JP2010013392A - 不斉ディールス・アルダー反応生成物の製造方法及び精製方法、並びに不斉触媒及び不斉触媒混合物 - Google Patents

不斉ディールス・アルダー反応生成物の製造方法及び精製方法、並びに不斉触媒及び不斉触媒混合物 Download PDF

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Abstract

【課題】不斉ディールス・アルダー反応生成物の製造方法及び精製方法、並びにその製造方法に好適に用いられる不斉触媒及び不斉触媒混合物を提供する。
【解決手段】α,β−不飽和アルデヒドと共役ジエンとを、溶媒として水を用い、一般式(1)で表される化合物若しくはそのエナンチオマーである不斉触媒と酸との存在下、又は一般式(1)で表される化合物若しくはそのエナンチオマーと酸との塩である不斉触媒の存在下で反応させる。
Figure 2010013392

[式中、R,Rはそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、シクロアルケニル基、ヘテロシクロアルケニル基、アルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基を示し、Rはシリル基又は置換基を有していてもよいアルキル基を示し、Rは水酸基の保護基を示し、nは0又は1を示す。]
【選択図】なし

Description

本発明は、不斉ディールス・アルダー反応生成物の製造方法及び精製方法、並びにその製造方法に好適に用いられる不斉触媒及び不斉触媒混合物に関する。
ディールス・アルダー反応は、アルケンのようなジエノフィルと共役ジエンとからシクロヘキサン骨格を構築する、合成化学上、最も重要な反応の1つである。中でも、エナンチオ選択的な不斉ディールス・アルダー反応は、不斉炭素を有するシクロヘキサン骨格を構築できるため特に重要であり、これまで幾つかの報告例がある。例えばMacMillanらは、有機触媒を用い、LUMOのエネルギー準位を低下させるメカニズムを利用した最初のディールス・アルダー反応を報告しており、その後、有機触媒を用いた不斉ディールス・アルダー反応が幾つか報告されている(非特許文献1〜3を参照)。また、最近になり本発明者らは、不斉触媒であるジアリールプロリノールシリルエーテルとトリフルオロ酢酸とを組み合わせることで、溶媒としてトルエンを用いた反応系において不斉ディールス・アルダー反応が高エナンチオ選択的に進行することを報告している(非特許文献4を参照)。
一方、今日の有機化学においては、反応に対する特徴的な作用、反応生成物の分離の容易さ、あるいは環境負荷への考慮から、溶媒として水が注目されている。例えば本発明者らは、溶媒として水を用いることで、不斉アルドール反応がジアステレオ選択的かつエナンチオ選択的に進行することを報告している(非特許文献5,6を参照)。また、PalomoらやMaらは、溶媒として水を用い、不斉触媒としてジアルキルプロリノールシリルエーテル又はジフェニルプロリノールシリルエーテルを用いたエナンチオ選択的な不斉マイケル反応を報告している(非特許文献7,8を参照)。
不斉ディールス・アルダー反応においても、溶媒として水を用いることが望まれており、MacMillanらやOgilvieらは、溶媒として水を用いた不斉ディールス・アルダー反応を報告している(非特許文献9,10を参照)。しかしながら、MacMillanらの方法ではジエノフィルがα,β−不飽和ケトンに限定されており、α,β−不飽和アルデヒドを用いた不斉ディールス・アルダー反応については報告されていなかった。一方、Ogilvieらの方法では、ジエノフィルとしてα,β−不飽和アルデヒドが用いられているものの、ジアステレオ選択性が低かった。さらに、反応生成物の分離の容易さ、あるいは環境負荷を考慮すると、反応生成物の精製工程を含めて有機溶媒を用いる必要のないことが好ましい。
K. A. Ahrendt, C. J. Borths, D. W. C. MacMillan; J. Am. Chem. Soc.; 2000, 122, p.4243 K. Ishihara, K. Nakano; J. Am. Chem. Soc.; 2005, 127, p.10504 K. H. Kim, S. Lee, D. W. Lee, D. H. Ko, D. C. Ha; Tetrahedron Lett.; 2005, 46, p.5991 H. Gotoh, Y. Hayashi; Org. Lett.; 2007, 9, P.2859 Y. Hayashi, T. Sumiya, J. Takahashi, H. Gotoh, T. Urushima, M. Shoji; Angew. Chem.; 2006, 118, p.972 S. Aratake, T. Itoh, T. Okano, N. Nagae, T. Sumiya, M. Shoji, Y. Hayashi; Chem. Eur. J.; 2007, 13, P.10246 C. Palomo, A. Landa, A. Mielgo, M. Oiarbide, A. Puente, S. Vera; Angew. Chem.; 2007, 119, p.8583 S. Zhu, S. Yu, D. Ma; Angew. Chem.; 2008, 120, p.555 A. B. Northup, D. W. C. MacMillan; J. Am. Chem. Soc.; 2002, 124, p.2458 M. Lemay, W. W. Ogilvie; Org. Lett.; 2005, 7, p.4141
したがって、本発明は、溶媒として水を用いて、α,β−不飽和アルデヒドと共役ジエンとから高ジアステレオ選択的かつ高エナンチオ選択的に不斉ディールス・アルダー反応生成物を製造することができ、反応生成物の精製工程を含めて有機溶媒を用いる必要がない不斉ディールス・アルダー反応生成物の製造方法及び精製方法、並びにその製造方法に好適に用いられる不斉触媒及び不斉触媒混合物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、以下のような本発明を完成するに至った。
[1] α,β−不飽和アルデヒドと共役ジエンとを、溶媒として水を用い、下記一般式(1)で表される化合物若しくはそのエナンチオマーである不斉触媒と酸との存在下、又は下記一般式(1)で表される化合物若しくはそのエナンチオマーと酸との塩である不斉触媒の存在下で反応させる工程を含む不斉ディールス・アルダー反応生成物の製造方法。
Figure 2010013392
[式中、R,Rはそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、シクロアルケニル基、ヘテロシクロアルケニル基、アルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基を示し、Rはシリル基又は置換基を有していてもよいアルキル基を示し、Rは水酸基の保護基を示し、nは0又は1を示す。]
[2] 前記酸のpKaが1以下である[1]記載の不斉ディールス・アルダー反応生成物の製造方法。
[3] 前記R及びRが、置換基を有していてもよいアリール基又はヘテロアリール基である[1]又は[2]記載の不斉ディールス・アルダー反応生成物の製造方法。
[4] 得られた不斉ディールス・アルダー反応生成物を蒸留により精製する工程をさらに含む[1]から[3]いずれか1項記載の不斉ディールス・アルダー反応生成物の製造方法。
[5] α,β−不飽和アルデヒドと共役ジエンとを、溶媒として水を用い、不斉触媒の存在下で反応させて得られた不斉ディールス・アルダー反応生成物を、蒸留により精製する不斉ディールス・アルダー反応生成物の精製方法。
[6] 下記一般式(1)で表される化合物又はそのエナンチオマーと酸との塩である不斉触媒。
Figure 2010013392
[式中、R,Rはそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、シクロアルケニル基、ヘテロシクロアルケニル基、アルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基を示し、Rはシリル基又は置換基を有していてもよいアルキル基を示し、Rは水酸基の保護基を示し、nは0又は1を示す。]
[7] 前記R及びRが、電子吸引性基を有しているアリール基又はヘテロアリール基であり、前記酸のpKaが−1以下である[6]記載の不斉触媒。
[8] 下記一般式(1)で表される化合物又はそのエナンチオマーと酸との混合物である不斉触媒混合物。
Figure 2010013392
[式中、R,Rはそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、シクロアルケニル基、ヘテロシクロアルケニル基、アルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基を示し、Rはシリル基又は置換基を有していてもよいアルキル基を示し、Rは水酸基の保護基を示し、nは0又は1を示す。]
[9] 前記R及びRが、電子吸引性基を有しているアリール基又はヘテロアリール基であり、前記酸のpKaが−1以下である[8]記載の不斉触媒混合物。
本発明によれば、溶媒として水を用いて、α,β−不飽和アルデヒドと共役ジエンとから高ジアステレオ選択的かつ高エナンチオ選択的に不斉ディールス・アルダー反応生成物を製造することができる。また、得られた不斉ディールス・アルダー反応生成物は、蒸留により精製することができるため、精製工程においても有機溶媒を用いる必要がない。
<不斉ディールス・アルダー反応生成物の製造方法、不斉触媒、不斉触媒混合物>
本発明に係る不斉ディールス・アルダー反応生成物の製造方法は、α,β−不飽和アルデヒドと共役ジエンとを、溶媒として水を用い、下記一般式(1)で表される化合物若しくはそのエナンチオマーである不斉触媒と酸との存在下、又は下記一般式(1)で表される化合物若しくはそのエナンチオマーと酸との塩である不斉触媒の存在下で反応させる工程を含むものである。
Figure 2010013392
[不斉触媒、不斉触媒混合物]
本発明に係る製造方法においては、第1の不斉触媒として、上記一般式(1)で表される化合物又はそのエナンチオマーを用いることができる。
上記一般式(1)中、R,Rは、それぞれ独立に置換基を有していてもよいアリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、シクロアルケニル基、ヘテロシクロアルケニル基、アルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基を示す。
本明細書における「アリール基」は、芳香族炭化水素基を示し、2以上の環が縮合していてもよい。アリール基の炭素数に特に制限はないが、好ましくは炭素数5〜14、より好ましくは炭素数6〜10である。アリール基の例としては、フェニル基、インデニル基、ナフチル基、フェナントリル基、アントリル基等が挙げられる。
本明細書における「ヘテロアリール基」は、アリール基の環上の1以上の炭素原子がヘテロ原子によって置換されている基を示す。ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子が挙げられる。ヘテロアリール基の例としては、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、トリアジニル基、テトラゾリル基、オキサゾリル基、インドリジニル基、インドリル基、イソインドリル基、インダゾリル基、プリニル基、キノリジニル基、イソキノリル基、キノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサリニル基、オキサジアゾリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、ベンズイミダゾリル基、フリル基、チエニル基等が挙げられる。
本明細書における「シクロアルキル基」は、非芳香族の飽和環式炭化水素基を示す。シクロアルキル基の炭素数に特に制限はないが、好ましくは炭素数3〜10、より好ましくは炭素数3〜6である。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等が挙げられる。
本明細書における「ヘテロシクロアルキル基」は、シクロアルキル基の環上の1以上の炭素原子がヘテロ原子によって置換されている基を示す。ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子が挙げられる。ヘテロシクロアルキル基の例としては、テトラヒドロフリル基、モルホリニル基、ピペラジニル基、ピペリジル基、ピロリジニル基等が挙げられる。
本明細書における「シクロアルケニル基」は、非芳香族の不飽和環式炭化水素基を示す。環上の不飽和結合は1つであってもよく、2以上であってもよい。シクロアルケニル基の炭素数に特に制限はないが、好ましくは炭素数3〜10、より好ましくは炭素数3〜6である。シクロアルケニル基の例としては、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基等が挙げられる。
本明細書における「ヘテロシクロアルケニル基」は、シクロアルケニル基の環上の1以上の炭素原子がヘテロ原子によって置換されている基を示す。ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子が挙げられる。ヘテロシクロアルケニル基の例としては、ジヒドロフリル基、イミダゾリル基、ピロリニル基、ピラゾリニル基等が挙げられる。
本明細書における「アルキル基」は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。アルキル基の炭素数に特に制限はないが、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜6である。アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基等が挙げられる。
本明細書における「アルケニル基」は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。アルケニル基の炭素数に特に制限はないが、好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜6である。アルケニル基の例としては、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、イソプロペニル、1−ブテニル基、イソブテニル基等が挙げられる。
本明細書における「アルキニル基」は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。アルキニル基の炭素数に特に制限はないが、好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜6である。アルキニル基の例としては、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、イソプロピニル基、1−ブチニル基、イソブチニル基等が挙げられる。
上記R、Rが有していてもよい置換基としては、特に限定されるものではなく、電子求引性基であっても電子供与性基であってもよい。
電子求引性基としては、特に限定されるものではないが、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、アシル基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、チオカルボキシル基、スルホ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基等が挙げられる。
電子供与性基としては、特に限定されるものではないが、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、ジアルキルアミノ基、アルキルアミノ基、アミノ基、ジアリールアミノ基、アリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基等が挙げられる。
本明細書における「アシル基」は、カルボン酸から水酸基を除いた基を示す。アシル基の炭素数に特に制限はないが、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜6である。アシル基の例としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、ナフトイル基、フロイル基等が挙げられる。
本明細書における「アルコキシ基」は、アルキル基に酸素原子が結合した一価の基を示す。アルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペントキシ基、イソペントキシ基、n−ヘキトキシ基、n−ヘプトキシ基等が挙げられる。
また、上記一般式(1)中、Rは、シリル基又は置換基を有していてもよいアルキル基を示す。特にRが置換基を有していてもよいアルキル基である不斉触媒は、Rがシリル基である不斉触媒よりも熱及び酸に対して安定になるため、後述のように連続して不斉ディールス・アルダー反応を行う場合に好ましい。
本明細書における「シリル基」は、HSi−で表される基、又はこの基の1以上の水素原子がアルキル基、アリール基等によって置換された基を示す。シリル基の例としては、トリメチルシリル(TMS)基、トリエチルシリル(TES)基、t−ブチルジメチルシリル(TBS)基、トリイソプロピルシリル(TIPS)基、t−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)基等が挙げられる。
上記Rがアルキル基である場合に有していてもよい置換基としては、特に限定されるものではないが、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基等が挙げられる。
また、上記一般式(1)中、Rは、水酸基の保護基を示し、nは0又は1を示す。
水酸基の保護基としては、アルキル基、アセチル基、シリル基等の通常用いられている保護基を用いることができる。
n=1である場合、OR基の置換位置は、3位又は4位のいずれであってもよい。
この第1の不斉触媒としては、R,Rが置換基を有していてもよいアリール基又はヘテロアリール基であるものが好ましく、電子吸引性基を有しているアリール基又はヘテロアリール基であるものがより好ましい。
上記一般式(1)で表される化合物及びそのエナンチオマーは、プロリン又はその誘導体(3−ヒドロキシプロリン、4−ヒドロキシプロリン等)を出発原料として製造することができる((a)H. Gotoh, R. Masui, H. Ogino, M. Shoji, Y. Hayashi; Angew. Chem., Int. Ed.; 2006, 45, p.6853、(b)Y. Hayashi, T. Okano, S. Aratake, D. Hazelard; Angew. Chem., Int. Ed.; 2007, 46, p.4922、(c)H. Gotoh, Y. Hayashi; Org. Lett.; 2007, 9, p.2859、等を参照)。
この第1の不斉触媒は、後述するように酸とともに用いられる。本発明に係る不斉触媒混合物は、このような第1の不斉触媒と酸との混合物である。この酸としては、水中でのpKaが1以下である強酸が好ましい。具体例としては、塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、テトラフルオロホウ酸、p−トルエンスルホン酸等が挙げられる。また、強酸性陽イオン交換樹脂等の固体酸も使用可能である。pKaは−1以下であることがより好ましく、塩酸よりも低いpKa、例えば−9以下であることがさらに好ましい。第1の不斉触媒をこれらの酸とともに用いることにより、あるいは本発明に係る不斉触媒混合物を用いることにより、溶媒として水を用いた場合であっても高ジアステレオ選択的かつ高エナンチオ選択的に不斉ディールス・アルダー反応生成物を製造することができる。
また、本発明に係る製造方法においては、第2の不斉触媒として、上記一般式(1)で表される化合物又はそのエナンチオマーと酸との塩を用いることができる。この塩は、第1の不斉触媒を酸とともに用いることによっても反応系内で生成するが、このように反応系内で生成した塩も本発明の範囲内である。
上記一般式(1)で表される化合物については、上述したとおりである。また、この化合物又はそのエナンチオマーと塩を形成する酸としては、pKaが1以下である強酸が好ましい。pKaは−1以下であることがより好ましく、塩酸よりも低いpKa、例えば−9以下であることがさらに好ましい。第2の不斉触媒の対アニオンとしては、Cl、Br、I、HSO 、NO 、ClO OSO2n+1(n=1〜18)、OTs、OMs、N(OSOCF等が挙げられる。このような不斉触媒は、例えば上記一般式(1)で表される化合物又はそのエナンチオマーを含むエーテル溶液に酸を含む水溶液を徐々に添加することにより製造することができる。
[α,β−不飽和アルデヒド]
本発明に係る製造方法におけるα,β−不飽和アルデヒドとしては、特に限定されるものではなく、従来公知のものを用いることができる。β位に結合している基としては、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシアルキル基、アルコキシアルケニル基、アルコキシアルキニル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアルキル基、アルコキシカルボニルアルケニル基、アルコキシカルボニルアルキニル基、アシル基、アシルアルキル基、アシルアルケニル基、アシルアルキニル基、アミド基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、シクロアルケニル基、ヘテロシクロアルケニル基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキルアルキル基、シクロアルキルアルケニル基、シクロアルキルアルキニル基、ヘテロシクロアルキルアルキル基、ヘテロシクロアルキルアルケニル基、ヘテロシクロアルキルアルキニル基、シクロアルケニルアルキル基、シクロアルケニルアルケニル基、シクロアルケニルアルキニル基、ヘテロシクロアルケニルアルキル基、ヘテロシクロアルケニルアルケニル基、ヘテロシクロアルケニルアルキニル基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、ヘテロアリールアルキル基、ヘテロアリールアルケニル基、又はヘテロアリールアルキニル基等が挙げられる。これらの基は、置換基を有していてもよい。
[共役ジエン]
本発明に係る製造方法における共役ジエンとしては、特に限定されるものではなく、従来公知のものを用いることができる。具体例としては、ブタジエン、イソプレン等の鎖状の共役ジエンや、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン等の環状の共役ジエンが挙げられる。これらの共役ジエンは、置換基を有していてもよい。
[反応条件等]
上述したように、本発明に係る製造方法は、α,β−不飽和アルデヒドと共役ジエンとを、溶媒として水を用い、上述した第1の不斉触媒と酸との存在下、又は上述した第2の不斉触媒の存在下で反応させる工程を含むものである。
共役ジエンの使用量は、α,β−不飽和アルデヒドに対して1〜30当量であることが好ましく、1〜10当量であることがより好ましい。
第1の不斉触媒と酸とをともに用いる場合、不斉触媒の使用量は、α,β−不飽和アルデヒドに対して0.5〜200mol%であることが好ましく、1〜20mol%であることがより好ましい。また、酸の使用量は、0.5〜200mol%であることが好ましく、1〜50mol%であることがより好ましい。
一方、第2の不斉触媒を用いる場合、その使用量は、α,β−不飽和アルデヒドに対して0.5〜100mol%であることが好ましく、1〜20mol%であることがより好ましい。
溶媒としての水の使用量は、特に限定されるものではないが、α,β−不飽和アルデヒドや共役ジエンの油滴(油層)中への溶解が飽和する量以上であることが好ましい。量の上限は特にない。
反応温度は、−78〜100℃であることが好ましく、0〜40℃であることがより好ましい。反応温度が高過ぎると副反応が生じやすく、収率低下を招くことがある。一方、反応温度が低過ぎると反応速度が低下する。
反応時間は、用いるα,β−不飽和アルデヒド、共役ジエン、不斉触媒等の条件に依存するが、通常は2〜48時間である。
反応雰囲気は、特に限定されないが、不活性ガス雰囲気が好ましい。不活性ガスとしては、窒素、ヘリウム、アルゴン等を用いることができる。
このように、第1の不斉触媒を酸とともに用いることにより、あるいは第2の不斉触媒を用いることにより、溶媒として水を用いた場合であっても、短い反応時間で高ジアステレオ選択的かつ高エナンチオ選択的に不斉ディールス・アルダー反応生成物を製造することができる。
また、本発明に係る製造方法は、得られた不斉ディールス・アルダー反応生成物を蒸留により精製する工程をさらに含むことが好ましい。本発明に係る製造方法では、このように蒸留のみによって不斉ディールス・アルダー反応生成物を精製することができるため、非常に簡便である。また、精製に際して有機溶媒を使用しないため、環境負荷も小さい。
蒸留後に残った溶液中には、不斉触媒等が存在しているため、再びα,β−不飽和アルデヒド及び共役ジエンを添加することにより、連続して不斉ディールス・アルダー反応生成物を製造することができる。なお、連続して不斉ディールス・アルダー反応を行う場合には、不斉触媒を若干量追加するようにしても構わない。
このようにして得られた不斉ディールス・アルダー反応生成物は、従来公知の手法により単離することができる。また、得られた不斉ディールス・アルダー反応生成物が不安定な化合物である場合には、必要に応じて、従来公知の方法を用いて酸化、還元等を行ってから単離することもできる。本明細書においては、このように酸化、還元等を行った化合物を含めて、「不斉ディールス・アルダー反応生成物」と称する。
<不斉ディールス・アルダー反応生成物の精製方法>
本発明に係る不斉ディールス・アルダー反応生成物の精製方法は、α,β−不飽和アルデヒドと共役ジエンとを、溶媒として水を用い、不斉触媒の存在下で反応させて得られた不斉ディールス・アルダー反応生成物を、蒸留により精製するものである。
本発明に係る精製方法は、このように蒸留のみによって不斉ディールス・アルダー反応生成物を精製することができるため、非常に簡便である。また、精製に際して有機溶媒を使用しないため、環境負荷も小さい。
不斉ディールス・アルダー反応に際しては、上記と同様のα,β−不飽和アルデヒド及び共役ジエンを用いることができる。不斉触媒としては、特に限定されず、水を溶媒としたときに使用可能な不斉触媒を適宜使用することができる。例えば、上記の第1の不斉触媒を酸とともに用いてもよく、上記の不斉触媒混合物を用いてもよく、上記の第2の不斉触媒を用いてもよい。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
本実施例では、以下の6種類の不斉触媒を用いた。このうち触媒1は、アルドリッチ社から購入した(製品番号677019)。また、触媒2,3は触媒1を出発原料とし、触媒4〜6はプロリンを出発原料として、それぞれ以下のように製造した。
Figure 2010013392
<触媒2の製造>
Figure 2010013392
触媒1(597mg,1mmol)を含むジエチルエーテル(1mL)の溶液に対して、0℃で5分間かけてHClOの60%水溶液(166.0μL)を添加し、生じた白色固体を反応溶媒から単離した。反応溶媒をヘキサンで希釈し、有機層を除いた。その後、白色粉末を真空乾燥させ、触媒1のHClO塩(触媒2)を定量的に得た。触媒2は、IR、MS、H NMR、13C NMRで同定した。
mp=116−118℃;
IR(KBr):ν3524,3101,2963,1625,1466,1371,1279,1178,1134,906cm−1
H NMR(400MHz,CDCl):δ0.02(s,9H),1.93−2.07(m,2H),2.16−2.23(m,1H),3.24−3.37(m,2H),4.80(t,J=7.2Hz,1H),6.70(br s,1H),7.70(br s,3H),7.78(s,2H),7.90(s,1H),7.94(s,1H);
13C NMR(125MHz,CDCl):δ144.5,142.5,131.5(dq),128.9,127.7,124.3(d),123.4(d),121.6(d),81.2,67.5,45.8,26.1,23.5,−0.3(t);
HRMS(ESI−TOF)(m/z) C242412NOSiとしての計算値:598.1430, 実測値:598.1443;
[α] 28=+32.1(c=1.0,CHCl).
<触媒3の製造>
Figure 2010013392
触媒1(597mg,1mmol)を含むヘキサン(1mL)の溶液に対して、0℃で5分間かけてトリフルオロ酢酸(TFA)(1mmol)を添加し、生じた白色固体を反応溶媒から単離した。その後、ヘキサンを除き、白色粉末を真空乾燥させ、触媒1のTFA塩(触媒3)を定量的に得た。触媒3は、IR、MS、H NMR、13C NMRで同定した。
mp=108−109℃;
IR(KBr):ν3500,2962,2675,1673,1427,1371,1280,1188,1132,1052,908cm−1
H NMR(400MHz,CDCl):δ7.92(s,1H),7.87(s,2H),7.84(s,1H),7.68(s,2H),4.70(t,J=8.0Hz,1H),2.71−2.82(m,2H),2.32−2.39(m,1H),1.85−2.10(m,3H),0.00(s,9H);
13C NMR(125MHz,CDCl):δ160.0(q),143.1,142.1,131.1(dq),126.5,126.0,122.5(d),121.7,121.3,119.8(d),80.0,64.0,44.4,26.0,22.5,0.0;
HRMS(ESI−TOF)(m/z) C242412NOSiとしての計算値:598.1430, 実測値:598.1407;
[α] 26=+27.23(c=1.0,CHCl).
<触媒4の製造>
(プロリンから中間体3まで)
Figure 2010013392
3,5−(CFBr(40mmol)、Mg(60mmol)、I(20mg)、及び無水THF(20mL)から合成した3,5−(CFMgBrを含む溶液に対して、氷浴で冷却しながら、N−ベンジル−L−プロリンメチルエステル(10mmol)を含むTHF(20mL)を添加した。添加後、氷浴を取り除き、反応液を室温で一晩撹拌した。その後、反応液中に飽和NHCl水溶液を氷冷下でゆっくりと添加し、過剰のグリニャール試薬を分解した。さらに30分間撹拌した後、反応液をフィルター濾過し、酢酸エチルで洗浄した。濾液を減圧留去し、粗精製物を得た。この粗精製物を酢酸エチル/ヘキサン(1:9)を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、中間体3を得た(収率81%)。中間体3は、IR、MS、H NMR、13C NMRで同定した。
IR(neat):ν3308,1623,1557,1538,1496,1464,1368,1278cm−1
H NMR(400MHz,CDCl):δ8.11(s,2H),7.96(s,2H),7.67(s,1H),7.63(s,1H),7.14−7.18(m,3H),6.88(t,J=6.00Hz,2H),5.35(s,1H),3.99(dd,J=5.2,6.8Hz,1H),3.12(d,J=12.8Hz,1H),3.03(d,J=12.8Hz,1H),2.90−2.95(m,1H),2.40−2.47(m,1H),1.85−1.90(m,1H),1.58−1.64(m,2H),1.46−1.51(m, 1H);
13C NMR(100MHz,CDCl):δ150.0,148.1,138.6,132.6(q),132.3(q),128.8,128.6,127.8,126.3,126.0,124.9(d),122.2(d),121.6(d),119.9(d),77.6,71.1,60.9,56.0,30.3,24.4;
HRMS(ESI)[M+H] C282212NOとしての計算値:616.1504, 実測値:616.1526;
[α] 22=+40.00(c=2.0,MeOH).
(中間体3から中間体4まで)
Figure 2010013392
NaH(4mmol)を含むTHF:DMF=1:1(1.0mL)の溶液に対して、中間体3(1.0mmol)を室温にて撹拌しながら添加した。30分間撹拌した後、反応溶液にMeI(5.0mmol)を含むTHF(1.0mL)の溶液を0℃にて滴下し、室温で12時間撹拌した。その後、水を加えて反応を停止させ、有機物を酢酸エチル(5mL)で3回抽出し、食塩水で洗浄した後、NaSOで乾燥させた。有機層を減圧留去し、粗精製物を得た。この粗精製物を酢酸エチル/ヘキサン(2:98)を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、中間体4を得た(収率96%)。中間体4は、IR、MS、H NMR、13C NMRで同定した。
IR(neat):ν1622,1495,1454,1371,1278cm−1
H NMR(400MHz,CDCl):δ8.08(s,2H),8.03(s,2H),7.96(s,1H),7.91(s,1H),7.25−7.32(m,3H),7.15(d,J=7.2Hz,2H),4.11(d,J=12.8Hz,1H),3.99(dd,J=3.2,9.2Hz,1H),3.55(d,J=12.8Hz,1H),3.01(s3H),2.42−2.44(m,1H),2.20−2.25(m,1H),2.07−2.12(m,1H),1.64−1.67(m,1H),1.36−1.39(m,1H),0.21−0.31(m,1H);
13C NMR(100MHz,CDCl):δ143.1,141.5,140.1,131.7(2q),130.4,130.1,128.7,128.4,127.8,127.3,125.0,122.3,121.6,119.6,87.2,70.4,62.4,55.1,52.7,29.2,23.8;
HRMS(ESI)[M+H] C292412NOとしての計算値:630.1661, 実測値:630.1732;
[α] 22=−73.4(c=1.1,MeOH).
(中間体4から化合物5まで)
Figure 2010013392
中間体4(0.5mmol)及び蟻酸アンモニウム(5mmol)を含むメタノール(5.0mL)の溶液に、湿重量で20mol%のPd(OH)/C(20mg)を、80℃で30分間かけて添加した。その後、セライト濾過してPd(OH)/Cを除去し、反応液を減圧留去し、粗精製物を得た。この粗精製物を酢酸エチル/ヘキサン(1:10)を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物5を得た(収率96%)。化合物5は、IR、MS、H NMR、13C NMRで同定した。
IR(neat):ν2970,1624,1466,1429,1373,1277cm−1
H NMR(400MHz,CDCl):δ7.99(2H),7.90(2H),7.85(s,1H),7.84(s,1H),4.31(dd,J=6.0,8.4Hz,1H),3.13(s,3H),2.82−2.87(m,1H),2.23−2.29(m,1H),1.90−1.96(m,1H),1.74(br s,1H),1.45−1.53(m,2H),1.04−1.09(m,1H);
13C NMR(100MHz,CDCl):δ145.6,143.7,131.8(q),131.2(q),129.6,129.4,127.7(d),125.0(d)122.4(pent),121.8(d),119.6(d),84.6,61.9,52.1,47.5,27.8,26.3;
HRMS(ESI)[M+H] C221812NOとしての計算値:540.1191, 実測値:540.1185;
[α] 23=+42.87(c=1.06,MeOH).
その後は、触媒2の製造と同様にして、化合物5のHClO塩(触媒4)を定量的に得た。触媒4は、IR、MS、H NMR、13C NMRで同定した。
<触媒5の製造>
(中間体3から中間体6まで)
Figure 2010013392
NaH(4mmol)を含むTHF:DMF=1:1(1.0mL)の溶液に対して、中間体3(1.0mmol)を含むTHF(1.0mL)の溶液を、室温にて撹拌しながら添加した。30分間撹拌した後、反応溶液にn−BuI(5.0mmol)を含むTHF(1.0mL)の溶液を0℃にて滴下し、室温で12時間撹拌した。その後、水を加えて反応を停止させ、有機物を酢酸エチル(5mL)で3回抽出し、食塩水で洗浄した後、NaSOで乾燥させた。有機層を減圧留去し、粗精製物を得た。この粗精製物を酢酸エチル/ヘキサン(2:98)を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、中間体6を得た(収率78%)。中間体6は、IR、MS、H NMR、13C NMRで同定した。
IR(neat):ν1621,1454,1370,1277cm−1
H NMR(400MHz,CDCl):δ7.83(s,2H),7.82(s,2H),7.71(s,1H),7.66(s,1H),7.00−7.09(m,3H),6.93(d,J=7.2Hz,2H),3.96(d,J=12.8Hz,1H),3.75(m,1H),3.33(d,J=12.8Hz,1H),2.77−2.82(m,1H),2.64−2.69(m,1H),2.14−2.17(m,1H),1.95−2.01(m,1H),1.78−1.88(m,1H),1.28−1.42(m,3H),1.13−1.17(m,3H),0.62(t,J=7.2Hz,3H),0.0−0.11(m,1H);
13C NMR(100MHz,CDCl):δ143.4,142.0,140.1,131.3(2q),130.2(d),128.7,128.5,127.8,127.3,125.0,122.4,122.2,119.6,86.7,71.0,64.362.5,55.0,32.7,29.2,23.8,19.6,14.1;
HRMS(ESI)[M+H] C323012NOとしての計算値:672.2130, 実測値:672.2176;
[α] 24=−64.50(c=1.0,MeOH).
(中間体6から化合物7まで)
Figure 2010013392
中間体6(0.5mmol)及び蟻酸アンモニウム(5mmol)を含むメタノール(5.0mL)の溶液に、湿重量で20mol%のPd(OH)/C(20mg)を、80℃で30分間かけて添加した。その後、セライト濾過してPd(OH)/Cを除去し、反応液を減圧留去し、粗精製物を得た。この粗精製物を酢酸エチル/ヘキサン(1:10)を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物7を得た(収率95%)。化合物7は、IR、MS、H NMR、13C NMRで同定した。
IR(neat):ν2972,1622,1498,1456,1373,1276cm−1
H NMR(400MHz,CDCl):δ7.98(s,2H),7.88(s,2H),7.83(s,2H),4.28(dd,J=6.4,8.4Hz,1H),3.22(dt,J=6.4,8.4Hz,1H),3.06(dt,J=6.4,8.4Hz,1H),2.82−2.85(m,1H),2.20−2.26(m,1H),1.88−1.95(m,1H),1.72(br s,1H),1.33−1.58(m,6H),1.03−1.08(m,1H),0.87(t,J=7.2Hz,3H);
13C NMR(100MHz,CDCl):δ146.2,144.7,131.6(2q),129.5,129.4,127.8,125.1(d),122.3(q),121.8,119.6,84.1,63.7,62.0,47.5,32.4,27.8,26.3,19.7,14.3;
HRMS(ESI)[M+H] C252412NOとしての計算値:582.1661, 実測値:582.1504;
[α] 23=+40.97(c=1.1,MeOH).
その後は、触媒2の製造と同様にして、化合物7のHClO塩(触媒5)を定量的に得た。触媒5は、IR、MS、H NMR、13C NMRで同定した。
<触媒6の製造>
(プロリンから中間体9まで)
Figure 2010013392
L−プロリンメチルエステル塩酸塩(20mmol)をジクロロメタン(30mL)中に懸濁させ、EtNを加えると、10分以内に多量の沈殿物が生じた。沈殿物を濾過し、濾液にPMBCl(30mmol)を加え、室温で12時間撹拌した。その後、有機物を酢酸エチルで抽出し、食塩水で洗浄した後、NaSOで乾燥させた。有機層を減圧留去し、粗精製物を得た。この粗精製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、中間体8を得た(収率92%)。中間体8は、IR、MS、H NMR、13C NMRで同定した。
IR(neat):ν1732,1612,1512,1456,1246cm−1
H NMR(400MHz,CDCl):δ7.23(d,J=8.4Hz,2H),6.83(d,J=8.4Hz,2H),3.81(d,J=12.8Hz,1H),3.78(s,3H),3.64(s,3H),3.52(d,J=12.8Hz,1H),3.19−3.23(m,1H),3.01−3.06(m,1H),2.35−2.39(m,1H),2.10−2.13(m,1H),1.75−1.96(m,2H);
13C NMR(100MHz,CDCl):δ175.0,159.1,130.9,130.8,113.9,65.5,58.4,55.6,53.6,52.2,29.8,23.3;
HRMS(ESI)[M+H] C1420NO としての計算値:250.1438, 実測値:250.1423;
[α] 21=−67.28(c=0.56,MeOH).
3,5−(CFBr(40mmol)、Mg(60mmol)、I(20mg)、及び無水THF(20mL)から合成した3,5−(CFMgBrを含む溶液に対して、氷浴で冷却しながら、中間体8(N−(4−メトキシベンジル)−L−プロリンメチルエステル)(10mmol)を含むTHF(20mL)を添加した。添加後、氷浴を取り除き、反応液を室温で一晩撹拌した。その後、反応液中に飽和NHCl水溶液を氷冷下でゆっくりと添加し、過剰のグリニャール試薬を分解した。さらに30分間撹拌した後、反応液をフィルター濾過し、酢酸エチルで洗浄した。濾液を減圧留去し、粗精製物を得た。この粗精製物を酢酸エチル/ヘキサン(1:9)を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、中間体9を得た(収率85%)。中間体9は、IR、MS、H NMR、13C NMRで同定した。
IR(neat):ν3335,1617,1586,1514,1466,1362cm−1
H NMR(400MHz,CDCl):δ8.21(s,2H),8.05(s,2H),7.77(s,1H),7,74(s,1H),6.88(d,J=8.4Hz,2H),6.79(d,J=8.4Hz,2H),5.49(br s,1H),4.07(dd,J=4.4,9.2Hz,1H),3.78(s,3H),3.16(d,J=12.8Hz,1H),3.06(d,J=12.8Hz,1H),2.91−3.04(m,1H),2.49−2.56(m,1H),1.92−2.01(m,1H),1.55−1.73(m, 3H);
13C NMR(100MHz,CDCl):δ159.3,150.1,148.2,132.3(2q),130.7,129.8,127.7,126.1(d),124.9(d),122.2,121.6(d),119.6,114.2,77.5,70.9,60.1,55.8,55.6,30.3,24.4;
HRMS(ESI)[M+Na] C292312NONaとしての計算値:668.1429, 実測値:668.1425;
[α] 24=+45.29(c=2.0,MeOH).
(中間体9から中間体10まで)
Figure 2010013392
NaH(4mmol)を含むTHF:DMF=1:1(1.0mL)の溶液に対して、中間体9(1.0mmol)を含むTHF(1.0mL)の溶液を、室温にて撹拌しながら添加した。30分間撹拌した後、反応溶液にBnBr(2.0mmol)及び(n−Bu)NI(0.5mmol)を含むTHF(1.0mL)の溶液を0℃にて滴下し、室温で12時間撹拌した。その後、水を加えて反応を停止させ、有機物を酢酸エチル(5mL)で3回抽出し、食塩水で洗浄した後、NaSOで乾燥させた。有機層を減圧留去し、中間体10の粗精製物を得た。この粗精製物を精製することなく、次の工程で用いた。
(中間体10から化合物11まで)
Figure 2010013392
中間体10は、DDQ(1.5mmol)を含むジクロロメタン:水=95:5(5mL)の溶液で直接処理し、室温で5時間撹拌した。反応溶液にNaHCO水溶液を加えて反応を停止させ、通常の終了処理を行った後、過剰量のNaBHを含むメタノール(1.0mL)の溶液で粗精製物を還元した。その後、有機物を酢酸エチルで抽出し、食塩水で洗浄した後、NaSOで乾燥させた。有機層を減圧留去し、粗精製物を得た。この粗精製物を酢酸エチル/ヘキサン(1:10)を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物11を得た(収率65%)。化合物11は、IR、MS、H NMR、13C NMRで同定した。
IR(neat):ν3335,1622,1586,1498,1456,1373cm−1
H NMR(400MHz,CDCl):δ7.95(s,2H),7.86(s,2H),7.77(s,2H),7.13−7.27(m,5H),4.33(dd,J=6.4,7.6Hz,1H),4.21(d,J=11.2Hz,1H),4.15(d,J=11.2Hz,1H),2.75−2.80(m,1H),2.17−2.23(m,1H),1.79−1.92(m,1H),1.73(brs,1H),1.33−1.54(m,2H),0.94−1.02(m,1H);
13C NMR(100MHz,CDCl):δ145.7,143.7,137.8,131.4(2q),129.5(d),129.0,128.3,127.7,125.1(d),122.4(q),122.1(d),119.6,114.2,77.5,70.9,60.1,55.8,55.6,30.3,24.4;
HRMS(ES)[M+H] C282212NOとしての計算値:616.1504, 実測値:616.1521;
[α] 23=+16.05(c=0.7,MeOH).
その後は、触媒2の製造と同様にして、化合物11のHClO塩(触媒6)を定量的に得た。触媒6は、IR、MS、H NMR、13C NMRで同定した。
[実施例1]
下記反応式に示すように、シンナムアルデヒドとシクロペンタジエンとを、溶媒としてトルエン又は水を用い、触媒1及び酸の存在下で反応させ、不斉ディールス・アルダー反応生成物を得た。なお、実施例1では、下記反応式で得られたアルデヒド体を対応するアルコール体に還元した後で単離している場合等もあるが、このようなアルコール体等を含めて、「不斉ディールス・アルダー反応生成物」と称する。
Figure 2010013392
上記反応は、シンナムアルデヒド(0.7mmol)とシクロペンタジエン(2.1mmol)とを、室温(25℃)にて、触媒1(0.07mmol)及び酸(0.14mmol又は0.07mmol)を含むトルエン(1.4mL)又は水(1.4mL)中で反応させることにより行った。反応雰囲気はアルゴンとした。結果を表1に示す。
Figure 2010013392
[a]エキソ体とエンド体との混合物として単離した。
[b]H NMR(400MHz)で求めた。
[c]HPLCの結果から求めた。
表1から分かるように、溶媒としてトルエンを用いた場合には、触媒1とトリフルオロ酢酸とを組み合わせることで、20時間で高ジアステレオ選択的かつ高エナンチオ選択的に反応生成物を得ることができた(エントリー1)。一方、溶媒として水を用いた場合には、2層分離する結果、反応が遅くなり、反応生成物の収率が悪くなり、エナンチオ選択性も中程度であった(エントリー2)。トリクロロ酢酸のようなさらに弱い酸を用いた場合には、反応がさらに遅くなったが(エントリー3)、フッ素化スルホン酸やp−トルエンスルホン酸を用いた場合には、エナンチオ選択性が高くなった(エントリー4,5)。過塩素酸を用いた場合には、4時間という非常に短い反応時間で高ジアステレオ選択的かつ高エナンチオ選択的に反応生成物を得ることができた(エントリー6)。
[実施例2]
下記反応式に示すように、各種のα,β−不飽和アルデヒドとシクロペンタジエンとを、溶媒として水を用い、触媒2又は3の存在下で反応させ、不斉ディールス・アルダー反応生成物を得た。なお、実施例2では、下記反応式で得られたアルデヒド体を対応するアルコール体に還元した後で単離している場合等もあるが、このようなアルコール体等を含めて、「不斉ディールス・アルダー反応生成物」と称する。
Figure 2010013392
上記反応は、エントリー7を除いて、α,β−不飽和アルデヒド(0.5mmol)とシクロペンタジエン(1.5mmol)とを、室温(25℃)にて、触媒2(0.025mmol)を含む水(252μL)中で反応させることにより行った。反応雰囲気はアルゴンとした。結果を表2に示す。
Figure 2010013392
[a]エキソ体とエンド体との混合物として単離した。
[b]H NMR(400MHz)で求めた。
[c]HPLC及びGCの結果から求めた。
[d]絶対配置。K. A. Ahrendt, C. J. Borths, D. W. C. MacMillan; J. Am. Chem. Soc.; 2000, 122, p.4243を参照。
[e]シクロペンタジエン(2mmol)を用いた。
[f]触媒2(10mol%)を用いた。
[g]アクロレイン(1.0mmol)とシクロペンタジエン(3.0mmol)とを、−60℃にて、触媒3(0.05mmol)を含む水(54μL)中で反応させることにより行った。
表2から分かるように、フェニル基のみならず、p−ブロモフェニル基やp−ニトロフェニル基で置換されたアクロレインを用いた場合にも、高収率、高ジアステレオ選択的、高エナンチオ選択的に反応生成物を得ることができた(エントリー7〜9)。また、2−フリル基のようなヘテロアリール基も、アクロレインの置換基として好ましかった(エントリー10)。また、アルキル基、シクロアルキル基で置換されたアクロレインを用いた場合には、ほぼ完全なエナンチオ選択性が得られた(エントリー11〜13)。アクロレインとシクロペンタジエンとの反応では、触媒2を用いた場合にはよい結果が得られなかった。しかしながら、触媒3を用いた場合には、−60℃という低い反応温度で、エキソ体及びエンド体の双方について高エナンチオ選択的に反応生成物を得ることができた(エントリー14)。
以下、表2のエントリー7〜14における反応生成物の製造方法及び同定結果を示す。
<(1S,2S,3S,4R)−3−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルバルデヒド及び(1R,2S,3S,4S)−3−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルバルデヒド(エントリー7)の製造>
触媒2(17.5mg,5mol%)、trans−シンナムアルデヒド(66mg,63μL,0.5mmol)、及び水(17.5mg,5mol%)を含む混合液に、シクロペンタジエン(1.5mmol)を、室温にて撹拌しながら添加した。反応の終了後(TLCにて確認)、反応液にNaHCO水溶液を加えて反応を停止させ、酢酸エチルで有機物を抽出した後、NaSOで乾燥させた。フィルター濾過後、減圧下で低沸点化合物を除去して粗精製物を得た。この粗精製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、反応生成物を得た(92mg,収率93%)。
エンド体とエキソ体との比は、粗精製物についてのH NMRスペクトルから求めた。エナンチオ過剰率は、NaBHを用いて反応生成物を対応するアルコールに変換した後、Chiralcel OJ−Hカラム(ヘキサン/イソプロピルアルコール=10/1、流速1.0mL/分)を用いたHPLCの結果から求めた。エンド体:T1=34.6分(major),T2=17.5分(minor)。エキソ体:T1=47.8分(major),T2=43.7分(minor)。分光分析データは、文献(K. A. Ahrendt, C. J. Borths, D. W. C. MacMillan; J. Am. Chem. Soc.; 2000, 122, p.4243)を基に同定した。
<(1S,2S,3S,4R)−3−p−ブロモフェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルバルデヒド及び(1R,2S,3S,4S)−3−p−ブロモフェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルバルデヒド(エントリー8)の製造>
エントリー7と同様にして、3−(4−ブロモフェニル)プロパナールとシクロペンタジエンとから、反応生成物を得た。NaBHを用いて反応生成物を対応するアルコールに変換した後、Chiralcel OJ−Hカラム(ヘキサン/イソプロピルアルコール=10/1、流速1.0mL/分)を用いたHPLCにより、エナンチオマーを分離した。エンド体:T1=18.6分(major),T2=7.5分(minor)。エキソ体:T1=22.9分(major),T2=9.3分(minor)。分光分析データは、文献(H. Gotoh, Y. Hayashi; Org. Lett.; 2007, 9, P.2859)を基に同定した。
<(1S,2S,3S,4R)−3−p−ニトロフェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルバルデヒド及び(1R,2S,3S,4S)−3−p−ニトロフェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルバルデヒド(エントリー9)の製造>
エントリー7と同様にして、3−(4−ニトロフェニル)プロパナールとシクロペンタジエンとから、反応生成物を得た。NaBHを用いて反応生成物を対応するアルコールに変換した後、HPLCによりエナンチオマーを分離した。エンド体:T1=29.9分(major),T2=32.6分(minor),Chiralcel AD−Hカラム(ヘキサン/イソプロピルアルコール=20/1、流速1.0mL/分)。エキソ体:T1=27.8分(major),T2=25.9分(minor),Chiralcel IAカラム(ヘキサン/イソプロピルアルコール=20/1、流速1.0mL/分)。分光分析データは、文献(M. Lemay, W. W. Ogilvie; Org. Lett.; 2005, 7, p.4141)を基に同定した。
<(1S,2S,3S,4R)−3−(2−フリル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルバルデヒド及び(1R,2S,3S,4S)−3−(2−フリル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルバルデヒド(エントリー10)の製造>
エントリー7と同様にして、3−(2−フリル)プロパナールとシクロペンタジエンとから、反応生成物を得た。エナンチオマーは、GLC(Spelco β−dexカラム,40℃,15℃/分勾配,60kPa)を用いて分離した。エンド体:T1=12.52分(major),T2=12.48分(minor)。エキソ体:T1=12.40分(major),T2=12.35分(minor)。分光分析データは、文献(K. A. Ahrendt, C. J. Borths, D. W. C. MacMillan; J. Am. Chem. Soc.; 2000, 122, p.4243)を基に同定した。
<(1S,2R,3S,4R)−3−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルバルデヒド及び(1R,2R,3S,4S)−3−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルバルデヒド(エントリー11)の製造>
エントリー7と同様にして、trans−クロトンアルデヒドとシクロペンタジエンとから、反応生成物を得た。エナンチオマーは、GLC(Bodman Chiraldex G−TA,50℃,2℃/分勾配,23kPa)を用いて分離した。エンド体:T1=28.43分(major),T2=28.33分(minor)。エキソ体:T1=26.03分(major),T2=25.92分(minor)。分光分析データは、文献(K. Ishihara, H. Kurihara, M. Matsumoto, H. Yamamoto; J. Am. Chem. Soc.; 1998, 120, p.6920)を基に同定した。
<(1S,2S,3S,4R)−3−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルバルデヒド及び(1R,2S,3S,4S)−3−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルバルデヒド(エントリー12)の製造>
エントリー7と同様にして、ヘプト−2−エナ−ルとシクロペンタジエンとから、反応生成物を得た。エナンチオマーは、GLC(Spelco β−dexカラム,40℃,7℃/分勾配,60kPa)を用いて分離した。エンド体:T1=19.59分(major),T2=19.23分(minor)。エキソ体:T1=19.12分(major),T2=18.77分(minor)。分光分析データは、文献(H. Gotoh, Y. Hayashi; Org. Lett.; 2007, 9, P.2859)を基に同定した。
<(1S,2S,3S,4R)−3−シクロヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルバルデヒド及び(1R,2S,3S,4S)−3−シクロヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルバルデヒド(エントリー13)の製造>
エントリー7と同様にして、3−シクロヘキシルプロペナールとシクロペンタジエンとから、反応生成物を得た。エナンチオマーは、GLC(Spelco β−dexカラム,40℃,7℃/分勾配,60kPa)を用いて分離した。エンド体:T1=25.08分(major),T2=24.86分(minor)。エキソ体:T1=24.57分(major),T2=24.30分(minor)。分光分析データは、文献(H. Gotoh, Y. Hayashi; Org. Lett.; 2007, 9, P.2859)を基に同定した。
<(1S,2R,4R)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルバルデヒド及び(1R,2R,4R)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルバルデヒド(エントリー14)の製造>
触媒3(35mg,0.025mol)、アクロレイン(1mmol)、及び水(54μL,3mmol)を含む混合液に、シクロペンタジエン(234μL,3mmol)を、−60℃にて添加した。この溶液を24時間撹拌した(エキソ体とエンド体との比は、反応液についてのH NMRスペクトル(400MHz)から求めた)。反応液に過剰量のNaBHを含むメタノール(1mL)を0℃にて加えて直接還元し、さらに20分間撹拌し、水を加えて反応を停止させた。その後、エーテル(3×5mL)で有機物を抽出し、食塩水で洗浄した後、NaSOで乾燥させた。有機層をまとめて50℃で減圧留去し、粗精製物を得た。この粗精製物を20%エーテル/ペンタンを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、還元された反応生成物を得た(106mg,収率85%)。分光分析データは、文献(K. Ishihara, H. Kurihara, M. Matsumoto, H. Yamamoto; J. Am. Chem. Soc.; 1998, 120, p.6920)及び文献(J. M. Balnco, F. Fernandez, X. Garcia−Mera, J. E. Rodriguez−Borges; Tetrahedron; 2002, 58, p.8843)を基に同定した。
エナンチオ過剰率は、水酸基を対応する3,5−ジニトロベンゾイルエステルで保護した後に求めた。すなわち、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−メタノール(0.25mmol)、DMAP(10mg)、及びEtN(1mmol)を含むジクロロメタン(1mL)に、ジニトロベンゾイルクロリド(0.25mmol)を、室温にて撹拌しながら30分間かけて添加した。通常の終了処理の後、粗精製物をプレパラティブTLCで精製し、3,5−ジニトロベンゾイルエステルを得た。エナンチオマーは、Chiralcel OD−Hカラム(ヘキサン/イソプロピルアルコール=40/1、流速1.0mL/分)を用いたHPLCにより分離した。エンド体:T1=15.53分(major),T2=15.03分(minor)。エキソ体:T1=17.33分(major),T2=19.04分(minor)。
[実施例3]
下記反応式に示すように、シンナムアルデヒドとシクロペンタジエンとを、溶媒として水を用い、触媒4〜6のいずれかの存在下で反応させ、不斉ディールス・アルダー反応生成物を得た。なお、実施例3では、下記反応式で得られたアルデヒド体を対応するアルコール体に還元した後で単離している場合等もあるが、このようなアルコール体等を含めて、「不斉ディールス・アルダー反応生成物」と称する。
Figure 2010013392
上記反応は、シンナムアルデヒド(0.5mmol)とシクロペンタジエン(1.5mmol)とを、室温(25℃)にて、触媒4〜6のいずれか(5mol%)を含む水(14mmol)中で反応させることにより行った。反応雰囲気はアルゴンとした。結果を表3に示す。
Figure 2010013392
[a]エキソ体とエンド体との混合物として単離した。
[b]H NMR(400MHz)で求めた。
[c]HPLCの結果から求めた。
表3から分かるように、上記一般式(1)におけるRがシリル基ではなく置換基を有していてもよいアルキル基の場合にも、高収率、高ジアステレオ選択的、高エナンチオ選択的に反応生成物を得ることができた(エントリー15〜17)。
[実施例4]
下記反応式に示すように、各種のα,β−不飽和アルデヒドと各種の共役ジエンとを、溶媒として水を用い、触媒2の存在下で反応させ、不斉ディールス・アルダー反応生成物を得た。なお、実施例4では、下記反応式で得られたアルデヒド体を対応するアルコール体に還元した後で単離している場合等もあるが、このようなアルコール体等を含めて、「不斉ディールス・アルダー反応生成物」と称する。
Figure 2010013392
上記反応は、特に明記しない限り、α,β−不飽和アルデヒド(1.0mmol)と共役ジエン(3.0mmol)とを、4℃にて、触媒2を含む水(252μL)中で反応させることにより行った。反応雰囲気はアルゴンとした。結果を表4に示す。
Figure 2010013392
[a]単離収率。
[b]HPLC及びGCの結果から求めた。
[c]水(126μL)を用いた。
[d]アクロレイン(1.0mmol)と共役ジエン(0.25mmol)とを、4℃にて、触媒2を含む水(126μL)中で反応させることにより行った。
[e]絶対配置。
表4から分かるように、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン、2−フェニルブタジエンを用いた場合には、高収率かつ高エナンチオ選択的に反応生成物を得ることができた(エントリー18,19,21,22)。ブタジエンはディールス・アルダー反応において有用な共役ジエンであるが、反応性が低く、収率が悪かった(エントリー20)。しかしながら、これは、アクロレインとブタジエンとから高エナンチオ選択的に反応生成物を得た初めての例と思われる。
以下、表4のエントリー18〜22における反応生成物の製造方法及び同定結果を示す。
<(1S,6S)−エチル(6−ホルミル−3−メチルシクロヘキサ−3−エン)カルボキシレート(エントリー18)の製造>
表2のエントリー8と同様にして、4−オキソ−ブタ−2−エノイック酸エチルエステルとイソプレンとから、反応生成物を得た。エナンチオ過剰率は、ホルミル基及びエステル基を対応するアルコールに還元し、ベンゾイルエステルに変換した後に求めた。エナンチオマーは、Chiralcel AD−Hカラム(ヘキサン/イソプロピルアルコール=100/1、流速1.0mL/分)を用いたHPLCにより分離した。T1=19.5分(major),T2=22.7分(minor)。分光分析データは、文献(H. Gotoh, Y. Hayashi; Org. Lett.; 2007, 9, P.2859)を基に同定した。
<(1S,6S)−エチル(3,4−ジメチル−6−ホルミルシクロヘキサ−3−エン)カルボキシレート(エントリー19)の製造>
エントリー18と同様にして、4−オキソ−ブタ−2−エノイック酸エチルエステルと2,3−ジメチルブタジエンとから、反応生成物を得た。エナンチオ過剰率は、ホルミル基及びエステル基を対応するアルコールに還元し、ベンゾイルエステルに変換した後に求めた。エナンチオマーは、Chiralcel AD−Hカラム(ヘキサン/イソプロピルアルコール=100/1、流速1.0mL/分)を用いたHPLCにより分離した。T1=17.7分(major),T2=20.3分(minor)。分光分析データは、文献(H. Gotoh, Y. Hayashi; Org. Lett.; 2007, 9, P.2859)を基に同定した。
<(R)−3−シクロヘキセン)−1−カルバルデヒド(エントリー20)の製造>
触媒2(70mg,0.1mmol)を含むCHCN/1,3−ブタジエン/水(0.5/0.5/0.126mL)の溶液に、アクロレイン(68μL,1mmol)を4℃にて添加した。この溶液を48時間撹拌した後、反応液をシリカゲルカラムに載せ、5%エーテル/ペンタンで溶出した。1/4量になるまで45℃、大気圧にて溶液を蒸発させた。エナンチオ過剰率は、GLC(Spelco β−dexカラム,35℃,1℃/分勾配,60kPa)を用いて求めた。T1=45.49分(major),T2=45.10分(minor)。反応生成物は、ホルミル基及びエステル基を対応するアルコールに還元し、ベンゾイルエステルに変換した後に単離した(46mg,41%)。絶対配置は、比旋光度を基に決定した。[α] 22=+79.1(c=1.01,MeOH,87%ee)。(R)−3−シクロヘキセン−1−メタノールについての文献値(S. Masamune, L. A. III Reed, J. T. Jeffrey, W. Choi; J. Org. Chem.; 1983, 48, 4441)は[α] 22=+96.0(c=3.0,MeOH)である。分光分析データは、上記の文献を基に同定した。
<(R)−4−メチル−3−シクロヘキセン−1−カルバルデヒド(エントリー21)の製造>
触媒2(70mg,10mol%)を含む水(126μL,7当量)中に、アクロレイン(56mg,1mmol)及びイソプレン(204mg,3mmol)を4℃にて添加した。この溶液を36時間撹拌した後、反応液をシリカゲルカラムに載せ、2%エーテル/ペンタンで溶出すると、黄色がかった油状の目的物が82%の収率(90mg)で得られた。エナンチオ過剰率は、GLC(Bodman G−TA,35℃,0.25℃/分勾配,23kPa)を用いて求めた。T1=100.28分(major),T2=99.43分(minor)。分光分析データは、文献(K. Ishihara, H. Kurihara, M. Matsumoto, H. Yamamoto; J. Am. Chem. Soc.; 1998, 120, p.6920)を基に同定した。
絶対配置は、アルデヒド基を対応するカルボン酸へと酸化し、比旋光度を文献値と比較することにより決定した。4−メチル−3−シクロヘキセン−1−カルバルデヒド(72mg,0.5mmol)の酸化は、文献(K. A. Ahrendt, C. J. Borths, D. W. C. MacMillan; J. Am. Chem. Soc.; 2000, 122, p.4243)に従って行った。[α] 23=+90.45(c=1.01,EtOH,90%ee)。(R)−4−メチル−3−シクロヘキセン−1−カルボン酸についての文献値(T. Poll, A. Sobczak, H. Hartmann, G. Helmchen; Tetrahedron Lett.; 1985, 26, 3095)は[α] 20=−107(c=4.0,EtOH)である。
<(R)−4−フェニル−3−シクロヘキセン−1−カルバルデヒド(エントリー22)の製造>
触媒2(17.5mg,0.025mol)、2−フェニル−1,3−ブタジエン(32.5mg,0.25mmol)、及び水(126μL,7mmol)を含む溶液中に、アクロレイン(56mg,1mmol)を、4℃で撹拌しながら添加した。28時間撹拌した後、反応液をシリカゲルカラムに載せ、5%エーテル/ペンタンで溶出すると、目的物が71%の収率(33mg)で得られた。反応生成物は、NaBHにより対応するアルコールに変換した。エナンチオマーは、Chiralcel OD−Hカラム(ヘキサン/イソプロピルアルコール=30/1、流速0.5mL/分)を用いたHPLCにより分離した。T1=27.5分(major),T2=29.36分(minor)。4−フェニル−3−シクロヘキセン−1−メタノールの比旋光度は、[α] 20=+71.7(c=0.5,MeOH,88%ee)であった。分光分析データは、文献(K. A. Ahrendt, C. J. Borths, D. W. C. MacMillan; J. Am. Chem. Soc.; 2000, 122, p.4243)を基に同定した。
[実施例5]
精製工程を含めて有機溶媒を一切使用せず、以下のようにして、不斉ディールス・アルダー反応生成物を得た。
触媒2(700mg,1mmol)、trans−シンナムアルデヒド(2.64g,20mmol)、及び水(10mL)を含む溶液中に、シクロペンタジエン(4.70mL)を、室温(25℃)で撹拌しながら添加し、8時間撹拌した。H NMRで確認すると、100%変換されていた(exo:endo=82:18)。その後、反応液にNaHCO水溶液(0.25mL)を加えて反応を停止させ、水層を除去し、有機層を丸底フラスコ中に集めた。反応生成物を140℃の減圧下(1mmHg)でバルブツーバルブ蒸留により精製し、精製物(2.0g,収率81%)を得た。エキソ体とエンド体との比は、82:18であった。エナンチオ過剰率は、NaBHを用いて反応生成物を対応するアルコールに変換した後、Chiralcel OJ−Hカラム(ヘキサン/イソプロピルアルコール=10/1、流速1.0mL/分)を用いたHPLCの結果から求めた。エキソ体のエナンチオ過剰率は96.5%であり、エンド体のエナンチオ過剰率は92%であった。
[実施例6]
下記反応式に示すように、シンナムアルデヒドとシクロペンタジエンとを、各種の溶媒を用い、触媒2の存在下で反応させ、不斉ディールス・アルダー反応生成物を得た。なお、実施例6では、下記反応式で得られたアルデヒド体を対応するアルコール体に還元した後で単離している場合等もあるが、このようなアルコール体等を含めて、「不斉ディールス・アルダー反応生成物」と称する。
Figure 2010013392
上記反応は、特に明記しない限り、シンナムアルデヒド(0.5mmol)とシクロペンタジエン(1.5mmol)とを、室温(25℃)にて、触媒2(0.025mmol)を含む溶媒中で反応させることにより行った。反応雰囲気はアルゴンとした。結果を表5に示す。
Figure 2010013392
[a]エキソ体とエンド体との混合物として単離した。
[b]H NMR(400MHz)で求めた。
[c]HPLCの結果から求めた。
[d]最初の1分間のみ撹拌した。
表6から分かるように、溶媒として水を用いた場合とは対照的に、無溶媒の場合(エントリー23)や、溶媒としてトルエンやジクロロメタンを用いた場合(エントリー24,25)には、シクロペンタジエンがポリマー化した。また、溶媒としてメタノールを用いた場合には、収率が低く、エナンチオ選択性も中程度であった(エントリー26)。このことから、水が反応速度及びエナンチオ選択性を促進する効果があることが分かる。水の量の違いを検討したところ、水の量が少ない場合には、反応が遅く、エナンチオ選択性も低下したが(エントリー28,29)、水の量が126μLを超えると、一貫してよい結果が得られた(エントリー27,30〜33)。特に、2層分離する疎水性のシンナムアルデヒドを用いた場合には、水の量が大過剰であっても反応が効率的に進行した。一方、水が溶解するアクロレインを用いた場合には、水の量が多いと反応性が低下した(表2のエントリー14)。これは、反応が有機層で進行していることを示唆している。さらに、撹拌も必須ではなかった。つまり、最初の1分間のみ撹拌した場合であっても、撹拌を続けた場合と反応効率は変わらなかった(エントリー32)。また、水の代わりに食塩水を用いた場合には、反応が遅くなり、エナンチオ選択性も低下した(エントリー34)。これは、塩析効果によって反応性が低下することを示している。
これらの結果から、次のことが分かる。すなわち、1)反応は有機層で進行しており、水層と有機層との界面で進行しているのではなく、2)少量の水が有機層に溶解することにより遷移状態に影響が与えられて反応が促進され、その結果、エナンチオ選択性が向上する。このような水の効果は、全ての成分が水の中に均質に溶解するBreslowらの報告(D. C. Rideout, R Breslow; J. Am. Chem. Soc.; 1980, 102, p.7816)や、2層の界面で反応を進行させるために激しい撹拌が必須であるSharplessらの報告(S. Narayan, J. Muldoon, M. G. Finn, V. V. Fokin, H. C. Kolb, K. B. Sharpless; Angew. Chem.; 2005, 117, p.3339)とは、全く異なるものである。

Claims (9)

  1. α,β−不飽和アルデヒドと共役ジエンとを、溶媒として水を用い、下記一般式(1)で表される化合物若しくはそのエナンチオマーである不斉触媒と酸との存在下、又は下記一般式(1)で表される化合物若しくはそのエナンチオマーと酸との塩である不斉触媒の存在下で反応させる工程を含む不斉ディールス・アルダー反応生成物の製造方法。
    Figure 2010013392
    [式中、R,Rはそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、シクロアルケニル基、ヘテロシクロアルケニル基、アルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基を示し、Rはシリル基又は置換基を有していてもよいアルキル基を示し、Rは水酸基の保護基を示し、nは0又は1を示す。]
  2. 前記酸のpKaが1以下である請求項1記載の不斉ディールス・アルダー反応生成物の製造方法。
  3. 前記R及びRが、置換基を有していてもよいアリール基又はヘテロアリール基である請求項1又は2記載の不斉ディールス・アルダー反応生成物の製造方法。
  4. 得られた不斉ディールス・アルダー反応生成物を蒸留により精製する工程をさらに含む請求項1から3いずれか1項記載の不斉ディールス・アルダー反応生成物の製造方法。
  5. α,β−不飽和アルデヒドと共役ジエンとを、溶媒として水を用い、不斉触媒の存在下で反応させて得られた不斉ディールス・アルダー反応生成物を、蒸留により精製する不斉ディールス・アルダー反応生成物の精製方法。
  6. 下記一般式(1)で表される化合物又はそのエナンチオマーと酸との塩である不斉触媒。
    Figure 2010013392
    [式中、R,Rはそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、シクロアルケニル基、ヘテロシクロアルケニル基、アルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基を示し、Rはシリル基又は置換基を有していてもよいアルキル基を示し、Rは水酸基の保護基を示し、nは0又は1を示す。]
  7. 前記R及びRが、電子吸引性基を有しているアリール基又はヘテロアリール基であり、前記酸のpKaが−1以下である請求項6記載の不斉触媒。
  8. 下記一般式(1)で表される化合物又はそのエナンチオマーと酸との混合物である不斉触媒混合物。
    Figure 2010013392
    [式中、R,Rはそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、シクロアルケニル基、ヘテロシクロアルケニル基、アルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基を示し、Rはシリル基又は置換基を有していてもよいアルキル基を示し、Rは水酸基の保護基を示し、nは0又は1を示す。]
  9. 前記R及びRが、電子吸引性基を有しているアリール基又はヘテロアリール基であり、前記酸のpKaが−1以下である請求項8記載の不斉触媒混合物。
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