本発明は、車両用シートに取り付けるチャイルドシートに関する。
乗用車等に乳幼児を乗せる場合に用いられるチャイルドシートについて、種々の提案がなされている。例えば、特開2002−301964には、車両用シートに取り付けられる受台と、受台上に支持されるシート本体と、を有するチャイルドシートが開示されている。このチャイルドシートでは、シート本体が受台に対して摺動し、シート本体の受台に対する傾斜角度を変更すること、すなわち、リクライニングさせることができる。これにより、進行方向の前方を向くようにして乳幼児をシート本体上に座らせるだけでなく、進行方向の後方を向くようにして乳幼児をシート本体上に座らせることもできる。
特開2002−301964号公報
特開2002−301964号公報に開示されたチャイルドシートでは、シート本体が受台に対して摺動する際に、シート本体の座部が受台上を滑る。また、シート本体の背当て部に、受台に形成された溝と係合する接続ガイドが設けられている。そして、シート本体が受台に対して摺動する際、接続ガイドが受台の溝内を通過することによって、シート本体の摺動が案内されるようになっている。このため、このチャイルドシートによれば、シート本体を滑らかに摺動させることができる。
そして、本発明は、特開2002−301964号公報に開示されたチャイルドシートに関連するものであって、シート本体を受台に対してさらに滑らかに摺動させることができ、これにより、リクライニング操作を極めて容易に行うことができるチャイルドシートを提供することを目的とする。
本発明によるチャイルドシートは、基部と、前記基部から起立した起立部と、を有し、車両用シートに取り付けられる受台と、前記受台に対して摺動可能に前記受台上に支持されたシート本体と、を備え、前記シート本体は、座部と、前記座部に接続する背当て部と、を有し、前記背当て部には、前記シート本体が摺動している際に前記起立部に形成された溝内を通過し得る接続ガイドが設けられ、前記接続ガイドは、背当て部から延出する基端部と、基端部から屈曲して更に延出する屈曲部と、を有し、前記起立部に形成された溝は、前記シート本体の摺動時における前記接続ガイドの移動方向に直交する断面において、前記接続ガイドの形状に対応して屈曲していることを特徴とする。
本発明によるチャイルドシートにおいて、前記接続ガイドの前記基端部が延び出る方向と、前記屈曲部が前記基端部から延び出る方向は、前記シート本体の摺動時における当該接続ガイドの移動方向に直交する断面において、略直交するようにしてもよい。
また、本発明によるチャイルドシートにおいて、前記シート本体は、前記シート本体が前記受台上で回転可能となる回転位置まで、前記受台に対して摺動可能であり、前記溝の前記基端部を収容する部分および前記溝の前記屈曲部を収容する部分の両方が、前記起立部の端面において開口しており、前記接続ガイドは、前記シート本体が前記回転位置に到達する際に、前記起立部の端面において前記溝から抜け出るように構成されており、これにより、前記シート本体が前記受台上で回転可能となるようにしてもよい。
このような本発明によるチャイルドシートが、前記シート本体の前記受台上での回転時における前記背当て部の移動により露出した前記起立部に着脱可能なカバーをさらに備え、前記カバーは、前記起立部に取り付けられた際に、前記起立部の前記端面に開口した前記溝を覆うようにしてもよい。
また、このような本発明によるチャイルドシートにおいて、前記受台の前記起立部には、車両用シートに設けられたシートベルトの肩ベルトを保持するロックオフデバイスが設けられ、前記カバーは、前記起立部に取り付けられた際に、前記ロックオフデバイスおよび前記ロックオフデバイスに保持され起立部上を延びる肩ベルトを覆うようにしてもよい。
さらに、このような本発明によるチャイルドシートにおいて、前記背当て部には、横方向に離間して設けられた一側の接続ガイドおよび他側の接続ガイドが設けられ、前記一側の接続ガイドの前記屈曲部は、前記基端部から横方向の一側に向けて屈曲し、前記他側の接続ガイドの前記屈曲部は、前記基端部から横方向の他側に向けて屈曲し、前記起立部には、前記一側の接続ガイドと係合する一側の溝と、前記他側の接続ガイドと係合する他側の溝と、が横方向に離間して形成され、前記起立部の前記端面には、一側の溝および他側の溝が開口しており、前記カバーは、前記起立部に取り付けられた際に露出する面のうちの、前記起立部に取り付けられた際に前記端面上に位置するようなる領域に、横方向に離間して設けられた一側のシート状部材および他側のシート状部材を有し、前記一側のシート状部材は横方向一側に開口するとともに、前記他側のシート状部材は横方向他側に開口し、前記カバーを取り外すことなくシート本体が回転された場合に、前記他側の接続ガイドが前記一側のシート状部材の開口した部分に引っ掛かる、あるいは、前記一側の接続ガイドが前記他側のシート状部材の開口した部分に引っ掛かるようになるようにしてもよい。
シート本体を受台に対してさらに滑らかに摺動させることができ、これにより、リクライニング操作を極めて容易に行うことができる。
発明を実施するための形態
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。
図1乃至図31は本発明によるチャイルドシート(チャイルドカーシート)の一実施の形態を説明するための図である。このうち、図1乃至図5等には、チャイルドシートの全体構成が示されている。図1乃至図5に示すように、本実施の形態におけるチャイルドシート10は、車両(例えば自動車)のシート1に取り付けられる受台50と、受台50上に支持されたリクライニングベース80と、リクラインニングベース80とともに受台50上に支持されたシート本体20と、をチャイルドシート本体11として有している。図3に示すように、チャイルドシート10は、チャイルドシート本体11の受台50に着脱可能に取り付けられるサポートレッグ100をさらに有している。サポートレッグ100は、車両用シート1を支持する車両の床面3まで延び、チャイルドシート本体11(受台50)の前方部分を下方から支持するようになる。
受台50は、図3に示すように車両用シート1の座部1a上に載置されるようになる基部51と、基部51から起立するとともに、図3に示すように車両用シート1の背部1bに対面するようになる起立部52と、を有している。このうち、基部51は、前面51a、側面(横面)51bおよび底面51cを含んでいる(図1等参照)。一方、シート本体20は、受台50の基部51に対して摺動可能に基部51上に支持された座部21と、座部21から延び出た背当て部22と、を有している。
図4に示すように、リクラインニングベース80は、鉛直面に沿った方向sdに沿って、受台50に対し摺動可能となっている。また、シート本体20は、リクラインニングベース80とともに、鉛直面に沿った方向sdに沿って、受台50に対し摺動可能となっている。シート本体20を受台50に対して摺動させると、図4に示すように、シート本体の受台50に対する傾斜角度が変化するようになる。すなわち、前方を向くようにして乳幼児が座っているシート本体20をリクライニングさせることができる。
さらに、図5に示すように、シート本体20は、リクラインニングベース80および受台50に対し、鉛直面に沿った回転軸rdを中心として回転可能となっている。そして、シート本体20を受台50に対して回転させることによって、図5に示すように、乳幼児が後方を向くようにして当該乳幼児をチャイルドシート10に乗せる(座らせる又は寝かす)ことができる。以下において、図5に実線で示されたシート本体20のこの状態を、シート本体の「後向き状態」とも呼び、図5に二点差線で示されたシート本体20の状態を、シート本体の「前向き状態」とも呼ぶ。
なお、本明細書中において、チャイルドシートに対する「前」および「後」の用語は、特に指示がない場合、車両の通常の走行を基準とした「前」および「後」を意味するものとする(図2および図3参照)。
以下においては、まず、チャイルドシート本体11について全体的に説明し、その後、チャイルドシート10の各部分についてさらに説明する。
〔チャイルドシート本体の全体的な説明〕
まず、チャイルドシート10(チャイルドシート本体11)のシート本体20について全体的に詳述する。上述したようにシート本体20は座部21および背当て部22を有しており、座部21および背当て部22は、フレーム材とフレーム材上に取り付けられたクッション材とから形成されている。また、図6および図7に示すように、シート本体20は、座部21の下部に設けられた円盤24と、円盤24から下方に突出したガイド片25と、をさらに有している。円盤24は、略円周状に延びるレール24aを有している。レール24aには、シート本体20に着座した乳幼児を基準として後方側に切り欠き24bが設けられている。すなわち、レール24aは当該後方側において途切れている。ガイド片25は、シート本体20に着座した乳幼児を基準として、前後方向に平行に延びる一対の平坦側面25aと、一対の平坦側面25aの前側および後側をそれぞれ接続する弧状側面25bと、を有している。弧状側面25bは、円筒表面の一部分として形成され、ガイド片25の横断面において円弧状の輪郭を有している。
また、図1や図6等に示すように、背当て部22には、シート本体20に着座した乳幼児を基準とした後方側に突出する接続ガイド27が設けられている。接続ガイド27は、シート本体20の摺動時における当該接続ガイド27の移動経路sd(図4参照)に直交する断面において、背当て部22から突出する基端部27aと、基端部27aから屈曲してさらに延出する屈曲部27bと、を有している。つまり、接続ガイドは鉤状に形成されている。図2からも理解できるように、接続ガイド27の基端部27aが延び出る方向と、接続ガイド27の屈曲部27bが延び出る方向は、接続ガイド27の移動経路sdに直交する断面において、略直交している。この接続ガイド27は、シート本体20が摺動している際に、受台50の起立部52に形成された溝53内を通過するようになる。また、図6等に示すように、基端部27aには、接続ガイド27の移動経路sdに沿って延びるスリット(細長い貫通孔)27cが形成されている。なお、受台50に形成される溝53については、後に詳述する。
なお、図2に示すように、背当て部22には、前後方向に直交する横方向(幅方向)に離間して設けられた横方向一側の接続ガイド27および横方向他側の接続ガイド27が設けられている。一側の接続ガイド(例えば、図2の紙面における右側の接続ガイド)27の屈曲部27bは、基端部27aから横方向の一側(例えば、図2の紙面における右側)へ向けて屈曲し、他側の接続ガイド27の屈曲部27bは、基端部27aから横方向の他側へ向けて屈曲している。すなわち、一対の接続ガイド27の屈曲部27bは、横方向に沿って互いから離間する向きへ、それぞれの基端部27aから延び出している。
なお、シート本体20は、シート本体20を受台50に対して摺動および回転させる際に用いられるようになる引き上げ機構30および操作量調節機構40を内蔵されている。引き上げ機構30は、図6および図7に示すように、ガイド片25の底面25cから下方に突出する一対の突出部材32と、突出部材32に連結された操作部材31と、を有している。本実施の形態において、操作部材31は揺動可能な操作レバーとして形成され、突出部材32はガイド片25から進退可能なピン(ロックピン)として形成されている。この操作部材(操作レバー)31を操作することによって、ガイド片25の底面25cからの突出部材32の突出量を調整することができるようになっている。とりわけ本実施の形態においては、操作部材31がリンク機構を介して突出部材32に連結され、突出部材32の引き込み量が操作部材31の操作量に連動するように構成されている。一方、操作量調節機構40は、引き上げ機構30の操作部材31に当接して操作部材31の操作量(移動量、揺動量)を規制するための機構である。なお、引き上げ機構30および操作量調節機構40については、後に詳細に説明する。
次に、リクライニングベース80についてさらに説明する。リライニングベース80は、図10等に示すようにシート本体20の円盤24の周囲に装着され、シート本体20の円盤24およびガイド片25の周囲に配置される。また、リライニングベース80は、受台50に摺動可能に取り付けられている。この結果、図4等に示すように、シート本体20は、リライニングベース80とともに受台50に対して摺動するようになる。
また、図6、図10および図11に示すように、リライニングベース80は、円盤24のレール24aと係合するつば部81を有している。つば部81が円弧状に延びている。円盤24のレール24aがリライニングベース80のつば部81に案内されることによって、円盤24を含むシート本体20が、リクライニングベース80に対して回転可能となる。この結果、シート本体20は、リクライニングベース80が取り付けられた受台50に対して回転可能となる。なお、図6および図10に示すように、つば部81は、後方に切り欠き81aを形成されている。図10および図11に示すように、シート本体20が前向き状態にある場合、つば部81の切り欠き81aと、円盤24のレール24aの切り欠き24bは対面するようになる。
さらに、図6に示すように、リクライニングベース80は、受台50へ向かう下方へ延び出るスカート部82を有している。図11に示すように、スカート部82は、リクライニングベース80が受台50に取り付けられた際に、受台50の基部51に形成された凹部内に位置するようになる。
次に、受台50について詳述する。図3に示すように、受台50は、腰ベルト6aおよび肩ベルト6bを有した車両のシートベルト5を用いて、車両用シート1に対して取り付けられるようになる。このため、受台50の起立部52には、シートベルト5の肩ベルト6bを挟持するためのロックオフデバイス79が設けられている。ロックオフデバイス79は横方向に離間して二つ設けられており、肩ベルト6bの二つの傾斜方向に対応することができるようになっている。ロックオフデバイス79に挟持された肩ベルト6bは、図3に示すように、受台50の起立部52を斜めに横切るようになる。なお、受台50は、腰ベルト6aを案内する腰ベルトガイド部70も有している。この腰ベルトガイド70については後に詳述する。
図8および図9に示すように、受台50の基部51には、幅方向(横方向)の中央に、前後方向に沿って延びる案内溝55が形成されている。案内溝55は、互いに平行な側壁を有し前後方向に延びる溝からなるリクライニング案内部55aと、リクライニング案内部55aの後方側端部に設けられ円筒状の凹部からなる回転案内部55bと、を含んでいる。リクライニング案内部55aは、シート本体20のガイド片25の平坦側面25aと係合して、シート本体20が受台50に対して摺動可能となるよう、その一対の側壁間の幅を決定されている。また、回転案内部55bは、シート本体20のガイド片25の弧状側面25bと係合して、シート本体20が受台50に対して回転可能となるよう、その円筒状凹部の直径が決定されている。すなわち、シート本体20の受台50に対する回転軸線rdは、回転案内部55bによって画定されるようになる。
このような構成において、前向き状態のシート本体20のガイド片25が案内溝55内を移動することによって、シート本体20が受台50に対して摺動可能となる。また、シート本体20のガイド片25が案内溝55の回転案内部55b内に位置する際、シート本体20が受台50に対して回転可能となる。なお、シート本体20が受台50に対して摺動または回転する際、シート本体20のガイド片25の底面25cが、案内溝55の底面55c上を滑る。また、同様に、リクライニングベース80がシート本体20とともに受台50に対して摺動する際、リクライニングベース80のスカート部82の少なくとも一部分が案内溝55内を移動することになる。
図8および図9に示すように、案内溝55のリクライニング案内部55aには、上述したシート本体20の一対の突出部材32を受ける左右一対のロック孔56aが、前後方向に複数対(図においては3対)設けられている。また、回転案内部55bには、一対の突出部材32を受ける左右一対の回転位置ロック孔56bが、設けられている。図8に示すように、左右一対のロック孔56aの間隔と左右一対の回転位置ロック孔56bの間隔は同じであるが、幅方向中心を通過する前後方向軸線cdに対して互いに反対方向に同じ寸法だけオフセットしてある。すなわち、前後方向軸線cdと左側のロック孔56aとの間隔は、前後方向軸線cdと右側の回転位置ロック孔56bとの間隔と等間隔l1となるようにしてある。また前後方向軸線cdと右側のロック孔56aとの間隔は、前後方向軸線cdと左側の回転位置ロック孔56bとの間隔と等間隔l2となっている。
ロック孔56aおよび回転位置ロック孔56bのオフセットに対応して、上述したシート本体20の一対の突出部材32も、受台50上に支持された場合に、前後方向軸線cdに対してオフセットされた位置に配置されるように構成されている。この結果、シート本体20は、その一対の突出部材32がロック孔56a内に係合して、前向き状態に保持されるようになる。また、シート本体20は、その一対の突出部材32が回転位置ロック孔56a内に係合して、図5に実線で示す反転された状態(後向き状態)に保持されるようになる。すなわち、本実施の形態では、シート本体20の摺動可能な範囲には、シート本体20が互いに異なる傾斜角度に維持される三つのリクライニング位置と、シート本体20が受台50に対して回転可能となる回転位置と、が含まれるようになる。
なお、図8および図9に示すように、各ロック孔56aが形成されている受台50の案内溝55内の面57aと、回転位置ロック孔56bが形成されている受台50の案内溝55内の面55cと、の間には段差が形成されている。案内溝55内においてリクライニング案内部55aの底面と回転案内部55bの底面は、同一の連続した面55cとして形成されている。しかしながら、この同一の連続した面55cに凹部57が形成され、凹部57の底面57aに各ロック孔55が形成されている。したがって、各ロック孔56aが形成されている面57aと、回転位置ロック孔56bが形成されている面55cとの間には、凹部57の高さと同じだけの段差が形成されている。
また、図8乃至図11に示すように、受台50の起立部12の下部には、シート本体20のガイド片25が回転案内部55b上に移動した際に、リクライニングベース80のつば部82と略同一円周上に配置されるようになる回転ガイド58が設けられている。回転位置にあるシート本体20が回転する際に、シート本体20の円盤24上に形成されたレール24aが、リクライニングベース80のつば部82だけでなく回転ガイド58によっても係合するようになる。この結果、回転位置においてシート本体20を滑らかに回転させることができる。
ところで、上述したように、受台50の起立部52には、シート本体20に設けられた接続ガイド27を受ける溝53が、形成されている。シート本体20には、横方向に離間して一側の接続ガイド(例えば、図2の紙面における右側の接続ガイド)27および他側の接続ガイド27が設けられている。そして、図2に示すように、一側の接続ガイド27と係合する一側の溝(例えば、図2の紙面における右側の溝)53と、他側の接続ガイド27と係合する他側の溝53と、が横方向に離間して起立部52に形成されている。図2から理解できるように、溝53は、その長手方向(接続ガイド27の移動経路sdに沿った方向)に直交する断面において、接続ガイド27の形状に対応して屈曲して延びている。
図8および図9に示すように、起立部52の上方に向いた端面(上端面)52aにおいて、基端部27aを収容する溝53の部分および屈曲部27bを収容する溝53の部分の両方が開口している。この結果、例えば図1に示すように、受台50の溝53内を通過するシート本体20の接続ガイド27の上方の一部分が、起立部52の上端面52aにおける開口部分を通過して、溝53の外部へ延び出ることができる。さらには、図5に二点鎖線で示すように、シート本体20を回転位置まで摺動させた場合、シート本体20の接続ガイド27は溝53の外方へ抜け出ることができる。これにより、接続ガイド27と溝53との係合が解除され、シート本体20を受台50に対して回転させることができる。
なお、起立部52の前方を向いた面(前面)52bにおいても、溝53の全部分が開口している。この結果、本実施の形態においては、例えば図1に示すように、接続ガイド27は、その両端部分において、溝53の外部へ延び出ることができるようになっている。
図8等に示すように、各溝53内には、前後方向に直交する横方向(幅方向)に延びる接続ピン60がそれぞれ設けられている。接続60ピンは、溝53内を通過する接続ガイド27の基端部27aに形成されたスリット27cを貫通するようになる。また、接続ピン60は、横方向に沿って移動可能に支持されており、接続ガイド27の基端部27aに形成されたスリット27cを貫通する位置、および、起立部52内に引き込まれた位置を取り得る。
図11に示すように、第1のカム61が、回転案内部55bよりもさらに後方の位置に形成された開口部から案内溝55内に突出可能に設けられ、第2のカム62が、リクライニング案内部55aに形成された開口部から案内溝55内に突出可能に設けられている。第1のカム61および第2のカム62は、一方のカムが起立し案内溝55上に先端が突出している場合には、他方のカムが案内溝55から引き込んだ状態になるようにリンクにより連結されている。そして、第1のカム61は、さらに、リンクを介して受台50内に設けられたベルクランク63に連結されている。
第1のカム61は、引張ばね64によって、案内溝55内に突出するように付勢されている。第1のカム61は、シート本体20のガイド片25が回転案内部55b内に移動する際に、リクライニングベース80のスカート部82によって押圧され、案内溝55内に押し込まれる。一方、第2のカム62は、シート本体20のガイド片25がリクライニング案内部55aへ移動する際に、リクライニングベース80のスカート部82によって押圧され、案内溝55内に押し込まれるようになっている。
図12に示すように、受台50の起立部12内には、二本の腕部を有した操作腕65が回動可能に設けられている。各腕部には長穴65a,65bが形成されている。一方の長穴65aは、リンクを介してベルクランク63に接続され、他方の長穴65bは接続ピン60に連結されている。そして、各操作腕65は、ベルクランク63が揺動してリンクを引き下げた場合に回動し、接続ピン60を受台50の起立部52内に引き込むように構成されている。
なお、上述したように、受台50には着脱可能にサポートレッグ100が取り付けられる。受台50のサポートレッグ100に関連する構成等については、サポートレッグ100とともに後に詳述する。
以上のような構成からなるチャイルドシート10(チャイルドシート本体11)においては、突出部材(ロックピン)32を受台50のロック孔56a内から引き上げることにより、シート本体20を一つのリクライニング位置から他のリクライニング位置まで摺動させることができる。この際、引張ばね64による付勢により、接続ピン60はリンク機構を介し溝53内に延び出て、溝53内を通過する接続ガイド27のスリット27cを貫通している。この結果、シート本体20のガイド片25が受台50の案内溝55に誘導されるとともに、シート本体20の接続ガイド27が受台50の溝53および接続ピンに誘導されることから、シート本体20を受台50に対して滑らかに摺動させることができる。とりわけ、本実施の形態において、接続ガイド27は、基端部27aだけでなく、基端部27aから屈曲して延出する屈曲部27bを有しており、接続ガイド27は溝53内の所定の位置に配置されるようになる。これにより、シート本体20の受台50に対する摺動をより滑らか且つ安定させることができる。このようにして、受台50に対するシート本体20の背当て部22の傾斜角度を安定かつ滑らかに変化させることができる。
次に、突出部材(ロックピン)32を受台50のロック孔56a内から引き上げて、リクライニング位置から回転位置まで摺動させる場合、シート本体20とともに受台50に対して摺動するリクライニングベース80のスカート部82が、案内溝55内に突出する第1のカム61に当接して押圧するようになる。この結果、シート本体20が回転位置へ到達する際には、第1のカム61の揺動動作が、ベルクランク63、操作腕65およびリンクを介して接続ピン60に伝達され、接続ピン60が受台50の起立部52内に引き込まれるようになる。これにより、シート本体20の回転位置への移動と連動して、接続ガイド27が、図5に二点鎖線で示すように溝53から抜け出ることが可能となる。回転位置まで移動したシート本体20は、接続ガイド27がもはや溝53内に拘束されていないので、回転軸線rdを中心として回転可能になる。
さらに、上述したように各対のロック孔56a、回転位置ロック孔56bおよび突出部材32は、横方向中心を通過する前後方向軸線cdに関しオフセットされている。そして、回転位置まで摺動したシート本体20は反転して後向き状態となるまで、突出部材32が回転位置ロック孔56b内に入り込まない。このため、回転位置まで摺動したシート本体20を後向き状態となるまで容易かつ確実に回転させることができる。
また、突出部材(ロックピン)32を受台50のロック孔56a内から引き上げて、後向き状態にあるシート本体20を反転させ、さらにリクライニング位置まで移動させる場合、接続ガイド27は、起立部52の上方に向いた端面52aから、再び、溝53内に入る。接続ガイド27は基端部27aだけでなく基端部27aから屈曲して延出する屈曲部27bを有していることから、接続ガイド27は溝53内の所定の位置に誘導されるようになる。この際、引張ばね64による付勢により、第1のカム61が案内溝55内に突出するようになるとともに、接続ピン60が溝53内に突出するようになる。屈曲部27bを有する接続ガイド27は溝53内の所定の位置に位置しているので、接続ピン60は滑らかに接続ガイド27のスリット27cを貫通するようなる。
なお、図13に示すように、本実施の形態において、チャイルドシート10(チャイルドシート11)は、起立部52に着脱可能なカバー85をさらに有している。このカバー85は、シート本体20の受台50上での回転時における背当て部22の移動により露出した起立部52を覆う。すなわち、カバー85は、後向き状態にあるチャイルドシート10(チャイルドシート11)の起立部52に取り付けられる。図14に示すように、カバー85の裏面の各端部には、取り付け具86a,86bが設けられている。また、これらの取り付け具86a,86bに対応する取り付け具(図示せず)が、受台50の起立部52に設けられている。そして、これらの取り付け具86a,86bを介して、カバー85が着脱自在に起立部52へ取り付けられる。
図示するように、カバー85は、起立部52の上方に向いた端面52aと、起立部52の前方を向いた面52bと、を覆うようになっている。上述したように、起立部52の上端面52aには、溝53が開口している。また、起立部52の前面52bには、溝53の他端が開口しているとともに、ロックオフデバイス79が設けられ、さらに、ロックオフデバイス79に挟持されたシートベルト5の肩ベルト6bが斜めに横切っている。そして、カバー85は、溝53、ロックオフデバイス79および肩ベルト6bを覆う。つまり、後向き状態にあるチャイルドシート10上に乗せられた乳幼児に対面する位置に、溝53、ロックオフデバイス79および肩ベルト6bが露出することを防止することができる。このようなカバー85によれば、開口した溝53、ロックオフデバイス79、肩ベルト6b等に物等が引っ掛かってしまうことを効果的に防止することができる。また、意匠的にも優れ、また、チャイルドシート10を使用する際の安心感も増す。
さらに、図14に示すように、カバー85は、起立部52に取り付けられた際に露出する表面側の領域であって、かつ、起立部52に取り付けられた際に端面52a上に位置するようなる領域に、横方向に離間して設けられた一側のシート状部材87および他側のシート状部材87を有している。一側のシート状部材(例えば、図14の紙面における右側のシート状部材)87は、長方形状の輪郭を有し、横方向一側(例えば、右側)以外の三つの縁部(例えば、上側縁部、下側縁部および左側縁部)を本体部分に縫いつけられている。他側のシート状部材87は、同様に長方形状の輪郭を有し、横方向他側以外の三つの縁部を本体部分に縫いつけられている。この結果、図14に示すように、一側のシート状部材87は、横方向一側に開口するとともに、他側のシート状部材87は、横方向他側に開口するようになる。
このようなシート状部材87は、カバー85の取り忘れを使用者に知らせる機能を有している。具体的には、図15に示すように、カバー85を取り外すことなくシート本体20が後向き状態から前向き状態に向けて回転させられた場合、他側の接続ガイド27が一側のシート状部材87の開口した部分87aに引っ掛かる、あるいは、一側の接続ガイド27が他側のシート状部材87の開口した部分87aに引っ掛かるようになる。なお、シート状部材87のこの機能は、シート状部材87が厚手の布地から形成されている場合により効果的に発揮され得る。このようなシート状部材87を有したカバー85によれば、カバー85を起立部52に着けた状態でシート本体20を摺動させてしまうことを防止することができ、これにより、シート本体20の破損、とりわけ、接続ガイド27やクッション材の破損を効果的に防止することができる。
〔引き上げ機構および操作量調節機構〕
次に、引き上げ機構30、操作量調節機構40、並びに、これらの機構に関連する構成および作用についてさらに詳述する。
引き上げ機構30は、突出部材(ロックピン)32を引き上げるための機構である。上述したように、引き上げ機構30は、ガイド片25の底面25cから下方に突出する一対の突出部材(ロックピン、ピン)32と、突出部材32に連結された操作部材(操作レバー)31と、を有している。図10および図11に示すように、操作部材31は、円盤24に取り付けられた支持台33に揺動可能に連結されている。操作部材31の揺動軸線d1は、前後方向に直交する横方向に延びている。また、ガイド片25の内部には、横方向に延びる揺動軸線d2(図16乃至図19参照)を中心として揺動可能なリクライニングカム34が設けられている。リクライニングカム34は、リンク材35を介して操作部材31に連結され、操作部材31の揺動に連動して揺動するようになっている。
ガイド片25から突出する一対の突出部材32は、上部で互いに連結されており、リクライニングカム34に保持されている。なお、図16乃至図19に示すように、リクライニングカム34の長穴内に突出部材32は支持され、これにより、突出部材32はガイド片25の底面25cを、一定の位置において、貫通するようになっている。また、リクライニングカム34と円盤24との間には引張ばね36が張設されており、これにより、リクライニングカム34が受台50に向けて揺動するように付勢されている。すなわち、突出部材32は、ガイド片25から受台50に向けて付勢されている。
このようにして、操作部材31がリンク機構を介して突出部材32に連結され、突出部材32の引き込み量が操作部材31の操作量に連動するように構成されている。
なお、上述したように、突出部材32がロック孔56aと係合した場合に、シート本体20はリクライニング位置に維持されるようになる。また、突出部材32が回転位置ロック孔56bと係合した場合に、シート本体20は回転位置において後向き状態に維持されるようになる。そして、案内溝55の底面55cには凹部57が形成されており、ロック孔56aは凹部57の底面57aに形成されている。一方、回転位置ロック孔56bは、案内溝55の底面55cに形成されている。
したがって、突出部材32の受台50との係合を解除して複数のリクライニング位置の間でシート本体20を摺動させるために必要となる突出部材32の引き上げ量、言い換えると、ロック孔56a内に位置する突出部材32を凹部57の底面57aまで引き上げる量は、突出部材32の受台50との係合を解除して複数のリクライニング位置の一つから回転位置へシート本体20を摺動させるために必要となる突出部材32の引き上げ量、言い換えると、ロック孔56a内に位置する突出部材32を案内溝55の底面55cまで引き上げる量よりも小さい。つまり、突出部材32の受台50との係合を解除して複数のリクライニング位置の間でシート本体20を摺動させるために必要となる操作部材31の第1操作量は、突出部材32の受台50との係合を解除して複数のリクライニング位置の一つから回転位置へシート本体20を摺動させるために必要となる操作部材31の第2操作量よりも小さくなっている。
次に、操作量調節機構40の構成について詳述する。なお、操作量調節機構40は、引き上げ機構30の操作部材31に当接して操作部材31の操作量(移動量、揺動量)を規制するための機構である。
操作量調節機構40は、引き上げ機構30の操作部材31に当接可能な当接規制部材42と、当接規制部材42に連結され、操作されることによって当接規制部材42を移動させる規制解除操作部材41と、を有している。当接規制部材42は、引き上げ機構30の操作部材31の操作量が前記第1操作量以上前記第2操作量未満となるように操作部材31に当接して操作部材31の移動を規制する第1位置pa1(図21参照)と、操作部材31の操作量が前記第2操作量以上となることを可能にする第2位置pa2(図22参照)と、の間を移動可能となっている。規制解除操作部材41は、操作されることによって当接規制部材42の第1位置pa1から第2位置pa2への移動を可能にする。
図21および図22に示すように、本実施の形態において、規制解除操作部材41は、引き上げ機構30の操作部材31の揺動軸線d1と直交する揺動軸線d3を中心として揺動可能な操作レバーとして構成されている。規制解除操作部材41には長穴41aが形成されている。一方、本実施の形態において、当接規制部材42は細長い棒状の部材として構成されており、規制解除操作部材41の長穴41aを貫通して延びている。また、支持台33には、操作機構30の操作部材31の揺動軸線d1と平行に延びる長穴33aが形成されている。当接規制部材42は、支持台33の長穴33aも貫通して延びている。したがって、当接規制部材42は、支持台33の長穴33aに沿った直線状の移動経路mr(図20および図21参照)を移動するようになる。また、規制解除操作部材41を揺動させると、規制解除操作部材41の揺動軸線d3に沿って観察して場合に規制解除操作部材41の長穴41aと支持台33の長穴33aとが交差するようになる位置に、当接規制部材42が位置するようになる。なお、規制解除操作部材41は、図示しないトーションばね等によって、図22に示された当接規制部材42が第2位置pa2に配置される位置から図21に示された当接規制部材42が第1位置pa1に配置される位置へ向けて付勢されている。
ところで、図16乃至図19に示すように、規制解除操作部材41は引き上げ機構30の操作部材31の近傍に配置され、当接規制部材42は引き上げ機構30の操作部材31に上方から覆われるようにして配置されている。一方、図20および図21に示すように、引き上げ機構30の操作部材31は、前記移動経路mrに対向する位置に配置され操作部材31の揺動にともなって移動経路mrに接離可能な壁部37を有している。図20には、突出部材32がロック孔56aに入り込んでいる場合(操作部材31が初期位置にある場合)における操作部材31が下方から示されており、図21には、当接規制部材42に対面する操作部材31の壁部37の輪郭が点線で示されている。図20および図21に示されているように、移動経路mr上の第1位置pa1に対面する壁部37の部分(以下において、第1ストッパ部とも呼ぶ)37aは、移動経路mr上の第2位置pa2に対面する壁部37の部分(以下において、第2ストッパ部とも呼ぶ)37bよりも、移動経路mrに接近している。
このような構成により、当接規制部材42が第1位置pa1に配置されている場合、図16に示された引き上げ機構30の突出部材32がいずれかのロック孔56aと係合している初期状態から、操作部材31の壁部37の第1ストッパ部37aと当接規制部材42が当接するまで、操作部材31を揺動させることができる。壁部37の第1ストッパ部37aと当接規制部材42が当接するまで操作部材31を揺動させた場合、図17に示すように、突出部材32は凹部57の底面57aよりも上方まで引き上げられるようになるが、案内溝55の底面55bの高さまでは引き上げられない。したがって、当接規制部材42が第1位置pa1に配置されている場合、複数のリクライニング位置の間でシート本体20を摺動させるために必要となる操作部材31の第1操作量以上の操作量(移動量)であって、複数のリクライニング位置の一つから回転位置へシート本体20を摺動させるために必要となる操作部材31の第2操作量未満の操作量(移動量)で、操作部材31を操作(移動)することが可能となる。
一方、当接規制部材42が第2位置pa2に配置されている場合、図16に示された初期状態から、操作部材31の壁部37の第2ストッパ部37bと当接規制部材42が当接するまで、操作部材31を揺動させることができる。壁部37の第2ストッパ部37bと当接規制部材42が当接するまで操作部材31を揺動させた場合、図18に示すように、突出部材32は案内溝55の底面55bよりも上方までは引き上げられるようになる。したがって、当接規制部材42が第2位置pa2に配置されている場合、複数のリクライニング位置の一つから回転位置へシート本体20を摺動させるために必要となる操作部材31の第2操作量以上の操作量(移動量)で、操作部材31を操作(移動)することが可能となる。
また、操作量調節機構40は、図21および図22に示すように、当接規制部材42の第1位置pa1から第2位置pa2までの移動経路mr上に延び出るように揺動可能な保持レバー43をさらに有している。この保持レバー43は、当接規制部材42の第1位置pa1から第2位置pa2へ向けた移動を可能にするとともに外力を加えられて当接規制部材42の移動経路mr外へ揺動させられるまで当接規制部材42を前記第2位置pa2に保持するラチェット機構として構成されている。
保持レバー43は、当接規制部材42の移動経路mrに直交するとともに規制解除操作部材41の揺動軸線d3と平行な揺動軸線d4を中心として揺動可能となっている。この保持レバー43、図示しないトーションばね等によって、図21に示された矢印の方向に付勢されている。すなわち、保持レバー43は、当接規制部材42の移動経路mrの上方に延び出るように付勢されている。また、保持レバー43は、当接規制部材42の第1位置pa1から第2位置pa2に向けた移動経路mrに対して小さな角度で傾斜した案内面43aと、当接規制部材42の第2位置pa2から第1位置pa1へ向けた移動経路に対して略直交して延びる保持面43bと、を有している。したがって、規制解除操作部材41が操作されて当接規制部材42が第1位置pa1から第2位置pa2に向けて移動すると、保持レバー43は当接規制部材42の移動経路mr外へいったん揺動する。これにより、規制解除操作部材41を操作するだけで、当接規制部材42が第2位置pa2まで移動可能となる。また、当接規制部材42が第2位置pa2まで移動すると、図示しないトーションばね等からの付勢により、保持レバー43が当接規制部材42の移動経路mrの上方に延び出る。この結果、保持レバー43の保持面43bが、当接規制部材42に当接して、当接規制部材42の移動を規制する。これにより、操作部材31に対する付勢力に抗して、当接規制部材42が第2位置pa2に維持されるようになる。
また、保持レバー43は、操作部材31の移動経路内に延び出る突出部43cをさらに有している。一方、操作部材31は、保持レバー43の突出部43cに当接し得る解放部38を有している。そして、操作部材31が、突出部材32がロック孔56aに入り込んでいる際に位置する初期位置(図16に示された位置)から前記第1操作量だけ移動した位置(第1解除位置)から、前記初期位置から前記第2操作量だけ移動した位置(第2解除位置)へ、移動する際に、この操作部材31の開放部38は、保持レバー43の突出部43cに当接する。さらに、操作部材31が揺動することにより、図18に示すように、開放部38が突出部43cを押圧し、保持レバー43が、付勢力に抗して、当接規制部材42の移動経路mr外まで揺動するようになる。当接規制部材42の移動経路mr外まで揺動した場合には、当接規制部材42は第2位置pa2から第1位置pa1に向けて移動可能となる。
ところで、回転位置ロック孔56bは底を有した有底孔として形成されている。図19に示すように、突出部材32は、回転位置ロック孔56bに挿入された際に、回転位置ロック孔56bの底に当接するようになる。一方、ロック孔56aは、回転位置ロック孔56bの底よりも下方に位置する底を有する有底孔(図示する例)として、あるいは、底を有していない無底孔として形成される。そして、図19および図16の比較から理解することができるように、回転位置ロック孔56bに挿入された突出部材32は、ロック孔56aに挿入された際の突出部材32の位置よりも上方に位置するようになる。つまり、突出部材32が回転位置ロック孔56bに挿入されている場合、回転位置ロック孔56bの底からの突き上げにより、突出部材32はガイド片25から突出しきらず、操作部材31は前記初期位置(図16に示された位置)まで戻りきらない。これにより、操作部材31は、突出部材32が受台50の回転位置ロック孔56bと係合してシート本体20が回転位置に固定されている際に、前記第2解除位置(例えば図18に示された位置)と前記初期位置(図16に示された位置)との間の中間位置(例えば図19に示された位置)に位置するようになる。
一方、操作部材31は、前記中間位置に位置する際に、当接規制部材42の第1位置pa1と第2位置pa2との間の移動経路mrの上方に位置し当接規制部材42の第1位置への移動を規制する第3ストッパ部(ストッパ)37cをさらに有している。具体的な構成としては、第3ストッパ部37cは、図20に示すように、第1ストッパ部37aおよび第2ストッパ部37bの間において、当接規制部材42の移動経路mrに直交する方向に沿って移動経路mrに向けて壁部37から延び出る面として形成されている。図19および図20から理解されるように、本実施の形態においては、操作部材31が概ね初期位置まで復帰しないと、第3ストッパ部材37cを越えて第1位置pa1まで戻ることができないようになっている。
次に、このような引き上げ機構30および操作量調節機構40を用いて突出部材(ロックピン)32を操作する際の作用について説明する。
まず、シート本体20のリクライニング角度を変更する場合における引き上げ機構30および操作量調節機構40の操作について説明する。シート本体20のリクライニング角度を変更する場合、シート本体20を一つのリクラインニング位置から他のリクライニング位置へ移動させることになる。この場合、まず、初期位置(図16に示された位置)にある引き上げ機構30の操作部材(操作レバー)31を、揺動可能な範囲内でいっぱいに、言い換えると、第1位置pa1に位置している操作量調節機構40の当接規制部材42と操作部材31の第1ストッパ部37aとが接触して操作部材31のさらなる移動が規制される位置まで、揺動させる。操作部材31の操作にともなって、図17に示すように、突出部材32の先端が、ロック孔56aから抜け出し、凹部57の底面57aよりも上方に引き上げられる。これにより、突出部材32が他のロック孔56aの上方に位置するまで、シート本体20を受台50に対して摺動させることができる。なお、操作部材31から外力を取り除くと、引張ばね36(図10および図11参照)の付勢により、突出部材32はガイド片25から自動的に突出するようになる。このようにして、異なるロック孔56aに突出部材32を係合させることにより、シート本体20をリクラインニングさせることができる。
次に、シート本体20を前向き状態から後向き状態に変化させる場合における引き上げ機構30および操作量調節機構40の操作について説明する。シート本体20を前向き状態から後向き状態に変化させる場合、シート本体20を一つのリクラインニング位置から回転位置へ移動させ、さらに、回転位置でシート本体を180°回転(反転)させることになる。
まず、操作量調節機構40の規制解除操作部材41を揺動させて、当接規制部材42を第1位置pa1から第2位置pa2へ移動させる。次に、初期位置にある引き上げ機構30の操作部材31を、揺動可能な範囲内でいっぱいに、言い換えると、第2位置pa2に位置している当接規制部材42と操作部材31の第2ストッパ部37bとが接触して操作部材31のさらなる移動が規制される位置まで、揺動させる。この操作にともなって、図18に示すように、突出部材32の先端が、ロック孔56aから抜け出し、案内溝55の底面57cよりも上方に引き上げられる。これにより、シート本体20の回転位置への移動が可能となる。
上述したように、シート本体20が回転位置へ移動する際、受台50の接続ピン60が起立部52内へ引き込まれるとともに、シート本体20の接続ガイド27が受台27の溝53から抜け出す。これにより、シート本体20の受台50に対する回転が可能となる。
また、上述したように、一対の回転位置ロック孔56bは前後方向軸線cdからオフセットされ、突出部材32は、シート本体20が反転してはじめて、回転位置ロック孔56bの対面する位置へ移動するようになる。したがって、シート本体20がいずれかのリクライニング位置から回転位置へ向けて移動しはじめて、突出部材32が案内溝55の底面55cに対面するようになると、使用者は操作部材31から手を離してもよい。シート本体20が回転位置において後向き状態になると、自動的に、突出部材32が回転位置ロック孔56b内に入り込み、シート本体20を後向き状態に固定することができる。
以上のようにして、シート本体20の状態を前向き状態から後向き状態に変更することができる。
このような本実施の形態によれば、シート本体20をリクライニング位置から回転位置に移動させるために必要となる操作部材31の操作量が、シート本体20を一つのリクライニング位置から他のリクラインニング位置へ移動させるために必要となる操作部材31の操作量よりも大きくなっている。すなわち、シート本体20が回転可能となる回転位置へシート本体20を移動させるためには、操作部材31を大きく操作しなければならない。したがって、シート本体20を意図せず回転位置へ移動させてしまうことを効果的に防止することができる。
とりわけ、本実施の形態によれば、ロック孔56aが形成されている受台50の面57aと、回転位置ロック孔56bが形成されている受台50の面55cと、の間に段差が形成されている。このような簡易な構成により、リクライニング位置間でシート本体20を移動させる場合とリクライニング位置から回転位置へシート本体20を移動させる場合との間で、必要となる突出部材32の引き上げ量(引き込み量)、すなわち、必要となる操作部材31の初期位置からの操作量が異なるようになることを実現している。
また、本実施の形態によれば、操作部材31に当接して操作部材31の移動を規制するようになる位置pa2へ移動可能な当接規制部材42を有し、操作部材31の操作量が第1操作量以上第2操作量未満となるようにすることができる操作量調節機構40がシート本体20に設けられている。この操作量調節機構40によれば、シート本体20を意図せず回転位置へ移動させてしまうことを効果的に防止することができる。
とりわけ、本実施の形態によれば、操作部材31は、当接規制部材42の移動経路mrと平行な軸を中心として揺動可能なレバーとして構成されるとともに、その揺動にともなって当接規制部材42の移動経路mrに接離可能な壁部37を有しており、且つ、当該壁部37は、当接規制部材42の移動経路mrに沿って凹凸が形成されている。これにより、当接規制部材42を移動させるといった簡易な操作によって、操作レバー31が初期位置から揺動可能(操作可能)な範囲を変化させることを可能にしている。
さらに、本実施の形態によれば、いったん規制解除操作部材41を操作すると、保持レバー43によって、当接規制部材42を第2位置paへ維持することができる。したがって、シート本体20が意図せず回転位置へ移動することを効果的に防止しつつ、シート本体20の回転位置への操作を極めて容易化することができる。
さらに、規制解除操作部材41は操作部材31の近傍に配置されている。したがって、操作部材31および規制解除操作部材41を操作して、シート本体20を回転位置へ移動させることを、極めて容易に行うことができる。また、規制解除操作部材41が操作部材31の近傍に配置されているため、シート本体20を回転位置へ移動させる際に、使用者が規制解除操作部材41を操作し忘れることを効果的に防止することができる。また、操作部材31の操作方向を含む面(鉛直面)と、規制解除操作部材41の操作方向を含む面(略水平方向)と、が直交しているので、操作部材31の操作方向と規制解除操作部材41の操作方向とが異なる方向を向くようになる。さらに厳密には、操作レバー31の揺動軸線d1と規制解除操作レバー41の揺動軸線d3とが略直交し、これにより、操作レバー31の操作方向(上方向)と、規制解除操作レバー41の操作方向(略横方向)とが略直交するようになる。これにより、操作部材31を操作する際に規制解除操作部材41をあやまって操作してしまうこと、あるいは、規制解除操作部材41を操作する際に操作部材31をあやまって操作してしまうことを効果的に防止することができる。
次に、シート本体20を後向き状態から前向き状態に変化させる場合における引き上げ機構30および操作量調節機構40の操作について説明する。シート本体20を前向き状態から後向き状態に変化させる場合、シート本体20を回転位置において180°回転(反転)させ、さらに、回転位置から一つのリクラインニング位置へ移動させることになる。
ところで、シート本体20を一つのリクラインニング位置から回転位置へ移動させる場合、上述したように、当接規制部材42が第2位置pa2にある状態で、操作部材31を揺動可能な範囲内でいっぱいに揺動させる。このような操作にともない、操作部材31の解放部38が保持レバー43の突出部(解放用突起)43cを押圧し、保持レバー43が当接突出部材42の移動経路mrの外方まで揺動するようになる。したがって、規制解除操作部材41を介した付勢力により、当接規制部材42は第2位置pa2を離れ第1位置pa1へ向けて移動する。
ただし、突出部材32は、回転位置ロック孔56bに挿入されている際、回転位置ロック孔56bの底面に当接し、操作部材31は初期位置(図16参照)まで復帰せず、中間位置(図19参照)に位置するようになる。操作部材31が中間位置にある場合、図23に示すように、当接規制部材42が貫通する支持台33の長穴33aの上方に、第3ストッパ部37cが位置するようになる。
このようなことから、シート本体20が後向き状態にある場合、図23に示すように、当接規制部材42は、第3ストッパ部37cによって、第1位置pa1と第2位置pa2との間の位置pa3に維持されている。図23に示された状態においては、引き上げ機構30の操作部材31は、当接規制部材42が第2ストッパ部37bにおいて壁部37と当接するまで、揺動可能である。したがって、シート本体20が後向き状態にある場合、操作量調節機構40の規制解除操作部材41を再び操作することなく、引き上げ機構30の操作部材31を操作することにより、突出部材32を回転位置ロック孔56bから抜き出すことができる。これにより、シート本体20の回転位置での受台50に対する回転、および、受台50に対する摺動が可能となる。
以上のようにして、シート本体20の状態を後向き状態から前向き状態に変更することができる。なお、シート本体20が前向き状態となり突出部材32がいずれかのロック孔56aに挿入された際には、図16に示すように、操作部材31は初期位置まで戻る。操作部材31の初期位置への復帰にともない、図21に示すように、当接規制部材42も第1位置まで移動する。したがって、シート本体20を再び後向き状態に変化させる場合には、操作量調節機構40を操作する必要が生じ、これにより、優れた操作性を確保しながら、意図しないシート本体20の回転位置への移動を効果的に防止することができる。
〔車両用シートへの固定〕
次に、チャイルドシート11(チャイルドシート本体10)を車両用シート1に固定する際の作用について、関連する構成とともに説明する。
上述したように、チャイルドシート10は、車両用シート1に設けられたシートベルト5を用いて受台50を車両用シート1に固定することにより、車両用シート1に取り付けられる。この際、受台50の基部51が車両用シート1の座部1a上に配置され、受台50の起立部52が車両用シート1の背部1bに対面するようになる。
図3に示すように、シートベルト5は、斜め下方に向けて延びる肩ベルト6bと、横方向に延びる腰ベルト6aと、を有している。本実施の形態においては、上述したように、受台50の起立部52に肩ベルト6bを挟持するロックオフデバイス79が設けられており、肩ベルト6bによって受台50の起立部52がシート本体20に対して固定される。また、受台50は、腰ベルト6aを案内する腰ベルトガイド部70も有している。この腰ベルトガイド部70は、受台50の基部51の前面51aおよび両側面51bに亘って延びている。このような構成において、図3に示すように、ロックオフデバイス79に挟持され起立部52を斜めに横断する肩ベルト6bと、基部51上を延びる腰ベルト6aと、の合流箇所にある可動バックル6cを、車両に固定された固定バックル6dと連結することにより、チャイルドシート10を車両用シート1上に配置することができる。
以下において、腰ベルトガイド部70の構成および作用についてさらに詳細に説明する。図24に示すように、腰ベルトガイド部70は、基部51の前面51a上を延びる前ガイド部71と、前ガイド部71に連続して基部51の側面51b上を延びる側ガイド部72と、を有し、基部51上において腰ベルト6aを案内する。前ガイド部71および側ガイド部72は、全体的に、溝状に形成されている。そして、前ガイド部71および側ガイド部72を上方から画定する上縁UE、および、前ガイド部71および側ガイド部72を下方から画定する下縁LEは、概ね、段差によって画定されている。このような腰ベルトガイド部70によれば、腰ベルト6aを安定して略一定の位置に保持することが可能となる。このように、受台50の基部51を前面51aおよび両側面51bから腰ベルト6aによって囲い込むことにより、チャイルドシート10(チャイルドシート本体11)を車両用シート1上で、とりわけ前後方向に、安定させることができる。
図9や図24等に示すように、受台50は、基部51の両側面51bからそれぞれ横方向外方に突出した一対の側方ガイド部材75をさらに有している。側方ガイド部材75は、基部51の側面51bから側方に突出する側方突出部76と、側方突出部76から上方に延び上がる上方延出部77と、を含んでいる。図3や図24等に示すように、側方ガイド部材75の側方突出部76は、側ガイド部70を下方から画定する下縁LEの少なくとも一部分を形成するようになる。また、側方ガイド部材75の上方延出部77は、側ガイド部72に配置された腰ベルト6aが側外方にずれることを規制するようになっている。
図24に示すように、側ガイド部72の下縁LEは、側方突出部76によって画定される部分において、車両用シート1上に配置されるようになる基部51の底面51cへの法線方向ndに沿って、最も上方に位置している。また、側方ガイド部材75の側方突出部76は、側ガイド部72の下縁LEのうちの最も前ガイド部71から離間した部分、つまり、下縁LEの最も後方の部分を形成するようになっている。
このような構成によれば、腰ベルト6aは、側方ガイド部材75を通過して固定バックル6cおよび可動バックル6dの連結点に向かう際に、並びに、側方ガイド部材75を通過して腰ベルト6bの起点(車両への取り付け位置)に向かう際に、斜め下方に延びるようになる。これにより、腰ベルト6aは、受台50さらにはチャイルドシート10を、車両用シート1に対して後方へ向けて押しつけるだけでなく、受台50(チャイルドシート10)を車両用シート1に対して下方へ向けて押しつけるようにもなる。これにより、受台50(チャイルドシート10)を車両用シート1に対してバランスよく固定することが可能となる。
とりわけ、側ガイド部72の下縁LEは、前ガイド部71との接続箇所からから側方突出部76によって形成されている部分に接近するに連れて、基部51の底面51cへの法線方向ndに沿って、しだいに上方に位置するようになっていることが好ましい。この場合、腰ベルト6aが無理なく側ガイド部72内を延びることができ、これにより、さらにシートベルト5の腰ベルト6aが腰ベルトガイド部70から外れ難くすることができる。さらに好ましくは、図24に示すように、側ガイド部72が、概ね、段差によって画定される溝として形成され、段差を形成する段差面73が、側方ガイド部材75の側方突出部76の上面76aに滑らかに接続している。したがって、腰ベルト6aが極めて無理なく側ガイド部72内を延びることができ、これにより、腰ベルト6aを腰ベルトガイド部70から外れ難くすることができる。
また、図24に示すように、側ガイド部72を上方から画定する上縁UEから側ガイド部72を下方から画定する下縁LEまでの幅は、基部51の前面51aの側から側方突出部76によって下縁LEが形成される部分に接近するに連れて、しだいに狭くなっていっている。このような構成によれば、前方から後方へ向かう腰ベルト6bが延びる方向を、側方ガイド部材75の側方突出部76の上面76aにおいて、斜め上方から斜め下方に滑らかに曲げやすくなる。これにより、側ガイド部72内での腰ベルト6bの配置を安定させ、腰ベルト6aを腰ベルトガイド部70から外れにくくすることができる。
ところで、上述したように、側方ガイド部材75の上方延出部77は、側ガイド部72に配置された腰ベルト6aが側外方にずれることを規制するようになっている。すなわち、上方延出部77によれば、基部51の底面51cの法線方向ndに沿った下縁LEの高さが最も高くなって腰ベルト6aの傾斜方向が変化し、これにより、腰ベルト6aがずれやすくなる傾向のある領域において、腰ベルト6aの側ガイド部72からのずれを効果的に防止することができる。これにより、受台50(チャイルドシート10)を車両用シート1に対して安定して固定することが可能となる。
また、側ガイド部72を上方から画定する上縁UEの少なくとも一部分は、基部51の側面51bから側方に突出し更に下方に垂下する折り返し材74によって形成されている。とりわけ、本実施の形態においては、側方突出部76が形成されている領域および当該領域の近傍において、折り返し材74が形成されている。したがって、腰ベルト6aの傾斜方向が変化する領域およびその近傍において、側ガイド部72により腰ベルト6aを略一定の位置に保持することができる。
なお、図24に示すように、基部51の底面51cへの法線方向ndに沿った上方延出部77の頂部の位置77aは、側方突出部76によって下縁LEを形成されている部分における側ガイド部72の上縁UEの前記法線方向ndに沿った位置と、同一またはこの位置よりも若干低くなっていることが好ましい。とりわけ図示する例においては、上方延出部77の頂部77aの位置と、側方突出部76によって下縁LEを形成されている部分における側ガイド部72の上縁UEと、は前記法線方向ndに沿って略同一位置に位置している。このように上方延出部77を形成した場合、腰ベルト6aの側外方への脱落を効果的に防止することができるとともに、腰ベルト6aを側ガイド部72内へ容易に設置することができる。すなわち、チャイルドシート10の車両用シート1への取り付けを容易に行うことができるとともに、チャイルドシート10を車両用シート1上に安定して保持することができる。
〔サポートレッグ〕
次に、サポートレッグ100およびサポートレッグ100に関連するチャイルドシート本体11の構成等について説明する。
サポートレッグ100は、受台50に嵌合可能な嵌合部101と、嵌合部101に対して一定の角度をなすようにして嵌合部101に固定された脚部110と、を有している。なお、ここで「一定の角度」とは、例えば、嵌合部101に対する脚部110の延出方向が可変ではないことをいう。したがって、嵌合部101に対して脚部110が揺動可能となっている構成は排除される。しかしながら、当然に含まれる各部材間での遊びに起因した角度変化は無視し、一定の角度が保たれているとして取り扱う。
図3に示すように、サポートレッグ100は、受台50に取り付けられ、車両用シート1が設置された車両の床面3と受台50との間を延びる。この結果、サポートレッグ100は、車両用シート1に取り付けられたチャイルドシート本体11の前方部分を床面3から支持するようになる。なお、脚部110は、車両に対する汎用性を確保するため、その長さが可変となるように構成されている。
まず、サポートレッグ100の構成について説明する。
図26から理解され得るように、嵌合部101は、U字状に形成された筒状部材102、さらに詳細には、金属製円筒状パイプを有している。図27に示すように、筒状部材102は、両端部を受台50内に挿入され、受台50と嵌合されるようになっている。筒状部材102の端部領域における側面には貫通孔が形成され、当該貫通孔から先端が突出する嵌合突起103が筒状部材102内に設けられている。また、筒状部材102内には付勢部材104、例えば板ばねが設けられている。この付勢部材104は、嵌合突起103を押圧し、筒状部材102から外方に向けて突出するように嵌合突起103を付勢している。
なお、図27に示すように、受台50は、底面51cを形成する底板91と、底板91上に固定され嵌合部101の筒状部材102を収容する収容部材93と、をさらに有している。収容部材93には、嵌合部101の嵌合突起103を受けるようになる貫通孔93aが形成されている。収容部材93は、例えば金属製角パイプや金属製丸パイプからなる。なお、図1に示すように、受台50の前面51aには、嵌合部101の筒状部材102が通過する挿入口94が形成されている。
底板91は、収容部材93の貫通孔93aに対面する位置に設けられた嵌合解除部92を有している。嵌合解除部92は、操作されることによって貫通孔93a内に突出した嵌合突起103を収容部材93内に押し込むことができる。図26に示すように、嵌合解除部92は、外輪郭の一部分において底板91の嵌合解除部92以外の部分に連結され、外輪郭の前記一部分以外の部分において底板91の嵌合解除部92以外の部分から縁切りされており、底板91の嵌合解除部92以外の部分に対して撓んで嵌合突起103に当接可能である舌状部として構成されている。
図27に示すように、嵌合部101の筒状部材102は、補強板105を介して、一定の角度で脚部110と連結されている。さらに、嵌合部101および脚部110は、溶接によって、互いに固定されている。嵌合部101および脚部110の連結箇所には、連結箇所を覆う保護カバー106が設けられている。
次に、脚部110について説明する。脚部110は、第1筒状部材111と、第1筒状部材111に対して摺動可能な第2筒状部材113と、第2筒状部材113を第1筒状部材111に対して固定する位置決め機構120と、を有している。第1筒状部材111は、一端を嵌合部101の筒状部材102に連結され、他端を位置決め機構120に連結されている。第2筒状部材113は、一端側から第1筒状部材111内に挿入され、第1筒状部材111内を摺動し得るように構成されている。第2筒状部材113の他端には、床面3に当接するようになるレッグエンド118が設けられている。
図31に示すように、第1筒状部材111および第2筒状部材113は、互いに金属製円筒状パイプから形成され得る。第2筒状部材113には、互いに対向する位置に形成された一対の穴113aが、第2筒状部材113の第1筒状部材111に対する摺動方向(第2筒状部材113の長手方向)に間隔を空けて複数対形成されている(図28および図29参照)。各穴113aは、図29に示すように、第2筒状部材113の第1筒状部材111に対する摺動方向(第2筒状部材113の長手方向)に直交する方向に、長く延びる長穴として形成されている。また、第2筒状部材113には、回転防止用の溝113bが、第2筒状部材113の第1筒状部材111に対する摺動方向(第2筒状部材113の長手方向)に沿って細長く形成されている。
一方、位置決め機構120は、ハウジング121と、ハウジング121に対して摺動可能なスライダ125と、を有している。ハウジング121には、第1筒状部材111の他端が固定されている。図29および図30に示すように、ハウジング121には、第2筒状部材113の回転防止用の溝113bと係合する、回転防止用の突起122が設けられている。回転防止用の溝113bと突起122とが係合することにより、第2筒状部材113のハウジングに対する回転が防止され、第2筒状部材113の穴113aは一定の方向に向けて開口するようになる。
スライダ125は、ハウジング121に対する摺動方向に沿って延びる貫通ピン126を有している。スライダ125がハウジング121内に入り込んでいくことにより、貫通ピン126は、複数対の穴のうちのいずれか一対の長穴113aを通過して第2筒状部材113を貫通することができる。そして、貫通ピン126が第2筒状部材113を貫通することによって、第2筒状部材113を第1筒状部材111に対して固定することができる。
図29乃至図31に示すように、スライダ125は、ハウジング121に対する摺動方向に沿って延びる摺動案内部材127をさらに有している。摺動案内部材127は、その長手方向に沿って延びる長穴127aを形成されている。一方、ハウジング121には、摺動案内部材127の長穴127aを貫通して延びる第1案内突起123aと、第1案内突起123aに対向するようにして設けられた第2案内突起123bと、が設けられている。図31に示すように、第1案内突起123aは、スライダ125の貫通ピン126に一方から対面するようになる。また、第2案内突起123bは、貫通ピン126を三方から包囲するようになる。このような構成において、ハウジング121の第1案内突起123aおよび第2案内突起123bと、スライダ125の貫通ピン126および摺動案内部材127と、が係合することにより、スライダ125がハウジング121に対して一方向のみに摺動可能となっている。
また、図30に示すように、摺動案内部材127には係合突起127bが形成され、ハウジング121には、係合突起127bと係合可能な係合部124が形成されている。この摺動案内部材127の係合突起127bとハウジング121の係合部124とが係合することにより、貫通ピン126が第2筒状部材113を貫通している状態に保持されるようになる。ただし、摺動案内部材127の係合突起127bとハウジング121の係合部124との係合は、スライダ125の摺動方向に沿ってスライダ125をハウジング121から引き抜こうとする外力を加えることによって、容易に解除されるようになっている。
本実施の形態においては、図30に示すように、係合部124は、ハウジング121から延び出る突起として形成されている。係合部124は弾性変形可能に構成され、摺動案内部材127の係合突起127bが係合部124を乗り越えて移動することができるようになっている。係合部124をいったん乗り越えた係合突起127bが係合部124と係合することにより、スライダ125に外力が加えられるまで、貫通ピン126が第2筒状部材113を貫通している状態に保持されるようになる。
なお、スライダ125の摺動方向に平行な断面であって、摺動案内部材127からの係合突起127bの突出方向に平行な断面(つまり、図30の断面)において、係合部124は、V字状の形状を有しており、スライダ125の摺動方向に沿った係合突起127bの移動を案内するようになっている。このため、係合突起127bが係合部124とスムースに係合し、スライダ125の操作を安定して行うことができる。
次に、このような構成からなるサポートレッグ100の作用について説明する。まず、サポートレッグ100を受台50に取り付けて用いる場合について説明する。
サポートレッグ100を受台50に取り付ける場合、嵌合部101の筒状部材102の端部を受台50の挿入口94に挿入して押し込む。この結果、筒状部材102の先端領域が、受台50の基部51内に配置された筒状の収容部材93内に挿入される。最終的には、筒状部材102から突出するように付勢された嵌合突起103が、収容部材93の貫通孔93a内に入り込む。このようにして、サポートレッグ100の嵌合部101が受台50と嵌合して、サポートレッグ100がチャイルドシート本体11に対して取り付けられる。
このサポートレッグ100によれば、脚部110が嵌合部101に対して一定の角度をなすようにして嵌合部101に固定されているので、サポートレッグ100の剛性が大幅に向上されている。したがって、チャイルドシートの本体部分11、すなわち、受台50およびシート本体20を車両用シート1上に安定して保持することができる。
また、第2筒状部材113を第1筒状部材111に対して固定する位置決め機構120において、スライダ125の断面円形状を有する貫通ピン126が、第2筒状部材113の対向する部分にそれぞれ形成された一対の穴113aを貫通するようになっている。つまり、貫通ピン126は第2筒状部材113を貫通するので、第2筒状部材113を第1筒状部材111に対して堅固に固定することができる。これにより、チャイルドシート10(受台50およびシート本体20)を車両用シート1上にさらに安定して保持することができる。
なお、嵌合部101と脚部110とが固定的に高剛性で連結されているため、可動部材を有する位置決め機構120に外力が集中的に加えられるようになる虞がある。しかしながら、上述のように、貫通ピン126が一対の穴113aを介して第2筒状部材113を貫通して、第2筒状部材113を第1筒状部材111に対して堅固に固定されるので、不具合は生じない。
また、貫通ピン126は第2筒状部材113に形成された一対の穴113aを貫通する必要があるが、一対の穴113aは長穴として形成され、その断面積は貫通ピン126の貫通に必要となる大きさよりも大きくなっている。したがって、スライダ125を容易に操作して、貫通ピン126が一対の貫通穴113の両方を貫通するようにすることができる。したがって、位置決め機構120を用いた脚部110の長さ調節を容易に行うことができる。
その一方で、第2筒状部材113の長穴113aは、第2筒状部材113の第1筒状部材111に対する摺動方向(第2筒状部材113の長手方向)には延びていない。したがって、貫通ピン126が第2筒状部材113を貫通した場合には、脚部110は一定の長さに保たれ得る。一方、第2筒状部材113の長穴113aは、第2筒状部材113の第1筒状部材111に対する摺動方向(第2筒状部材113の長手方向)に直交する方向に延びている。しかしながら、第2筒状部材113に形成された回転防止用溝113bと、ハウジング121に形成された回転防止用突起122とが係合している。したがって、第2筒状部材113と貫通ピン126とが、長穴113aの長手方向に相対移動することもない。
さらに、第2筒状部材113が第1筒状部材111に対して堅固に固定されるので、ハウジング125に大きな変形が生じてしまうことはない。このため、ハウジング121およびスライダ125を簡易な機構によって互いに係止すれば十分である。例えば、上述のように、スライダ125およびハウジング121が、スライダ125の摺動方向に外力を加えることによって解除され得るように係合し、貫通ピン126が第2筒状部材113を貫通した状態に保持されるようにしてもよい。より具体的には、スライダ125およびハウジング121の一方に突起が形成され、スライダ125およびハウジング121の他方に前記突起と係合する係合部が形成され、突起および係合部が係合することにより、スライダ121およびハウジング125が、貫通ピン126が第2筒状部材113を貫通した状態に保持されるようにしてもよい。なお、図30に示す例において、係合部は断面V字状の突起として形成されている例を示したが、これに限れない。例えば、係合部が、係合突起127bを受ける凹部として形成されていてもよい。
次に、サポートレッグ100を受台50から取り外す場合について説明する。この場合、まず、典型的には樹脂によって形成される底板91の一部分からなる嵌合解除部92を押圧する。この操作により、嵌合突起103が収容部材93の内部に押圧され、例えば保護カバー106を把持しながら、嵌合部101を受台50の内部から引き抜くことができる。このようにして、サポートレッグ100を受台50(チャイルドシート本体11)から取り外すことができる。したがって、金属性パイプ等によって形成され得る収容部材93に接触することなく、また、金属によって形成され得る嵌合部101の筒状部材102および嵌合突起103に接触することもなく、嵌合部101の受台50への嵌合を解除して、サポートレッグ100を受台50(チャイルドシート10)から取り外すことができる。このため、サポートレッグ100を受台50(チャイルドシート10)から安心して取り外すことができる。
なお、以上において本発明の一実施の形態を説明したが、当然に本発明の要旨の範囲内で種々の変更が可能である。
図1は、本発明によるチャイルドシート(チャイルドシート本体)の一実施の形態を示す斜視図である。
図2は、シート本体が前向き状態にあるチャイルドシートを示す上面図。
図3は、車両用シートに取り付けられシート本体が後向き状態にあるチャイルドシートを示す斜視図である。
図4は、シート本体のリクライニング機構を説明するための図であって、チャイルドシートを示す側面図である。
図5は、後向き状態と前向き状態との間でのシート本体の状態の変化を説明するための図であって、チャイルドシートを示す側面図である。
図6は、シート本体とリクラインニングベースを示す分解斜視図である。
図7は、シート本体を示す斜視図である。
図8は、受台を前方から示す図である。
図9は、受台を示す斜視図である。
図10は、シート本体の座部および背当て部を取り除いた状態でチャイルドシートを示す部分斜視図である。
図11は、チャイルドシートを側方から示す部分断面図。
図12は、受台の起立部内に収容されたリンク構造であって、接続ピンに連結されたリンク構造を説明するための図である。
図13は、後向き状態にあるチャイルドシートを、カバーを取り付けた状態において、示す斜視図である。
図14は、カバーを示す上面図である。
図15は、チャイルドシートに取り付けられたカバーの作用を説明するための上面図である。
図16は、引き上げ機構および操作量調節機構の作用を説明するための図である。
図17は、図16に対応する図であって、引き上げ機構および操作量調節機構の作用を説明するための図である。
図18は、図16および図17に対応する図であって、引き上げ機構および操作量調節機構の作用を説明するための図である。
図19は、図16乃至図18に対応する図であって、引き上げ機構および操作量調節機構の作用を説明するための図である。
図20は、操作部材を裏側から示す図である。
図21は、引き上げ機構および操作量調節機構の作用を説明するための平面図である。
図22は、図21に対応する図であって、引き上げ機構および操作量調節機構の作用を説明するための平面図である。
図23は、図21および図22に対応する図であって、引き上げ機構および操作量調節機構の作用を説明するための平面図である。
図24は、チャイルドシートを示す部分側面図である。
図25は、サポートレッグを示す斜視図である。
図26は、サポートレッグを取り付けられたチャイルドシートを裏側から示す斜視図である。
図27は、サポートレッグと受台との連結部分を概略的に示す断面図である。
図28は、サポートレッグの脚部を示す部分正面図である。
図29は、図28のA−A線に沿った断面を示す図である。
図30は、図29のB−B線に沿った断面を、一部の構成部材を省略して示す図である。
図31は、図30のC−C線に沿った断面を、一部の構成部材を省略して示す図である。
符号の説明
1 車両用シート
5 シートベルト
6a 腰ベルト
6b 肩ベルト
10 チャイルドシート
20 シート本体
21 座部
22 背当て部
27 接続ガイド
27a 基端部
27b 屈曲部
50 受台
51 基部
52 起立部
52a 端面
53 溝
85 カバー
87 シート状部材
87a 開口