JP2010009807A - 空気極用燃料電池触媒、その製造方法、電極および燃料電池 - Google Patents

空気極用燃料電池触媒、その製造方法、電極および燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】耐久性を有し、酸素還元反応を起こりやすくさせることができる空気極用燃料電池触媒を提供する。
【解決手段】グラファイト状構造を有する複素芳香族高分子を含む空気極用燃料電池触媒であって、前記複素芳香族高分子が、炭素−炭素結合を構成する2つの炭素原子と、前記2つの炭素原子に結合する少なくとも2の窒素原子からなる部分構造を含むことを特徴とする空気極用燃料電池触媒。
【選択図】図1

Description

本発明は、空気極用燃料電池触媒、その製造方法、電極および燃料電池に関する。
近年、自動車の動力源、家庭用発電、携帯機器のバッテリなどの用途のために固体高分子型燃料電池(PEMFC)の開発研究が盛んに行われている。この背景として、環境負荷の低減、エネルギー利用の効率化、ユビキタスなコンピューティング環境の提供といったニーズがある。
PEMFCでは、まず水素やメタノールのような燃料分子が負極でプロトンに分解される。そしてプロトンが電解膜を移動して空気極に達するとそこで酸素分子と反応して水を生成するという電気化学反応が起きている。
このため、PEMFCの反応生成物はクリーンであり、窒素酸化物等の自動車の排ガスによる環境負荷を低減できる。また、水素燃料の場合、二酸化炭素の排出削減にも貢献できる。
さらに、PEMFCでは電気化学反応によって生じる電気エネルギーだけでなく、反応に伴う熱も同時に利用できる。このコジェネレーションによって発電システムの総合的なエネルギー効率を向上させることができる。
他にも、携帯機器においては、高機能化に伴う電池の容量不足が課題になっている。
理論的に、PEMFCは従来のリチウムイオン2次電池の10倍のエネルギー密度を持ち、充電不要で燃料を再注入することで連続使用可能という長所を持つ。
しかしながら、PEMFCでは高分子電解膜の熱的安定性とプロトン伝導のために高分子が含水している必要があるので、動作温度が373 Kを超えることは困難である。また、携帯機器では室温程度のさらに低い動作温度が望ましい。
これらの事情から上記電気化学反応においては高性能な触媒の利用が不可欠であり、これまで実用化されている触媒は希少で高価な白金族元素を中心に開発されてきた。
今後、PEMFCの産業的な有用性を高めるためには、白金族元素(Ru, Rh, Pd, Os, Ir, Pt)を使用しない触媒の開発が求められている。
現在、研究室レベルではフタロシアニン錯体を利用した触媒(非特許文献1)やポリピロールにコバルト原子を配位させた触媒(非特許文献2)が提案されている。
一方、カーボンブラックとアンモニアを混合して加熱することにより窒素ドープしたグラファイト(非特許文献3)が提案されている。
J.Zagalら、ジャーナルオブエレクトロケミカルソサエティ、127巻、1506頁、1980年 R.Bashyamら、ネイチャー443巻、63頁、2006年 R.A.Sidikら、ジャーナルオブフィジカルケミストリーB110巻、1787頁、2006年
しかしながら、上記非特許文献3において、窒素ドープグラファイトは、2電子還元反応の割合が高いため、空気極用燃料電池触媒として改善の余地があった。
また、上記非特許文献1および2において、窒素原子が金属イオンに配位した錯体のため、耐久性に改善の余地があった。
本発明によれば、グラファイト状構造を有する複素芳香族高分子を含む空気極用燃料電池触媒であって、
前記複素芳香族高分子が、炭素−炭素結合を構成する2つの炭素原子と、
前記2つの炭素原子に結合する少なくとも2の窒素原子からなる部分構造を含むことを特徴とする空気極用燃料電池触媒が提供される。
この発明によれば、上記2つの炭素原子に酸素分子が吸着しやすくなる。また、窒素原子がπ電子共役系に組み込まれている。
本発明の空気極用燃料電池触媒は、耐久性を有し、酸素還元反応を起こりやすくさせることができる。
本発明の空気極用燃料電池触媒は、グラファイト状構造を有する複素芳香族高分子を含む空気極用燃料電池触媒であって、前記複素芳香族高分子が、炭素−炭素結合を構成する2つの炭素原子と、前記2つの炭素原子に結合する少なくとも2の窒素原子からなる部分構造を含むことを特徴とする。
本発明のグラファイト状構造を有する複素芳香族高分子を含む空気極用燃料電池触媒において、酸素還元反応における酸素分子の吸着サイトは、炭素−炭素結合を構成する2つの炭素原子と、前記2つの炭素原子に結合する少なくとも2の窒素原子からなる部分構造上の上記2つの炭素原子であると考えられる。
上記非特許文献3において、窒素ドープグラファイトは、窒素がドープされた隣接炭素原子のスピン電子密度(α電子密度とβ電子密度の差)が増加させることが記載されている。これにより、上記炭素原子と酸素分子との相互作用が強まって2電子還元の前駆体が形成されることが記載されている。
しかし、上記炭素原子と酸素分子との相互作用はスピン密度によるものではなく、電気陰性度によるものとも考えられる。つまり、炭素―窒素結合において電気陰性度の小さな炭素原子から電気陰性度の大きな窒素原子への電荷移動することで、分極した炭素原子と酸素分子は相互作用していると考えることもできる。
この場合、窒素原子はδ-に、隣接した炭素原子はδに分極すると考えられる。グラファイトシートで窒素を炭素置換位置にドープしたモデルに関して第一原理に基づくシミュレーションを行ったところ、炭素に隣接している窒素原子数をMとすると、この炭素の電荷はδ=0.3Mの関係があることが分かった。
これは、この炭素ではπ電子密度が減少しており、酸素分子の孤立電子対とπ電子間に働くクーロン力に起因する反発力が低下するために酸素分子がグラファイト表面に吸着しやすくなると考えられる。
また、酸素分子の吸着構造として、酸素の分子軸が2つの表面炭素原子に対して平行なサイド・オン型と分子軸が1つの表面炭素原子に対して垂直なエンド・オン型が考えられる。
サイド・オン型の場合、炭素原子と酸素分子が2本の化学結合を形成し、エンド・オン型の場合、1本の化学結合を形成するので、サイド・オン型の方がより安定的な吸着構造である。
そこで酸素分子を吸着しやすい構造としてはグラファイトのC=C結合を構成する2つの炭素原子に結合する窒素原子が必要であると考え、図1に示された7つのモデルでの第一原理に基づくシミュレーションを行った。
上記シミュレーションに基づく酸素分子吸着エネルギーの計算値は、窒素がドープされていないグラファイト(N0:図1)は2.21eVの吸熱反応、窒素1置換体(N1:図1)は1.08eVの吸熱反応。窒素2置換体の場合、N2−AとN2−Bは0.06eVの吸熱反応、N2−Cは0.26eVの吸熱反応(図1)、窒素3置換体(N3:図1)は0.26eVの発熱反応、窒素4置換体(N4:図1)は0.57eVの発熱反応であった。
この結果は、窒素置換数が増加するにつれて酸素分子吸着反応が熱力学的に起こりやすくなる方向へと変化することを示している。
そのため、酸素分子吸着反応を促進する観点から、窒素2置換体のN2−A、N2−B、およびN2−C、窒素3置換体のN3、および窒素4置換体のN4が好ましい。
吸着状態が安定化され過ぎると触媒表面に反応物が残留する被毒現象が生じやすいため、より好ましくは、窒素2置換体のN2−A、N2−B、およびN2−C、および窒素3置換体のN3である。さらに好ましくは、窒素2置換体のN2−A、またはN2−Bである。
本発明は、これらの知見に基づいてなされたものであり、その構成は、以下の(1)ないし(8)に記載のとおりである。
(1)グラファイト状構造を有する複素芳香族高分子を含む空気極用燃料電池触媒であって、
前記複素芳香族高分子が、炭素−炭素結合を構成する2つの炭素原子と、
前記2つの炭素原子に結合する少なくとも2の窒素原子からなる部分構造を含むことを特徴とする空気極用燃料電池触媒。
(2)前記複素芳香族高分子が、前記2つの炭素原子に結合する2または3の窒素原子からなる部分構造を含むことを特徴とする(1)記載の空気極用燃料電池触媒。
(3)前記複素芳香族高分子が、NC=CNの部分構造を含むことを特徴とする(1)または(2)記載の空気極用燃料電池触媒。
(4)2以上の窒素原子を含む複素芳香族化合物を使用することを特徴とする(1)から(3)のいずれかに記載の空気極用燃料電池触媒を製造する方法。
(5)前記2以上の窒素原子を含む複素芳香族化合物が、2,2'−ビピリジン、3,3'−ビピリジン、4,4'−ビピリジン、2,3'−ビピリジン、2,4'−ビピリジン、3,4'−ビピリジンおよびピラジンから選択される少なくとも一種である(4)記載の空気極用燃料電池触媒を製造する方法。
(6)前記2以上の窒素原子を含む複素芳香族化合物が、2,2'−ビピリジン、およびピラジンから選択される少なくとも一種である(4)記載の空気極用燃料電池触媒を製造する方法。
(7)(1)から(3)のいずれかに記載の空気極用燃料電池触媒を含む電極。
(8)(7)記載の電極を含む燃料電池。
本発明の空気極用燃料電池触媒は、グラファイト状構造を有する複素芳香族高分子を含み、前記複素芳香族高分子が、炭素−炭素結合を構成する2つの炭素原子と、前記2つの炭素原子に結合する少なくとも2の窒素原子からなる部分構造を含むことを特徴とする。
そのため、本発明の空気極用燃料電池触媒は、グラファイト状構造を有する複素芳香族高分子上に、窒素2置換体のN2−A、N2−B、およびN2−C、窒素3置換体のN3、および窒素4置換体のN4の部分構造を有する。
この部分構造により、酸素分子吸着確率を高めることで酸素還元反応を起こりやすくすることができる。また、酸素還元開始電位も高い値とすることができる。
さらに、窒素原子がspの2重結合性をもつπ電子共役系に組み込まれているために、水素イオン濃度や電位に対して安定である。
そのため、本発明の空気極用燃料電池触媒は、高電位かつ低pH環境においても安定的に動作する燃料電池触媒とすることができる。
複素芳香族高分子が、好ましくは、窒素2置換体のN2−A、N2−B、およびN2−C、および窒素3置換体のN3の部分構造含み、より好ましくは、窒素2置換体のN2−A、またはN2−Bの部分構造を含んでよい。
これにより、触媒表面に反応物が残留する被毒現象を防ぐことができる。
ここで、上記非特許文献3には、窒素ドープしたグラファイトが記載されている。しかし、この窒素ドープグラファイトは、2電子還元反応の割合が高く、触媒作用として必要な4電子還元反応の割合が低い。そのため、酸素還元反応により、過酸化水素が発生し、この過酸化水素が燃料電池の電解質膜を劣化させていた。また、酸素還元開始電位も低い値に留まっていた。
本発明の空気極用燃料電池触媒は、グラファイト状構造を有する複素芳香族高分子上に、NC=CNの部分構造を特徴とする。
これにより、酸素分子吸着確率が高まり、酸素還元反応が起こりやすくなる。また、酸素還元開始電位も高い値とすることができる。そのため、酸素還元反応において、4電子還元が高い割合で進行すると考えられる。
さらに、NC=CNの部分構造により、窒素原子がspの2重結合性をもつπ電子共役系に組み込まれているために、水素イオン濃度や電位に対して安定である。
そのため、本発明の空気極用燃料電池触媒は、高電位かつ低pH環境においても安定的に動作する燃料電池触媒とすることができる。
本発明の空気極用燃料電池触媒は、2以上の窒素原子を含む複素芳香族化合物を使用して得ることができる。
上記2以上の窒素原子を含む複素芳香族化合物として、2,2'−ビピリジン、3,3'−ビピリジン、4,4'−ビピリジン、2,3'−ビピリジン、2,4'−ビピリジン、3,4'−ビピリジン等のビピリジン異性体(図2)、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、プリン、グアンニン、シトシン、アデニン、チミン、ウラシル、インジゴ、および2−ピリジルアミン等が挙げられる。
また、グラファイト状構造を有する複素芳香族高分子は、グラファイト状カーボンの金属不純物を除去した後、還流、洗浄、乾燥させ、これに、2以上の窒素原子を含む複素芳香族化合物を加えて還流後、焼成して得ることができるが、この方法に限定されない。
上記グラファイト状カーボンとしては、粒子状カーボン、繊維状カーボン、カーボンナノチューブやその誘導体、およびフラーレンやその誘導体等が挙げられる。
特に、グラファイト状構造を有する複素芳香族高分子が、N2−AとN2−Bの部分構造を有するためには、窒素原子の位置を制御する必要があると考えられる。
そこで、窒素原子の位置を制御する方法として、あらかじめN2−AやN2−Bの部分構造を持つ、2以上の窒素原子を含む複素芳香族化合物を使用してもよいが、この方法に限定されない。
例えば、N2−Aの部分構造を持つ2以上の窒素原子を含む複素芳香族化合物として、2,2'−ビピリジン、またはピラジンが挙げられるが、これに限定されない。
2以上の窒素原子を含む複素芳香族化合物が、N2−AとN2−Bの部分構造含むため、酸素分子吸着確率を高めることで酸素還元反応を起こりやすくすることができる。
さらに、複素芳香族化合物上窒素原子があるので、窒素原子がspの2重結合性をもつπ電子共役系に組み込まれている。そのため、水素イオン濃度や電位に対する化学的安定性が金属イオンと窒素原子の配位結合によるポルフィリン等の錯体を利用した触媒よりも高くすることができる。
本発明の電極は、上記空気極用燃料電池触媒を含むことを特徴とする。
上記空気極用燃料電池触媒を、燃料電池や空気電池の電極触媒に含めてもよい。また、上記電極をカソード電極として用いてもよい。
これにより、カソード電極の酸素分子吸着確率を高めることで、酸素還元反応を起こりやすくすることができる。
本発明の燃料電池は、上記電極を含むことを特徴とする。
燃料電池としては、酸性、アルカリ性、中性のいかなる性質の電解液も使用することが可能である。
また、燃料電池の燃料はなんら限定されることなく、水素や水素化合物を用いることが出来る。空気電池の場合も同様になんら電解液や負極活物質に限定されることなく使用することが可能である。
これにより、電流密度が増加しても高い電圧を維持することができる。また、安定した電流密度を維持できる。
実施例1 (窒素含有グラファイト状カーボン試料の作成)
まず、金属不純物を取り除くためカーボンブラック(Ketjen Black EC 300J)を6M HClで24時間の予備洗浄を2回行った。その後、試料中の塩化物不純物を蒸留水で洗浄することによって除去した。
次に、この試料を70%のHNOで7時間還流した。その後、蒸留水で試料を洗浄し、75度で乾燥させた。さらに、この試料に2,2−ピリジンを加えてエタノール中で5時間還流後、真空中、900Kで、2時間焼成してグラファイト状構造を有する複素芳香族高分子(以下、窒素含有グラファイト状カーボンという)試料を得た。
実施例2 (窒素含有グラファイト状カーボン構造体の構造決定)
得られた窒素含有グラファイト状カーボン構造体をX線光電子分光(XPS)、赤外吸収分光(IR)により構造解析を行った。N1sのXPS測定結果からグラファイト状カーボンへの窒素含有が確認された。
またIR測定結果から1750−1800cm−1にN−C=C−Nに由来する赤外吸収を確認した。これらの結果は窒素含有グラファイト状カーボン構造体においてN−C=C−Nという2,2−ビピリジンの由来の部分構造が保存されるものがあることを示している。
実施例3 (窒素含有グラファイト状カーボン構造体の電気化学特性)
作成した2,2−ビピリジン含有グラファイト状カーボン構造体の酸素還元能評価を以下のように行った。電極作製はまず窒素含有グラファイト状カーボン構造体に蒸留水を加えて超音波照射により分散液を作製した。
その分散液をよく研磨した直径3mmのグラッシーカーボン(GC)電極上に10μgの2,2−ビピリジン含有グラファイト状カーボン構造体が担持されるように滴下し、さらに乾燥させて電極を作製した。
図3はGCおよび2,2−ビピリジン含有グラファイト状カーボン構造体電極の酸素還元反応(ORR)についての回転ディスク電極(RDE)測定の結果である。
用いた測定溶液は酸素飽和させた0.5M HSO水溶液である。掃印速度は10mV/sec、電極回転数は400rpmである。
点線はGCのみの測定結果である。0.6V付近からカソード電流が観測されるが、その電流密度は小さくORRは殆ど進行していないと考えられる。
一方、実線はGC−2,2−ビピリジン含有グラファイト状カーボン構造体電極のORR測定結果である。0.7V付近より酸素還元に由来するカソード電流が観測され、ORRがさかんに進行していることが分かる。酸素還元開始電位は約0.8Vで酸素還元過電圧は0.4V程度とPt微粒子を触媒とした電極の過電圧と同程度である。
GC−2,2−ビピリジン含有グラファイト状カーボン構造体電極の酸素還元反応電子数を算出した。RDEの電極回転数と拡散限界電流の関係は直線となり、この傾きに対してKoutecky−Levich式を用いると反応電子数が算出される。
試料電位は拡散電流に達する0.4Vに設定した。算出結果は3.9となって、これは4電子還元が90%という高い割合で進行することを示している。
実施例4 (ビピリジン異性体およびピラジンの効果)
実施例1の2,2−ビピリジン含有グラファイト状カーボン構造体と同様にして、2,3−および2,4−、4,4−ビピリジン含有グラファイト状カーボン構造体およびピラジン含有グラファイト状カーボン構造体を作製した。
さらに実施例3同様にして、これらのGC−ビピリジン含有グラファイト状カーボン構造体電極およびGC−ピラジン含有グラファイト状カーボン構造体電極を作製してRDE測定をおこなった。図4はRDE測定結果である。
2,3−および2,4−、4,4−ビピリジン含有グラファイト状カーボン構造体においてもORRが進行することが示されたが、これらのカソード電流密度は2,2−ビピリジン含有グラファイト状カーボン構造体よりも小さく、また酸素還元開始電位も2,2−ビピリジン含有グラファイト状カーボン構造体よりも低電位側にあることから、これらのビピリジン異性体の中では2,2−ビピリジン含有グラファイト状カーボン構造体が最適であると考えられる。
一方、ピラジン含有グラファイト状カーボン構造体の場合、カソード電流密度、酸素還元開始電位ともに2,2−ビピリジン含有グラファイト状カーボン構造体とほぼ等しい結果が得られた。
これは、2,2−ビピリジンやピラジンは図2からC=C2重結合に対してシス位置に2つの窒素を持つため、この2重結合が窒素原子による電子吸引効果によりδ分極にされて活性化するためであると考えられる。
実施例5 (燃料電池の特性評価)
本発明の窒素含有グラファイト状カーボン構造体をカソード用電極触媒に用いた燃料電池を作成し、その特性評価を行った。
実施例1で作成した2,2−ビピリジン含有グラファイト状カーボン構造体をカソード電極触媒として用いて以下の手順により小型の試験燃料電池を作製した。
まず、拡散層として、カーボンクロスの表面にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ディスパージョンで撥水化したカーボンブラックを塗布し撥水化処理したものを用意した。
次にカソード電極触媒として2,2−ビピリジン含有グラファイト状カーボン構造体の粉末を、またアノード触媒としてケッチェンブラック(商品名、ライオン(株)製)上に白金微粒子を金属成分が50wt質量%で担持したものをナフィオン溶液(ポリマー分5質量%、アルドリッチ社製)と混合する。
混合物を前記撥水化処理された拡散層の表面に触媒層を形成し、カソード及びアノード用ガス拡散電極とした。その後触媒層を内側にして、電解質膜(約50μm厚のナフィオン(登録商標)膜、デュポン社製)の両面からガス拡散電極を熱圧着し膜電極接合体(MEA)を形成した。さらにMEAをグラファイト板にガス流路を設けた集電体で挟んで試験用燃料電池とした。
図5は2,2−ビピリジン含有グラファイト状カーボン構造体をカソード用電極触媒に用いた水素−空気燃料電池の放電試験結果である。試料条件はセル温度80℃、水素および空気圧2.0 atm、水素流量5ml/sec、空気流量9ml/sec、ガス露点は水素80℃、空気70℃である。
2,2−ビピリジン含有グラファイト状カーボンを用いたとき、カソード電極の触媒活性が高い燃料電池が作成でき、電流密度が増加しても高い電圧を維持した。また、耐久試験としてセル電圧を0.5Vに保持したところ200時間にわたり約0.5A/cm2の安定した電流密度を観測した。
炭素−炭素2重結合の隣接した位置に窒素原子を有する窒素含有グラファイト状カーボン構造体のモデル原子構造(N1,N2−A,N2−B,N2−C,N3,N4)および窒素原子を含まないグラファイト状カーボン構造体のモデル原子構造(N0)。 ビピリジン6異性体の化学構造式およびピラジンの化学構造式。 2,2'−ビピリジン含有グラファイト状カーボン構造体電極での酸素還元反応の回転ディスク電極測定。 2,2'および2,3'および2,4'および4,4'−ビピリジン含有グラファイト状カーボン構造体電極での酸素還元反応の回転ディスク電極測定。ピラジン含有グラファイト状カーボン構造体電極での酸素還元反応の回転ディスク電極測定。 2,2'−ビピリジン含有グラファイト状カーボン構造体をカソード電極触媒に用いた燃料電池の放電特性。

Claims (8)

  1. グラファイト状構造を有する複素芳香族高分子を含む空気極用燃料電池触媒であって、
    前記複素芳香族高分子が、炭素−炭素結合を構成する2つの炭素原子と、
    前記2つの炭素原子に結合する少なくとも2の窒素原子からなる部分構造を含むことを特徴とする空気極用燃料電池触媒。
  2. 前記複素芳香族高分子が、前記2つの炭素原子に結合する2または3の窒素原子からなる部分構造を含むことを特徴とする請求項1記載の空気極用燃料電池触媒。
  3. 前記複素芳香族高分子が、NC=CNの部分構造を含むことを特徴とする請求項1または2記載の空気極用燃料電池触媒。
  4. 2以上の窒素原子を含む複素芳香族化合物を使用することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の空気極用燃料電池触媒を製造する方法。
  5. 前記2以上の窒素原子を含む複素芳香族化合物が、2,2'−ビピリジン、3,3'−ビピリジン、4,4'−ビピリジン、2,3'−ビピリジン、2,4'−ビピリジン、3,4'−ビピリジンおよびピラジンから選択される少なくとも一種である請求項4記載の空気極用燃料電池触媒を製造する方法。
  6. 前記2以上の窒素原子を含む複素芳香族化合物が、2,2'−ビピリジン、およびピラジンから選択される少なくとも一種である請求項4記載の空気極用燃料電池触媒を製造する方法。
  7. 請求項1から3のいずれかに記載の空気極用燃料電池触媒を含む電極。
  8. 請求項7記載の電極を含む燃料電池。
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