JP2010010564A - パワーモジュール用基板の製造方法及びパワーモジュール用基板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】セラミックス基板2の上に回路層用金属板7をろう付け接合してなるパワーモジュール用基板の製造方法であって、セラミックス粉末をガス中に分散してエアロゾル化し、そのエアロゾルをセラミックス基板2に噴射することにより、該セラミックス基板2の表面にセラミックス被膜6を形成し、その後、該セラミックス被膜6の上に回路層用金属板7をろう付け接合する。
【選択図】図3
Description
一方、この種のパワーモジュールは、回路層とは反対側の面が放熱のために冷却器に取り付けられるが、その場合に、セラミックス基板に放熱用金属板を接合し、該放熱用金属板を冷却器に接合するようにしている。また、特許文献2記載のパワーモジュールでは、放熱用金属板をセラミックス基板と熱膨張率の近似した材料からなる緩衝層を介在させて冷却器に接合することにより、熱歪みの発生を防止するようにしている。
しかしながら、従来のセラミックス基板として多く用いられてきた窒化アルミニウム(AlN)基板では、通常のハンドリングではセラミックス基板の表面にわずかなすり傷が発生し易く、セラミックス基板への熱サイクル環境が厳しくなると、その傷が起点となってセラミックス基板の割れにつながるという懸念が生じてきた。この場合、セラミックス基板の表面を再研磨することも考えられるが、再研磨により、いわゆるマイクロクラックが発生して、新たな割れの原因となるおそれがある。
このような組み合わせであると、回路層用金属板のろう付けの接合性、回路層用金属板からセラミックス基板への熱伝達性がさらに良好となり、信頼性の高いパワーモジュール用基板を製造することができる。
また、本発明に係るパワーモジュール用基板において、前記セラミックス基板は窒化アルミニウムであり、前記回路層用金属板はアルミニウム又はその合金であり、前記セラミックス粒子は酸化アルミニウムである構成としてもよい。
図1は、本発明に係るパワーモジュール用基板を用いたパワーモジュールを示している。この図1に示されるパワーモジュール1は、セラミックス基板2を有するパワーモジュール用基板3と、該パワーモジュール用基板3の表面に搭載された半導体チップ等の電子部品4と、パワーモジュール用基板3の裏面に接合された冷却器5とから構成されている。
また、セラミックス基板2は、例えばAlN(窒化アルミニウム)、Si3N4(窒化珪素)等の窒化物系セラミックス、若しくはAl2O3(アルミナ)等の酸化物系セラミックスにより形成され、回路層用金属板7は、純アルミニウム若しくはアルミニウム合金からなる金属板により形成されている。
また、セラミックス被膜6は、例えばAl2O3(アルミナ)の微細粒子からなり、後述のエアロゾルデポジション(Aerosol Deposition)法(AD法ともいう)により形成されたものである。
また、この回路層用金属板7は、その表面にはんだの濡れ性を向上させるために、ニッケルメッキ処理によってニッケルメッキ膜8が形成されている。
そして、回路層用金属板7の上に、Sn−Ag−Cu系、Zn−Al系若しくはPb−Sn系等のはんだ材によって電子部品4が接合される。図中符号9がそのはんだ接合層を示す。なお、電子部品4と回路層用金属板7の端子部との間は、アルミニウムからなるボンディングワイヤ(図示略)により接続される。
一方、冷却器5は、アルミニウム合金の押し出し成形によって形成され、その長さ方向に沿って冷却水を流通させるための多数の流路10が形成されており、セラミックス基板2との間はろう付けによって接合される。
まず、セラミックス基板2を製作して、その表面に、エアロゾルデポジション法によりセラミックス被膜6を形成する。図2は、セラミックス基板2の表面にエアロゾルデポジション法によりセラミックス被膜6を形成するための被膜形成装置11の例を示している。この被膜形成装置11は、セラミックス粉末をエアロゾル化するエアロゾル生成チャンバ12と、そのエアロゾルをセラミックス基板2の表面に噴射してセラミックス被膜6を形成する処理チャンバ13とを備えている。
処理チャンバ13は、エアロゾル生成チャンバ12からの搬送管15が内部に挿入されるとともに、その先端に垂直方向に沿って噴射ノズル16が設けられており、この噴射ノズル16に対向するようにセラミックス基板2を搭載するステージ17が設けられている。
このステージ17は、噴射ノズル16からの噴射方向と直交する水平方向に沿ってセラミックス基板2を保持して、X方向、Y方向及びZ方向にセラミックス基板2を移動することができる構成である。また、処理チャンバ13内は、真空ポンプ18によって真空引きされるようになっている。
一方、処理チャンバ13内は真空ポンプ18によって真空引きされており、該処理チャンバ13とエアロゾル生成チャンバ12との差圧によってエアロゾルが搬送管15を経由して噴射ノズル16に導かれ、その先端から噴射させられる。また、処理チャンバ13内においては、ステージ17の上にセラミックス基板2が搭載されており、該セラミックス基板2は、図3(a)に示すようにステージ17によって水平方向に移動しながら、噴射ノズル16から噴射したセラミックス粉末のエアロゾルが表面に衝突し、図3(c)に示すように表面全面にセラミックス被膜6が形成される。
このセラミックス被膜6は、エアロゾル化したセラミックス粉末が衝突時の衝撃によってさらに破砕、変形して、より微細な粒子となってセラミックス基板2の表面に付着して形成されたものである。この場合、破砕により生じたセラミックス粉末の高活性な新生表面がセラミックス基板2あるいは他のセラミックス粉末と結合することにより、セラミックス基板2表面に緻密な層として形成される。
なお、セラミックス被膜6を構成している各粒子径の最大値は500nm以下とされる。また、膜厚は、均一な被膜に形成するために、1〜2μmが好ましい。
したがって、前述した緻密組織に形成することができる効果と相まって、このセラミックス基板2は、抗折強度が向上し、過酷な熱サイクル条件でも割れ等が生じにくく、また、そのセラミックス被膜6の上にろう付けされる回路層用金属板7の密着性が向上するとともに、パワーモジュール用の絶縁基板としての信頼性を高めることができるものである。なお、セラミックス粉末としてアルミナを用いたことにより、ろう付け接合性がより高められ、強固な接合強度を発揮することができる。
例えば、セラミックス被膜を構成する材料としては、アルミナの他にも、AlN(窒化アルミニウム)、Si3N4(窒化珪素)等も適用可能である。また、セラミックス基板に冷却器を直接接合したが、セラミックス基板に放熱用金属板を接合した上で、この放熱用金属板を冷却器に接合するようにしてもよい。
2 絶縁基板
3 パワーモジュール用基板
4 電子部品
5 冷却器
6 セラミックス被膜
7 回路層用金属板
8 ニッケルメッキ膜
9 はんだ接合層
10 流路
11 被膜形成装置
12 エアロゾル生成チャンバ
13 処理チャンバ
14 キャリアガス供給系
15 搬送管
16 噴射ノズル
17 ステージ
18 真空ポンプ
Claims (5)
- セラミックス基板の上に回路層用金属板をろう付け接合してなるパワーモジュール用基板の製造方法であって、
セラミックス粉末をガス中に分散してエアロゾル化し、そのエアロゾルを前記セラミックス基板に噴射することにより、該セラミックス基板の表面にセラミックス被膜を形成し、その後、該セラミックス被膜の上に前記回路層用金属板をろう付け接合することを特徴とするパワーモジュール用基板の製造方法。 - 前記セラミックス基板に噴射する前の前記セラミックス粉末の平均粒子径が0.1〜0.7μmであり、前記セラミックス被膜は、その膜厚が1〜2μmであり、被膜中のセラミックス粒子の最大部分の径の平均が10〜50nmであることを特徴とする請求項1記載のパワーモジュール用基板の製造方法。
- 前記セラミックス基板は窒化アルミニウムであり、前記回路層用金属板はアルミニウム又はその合金であり、前記セラミックス粉末は酸化アルミニウムであることを特徴とする請求項1又は2記載のパワーモジュール用基板の製造方法。
- セラミックス基板の表面にセラミックス被膜が形成され、該セラミックス被膜の上に回路層用金属板がろう付け接合されてなり、前記セラミックス被膜は、膜厚が1〜2μmであり、膜中のセラミックス粒子の最大部分の径の平均が10〜50nmであることを特徴とするパワーモジュール用基板。
- 前記セラミックス基板は窒化アルミニウムであり、前記回路層用金属板はアルミニウム又はその合金であり、前記セラミックス粒子は酸化アルミニウムであることを特徴とする請求項4記載のパワーモジュール用基板。
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