JP2010014698A - タイヤ形状検査方法,タイヤ形状検査装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】サイドウォール面の表面高さ分布情報に対して2次元のソーベルフィルタ処理を施し,得られた勾配値分布情報を2値化した2値分布情報に膨張処理を施して得られる2値分布情報に対してラベリング処理を施し,ラベル値ごとのフィレ座標に基づいて表示マークの存在範囲を含むマスク範囲の座標を設定し,そのマスク範囲内の表面高さ測定値をそのマスク範囲外の表面高さ測定値による補間値に置き換え,これにより得られた表面高さ分布情報に基づき形状欠陥検査処理を実行する。
【選択図】図3
Description
通常,タイヤの形状検査においては,まず,所定の変位センサがタイヤの表面(サイドウォール面やトレッド面)に対向配置された状態で,タイヤが回転機により回転駆動される。
例えば,特許文献1には,回転するタイヤの表面にスリット光(ライン光)を照射してそのスリット光の像を撮像し,その撮像画像に基づいて光切断法による形状検出を行うことによってタイヤの表面高さを検出する技術について示されている。これにより,タイヤ表面の周方向360°の範囲に渡る多数の位置について表面高さ測定値の分布情報が得られる。こうして得られる情報は,サイドウォール面やトレッド面の周方向360°の範囲に渡る各位置の表面高さ測定値が,タイヤの半径方向を表す第1の座標軸(例えばX軸)及びタイヤの周方向を表す第2の座標軸(例えばY軸)からなる2次元の座標系内に前記表面高さ測定値が配列された情報(以下,表面高さ分布情報という)となる。従って,前記表面高さ測定値が画像データにおける各画素の輝度値に相当すると考えれば,前記表面高さ分布情報は,計算機(画像処理装置)上でモノクロの画像データと同様に取り扱うことができる。
ところで,タイヤのサイドウォール面には,製品の型式やサイズ,メーカのロゴ等を表示する凹凸のあるマーク(以下,表示マークという)が形成されている。このため,サイドウォール面の形状欠陥検査処理においては,前記表示マークの凹凸が形状欠陥として誤検知されないようにする必要がある。
従来の形状欠陥検査処理においては,前記表面高さ分布情報におけるタイヤの周方向の1ライン分(前記第1の座標軸方向の1ライン分)の測定値にローパスフィルタ処理を施して得られるデータに基づいて,タイヤ周方向における変化が許容範囲内であるか否かを判別することがよく行われる。
例えば,特許文献3の段落0003には,タイヤの周方向の1ライン分の測定値に高速フーリエ変換処理を施して得られたデータから高周波成分を除去し,残りのデータに対してさらに逆フーリエ変換処理を施すことによって前記ローパスフィルタ処理を実現する例が示されている。
また,特許文献2には,タイヤの周方向の1ライン分の測定値と放物線との接点を算出し,算出された接点の2点間を直線補間することにより,高速フーリエ変換処理に代わるローパスフィルタ処理を実現することについて示されている。
また,特許文献3には,タイヤの周方向の1ライン分の測定値に対して平滑微分処理を施して得られるデータから,測定値変化の急峻な立ち上がり位置から急峻な立ち下がり位置までの範囲を前記表示マークが存在する範囲として検出し,その範囲を検査対象から外すことについて示されている。
以上に示した従来技術は,タイヤの周方向において,検出すべき形状欠陥の部分の表面高さの変化は比較的緩やかであるのに対し,前記表示マークの部分の表面高さの変化は急峻であることを前提にしている。
タイヤ表面から隆起した前記表示マークMは,図8に示されるように,タイヤの周方向(Y軸方向)に伸びるエッジ部や,タイヤの周方向に対し鋭角をなす方向に伸びるエッジ部を有していることが多い。このため,タイヤの周方向1ライン分の表面高さ測定値が,図8における波線La上の測定値のように,前記表示マークのエッジ部周辺の測定値を含むことがある。図8における波線La上の表面高さ測定値は,前記表示マークMに起因する値の変化が比較的緩やかである。
そのため,タイヤの周方向1ライン分の表面高さ測定値に対し,ローパスフィルタ処理や平滑微分処理を施す従来の形状欠陥検査処理では,形状欠陥に起因する測定値の変化と前記表示マークに起因する測定値の変化とを明確に区分することが難しいという問題点があった。その結果,前記表示マークの部分を形状欠陥部分であると誤検知したり,形状欠陥部分を前記表示マークの部分であると誤認識して形状欠陥の検知漏れが生じたりすることがあった。
また,タイヤの周方向1ライン分の表面高さ測定値が,図8における波線Lb上の測定値のように,他から孤立した一連の前記表示マークMにおける複数箇所の隆起部Mt及びそれらの間の非隆起部Mbの測定値を含む場合もある。ここで,前記非隆起部Mbは,前記表示マークMの表示範囲内における窪み部であるともいえる。
一連の前記表示マークMの輪郭の内側に位置する前記非隆起部Mbは,形状欠陥(バルジやデント)とは無関係に高さ変化が大きくなりがちであるため,形状欠陥検査の対象から除外することが望ましい。
しかしながら,前記従来の形状欠陥検査処理では,一連の前記表示マークの輪郭内に位置する非隆起部の測定値が,形状欠陥検査の対象に含まれるため,その非隆起部を形状欠陥部分であると誤検知し得るという問題点もあった。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,凹凸のあるマーク(前記表示マーク)が形成されたタイヤのサイドウォール面の形状欠陥を検査する際に,表面高さ測定値から,マークが形成された範囲の測定値を確実にかつ誤認することなく除去して正しい形状欠陥測定を行うことができるタイヤ形状検査方法及びその装置を提供することにある。
(1−1)前記表面高さ分布情報に対する2次元のエッジ検出処理により前記凹凸のあるマークのエッジを検出し,検出された2次元のエッジ分布情報を記憶手段に記憶させる2次元エッジ検出工程。
(1−2)前記2次元のエッジ分布情報に対してラベリング処理を施し,その処理結果であるラベル分布情報を記憶手段に記憶させるラベリング工程。
(1−3)前記ラベル分布情報におけるラベル値ごとのフィレ座標に基づいて前記凹凸のあるマークの存在範囲を囲むマスク範囲の座標を設定し,その座標を記憶手段に記憶させるマスク範囲設定工程。
(1−4)前記形状欠陥検査処理に用いられる前記表面高さ分布情報における前記マスク範囲内の前記表面高さ測定値を前記マスク範囲外の前記表面高さ測定値に基づく補間値に置き換えるマスク範囲補間工程。
ここで,前記2次元エッジ検出工程では,例えば,前記表面高さ分布情報に対して2次元の平滑微分処理と2値化処理とを順次施すことにより前記凹凸のあるマークのエッジを検出する。そして,その処理結果である2値分布情報又は該2値分布情報に予め定められた補正処理を施して得られる補正後の前記2値分布情報を前記2次元のエッジ分布情報として検出する。なお,前記2次元の平滑微分処理の一例は,2次元のソーベルフィルタ処理である。
また,前記マスク範囲補間工程の具体例としては,前記第2の座標軸方向の1ラインごとに,前記表面高さ分布情報における前記マスク範囲外の前記表面高さ測定値に基づく直線補間により前記マスク範囲内の表面高さ測定値の補間値を算出することが考えられる。
なお,本発明に係るタイヤ形状検査方法において実行される複数の工程は,通常,計算機等の所定のプロセッサにより実行される。また,それら複数の工程それぞれが,個別のプロセッサにより実行される場合の他,1つのプロセッサが複数の工程を併せて実行することも考えられる。もちろん,本発明に係るタイヤ形状検査方法の実施にあたり,用いられるプロセッサの数及びそれらのプロセッサにより複数の工程をどのように分担して実行するかについては,特に限定されない。
さらに,前記ラベリング工程により,他から孤立した一連の前記表示マークごとに同じラベル値が設定され,前記マスク範囲設定工程では,その一連の表示マークごとに,その表示マークを最小範囲で囲む矩形範囲の座標(前記ラベル値ごとのフィレ座標)が検出される。なお,前記ラベリング処理は,2値画像情報とみなせる前記2次元のエッジ分布情報(2値分布情報)について,連結画素ごとに同じラベル値を設定する処理である。
そして,前記マスク範囲設定工程により,前記ラベル値ごとのフィレ座標に基づいて,前記表示マークの存在範囲を含むマスク範囲,即ち,前記表面高さ測定値を形状欠陥検査の対象から除外する範囲が設定される。これにより,一連の前記表示マークの輪郭内に位置する非隆起部の測定値を,形状欠陥検査の対象から除外することができ,その非隆起部を形状欠陥部分であると誤検知することを回避できる。
また,前記マスク範囲補間工程により,前記表面高さ分布情報における前記マスク範囲内の測定値が,前記マスク範囲外の測定値に基づく補間値に置き換えられる。この補間値は,直線補間値や2次曲線補間値等,変化の緩やかな値である。これにより,前記マスク範囲の有無に関わらず同じアルゴリズムで形状欠陥検査処理を実行できる。
これにより,前記表示マークの輪郭の一部に表面高さの立ち上がり(変化)が比較的緩やかな部分が含まれる場合でも,その部分が前記表示マークの輪郭内に含まれる部分として認識され,ラベル値の割り当てが確実に行われる。
また,本発明では,前記マスク範囲設定工程において,前記ラベル値ごとのフィレ座標により特定される矩形範囲それぞれを前記マスク範囲として設定することも考えられる。しかしながら,前記ラベル値のフィレ座標により特定される矩形範囲には,形状欠陥検査の対象とすべき範囲も含まれ得るため,さらに子細に前記マスク範囲を設定することが望ましい。
(1−5)前記ラベリング工程が,前記全周範囲の両端の座標が隣接するものとして,前記2次元のエッジ分布情報(2値分布情報)に対してラベリング処理を施し,その処理結果であるラベル分布情報を記憶手段に記憶させる工程であること。
(1−6)前記ラベル分布情報における前記ラベル値ごとにそのフィレ座標に基づいて前記第2の座標軸方向における前記ラベル値の存在範囲のパターンが予め定められた3種類の存在パターンのいずれであるかを判別し,その判別結果を記憶手段に記憶させるラベル存在パターン判別工程。
(1−7)前記第2の座標軸方向の1ラインごとに,該1ライン上に存在する前記ラベル値それぞれの前記存在パターンの判別結果及び位置に応じて前記マスク範囲の座標を設定し,その座標を記憶手段に記憶させるライン毎マスク範囲設定工程。
なお,前記予め定められた3種類の存在パターンは,前記ラベル値が前記全周範囲全体に渡り連なって存在する第1の存在パターンと,前記ラベル値が前記全周範囲の一方の端部を含む領域と他方の端部を含む領域とに分離して存在する第2の存在パターンと,その他の状態である第3の存在パターンとの3つである。
(1−8)前記存在パターンの判別結果が前記第1の存在パターンである前記ラベル値について,そのラベル値の数に応じてそのラベル値が存在する位置のみを前記マスク範囲に設定するか前記第2の座標軸方向1ライン分全てを前記マスク範囲に設定するかのいずれかの処理を実行する。
(1−9)前記存在パターンの判別結果が前記第2の存在パターンである前記ラベル値について,前記全周範囲を二等分した各範囲において前記全周範囲の両端位置それぞれからその位置に対し最も離れた前記ラベル値の位置に至る範囲を前記マスク範囲に設定する処理を実行する。
(1−10)前記存在パターンの判別結果が前記第3の存在パターンである前記ラベル値について,そのラベル値の存在する位置全体に渡る範囲を前記マスク範囲に設定する処理を実行する。
以上に示した処理によれば,後述するように,前記表示マークのほぼ輪郭から内側の範囲に相当する必要最小限の範囲が前記マスク範囲として設定される。
そこで,本発明に係るタイヤ形状検査方法において,次の(1−11)に示される各処理を実行することも考えられる。
(1−11)前記表面高さ分布情報における前記表面高さ測定値を,前記第2の座標軸方向の1ラインごとにその1ライン分の前記表面高さ測定値の平均値に応じて正規化する測定値正規化工程を実行する。
(1−12)前記2次元エッジ検出工程において,前記測定値正規化工程によって前記表面高さ測定値が正規化された前記表面高さ分布情報に対して2次元のエッジ検出処理を実行する。
なお,(1−12)に記載された「前記測定値正規化工程」は,(1−11)において定義された工程である。
これにより,前記サイドウォール面の本来の形状である湾曲部が前記表示マークのエッジとして誤検出されることを回避できる。
そこで,本発明に係るタイヤ形状検査方法において,次の(1−13)〜(1−15)に示される各処理を実行することも考えられる。
(1−13)回転する前記タイヤの前記サイドウォール面に照射されたライン光の撮像画像から所定輝度以上の光切断線を検出して前記2次元の座標系内に配列される前記所定輝度以上の光切断線の位置に応じた有効高さ検出値を導出する光切断法形状検出工程を実行する。
(1−14)前記表面高さ分布情報における前記第2の座標軸方向の1ラインごとの前記表面高さ測定値を,当該1ラインにおける前記所定輝度以上の光切断線を検出できた部分については当該部分における前記有効高さ検出値を当該1ラインにおける前記有効高さ検出値の平均値に応じて正規化した値に設定するとともに,当該1ラインにおける他の部分については当該1ラインにおける前記有効高さ検出値に基づく補間値を当該1ラインにおける前記有効高さ検出値の平均値に応じて正規化した値に設定する測定値正規化工程を実行する。
(1−15)前記2次元エッジ検出工程において,前記測定値正規化工程によって前記表面高さ測定値が正規化された前記表面高さ分布情報に対して2次元のエッジ検出処理を実行する。
なお,(1−15)に記載された「前記測定値正規化工程」は,(1−14)において定義された工程である。
これにより,前記サイドウォール面の本来の形状である湾曲部が前記表示マークのエッジとして誤検出されることを回避できる。さらに,前記微小な窪みに起因して,前記サイドウォール面の撮像画像において明瞭な光切断線を検出できなかった部分について,不適切な前記高さ測定値が設定されて誤った形状欠陥の検出が行われることを回避できる。
なお,前記有効高さ検出値に基づく補間値は,例えば,前記第2の座標軸方向の1ラインにおける前記有効高さ検出値の平均値や直線補間値などである。
タイヤのサイドウォール面に前記環状マークが形成されている場合,前記測定値正規化工程により前記表面高さ分布情報における前記高さ測定値を正規化すると,タイヤの半径方向における前記環状マークの境界線の位置付近において,正規化後の前記高さ測定値が前記サイドウォール面の本来の形状とは異なる誤った形状を表すという現象が生じる。その結果,形状欠陥の誤検出が発生するという問題点があった。その問題点は,タイヤのサイドウォール面に前記準環状マーク群が形成されている場合も同様に生じる。
(1−16)前記第2の座標軸方向の1ラインごとの前記有効高さ検出値の平均値のデータからなる前記第1の座標軸方向のデータ列について,微分値の絶対値が予め設定されたしきい値以上となる前記第1の座標軸の座標である平均高さ急変座標を検出する平均高さ急変座標検出工程。
(1−17)前記表面高さ分布情報における,前記第1の座標軸における前記平均高さ急変座標を含む所定幅の座標範囲内の前記第2の座標軸方向の全範囲に渡る領域を前記形状欠陥検査処理の対象から除外する処理を行う欠陥検査除外領域設定工程。
これにより,タイヤのサイドウォール面に前記環状マークや前記準環状マーク群が形成されている場合であっても,形状欠陥の誤検出を防止できる。
即ち,本発明に係るタイヤ形状検査装置は,相対的に回転するタイヤにおける凹凸のあるマークが形成されたサイドウォール面へのライン光の照射及びそのライン光の像の撮像を行い,その撮像画像に基づいて,前記タイヤの形状欠陥検査に用いられる表面高さ分布情報を導出する装置であり,次の(2−1)〜(2−4)に示される各構成要素を備える。
(2−1)前記サイドウォール面に一の光切断線が形成されるように,該光切断線における検出高さ方向とは異なる方向から複数のライン光を連ねて照射するライン光照射手段。
(2−2)前記サイドウォール面に照射された前記複数のライン光の像を,該複数のライン光それぞれの主光線が前記サイドウォール面に対して正反射する方向において撮像する撮像手段。
(2−3)前記撮像手段の撮像画像における光切断線の検出により前記サイドウォール面の全周範囲に渡る表面高さ分布情報を導出する光切断法形状検出手段。
(2−4)前記表面高さ分布情報に対する2次元のエッジ検出処理に基づいて,前記タイヤの形状欠陥検査に用いられる前記表面高さ分布情報から前記凹凸のあるマークの存在範囲の情報を除外する凹凸マーク除去手段。
なお,「相対的に回転するタイヤ」とは,タイヤ自体がその回転軸を中心に回転する場合と,タイヤ自体は固定された状態で前記ライン光照射手段及び前記撮像手段がタイヤの回転軸を中心に回転する場合とを含むことを意味する。
本発明に係るタイヤ形状検査装置は,本発明に係るタイヤ形状検査方法と同様の作用効果を奏する。
さらに,前記タイヤ形状検査装置Wは,前記形状測定処理により得られた前記表面高さ分布情報,又はその表面高さ分布情報の一部を必要に応じて修正した情報である検査用表面高さ分布情報に基づいて,タイヤ1の表面の形状欠陥検査処理を実行する。
図1に示すように,タイヤ形状検査装置Wは,タイヤ回転機2,センサユニット3,ユニット駆動装置4,エンコーダ5,画像処理装置6及びホスト計算機7等を備えている。
前記タイヤ回転機2は,形状検出の対象であるタイヤ1をその回転軸1gを中心に回転させるモータ等の回転装置である。
例えば,前記タイヤ回転機2は,タイヤ1を60rpmの回転速度で回転させる。これにより,タイヤ形状検査装置Wは,タイヤ1を1回転させる1秒の間に,後述するセンサユニット3によって,タイヤ1のトレッド面及びサイドウォール面の全周範囲の表面形状を検出する。
前記センサユニット3は,回転するタイヤ1の表面にライン光を照射する光源及びタイヤ1の表面上のライン光の像を撮像するカメラなどが組み込まれたユニットである。本実施形態では,タイヤ1の2つのサイドウォール面それぞれの形状測定に用いられる2つのセンサユニット3a,3cと,タイヤ1のトレッド面の形状測定に用いられる1つのセンサユニット3bとを併せて3つのセンサユニット3を備えている。
図2に示すように,前記センサユニット3は,複数のライン光を出力する投光装置10と,カメラ20とを備えている。
図2において,X軸はタイヤ1の形状検出位置におけるタイヤ回転の円周に接する方向,Z軸はタイヤ1の形状検出位置における検出高さ方向(検出する表面高さの方向),Y軸はX軸及びZ軸に直交する方向を表す。
即ち,タイヤ1のサイドウォール面の形状検出に用いられる前記センサユニット3a,3cにおいては,Z軸はタイヤ1の回転軸1gの方向を表す座標軸であり,X軸はタイヤ1の半径方向(タイヤ1の回転軸1gに対する法線の方向)を表す座標軸である。
また,タイヤ1のトレッド面の形状検出に用いられる前記センサユニット3bにおいては,Z軸はタイヤ1の半径方向を表す座標軸であり,X軸はタイヤ1の回転軸1gの方向を表す座標軸である。
また,いずれの前記センサユニット3a,3b,3cにおいても,Y軸はタイヤ1の周方向を表す座標軸である。
なお,タイヤ1と座標軸との対応関係は,前記カメラ20の支持の態様に応じて変わり得る。
また,前記カメラ20は,カメラレンズ22及び撮像素子21(受光部)を備え,タイヤ1の表面(トレッド面又はサイドウォール面)に連ねて照射された複数のライン光の像v1(前記一の線Ls上の光切断線の像)を撮像するものである。
従って,サイドウォール面用の前記センサユニット3a,3cにおいては,前記投光装置10は,タイヤ1のサイドウォール面におけるタイヤ1の半径方向(Y軸方向)に沿う一の線Ls上に光切断線(1本の光切断線)が形成されるように,その一の線Ls(光切断線)における検出高さ方向(Z軸方向)とは異なる方向から複数のライン光を連ねて照射する。
なお,本実施形態では,タイヤ1の各面ごとに(前記センサユニット3ごとに)3つのライン光を照射することを例示するが,前記ライン光源11〜13の数を増減することにより,タイヤ1の各面ごとに2つのライン光,或いは4つ以上のライン光を照射することも考えられる。
また,前記投光装置10及び前記カメラ20は,不図示の保持機構により,前記ライン光源11〜13から出力される複数のライン光それぞれの主光線(中心線に沿う光)が,タイヤ1の表面に対して正反射する方向に前記カメラ20の視野範囲が存在するように保持されている。これにより,前記カメラ20は,複数のライン光それぞれの主光線がタイヤ1の表面に対して正反射する方向において複数のライン光の像を撮像する(前記撮像手段の一例)。
光沢のあるタイヤの表面にライン光が照射された場合,散乱反射光よりも正反射光の方が光量が大きくなる。これに対し,上記構成によれば,ライン光の強度を増強することなく,十分に高い撮像レート(例えば,1秒当たり4000フレーム以上)でライン光の像の撮像を行っても,タイヤの表面に照射したライン光の明瞭な像を得ることができる。
また,前記エンコーダ5は,前記タイヤ回転機2の回転軸の回転角度,即ち,タイヤ1の回転角度を検出するセンサであり,その検出信号は,前記センサユニット3が備えるカメラの撮像タイミングの制御に用いられる。
さらに,前記画像処理装置6は,前記センサユニット3が備えるカメラによって撮像された画像,即ち,タイヤ1の表面に照射したライン光の像の撮像画像のデータを入力し,その撮像画像に基づいて光切断法による形状測定処理を実行し,その測定結果である表面高さ分布情報(タイヤ1の表面高さ測定値の集合)を内蔵されたフレームメモリに記憶させる。
前記画像処理装置6は,例えばDSP(Digital Signal Processor)によって実現される。
なお,光切断法による形状測定処理は周知であるのでここでは説明を省略する。
また,タイヤ1のトレッド面についての前記表面高さ分布情報は,そのトレッド面の周方向360°の範囲に渡る各位置の表面高さ測定値が,そのタイヤ1の回転軸に平行な方向を表すX軸及びタイヤ1の周方向を表すY軸からなる2次元の座標系内に配列された情報である。
以下,Y軸方向(第2の座標軸の方向)において前記表面高さ分布情報が占める範囲,即ち,タイヤ1の周方向360°分に相当するY軸の座標範囲のことを全周範囲Wyと称する。この全周範囲Wyにおける両端の座標(Y軸方向の始点の座標と終点の座標)は,実際のタイヤ1の表面上の周方向において隣接する位置に相当する。
なお,タイヤ1のサイドウォール面には,凹凸のあるマーク(文字,記号,図形等)が形成されており,以下,そのマークを表示マークM(図8参照)と称する。
さらに,前記画像処理装置6は,タイヤ1のサイドウォール面の前記表面高さ分布情報については,形状欠陥検査の対象から除外すべき前記表示マークMの存在する範囲内の表面高さ測定値を変化の緩やかな補間値に置き換える表面高さ分布情報修正処理を実行する。そして,前記表面高さ分布情報修正処理により得られたサイドウォール面に関する情報,及びタイヤ1のトレッド面の前記表面高さ分布情報は,前記検査用表面高さ分布情報として前記ホスト計算機7に伝送される。
具体的には,前記ホスト計算機7は,前記画像処理装置6から取得したタイヤ1の各面の前記検査用表面高さ分布情報に基づいて,形状欠陥検査処理を実行する。この形状欠陥検査処理は,タイヤ1の各面の前記検査用表面高さ分布情報が,タイヤ1の各面ごとに予め設定された許容条件を満たすか否かを判別し,その判別結果を所定の表示部に表示,或いは所定の制御信号として出力する処理である。
[ステップS1]
まず,前記画像処理装置6は,サイドウォール面の前記表面高さ分布情報について測定値正規化工程(S1)を実行する。具体的には,前記画像処理装置6は,前記表面高さ分布情報における前記表面高さ測定値を,Y軸方向の1ラインごとにその1ライン分の前記表面高さ測定値の平均値に応じて正規化し,正規化後の前記表面高さ分布情報を内蔵するフレームメモリに記憶させる。正規化後の値は,例えば,前記表面高さ測定値それぞれからそれらの平均値を差し引いた値である。
このステップS1の処理により得られる正規化後の値は,タイヤ1のサイドウォール面の本来の形状である半径方向(X軸方向)における湾曲形状の成分が除去された表面高さ情報である。なお,前記表示マークMがないと仮定したサイドウォール面の半径方向の理想形状を予め設定し,前記表面高さ測定値それぞれからその理想形状の値を差し引いた値を正規化後の値とすること等も考えられる。
次に,前記画像処理装置6は,前記測定値正規化工程(S1)によって前記表面高さ測定値が正規化された前記表面高さ分布情報に対して2次元のソーベルフィルタ処理を施し,その処理結果である勾配値分布情報を内蔵するフレームメモリに記憶させるフィルタリング工程を実行する(S2)。
ソーベルフィルタ処理は,ある注目画素及びその周囲の画素からなる予め定められた数の画素群それぞれの値(正規化された表面高さ測定値)に対し,その位置に応じて予め定められた係数をそれぞれ乗算した結果を合計する処理である。また,2次元のソーベルフィルタ処理では,X軸方向及びY軸方向それぞれに対応する2つの係数行列を用いて,前述した計数の乗算及び乗算結果の合計を行い,両合計の2乗和の平方根を処理結果として算出する。その結果,サイドウォール面の表面高さの勾配が大きいほど高い値となる処理結果が得られる。以下,2次元のソーベルフィルタ処理による各画素の処理結果を勾配値と称し,X−Y座標系における各画素の前記勾配値の集合を勾配値分布情報と称する。なお,2次元のソーベルフィルタ処理は周知であるので,ここでは,その詳細の説明は省略する。
また,前記フィルタリング工程(S2)では,前記全周範囲Wyの両端部付近の画素についても前記勾配値が得られるよう,前記全周範囲Wyの両端の座標(Y座標)がY軸方向において隣接する座標であるという前提の下に,ソーベルフィルタ処理が実行される。
タイヤ形状検査における2次元のソーベルフィルタ処理では,注目画素及びその周囲の8つの画素からなる9つの画素群,或いはその9つの画素群及びその周囲の16個の画素からなる25個の画素群の値に基づいて,注目画素の前記勾配値を算出する。
続いて,前記画像処理装置6は,前記勾配値分布情報に対して2値化処理を施し,その処理結果である2値分布情報を前記フレームメモリに記憶させる2値化工程を実行する(S3)。この2値化工程により,画素の値(前記勾配値)が予め設定されたしきい値以上である画素にON値(例えば,1)が設定され,それ以外の画素にOFF値(例えば,0)が設定される。
以上に示したステップS1〜S3の処理により,前記表示マークMのエッジ部(輪郭部)が2次元座標におけるいずれの方向に伸びて形成されていても,そのエッジ部が確実に検出される。なお,ステップS2及びS3は,前記表面高さ分布情報に対する2次元のエッジ検出処理(2次元のソーベルフィルタ処理及び2値化処理)により,凹凸のある前記表示マークMのエッジを検出し,その検出結果(2次元のエッジ分布情報)を前記フレームメモリに記憶させる2次元エッジ検出工程の一例である。
図4は,ステップS3の処理によって得られるサイドウォール面に関する前記2値分布情報の一例を画像として表した図である。図4において,黒い部分が前記2値分布情報におけるOFF値(=0)の画素の部分であり,白い部分が前記2値分布情報におけるON値(=1)の画素の部分である。即ち,図4における白い部分が,前記表示マークMのエッジ部である。
次に,前記画像処理装置6は,前記2値分布情報に対して予め定められた補正処理を施し,補正後の情報(補正後2値分布情報)を前記フレームメモリに記憶させる2値分布情報補正工程を実行する(S4)。
より具体的には,ステップS4において,前記画像処理装置6は,前記2値分布情報に対して周知の膨張処理を施す。なお,前記膨張処理は,2値画像情報とみなせる前記2値分布情報について,ある注目画素の近傍(例えば,いわゆる4近傍や8近傍)に1つでもON値(=1)が存在する場合に,その注目画素の値をON値(=1)に修正する処理である。
これにより,前記表示マークMの輪郭の一部に表面高さの立ち上がり(変化)が比較的緩やかな部分が含まれる場合でも,その部分が前記表示マークMの輪郭内の一部として認識される。
図5は,図4において画像化された前記2値画像情報に対して膨張処理を施した補正後2値分布情報を画像として表した図である。図5において,黒い部分が前記補正後2値分布情報におけるOFF値(=0)の画素の部分であり,白い部分が前記補正後2値分布情報におけるON値(=1)の画素の部分である。即ち,図5における白い部分が,前記表示マークMのエッジ部である。
なお,前記サイドウォール面における小さな付着物や小さな突起部等に起因するノイズが前記膨張処理によって拡大されないように,前記補正処理の一部として,前記膨張処理の前に周知の孤立点除去処理を行うことも考えられる。
次に,前記画像処理装置6は,ステップS4の処理により得られた前記補正後2値分布情報に対してラベリング処理を施し,その処理結果であるラベル分布情報を前記フレームメモリに記憶させるラベリング工程を実行する(S5)。
ラベリング処理は,連結画素ごとに同じラベル値を割り当てる周知の処理であり,前記ラベル分布情報は,前記補正後2値分布情報においてON値(=1)であった各画素の値にラベル値が設定された情報である。
なお,このステップS5においても,前述したステップS2と同様に,前記全周範囲Wyの両端の座標(Y座標)がY軸方向において隣接する座標であるという前提の下にラベリング処理が実行される。これにより,前記形状測定処理の開始位置に起因して,前記表示マークMのエッジ部に対応する連結画素が前記全周範囲Wyの始端側と終端側とに分離(分断)されてしまった場合でも,それらの画素に同じラベル値が設定される。
また,ステップS4の2値分布情報補正工程を省略し,ステップS5において,ステップS3の処理により得られた補正前の前記2値分布情報に対してラベリング処理を行うことも考えられる。
次に,前記画像処理装置6は,ステップS5の処理によって得られた前記ラベル分布情報におけるラベル値ごとに,そのラベル値のフィレ座標を検出して内蔵する所定のメモリに記憶させるフィレ座標検出工程を実行する(S6)。なお,フィレ座標は,周知のごとく,ラベル値が同じ画素郡(連結画素)を最小範囲で囲む矩形範囲を表す座標である。
次に,前記画像処理装置6は,ステップS6で得られた前記ラベル値のフィレ座標に基づいて,前記表示マークMが存在する範囲を含むマスク範囲の座標を設定し,その座標を内蔵するメモリに記憶させるマスク範囲設定工程を実行する(S7〜S14)。前記マスク範囲は,前記ラベル分布情報において同じラベル値が設定された画素郡ごとにその画素郡を囲む範囲である。
以下,前記マスク範囲設定工程の内容について詳説する。
まず,前記画像処理装置6は,前記ラベル分布情報におけるラベル値ごとに,そのラベル値(即ち,連結画素)のフィレ座標に基づいて,Y軸方向(周方向)におけるラベル値の存在範囲のパターンが,予め定められた3種類の存在パターンのいずれであるかを判別し,その判別結果を内蔵メモリに記憶させるラベル存在パターン判別工程を実行する(S7)。
前記3種類の存在パターンは,以下の3つのパターンP1〜P3である。なお,図6に,各パターンP1〜P3に相当する画像が示されている。
その1つ目は,ラベル値が前記全周範囲Wy全体に渡り連なって存在する周回パターンP1(前記第1の存在パターンに相当)である。
2つ目は,ラベル値が前記全周範囲Wyの始端(一方の端部)を含む領域と終端(他方の端部)を含む領域とに分離して存在する分離パターンP2(前記第2の存在パターンの一例)である。
3つめは,前記周回パターン及び前記分離パターン以外の状態である通常パターンP3(前記第3の存在パターンに相当)。
例えば,前記画像処理装置6は,ある注目するラベル値について,前記フィレ座標が表す範囲のY軸方向の始端及び終端が,それぞれ前記全周範囲Wyの始端及び終端と一致するか否かを判別する。さらに,それらが一致する場合,前記画像処理装置6は,前記注目するラベル値が前記全周範囲Wyを2等分した各範囲の両方に存在するか否かを判別する。その判別の結果,前記注目するラベル値が両方の範囲に存在する場合には,前記画像処理装置6は,前記注目するラベル値が前記周回パターンであると判別し,そうでない場合は前記分離パターンであると判別する。
また,前記注目するラベル値の前記フィレ座標が表す範囲のY軸方向の始端及び終端が,それぞれ前記全周範囲Wyの始端及び終端と一致しない場合には,前記画像処理装置6は,前記注目するラベル値が前記通常パターンであると判別する。
次に,前記画像処理装置6は,X軸座標を1つずつ設定(選択)し,前記フレームメモリに記憶された前記ラベル分布情報の中から,設定したX軸座標におけるY軸方向1ライン分のラベル値の情報を,前記マスク範囲の設定処理に用いる情報としてサンプリング(選択)する(S8)。これ以降,前記画像処理装置6は,Y軸方向1ライン分のラベル値の情報をサンプリングするごとに,後述するステップS9〜S14の処理を実行する。
なお,前記サンプリングのために設定されるX軸座標は,形状欠陥検査に要求される空間分解能に応じて,前記表面高さ分布情報がX軸方向において占める範囲の全ての座標(画素)或いは所定間隔で間引かれた一部の座標(画素)とすることが考えられる。形状欠陥検査に許容される空間分解能の範囲内であれば,X軸座標の設定間隔が大きい方が演算負荷を抑えることができ好適である。
以下,その具体例について説明する。
前記画像処理装置6は,まず,注目するラベル値の存在パターン(判別結果)が前記周回パターンP1(第1の存在パターン)である場合,その注目するラベル値について,そのラベル値の数をカウントし(S9),その数が予め設定された数(設定数)以上であるか否かを判別する(S10)。
そして,前記注目するラベル値の数が前記設定数以上であると判別された場合には,前記画像処理装置6は,その時点でサンプリングされているY軸方向1ライン分全て(前記全周範囲Wy)を前記マスク範囲に設定する(S11)。
一方,前記注目するラベル値の数が前記設定数未満であると判別された場合には,前記画像処理装置6は,その時点でサンプリングされているY軸方向1ラインについて,前記注目するラベル値が存在する位置のみを前記マスク範囲に設定する(S12)。
一方,前記画像処理装置6は,前記注目するラベル値の存在パターン(判別結果)が前記分離パターンP2(第2の存在パターン)である場合,その注目するラベル値について,前記全周範囲Wyを二等分した各範囲において前記全周範囲Wyの両端位置それぞれからその位置(始端位置又は終端位置)に対し最も離れた前記注目するラベル値の位置に至る範囲を前記マスク範囲に設定する(S13)。
即ち,前記全周範囲Wyの始端位置から中間位置までの範囲において,その始端位置を始点とし,前記中間位置に最も近い前記注目するラベル値の位置を終点とする範囲が前記マスク範囲として設定される。さらに,前記全周範囲Wyの中間位置から終端位置までの範囲において,その中間位置に最も近い前記注目するラベル値の位置を始点とし,前記終端位置を終点とする範囲も前記マスク範囲として設定される。
また,前記画像処理装置6は,前記注目するラベル値の存在パターン(判別結果)が前記通常パターンP3である場合,その注目するラベル値が存在する位置全体に渡る範囲を前記マスク範囲に設定する(S14)。
即ち,前記全周範囲Wyの始端位置に最も近い前記注目するラベル値の位置を始点とし,前記全周範囲Wyの終端位置に最も近い前記注目するラベル値の位置を終点とする範囲が,前記マスク範囲として設定される。
以上に示したステップS9〜S14の処理は,サンプリングされたY軸方向1ライン上の同じラベル値ごとに実行され,ラベル値ごとに設定された前記マスク範囲の論理和をとった範囲が,その1ラインにおける最終的な前記マスク範囲として設定される。
そして,サンプリングされたY軸方向1ライン分について最終的な前記マスク範囲が設定されるごとに,前記画像処理装置6は,以下に示すマスク範囲補間工程(S15)を実行する。
前記マスク範囲補間工程において,前記画像処理装置6は,まず,前記マスク範囲が設定されたY軸方向1ラインについて,前記表面高さ分布情報における前記マスク範囲外の前記表面高さ測定値から,前記マスク範囲内の表面高さ測定値の補間値を算出する。この補間値は,変化の緩やかな値であり,直線補間値が典型例であるが,2次曲線補間値等であることも考えられる。
さらに,前記画像処理装置6は,前記マスク範囲が設定された前記Y軸方向1ラインについて,前記フレームメモリに記憶されている前記表面高さ分布情報における前記マスク範囲内の前記表面高さ測定値を,前記表面高さ測定値の補間値に置き換えて前記フレームメモリに記憶させる。このように前記マスク範囲内の前記表面高さ測定値の置き換えが行われた後の前記表面高さ分布情報が,前記ホスト計算機7による形状欠陥検査処理に用いられる前記検査用表面高さ分布情報である。
以降,前記画像処理装置6は,以上に示したステップS8〜S15の処理が,予め定められた数のサンプリング(S8)が終了するまで繰り返されるよう制御する(S16)。これにより,タイヤ1のサイドウォール面に関する前記検査用表面高さ分布情報が得られる。
そして,前記画像処理装置6は,タイヤ1のサイドウォール面に関する前記検査用表面高さ分布情報を,それを用いて形状欠陥検査処理を実行する前記ホスト計算機7に対して転送する(S17)。
なお,ステップS8において,前記表面高さ分布情報がX軸方向において占める範囲における一部の座標(ライン)のみがサンプリングされた場合には,前記検査用表面高さ分布情報には,前記サンプリングの対象となった位置(ライン)以外の情報は含められない。
まず,前記ホスト計算機7は,前記検査用表面高さ分布情報の中から,Y軸方向1ライン分の測定値(一部,前記補間値を含み得る)の情報を,形状欠陥検査の対象としてサンプリング(選択)する。
そして,前記ホスト計算機7は,局所的な凹凸欠陥(前記バルグや前記デント)の指標値として,例えば以下に示す第1の指標値を算出する。
まず,前記Y軸方向1ライン分の測定値に対し,予め設定された次数(例えば,50次)以下のFFTによるローパスフィルタ処理が行われる。
そして,前記ローパスフィルタ処理後の測定値に対し,その測定値全体の角度範囲360°に対して7°程度の角度範囲を窓としてその窓を走査しながらその窓の範囲内の測定値の最大値と最小値との差を算出し,これを前記第1の指標値とする。この第1の指標値が所定以上大きい場合に,そのタイヤが形状欠陥を有していると判別される。
また,前記ホスト計算機7は,タイヤ全周の緩やかな凹凸変化の欠陥検査(Runout検査などといわれる)の指標値として,例えば以下に示す第2の指標値を算出する。
まず,前記Y軸方向1ライン分の測定値に対し,予め設定された次数(例えば,15次)以下のFFTによるローパスフィルタ処理が行われる。
そして,前記ローパスフィルタ処理後の測定値全体における最大値と最小値との差を算出し,これを前記第2の指標値とする。この第2の指標値が所定以上大きい場合に,そのタイヤが形状欠陥を有していると判別される。
前記タイヤ形状検査装置Wにおいては,2次元の情報である正規化後の前記表面高さ分布情報に対し,2次元情報のまま周知のソーベルフィルタ処理を施される(S2)。これにより,前記表示マークMのエッジ部(輪郭部)が2次元座標におけるいずれの方向に伸びて形成されていても,そのエッジ部が確実に検出される。
また,ラベリング処理(S5)により,他から孤立した一連の前記表示マークMのエッジ部ごとに同じラベル値が設定され,そのエッジ部の(同じラベル値ごとの)フィレ座標に基づいて,形状欠陥検査の対象から除外する前記マスク範囲が設定される(S6〜S14)。これにより,前記表示マークMの輪郭内に位置する非隆起部の測定値も,形状欠陥検査の対象から除外され,その非隆起部が形状欠陥部分であると誤検知されることを回避できる。図6において,文字"A","B","W"等を表す前記表示マークMの輪郭内が前記マスク範囲として設定されていることがその一例である。
また,前記タイヤ形状検査装置Wにおいては,前記マスク範囲内の測定値が緩やかに変化する前記補間値に置き換えられる(S15)。そのため,前記マスク範囲の有無に関わらず同じアルゴリズムで形状欠陥検査処理を実行しても,前記マスク範囲内の形状が形状欠陥部であると誤検知されることを回避できる。
また,膨張処理(S4)が施された前記2値分布情報に対してラベリング(S5)が行われるため,前記表示マークMの輪郭の一部に表面高さの立ち上がり(変化)が比較的緩やかな部分が含まれる場合でも,その部分が前記表示マークMの輪郭内に含まれる部分として認識される。これにより,前記表示マークMの輪郭の一部が,形状欠陥部であると誤検知されることを回避できる。
一方,本発明の他の実施形態として,図3に示したステップS8〜S14の処理に代えて,前記ラベル値ごとのフィレ座標により特定される矩形範囲それぞれを前記マスク範囲として設定することも考えられる。なお,この場合,前記ラベリング工程(S5)において,前記全周範囲Wyの両端の座標(Y座標)がY軸方向において隣接する座標であるという前提なしにラベリング処理を行えばよい。
図7は,図5において画像化された前記補正後2値分布情報に基づいて,前記ラベル値ごとのフィレ座標により特定される矩形範囲を前記マスク範囲とした場合のそのマスク範囲を2値画像として表した図である。
但し,より子細に前記マスク範囲を設定するためには,図3に示したステップS8〜S14の処理を採用する方が好適である。
前記タイヤ1のサイドウォール面には,形状欠陥の検査対象とはならない微小な窪みが多数形成されている場合がある。そして,前記カメラ20により,そのようなタイヤ1のサイドウォール面を,前記ライン光の主光線の正反射方向から撮像した場合,前記微小な窪みの部分での反射光が前記カメラ20に到達しない。そのため,前記カメラ20の撮像画像において,前記微小な窪みの部分に相当する位置について明瞭な,即ち,高輝度の前記光切断線の像が得られないことが生じ得るという問題点がある。以下,この問題点のことを,微小窪みに起因する問題点と称する。
図9は,前記環状マークが形成されたタイヤのサイドウォール面をX−Y座標系で表した模式図である。また,図10は,前記準環状マーク群が形成されたタイヤのサイドウォール面をX−Y座標系で表した模式図である。
まお,図9及び図10において,黒く塗りつぶされた部分が突起した又は窪んだマークの部分である。
図9及び図10に示される例は,前記環状マークや前記準環状マーク群が,Y軸方向に対して平行に表れている例である。しかしながら,前記カメラ20による撮像画像においては,前記環状マークや前記準環状マーク群は,Y軸方向に平行な方向に対して若干ずれて表れる。その原因としては,タイヤに対するマークの形成位置の誤差や,タイヤの回転軸のずれ,前記カメラ20の撮像方向のずれ等が考えられる。
なお,便宜上,前記光切断法による形状測定処理により得られる正規化前の前記タイヤ1の表面高さ測定値のことを,正規化前高さ測定値と称する。また,前述した実施形態において,前記タイヤ1の周方向(Y軸方向)1ラインにおける前記正規化前高さ測定値の平均値に基づき正規化された前記高さ測定値を正規化後高さ測定値と称する。
前記環状マークが形成された領域Wxaの境界線の方向がY軸方向に対してずれている場合,前記タイヤ1の半径方向,即ち,X軸方向における前記環状マークの境界線の位置付近において,タイヤの周方向(Y軸方向)の1ラインに,突起した又は窪んだ部分とそうでない部分とが混在する。そうすると,前記正規化後高さ測定値が,前記タイヤ1のサイドウォール面の本来の形状とは異なる誤った形状を表すという現象が生じる。その結果,形状欠陥の誤検出が発生するという問題点が生じ得る。以下,この問題点のことを,環状マークに起因する問題点と称する。この環状マークに起因する問題点は,タイヤのサイドウォール面に前記準環状マーク群が形成され,その準環状マーク群が形成された領域Wxa'の境界線の方向がY軸方向に対してずれている場合も同様に生じる。
図11に示される処理は,図3に示された処理の応用例である。即ち,図11に示される処理は,前記微小窪みに起因する問題点及び前記環状マークに起因する問題点を解決するために, 図3に示された処理に対して一部が改変されている。
以下,図11に示される処理について,図3に示された処理に対して改変されている部分についてのみ説明する。なお,図11に示されるフローチャートにおいて,図3に示された処理の手順と同じ手順の一部の記載が省略されている。また,図11において,図3に示された処理の手順と同じ手順については同じ識別符号が付されている。
即ち,ステップS0−1において,前記画像処理装置6は,前記カメラ20の撮像画像から,予め設定されたしきい輝度以上の光切断線を検出する。さらに,前記画像処理装置6は,検出した前記光切断線の位置から,前記タイヤ1の半径方向に相当するX軸方向,前記タイヤ1の周方向に相当するY軸方向からなる2次元の座標系内に配列される前記正規化前高さ測定値を算出し,その正規化前高さ測定値からなる前記表面高さ分布情報を前記画像処理装置6のフレームメモリに記憶させる。
これにより,前記タイヤ1のサイドウォール面についての正規化前の前記表面高さ分布情報が前記画像処理装置6のフレームメモリに記憶される。
但し,前述したように,前記タイヤ1のサイドウォール面に微小な窪みが存在する場合,光切断法による形状測定処理(S0−1)において,前記カメラ20の撮像画像における前記微小な窪みに相当する位置(座標)については,予め設定されたしきい値以上の輝度の光切断線の像を検出できず,前記正規化前高さ測定値を算出できない。
以下,光切断法による形状測定処理(S0−1)において,予め設定されたしきい値以上の輝度の光切断線を検出できた部分について,その光切断線の位置に応じて算出された前記正規化前高さ測定値のことを,便宜上,有効高さ検出値と称する。なお,光切断法による形状測定処理(S0−1)において,予め設定されたしきい値以上の輝度の光切断線を検出できなかった部分については,前記表面高さ分布情報におけるその部分に相当する位置に,光切断線を検出できなかった部分であることを表す予め定められた情報,例えば,0やNULLなどの情報が設定される。
さらに,前記画像処理装置6は,前記有効高さ平均値データ列に対して微分処理を施し,前記有効高さ平均値データ列について,微分値の絶対値が予め設定されたしきい値以上となるX軸の座標である平均高さ急変座標xbを検出する(S0−2,平均高さ急変座標検出工程)。
前記タイヤ1のサイドウォール面に前記環状マークが存在する場合,図12に示されるように,前記環状マークが形成されている領域Wxaに相当する範囲の境界位置において,前記有効高さ検出値の平均値Haveが急変する前記有効高さ平均値データ列が得られる。このことは,前記タイヤ1のサイドウォール面に前記準環状マーク群が存在する場合も同様である。
なお,図12に示される例は,前記タイヤ1のサイドウォール面に突起した前記環状マークが形成されている場合の例である。
そして,ステップS0−2において検出される前記平均高さ急変座標xbは,図12に示されるように,前記タイヤ1のサイドウォール面における前記環状マーク又は前記準環状マークが形成されている領域Wxa,Wxa'に相当する範囲の境界位置に相当する。
即ち,前記画像処理装置6は,前記表面高さ分布情報における前記Y軸方向の1ラインごとの前記表面高さ測定値を,次の2つの規則に従って設定する。
第1の規則は,当該1ラインにおける前記しきい輝度以上の光切断線を検出できた部分について,当該部分における前記有効高さ検出値を当該1ラインにおける前記有効高さ検出値の平均値Haveに応じて正規化した値に設定する,という規則である。
第2の規則は,当該1ラインにおける他の部分について,当該1ラインにおける前記有効高さ検出値に基づく補間値を当該1ラインにおける前記有効高さ検出値の平均値Haveに応じて正規化した値に設定する,という規則である。
前記第1の規則及び前記第2の規則において,前記有効高さ検出値の平均値Haveに応じて正規化した値とは,例えば,正規化の対象とする値を前記有効高さ検出値の平均値Haveで除算して得られる値や,正規化の対象とする値から前記有効高さ検出値の平均値Haveを減算して得られる値などである。
また,前記第2の規則において,当該1ラインにおける他の部分とは,前記しきい輝度以上の光切断線を検出できなかった部分である。
また,前記第2の規則における前記補間値は,例えば,Y軸方向の1ラインにおける前記有効高さ検出値の平均値Haveであることが考えられる。その他,前記第2の規則における前記補間値は,Y軸方向の1ラインにおける前記有効高さ検出値に基づく直線補間値などであってもよい。
さらに,前記画像処理装置6は,図3に示したステップS3〜S7の処理の実行後,図3に示したステップS8〜S16のループ処理,及び図3に示したステップS17の処理を実行する。
そして,前記ホスト計算機7が,前記検査用表面高さ分布情報を用いて,前記タイヤ1のサイドウォール面の形状欠陥検査処理を実行する(S18)。
前記陥検査除外領域設定工程の具体例は種々考えられるが,以下,その一例について説明する。
図11に示される前記陥検査除外領域設定工程(S21及びS22)は,図3に示したステップS8〜S16のループ処理の中で実行される。
より具体的には,前記画像処理装置6は,Y軸方向1ライン分のラベル値の情報をサンプリングする(S8)ごとに,即ち,Y軸方向1ラインごとに,当該1ラインが,ステップS0−2で検出された前記平均高さ急変座標xbを含む予め定められた範囲内のラインであるか否かを判別する(S21)。
ここで,前記平均高さ急変座標xbを含む予め定められた範囲は,例えば,前記平均高さ急変座標xb及びそれを中心とする前後のn画素分ずつの範囲である。なお,nの値は,例えば,1乃至3程度である。
前述したように,ステップS18における形状欠陥検査処理では,前記表面高さ分布情報におけるY軸方向1ライン分の測定値(一部,前記補間値を含み得る)ごとに,局所的な凹凸欠陥の指標値の算出及びその指標値に基づく欠陥判別が行われる。そのため,ステップS22において,前記表面高さ分布情報の中で前記高さ測定値が同一値に設定されたY軸方向の各ラインからなる領域は,ステップS18における形状欠陥検査処理において実質的に形状欠陥の検査対象から除外されることになる。
また,図11に示した処理によれば,ステップS0−2,S21,S22の処理により,前記タイヤ1のサイドウォール面における前記環状マーク又は前記準環状マークが形成されている領域Wxa,Wxa'に相当する範囲の境界位置を含む所定幅の領域が,欠陥検査の対象から除外される。そのため,前記環状マークに起因する問題点も解消される。
しかしながら,前記欠陥検査除外領域設定工程は,他の処理によって実現されることも考えられる。
例えば,前記画像処理装置6が,ステップS0−2で検出した前記平均高さ急変座標xbを前記ホスト計算機7に引き渡し,前記ホスト計算機7が,前記平均高さ急変座標xbを含む所定幅の領域を,形状欠陥検査の対象から除外して処理することが考えられる。
しかしながら,例えば,前記ホスト計算機7によって前述した全てのステップの処理を実行する実施形態も考えられる。また,3つ以上のプロセッサによって前述した複数のステップの処理を分担して実行する実施形態も考えられる。
M :表示マーク(凹凸のあるマーク)
Wy:全周範囲
1 :タイヤ
2 :タイヤ回転機
3 :センサユニット
4 :ユニット駆動装置
5 :エンコーダ
6 :画像処理装置
7 :ホスト計算機
10:投光装置
11,12,13:ライン光源
20:カメラ
21:撮像素子
22:カメラレンズ
Claims (10)
- サイドウォール面に凹凸のあるマークが形成されたタイヤにおける前記サイドウォール面の全周範囲に渡る各位置の表面高さ測定値が前記タイヤの半径方向を表す第1の座標軸及び前記タイヤの周方向を表す第2の座標軸からなる2次元の座標系内に配列された表面高さ分布情報に基づいて,前記サイドウォール面の形状欠陥検査処理を実行するタイヤ形状検査方法であって,
前記表面高さ分布情報に対する2次元のエッジ検出処理により前記凹凸のあるマークのエッジを検出し,検出された2次元のエッジ分布情報を記憶手段に記憶させる2次元エッジ検出工程と,
前記2次元のエッジ分布情報に対してラベリング処理を施し,その処理結果であるラベル分布情報を記憶手段に記憶させるラベリング工程と,
前記ラベル分布情報におけるラベル値ごとのフィレ座標に基づいて前記凹凸のあるマークの存在範囲を囲むマスク範囲の座標を設定し,その座標を記憶手段に記憶させるマスク範囲設定工程と,
前記形状欠陥検査処理に用いられる前記表面高さ分布情報における前記マスク範囲内の前記表面高さ測定値を前記マスク範囲外の前記表面高さ測定値に基づく補間値に置き換えるマスク範囲補間工程と,
を実行してなることを特徴とするタイヤ形状検査方法。 - 前記2次元エッジ検出工程が,
前記表面高さ分布情報に対して2次元の平滑微分処理と2値化処理とを順次施すことにより前記凹凸のあるマークのエッジを検出し,その処理結果である2値分布情報又は該2値分布情報に予め定められた補正処理を施して得られる補正後の前記2値分布情報を前記2次元のエッジ分布情報として検出してなる請求項1に記載のタイヤ形状検査方法。 - 前記2値分布情報に対して施される前記予め定められた補正処理が膨張処理を含んでなる請求項2に記載のタイヤ形状検査方法。
- 前記ラベリング工程が,前記全周範囲の両端の座標が隣接するものとして,前記2次元のエッジ分布情報に対してラベリング処理を施し,その処理結果であるラベル分布情報を記憶手段に記憶させる工程であり,
前記マスク範囲設定工程が,
前記ラベル分布情報における前記ラベル値ごとにそのフィレ座標に基づいて前記第2の座標軸方向における前記ラベル値の存在範囲のパターンが予め定められた3種類の存在パターンのいずれであるかを判別し,その判別結果を記憶手段に記憶させるラベル存在パターン判別工程と,
前記第2の座標軸方向の1ラインごとに,該1ライン上に存在する前記ラベル値それぞれの前記存在パターンの判別結果及び位置に応じて前記マスク範囲の座標を設定し,その座標を記憶手段に記憶させるライン毎マスク範囲設定工程と,を有し,
前記予め定められた3種類の存在パターンが,前記ラベル値が前記全周範囲全体に渡り連なって存在する第1の存在パターンと,前記ラベル値が前記全周範囲の一方の端部を含む領域と他方の端部を含む領域とに分離して存在する第2の存在パターンと,その他の状態である第3の存在パターンとの3つである請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤ形状検査方法。 - 前記ライン毎マスク範囲設定工程において,前記第2の座標軸方向の1ラインごとに,
前記存在パターンの判別結果が前記第1の存在パターンである前記ラベル値について,該ラベル値の数に応じて該ラベル値が存在する位置のみを前記マスク範囲に設定するか前記第2の座標軸方向1ライン分全てを前記マスク範囲に設定するかのいずれかの処理を実行し,
前記存在パターンの判別結果が前記第2の存在パターンである前記ラベル値について,前記全周範囲を二等分した各範囲において前記全周範囲の両端位置それぞれからその位置に対し最も離れた前記ラベル値の位置に至る範囲を前記マスク範囲に設定する処理を実行し,
前記存在パターンの判別結果が前記第3の存在パターンである前記ラベル値について,該ラベル値が存在する位置全体に渡る範囲を前記マスク範囲に設定する処理を実行してなる請求項4に記載のタイヤ形状検査方法。 - 前記マスク範囲補間工程において,前記第2の座標軸方向の1ラインごとに,前記表面高さ分布情報における前記マスク範囲外の前記表面高さ測定値に基づく直線補間により前記マスク範囲内の表面高さ測定値の補間値を算出してなる請求項1〜5のいずれかに記載のタイヤ形状検査方法。
- 回転する前記タイヤの前記サイドウォール面に照射されたライン光の撮像画像から所定輝度以上の光切断線を検出して前記2次元の座標系内に配列される前記所定輝度以上の光切断線の位置に応じた有効高さ検出値を導出する光切断法形状検出工程と,
前記表面高さ分布情報における前記第2の座標軸方向の1ラインごとの前記表面高さ測定値を,当該1ラインにおける前記所定輝度以上の光切断線を検出できた部分については当該部分における前記有効高さ検出値を当該1ラインにおける前記有効高さ検出値の平均値に応じて正規化した値に設定するとともに,当該1ラインにおける他の部分については当該1ラインにおける前記有効高さ検出値に基づく補間値を当該1ラインにおける前記有効高さ検出値の平均値に応じて正規化した値に設定する測定値正規化工程と,を実行し,
前記2次元エッジ検出工程において,前記測定値正規化工程によって正規化された前記表面高さ測定値を有する前記表面高さ分布情報に対して2次元のエッジ検出処理を実行してなる請求項1〜6のいずれかに記載のタイヤ形状検査方法。 - 前記第2の座標軸方向の1ラインごとの前記有効高さ検出値の平均値のデータからなる前記第1の座標軸方向のデータ列について,微分値の絶対値が予め設定されたしきい値以上となる前記第1の座標軸の座標である平均高さ急変座標を検出する平均高さ急変座標検出工程と,
前記表面高さ分布情報における,前記第1の座標軸における前記平均高さ急変座標を含む所定幅の座標範囲内の前記第2の座標軸方向の全範囲に渡る領域を前記形状欠陥検査処理の対象から除外する処理を行う欠陥検査除外領域設定工程と,
をさらに実行してなる請求項7に記載のタイヤ形状検査方法。 - 前記表面高さ分布情報における前記表面高さ測定値を,前記第2の座標軸方向の1ラインごとに該1ライン分の前記表面高さ測定値の平均値に応じて正規化する測定値正規化工程を実行するとともに,前記2次元エッジ検出工程において,前記測定値正規化工程によって前記表面高さ測定値が正規化された前記表面高さ分布情報に対して2次元のエッジ検出処理を実行してなる請求項1〜6のいずれかに記載のタイヤ形状検査方法。
- 相対的に回転するタイヤにおける凹凸のあるマークが形成されたサイドウォール面へのライン光の照射及びそのライン光の像の撮像を行い,その撮像画像に基づいて,前記タイヤの形状欠陥検査に用いられる表面高さ分布情報を導出するタイヤ形状検査装置であって,
前記サイドウォール面に一の光切断線が形成されるように,該光切断線における検出高さ方向とは異なる方向から複数のライン光を連ねて照射するライン光照射手段と,
前記サイドウォール面に照射された前記複数のライン光の像を,該複数のライン光それぞれの主光線が前記サイドウォール面に対して正反射する方向において撮像する撮像手段と,
前記撮像手段の撮像画像における光切断線の検出により前記サイドウォール面の全周範囲に渡る表面高さ分布情報を導出する光切断法形状検出手段と,
前記表面高さ分布情報に対する2次元のエッジ検出処理に基づいて,前記タイヤの形状欠陥検査に用いられる前記表面高さ分布情報から前記凹凸のあるマークの存在範囲の情報を除外する凹凸マーク除去手段と,
を具備してなることを特徴とするタイヤ形状検査装置。
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