近距離の情報機器間で放射電界や、静電界や、誘導電界を用いた非接触式の通信システムでは、静電界や誘導電界は発生源からの距離に対し、それぞれ距離の3乗、または2乗に反比例する。したがって通信相手が近距離にいるときだけ通信を行い、近距離にいないときには他の無線通信システムに影響を与えない無線通信システムを実現することができる。
本実施例の図1は、高周波数の広域帯信号を用いるUWB通信方式を実装したUWBユニットのブロック図である。
図においてUWBユニット100は無線通信システムを提供している。このUWB100が無線送受信機として無線送信機、または無線受信機となる。カプラ102はアンテナの役割を果たし、無線通信ネットワークを介してアナログ無線電波を送受信してUWBユニット100の送信部、または受信部となる。カプラ102には静電界、または誘導電界を送受信するための機能が実装されている。高周波の広帯域信号を電界結合で通信する方式を採用しているので、数センチ程度の近距離通信が可能である。数センチの距離を離れると信号が急速に減衰するためそれ以上の距離で他の電波と干渉することは少ない。この距離の設定は電界の信号の強さと有効閾値を設定することで任意に決めることができる。本実施例では5センチから電界信号の減衰が始まり、7センチが有効閾値となるように設定してあるとする。以下、減衰開始距離=5センチ、電界有効閾値=7センチと定義する。
RF部103はアナログ信号をデジタル信号に変復調する機能を備えている。RF部103はシンセサイザを備えていて、バンド、チャネルの周波数を識別し、周波数割り当てデータによるバンド、チャネルの制御をしている。送受信制御部104は送受信フレームの組み立て及び分解、プリアンブル付加及び検出、フレーム識別を行う。EEPROM105には本装置を一意に識別するための識別情報となる機器IDを格納する。機器IDは全ての装置間でユニークに決定される。これによりUWBユニット同士は一対一の通信を確立することができる。機器IDはMACアドレスで代用しても良い。
<実施例1>
以下、本発明の一実施形態としての無線通信システムを説明する。本システムはマルチファンクションプリンタ(Multi Function Printer、以後MFPと呼ぶ)と、デジタルカメラから構成される。このMFPは、画像読取装置と印刷装置が一体となっており、原稿台に載せられた原稿を読取部としての画像読取装置が読み取って、記録部としてのインクジェットプリンタである印刷装置が印刷を行う。またデジタルカメラは、撮影することでデジタル画像を生成可能であり、またここでは、デジタル画像を印刷するために、デジタル画像をMFPに送信できる。
本実施例1で説明するのは、次のようなケースである。最初に、デジタルカメラをユーザが操作してデジタル画像を送信するための状態に遷移させる。次にMFPがデジタルカメラからデジタル画像を受信して印刷を開始する。印刷をしている間は、デジタルカメラは印刷の状況を表示部に表示し、ユーザからの追加指示がある場合はその指示をMFPに送信する。MFPは印刷の状況をデジタルカメラに送信し、デジタルカメラからの指示を受けた場合はそれを実行する。また、MFPは同時に新たなデジタルカメラからの接続要求が無いかを監視する。
図5は、MFP500の概略構成を示すブロック図である。
MFP500は装置のメインの制御を行うメインボード501と、プリントデータを受け取ってインクの吐出制御を行うプリントキャリッジ502と、デジタルカメラなどの他デバイスとのデータ通信を行うUWBユニット524からなる。
メインボード501においてCPU503は、システム制御部であり、MFP500の全体を制御する。ROM504は、CPU503が実行する制御プログラムや組み込みオペレーティングシステム(OS)プログラム等を格納する。本実施例では、ROM504に格納されている各制御プログラムは、ROM504に格納されている組み込みOSの管理下で、スケジューリングやタスクスイッチ等のソフトウエア制御を行う。
RAM504は、SRAM(static RAM)等で構成され、プログラム制御変数等を格納し、また、ユーザが登録した設定値やMFP500の管理データ等を格納し、各種ワーク用バッファ領域、プリントバッファ領域が設けられている。
画像メモリ506は、DRAM(dynamic RAM)等で構成され、UWBユニット524を介して受信した画像データや、符号復号化処理部512で処理した画像データや、メモリカードコントローラ516を介して取得した画像データなどを蓄積する。
データ変換部507は、ページ記述言語(PDL)等の解析や、画像データからプリントデータへの変換などを行う。
読取制御部508について説明する。読取部510が、CISイメージセンサ(密着型イメージセンサ)によって原稿を光学的に読み取る。次に電気的な画像データに変換した画像信号を、図示しない画像処理制御部を介して、2値化処理や中間調処理等の各種画像処理を施し、高精細な画像データを出力する。なお、本実施例では、読取制御部508は、原稿を搬送しながら読み取りを行うシート読取制御方式と、原稿台にある原稿をスキャンするブック読取制御方式の両制御方式に対応している。
操作部509はインタフェースパネル700上に配置され、ユーザが画像印刷データの決定や登録値の設定データ設定の登録動作を行う。表示部511は、LED(発光ダイオード)とLCD(液晶ディスプレイ)等によって構成される。これらを用いることで各種入力操作や、MFP500の動作状況、ステータス状況の表示等を行う事ができる。
符号復号化処理部512は、MFP500で扱う画像データ(MH、MR、MMR、JBIG、JPEG等)を符号復号化処理や、拡大縮小処理を行う。
BlueTooth(商標登録)通信部513は、BlueToothによる通信を制御しており、通信I/F制御部や、ベースバンド部、RF部、アンテナ等から構成される。これにより、MFP500はBlueTooth通信規格で定められた通信を行うことができる。
データ蓄積部514はデータを蓄積するための部位である。本実施例では画像メモリ506でのDRAMではデータバックアップ用の領域を用意していないため、データ保存領域としてデータ蓄積部514を用意している。なお、このようなメモリ構成はこれに限定されるものではない。例えば画像メモリ506と共有させてもよいし、データ蓄積部514にデータのバックアップなどを行ってもよい。またデータ蓄積部514にデジタル画像などを保存し、印刷に用いたりもできる。また本実施例ではDRAMを用いているが、ハードディスクや不揮発性メモリ等を使用する場合もあるのでこの限りではない。
給紙部515は印刷のための用紙を保持する事ができる部位である。記録制御部525からの制御で給紙部515から給紙を行うことができる。特に給紙部は複数種類の用紙を一つの装置に保持するために、複数の給紙部を用意する事ができる。そして記録制御部525により、どの給紙部から給紙を行うかの制御を行うことができる。
メモリカードコントローラ516は、メモリカードを挿入して、USB通信規格で定められたプロトコルを通じてメモリカードのデータを送受信する。USB通信規格は、双方向のデータ通信を高速に行うことが出来る規格であり、1台のホスト(マスター)に対し、複数のハブまたはファンクション(スレーブ)を接続することが出来る。
メモリカード519はデータ記憶媒体であり、MFP500に接続する事が出来る。メモリカードには画像のデータやその他電子データを保存することができる。
プリントキャリッジ502はプリントヘッド制御部517と、プリントヘッド518から構成される。プリントキャリッジ502は主走査方向に移動しながらプリント動作を行う。プリントヘッド制御部517はフレキシブルケーブル522を介して記録制御部525からプリントデータを受信する。受信したデータに応じてプリントヘッド518から吐出するインクの制御を行う。
記録制御部525は、印刷される画像データに対し、図示しない画像処理制御部を介して、スムージング処理や記録濃度補正処理、色補正等の各種画像処理を施し、高精細な画像データに変換し、プリントヘッド制御部517に出力する。また、プリントヘッド制御部517を制御することにより、定期的にプリントヘッド制御部517の状態情報を取得する役割も果たす。
UWBユニット524は、デジタルカメラなどの他デバイスとのデータ通信を行う通信部である。データをパケットに変換し、他デバイスにパケット送信を行う。逆に、外部の他デバイスからのパケットを、データに変換してCPU101に対して送信したりする。詳細は図1を用いて説明している。UWBユニット524はバスケーブル523を介してシステムバス521に接続されている。
上記構成要素503〜509、511〜516は、CPU503が管理するシステムバス521を介して、相互に接続されている。本実施例においては、読取部510と読取制御部508を用いて原稿を読取、データ変換部507を経て、データ蓄積部514に画像データを保存する事ができる。そして操作部509からの操作によって、画像データの印刷指示ができる。印刷指示を受けたら記録制御部525を用いてデータを変換して、プリントキャリッジ502によって印刷をすることができる。
図6はMFP500の外観および内部構成の透視図である。メインボード501がMFP筐体の右側に取り付けられている。メインボード501とプリントキャリッジ502を結ぶフレキシブルケーブル522によって印刷データが送信されている。フレキシブルケーブル522はプリントキャリッジ502がシャフト600上を往復する最中もデータを送受信できる。メインボード501とUWBユニット524はバスケーブル523を介して接続されており、高速にデータを通信することができる。UWBユニットは通信可能距離が短いため、できるだけMFP筐体の表面のUWB無線機器置き場702に近い場所に設置する。少なくとも電界有効距離よりも短い距離になるようにする。読取部510に原稿をセットして、原稿蓋905を閉めてから原稿を読み取る。その他、印刷シートを搬送する不図示の搬送部等がある。
図7は、図6で説明したインタフェースパネル700の詳細構成を表した図である。インタフェースパネル700は表示部701、UWB無線機置き場702、操作部703から構成される。表示部701はドットマトリクスLCDであり、印刷に用いる画像データを可視化したり、ユーザ設定状態を表示したり、各種作業状況を設定したりする。
UWB無線機置き場702はMFP500がデジタルカメラなどの外部機器とデータを送受信するための接触部である。UWB無線機置き場の内部にはUWBユニットがあり、電界による信号が発信されている。UWBユニットを装着したデジタルカメラなどの外部機器をUWB無線機置き場に近接または接触させることで、お互いが電界による信号を送受信して接続を確立し、通信を行うことができる。
操作部703はユーザがMFP500を操作するためのキーから構成されている。十字キー705は表示部のカーソル移動などに用いる。セットキー704は設定入力キーである。スタートキー706は印刷やコピーなどの動作をスタートさせる時などに用いる。ストップキー707は印刷やコピーなどの動作をストップさせる時などに用いる。
図15は、デジタルカメラ1500の概略構成を示すブロック図である。
デジタルカメラ1500において、CPU1501は、システム制御部であり、デジタルカメラ1500の全体を制御する。ROM1502は、CPU1501が実行する制御プログラムや組み込みオペレーティングシステム(OS)プログラム等を格納する。本実施例では、ROM1502に格納されている各制御プログラムは、ROM1502に格納されている組み込みOSの管理下で、スケジューリングやタスクスイッチ等のソフトウエア制御を行う。
RAM1503は、SRAM(static RAM)等で構成される。このRAM1503はプログラム制御変数等を格納し、またユーザが登録した設定値やデジタルカメラ1500の管理データ、デジタルカメラ1500の機器ID等を格納し、また各種ワーク用バッファ領域が設けられている。画像メモリ1504は、DRAM(dynamic RAM)等で構成され、撮像部1509を介して撮像された画像データを一時的に蓄積したり、メモリカードから読み込んだ画像を一時的に蓄積したりする。また、UWBユニットを用いて画像を送信する際にも送信用バッファとして使用する。データ変換部1505は、画像データの変換などを行う。
BlueTooth(商標登録)通信部1506は、BlueToothによる通信を制御しており、通信I/F制御部や、ベースバンド部、RF部、アンテナ等から構成される。これにより、デジタルカメラ1500はBlueTooth通信規格で定められた通信を行うことができる。操作部1507は、ユーザがメモリカード内の写真を選択してUWBユニットを介してデータ転送指示を行う際に使用したり、その他、撮影指示や、各種設定指示を行ったりする。
表示部1508は、ドットマトリクスLCDであり、印刷に用いる画像データを可視化したり、ユーザ設定状態を表示したり、各種作業状況を設定したりする。
撮像部1509は、デジタルカメラ1500が画像を撮影するための部位であり、レンズ、画像センサ、シャッターなどから構成される。
メモリカードコントローラ1510は、メモリカードを挿入して、USB通信規格で定められたプロトコルを通じてメモリカードのデータを送受信する。USB通信規格は、双方向のデータ通信を高速に行うことが出来る規格であり、1台のホスト(マスター)に対し、複数のハブまたはファンクション(スレーブ)を接続することが出来る。メモリカード1512はデータ記憶媒体であり、デジタルカメラ1500に接続する事が出来る。メモリカードには画像のデータやその他電子データを保存することができる。
UWBユニット1511は、MFPやプリンタなどの他デバイスとのデータ通信を行う通信部である。データをパケットに変換し、他デバイスにパケット送信を行う。逆に、外部の他デバイスからのパケットを、データに変換してCPU1501に対して送信したりする。詳細は図1を用いて説明している。
上記構成要素1502〜1511はCPU1501が管理するシステムバス1514を介して、相互に接続されている。本実施例においては、撮像部1509を用いて画像データを撮影し、データ変換部1505を経て、メモリカード1512に画像データを保存する事ができる。そして操作部1507からの操作によって、画像データの転送指示ができる。転送指示を受けたらUWB1511を用いてデータをMFPなどの他デバイスに送信して印刷をすることができる。
図17は、図1で示したUWBユニットの状態遷移を表したUWBユニット状態遷移図である。1701は主動モードのデバイスの状態遷移を表したものであり、1702は受動モードのデバイスの状態遷移を表したものである。ここでいう主動モードとは送信機状態のことであり、データ送受信の必要性が生じたデバイスのことである。受動モードとは受信機状態のことであり、主動モードのデバイスからデータ送受信の開始信号を受け取るデバイスのことである。具体的には、デジタルカメラからMFPに対して印刷要求をして、MFPは画像データを受け取って印刷を行う場合は、デジタルカメラが主動モードになり、MFPが受動モードとなる。
1703はパワーオフ状態を表し、電源が入っていない状態のことである。この状態で、電源が投入されると、1704スリープ状態に遷移する。1704はスリープ状態を表し、電源は入っているが、UWBユニット100は動作していない状態である。この状態で、周期的、または何らかのトリガによって1705サーチ状態に遷移する。1705はサーチ状態を表し、後述する1709接続要求状態にあるデバイスからの接続要求信号を受信できる状態である。この状態で接続要求信号を受信すると1706接続要求受信状態に遷移する。または、一定周期時間が経過するか、何らかのトリガによって1704スリープ状態に遷移する。1706は接続要求受信状態を表し、1701主動モードにあるデバイスからの主動機IDを記憶してから、1707接続許可送出状態に遷移する。1707は接続許可送出状態を表し、1709接続要求状態にあるデバイスに対して接続許可信号を送出している状態である。この状態で受信確認応答信号を受信すると1708接続中状態に遷移する。1708は接続中状態を表し、1711接続中状態にあるデバイスとパケットを用いて通信可能な状態である。この状態で、1711接続中状態にあるデバイスから切断信号を受信するか、自らが切断信号を送出するか、または何らかのエラーにより接続を確立できない状況になったら1705サーチ状態に遷移する。
一方、主動モードにあるデバイスの状態遷移について述べる。1709は接続要求状態を表し、データの送受信の必要性が生じたために、接続要求信号を送出し続けている状態を表す。この状態で、所定の時間だけ接続要求信号を送出し続け、接続許可信号を受信できなかった場合は1705サーチ状態に遷移する。接続許可信号を受信できた場合は1710接続許可受信状態に遷移する。1710は接続許可受信状態を表し、接続許可信号を受信したら1702受動モードにあるデバイスからの受動機IDを記憶してから受信確認応答信号を送出してから1711接続中状態に遷移する。1711は接続中状態を表し、1708接続中状態にあるデバイスとパケットを用いて通信を行うことができる。この状態で、1708接続中状態にあるデバイスから切断信号を受信するか、自らが切断信号を送出するか、または何らかのエラーにより接続確立ができない状況になったら1705サーチ状態に遷移する。
図18は、図1で示したUWBユニット100が省電力モードになっている場合の状態遷移を表した図である。UWBユニット100は1705サーチ状態になっている方が、1704スリープ状態になっている時よりも多くの電力を消費する。そこで省電力モードにすることで消費電力を抑えることができる。省電力モードでは、1801に表すT1時間だけサーチ状態に遷移し、1802に示すT2時間だけスリープ状態に遷移する。T1時間は接続要求信号が受信できるだけの時間以上に設定する。T2時間は適用する装置ごとに任意に設定できるが、T2時間が長ければユーザが1701主動モードにあるデバイスを近接させてから1702受動モードにあるデバイスが反応するまでの時間が長くなる。デバイス毎に適用用途に応じてT2時間は設定するのが良い。
図19、図20は、UWBユニット同士が送受信に用いるパケットのフォーマットを表した図である。
図19はUWBユニットが通信を行う際に送受信に用いるマネージメントフレームの構成を表した図であり、マネージメントパケット1900はUWBユニット同士が接続を確立するために用いるパケットである。プリアンブル1901はフレーム送信の開始を認識させ、同期を取るタイミングを与えるための信号である。ヘッダ1902は1904から1909に示すデータで構成される。1904は主動モードにあるデバイスの機器IDを格納する。1905は受動モードにあるデバイスの機器IDを格納する。1905の機器IDは図1で前述したEEPROM105に格納されているIDのことである。1906はコマンドIDであり、接続の確立から切断までに用いるマネージメントコマンドをセットできる。ここでは具体的に接続要求、接続許可、受信確認応答、切断の4つの信号を表す。1907にはそれぞれのコマンドで用いられるパラメータをセットすることができる。1908にはパケット番号が格納されており、これは今回の接続処理が始まってから何番目のパケットかを示す通し番号である。1903は付加情報を表しており、必要に応じてマネージメントパケットに付加した情報を追加しても良い。
図19のACKパケット1910は全てのコマンドに対する返信に用いるパケットである。例外的にACKが必要でないパケットも幾つか有るが、基本的に全てのパケットに対してACKパケットがセットで返信される。コマンドID1911にはACKがセットされる。対応パケット番号1912には、どのパケットに対応するのか、1908または後述の2008に記載されるパケット番号がセットされる。
図20はUWBユニットが通信を行う際に送受信に用いるデータフレームの構成を表した図であり、データパケット2000はUWBユニット同士が接続を確立した後に、データを送受信する際に用いるパケットである。プリアンブル2001はプリアンブル1901と同等の機能をもつ。ヘッダ2002はコマンドID2006を除いてヘッダ1902と同様である。コマンドID2006はDATA_No.xxを表すコマンドがセットされる。xxの部分はデータパケットの通し番号が記載されている。2003はデータボディを表しており、プロトコルコマンドID2010と付加情報2011から構成される。プロトコルコマンドIDは画像転送コマンドや、画像転送終了コマンド、ステータス送信、中止要求コマンドなど、接続を確立した後に用いる全てのコマンドが定義されている。そして付加情報2011では、プロトコルコマンドIDで指定されたコマンドに対応する付加情報が記載されている。例えば、画像転送コマンドの時は付加情報2011には実際の画像情報がセットされ、ステータス送信の場合は現状のデバイスのステータスが送信される。
図21は、UWBユニット100を搭載しているデジタルカメラ1500とMFP500が通信を行って画像データを印刷する場合の、接続確立の際のシーケンスを表した図である。2100から2108まではシーケンス、及び動作を表しており、2109から2115まではデジタルカメラ1500及びMFP500が図17のUWBユニット状態遷移図に従って状態遷移する状態を表している。最初にサーチ状態にあるデジタルカメラを、ユーザが操作して印刷する画像を選択して印刷開始を指示する操作を行ってから、デジタルカメラをUWB無線機器置き場702に近接させる。するとデジタルカメラは接続要求状態2113に遷移し、マネージメントパケット1900に従った接続要求信号2100が送出される。接続要求信号は接続許可信号が返信されるか、所定の時間が経過するまで送出信号2101、2104というように送出されつづける。
このとき、MFPが省電力モードであった場合は図18のT1時間1801、T2時間1802に従ってそれぞれサーチ状態、スリープ状態を繰り返す状態である2109に遷移している。T1時間1801でサーチ状態になったときに接続要求を受け付けることができるので、2102で接続要求信号を受信する。送信要求信号を受け取ったら接続要求受信状態2110に遷移する。次にMFPは2103で主動機ID1904を記憶する。接続を許可できる主動機ID1904であったならば接続許可信号2105を送出する。デジタルカメラは接続許可信号2105を受信すると、接続許可受信状態に遷移し、2107で受動機ID1905を記憶し、受信確認応答信号2108を送信して接続中状態2115に遷移する。受信確認応答信号2108を受信したMFPは接続中状態2112に遷移する。デジタルカメラ、MFPが共に接続中状態に遷移することで接続を確立することができ、これより後はデータパケット2000を用いて相互にデータを送受信することができる。
なお、以上の説明ではマネージメントパケット1900に機器のIDが格納されているので、2103では、2102において受信した接続要求信号に含まれる主動機ID1904を記憶していた。しかし本発明はこれに限らず、マネージメントパケット1900に機器のIDが格納されない場合であってもよい。この場合、MFPは2102において接続要求信号を受信すると、デジタルカメラに対してIDを要求する信号を送り、そして、この信号を受信したデジタルカメラが主動機ID1904をMFPに送信すればよい。2103において、このような手順で送信されたIDを記憶する場合であっても、上述の図21と同様の処理を行うことができる。
図22は、UWBユニット100を搭載しているデジタルカメラ1500とMFP500が通信を行って画像データを印刷する場合の、接続確立した後に画像データを転送する際のシーケンスを表した図である。通常は画像データのサイズはデータパケットの最大サイズよりも大きいので、一枚の画像は複数のパケットに分割して送信される。2200は分割された画像のうちN番目の画像であることを表す画像転送Nである。データパケットはACK2202が返信されるまでMFPに対して送信され続ける。2200が何らかの原因でMFPまで到達しなかった場合でも、ACK2202が返信されるまで2201以降も送信されつづけるので問題は無い。2201は送信され続けている例を表している。ACK2202が返信されるとデジタルカメラは次のデータパケットである、2203の画像転送N+1を送信する。MFPは画像転送N+1を受信したら同様にACK2204を返信する。図22はプロトコルコマンドID2010が画像転送コマンドの場合を例に挙げたが、画像転送終了コマンド、ステータス送信、中止要求コマンドなどの場合でも同様である。また、無線通信においては、一部の例外を除いては基本的に正常に受信できたことを表すACKを返信することになっている。これ以降に示すシーケンスではACKは省略することにする。
図23、図24は、次のケースのシーケンス図を表したものである。簡単に説明すると、最初にデジタルカメラ1からMFPに対して印刷したい画像データを送信する。次にMFPで受信した画像データの印刷を開始する。印刷中に、MFPからデジタルカメラ1に印刷の状況を送信する。デジタルカメラ1では印刷の状況を表示部に表示する。同時にユーザからの指示も監視する。MFPでは、デジタルカメラ1以外に接続要求を送出しているデジタルカメラが存在しないかを探す。あったならば新しいデジタルカメラ2との通信を開始する。
図23は、UWB無線機器同士が接続を確立し、データを送受信し、ステータスを送受信し、且つ新たな機器からの信号をサーチしている際のシーケンスを表した図である。
上記説明した概要を、図23で始まるシーケンスを用いて詳細に説明する。まず2300では、図21に示すシーケンスでMFPとデジタルカメラ1の接続を確立する。このとき、デジタルカメラ1が主動モード1701であり、MFPが受動モード1702になる。次に、2301、2302では、図22に示すシーケンスでデジタルカメラ1からMFPに対して所望の画像データを送信する。2303では印刷状況をステータスとしてデジタルカメラ1に送信する。送信する情報には、印刷の残り時間、MFPのインク残量、エラーや警告がある場合にはユーザに対するメッセージなど、様々な情報が考えられる。2303は定期的に送信しても良いし、ステータスの変更があった毎に送信しても良い。2304ではユーザからの指示をMFPに送信する。例えばユーザによってデジタルカメラ1の操作部を用いて印刷中断操作がなされた場合には、デジタルカメラ1からMFPに対して変更命令を送信する。
次に2305では、MFPが新しいデジタルカメラが存在しないかを探すのだが、これを図17のUWBユニット状態遷移図をふまえて説明する。まず、MFPはデジタルカメラとデータを送受信しているので、接続中状態1708である。1708では一対一の接続が確立されているために新しいデジタルカメラが近接されてもMFPは応答することができない。そこで、一時的にサーチ状態1705に遷移する。遷移する際には、2103で記憶した主動機IDを記憶したままにしておいたままにする。または、主動機IDはRAM505の別領域に保存しておいても良い。サーチ状態1705になったMFPは所定の時間だけサーチ状態を保つことで接続要求状態1709にある新たなデジタルカメラを探すことができる。新たなデジタルカメラが見つからなかった場合には、擬似的に接続要求受信状態1706に遷移し、保存しておいた主動機IDを用いることで接続許可送出状態1707に遷移し、受信確認応答信号2108が無くても接続中状態1708に遷移させる。そうすることでMFPは再びデジタルカメラ1とステータス2303や変更命令2304を送受信することができる。
MFPが接続中状態1708と、サーチ状態1705の間を周期的に行き来することを、印刷中の期間、または新たなデジタルカメラ2が見つかるまで繰り返す(2306)。新たなデジタルカメラ2が見つかった場合は図24に示すシーケンスに遷移する。2305でMFPが新しいデジタルカメラが存在しないかを探すタイミングとしては、2303ステータス信号や2304変更命令信号が発生しない時間が望ましい。また、探している時間としては、次回の2303ステータス信号や2304変更命令信号が発生するであろう予測時間よりも短く設定するのが望ましい。
図24は、UWB無線機器同士が接続を確立し、データを送受信し、ステータスを送受信し、且つ新たな機器からの信号をサーチしている際に、新たな機器からの信号が見つかった場合のシーケンスを表した図である。MFPは接続要求信号2400を受信して、2400を送信した機器が接続を許可できる主動機IDであったならば接続許可信号2401を送出する。同時にMFPは2400中の主動機IDを記憶する。更に2402でデジタルカメラ1に対して切断信号を送出する。切断信号2402に対するACKがデジタルカメラ1から送信されたらMFPはデジタルカメラ1の主動機IDを破棄する。デジタルカメラ2は2401を受信したら、2401内の受動機IDを記憶して接続中状態に遷移してから2404の画像転送信号1を送出する。
以上の図23、図24に記載するフローを実施することで、MFPはデジタルカメラ1からの画像を受信して印刷中であるとき、デジタルカメラ1と通信してステータスやユーザの操作を送受信することができる。それと同時に新たなデジタルカメラ2が近接されていることを検知することもできる。
また図23において、2300の接続確立から2302の画像転送信号nまでの間は、MFPは新たなデジタルカメラの検知を行わず、2306を繰り返している間に検知を行う構成にしている。こうすることで、画像を転送している間は他デバイスの近接を無視できるので、確実に画像を転送することができる。
図25、図26、図27は、次のケースのシーケンス図を表したものである。簡単に説明すると、最初にデジタルカメラからMFPに対して印刷したい画像データを送信する。次にMFPで受信した画像データの印刷を開始する。画像はサイズの大きい画像や複数毎の場合、画像転送をしている最中にMFPの受信バッファがメモリフルになって一時的に画像データを受け付けられなくなる。その他、MFPの紙詰まりやインク切れなど、何らかの原因でMFPが画像を受けられなくなったとき、デジタルカメラに対して中断信号を送出する。そして、中断原因が解消したらデータ送信を再開する。
図25はMFPとデジタルカメラが接続を確立し、データを送受信し、MFPから中断信号を送る場合のシーケンスを表した図である。まず2500では、図21に示すシーケンスでMFPとデジタルカメラの接続を確立する。このとき、デジタルカメラが主動モード1701であり、MFPが受動モード1702になる。次に、2501では、図22に示すシーケンスでデジタルカメラ1からMFPに対して所望の画像データを送信する。このケースでは、n枚の画像を送信したい場合であり、2502でn−3枚目までの送信が完了する。ここでMFPの受信バッファがメモリフルをおこしてそれ以上画像データを受信できない状態になったとする。すると、MFPはデジタルカメラに対して中断信号を送出する。
デジタルカメラが画像データ転送を中断して再開を待つ休止モードには2種類あり、定期監視モードと、電源断モードである。定期監視モードはデジタルカメラの通信部は動作可能であり、つまりは通信可能な状態になっているが、それ以外の部分は省電力のために休止している状態のことを示す。この状態の時には通信部が再開要求信号を受信すればすぐに画像転送を再開することができる。一方、電源断モードはデジタルカメラの通信部が通信不可能な状態になっており、それ以外の部分も省電力のために休止している状態のことを示す。この状態の時には通信部は再開要求信号を受信することはできず、自らのタイマによって休止状態から起床しなければならない。
図26は、デジタルカメラを定期監視モードにした際の、画像転送を再開するシーケンスを表した図である。2503で中断信号を受信したデジタルカメラは定期監視モードになっている。デジタルカメラは再開要求信号2600を受信したら定期監視モードから起床して画像データを送信できる状態に復帰する。復帰が終了したら再開許可信号2601を送出してMFPに対して再開許可信号2600を送出する。次に先ほど送出が完了していなかった2602画像転送信号(n−3枚目)から再開して、2603画像転送信号(n枚目)まで転送が終了したら2604切断信号を送出して本シーケンスを終了する。
図27は、デジタルカメラを電源断モードにした際の、画像転送を再開するシーケンスを表した図である。2503で中断信号を受信したデジタルカメラは電源断モードになっている。電源断モードにする際には、2503中断信号において、デジタルカメラが電源断モードから復帰する時間を設定しておく。2700では、その時間が経過したら2701の再開要求信号を送出する。MFPは、再開が可能な状態であれば、2702再開許可信号を送出して画像データの送信を再開する。再開が不可能な状態であれば、再び2503の中断信号を送出してデジタルカメラを電源断モードにして2700から繰り返す。
電源断モードの方が定期監視モードよりも消費電力を低く抑えることができるため、印刷を中断して待つ場合は有利である。しかし、MFPからの再開要求信号が受けられないため、一定の間隔でMFPの状態を監視する必要がある。そこで、本発明ではMFPとデジタルカメラの画像データ転送が中断する原因に応じて電源断モードと定期監視モードを切り替えることにする。具体的には、MFPの再開時間が予測できる中断原因か否かにより切り替える。再開時間が予測できる中断原因としては、受信バッファのメモリフル、プリントヘッドの温度が異常に上昇する昇温エラー、プリントヘッドのクリーニングなどを行う回復中状態などが上げられる。また、再開時間が予測できない中断原因としては、紙詰まり、インクタンク交換、記録紙無しエラーなどが挙げられる。再開時間が予測できる中断原因が発生したときには、デジタルカメラに対して、電源断モードで中断するように指示する。再開時間が予測できない中断原因が発生したときには、デジタルカメラに対して定期監視モードで中断するように指示する。そうすることで、再開時間が予測可能な中断原因の時にはデジタルカメラの消費電力を抑える状態で中断でき、再開時間が予測不可能な中断原因の時には中断原因が解消されたときに速やかに画像転送を再開することができる。
<実施例2>
以下、本発明の一実施形態としての無線通信システムを説明する。本システムでは、UWBユニットを搭載したメモリカード、デジタルカメラ等のデバイスと、そのデバイスと実施例1で説明した近接無線通信が可能なメモリリーダから構成される。なお、メモリカードの場合は、その内容を読書きすることができる。このような構成において、特にメモリリーダのUWBユニットが移動する場合の実施例を示す。
本実施例2で説明するのは、次のようなケースである。最初に、メモリカードをメモリリーダにセットする。このメモリリーダの置き場には複数のメモリカードを任意の場所に置くことができる。またメモリリーダはメモリカードが置かれた平面上のXY方向にUWBユニットを走査してメモリカードを探索する機構をもっている。メモリカードの位置にUWBユニットを移動させて、メモリカード内のデータを送受信する。
図2は、メモリリーダ200の概略構成を表すブロック図である。UWBユニット201は、メモリカードなどの他デバイスとのデータ通信を行う通信部である。データをパケットに変換し、他デバイスにパケット送信を行う。逆に、外部の他デバイスからのパケットを変換して、データ蓄積部204に蓄積したりする。詳細は図1を用いて説明している。
本実施例では、UWBユニット201は可動式になっている。CPU202は、システム制御部であり、メモリリーダ200の全体を制御する。駆動制御部203は可動式のUWBユニット201の駆動を制御する。データ蓄積部204は、UWBユニット201を介して送受信されるデータをバッファする。送信の際にはデータ蓄積部204にデータを記憶しておき、逐次UWBユニットを通じて送信する。受信の際にはUWBユニットを通じて受信したデータを蓄積し、データ変換部205またはCPU202で処理されるのを待つ。データ変換部205ではホストデバイスとメモリカードリーダ200との間で所望のデータに変換して通信を行う。ホストデバイスI/F206はPCなどのホストデバイスとの論理的なI/Fを提供する。
図3は、メモリリーダ200の外観図である。UWB無線機器置き場300はメモリカードやデジタルカメラなど、UWBユニット100を搭載したUWB無線機器を載せる場所である。UWB無線機器置き場300においたデバイスは、デバイス側で送信指示を行うか、メモリリーダが接続されたPCを用いて受信指示を行うことで、デバイス側からPC側へデータを転送することができる。また、逆の指示を行うことでPC側からデバイス側へもデータを転送することができる。PCなどのホストデバイスとはコネクタ301を物理的なI/Fとして接続される。
図4は、メモリリーダ200の内部透視図である。400はXY駆動ユニットであり、XY方向への移動や、加減速の制御を行う。このXY駆動ユニット400によりXY駆動ユニット400はXシャフト401、Yシャフト402上をXY方向に自由に移動することができる。またXY駆動ユニット400上にはUWBユニットが搭載されており、このUWBユニットはUWB無線機器置き場300上に置かれたUWB無線機器と通信を行う。この通信の際には、減衰開始距離、及び電界有効閾値といったUWBユニットの信号の信号間隔を考慮して、なるべくUWB無線機器置き場300の表面に近い場所を駆動するようにする。この通信で得られたデータはフレキシブルケーブル403を介してメインボード404に転送される。このフレキシブルケーブル403は通信を行ったデータの送受信の他にも、XY駆動ユニットの制御信号の送受信、電源の供給のために用いられる。
図30は、XY駆動ユニットの走査を示す図である。
図30(a)は、XY駆動ユニット400が、UWB無線機器置き場300に置かれている位置を探索する様子を表した図である。走査エリア3000はUWB無線機器置き場300のエリアに対応しており、XY駆動ユニット400は走査エリア3000を漏れが無く走査する。走査ポイント3001は格子状に並べられており、XY駆動ユニット400は全ての走査ポイント3001でUWB無線機器を走査して無線機器の有無を検知する。ここでは、走査順3002に従って移動しながら走査を行う。
図30(b)において、走査ポイント間距離(L)3003は走査ポイント3001が並べられている間隔を表しており、探索間隔となる。Lは電界有効閾値(T)3004を考慮して、UWB無線機器がどの場所に置かれても検知できる値に設定する。
図33は、メモリリーダにおいて、主動モードのUWB無線機器を探索する場合のフローを表した図である。本フローはデジタルカメラ側で送信したい画像を選択し、UWB無線機器置き場300に置き、メモリリーダが読み取った画像データをPCに送信する場合を例に説明する。この場合は、デジタルカメラ側が主動モードになり、メモリリーダが受動モードになって走査を開始する(この走査モードのことを以後、主動モード走査と呼ぶ)。本フローでは、最初にUWB無線機器の位置を疎検出して例えば走査ポイント3001の4点の内部にあることを予測する。次にこの4点の中の予測ポイントを計算し、実際の位置を検出する。
本フローはS3300から始まり、S3301に進む。この時点で、デジタルカメラ側で画像が選択され、UWB無線機器置き場300に置かれている。S3301では、カードリーダのUWBユニットを受動モードのサーチ状態にしてS3302に進む。S3302ではデジタルカメラの位置を疎検出する。このS3302の詳細は図34のフローを用いて説明する。
図34はメモリリーダにおいて、主動モードのUWB無線機器を疎検出する場合のフローを表した図である。図34はS3400から始まり、S3401に進む。S3401では、XY駆動ユニット400は走査ポイント3001を走査順3002に従って走査する。S3402に進み、UWBユニットが検出した信号は一定値以上かどうかを判断する。一定値以上であれば、その走査ポイントの近辺にデジタルカメラが存在すると判断してS3403に進み、走査ポイント、信号レベル、主動機IDを記憶してS3404に進む。一定値以上でなければ、デジタルカメラは存在しないということなので、S3404に進む。S3404では全ての走査ポイントを走査したかどうかを判断し、全て走査したのならばS3405に進み、そうでなければS3401に戻る。S3405では、隣接する4点で信号レベルが一定値になっているエリアを検出する。具体的には図31で示されるようなエリアになる。図31はUWB無線機器の移動によるデバイス位置の疎検出を説明する図であり、3100の予測エリア1及び、3101の予測エリア2では4点において信号レベルが一定値以上になっている。全ての予測エリアを検出したら、S3406に進み、図34のフローを終了する。
S3302では、以上の図34のフローを実行してからS3303に遷移する。S3303では、S3302において少なくとも一つ以上の予測エリアが検出できたかどうかを判断する。できた場合にはS3304に進み、できなかった場合にはS3308に進み、本フローを終了する。S3304からS3307では疎検出で検出された予測エリアに対して詳細検出を行う。S3304では予測エリアの4点から予測デバイス位置を検出する。具体的には図32を用いて説明する。
図32はデバイスの位置の詳細検出を説明する図である。
S3302において疎検出をしたことで、図32(a)のように信号強度Aを持つ走査ポイント3201から信号強度Dを持つ走査ポイント3204までの4点での信号強度が分かる。信号の強度、すなわち電界の強度は距離の2乗または3乗に比例するため、電界の強さの平方根、または三乗根を用いて比を用いて予測デバイスまでの距離を算出することができる。したがって、上記4点の走査ポイントから予測デバイスまでの距離を算出することで予測デバイス位置3200を検出することができる。なお、2乗を用いるか、3乗を用いるかは、UWBユニットのカプラが静電界を用いるか、誘導電界を用いるかで判断すればよい。また、静電界で誘導電界無い場合でも、距離と信号強度の特性に応じて判断すれば良い。このようにしてS3304で予測デバイス位置3200を検出したら、S3305に進む。
S3305では予測デバイス位置3200を中心とした新たな4点を設定して、さらに詳細にデバイスの位置を検出する。具体的には図32(b)を用いて説明する。予測デバイス位置3200の周囲を一定の距離だけ離して正方形上に新たな4点を設定する。なお、この正方形は図32(a)で示した正方形よりも小さな正方形を設定する。その4点で測定した信号強度を3205信号強度A’から3208信号強度D’とする。図32(a)で説明した検出方法と同様に、3205信号強度A’から3208信号強度D’を用いてデバイス位置3209を検出する。
S3306ではデバイス位置3200とデジタルカメラの主動機IDを記憶してS3307に進む。S3307では、S3303で見つかった全ての予測エリアに対して詳細検出を行ったかを判断して、終わっていなかったらS3304に戻り、終わっていたらS3308に進み本フローを終了する。
以上で説明した図33、図34のフローを実施することで、XY駆動ユニット400が、UWB無線機器置き場300に置かれているUWB無線機器を精度良く検出することができる。このため、ユーザは任意の場所にデジタルカメラを置いた場合でも精度良くPCにデータを送信することができる。また、送受信に用いるデバイスとしてはデジタルカメラ、メモリカード、携帯電話などUWBユニットを搭載している任意の機器が考えられる。
次に、UWB無線機器置き場300に置かれたデジタルカメラに、PCに保存されたデータを送信する場合を例に説明する。この場合は、デジタルカメラ側が受動モードになっており、メモリリーダが主動モードになって走査を開始する(この走査モードのことを以後、受動モード走査と呼ぶ)。デジタルカメラなどのモバイル機器はバッテリ駆動のため、通常は図18に示すような省電力モードになっていることが多い。ここでは、送信先のデジタルカメラが省電力モードになっていても送信ができる例を示す。
最初に、カードリーダのUWBユニットを主動モードにする。次に疎検出をするために図35のフローを実施する。図35は、メモリリーダにおいて、受動モードのUWB無線機器を疎検出する場合のフローを表した図である。図35のフローはS3500から始まり、S3501に進む。S3501ではXY駆動ユニット400は走査ポイント3001を走査順3002に従って走査する。S3502では、S3501において走査するたびに、その走査ポイントで停止する。これは省電力モードとなっているデジタルカメラがサーチ状態となることを保証するためである。つまり、前述したように省電力モードとなっているデバイスはサーチ状態でないと通信する相手となるUWBユニットを認識することができない。またこの場合、図18に示したように一定時間間隔でサーチ状態となる。したがって少なくとも図18の1801T1時間は接続要求を出し続ける必要があるために、カードリーダのUWBユニットは走査ポイント3001毎に停止させる。こうすることで、省電力モードになっているデジタルカメラも検出することができる。
次にS3503に進み、カードリーダのUWBユニットにより検出された信号が一定値以上かどうかを判断する。一定値以上であれば、その走査ポイントの近辺にデジタルカメラが存在するということなので、S3504に進み、そうでなければS3506に進む。S3504では、走査ポイント、信号レベル、受動機IDを記憶してS3505に進む。S3505では検出したデジタルカメラの省電力モードを一時的に解除するコマンドを送信する。これにより、後に行う詳細検出のために走査する際には、上述のS3502のように走査ポイントでT1時間以上停止する必要は無くなる。S3506以降の処理は図34と同様であり、また詳細検出を終えた後の処理は、図33のS3303と同様であるので説明を省略する。
以上の処理を行うことで、受信モードにあるデジタルカメラがUWB無線機器置き場300に置かれた場合にその位置を検出することができ、またPCのデータをデジタルカメラに送信することができる。加えて、デジタルカメラが省電力モードになっている場合でもデジタルカメラの検出をすることができる。さらに、最初にデジタルカメラを検出した後、デジタルカメラの省電力モードを解除することで、次の詳細検出の際には走査ポイント毎に停止する必要が無く、効率よく詳細検出をすることができる。
次に図36では、UWB無線機器置き場300に置かれたデジタルカメラが送信をしたいのか、受信をしたいのかが不明な場合を説明する。図36は、メモリリーダにおいて、主動モードおよび主動モードのUWB無線機器を探索する場合のフローを表した図である。本フローはS3600から始まり、S3601に進む。S3601では、カードリーダのUWBユニットを主動モードでの接続要求状態、および受動モードでのサーチ状態を所定のタイミングで遷移する状態にする。なぜならば、デジタルカメラが主動モードの接続要求状態であった場合は、カードリーダが接続を確立するためには受動モードのサーチ状態にある必要があるからである。また逆にデジタルカメラが受動モードのサーチ状態(またはサーチ状態とスリープ状態を遷移する省電力モード)であった場合は、カードリーダが接続を確立するためには主動モードの接続要求状態である必要があるからである。なお、この走査モードのことを以後、混合モード走査と呼ぶ。
次にS3602ではデジタルカメラの位置を疎検出する。図37はこのS3602における疎検出の詳細を説明する図であり、メモリリーダにおいて、主動モードおよび主動モードのUWB無線機器を疎検出する場合のフローを表した図である。
図37のフローは、まずS3700から始まりS3701に進む。S3701では、XY駆動ユニット400は走査ポイント3001を走査順3002に従って走査する。まず、最初の走査ポイントに到着したら、S3702に進む。S3702ではカードリーダのUWBユニットを主動モードの接続要求状態にする。S3703では、上述のS3502と同様に走査ポイントで停止して、S3704に進む。S3704およびS3705は、上述のS3503およびS3505と同等なので説明を省略する。S3706では、S3506の動作に加えて、デジタルカメラのモードが受動モードなのか、主動モードなのかを記憶する。次にS3707では、カードリーダのUWBユニットを受動モードのサーチ状態にする。S3708以降の処理は上述した処理と同等なので、説明を省略する。
このようにS3702、S3707で主動モード、受動モードを切り替えることにより、UWB無線機器置き場300に置かれるデジタルカメラが送信をしたいのか、受信をしたいのかが不明な場合でも、デジタルカメラを検出することができる。
以上で説明したようにUWBユニットが平面上で移動可能な装置の別の例として、UWBユニットを搭載したMFPを示す。なお、ここではMFPの場合を示すが、印刷装置を有さないスキャナでもよい。
次に、図38はUWB機器置き場に置かれた機器を走査して探索する際に、使用するMFPの機能によって走査するモードを切り替えるフローである。切り替えるモードは、具体的には主動モード走査、受動モード走査、混合モード走査である。本フローはS3800から始まり、S3801に進む。S3801ではユーザは操作部703を用いてプリント、またはスキャン、またはオートの指示を行う。するとS3802では、使用した機能がプリントであればS3803に進み、使用した機能がスキャンであればS3804に進み、使用した機能がオートであればS3805に進む。S3803では、デジタルカメラ等のUWB機器側で印刷したい画像を選択して主動モードにしてからUWB機器置き場においてあることを想定できるので、図33で示したような主動モード走査でUWB機器を探索する。一方S3804では、読み取った原稿の画像データをデジタルカメラ等のUWB機器に転送することを想定できるので、UWB機器は受動モードであり、図35で示した受動モード走査でUWB機器を探索する。さらにS3805では、デジタルカメラ1001がどちらのモードで置かれているか不明であるので、図36で示したような混合モード走査でUWB機器を探索する。この場合、UWB機器のモードによって、MFPのプリント機能を利用するか、スキャン機能を利用するかが判断される。
以上の図38に示すフローを実行することで、プリントの時は走査スピードが速い主動モード走査を選び、スキャン、オートの時はそれぞれの走査モードを自動的に選んでくれるので、ユーザは最適な走査を自動で使い分けることができる。
<実施例3>
以下、本発明の一実施形態としての無線通信システムを説明する。実施例2ではUWBユニットが移動可能に搭載されている無線通信システムを説明したが、本実施例では特にUWBユニットが読取装置における読取センサに搭載されている場合を説明する。
図9は、読取センサにUWBユニットを搭載したMFPを示す図である。図9(a)の読取センサ903は読取方向904の方向に水平に移動する。従ってUWB機器置き場906は、例えば図9(b)に示すような長楕円の形になる。このUWB機器置き場906は原稿蓋を閉めた上面に位置しており、この上にデジタルカメラ1001などのUWB無線機器を置くことで、前述のカードリーダの場合と同様にデータの送受信をすることができる。またこの構成では、読取センサ903の駆動部とUWBユニット902の駆動部を兼用できるため、別々の駆動部を設ける場合に比べてコストがかからないといえる。
図10は、図9で示した装置の利用方法の一例を示す図であり、次のような利用方法も考えられる。ガラス台901上に原稿1000を置き、原稿蓋905を閉めて、UWB機器置き場906にデジタルカメラ1001を置く。このようにセットした状態で、原稿の読み取りを開始する。まず多くのMFPでは原稿台に置かれた原稿の領域を検知するためにプレスキャンを行う必要があるので、読取センサ903は画像を読み取りながら読取方向904に進んでいく。このとき読取と同時に、UWBユニット902がUWB無線機器を探索しながら進んでいく。この結果デジタルカメラ1001が検出された場合は、その検出された位置を記憶する。
このプレスキャンの後、再び読取センサ903が904で示した方向に走査して検知された領域の画像を読み取る。そして本構成によれば、この読み取った画像を、UWBユニット902を介してデジタルカメラ1001に転送することができる。このとき、プレスキャンの際に検出されたデジタルカメラ1001の位置にUWBユニット902を移動させればよい。例えば図10に示す位置で原稿、デジタルカメラが置かれた場合、原稿1000を読み取った後、デジタルカメラ1001の位置へUWBユニット902を移動させる。なお、図10においてデジタルカメラ1001が原稿上に置かれた場合でも、通常の読取動作では読取センサは画像を読み取ったあと図9(a)に示す所定の位置に戻る為、UWBユニット902を特別にデジタルカメラの位置に移動させる必要がない。また、UWB無線機器の探索は、プレスキャンに続く2回目の読取動作の際に行ってもよい。
またUWB無線機器の探索の結果、機器が検出された場合は、読み取った原稿の画像データを検出された機器に転送し、検出されなかった場合は例えばMFPに装着されたメモリカードに格納してもよい。そうすることでユーザは、1回の操作で原稿の読取指示に加えて、格納先の指示を行うことができる。また複数のデジタルカメラ1001が見つかった場合は、一度の操作で複数のデジタルカメラ1001に転送できるため、ユーザは何度も転送する煩わしさが無い。さらに、複数の原稿1000と複数のデジタルカメラ1001を対応する位置に配置してから読み取りを開始することで、対応する位置のデジタルカメラに対応する位置の原稿の画像データを転送することもできる。なお、この原稿の位置と転送するデジタルカメラの位置の関係は、位置関係に関する所定の条件に基づいて自動で判断させてよいし、操作キーや表示画面といったUIを用いてユーザが設定できるようにしてもよい。
<実施例4>
以下、本発明の一実施形態としての無線通信システムを説明する。実施例3ではUWBユニットが読取センサに搭載されて移動可能に搭載されている無線通信システムを説明したが、本実施例ではプリントキャリッジにUWBユニットが搭載されている場合を説明する。実施例2では、プリンタ、スキャナなどが複合的に組み合わさったMFPを想定したが、実施例3ではインクジェット方式プリンタ機能のみを持ったSFP(Single Function Printer)について説明する。
図11は、SFP1100の概略構成を示すブロック図である。SFP1100は図5で説明したMFP500から構成を加減したブロック図で説明できる。削除分は読取制御部508、読取部510、表示部511、メモリカードコントローラ516、メモリカード519、フレキシブルケーブル522である。またここではUWBユニットは、UWBユニットA1117、UWBユニットB1118の2つが設けられてある。メインボード1101とプリントキャリッジ1102はそれぞれ、これらUWBユニットB1118とUWBユニット1117を介して通信が行われる。これによりフレキシブルケーブル522は削除することができるが、詳細は後述する。また、その他のブロックの説明は図5と同等なので省略する。
図12は、SFP1100の外観および内部構成の透視図である。メインボード1101がSFP筐体の右側下方に取り付けられている。プリントキャリッジ1102は記録制御部1119の制御により、シャフトに従って水平方向に移動する。このプリントキャリッジ1102は、不図示のエンコーダを読み取ることでシャフトのどの位置にいるかを知ることができる。このように水平方向に移動しながら、プリントヘッド制御部1113がインクの吐出制御を行い、プリントヘッド1114がインクを用紙に吐出することで用紙上に画像を形成する。
UWBユニットB1118はUWB無線機器置き場1205に近接されたデジタルカメラ1206などのUWB無線機器から画像データを受信する。UWBユニットB1118は受信した画像データをメインボード1101に送信して、メインボード1101では各種の画像処理や、また画像データからプリントデータへの変換が行われる。その後、再びUWBユニットB1118を用いて、メインボード1101で得られたプリントデータをUWBユニットA1117に送信する。するとUWBユニットA1117が受信したプリントデータに基づき、プリントヘッド制御部1113がプリントヘッド1114にインクの吐出をさせることで、印刷を行うことができる。なお、UWBユニット間の通信のタイミングはプリントキャリッジ1102がUWBユニットB1118に近接したときであり、図12においてはプリントキャリッジ1102が右端付近に移動したときである。このようにプリントキャリッジ1102が右端にきたときの場所をホームポジションと定める。このホームポジションの位置には図示していないがプリントヘッドの回復ユニットがあり、インクの目詰まりを防止する定期吐出に使うインクの吸収体や、乾燥防止用のキャップなどで構成されている。
図12で示すように、メインボード1101とプリントキャリッジ1102を、近接無線通信を行うことができるUWBユニットで無線接続することで印刷が可能であるので、フレキシブルケーブルが不要となる。しかも近接無線通信であるため、複数のSFPが近くにある場合でも複雑な通信プロトコルを必要としないため、スループットを挙げることができるので、プリントキャリッジの速度を早くできるという効果も有する。
図28は図11、図12で説明したSFPがデジタルカメラからの画像データの印刷を行う処理を説明するシーケンス図である。
最初にデジタルカメラ側で、ユーザが印刷する画像を選択して画像を送信する操作をしてから、デジタルカメラをUWB無線機器置き場1205に置く。この時点で、デジタルカメラは主動モードとなっており、またSFPは受動モードとなっている。すると2800接続確立によって、デジタルカメラとUWBユニットBとの接続が確立される。この接続確立において、デジタルカメラはUWBユニットBの受動機IDを記憶し、UWBユニットBはデジタルカメラの主動機IDを記憶する。次にSFPは2801でプリントキャリッジ1102をホームポジションに移動させて、UWBユニットAとUWBユニットBが通信できる状態にしておく。次に、2802では、UWBユニットAとUWBユニットBの接続を確立する。このときUWBユニットBは、UWBユニットAの主動機IDをデジタルカメラの主動機IDとは別の領域に保存する。これによってUWBユニットBは、デジタルカメラと通信するか、UWBユニットAと通信するかを、選択的に切り替えることができる。ただしこの場合、同時に両方と通信することはできない。
2803では、UWBユニットBはデジタルカメラとの接続に切り替える。2804では画像データ要求信号をデジタルカメラに対して送信する。2805で、デジタルカメラはユーザ操作によって選択された画像の画像データの転送を開始する。2805、2806等のように一枚の画像データは複数のパケットに分割されて送信される。2807において、UWBユニットBが所定のサイズの画像データを受信したら、データ変換部1107により画像データをプリントデータに変換してから、UWBユニットAに送信する準備を行う。2808では、UWBユニットBはデジタルカメラとの接続を一時的に中断して、UWBユニットAとの接続状態にする。
不図示のエンコーダからの情報により、プリントキャリッジ1102がホームポジションに接近することがわかると、2809、2810においてプリントデータをUWBユニットBからUWBユニットAに対して送信する。このように複数回でプリントデータを送信して、UWBユニットAが所定量のプリントデータを受信したらプリントキャリッジは印刷を開始する。2811の印刷中は、プリントキャリッジ1102はシャフト上を往復動作するために、UWBユニットAとUWBユニットBは通信することができない。2812で、UWBユニットBはデジタルカメラとの接続状態にして、2813ではデジタルカメラに対して、画像データの続きを送出するように要求する。2814から2816ではデジタルカメラからUWBユニットBに対して続きのデータを送出する。なおデータを送出する時間は、2811でプリントキャリッジが往復のために用いる時間とすると効率が良い。
2817では2807と同様に、UWBユニットBが受信した画像データをプリントデータに変換してから、UWBユニットAに送信する準備を行う。プリントキャリッジは2811での印刷が終わったらプリントキャリッジをホームポジションに移動しておく。2818でUWBユニットBはUWBユニットAとの接続状態にする。2820でUWBユニットBはUWBユニットAに対してプリントデータを転送する。この後は、印刷が終わるまで2809から2818までのシーケンスを繰り返すことで印刷をすることができる。
以上の図12の構成、及び図28に示すフローを実施することで、SFPはデジタルカメラからのデータを無線で受信することができる。また、メインボードとプリントキャリッジの間を無線で送受信できるので、フレキシブルケーブルが不要となる。加えて、近接無線で送受信するため、周囲の無線機器の影響を受けることが無いので、シンプルなプロトコルで通信でき、スループットを改善できる。さらに、UWBユニットBはデジタルカメラからの受信と、プリントキャリッジへの送信を兼ねているため、装置のコストダウンにもつながる。
次に、SFPのプリントキャリッジにUWBユニットを備えている構成の別の一例を示す。図13はプリントキャリッジ1102とメインボード1101とUWBユニット1303が一体型になったSFPを示す図である。この図のSFPのプリント中には、メインボード1101及びUWBユニット1303は、プリントキャリッジ1102とともにシャフトに沿って水平方向に移動する。したがってUWBユニット1303がUWB無線機器置き場1304の下を通過する際に、デジタルカメラとUWBユニットはデータを送受信することができる。図13の例では、UWB無線機器置き場1304はプリントキャリッジの移動する範囲の中央に配置されている。これは、印刷用紙の給紙が中央基準になっているため、プリントキャリッジ1102は中央付近を往復する確率が高いためである。UWB無線機器置き場1304の位置は、装置の給紙機構や、回復ユニットの位置を考慮した位置に配置するのが好ましい。
なお図13の構成は、図11のブロックを改変した構成で実現できる。具体的にはUWBユニットA1117を削除し、メインボード1101とプリントキャリッジ1102を一体にしてバスケーブルで接続した構成となる。
図29は図13で説明したSFPがデジタルカメラからの画像データの印刷を行う処理を説明するシーケンス図である。
最初にデジタルカメラ側で、ユーザが印刷する画像を選択して画像を送信する操作をしてから、デジタルカメラをUWB無線機器置き場1304に置く。この時点で、デジタルカメラは主動モードとなっており、またSFPは受動モードとなっている。
まず2900でプリントキャリッジ1102はホームポジションに移動する。ここでいうホームポジションとは、UWB無線機器置き場1304の下で、デジタルカメラとUWBユニットが通信可能な位置を指す。2900でホームポジションに移動するトリガは、ユーザがプリンタ側で印刷開始のトリガを与えてもよいし、プリントキャリッジ1102のデフォルトの位置をホームポジションにしても良い。2901の接続確立によって、デジタルカメラとUWBユニットとの接続が確立される。デジタルカメラはUWBユニットの受動機IDを記憶し、またUWBユニットBはデジタルカメラの主動機IDを記憶する。
2902では画像データ要求信号をデジタルカメラに対して送信する。2903で、デジタルカメラはユーザ操作によって選択された画像の画像データの転送を開始する。2903、2904等のように一枚の画像データは複数のパケットに分割されて送信される。このように所定のサイズの画像データがUWBユニットにより受信されたら、プリントキャリッジは印刷を開始する。2905では、メインボード1101により得られたプリントデータに基づきプリントヘッド1114がインクを吐出して印刷を行う。このプリントデータの生成方法は図28と同様であり、詳細な説明は省略する。プリントキャリッジ1102はシャフト上を往復動作するために、移動中はデジタルカメラとUWBユニットは通信することができない。2906で、プリントキャリッジは受信した画像データを全て印刷し終わったら、ホームポジションに移動する。または、プリントキャリッジが印刷中にホームポジションを通過したら2906に遷移しても良い。2907以降は印刷が終わるまで2902からのシーケンスを繰り返すことになるので説明は省略する。
図13で示すように、プリントキャリッジ1102とメインボード1101とUWBユニット1303を一体型に配置することで、図12におけるUWBユニットBを削除することができ、さらにコストダウンすることができる。また、UWB無線機器置き場1304はプリントキャリッジが往復する際に、印刷の基準点に配置されることで、データの送受信の効率を上げることができる。
<実施例5>
以下、本発明の一実施形態としての無線通信システムを説明する。以上の実施例で説明した無線通信システムでは、UWBユニットが搭載された装置のユーザによる指示は、例えばキーなどの操作部への操作で行われる場合を想定して説明したが、本発明はそれに限るものではない。本実施例ではユーザの指示をナビシートにより行う場合を説明する。
図16は、ユーザがUWB無線通信に関する指示をするためのナビシートを示す図である。ナビシートとは、ユーザがMFPに対して操作の指示をするためのシートであり、例えば図のナビシート1600はマークシート方式のシートである。ユーザは所望の箇所にマークして、MFPはこのマークされたシートを読み取ってマークされた箇所を判別することで、ユーザの指示を入力することができる。特にこの図のようにマークシート方式の場合、一覧性よく操作指示できる。
次に、ユーザがこのナビシートを使用した場合のUWB無線通信の一例を説明する。最初に、UWB機器置き場に少なくとも一つ以上のUWB無線機器を置く。次にUWBユニットが置かれたUWB無線機器をすべて検出する。なお検出する際には、各UWB無線機器内のデータの一覧も取得する。
次に、図16で示したナビシート1600を印刷する。図の1601は検出されたデバイスの一覧を印刷するエリアである。今回の例では、カメラA、カメラB、携帯電話Aが検出されている。1602、1603は実行する機能を選択する欄であり、データ転送を指示するために1602を選択した場合には、送信する側のデバイス1604と受信する側のデバイス1605を選択する。印刷を指示するために1603を選択した場合には、MFPの印刷部で印刷させたい画像データを有するデバイス1606を選択する。1607から1609までは、検出されたデバイスの内部のデータ一覧をあらわしている。1602を選んだ場合は、送信するデバイスの中から送信するデータを選択する。1603を選んだ場合は、印刷するデバイスの中から印刷するデータを選択する。ユーザはすべて記入が済んだら、ナビシート1600をMFPの原稿台に置き、原稿を読み取る。原稿を読み取ったMFPは、ナビシートにより指示された処理を実行する。
<実施例6>
以下、本発明の一実施形態としての無線通信システムを説明する。以上の実施例では、高速であり、近距離で行うUWB方式の近接無線通信について説明した。本実施例ではこの近接無線通信の他に、この近接無線通信と比較して低速であるが、長距離で通信可能な無線通信を利用する場合を説明する。例えば次のようなケースがある。
最初に、デジタルカメラをユーザが操作して、UWB方式の近接無線通信を用いてデジタル画像を送信するための状態に遷移させる。次にMFPが、デジタルカメラから近接無線通信により画像データを受信して印刷する。
このように印刷をしている間は、デジタルカメラは印刷の状況をMFPから受信して表示部に表示し、またユーザからの追加指示がある場合はその指示をMFPに送信する。このような通信では、例えばMFPに搭載されたUWBユニットが印刷中に移動する場合には、近距離の通信が行えないことがある。したがって、このような印刷の状況の送受信、およびユーザからの追加指示の送受信には、UWB方式のような近距離で高速な通信が可能な近接無線通信ではなく、低速であるが長距離で通信可能な長距離無線通信方式を用いられる。このような通信方式として、例えばBlueTooth(商標登録)などが例に挙げられる。
図39はUWB無線通信からBlueTooth通信へ切り替える処理を示すフローである。なお、このフローに入る以前はBlueTooth通信に設定されており、MFPは印刷の状況をデジタルカメラに送信して、デジタルカメラからの指示を受けた場合はそれを実行している。またMFPは同時に新たなデジタルカメラからの接続要求が無いかを監視している。この状況で、ユーザがデジタルカメラを操作し、印刷する画像を選択して画像を送信ためのモードに設定してから、デジタルカメラをUWB無線機器置き場に置く。
S3901では図15で示したデジタルカメラ1500と図5で示したMFP500とのUWB接続を確立してS3902に進む。S3902では、UWBユニットを用いて画像データをデジタルカメラ1500からMFP500に送信する。画像データの転送が終わり、MFPが印刷動作に入るとS3903に進んでUWB無線通信の接続を切断する。次に、MFP500のBlueTooth通信部513と、デジタルカメラ1500のBlueTooth通信部1506を用いて通信を確立する。S3905に進み、BlueToothを用いてMFP500の印刷のステータスを送受信したり、ユーザからの追加指示がある場合はその指示をMFPに送信したりする。
本実施例では、高速通信が必要な場合はUWB方式の近接高速通信を用い、比較的低速通信で良いステータスの送受信などはBlueToothを用いる。これにより、ユーザは画像通信が終わった後からはすぐに次の操作を行うことができ、機器の使用効率が高まるという効果が得られる。
<実施例7>
以下、本発明の一実施形態としての無線通信システムを説明する。本システムは前述のMFP500、及び、SFP1100に関するものであり、以上の実施例でも説明したUWB無線機器置き場に関する実施例である。
図8は可動式操作部を示す図である。MFP500において、操作部703の形状を図8(A)に示すような可動式操作部800のようにする。この可動式操作部800を図8(B)のように可動させると、下面にはUWB無線機器置き場801が現れる構成になっている。また可動式操作部800は、閉じている間はUWBユニットの電界が届かない距離になるようになっている。つまり、可動式操作部800の厚みは電界有効閾値よりも大きい値になっており、可動式操作部800はMFPの壁面までにはUWBユニットの電界が届かない距離に配置されている。
この図8に示すような開閉式の構成にすることで、UWB無線通信機器が不意に近接されたために、ユーザが意図しない通信が開始されてしまうことを防ぐことができる。例えば、ユーザがデジタルカメラを主動モードにしていた場合、デジタルカメラを携帯したままMFPを操作している最中に誤って通信が確立されてしまい、意図しない画像を印刷してしまうことを防ぐことができる。
また図8の可動式操作部800が(A)に示すような状態の時にはUWBユニットの電界を遮断して送受信できない状態にし、(B)に示すような状態の時にはUWBユニットの電界を送受信できる状態にするように制御しても良い。このような制御をすることで、意図しない画像を印刷してしまう可能性を更に低くすることができる。また、消費電力を低く抑えることもできる。
また図13に示すSFPでは、UWB無線機器置き場1304にデジタルカメラを置いてから印刷する構成になっている。このとき、プリントキャリッジ1102が水平方向に往復移動を繰り返しながら印刷を行うので、SFPの筐体に振動が生じる。また、印刷用紙を給紙、搬送及び排紙する動作においても筐体に振動が生じる。
そこで図14に、UWB無線機器置き場の形状の例を表す。UWB無線機器置き場1304を図14(A)UWB無線機器置き場1に示すような形状にする。このようにUWB無線機器置き場に窪みを持たせることで、前記の筐体の振動が発生した場合でも、デジタルカメラなどのUWB無線機器が転落してしまうことを防ぐことができる。なお、この窪みは転落を防げるだけの深度を持つ。また、図14(B)UWB無線機器置き場2に示すように、摩擦係数の大きい部材を窪みに接着等で設けても良い。このような構成により、転落防止の効果を向上させることができる。
また、図14(C)UWB無線機器置き場3に示すように、プリントキャリッジ1102の特性を考慮して片側に傾斜した形状にしても良い。プリントキャリッジ1102は制御の方式によって往復動作のうち、往路の方が速度が速いため、振動によるデジタルカメラの移動は一方向に偏ってしまう。したがって図14(C)のような構成にして、移動が予測される側に傾斜を傾けておけば、デジタルカメラが転落する可能性を低くすることができる。また、UWB無線機器は対象の機器の大きさが限定されていない場合、図14(A)の構成では、窪みに収まらない可能性があるが、図14(C)では任意の大きさの機器でも対応できる。また、図14(D)に示すように、鋭角方のつけて振動によって移動した場合は一箇所に集まるようにしても良い。集まる場所は、UWBユニットの信号が最も強く送受信できる場所に設定する。そうすることで、ユーザが多少ずれた場所にデジタルカメラをセットしても、振動によって最適な場所に戻る可能性がある。