JP2010025981A - 情報表示パネルの製造法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、透明性が高く、線膨張率が小さく、温度変化における弾性率の変化が小さい、耐熱性の高い板を開発し、薄型化、軽量化を可能とし、かつ生産効率の良好な情報表示パネルの製造法を提供する。
【解決手段】少なくとも一方が透明な2枚の基板と、該基板間に設けられたの隔壁によって画成されたセル内に表示媒体を封入し、電界により、表示媒体を移動させて情報を表示する情報表示用パネルの製造方法において、1)透明な基板上に熱可塑性または熱硬化性前駆体の層を被覆する工程、2)予めパターン形成した雄型を用いて熱可塑性または熱硬化性前駆体の層をエンボス加工する工程、3)熱可塑性または熱硬化性前駆体の層から型をリリースする工程、4)熱可塑性または熱硬化性前駆体の層を硬化させる工程、を含んで成る方法であって、前記透明な基板が線膨張係数30ppm/K以下であることを特徴とする情報表示パネルの製造法。
【選択図】なし

Description

本発明は、情報表示パネルの製造方法に関するものであり、更に詳しくは、少なくとも一方が透明な2枚の基板と、該基板間に設けられた隔壁によって画成されたセル内に表示媒体を封入し、電界により、表示媒体を移動させて情報を表示する情報表示パネルの製造方法において、前記基板としてシリコーン系ガラスクロス複合体シートを用いた情報表示パネルの製造法に関する。
従来より、液晶(LCD)に代わる情報表示装置として、電気泳動方式、エレクトロクロミック方式、サーマル方式、2色粒子回転方式等の技術を用いた情報表示装置が提案されている。
これらの技術は、LCDと比較すると、通常の印刷物に近い広い視野角が得られる、消費電力が小さい、メモリー機能を有している等のメリットがあることから、次世代の安価な情報表示装置に使用可能な技術として考えられており、携帯端末用情報表示、電子ペーパー等への展開が期待されている。しかしながら、電気泳動方式では、液中を粒子が泳動するために液の粘性抵抗により応答速度が遅くなるという問題がある。さらに低比重の溶液中に酸化チタン等の高比重の粒子を分散させているため沈降し易くなっており、分散状態の安定性維持が難しく、情報表示の繰り返し安定性に欠けるという問題を抱えていた。これらの問題を解決する手法として例えば、特許文献1には適切に規定された形状、寸法およびアスペクト比を有してなるセル中に、溶媒に分散した帯電色素を充填する方法が記載されている。
また、溶液中での挙動を利用する電気泳動方式に対し、溶液を使わず、導電性粒子と電荷輸送層とを基板の一部に組み入れる方式も提案され始めている。(例えば非特許文献1参照)しかし、電荷輸送層、さらには電荷発生層を配置するために構造が複雑化するとともに、導電性粒子に電荷を一定に注入することは難しいため、表示安定性に欠けるという問題があった。上述した種々の問題を解決するための一方法として、少なくとも一方が透明である2枚の対向する基板間の隔壁によって画成されたセル内に表示媒体を封入した後、表示媒体に電界を与え、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示パネルが知られている。(例えば特許文献2参照)
一方、従来は各種表示装置の基板としては、一般にはガラス基板が用いられてきたが、ガラス基板は割れやすい、曲げられない、比重が大きくて軽量化に不向きなどの理由から、近年、その代替としてプラスチック基板が検討されている。例えば、特許文献3や特許文献4にはエポキシ樹脂、酸無水物硬化剤および硬化触媒を含むエポキシ樹脂組成物を硬化して得られる硬化体からなる液晶表示素子用透明樹脂基板が記載されている。しかしながら、これらの樹脂単独材料は、ガラス板に比べ線膨張率が大きく、表示装置用基板の製造工程において反りやアルミ配線の断線などの問題が生じ、これらの用途への使用は困難である。従って、表示素子用基板、特にアクティブマトリックス表示素子用基板に要求される、透明性、耐熱性などを満足しつつ線膨張率の小さなプラスチック素材が求められている。線膨張率を低減するために、樹脂にガラス繊維等の無機フィラーを複合化することがよく行われているが、これらの樹脂と無機フィラーの複合化では、通常透明な複合材料は得られない。これは樹脂の屈折率と無機フィラーの屈折率が異なるため、樹脂と無機フィラーの界面で樹脂を透過した光が散乱することが主な原因である。このような問題を解決するため、樹脂の屈折率と無機フィラーの屈折率を一致させることで透明化することが種々検討されている。例えば、特許文献5や特許文献6には、環状オレフィン樹脂とガラス繊維との屈折率差を小さくすることで、透明な複合材料が得られることが示されている。しかしながら、ここで用いられる環状オレフィン樹脂は熱可塑性樹脂であり、熱による塑性変形などの耐熱性が不足することが懸念される。
さらに、無機フィラーとしてガラスクロスを用いて、樹脂とガラスクロスを複合化し、樹脂とガラスクロスの屈折率差を一致させて透明複合体組成物を得ることが行われている。
例えば、特許文献7や特許文献8には、ガラスクロスにエポキシ樹脂やアクリレート樹脂の硬化性樹脂を用い、屈折率差とアッベ数を一致させることによって、線膨張率が小さく透明性の高い複合材料が得られることが示されている。しかしながら、これらの樹脂と無機フィラー透明複合材料に用いられる樹脂は、汎用的な硬化性樹脂であるエポキシ樹脂やアクリレート樹脂であり、やはり耐熱性の不足が懸念され、特にガラス転移温度前後での貯蔵弾性率などの諸物性が変化することが懸念される。そのため表示素子製造プロセスにおける加熱によるシートの膨張、変形や物性の変化が生じ、得られる表示素子の性能に悪影響を及ぼすことが懸念される。
そこで、ガラス転移温度の前後で貯蔵弾性率等物性の変化が小さく、加熱によるシートの膨張や変形の度合いが小さい透明複合体シートが求められていた。
特表2003−526817号公報 特開2006−133663号公報 特開平6−337408号公報 特開平7−120740号公報 特開平6−256604号公報 特開平6−305077号公報 特開2004−231934号公報 特開2004−51960号公報 趙 国来、外3名、"新しいトナーディスプレイデバイス(1)"、1999年7月21日、日本画像学会年次大会(通算83回)"Japan Hardcopy‘99"論文集、p249−252
本発明は、少なくとも一方が透明な2枚の基板と、該基板間に設けられた隔壁によって画成されたセル内に表示媒体を封入し、電界により、表示媒体を移動させて情報を表示する情報表示パネルの製造方法において、Roll to Roll(ロール トウ ロール)のラインで連続して隔壁を形成することが可能で、透明性が高く、線膨張率が小さく、温度変化における弾性率の変化が小さい、耐熱性の高い基材を開発し、簡単な工程で、効率よく隔壁を形成できる情報表示パネルの製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明者等は、上記問題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、基板として、屈折率をガラスクロスと一致させたシリコーン系硬化体とガラスクロスを複合化することによって、線膨張率が小さく、耐熱性の高い透明シートが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記の通りである。
1. 少なくとも一方が透明な2枚の基板と、該基板間に設けられた隔壁によって画成されたセル内に表示媒体を封入し、電界により、表示媒体を移動させて情報を表示する情報表示パネルの製造方法において、
1)透明な基板上に熱可塑性または熱硬化性前駆体の層を被覆する工程、
2)予めパターン形成した雄型を用いて熱可塑性または熱硬化性前駆体の層をエンボス加工する工程、
3)熱可塑性または熱硬化性前駆体の層から型をリリースする工程
4)熱可塑性または熱硬化性前駆体の層を硬化させる工程
を含んで成る方法であって、前記透明な基板が平均線膨張係数30ppm/K以下であることを特徴とする情報表示パネルの製造法。
2. 前記透明な基板がシリコーン系硬化体(a)とガラスクロス(b)とが複合した構造を有するシリコーン系ガラスクロス複合体シートである1.に記載の情報表示パネルの製造法。
3. 前記シリコーン系ガラスクロス複合体シートが下記の(i)および(ii)の条件を満足する2.に記載の情報表示パネルの製造法。
(i)前記シリコーン系硬化体(a)が、反応性官能基を有するケイ素化合物(a−1)と(a−1)以外のエポキシ基含有の有機化合物(a−2)との架橋硬化反応により得られるものである、
(ii)前記シリコーン系硬化体(a)の貯蔵弾性率の35℃〜290℃の温度範囲における動的粘弾性の温度依存性が以下の関係式を満足する、
0'.35/E0'.290≦8
(ただし、
0'.35:動的粘弾性測定(引張りモード)による35℃におけるシリコーン系硬化体の
貯蔵弾性率、
0'.290:動的粘弾性測定(引張りモード)による290℃におけるシリコーン系硬化体
の貯蔵弾性率)。
本発明のシリコーン系ガラスクロス複合体シートは、透明性が高く、線膨張率が小さく、温度変化における貯蔵弾性率の変化が小さい、耐熱性が高いという特性を有し、その結果として、加熱によるシートの膨張や変形が小さいため、情報表示パネルの基板として使用した場合、情報表示パネルの製造プロセスにおける加熱冷却においても再現性の高い隔壁形成が可能となる。
また、本発明により、生産効率のよい、低コスト、高精細な情報表示パネルの製造法を提供することが可能となる。
以下、本発明について詳細に述べる。
まず、本発明の情報表示パネルの基本的な構成について説明する。情報表示パネルの表示方式には色々な方式があるが、初めに代表的な例として電子粉流体タイプ(トナータイプ)の例について説明する。本発明の情報表示パネルでは、対向する2枚の基板間の隔壁によって画成されたセル内に封入した表示媒体に電界が付与される。付与された電界方向にそって、高電位側に向かっては低電位に帯電した表示媒体が電界によるクーロン力などによって引き寄せられ、また、低電位側に向かっては高電位に帯電した表示媒体が電界による力やクーロン力などによって引き寄せられ、それら表示媒体が電位の切り替えによる電界方向の変化によって往復運動することにより、画像等の情報表示がなされる。従って、表示媒体が、均一に移動し、かつ、繰り返し表示時あるいは表示情報保存時の安定性を維持できるように、情報表示パネルを設計する必要がある。ここで、表示媒体を構成する粒子にかかる力は、粒子同士のクーロン力により引き付けあう力の他に、電極や基板との電気影像力、分子間力、液架橋力、重力などが考えられる。
次に電気泳動タイプの情報表示パネルについて説明する。対向する2枚の基板間の隔壁によって画成されたセル内に着色された誘電性溶媒中に分散した帯電色素粒子を封入する。2枚の電極間に電圧差を加えると、帯電した粒子は一方の側へ移動し、色素の色または溶媒の色が透明導体基板を介して見えるようになる。2枚の導体基板の少なくとも一方はパターン形成されている。
本発明の情報表示パネルはいずれのタイプの情報表示パネルに対しても適用可能な技術である。
上述した本発明の情報表示パネルの製造方法においては、好ましい態様として、本発明のシリコーン系ガラスクロス複合体シート上に透明な導体フィルムを形成することにより、透明な導電性基板とする。そして該基板上に熱可塑性または熱硬化性前駆体の層を塗布する。ローラー、プレートまたはベルトの形態の予めパターン形成した雄型により熱可塑性または熱硬化性前駆体層のガラス転移温度より高い温度にて熱可塑性または熱硬化性前駆体層をエンボス加工する。続いて前駆体層の硬化により基板上に隔壁を形成する。該隔壁により形成された表紙セルに表示媒体を充填し、第2の導体基板で封入する。
以下、本発明の情報表示パネルを構成する各部材について説明する。
本発明の基板として用いるシリコーン系ガラスクロス複合体シートは、反応性官能基を有するケイ素化合物(a−1)とエポキシ基含有の有機化合物(a−2)を原料として、それらの架橋硬化反応によって得られるシリコーン系硬化体(a)と、ガラスクロス(b)を複合化することによって製造することができる。
本発明に使用するシリコーン系硬化体(a)は、反応性官能基を有するケイ素化合物(a−1)に、あらかじめエポキシ基含有有機化合物(a−2)を必要に応じて適当な溶媒に溶解させるなどしてその共存下に合成した後、必要に応じて適当な硬化剤および/または硬化促進剤を添加して、加熱あるいは光線を照射することによって架橋硬化して得ることができる。あるいは、あらかじめ反応性官能基を有するケイ素化合物(a−1)による反応をさせておき、さらにエポキシ基含有有機化合物(a−2)とを必要に応じて溶媒を用いて溶解するなどして混合した後、同様の方法によって架橋硬化して得ることもできる。
さらにまた、(a−1)を反応させて(a−2)との架橋硬化以前にあらかじめガラスクロス(b)に含浸させておくことによってガラスクロス複合体シートを得ることができる。
本発明に使用するシリコーン系硬化体(a)の原料成分となる、反応性官能基を有するケイ素化合物(a−1)とエポキシ基含有有機化合物(a−2)の組成比は、得られるシリコーン系硬化体(a)の温度変化における貯蔵弾性率の変化が小さい、耐熱性が高いなどの性能発現の観点から、5:95〜90:10(重量%)であり、好ましくは20:80〜80:20(重量%)であり、より好ましくは40:60〜60:40(重量%)であり、最も好ましくは45:55〜55:45である。
本発明に使用するシリコーン系硬化体(a)は、(a−1)と(a−2)との組合せによって、その特徴の一つとして室温付近の低温領域と熱加工時の高温領域との剛性(弾性率)の差を小さくすることが重要である。このことを示す指標の一つとして、動的粘弾性測定における貯蔵弾性率の温度依存性を採用することができる。すなわち、該シリコーン系硬化体(a)の貯蔵弾性率の35〜290℃の温度範囲における動的粘弾性の温度依存性が以下の関係式を満足することが好ましい。
0'.35/E0'.290≦8
ただし、E0'.35は動的粘弾性測定(引張りモード)による35℃における該シリコーン系硬化体の貯蔵弾性率であり、またE0'.290は動的粘弾性測定(引張りモード)による290℃における該シリコーン系硬化体の貯蔵弾性率である。
反応性官能基を有するケイ素化合物(a−1)とエポキシ基含有有機化合物(a−2)との架橋硬化反応によって得られたシリコーン系硬化体(a)の貯蔵弾性率が上記の範囲にある場合、該シリコーン系硬化体(a)とガラスクロス(b)とが複合化した構造を有するシリコーン系ガラスクロス複合体シートにおいては、動的粘弾性測定における温度の貯蔵弾性率の関係が以下の式を満たす傾向にある。
1'.35/E1'.290≦1.5
ただし、E1'.35は動的粘弾性測定における35℃での該シリコーン系ガラスクロス複合体シートの貯蔵弾性率であり、E1'.290は、動的粘弾性測定における290℃でのガラスクロス複合体シートの貯蔵弾性率を表す。該シリコーン系ガラスクロス複合体シートの動的粘弾性が上の関係式であることは温度変化によるシートの強度の低下が小さいことを示す。その結果、加熱によるシートの膨張や変形の度合いが小さくなる。
本発明に用いる透明な基板の平均線膨張係数は、50℃〜300℃の平均線膨張係数が30ppm/K以下であることが好ましく、より好ましくは20ppm/K以下、最も好ましくは25ppm/K以下である。この上限値を超えると、その製造工程において反りや均一な薄膜形成が不可能となる等、種々の問題が発生するおそれがある。透明な基板の平均線膨張係数を上記範囲内とするには、該基板としてシリコーン系ガラスクロス複合体シートを用いることが好ましい。
本発明に関るシリコーン系ガラスクロス複合体シート等の透明な基板が呈する透明性とは、可視光線の波長領域での光線透過率が60%以上、好ましくは80%以上であることを意味する。本発明に関る可視光線の波長領域とは400nm〜800nmである。
本発明に用いられる反応性官能基を有するケイ素化合物(a−1)は、ケイ素、酸素、炭素、水素を必須構成元素として構成され、さらに、チタニウム、ジルコニウム、ゲルマニウム、アルミニウム、インジウムなどの金属を構成元素として含むことも可能である。
反応性官能基を有するケイ素化合物(a−1)の具体例としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、γ−メタクリルロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン等のアルキルトリアルコキシシラン類、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のアリールトリアルコキシシラン類、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン等のジアルコキシシラン類を例示することができる。
さらに、本発明に使用する反応性官能基を有するケイ素化合物(a−1)として、前述の反応性官能基を有するケイ素化合物モノマーから選ばれる少なくとも一種以上のモノマーを用いて水、触媒の存在下に脱アルコール、脱水反応を行ういわゆるゾル・ゲル反応によって得られるオリゴマー乃至ポリマーを用いることもできる。
ゾル・ゲル反応の触媒としては、塩酸、硝酸、ギ酸、酢酸などの酸類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、トリエチルアミンなどの塩基類、ジブチルスズラウリレートなどの金属触媒を単独であるいは組み合わせて用いることが出来る。
本発明のシリコーン系硬化体(a)の特徴である、室温と高温時の弾性率の差が小さいことを達成するためには、反応性官能基を有するケイ素化合物(a−1)は、シリコーン系硬化体(a)が生成される架橋硬化の際に(a−1)と組み合わせるエポキシ基含有の有機化合物(a−2)との化学結合を形成する官能基を有することが好ましい。例えば、グリシドキシプロピル基、エポキシシクロヘキセニルエチル基等のエポキシ含有基、アミノ基等を有することが好ましく、特にエポキシ基を有することが好ましい。
即ち、本発明に使用する反応性官能基を有するケイ素化合物(a−1)は、下記化学式(1)および/または化学式(2)にて表される構造単位を有しているものが、シリコーン系硬化体(a)の温度変化における弾性率変化や耐熱性などの性能の観点から好ましい。
Figure 2010025981
Figure 2010025981
(ただし、Xは、化学式(3)〜化学式(7)にて表されるエポキシ含有基の群から選ばれるいずれかの基であり、Yは、水酸基、炭素数が1〜4のアルキル基および炭素数が1〜4のアルコキシ基の群から選ばれるいずれかの基である。)
Figure 2010025981
Figure 2010025981
Figure 2010025981
Figure 2010025981
Figure 2010025981
(ただし、mは1〜6の整数を表し、nは0〜6の整数を表す。)
特に、反応性官能基を有するケイ素化合物(a−1)としては、化学式(3)で表されるグリシドキシプロピル基を含有する化合物が、架橋硬化されたシリコーン系硬化体(a)の性能を考慮すると、より望ましい。
本発明に使用するエポキシ基含有有機化合物(a−2)とは、常温では液状、半固形状または固形状であって常温下あるいは加熱下で流動性を示す比較的低分子量の物質を意味する。これらは硬化剤、触媒、熱あるいは光の作用によって硬化反応や架橋反応を起こして分子量を増大させながら網目状の三次元構造を形成してなる不溶不融性の硬化性樹脂となりうる。
本発明において用いられるエポキシ基含有有機化合物(a−2)としては、反応性官能基を有するケイ素化合物(a−1)との架橋硬化によって得られるシリコーン系硬化体(a)が透明であればいずれも使用できる。例えば、エポキシ基含有有機化合物(a−2)としては、エポキシ樹脂、エポキシ基含有(メタ)アクリレート樹脂、エポキシ基含有熱硬化型ポリイミド樹脂、エポキシ基含有ユリア樹脂、エポキシ基含有メラミン樹脂、エポキシ基含有不飽和ポリエステル樹脂などが挙げられる。その中でも、エポキシ樹脂、エポキシ基含有(メタ)アクリレート樹脂が好ましく、さらに好ましくはエポキシ樹脂が好ましい。
エポキシ基含有有機化合物(a−2)であるエポキシ樹脂としては、芳香族グリシジルエーテル、芳香族グリシジルエーテルの芳香環を水素化して得られるグリシジルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも一つの化合物であるエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂やその他のエポキシ樹脂が挙げられる。
芳香族グリシジルエーテルであるエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA,ビスフェノールF,ビスフェノールAD,ビスフェノールS,テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールAD、テトラメチルビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA,テトラクロロビスフェノールA、テトラフルオロビスフェノールA等のビスフェノール類をグリシジル化したビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェノール、ジヒドロキシナフタレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン等のその他の2価フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4−(1−(4−(1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル)フェニル)エチリデン)ビスフェノール等のトリスフェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のテトラキスフェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールAノボラック、臭素化フェノールノボラック、臭素化ビスフェノールAノボラック等のノボラック類をグリシジル化したノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。
芳香族グリシジルエーテルの芳香環を水素化して得られるグリシジルエーテルは、上で例示した芳香族グリシジルエーテルをルテニウム触媒、ロジウム触媒等の触媒の存在下に芳香環を水素化することにより得られる。
脂環式エポキシ樹脂としては、3,4エポキシシクロヘキシルメチル−3’、4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート等が例示される。
エポキシ基含有有機化合物(a−2)の基本構造単位が、脂環式エポキシ構造単位である場合には、それを成分として構成される該ガラスクロス複合体シートにとって最も好ましい組合せである。
ここで、化学式(8)で表される水素化ビスフェノールA型エポキシ系化合物がより好ましい水素化ビスフェノールA型エポキシ系化合物である。
Figure 2010025981
(ただし、式中のZは、その少なくとも一つが化学式(3)〜化学式(7)にて表されるエポキシ含有基の群から選ばれるいずれかであり、かつ、他のZは、水酸基、炭素数が1〜4のアルキル基および/またはアルコキシ基である。)
その他のエポキシ樹脂としては、ダイマー酸グリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸グリシジルエステル等のグリシジルエステル類、トリグリシジルイソシアヌレート等のグリシジルアミン類、エポキシ化大豆油、エポキシ化ポリブタジエン等の線状脂肪族エポキサイド等が例示される。
これらのエポキシ樹脂は、該シリコーン系硬化体(a)において単独で使用あるいは二種類以上併用してもよい。
次に、エポキシ樹脂用硬化剤は、例えば、エチレンジアミン、トリエチレンペンタミン、ヘキサメチレンジアミン、ダイマー酸変性エチレンジアミン、N−エチルアミノピペラジン、イソホロンジアミン等の脂肪族アミン類、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4、4’−ジアミノジフェノルスルフォン、4、4’−ジアミノジフェノルメタン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4、4’−ジアミノジフェノルエーテル等の芳香族アミン類、メルカプトプロピオン酸エステル、エポキシ樹脂の末端メルカプト化合物等のメルカプタン類、ビスフェノールA、ビスフェノールF,ビスフェノールAD,ビスフェノールS,テトラメチルビスフェノールA,テトラメチルビスフェノールF,テトラメチルビスフェノールAD,テトラメチルビスフェノールS,テトラブロモビスフェノールA,テトラクロロビスフェノールA、テトラフルオロビスフェノールA,ビフェノール、ジヒドロキシナフタレン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4−(1−(4−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル)フェニル)エチリデン)ビスフェノール、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールAノボラック、臭素化フェノールノボラック、臭素化ビスフェノールAノボラック等のフェノール樹脂類、これらフェノール樹脂類の芳香環を水素化したポリオール類、ポリアゼライン酸無水物、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、ノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチル−ノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物などの脂環式酸無水物類、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等の芳香族酸無水物類、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール類およびその塩類、上記脂肪族アミン類、芳香族アミン類、及び/またはイミダゾール類とエポキシ樹脂との反応により得られるアミンアダクト類、アジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジン類、ジメチルベンジルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7等の第3級アミン類、トリフェニルホスフィン等の有機ホスフィン類、ジシアンジアミド、2−ブテニル−1、4−ブテン−スルフォニウムヘキサフルオロアンチマトのような潜在性カチオン発生剤等が挙げられる。
これらの硬化剤は単独で用いても、あるいは二種以上を併用してもよい。エポキシ樹脂用硬化剤の使用量は、エポキシ樹脂100質量部に対して1〜200質量部である。より好ましくは2〜100質量部である。
さらに、硬化促進剤としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の第3級アミン類およびその塩類、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類、トリフェニルホスホニウムブロマイド等のホスホニウム塩類、アミノトリアゾール類、オクチル酸錫、ジブチル錫ジラウレート等の錫系、オクチル酸亜鉛等の亜鉛系、アルミニウム、クロム、コバルト、ジルコニウム等のアセチルアセトナート等の金属触媒類等が用いられる。これらの硬化促進剤は単独で用いても、あるいは二種以上を併用してもよい。
本発明で使用するガラスクロスのガラス素材として、Eガラス、Cガラス、Aガラス、Sガラス、Dガラス、NEガラス、Tガラス、石英ガラス等が挙げられ、可視光領域に吸収のないガラス繊維が好ましく、中でも入手が容易なSガラス、Tガラス、NEガラス、Eガラスが好ましく、さらに平均線膨張係数が低い、屈折率が低く樹脂との屈折率合わせが容易であるなどの観点からTガラスが特に好ましい。また、最終的にシリコーン系硬化体との複合化によってシート加工される場合に好適なシランカップリング剤や各種界面活性剤、無機酸による洗浄等によって表面処理をガラスクロスに施すことで、ガラスクロスと樹脂の界面での濡れ性、親和性、密着性を高めることができる。
ガラスクロスの厚み、織り密度、織り組織は、目的とするシリコーン・エポキシハイブリッド系ガラスクロス複合体シートに応じて選択される。また樹脂含浸性や表面凹凸を改良するために、ガラスクロスの糸束を物理的に開繊することは有効な手法である。
本発明の反応性官能基を有するケイ素化合物(a−1)は、29Si−NMRによって測定される二種類の構造単位T2(直鎖構造単位)およびT3(分岐構造単位)のモル比はT2/T3=50〜0.1の範囲であることが好ましく、より好ましくは25〜0.2であり、最も好ましい範囲は10〜0.75である。T2/T3が50を超えるような場合には結果として分岐構造が不足するため、該シリコーン系硬化体の寸法安定性や熱時剛性の観点からT2/T3は50以下が好ましく、また一方では、該シリコーン系硬化体としての可とう性の観点からT2/T3が0.1以上であることが好ましい。
本発明に関る反応性官能基を有するケイ素化合物(a−1)および(a−1)以外のエポキシ基含有有機化合物(a−2)の合計のエポキシ化率は100〜20,000であることが好ましく、より好ましくは150〜10,000であり、最も好ましい範囲としては180〜5,000である。該シリコーン系硬化体(a)およびガラスクロス(b)を複合化してなるシートの寸法安定性や熱時剛性、可とう性のバランスの観点からエポキシ化率は100以上が好ましく、また一方で、該シリコーン系硬化体のシートとしての加工性の観点から20,000以下が好ましい。
本発明に関るシリコーン系ガラスクロス複合体シートを構成するシリコーン系硬化体(a)は原料成分である反応性官能基を有するケイ素化合物(a−1)および(a−1)以外のエポキシ基含有有機化合物(a−2)を架橋硬化させて得られるが、該シリコーン系硬化体(a)中において(a−1)および(a−2)由来の成分が相分離構造を有することが得られるシートの透明性および、因果関係は不明であるが熱的安定性の観点から好ましい。ここに相分離構造とは、(a−1)および(a−2)由来の成分が均一に混合された状態にあるのではなく、局所的に(a−1)あるいは(a−2)由来の成分が存在する状態を意味する。
該シリコーン系硬化体(a)における(a−1)および(a−2)由来の成分が相分離構造を有することを定量的に表す指標として、X線小角散乱法(SAXS)によって測定される散乱プロファイルのギニエ(Guiner)プロットによって求められる相分離構造のサイズRg(平均値)は1nm〜50nmであることが好ましく、より好ましくは1nm〜30nm、さらにより好ましい範囲は1nm〜10nmである。得られるシートの透明性の観点から相分離構造のサイズは50nm以下であることが好ましく、相分離構造の効果発現の観点から相分離構造のサイズは1nm以上が好ましい。
本発明に関るシリコーン系ガラスクロス複合体シートにおける該シリコーン系硬化体(a)のアッベ数は40以上であることが、該シリコーン系ガラスクロス複合体シートの色収差を最小にするという観点から好ましい。ここに、アッベ数と色収差との関係は、該シリコーン系ガラスクロス複合体シートを構成する該シリコーン系硬化体(a)とガラスクロス(b)との屈折率の差によって生ずる光波長の分散性または分光性に起因するものであり、色収差が大きいほど該シリコーン系ガラスクロス複合体シートを通して見える像が「にじ色」になり表示基板としての性能を著しく低下させる。かかる色収差の程度の指標としてアッベ数が用いられる。アッベ数Vは以下の関係式によって表され、アッベ数が高い数値であるほど色収差が小さくなるという関係にある。
アッベ数: V=(n − 1)/(n −n
なお、n、n、nは材料の波長がそれぞれD−589.2nm、F−486.1nm、C−656.3nmの光に対する屈折率である。
本発明に関るシリコーン系ガラスクロス複合体シートは、情報表示パネルの基板として用いる場合、実用性能の一つとして透明性に優れることが必要である。そのために、該シリコーン系硬化体(a)とガラスクロス(b)の屈折率の差が可能な限り小さいことが要求される。ここに屈折率とは、ナトリウムD像(波長589.2nm)を用いて測定された値(n)が用いられる。
該シリコーン系硬化体(a)とガラスクロス(b)の屈折率の差は、0.02以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.01以下であることが好ましい。屈折率の差が0.02より大きい場合、該シリコーン系硬化体(a)とガラスクロス(b)との界面において樹脂を透過した光の散乱により、ガラスクロス複合体シートは不透明になり、光線透過率の値も低下するため実用的な透明性が損なわれる。
ガラスクロスに用いられているガラスの屈折率(n)の範囲は一般的に1.47以上1.53未満であるため、上記理由により該シリコーン系硬化体(a)の屈折率(n)は1.45以上1.55未満であることがガラスクロス(b)との組合せによってなるシリコーン系ガラスクロス複合体シートの透明性の発現のためには必要であり、好ましい屈折率(n)の範囲は1.48以上1.53未満である。
本発明のシリコーン系ガラスクロス複合体シートの製造方法は特に限定されないが、例えば、該シリコーン系硬化体(a)の原料成分である反応性官能基を有するケイ素化合物(a−1)および(a−1)以外のエポキシ基含有有機化合物(a−2)とを硬化剤の存在下に室温で混合し、ガラスクロスに含浸させて必要な型枠に注型した後、加熱および/あるいは光線照射して架橋硬化する方法、反応性官能基を有するケイ素化合物(a−1)から合成される(a−1)由来の成分とエポキシ基含有有機化合物(a−2)とを、硬化剤存在下に溶剤で希釈して粘度調整したのちガラスクロスに含浸させ、溶剤を除去した後、加熱および/あるいは光線照射によって硬化させる方法などが挙げられる。その際の加熱加工方法としてはプレス成形機、真空プレス成形機あるいは加熱ロール成型などを用いることが硬化反応とシート成型反応を同時に行うことが可能であるので好ましい。
基板の厚みは、2〜5000μmが好ましく、さらに5〜2000μmが好適であり、薄すぎると、強度、基板間の間隔均一性を保ちにくくなり、5000μmより厚いと、薄型情報表示パネルとする場合に不都合がある。
必要に応じて基板上に設ける電極の電極形成材料としては、アルミニウム、銀、ニッケル、銅、金等の金属類やITO、酸化インジウム、導電性酸化錫、導電性酸化亜鉛等の導電金属酸化物類、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンなどの導電性高分子類が例示され、適宜選択して用いられる。電極の形成方法としては、上記例示の材料をスパッタリング法、真空蒸着法、CVD(化学蒸着)法、塗布法等で薄膜状に形成する方法や、導電材を溶媒や合成樹脂バインダーに混合して塗布したりする方法が用いられる。表示側基板に設ける電極は透明である必要があるが、背面側基板に設ける電極の材質や厚みなどは上述した表示側基板に設ける電極と同様であるが、透明である必要は無い。なお、この場合の外部電圧入力は、直流あるいは交流を重畳しても良い。
隔壁については、上述した本発明の製造方法に従って製造されていれば、その形状は表示にかかわる表示媒体の種類により適宜最適設定され、一概には限定されないが、隔壁の幅は2〜100μm、好ましくは3〜50μmに、隔壁の高さは10〜500μm、好ましくは10〜200μmに調整される。これらのリブからなる隔壁により形成される表示セルは基板平面方向からみて、四角状、三角状、ライン状、円形状、六角状のいずれでも良く、配置としては格子状やハニカム状さらには網目状の中から適宜選択することが出来る。表示側から見える隔壁断面部分に相当する部分(表示セルの枠部の面積)は、望ましい機械的性質を維持しながら、大きい彩度およびコントラストを達成するために小さく維持することが好ましい。従って、ハニカム形状の開口部が、例えば円形開口部より好ましい。
本発明の情報表示パネルの製造法は、1)透明な基板上に熱可塑性または熱硬化性前駆体の層を被覆する工程、2)予めパターン形成した雄型を用いて熱可塑性または熱硬化性前駆体の層をエンボス加工する工程、3)熱可塑性または熱硬化性前駆体の層から型をリリースする工程、4)熱可塑性または熱硬化性前駆体の層を硬化させる工程、を含んで成る。これらの工程の順序は、この順に限るものではなく、一般的に、熱可塑性前駆体の層を被覆した場合は、この順番で行われるが、熱硬化性前駆体の層を被覆した場合は、エンボス加工をする工程の後に、硬化させる工程となり、その後に型をリリースする工程となるのが一般的である。
本発明の表示セルを形成する熱可塑性または熱硬化性前駆体としては、多官能性のアクリレートまたはメタクリレート、ビニルエーテル、エポキシドおよびそのオリゴマー、ポリマー等であってもよい。なかでも多官能性アクリレートおよびそのオリゴマーが最も好ましい。多官能性エポキシドおよび多官能性アクリレートの組合せも非常に有用であり、望ましい物理的−機械的性質を達成できる。エンボス加工した表示セルの耐屈曲性を向上させるために、可とう性を付与する架橋可能オリゴマー、例えばウレタンアクリレートまたはポリエステルアクリレートも通常加える。この組成物は、ポリマー、オリゴマー、モノマーおよび添加剤を含んでよく、あるいはオリゴマー、モノマーおよび添加剤のみを含んでよい。この種の材料のガラス転移温度(またはTg)は、通常、約−70℃〜約150℃、好ましくは約−20℃〜約50℃の範囲にある。マイクロエンボス加工処理は、典型的にはTgより高い温度で実施する。加熱した雄型または型を押し付ける過熱したハウジング基材を使用して、マイクロエンボス加工の温度および圧力を制御することができる。
前述の前駆体が硬化して表示セルのアレイを生じる間、またはその後、型を離す(またはリリースする)。前駆体の硬化は、冷却、放射線による架橋、熱または湿気によって行うことができる。熱硬化性前駆体の硬化をUV照射によって実施する場合、基板の下方から又は上方から透明導体基材にUVを照射してよい。この場合、型は予めパターン形成した雄型を通して透明な前駆体層にUV光を照射できるように透明である必要がある。
本発明の雄型は、フォトレジスト・プロセスおよびその後のエッチングまたは電気メッキによって製造できる。雄型の製造の代表的な例を記す。電気メッキを用いて、ガラスベースにクロムインコネルのようなシード・メタルの薄い層(典型的には3000オングストローム)を形成する。次に、フォトレジストの層により被覆して、UVに暴露する。マスクをUVとフォトレジストの層との間に配置する。フォトレジストの露光領域は硬化状態となる。次に、非露光領域を適当な溶媒によって洗浄して除去する。残った硬化フォトレジストを乾燥し、シード・メタルも薄層を形成する。このようにして電鋳用のマスターが完成する。電鋳用の典型的な材料はニッケル・コバルトである。
別法では、マスターは、「Continuous manufacturing of thin cover sheet optical media」第1663巻、第324頁(1992年)に記載されているように無電解ニッケル付着またはニッケルスルファメート電鋳によってニッケルにより形成してよい。型の底部分は典型的には50〜400μmである。マスターは、電子−ビーム・ライティング、ドライ・エッチング、ケミカル・エッチング、レーザー・ライティングまたはレーザー・インタフェアランス(例えば「Replication techniques for micro−optics」第3099巻、第76−82頁(1997年)に記載されているようなもの)を含む他のマイクロエンジニアリング技術を用いて形成することもできる。
一般的に、表示セルはいずれの形態であってもよく、その寸法および形状は種々であってよい。1つのシステムにおいて、表示セルは、実質的に一様な寸法および形状であってよい。しかしながら、光学的効果を最大限に発揮するために、異なる形状および寸法が混合状態の表示セルを形成してもよい。例えば、赤色の分散物を充填した表示セルは、緑色の表示セルまたは青色の表示セルと異なる形状および寸法を有していてよい。さらに、ピクセルは、異なる色の異なる数の表示セルから成ってよい。例えば、ピクセルは、幾つかの小さい緑色表示セル、幾つかの大きい赤色表示セルおよび幾つかの小さい青色表示セルから成ってよい。3つの色に対して同じ形状および数とする必要は必ずしもない。
次に、本発明の情報表示パネルで、電子粉流体タイプにおいて表示媒体を構成する表示媒体用粒子(以下、粒子ともいう)について説明する。表示媒体粒子は、そのまま該表示媒体用粒子だけで構成して表示媒体としたり、その他の粒子と合わせて構成して表示媒体としたり、粉流体となるように調整、構成して表示媒体としたりして用いられる。
粒子には、その主成分となる樹脂に、必要に応じて、従来と同様に、荷電制御材、着色剤、無機添加剤等を含ますことができる。以下に、樹脂、荷電制御剤、着色剤、その他添加剤を例示する。
樹脂の例としては、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、アクリルフッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ブチラール樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。2種以上を混合することもできる。特に、基板との付着力を制御する観点から、アクリルウレタン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、アクリルフッ素樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂が好適である。
荷電制御剤としては、特に制限はないが、負荷電制御剤としては、例えば、サリチル酸金属錯体、含金属アゾ染料、含金属(金属イオンや金属原子を含む)の油溶性染料、4級アンモニウム塩系化合物、カリックスアレン化合物、含ホウ素化合物(ベンジル酸ホウ素錯体)、ニトロイミダゾール誘導体等が挙げられる。正荷電制御剤としては、例えば、ニグロシン染料、トリフェニルメタン系化合物、4級アンモニウム塩系化合物、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体等が挙げられる。その他、超微粒子シリカ、超微粒子酸化チタン、超微粒子アルミナ等の金属酸化物、ピリジン等の含窒素環状化合物及びその誘導体や塩、各種有機顔料、フッ素、塩素、窒素等を含んだ樹脂等も荷電制御剤として用いることも出来る。
着色剤としては、以下に例示するような、有機または無機の各種、各色の顔料、染料が使用可能である。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭等がある。
青色着色剤としては、C.I.ピグメントブル−15:3、C.I.ピグメントブル−15、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブル−BC等がある。
赤色着色剤としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B、C.I.ピグメントレッド2等がある。
黄色着色剤としては、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファーストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエロ−S、ハンザイエロ−G、ハンザイエロ−10G、ベンジジンイエロ−G、ベンジジンイエロ−GR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエロ−NCG、タートラジンレーキ、C.I.ピグメントイエロー12等がある。
緑色着色剤としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB,C.I.ピグメントグリーン7、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等がある。
橙色着色剤としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGK、C.I.ピグメントオレンジ31等がある。
紫色着色剤としては、マンガン紫、ファーストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等がある。
白色着色剤としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等がある。
体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等がある。また、塩基性、酸性、分散、直接染料等の各種染料として、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロー、ウルトラマリンブルー等がある。
無機系添加剤の例としては、酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、酸化アンチモン、炭酸カルシウム、鉛白、タルク、シリカ、ケイ酸カルシウム、アルミナホワイト、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、カドミウムオレンジ、チタンイエロー、紺青、群青、コバルトブルー、コバルトグリーン、コバルトバイオレット、酸化鉄、カーボンブラック、マンガンフェライトブラック、コバルトフェライトブラック、銅粉、アルミニウム粉等が挙げられる。
これらの顔料および無機系添加剤は、単独であるいは複数組み合わせて用いることができる。このうち特に黒色顔料としてカーボンブラックが、白色顔料として酸化チタンが好ましい。
また、本発明において、前記粒子は平均粒子径d(0.5)が、0.1〜20μmの範囲であり、均一で揃っていることが好ましい。平均粒子径d(0.5)がこの範囲より大きいと表示上の鮮明さに欠け、この範囲より小さいと粒子同士の凝集力が大きくなりすぎるために粒子の移動に支障をきたすようになる。
更に本発明では、各粒子の粒子径分布に関して、下記式に示される粒子径分布Spanを5未満、好ましくは3未満とする。
Span=(d(0.9)−d(0.1))/d(0.5)
(但し、d(0.5)は粒子の50%がこれより大きく、50%がこれより小さいという粒子径をμmで表した数値、d(0.1)はこれ以下の粒子の比率が10%である粒子径をμmで表した数値、d(0.9)はこれ以下の粒子が90%である粒子径をμmで表した数値である。)
Spanを5以下の範囲に納めることにより、各粒子のサイズが揃い、均一な粒子移動が可能となる。
さらにまた、各粒子の相関について、使用した粒子のうち、最大径を有する粒子のd(0.5)に対する最小径を有する粒子のd(0.5)の比を50以下、好ましくは10以下とすることが肝要である。たとえ粒子径分布Spanを小さくしたとしても、互いに帯電特性の異なる粒子が互いに反対方向に動くので、互いに粒子サイズが近く、互いの粒子が当量ずつ反対方向に容易に移動できるようにするのが好適であり、それがこの範囲となる。
なお、上記の粒子径分布および粒子径は、レーザー回折/散乱法などから求めることができる。測定対象となる粒子にレーザー光を照射すると空間的に回折/散乱光の光強度分布パターンが生じ、この光強度パターンは粒子径と対応関係があることから、粒子径および粒子径分布が測定できる。
ここで、本発明における粒子径および粒子径分布は、体積基準分布から得られたものである。具体的には、Masterizer2000(Malvern Instruments Ltd.)測定機を用いて、窒素気流中に粒子を投入し、付属の解析ソフト(Mie理論を用いた堆積基準分布を基本としたソフト)にて、粒子径および粒子径分布の測定を行うことができる。
表示媒体に用いる粒子の帯電量は当然その測定条件に依存するが、情報表示パネルにおける表示媒体に用いる粒子の帯電量はほぼ、初期帯電量、隔壁との接触、基板との接触、経過時間に伴う電荷減衰に依存し、特に表示媒体に用いる粒子の帯電挙動の飽和値が支配因子となっている。
先の特許文献2によれば、ブローオフ法において同一のキャリア粒子を用いて、表示媒体に用いる粒子の帯電量測定を行うことにより、表示媒体に用いる粒子の適正な帯電特性値の範囲が評価できる。
更に、本発明のパネルを粒子群や粉流体などの乾式表示媒体を用いるパネルに適用する場合において、基板間の表示媒体を取り巻く空隙部分の気体の管理が重要であり、表示安定性向上に寄与する。具体的には、空隙部分の気体の湿度について、25℃における相対湿度を60%RH以下、好ましくは50%RH以下、さらに好ましくは35%RH以下とすることが重要である。
空隙部分の気体は、先に述べた湿度領域であれば、その種類は問わないが、乾燥空気、乾燥窒素、乾燥アルゴン、乾燥ヘリウム、乾燥二酸化炭素、乾燥メタンなどが好適である。この気体は、その湿度が保持されるように情報表示パネルに封入することが必要であり、例えば、表示媒体の充填、情報表示パネルの組み立てなどを所定湿度環境下にて行い、さらに外からの湿度進入を防ぐシール材、シール方法を施すことが重要である。
本発明の情報表示パネルにおける基板と基板の間隔は、表示媒体が移動できて、コントラストを維持できればよいが、通常10〜500μm、好ましくは10〜200μmに調整される。
対向する基板間の空間における表示媒体の体積占有率は5〜70%が好ましく、さらに好ましくは5〜60%である。70%を超える場合には表示媒体の移動の支障をきたし、5%未満の場合にはコントラストが不明確となり易い。
基板を張り合わせる方法としては、隔壁の先端に接着剤を設け、該接着剤を介して隔壁と基板の接合を行う。接着剤を設ける方法としては、隔壁上に熱硬化性あるいはUV硬化性の接着剤や熱可塑性の接着剤をスクリーン印刷で印刷する方法、基板の全面にシールを目的とした接着層を積相する方法、接着性を持つ粉流体を散布し、熱圧着によりシールする方法などがある。
次に、本発明の情報表示パネルで、電気泳動タイプにおいて表示媒体を構成する帯電色素粒子を誘電性溶媒に分散させた表示媒体について説明する。
該表示媒体は周知の方法(例えば米国特許第6,017,584号、第5,914,806号、第5,573,711号、第5、403,518号、第5、380,362号、第4,680,103号、第4、285、801号、第4093、534号、第4、071,430号、第3、668,106号ならびにアイ・イー・イー・イー・トランス・エレクトロン・デバイシーズ(IEE Trans. Electron Devices)ED−24、827頁(1997年)およびジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス(J. Appl. Phys.)49(9)、4820頁(1978年))に基づいて調整できる。帯電色素粒子はそれが中で懸濁する媒体と視覚的にコントラストをなす。その媒体は、粒子の大きい移動性のためには、好ましくは小さい粘度および約2〜約30、好ましくは約2〜約15の範囲にある誘電率を有する誘電性溶媒である。適当な誘電性溶媒の例には以下のものが含まれる:炭化水素、例えばデカヒドロナフタレン(デカリン(DECALIN))、5−エチリデン−2−ノルボルネン、脂肪油、パラフィン油、芳香族炭化水素、例えばトルエン、キシレン、フェニルキシリルエタン、ドデシルベンゼンおよびアルキルナフタレン、ハロゲン化溶媒、例えばパーフルオロデカリン、パーフルオロトルエン、パーフルオロキシレン、ジクロロベンゾトリフルオライド、3,4,5−トリクロロベンゾトリフルオライド、クロロペンタフルオローベンゼン、ジクロロノナン、ペンタクロロベンゼンならびにパーフルオロ溶媒、例えばFC−43、FC−70およびFC−5060(3M社(ミネソタ州セントポール)製)、低分子量のハロゲン含有ポリマー、例えばポリ(パーフルオロプロピレンオキサイド)(ティシーアイ・アメリカ(TCI America、オレゴン州ポートランド)製)、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)、例えばハロカーボン・オイルズ(Halocarbon Oils)(ハロカーボン・プロダクト社(ニュージャージー州リバーエッジ)製)、パーフルオロポリアルキルエーテル、例えばガーデン(Galden)(オーシモント(Ausimont)製)またはクライトックス・オイル(Krytox Oils)およびグリーシーズK−フルイッド・シリーズ(Greases K−Fluid Series)(デュポン(デラウェア州)製)。1つの好ましい態様では、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)を誘電性溶媒として使用する。もう一つの好ましい態様としては、ポリ(パーフルオロプロピレンオキサイド)を誘電性溶媒として使用する。
帯電性色素は、有機色素であっても、無機色素であってもよく、例えばTiO2、フタロシアニン・ブルー(phthalocyanine blue)、フタロシアニン・グリーン(phthalocyanine green)、ジアリリド・イエロー(diarylide yellow)、ジアリリド(diarylide)AAOTイエロー(Yellow)、およびキナクリドン(quinacridone)、アゾ(azo)、ローダミン(rhodamine)、ペリレン(perylene)色素シリーズ、(サン・ケミカル(Sun Chemical)製)、カーボン・ランプブラック(Carbon Lampblack)(フィッシャー(Fisher)製)であってよい。サブミクロンの粒子寸法が好ましい。粒子は、許容できる光学的性質を有する必要があり、誘電性溶媒によって膨潤したり、軟化してはならず、また、化学的に安定である。得られた懸濁物は、通常の使用条件において、沈降、クリーミングまたは凝集に対して安定である必要がある。
隔壁により形成される表示セルのシーリングはいくつかの方法で実施できる。
好ましい方法は、多官能性アクリレート、アクリル化オリゴマーおよび光開始剤を含むUV硬化性組成物を、着色誘電性溶媒中に分散している帯電色素粒子を含む電気泳動流体内に分散させる方法である。UV硬化性組成物は、誘電性溶媒に対して非混和性であり、誘電性溶媒および色素粒子より小さい比重を有する。2つの成分、UV硬化性組成物および電気泳動流体をインラインミキサーで充分にブレンドして、精密なコーティング法、例えばマイラド・バー、グラビア印刷、ドクター・ブレード、スロット・コーティングまたはスリット・コーティングによって上記表示セル上に被覆する。ワイパーブレード、または同様の装置を用いて過剰の流体を掻きとって除去する。少量の弱溶媒または溶媒混合物、例えばイソプロパノール、メタノールまたはその水溶液を使用して表示セルの仕切り壁の上部表面の電気泳動流体の残留分を除去してよい。揮発性有機溶媒を使用して電気泳動流体の粘度および被覆率を制御してよい。このようにして充填した表示セルを乾燥すると、UV硬化性組成物は電気泳動流体の上部に浮かんでくる。それが上に浮かんでくる間またはその後、上澄部のUV硬化性層を硬化することによって表示セルを封止できる。UVまたは他の放射線、例えば可視光、IRおよび電子線ビームを使用して硬化して表示セルをシールしてもよい。そのほか、先に記述した電子粉流体タイプで用いたシール方法でシールすることもできる。
本発明の情報表示パネルにおいては、無機薄膜からなるガスバリア層をさらに有していてもよい。水蒸気や酸素が表示装置内部に侵入した場合、該表示装置の寿命が短くなることが一般に知られており、該観点からこの情報表示パネルにおいて、水蒸気透過率が0.1g/(m2・24h)以下であることは好ましく、また酸素透過率が0.5ml/(m2・24h・atm)以下であることは好ましい。ここでガスバリア層として用いることができる無機薄膜の材質としては、Si,Al、In,Sn,Zn,Ti,Cu,Ce,Mg,La,Cr,Ca,Zr,Taから選ばれる1種以上を含む酸化物、窒化物、酸化窒素化物またはハロゲン化物を主成分とするものなどが挙げられ、バリア性能や製膜の容易さなどの観点からSi,Ta,Alから選ばれる1種以上を含む酸化物、窒化物または酸化窒素化物を主成分とするものが特に好ましい。また、無機バリア層は1層でも2層以上あってもよい。
また、無機層だけでは無くしきれない構造の欠陥部分を高分子を主成分とする有機層で埋め、ガスバリア性を高める事も可能である。これらの例としては、アクリロイル基またはメタクリロイル基を有するモノマーを架橋させて得られる架橋反応による体積収縮率が10%より小さい高分子を主成分とするものを用いることが好ましい。
具体的には、例えば、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、エチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等のうち、2官能以上のアクリロイル基またはメタクリロイル基を有するモノマーを架橋させて得られる高分子を主成分とすることが好ましい。これらの2官能以上のアクリロイル基またはメタクリロイル基を有するモノマーは、2種類以上を混合して用いても、また、1官能(メタ)アクリレートを混合して用いてもよい。また、表示装置用途に要求される耐熱性、耐溶剤性の観点から、特に架橋度が高く、ガラス転移温度が200℃以上である、イソシアヌル酸アクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレートを主成分とすることがさらに好ましい。
本発明を更に詳細に説明するために、以下に、実施例及び比較例を示すが、これらの実施例は本発明の説明及びそれによって得られる効果などを具体的に示すものであって、本発明の範囲をなんら限定するものではない。なお、以下の実施例及び比較例における諸特性は、下記の方法に従って測定した。
<測定方法>
1.29Si−NMRによるシリコーン系成分(a−1)中における構造組成(T2/T3)の定量方法
所定量の試料を重水素化クロロホルムに溶解する。該溶解液にクロムアセチルアセトナ−ト:Cr(acac)を試料に添加して溶解した溶液に、テトラメチルシラン(TMS)を更に添加してNMR測定溶液とする。該NMR測定溶液を用いて、プロトン完全デカップル条件における29Si−NMRの測定を積算回数10,000回(装置:日本分光社製α−400)にて行いスペクトルを得た。測定の結果得られたピークの面積をもとに、T2/T3比は、T2/T3比=(T2構造のピーク面積)/(T3構造のピーク面積)として求めた。
2.エポキシ化率の測定方法
エポキシ樹脂をベンジルアルコールとn−プロパノールで溶解する。この溶液にヨウ化カリウム水溶液を添加し、塩化水素(HCl)によってエポキシ基を開環させる。消費したHClの滴定量から下記の計算式からエポキシ化率が計算される。
Figure 2010025981
計算式:
エポキシ化率 = (106×W)/(U×N×F) (g/eq)
ここで、 W:試料の重量(g)
U:滴定量(ml)
N:滴定に使用したHClのmol/m3
F:滴定に使用したHClのファクター
3.X線小角散乱法(SAXS)を用いた相分離構造サイズの測定
X線小角散乱測定装置は概略、小角分解能を達成するためのブロックコリメーター光学系、空気散乱を排除する全真空チャンバー、及び検出器にダイレクトビーム位置とサンプル透過後のビーム強度を同時に測定する半透過ビームストッパーなどから一般的には構成されるが、測定対象物およびその性状、測定対象スケールなどによって適宜選択される。
(測定データの扱い)
測定対象とするサンプルに対してX線が散乱した強度Fは存在する電子密度全てを積分することにより得られる。:(数1)
Figure 2010025981
ここでqはθを散乱角度とすると散乱ベクトルq=4πsin(θ/2)λであり、rは実空間での距離、粒子などに相分離領域部分の密度をδρ、平均密度ρaveとする。サンプルを充填、あるいは支持するキャピラリー、溶媒などX線を散乱する媒体となりうるため、あらかじめそれらをブランクとして測定し、吸収補正を行った後に散乱強度から差し引くことが必要である。(前式における右辺第一項を差し引くことに相当する)。例えば、サンプル濃度が1重量%以下という希薄な系では、サンプルの相分離間相互作用は考えてなくて良くあたかも相分離成分のみが真空中に分散している状態とみなすことができるため、理想的な散乱プロファイルと比較し相分離構造(形状)に対しての議論が可能である。
(データの解析方法〜ギニエの法則)
本方法を用いると相分離構造の大きさを推定することが出来る。散乱体内部の密度均一性と形状(球体、ロッド状、板状など)及び相分離構造が単分散であるなどの仮定のもとに、得られたデータ(散乱プロファイル)の低角度部分に対する線形直線近似を行う。先に示した計算によって得られた散乱プロファイルに対してこの方法を適応すると近似された直線が得られ、その傾きから慣性半径(Rg)が計算される。実空間距離(r)と慣性半径(Rg)との間には相分離構造が球体であると仮定した場合には下記の関係式が成り立つ。
r = Rg×√(5/3)
4.重量平均分子量の測定
東ソー製GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)HLC−8220を用いて、ポリスチレン換算により測定した。
5.屈折率の測定
アタゴ社製アッベ屈折率計DR−M2を用いて、23℃で波長589nmの屈折率を測定した。
6.熱的機械的特性測定
レオメトリック社製RSAIIを用いて、1分間に5℃の割合で30℃から300℃まで温度を上昇させ、サンプルの貯蔵弾性率E’を測定した。チャック間の距離は10mm、サンプル幅2mm、荷重10gにし引っ張りモードで測定した。
また、下記式に従い50℃と300℃との間での平均のサンプル長さの変化率△Lを平均線膨張係数とした。
△L=(L300−L50)/L50/(300−50)
なお、50℃でのサンプル長をL50、300℃でのサンプル長をL300とする。
〔製造例1〕
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン50.0gと水11.44gとジブチル錫ジラウリレート0.535gとテトラハイドロフラン25.0gを200mlの2口フラスコに仕込み、80℃にて5時間反応させた。反応終了後、80℃1時間、減圧下で溶媒を除去することにより反応性官能基を有するケイ素化合物(以下SR−1とする)37.9gを得た。得られた化合物について、29Si−NMR測定によって得られた直鎖構造(T2)と分岐構造(T3)との構造組成率(T2/T3)は58/42であった。またゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって得られた重量平均分子量(Mw)は1300であり、エポキシ化率測定方法によって得られたエポキシ化率は188であった。
前記SR−1の0.96gと水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製エピクロンEXA−7015:前記化学式(8)において、Z=グリシドプロピル基)0.96gを室温で混合し、さらに4,4’−ジアミノジフェニルメタン(和光純薬工業株式会社製)0.48gを室温で素早く混合することによって得られた混合溶液(以下、RW−1)を、厚さ200μmのスペーサー内に挟み、プレス機内で圧力5MPaに維持しながら温度150℃で1時間、さらに温度200℃で1時間かけて熱硬化することによってシリコーン系硬化体を得た。得られたシリコーン系硬化体は、厚さ200μmで、屈折率は1.524であり、透明であった。
得られたシリコーン系硬化体のX線小角散乱法(SAXS)によって測定される散乱プロファイルのギニエ(Guiner)プロットによって求められる相分離構造のサイズRg(平均値)は3nmであった。
また、このシリコーン系硬化体の動的粘弾性を測定したところ、35℃での貯蔵弾性率E0'.35は1.36×109N/m2であり、290℃での貯蔵弾性率E0'.290は3.49×108N/m2であった。両温度における貯蔵弾性率の比率はE0'.35/E0'.290=3.9であった。
次に、得られたケイ素化合物とエポキシ樹脂と硬化剤の混合液(RW−1)を、Tガラス系ガラスクロス(日東紡製、ガラス繊維径:5μm、集束数:200本を、織密度:縦60本/25mm、横46本/25mmで平織りした厚さ100μm、開繊処理およびカチオン系シランカップリング処理したもの、屈折率1.520)に含浸し、プレス機内で圧力5MPaに維持しながら温度150℃で1時間、さらに温度200℃で1時間かけて熱硬化することによってシリコーン系ガラスクロス複合体シートIを得た。得られたシリコーン系ガラスクロス複合体シートは、厚さ100μmで、屈折率は1.524であり、透明であった。
また、このシリコーン系ガラスクロス複合体シートの動的粘弾性を測定したところ、35℃での貯蔵弾性率E1'.35は4.73×109N/m2であり、290℃での貯蔵弾性率E1'.290は17×109N/m2であった。両温度における貯蔵弾性率の比率はE1'.35/E1'.290=1.13であった。また、熱的機械的特性測定装置によって得られる熱膨張率から計算される平均線膨張係数は18ppm/Kであった。
〔製造例2〕
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン30.0gとフェニルメトキシシラン25.2gと水13.7gとギ酸2.34gとトルエン27.6gを200mlの2口フラスコに仕込み、80℃にて3時間反応させた。反応終了後、80℃で1時間、減圧下で溶媒を除去することにより反応性官能基を有するケイ素化合物(以下、SR−2とする)41.5gを得た。得られた化合物について、29Si−NMR測定によって得られた直鎖構造(T2)と分岐構造(T3)との構造組成率(T2/T3)は60.5/39.5であった。またゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって得られた重量平均分子量(Mw)は3,000であり、エポキシ化率測定方法によって得られたエポキシ化率は408であった。
前記SR−2の0.58gとビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製エピコート828、分子量約370)1.36gを室温で混合し、さらに4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン(和光純薬工業株式会社製)0.46gを室温で素早く混合することによって得られた混合溶液(以下、RW−2)を、厚さ200μmのスペーサー内に挟み込み、プレス機内で圧力5MPaに維持しながら温度150℃で1時間、さらに温度200℃で1時間かけて熱硬化することによってシリコーン系硬化体を得た。得られたシリコーン系硬化体は、厚さ200μmで、屈折率は1.563であり、透明であった。
得られたシリコーン系硬化体のX線小角散乱法(SAXS)によって測定される散乱プロファイルのギニエ(Guiner)プロットによって求められる相分離構造のサイズRg(平均値)は3nmであった。
また、このシリコーン系硬化体の動的粘弾性を測定したところ、35℃での貯蔵弾性率E0'.35は1.53×109N/m2であり、290℃での貯蔵弾性率E0'.290は3.27×108N/m2であった。両温度における貯蔵弾性率の比率はE0'.35/E0'.290=4.66であった。
次に、得られたケイ素化合物とエポキシ樹脂と硬化剤の混合液(RW−2)を、Eガラス系ガラスクロス(日東紡製、屈折率1.560)に含浸し、プレス機内で圧力5MPaに維持しながら温度150℃で1時間、さらに温度200℃で1時間かけて熱硬化することによってシリコーン系ガラスクロス複合体シートIIを得た。得られたシリコーン系ガラスクロス複合体シートは、厚さ100μmで、屈折率は1.563であり、透明であった。
また、このシリコーン系ガラスクロス複合体シートの動的粘弾性を測定したところ、35℃での貯蔵弾性率E1'.35は5.37×109N/m2であり、290℃での貯蔵弾性率E1'.290は4.17×109N/m2であった。両温度における貯蔵弾性率の比率はE1'.35/E1'.290=1.29であった。また、熱的機械的特性測定装置によって得られる熱膨張率から計算される平均線膨張係数は25ppm/Kであった。
〔製造例3〕
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン30.0gとフェニルメトキシシラン32.7gと水13.7gとギ酸3.14gとテトラヒドロフラン30gを300mlの2口フラスコに仕込み、70℃のオイルバスにて還流し3時間反応させた。反応終了後、減圧下で濃縮して反応性官能基を有するケイ素化合物(以下、SR−3とする)のテトラヒドロフラン溶液53.9gを得た。得られた化合物について、29Si−NMR測定によって得られた直鎖構造(T2)と分岐構造(T3)との構造組成率(T2/T3)は66/34であった。またゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって得られた重量平均分子量(Mw)は1,800であり、エポキシ化率測定方法によって得られたエポキシ当量は401であった。
前記SR−3のテトラヒドロフラン溶液の1.50gと水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製エピクロンEXA−7015)1.20gを室温で混合し、さらにカチオン重合触媒2−ブテニル−1、4−ブテン−スルフォニウムヘキサフルオロアンチマト(旭電化工業株式会社製アデカオプトンCP−66)1.32gを室温で素早く混合することによって得られた混合溶液(以下、RW−3)を、厚さ200μmのスペーサー内に挟み込み、100℃の乾燥機内で2時間乾燥した。その後、プレス機内で圧力5MPaに維持しながら温度150℃で1時間、さらに温度200℃で1時間かけて熱硬化することによってシリコーン系硬化体を得た。得られたシリコーン系硬化体は、厚さ200μmで、屈折率は1.522であり、透明であった。
得られたシリコーン系硬化体のX線小角散乱法(SAXS)によって測定される散乱プロファイルのギニエ(Guiner)プロットによって求められる相分離構造のサイズRg(平均値)は7nmであった。
また、このシリコーン系硬化体の動的粘弾性を測定したところ、35℃での貯蔵弾性率E0'.35は1.18×109N/m2であり、290℃での貯蔵弾性率E0'.290は1.26×108N/m2であった。両温度における貯蔵弾性率の比率はE0'.35/E0'.290=5.4であった。
次に、得られたケイ素化合物とエポキシ樹脂と硬化剤の混合液(RW−3)を、厚さ100μmのTガラス系ガラスクロス(日東紡製、屈折率1.520)に含浸し、100℃の乾燥機内で2時間乾燥した。その後、プレス機内で圧力5MPaに維持しながら温度150℃で1時間、さらに温度200℃で1時間かけて熱硬化することによってシリコーン系ガラスクロス複合体シートIIIを得た。得られたシリコーン系ガラスクロス複合体シートは、厚さ100μmで、屈折率は1.522であり、透明であった。
また、このシリコーン系ガラスクロス複合体シートの動的粘弾性を測定したところ、35℃での貯蔵弾性率E1'.35は6.95×109N/m2であり、290℃での貯蔵弾性率E1'.290は3.71×108N/m2であった。両温度における貯蔵弾性率の比率はE1'.35/E1'.290=1.9であった。また、熱的機械的特性測定装置によって得られる熱膨張率から計算される平均線膨張係数は13ppm/Kであった。
〔比較製造例1〕
水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製エピクロンEXA−7015)1.92gを室温で混合し、さらに4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン(和光純薬工業株式会社製)0.48gを室温で素早く混合することによって得られた混合溶液(以下、RW−4)を、厚さ200μmのスペーサー内に挟み込み、プレス機内で圧力5MPaに維持しながら温度150℃で1時間、さらに温度200℃で1時間かけて熱硬化することによってエポキシ樹脂硬化物を得た。得られたエポキシ樹脂硬化物は、厚さ210μmで、屈折率は1.523であり、透明であった。
得られたエポキシ樹脂硬化物のX線小角散乱法(SAXS)によって測定される散乱プロファイルのギニエ(Guiner)プロットによって求められる相分離構造のサイズRg(平均値)は10nmであった。
また、このエポキシ樹脂硬化物の動的粘弾性を測定したところ、35℃での貯蔵弾性率E0'.35は1.95×109N/m2であり、290℃での貯蔵弾性率E0'.290は3.36×104N/m2であった。両温度における貯蔵弾性率の比率はE0'.35/E0'.290=5.8×104であった。
次に、得られたエポキシ樹脂と硬化剤の混合液(RW−4)を、厚さ100μmのTガラス系ガラスクロス(日東紡製、屈折率1.520)に含浸し、プレス機内で圧力5MPaに維持しながら温度150℃で1時間、さらに温度200℃で1時間かけて熱硬化することによってガラスクロス複合化エポキシ樹脂シートを得た。得られたガラスクロス複合化エポキシ樹脂シートは、製造例1〜3と比較して貯蔵弾性率の変化が大きいことは明らかである。また、熱的機械的特性測定装置によって得られる熱膨張率から計算される平均線膨張係数は159ppm/Kであった。
〔実施例1〕
(マイクロエンボス加工による表示セルの形成)
製造例1で得た厚さ100μmのシリコーン系ガラスクロス複合体シートI−1及びI―2の表面に真空蒸着法によって厚さ0.1μmのITO膜を形成後、UV−オゾン洗浄を施し、有機物等の付着物を除去した。ITO膜を設けた基材I−1の表面に、フィルムアプリケーター(3milの開口部)を用いて、表1に示す熱硬化性前駆体組成物を被覆した。溶媒を蒸発させてTgが室温より低い粘着性のフィルムを後に残すことによって形成する。
マイクロエンボス加工用に、予めパターン形成したステンシル(フォト・ステンシル製、コロラド州コロラド・スプリングス)を雄型として使用し、フレコテ700−NC(Henkel社製)を離型剤として使用した。その後圧力ローラーを使用して60℃にて被覆基材I−1をステンシルによってエンボス加工した。次に被膜の硬化を待って、エンボス加工したシートを型から外し、光学的表面状測定および顕微鏡測定することによって、平均60μm(400dpi)の横断方向ディメンション及び平均25μmの深さを有する適切に規定された表示セルが得られた。
(誘電性溶媒中の色素分散物の調製と表示セルへの充填とシール)
酸化チタン微粒子(石原産業社製PT−301:商品名)(112g)を、無水マレイン酸コポリマー(ベーカー・ヒューX−5231)11.2g、3,4−ジクロロベンゾトリフルオライド24gおよび1,6−ジクロロヘキサン24g(双方ともアルドリッチ製)を含む溶液中、アトライターで粉砕した。同様にして、カーボンブラック12gを、アルキル化ポリビニルピロリドン(ガネックスV216,ISP製)1.2g、3,4−ジクロロベンゾトリフルオライド34g、および1,6−ジクロロヘキサン34g(アルドリッチ製)を含む溶液中、100℃にて粉砕した。得られた電気泳動流体を上記ITO膜を設けた基材I−1上に形成した表示セルアレイに充填した。ノーランド光学接着剤NOA60(ノーランド・プロダクツ・インク、ニュージャージー州ニュー・ブランズウィック)の薄い層で充填した表示セルを被覆した。UV接着剤の余剰分を掻きとって吸収紙できれいにした。次に、ロクタイト・ゼータ7410UV露光ユニットにより約15分間露光し、コートした接着剤を硬化した。表示セルは完全にシールされ、空気のポケットは見られなかった。硬化接着剤の厚さは、ミツトヨ厚さゲージで測定したところ約5〜10μmであった。
(電気泳動ディスプレイの製造と評価)
上記UV接着剤を先に得られたITO膜を設けた基材I―2に塗布して、先に得られた電気泳動流体を充填シールした基材I−1とをラミネートし、UV硬化して、電気泳動ディスプレイを得た。得られた電気泳動ディスプレイに電界を付与し表示性能を評価したところ、短時間で立ち上がり、大きいコントラストの白と黒の交互の画像が観察された。
〔実施例2〕
製造例2で得た厚さ100μmのシリコーン系ガラスクロス複合体シートIIを用いた以外は、実施例1と同様にして電気泳動ディスプレイを得た。
得られた電気泳動ディスプレイに電界を付与し表示性能を評価したところ、短時間で立ち上がり、大きいコントラストの白と黒の交互の画像が観察された。
〔実施例3〕
製造例3で得た厚さ100μmシリコーン系ガラスクロス複合体シートIIIを用いた以外は実施例1と同様にして、電気泳動ディスプレイを得た。
得られた電気泳動ディスプレイに電界を付与し表示性能を評価したところ、短時間で立ち上がり、大きいコントラストの白と黒の交互の画像が観察された。
〔実施例4〕
実施例1と同様にして製造例1で得た厚さ100μmのシリコーン系ガラスクロス複合体シートにITO膜を設けた基板I―3上に前記熱硬化性前駆体組成物を用いて300μm□の開口部(この部分が表示セルとなる)および線幅100μm高さ100μmの隔壁を設け、隔壁及び電極付基板を作製した。その後、該表示セル内に後述の白色粒子群および黒色粒子群をそれぞれ6g/mの密度となるように、自由落下法にて充填した。続いて基板I―3上の隔壁のリブ上に熱硬化型エポキシ接着剤を塗布すると共に、基板I―3及び基板I―4の4辺を熱硬化型エポキシ接着剤を用いてシールした。その後、基板I−3、I−4上に形成した対向電極の位置を合わせて両基板を貼りあわせ、接着剤の硬化を行った。以上により作製した画像表示板は、基板の外形寸法が90mm×60mm、シール部の外形寸法が84mm×54mm、幅1mmで表示部の外形寸法が80mm×50mmであるものとなった。
画像表示板の電極間に所定の電圧を印加して画像を表示させたところ、短時間で立ち上がり、大きいコントラストの黒と白の交互の画像が観察された。
黒色粒子群の調製
アクリルウレタン樹脂EAU53B(亜細亜工業製)/IPDI系架橋剤エクセルハードナーHX(亜細亜工業製)にカーボンブラック4phr、荷電制御剤ボントロンN07(オリエント化学製)2phrを添加し、混練り後、ジェットミルにて粉砕分級して粒子を作製した。
粒子の平均粒子径は9.2μmであり、表面電荷密度は+25μC/m2であった。
白色粒子群の調製
アクリルウレタン樹脂EAU53B(亜細亜工業製)/IPDI系架橋剤エクセルハードナーHX(亜細亜工業製)に、酸化チタン10phr、荷電制御剤ボントロンE89(オリエント化学製)2phrを添加し、混練り後、ジェットミルにて粉砕分級して粒子を作製した。
粒子の平均粒子径は7.1μmで、表面電荷密度は−25μC/m2であった。
〔比較例1〕
比較製造例1で得た厚さ100μmのガラスクロス複合化エポキシ樹脂シート−1及び−2の表面に真空蒸着法によって厚さ0.1μmのITO膜を形成したところ、基材の熱変形が大きく、その後の工程へすすむことが出来ず、情報表示ディスプレイの製造に失敗した。
Figure 2010025981
本発明情報表示パネルの製造方法により得られる情報表示パネルは、電子ブック、電子新聞等の電子ペーパー等として好適に用いることができ、更にはこれら情報表示パネルの薄型化、軽量化が可能となり、生産効率も大幅に向上する。

Claims (3)

  1. 少なくとも一方が透明な2枚の基板と、該基板間に設けられた隔壁によって画成されたセル内に表示媒体を封入し、電界により、表示媒体を移動させて情報を表示する情報表示パネルの製造方法において、1)透明な基板上に熱可塑性または熱硬化性前駆体の層を被覆する工程、2)予めパターン形成した雄型を用いて熱可塑性または熱硬化性前駆体の層をエンボス加工する工程、3)熱可塑性または熱硬化性前駆体の層から型をリリースする工程、4)熱可塑性または熱硬化性前駆体の層を硬化させる工程、を含んで成る方法であって、前記透明な基板が平均線膨張係数30ppm/K以下であることを特徴とする情報表示パネルの製造法。
  2. 前記透明な基板がシリコーン系硬化体(a)とガラスクロス(b)とが複合した構造を有するシリコーン系ガラスクロス複合体シートである請求項1に記載の情報表示パネルの製造法。
  3. 前記シリコーン系ガラスクロス複合体シートが下記の(i)および(ii)の条件を満足する請求項2に記載の情報表示パネルの製造法。
    (i)前記シリコーン系硬化体(a)が、反応性官能基を有するケイ素化合物(a−1)と(a−1)以外のエポキシ基含有の有機化合物(a−2)との架橋硬化反応により得られるものである、
    (ii)前記シリコーン系硬化体(a)の貯蔵弾性率の35℃〜290℃の温度範囲における動的粘弾性の温度依存性が以下の関係式を満足する、
    0'.35/E0'.290≦8
    (ただし、
    0'.35:動的粘弾性測定(引張りモード)による35℃におけるシリコーン系硬化体の
    貯蔵弾性率、
    0'.290:動的粘弾性測定(引張りモード)による290℃におけるシリコーン系硬化体
    の貯蔵弾性率)。
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