JP2010022378A - Sporozoeasp.のインビトロ培養のための方法およびそれらの使用 - Google Patents

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Abstract

【課題】インビトロにおいて不死化哺乳細胞のメロゾイトを増殖すること。
【解決手段】本発明は、発生の無性生殖期におけるSporozoea綱の偏性細胞内原虫の連続培養のための方法を提供することによって、課題を解決する。本発明の方法は、以下の工程を含む:Sporozoea種を増殖するのに適した不死化宿主細胞を含む細胞培養系を提供する工程、宿主細胞の感染について有効な条件下で、Sporozoea種の感染段階で宿主細胞を接触する工程、宿主細胞(ここで、この宿主細胞は、食作用によって原虫を取り込み得る)にメロゾイトの増殖をもたす工程、を包含する。
【選択図】なし

Description

(発明の分野)
本方法は、Sporozoea綱およびその属およびそれらの種の、スポロシスト形成原虫の連続培養のための培養系および方法に関する。本発明はまた、ワクチンの使用、アッセイおよび他の用途のために、本発明の培養系および方法によって産生された、メロゾイトおよびオーシストならびに関連したSporazoeaのライフステージ細胞に関する。
(発明の背景)
Sporozoea綱の原虫は、スポロシスト形成原虫を含み、これらの多くは、世界中の動物および人々の無数の疾患の病因である。特に民間の関心事は、Coccidia亜綱、Eucoccidiida目およびEimeriina亜目のSporozoea、ならびにCystoisospora属、Eimeria属、Isospora属、Neospora属、Sarcocystis属、Toxoplasma属、Tyzzeria属およびWenyonella属のスポロシスト形成原虫によって引き起こされた疾患である。
特に、コクシジウム症は動物の腸の疾患であり、Coccidia亜綱(Eimeria属)の原虫寄生体によって引き起こされた家畜(例えば、家禽)を含む。これらは主として、腸管上皮で複製する偏性細胞内原虫寄生体である。これらの寄生体は、単宿主性のライフサイクルを持ち、高い割合で宿主種特異性および組織特異性を示す。全体的に、コクシジウム症に起因する損害および予防投薬の費用の組み合わせは、産業に影響を及ぼす有意な年間経済の損失を生じる。
家畜のコクシジウム症感染症の経済影響は、養鶏業(ここでは、トリの集中的な家屋(intensive housing)が疾患の蔓延となる)で特に厳しい。家禽(fowl)(例えば、家禽(poultry)および他の家畜のトリ)に関しては、Coccidia感染症は、発育阻害および皮膚変色から経済的打撃を生じる。さらに、多数のEimeria種は、環境からの感染性粒子の経口経路を介しておよび/または吸入によって、単一の宿主に感染し得る。一旦摂取すると、寄生体は、腸壁の粘膜層に侵入し、損傷し、その結果、急性罹患を引き起こす(例えば、感染したトリにおいて、発育減少および飼料利用の減少をもたらす)。
Eimeria属、Isospora属、Cystoisospora属またはCryptosporidium属の原虫は、代表的に、これらのライフサイクルを完成するために、単一の宿主を必要とするだけである。自然条件下において、このライフサイクルは、この状況から胞子形成化オーシストの摂取で始まる。摂取された胞子形成化オーシストの細胞壁は、砂嚢の機械的な破壊によって壊され、そして/または腸の酵素によって消化される。スポロシスト内はスポロゾイト(これは、生物体の感染段階にある)である。スポロゾイトは、腸粘膜または他の位置の上皮細胞に侵入する。感染部位は、含まれる種の特性である。
宿主動物の細胞内では、スポロゾイトはまた、分裂小体と呼ばれる多核巨細胞メロントに進化する。各々のメロント核は、メロゾイトと呼ばれる感染体へと発生を行い、新しい細胞に入り、このプロセスを繰り返す。可変数の無性世代の後に、メロゾイトは、小配偶子または大配偶子のいずれかへと発生する。小配偶子は、順番に、大配偶子と受精する多数の小配偶子に発生する。生じた接合体は、強硬な外被を形成することによって被包し、次いで、オーシスト(糞の中で胞子形成をしない)と呼ばれる。適切な環境条件下では、このオーシストは、胞子形成し、感染性になる。次いで、感受性のある動物による摂取によって、このサイクルを繰り返される。
Coccidiaの感染は、種特異な免疫を誘発する。例えば、ニワトリに感染するCoccidia種が7つ知られており、これらのうち6つは、中等度の病原性を重度の病原性にすると考えられている。
従って、家禽(domestic avian)において、以前に曝露していないトリが、疾患の発生(別の種のCoccidiaの導入もしくは新しい種のCoccidiaの導入)をもたらし得る。オーシストは、(実験室方式でそれらを壊し得るが、)pH、界面活性剤、タンパク質分解酵素、糖分解酵素および脂肪分解酵素、機械的な破壊ならびに薬品(例えば、次亜塩素酸ナトリウムおよびニクロム酸カリウム)に対して極度の耐性があり、何週間も宿主の外で生存する。例えば、ニワトリに感染するCoccidia種が7つ知られており、これらのうち6つは、中等度の病原性を重度の病原性にすると考えられている。
多数の方法が、Coccidiaに対して家禽を免疫するために開発されている。市販で成功している全ての方法は、生きている被嚢原虫(しばしば、弱毒化株)の投与に基づく。他の経路が使用されているが、最も一般的な接種経路は経口である。Edgar(特許文献1)は、生存可能なE.tenellaの胞子形成化したオーシストの経口投与によって、ニワトリのワクチン接種を与える。Davisら,特許文献2は、抗Coccidial薬の同時投与の有無にかかわらず、少数の胞子形成化オーシストの連続投与によって、ワクチン接種の方法を与える。
弱毒化は、ニワトリの連続継代によって達成され得る。オーシストの初期形成を示すCoccidia株の選択、および弱毒化は、特許文献3(本明細書中においてその全体が参考として援用される)によって記載されている。
弱毒化スポロシスト株の経口投与はまた、コクシジウム症に対する免疫を与えるために利用されている(特許文献4;McDonald,特許文献3;およびSchmatzら,特許文献5)。弱毒化への代替手段は、非特許文献1に開示され、これは、卵片発生を予防するために、γ放射線で処置されているスポロゾイトの経口投与を与える。
ワクチン接種の非経口的な経路は、脱嚢スポロゾイトの皮下投与または腹腔内投与(Bhogal,特許文献6;Bhogalら,特許文献7)、およびオーシストまたはスポロシストのいずれかの卵内(intra−ovo)投与(Evansら,特許文献8非特許文献2)を含む。Thaxton(特許文献9)は、卵黄嚢注射によって新たに孵化したニワトリへ、オーシストまたはスポロゾイトの投与により、Coccidiaに対するワクチン接種の方法を与える。
ワクチン接種のための生存可能な原虫の必要性は、現在のワクチン接種の方法の全てにおける共通因子である。生存不能な原虫または原虫からの抗原は、臨床的な感染症に対する予防として必要とされる、高水準の免疫を与えることに失敗している。
これまで、生存可能で、生きている原虫(例えば、オーシスト)は、生きていて、インタクトに感染したトリから以前に収集されている。しかし、ワクチン生産について生存可能なCoccidia細胞を産生するために、生きた動物またはいくつかのCoccidia種(ニワトリ(chick)の卵)の使用は、高価でありかつ効率が悪い。
ワクチン生産、および他の目的での使用において、必要な数量のCoccidiaを産生するための経済的で効率的な代替法は、長い間、探求されている。インビトロのCoccidiaの増殖(Propogation)が試みられているが、成功は限られている。Madin Darby Bovine Kidney(MDBK)細胞は、インビトロにおいてEimeriaの増殖を支持すると報告されているが、この発生は、無性発生の1回の複製サイクルに限定される(非特許文献3)。E.acervulina(非特許文献4)およびE meleagrimitis(非特許文献5)ならびにE bovis(Speerら,Z.Parasitenkd,(1973))からのEimeriaオーシストは、初期の宿主誘導性メロゾイトが種菌として使用されている場合に獲得された。しかし、上記に述べたように、感染動物組織由来のメロゾイトを使用する必要性は、これらのアプローチの有用性を限定する。
特許文献10は、E.tenellaおよびE.necatrixの増殖を支持する(しかし、複製はわずか72時間だけに認められた)異常な胚組織由来のニワトリ細胞株を記載する。別の欠点は、ニワトリ由来の不死化細胞株が、生ワクチンを作製するために使用される場合、腫瘍形成能をニワトリに伝える危険性を与えるいうことである。
メロゾイトの限定された継代は、公知である。例えば、特許文献11は、スポロゾイトは、非特許文献6に記載される方法の改変を使用して、細胞凝集物として培養中に増殖する原始ニワトリ腎臓細胞(PCK)に感染する。しかし、この方法によって産生されたメロゾイトが一旦放出されると、この培養は終結する。これは、Eimeria属は同調した増殖を示し、従って、オーシストの放出において、比較的短い期間の後に、メロゾイトの不死化細胞株(すなわち、終結しないメロゾイトの細胞株)を産生するために誘導され得ないという、最新のドグマである。
従って、ワクチン生産および他の試み(endeaver)の使用において、十分なCoccidia細胞を獲得するための経済的で効率的な方法のための長年の探求(longfelt)および長年の必要性が依然として引き続いている。インビトロにおける不死化哺乳細胞のメロゾイトの増殖が所望である。しかし、上記に述べたように、適切な宿主細胞を提供するインビトロ培養系は、必要の場合のみ誘導され得る感染段階への転換を伴い、Coccidiaの無性生殖期(すなわち、メロゾイト)の無期限増殖を可能にするという点で、以前は利用可能でなかった。
本明細書中の任意の参考文献の引用も、これらの参考文献が、本願に対して「先行技術」として利用可能であるという承認として解釈されるべきではない。
米国特許第3,147,186号明細書 米国特許第4,544,548号明細書 米国特許第5,055,292号明細書 米国特許第4,438,097号明細書 国際公開第94/16725号パンフレット 米国特許第4,808,404号明細書 米国特許第5,068,104号明細書 国際公開第96/40233号パンフレット 米国特許第5,311,841号明細書 米国特許第5,846,527号明細書 米国特許第6,500,438号明細書
Jenkinsら,Avian Dis.,37(1):74−82(1993) Watkinsら,Poul.Sci.,4(10):1597−602(1995) D.M.Schmatz,Adv,Cell Culture,5:241(1987) M.Nacri−Bontemps,Ann.rech.Vet.,7:223(1976) Augustinら,J.Protozool.,25:82,(1978) D.J.Doran,J.Parasit.57:891−900,(1971)
(発明の要旨)
本発明は、発生の無性生殖期におけるSporozoea綱の偏性細胞内原虫の連続培養のための方法を提供することによって、他の問題と同様に上記で同定された問題を解決する。本発明の方法は、以下の工程を含む:Sporozoea種を増殖するのに適した不死化宿主細胞を含む細胞培養系を提供する工程、宿主細胞の感染について有効な条件下で、Sporozoea種の感染段階で宿主細胞を接触する工程、宿主細胞(ここで、この宿主細胞は、食作用によって原虫を取り込み得る)にメロゾイトの増殖をもたす工程、を包含する。
本明細書に提供された本発明の方法および培養系は、これまで入手不可能な量のオーシスト、メロゾイトおよび/または他のライフステージのSporozoea綱の原虫の産生を可能にさせる。このような量のこれらの細胞の利用能は、生ワクチン中の生存可能なSporozoea細胞封入体を動物に提供する工程(経済的な量のSporozoeaタンパク質および/またはSporozoea核酸が、任意の有用な目的(例えば、診断、タンパク質ベースのワクチン、生物体の分子生物学および/もしくは遺伝学の研究など)のために、容易に獲得される)を包含する、種々の有用性を可能にする。
細胞培養系は、培養における宿主細胞およびSporozoea種の生物体を維持するのに適切な培地を含む。選択された宿主細胞株に適した任意の培地も、使用され得る。
好ましい実施形態において、培地は、還元剤(例えば、生殖が無性生殖である生活環段階における無期限培養において、Sporozoea種生物体を維持するのに有効な濃度)を含む。培養系と互換性をもつ任意の還元剤が、例えば、機能上同等な、約0.01〜約0.5mMのβ−メルカプトエタノールの濃度で、使用され得る。
好ましい宿主細胞は、哺乳類網様内皮細胞由来の食作用活性を保持する不死化細胞(例えば、単球細胞株由来の不死化細胞株)である。
本発明の方法および培養系を用いて培養される好ましい生物体は、単一型の宿主細胞だけを自然に感染させて、以前に工業規模で無期限細胞培養が首尾よく保たれてない、Sporozoea綱の原虫である。これらは、トリに感染させる、例えば、Coccidiaならびに/または例えば、Eimeria、Isospora、Cystoisospora、Cryptosporidiumおよびそれらの組み合わせが挙げられる。さらに好ましくは、Eimeria種のメンバーである。
一般に、2つのタイプの宿主細胞を自然に感染させるSporozoea(例えば、Neospora、Toxoplasma、Freankelia、Besnoitia、HammondiaおよびSarcocystis)は、長期培養に対して感受性が高く、それらは本発明の細胞培養系で増殖し得るが、これらのSporozoeaは、これらの方法による増殖のために好ましい生物体ではない。
本発明はまた、本発明方法によって産生されたSporozoea綱の原虫、およびこのような原虫を含む抗原虫ワクチンを提供する。Sporozoea綱のそのような原虫に対して、トリにワクチン接種する方法もまた、提供する。
本発明の培養系および方法によって産生された生物体を含むワクチン組成物はまた、例えば、薬学的に受容可能なアジュバントおよび当該分野で公知の保存薬、着色剤などを含む。必要に応じて、本発明のワクチンは、経口投与のために飲料水、食料になる穀類またはペレットで混合され得る。
本発明はさらに、本発明の方法および細胞培養系によって産生された生物体を用いてワクチン接種された鳥類を提供する。
本発明はさらに、スクリーニングされる因子との接触の有無に関わらず、上記に記載されるように、目的のSporozoea種を培養する工程、および目的の因子の非存在下で、増殖または増殖に関する生存度の阻害を検出する工程を包含する、Sporozoea綱の原虫の増殖を破壊するかまたは阻害する因子をスクリーニングする方法を提供する。
例えば、好ましい実施形態によれば、以下の方法などが提供される:
(項目1)
無性発生段階におけるSporozoea綱の偏性細胞内原虫の連続培養のための方法であって、該方法は、以下:
(a)Sporozoea種を増殖するのに適した不死化哺乳類宿主細胞を含む細胞培養系を提供する工程であって、ここで、偏性細胞内原虫は、トリに感染し得る、工程;および
(b)該宿主細胞においてメロゾイトの増殖を生じる、該宿主細胞の感染に有効な条件下において、感染段階のSporozoea種と宿主細胞とを接触させる工程、を包含する、方法。
(項目2)
前記細胞培養系が、前記宿主細胞および前記Sporozoea種生物を維持するのに適した増殖培地を含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記増殖培地が、還元剤を含む、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記還元剤は、生殖が無性生殖であるライフサイクル段階において、無限培養でSporozoea種生物を維持するのに有効な濃度で存在する、項目3に記載の方法。
(項目5)
前記還元剤が、β−メルカプトエタノール、メルカプトエチルアミン、2,3−ジメルカプトコハク酸、ペニシラミン、β−ラクタム、N−アセチルシステイン、アスコルベート、グルタチオンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される、項目3に記載の方法。
(項目6)
前記還元剤が、約0.01mM〜約0.5mMにわたる濃度のβ−メルカプトエタノールである、項目5に記載の方法。
(項目7)
前記宿主細胞が、哺乳類網様内皮細胞由来の食作用活性を保持する不死化細胞である、項目1に記載の方法。
(項目8)
前記網様内皮細胞が、単球である、項目7に記載の方法。
(項目9)
Sporozoea綱の原虫が、Eimeria、Isospora、Cystoisospora、Cryptosporidiumおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される属に帰属する種である、項目1に記載の方法。
(項目10)
前記原虫が、Eimeria種である、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記原虫が、Eimeria tenella、Eimeria acervulina、Eimeria maxima、Eimeria necatrix、Eimeria mitis、Eimeria praecoxおよびEimeria brunetti、Eimeria meleagrimitis、Eimeria adenoeides、Eimeria gallopavonis、Eimeria dispersa、Eimeria meleagridis、Eimeria innocua、Eimeria subrotundaおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記原虫が、Eimeria acervulinaまたはEimeria tenellaである、項目11に記載の方法。
(項目13)
項目1に記載の方法によって産生された、生存可能なSporozoea綱の原虫。
(項目14)
Eimeria、Sarcocystis、Toxoplasma、Cryptosporidium、Isospora、Hammondia、FrenkeliaおよびBesnoitiaからなる群から選択される属に帰属する種である、項目13に記載の原虫。
(項目15)
項目13に記載の原虫を含む、抗原虫ワクチン組成物。
(項目16)
保護性の抗原虫免疫を誘発するために、トリにワクチン接種する方法であって、該方法が、項目1の方法によって産生された生存可能な生物を、それを必要とするトリに投与する工程を包含し、ここで、生存可能な生物の数がトリに保護免疫を誘発するのに有効である、方法。
(項目17)
前記トリが家畜のトリであり、前記原虫がCoccidiosiaである、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記トリが、Anatida、Columbidae、Phasianida、Thesienidae、Psittacineおよびそれらの種からなる群から選択される、項目16に記載の方法。
(項目19)
前記トリが、シチメンチョウまたはニワトリである、項目16に記載の方法。
(項目20)
前記生存可能な生物の数が、メロゾイトまたはオーシストまたはそれらの混合物を含み、該生存可能な生物の数が10〜10 個にわたる、項目16に記載の方法。
(項目21)
前記生存可能な生物の数が10 〜10 個のメロゾイトまたはオーシストを含む、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記生存可能な生物が、経口投与、羽の粉付けもしくは噴霧、インオボ注射およびそれらの組み合わせからなる群から選択される方法によって投与される、メロゾイトまたはオーシストを含む、項目16に記載の方法。
(項目23)
細胞培養系であって、Sporozoea種を増殖するのに適した不死化食宿主細胞、および還元剤なしで培養されたSporozoea種の生存と比較して無期限細胞培養において、ライフステージを無性生殖的に生殖するSporozoea種の生存を増強するのに有効な量の還元剤を含む細胞培地を含む、細胞培養系。
(項目24)
薬学的に受容可能なアジュバントを含む、項目15に記載のワクチン組成物。
(項目25)
項目24のワクチン組成物と共に混合された食品組成物を含む、ワクチン。
(項目26)
スクリーニングされる因子との接触が有りおよび無しで、項目1に記載の方法によって、目的のSporozoea種を培養する工程、および目的の因子の非存在下において増殖の阻害または増殖に関する生存度を検出する工程を包含する、Sporozoea綱の原虫の増殖を破壊するかまたは阻害する因子をスクリーニングする方法。
(項目27)
無性発生段階における偏性細胞内原虫の連続培養のための方法であって、該方法は、以下:
(a)不死化ウシ単球を含む細胞培養系を提供する工程であって、ここで、該不死化ウシ単球細胞は、食作用によって原虫を取り込み得;
ここで、該細胞培養系は、不死化ウシ単球の増殖に適切な培地および約0.01mM〜約0.5mMにわたる濃度のβ−メルカプトエタノールを含む、工程;および、
(b)宿主細胞においてメロゾイトの増殖を生じる、宿主細胞の感染に有効な条件下で、感染段階の原虫と宿主細胞を接触させる工程であって;
ここで、該原虫は、トリに感染するEimeria、Isospora、Cystoisospora、Cryptosporidiumからなる群から選択される属の種である、工程
、を包含する、方法。
(項目28)
前記原虫は、Eimeria tenella、Eimeria acervulina、Eimeria maxima、Eimeria necatrix、Eimeria mitis、Eimeria praecoxおよびEimeria brunetti、Eimeria meleagrimitis、Eimeria adenoeides、Eimeria gallopavonis、Eimeria dispersa、Eimeria meleagridis、Eimeria innocua、Eimeria subrotundaおよびそれらの組み合わせからなる群から選択されるEimeria種である、項目27に記載の方法。
(項目29)
前記方法はさらに、増殖が少なくとも80%のコンフルーエンシーに達する時はいつでも、前記培養系における宿主細胞の濃度を減少させる工程を包含する、項目27に記載の方法。
(項目30)
原虫の一つ以上のEimeria種からニワトリまたはシチメンチョウを免疫するためのワクチンであって、トリEimeria種のメロゾイト;メロゾイトから発生したオーシスト、またはそれらの混合物を含み;ここで、該メロゾイトは、不死化哺乳類食細胞の連続培養で増殖された、ワクチン。
(項目31)
前記哺乳類食細胞が単球である、項目30に記載のワクチン。
(項目32)
前記単球がウシ単球である、項目31に記載のワクチン。
(本発明の詳細な説明)
従って、本発明は、宿主細胞を含む培養系およびSporozoea綱のスポロシスト形成原虫のインビトロ連続培養のための方法を提供する。本発明の培養系によって産生される原虫細胞(例えば、Sporozoeaメロゾイトおよび/またはオーシストもしくは他の抗原物質)もまた提供する。このような物質は、例えば、ヒト、鳥類および家畜(家禽を含む)を感染するSporozoeaからの予防を必要とする動物のワクチン接種のために、抗Sporozoeaワクチンの生産に使用され得る。
従って、本発明は、このような細胞の経済的で効率的な産生を可能にするために、インビトロにおいて、無期限または十分に長期間維持されるSporozoea細胞の無性生殖期を可能にする細胞培養系および方法を提供する。
本発明の培養系および方法は、生存可能なそして有毒な(すなわち、感染性)スポロシスト形成原虫の培養集団の産生をもたらす。一般に、これらの方法は、Sporozoea綱、特にCoccidia亜綱、特にEucoccidiida目、そして特にEimeriina亜目の任意のスポロシスト形成原虫、ならびにCystoisospora属、Eimeria属、Isospora属、Neospora属、Sarcocystis属、Toxoplasma属、Tyzzeria属およびWenyonella属のスポロシスト形成原虫にも適用可能である。
本明細書に提供された方法は、全てのSporozoea培養に対して、そして特にCoccidialオーシストの培養(例えば、Eimeria、Sarcocystis、Toxoplasma、Cryptosporidium、Isospora、Hammondia、FrenkeliaおよびBesnoitiaの全てのトリの感染性種)に対して有用であると考えられる。インビトロで培養する方法は、生きている動物の使用および/もしくは提示された寄生虫を宿主にする種でのアッセイを、置換し、そして/または補充し得る。
特に好ましい実施形態において、本発明は、例えば、Eimeria属、Isospora属、Cystoisospora属またはCryptosporidium属の原虫および類似する単一宿主細胞の必要条件を満たす他の原虫のインビトロ培養にとって有用であると考えられる。これらの原虫は、それらの好ましい宿主細胞に対する特異的な受容体を有し、代表的に、これらの細胞を培養する困難性に加えて、他の細胞に感染しない。上記に記載しているように、これらの原虫は、代表的に、それらのライフサイクルを完成するために単一の宿主を必要とする。
対照的に、Sporozoea綱の他の属は、それらのライフサイクルを完成するために二つの宿主を必要とする。例えば、Neospora、Toxoplasma、Freankelia、Besnoitia、HammondiaおよびSarcocystisは、それらのライフサイクルを完成するために二つの宿主を必要とし、そしてこれらは、不死化細胞培養で維持することがそれほど難しくないことを証明した(例えば、Sarcocystis neuronaの培養を記載する、Dameら,米国特許出願第2002/0115828A1号を参照のこと。この開示は、本明細書中においてその全体が援用される。)。
非常に特異的な単一型の宿主を必要とする原虫(特に、Eimeria属、Isospora属、Cystoisospora属またはCryptosporidium属および単一な宿主だけを必要とする他のSporozoea sp.)が、インビトロでの長期培養において、これまで厄介な問題であったことを証明した。本発明の方法は、この問題を解決し、これらの生物の長期培養のための方法および細胞培養系を提供する。
(定義)
本発明の範囲および本質をより一層評価するために、以下の用語が定義される。
用語「宿主細胞」とは、本発明の培養系で使用された任意の哺乳類種の不死化細胞をいう。好ましくは、これらは、食作用のプロセスによって原虫を取り込む「食細胞」(すなわち、これらの細胞が培養系で維持することが望まれる原虫を飲み込み、その結果、この原虫は、食胞に取り込まれる)である。例えば、本発明は、インビトロ培養に適応され、目的の原虫を維持する任意の食細胞株を使用すると考えられている。これらとしては、例えば、単球に由来する細胞株およびそれらの子孫由来の細胞株(例えば、マクロファージ、ならびにリンパ節、脾臓、および骨髄の細網細胞、組織球(例えば、中枢神経系の小膠細胞、肺胞マクロファージ、肝臓のクッパー細胞など))が挙げられる。不死化細胞は、必要に応じて、ウシ、ブタ、イヌ、サル、ネコ、ヒト、ウマ、ヒツジ、マウスおよび/またはオオカミの供給源(名前にかかわらず、このようないくつかの動物起源において)からの起源から選択される。不死化細胞は、インビトロで無期限に増殖するという点で、いわゆる「初代」細胞株と区別されるが、初代細胞株は、インビボでのように振る舞い、インビトロで無期限に複製しない。
用語「培養」とは、必要に応じて、宿主細胞上へのオーシストまたはメロゾイトの配置、および新しい宿主細胞への継代を意味する。好ましくは、代表的な培養系の原虫細胞の数は10個以上であるか、または他の実施形態において、これらの数は変化し得るが、10個以上の細胞である。本明細書で使用される場合、用語「連続培養」とは、別の方法で示されない限り、無期限に繁殖する細胞培養を意味する。好ましくは、Eimeriaの培養について、18日間またはそれ以上長い間、培養において、無性生殖期の増殖を繁殖または継続する株は、連続培養物である。より好ましくは、連続培養物は、150日間と同じくらい長い間、またはそれ以上の間、無性生殖期で増殖および維持し続け、そして、低温または凍結によって容易に保存され、続いて適切な宿主へ再導入後に無性増殖を再開する。
本明細書で使用される場合、用語「家畜のトリ(domesticated bird)」としては、別の方法で示されない限り、ニワトリ、シチメンチョウ、アヒル、猟トリ(ウズラ、キジおよびガチョウが挙げられるがこれらに限定されない)および平胸類(ダチョウが挙げられるがこれに限定されない)が挙げられる。
用語「被包」とは、原虫寄生体のオーシスト段階を意味する。
用語「スポロシスト」とは、オーシストのスポロゾイトを封入するカプセルをいう。胞子形成化オーシストの摂取から糞内のオーシスト出現までの時間は、検出潜伏時間という。これは、種々のEimeria種間で異なる。
本明細書で使用される場合、用語「Eimeria」とは、別の方法で示されない限り、家畜のトリを感染させる一つ以上のEimeria属の種を意味する。Eimeria種としては、ニワトリで見出された種(例えば、E.tenella、E.acervulina、E.maxima、E.necatrix、E.mitis、E.praecoxおよびE.brunettiが挙げられる)、ならびにシチメンチョウで見出された種(E.meleagrimitis、E.adenoeides、E.gallopavonis、E.dispersa、E.meleagridis、E.innocuaおよびE.subrotundaが挙げられる)、ならびに上記で定義されるような他の家畜のトリを感染させるEimeria属種もまた挙げられる。用語「Eimeria」はまた、前述のEimeriaの種の全ての株が挙げられ、これらとしては早熟性株および弱毒性株(株が完全に発生できないように放射線照射された株または別の方法で処置された株が挙げられる)が挙げられるが、これらに限定されない。用語Eimeriaはまた、上記で定義されるように、新たに発見された任意の株または家畜のトリを感染させるEimeria種を含む。
本明細書で使用される場合、用語「オーシスト」および「メロゾイト」とは、別の方法で示されない限り、生存可能な(すなわち、生存する)(例えば、環境、動物および本発明に従う不死化培養物から得られるような)EimeriaオーシストおよびEimeriaメロゾイトを意味する。
本明細書で使用される場合、用語「免疫化」および「ワクチン接種」は、同義語であり、交換可能で使用される。本明細書で使用される場合、用語「有効な免疫用量」とは、別の方法で示されない限り、オーシストおよびメロゾイトの数を意味するか、あるいは混合された場合には、ワクチン接種された際にトリにおける免疫応答(例えば、抗Eimeria sp.抗体力価および/または細胞媒介性免疫の活性の上昇)を誘発するのに十分な、オーシストおよびメロゾイトの数を意味する。好ましくは、誘発された免疫反応は、ワクチン接種された(有毒な用量のトリ特異的Eimeria種でチャレンジされる)トリにおける臨床疾患の徴候、体重減少、罹病率および/または死亡率を制限するかまたは減少させる、予防免疫を提供する。
(Sporazoeaの供給源)
本発明の培養系によって培養されたSporozoeaは、既知のサンプル、感染動物(例えば、血液、糞、組織)から獲得されるか、または汚染された環境物質から獲得される。サンプルに存在する集団(例えば、土壌サンプルまたは糞便サンプル)が主としてスポロシスト段階にある場合、集団のサンプルは本明細書に記載されるように簡潔に培養される。この集団が主としてオーシスト段階にある場合、この集団は環境のマネジメントのために、周知の方法で胞子形成を受けることを誘導され得るか、または集団からのサンプルは、周知の実験室的方法を使用することで胞子形成を受けることを誘導され得る。この集団またはサンプルが主として胞子形成化オーシスト段階にある場合、当該分野で周知の方法、例えば、ガラスビーズを用いた機械的な破壊によって、スポロシストは容易に獲得され得る。
(オーシストの供給源)
オーシストは、感染動物の糞または組織;汚染した飼料もしくは水;土壌;貯蔵わらもしくは床敷き;または、他の種々の供給源、から入手可能である。スポロシストの単離方法は公知である。オーシストを分離するのに使用される正確な手段は、オーシストが獲得される物質で異なり、当業者に容易に明らかである。
以下は、未精製の環境サンプルから生物を単離するための、一つの利用可能なアプローチを要約する。要するに、初期工程は、異物からのオーシストの分離である。一般に、土壌または排泄物は、飽和食塩水を用いてスラリーを形成して、スラリーからスポロシストを分離することによって処理される。例えば、処理されるべき物質は、スラリーを形成するために、最小量の2倍量(w/v)のNaCl飽和水溶液と混合される。必要ならば、均質の硬度が達成されるまで、このスラリーは、ミキサーまたはブレンダーで処理され得る。このスラリーは、4℃で10分間、約800×gで遠心分離される。24×24ウィーブチーズ・クロス(weave cheese cloth)の二重層を通して注ぐことによって、上清が回収される。一般的に使用されるサンプルからオーシストを精製する他の方法としては、Sheatherのスクロース浮上法およびZinc硫酸塩浮上法(例えば、LR AshおよびTC Orihel,Parasites:A Guide to Laboratory Procedures and Identification,ASCP Press(著作権)1991、本明細書中において参考として援用される)が挙げられる。
フィルターにかけた上清を、2倍量の飲料水で希釈し、4℃で10分間、約1600×gで遠心分離する。ペレット化されたオーシストを、水で洗浄し、上述のようにさらに3回、遠心分離によってペレット化する。次いで、オーシストを、水洗浄で使用したのと同じ手順を用いて、2.5%の重クロム酸カリウムで3回洗浄する。最終的な洗浄後に、オーシストは、4℃で2.5%重クロム酸カリウムに保存され得るか、または胞子形成のために容器に移され得る。
あるいは、連続した濾過は、サイズに基づいたオーシストを単離するために使用され得る。濾過が使用される場合、オーシストは前に記載されるように、水および2.5%重クロム酸カリウムで洗浄される。
(胞子形成)
当該分野で公知の方法によって、オーシストの胞子形成を誘導することが可能である。例えば、2.5%重クロム酸カリウム溶液の入った容器にオーシストを入れ、そして、開口部に綿またはフォームラバープラグをとりつけることによって、胞子形成を達成し得る。この容器を、28〜30℃で48〜72時間、250rpmの軌道振盪機上で攪拌する。あるいは、空気を溶液を介して1時間あたり約25〜75立方フィートで泡立てる間、オーシストを含む溶液を、絶えず攪拌し得る。胞子形成プロセスの間、スポロシストを含むか否かを決定するために、サンプルを、一定の間隔を置いて回収し、オーシストの顕微鏡検査によって胞子形成を試験する。
あるいは、サンプルが環境(例えば、床の塵)から獲得される場合、この塵が天然の胞子形成を引き起こすために、適切な湿気条件および温度条件を提供するように対処され得る。
胞子形成に続いて、胞子形成化オーシストは、濾過、遠心分離または当業者に公知の他の許容可能な濃縮手段によって回収される。例えば、胞子形成化オーシストは、4℃で10分間、約1600×gの遠心分離によって濃縮され得、そして、この上清は捨てられ得る。濃縮後に、胞子形成化オーシストは、4℃で10分間、5.25%次亜塩素酸ナトリウムの懸濁によって殺菌され得る。殺菌後、この胞子形成化オーシストは、4℃で10分間、1600×gの遠心分離または他の許容可能な手段によって、次亜塩素酸ナトリウムから除去される。次いで、胞子形成化オーシストは、4〜6回、滅菌水で洗浄される。洗浄後に、胞子形成化オーシストは、2.5%ニクロム酸カリウム、30μg/mlゲンタマイシンを含むリン酸緩衝溶液(PBS)または他の許容可能な消毒薬中で保存され得る。
胞子形成化オーシストは、当該分野で公知の方法(例えば、外被膜の機械的な破壊および/またはタンパク質分解性消化)によって、外被膜を含まないスポロシストを獲得するために破壊され得る。1つの便宜的な方法は以下の通りである。要するに、胞子形成化オーシスト(例えば、上記に記載されるように、必要に応じて、環境物質(土壌または糞)から分離された胞子形成化オーシスト)は、PBS中に約2×10/mlの濃度に希釈される。このPBSの1mlアリコートは、0.5mmガラスビーズを125μl含む1.5ml微量遠心管に添加される。次いで、このチューブは、5分間、高速でボルテックスされ、次いで氷上で冷蔵保存される。ボルテックス後、この上清は除去され、そして保存される。次いで、このガラスビーズはPBSで洗浄され、そして上清が保存され、そしてボルテックスした後に獲得された上清と混合される。次いで、上清は、約2〜3分間、約900×gで遠心分離され、そして上清は捨てられる。スポロシストを有するペレットは、0.2mlのPBS中に再懸濁される。次いで、1mlあたりのスポロシストの濃度が、血球計算板または他の細胞数決定法を用いて決定される。
(インビトロにおける宿主細胞株のSporazoeaの培養)
記載の便宜のために、本培養系はバッチ培養系の点で記載される。当業者は、培養系および関連方法が、バッチで与えた培養系(batch−fed culture systems)および連続培養系を包含する培養において、細胞を増殖するために、他の当該分野で公知の方法に容易に適応されることを理解する。インビトロにおいて動物細胞を増殖するための当該分野で公知の多数の方法の詳述は、例えば、R.Ian Freshney,Culture of Animal Cells,第4版,John Wiley & Sons,Inc.(著作権)2000(本明細書中においてその全体が参考として援用される)に記載される。
本発明の培養系について、開始集団は、天然に存在する集団あるいは実験室で維持されるもののいずれかであり得る。この集団が主としてオーシストまたは胞子形成化オーシストを含む場合、食細胞の細胞株が宿主細胞として使用される(食胞融解小体に放出を達成する)場合、本発明に従った寄生生物を脱嚢する必要はない。
サンプル中のスポロシストは、胞子形成/脱嚢およびメロゾイトの増殖を可能にさせる間、宿主細胞と共に培養され、各宿主細胞内で増幅される。この時間は、異なる宿主細胞およびメロゾイト(merozuite)の種で変化するが、代表的に、Eimeria
spについては約72時間である。
維持培地(例えば、本明細書に定義されるような培養培地)は、取り換えられないというより、むしろ新しい培地が3日間毎に添加される。培養されたメロゾイトは、オーシストまたはスポロシストを成熟し、産生することを可能にさせる。インキュベーション時間は、代表的に、約4〜約30日間にわたる。例えば、培養においてメロゾイトを産生する代表的な時間は約10日間であり、オーシストを産生する代表的な時間は18日間である。
特に、培養が分割されず、密度を増やすことを可能にさせる場合、約18日間に、オーシストまたはスポロシストが培養液に放出される。そうでなければ、培養の適切な分割の状態では(すなわち、細胞密度の周期的な低減)、この培養は、メロゾイトを産生し続ける。
スポロシストは、遠心分離によって維持培地から収集され、冷凍保存、凍結保存または凍結乾燥のいずれかによって保存される。メロゾイトは、一般に、感染宿主細胞の培養容積の約1/20に制限される、培養細胞のアリコートを除去することによって収集される。次いで、このアリコートは、新たにトリプシン処理された宿主細胞の副集密層(sub−confluent layer)に挿入される。実験室スケールの生産において、そして/または培養系がスケーリングされる場合、メロゾイトの移動の最適な頻度は、これが特定の宿主細胞株(Sporozoea種)でいくらか変化するが、代表的に、約10日間ごとである。メロゾイトが、増強された病原性または新しい宿主株に対する病原性を達成するために、2つの細胞株の間で通過される場合、移動の最適な時間は好ましくは4日間であるが、これに限定されない。次いで、宿主細胞の感染は、染色された原虫(例えば、ギムザ染色)を染色し検出するのに適切な、任意の手段を用いて決定される。相関によって、元の集団における原虫の生存度は、サンプル中の原虫の染色の程度に基づいて見積もられ得る。力価試験は、生きたトリのアッセイによる生存度と関連され得る。この生きたトリのアッセイは、ワクチンを調製するためのインビトロの力価試験を確認し得る。
一つの好ましい実施形態において、本発明は、増殖および脱嚢を支持し得る培養系(Eimeria spの連続培養)を提供する。必要とされる限り、この培養系は無性生殖の分裂形態において、メロゾイト集団を維持し、そして、必要とされる場合、この培養系は包嚢に包むために(すなわち、ワクチン、または他の用途のためのオーシストとして、メロゾイトを終結するために)メロゾイトを含み得る。本発明の培養系の宿主細胞は、本発明の方法に経済的に適応され得る、任意の適切な不死化哺乳類細胞株である。
別の好ましい実施形態において、宿主細胞は、Eimeria spの脱嚢および増殖を支持する不死化食細胞から選択され、そして、例えば、哺乳類網様内皮細胞由来の例えば不死化細胞の連続培養で繁栄し得る不死化食細胞から選択される。これらは、例えば、単球およびそれらの子孫(例えば、マクロファージ、ならびにリンパ節、脾臓、および骨髄の細網細胞、組織球、中枢神経系の小膠細胞、肺胞マクロファージ、肝臓のクッパー細胞など)が挙げられる。不死化細胞は、必要に応じて、ウシ、ブタ、イヌ(例えば、ATCC CRL 10389)、サル、ネコ、ヒト(例えば、ATCC TIB202)、ウマ、ヒツジ、マウス(例えば、ATCC TIB 61)および/またはオオカミの供給源(このような供給源としていくつか挙げると)から選択される。
本発明がどのように作動するかに関して、任意の理論または仮説によっても制限されることはないが、寄生生物細胞を細胞内の貪食空胞に吸収する能力に起因して、食細胞は、一部分において、Sporozoea生物体を培養するために適していると考えられる。
さらに別の好ましい実施形態において、本発明はまた、培養系の使用について、適切な宿主細胞を同定するためのスクリーニング系を提供する。要するに、適切な宿主細胞は、以下に示されるように、本発明の培養系を使用することによって同定され、これらの例のウシ単球細胞株のかわりに候補宿主細胞を用い、ウシ単球細胞を用いて達成される寿命および増殖に関して、置換された培養系におけるメロゾイトの寿命および増殖を決定する(全ての他のパラメーターは同じであるかまたは類似である)。適切な宿主細胞(例えば、食細胞)は、無性生殖状態において、このような生物体の長期培養に有用である(例えば、少なくともEimeria sp.および関連生物において例示されたウシ単球細胞と同じくらい首尾よい)Sporozoaea生物体の寿命および増殖を提供する。
さらなる好ましい実施形態において、宿主細胞は、選択された宿主細胞の長期培養のために適切であり、かつ還元剤(例えば、約0.01〜約0.5mM β−メルカプトエタノールの機能的同等物である還元活性を有する濃度の還元剤)を含む培地で培養される。適切な還元剤は、長期培養において、Sporozoaea生物体(例えば、Eimeria spを含む)の寿命を高める任意の還元剤である。
1つの特定の任意の実施形態において、ジチオスレイトール(「DTT」)は、本発明に従って好ましい還元剤から除去される。
さらなる好ましい実施形態において、本発明は、培養系での使用に適切な還元剤を同定するためのスクリーニング系を提供する。要するに、適切な還元剤は、以下に示すように、本発明の培養系を使用し、これらの例のβ−メルカプトエタノールのかわりに候補還元剤を用い、そして、例えば、類似のレベルの還元活性で(β−メルカプトエタノールについて首尾よく使用されたものに関連して)、β−メルカプトエタノールの有無での達成に関する、置換された培養系におけるメロゾイトの寿命および増殖を決定することによって同定される。適切な還元剤は、無性生殖状態におけるこのような生物体の長期培養に有用である(例えば、少なくともEimeria sp.および関連生物においてβ−メルカプトエタノールと同じくらい首尾よい)Sporozoaea生物体のための寿命および増殖を提供する。
単に一例として、好ましい還元剤は、ジスルフィド結合を還元する因子であり、β−メルカプトエタノール、メルカプトエチラミン、2,3−ダイマーカプトコハク酸、ペニシラミン、β−ラクタム、N−アセチルシステイン、アスコルビン酸ならびにそれらの同等物および/またはその組み合わせが挙げられる。
当業者は、最適な培養生産力および寿命を決定するために、選択された還元剤の濃度を変え、他のパラメーターを一定に保つ一方で、示された細胞培養系をルーチンに使用することによって、適切な還元剤の濃縮を最適化し得る。例えば、目的の還元剤について、増加するレベルの濃度は、利益がもはや増加された濃度と共に改善しないレベル、または任意の還元剤のネガティブな効果が培養の生産性および寿命の利益を上回るレベルを決定するために試験され得る。
最も好ましくは、還元剤は、細胞培養液において、約0.01mMから約0.5mMまで、またはそれ以上にわたる濃度のβ−メルカプトエタノールであり、より好ましくは、約0.055mMの濃度のβ−メルカプトエタノールである。本発明がどのように作動するかに関して、任意の理論または仮説によっても制限されることはないが、使用された濃度において、一般に1mM未満であり、そして好ましくは0.1mM未満であり、還元剤は選択的に、宿主細胞ならびに/または寄生虫性分化に関する寄生虫シグナルおよび/もしくは放出シグナルの減少に介入すると考えられている。
本発明がどのように作動するかに関して、任意の理論または仮説によっても制限されることはないが、一つの代替的な実施形態において、還元剤は、宿主細胞貪食空胞への取り込まれた、消化または傷害する原虫から、食細胞宿主細胞を阻害し、従って、食細胞宿主細胞の細胞株内の培養において、生存可能な原虫寄生体に有効に寄与すると仮定される。
さらなる実施形態において、宿主細胞培養系は、例えば、上記の濃度範囲で(例えば、Eimeria sp.生物体の連続培養の間)、食細胞の不死化細胞株および適切な還元剤(例えば、β−メルカプトエタノールまたはその機能的な同等物)を含む培養液の両方を使用する。
最も好ましい実施形態において、宿主細胞は、本明細書中においてその全体が参考として援用される(Dr.Speer,:College of Veterinary Medicine,College Station,Texas)、Speerら,1985,Infection and Immunity 50:566−571からのウシ単球細胞(時々BM617という)である。ATCC CRL 6017およびATCC CRL 6057から得られるウシ単球もまた、示される。
本発明の培養系は、選択された宿主細胞が適切な場合、培地、密度、任意の増殖基質もしくは表面、温度および気圧を使用する。必要に応じて、宿主細胞は、フラスコを攪拌または回転しながら懸濁液中で増殖する。あるいは、例えば、固体基質を必要とする宿主細胞に関して、この細胞は、フラスコ表面上で、増殖培地で浸したスライド上で、ペトリ皿の中で、および/または増殖培地で懸濁されたマイクロビーズ(必要に応じて、磁気)の表面上で、または任意の選択された宿主細胞に適切な、当該分野で公知の任意の他の細胞増殖支持体上で増殖する。
例えば、本明細書で示され、上記に記載されたウシ単球細胞を使用する場合、この細胞は、好ましくは、培養での使用のために、80%コンフルエンシー未満の密度で、約150cm組織培養フラスコに播種される。好ましくは、この宿主細胞は、抗菌剤(例えば、ペニシリン/ストレプトマイシン)および静真菌剤を補充された標準細胞培地(例えば、GibcoのRPMI)で増殖する(5% CO、37℃)。実験室スケールにおいて、宿主細胞の培養フラスコが、最大密度(例えば、80%〜100%コンフルエンシー)に達する場合、このフラスコは、細胞濃度を減少させるために、分割(divide)されるかまたは「分割(split)」される(例えば、1/6のコンフルエント密度まで)。もちろん、ワクチンまたは他の目的のために、原虫物質の量産のためにスケーリングされる場合、このプロセスは変動することを当業者は理解する。
この培養系は、選択された宿主細胞株のために、適切な温度で処理される。好ましくは、インキュベーションは、約25℃〜約45℃にわたる温度で処理され、さらに好ましくは、約37℃〜約41℃にわたる温度である。
(ワクチンおよび培養されたEimeria spを用いたトリへのワクチン接種)
生物体は生きた動物または卵の供給源から獲得されるが、Eimeria種ワクチンは公知である。詳細は、例えば、McDonaldら,米国特許第5,055,292号によって示される(本明細書中においてその全体が参考として援用される)。
培養系によって獲得されたメロゾイトの精製は、当該分野で公知の任意の方法によって達成される。単に一例として、かつ限定されることなく、オーシストは培養液に放出され得、そして/または、培養された細胞は、メロゾイトを収集するために、当該分野で公知の方法によって破裂され得る。この細胞破片は、例えば、J.A.Olson,1990,Antimicrob.Agents Chemother.34:1435−1439に記載されるように、除去され得る。要するに、放出されたメロゾイトを含む培養液を回収する工程を包含するOlsonの方法は、メロゾイトを濃縮するために、10分間、450×gで回収され、回転される。メロゾイトおよび宿主細胞破片を含むペレットは、0.1M NaCl−0.05M KC1−20%ウシ血清アルブミン中に懸濁されて、75mM Tris−40mM NaHPO−86mM NaCl−100mMグルコースに平衡化されたDE−52陰イオン交換カラム(pH8.2)に適用される。メロゾイトは、カラムを通って流れる。A.Kilejian,J.Biol.Chem.249:4650−4655,(1974)に記載されるように、カラムから回収されたメロゾイトは、電子顕微鏡によって純度を試験され得る。
トリに対するワクチンとして使用される場合、スポロゾイトもしくはメロゾイト、またはそれらの混合物は、好ましくはインオボ(in ovo)に投与されるか、または生理学的に適切な任意の培地でニワトリへの注射によって投与される。好ましくは、それらは生理学的にバランスの取れた生理食塩水(例えば、リン酸緩衝生理食塩水)に懸濁される。選択された培地は、必要に応じて、一つ以上の懸濁剤を含み得、これらは、生理学的に適切なゲル、ゼラチン、ヒドロゾル、セルロースまたは多糖ゴムが挙げられる。
一つの好ましい実施形態において、このような生存可能な生物体(例えば、メロゾイトおよび/またはスポロゾイトを含む)は、好ましくは、インオボに投与されるかまたは以下の経路による注射または接種によってニワトリに投与される:アジュバントおよび/または免疫エンハンサーもしくは免疫刺激剤(同時投与するかまたは、例えば、ワクチン接種前またはワクチン接種後に連続的に投与する)の任意の組み合わせにおいて、任意の適した非経口投与、皮下投与、乱刺投与および/または筋肉内投与(当該分野で公知の形態(例えば、適応する緩衝液および/または生理学的に受容可能な生理食塩水))。
適切な免疫刺激剤は、サイトカイン、増殖因子、ケモカイン、リンパ球の細胞培養からの上清、単球、リンパ器官由来の細胞、細胞調製物または細胞抽出物(例えば、Staphylococcus aureusまたはリポ多糖調製物)、マイトジェンまたは低分子量の医薬品を含むアジュバントを含むが、これらに限定されない。免疫刺激剤は、インキュベーションの間の任意の時間にインオボに投与され得る。好ましくは、免疫刺激剤は、Eimeriaスポロゾイト、Eimeriaメロゾイト、またはそれらの混合物の用量を含む培地において、インオボに投与される。
経口的に投与されたワクチン/ワクチン接種方法について、当該分野で公知の任意の生理学的に適切な緩衝液または懸濁化剤が、容易に使用される。さらに、この組成物は、穀粒または他の穀物などに取り込まれ得るか(例えば、飲料水の中に混ぜるかまたは食物ペレット上に噴霧される)、まぶされ得るか、または噴霧され得る。
ワクチン接種の目的について、投薬量または種菌は、メロゾイト、オーシストおよび/またはその組み合わせ(2つ以上のEimeria種)の生存細胞および活性細胞を含む。
ワクチン接種について、本発明の方法によって培養されたEimeria sp.細胞の好ましい用量は、約10〜約10個の範囲のオーシストまたはメロゾイトまたはそれらの混合物である(ここで、オーシストおよびメロゾイトの総数は、約10〜10個の範囲である)。投与された細胞は、適切な宿主細胞を介した継代によって、照射によって、組換え変異によって、そして/または当該分野で公知の他の方法によって、必要に応じて弱毒化される。
より好ましい用量は、約10〜10個の範囲のオーシストまたはメロゾイトまたはそれらの混合物である(ここで、オーシストおよびメロゾイトの総数は、約10〜10個の範囲である)。
さらに好ましい用量は、約10〜10個の範囲のオーシストまたはメロゾイトまたはそれらの混合物である(ここで、前記オーシストおよびメロゾイトの総数は、約10〜10個の範囲である)。
ワクチン接種を必要とする家畜のトリを含む任意のトリは、この処置を受けることが企図される。好ましくは、このようなワクチン接種を受けるトリは、商業的な鳥類飼養または非営業的な鳥類飼養に関連するトリである(例えば、Coccidial感染が起こり得、そしてCoccidial感染が望ましくない条件下において、多数増加したトリ)。これらは、例えば、Anatidae(例えば、ハクチョウ、ガチョウおよびアヒル)、Columbidae(例えば、家畜のハトのようなハト(dove)およびハト(pigeon))、Phasianidae(例えば、ヤマウズラ、ライチョウおよびシチメンチョウ)、Thesienidae(例えば、家畜のニワトリ)、Psittacines(例えば、ペットの市場または収集家の市場で飼育された、例えば、インコ、コンゴウインコおよびオウム)が挙げられる。狩猟鳥および平胸類の鳥は、本発明の培養方法によって産生された原虫細胞または他の誘導体と共に、ワクチン接種されることもまた検討される。ワクチン接種のために投与されたEimeria sp.生物体の好ましいレシピエントは、ニワトリである。
当該分野で公知の任意の投与経路またはワクチン接種は、容易に使用される。従って、用量は、必要に応じて、ニワトリの卵にインオボに投与される。用量はまた、必要に応じて、若い羽(例えば、初生ひな)とワクチン生物体とを接触することによって投与されるか、あるいは食物中におよび/または噴霧もしくは点滴によって経口投与される。経口送達は、口に直接的(飲料水の中に)に用量を適用することによって、そして/または羽上にこの用量を噴霧することによって、達成される(洗顔動作を介して経口送達を提供する)。用量はまた、必要に応じて、ニワトリによって摂取されるペレットまたはゲルに生物体を適用するか、または混合することによって、経口的に投与される。
ニワトリ卵または初生ひなにインオボに投与される好ましい用量は、E.tenella、E.acervulina、E.maxima、E.necatrix、E.mitis、E.praecoxおよびE.brunettiからなる群から選択された2つ以上のEimeria種の、オーシストまたはメロゾイト、またはそれらの混合物を含む。
シチメンチョウ卵または初生ひなにインオボに投与される好ましい用量は、E.meleagrimitis、E.adenoeides、E.gallopavonis、E.dispersa、E.meleagridis、E.innocuaおよびE.subrotundaからなる群から選択された2つ以上のEimeria種の、オーシストまたはメロゾイト、またはそれらの混合物を含む。この用量は、好ましくは10〜10個のオーシストまたはメロゾイトまたはそれらの混合物を含む(この用量に含まれる各種について)。
必要に応じて、このワクチンは、本発明の培養系によって産生されたEimeria sp.を用いたワクチン接種前および/またはワクチン接種後に、当該分野で公知の任意の適切な抗Coccidial化学療法剤またはワクチン接種の効果を弱めるのに有効な用量域における化学療法剤因子を用いて、ワクチン接種された動物における予防免疫応答の形成を損なわないで、同時投与(例えば、同時に)される。化学療法剤は、任意の有効な抗原虫薬剤(例えば、殺菌薬のような抗原虫化合物、抗生物質、抗Coccidial抗体を含む組成物(例えば、モノクローナル抗体)および/またはそのフラグメントもしくはその組換え誘導体)を含むが、これに限定されない。
本発明に従った組み合わせの処置はまた、ワクチン接種前におよび/または任意の他の時間に、当該分野で公知の任意の免疫刺激剤を投与する工程および/または同時投与する工程を包含する。
免疫刺激剤を投与する工程の好ましい方法は、孵化の最後の四半期の間または初生ひなへの、適用量のオーシストもしくはメロゾイト、もしくは前記オーシストおよびメロゾイトの混合物の同時のインオボ投与である。
本発明の別の局面は、冷蔵すること、凍結することまたは凍結乾燥することによる、オーシストまたはメロゾイト、または前記オーシストおよびメロゾイトの混合物の保存である。例えば、本発明の培養方法および培養系によって産生された生存可能な生物体を凍結する場合、当該分野で公知の凍結保存が必要に応じて使用される。これらは、単に例として、グリセロールなどの浸透保護剤、ジメチルスルホキシド(DMSO)、糖(例えば、グルコース、ガラクトース、ラフィノース)、タンパク質(例えば、血清および/もしくはアルブミンならびに他の血清成分)、尿素、またはアミノ酸組成物(例えば、N−Z−AMINE(登録商標)A(Quest International,Hoffman
Estates,IllinoisからのIPL:5X59027)のようなカゼイン加水分解物)が挙げられる。
(抗原虫剤のスクリーニング)
本発明の培養系はまた、抗原虫剤、特に抗Eimeria sp因子をスクリーニングして同定するのに有効で有用な方法を提供する。スクリーニングされる因子は、潜在的予防薬剤または治療薬剤(例えば、薬物または抗体)などを含む。
要するに、Sporozoea種は培養され、この培養は分割される。予防法を試験するために、試験因子は、単層細胞によるオーシストの脱嚢前に培地に導入される。治療効果を試験するために、第1分裂は、正常な維持培地の培養系で増殖される。両方の方法において、無性生殖で生殖する原虫の段階を傷害するかまたは抑制する可能性を評価させるために、第2分裂は、目的の因子を補充された(溶液中に提示するかまたはテストストリップまたはテストディスクへ薬品を塗る)維持培地の培養系で増殖される。
公知の薬剤耐性特性を有する薬剤感受性原虫または生物体は、代替的な治療薬物をスクリーニングするために、必要に応じて使用される。
代替的な戦略において、Sporozoea種は培養され、この培養は分割される。第1分裂は、正常な維持培地の培養系で増殖される。無性生殖で生殖する原虫の段階を傷害するかまたは抑制する可能性を評価させるために、第2分裂は、目的の因子を補充された(溶液中に提示するかまたはテストストリップまたはテストディスクへ薬品を塗る)維持培地の培養系で増殖される。薬剤感受性原虫または公知の薬剤耐性特性を有する生物体はまた、代替的な治療薬物をスクリーニングするために、培養系で使用されると考えられる。
(ワクチンでの使用のための弱毒性Eimeria株の開発)
ワクチンの調製のためにウイルスを弱毒化する周知の方法は、高い継代レベルまで組織培養中で継代されることである。長期培養を通じて、生物体は培養条件に適応する特性を集積する傾向があり、病原力特性を失い得る。本明細書に記載される培養系は、生ワクチンとして使用されるために、非毒性株を開発する目的のために、Eimeriaの長期増殖に使用される。この技術は、50以上の継代のために、実施例2に記載されるように、メロゾイト培養の継代を使用する。
あるいは、ウシ単球における増殖に適応したメロゾイトは、種々の種(例えば、イヌ、ネコ、ウシまたは他のもの)由来の腎臓細胞などの代替の細胞株で増殖する能力のために選択され得る。種々の継代レベルにおいて、これらの連続培養から得られたメロゾイトまたはオーシストは、実施例4に記載されるように、初生ひなまたは孵化卵の中への接種によって、病原性について試験され得た。培養で複製するそれらの能力を保有した高い継代株は、宿主細胞において減少した病原力を示すが、ワクチン開発のために選択された。
(実施例)
以下の特定の実施例は、例示の目的のために含まれ、別の方法で示されない限り、本発明の範囲に限定されることを意図しない。
(実施例1)
(ワクチン接種のための連続培養系の調製)
以下のように、連続培養系を調製した。
不死化ウシ単球宿主細胞株を76回継代し、マイコプラズマがないことを見出した。ウシ単球細胞株は、Speerら,Id(前出)に従った細胞の誘導体である。
ペニシリン(100単位/ml)、ストレプトマイシン(100μg/ml)、アンホテリシン(2.5μg/ml)、β−メルカプトエタノール(0.055mM)および10%ウマ血清もしくはウシ血清(維持培地)で補充したRPMI1640(Gibco)に、宿主細胞を維持した。
150cm組織培養フラスコに、1フラスコあたり15ml(約6×10細胞/ml)で宿主細胞を播種し、その結果、80%コンフルエンシー〜100%コンフルエンシーの密度で単層を生じた。細胞を定置フラスコでインキュベートした(37℃、5% COインキュベーター)。3日ごとに15mLの新しい維持培地を細胞に与え、7日ごとに分割した。0.25%のトリプシンを用いて単層を破壊することによって、培養物を分割し、同じ培地条件および同じインキュベーション条件を用いて、6回の培養のうち1回、各々の新しい150cmフラスコへプレートした。
(実施例2)
(Eimeria種原虫の培養)
感染したニワトリの糞からのEimeria acervulinaオーシストのサンプルを、以下のように、培養のために調製した。糞のスラリーは、糞1に対して水10を添加することによって作製し、オーシストは糖浮上法の手段によって精製した(LR AshおよびTC Orihel,Parasites:A Guide to Laboratory Procedures and Identification,ASCP Press(著作権)1991,34−35頁に記載されるように、Sheatherの糖浮上法と同様(本明細書中においてその全体が参考として援用される))。オーシストを遠心分離によって濃縮し、2.5%のニクロム酸カリウムで再懸濁し、そして、胞子形成を容易にするために、24時間〜72時間、室温で空気にさらした。使用するまで、スポロシストを4℃で保存した。コンタミした細菌を傷害するために、胞子形成オーシストを、クロロヘキシジングルコン酸溶液(PerioguardTM)に、25℃で1分間、懸濁した。洗浄によって、クロロヘキシジングルコン酸を除去した。遠心(6分間、800×g)によってオーシストをペレット化し、上清を捨て(上清を捨てる場合、1回ペレットを懸濁する)、次いで、実施例1に記載された、100分量の抗生物質/静真菌性の維持培地にペレットを懸濁することによって、洗浄を実施した。遠心分離および再懸濁をさらに2回繰り返した。
実施例1で調製されたウシ単球のフラスコは、80%未満のコンフルエンシーで、トリプシン処理後すぐに使用した。次いで、新たに調製した各々のフラスコは、上記に記載されるように調製した、15mLの維持培地の中に、約1000個のオーシストを接種した(10−3個の寄生虫/宿主細胞の宿主細胞になるようなスポロシスト/オーシストの密度)。約37℃、5% COインキュベーターで、培養物を定置フラスコの中でインキュベートした。
3日ごとに新しい培地(15ml)を添加し、10日間、オーシストをウシ単球細胞と共にインキュベートした。10日後に、単層を培養液へ断片化することによって、培養上清および感染細胞を回収し、実施例1に記載されるように、20回の培養のうち1回は、80%未満のコンフルエンシーで、(感染していない)新しいウシ単球の単層にワクチン接種した。分裂体について培養を日々観察し、宿主細胞から放出し、浮遊したスポロシスト/オーシストを観察した。上清培養液をデカントすることによって、生存可能なスポロシスト/オーシストを回収し、その後、寄生虫を濃縮するために、6分間、800×gの遠心分離を行った。スポロシスト/オーシストは、すぐに使用するか、またはさらなる実験に使用するまで、2〜7℃で、培地の中に保存した。合計180日間、メロゾイトに感染した細胞を継代し、この培養における継続的な複製能力を維持した。
(実施例3)
(スポロシスト形成生物体の保存)
本発明はまた、インビトロ培養において、そしてトリの接種の必要がない状態で、感染力を観察することによって、保存されたEimeriaオーシスト/スポロシストの生存度を評価する方法を提供する。
測定法を用いたスクロース浮上法によって、ニワトリの糞からE.acervulinaのオーシスト/スポロシストを獲得したか、または実施例2に記載されるような培養からE.acervulinaのオーシスト/スポロシストを誘導し得た。
このオーシスト/スポロシストを5つの同等のアリコートに分割した。凍結保存薬剤(例えば、Freezing MediaTM,Gibco)を用いて、4つのアリコートを−20℃で凍結し、そして、5番目のアリコートを−27℃で保存した。
ウシ単球における感染力との比較によって、この培養から誘導された4つ凍結サンプルの生存度を、冷凍保存した5番目のサンプルの生存度と比較した。
以下のように、生存度の比較を実施した。
簡単に、実施例1の方法を用いた寄生虫接種(ワクチン接種する場合、80%コンフルエンシー未満)の直前に、無菌カバーガラスを含む24ウェルのプレートに、1ウェルあたりの約1×10〜2×10個の細胞密度で、ウシ単球を植えつけた。試験サンプルの系列希釈(例えば、10−1〜10−4の希釈系列)を維持培地で作製し(実施例1から)、0.1mlは二連のウェルの24ウェルプレートに播種した。プレートを約37℃でインキュベートした(1〜4日間、3〜5%CO)。顕微鏡検査によって、E.acervulinaの感染段階の存在について、ウェルを調べた。あるいは、カバーガラスをこのウェルから除去し、E.acervulina寄生虫の観察を容易にするために、ギムザ染色した。50%感染力を示す最も高い希釈として、各サンプルの力価を計算した。サンプルを相対的な感染価に基づく生存度について比較した。
(実施例4)
(培養からのメロゾイトの収集)
培養物(実施例1および実施例2を参照のこと)が活発に複製される(例えば、一般に最後の分割(継代培養)の10日以内に)場合、メロゾイトを収集した。感染細胞および培養上清を、細胞スクレーパを用いて収集した。機械的手段(シリンジの27ゲージ針を介した吸引)によって宿主細胞を溶解した。次いで、メロゾイトを遠心分離(10分間、450×g)によって濃縮し、維持培地で再懸濁した。次いで、試験動物にワクチン接種するために、生じた懸濁液を使用した。
(実施例5)
(培養からのオーシストの収集)
多くのオーシストを集積させるために、18日間もしくはそれ以上長い間、分割しないで実施し得る培養(実施例1および実施例2を参照のこと)から、オーシストを収集した。培養上清を収集し、そして、Sheatherの浮上方法を用いて、細胞破片からオーシストを精製した(前出で検討)。次いで、遠心分離(10分間、405×g)によって、オーシストを濃縮した。ペレットにされたオーシストを維持培地に再懸濁し、すぐに使用した。
(実施例6)
(ニワトリのワクチン接種)
本実施例は、予防ワクチンとして(前出)、実施例2の培養方法で増殖したEimeria acervulinaオーシストおよびメロゾイトならびにEimeria tenellaオーシストおよびメロゾイトを使用する可能性を示す。
(実験A:E.acervulinaおよびE.tenellaオーシストを用いたニワトリへのワクチン接種)
(方法)
19日間の培養物からの培養上清をデカントすることによって、培養されたウシ単球から誘導されたE.tenellaオーシストおよびE.acervulinaオーシストを収集した。オーシストを遠心分離によって濃縮し、1mlあたり100,000個のオーシストの濃度で培地に再懸濁し、すぐに使用した。
本試験は、3群のRhode Island Red初生ひなを使用した。実験グループ1は、E.acervulina(n=3)について組織培養誘導性オーシストを受けたニワトリであった;実験グループ2は、E.tenella(n=3)について組織培養誘導性オーシストを受けたニワトリであった;そして、実験グループ3は、コントロールのニワトリであった(オーシストなし(n=2))。グループ1およびグループ2各々の強制飼養(各ニワトリ100〜1000羽)によって、オーシストを経口的に投与した。
(結果)
9日後に、グループ1のニワトリの糞にオーシストを観察し、そして12日後に、グループ1のニワトリおよびグループ2のニワトリの両方の糞にオーシストを観察した。これらのデータは、培養誘導性オーシストが実施可能であり、これらの種について予想される正常な検出時間で、宿主において複製されるということを確認する。
オーシストを与えなかったグループ3のコントロールのニワトリは、それらの糞の中にオーシストを落とさなかった。これらのデータは、試験トリまたは家庭内のトリの条件において、Eimeriaを有する環境汚染の証拠はなかったことを確認した。従って、グループ1およびグループ2におけるオーシストの脱粒は、培養種菌の結果と考えられ得る。
(組織病理学)
E.tenellaオーシストを与えた1羽のニワトリは、重度の下痢で死亡した。
死亡したニワトリからの腸の組織切片の顕微鏡検査にて、コクシジウム症と確定診断した。これらのデータは、ウシ単球培養から誘導されたオーシストが、トリ宿主においてそれらの病原性を維持し得ることを示す。
(実験B:E.acervulinaおよびE.tenellaを用いたニワトリにおける負荷試験)
(生物体の培養および継代)
予備実験において、上記のパートAで使用した多くのオーシストからのオーシストのアリコートを、メロゾイトの連続培養を産生するために、実施例2(前出)に記載されるように培養した。一つの150cmフラスコ(ウシ単球細胞含有)に、100個のオーシストの種菌を用いた。実施例2に記載されるように、非脱嚢オーシストが培養中に存在しないことを確実にするために、2回継代した。
(ワクチン接種)
経口接種によって、初生ひな(半分Rhode Island RedもしくはBarred RockおよびAmericana)に培養したメロゾイトを接種をした。上記で調製した100,000個の培養誘導性E.acervulinaメロゾイトまたはE.tenellaメロゾイトを受けたトリは下痢を示し、一方、1000個、5000個および10,000個のメロゾイトの用量を受けた初生ひなは下痢を示さなかった。
培養したメロゾイトを用いた接種の14日後、1000個、5000個および10,000個のメロゾイトを与えたニワトリならびに1羽の接種されていないコントロールのニワトリを、パートA(前出)からオーシストを落としたニワトリによって占められた以前の環境へ移した。この汚染している環境に置いた場合、メロゾイトを受けなかった初生ひなは、コクシジア感染症で死亡した。しかし、前もって低レベルのメロゾイトでワクチン接種をしたニワトリは、臨床的には健康なままであった。これらのデータは、無症状用量のメロゾイトが、トリにおいて誘導免疫(致死量のEimeriaを用いた後の負荷試験からそれらを保護した)を可能にしたこと示す。
Figure 2010022378
(実験C:10日齢胚へのE.acervulinaおよびE.tenellaの接種)
10日齢の胚を含有したニワトリ卵に、1000個のE.acervulinaおよびE.tenellaのウシ単球培養誘導性メロゾイト(実施例2により)の尿膜経路によるインオボ接種は、どのメロゾイト種においても胚死をもたらした。組織におけるオーシスト形成の証拠はなかった。これらのデータは、Eimeriaの両種が、ウシ単球の培養後に胚に対して病原性を保持したことを示す。
(実施例7)
(抗原虫因子のスクリーニング)
Sporozoea種に対して提案された抗原虫因子の有効性は、実施例1および実施例2の系を用いて評価した。
(A.Diclazurilについてのスクリーニング)
ThermonaxTM(Nalge Nunc International,Naperville,IL)含有24ウェル組織培養プレートを使用し、ウシ単球細胞を播種し、そして実施例1の方法を用いて、維持培地に<80%コンフルエンスまで培養した。その後、各ウェルにE.acervulinaおよびE.tenellaを播種した。各10個の試験ウェルの培地の中に、抗コクシジア因子diclazurilを導入する一方で、他の10個のウェルをコントロールとして保持した。試験した薬剤の抗原虫活性を評価するために、培養24時間、48時間および72時間において、増員生殖の存在をコントロールのウェルと試験ウェルとの間で比較した。寄生虫の増殖についての観察は、顕微鏡試験およびギムザ染色したカバーガラスで行った。薬物処置を評価するために、増員生殖の存在およびコントロールウェルからの減少パーセントを使用した。
(B.他の薬剤についてのスクリーニング)
24ウェル組織培養プレートを使用し、宿主細胞に対して適切な維持培地で、温度でそして適切な雰囲気下で、宿主細胞を<80%コンフルエンスまで増殖し、次いで、目的のSporozoea種を各ウェルに播種する。試験するために、各10個の試験ウェルの培地に一つの薬剤または複数の薬剤を導入する一方で、他の10個のウェルをコントロールとして保持する。試験した薬剤の抗原虫活性を評価するために、培養約1〜10日後の増殖をコントロールのウェルと処理したウェルとの間で比較した。
寄生虫の増殖についての観察は、顕微鏡試験またはギムザ染色あるいは寄生虫を観察するための適切な染色したカバーガラスの使用であり得る。
(実施例8)
(コントロール原虫のための評価方法)
家畜の原虫感染を減少させる一つの方法は、例えば、Coccidiaのような生物体を家内の動物へ感染させ得る物質を除去するために設計された、取り扱い方法(management practice)を実施することである。
このような取り扱い方法は、培養系ならびに実施例1および実施例2の方法をそれぞれ用いて、容易に評価される。
規格化サンプル(例えば、同腹のサンプル)を目的の領域から取り、そして、存在し得るオーシストを単離するためにプロセスする。実施例2に記載されるように、これらを培養系へ播種し、5〜10日後の増殖を、測定し多数の公知の生物体を有するサンプルと関連付け、開始サンプルの範囲に関連する増殖レベルを決定する。
次いで、新しい取り扱い方法を実施し、その後、取り扱い方法の変更前に要した位置および量で、規格化サンプルを収集する。次いで、新しいサンプルを培養し、目的の環境領域における任意の生存可能な原虫の減少を決定するために、5〜10日目の増殖を、取り扱い前のサンプルの増殖と比較した。

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  1. 本明細書中に記載の発明。
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