JP2010024430A - ポリ乳酸系樹脂組成物及びその成形体、並びにそれらの製造方法 - Google Patents

ポリ乳酸系樹脂組成物及びその成形体、並びにそれらの製造方法 Download PDF

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Shin Serizawa
慎 芹澤
Kazuhiko Inoue
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Abstract

【課題】衝撃強度が向上したポリ乳酸系樹脂組成物の提供。
【解決手段】ポリ乳酸(好ましくはL−乳酸の単位を80モル%以上含む)系樹脂100重量部に対し、分子中に水酸基を有しかつポリオキシエチレン基(例えば、アルキレン基の炭素数1〜4)を有しない非イオン性界面活性剤(好ましくは脂肪酸部分の炭素数が8〜30のソルビタン脂肪酸エステル)を0.1〜20重量部(好ましくはポリ乳酸系樹脂の溶融前あるいは溶融後に直接)添加して得られる組成物とその製造方法、およびこの組成物を成形して得られた成形体とその製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、電機・電子機器等の製品に好適に用いることができるポリ乳酸系樹脂組成物及びその成形体、並びにそれらの製造方法に関する。
近年、環境保全の見地から植物原料の樹脂が注目されている。植物原料の樹脂のなかでも、ポリ乳酸は耐熱性が高く、大量生産が可能なためコストも低く、有用性が高い。
近年、ポリ乳酸の用途は、容器包装や農業用フィルム等のように使用期間が短く、廃棄を前提とした用途や、電気・電子機器のハウジング及び自動車用部品などのように、初期の特性を長期間保持できるような高機能用途まで、多岐にわたっている。
しかし、ポリ乳酸は衝撃強度が低いため、高機能用途に対してはその改善がもとめられている。
ポリ乳酸の改善のための様々な技術が提案されている。
特開平4−335060号公報(特許文献1)には、フィルム、糸、パッケージ材料等、特に食品包装材や医療用途に適用でき、柔軟性を持ったポリマー組成物を提供することを目的とし、ポリ乳酸と可塑剤を含むポリマー組成物が開示されている。この可塑剤としては、フタル酸エステル、脂肪族二塩基酸エステル、リン酸エステル、ヒドロキシ多価カルボン酸エステル、脂肪酸エステル、多価アルコールエステル、エポキシ系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、またはそれらの混合物など、通常の汎用樹脂用の汎用可塑剤が記載されている。また、ポリ乳酸として、ヒドロキシカルボン酸と乳酸とを共重合させたコポリマーを用いたり、ヒドロキシカルボン酸のポリマーをさらに含有させたりすることが記載されている。ヒドロキシカルボン酸としては、グルコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸が挙げられている。
特許第3383256号公報(特許文献2)には、優れた柔軟性、耐熱性、透明性を有し、可塑剤のブリードがないフィルムや包装体を提供することを目的として、ポリ乳酸などの脂肪族ポリエステル系樹脂100重量部に対し、アシル基とアセチル基を含有し水酸基を含まないグリセリン化合物(A)、及びグリセリン2〜10分子の縮合物と炭素数6〜18のカルボン酸との反応生成物(B)から選ばれた少なくとも1種の化合物10〜60重量部を含む脂肪族ポリエステル組成物が開示されている。
特開2005−126701号公報(特許文献3)には、十分な柔軟性および優れた衝撃強さを有し、可塑剤やラクチドのブリードアウト、臭気が抑制された繊維やフィルムを提供することを目的として、結晶性を有するポリ乳酸系重合体(A)と、一分子中に分子量が1500以上のポリ乳酸セグメントを有し、ポリエーテル系および/またはポリエステル系セグメントを有する可塑剤(B)とからなり、可塑剤(B)の割合が組成物全体の5重量%以上30重量%以下であるポリ乳酸系重合体組成物が開示されている。
特開2006−342259号公報(特許文献4)には、成形性、耐熱性に優れるとともに、耐衝撃性を向上させた成形体を提供することを目的として、ポリ乳酸系樹脂(A)100重量部に対し、結晶化促進剤としてトリメシン酸トリアミド化合物(B)0.05〜5重量部、耐衝撃性改良剤として水酸基を除いて得られるグリセリン誘導体(C)1〜15重量部を含むポリ乳酸系樹脂組成物が開示されている。
特開2002−188000号公報(特許文献5)には、ガスバリア性、透明性、難燃性に優れたフィルムを提供することを目的として、層間に非イオン性界面活性剤を含有するケイ酸塩を0.5〜40重量%と、脂肪族ポリエステルを60〜99.5重量%含有する樹脂組成物が開示されている。この非イオン性界面活性剤としては、親水部と疎水部とから構成され、親水部として、エチレンオキサイド(EO)又はプロピレンオキサイド(PO)あるいはその共重合物や、水酸基(OH)が挙げられ、疎水部としては、長鎖の飽和あるいは不飽和のアルキル基が挙げられている。具体的には、ポリオキシメチレンステアリルエーテルが使用されている。
特開平4−335060号公報 特許第3383256号公報 特開2005−126701号公報 特開2006−342259号公報 特開2002−188000号公報
従来技術によれば、ポリ乳酸系樹脂の衝撃強度の改善効果が不十分であったり、衝撃強度の改善効果がある場合であっても十分な改善効果を得るためには改良剤を多量に添加する必要があるため、ポリ乳酸系樹脂の耐熱性や曲げ強度が大きく低下したりする問題があった。すなわち、耐熱性や曲げ強度等の他の特性の低下を抑えながら、衝撃強度を改善することは困難であった。
本発明の目的は、少量の改良剤の添加で衝撃強度が十分に改善されたポリ乳酸系樹脂組成物の成形体、およびその材料であるポリ乳酸系樹脂組成物を提供することにある。
本発明によれば、以下のポリ乳酸系樹脂組成物およびその成形体、並びにそれらの製造方法が提供される。
(1)ポリ乳酸系樹脂100質量部に対し、分子中に水酸基を有しかつポリオキシエチレン基を有しない非イオン性界面活性剤0.1〜20質量部を含有するポリ乳酸系樹脂組成物。
(2)前記非イオン性界面活性剤は、ポリオキシアルキレン基(アルキレン基の炭素数1〜4)を有していない、上記1項に記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
(3)前記非イオン性界面活性剤中の水酸基量は、非イオン性界面活性剤1gあたり0.01〜20mmolである、上記1項又は2項に記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
(4)前記非イオン性界面活性剤は、脂肪酸部分の炭素数が8〜30のソルビタン脂肪酸エステルである、上記1項から3項のいずれか一項に記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
(5)前記ポリ乳酸系樹脂に、その溶融前あるいは溶融後に直接前記非イオン性界面活性剤を添加し、溶融混合して得られた、上記1項から4項のいずれか一項に記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
(6)前記ポリ乳酸系樹脂は、L−乳酸の単位を80モル%以上含む、上記1項から5項のいずれか一項に記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
(7)上記1項から6項のいずれか一項に記載のポリ乳酸系樹脂組成物を成形して得られた成形体。
(8)成形時の冷却過程あるいは成形後に、前記ポリ乳酸系樹脂のガラス転移温度以上、前記ポリ乳酸系樹脂の融点より20℃低い温度以下に保持する結晶化促進処理を行って得られた、上記7項に記載の成形体。
(9)ポリ乳酸系樹脂100質量部に対し、分子中に水酸基を有しかつポリオキシエチレン基を有しない非イオン性界面活性剤0.1〜20質量部を添加し、溶融混合する、ポリ乳酸系樹脂組成物の製造方法。
(10)前記非イオン性界面活性剤は、ポリオキシアルキレン基(アルキレン基の炭素数1〜4)を有していない、上記9項に記載のポリ乳酸系樹脂組成物の製造方法。
(11)前記非イオン性界面活性剤中の水酸基量は、非イオン性界面活性剤1gあたり0.01〜20mmolである、上記9項又は10項に記載のポリ乳酸系樹脂組成物の製造方法。
(12)前記非イオン性界面活性剤は、脂肪酸部分の炭素数が8〜30のソルビタン脂肪酸エステルである、上記9項から11項のいずれか一項に記載のポリ乳酸系樹脂組成物の製造方法。
(13)前記ポリ乳酸系樹脂に、その溶融前あるいは溶融後に直接前記非イオン性界面活性剤を添加し、溶融混合する、上記9項から12項のいずれか一項に記載のポリ乳酸系樹脂組成物の製造方法。
(14)上記9項から13項のいずれか一項に記載の方法で得られたポリ乳酸系樹脂組成物を成形し、成形時の冷却過程あるいは成形後に、前記ポリ乳酸系樹脂のガラス転移温度以上、前記ポリ乳酸系樹脂の融点より20℃低い温度以下に保持する結晶化促進処理を行う、成形体の製造方法。
本発明によれば、分子中に水酸基を有する非イオン性界面活性剤を少量添加することで、十分に衝撃強度が改善されたポリ乳酸系樹脂組成物の成形体、およびその成形材料であるポリ乳酸系樹脂組成物を提供することができる。
本実施形態のポリ乳酸系樹脂組成物は、分子中に水酸基を有しかつポリオキシエチレン基を有しない非イオン性界面活性剤を、溶融した又は溶融前のポリ乳酸系樹脂中に直接添加し、溶融状態で混合することにより製造することができる。
本実施形態の成形体は、上記ポリ乳酸系樹脂組成物を用いて形成されたものである。この成形体は、ポリ乳酸系樹脂の微結晶が形成されているものが好ましく、成形時又は成形後にポリ乳酸系樹脂の結晶化促進処理を行って、ポリ乳酸系樹脂の微結晶がより一層形成されているものが好ましい。
分子中に水酸基を有しかつポリオキシエチレン基を有しない非イオン性界面活性剤をポリ乳酸系樹脂へ添加することによって、ポリ乳酸系樹脂が微結晶化しやすくなり、このようなポリ乳酸系樹脂組成物からなる成形体はノッチ付の衝撃試験時に白化しやすく、耐熱性や曲げ強度の低下を抑えながら、衝撃強度を改善することができる。
以下に、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[ポリ乳酸系樹脂]
本実施形態のポリ乳酸系樹脂としては、ポリ(L−乳酸)、ポリ(D−乳酸)、これらの混合物、L−乳酸又はD−乳酸の単位を主構成成分とする共重合体を用いることができる。好ましいポリ乳酸系樹脂の分子構造は、ポリ(L−乳酸)又はポリ(D−乳酸)いずれかの単位80〜100モル%とそれぞれの対掌体の乳酸単位0〜20モル%からなるものである。
ポリ乳酸系樹脂が、乳酸と他の単量体との共重合体である場合は、乳酸(D体又は/及びL体)の単位を主構成成分とする共重合体であり、乳酸の単位の含有量は80モル%以上が好ましく、85モル%以上がより好ましく、90モル%以上がさらに好ましく、95モル%以上が特に好ましい。ポリ乳酸系樹脂は、乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体であってもよく、その場合は、乳酸の単位80〜100モル%とヒドロキシカルボン酸の単位0〜20モル%からなるものが好ましく、乳酸の単位85〜100モル%とヒドロキシカルボン酸の単位0〜15モル%からなるものがより好ましく、乳酸の単位90〜100モル%とヒドロキシカルボン酸の単位0〜10モル%からなるものがさらに好ましく、乳酸の単位95〜100モル%とヒドロキシカルボン酸の単位0〜5モル%からなるものが特に好ましい。
本実施形態のポリ乳酸系樹脂は、L−乳酸、D−乳酸、及びヒドロキシカルボン酸等の他の成分の中から必要とする構造に対応するものを選んで原料とし、脱水重縮合することにより得ることができる。好ましくは、乳酸の環状二量体であるラクチド、グリコール酸の環状二量体であるグリコリド及びカプロラクトン等から必要とする構造に対応するものを選んで開環重合することにより得ることができる。ラクチドにはL−乳酸の環状二量体であるL−ラクチド、D−乳酸の環状二量体であるD−ラクチド、D−乳酸とL−乳酸とが環状二量化したメソ−ラクチド及びD−ラクチドとL−ラクチドとのラセミ混合物であるDL−ラクチドがある。本実施形態ではいずれのラクチドも用いることができるが、主原料は、D−ラクチド又はL−ラクチドが好ましい。
本実施形態におけるポリ乳酸系樹脂は、耐熱性の観点から、光学純度90%以上の結晶性ポリ乳酸(A)と光学純度90%未満のポリ乳酸(B)の割合が、重量比(A/B)で、100/0〜10/90が好ましく、100/0〜25/75がより好ましい。
市販されているポリ乳酸樹脂としては、例えば、ユニチカ(株)製、商品名テラマック、三井化学(株)製、商品名レイシア、ネイチャーワークス社製、商品名Nature works等が挙げられる。
これらのポリ乳酸系樹脂の中でも、結晶化速度、物性の観点から、L−乳酸成分又はD−乳酸成分のいずれか一方の高純度品が好ましく、その純度は85モル%以上が好ましく、90モル%以上がより好ましく、95モル%以上がさらに好ましい。特に、L−乳酸成分の高純度品である結晶グレードのものが好ましく、L−乳酸純度95モル%以上のポリ乳酸がより好ましい。
ポリ乳酸系樹脂には、上述の主たる構成成分以外の成分が共重合により含有されていてもよい。
このような主構成成分以外の成分に対応するモノマーとしては、酸成分として、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、メチルテレフタル酸、4,4´−ビフェニルジカルボン酸、2、2´−ビフェニルジカルボン酸、4,4´−ビフェニルエーテルジカルボン酸、4,4´−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4´−ジフェニルスルフォンジカルボン酸、4,4´−ジフェニルイソプロピリデンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸;アジピン酸、セバシン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アゼライン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、アイコサン二酸、水添ダイマー酸などの飽和脂肪族ジカルボン酸;フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、ダイマー酸等の不飽和脂肪族ジカルボン酸およびこれらの無水物;1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸などの脂環式ジカルボン酸などが挙げられる。
また、ジオール成分として、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール等の脂肪族ジオール;1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール;ビスフェノールAやビスフェノールS等のビスフェノール類又はそれらのエチレンオキサイド付加体;ハイドロキノン、レゾルシノール等の芳香族ジオール等が挙げられる。
さらには、p−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸、6−ヒドロキシカプロン酸等のヒドロキシカルボン酸や、δ−バレロラクトン、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン等のラクトン化合物が挙げられる。また、ポリ乳酸系樹脂には、難燃性を付与するために有機リン化合物が共重合により含有されていてもよい。
所望の特性が損なわれない範囲の少量であれば、ポリ乳酸系樹脂成分には、他のポリエステル樹脂成分が混合されていてもよい。このようなポリエステル樹脂成分としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリブチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリポリエチレンテレフタレート/シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、シクロヘキシレンジメチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリ(p−ヒドロキシ安息香酸/エチレンテレフタレート)、植物由来の原料である1,3−プロパンジオールからなるポリテトラメチレンテレフタレート等が挙げられる。
本実施形態のポリ乳酸系樹脂組成物には、ポリ乳酸系樹脂成分の末端基を封鎖して耐湿熱性、耐衝撃性、成形性等を向上させる目的で、イソシアネート基を含有したカルボジイミド化合物から選ばれる1種類以上の化合物を配合してもよい。イソシアネート基を含有した化合物の配合範囲は、ポリ乳酸系樹脂100質量部に対して、0.5〜20質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましく、1〜3質量部が特に好ましい。この配合量が0.5質量部未満であると十分な添加効果が得られず、一方20質量部を超えてもそれ以上の効果は得られない。
イソシアネート基を含有するカルボジイミド化合物は、分子中に1個以上のカルボジイミド基を有する化合物にイソシアネート基が導入された構造を有し、このような構造を有していれば特に限定されないが、そのカルボジイミド骨格としては、N,N´−ジ−o−トリイルカルボジイミド、N,N´−ジオクチルデシルカルボジイミド、N,N´−ジ−2,6−ジメチルフェニルカルボジイミド、N−トリイル−N´−シクロヘキシルカルボジイミド、N−トリイル−N´−フェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−p−ニトロフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−p−ヒドロキシフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−シクロヘキシルカルボジイミド、N,N´−ジ−p−トリイルカルボジイミド、p−フェニレン−ビス−ジ−o−トリイルカルボジイミド、4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド、テトラメチルキシリレンカルボジイミド、N,N−ジメチルフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドなどが挙げられる。
イソシアネート基を有するカルボジイミド化合物は、従来の方法で製造でき、ジイソシアネート化合物を原料とする脱二酸化炭素反応を伴うカルボジイミド反応により製造することができる。このとき、モノイソシアネート等で末端封鎖処理を行わなければ、末端にイソシアネート基を有するカルボジイミド化合物が得られる。イソシアネート基の濃度は特に限定されない。このような化合物としては、日清紡社製LA−1(イソシアネート基を1〜3%含む脂肪族カルボジイミド化合物)等が市販されている。
[非イオン性界面活性剤]
本実施形態における非イオン性界面活性剤は、ポリ乳酸系樹脂の衝撃強度向上に優れる点で、分子中に水酸基を有し、且つポリオキシエチレン基を有しないことが好ましい。
このような非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレン基を有しないことに加えて、ポリオキシメチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシブチレン基を含むポリオキシアルキレン基(アルキレン基の炭素数1〜4)を有していないことがより好ましい。
分子中に水酸基を有する非イオン性界面活性剤としては、例えば、水酸基を有するアルキルエーテル、水酸基を有するアルキルフェニルエーテル、水酸基を有するアルキルアリルホルムアルデヒド縮合エーテル、水酸基を有するソルビトール脂肪酸エステル、水酸基を有するソルビタン脂肪酸エステル、水酸基を有するショ糖脂肪酸エステル、水酸基を有する脂肪族アルカノールアミド、水酸基を有するアルキルアミン等が挙げられる。
本実施形態における非イオン性界面活性剤の脂肪族炭化水素基は、ポリ乳酸系樹脂の衝撃強度向上に優れる点で、炭素数3〜30の飽和または不飽和の脂肪族炭化水素基が好ましく、炭素数3〜25の飽和または不飽和の脂肪族炭化水素基がより好ましい。互いに異なる脂肪族炭化水素基を有する2種以上の非イオン性界面活性剤を併用してもよい。特に、脂肪酸エステルにおいては、脂肪酸部分の炭素数は8〜30が好ましく、10〜22がより好ましく、16〜18がさらに好ましい。脂肪酸エステルは、飽和脂肪酸エステルであっても、不飽和脂肪酸エステルであってもよく、これらの混合物であってもよい。
本実施形態における非イオン性界面活性剤の水酸基の量は、ポリ乳酸系樹脂の衝撃強度向上に優れる点で、非イオン性界面活性剤1gあたり0.01〜20mmolが好ましい。より優れた効果を得る点から、この範囲における下限側は、非イオン性界面活性剤1gあたり、0.1mmol以上が好ましく、0.5mmol以上がより好ましく、1mmol以上がさらに好ましく、上限側は10mmol以下が好ましく、3mmol以下がより好ましい。
非イオン性界面活性剤の水酸基によるポリ乳酸系樹脂の衝撃強度向上のメカニズムは、次のように推定している。非イオン性界面活性剤中の水酸基が、ポリ乳酸系樹脂中のエステル基またはカルボキシル基とエステル交換反応または水素結合することで、ポリ乳酸系樹脂の結晶化時に、非イオン性界面活性剤とポリ乳酸系樹脂との複合化物による粒子がポリ乳酸系樹脂中の非結晶部に多数生成し、ポリ乳酸系樹脂が微結晶化する。多数生成した粒子間の距離が数μm程度になりさらにポリ乳酸系樹脂が微結晶化することで、衝撃負荷時にクレーズが発生しミクロクラックが生成しやすくなるため、衝撃強度が向上する。
非イオン性界面活性剤がポリオキシエチレン基あるいはポリオキシアルキレン基を有しないことによるポリ乳酸系樹脂の衝撃強度向上のメカニズムは、次のように考えられる。非イオン性界面活性剤がポリオキシエチレン基を含有しないと、ポリ乳酸系樹脂組成物中で、この界面活性剤とポリ乳酸の複合化物(または界面活性剤)が数μmのオーダーで微分散し、ポリ乳酸が微結晶化しやすくなり、その結果、衝撃負荷時に発生するクラックが小さくなる(ポリ乳酸の結晶が微細化すれば未結晶部も微細化して、未結晶部を伝播するクラックが分散するため)。さらに、界面活性剤とポリ乳酸の複合化物(または界面活性剤)が微分散化することで、衝撃負荷時にクレーズが大量に発生する傾向がある。このようにクラックが小さくなり、クレーズが発生することにより、衝撃強度が向上すると考えられる。これに対し、非イオン性界面活性剤がポリオキシエチレン基を有すると、ポリ乳酸との混和性(混ざりやすさ)が向上して、この界面活性剤(またはポリ乳酸との複合化物)の数μmオーダーでの微分散が困難になる。その結果、衝撃負荷時にクラックが大きくなりクレーズも発生しにくくなるため、衝撃強度が向上しないと考えられる。
分子中に水酸基を有する非イオン性界面活性剤の分子量は、300以上が好ましく、400以上がより好ましく、900以上がさらに好ましく、上限側は特に制限されないが20万以下が好ましく、10万以下がより好ましい。
上述の非イオン性界面活性剤のなかでも、モノオレイン酸ソルビタン、ジオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ジラウリン酸ソルビタン、トリラウリン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、ジステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステルが特に好ましい。
本実施形態のポリ乳酸系樹脂組成物において、分子中に水酸基を有する非イオン性界面活性剤の含有量は、ポリ乳酸系樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部であることが好ましい。この非イオン性界面活性剤の含有量が0.1質量部未満であると、ポリ乳酸系樹脂の衝撃強度の向上が不十分となる傾向にあり、他方、20質量部を越える場合には、ポリ乳酸系樹脂に対する可塑剤的作用が過剰に強く発現するようになるために、剛性が低下したり、成形体からブリードアウトしたり、成形体の外観が損なわれる傾向がある。この非イオン性界面活性剤の含有量が上記範囲内にあれば、ポリ乳酸系樹脂の衝撃強度を十分に向上でき、また成形後の外観も良好である。この界面活性剤は、複数種を併用しても良いが、その場合はトータルの含有量が上記の範囲を満たすことが好ましい。非イオン性界面活性剤の含有量は、より一層の添加効果を得る点から、ポリ乳酸系樹脂100質量部に対して下限側は0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましく、上限側は10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
[結晶核剤]
本実施形態のポリ乳酸系樹脂組成物には、結晶核剤を含有させてもよい。これにより、ポリ乳酸系樹脂の結晶化速度を向上することができる。結晶核剤としては、無機系の結晶核剤または有機系の結晶核剤を使用することができる。
無機系の結晶核剤としては、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、窒化硼素、合成珪酸、珪酸塩、シリカ、カオリン、カーボンブラック、亜鉛華、モンモリロナイト、粘土鉱物、塩基性炭酸マグネシウム、石英粉、ガラスファイバー、ガラス粉、ケイ藻土、ドロマイト粉、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アンチモン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、アルミナ、ケイ酸カルシウム、窒化ホウ素等を挙げることができる。
また、有機系の結晶核剤としては、オクチル酸、トルイル酸、ヘプタン酸、ペラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルチミン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、テレフタル酸、テレフタル酸モノメチルエステル、イソフタル酸、イソフタル酸モノメチルエステル、ロジン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、コール酸等の有機カルボン酸類;上記有機カルボン酸のアルカリ(土類)金属塩等の有機カルボン酸アルカリ(土類)金属塩;ポリエチレンの酸化によって得られるカルボキシル基含有ポリエチレンの金属塩、ポリプロピレンの酸化によって得られるカルボキシル基含有ポリプロピレンの金属塩、エチレンやプロピレン、ブテン−1等のオレフィン類とアクリル酸又はメタクリル酸との共重合体の金属塩、スチレンとアクリル酸又はメタクリル酸との共重合体の金属塩、オレフィン類と無水マレイン酸との共重合体の金属塩、スチレンと無水マレイン酸との共重合体の金属塩等のカルボキシル基金属塩を有する高分子有機化合物;オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、N−オレイルパルミトアミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、N,N’−エチレンビス(ステアロアミド)、エチレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビス−10−ヒドロキシステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビス−9,10−ジヒドロキシステアリン酸アミド、p−キシリレンビス−11,12−ジヒドロキシステアリン酸アミド、p−キシリレンビス−9,10−ジヒドロキシステアリン酸アミド、N,N’−メチレンビス(ステアロアミド)、メチロール・ステアロアミド、エチレンビスオレイン酸アマイド、エチレンビスベヘン酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスラウリン酸アマイド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アマイド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アマイド、ブチレンビスステアリン酸アマイド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジステアリルアジピン酸アミド、N’−ジステアリルセバシン酸アミド、m−キシリレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミド、N,N’−ジステアリルテレフタル酸アミド、N−オレイルオレイン酸アミド、N−ステアリルオレイン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、N−オレイルステアリン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、ジメチトール油アマイド、ジメチルラウリン酸アマイド、ジメチルステアリン酸アマイド等、N,N’−シクロヘキサンビス(ステアロアミド)、N―ラウロイルーL−グルタミン酸―α、γ―n−ブチルアミド等の脂肪族カルボン酸アミド;N−ブチル−N’ステアリル尿素、N−プロピル−N’ステアリル酸尿素、N−アリル−N’ステアリル尿素、N−フェニル−N’ステアリル尿素、N−ステアリル−N’ステアリル尿素等の尿素化合物;3,3−ジメチルブテン、1,3−メチルブテン、1,3−メチルペンテン、1,3−メチルヘキセン、1,3,5,5−トリメチルヘキセン−1などの炭素数5以上の3位分岐α−オレフィン、ならびにビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘキサン、ビニルノルボルナンなどのビニルシクロアルカンの重合体;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール;ポリグリコール酸;セルロース、セルロースエステル、セルロースエーテル等のセルロース系化合物;ポリエステル;ポリカーボネート;リン酸ジフェニル、亜リン酸ジフェニル、リン酸ビス(4−tert−ブチルフェニル)ナトリウム、リン酸メチレン(2,4−tert−ブチルフェニル)ナトリウム等のリン酸又は亜リン酸系有機化合物またはその金属塩;ビス(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(p−エチルベンジリデン)ソルビトール等のソルビトール誘導体;コレステリルステアレート、コレステリロキシステアラミド等のコレステロール誘導体;無水チオグリコール酸;パラトルエンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸アミド、これらの金属塩等のトルエンスルホン酸系化合物を挙げることができる。これらに記載した結晶核剤以外でも、公知のものは使用可能である。
これらの無機系の結晶核剤と有機系の結晶核剤を併用してもよいし、これらの結晶核剤を複数種併用してもよい。
本実施形態のポリ乳酸系樹脂組成物において、結晶核剤の含有量は、特に限定されるものではないが、結晶核剤を含有させる場合は、添加効果の観点から、ポリ乳酸系樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部を含有することが好ましく、0.3〜5質量部を含有することがより好ましく、0.5〜3質量部がより好ましい。
[繊維]
本実施形態のポリ乳酸系樹脂組成物は、繊維を含有してもよい。これにより、耐熱性を高めることができる。繊維を含有させる場合には、耐衝撃性や成形性の点で、ポリ乳酸系樹脂組成物100質量部に対して100質量部以下が好ましく、十分な添加効果を得る点から1質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましい。
この繊維としては、ケナフなどの植物繊維、アラミド繊維や全芳香族ポリエステル繊維といった合成有機繊維、ガラス繊維、金属繊維といった無機繊維を使用することができる。1種の繊維を単独で用いても良く、また2種以上の繊維を混合して使用してもよい。
上記の植物繊維とは、植物に由来する繊維をいい、具体例として、木材、ケナフ、竹、麻類などから得られる繊維を挙げることができる。これらの繊維は、平均繊維長が20mm以下のものが好ましい。また、これらの植物繊維を脱リグニンや脱ペクチンして得られるパルプ等は、熱による分解や変色といった劣化が少ないため特に好ましい。ケナフや竹は、光合成速度が速く成長も速いので、二酸化炭素を多量に吸収できることから、二酸化炭素による地球温暖化、森林破壊という地球問題を同時に解決する手段の一つとしても優れているので、植物繊維の中でも好ましい。
上記の合成有機繊維としては、アラミド繊維やナイロン繊維などのポリアミド繊維、ポリアリレート繊維やポリエチレンテレフタレート繊維、全芳香族ポリエステル繊維などのポリエステル繊維、超高強度ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維などが挙げられる。アラミド繊維やポリアリレート繊維は芳香族化合物であり、他の繊維に比べ耐熱性が高く、かつ高強度であること、淡色であることから樹脂に添加しても意匠性を損なわないこと、比重も低いことから、特に望ましい。
上記の無機繊維としては、炭素繊維、金属繊維、ガラス繊維、金属ケイ酸塩、無機酸化物繊維、無機窒化物繊維などが挙げられる。
上記の各繊維の形状は、繊維断面が円状であってもよいが、多角形、不定形あるいは凹凸のある形状のものでアスペクト比が高いものや、繊維径の小さいものが、樹脂との接合面積が大きくなるため、望ましい。
また、上記の各繊維には必要に応じて、基材となる樹脂との親和性または繊維間の絡み合いを高めるために、表面処理を施すことができる。表面処理方法としては、シラン系、チタネート系などのカップリング剤による処理、オゾンやプラズマ処理、アルキルリン酸エステル型の界面活性剤による処理などが有効である。しかしながら、これらに限定されるものではなく、充填材の表面改質に通常使用できる処理方法が適用可能である。
上記の各繊維の平均繊維長(破砕片を除く繊維の数平均繊維長)は、100μm〜20mmの範囲が好ましく、0.1mm〜10mmの範囲がより好ましい。また、300μm〜20mmの繊維長の繊維を含むことが好ましい。
[その他の成分]
本実施形態のポリ乳酸系樹脂組成物には、必要に応じて、顔料、熱安定剤、酸化防止剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、充填剤、抗菌剤、防かび剤を添加することができる。これらは、樹脂添加剤として通常使用されるものを用いることができ、また、ポリ乳酸系樹脂組成物にこれらを配合する方法は特に限定されない。
熱安定剤や酸化防止剤としては、たとえばヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物が挙げられる。
難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、無機系難燃剤が使用できるが、環境を配慮した場合、非ハロゲン系難燃剤の使用が望ましい。非ハロゲン系難燃剤としては、リン系難燃剤、水和金属化合物(水酸化アルミ、水酸化マグネシウム)、窒素含有化合物(メラミン系、グアニジン系)、無機系化合物(硼酸塩、モリブデン化合物)が挙げられる。
無機充填材としては、タルク、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライト、ハイドロタルサイト、窒化ホウ素、チタン酸カリウム、窒化硼素、グラファイト等が挙げられる。有機充填材としては、澱粉、セルロース微粒子、木粉、おから、籾殻、フスマ等の天然に存在するポリマーやこれらの変性品が挙げられる。
抗菌剤としては、銀イオン、銅イオン、これらを含有するゼオライトなどを使用できる。
[ポリ乳酸系樹脂組成物の製造方法]
本実施形態のポリ乳酸系樹脂組成物中の各種配合成分の混合方法には、特に制限はなく、公知の混合機、たとえばタンブラー、リボンブレンダー、単軸や二軸の混練機等による混合や、押出機、ロール等による溶融混合が挙げられる。
分子中に水酸基を有する非イオン性界面活性剤は、溶融したポリ乳酸系樹脂、もしくは、溶融前のポリ乳酸系樹脂に直接添加することが好ましい。この非イオン性界面活性剤と他成分とを予め混合すると、例えば層状珪酸塩の層間に分子中に水酸基を有する非イオン性界面活性剤を事前に含ませると、層状珪酸塩の極性基と非イオン性界面活性剤中の水酸基とが反応してしまい、ポリ乳酸系樹脂の衝撃強度が向上しない場合がある。そのため、水酸基を有する非イオン性界面活性剤はポリ乳酸系樹脂に直接添加することが好ましく、水酸基と反応性を持つ他成分の添加前に添加することがより好ましい。
混練温度および混練時間は、適宜設定することができるが、例えば、ポリ乳酸系樹脂の融点+5℃以上、ポリ乳酸系樹脂の融点+100℃以下の範囲、20秒〜30分の範囲に設定することができる。
[ポリ乳酸系樹脂成形体の製造方法]
上記本実施形態のポリ乳酸系樹脂組成物を用いて、射出成形法、フィルム成形法、ブロー成形法、発泡成形法などの方法により、電化製品の筐体などの電気・電子機器用途、建材用途、自動車部品用途、日用品用途、医療用途、農業用途、玩具・娯楽用途などの種々の用途に好適な成形体に加工できる。
本実施形態の成形体の形状、厚みや長さ、幅等のサイズは特に制限されず、射出成形品、押出成形品、圧縮成形品、ブロー成形品、シート、フィルム、糸、ファブリック等の所望の成形体を得ることができる。より具体的には、電気・電子機器のハウジング、製品包装用フィルム、各種容器、自動車部品等が挙げられる。また、本実施形態の成形体をシートとして使用する場合には、紙または他のポリマーシートと積層し、多層構造の積層体として使用してもよい。
本実施形態のポリ乳酸系樹脂組成物を成形する方法としては、特に制限はなく、公知の射出成形、射出・圧縮成形、圧縮成形法など、電気・電子機器製品等の各種製品の製造に通常必要とされる成形方法を用いることができる。ポリ乳酸系樹脂と添加剤(配合成分)の溶融混合時や成形時における温度については、基材となる樹脂の溶融温度以上でかつ樹脂や添加剤が熱劣化しない範囲において適宜設定することができる。
本実施形態のポリ乳酸系樹脂組成物は、結晶化を促進させることにより、その衝撃強度を高めることができる。この結晶化促進のためには、成形時の冷却過程あるいは成形後において、前記ポリ乳酸系樹脂のガラス転移温度Tg(℃)以上、前記ポリ乳酸系樹脂の融点Tm(℃)より20℃低い温度以下に保持することが好ましい。
例えば、射出成形時に金型内での冷却過程において結晶化を促進させる方法がある。この方法においては、金型温度をTg以上、好ましくは(Tg+20℃)以上、(Tm−20℃)以下で所定時間保った後、Tg以下に冷却することが好ましい。
また、成形後に熱処理を行って結晶化を促進させる方法がある。この方法においては、Tg以下に冷却された成形体を、Tg以上、好ましくは(Tg+20℃)以上、(Tm−20℃)以下で熱処理することにより結晶化を促進できる。
次に、具体例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
[実施例1〜5及び比較例1〜4]
ポリ乳酸樹脂(ユニチカ(株)製、TE−4000)100質量部に対し、表1に示す非イオン性界面活性剤2質量部を添加し、混練機(栗本鉄工所製、S1ニーダー、混練温度:180℃)を用いて溶融混合し、ペレットを得た。
比較のため、非イオン性界面活性剤を添加しなかった場合のペレット(比較例1)、水酸基を有しない界面活性剤を添加した場合のペレット(比較例2及び3)、水酸基とポリオキシエチレン基を有する界面活性剤を添加した場合のペレット(比較例4)を得た。
これらのペレットを、100℃で4時間乾燥した後、射出成形機(東芝機械(株)製、EC20P−0.4A、成形温度:180℃、金型温度:40℃)を用いて、試験片(125×13×3.2mm)を成形した。
これらの試験片を、100℃の恒温室の中で4時間放置した後、室温まで戻した。
これらの熱処理後の試験片についてノッチ付きアイゾット衝撃強度を測定した。ノッチ付きアイゾット衝撃強度は、JIS K 7110に準拠し、2号Aの切欠き部を形成し、この切欠部から衝撃を加えた際の試験片の吸収エネルギーから衝撃強度を求めた。結果を表1に示す。
表1に示した結果から、ポリ乳酸樹脂に、分子中に水酸基を特定量有しかつポリオキシエチレン基を有しない非イオン性界面活性剤を添加することで、水酸基を有しない非イオン性界面活性剤を添加した場合、および水酸基とポリオキシエチレン基を有する非イオン性界面活性剤を添加した場合よりも、ポリ乳酸系樹脂の衝撃強度を向上できていることがわかる。
Figure 2010024430
*1:比較例4の界面活性剤のオキシエチレン基は、1分子あたり6単位含有。
*2:比較例5の界面活性剤のオキシエチレン基は、1分子あたり20単位含有。
[実施例6〜9、比較例6]
実施例3で用いたトリオレイン酸ソルビタンの添加量を変えた以外は、実施例3と同様の手法でペレットを得、試験片を形成し、衝撃強度を測定した。結果を表2に示す。
表2に示した結果から、トリオレイン酸ソルビタンの添加量が0.2から5質量部の場合、衝撃強度が改善されることがわかる。
尚、トリオレイン酸ソルビタン25質量部とポリ乳酸100質量部との溶融混合を試みたが(比較例6)、ポリ乳酸の大幅な可塑化により、ペレットが安定的に得られなかったため、衝撃強度の測定ができなかった。
Figure 2010024430

Claims (14)

  1. ポリ乳酸系樹脂100質量部に対し、分子中に水酸基を有しかつポリオキシエチレン基を有しない非イオン性界面活性剤0.1〜20質量部を含有するポリ乳酸系樹脂組成物。
  2. 前記非イオン性界面活性剤は、ポリオキシアルキレン基(アルキレン基の炭素数1〜4)を有していない、請求項1に記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
  3. 前記非イオン性界面活性剤中の水酸基量は、非イオン性界面活性剤1gあたり0.01〜20mmolである、請求項1又は2に記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
  4. 前記非イオン性界面活性剤は、脂肪酸部分の炭素数が8〜30のソルビタン脂肪酸エステルである、請求項1から3のいずれか一項に記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
  5. 前記ポリ乳酸系樹脂に、その溶融前あるいは溶融後に直接前記非イオン性界面活性剤を添加し、溶融混合して得られた、請求項1から4のいずれか一項に記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
  6. 前記ポリ乳酸系樹脂は、L−乳酸の単位を80モル%以上含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載のポリ乳酸系樹脂組成物を成形して得られた成形体。
  8. 成形時の冷却過程あるいは成形後に、前記ポリ乳酸系樹脂のガラス転移温度以上、前記ポリ乳酸系樹脂の融点より20℃低い温度以下に保持する結晶化促進処理を行って得られた、請求項7に記載の成形体。
  9. ポリ乳酸系樹脂100質量部に対し、分子中に水酸基を有しかつポリオキシエチレン基を有しない非イオン性界面活性剤0.1〜20質量部を添加し、溶融混合する、ポリ乳酸系樹脂組成物の製造方法。
  10. 前記非イオン性界面活性剤は、ポリオキシアルキレン基(アルキレン基の炭素数1〜4)を有していない、請求項9に記載のポリ乳酸系樹脂組成物の製造方法。
  11. 前記非イオン性界面活性剤中の水酸基量は、非イオン性界面活性剤1gあたり0.01〜20mmolである、請求項9又は10に記載のポリ乳酸系樹脂組成物の製造方法。
  12. 前記非イオン性界面活性剤は、脂肪酸部分の炭素数が8〜30のソルビタン脂肪酸エステルである、請求項9から11のいずれか一項に記載のポリ乳酸系樹脂組成物の製造方法。
  13. 前記ポリ乳酸系樹脂に、その溶融前あるいは溶融後に直接前記非イオン性界面活性剤を添加し、溶融混合する、請求項9から12のいずれか一項に記載のポリ乳酸系樹脂組成物の製造方法。
  14. 請求項9から13のいずれか一項に記載の方法で得られたポリ乳酸系樹脂組成物を成形し、成形時の冷却過程あるいは成形後に、前記ポリ乳酸系樹脂のガラス転移温度以上、前記ポリ乳酸系樹脂の融点より20℃低い温度以下に保持する結晶化促進処理を行う、成形体の製造方法。
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