JP2010019087A - 冷却水循環装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】冷却水循環装置において、使用状況に応じた循環回路の切り替えが行なえるようにすること。
【解決手段】冬季には、エンジンEの始動直後の循環回路として、エンジンEから流出された冷却水を、ヒータコア4を経由してエンジンEに流入させる第1の循環回路C1、およびヒータコア4および作動油熱交換器5を経由させずにエンジンEに流入させる第3の循環回路C3を選択し、その後に第1の温度条件が満たされたときの循環回路として、エンジンEから流出された冷却水を、作動油熱交換器5を経由させてエンジンEに流入させる第2の循環回路C2を選択する。一方、冬季以外の条件には、エンジンEの始動直後の循環回路として、上記第3の循環回路C3を選択し、その後に第2の温度条件が満たされたときの循環回路として、上記第2の循環回路C2を選択する。
【選択図】図1

Description

本発明は、エンジン冷却水を循環させるための冷却水循環装置に関する。
たとえば、特許文献1では、EGR(再循環)クーラで加熱されたエンジン冷却水を用いて変速機の作動油を温めることによって、エンジン始動時における変速機の暖機を速やかにする技術が提案されている。
また、特許文献2では、冷却水および変速機作動油の温度に応じて、作動油熱交換器に通じる冷却水通路を電磁弁によって開閉することで、変速機作動油の早期昇温化を達成するようにした技術が提案されている。
特開2002−340284号公報 特開2005−16364号公報
ところで、近時、燃費向上に伴って熱源が不足していることもあって、排気熱回収器を搭載した車両が増えつつある。
このような排気熱回収器を搭載した車両の冷却水循環装置の一例を図19に示す。
図19に示す冷却水循環装置では、排気熱回収器100でエンジン200の排気ガスから回収した熱によって水温を高めた冷却水の循環に関しては、成り行きでヒータコア300および作動油熱交換器400の両者に流入するようになっている。なお、図19中、500はラジエータ、600はサーモスタット、700はウォータポンプである。
このように、上記冷却水循環装置では、使用状況に応じた循環回路の切り替えができないため、回収した熱量の振り分けは、ヒータコア300と作動油熱交換器400とに常に一定割合で分配される。
したがって、たとえば、冬季において、エンジン始動直後にはヒータコア300に回収した熱量を分配する必要があるのにもかかわらず、作動油熱交換器400にも回収した熱量が同様に分配される。逆に、作動油熱交換器400に回収した熱量を分配するとする場合にも、回収した熱量はヒータコア300にも同様に分配される。
本発明は、上記技術的課題に鑑みなされたもので、使用状況に応じた循環回路の切り替えが行なえる冷却水循環装置の提供を目的とする。
上記目的を達成するため、本発明にかかる冷却水循環装置は、エンジンと、作動油にて浸潤された状態において作動する変速機とを備えた車両に適用される冷却水循環装置であって、上記エンジンに対して、ヒータコアおよび作動油熱交換器が上流側から下流側に向かってこの順で並列に設けられており、上記エンジンから流出された冷却水を、上記ヒータコアを経由させて当該エンジンに流入させるための第1の循環回路と、上記エンジンから流出された冷却水を、上記作動油熱交換器を経由させて当該エンジンに流入させるための第2の循環回路と、上記エンジンから流出された冷却水を、上記ヒータコアおよび作動油熱交換器を経由させずに当該エンジンに流入させるための第3の循環回路と、冬季においては、上記エンジンの始動直後に循環回路として上記第1および第3の循環回路を選択し、その後に第1の温度条件を満たしたときに循環回路として上記第2の循環回路を選択するための第1の選択手段と、冬季以外の条件においては、上記エンジンの始動直後に循環回路として上記第3の循環回路を選択し、その後に第2の温度条件を満たしたときに循環回路として上記第2の循環回路を選択するための第2の選択手段とを含む。
上記構成において、冬季には、エンジンの始動直後の循環回路として、エンジンから流出された冷却水を、ヒータコアを経由してエンジンに流入させる第1の循環回路、ならびにヒータコアおよび作動油熱交換器を経由させずにエンジンに流入させる第3の循環回路が選択され、その後に第1の温度条件を満たしたときの循環回路として、エンジンから流出された冷却水を、作動油熱交換器を経由させてエンジンに流入させる第2の循環回路が選択される。一方、冬季以外の条件には、エンジンの始動直後の循環回路として、上記第3の循環回路が選択され、その後に第2の温度条件を満たしたときの循環回路として、上記第2の循環回路が選択される。
なお、上記第1の温度条件は、室温または水温に対する設定温度で規定され、この規定された設定温度以上になったときに、上記第1の選択手段は、循環回路として上記第2の循環回路を選択し、上記第2の温度条件は、水温に対する設定温度で規定され、この規定された設定温度以上になったときに、上記第2の選択手段は、循環回路として上記第2の循環回路を選択する。
ところで、エンジンと電動機とを組み合わせて、互いの良いところを補って利用し、燃費を大幅に向上させるようにしたハイブリッド車両が普及しつつある。
そこで、上記冷却水循環装置において、上記車両には、動力源として上記エンジンに加えて電動機が備えられており、上記エンジンに対して、上記ヒータコア、上記作動油熱交換器、および上記電動機への電力供給源としての電池が上流側から下流側に向かってこの順で並列に設けらており、上記エンジンから流出した冷却水を、上記電池を経由させて当該エンジンに流入させるための第4の循環回路をさらに含み、上記第1の選択手段は、上記エンジンの始動直後に循環回路として上記第1、第3および第4の循環回路を選択し、その後に第1の温度条件を満たしたときに循環回路として第2の循環回路を選択し、上記第2の選択手段は、上記エンジンの始動直後に循環回路として上記第3の循環回路を選択し、その後に第2の温度条件を満たしたときに循環回路として上記第2の循環回路を選択する。
この場合、上記第1の温度条件は、室温または水温および電池に対する設定温度で規定され、この規定された設定温度以上になったときに、上記第1の選択手段は、循環回路として上記第2の循環回路を選択する。
また、上記冷却水循環装置において、上記エンジンに対して、ウォータポンプを介して排気熱回収器が直列に設けられている。
上記構成において、使用状況に応じて、排気熱回収器でエンジンの排気ガスから回収した熱によって水温を高めた冷却水(換言すると、回収した熱量)を必要とする要素に選択された循環回路を通じて分配させることができる。
本発明によると、使用状況に応じて循環回路を切り替え選択することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
<全体構成>
図1は本発明の第1の実施の形態にかかる冷却水循環装置の循環系統を簡略化して示す図である。
図1を参照して、本実施の形態にかかる冷却水循環装置には、コンベンショナル車両に適用されるものであって、ラジエータ1、サーモスタット2、ウォータポンプ3、ヒータコア4、作動油熱交換器(たとえば、CVT(Continuously Variable Transmission)ウォーマ)5および排気熱回収器6などが備えられている。
ヒータコア4および作動油熱交換器5は、エンジンEに対して、上流側から下流側に向かってこの順で並列に設けけられている。一方、排気熱回収器6は、エンジンEに対して、ヒータコア4および作動油熱交換器5の下流側においてウォータポンプ3を介して直列に設けられている。
ラジエータ1のロアタンク11とサーモスタット2とは、ロアホースH1によって接続されており、ウォータポンプ3の吐出口は、エンジンEに形成されたウォータジャケットに連通している。このウォータジャケットでは、ウォータポンプ3からの冷却水がシリンダブロック側のウォータジャケットを経た後、シリンダヘッド側のウォータジャケットに導入され、その後、取り出し管H2によってエンジンEから取り出される。
取り出し管H2は、2方向に分岐されている。この取り出し管H2の一方は、ヒータコア4および作動油熱交換器5に向かって延びる第1のホースH3に接続され、他方は、アッパホースH4によってラジエータ1のアッパタンク12に接続されている。
排気熱回収器6の入口側には、第2のホースH5が接続されており、出口側には、第3のホースH6によってウォータポンプ3の吸入側に接続されている。
ヒータコア4の入口側は、第1の弁V1を介して、第4のホースH7によって第1のホースH3の下流側端よりも上流側の接続部J11に接続され、出口側は、第5のホースH8によって第2のホースH5の上流側端よりも下流側の接続部J21に接続されている。
作動油熱交換器5の入口側は、第2の弁V2を介して、第6のホースH9によって第1のホースH3の下流端に接続され、出口側は、第7のホースH10によって第2のホースH5の上流端に接続されている。
第1のホースH3の接続部J11より上流側の接続部J12、および第2のホースH5の接続部J21より下流側であって作動油熱交換器5より上流側の接続部J22同士は、第3の弁V3を介して、第8のホースH11によって接続されている。
すなわち、本冷却水循環装置には、(1)第1のホースH3、第4および第5のホースH7,H8、ならびに第2および第3のホースH5,H6で構成され、エンジンEから流出された冷却水を、ヒータコア4を経由させてエンジンEに流入させるための第1の循環回路C1と、(2)第1のホースH3、第6および第7のホースH9,H10、ならびに第2および第3のホースH5,H6から構成され、エンジンEから流出された冷却水を、作動油熱交換器5を経由させてエンジンEに流入させるための第2の循環回路C2と、(3)第1のホースH3、第8のホースH11、ならびに第2および第3のホースH5,H6で構成され、エンジンEから流出された冷却水を、ヒータコア4および作動油熱交換器5を経由させずにエンジンEに流入させるための第3の循環回路C3とが含まれている。
<排熱回収器>
図2は排気熱回収器6の内部構造を示し、排気ガスの流通方向に沿って切断した縦断面図である。また、図3は図2(a)においてIII−III線に対応した位置における断面図である。
これらの図を参照して、排気熱回収器6は、略円筒形状の部材であって、その外周側に配設された排熱回収部5Aと、この排熱回収部5Aよりも内周側に配設された消音部5Bとを備え、これらが一体形成された構成となっている。
排気熱回収器6は、外筒部材51、中間筒部材52、内筒部材53の3つの部材により略三重管構造で構成されている。そして、外筒部材51と中間筒部材52との間の空間において上記排熱回収部5Aが構成されているとともに、内筒部材53によって消音部5Bが構成されている。
外筒部材51は、排気ガス流通方向の中央部分が、比較的大径の円筒形状で成る本体部51aとなっている一方、排気ガス流通方向の両端部が、それぞれ排気管7に接続する導
入側接続管部51bおよび排出側接続管部51cとして形成されている。すなわち、エンジンEから排出されて排気管7を流れてきた排気ガスは導入側接続管部51bより排気熱回収器6内に導入され、排熱回収動作および消音動作を経た後、排出側接続管部51cから排気管7の下流側に向けて排出されることになる。
中間筒部材52は、円筒形状の部材であり、その外周面と上記外筒部材51の本体部51aの内周面との間に排熱回収空間(ガス流路)54を形成している。そして、この中間筒部材52には、一端が上記第2のホースH5に、他端が上記第3のホースH6にそれぞれ接続する螺旋配管55が巻き付けられている。この螺旋配管55は、両端が上記外筒部材51の本体部51aを貫通して排熱回収空間54に配置されているとともに、排熱回収空間54の内部にあっては外筒部材51の本体部51aの内周面との間に所定間隔を存するように配設されている。すなわち、この螺旋配管55の管体の外径寸法は排熱回収空間54の高さ寸法よりも僅かに小さく設定されている。このため、排熱回収部5Aを排気ガスが流れる際には、この螺旋配管55よりも外周側(外筒部材51の内周面側)の空間(排熱回収空間54)を流れる排気ガスと螺旋配管55の内部を流れる冷却水との間で熱交換が行われ、排気ガスの熱が冷却水に与えられて排気ガスの温度が低下するとともに冷却水の温度が上昇することになる。また、この螺旋配管55は、中間筒部材52における排気ガス流通方向の一端から他端にわたって配設されており、その内部における冷却水の流通方向としては、排気熱回収器6の排気ガス導入側が冷却水の入口側であり、排気熱回収器6の排気ガス排出側が冷却水の出口側となるように、上記第2および第3のホースH5,6が接続されている。
内筒部材53は、上記中間筒部材52の内周面に取り付けられた筒体で成り、排気ガス流通方向の上流側から小断面通路部56および大断面通路部57が順に形成されている。小断面通路部56は内部の通路断面積が上記排気管7の通路断面積よりも僅かに小径であって、その軸心方向の長さ寸法は内筒部材53の全長の約1/4程度に設定されている。そして、この小断面通路部56の排気ガス流通方向の上流端が消音部5Bの排気ガス流入口56aとして形成されている。一方、大断面通路部57は内部の通路断面積が上記小断面通路部56の通路断面積および排気管7の通路断面積よりも大径であって、その軸心方向の長さ寸法は内筒部材53の全長の約3/4程度に設定されている。そして、この大断面通路部57の排気ガス流通方向の下流端が消音部5Bの排気ガス流出口57aとして形成されている。このようにして小断面通路部56および大断面通路部57が形成されているため、この小断面通路部56と大断面通路部57との境界部分には段部Aが形成され、小断面通路部56から大断面通路部57にわたって流路が拡張されている。
そして、上記大断面通路部57には、排気ガス流出口57aを開閉可能とする開閉弁58が備えられている。この開閉弁58は、排気ガス流出口57aの開口形状に略一致する円板形状で成り、上記中間筒部材52の内周面の上端部分に取り付けられた回動軸58aに支持されて水平軸回りに回動し、排気ガス流出口57aを開閉可能としている。また、この回動軸58aにはスプリングが巻き付けられており、このスプリングの付勢力によって開閉弁58は排気ガス流出口57aを閉鎖する方向への付勢力が付与されている。したがって、この開閉弁58によって排気ガス流出口57aが閉鎖されている状態では、内筒部材53の内部空間は一方側(排気ガス流通方向の上流側)のみが開放された空間となり、開閉弁58によって排気ガス流出口57aが開放されている状態では、内筒部材53の内部空間は上流側および下流側ともに開放された空間となる。
<電気的構成>
図4は冷却水循環装置の電気的構成を示すブロック図である。
図4を参照して、本冷却水循環装置は、ECU(Electronic Control Unit)60を含む。
ECU60は、冷却水循環装置の制御中枢を司るものであって、CPU、ROMおよびRAMなどから構成される。このECU60には、室温センサ61および水温センサ62の各検出信号が与えられる。これらのセンサ61,62の各検出信号に基づいて、ECU60は、上記の第1〜第3の弁V1〜V3の開閉を制御する。
室温センサ61は、運転室内の室温を検出するためのセンサであって、運転室内の適所に備えられている。
水温センサ62は、エンジンE内の水温を検出するためのセンサであって、図1に示すように、エンジンEに臨ませてある。
<動作>
(冬季)
図5は冬季における第1〜第3の弁V1〜V3の開閉に関するタイミングチャートである。
図5を参照して、冬季(たとえば、−5℃)において、エンジンEが始動されると、その直後に、ECU60は、第1および第3の弁V1,V3を全開状態とするとともに第2の弁V2を全閉状態とし、循環回路として、第1および第3の循環回路C1,C3を選択する。
そうすると、図6に示すように、第1の循環回路C1内においては、エンジンEから流出した冷却水が、第1のホースH3→第4のホースH7→ヒータコア4→第5のホースH8→第2のホースH5→排気熱回収器6→第3のホースH6の順で流れ、ウォータポンプ3により再びエンジンEに戻される。すなわち、エンジンEから流出された冷却水は、ヒータコア4を経由してエンジンEに流入する。
第3の循環回路C3内においは、エンジンEから流出した冷却水が、第1のホースH3→第8のホースH11→第2のホースH5→排気熱回収器6→第3のホースH6の順で流れ、ウォータポンプ3により再びエンジンEに戻される。すなわち、エンジンEから流出された冷却水は、ヒータコア4および作動油熱交換器5を経由せずにエンジンEに流入する。
これにより、排気熱回収器6でエンジンEの排気ガスから回収した熱によって水温を高めた冷却水は、ヒータコア4に分配されるが、作動油熱交換器5には分配されない。
その後、室温センサ61および水温センサ62からの各検出信号に基づいて、室温がTRh(たとえば、15℃)または水温がTWh(たとえば、70℃)以上になったと判断すると、ECU60は、第2の弁V2を全開状態とし、循環回路として第2の循環回路C2を選択する。
そうすると、図7に示すように、第2の循環回路C2内においては、エンジンEから流出した冷却水が、第1のホースH3→第6のホースH9→作動油熱交換器5→第7のホースH10→第2のホースH5→排気熱回収器6→第3のホースH6の順で流れ、ウォータポンプ3により再びエンジンEに戻される。すなわち、エンジンEから流出された冷却水は、作動油熱交換器5を経由してエンジンEに流入する。
このとき、第1および第3の弁V1,V3がECU60により半開状態とされるので、作動油熱交換器5に対する、排気熱回収器6でエンジンEの排気ガスから回収した熱によって水温を高めた冷却水の分配割合は、ヒータコア4に対するものよりも多くなる。
(冬季以外の条件)
図8は冬季以外の条件における第1〜第3の弁V1〜V3の開閉に関するタイミングチャートである。
図8を参照して、冬季以外の条件(たとえば、常温時やモード燃費計測時(たとえば、25℃))において、エンジンEが始動されると、その直後に、ECU60は、第3の弁V3を全開状態とするとともに第1および第2の弁V1,V2を全閉状態とし、循環回路として、第3の循環回路C3を選択する。
そうすると、図9に示すように、第3の循環回路C3内においては、上述した過程を経て、エンジンEから流出した冷却水がヒータコア4および作動油熱交換器5を経由せずにエンジンEに流入する。これにより、排気熱回収器6でエンジンEの排気ガスから回収した熱によって水温を高めた冷却水は、ヒータコア4および作動油熱交換器5の両者には分配されない。
その後、水温センサ62からの検出信号に基づいて、水温がTWh(たとえば、70℃)以上になったと判断すると、ECU60は、第2の弁V2を全開状態とし、循環回路として第2の循環回路C2を選択する。
そうすると、図10に示すように、第2の循環回路C2内においては、上述したように、エンジンEから流出した冷却水が作動油熱交換器5を経由してエンジンEに流入する。このとき、第3の弁V3がECU60により半開状態とされるので、作動油熱交換器5に対する、排気熱回収器6でエンジンEの排気ガスから回収した熱によって水温を高めた冷却水の分配割合は、上記第3の循環回路C3に対するものよりも多くなる。
<作用・効果>
本実施の形態によると、以下の作用・効果を奏する。
冬季には、エンジンEの始動直後の循環回路として、エンジンEから流出された冷却水を、ヒータコア4を経由してエンジンEに流入させる第1の循環回路C1、ならびにヒータコア4および作動油熱交換器5を経由させずにエンジンEに流入させる第3の循環回路C3が選択され、その後に室温がTRhまたは水温がTWh以上になったときの循環回路として、エンジンEから流出された冷却水を、作動油熱交換器5を経由させてエンジンEに流入させる第2の循環回路C2が選択される。一方、冬季以外の条件には、エンジンEの始動直後の循環回路として、上記第3の循環回路C3が選択され、その後に水温がTWh以上になったときの循環回路として、上記第2の循環回路C2が選択される。このように、使用状況に応じて循環回路を切り替え選択することができる。
また、エンジンEに対して、ヒータコア4および作動油熱交換器5の下流側においてウォータポンプ3を介して排気熱回収器6が直列に設けられているので、使用状況に応じて、排気熱回収器6でエンジンEの排気ガスから回収した熱によって水温を高めた冷却水(換言すると、回収した熱量)を要素(ヒータコア4および作動油熱交換器5)に選択された循環回路を通じて分配させることができる。
[第2の実施の形態]
図11は本発明の実施の形態にかかる冷却水循環装置の循環系統を簡略化して示す図である。
図11を参照して、本実施の形態にかかる冷却水循環装置の特徴は、(1)エンジンEに対して、ヒータコア4、作動油熱交換器5、および図外の電動機への電力供給源としての電池7が上流側から下流側に向かってこの順で並列に設けられている点、(2)電池7の入口側が、第4の弁V4を介して、第9のホースH12によって第1のホースH3の下流端に接続されている点、(3)電池7の出口側が、第10のホースH13によって第2のホースH5の上流端に接続されている点、ならびに(4)排気熱回収器6が、ヒータコア4、作動油熱交換器5および電池7の下流側においてウォータポンプ3を介してエンジンEに直列に接続されている点にある。
すなわち、本冷却水循環装置は、上記の第1〜第3の循環回路C1〜C3に加えて、第1のホースH3、第9および第10のホースH12,H13、ならびに第2および第3のホースH5,H6で構成され、エンジンEから流出した冷却水を、電池7を経由させてエンジンEに流入させるための第4の循環回路C4をさらに含んでいる。
<電気的構成>
図12は冷却水循環装置の電気的構成を示すブロック図である。
図12を参照して、ECU60には、上記の室温センサ61および水温センサ62の各検出信号に加えて、電池温度センサ63の検出信号が与えられ、これらセンサ61〜63の各検出信号に基づいて、ECU60は、上記の第1〜第3の弁V1〜V3の開閉制御に加えて、第4の弁V4の開閉を制御する。
電池温度センサ63は、電池7の温度を検出するためのセンサであって、図11に示すように、電池7に装着されている。
<動作>
(冬季)
図13は冬季における第1〜第4の弁V1〜V4の開閉に関するタイミングチャートである。
図13を参照して、冬季において、エンジンEが始動されると、その直後に、ECU60は、第1、第3および第4の弁V1,V3,V4を全開状態とするとともに第2の弁V2を全閉状態とし、循環回路として、第1、第3および第4の循環回路C1,C3,C4を選択する。
そうすると、図14に示すように、第1の循環回路C1内においては、エンジンEから流出した冷却水がヒータコア4を経由してエンジンEに流入する。
第3の循環回路C3内においは、エンジンEから流出した冷却水がヒータコア4および作動油熱交換器5を経由せずにエンジンEに流入する。
第4の循環回路C4内においては、エンジンEから流出した冷却水が、第1のホースH3→第9のホースH12→電池7→第10のホースH13→第2のホースH5→排気熱回収器6→第3のホースH6の順で流れ、ウォータポンプ3により再びエンジンEに戻される。すなわち、エンジンEから流出した冷却水は、電池7を経由してエンジンEに流入する。
これにより、排気熱回収器6でエンジンEの排気ガスから回収した熱によって水温を高めた冷却水は、ヒータコア4および電池7に分配されるが、作動油熱交換器5には分配されない。
その後、室温センサ61、水温センサ62および電池温度センサ63からの各検出信号に基づいて、室温がTRhまたは水温がTWhおよび電池温度がTVh(たとえば、5℃)以上になったと判断すると、ECU60は、第2の弁V2を全開状態とするとともに第4の弁V4を全閉状態とし、循環回路として第2の循環回路C2を選択する。
そうすると、図15に示すように、第2の循環回路C2内においては、エンジンEから流出した冷却水が作動油熱交換器5を経由してエンジンEに流入する。
このとき、第1および第3の弁V1,V3がECU60により半開状態とされるので、作動油熱交換器5に対する、排気熱回収器6でエンジンEの排気ガスから回収した熱によって水温を高めた冷却水の分配割合は、電池7はもとより、ヒータコア4に対するものよりも多くなる。
(冬季以外の条件)
図16は冬季以外の条件における第1〜第4の弁V1〜V4の開閉に関するタイミングチャートである。
図16を参照して、冬季以外の条件において、エンジンEが始動されると、その直後に、ECU60は、第3の弁V3を全開状態とするとともに第1、第2および第4の弁V1,V2,V4を全閉状態とし、循環回路として、第3の循環回路C3を選択する。
そうすると、図17に示すように、第3の循環回路C3内においは、エンジンEから流出した冷却水がヒータコア4および作動油熱交換器5を経由せずにエンジンEに流入する。
これにより、排気熱回収器6でエンジンEの排気ガスから回収した熱によって水温を高めた冷却水は、ヒータコア4、作動油熱交換器5および電池7には分配されない。
その後、水温センサ62からの検出信号に基づいて、水温がTWh以上になったと判断すると、ECU60は、第2の弁V2を全開状態とし、循環回路として第2の循環回路C2を選択する。
そうすると、図18に示すように、第2の循環回路C2内においては、エンジンEから流出した冷却水が作動油熱交換器5を経由してエンジンEに流入する。
このとき、第3の弁V3がECU60により半開状態とされるので、作動油熱交換器5に対する、排気熱回収器6でエンジンEの排気ガスから回収した熱によって水温を高めた冷却水の分配割合は、上記第3の循環回路C3に対するものよりも多くなる。
<作用・効果>
本実施の形態によると、以下の作用・効果を奏する。
冬季には、エンジン始動直後の循環回路として、エンジンEから流出された冷却水を、ヒータコア4を経由してエンジンEに流入させる第1の循環回路C1、ヒータコア4および作動油熱交換器5を経由させずにエンジンEに流入させる第3の循環回路C3、ならびに電池7を経由させてエンジンEに流入させる第4の循環回路C4が選択され、その後に室温がTRhまたは水温がTWhおよび電池温度がTVh以上になったときの循環回路として、エンジンEから流出された冷却水を、作動油熱交換器5を経由させてエンジンEに流入させる第2の循環回路C2が選択される。一方、冬季以外の条件には、エンジン始動直後の循環回路として、上記第3の循環回路C3が選択され、その後に水温がTWh以上になったときの循環回路として、上記第2の循環回路C2が選択される。このように、使用状況に応じて循環回路を切り替え選択することができるので、使用状況に応じて、排気熱回収器6で回収した熱量を必要とする要素(ヒータコア4、作動油熱交換器5および電池7)に選択された循環回路を通じて分配させることができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
たとえば、上記実施の形態においては、排気熱回収器を搭載した車両に本発明を適用した例について記載した。しかし、本発明はそのような構成には限定されない。排気熱回収器を搭載しない車両の本発明を適用しても、本発明の目的は十分に達成し得る。
その他、本明細書に添付の特許請求の範囲内での種々の設計変更および修正を加え得ることは勿論である。
本発明の第1の実施の形態にかかる冷却水循環装置の循環系統を簡略化して示す図である。 排気熱回収器の内部構造を示し、排気ガスの流通方向に沿って切断した縦断面図である。 図2(a)においてIII−III線に対応した位置における断面図である。 冷却水循環装置の電気的構成を示すブロック図である。 冬季における第1〜第3の弁の開閉に関するタイミングチャートである。 冬季におけるエンジン始動直後に選択される循環回路を示す図である。 冬季において第1の温度条件を満たしたときに選択される循環回路を示す図である。 冬季以外の条件における第1〜第3の弁の開閉に関するタイミングチャートである。 冬季以外の条件におけるエンジン始動直後に選択される循環回路を示す図である。 冬季以外の条件において第2の温度条件を満たしたときに選択される循環回路を示す図である。 本発明の第2の実施の形態にかかる冷却水循環装置の循環系統を簡略化して示す図である。 冷却水循環装置の電気的構成を示すブロック図である。 冬季における第1〜第4の弁の開閉に関するタイミングチャートである。 冬季におけるエンジン始動直後に選択される循環回路を示す図である。 冬季において第1の温度条件を満たしたときに選択される循環回路を示す図である。 冬季以外の条件における第1〜第4の弁の開閉に関するタイミングチャートである。 冬季以外の条件におけるエンジン始動直後に選択される循環回路を示す図である。 冬季以外の条件において第2の温度条件を満たしたときに選択される循環回路を示す図である。 従来の冷却水循環装置の循環系統を簡略化して示す図である。
符号の説明
2 ウォータポンプ
4 ヒータコア
5 作動油熱交換器
6 排気熱回収器
7 電池
60 ECU
61 室温センサ
62 水温センサ
63 電池温度センサ
C1〜C4 循環回路
H1〜H13 配管およびホース

Claims (5)

  1. エンジンと、作動油にて浸潤された状態において作動する変速機とを備えた車両に適用される冷却水循環装置であって、
    上記エンジンに対して、ヒータコアおよび作動油熱交換器が上流側から下流側に向かってこの順で並列に設けられており、
    上記エンジンから流出された冷却水を、上記ヒータコアを経由させて当該エンジンに流入させるための第1の循環回路と、
    上記エンジンから流出された冷却水を、上記作動油熱交換器を経由させて当該エンジンに流入させるための第2の循環回路と、
    上記エンジンから流出された冷却水を、上記ヒータコアおよび作動油熱交換器を経由させずに当該エンジンに流入させるための第3の循環回路と、
    冬季においては、上記エンジンの始動直後に循環回路として上記第1および第3の循環回路を選択し、その後に第1の温度条件を満たしたときに循環回路として上記第2の循環回路を選択するための第1の選択手段と、
    冬季以外の条件においては、上記エンジンの始動直後に循環回路として上記第3の循環回路を選択し、その後に第2の温度条件を満たしたときに循環回路として上記第2の循環回路を選択するための第2の選択手段とを含むことを特徴とする冷却水循環装置。
  2. 請求項1に記載の冷却水循環装置において、
    上記第1の温度条件は、室温または水温に対する設定温度で規定され、この規定された設定温度以上になったときに、上記第1の選択手段は、循環回路として上記第2の循環回路を選択し、
    上記第2の温度条件は、水温に対する設定温度で規定され、この規定された設定温度以上になったときに、上記第2の選択手段は、循環回路として上記第2の循環回路を選択することを特徴とする冷却水循環装置。
  3. 請求項1に記載の冷却水循環装置において、
    上記車両には、動力源として上記エンジンに加えて電動機が備えられており、
    上記エンジンに対して、上記ヒータコア、上記作動油熱交換器、および上記電動機への電力供給源としての電池が上流側から下流側に向かってこの順で並列に設けらており、
    上記エンジンから流出した冷却水を、上記電池を経由させて当該エンジンに流入させるための第4の循環回路をさらに含み、
    上記第1の選択手段は、上記エンジンの始動直後に循環回路として上記第1、第3および第4の循環回路を選択し、その後に第1の温度条件を満たしたときに循環回路として上記第2の循環回路を選択し、
    上記第2の選択手段は、上記エンジンの始動直後に循環回路として上記第3の循環回路を選択し、その後に第2の温度条件を満たしたときに循環回路として上記第2の循環回路を選択すること特徴とする冷却水循環装置。
  4. 請求項3に記載の冷却水循環装置において、
    上記第1の温度条件は、室温または水温および電池に対する設定温度で規定され、この規定された設定温度以上になったときに、上記第1の選択手段は、循環回路として上記第2の循環回路を選択することを特徴とする冷却水循環装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の冷却水循環装置において、
    上記エンジンに対して、ウォータポンプを介して排気熱回収器が直列に設けられていることを特徴とする冷却水循環装置。
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