1.4gを、溶媒N−メチル−2−ピロリドン(NMP)54gに添加し、プラネタリミキサーを用いて分散させて混合し、正極合材ペーストを調製した。
本比較例では上記作製した正極合材ペーストを使用する以外は、実施例1と同様に処理することによって、該ペーストを正極集電体に保持させた正極シートを作製した。また、実施例1と同様の手順で負極シートを作製し、本比較例に係る試験用リチウムイオン電池を作製した。
<比較例2>
本比較例では、以下のようにして2032型(径20mm,厚さ3.2mm)のコイン型リチウムイオン電池を製造した。
まず、正極活物質粒子としてのリチウム遷移金属複合酸化物LiNi0.8Al0.05Co0.15を40g用意し、導電材として比表面積78m/gのアセチレンブラック(商品名デンカブラック、電気化学工業社製)3.68gと、ケッチェンブラック(商品名ケッチェンブラックEC300J、ライオン社製)0.92g、および結着材としてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)1.4gを、溶媒N−メチル−2−ピロリドン(NMP)54gに添加し、プラネタリミキサーを用いて分散させて混合し、正極合材ペーストを調製した。
本比較例では上記作製した正極合材ペーストを使用する以外は、実施例1と同様に処理することによって、該ペーストを正極集電体に保持させた正極シートを作製した。また、実施例1と同様の手順で負極シートを作製し、本比較例に係る試験用リチウムイオン電池を作製した。
以上のように作製した実施例1および比較例2のリチウムイオン電池に対して、放電特性試験を実施し、それらの放電レート特性を評価した。上記放電特性の試験条件は、測定温度25℃で、上限電圧を4.1Vとし、下限電圧を3.0Vとし、測定は放電レートごとに2回ずつ行った。その結果を図2および図3に示す。なお、図2および図3中において、横軸は容量密度を表し、縦軸は電圧を表している。
図2に示した実施例1の電池では、放電レート1Cで約135mAh/gの容量密度を示し、放電レート5Cで約120mAh/gを示し、さらに高い放電レート10Cでも約110mAh/gの容量を維持できることが分かった。
これに対し、図3に示した比較例1の電池では、放電レート1Cで約125mAh/gの容量密度を示し、放電レート5Cで約105mAh/gを示し、いずれも上記実施例1の電池と比較すると容量低下が低下した。さらに高い放電レート10Cでは、約90mAh/gと顕著に容量密度が低下することが確認された。加えて、放電レート20Cでは、放電開始直後から電圧が低下し、容量密度は約70mAh/gを示した。
これらの結果から、本発明の製造方法により、正極活物質粒子の表面に比表面積が100m/g以下のカーボンブラックから構成される第一カーボン層とそれよりも大きい比表面積を有するカーボンブラックから構成される第二カーボン層が形成された正極材料を用いて構築されたリチウムイオン電池は、放電特性に優れた電池になり得ることが確認された。なお、図示しないが、実施例2および実施例3のそれぞれのリチウムイオン電池は、実施例1とほぼ同様の放電カーブを描いた。比較例2の結果についても図示を省略するが、いずれの放電レートの容量密度も実施例1の容量密度より低値であった。
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。例えば、電池の種類は上述したリチウムイオン電池に限られず、電極体構成材料や電解質が異なる種々の内容の電池、例えばニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池であってもよい。
正極活物質粒子の結晶構造のX線回折パターンを測定した比較図である。 実施例1に係る放電レート特性図である。 比較例1に係る放電レート特性図である。

Claims (9)

  1. 二次電池用正極の構成要素として使用される正極材料であって、
    前記二次電池の正極活物質から実質的に構成される正極活物質粒子を有しており、
    前記正極活物質粒子の表面には比表面積が100m/g以下のカーボンブラックから構成される第一カーボン層が形成されており、且つ、
    前記第一カーボン層の表面には該第一カーボン層を構成するカーボンブラックの比表面積よりも大きい比表面積を有するカーボンブラックから構成される第二カーボン層が形成されている、二次電池用正極材料。
  2. 前記第一カーボン層および前記第二カーボン層は、それぞれメカノケミカル反応により前記正極活物質粒子および第一カーボン層の表面に形成されている、請求項1に記載の正極材料。
  3. 前記正極活物質粒子はリチウム遷移金属複合酸化物である、請求項1又は2に記載の正極材料。
  4. 前記第一カーボン層を構成するカーボンブラックはアセチレンブラックである、請求項1〜3のいずれかに記載の正極材料。
  5. 前記第二カーボン層を構成するカーボンブラックはケッチェンブラックである、請求項1〜4のいずれかに記載の正極材料。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の正極材料を用いてなる正極を備えた二次電池。
  7. 二次電池用正極の構成要素として使用される正極材料を製造する方法であって、以下の工程:
    前記二次電池の正極活物質から実質的に構成される正極活物質粒子を用意する工程;
    前記正極活物質粒子の表面の一部あるいは全部に比表面積が100m/g以下のカーボンブラックから構成される第一カーボン層を形成する工程;および、
    前記第一カーボン層の表面の一部あるいは全部に該第一カーボン層を構成するカーボンブラックの比表面積よりも大きい比表面積を有するカーボンブラックから構成される第二カーボン層を形成する工程、
    を包含する、二次電池用正極材料の製造方法。
  8. 前記第一カーボン層および前記第二カーボン層を形成する工程では、それぞれメカノケミカル反応により前記正極活物質粒子および第一カーボン層の表面に形成する、請求項7に記載の方法。
  9. 前記正極活物質粒子はリチウム遷移金属複合酸化物である、請求項7又は8に記載の方法。
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