JP2010023091A - マグネットワイヤ用銅線の製造方法及びマグネットワイヤ用銅線並びにマグネットワイヤ - Google Patents

マグネットワイヤ用銅線の製造方法及びマグネットワイヤ用銅線並びにマグネットワイヤ Download PDF

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Abstract

【課題】皮剥ぎ加工前の伸線加工の加工度を最適化することで、樹脂被覆層の膨れ等の欠陥を低減したマグネットワイヤを提供する。
【解決手段】銅溶湯12を連続的に引き上げて鋳造線材18を形成し、鋳造線材18をダイス21を用いて皮剥ぎ加工してマグネットワイヤ用銅線25を得るマグネットワイヤ用銅線の製造方法であって、鋳造線材18を加工度30〜40%で伸線加工した後に皮剥ぎ加工する。
【選択図】図3

Description

本発明は、マグネットワイヤ用銅線の製造方法及びマグネットワイヤ用銅線並びにマグネットワイヤに関するものである。
マグネットワイヤ等に適した線材用銅は、銅鋳塊を圧延加工して製造される(連続鋳造圧延法)銅荒引線等であり、かかる線材用鋼は所定寸法の素線(丸線、平角線等)に加工されたのち樹脂被覆されてマグネットワイヤ等として用いられている。近年では、マグネットワイヤの接続溶接時にガスボイドを生じ難い無酸素銅の要求があり、マグネットワイヤの素線には、接続溶接時にガスボイドが生じない無酸素銅線が使用されている。前記無酸素銅線の製造方法としては、コアロッド(無酸素銅)の外周に無酸素溶銅を連続的に凝固させるディップフォーミング法、或いは、溶銅湯面に配置した鋳型内で溶銅を凝固させて上方に連続的に引き上げる上方引上連続鋳造法(アップキャスト法)等がある。
前記無酸素銅線の表面にはワレ等の微小欠陥が存在する。この微小欠陥は前記無酸素銅線をマグネットワイヤの素線(丸線、平角線等)に加工する際に残存し、樹脂被覆後の焼付工程で樹脂被覆層に膨れ等の欠陥が生じる原因となる。また、平角線においては、平角成形加工の際に圧延方向軸と垂直な方向に残存している微小欠陥が引張応力を受けるため、前記微小欠陥が拡大し易いという問題がある。また、平角線のエッジ部は、樹脂が均一な厚さに被覆されないため、膨れ等の欠陥が生じ易くなってしまうという問題がある。
これに対し、前記無酸素銅線の微小欠陥は、銅鋳塊に含まれる粗大なブローホールが原因で生じるとし、マグネットワイヤ用銅線となる銅鋳塊に含まれるブローホールの内径を3.0mm以下とすること、及び、銅鋳塊を連続圧延する前に、前記銅鋳塊に800〜950℃の温度で圧下率3〜20%の軽圧下圧延を施すことで、樹脂被覆後の樹脂被覆層に膨れ等が生じる原因となる銅鋳塊のブローホールを無害化するといったマグネットワイヤ及びその製造方法がある(特許文献1参照)。
通常、前述した連続鋳造圧延法、ディップフォーミング法或いはアップキャスト法等で製造されたマグネットワイヤ用銅線(荒引線)では、圧延中に発生するワレ欠陥や不規則に押し込まれる酸化膜等の除去を目的として、皮剥ぎ工程(切削工程)が鋳造工程の次工程に組み込まれている(特許文献2参照)。
しかし、無酸素銅線はタフピッチ銅線と比較して皮剥ぎ等の切削性が著しく低いことから、通常、皮剥ぎ工程では、少量切削、複数回切削が行われている。これは、無酸素銅線の切削性が悪いことから、大量の皮剥ぎを一度に行うと、新たにカブリ等の欠陥をも誘発させてしまうことを避けるためである。
このように、従来の無酸素銅線の表面に存在するワレ等の欠陥を抑えるだけでは、樹脂被覆後の焼付工程で樹脂被覆層の膨れ等の欠陥を抑えることができず、皮剥ぎ等の切削不良により発生するカブリ等の欠陥を抑えることが望まれていた。さらには、樹脂の材質により、特に、ピリアミドイミド系の樹脂は、焼付けの際の反応の過程において二酸化炭素が発生するため、樹脂被覆前の線材(丸線、平角線等)の表面に微小欠陥が存在していれば、その微小欠陥を起点として、焼付け時に膨れ等の欠陥が発生し易くなるという問題がある。よって、製造工程で発生する如何なる微小欠陥をも問題視しなければ、樹脂被覆層の膨れを抑制することは困難である。
特開2005−313208号公報 特開平11−010220号公報
皮剥ぎ工程においては、前記無酸素銅線の皮剥ぎ性は前述した各製造方法(連続鋳造圧延法、ディップフォーミング法、アップキャスト法等)によって大きく異なる。そのため、ある特定の皮剥ぎ条件を製造方法の異なる無酸素銅線に適用する場合、安定した品質を得ることは難しいという問題があった。
特に、アップキャスト法により製造した無酸素銅線については、前述した他の製造方法(連続鋳造圧延法、ディップフォーミング法)と比較して、無酸素銅線の結晶粒サイズが原因となり、新たな欠陥等を誘発してしまい、安定した品質を得ることは難しかった。
前述した特許文献1に記載の技術は、前記無酸素銅線(荒引線)の表面にもともと存在する微小欠陥(ブローホール)を無害化することで、樹脂被覆後の焼付工程で樹脂被覆層の膨れ等の欠陥を生じさせる原因となる線材表面の欠陥を低減するものであるが、皮剥ぎ等の切削加工の際に新たに発生する欠陥の低減を図ることは困難であった。
また、無酸素銅線の製造方法の一つであるディップフォーミング法は製造工程が複雑であり、アップキャスト法の方が安価に無酸素銅線を製造することが可能である。
このことから、本発明者らは、アップキャスト法により製造した線材用銅(無酸素銅線)の皮剥ぎ性について検討し、皮剥ぎ性の違いは線材用銅の結晶粒サイズ(線材長手方向の結晶粒長さ)に起因することを見出して本発明をなすに至ったものである。
さらには、本発明者らは、皮剥ぎ加工前の線材に適正な加工度の伸線加工を施すことにより、線材表層の硬さが原因となって皮剥ぎ加工により新たに発生し得る欠陥を抑制するための最適な皮剥ぎ加工条件を選定した。
そこで、本発明の目的は、樹脂被覆層の膨れ等の欠陥を低減したマグネットワイヤを提供し、また、樹脂被覆後の焼付工程で樹脂被覆層に生じ得る膨れ等の欠陥を抑制すべく、皮剥ぎ性の良好なマグネットワイヤ用銅線(無酸素銅線)を提供することにある。また、本発明の目的は、前記上方引上連続鋳造法(アップキャスト法)により製造し得る安価な無酸素銅線を提供することにある。
上記目的を達成するために請求項1の発明は、銅溶湯を連続的に引き上げて鋳造線材を形成し、該鋳造線材をダイスを用いて皮剥ぎ加工してマグネットワイヤ用銅線を得るマグネットワイヤ用銅線の製造方法であって、前記鋳造線材を加工度30〜40%で伸線加工した後に皮剥ぎ加工することを特徴とするマグネットワイヤ用銅線の製造方法である。
請求項2の発明は、1100〜1200℃の銅溶湯を速度4〜5m/minで連続的に引き上げて前記鋳造線材を形成することを特徴とする請求項1に記載のマグネットワイヤ用銅線の製造方法である。
請求項3の発明は、前記鋳造線材の表層における線材長手方向の結晶粒長さが300μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のマグネットワイヤ用銅線の製造方法である。
請求項4の発明は、前記鋳造線材の酸素含有量が0.001wt%以下であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載のマグネットワイヤ用銅線の製造方法である。
請求項5の発明は、請求項1〜4いずれかに記載のマグネットワイヤ用銅線の製造方法を用いて製造したことを特徴とするマグネットワイヤ用銅線である。
請求項6の発明は、請求項5に記載のマグネットワイヤ用銅線の上に、高密着性ポリイミド、ポリアミドイミドの2層構造からなる樹脂被覆層を被覆してなることを特徴とするマグネットワイヤである。
請求項7の発明は、請求項5に記載のマグネットワイヤ用銅線の上に、高密着性ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリアミドイミドの3層構造からなる樹脂被覆層を被覆してなることを特徴とするマグネットワイヤである。
本発明によれば、皮剥ぎ加工前の荒引線材(鋳造線材)に加工度30〜40%の加工度の伸線加工を施すことで、樹脂被覆層の膨れ等の欠陥を低減したマグネットワイヤを得ることが可能となり、また、表層における線材長手方向の結晶粒長さが300μm以下の微細構造とすることで、皮剥ぎ性の良好なマグネットワイヤ用銅線を得ることが可能となる。
以下、本発明の好適な一実施の形態を詳述する。
図1に本発明の一実施形態に係るマグネットワイヤの断面図を示す。図1(a)は丸線のマグネットワイヤを示し、図1(b)は平角線のマグネットワイヤを示す。図2にアップキャスト装置の概略図を示す。
図2に示すように、アップキャスト装置(上方引上連続鋳造装置)10は、金属(銅)を溶解する溶解炉(例えば、電気炉)11と、溶解炉11で溶解された銅溶湯12が溶湯樋13を介して流入する保持炉(例えば、電気炉)14と、下部が保持炉14内の溶銅湯面下に侵入される鋳型15を有する鋳造装置16と、鋳型15内を通過する銅溶湯12を冷却するための冷却水が流れる冷却水通路17と、鋳型15内で凝固させた銅溶湯12を無酸素銅線の荒引線材(鋳造線材)18として上方に引き上げるための引上装置19とを有している。溶解炉11内及び保持炉14内の溶銅湯面には、銅溶湯12の酸化を防止するための酸化防止剤20が配置される。
保持炉14の溶銅湯面に配置した鋳型15内で銅溶湯12を冷却、凝固させて、引上装置19を用いて無酸素銅線の荒引線材18を上方に連続的に引き上げる。
アップキャスト装置10により鋳造する無酸素銅線の荒引線材18は、表層の結晶粒サイズを200〜300μmとし、且つ、酸素含有量を0.001wt%以下(或いは酸素濃度を10ppm以下)とするのが好ましい。
1100〜1200℃の銅溶湯を速度4〜5m/minで連続的に引き上げることで、表層の結晶粒サイズが200〜300μmとなる無酸素銅線の荒引線材18(本実施形態では、線径φ8mm)を得ることができる。
また、溶解炉11内及び保持炉14内の溶銅湯面に酸化防止剤20を配置することで、酸素含有量が0.001wt%以下(或いは酸素濃度が10ppm以下)となる無酸素銅線の荒引線材18を得ることができる。
ここで、図4に示すように、アップキャスト装置10により鋳造した無酸素銅線の荒引線材18の表層における結晶組織は、線材表面から線材内部へ向かって伸びている柱状晶組織であるために、細長い結晶粒となる。そこで、本実施形態では、表層における線材長手方向の結晶粒長さの平均値を前記結晶粒サイズとした。
次に、前記無酸素銅線の荒引線材18を伸線装置により加工度(減面率)30〜40%で伸線加工した後、図3に示すように、伸線加工した線材に皮剥ダイス21(皮剥装置)を用いて皮剥ぎ加工を施した。
皮剥ぎ加工の際に用いる皮剥ダイス21は、線材が通過するダイス孔22が形成されたダイス本体23と、ダイス孔22の線材入口側に配設された切れ刃24とから構成されている。ダイス孔22は、線材の進行方向に向かい拡径するテーパー状に形成されている。皮剥ぎダイス21は、切れ刃24のすくい角θを20〜35°とするのが好ましい。すくい角θとは、線材長手方向と直交する方向に対する切れ刃24の刃面24aの角度である。
次に、皮剥ぎ加工した線材を所定の線径(本実施形態では、線径φ2.6mm)まで伸線装置により伸線加工した後、伸線加工した線材を焼鈍し、その後、焼鈍した線材を丸線或いは平角線に加工することにより、マグネットワイヤ用銅線25(マグネットワイヤ26の導体)(図1参照)を得る。
最後に、図1に示すように、マグネットワイヤ用銅線25(導体)上に樹脂被覆層27、28を被覆し焼き付けてマグネットワイヤ26を製造した。
図1に示すように、本実施形態では、樹脂被覆層は、下層27と上層28の2層構造からなるものである。例えば、樹脂被覆層は、高密着性ポリイミド、ポリアミドイミドの2層構造からなる。
高密着性ポリイミドとしては、PI樹脂の絶縁塗料に、密着性向上剤と呼ばれる添加剤が添加、混合されたものを使用することができる。密着性向上剤としては、導体(マグネットワイヤ用銅線25)と内層(下層27)との密着強度を向上させる作用を奏するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ブチル化メラミン樹脂等のメラミン樹脂類、トリアルキルアミン等のアミン類、メルカプトベンズイミダゾール等のメルカプタン類、ポリカルボジイミド樹脂類、等が挙げられる。また、二種類以上の密着性向上剤を併用して添加するようにしても良い。
また、図示はしないが、樹脂被覆層は、3層構造からなるものであっても良い。例えば、樹脂被覆層は、高密着性ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリアミドイミドの3層構造からなる。
高密着性ポリアミドイミドとしては、ポリアミドイミド樹脂に、チアジアゾール、チアゾール、メルカプトベンズイミダゾール、チオフェノール、チオフォン、チオール、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ブチル化メラミン、ヘテロ環状メルカプタン等の樹脂からなる密着性向上剤のいずれかが混合された混合樹脂を使用することができる。
本実施形態によれば、前記無酸素銅線の荒引線材(鋳造線材)18を加工度30〜40%で伸線加工し、その後に皮剥ぎ加工を施せば、線材をマグネットワイヤ26の導体(マグネットワイヤ用銅線25)に加工(丸線、平角線)し、樹脂(樹脂被覆層27、28)を被覆し焼き付けてマグネットワイヤ26としたときに、樹脂被覆層27、28の膨れ等の欠陥を抑制することができる。
即ち、無酸素銅線はタフピッチ銅と比較して延性が高く、皮剥ぎ等の切削性が著しく低くなるため、線材表層を硬化させることで、切削性を改善することができる。
伸線加工の加工度が低い場合(加工度が30%未満である場合)、線材表層は軟らかい状態で十分硬化せず、皮剥ぎ加工時にカブリ傷が発生し、その結果、マグネットワイヤにしたときの膨れの発生率が高い結果となる。
また、伸線加工の加工度が高い場合(加工度が50%以上である場合)、線材表層は十分に硬化するが、線材表層が硬いことで、皮剥ぎダイス21の切れ刃24の刃先が線材にくい込み、皮剥ぎ加工時に所定の寸法よりも厚く剥げてしまい、皮剥ぎのくずが皮剥ぎダイスに詰まり、線材が断線する結果となる。
また、本実施形態によれば、無酸素銅線の荒引線材18を表層における線材長手方向の結晶粒長さが300μm以下の微細構造とすることで、皮剥ぎ性の良好なマグネットワイヤ用銅線25を得ることが可能となる。
前記無酸素銅線の荒引線材18を皮剥ぎ加工する際、表層における線材長手方向の結晶粒長さ(結晶粒サイズ)が小さい程、切削の起点となる結晶粒界が多数存在し、連続的なせん断変形が容易となり、皮剥ぎ等の切削性が良好となる。よって、マグネットワイヤ用銅線25の表面に新たな欠陥を発生させることなく、且つ、線径φ8mmの荒引線材18に元から存在するワレ等の微小欠陥を除去できる。
逆に、線材表層における線材長手方向の結晶粒長さ(結晶粒サイズ)が大きいと、切削の起点となる結晶粒界が少ないため、切削時の抵抗の変動が大きく、連続的なせん断変形が困難となり、皮剥ぎ性は悪くなる。その結果、マグネットワイヤ用銅線25の表面に新たな欠陥を生じてしまうとともに、線径φ8mmの荒引線材18に元から存在するワレ等の微小欠陥を除去できず、マグネットワイヤ26としたときの膨れの発生率が多くなる。
以下に実施例1〜6と比較例1〜14を表1と共に説明する。
Figure 2010023091
(実施例1)
アップキャスト法により、1150℃の溶湯から速度5.0m/minで鋳造線材を上方に連続的に引き上げて、線径φ8mm、表層の結晶粒サイズ200μmの無酸素銅線の荒引線材を製造した。この荒引線材を加工度30%で伸線加工した後、伸線加工した線材に皮剥ぎ厚さ0.15mmで皮剥ぎ加工を施した。皮剥ぎ加工には皮剥ぎダイスを使用し、ダイスの切れ刃のすくい角を30°とした。また、皮剥ぎ速度は200m/minとした。皮剥ぎ加工後、線径φ2.6mmまで伸線した線材を焼鈍した。その後、焼鈍した線材に平角加工を施し、続いて線材を焼鈍し、最後に線材上に樹脂被覆層を被覆し焼き付けてマグネットワイヤを製造した。樹脂被覆層は、高密着性ポリイミド、ポリアミドイミドの2層構造からなるものとした。
(実施例2)
アップキャスト法により、1150℃の溶湯から速度5.0m/minで鋳造線材を上方に連続的に引き上げて、線径φ8mm、表層の結晶粒サイズ200μmの無酸素銅線の荒引線材を製造した。この荒引線材を加工度40%で伸線加工した後、伸線加工した線材に皮剥ぎ厚さ0.15mmで皮剥ぎ加工を施した。皮剥ぎ加工には皮剥ぎダイスを使用し、ダイスの切れ刃のすくい角を30°とした。また、皮剥ぎ速度は200m/minとした。皮剥ぎ加工後、線径φ2.6mmまで伸線した線材を焼鈍した。その後、焼鈍した線材に平角加工を施し、続いて線材を焼鈍し、最後に線材上に樹脂被覆層を被覆し焼き付けてマグネットワイヤを製造した。樹脂被覆層は、高密着性ポリイミド、ポリアミドイミドの2層構造からなるものとした。
(実施例3)
アップキャスト法により、1150℃の溶湯から速度4.5m/minで鋳造線材を上方に連続的に引き上げて、線径φ8mm、表層の結晶粒サイズ250μmの無酸素銅線の荒引線材を製造した。この荒引線材を加工度30%で伸線加工した後、伸線加工した線材に皮剥ぎ厚さ0.15mmで皮剥ぎ加工を施した。皮剥ぎ加工には皮剥ぎダイスを使用し、ダイスの切れ刃のすくい角を30°とした。また、皮剥ぎ速度は200m/minとした。皮剥ぎ加工後、線径φ2.6mmまで伸線した線材を焼鈍した。その後、焼鈍した線材に平角加工を施し、続いて線材を焼鈍し、最後に線材上に樹脂被覆層を被覆し焼き付けてマグネットワイヤを製造した。樹脂被覆層は、高密着性ポリイミド、ポリアミドイミドの2層構造からなるものとした。
(実施例4)
アップキャスト法により、1150℃の溶湯から速度4.5m/minで鋳造線材を上方に連続的に引き上げて、線径φ8mm、表層の結晶粒サイズ250μmの無酸素銅線の荒引線材を製造した。この荒引線材を加工度40%で伸線加工した後、伸線加工した線材に皮剥ぎ厚さ0.15mmで皮剥ぎ加工を施した。皮剥ぎ加工には皮剥ぎダイスを使用し、ダイスの切れ刃のすくい角を30°とした。また、皮剥ぎ速度は200m/minとした。皮剥ぎ加工後、線径φ2.6mmまで伸線した線材を焼鈍した。その後、焼鈍した線材に平角加工を施し、続いて線材を焼鈍し、最後に線材上に樹脂被覆層を被覆し焼き付けてマグネットワイヤを製造した。樹脂被覆層は、高密着性ポリイミド、ポリアミドイミドの2層構造からなるものとした。
(実施例5)
アップキャスト法により、1150℃の溶湯から速度4.0m/minで鋳造線材を上方に連続的に引き上げて、線径φ8mm、表層の結晶粒サイズ300μmの無酸素銅線の荒引線材を製造した。この荒引線材を加工度30%で伸線加工した後、伸線加工した線材に皮剥ぎ厚さ0.15mmで皮剥ぎ加工を施した。皮剥ぎ加工には皮剥ぎダイスを使用し、ダイスの切れ刃のすくい角を30°とした。また、皮剥ぎ速度は200m/minとした。皮剥ぎ加工後、線径φ2.6mmまで伸線した線材を焼鈍した。その後、焼鈍した線材に平角加工を施し、続いて線材を焼鈍し、最後に線材上に樹脂被覆層を被覆し焼き付けてマグネットワイヤを製造した。樹脂被覆層は、高密着性ポリイミド、ポリアミドイミドの2層構造からなるものとした。
(実施例6)
アップキャスト法により、1150℃の溶湯から速度4.0m/minで鋳造線材を上方に連続的に引き上げて、線径φ8mm、表層の結晶粒サイズ300μmの無酸素銅線の荒引線材を製造した。この荒引線材を加工度40%で伸線加工した後、伸線加工した線材に皮剥ぎ厚さ0.15mmで皮剥ぎ加工を施した。皮剥ぎ加工には皮剥ぎダイスを使用し、ダイスの切れ刃のすくい角を30°とした。また、皮剥ぎ速度は200m/minとした。皮剥ぎ加工後、線径φ2.6mmまで伸線した線材を焼鈍した。その後、焼鈍した線材に平角加工を施し、続いて線材を焼鈍し、最後に線材上に樹脂被覆層を被覆し焼き付けてマグネットワイヤを製造した。樹脂被覆層は、高密着性ポリイミド、ポリアミドイミドの2層構造からなるものとした。
(比較例1)
アップキャスト法により、1150℃の溶湯から速度5.0m/minで鋳造線材を上方に連続的に引き上げて、線径φ8mm、表層の結晶粒サイズ200μmの無酸素銅線の荒引線材を製造した。この荒引線材を加工度20%で伸線加工した後、伸線加工した線材に皮剥ぎ厚さ0.15mmで皮剥ぎ加工を施した。皮剥ぎ加工には皮剥ぎダイスを使用し、ダイスの切れ刃のすくい角を30°とした。また、皮剥ぎ速度は200m/minとした。皮剥ぎ加工後、線径φ2.6mmまで伸線した線材を焼鈍した。その後、焼鈍した線材に平角加工を施し、続いて線材を焼鈍し、最後に線材上に樹脂被覆層を被覆し焼き付けてマグネットワイヤを製造した。樹脂被覆層は、高密着性ポリイミド、ポリアミドイミドの2層構造からなるものとした。
(比較例2)
アップキャスト法により、1150℃の溶湯から速度5.0m/minで鋳造線材を上方に連続的に引き上げて、線径φ8mm、表層の結晶粒サイズ200μmの無酸素銅線の荒引線材を製造した。この荒引線材を加工度50%で伸線加工した後、伸線加工した線材に皮剥ぎ厚さ0.15mmで皮剥ぎ加工を施した。皮剥ぎ加工には皮剥ぎダイスを使用し、ダイスの切れ刃のすくい角を30°とした。また、皮剥ぎ速度は200m/minとした。
(比較例3)
アップキャスト法により、1150℃の溶湯から速度4.5m/minで鋳造線材を上方に連続的に引き上げて、線径φ8mm、表層の結晶粒サイズ250μmの無酸素銅線の荒引線材を製造した。この荒引線材を加工度20%で伸線加工した後、伸線加工した線材に皮剥ぎ厚さ0.15mmで皮剥ぎ加工を施した。皮剥ぎ加工には皮剥ぎダイスを使用し、ダイスの切れ刃のすくい角を30°とした。また、皮剥ぎ速度は200m/minとした。皮剥ぎ加工後、線径φ2.6mmまで伸線した線材を焼鈍した。その後、焼鈍した線材に平角加工を施し、続いて線材を焼鈍し、最後に線材上に樹脂被覆層を被覆し焼き付けてマグネットワイヤを製造した。樹脂被覆層は、高密着性ポリイミド、ポリアミドイミドの2層構造からなるものとした。
(比較例4)
アップキャスト法により、1150℃の溶湯から速度4.5m/minで鋳造線材を上方に連続的に引き上げて、線径φ8mm、表層の結晶粒サイズ250μmの無酸素銅線の荒引線材を製造した。この荒引線材を加工度50%で伸線加工した後、伸線加工した線材に皮剥ぎ厚さ0.15mmで皮剥ぎ加工を施した。皮剥ぎ加工には皮剥ぎダイスを使用し、ダイスの切れ刃のすくい角を30°とした。また、皮剥ぎ速度は200m/minとした。
(比較例5)
アップキャスト法により、1150℃の溶湯から速度4.0m/minで鋳造線材を上方に連続的に引き上げて、線径φ8mm、表層の結晶粒サイズ300μmの無酸素銅線の荒引線材を製造した。この荒引線材を加工度20%で伸線加工した後、伸線加工した線材に皮剥ぎ厚さ0.15mmで皮剥ぎ加工を施した。皮剥ぎ加工には皮剥ぎダイスを使用し、ダイスの切れ刃のすくい角を30°とした。また、皮剥ぎ速度は200m/minとした。皮剥ぎ加工後、線径φ2.6mmまで伸線した線材を焼鈍した。その後、焼鈍した線材に平角加工を施し、続いて線材を焼鈍し、最後に線材上に樹脂被覆層を被覆し焼き付けてマグネットワイヤを製造した。樹脂被覆層は、高密着性ポリイミド、ポリアミドイミドの2層構造からなるものとした。
(比較例6)
アップキャスト法により、1150℃の溶湯から速度4.0m/minで鋳造線材を上方に連続的に引き上げて、線径φ8mm、表層の結晶粒サイズ300μmの無酸素銅線の荒引線材を製造した。この荒引線材を加工度50%で伸線加工した後、伸線加工した線材に皮剥ぎ厚さ0.15mmで皮剥ぎ加工を施した。皮剥ぎ加工には皮剥ぎダイスを使用し、ダイスの切れ刃のすくい角を30°とした。また、皮剥ぎ速度は200m/minとした。
(比較例7)
アップキャスト法により、1150℃の溶湯から速度3.0m/minで鋳造線材を上方に連続的に引き上げて、線径φ8mm、表層の結晶粒サイズ400μmの無酸素銅線の荒引線材を製造した。この荒引線材を加工度20%で伸線加工した後、伸線加工した線材に皮剥ぎ厚さ0.15mmで皮剥ぎ加工を施した。皮剥ぎ加工には皮剥ぎダイスを使用し、ダイスの切れ刃のすくい角を30°とした。また、皮剥ぎ速度は200m/minとした。皮剥ぎ加工後、線径φ2.6mmまで伸線した線材を焼鈍した。その後、焼鈍した線材に平角加工を施し、続いて線材を焼鈍し、最後に線材上に樹脂被覆層を被覆し焼き付けてマグネットワイヤを製造した。樹脂被覆層は、高密着性ポリイミド、ポリアミドイミドの2層構造からなるものとした。
(比較例8)
アップキャスト法により、1150℃の溶湯から速度3.0m/minで鋳造線材を上方に連続的に引き上げて、線径φ8mm、表層の結晶粒サイズ400μmの無酸素銅線の荒引線材を製造した。この荒引線材を加工度30%で伸線加工した後、伸線加工した線材に皮剥ぎ厚さ0.15mmで皮剥ぎ加工を施した。皮剥ぎ加工には皮剥ぎダイスを使用し、ダイスの切れ刃のすくい角を30°とした。また、皮剥ぎ速度は200m/minとした。皮剥ぎ加工後、線径φ2.6mmまで伸線した線材を焼鈍した。その後、焼鈍した線材に平角加工を施し、続いて線材を焼鈍し、最後に線材上に樹脂被覆層を被覆し焼き付けてマグネットワイヤを製造した。樹脂被覆層は、高密着性ポリイミド、ポリアミドイミドの2層構造からなるものとした。
(比較例9)
アップキャスト法により、1150℃の溶湯から速度3.0m/minで鋳造線材を上方に連続的に引き上げて、線径φ8mm、表層の結晶粒サイズ400μmの無酸素銅線の荒引線材を製造した。この荒引線材を加工度40%で伸線加工した後、伸線加工した線材に皮剥ぎ厚さ0.15mmで皮剥ぎ加工を施した。皮剥ぎ加工には皮剥ぎダイスを使用し、ダイスの切れ刃のすくい角を30°とした。また、皮剥ぎ速度は200m/minとした。皮剥ぎ加工後、線径φ2.6mmまで伸線した線材を焼鈍した。その後、焼鈍した線材に平角加工を施し、続いて線材を焼鈍し、最後に線材上に樹脂被覆層を被覆し焼き付けてマグネットワイヤを製造した。樹脂被覆層は、高密着性ポリイミド、ポリアミドイミドの2層構造からなるものとした。
(比較例10)
アップキャスト法により、1150℃の溶湯から速度3.0m/minで鋳造線材を上方に連続的に引き上げて、線径φ8mm、表層の結晶粒サイズ400μmの無酸素銅線の荒引線材を製造した。この荒引線材を加工度50%で伸線加工した後、伸線加工した線材に皮剥ぎ厚さ0.15mmで皮剥ぎ加工を施した。皮剥ぎ加工には皮剥ぎダイスを使用し、ダイスの切れ刃のすくい角を30°とした。また、皮剥ぎ速度は200m/minとした。
(比較例11)
アップキャスト法により、1150℃の溶湯から速度2.5m/minで鋳造線材を上方に連続的に引き上げて、線径φ8mm、表層の結晶粒サイズ500μmの無酸素銅線の荒引線材を製造した。この荒引線材を加工度20%で伸線加工した後、伸線加工した線材に皮剥ぎ厚さ0.15mmで皮剥ぎ加工を施した。皮剥ぎ加工には皮剥ぎダイスを使用し、ダイスの切れ刃のすくい角を30°とした。また、皮剥ぎ速度は200m/minとした。皮剥ぎ加工後、線径φ2.6mmまで伸線した線材を焼鈍した。その後、焼鈍した線材に平角加工を施し、続いて線材を焼鈍し、最後に線材上に樹脂被覆層を被覆し焼き付けてマグネットワイヤを製造した。樹脂被覆層は、高密着性ポリイミド、ポリアミドイミドの2層構造からなるものとした。
(比較例12)
アップキャスト法により、1150℃の溶湯から速度2.5m/minで鋳造線材を上方に連続的に引き上げて、線径φ8mm、表層の結晶粒サイズ500μmの無酸素銅線の荒引線材を製造した。この荒引線材を加工度30%で伸線加工した後、伸線加工した線材に皮剥ぎ厚さ0.15mmで皮剥ぎ加工を施した。皮剥ぎ加工には皮剥ぎダイスを使用し、ダイスの切れ刃のすくい角を30°とした。また、皮剥ぎ速度は200m/minとした。皮剥ぎ加工後、線径φ2.6mmまで伸線した線材を焼鈍した。その後、焼鈍した線材に平角加工を施し、続いて線材を焼鈍し、最後に線材上に樹脂被覆層を被覆し焼き付けてマグネットワイヤを製造した。樹脂被覆層は、高密着性ポリイミド、ポリアミドイミドの2層構造からなるものとした。
(比較例13)
アップキャスト法により、1150℃の溶湯から速度2.5m/minで鋳造線材を上方に連続的に引き上げて、線径φ8mm、表層の結晶粒サイズ500μmの無酸素銅線の荒引線材を製造した。この荒引線材を加工度40%で伸線加工した後、伸線加工した線材に皮剥ぎ厚さ0.15mmで皮剥ぎ加工を施した。皮剥ぎ加工には皮剥ぎダイスを使用し、ダイスの切れ刃のすくい角を30°とした。また、皮剥ぎ速度は200m/minとした。皮剥ぎ加工後、線径φ2.6mmまで伸線した線材を焼鈍した。その後、焼鈍した線材に平角加工を施し、続いて線材を焼鈍し、最後に線材上に樹脂被覆層を被覆し焼き付けてマグネットワイヤを製造した。樹脂被覆層は、高密着性ポリイミド、ポリアミドイミドの2層構造からなるものとした。
(比較例14)
アップキャスト法により、1150℃の溶湯から速度2.5m/minで鋳造線材を上方に連続的に引き上げて、線径φ8mm、表層の結晶粒サイズ500μmの無酸素銅線の荒引線材を製造した。この荒引線材を加工度50%で伸線加工した後、伸線加工した線材に皮剥ぎ厚さ0.15mmで皮剥ぎ加工を施した。皮剥ぎ加工には皮剥ぎダイスを使用し、ダイスの切れ刃のすくい角を30°とした。また、皮剥ぎ速度は200m/minとした。
実施例1〜6、比較例1〜14において、無酸素銅線の荒引線材の表層における線材長手方向の結晶粒長さ(表層の結晶粒サイズ)の制御は、引上装置の速度(線材の引上速度)を変えることで行った。詳しくは、線材の引上速度を速くすることで、表層の結晶粒サイズが小さい無酸素銅線の荒引線材が得られ、線材の引上速度を遅くすることで、表層の結晶粒サイズが大きい無酸素銅線の荒引線材が得られる。
また、保持炉は電気炉であるため、保持炉内の溶湯の温度は常に一定になるように制御した。温度の計測は保持炉内に熱電対を挿入し計測した。
また、実施例1〜6、比較例1、3、5、7〜9、11〜13においては、ポリイミド(トレニース(登録商標)#3000、東レ株式会社製)塗料の樹脂分100重量部に対して密着性向上剤(ブチル化メラミン樹脂)を1重量部添加した高密着性ポリイミドを使用した。
表1に実施例1〜6、比較例1〜14の無酸素銅線の表層の結晶粒サイズ、皮剥ぎ加工前の線材加工度、皮剥ぎ加工時の断線の有無、マグネットワイヤにした時の膨れの発生率、及び総合評価を示す。総合評価は、前記のマグネットワイヤにした時の膨れの発生率が0.30個/km以下のものを◎、0.30個/kmを超えるものを×とした。また、皮剥ぎ加工時に断線が起こったものは総合評価を×とした。
表1に示すように、実施例1〜6において、アップキャスト法で製造された線径φ8mmの荒引線材に皮剥ぎ加工を施したところ、皮剥ぎ性は良好であり、線材表面に新たな欠陥を発生させることなく、且つ荒引線材の表層に元から存在するワレ等の微小欠陥を除去することにより、マグネットワイヤにした時の膨れの発生率は低く良好な結果であった。
比較例において、皮剥ぎ加工前の線材加工度を20%とした比較例1、3、5、7、11は、線材表層に十分な加工を与えられず、線材表層が軟らかい状態であり、皮剥ぎ加工時にカブリ傷が発生し、その結果、マグネットワイヤにしたときの膨れの発生率が高い結果となった。
また、皮剥ぎ加工前の線材加工度を50%とした比較例2、4、6、10、14は、線材表層に十分な加工を与えられ、線材表層を硬くしたが、皮剥ぎダイスの切れ刃の刃先が線材にくい込み、皮剥ぎ加工時に所定の寸法よりも厚く剥げてしまい、皮剥ぎのくずが皮剥ぎダイスに詰まり、線材が断線する結果となった。
比較例8、9、12、13において、表層の結晶粒サイズが大きく(表層における線材長手方向の結晶粒長さが長く)、切削の起点となる結晶粒界が少ないため、切削時の抵抗の変動が大きく、連続的なせん断変形が困難となり、皮剥ぎ性は悪くなる。その結果、線材表面に新たな欠陥が生じてしまうとともに、荒引線材に元から存在するワレ等の微小欠陥を除去できず、マグネットワイヤにした時の膨れの発生率が高い結果となった。
なお、本実施例においては、高密着性ポリイミド、ポリアミドイミドの2層構造の絶縁被覆を有するエナメル線(マグネットワイヤ)を用いて評価を行ったが、高密着性ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリアミドイミドの3層構造の絶縁被覆を有するエナメル線(マグネットワイヤ)を用いた場合にも同様に良好な結果が得られた。
また、本実施例において、表層の結晶粒サイズが「200μm」よりも小さい無酸素銅線の評価を実施していないのは、現状のアップキャスト装置では、表層の結晶粒サイズが「200μm」よりも小さい荒引線材(鋳造線材)を製造することが困難であるためである。
以上の結果から、皮剥ぎ性の良好なマグネットワイヤ用銅線を得るためには、表層における線材長手方向の結晶粒長さが300μm以下(200〜300μm)の微細構造の荒引線材(鋳造線材)とし、樹脂被覆後の焼付工程で樹脂被覆層に生じ得る膨れ等の欠陥を抑制するためには、皮剥ぎ加工前の荒引線材(鋳造線材)に加工度30〜40%の加工度の伸線加工を施す必要があることがわかった。
図1は、本発明の一実施形態に係るマグネットワイヤの断面図である。 図2は、アップキャスト装置の概略図である。 図3は、皮剥ぎダイスのすくい角を示す説明図である。 図4は、無酸素銅線(銅荒引線)の長手方向の断面組織を示す模式図である。
符号の説明
12 銅溶湯
18 無酸素銅線の荒引線材(鋳造線材)
21 皮剥ぎダイス(ダイス)
25 マグネットワイヤ用銅線(マグネットワイヤの導体)
26 マグネットワイヤ
27 樹脂被覆層(下層)
28 樹脂被覆層(上層)

Claims (7)

  1. 銅溶湯を連続的に引き上げて鋳造線材を形成し、該鋳造線材をダイスを用いて皮剥ぎ加工してマグネットワイヤ用銅線を得るマグネットワイヤ用銅線の製造方法であって、前記鋳造線材を加工度30〜40%で伸線加工した後に皮剥ぎ加工することを特徴とするマグネットワイヤ用銅線の製造方法。
  2. 1100〜1200℃の銅溶湯を速度4〜5m/minで連続的に引き上げて前記鋳造線材を形成することを特徴とする請求項1に記載のマグネットワイヤ用銅線の製造方法。
  3. 前記鋳造線材の表層における線材長手方向の結晶粒長さが300μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のマグネットワイヤ用銅線の製造方法。
  4. 前記鋳造線材の酸素含有量が0.001wt%以下であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載のマグネットワイヤ用銅線の製造方法。
  5. 請求項1〜4いずれかに記載のマグネットワイヤ用銅線の製造方法を用いて製造したことを特徴とするマグネットワイヤ用銅線。
  6. 請求項5に記載のマグネットワイヤ用銅線の上に、高密着性ポリイミド、ポリアミドイミドの2層構造からなる樹脂被覆層を被覆してなることを特徴とするマグネットワイヤ。
  7. 請求項5に記載のマグネットワイヤ用銅線の上に、高密着性ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリアミドイミドの3層構造からなる樹脂被覆層を被覆してなることを特徴とするマグネットワイヤ。
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