JP2010023180A - 工作機械の案内構造用摺動部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリテトラフルオロエチレン樹脂を主成分とした潤滑油併用のシート状摺動部材について、可及的に製造容易な構造とし、または少ない工程で効率の良い製造方法とすること。
【解決手段】工作物の支持台を所定方向に案内する案内面3と、この案内面3に摺接して案内される被案内面と、これら案内面と被案内面との間に保持する潤滑油とを備えた工作機械の案内構造における案内面3または被案内面を形成する摺動部材1において、この摺動部材1がポリテトラフルオロエチレン樹脂を主成分とするシート状基材からなり、このシート状基材の両面を化学処理して接着性を向上させると共に、シート状基材の潤滑油保持面に複数の凸部を設け、これら凸部の頂上部を研磨して複数の摺接用滑面を設けた。
【選択図】図2

Description

この発明は、工作機械のワークテーブルなどを案内する構造に用いられる摺動部材である工作機械の案内構造用摺動部材に関するものである。
一般に、工作物の支持台を案内する案内面と、この案内面に案内される被案内面のいずれかまたは両面は、滑り案内されることが周知であり、例えば被案内面を含フッ素樹脂材が貼付された構造体で形成し、その表面を「きさげ加工」で微細な凹凸面に仕上げた工作機械が知られている(特許文献1)。
特許文献1では、工作機械の案内構造は、ベッドと、ベッド上に配設されたコラムと、軸線が水平に配置され、工具を保持する主軸と、上下方向(Y軸方向)に移動自在にコラムによって支持され、主軸をその軸線中心に回転自在に支持する主軸頭と、主軸軸線方向(Z軸方向)に移動自在にベッド上に配設されたサドルと、Y軸及びZ軸の双方と直交するX軸方向に移動自在にサドル上に配設され、ワークが載置されるテーブルとから構成される。
このような工作機械は、コラムに形成された滑り案内面と主軸頭に形成された滑り案内面との係合関係により主軸頭のY軸方向への移動を案内するY軸滑り案内機構と、ベッドに形成された滑り案内面とサドルに形成された滑り案内面との係合関係によりサドルのZ軸方向への移動を案内するZ軸滑り案内機構と、サドルに形成された滑り案内面とテーブルに形成された滑り案内面との係合関係によりテーブルのX軸方向への移動を案内するX軸滑り案内機構と、主軸頭をY軸方向に移動させるY軸送り機構と、サドルをZ軸方向に移動させるZ軸送り機構と、テーブルをX軸方向に移動させるX軸送り機構とを備えている。
前記した主軸頭には、Y軸滑り案内機構の主軸頭側滑り案内面を構成する摺動部材が取り付けられ、前記サドルには、Z軸滑り案内機構のサドル側滑り案内面を構成する摺動部材が取り付けられ、前記テーブルには、X軸滑り案内機構のテーブル側滑り案内面を構成する摺動部材が取り付けられている。これらの各摺動部材は、合成樹脂製のシート状部材からなり、主軸頭やサドル、テーブルに取り付けられた後、潤滑油の油溜りとなる微小な凹凸を多数有しており、そのような凹凸は、表面(案内面)にきさげ加工によって形成されたものである。
なお、摺動部材は、それぞれの金属構造体に対して接着剤で固定され、各滑り案内機構の互いに係合する滑り案内面は、これらの間に供給された潤滑油の油膜を介して当接している。
このような案内構造を有する工作機械は、各送り機構によって主軸頭,サドル及びテーブルが各案内構造による案内の下に、それぞれ所定の送り方向に移動し、テーブル上のワークは主軸に保持された工具によって加工される。
前述したように、各摺動部材の表面には、きさげ加工によって形成された微小な凹凸が多数形成されており、凹部は潤滑油の油溜りとなるので、滑り案内面間への潤滑油の供給が効率的に行われ、また、主軸頭、サドル及びテーブルの移動に伴うくさび作用によって油膜圧力が生じるので、各滑り案内面同士が直接に接触することは防止されている。これにより、各滑り案内機構について、高い案内精度が得られ、精度の良い加工が行われる。
また、このようなきさげ加工ではないが、エンドミル加工によって表面に多数の凹部が形成された合成樹脂製の摺動部材が提案されており、このような摺動部材を備えた工作機械においても、上記工作機械と同様、滑り案内機構の案内精度が高いことから、高精度にワークが加工される(特許文献2)。
また、工作機械の滑り案内機構に用いられる摺動部材として、ポリテトラフルオロエチレン樹脂を主成分として、銅や銅合金の粉末を含ませて円柱状などの成形体を得て、これを旋削加工してシート状に成形し、これを加熱して金型に押し付けて塑性変形することで複数の凹部が形成された摺動部材が提案されている(特許文献3)。
このような摺動部材を備えた工作機械においても滑り案内機構の案内精度は比較的高いので、高精度にワークを加工できる。
特開平3−149147号公報 特開2003−211333号公報 特開2007−61955号公報
しかし、上記した従来の摺動部材として、ポリテトラフルオロエチレン樹脂を主成分とするシート状基材は、液体に対するぬれ性が非常に悪く、工作機械のサドルやテーブルなどに接着するためには、接着予定の面を化学処理して接着可能にしなければならない。
この際、全面を化学処理されたシート状基材とすると、低摩擦特性が必要な面についてもこの特性が低下し、本来の摺動機能が損なわれたシートになるという問題がある。
一方、このような化学処理は、通常、シート材の要部のみに限定して行なうことは容易でなく、例えばマスキングなどの付加的な処理が別途必要になり、またそのための製造工程の増加やマスキングに用いたテープなどの焼却処理などにも費用や環境負荷の増加があるという問題点がある。
そこで、この発明の課題は、上記した問題点を解決して、ポリテトラフルオロエチレン樹脂を主成分とした潤滑油併用のシート状摺動部材について、少なくとも接着予定の面を接着可能に処理すると共に、その処理の際にマスキングなどの補助用具およびその取り付け・取り外し・廃棄が必要でなく、可及的に製造容易な構造とし、または少ない工程で効率の良い製造方法とすることである。
特に、同シート状摺動部材について、製造工程の増加や補助用具とその処理コストやそれに伴う環境負荷の増加がないように構造を改良し、また効率の良い製造方法とすることである。
上記の課題を解決するために、この発明においては、工作物の支持台を所定方向に案内する案内面と、この案内面に摺接して案内される被案内面と、これら案内面と被案内面との間に保持する潤滑油とを備えた工作機械の案内構造における前記案内面または被案内面を形成する摺動部材において、この摺動部材がポリテトラフルオロエチレン樹脂(以下、PTFEと略記する。)を主成分とするシート状基材からなり、このシート状基材の両面を化学処理して接着性を向上させると共に、前記シート状基材の潤滑油保持面に複数の凸部を設け、これら凸部の頂上部を研磨して複数の摺接用滑面を設けたことを特徴とする工作機械の案内構造用摺動部材としたのである。
上記したように構成されるこの発明の工作機械の案内構造用摺動部材は、シート状基材の両面が化学処理され、接着性を向上させている。この化学処理は、アンモニア化成処理などの周知の化学処理が採用されるが、シート状基材の両面を化学処理するためマスキングテープなどの補助用具を必要としない。
実際に接着する面と反対側の面は、必然的に潤滑油保持面として利用されるが、そのような潤滑油保持面に複数の凸部を設けておくと共に、その頂上部を研磨して複数の摺接用滑面を設ける。
この研磨により、複数の凸部の頂上部が前記したように化学処理されて摺動特性が損なわれていたとしても、研磨されることで化学処理された摺動特性が劣る面が取り除かれ、取り除かれたことによって現れるその頂上部が摺接用滑面になる。従って、前記化学処理の際に、マスキングの必要がないのである。すなわち、この発明の工作機械の案内構造用摺動部材は、製造簡単な構造であり、マスキングに用いる物の処理などによる製造コストや環境負荷の増加がない構造となる。
工作機械の案内構造用に好ましい摺動性と耐圧縮クリープ特性を得るたるめに、シート状基材が、PTFEを主成分とし、銅成分70重量%以上の銅合金粉末を35〜60重量%含有する樹脂組成物からなることが好ましい。
銅成分70重量%以上の銅合金粉末の配合割合が、35重量%未満の少量では、耐摩耗性および耐圧縮クリープ特性について充分に改善することはできないが、PTFEの低摩擦係数によってある程度の使用に耐える摺動部材になる。銅合金粉末の配合割合が、60重量%を超える多量に配合しても耐摩耗性の改善はそれ以上になく、PTFEの摩擦特性が所期した程度に発揮され難くなって好ましくない。
また、シート状基材の潤滑油保持面に設ける複数の凸部は、潤滑油保持面上に独立して設けられ、その周囲の潤滑油が潤滑油保持面に流通するよう分散配置して設けられていることが好ましい。
例えば、平面状の潤滑油保持面に複数の凸部を独立させて設け、この複数の凸部頂上に設けた摺接用滑面を同一平面内に配置することが好ましい。
潤滑油保持面上に独立して設けられた凸部の四方は、開放されて平面的に潤滑油流路のネットワークが形成され、このような潤滑油保持面全体に潤滑油を移動自在に保持できる。
そのため、案内面と被案内面との間の一部分に潤滑油が不足しても、その部分の周囲から潤滑油を速やかに補うことができ、また新しい潤滑油を案内面と被案内面との間に供給すると、古い潤滑油と新しい潤滑油が速やかに入れ替わる。
複数の凸部は、例えば高さ350〜650μmの凸部としてシート状基材の圧縮成形によって形成し、これを接着したあと、相手材との均一な摺動を行なうため、凸部頂上部を研磨することによって高さ25〜400μmの凸部とすることができるので、工作機械の案内構造用摺動部材は品質や機能の安定したものになる。
このような工作機械の案内構造用摺動部材の製造方法としては、工作機械の案内構造用摺動部材の素材となるPTFEを主成分とするシート状基材の片面に、複数の凸部を圧縮加工により形成し、次いで前記シート状基材の両面を化学処理して接着性を向上させ、これを工作物支持台の案内面を構成する部品またはこの案内面に摺接して案内される被案内面を構成する部品上に接着し、次いで固定されたシート状基材の複数の凸部の頂上部を研磨加工して複数の摺接用滑面が同一面を形成するように調製することができる。
上記の凸部の圧縮加工としては、2つの対接する圧縮成形ロール間を通過させるロールプレスによる成形加工を採用することが、効率よく正確な製法として好ましい。その際に凸部の高さが350〜650μmであるようにすることが、粗面化と研磨加工によって摺接用滑面を確実に形成するために好ましい。
この発明は、PTFEを主成分とするシート状基材の片面または両面を化学処理して接着性を向上させると共に、シート状基材の潤滑油保持面に複数の凸部を設け、これら凸部の頂上部を研磨して複数の摺接用滑面を設けたので、工作機械の摺動部材がPTFEの低摩擦特性を有すると共に、潤滑油保持面全体に潤滑油を移動自在に保持できるものであり、しかもシート状基材は、その接着可能な処理の際にマスキングなどの補助用具およびその取り付け・取り外し・廃棄が必要でなく、可及的に製造容易な構造となる利点がある。
シート状基材が、PTFEを主成分とし、所定銅成分量の銅合金粉末を所定量含有する樹脂組成物からなるものでは、耐圧縮クリープ特性に優れた工作機械の案内構造用摺動部材が得られる。
複数の凸部が、それぞれ独立して潤滑油保持面全体に分散配置され、各凸部周囲の潤滑油流通路が潤滑油保持面全体に連通している工作機械の案内構造用摺動部材は、潤滑油の滞留がなく潤滑効果が低下することがない。
複数の凸部が、シート状基材の圧縮成形によって形成されたものは、機械加工するのに比べて量産性に優れ、また、機械加工で使用する切削油等を使用しないので接着面における接着可能処理の接着特性が低下しない。
複数の凸部頂上に設けた摺接用滑面を同一平面内に配置したものでは、低摩擦特性がより効率よく安定して発揮される。
研磨された後の複数の凸部が、高さ25〜400μmの凸部であると、潤滑油の保持性と流動性が極めて適当な状態に維持される。
化学処理が、アンモニア化成処理によるものでは、接着効果が優れている。
この発明の工作機械の案内構造用摺動部材の製造方法に係る発明では、接着可能な処理の際にマスキングなどの補助用具およびその取り付け・取り外し・使用後の廃棄が必要でなく、製造工程の簡易化や補助用具とその処理コストやそれに伴う環境負荷の増加がなく、効率の良い製造方法となる利点がある。
凸部の圧縮加工が、ロールプレスによる製造方法の発明では、潤滑油保持面に複数の凸部を形成することが迅速にかつ正確に行なえ、さらに凸部を所定の高さであるように形成するために圧縮加工を採用すると、研磨加工時の凸部の損壊を抑制できる。
以下に、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1および図2に示すように、実施形態は、工作物の支持台であるテーブル16を案内するサドル15側の案内面3と、この案内面3に摺接して案内される被案内面と、これら案内面3と被案内面との間に介在させる潤滑油Oとを備えた工作機械の案内構造において、案内面3または被案内面を形成するポリテトラフルオロエチレン樹脂を主成分とするシート状基材からなる摺動部材1であり、この摺動部材1のシート状基材をPTFE系の焼結体で形成している。
さらに、図3〜5に示すように、焼結体の平面状の潤滑油保持面5に多数の凸部2を独立させて設け、シート状基材の片面または両面に化学処理層を設けて要部の接着性を向上させると共に、凸部2の頂上を研磨して摺接用滑面6を所定の高さdに設けて、これらの摺接用滑面6を全て同一の平面内に、すなわち均等な高さdで配置している。
図1に示すように、工作機械10は、ベッド11と、ベッド11上に配設されたコラム12と、コラム12に支持され、上下方向(Z軸方向)に移動自在となった主軸頭13と、軸線がZ軸と平行となるように且つ当該軸線中心に回転自在に主軸頭13によって支持された主軸14と、ベッド11上に配設され、水平方向(Y軸方向)に移動自在となったサドル15と、サドル15上に配設され、Z軸及びY軸の双方と直交するX軸方向に移動自在となったテーブル16などから構成されており、主軸14には工具Tが装着され、前記テーブル16にはワークWが載置されている。
また、工作機械10は、主軸頭13のZ軸方向への移動を案内するZ軸案内機構20と、サドル15のY軸方向への移動を案内するY軸案内機構21と、テーブル16のX軸方向への移動を案内するX軸案内機構25と、主軸頭13をZ軸方向に移動させるZ軸送り機構(図示せず)と、サドル15をY軸方向に移動させるY軸送り機構(図示せず)と、テーブル16をX軸方向に移動させるX軸送り機構(図示せず)とを備えている。
Z軸案内機構20は、主軸頭13の裏面にZ軸に沿って配設されたガイドレール20aと、コラム12の上部前面に固設され、このガイドレール20aに移動自在に係合したスライダ20bとからなる。
Y軸案内機構21は、ベッド11の上面にY軸方向に沿って形成された滑り案内面22と、サドル15の下面にY軸方向に沿って形成され、前記ベッド側滑り案内面22と移動自在に係合する滑り案内部23とからなり、この滑り案内部23には、ベッド側滑り案内面22と当接する摺動部材1がベッド側滑り案内面22との対向部全面に渡って設けられている。
X軸案内機構25は、サドル15の上面にX軸方向に沿って形成された案内面3と、テーブル16の下面にX軸方向に沿って形成され、サドル側の案内面3と摺動状態で案内される摺動部材1の表面の被案内面とからなる。すなわち、摺動部材1は、サドル側の案内面3との対向部全面に渡って設けられ、被案内面はサドル側の案内面3と当接する。
摺動部材1は、ベッド側滑り案内面22やサドル側の案内面3との当接面が滑り案内されるように機能するものであり、摺動部材1の接触部(滑り案内面)とベッド側滑り案内面22との間や、摺動部材1の接触部(滑り案内面)とサドル側の案内面3との間に適宜供給された潤滑油を介してベッド側滑り案内面22やサドル側案内面3に当接している。詳細にみると、潤滑油Oは、摺動部材1の潤滑油保持面5に移動自在に保持されている。
摺動部材1は、PTFEを主成分とし、かつ銅や銅合金の粉末を35〜60重量%含んだシート状の部材から構成されており、接触部(滑り案内面)を有する凸部2の周囲は四方が開放された潤滑油の流路が形成されている。銅や銅合金の粉末は、その粒径が2μm〜150μmであることが均一分散させるために好ましく、2μm〜75μmであれば、摺動部材の表面粗さが小さくできるのでより好ましい。
このような摺動部材1は、円柱状の焼結成形体を旋削加工して得られたシート状基材や、押し出し成形されたシート状基材を、当該シート状基材を常温または加温した条件で所定圧力にて押圧することによって表面に凹凸を圧縮成形することで得ることができる。
例えば、図6に示すように、シート状基材30を上ロール31と下ロール32からなる2つの対接する圧縮成形ロール間を通過させるロールプレスによる圧縮成形加工を採用できる。上ロール31の表面には、凸部形成のための型穴(図示せず)が形成されており、そのような型穴によって凸部33の高さが350〜650μmであるように加工することが粗面化と研磨加工によって摺接用滑面6を確実に形成するために好ましい。
次に、図7(a)(b)に示すように、得られたシート状基材30の両面を含む全面を化学処理して接着性を向上させる。化学処理は、コロナ放電処理、スパッタエッチング処理、プラズマエッチング処理、アンモニア化成処理などの表面エッチング処理、紫外線照射処理等を採用することが可能であり、特に液体アンモニアに金属ナトリウムなどのアルカリ金属を約1%含む溶液に数秒程度浸漬するというアンモニア化成処理を採用すれば、効率のよい処理工程で接着力が充分に高くなるので好ましい。
図7(c)に示すように、摺動部材1は、その両方の表面が化学処理層34によって接着可能になり、エポキシ系接着剤などの適当な接着剤を用い、接着剤層35を介して滑り案内部23のサドル15または滑り案内部27のテーブル16に接着固定された後 (または滑り案内部23のベッド11または滑り案内部27のサドル15であってもよい。)、摺接に要する面の凸部の頂上部を研磨して化学処理層34を除去し、摺接用滑面6として平滑に仕上げる。
前記の接着剤としては、周知な接着剤を適宜に採用可能であるが、上記したエポキシ系接着剤の他、フェノール系接着剤、ビニルエーテル系接着剤、ビニルアセタール系接着剤なども挙げられる。
因みに、シート状基材30がPTFEを主成分としているのは、各種合成樹脂の中でPTFEの摩擦係数が最も低く、また耐熱性やコスト面でも優れているからである。また、シート状基材30に銅や銅合金の粉末を含ませている理由は、これらが耐圧縮クリープ特性を向上させかつ耐摩耗性を向上させること、また鉄よりも硬度が低い、摩擦係数が低い、材料費が安い、加工し易いといった特徴を有するからである。
また、銅や銅合金を採用するに際して、これらが鉄よりも硬度が低い必要性があるのは、ベッド側滑り案内面22(図1)やサドル側の案内面3が、通常、金属元素としての鉄を含んだ各種の合金から構成されており、摺動部材1に含まれた物質(本例では、銅や銅合金の粉末)によって案内面3、ベッド側滑り案内面22が傷付けられるのを防止するためである。
銅や銅合金の粉末の含有量を35〜60重量%とすることが好ましい理由は、35重量%未満であると、強度(例えば、クリープ面での強度)や耐摩耗性を大きく向上させることができないからであり、60重量%を超えると、PTFEの有する低摩擦特性が損なわれるからである。
また、銅や銅合金の粉末の粒径を150μm以下(100メッシュパス)とすることが好ましい理由は、粒径が150μmを超えると、銅や銅合金の比重が大きいことから、粉末をPTFE中に均一に分散させることができず、強度や耐摩耗性にムラやバラツキを生じるからである。
なお、粉末の粒径について下限値を設ける必要はあまり無いが、常識的な下限値としては2μmである。2μm未満では、当該粉末をPTFE中に充分均一に分散させることが難しいからである。
このように銅や銅合金の粉末の含有量を上記範囲内とすることで、PTFEの有する低摩擦特性を損なうことなく強度や耐摩耗性を向上させることができ、クリープ変形を生じ難くして案内精度の低下を防止することができる。また、銅や銅合金の粉末の粒径を上記範囲内とすることで、粉末をPTFE中に均一に分散させて強度や耐摩耗性を均一にすることができる。
銅合金は、銅と錫または銅と亜鉛からなる銅合金であるので、相手材を摩耗させることがなく高荷重にも十分許容可能な工作機械用摺動部材とすることができる。
摺動部材の厚みtは、0.5mm〜1.5mmとすることが好ましい。その理由は、厚みtが0.5mm未満であると、薄過ぎて厚みtを均一に製造し難くなり、厚みtが1.5mmを超えると、摺動部材1に使用する材料の量が多くなって製造コストが高くなり、また切削加工後のシート材に生じたうねりを除去し難くなって、摺動部材1を摺動面が波打たないように滑り案内部23、27に接着させ難く、滑り案内部23、27への接着面(摺動面とは反対側の面)をムラ無く接着させることが容易でないからである。
前述した凸部の頂上部に対する研磨は、凸部の頂上部を研磨して化学処理層34を除去すると共に、研磨面ができるだけ摩擦係数の低い摺接用滑面6になるように周知の研磨手段を採用すればよい。
凸部2の頂上に設ける摺接用滑面6の高さは、摺動部材1の厚みtの5%〜50%とすることが好ましい。なぜなら、接触部の高さが厚みtの5%未満であると、金属構造体に接着した際の接着剤の塗布ムラにより、当該表面を研削して平滑に仕上げる際に、接触部が消滅する恐れがあり、接触部の高さが50%を超えると、摺動部材の形状が安定しづらくなるからである。具体的には、凸部2の頂上に設ける摺接用滑面6の高さは、25〜400μmである。
したがって、厚みtおよび接触部の高さをそれぞれ上記範囲内とすることで、厚みtが均一の摺動部材1を容易に且つコストを抑えつつ製造することができると共に、接触部の高さによる潤滑油の流路を確保しつつ接触部形成の容易化や効率化を図ることができるものになる。また、摺動部材1の滑り案内部23,27への取り付け(接着)の容易化や効率化を図ることもできる。
また、摺接用滑面6の形状が円または楕円であって、その直径または短径方向長さが3mm〜6mmであることが好ましい。なぜなら、摺接用滑面6の径が3mm未満であると、接触部の数を多くしなければならなくなるため、金型の製造コストが上昇して摺動部材1のコスト上昇を招いて好ましくなく、摺接用滑面6の径が6mmを超えると、接触部面積が広くなり過ぎて、当接面とベッド側滑り案内面22やサドル側案内面3との間に潤滑油の油膜を形成し難くなり、当接面とベッド側滑り案内面22やサドル側の案内面3との間に潤滑油を供給し難くなり、サドル15やテーブル16を円滑に移動させることができないからである。なお、摺接用滑面6の形状が円または楕円であるのは、金型製造上、容易にできる。
したがって、摺接用滑面6の形状を上記範囲内とすることで、金型の製造コストを安くして摺動部材1のコスト上昇を抑えることができると共に、摺動面とベッド側滑り案内面22やサドル側の案内面3との間に潤滑油の油膜を十分に形成し、当接面とベッド側滑り案内面22やサドル側の案内面3との間に潤滑油を十分に供給して、サドル15やテーブル16等の移動構造体を円滑に移動させることができる。
また、摺動部材1は、摺接用滑面6の総面積が、摺動面の20%〜50%を占めるようにすることが好ましい。なぜなら、接触部の総面積が20%未満であると、強度が低下してクリープを生じ易くなり、また、クリープ変形によって案内精度が低下するという問題を生じ、接触部の総面積が50%を超えると、当接面とベッド側滑り案内面22やサドル側案内面3との間に潤滑油を十分に供給することができず、サドル15やテーブル16を円滑に移動させることができないからである。
したがって、摺接用滑面6の総面積を上記範囲内とすることで、当接面とベッド側滑り案内面22やサドル側案内面3との間に潤滑油を十分に供給してサドル15やテーブル16を円滑に移動させることができるとともに、クリープを生じ難くして案内精度の低下を防止することができる。
以上のように構成された工作機械10によれば、Z軸送り機構(図示せず)により主軸頭13が駆動されると、主軸頭13は、ガイドレール20a及びスライダ20bにより案内されてZ軸方向に移動し、Y軸送り機構(図示せず)によりサドル15が駆動されると、サドル15は、摺動部材1を含む滑り案内部23とベッド側滑り案内面22との係合関係により案内されてY軸方向に移動し、X軸送り機構(図示せず)によりテーブル16が駆動されると、テーブル16は、摺動部材1を含む被案内面とサドル側案内面3との係合関係により案内されてX軸方向に移動し、これにより、テーブル16上のワークWが主軸14に保持された工具Tによって加工される。
また、工作機械10によれば、工作機械10の生産性を向上させ、低コスト化を図ることができるとともに、サドル15やテーブル16の案内精度を高めて高精度な加工を実現することができる。
上記した実施形態では、Y軸案内機構21のサドル側滑り案内面として摺動部材1を、X軸案内機構25のテーブル側滑り案内面として摺動部材1を設けたが、これに限られるものではなく、Y軸案内機構21のサドル側滑り案内面やX軸案内機構25のテーブル側滑り案内面には、摺動部材1を用いずに、Y軸案内機構21のベッド側滑り案内面22や、X軸案内機構25のサドル側の案内面3のみに、摺動部材1を用いるようにしても良い。
また、Z軸案内機構20についても、Y軸案内機構21やX軸案内機構25と同様に、摺動部材1を用いた案内機構としても良いが、水平方向の案内面に使用する方が、潤滑油を安定供給できるので好ましい。
また、上記の実施形態では、支持構造体としてベッド11、コラム12およびサドル15を、移動構造体として主軸頭13、サドル15およびテーブル16を一例に挙げて説明したが、支持構造体や移動構造体は、これらに限定されるものではなく、また、立形マシニングセンタと呼ばれるタイプの工作機械10に前記の摺動部材1を設けたが、この摺動部材1は、滑り案内面を備える旋盤や研磨機など各種工作機械に用いることができる。
実施形態の使用状態の説明図 図1の要部を拡大して説明する断面図 実施形態の平面図 図3の丸印IV内の拡大平面図 図4のV-V線の一部拡大断面図 ロールプレスによる成形加工の説明図 (a)〜(c)は実施形態の摺動部材の製造工程を示し、(a)複数の凸部の形成されたシート状基材の拡大断面図、(b)粗面化されたシート状基材を示す拡大断面図、(c)部品上に接着されたシート状基材を示す拡大断面図である。
符号の説明
1 摺動部材
2 凸部
3 案内面
5 潤滑油保持面
6 摺接用滑面
10 工作機械
11 ベッド
12 コラム
13 主軸頭
14 主軸
15 サドル
16 テーブル
20 Z軸案内機構
21 Y軸案内機構
22 ベッド側滑り案内面
23、27 滑り案内部
25 X軸案内機構
30 シート状基材
31 上ロール
32 下ロール
33 凸部
34 化学処理層
35 接着剤層
T 工具
W ワーク
O 潤滑油

Claims (10)

  1. 工作物の支持台を所定方向に案内する案内面と、この案内面に摺接して案内される被案内面と、これら案内面と被案内面との間に保持する潤滑油とを備えた工作機械の案内構造における前記案内面または被案内面を形成する摺動部材において、
    この摺動部材がポリテトラフルオロエチレン樹脂を主成分とするシート状基材からなり、このシート状基材の両面を化学処理して接着性を向上させると共に、前記シート状基材の潤滑油保持面に複数の凸部を設け、これら凸部の頂上部を研磨して複数の摺接用滑面を設けたことを特徴とする工作機械の案内構造用摺動部材。
  2. シート状基材が、ポリテトラフルオロエチレン樹脂を主成分とし、銅成分70重量%以上の銅合金粉末を35〜60重量%含有する樹脂組成物からなる請求項1に記載の工作機械の案内構造用摺動部材。
  3. 複数の凸部が、それぞれ独立して潤滑油保持面に分散配置され、各凸部周囲の潤滑油流通路が潤滑油保持面に連通している請求項1または2に記載の工作機械の案内構造用摺動部材。
  4. 複数の凸部が、シート状基材の圧縮成形によって形成されたものである請求項1〜3のいずれかに記載の工作機械の案内構造用摺動部材。
  5. 複数の凸部頂上に設けた摺接用滑面を同一平面内に配置した1〜3のいずれかに記載の工作機械の案内構造用摺動部材。
  6. 研磨された複数の凸部が、高さ25〜400μmの凸部である請求項1〜3のいずれかに記載の工作機械の案内構造用摺動部材。
  7. 化学処理が、アンモニア化成処理である請求項1〜3のいずれかに記載の工作機械の案内構造用摺動部材。
  8. 工作機械の案内構造用摺動部材の素材となるポリテトラフルオロエチレン樹脂を主成分とするシート状基材の片面に、複数の凸部を圧縮加工により形成し、次いで前記シート状基材の両面を化学処理して接着性を向上させ、これを工作物支持台の案内面を構成する部品またはこの案内面に摺接して案内される被案内面を構成する部品上に接着により固定し、次いで固定されたシート状基材の複数の凸部の頂上部を研磨加工して複数の摺接用滑面を形成することからなる工作機械の案内構造用摺動部材の製造方法。
  9. 凸部の圧縮加工が、2つの対接する圧縮成形ロール間を通過させるロールプレスによる成形加工である請求項8に記載の工作機械の案内構造用摺動部材の製造方法。
  10. 凸部の圧縮加工が、凸部の高さが350〜650μmであるように形成する圧縮加工である請求項8または9に記載の工作機械の案内構造用摺動部材の製造方法。
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