JP2010013304A - 石膏ボード廃材から石膏を再生する方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】上記方法は、石膏ボード廃材中の石膏を粉砕した後、種晶石膏が存在する水性媒体中で溶解して再析出させる、石膏ボード廃材中の石膏を再生する方法において、前記粉砕後の石膏の全累積細孔容積が1mL/g以下となるように制御する方法である。
【選択図】なし
Description
これまで、石膏ボード廃材等から得られる廃石膏の処理方法については、数多くの提案がなされている。例えば、石膏ボード廃材から原紙を分離し、得られた石膏を再利用する方法が提案されている(特許文献1、特許文献2参照)。
石膏ボード廃材中の石膏を粉砕した後、種晶石膏が存在する水性媒体中で溶解して再析出させる、石膏ボード廃材中の石膏を再生する方法において、
前記粉砕後の石膏の全累積細孔容積が1mL/g以下となるように制御することを特徴とする石膏ボード廃材中の石膏を再生する方法によって達成される。
本発明の方法においては、最終的に得られる平均粒径の大きな石膏を洗浄ろ過するまで、スラリーとして流動化しておくことができる。これによってポンプ輸送が可能であり、石膏ボード廃材から得られた廃石膏の処理量の増加に伴う処理施設の大型化にも容易に対応できる。また、湿式の状態で処理する工程を含むため、粉塵対策を全工程に施すこと必要がなく、更に、濡れた状態の廃石膏を処理することも可能である。
かかる本発明の方法により得られた再生石膏は、従来からの用途、例えば石膏ボード原料またはセメントの凝結調整剤等の用途に、そのままで好適に使用することができる。
本発明の方法に供される廃石膏は、適当な粒径に破砕され、且つボード原紙が取り除かれたものであることが好ましい。石膏ボード廃材の破砕工程およびボード原紙の分離工程は、本発明の方法に先んじて行われればよく、本発明の方法と別個のプロセスであっても、本発明の方法と連続したプロセスであってもよい。
上記破砕工程およびボード原紙の分離工程は、それぞれ、公知の方法によって行うことができる。例えばボード原紙の分離工程は、特許文献1(特開平10−286553号公報)、特許文献2(特開2000−254531号公報)等に記載された方法によることができる。
本発明の方法に供される廃石膏の粒径は、特に制限されるものではないが、機械的に運搬する際の容易さから、平均粒径として0.5〜50mmであることが好ましく、1〜20mmであることがより好ましい。この廃石膏の平均粒径は、ふるい分けにより測定することができる。
上記粉砕工程を行う前に加熱処理を行い、廃石膏中の水分量を調整することが好ましい。特に本発明の方法に供される石膏ボード廃材が解体現場からの廃材である場合には、雨水を含んだものもあるため、粉砕工程前に加熱処理を行い、これを除去することが望まれる。この加熱温度は、好ましくは100〜200℃、より好ましくは110〜160℃であり、加熱時間は、好ましくは2〜60分、より好ましくは5〜30分である。加熱は、適宜の装置により行うことができ、例えば熱風乾燥器、伝導電熱乾燥機等を使用することができる。
この粉砕工程は、適宜の装置を用いて行うことができ、例えばピンミル、ボールミル、ビーズミル等の装置を使用することができる。
上記のようにして得られる、特定の全累積細孔容積を有する石膏は、次いでこれを種晶石膏が存在する水性媒体中で溶解して再析出させることにより、再生石膏を得ることができる。上記水性媒体としては、水が好ましい。
ここで、種晶の種類および水性媒体の温度を調整することにより、所望の再生石膏を得ることができる。適度な石膏の析出速度を保つために、pHは、4〜8の範囲で行うことが好ましい。
例えば、二水石膏を再生する場合には、種晶として二水石膏が存在する、好ましくは90℃以下、より好ましくは50〜80℃の水性媒体中において、好ましくは0.2〜6時間、より好ましくは0.5〜2時間、撹拌する方法によることができる。
α−半水石膏を再生する場合には、種晶としてα−半水石膏が存在する、好ましくは90〜130℃、より好ましくは95〜120℃の水性媒体中において、好ましくは0.2〜6時間、より好ましくは0.5〜2時間、撹拌する方法によることができる。ここで、α−半水石膏およびII型無水石膏の安定生成条件は一部重複しているので、α−半水石膏を再生する場合には、上記水性媒体におけるII型無水石膏の存在割合が、全石膏質量の5質量%以下となるように制御することが好ましい。この制御は、例えば種晶石膏が存在する水性媒体を適時にサンプリングして種晶石膏中のII型無水石膏の存在割合を調べ、この値が上記の値を超えそうな程度に上昇傾向を示したときに、水性媒体中の種晶石膏の少なくとも一部を取り出し、これに相当する量のα−無水石膏を追加する方法等によることができる。また、α−半水石膏を再生する場合、II型無水石膏との安定生成条件の重複を回避するため、粉砕処理後の石膏を溶解、再析出させる水性媒体が、硫酸ナトリウム、硫酸カリウムまたは硫酸アンモニウムを含有していることが好ましい。ここで、硫酸ナトリウム、硫酸カリウムまたは硫酸アンモニウムの濃度は、1〜10質量%、より好ましくは2〜5質量%である。更にこの場合、水性媒体の温度は、上記温度範囲の中で比較的低温条件とすることが好ましい。
上記のようにして得られる再生石膏は、その全部を製品として回収してもよく、あるいはその一部を種晶として循環使用してもよい。再生石膏の一部を種晶として循環利用する場合には、これを一旦粉砕し、適当な粒径に調整した後に種晶とすることが好ましい。
上記のようにして得られる再生石膏は、公知のろ過方法により、水と分離することができる。具体的には、ロータリースクリーン、ドラムフィルター、ディスクフィルター、ヌッチェフィルター、フィルタープレス、スクリュウプレス、チューブプレス等のろ過装置;スクリュウデカンター、スクリーンデカンター等の遠心分離機等により、水と分離する方法を採用することができる。回収されたろ液は、半水石膏の溶解、再析出工程の水性媒体に循環再利用することができる。
上記加熱工程および粉砕工程は、それぞれバッチ式で行ってもよく、連続プロセスであってもよい。更に、それぞれが独立した工程であってもよく、両工程を直列に接続した工程であってもよい。更に、これらの工程は、石膏の溶解、再析出工程と独立した工程であってもよく、これと連続した工程としてもよい。
以下では、本発明の方法の一態様として、加熱工程、粉砕工程および石膏の溶解、再析出工程の順で行う連続プロセスとした場合について説明する。また、予備処理としての石膏ボード廃材の破砕およびボード原紙の分離工程ならびに製造された再生石膏のろ過工程も同時に示した。
回収された石膏ボード廃材1は、先ず、2軸粉砕機2により100〜300mm程度の大きさに一次破砕され、次いで2軸衝撃破砕機3により二水石膏は0.5〜2mm程度の大きさまで2次破砕される。その後、破砕片はトロンメル4に送られ、廃ボード原紙5と廃石膏とに分離される。
粉砕後の石膏は、晶析反応槽9に送られる。粉砕後の石膏は、晶析反応槽9中で一旦溶解し、反応槽中の水性媒体中に存在する種晶の種類、反応槽の温度条件および水性媒体の種類により、二水石膏、II型無水石膏またはα−半水石膏として再析出する。
反応槽から出た再生石膏スラリー13のうち、一部が任意的に反応槽9に戻され、種晶として循環利用され、残余の大部分はドラムフィルター10に送られる。ドラムフィルター10では水性媒体と再生石膏との分離が行われ、再生石膏11を得る。一方、分離されたろ液12は晶析反応槽9に戻されて水性媒体として循環再利用されることになる。
石膏ボード廃材から得た0.2〜5mm程度の二水石膏を、熱風乾燥器中で140℃にて60分間加熱した。この石膏は全累積細孔容積1.8mL/gの半水石膏であった。
これをボールミルにより粉砕し、体積平均粒径を8μm、全累積細孔容積を0.9mL/gとした。
一方で、体積平均粒径30μm、全累積細孔容積0.5mL/g、細孔径0.1〜5μmの細孔の累積細孔容積が0.08mL/g二水石膏を20質量%含有する水スラリーを、撹拌しながら50℃に維持した状態で、容量6Lの連続反応槽に用意した。
この反応槽に、上記で製造した粉砕後の半水石膏を0.4kg/hおよび水を1.6kg/hのフィード速度で供給し、反応槽出口から2.0kg/hのスラリーを取り出した。
供給開始から4時間後に反応槽出口の石膏を分析したところ、体積平均粒径35μm、全累積細孔容積0.5ml/g、細孔径0.1〜5μmの累積細孔容積0.06ml/gの二水石膏であった。更に4時間後に同様に分析したところ、体積平均粒径42μm、全累積細孔容積0.4ml/g、細孔径0.1〜5μmの累積細孔容積0.05ml/gの二水石膏であった。この時点で反応槽内のスラリー中にホモジナイザーを導入し、反応槽出口の石膏の体積平均粒径が、40μmになるまで運転を行った。その後、2時間後に同様に分析したところ、体積平均粒径は41μm、全累積細孔容積0.4ml/g、細孔径0.1〜5μmの累積細孔容積0.05ml/gの二水石膏であった。上記のように、粒径の制御は、目的とする粒径前後で、適度に反応槽内の石膏を粉砕することによって、容易に行うことができ、上記品質の二水石膏を安定的に生産できることが確認された。
石膏ボード廃材から得た0.2〜5mm程度の二水石膏を、熱風乾燥器中で140℃にて60分間加熱した後、開口部2mmのふるいを通過させた。ふるい通過後の半水石膏の全累積細孔容積は1.8mL/gであった。
一方で、体積平均粒径30μm、全累積細孔容積0.5mL/g、細孔径0.1〜5μmの細孔の累積細孔容積が0.08mL/g二水石膏を20質量%含有する水スラリーを、撹拌しながら50℃に維持した状態で、容量6Lの連続反応槽に用意した。
この反応槽に、上記で製造したふるい通過後の半水石膏を0.4kg/hおよび水を1.6kg/hのフィード速度で供給し、反応槽出口から2.0kg/hのスラリーを取り出した。
供給開始から4時間後に反応槽出口の石膏を分析したところ、体積平均粒径29μm、全累積細孔容積0.53mL/g、細孔径0.1〜5μmの累積細孔容積0.12mL/gの二水石膏であった。更に4時間後に同様に分析したところ、体積平均粒径27μm、全累積細孔容積0.61mL/g、細孔径0.1〜5μmの累積細孔容積0.18mL/gの二水石膏であった。
このように、粉砕工程を行わなかった本比較例の場合、上記実施例1と同じ種晶石膏を用いて廃石膏の溶解および再析出を行ったにもかかわらず、この再生操作により、反応槽出口における再生石膏の粒径はむしろ小さくなった。かかる比較例1の条件では、反応槽出口で一定の品質の二水石膏を安定的に生産することはできなかった。
2:2軸破砕機
3:2軸衝撃破砕機
4:トロンメル
5:廃ボード原紙
6:仮焼炉
7:サイロ
8:ピンミル
9:晶析反応槽
10:ドラムフィルター
11:再生石膏
12:ろ液
13:再生石膏スラリー
Claims (12)
- 石膏ボード廃材中の石膏を粉砕した後、種晶石膏が存在する水性媒体中で溶解して再析出させる、石膏ボード廃材中の石膏を再生する方法において、
前記粉砕後の石膏の全累積細孔容積が1mL/g以下となるように制御することを特徴とする、石膏ボード廃材中の石膏を再生する方法。 - 前記粉砕の前に石膏を加熱する処理を行う工程を含む、請求項1記載の方法。
- 上記半水石膏を溶解および再析出させる工程が連続プロセスで行われる、請求項1または2に記載の方法。
- 再析出した再生石膏の一部を種晶石膏として循環する工程を含む、請求項3に記載の方法。
- 再生される石膏が二水石膏であり、前記溶解および再析出が、種晶石膏として二水石膏が存在する温度90℃以下の水性媒体中で行われる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
- 再生される石膏がII型無水石膏であり、前記溶解および再析出が、種晶石膏としてII型無水石膏が存在する温度110℃以上の水性媒体中で行われる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
- 再生される石膏がα−半水石膏であり、前記溶解および再析出が、種晶石膏としてα−半水石膏が存在する温度90〜130℃の水性媒体中で行われる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
- 更に、前記溶解および再析出が行われる水性媒体におけるII型無水石膏の存在割合が全石膏質量の5質量%以下となるように制御する、請求項7に記載の方法。
- 前記溶解および再析出が行われる水性媒体が、硫酸ナトリウム、硫酸カリウムまたは硫酸アンモニウム含有する、請求項7または8に記載の方法。
- 全累積細孔容積が0.5mL/g以下であることを特徴とする、再生石膏。
- 細孔径0.1〜5μmの細孔の累積細孔容積が0.001〜0.1mL/gである、請求項10に記載の再生石膏。
- 請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法によって得られたことを特徴とする、請求項10または11に記載の再生石膏。
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