JP2010013390A - 防虫フィラメント - Google Patents
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Abstract
【課題】常温(20℃)で固体の防虫活性化合物が練りこまれてなる防虫フィラメントであって、防虫効力の高い防虫フィラメントを提供すること。
【解決手段】20℃で固体の防虫活性化合物および沸点が70℃以上の有機溶剤とが、フィラメントを形成する熱可塑性樹脂に練りこまれてなる防虫フィラメント;フィラメントの芯部を形成する熱可塑性樹脂に沸点が70℃以上の有機溶剤が練りこまれ、フィラメントの鞘部を形成する熱可塑性樹脂に25℃で固体の防虫活性化合物が練りこまれてなる、芯鞘構造を有する防虫フィラメント。
【選択図】なし
【解決手段】20℃で固体の防虫活性化合物および沸点が70℃以上の有機溶剤とが、フィラメントを形成する熱可塑性樹脂に練りこまれてなる防虫フィラメント;フィラメントの芯部を形成する熱可塑性樹脂に沸点が70℃以上の有機溶剤が練りこまれ、フィラメントの鞘部を形成する熱可塑性樹脂に25℃で固体の防虫活性化合物が練りこまれてなる、芯鞘構造を有する防虫フィラメント。
【選択図】なし
Description
本発明は防虫製品等の原料として利用可能な防虫フィラメントに関する。
従来から人、家畜、作物等を衛生害虫(蚊およびハエ等)や農業害虫から保護する為に、当該保護対象の周囲をネットで覆うことにより、物理的に害虫の侵入を阻止する方法が用いられてきた。また、当該ネットを形作るフィラメント自体に防虫活性化合物を練りこむことにより、当該ネット自体に防虫効果を付与した、防虫ネットも使用されている。(特許文献1および2を参照)
しかしながら、防虫活性化合物が常温で固体である場合、フィラメント内に練りこまれた防虫活性化合物がフィラメントの表面にブリードし難く、また、防虫活性化合物がフィラメント表面にブリードしたとしても、防虫活性化合物の固体がフィラメントの表面に析出する為、本来の防虫活性化合物が有する防虫効力を十分に発揮できない場合がある。
本願発明は、防虫効力の高い、常温(20℃)で固体の防虫活性化合物が練りこまれてなる防虫フィラメントを提供することを課題とする。
本願発明は、防虫効力の高い、常温(20℃)で固体の防虫活性化合物が練りこまれてなる防虫フィラメントを提供することを課題とする。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に至った。すなわち、本発明は、
[1] 20℃で固体の防虫活性化合物および沸点が70℃以上の有機溶剤とが、フィラメントを形成する熱可塑性樹脂に練りこまれてなる防虫フィラメント;
[2] フィラメントの芯部を形成する熱可塑性樹脂に沸点が70℃以上の有機溶剤が練りこまれ、フィラメントの鞘部を形成する熱可塑性樹脂に25℃で固体の防虫活性化合物が練りこまれてなる、芯鞘構造を有する防虫フィラメント;
[3] 熱可塑性樹脂がオレフィン系樹脂である[1]または[2]記載の防虫フィラメント;
[4] 熱可塑性樹脂がポリエチレン系樹脂である[1]または[2]記載の防虫フィラメント;
[5] 20℃で固体の防虫活性化合物と沸点が70℃以上の有機溶剤との質量比が、1:10〜1:100の範囲内である[1]または[2]記載の防虫フィラメント;
[6] [1]または[2]記載の防虫フィラメントで成型されてなる防虫ネット;
である。
[1] 20℃で固体の防虫活性化合物および沸点が70℃以上の有機溶剤とが、フィラメントを形成する熱可塑性樹脂に練りこまれてなる防虫フィラメント;
[2] フィラメントの芯部を形成する熱可塑性樹脂に沸点が70℃以上の有機溶剤が練りこまれ、フィラメントの鞘部を形成する熱可塑性樹脂に25℃で固体の防虫活性化合物が練りこまれてなる、芯鞘構造を有する防虫フィラメント;
[3] 熱可塑性樹脂がオレフィン系樹脂である[1]または[2]記載の防虫フィラメント;
[4] 熱可塑性樹脂がポリエチレン系樹脂である[1]または[2]記載の防虫フィラメント;
[5] 20℃で固体の防虫活性化合物と沸点が70℃以上の有機溶剤との質量比が、1:10〜1:100の範囲内である[1]または[2]記載の防虫フィラメント;
[6] [1]または[2]記載の防虫フィラメントで成型されてなる防虫ネット;
である。
本発明により得られる防虫フィラメントにてネットを製造した場合、当該ネットは高い防虫効力を有する。また、当該ネットはフィラメント内より防虫活性化合物がブリードする為、長期間に渉って防虫効力が維持される。
本発明の防虫フィラメントに練りこまれる20℃で固体の防虫活性化合物(以下、本固体活性化合物と記す。)としては、例えば下記の化合物が挙げられる。
シフルトリン、シペルメトリン、デルタメトリン、フェンプロパトリン、エスフェンバレレート、トラロメトリン、アクリナトリン、ビフェントリン、レスメトリン、テトラメトリン等のピレスロイド系化合物;
プロポキサー、イソプロカルブ、キシリルカルブ、メトルカルブ、XMC、カルバリル、ピリミカルブ、カルボフラン、メソミル、フェノキシカルブ、アラニカルブ、メトキサジアゾン等のカーバメート系化合物;
アセフェート、フェントエート、バミドチオン、トリクロルホン、モノクロトホス、テトラクロルビンホス、ジメチルビンホス、ホサロン、クロルピリホス、クロルピリホスメチル、ピリダフェンチオン、キナルホス、メチダチオン、メタミドホス、ジメトエート、フェルモチオン、アジンホスエチル、アジンホスメチル、サリチオン等の有機リン系化合物;
ジフルベンズロン、クロルフルアズロン、ルフェヌロン、ヘキサフルムロン、フルフェノクスロン、フルシクロクスロン、シロマジン、ジアフェンチウロン、ヘキシチアゾクス、ノヴァルロン、テフルベンズロン、トリフルムロン、4−クロロ−2−(2−クロロ−2−メチルプロピル)−5−(6−ヨード−3−ピリジルメトキシ)ピリダジン−3(2H)−オン、1−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−3−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア、1−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−3−[2−フルオロ−4−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロポキシ)フェニル]ウレア、2−tert−ブチルイミノ−3−イソプロピル−5−フェニル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−1,3,5−チアジアゾン−4−オン、1−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−3−[2−フルオロ−4−(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)フェニル]ウレア等のウレア系化合物;
5−アミノ−4−ジクロロフルオロメチルスルフェニル−1−(2,6−ジクロロ−4−トリフルオロメチルフェニル)ピラゾール、5−アミノ−1−(2,6−ジクロロ−4−トリフルオロメチルフェニル)−4−トリフルオロメチルスルフェニルピラゾール等のピラゾール系化合物;
イミダクロプリド、チアクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサム、アセタミプリド等のネオニコチノイド系化合物;
カルタップ、ブプロフェジン、チオシクラム、ベンスルタップ、フェノキシカルブ、フェナザキン、フェンピロキシメート、ピリダベン、リプロキシフェン、ヒドラメチルノン、チオジカルブ、クロルフェナピル、フェンプロキシメート、ピメトロジン、ピリミジフェン、テブフェノジド、テブフェンピラド、トリアザメート、インドキサカーブ、スルフルラミド等を挙げることができる。
プロポキサー、イソプロカルブ、キシリルカルブ、メトルカルブ、XMC、カルバリル、ピリミカルブ、カルボフラン、メソミル、フェノキシカルブ、アラニカルブ、メトキサジアゾン等のカーバメート系化合物;
アセフェート、フェントエート、バミドチオン、トリクロルホン、モノクロトホス、テトラクロルビンホス、ジメチルビンホス、ホサロン、クロルピリホス、クロルピリホスメチル、ピリダフェンチオン、キナルホス、メチダチオン、メタミドホス、ジメトエート、フェルモチオン、アジンホスエチル、アジンホスメチル、サリチオン等の有機リン系化合物;
ジフルベンズロン、クロルフルアズロン、ルフェヌロン、ヘキサフルムロン、フルフェノクスロン、フルシクロクスロン、シロマジン、ジアフェンチウロン、ヘキシチアゾクス、ノヴァルロン、テフルベンズロン、トリフルムロン、4−クロロ−2−(2−クロロ−2−メチルプロピル)−5−(6−ヨード−3−ピリジルメトキシ)ピリダジン−3(2H)−オン、1−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−3−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア、1−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−3−[2−フルオロ−4−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロポキシ)フェニル]ウレア、2−tert−ブチルイミノ−3−イソプロピル−5−フェニル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−1,3,5−チアジアゾン−4−オン、1−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−3−[2−フルオロ−4−(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)フェニル]ウレア等のウレア系化合物;
5−アミノ−4−ジクロロフルオロメチルスルフェニル−1−(2,6−ジクロロ−4−トリフルオロメチルフェニル)ピラゾール、5−アミノ−1−(2,6−ジクロロ−4−トリフルオロメチルフェニル)−4−トリフルオロメチルスルフェニルピラゾール等のピラゾール系化合物;
イミダクロプリド、チアクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサム、アセタミプリド等のネオニコチノイド系化合物;
カルタップ、ブプロフェジン、チオシクラム、ベンスルタップ、フェノキシカルブ、フェナザキン、フェンピロキシメート、ピリダベン、リプロキシフェン、ヒドラメチルノン、チオジカルブ、クロルフェナピル、フェンプロキシメート、ピメトロジン、ピリミジフェン、テブフェノジド、テブフェンピラド、トリアザメート、インドキサカーブ、スルフルラミド等を挙げることができる。
本発明の防虫フィラメントに練りこまれる沸点が70℃以上の有機溶剤(以下、本有機溶剤と記す。)としては、例えば下記の有機溶剤が挙げられる。
ノルマルパラフィン、イソパラフィン、シクロパラフィン等のパラフィン系溶剤;
キシレン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、フェニルキシリルエタン、ジフェニルキシリルエタン等の芳香族系溶剤;
シクロヘキサノン、ヘプタノン、オクタノン、ノナノン、アセトフェノン等のケトン類;
酢酸ヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸フェニルエチル、ベンジルベンゾエート、メチルベンゾエート、オレイン酸イソブチル、サリチル酸ベンジル、酢酸ブチルシクロヘキシル、酢酸メチルベンジル、オレイン酸メチル、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸オクチル等のエステル類;
エチレングリコール、プロピレングリコール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、ポリエチレングリコール等のアルコール類;
菜種油、大豆油、アマニ油、オリーブ油、米ヌカ油等の植物油を挙げることができる。
ノルマルパラフィン、イソパラフィン、シクロパラフィン等のパラフィン系溶剤;
キシレン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、フェニルキシリルエタン、ジフェニルキシリルエタン等の芳香族系溶剤;
シクロヘキサノン、ヘプタノン、オクタノン、ノナノン、アセトフェノン等のケトン類;
酢酸ヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸フェニルエチル、ベンジルベンゾエート、メチルベンゾエート、オレイン酸イソブチル、サリチル酸ベンジル、酢酸ブチルシクロヘキシル、酢酸メチルベンジル、オレイン酸メチル、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸オクチル等のエステル類;
エチレングリコール、プロピレングリコール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、ポリエチレングリコール等のアルコール類;
菜種油、大豆油、アマニ油、オリーブ油、米ヌカ油等の植物油を挙げることができる。
本発明においては、本有機溶剤は50%留出温度が160〜400℃の範囲である有機溶剤が好ましく、50%留出温度が160〜400℃の範囲である炭化水素溶剤が更に好ましい。特に、パラフィン系溶剤、エステル系溶剤が性能面からこのましい。
本発明の防虫フィラメントを形成する熱可塑性樹脂は、紡糸によってフィラメントを形成し得る熱可塑性樹脂であれば、特に限定されず、1種類または2種以上の熱可塑性樹脂からなる熱可塑性樹脂であってもよい。また、本発明において、熱可塑性樹脂は狭義の熱可塑性樹脂と狭義の熱可塑性エラストマーとの混合物も含む。
本発明の防虫フィラメントを形成する熱可塑性樹脂としては、例えばオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリメチルメタクリレート等を挙げることができ、熱可塑性エラストマーとしては、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。
本発明の防虫フィラメントを形成する熱可塑性樹脂としては、例えばオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリメチルメタクリレート等を挙げることができ、熱可塑性エラストマーとしては、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。
オレフィン系樹脂としては、具体的には例えばポリエチレン(低密度ポリエチレン(直鎖状低密度ポリエチレンLLDPEを含む)、超低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン)、エチレンと炭素原子数3以上のα−オレフィンとの共重合体等のポリエチレン樹脂、プロピレン単独重合体、プロピレンと炭素原子数4以上のα−オレフィンとのランダム共重合体やブロック共重合体、エチレン−メチルメタアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体等のエチレン性不飽和結合を有するカルボン誘導体とエチレンとの共重合体等の単独あるいはこれらの混合物が挙げられる。
熱可塑性エラストマーとしては、具体的には例えばエチレンまたはプロピレンを主成分とするエラストマー、ポリスチレンブロックとポリイソプレンブロック及び/ 又はポリブタジエンブロックとのブロック共重合体及びその水素添加物が挙げられる。
本発明においては、好ましくは密度が0.85g/cm3〜0.93g/cm3の低密度ポリエチレン、密度が0.85g/cm3〜0.93g/cm3の直鎖状低密度ポリエチレン、密度が0.94g/cm3以上の高密度ポリエチレン、カルボン酸ビニルエステルおよび不飽和カルボン酸エステルからなる群から選ばれる1種以上のモノマーとエチレンとの共重合体などが挙げられる。
また溶融紡糸する際の加工性と得られる防虫フィラメントのしなやかさのバランスの観点から、本発明においては熱可塑性樹脂としては直鎖状低密度ポリエチレンと高密度ポリエチレンとの混合物であることが好ましい。エチレン系樹脂が直鎖状低密度ポリエチレンと高密度ポリエチレンとの混合物である場合、その割合は直鎖状低密度ポリエチレン:高密度ポリエチレン=5〜30:70〜95(重量比)であることが好ましい。
また溶融紡糸する際の加工性と得られる防虫フィラメントのしなやかさのバランスの観点から、本発明においては熱可塑性樹脂としては直鎖状低密度ポリエチレンと高密度ポリエチレンとの混合物であることが好ましい。エチレン系樹脂が直鎖状低密度ポリエチレンと高密度ポリエチレンとの混合物である場合、その割合は直鎖状低密度ポリエチレン:高密度ポリエチレン=5〜30:70〜95(重量比)であることが好ましい。
本発明の防虫フィラメントの製造方法としては、(a)予め本固体活性化合物および本有機溶剤とを含有するマスターバッチCを製造し、該マスターバッチCと熱可塑性樹脂とを混練して樹脂組成物Cを調製し、これを溶融紡糸する方法、(b)予め本固体活性化合物を含有するマスターバッチAと、本有機溶剤を含有するマスターバッチBとを製造し、該マスターバッチAと該マスターバッチBと熱可塑性樹脂とを混練して樹脂組成物Dを調製し、これを溶融紡糸する方法、(c)予め本固体活性化合物を含有するマスターバッチAと、本有機溶剤を含有するマスターバッチBとを製造し、該マスターバッチAと熱可塑性樹脂とを混練して樹脂組成物Aを調製し、該マスターバッチBと熱可塑性樹脂とを混練して樹脂組成物Bを調製し、樹脂組成物Aを鞘部、樹脂組成物Bを芯部として溶融紡糸する方法等が挙げられる。
本発明においては、本固体活性化合物を熱可塑性樹脂に練りこむ際、出来るだけ均一に分散した状態にさせる必要から、本固体活性化合物を微粉砕して熱可塑性樹脂に混ぜ込むか、あるいは、本固体活性化合物を予め本有機溶剤を用いて溶解させた後に熱可塑性樹脂に練りこむことが好ましい。
本発明の防虫フィラメントには、本固体活性化合物および本有機溶剤の他に、多孔質粉状担体、酸化防止剤、顔料、滑剤等の配合剤を適宜加えてもよい。
防虫フィラメントに添加し得る多孔質粉状担体としては、例えばタルク、カオリン、クレー、シリカ系微粒子、活性炭、デキストリン類が挙げられ、該多孔質粉状担体は平均粒径は一般的には0.01〜40μmの範囲であることが好ましく、0.03〜20μmの範囲であることが更に好ましい。
多孔質粉状担体は本有機溶剤と共に熱可塑性樹脂に混ぜ込むことが好ましい。
多孔質粉状担体は本有機溶剤と共に熱可塑性樹脂に混ぜ込むことが好ましい。
防虫フィラメントに添加し得る酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ステアリル−β(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン−3(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどのフェノール系酸化防止剤;トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4’,4’ビフェニレンジフォスフォナイト、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d、f][1,3,2]−ジオキサホスフェピンなどのりん系酸化防止剤などが挙げられる。
本発明の防虫フィラメントにおいて、本固体活性化合物と本有機溶剤との比率は、通常、1:2〜1:100であり、好ましくは1:10〜1:100の範囲である。また、本発明の防虫モノフィラメントに含有される本固体活性化合物の量は、本固体活性化合物の防虫効力の強さ等によって適宜定められるものであるが、通常は0.001〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%の範囲内である。
本発明の防虫フィラメントは、紡糸方法として公知な方法を適宜使用することができ、紡糸条件を適宜調整することにより、本発明の防虫フィラメントを製造することができる。本発明において、防虫フィラメントはモノフィラメントでもマルチフィラメントでもよいが、好ましくはモノフィラメントが用いられる。例えば、紡糸方法として押出し延伸法を用いる場合には、紡糸温度、延伸倍率、延伸速度、冷却温度、フィラメントの太さ等の抜糸条件を調整して、本発明の防虫フィラメントに適したフィラメントになるように製造する。本発明の防虫フィラメントは通常、紡糸温度は100〜250℃の範囲、引取り速度は20〜1000m/min、フィラメント1本の太さは通常0.1〜350デニール(denier)であるが、防虫ネットの用途には50〜350デニールのフィラメントが好ましく、70〜230デニールのモノフィラメントが更に好ましい。
通常、100〜250℃の範囲で混練してなる熱可塑性樹脂組成物を押出し機で押出し、これを温浴中で引取り速度20〜150m/minで巻き取りを行うことに製造することができる。
通常、100〜250℃の範囲で混練してなる熱可塑性樹脂組成物を押出し機で押出し、これを温浴中で引取り速度20〜150m/minで巻き取りを行うことに製造することができる。
本発明の防虫フィラメントは、公知の方法で編んだり、織ったり、熱有着したりすることにより、ネット状にして使用することが好ましい。製造されたネット状の製品は各種防虫製品、例えば蚊帳として使用することができる。
本発明の防虫フィラメントにおいては、本固体活性化合物がフィラメントの表面にブリードし、害虫が該表面において本固体活性化合物と接触することにより、害虫の防除効果が得られるものである。防虫フィラメントの表面にブリードしている本固体活性化合物の量は、フィラメントの表面を本固体活性化合物を溶解しうる溶剤にて洗浄し、該洗浄液中の本固体活性化合物の量を分析することにより確認することができる。本発明の防虫フィラメントにおいて、フィラメントの表面上に存在する本固体活性化合物の量としては、好ましくは防虫フィラメント1kg当り、本固体活性化合物0.003〜3g重量%の割合である。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。尚、実施例中、単に部とあるのは質量部を表す。
製造例1
(1)マスターバッチCの製造方法
非晶質シリカ12部、デルタメトリン3.1部、イソパラフィン系溶剤(アイソパーM;エクソン化学株式会社製)9.3部、および安定剤0.4部を混合攪拌し、その後、ポリエチレン樹脂66.8部、ステアリン酸亜鉛7.8部および顔料0.6部を加えて、150℃で溶融混錬した後、押出し機から押出し、適当な長さで切断することにより、マスターバッチCのペレットを得る。
(2)樹脂組成物Cの製造方法
上記のマスターバッチCのペレット17部およびポリエチレン樹脂83部を、220−240℃で溶融混錬し、樹脂組成物Cを得る。
(3)防虫フィラメントCの製造方法
上記の樹脂組成物Cを原料として、紡糸機に供給し、下記の紡糸条件1で押出し法により溶融紡糸し、フィラメントCを得る。
<紡糸条件1>
紡糸温度 :140−190℃
スクリュー回転速度 :48rpm
シリンダー経(D) :50mm
シリンダー長(L) :1500mm
L/D比 :30
ダイス数 :150口
紡糸時の引き取り速度 :111m/分
延伸水槽温度 :99℃
延伸倍率 :8倍
(1)マスターバッチCの製造方法
非晶質シリカ12部、デルタメトリン3.1部、イソパラフィン系溶剤(アイソパーM;エクソン化学株式会社製)9.3部、および安定剤0.4部を混合攪拌し、その後、ポリエチレン樹脂66.8部、ステアリン酸亜鉛7.8部および顔料0.6部を加えて、150℃で溶融混錬した後、押出し機から押出し、適当な長さで切断することにより、マスターバッチCのペレットを得る。
(2)樹脂組成物Cの製造方法
上記のマスターバッチCのペレット17部およびポリエチレン樹脂83部を、220−240℃で溶融混錬し、樹脂組成物Cを得る。
(3)防虫フィラメントCの製造方法
上記の樹脂組成物Cを原料として、紡糸機に供給し、下記の紡糸条件1で押出し法により溶融紡糸し、フィラメントCを得る。
<紡糸条件1>
紡糸温度 :140−190℃
スクリュー回転速度 :48rpm
シリンダー経(D) :50mm
シリンダー長(L) :1500mm
L/D比 :30
ダイス数 :150口
紡糸時の引き取り速度 :111m/分
延伸水槽温度 :99℃
延伸倍率 :8倍
製造例2
(1)マスターバッチAの製造方法
デルタメトリン9.3部、安定剤1.2部、ポリエチレン樹脂81.1部、ステアリン酸亜鉛7.8部および顔料0.6部を加えて、150℃で溶融混錬した後、押出し器から押出し、適当な長さで切断することにより、マスターバッチAのペレットを得る。
(2)マスターバッチBの製造方法
非晶質シリカ12部、イソパラフィン系溶剤(アイソパーM;エクソン化学株式会社製)12.4部および安定剤0.4部を混合攪拌し、その後、ポリエチレン樹脂66.8部、ステアリン酸亜鉛7.8部および顔料0.6部を加えて、150℃で溶融混錬した後、押出し機から押出し、適当な長さで切断することにより、マスターバッチBのペレットを得る。
(3)樹脂組成物Dの製造方法
上記のマスターバッチAのペレット8部、マスターバッチBのペレット8部およびポリエチレン樹脂84部を、220−240℃で溶融混錬し、樹脂組成物Dを得る。
(4)防虫フィラメントDの製造方法
上記の樹脂組成物Dを原料として、紡糸機に供給し、下記の紡糸条件2で押出し法により溶融紡糸し、フィラメントDを得る。
<紡糸条件2>
紡糸温度 :140−180℃
スクリュー回転速度 :49rpm
シリンダー経(D) :50mm
シリンダー長(L) :1500mm
L/D比 :30
ダイス数 :150口
紡糸時の引き取り速度 :111m/分
延伸水槽温度 :99℃
延伸倍率 :8倍
(1)マスターバッチAの製造方法
デルタメトリン9.3部、安定剤1.2部、ポリエチレン樹脂81.1部、ステアリン酸亜鉛7.8部および顔料0.6部を加えて、150℃で溶融混錬した後、押出し器から押出し、適当な長さで切断することにより、マスターバッチAのペレットを得る。
(2)マスターバッチBの製造方法
非晶質シリカ12部、イソパラフィン系溶剤(アイソパーM;エクソン化学株式会社製)12.4部および安定剤0.4部を混合攪拌し、その後、ポリエチレン樹脂66.8部、ステアリン酸亜鉛7.8部および顔料0.6部を加えて、150℃で溶融混錬した後、押出し機から押出し、適当な長さで切断することにより、マスターバッチBのペレットを得る。
(3)樹脂組成物Dの製造方法
上記のマスターバッチAのペレット8部、マスターバッチBのペレット8部およびポリエチレン樹脂84部を、220−240℃で溶融混錬し、樹脂組成物Dを得る。
(4)防虫フィラメントDの製造方法
上記の樹脂組成物Dを原料として、紡糸機に供給し、下記の紡糸条件2で押出し法により溶融紡糸し、フィラメントDを得る。
<紡糸条件2>
紡糸温度 :140−180℃
スクリュー回転速度 :49rpm
シリンダー経(D) :50mm
シリンダー長(L) :1500mm
L/D比 :30
ダイス数 :150口
紡糸時の引き取り速度 :111m/分
延伸水槽温度 :99℃
延伸倍率 :8倍
製造例3
(1)樹脂組成物Aの製造方法
上記のマスターバッチAのペレット17部およびポリエチレン樹脂83部を、220−240℃で溶融混錬し、樹脂組成物Aを得る。
(2)樹脂組成物Bの製造方法
上記のマスターバッチBのペレット17部およびポリエチレン樹脂83部を、220−240℃で溶融混練し、樹脂組成物Bを得る。
(3)防虫フィラメントAの製造方法
上記の樹脂組成物Aを鞘部の原料とし、上記の樹脂組成物Bを芯部の原料として、複合繊維用紡糸機に供給し、上記の紡糸条件1で押出し法により溶融紡糸し、フィラメントAを得る。尚、樹脂組成物Aと樹脂組成物Bとの時間あたりの供給量は1:1である。
(1)樹脂組成物Aの製造方法
上記のマスターバッチAのペレット17部およびポリエチレン樹脂83部を、220−240℃で溶融混錬し、樹脂組成物Aを得る。
(2)樹脂組成物Bの製造方法
上記のマスターバッチBのペレット17部およびポリエチレン樹脂83部を、220−240℃で溶融混練し、樹脂組成物Bを得る。
(3)防虫フィラメントAの製造方法
上記の樹脂組成物Aを鞘部の原料とし、上記の樹脂組成物Bを芯部の原料として、複合繊維用紡糸機に供給し、上記の紡糸条件1で押出し法により溶融紡糸し、フィラメントAを得る。尚、樹脂組成物Aと樹脂組成物Bとの時間あたりの供給量は1:1である。
製造例4
(1)防虫フィラメントBの製造方法
上記の樹脂組成物Aを鞘部の原料とし、上記の樹脂組成物Bを芯部の原料として、複合繊維用紡糸機に供給し、上記の紡糸条件2で押出し法により溶融紡糸し、フィラメントBを得る。尚、樹脂組成物Aと樹脂組成物Bとの時間あたりの供給量は1:1.2である。
(1)防虫フィラメントBの製造方法
上記の樹脂組成物Aを鞘部の原料とし、上記の樹脂組成物Bを芯部の原料として、複合繊維用紡糸機に供給し、上記の紡糸条件2で押出し法により溶融紡糸し、フィラメントBを得る。尚、樹脂組成物Aと樹脂組成物Bとの時間あたりの供給量は1:1.2である。
製造例5
フィラメントA〜Dの夫々を用いて、ラッセル編み機で防虫ネットA〜Dを製造する。
フィラメントA〜Dの夫々を用いて、ラッセル編み機で防虫ネットA〜Dを製造する。
本発明の防虫フィラメントは防虫活性化合物がフィラメント内部からブリードする為、長期間に渉って防虫効力が維持され、防虫ネット用の原料として有用である。
Claims (7)
- 20℃で固体の防虫活性化合物および沸点が70℃以上の有機溶剤とが、フィラメントを形成する熱可塑性樹脂に練りこまれてなる防虫フィラメント。
- フィラメントの芯部を形成する熱可塑性樹脂に沸点が70℃以上の有機溶剤が練りこまれ、フィラメントの鞘部を形成する熱可塑性樹脂に25℃で固体の防虫活性化合物が練りこまれてなる、芯鞘構造を有する防虫フィラメント。
- 熱可塑性樹脂がオレフィン系樹脂である請求項1または2記載の防虫フィラメント。
- 熱可塑性樹脂がポリエチレン系樹脂である請求項1または2記載の防虫フィラメント。
- 20℃で固体の防虫活性化合物と、沸点が70℃以上の有機溶媒との質量比が、1:10〜1:100の範囲内である請求項1または2記載の防虫フィラメント。
- 請求項1または2記載の防虫フィラメントで成型されてなる防虫ネット。
- フィラメントがモノフィラメントである請求項1〜6記載の防虫ネット。
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- 2008-07-03 JP JP2008174338A patent/JP2010013390A/ja active Pending
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