JP2009248235A - 工作機械の案内構造用摺動部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】潤滑油が適当に分散するように移動し、円滑に摺動状態が保たれるようにし、案内精度の高い工作機械用の摺動部材とすることであり、そのような工作機械の案内構造用摺動部材を生産性に優れたものにする。
【解決手段】工作物の支持台を所定方向に案内する案内面3と、この案内面3に摺接して案内される被案内面4と、これら案内面3と被案内面4との間に介在する潤滑油とを備えた工作機械の案内構造における案内面3または被案内面4を形成する摺動部材1において、この摺動部材1は、ポリテトラフルオロエチレン樹脂を主成分とし、平面状の潤滑油保持面に複数の凸部を独立させて設けた焼結体からなり、複数の凸部頂上に摺接用平面を設けてこれらの摺接用平面を同一平面内に配置する。
【選択図】図2
【解決手段】工作物の支持台を所定方向に案内する案内面3と、この案内面3に摺接して案内される被案内面4と、これら案内面3と被案内面4との間に介在する潤滑油とを備えた工作機械の案内構造における案内面3または被案内面4を形成する摺動部材1において、この摺動部材1は、ポリテトラフルオロエチレン樹脂を主成分とし、平面状の潤滑油保持面に複数の凸部を独立させて設けた焼結体からなり、複数の凸部頂上に摺接用平面を設けてこれらの摺接用平面を同一平面内に配置する。
【選択図】図2
Description
この発明は、工作機械の主軸台や刃物台などを案内する構造に用いられる摺動部材である工作機械の案内構造用摺動部材に関するものである。
一般に、工作物の支持台を案内する案内面と、この案内面に案内される被案内面のいずれかまたは両面は、滑り案内されることが周知であり、例えば被案内面を含フッ素樹脂材を貼付した構造体で形成し、その表面を「きさげ加工」で微細な凹凸面に仕上げた工作機械が知られている(特許文献1)。
特許文献1では、工作機械の案内構造は、ベッドと、ベッド上に配設されたコラムと、軸線が水平に配置され、工具を保持する主軸と、上下方向(Y軸方向)に移動自在にコラムによって支持され、主軸をその軸線中心に回転自在に支持する主軸頭と、主軸軸線方向(Z軸方向)に移動自在にベッド上に配設されたサドルと、Y軸及びZ軸の双方と直交するX軸方向に移動自在にサドル上に配設され、ワークが載置されるテーブルとから構成される。
このような工作機械は、コラムに形成された滑り案内面と主軸頭に形成された滑り案内面との係合関係により主軸頭のY軸方向への移動を案内するY軸滑り案内機構と、ベッドに形成された滑り案内面とサドルに形成された滑り案内面との係合関係によりサドルのZ軸方向への移動を案内するZ軸滑り案内機構と、サドルに形成された滑り案内面とテーブルに形成された滑り案内面との係合関係によりテーブルのX軸方向への移動を案内するX軸滑り案内機構と、主軸頭をY軸方向に移動させるY軸送り機構と、サドルをZ軸方向に移動させるZ軸送り機構と、テーブルをX軸方向に移動させるX軸送り機構とを備えている。
前記した主軸頭には、Y軸滑り案内機構の主軸頭側滑り案内面を構成する摺動部材が取り付けられ、前記サドルには、Z軸滑り案内機構のサドル側滑り案内面を構成する摺動部材が取り付けられ、前記テーブルには、X軸滑り案内機構のテーブル側滑り案内面を構成する摺動部材が取り付けられている。これらの各摺動部材は、合成樹脂製のシート状部材からなり、主軸頭やサドル、テーブルに取り付けられた後、潤滑油の油溜りとなる微小な凹凸を多数有しており、そのような凹凸は、表面(案内面)にきさげ加工によって形成されたものである。
なお、摺動部材は、それぞれの金属構造体に対して接着剤で固定され、各滑り案内機構の互いに係合する滑り案内面は、これらの間に供給された潤滑油の油膜を介して当接している。
なお、摺動部材は、それぞれの金属構造体に対して接着剤で固定され、各滑り案内機構の互いに係合する滑り案内面は、これらの間に供給された潤滑油の油膜を介して当接している。
このような案内構造を有する工作機械は、各送り機構によって主軸頭,サドル及びテーブルが各案内構造による案内の下に、それぞれ所定の送り方向に移動し、テーブル上のワークは主軸に保持された工具によって加工される。
前述したように、各摺動部材の表面には、きさげ加工によって形成された微小な凹凸が多数形成されており、凹部は潤滑油の油溜りとなるので、滑り案内面間への潤滑油の供給が効率的に行われ、また、主軸頭、サドル及びテーブルの移動に伴うくさび作用によって油膜圧力が生じるので、各滑り案内面同士が直接に接触することは防止されている。これにより、各滑り案内機構について、高い案内精度が得られ、精度の良い加工が行われる。
また、このようなきさげ加工ではないが、エンドミル加工によって表面に多数の凹部が形成された合成樹脂製の摺動部材が提案されており、このような摺動部材を備えた工作機械においても、上記工作機械と同様、滑り案内機構の案内精度が高いことから、高精度にワークが加工される(特許文献2)。
また、工作機械の滑り案内機構に用いられる摺動部材として、ポリテトラフルオロエチレン樹脂を主成分として、銅や銅合金の粉末を含ませて円柱状などの成形体を得て、これを旋削加工してシート状に成形し、これを加熱して金型に押し付けて塑性変形することで複数の凹部が形成された摺動部材が提案されている(特許文献3)。
このような摺動部材を備えた工作機械においても滑り案内機構の案内精度は比較的高いので、高精度にワークを加工できる。
このような摺動部材を備えた工作機械においても滑り案内機構の案内精度は比較的高いので、高精度にワークを加工できる。
しかし、上記した従来の摺動部材として、ポリテトラフルオロエチレン樹脂を主成分としたシート材を摺動部材として採用した工作機械では、塑性変形によって複数の凹部を形成する際に、摺動部材のガラス転移点より高く、かつ融点よりも低い温度に加熱され、その後にシート材の一方の表面(当接面)を金型によって所定圧力で押圧して塑性変形させて摺動部材を得ているため、摺動部材の製造に長時間を要し、量産のための生産効率が低いという問題点がある。
また、上記した従来技術では、摺動部材に形成される凹部は、個々に独立して保油機能はあるが、案内面の必要な部分に潤滑油が適当に移動せず、例えば一部分に潤滑油が不足すると、その部分の周囲から潤滑油を補うことは困難であり、また案内面と被案内面との間に新しい潤滑油を供給しても、古い潤滑油と速やかに入れ替えることが困難であるという問題点がある。
そこで、この発明の課題は、上記した問題点を解決して、案内面と被案内面の間の一部分に潤滑油が不足した場合に、その部分には周囲から潤滑油を速やかに補うことができるようにし、また新しい潤滑油を案内面と被案内面との間に供給する場合には、古い潤滑油と新しい潤滑油が速やかに入れ替わるようになる工作機械の案内構造用摺動部材とすることである。
また言い換えれば、この発明では、摺動部材に保持された潤滑油が、適当に分散または移動できるようにしたことで円滑に摺動状態が保たれるようにし、そのような案内精度の高い工作機械用の摺動部材が生産性にも優れたものであるようにすることを課題としている。
上記の課題を解決するために、この発明においては、工作物の支持台を所定方向に案内する案内面と、この案内面に摺接して案内される被案内面と、これら案内面と被案内面との間に介在する潤滑油とを備えた工作機械の案内構造における前記案内面または被案内面を形成する摺動部材において、この摺動部材は、ポリテトラフルオロエチレン樹脂を主成分とし、平面状の潤滑油保持面に複数の凸部を独立させて設けた焼結体からなり、前記複数の凸部頂上に摺接用平面を設けてこれらを同一平面内に配置したことを特徴とする工作機械の案内構造用摺動部材としたのである。
上記したように構成されるこの発明の工作機械の案内構造用摺動部材は、ポリテトラフルオロエチレン樹脂を主成分とする焼結体のシートを、常温または加温した条件で圧縮成形することによって表面に凹凸を形成し、凸部表面を平面研磨することによって所期した高さおよび深さで潤滑油保持面および摺接用平面を成形することができる。
また、摺動部材は、平面状の潤滑油保持面に複数の凸部を独立させて設けたことにより、凸部の四方が開放されて平面的に潤滑油流路のネットワークが形成され、このような潤滑油保持面に潤滑油を移動自在に保持できる。
そのため、案内面と被案内面との間の一部分に潤滑油が不足してもその部分の周囲から潤滑油を速やかに補うことができ、また新しい潤滑油を案内面と被案内面との間に供給すると、古い潤滑油と新しい潤滑油が速やかに入れ替わる。
そして、摺接用平面は、複数の凸部頂上に設けられてこれらは同一平面内に配置されていることにより、潤滑油保持面から潤滑油が均等に補なわれて薄い油膜が常に形成されると共に、ポリテトラフルオロエチレン樹脂を主成分とする焼結体からなるため、摺動部材の素材自体に備わる固体潤滑性によって常に低摩擦係数で摺接する。
また、摺接面を充分な大きさで確保して耐久性を向上させるためにも凸部頂上の総面積が、案内面または被案内面の20〜50%である構成を採用し、凹部の面積を充分に確保することが好ましい。
そして、凸部が、高さ25〜600μmの凸部であることにより、潤滑油の保持性と流動性がより適当な状態に保たれる。
そして、凸部が、高さ25〜600μmの凸部であることにより、潤滑油の保持性と流動性がより適当な状態に保たれる。
また、摺動による接触面に薄い油膜が常に形成されるようにするために、摺接用平面が、円形状または楕円形状の平面であり、前記円形状の直径または楕円形状の短径が3〜6mmである上記構成の工作機械の案内構造用摺動部材とすることが好ましい。
ポリテトラフルオロエチレン樹脂を主成分とする焼結体に用いられる材料組成としては、ポリテトラフルオロエチレン樹脂を主成分とし、銅成分70重量%以上の銅合金粉末を35〜60重量%均一分散状態に含有するものが好ましい。
銅成分70重量%以上の銅合金粉末の配合割合が、35重量%未満の少量では、耐摩耗性について充分に改善することはできないが、ポリテトラフルオロエチレン樹脂の低摩擦係数によってある程度の使用に耐える摺動部材になる。銅合金粉末の配合割合が、60重量%を超える多量に配合しても耐摩耗性の改善はそれ以上になく、ポリテトラフルオロエチレン樹脂の摩擦特性が所期した程度に発揮され難くなって好ましくない。
また、好ましい銅合金の組成としては、銅と錫または銅と亜鉛からなる銅合金であり、このような合金成分は、摺動時の相手材となる鋳鉄の硬度(モース硬度4)未満の合金成分であり、このような柔らかく鋳鉄に対して固体潤滑作用の期待できる金属成分を選択的に採用することが好ましい。
また、銅合金粉末が、粒径150μm以下の銅合金粉末を採用することにより、ポリテトラフルオロエチレン樹脂中に銅合金粉末を均一に分散させることができ、耐摩耗性の改善を充分に図ることができる。なお、銅合金粉末の粒径が2μm未満であってもポリテトラフルオロエチレン樹脂中での均一分散は充分ではなくなるので、2μm以上が好ましいが、実用上は2μm未満の銅合金粉末を考慮する必要性は少ない。
また、銅合金粉末が、粒径150μm以下の銅合金粉末を採用することにより、ポリテトラフルオロエチレン樹脂中に銅合金粉末を均一に分散させることができ、耐摩耗性の改善を充分に図ることができる。なお、銅合金粉末の粒径が2μm未満であってもポリテトラフルオロエチレン樹脂中での均一分散は充分ではなくなるので、2μm以上が好ましいが、実用上は2μm未満の銅合金粉末を考慮する必要性は少ない。
この発明は、工作機械の案内構造用摺動部材をポリテトラフルオロエチレン樹脂を主成分として平面状の潤滑油保持面に複数の凸部を独立させて設けた焼結体で形成したので、案内面と被案内面との間で部分的に潤滑油が不足しても、その部分の周囲から潤滑油を速やかに補うことができ、また新しい潤滑油を案内面と被案内面との間に供給した場合には、古い潤滑油と新しい潤滑油を速やかに入れ替えることのできる工作機械の案内構造用摺動部材となる利点がある。
また、工作機械の案内構造用摺動部材は、潤滑油が適当に分散するように移動して円滑に摺動状態が保たれ、案内精度の高い工作機械用の摺動部材となり、そのような工作機械の案内構造用摺動部材がプレス成形によって生産性に優れたものとなる利点もある。
以下に、この発明の実施形態について、添付図面に基づいて説明する。
図1および図2に示すように、実施形態は、工作物の支持台であるテーブル16を案内するサドル15側の案内面3と、この案内面3に摺接して案内される被案内面4と、これら案内面3と被案内面4との間に介在させる潤滑油Oとを備えた工作機械の案内構造において、案内面3または被案内面4を形成するシート状の摺動部材1であり、この摺動部材1をポリテトラフルオロエチレン樹脂系の焼結体で形成している。
図1および図2に示すように、実施形態は、工作物の支持台であるテーブル16を案内するサドル15側の案内面3と、この案内面3に摺接して案内される被案内面4と、これら案内面3と被案内面4との間に介在させる潤滑油Oとを備えた工作機械の案内構造において、案内面3または被案内面4を形成するシート状の摺動部材1であり、この摺動部材1をポリテトラフルオロエチレン樹脂系の焼結体で形成している。
さらに、図3〜5に示すように、焼結体の平面状の潤滑油保持面5に多数の凸部2を独立させて設け、凸部2の頂上に摺接用平面6を所定の高さdに設けて、これらの摺接用平面6を全て同一の平面内に、すなわち均等な高さdで配置している。
図1に示すように、工作機械10は、ベッド11と、ベッド11上に配設されたコラム12と、コラム12に支持され、上下方向(Z軸方向)に移動自在となった主軸頭13と、軸線がZ軸と平行となるように且つ当該軸線中心に回転自在に主軸頭13によって支持された主軸14と、ベッド11上に配設され、水平方向(Y軸方向)に移動自在となったサドル15と、サドル15上に配設され、Z軸及びY軸の双方と直交するX軸方向に移動自在となったテーブル16などから構成されており、主軸14には工具Tが装着され、前記テーブル16にはワークWが載置されている。
また、工作機械10は、主軸頭13のZ軸方向への移動を案内するZ軸案内機構20と、サドル15のY軸方向への移動を案内するY軸案内機構21と、テーブル16のX軸方向への移動を案内するX軸案内機構25と、主軸頭13をZ軸方向に移動させるZ軸送り機構(図示せず)と、サドル15をY軸方向に移動させるY軸送り機構(図示せず)と、テーブル16をX軸方向に移動させるX軸送り機構(図示せず)とを備えている。
Z軸案内機構20は、主軸頭13の裏面にZ軸に沿って配設されたガイドレール20aと、コラム12の上部前面に固設され、このガイドレール20aに移動自在に係合したスライダ20bとからなる。
Y軸案内機構21は、ベッド11の上面にY軸方向に沿って形成された滑り案内面22と、サドル15の下面にY軸方向に沿って形成され、前記ベッド側滑り案内面22と移動自在に係合する滑り案内部23とからなり、この滑り案内部23には、ベッド側滑り案内面22と当接する摺動部材1がベッド側滑り案内面22との対向部全面に渡って設けられている。
X軸案内機構25は、サドル15の上面にX軸方向に沿って形成された案内面3と、テーブル16の下面にX軸方向に沿って形成され、サドル側の案内面3と摺動状態で案内される摺動部材1の表面の被案内面4とからなる。すなわち、摺動部材1は、サドル側の案内面3との対向部全面に渡って設けられ、被案内面4はサドル側の案内面3と当接する。
摺動部材1は、ベッド側滑り案内面22やサドル側の案内面3との当接面が滑り案内されるように機能するものであり、摺動部材1の接触部(滑り案内面)とベッド側滑り案内面22との間や、摺動部材1の接触部(滑り案内面)とサドル側の案内面3との間に適宜供給された潤滑油を介してベッド側滑り案内面22やサドル側案内面3に当接している。詳細にみると、潤滑油Oは、摺動部材1の潤滑油保持面5に移動自在に保持されている。
摺動部材1は、PTFEを主成分とし、かつ銅や銅合金の粉末を35〜60重量%含んだシート状の部材から構成されており、接触部(滑り案内面)を有する凸部2の周囲は四方が開放された潤滑油の流路が形成されている。銅や銅合金の粉末は、その粒径が2μm〜150μmであることが好ましく、2μm〜75μmであれば、より好ましい。
このような摺動部材1は、円柱状の焼結成形体を旋削加工して得られたシート材や、シート状に成形されたシート材を、当該シート材の一方の表面(摺動面)に常温または加温した条件で所定圧力にて押圧することによって表面に凹凸を形成することで得ることが好ましい。
このようにして得られた摺動部材1は、その他方の表面(摺動面とは反対側の面)が適宜薬品処理され、適宜接着剤を用いて滑り案内部23,27に接着,取り付けられた後、当接面を平滑に仕上げるべく、研削加工される。
なお、PTFEを主成分としているのは、PTFEが、各種合成樹脂の中で摩擦係数が低く、耐熱性やコスト面でも優れているからである。また、銅や銅合金の粉末を含ませている理由は、これらが耐クリープ特性を向上させかつ耐摩耗性を向上させること、また鉄よりも硬度が低い、摩擦係数が低い、材料費が安い、加工し易いといった特徴を有するからである。
また、鉄よりも硬度が低い必要性があるのは、前記ベッド側滑り案内面22やサドル側の案内面3が、通常、金属元素としての鉄を含んだ各種の合金から構成されており、摺動部材1に含まれた物質(本例では、銅や銅合金の粉末)によって案内面3、22が傷付けられるのを防止するためである。
また、銅や銅合金の粉末の含有量を35〜60重量%とすることが好ましい理由は、35重量%未満であると、強度(例えば、クリープ面での強度)や耐摩耗性を大きく向上させることができないからであり、60重量%を超えると、PTFEの有する低摩擦特性が損なわれるからである。
また、銅や銅合金の粉末の粒径を150μm以下(100メッシュパス)とすることが好ましい理由は、粒径が150μmを超えると、銅や銅合金の比重が大きいことから、粉末をPTFE中に均一に分散させることができず、強度や耐摩耗性にムラやバラツキを生じるからである。
なお、下限値は設ける必要は無いが、常識的な下限値としては2μmである。2μm未満では、同様に、当該粉末をPTFE中に均一に分散させることが難しい。
なお、下限値は設ける必要は無いが、常識的な下限値としては2μmである。2μm未満では、同様に、当該粉末をPTFE中に均一に分散させることが難しい。
したがって、銅や銅合金の粉末の含有量を上記範囲内とすることで、PTFEの有する低摩擦特性を損なうことなく強度や耐摩耗性を向上させることができ、クリープ変形を生じ難くして案内精度の低下を防止することができる。また、銅や銅合金の粉末の粒径を上記範囲内とすることで、粉末をPTFE中に均一に分散させて強度や耐摩耗性を均一にすることができる。
銅合金は、銅と錫または銅と亜鉛からなる銅合金であるので、相手材を摩耗させることがなく高荷重にも十分許容可能な工作機械用摺動部材とすることができる。
また、摺動部材の厚みtは、0.5mm〜2.0mmとすることが好ましい。その理由は、厚みtが0.5mm未満であると、薄過ぎて厚みtを均一に製造し難く、厚みtが2.0mmを超えると、摺動部材1に使用する材料の量が多くなって製造コストが高くなったり、切削加工後のシート材に生じたうねりを除去し難くなって、摺動部材1を当接面が波打たないように滑り案内部23、27に接着させたり、滑り案内部23、27への接着面(当接面とは反対側の面)を接着ムラ無く接着させることができなくなるからである。
また、摺動部材の厚みtは、0.5mm〜2.0mmとすることが好ましい。その理由は、厚みtが0.5mm未満であると、薄過ぎて厚みtを均一に製造し難く、厚みtが2.0mmを超えると、摺動部材1に使用する材料の量が多くなって製造コストが高くなったり、切削加工後のシート材に生じたうねりを除去し難くなって、摺動部材1を当接面が波打たないように滑り案内部23、27に接着させたり、滑り案内部23、27への接着面(当接面とは反対側の面)を接着ムラ無く接着させることができなくなるからである。
また、凸部2の頂上に設ける摺接用平面6の高さは、摺動部材1の厚みtの10%〜50%とすることが好ましい。なぜなら、接触部の高さが厚みtの10%未満であると、金属構造体に接着した際の接着剤の塗布ムラにより、当該表面を研削して平滑に仕上げる際に、接触部が消滅する恐れがあり、接触部の高さが50%を超えると、摺動部材の形状が安定しづらくなるからである。
したがって、厚みtおよび接触部の高さをそれぞれ上記範囲内とすることで、厚みtが均一の摺動部材1を容易に且つコストを抑えつつ製造することができると共に、接触部の高さによる潤滑油の流路を確保しつつ接触部形成の容易化や効率化を図ることができるものになる。また、摺動部材1の滑り案内部23,27への取付(接着)の容易化や効率化を図ることもできる。
また、摺接用平面6の形状が円または楕円であり、直径または短径方向長さが3mm〜6mmとしているのは、摺接用平面6の径が3mm未満であると、接触部の数を多くしなければならなくなるため、金型の製造コストが上昇して摺動部材1のコスト上昇を招き、摺接用平面6の径が6mmを超えると、接触部面積が広くなり過ぎて、当接面とベッド側滑り案内面22やサドル側案内面3との間に潤滑油の油膜を形成し難くなり、当接面とベッド側滑り案内面22やサドル側の案内面3との間に潤滑油を供給し難くなり、サドル15やテーブル16を円滑に移動させることができないという問題を生じるからである。なお、摺接用平面6の形状が円または楕円であるのは、金型製造上、容易にできるという理由である。
したがって、摺接用平面6の形状を上記範囲内とすることで、金型の製造コストを安くして摺動部材1のコスト上昇を抑えることができると共に、当接面とベッド側滑り案内面22やサドル側の案内面3との間に潤滑油の油膜を十分に形成し、当接面とベッド側滑り案内面22やサドル側の案内面3との間に潤滑油を十分に供給して、サドル15やテーブル16等の移動構造体を円滑に移動させることができる。
また、摺動部材1は、摺接用平面6の総面積が、摺動面の20%〜50%を占めるようにすることが好ましい。なぜなら、接触部の総面積が20%未満であると、強度が低下してクリープを生じ易くなり、また、クリープ変形によって案内精度が低下するという問題を生じ、接触部の総面積が50%を超えると、当接面とベッド側滑り案内面22やサドル側案内面3との間に潤滑油を十分に供給することができず、サドル15やテーブル16を円滑に移動させることができないからである。
したがって、摺接用平面6の総面積を上記範囲内とすることで、当接面とベッド側滑り案内面22やサドル側案内面3との間に潤滑油を十分に供給してサドル15やテーブル16を円滑に移動させることができるとともに、クリープを生じ難くして案内精度の低下を防止することができる。
以上のように構成された工作機械10によれば、Z軸送り機構(図示せず)により主軸頭13が駆動されると、主軸頭13は、ガイドレール20a及びスライダ20bにより案内されてZ軸方向に移動し、Y軸送り機構(図示せず)によりサドル15が駆動されると、サドル15は、摺動部材1を含む滑り案内部23とベッド側滑り案内面22との係合関係により案内されてY軸方向に移動し、X軸送り機構(図示せず)によりテーブル16が駆動されると、テーブル16は、摺動部材1を含む被案内面4とサドル側案内面3との係合関係により案内されてX軸方向に移動し、これにより、テーブル16上のワークWが主軸14に保持された工具Tによって加工される。
また、工作機械10によれば、工作機械10の生産性を向上させ、低コスト化を図ることができるとともに、サドル15やテーブル16の案内精度を高めて高精度な加工を実現することができる。
また、工作機械10によれば、工作機械10の生産性を向上させ、低コスト化を図ることができるとともに、サドル15やテーブル16の案内精度を高めて高精度な加工を実現することができる。
上記した実施形態では、Y軸案内機構21のサドル側滑り案内面として摺動部材1を、X軸案内機構25のテーブル側滑り案内面として摺動部材1を設けたが、これに限られるものではなく、Y軸案内機構21のサドル側の案内面3やX軸案内機構25のテーブル側滑り案内面には、摺動部材1を用いずに、Y軸案内機構21のベッド側滑り案内面22や、X軸案内機構25のサドル側の案内面3のみに、摺動部材1を用いるようにしても良い。
また、Z軸案内機構20についても、Y軸案内機構21やX軸案内機構25と同様に、摺動部材1を用いた案内機構としても良いが、水平方向の案内面に使用する方が、潤滑油を安定供給できるので好ましい。
また、上記の実施形態では、支持構造体としてベッド11、コラム12およびサドル15を、移動構造体として主軸頭13、サドル15およびテーブル16を一例に挙げて説明したが、支持構造体や移動構造体は、これらに限定されるものではなく、また、立形マシニングセンタと呼ばれるタイプの工作機械10に前記の摺動部材1を設けたが、この摺動部材1は、滑り案内面を備える旋盤や研磨機など各種工作機械に用いることができる。
1 摺動部材
2 凸部
3 案内面
4 被案内面
5 潤滑油保持面
6 摺接用平面
10 工作機械
11 ベッド
12 コラム
13 主軸頭
14 主軸
15 サドル
16 テーブル
20 Z軸案内機構
21 Y軸案内機構
22 ベッド側滑り案内面
23、27 滑り案内部
25 X軸案内機構
T 工具
W ワーク
O 潤滑油
2 凸部
3 案内面
4 被案内面
5 潤滑油保持面
6 摺接用平面
10 工作機械
11 ベッド
12 コラム
13 主軸頭
14 主軸
15 サドル
16 テーブル
20 Z軸案内機構
21 Y軸案内機構
22 ベッド側滑り案内面
23、27 滑り案内部
25 X軸案内機構
T 工具
W ワーク
O 潤滑油
Claims (7)
- 工作物の支持台を所定方向に案内する案内面と、この案内面に摺接して案内される被案内面と、これら案内面と被案内面との間に介在する潤滑油とを備えた工作機械の案内構造における前記案内面または被案内面を形成する摺動部材において、
この摺動部材は、ポリテトラフルオロエチレン樹脂を主成分とし、平面状の潤滑油保持面に複数の凸部を独立させて設けた焼結体からなり、前記複数の凸部頂上に摺接用平面を設けてこれらの摺接用平面を同一平面内に配置したことを特徴とする工作機械の案内構造用摺動部材。 - 凸部の頂上部の総面積が、案内面または被案内面の20〜50%である請求項1に記載の工作機械の案内構造用摺動部材。
- 凸部が、高さ25〜600μmの凸部である請求項1または2に記載の工作機械の案内構造用摺動部材。
- 摺接用平面が、円形状または楕円形状の平面であり、前記円形状の直径または楕円形状の短径が3〜6mmである請求項3に記載の工作機械の案内構造用摺動部材。
- 焼結体が、ポリテトラフルオロエチレン樹脂を主成分とし、銅成分70重量%以上の銅合金粉末を35〜60重量%含有する組成物からなる焼結体である請求項1に記載の工作機械の案内構造用摺動部材。
- 銅合金が、銅と錫または銅と亜鉛からなる銅合金である請求項5に記載の工作機械の案内構造用摺動部材。
- 銅合金粉末が、粒径150μm以下の銅合金粉末である請求項5に記載の工作機械の案内構造用摺動部材。
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-
2008
- 2008-04-04 JP JP2008098187A patent/JP2009248235A/ja active Pending
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