JP2010018917A - 油取り紙及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】油脂を表面に吸着固定する性能が高く、皮脂等の油の拭き取り性に優れた油取り紙及びその製造方法を提供する。
【解決手段】油取り紙10は、シート状の基材1の表面に、炭化水素基、エステル基を有する炭化水素基、及びエーテル基を有する炭化水素基のいずれかを含む膜化合物を用いて形成された親油性の被膜7で被覆されている。油取り紙10は、基材表面の表面官能基と反応して結合を形成する反応性基を含む膜化合物を溶媒中に分散させた親油化処理液で基材1を処理して、基材1の表面に膜化合物の形成する親油性の被膜7を形成する方法により製造される。
【選択図】図1

Description

本発明は、油取り紙とその製造方法に関するものである。更に詳しくは、シート状の基材の表面が、表面と化学結合した膜化合物の形成する親油性の被膜で覆われた油取り紙とその製造方法に関するものである。
なお、ここでいう「シート状の基材」には、海綿又は表面が親水性の合成スポンジ等の多孔質の材料、和紙、合成紙等の紙、綿布、麻布等の布帛が含まれ、「油取り紙」には、これらのシート状の基材からなる紙以外のものも含まれる。
一般に、親油性が高い紙や繊維を油取り紙として用いることはすでによく知られている(例えば、特許文献1参照)。
この理由は、親油性が高い紙や繊維は、人体表面の油脂を表面に吸着固定する性能が高いことに由来している。
特開平11−322536公報
しかしながら、従来の親油性が高い紙や繊維は、油脂を表面に吸着する性能はあるが、油脂吸着量が少ないという大きな欠点があった。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、油脂を表面に吸着固定する性能が高い油取り紙及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様は、シート状の基材の表面が、炭化水素基、エステル基を有する炭化水素基、及びエーテル基を有する炭化水素基のいずれかを含む膜化合物を用いて形成された親油性の被膜で被覆されていることを特徴とする油取り紙を提供することにより上記課題を解決するものである。
基材の表面に形成された親油性の被膜により高い親油性が付与されるため、シート状の基材の油の吸着性能を向上させることができる。
本発明の第1の態様において、前記膜化合物は、前記基材の表面官能基と反応して結合を形成する反応性基を含み、前記親油性の被膜は、前記表面官能基と前記反応性基との反応により形成された結合を介して前記基材の表面に固定されていることが好ましい。
親油性の被膜が基材の表面に結合しているため、油の吸着性能が長期間にわたって安定に保持される油取り紙を得ることができる。
本発明の第1の態様において、前記膜化合物が、下記の式(I)〜(V)のいずれかで表されるものであってもよい。
(I)CH3−(CH2−Si(OA)3
(II)[CH3−(CH2−Si(OA)
(III)[CH3−(CH2−SiOA
(IV)CH3−(CH2−COO−(CH2−Si(OA)3
(V)CH3−(CH2−O−(CH2−Si(OA)3
なお、式(I)〜(V)において、
mは0〜17の整数であり、
nは0〜16の整数であり、
Aはアルキル基を表す。
これらの膜化合物は高い親油性を有するため、高い油吸着力を有する油取り紙を得ることができる。
本発明の上記の態様において、前記親油性の被膜が単分子膜であることが好ましい。
使用する膜化合物の量を最低限にとどめることができるため、製造時及び廃棄時の環境負荷を低減することができる。
本発明の第1の態様において、前記親油性の被膜が、アルコキシシラン及び/又はアルコキシポリシロキサンから形成されたポリシロキサン分子を含んでいてもよい。
基材の表面にポリシロキサン分子の被膜を形成することにより、最表面の親油性の膜化合物の密度を向上でき、基材の油の吸収量を更に増大させることができる。
本発明の第1の態様において、前記親油性の被膜が、前記基材の表面官能基との結合を介して該基材の表面に固定されたポリシロキサン分子の被膜を介して前記基材の表面に形成されていてもよい。
また、この場合において、前記ポリシロキサン分子の被膜は、アルコキシシリル基と前記表面官能基との反応により形成された結合を介して前記基材の表面に固定され、前記膜化合物が前記基材の表面官能基と反応して結合を形成する反応性基を含み、前記親油性の被膜が、前記ポリシロキサン分子の被膜を介して結合固定されていることが好ましい。
基材の表面にポリシロキサン分子の被膜を形成することにより、最表面の親油性の膜化合物の密度を向上でき、基材の油の吸収量を更に増大させることができる。
本発明の第1の態様において、前記ポリシロキサン分子が、下記の式(VI)で表されるアルコキシシラン及び/又は式(VII)で表されるアルコキシポリシロキサンの縮合反応により形成されるものであってもよい。
(VI)SiH(OA)4−x
(VII)(AO)Si(OSi(OA)OSi(OA)
なお、式(VI)及び(VII)において、
xは0、1、又は2であり、
Aはアルキル基を表し、
nは0、1、又は2である。
本発明の第1の態様において、前記基材が多孔質の材料であってもよく、この場合において、前記多孔質の材料が、海綿及び表面が親水性のスポンジのいずれかであることが好ましい。
これらの多孔質の材料を基材として用いることにより、油の吸収量を増大させることができる。特に、多孔質の材料が海綿及び表面が親水性のスポンジのいずれかである場合には、肌触りがよく、人体に対する悪影響のない油取り紙を得ることができる。
本発明の第1の態様において、前記基材が紙又は布帛であってもよく、この場合において、前記紙又は布帛が、和紙、合成紙、綿布、麻布、及び表面が親水性の人工の不織布のいずれかであることが好ましい。
これらの紙又は布帛を基材として用いることにより、携帯性に優れ取扱いが容易な油取り紙を得ることができる。特に、紙又は布帛が和紙、綿布、麻布、及び表面が親水性の人工の不織布のいずれかである場合には、従来の油取り紙と同様に取扱いが可能な油取り紙を得ることができる。
本発明の第2の態様は、炭化水素基、エステル基を有する炭化水素基、及びエーテル基を有する炭化水素基のいずれかを含む膜化合物を溶媒中に分散させた親油化処理液でシート状の基材を処理して、該基材の表面に前記膜化合物の形成する親油性の被膜を形成することを特徴とする油取り紙の製造方法を提供することにより、上記課題を解決するものである。
この方法により、低コストかつ容易に高性能の油取り紙を得ることができる。
本発明の第2の態様において、前記溶媒が、有機溶媒、或いは界面活性剤及び/又はアルコールを含む水であってよい。
特に、溶媒として界面活性剤及び/又はアルコールを含む水を用いる場合には、油取り紙の製造時の環境負荷を低減させることができる。
本発明の第2の態様において、前記膜化合物が、上記の式(I)〜(V)のいずれかで表されるものであってもよい。
本発明の第2の態様において、前記親油化処理液が、上記の式(VI)で表されるアルコキシシラン及び/又は上記の式(VII)で表されるアルコキシポリシロキサンを含んでいてもよい。
或いは、前記アルコキシシラン及び/又は前記アルコキシポリシロキサンを含む溶液で前記基材を処理して、該基材の表面にポリシロキサン分子の被膜を形成し、次いで前記親油化処理液でポリシロキサン分子の被膜が形成された前記基材を処理して、前記ポリシロキサン分子の被膜上に前記膜化合物の形成する親油性の被膜を形成してもよい。
基材の表面にポリシロキサン分子の被膜を形成することにより、最表面の親油性の膜化合物の密度を向上でき、基材の油の吸収量を更に増大させることができる。
本発明の第2の態様において、前記親油化処理液が前記界面活性剤を含み、該界面活性剤は下記の式(VIII)で表されるテトラアルキルアンモニウム塩であり、ホモジナイザー又は超音波分散機を用いて前記膜化合物を分散させてもよい。
Figure 2010018917
なお、式(VIII)において、
は炭素数1〜20のアルキル基を表し、
、R、及びRはメチル基又はエチル基を表し、
Xはハロゲンを表す。
上記の式(VIII)で表されるテトラアルキルアンモニウム塩を用い、ホモジナイザー又は超音波分散機を用いて分散させることにより、膜化合物、アルコキシシラン及び/又はアルコキシポリシロキサンを、水中に効率よく安定に分散させることができる。
本発明の第2の態様において、前記基材が多孔質の材料であってもよく、この場合において、前記多孔質の材料が、海綿及び表面が親水性のスポンジのいずれかであることが好ましい。
これらの多孔質の材料を基材として用いることにより、油の吸収量を増大させることができる。特に、多孔質の材料が海綿及び表面が親水性のスポンジのいずれかである場合には、肌触りがよく、人体に対する悪影響のない油取り紙を得ることができる。
本発明の第2の態様において、前記基材が紙又は布帛であってもよく、この場合において、前記紙又は布帛が、和紙、合成紙、綿布、麻布、及び表面が親水性の人工の不織布のいずれかであることが好ましい。
これらの紙又は布帛を基材として用いることにより、携帯性に優れ取扱いが容易な油取り紙を得ることができる。特に、紙又は布帛が和紙、合成紙、綿布、麻布、及び表面が親水性の人工の不織布のいずれかである場合には、従来の油取り紙と同様に取扱いが可能な油取り紙を得ることができる。
本発明によれば、表面への油脂の吸着固定能が高く、油の拭き取り性能に優れた油取り紙及びその製造方法を提供できる。
次いで、図面を参照しつつ本発明を具体化した実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。ここで、図1は本発明の第1の実施の形態に係る油取り紙の断面構造を分子レベルまで拡大して模式的に表した説明図、図2は図2は同実施の形態において、アルコキシシラン及び/又はアルコキシポリシロキサンを含む親油化処理液を使用して製造された油取り紙の断面構造を分子レベルまで拡大して模式的に表した説明図、図3はアルコキシシラン及び/又はアルコキシポリシロキサンを含む親油化処理液を使用して製造される同油取り紙の製造工程においてシラノール基を多数含む親油性の被膜が形成された状態を示す説明図、図4は本発明の第2の実施の形態に係る油取り紙の断面構造を分子レベルまで拡大して模式的に表した説明図である。
まず、図1を参照しつつ、本発明の第1の実施の形態に係る油取り紙10について説明する。油取り紙10は、基材1の表面が、デシル基(C1021:炭化水素基であるアルキル基の一例)を含む膜化合物を用いて形成された親油性の被膜7で被覆されている。なお、図1では、有機化学における炭化水素基の簡易表記法にしたがい、デシル基を折れ線で表記し、折れ線部の各頂点及び末端は、それぞれ、メチレン基(−CH−)及びメチル基(−CH)を表す(図2及び3についても同様である)。親油性の被膜7は単分子膜であり、膜物質2を形成する膜化合物の末端のアルコキシシリル基(反応性基の一例)と基材1表面のヒドロキシル基(表面官能基の一例)との反応により形成された結合(Si−O−結合)を介して基材1の表面に固定されている。
なお、本明細書において、「膜化合物」及び「膜物質」という用語は、それぞれ、親油性の被膜7を形成するための出発物質として使用される化合物、及び形成された親油性の被膜7の構成成分を呼称するために使用される。
油取り紙10は、膜化合物2を溶媒中に分散させた親油化処理液で基材1を処理し、基材1の表面に膜物質2よりなる親油性の被膜7を形成させる方法により製造される。以下、油取り紙10の製造方法について説明する。
基材1の形状、寸法、及び厚さについては、シート状であることを除けば特に制限はない。
また、基材1としては、親油性の被膜7を表面に形成することにより油を吸収することができる任意の材料を使用することができるが、人体に使用されるものであることを考慮すると、肌触りがよく、人体に有害な成分を含まないものであることが好ましい。
なお、膜化合物の反応性基との反応により形成された結合を介して膜物質2を表面に固定させるためには、ヒドロキシル基等の表面官能基を有する材料を基材1として使用することが好ましい。酸処理、コロナ放電処理等の表面処理によって表面に親水性の官能基等の表面官能基を形成してもよい。
また、単位体積あたりの油の吸収量を増大させるためには、表面積の高い多孔性の材料であることがより好ましい。なお、孔径については、吸収対象となる油の粘度、表面張力等に応じて適当な孔径を有する材料を適宜選択することにより調節することができる。基材1として使用することができる材料の具体例としては、海綿、表面が親水性のスポンジ等の多孔質の材料、和紙、合成紙等の紙、麻、綿等の天然繊維、レーヨン、ビニロン等の合成繊維等からなる布帛及び不織布が挙げられる。
親油化処理液は、膜化合物2を溶媒中に分散させることにより調製される。ここで、「分散」とは、均一な溶液、懸濁液、及び乳濁液のいずれかを形成している状態を意味する。使用することができる膜化合物としては、鎖状の親油性の官能基を含み、基材1の表面に膜物質2からなる被膜を形成することができる任意の化合物が挙げられるが、基材1表面の表面官能基との結合を介して基材1の表面に固定させるためには、表面結合基を末端に有していることが好ましい。好ましい表面官能基としては、多くの材料の表面に存在するヒドロキシル基と室温で比較的迅速に反応するアルコキシシリル基が挙げられる。また、単分子膜を形成するためには、親油性の官能基は、自己組織性を有する直鎖状の長鎖アルキル基等が好ましいが、吸収対象となる油の種類に応じて、エステル基又はエーテル基を含む長鎖アルキル基であってもよい。例えば、トリグリセリド等の吸収に用いる油取り紙10については、エステル基を含むアルキル基を含む膜化合物が好適に使用される。
好ましい膜化合物は、例えば、下記の式(I)〜(V)のいずれかで表されるものである。
(I)CH3−(CH2−Si(OA)3
(II)[CH3−(CH2−Si(OA)
(III)[CH3−(CH2−SiOA
(IV)CH3−(CH2−COO−(CH2−Si(OA)3
(V)CH3−(CH2−O−(CH2−Si(OA)3
なお、式(I)〜(V)において、
mは0〜17の整数であり、
nは0〜16の整数であり、
Aはアルキル基、より好ましくはメチル基又はエチル基を表す。
膜化合物の具体例としては、下記の(1)〜(19)に示す化合物が挙げられる。
(1) CHCHO(CH15Si(OCH
(2) CH(CHSi(CH(CH15Si(OCH
(3) CH(CHSi(CH(CHSi(OCH
(4) CHCOO(CH15Si(OCH
(5) CH(CHSi(OCH
(6) CH(CHSi(OCH
(7) CH(CHSiCH
(8) CHCHO(CH15Si(OC
(9) CH(CHSi(CH15Si(OC
(10) CH(CHSi(CH Si(OC
(11) CHCOO(CH15Si(OC
(12) CH(CHSi(OC
(13) CH(CHSi(OCH
(14) CH(CHSi(OC
(15) [CH(CHSi(OCH
(16) [CH(CH5]SiOCH
(17) [CH(CHSi(OC
(18) [CH(CHSiOC
(19) CH(CHSiCH(OCH
親油化処理液に含まれる膜化合物の濃度は、好ましくは0.1mmol/L〜10mmol/Lである。膜化合物の濃度が0.1mmol/Lを下回ると、均一な親油性の被膜7を形成することが困難であり、濃度が10mmol/Lを上回ると、ゲル化等が起こりやすくなり、保存安定性が低下する。
溶媒としては、膜化合物を溶解又は安定に分散させることができる任意の液体を使用することができる。膜化合物は高い疎水性を有するため、溶解させるためには有機溶媒が使用される。しかし、油取り紙10の製造時における環境負荷の低減の観点からは、水の使用が好ましい。しかし、水をそのまま使用するだけでは、膜化合物2を溶解させることも安定に分散させることも困難である。したがって、水を溶媒として使用する場合には、親油化処理液は、水を主体とする溶媒に膜化合物を可溶化又は安定に分散可能にするために、界面活性剤及び/又はアルコールを含んでいる。
界面活性剤としては、任意のものを用いることができるが、好ましくは、陽イオン性界面活性剤であるテトラアルキルアンモニウム塩、より具体的には下記の式(VIII)で表されるテトラアルキルアンモニウム塩である。
Figure 2010018917
なお、式(VIII)において、
は炭素数1〜20、より好ましくは炭素数12〜16のアルキル基を表し、
、R、及びRはメチル基又はエチル基、より好ましくはメチル基を表し、
Xはハロゲンを表す。
特に好ましいテトラアルキルアンモニウム塩は、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムCH(CH15N(CHBrである。
テトラアルキルアンモニウム塩の濃度は、好ましくは0.1mmol/L〜10mmmol/L、より好ましくは0.5mmol/L〜5mmol/Lである。濃度が0.1mmol/Lを下回ると、膜化合物を十分に可溶化することができず、10mmol/Lを上回ると、親油化処理液のpHが後述する最適範囲外となったり、泡を生じたりするおそれがある。
また、アルコールとしては、膜化合物を水中に均一に分散することができる任意のアルコールを用いることができるが、水と相溶性を有し、揮発性の高い、エタノール、プロパノール(1−プロパノール及び2−プロパノール)、ブタノール(1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール)、エチレングリコールが好ましい。これらのアルコールは単独で用いてもよく、任意の2種類以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
水とアルコールの混合比は特に制限されないが、水とアルコールの体積比が、80:20〜95:5であることが好ましい。
親油化処理液には、pHを調整するために、酸又は塩基を加えてもよい。好ましいpHの範囲は、5〜12である。pHが5を下回ると、密度の高い親油性の被膜7が形成されなくなると共に、親油化処理液の保存安定性が低下する。また、pHが12を上回ると、シロキサン結合のアルカリ加水分解により、形成された親油性の被膜7が破壊されるおそれがある。
親油化処理液は、膜化合物と溶媒(好ましくは、界面活性剤及び/又はアルコールとを含む水)を、混合して分散させる工程を有する方法により調製される。まず、これらの成分を、所望の組成比となるよう秤量したものを混合する。各成分を添加する順番については特に制限されない。次いで、超音波分散機又はホモジナイザーを用いて混合物を処理すると、アルコキシシリル基の一部が加水分解によりシラノール基に変換され、均一かつ透明な親油化処理液が得られる。処理温度及び時間に制限はないが、超音波分散機を用いる場合には、例えば、室温で10分間処理を行う。
油取り紙10は、以下の方法を用いて製造することができる。まず、基材1の表面に親油化処理液を塗布し、溶媒の大部分が揮発するまで(例えば、大気中、室温で1時間)放置する。基材1の表面のヒドロキシル基(図示しない)とアルコキシシリル基との縮合反応により形成された共有結合(シロキサン結合)を介して、膜化合物2が基材1の表面に結合し、膜物質2を形成する。このようにして、親油性の被膜(単分子膜)7が基材1の表面に形成された油取り紙10が得られる(図1)。
なお、この場合において、親油化処理液の濃度によっては余分な膜化合物が基材1の表面に残ってしまう場合があるが、そのような場合には、溶剤で洗浄除去すればよい。余分な膜化合物が少量であれば、未洗浄のまま放置しておいても、空気中の水分によるアルコキシル基の加水分解により生成したシラノール基により縮合反応が起こり、膜物質が形成されるので問題はない。
アルコキシシリル基と基材1の表面のヒドロキシル基との縮合反応を促進するために、縮合触媒を添加してもよい。縮合触媒としては、カルボン酸金属塩、カルボン酸エステル金属塩、カルボン酸金属塩ポリマー、カルボン酸金属塩キレート、チタン酸エステル及びチタン酸エステルキレート等の金属塩が利用可能である。
縮合触媒の添加量は、好ましくはアルコキシシラン化合物の0.2〜5質量%であり、より好ましくは0.5〜1質量%である。
カルボン酸金属塩の具体例としては、酢酸第1スズ、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジオクテート、ジブチルスズジアセテート、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジオクテート、ジオクチルスズジアセテート、ジオクタン酸第1スズ、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルト、2−エチルヘキセン酸鉄が挙げられる。
カルボン酸エステル金属塩の具体例としては、ジオクチルスズビスオクチリチオグリコール酸エステル塩、ジオクチルスズマレイン酸エステル塩が挙げられる。
カルボン酸金属塩ポリマーの具体例としては、ジブチルスズマレイン酸塩ポリマー、ジメチルスズメルカプトプロピオン酸塩ポリマーが挙げられる。
カルボン酸金属塩キレートの具体例としては、ジブチルスズビスアセチルアセテート、ジオクチルスズビスアセチルラウレートが挙げられる。
チタン酸エステルの具体例としては、テトラブチルチタネート、テトラノニルチタネートが挙げられる。
チタン酸エステルキレートの具体例としては、ビス(アセチルアセトニル)ジ−プロピルチタネートが挙げられる。
或いは、これらの化合物を助触媒として、上述の金属塩と混合(質量比1:9〜9:1の範囲で使用可能だが、1:1前後が好ましい)して用いると、反応時間を更に短縮できる。
例えば、縮合触媒として、ジブチルスズジアセテートの代わりにケチミン化合物であるジャパンエポキシレジン社のH3を用いることができる。
或いは、縮合触媒として、ジャパンエポキシレジン社のH3とジブチルスズジアセテートとの混合物(混合比は1:1)を用いてもよい。
なお、ここで用いることができるケチミン化合物は特に限定されるものではないが、例えば、2,5,8−トリアザ−1,8−ノナジエン、3,11−ジメチル−4,7,10−トリアザ−3,10−トリデカジエン、2,10−ジメチル−3,6,9−トリアザ−2,9−ウンデカジエン、2,4,12,14−テトラメチル−5,8,11−トリアザ−4,11−ペンタデカジエン、2,4,15,17−テトラメチル−5,8,11,14−テトラアザ−4,14−オクタデカジエン、2,4,20,22−テトラメチル−5,12,19−トリアザ−4,19−トリエイコサジエン等が挙げられる。
また、用いることができる有機酸としても特に限定されるものではないが、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、マロン酸等が挙げられる。
得られる油取り紙10は、皮脂の拭き取り、産業用及び家庭用油取り紙等の用途に使用することができる。吸収対象となる油の種類は特に制限されず、炭化水素系化合物を多量に含む石油系及び鉱物系の油(軽油、重油、パラフィン油、ナフサ、ワックス等)、動物性及び植物性油脂(ラード、ヘット、魚油、各種植物油、ショートニング、等)、シリコーン油等が挙げられる。
本実施の形態において、膜化合物と共にアルコキシシラン及び/又はアルコキシポリシロキサンを含む親油化処理液を使用してもよい。この場合に得られる油取り紙20において、親油性の被膜17は、アルコキシシラン及び/又はアルコキシポリシロキサンから形成されたポリシロキサン分子13を含んでいる(図2参照)。より具体的には、図2に示すように、基材11の表面が、基材11の表面のヒドロキシル基(表面官能基の一例)との結合を介して基材11の表面に固定され、基材11の表面を網目状に被覆するポリシロキサン分子の被膜16と、基材11の表面及びポリシロキサン分子13上に形成された、デシル基(C1021:炭化水素基であるアルキル基の一例)を含む膜化合物12の形成する被膜とからなる親油性の被膜で被覆されている。膜物質12の被膜は、膜化合物の末端のアルコキシシリル基(反応性基の一例)と、基材11の表面のヒドロキシル基(表面官能基の一例)又はポリシロキサン分子13上のシラノール基(Si−OH)14との反応により形成された結合(Si−O−結合)を介して基材11の表面及び網目状に基材11の表面を被覆するポリシロキサン分子13に固定されている。
油取り紙20は、膜化合物、並びにアルコキシシラン及び/又はアルコキシポリシロキサンを溶媒中に混合分散させた親油化処理液で基材11を処理し、基材11の表面に、網目状のポリシロキサン分子13及び親油性の膜物質12よりなる親油性の被膜17を形成させる方法により製造される。以下、油取り紙20の製造方法について説明する。
基材11として使用することができる材料については、第1の実施の形態に係る油取り紙10の製造に使用することができる基材1の場合と同様であるので、詳しい説明を省略する。
親油化処理液は、膜化合物及びアルコキシシラン及び/又はアルコキシポリシロキサンを溶媒中に混合分散させることにより調製される。膜化合物として使用することができる化合物の具体例、使用することができる溶媒及び界面活性剤については、油取り紙10の製造方法と同様であるので、詳しい説明を省略する。
油取り紙20の製造に使用される親油化処理液は、得られる油取り紙20の耐久性を向上させるために、アルコキシシラン及び/又はアルコキシポリシロキサンを含んでいる。アルコキシシランは、式SiH(OA)4−x(式(VI))で表される化合物であり、アルコキシポリシロキサンは、式(AO)Si(OSi(OA)OSi(OA)(式(VII))で表される化合物である。なお、これらの式において、xは0、1、又は2であり、Aは、アルキル基、好ましくはメチル基又はエチル基を表し、nは、0、1、又は2である。
上記の式(VI)で表されるアルコキシシラン及び上記の式(VII)で表されるアルコキシポリシロキサンの具体例としては、以下に示す化合物(21)〜(28)が挙げられる。
(21)Si(OCH
(22)SiH(OCH
(23)SiH(OCH
(24)(CHO)SiOSi(OCH
(25)Si(OC
(26)SiH(OC
(27)SiH(OC
(28)(HO)SiOSi(OC
これらは単独で用いてもよく、任意の2種類以上を任意の割合で混合して用いてもよい。耐久性に優れた好適な油取り紙20を得るためには、膜化合物と、アルコキシシラン及び/又はアルコキシポリシロキサンとの組成比(ケイ素原子数の比をいう)が1:10〜1:0であることが好ましく、1:3〜3:1であることがより好ましい。
更にまた、膜化合物並びにアルコキシシラン及び/又はアルコキシポリシロキサンの総濃度は、好ましくは0.1mmol/L〜50mmol/L、より好ましくは0.1mmol/L〜10mmol/Lである。総濃度が0.1mmol/Lを下回ると、均一な親油性の被膜17を形成することが困難であり、総濃度が50mmol/Lを上回ると、ゲル化等が起こりやすくなり、保存安定性が低下する。特に、総濃度が10mmol/L〜0.1mmol/Lである場合には、親油化処理液のゲル化を防止でき、寿命を1ヶ月程度まで確保できる。
油取り紙20の製造に使用される親油化処理液は、膜化合物並びにアルコキシシラン及び/又はアルコキシポリシロキサンと、溶媒(好ましくは、界面活性剤及び/又はアルコールとを含む水)とからなる混合物を、混合して分散させる工程を有する方法により調製される。まず、これらの成分を、所望の組成比となるよう秤量したものを混合する。各成分を添加する順番については特に制限されない。次いで、超音波分散機又はホモジナイザーを用いて混合物を処理すると、アルコキシシリル基の一部が加水分解によりシラノール基に変換され、均一かつ透明な親油化処理液が得られる。処理温度及び時間については、上述の油取り紙10の製造に使用する親油化処理液の場合と同様である。また、このようにして得られる親油化処理液による基材11の処理条件についても、第1の実施の形態に係る油取り紙10の製造の場合と同様であるが、このようにして得られる被膜は、図3に示すように、未反応のシラノール基14を含む親油性の被膜15である。このままでも油取り紙として使用可能であるが、親油性及び被膜の耐久性を向上させるために、加熱処理を行ってもよい。加熱処理は、例えば、120℃〜300℃で、15分間〜1時間程度行うことが好ましい。加熱処理により、未反応のシラノール基14が脱水反応を起こし、膜物質12及び網目状のポリシロキサン分子13を含む親油性の被膜17が形成された油取り紙20が得られる(図2参照)。
このようにして得られる油取り紙20は、第1の実施の形態に係る油取り紙10と同様に使用することができる。
次いで、図4を参照しながら本発明の第2の実施の形態に係る油取り紙30について説明する。油取り紙30において、親油性の被膜27は、基材21のヒドロキシル基(表面官能基の一例)との結合を介して基材21の表面に固定されたポリシロキサン分子23の被膜26と、ポリシロキサン分子23の被膜26の上に形成されたデシル基(C1021:炭化水素基であるアルキル基の一例)を含む膜化合物を用いて形成される被膜とからなる2層構造の被膜である。膜物質22は、膜化合物の末端のアルコキシシリル基(反応性基の一例)と、ポリシロキサン分子23上の図示しないシラノール基(Si−OH)との反応により形成された結合(Si−O−結合)を介して基材21の表面を被覆するポリシロキサン分子23の被膜26に固定されている(図4参照)。
本実施の形態において、油取り紙30は、まずアルコキシシラン及び/又はアルコキシポリシロキサンを含む溶液で基材21を処理して、基材21の表面にポリシロキサン分子の被膜26を形成し、次いで親油化処理液で、表面にポリシロキサン分子の被膜26が形成された基材21を処理して、ポリシロキサン分子の被膜26の上に膜物質22の被膜を形成する方法により製造することができる。各溶液の調製条件(溶媒、濃度等)、基材21及びポリシロキサン分子の被膜26との反応の条件(処理条件)については、上述の第1の実施の形態に係る油取り紙10、20の製造方法と同様であるので、詳しい説明は省略する。
基材21表面の親水性が乏しい(ヒドロキシル基の密度が低い)場合、まず基材21の表面に多数のシラノール基を含むポリシロキサン分子の被膜26を形成し、次いでその表面に膜化合物の被膜22を形成することにより最表面の親油性の膜化合物の密度を向上でき、基材の油の吸収量を更に増大させることができる。
以下、本発明の具体的な実施例を説明するが、以下の実施例においては、特に記載していない限り分子組成比はモル比を意味する。また、「%」は重量%を意味する。
実施例1
オクタデシルトリメトキシシランCH3(CH217Si(OCH3とテトラメトキシシランSi(OCHとをモル比で3:1になるように秤量し、エタノールに0.01mol/Lとなるように混合して、ホモジナイザーで10分間程度処理すると、エタノール中に含まれる水分により、それぞれのメトキシシリル基(−Si(OCH))の一部が加水分解され、−Si(OH)3基、=Si(OH)基、或いは≡SiOH基に変換された物質を含む親油化処理液を作製した。
次に、基材として、よく乾燥した和紙を用意し、上で作製した親油化処理液を室温の空気中(相対湿度57%〜70%)で表面に塗布した後、更に空気中で1時間程度放置した。このとき、この親油化処理液は、和紙の内部まで浸透し、エタノールは大部分揮発した。和紙の表面(多孔質の内部表面も含めて)に多数存在するヒドロキシル基と、アルコキシシリル基の加水分解により生成したシラノール基(Si−OH)にとの脱水反応により、和紙の表面全面に亘り、表面に化学結合(シラノール結合)を介して固定された網目状のポリシロキサン分子と、和紙の表面又はポリシロキサン分子上に固定されたオクタデシルシリル基とからなる被膜が形成された。
被膜が完全に硬化してしまう前に、水−エタノール混合溶媒で未反応の余分なオクタデシルトリメトキシシラン及びテトラメトキシシランを洗浄除去(塗布量と、液濃度を適正に調合すれば、必ずしもこの工程の洗浄は行わなくても、ほぼ同様の結果が得られた。)すると、略5nm程度の厚みの、ポリシロキサン分子と、和紙の表面又はポリシロキサン分子上に固定されたオクタデシルシリル基とからなる被膜が和紙の表面に化学結合した状態で形成できた(図3)。
その後、空気中で120〜300℃の温度で30分程度加熱処理を行うと、未反応のシラノール基(−SiOH)が完全に脱水反応して、ポリシロキサン結合を形成し、より親油性に優れた親油性の被膜で被われた油取り紙を製造できた(図2)。
実施例2
エタノールの代わりに、5mmol/Lの臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムを含むエタノール水溶液(5%のエタノールを含む)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、得られた親油化処理液を用いて油取り紙を製造した。得られた油取り紙は、実施例1において製造されたものとほぼ同一の特性を有していた。
実施例3
テトラメトキシシランを含まない以外は、実施例1と同様の操作を行い、得られた親油化処理液を用いて油取り紙を製造した。得られた油取り紙は、ポリシロキサン分子の被膜を有していないが、従来の油取り紙よりも高い油吸収性を示した(図1)。
実施例4
実施例1に記載の親油化処理液の作製と同様の手順により、テトラメトキシシランのエタノール溶液及びオクタデシルトリメトキシシランのエタノール溶液をそれぞれ作製した。天然紙に比べて表面のヒドロキシル基が少ない合成紙を用意し、よく乾燥した。これに、上で作製したテトラメトキシシランの溶液を室温の空気中(相対湿度57%〜70%)で表面に塗布した後、更に空気中で1時間程度放置した。その後、水−エタノール混合溶媒で未反応の余分なテトラメトキシシランを洗浄除去した。
このようにして得られた、多数のヒドロキシル基を含むシロキサン分子の被膜で被覆された合成紙の表面に、更に、上で作製したオクタデシルトリメトキシシランの溶液を室温の空気中(相対湿度57%〜70%)で表面に塗布した後、空気中で1時間程度放置した。その後、水−エタノール混合溶媒で未反応の余分なオクタデシルトリメトキシシランを洗浄除去した。このようにして、表面のヒドロキシル基が少ない合成紙を用いた場合にも、2層構造を有する親油性に優れた被膜で被覆された油取り紙を製造できた。
本発明の油取り紙は、化粧等の際の皮脂の拭き取り、産業用及び家庭用油取り紙等の用途に使用することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る油取り紙の断面構造を分子レベルまで拡大して模式的に表した説明図である。 同実施の形態において、アルコキシシラン及び/又はアルコキシポリシロキサンを含む親油化処理液を使用して製造された油取り紙の断面構造を分子レベルまで拡大して模式的に表した説明図である。 アルコキシシラン及び/又はアルコキシポリシロキサンを含む親油化処理液を使用して製造される同油取り紙の製造工程においてシラノール基を多数含む親油性の被膜が形成された状態を示す説明図である。 本発明の第2の実施の形態に係る油取り紙の断面構造を分子レベルまで拡大して模式的に表した説明図である。
符号の説明
1、11、21 基材
2、12、22 膜物質
13、23 ポリシロキサン分子
14 シラノール基
15 シラノール基を含む親油性の被膜
16、26 ポリシロキサン分子の被膜
7、17、27 親油性の被膜
10、20、30 油取り紙

Claims (22)

  1. シート状の基材の表面が、炭化水素基、エステル基を有する炭化水素基、及びエーテル基を有する炭化水素基のいずれかを含む膜化合物を用いて形成された親油性の被膜で被覆されていることを特徴とする油取り紙。
  2. 前記膜化合物は、前記基材の表面官能基と反応して結合を形成する反応性基を含み、前記親油性の被膜は、前記表面官能基と前記反応性基との反応により形成された結合を介して前記基材の表面に固定されていることを特徴とする請求項1記載の油取り紙。
  3. 前記膜化合物が、下記の式(I)〜(V)のいずれかで表されることを特徴とする請求項1及び2のいずれか1項記載の油取り紙。
    (I)CH3−(CH2−Si(OA)3
    (II)[CH3−(CH2−Si(OA)
    (III)[CH3−(CH2−SiOA
    (IV)CH3−(CH2−COO−(CH2−Si(OA)3
    (V)CH3−(CH2−O−(CH2−Si(OA)3
    なお、式(I)〜(V)において、
    mは0〜17の整数であり、
    nは0〜16の整数であり、
    Aはアルキル基を表す。
  4. 前記親油性の被膜が単分子膜であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の油取り紙。
  5. 前記親油性の被膜が、アルコキシシラン及び/又はアルコキシポリシロキサンから形成されたポリシロキサン分子を含んでいることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の油取り紙。
  6. 前記親油性の被膜が、前記基材の表面官能基との結合を介して該基材の表面に固定されたポリシロキサン分子の被膜を介して前記基材の表面に形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の油取り紙。
  7. 前記ポリシロキサン分子の被膜は、アルコキシシリル基と前記表面官能基との反応により形成された結合を介して前記基材の表面に固定され、前記膜化合物が前記基材の表面官能基と反応して結合を形成する反応性基を含み、前記親油性の被膜が、前記ポリシロキサン分子の被膜を介して結合固定されていることを特徴とする請求項6記載の油取り紙。
  8. 前記ポリシロキサン分子が、下記の式(VI)で表されるアルコキシシラン及び/又は式(VII)で表されるアルコキシポリシロキサンの縮合反応により形成されるものであることを特徴とする請求項5から8のいずれか1項記載の油取り紙。
    (VI)SiH(OA)4−x
    (VII)(AO)Si(OSi(OA)OSi(OA)
    なお、式(VI)及び(VII)において、
    xは0、1、又は2であり、
    Aはアルキル基を表し、
    nは0、1、又は2である。
  9. 前記基材が多孔質の材料であることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項記載の油取り紙。
  10. 前記多孔質の材料が、海綿及び表面が親水性のスポンジのいずれかであることを特徴とする請求項9記載の油取り紙。
  11. 前記基材が紙又は布帛であることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項記載の油取り紙。
  12. 前記紙又は布帛が、和紙、合成紙、綿布、麻布、及び表面が親水性の人工の不織布のいずれかであることを特徴とする請求項11記載の油取り紙。
  13. 炭化水素基、エステル基を有する炭化水素基、及びエーテル基を有する炭化水素基のいずれかを含む膜化合物を溶媒中に分散させた親油化処理液でシート状の基材を処理して、該基材の表面に前記膜化合物の形成する親油性の被膜を形成することを特徴とする油取り紙の製造方法。
  14. 前記溶媒が、有機溶媒、或いは界面活性剤及び/又はアルコールを含む水であることを特徴とする請求項13記載の油取り紙の製造方法。
  15. 前記膜化合物が、下記の式(I)〜(V)のいずれかで表されることを特徴とする請求項13及び14のいずれか1項記載の油取り紙の製造方法。
    (I)CH3−(CH2−Si(OA)3
    (II)[CH3−(CH2−Si(OA)
    (III)[CH3−(CH2−SiOA
    (IV)CH3−(CH2−COO−(CH2−Si(OA)3
    (V)CH3−(CH2−O−(CH2−Si(OA)3
    なお、式(I)〜(V)において、
    mは0〜17の整数であり、
    nは0〜16の整数であり、
    Aはアルキル基を表す。
  16. 前記親油化処理液が、下記の式(VI)で表されるアルコキシシラン及び/又は式(VII)で表されるアルコキシポリシロキサンを含んでいることを特徴とする請求項13から15のいずれか1項記載の油取り紙の製造方法。
    (VI)SiH(OA)4−x
    (VII)(AO)Si(OSi(OA)OSi(OA)
    なお、式(VI)及び(VII)において、
    xは0、1、又は2であり、
    Aはアルキル基を表し、
    nは0、1、又は2である。
  17. 前記アルコキシシラン及び/又は前記アルコキシポリシロキサンを含む溶液で前記基材を処理して、該基材の表面にポリシロキサン分子の被膜を形成し、次いで前記親油化処理液でポリシロキサン分子の被膜が形成された前記基材を処理して、前記ポリシロキサン分子の被膜上に前記膜化合物の形成する親油性の被膜を形成することを特徴とする請求項13から16のいずれか1項記載の油取り紙の製造方法。
  18. 前記親油化処理液が前記界面活性剤を含み、該界面活性剤は下記の式(VIII)で表されるテトラアルキルアンモニウム塩であり、ホモジナイザー又は超音波分散機を用いて前記膜化合物を分散させることを特徴とする請求項14から17のいずれか1項記載の油取り紙の製造方法。
    Figure 2010018917
    なお、式(VIII)において、
    は炭素数1〜20のアルキル基を表し、
    、R、及びRはメチル基又はエチル基を表し、
    Xはハロゲンを表す。
  19. 前記基材が多孔質の材料であることを特徴とする請求項13から18のいずれか1項記載の油取り紙の製造方法。
  20. 前記多孔質の材料が、海綿及び表面が親水性のスポンジのいずれかであることを特徴とする請求項19記載の油取り紙の製造方法。
  21. 前記基材が紙又は布帛であることを特徴とする請求項13から18のいずれか1項記載の油取り紙の製造方法。
  22. 前記紙又は布帛が、和紙、合成紙、綿布、麻布、及び表面が親水性の人工の不織布のいずれかであることを特徴とする請求項21記載の油取り紙の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2020097180A (ja) * 2018-12-18 2020-06-25 セイコーエプソン株式会社 処理装置、成形体および処理方法

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