JP2010008389A - 光線路試験方法、波形解析装置およびプログラム - Google Patents

光線路試験方法、波形解析装置およびプログラム Download PDF

Info

Publication number
JP2010008389A
JP2010008389A JP2008171678A JP2008171678A JP2010008389A JP 2010008389 A JP2010008389 A JP 2010008389A JP 2008171678 A JP2008171678 A JP 2008171678A JP 2008171678 A JP2008171678 A JP 2008171678A JP 2010008389 A JP2010008389 A JP 2010008389A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
waveform
fiber
intensity distribution
branch
optical
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2008171678A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4990846B2 (ja
Inventor
Kouji Enbutsu
晃次 圓佛
Noriyuki Araki
則幸 荒木
Yuji Azuma
裕司 東
Nagetsu Honda
奈月 本田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Telegraph and Telephone Corp filed Critical Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority to JP2008171678A priority Critical patent/JP4990846B2/ja
Publication of JP2010008389A publication Critical patent/JP2010008389A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4990846B2 publication Critical patent/JP4990846B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Testing Of Optical Devices Or Fibers (AREA)

Abstract

【課題】光スプリッタ下流における個別の分岐ファイバの状態を、低コストで精密に測定可能とすること。
【解決手段】まず最長の分岐ファイバにおいて、試験光パルスがFBG型光フィルタで反射されることで生じる後方散乱光波形、すなわち折り返し波形の波形データをもとにその分岐ファイバ単独での後方散乱光情報を復元する。そしてこの復元情報をもとに、次に長い分岐ファイバの単独での後方散乱光情報を復元する。このようにして順次、長い分岐ファイバから短い分岐ファイバへと個別の後方散乱光情報を演算し復元することにより、全ての分岐ファイバの単独での後方散乱光情報を復元する。
【選択図】 図2

Description

この発明は、光ファイバなどの光線路の特性を解析する技術に関する。
光ファイバなどの光線路を使用する光通信システムでは、光線路の破断を検出し、破断位置を標定するために、光パルス線路監視装置が用いられる。光パルス線路監視装置は、光が光線路内を伝播するに伴い、その光と同じ波長の後方散乱光が生じて逆方向に伝搬することを利用する。すなわち、光線路に光パルス(試験光)を入射するとこの光パルスが破断点に到達するまで後方散乱光が発生し続け、試験光と同じ波長の戻り光が入力端面から出射される。この後方散乱光の継続時間を測定することにより光線路の破断点を標定することができる。この原理に基づく測定装置では、OTDR(Optical Time Domain Reflectometer)が代表的である。
しかしながら、PON(Passive Optical Network)型の光分岐線路システムを光パルス線路監視装置により試験・監視するにあたり、光スプリッタからユーザ装置側の分岐ファイバ、あるいは装置の状態を個別に識別することは困難である。すなわち、局舎から延びる幹線ファイバが光スプリッタにより複数の分岐ファイバに分岐されるので、試験光も光スプリッタから各心線に一様に分配される。そして各心線からの戻り光は入射端に戻る際に光スプリッタで重なり合ってしまい、このため入射端で観測されるOTDR波形からは、どの分岐ファイバに破断が生じているかを識別できなくなる。このように既存の技術では、光パルス線路監視装置は基本的に1本の光線路に対してのみ有効であり、光分岐線路システムにそのまま適用することはできない。
非特許文献1、および特許文献1に上記を解決しようとする技術が提案されている。非特許文献1の提案は、試験光を高く反射する光フィルタをターミネーションフィルタとしてユーザ装置の手前に設置し、各ユーザからの反射光の強度を高分解能なOTDR装置により測定するというものである。同文献ではこの手法により、光スプリッタより下流の分岐ファイバにおける距離分解能として2mの精度を得られることが報告されている。しかしこの文献の技術では故障線番の特定と、装置か光線路のどちらが故障しているかといった故障切り分けとが可能であるにとどまる。
特許文献1では、光スプリッタとして、光の多光束干渉を利用するアレイ導波路回折格子型波長合分波器を用い、波長可変光源により試験光の波長を切り替えて被試験光線路を選択するという提案がなされている。波長可変光源の波長を掃引し、反射光の波長を光反射処理部で検出し、その波長を基準に試験光の波長を設定することで、試験光の波長に対応付けて各光線路の個別監視を実現することができる。
しかしながらアレイ導波路回折格子型波長合分波器に代表される、波長ルーティング機能を持つ光分岐装置は一般に高価であり、多くの加入者を収容するアクセス系光システムに用いることはコスト面で難しい。さらにこのような光部品は温度依存性が大きく、温度調整機能を付加する必要もある。このためシステム全体のコストが跳ね上がることは避けられない。
このほか、非特許文献2にもOTDRを用いる障害箇所の特定に関する技術が開示される。この文献では光スプリッタでN分岐される光路において、Nに対して最低限必要になるOTDRのダイナミックレンジに関して議論されている。
Y. Enomoto et al., "Over 31.5 dB dynamic range optical fiber line testing system with optical fiber fault isolation function 32-branched PON", OFC2003 Technical Digest, paper ThAA3(2003),pp. 608-610.
特開平7−87017号公報
I. Sankawa et al. "Fault location technique for in-service branched optica1 fiber networks, "Photonics Technology Letters, IEEE, vol.2, no. 10, pp. 766-768, Oct, 1990
以上述べたように既存の技術では、PON型光線路において光スプリッタからユーザ装置側の分岐ファイバ、および装置を監視するにあたり個別標定が難しい。これに対し、固有の波長の光を反射するFBG(Fiber Bragg Grating)フィルタを分岐ファイバごとに接続し、波長ごとにOTDR測定を行うことで障害位置を特定することが考えられている。この手法では特に、試験光パルスがFBG型光フィルタで反射されることで生じる後方散乱光波形、すなわち折り返し波形を観測することで、分岐ファイバ間での波形の重なりをできるだけ排除するようにしている。
この手法によれば既設の線路や分岐装置を変更せず安価な試験を実現できるが、障害の発生箇所によっては分岐ファイバ間での波形の重なりを排除できないケースが多くある。つまり、後方散乱光の重畳の無い観測データを得られるのは、厳密には最長の分岐ファイバにおける反射端から次に長い分岐ファイバの反射端までの区間に過ぎない。これ以外の区間で障害が生じると必ず複数の経路における波形が重なり合うので、後方散乱光の障害点における変化量を正確に知ることが難しい。この影響は障害点が光スプリッタに近くなるほど大きくなり、障害による減衰の具体的な値などといった正確な光線路特性を観測することができなくなる。
このような制約から現状では、定期試験などで得た測定データと、コンピュータに予め記憶させた正常時(無障害時)の測定データとを比較することで障害標定を行うようにしている。よって正常時のOTDR波形情報を準備する手間やデータの管理にかかる手間などが大変煩わしく、何らかの改善策が要望されている。
この発明は以上のような事情によりなされたもので、その目的は、光スプリッタ下流における個別の分岐ファイバの状態を、低コストで精密に測定可能な光線路試験方法、波形解析装置およびプログラムを提供することにある、
上記目的を達成するためにこの発明の一態様によれば、光ファイバを第1乃至第nの分岐ファイバに分岐する光スプリッタと、前記第1乃至第nの分岐ファイバの遠端に個別に接続され互いに異なる波長λ1,λ2,…,λnの光を個別に反射しそれ以外の波長の光を透過させる第1乃至第nの反射型光フィルタとを備える光分岐線路システムに用いられる光線路試験方法において、λ1,λ2,…,λnの波長の試験光を前記光ファイバに個別に入射して前記試験光の後方散乱光の距離に対する強度分布波形Dを前記波長ごとに測定する測定ステップと、前記波長ごとの強度分布波形Dを前記分岐ファイバの長さの順にD(n),D(n−1),…,D(2),D(1)と配列する配列ステップと、最長の分岐ファイバに対応する強度分布波形D(n)における反射型光フィルタ以遠の折り返し波形を、横軸を線形目盛り、縦軸を対数目盛りとするグラフ上で当該反射型光フィルタの位置に対して点対称に射影する射影ステップと、前記射影した折り返し波形を補正して前記最長の分岐ファイバの後方散乱光情報を復元する復元ステップとを具備し、前記射影ステップは、強度分布波形D(i)をもたらす分岐ファイバの後方散乱光情報を強度分布波形D(i−1)から減算して差分波形T(i−1)を算出する減算ステップと、この差分波形T(i−1)における反射型光フィルタ以遠の折り返し波形を当該反射型光フィルタの位置に対して点対称に射影する移動ステップとを含み、前記復元ステップは、前記移動ステップで射影された折り返し波形を補正して強度分布波形D(i−1)をもたらす分岐ファイバの後方散乱光情報を抽出する抽出ステップを含み、前記射影ステップおよび前記復元ステップを、iをnから2まで順次デクリメントして繰り返すことを特徴とする光線路試験方法が提供される。
このような手段を講じることにより、まず最長の分岐ファイバの強度分布波形における折り返し区間のデータが処理対称とされる。このデータには他の如何なる分岐ファイバの後方散乱光も重畳されていない。この区間のデータを強度分布波形において反射点に対して点対称に射影したのち補正すれば、最長の分岐ファイバに対しては単独での後方散乱光情報が得られる。これを利用して次に長い分岐ファイバの単独での後方散乱光情報を算出することができ、順次、この処理を繰り返すことで全ての分岐ファイバの単独での後方散乱光情報を復元することが可能になる。この情報を用いれば傷害の発生箇所および減衰量を正確に評定することが可能になり、正常時のデータとの比較などといった手間を要することなく正確な障害標定を行うことが可能になる。
この発明によれば、光スプリッタ下流における個別の分岐ファイバの状態を、低コストで精密に測定可能な光線路試験方法、波形解析装置およびプログラムを提供することができる。
図1は、この発明に関わる光線路試験方法を適用可能な光分岐ファイバ(PON)システムの一例を示す図である。図1には光スプリッタとしての光スターカプラ2の下流部分と、OTDRによる後方散乱光の観測波形とが示される。図1において光線路1は光スターカプラ2によりn本に分岐され、例えばn=4として4本の分岐ファイバ3がスター状に延伸される。このうち最短の分岐ファイバに符号3−1を付し、長さの短いほうから順に符号3−2,3−3,3−4を付して示す。各分岐ファイバ3の末端はONU(宅内装置)12で終端され、ONU12と光スターカプラ2との間には、分岐ファイバ3−1〜3−4ごとに、固有の波長λ1〜λ4を反射し他の波長を透過させるFBG型光フィルタ10が設けられる。さらに、FBG型光フィルタ10とONU12との間にはいずれも、OTDR試験光パルスを遮断する光フィルタ11を接続する。この光フィルタ11によりインサービスでの試験が可能になる。
光スターカプラ2とFBG型光フィルタ10との間の区間を、長さの短い順に区間A、B,C,Dとする。つまり最も長い区間は分岐ファイバ3−4の区間Dで、区間C,B,Aの順に短くなる。またこの実施形態では、区間A,B,C,Dの状態をOTDRにより観測するのにそれぞれ波長λ1,λ2,λ3,λ4の試験光パルスを用いる。分岐数nが増えるほどに試験光の波長の数も増やす。図1の後方散乱光波形は、波長λ1の試験光で区間Aに対する試験を実施した場合を示す。
図1において、区間Aの分岐ファイバ3−1に曲げなどの障害が加わると損失が増加し、後方散乱光波形に段差が観測される。障害点をPとすると段差はまずこの点Pにおいて生じ、さらに、FBG型光フィルタ10の反射パルス波形の位置を基準として対称な位置(P′とする)にも観測される。つまりFBG型光フィルタ10に対する折り返し波形が現れ、この折り返し部分においてより顕著な段差が見られる。この折り返しは試験光パルスがFBG型光フィルタ10で反射されることで二次的に形成される光源の後方散乱光によってもたらされる。この効果のためOTDR光源から見てFBG型光フィルタ10よりも遠方に、あたかも線路が存在するような波形が観測される。
2つの段差波形のうち点P、すなわちFBG型光フィルタ10による反射波形の左側に観測される波形を用いても、損失増加の微小な値を評定することは難しい。これは分岐ファイバ3−1からの後方散乱光波形が他の分岐ファイバ3−2〜3−4からの後方散乱光波形と重畳されるからである。光スターカプラ2から障害点Pまでの距離が他の分岐ファイバの線路長のいずれよりも長い、という非常に限られた条件でしか、この重畳の影響から逃れることはできない。区間Aは最も短いのでそもそもこの条件を満たすことは不可能である。
一方、点P′、すなわちFBG型光フィルタ10による反射波形の右側に観測される波形を用いれば、損失増加の微小な値を評定することができる。これは次のような理由による。すなわち分岐ファイバ3−1の長さをL1とするとP′はL1〜L1×2の区間に観測される。従ってP′での段差波形は他の分岐ファイバ3−2〜3−4からの後方散乱光波形と重畳されることなく、明瞭に観測することが可能である。すなわち他の分岐ファイバの影響を受けることなく障害点を高精度に評定することが可能となる。図1では波長λ1の試験光のケースを示すが、他の波長λ2〜λ4を用いれば分岐ファイバ3−2〜3−4についても同様に試験できる。
しかしながら如何なる場合においても重畳が皆無になるわけではない。分岐ファイバ3の最大線路長と最小線路長との差が最小線路長を超える場合、つまり最大線路長が最小線路長の2倍以上であると、最長区間で生じた後方散乱光が必ず他の区間にも影響を及ぼす。つまりFBG型光フィルタからの反射光に基づく後方散乱光の光スターカプラ2側の始端において、光の重畳が発生する。従って分岐ファイバ始点における損失の変化量を正確に把握することが不可能になり、異常の発生の有無を検知することができなくなる。
つまり線路長構成と障害位置との関係によっては点P′の計測値をそのまま解析することができない場合がある。また仮に解析できたとしても故障位置の特定が不可能な場合がある。以下ではこの困難を解決し得る技術につき開示する。
[原理的な説明]
図2〜図6はこの発明に係わる光線路試験方法の原理を説明するための図である。図2(a)において分岐数3の光スターカプラ2を仮定する。この光スターカプラ2から延びる分岐ファイバF1〜F3の長さをそれぞれL1、L2、L3とし、L1<L2<L3の関係を満たすとする。各分岐ファイバF1〜F3の遠端にはそれぞれ試験光λ1〜3を反射するFBG型光フィルタ#1〜#3が接続される。
この系に波長λ3の試験光パルスを入射すると、FBG型光フィルタ#3で生じた反射光の後方散乱光によりFBG型光フィルタ#3の先にあたかも線路が存在しているような観測波形を得る(図2(b))。この部分(図中1点鎖線)には光の重畳はなく、従って分岐ファイバF3の単独での後方散乱光情報すなわち損失の正確な値を知ることができる。さらに、図中区間Xにおいても、後方散乱光の重畳はない。従ってこの区間Xの観測データを用いても損失の正確な値を得ることができる。
発明者はこの点に着目してこの発明に至った。すなわち、線路長の最も長い分岐ファイバにおいては光の重畳を生じない区間が必ず存在する。そこでこの発明では、まず最長の分岐ファイバにおいて光の重畳のない区間の波形データをもとにその分岐ファイバ単独での後方散乱光情報を復元する。そしてこの復元情報をもとに、次に長い分岐ファイバの単独での後方散乱光情報を復元する。このようにして順次、長い分岐ファイバから短い分岐ファイバへと個別の後方散乱光情報を演算し復元することにより、全ての分岐ファイバの単独での後方散乱光情報を復元することができる。
次に、他の分岐ファイバF2,F1からの後方散乱光が重畳する区間での、分岐ファイバF3単独での後方散乱光情報を復元する手順につき説明する。図2(a)の1点鎖線はフィルタ#3から光源へと向かう戻り光により生じた情報であり、点Pに対して対称性を持つ。よってこの波形を、点Pを中心として点対称に射影することで、光源からフィルタ方向に進む試験光による後方散乱光波形に戻すことができる(図2(b)の2点鎖線)。波形データは通常、縦軸を対数目盛り(光強度[dB])、横軸を線形目盛り(距離[m])でプロットされるので、上記の射影操作は、横軸が線形目盛り、縦軸が対数目盛りのグラフ上で点Pに対して波形データを点対称移動することに相当する。この処理の定性的な説明は後述する。
なお図3(b−1)に示すように、FBG#3ではその反射減衰量に応じて反射パルス強度が減衰するので、点対称移動で作成した波形の強度レベルがその損失分だけ低下する。そこでこの実施形態では、点対称移動した波形を、一般的なFBG型光フィルタの反射減衰量だけ嵩上げし正方向に平行移動することで損失を補償したデータを得る。このようにして復元したデータ(図2(c))は、分岐ファイバF3の全区間に渡る、単独での後方散乱光情報として解析することが可能である。つまり以上の処理により、最長の分岐ファイバF3について、他の分岐ファイバで生じた後方散乱光との重畳により単独では正確な情報を知りえなかった区間の情報を復元することが可能になる。
より正確さを期するならば、FBG型光フィルタの反射減衰量によらない手法もある。すなわち図3(b−2)に示すように、区間Xの波形レベルと一致させるべく、点対称移動した波形(2点鎖線)に適切な定数を乗算(あるいは加算)し、点P2で区間Xの波形と滑らかに接続することで図2(c)の波形を復元することができる。このように後方散乱光の重畳の無い区間Xに点対称移動した波形を合わせこむことで、より正確なデータを復元することができる。なお定数を乗算するか加算するかは、波形グラフを対数目盛り−線形目盛り、あるいは線形目盛り−線形目盛りのいずれで表記するかに応じて変わる。
ここまでの手順によって分岐ファイバF3の、全区間にわたる単独での後方散乱光情報を復元できる。次に、2番目に長い分岐ファイバF2の単独の後方散乱光情報を抽出する手順を説明する。
図2(a)の系に波長λ2の試験光パルスを入射すると(図4(d))、図4(e)に示すような波形を得る。図4(e)の1点鎖線はFBG型光フィルタ#2の反射光の後方散乱光により生じるもので、FBG型光フィルタ#2の先に線路が生じたように見える。図4(e)の波形にも分岐ファイバF1,F3の後方散乱光が重畳されているが、分岐ファイバF3の正確な特性が判っているのでこれを差し引くことで分岐ファイバF3の影響を除去できる。
すなわち図4(e)の波形から点線部分の波形データ(図2(c))を減算すると、図4(f)に示すように分岐ファイバF3の情報が取り除かれ、分岐ファイバF2の折り返し波形を含む波形が残る(図4(d))。ここで、分岐ファイバF2の折り返し区間(図中1点鎖線)の情報は他の後方散乱光情報と重なり合っていないので、この区間から分岐ファイバF2単独での後方散乱光情報を復元することができる。すなわち分岐ファイバF3に対する処理と同様に、反射点P3を中心として点対称に射影したのちFBG#2の反射減衰量を補正することで、分岐ファイバF2の単独での後方散乱光情報を抽出することができる。
さらに、残った分岐ファイバF1についても同様の処理により、単独での後方散乱光情報を抽出することができる。すなわち図2(a)の系に波長λ1の試験光パルスを入射して(図5(h))得られる図5(i)の波形から分岐ファイバF3,F2の後方散乱光情報を減算すれば、図5(j),(k)に示すように分岐ファイバF1の単独での後方散乱光情報を抽出することができる。なおこの分岐ファイバF1に関してはこの段階で単独でのデータを得られるので、反射点に関する点対称の変換操作、およびFBG#1の反射減衰量の補正は不要である。
以上の処理では、設定された反射波長以外の試験光を一切反射しないという理想的なFBG型光フィルタを想定した。しかし現実のFBG型光フィルタの特性は図6(a)に示すように裾を引くので反射波長と異なる試験光を或る程度反射し、その影響が現れる。この反射の影響は図6(e′)、(g′)に示すように矢印で示すピークとなってOTDR波形に現れる。
このピークの現れる区間は試験光パルス幅に依存する。その区間ではフィルタ#3の折り返し波形が反射ピークと重畳されるのでこのままではこれらを分離して求めることができない。しかしながらこのピークの直前と直後での折り返し波形のレベル差を比較し、レベル差が正常の光接続損失以下に納まっていれば、この区間では線路障害は無いと判断することができる。
そこで、図6(b)に示すようにこの区間を指数関数で補間することにより、不連続な領域の無い折り返し波形を抽出することができる。なお波形グラフは縦軸が対数軸であるので補間のための指数関数は直線になる。以上のように、最長の分岐ファイバから順次短くなる順に後方散乱光情報を抽出することで、分岐ファイバを個別に識別して障害が生じた線路、その位置、および減衰の正確な値を知ることができる。
[補足説明]
図2(b)の2点鎖線などに示した射影操作につき図7を用いて説明する。この射影操作は、横軸が線形目盛り、縦軸が対数目盛りのグラフ上で、或る点に対してデータを点対称移動することに相当すると述べた。図7(a)は横軸が線形目盛り、縦軸が対数目盛りのグラフであり、点P(L0、A0)を通る直線の関数形を例えば、F(x)=−kxとすると、区間(1)はA0+F(L−L0)=A0−k・(L−L0)と表される。この区間(1)を点P(L0、A0)に関して点対称移動すると区間(2)が算出され、その関数はA0−F(L0−L)=A0−k・(L−L0)になる。このような変換操作により点対称の移動がなされる。
以上の操作は、横軸、縦軸ともに線形目盛りのグラフにおいては図7(b)に示すようになる。区間(3)の関数形を例えばf(x)=e−αxとし、この曲線が点p(L0、a0)を通るならば区間(3)はa0・f(L−L0)=a0・e−α(L−L 0 と表される。この区間(3)を点p(L0、a0)に関して点対称移動すると区間(4)が算出され、その関数はa0/f(L0−L)=a0・e−α(L−L 0 となる。すなわちこの変換は、曲線を表す関数をa0で除算して得られるf(x)の逆数を求めることに相当する。次に、以上の原理に基づく光線路試験方法を実施するための具体例について説明する。
図8は、この発明に係わる光線路試験システムの実施形態を示す機能ブロック図である。このシステムは、λm(m=1,2,…,n)の波長の試験光パルスを対象システムに入射してOTDR測定を行うOTDR装置100と、このOTDR装置100から波形データを取得して種々の処理を行う波形解析装置300とを備える。波形解析装置300で得られるデータは図示しないメモリやハードディスクドライブなどのストレージメディアに記憶されるほか、波形表示装置200において視覚的に表示される。
波形解析装置300はパーソナルコンピュータなどに専用の処理ソフトウェアをインストールしたもので、例えばLAN(Local Area Network)を介してOTDR装置100の測定データを取得する。波形解析装置300は取得したデータをもとに光スターカプラ2より下流側(ONU12側)における分岐ファイバ3の状態を算出する。
図8の波形解析装置300において、測定波形入力部21で取得された測定データは規格化処理部22により共通線路区間で規格化されたのち、規格化波形記憶部4および反射点検出部23に与えられる。反射点検出部23は規格化データに対する閾値判定などにより反射点を検出し、その位置は反射点記憶部5に記憶される。
また規格化された波形データは波形整列部7により、反射点位置をインデックスとして整列され、後方散乱光波形抽出部6に渡される。後方散乱光波形抽出部6は、FBG型光フィルタで反射された試験光パルスの後方散乱光波形、すなわち図2〜図6の1点鎖線に示す波形を各波長ごとに抽出する。抽出された波形は波形記憶部8に記憶される。
後方散乱光波形抽出部6はまず、最も長い区間の後方散乱光波形を抽出する。この波形は一旦波形記億部8に記憶されたのち射影移動処理部9に与えられる。射影移動処理部9は後方散乱光波形を反射点に対して点対称移動する演算を行い、その結果をレベル調整部10に与える。レベル調整部10は点対称移動後のデータを嵩上げして補正する処理を行い、区間ごとの単独の後方散乱光情報を得る。その結果は波形表示装置200に表示されるとともに波形積算部12に与えられる。波形積算部12は各分岐ファイバごとの単独での後方散乱光情報を積算し、これにより得られた積算波形は積算波形記億部13に記憶されたのち減算処理部11に与えられる。
減算処理部11は規格化波形記憶部4から波形データを読み出し、区間単独での後方散乱光情報を、その次に長い区間の波形データから順次減算する。その結果は後方散乱光波形抽出部6に戻され、順次、長い区間から短い区間へと単独での後方散乱光情報が算出される。
図8において規格化波形記憶部4、反射点記憶部5、波形記憶部8、積算波形記憶部13はRAM(Random Access Memory)などのメモリに設けられる記憶領域である。他の機能ブロックすなわち測定波形入力部21、規格化処理部22、反射点検出部23、後方散乱光波形抽出部6、波形整列部7、射影移動処理部9、レベル調整部10、減算処理部11、波形積算部12は、例えばコンピュータのCPU(Central Processing Unit)に読み込まれて実行されるプログラムルーチンとして実現される。もちろん専用のハードウェアデバイスとして実現することもでき、例えば測定波形入力部21などは専用のインタフェース基板として実現することもできる。
図9および図10は、図8の波形解析装置300により実行される処理手順を示すフローチャートである。図9において、まず波形解析装置300はインデックスiに1を代入して初期化し(ステップS1)、ステップS2〜ステップS5のループで波長λ1〜λnの試験光パルスを試験対象に順次入射して波長ごとの波形データを得る。得られた波形データはメモリ内のDATA(i)領域に記憶される(ステップS2,S3)。
次に、共通線路区間すなわち光の重畳の生じる区間での後方散乱光の強度を比較する処理が開始される(ステップS6)。その際、区間ごとの特性に波長依存性が無いと見込むことができれば直ちにステップS9からの手順が開始されるが、波長依存性のある場合(ステップS7で「あり」)に備え、波形解析装置300は規格化処理部22において各波形データを規格化する(ステップS8)。次に波形解析装置300は反射点検出部23において、ステップS10〜S12のループで、全ての分岐ファイバ(iに対応)にわたり反射点を検出する。反射点の位置は反射点記憶部5のP(i)に記憶される。
次に波形解析装置300は波形整列部7において、波長ごとの波形データDATA(i)をピーク位置順に、昇順で整列させる(ステップS13)。次に波形解析装置300はiにnを代入することで最長の区間を最初の処理対象とし(ステップS14)、次いで各区間ごとに、反射光の光フィルタの反射ピーク位置〜光スターカプラの反射ピーク位置の波形を抽出し、得られた波形データをメモリ内のM1(i)領域に記憶する(ステップS15)。この区間は図1の距離L1から2L1までの区間、すなわちFBG型光フィルタの反射による二次光源の後方散乱光に対応する。
次に波形解析装置300は、変数Sum(i)に0を代入してから(ステップS16)図10のループを実施する。図10において波形解析装置300は、まず、射影移動処理部9において、波形データM1(i)を反射点Piに関して点対称移動し、得られたデータをメモリ内のM2(i)に保存する(ステップS17)。
次に波形解析装置300は、点対称移動したデータをレベル調整部10において対数軸上で平行移動、または分岐ファイバ1本だけの区間のレベルに合わせこむことで、FBG型光フィルタの反射損失を補正する(ステップS18)。ここで得られた補正データはメモリ内のM3(i)領域に記憶される(ステップS19)。次に波形解析装置300は波形積算部12において変数Sumに補正データを積算し(ステップS20)、減算処理部11において、次の波形データDATA(i−1)から変数Sumの値を減算する(ステップS22)。その値が区間(i)の単独での後方散乱光情報に相当することになり、得られたデータはメモリ内のTemp(i)にテンポラリに記憶される。
次に波形解析装置300は、図6(b)で説明したようにTemp(i)データにおけるFBG型光フィルタの反射ピーク区間をその前後の波形から補間し、得られたデータを改めてTemp(i)に置き換える(ステップS23)。次に波形解析装置300は、Temp(i)データについて、反射光の光フィルタの反射ピーク位置〜光スターカプラの反射ピーク位置の波形を抽出し、得られた波形データをメモリ内のM1(i−1)領域に記憶する(ステップS24)。
次に波形解析装置300はiをデクリメントし(ステップS25)、iが2になるまでステップS17〜S25の手順を繰り返す。ステップS21でiが2になれば(NO)、波形解析装置300はステップS26でi=1としたのち、ステップS27〜S29のループで順次、解析後の波形データ(後方散乱光情報)を波形表示装置200に表示する。
次に、PONシステムに対して以上の構成および手順により実施したOTDR波形観測の実験結果を説明する。なおこの発明は以下の実験例に限定されるものではない。以下では光スターカプラ2の分岐数を8、分岐ファイバの線路長をそれぞれ0.8、1.1、1.5、2.0、2.6、2.9、3.2、および、4.0[km]とした。分岐ファイバ遠端にはそれぞれブラッグ波長が1641、1643、1645、1647、1649、1651、1653、および、1655[ナノメートル(nm)]のFBG型光フィルタ#1,#2,…,#8を設置した。また、光スターカプラ2の上流側の区間、すなわち光源から光スターカプラ2までの共通線路の長さを1.1kmとした。試験局には波長可変OTDR装置100を設置し、光カプラを介して共通線路に試験光パルスを入射する。
以上の構成のもとで各FBG型光フィルタのブラッグ波長に対応する試験光で光パルス試験を行い、各波長における試験波形を測定した。さらに、第5番目に短い分岐ファイバすなわち反射波長が1649nmのFBGを設置した分岐ファイバの光スプリッタから約1.6kmの位置に、約2dBの損失を持つ曲げ障害を設定した。
[第1の実験例]
図11は第1の実験例で得られた波形データを示す図である。この実験では反射光を生じる後方散乱光を抽出する手順を実施した。図11は、最も長い分岐ファイバのFBG型光フィルタ#8の反射波長1655nmと同じ波長λ8の試験光を入射した場合の観測波形を示す。ただし図は光スターカプラ2の下流側の波形のみを示す。
測定の結果、最長線路の遠端5.0kmの位置にFBG#8による高い反射が観測された。さらに、5.0km以降の区間に、反射されたλ8の試験光の後方散乱光による波形(折り返し波形)が観測された。この折り返し波形を反射点P1に対して点対称移動した波形を#8′′に示す。波形#8′′は、最長線路単独での後方散乱光情報を示す。
しかしながらそのレベルはFBG#8での反射ロスに影響され、他の分岐ファイバとの重畳の無い区間Aにおいて一致しない。そこで、FBG型光フィルタの典型的な反射減衰量1dB分だけ上方向に、折り返し波形を平行移動し、最長線路単独での後方散乱光波形#8′の正確なレベルを復元した。復元した波形#8′の情報から、最長線路には大きな障害が発生していないことが結論付けられた。
[第2の実験例]
図12は第2の実験例で得られた波形データを示す図である。この実験でも第1の実験例と同様に波長λ8の試験光を入射し、最長線路単独での後方散乱光情報を示す波形データ#8′′を得た。この実験例では折り返し波形を、点P2で#8と同じレベルになるように平行移動し、そのうえで波形区間Bと#8の後方散乱光波形内の区間Aとを滑らかに接続することで後方散乱光波形#8′を復元した。復元した波形#8′の情報から、最長線路には大きな障害が発生していないことが結論付けられた。
[第3の実験例]
図13は第3の実験例で得られた波形データを示す図である。この実験では試験波長に一致しないFBG光フィルタからの影響を除去する手順を実施した。図13には、2番目に長い分岐ファイバ(3.3km)のFBG型光フィルタ#7の反射波長1653nmと同じ波長λ7の試験光を入射した場合の観測波形と、第1の実験例で復元した最長線路単独での後方散乱光波形とを併せて示す。測定の結果図13(a)に示すように、2番目に長い線路の遠端約4.3kmの位置にFBG#7による高い反射が観測された。
先に説明した手順に従い、測定で得られたλ7の観測波形から最長線路単独での後方散乱光波形を減算し、最長線路の後方散乱光を取り除いた7本分の線路構成での後方散乱光情報を計算した。その結果を図13(b)に示す。図13(b)において、FBG#7での高い反射が観測された。さらに、4.3km以降の区間に、反射されたλ7の試験光の後方散乱光による波形(折り返し波形)が観測された。
ここで、試験光λ7と反射波長が一致しないFBG#8からも少なからず試験光が反射するので、5.0kmの位置である区間Cに、FBG#7での反射よりも小さいピークが現れる。このピークの区間では折り返し波形とFBG#8の反射波形とが重なり合っている。
そこで、FBG#8のピーク前後の後方散乱光レベルを比較した。実験の結果、そのレベル差は0.2dB程度であった。この0.2dBのレベル差はOTDR装置100の後方散乱光レベルの変動量(ばらつき量)よりも小さいので、2番目に長い線路のこの区間Cでは障害が発生していないと判断することができる。このFBG#8での不要ピーク区間Cを指数関数(横軸のレベルの単位がdBであるので直線になる)で補間した。
図13(c)に補間後の波形を示す。この図からわかるように補間処理によって、2番目に長い線路の折り返し波形が、FBG#7の位置以降に情報の欠落の無い状態で得られた。さらにこの折り返し波形から2番目に長い線路全域にわたり、障害が発生していないことが結論付けられた。
[第4の実験例]
図14は第4の実験例で得られた波形データを示す図である。この実験では障害の発生を確認することができた。第1、第2の実験例で得たデータから最長線路から短い線路へと順次同様に繰り返し、最長線路から第3番目に長い線路まで、それぞれ単独の後方散乱光情報を抽出した。その結果、これら3本の分岐ファイバにおいて障害は検出されなかった。
図14(a)は、第5番目に短い線路(2.6km)遠端のFBG#5の反射波長1649nmと同じ波長λ5の試験光を入射した場合の観測波形を示す。図14(b)は、図14(a)の波形から、最長線路から第3番目に長い線路までの3線路分の後方散乱光波形を減算した結果を示す。
処理前の測定波形である図14(a)において、光スターカプラ2から1.6km付近(距離座標で2.7km付近)では、第5番目に短い線路の後方散乱光情報は他の線路(第1、2、3番目に長い線路)の後方散乱光情報と重なり合う。この位置は障害を設定した位置に対応するが、既存技術では損失の大きな変動を見ることができない。このことは非特許文献2の式(2)にも示される。この式(2)を下記に示す。
Figure 2010008389
これに対し本発明の実施形態によれば、損失の増加量を正確に検出することが可能になり、抽出・復元した単独の線路情報である図14(b)に示すように、光スターカプラ2から1.6km付近(距離座標で2.7km付近)において、2.1dB程度の損失の増加を検出することができた。これは障害の設定値とほぼ等しい。この結果から本発明の波形解析方法は、分岐ファイバの個別監視方法として有効であることが分かった。
[第5の実験例]
図15は、第5の実験例で得られた波形データを示す図である。この実験では波長によって出力光パワーの異なるOTDR装置を用いた。図15にはこのようなOTDR装置の波形と、比較のため一定パワーのOTDR装置の波形とを示す。なお繁雑を避けるため4波長分のデータのみを示す。
図15(a)から明らかなように波長依存性を示す波形が得られた。そこで共通線路区間の後方散乱光レベルで測定データを規格化し、各試験光波長での測定データのレベルを調整した。図15(b)は規格化後の測定データを示す。この規格化後の測定データを用いて第4の実験例と同様の波形処理を行い、得られた結果を図15(c)に示す。
第4の実験例の結果と同様、波形処理前の測定波形である図15(a)、(b)において、障害位置付近では肝心の損失の大きな変動を見ることができない。これに対しこの実施形態では損失の増加量を正確に検出することが可能であるので、抽出・復元した単独の線路情報である図15(b)に示すようにスプリッタから1.6km付近(距離座標で2.7km付近)において、2.1dB程度の損失増加量を正確に検出することが可能であった。この結果からも本発明の波形解析方法は、分岐ファイバの個別監視方法として有効であることが分かった。
以上説明したようにこの実施形態では、まず最長の分岐ファイバにおいて、試験光パルスがFBG型光フィルタで反射されることで生じる後方散乱光波形、すなわち折り返し波形の波形データをもとにその分岐ファイバ単独での後方散乱光情報を復元する。そしてこの復元情報をもとに、次に長い分岐ファイバの単独での後方散乱光情報を復元する。すなわち、i番目に長い分岐ファイバのOTDR波形からi−1番目に長い分岐ファイバの換算後のOTDR波形を減算し、光スターカプラからFBG型光フィルタまでのOTDR波形に換算する処理を行う。このようにして順次、長い分岐ファイバから短い分岐ファイバへと個別の後方散乱光情報を演算し復元することにより、全ての分岐ファイバの単独での後方散乱光情報を復元することができる。
従ってこの実施形態によれば、各分岐ファイバの個別の後方散乱光情報を算出できるので、光スプリッタの下流における既設の光スターカプラ、分岐ファイバの置き換え無しで各分岐ファイバの個別監視が可能となる。よって低コスト化を促せるほか、正常時の測定OTDR波形情報を保存しておく必要がなくなり、データベース管理との煩雑な連携作業なく大規模なシステムなしで短時間に試験を行うことが可能となる。さらに波形解析処理において、他の分岐ファイバとの重畳の無いOTDRレベル(FBG型光フィルタの直前に現れる)にレベル補正を施すので、より正確なデータを得ることができる。
これらのことから、光スプリッタ下流における個別の分岐ファイバの状態を、低コストで精密に測定することが可能になる。
なお、この発明は、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
また、実施形態に記載した手法は、計算機(コンピュータ)に実行させることができるプログラム(ソフトウェア手段)として、例えば磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD、MO等)、半導体メモリ(ROM、RAM、フラッシュメモリ等)等の記録媒体に格納し、また通信媒体により伝送して頒布することもできる。なお、媒体側に格納されるプログラムには、計算機に実行させるソフトウェア手段(実行プログラムのみならずテーブルやデータ構造も含む)を計算機内に構成させる設定プログラムをも含む。本装置を実現する計算機は、記録媒体に記録されたプログラムを読み込み、また場合により設定プログラムによりソフトウェア手段を構築し、このソフトウェア手段によって動作が制御されることにより上述した処理を実行する。なお、本明細書でいう記録媒体は、頒布用に限らず、計算機内部あるいはネットワークを介して接続される機器に設けられた磁気ディスクや半導体メモリ等の記憶媒体を含むものである。
この発明に関わる光線路試験方法を適用可能な光分岐ファイバ(PON)システムの一例を示す図。 この発明に係わる光線路試験方法の原理を説明するための図。 この発明に係わる光線路試験方法の原理を説明するための図。 この発明に係わる光線路試験方法の原理を説明するための図。 この発明に係わる光線路試験方法の原理を説明するための図。 この発明に係わる光線路試験方法の原理を説明するための図。 この発明の実施の形態における射影操作について説明するための図。 この発明に係わる光線路試験システムの実施形態を示す機能ブロック図。 図8の波形解析装置300の処理手順を示すフローチャート。 図8の波形解析装置300の処理手順を示すフローチャート。 第1の実験例で得られた波形データを示す図。 第2の実験例で得られた波形データを示す図。 第3の実験例で得られた波形データを示す図。 第4の実験例で得られた波形データを示す図。 第5の実験例で得られた波形データを示す図。
符号の説明
1…光線路、2…光スターカプラ、3(3−1,3−2,3−3,3−4)…分岐ファイバ、10…FBG型光フィルタ、11…光フィルタ、12…ONU、100…OTDR装置、200…波形表示装置、300…波形解析装置、21…測定波形入力部、22…規格化処理部、23…反射点検出部、4…規格化波形記憶部、5…反射点記憶部、6…後方散乱光波形抽出部、7…波形整列部、8…波形記億部、9…射影移動処理部、10…レベル調整部、11…減算処理部、12…波形積算部、13…積算波形記億部

Claims (7)

  1. 光ファイバを第1乃至第nの分岐ファイバに分岐する光スプリッタと、前記第1乃至第nの分岐ファイバの遠端に個別に接続され互いに異なる波長λ1,λ2,…,λnの光を個別に反射しそれ以外の波長の光を透過させる第1乃至第nの反射型光フィルタとを備える光分岐線路システムに用いられる光線路試験方法において、
    λ1,λ2,…,λnの波長の試験光を前記光ファイバに個別に入射して前記試験光の後方散乱光の距離に対する強度分布波形Dを前記波長ごとに測定する測定ステップと、
    前記波長ごとの強度分布波形Dを前記分岐ファイバの長さの順にD(n),D(n−1),…,D(2),D(1)と配列する配列ステップと、
    最長の分岐ファイバに対応する強度分布波形D(n)における反射型光フィルタ以遠の折り返し波形を、横軸を線形目盛り、縦軸を対数目盛りとするグラフ上で当該反射型光フィルタの位置に対して点対称に射影する射影ステップと、
    前記射影した折り返し波形を補正して前記最長の分岐ファイバの後方散乱光情報を復元する復元ステップとを具備し、
    前記射影ステップは、
    強度分布波形D(i)をもたらす分岐ファイバの後方散乱光情報を強度分布波形D(i−1)から減算して差分波形T(i−1)を算出する減算ステップと、
    この差分波形T(i−1)における反射型光フィルタ以遠の折り返し波形を当該反射型光フィルタの位置に対して点対称に射影する移動ステップとを含み、
    前記復元ステップは、
    前記移動ステップで射影された折り返し波形を補正して強度分布波形D(i−1)をもたらす分岐ファイバの後方散乱光情報を抽出する抽出ステップを含み、
    前記射影ステップおよび前記復元ステップを、iをnから2まで順次デクリメントして繰り返すことを特徴とする光線路試験方法。
  2. 前記復元ステップは、
    前記射影後の折り返し波形に前記反射型光フィルタの反射減衰量を加算してこの折り返し波形を補正することを特徴とする請求項1に記載の光線路試験方法。
  3. 前記復元ステップは、
    前記射影後の折り返し波形を並行移動して前記反射型光フィルタの直前の区間における強度分布波形に滑らかに接続して、当該折り返し波形を補正することを特徴とする請求項1に記載の光線路試験方法。
  4. さらに、前記強度分布波形における不連続ピークの前後におけるレベル差が前記試験光の後方散乱光レベルの変動量よりも小さければ、この不連続ピークの区間をその前後の波形から近似される関数で補間する補間ステップを具備することを特徴とする請求項1に記載の光線路試験方法。
  5. さらに、前記測定ステップで測定された波長ごとの強度分布波形Dを規定の後方散乱光レベルに対して規格化する規格化ステップを具備することを特徴とする請求項1に記載の光線路試験方法。
  6. 光ファイバを第1乃至第nの分岐ファイバに分岐する光スプリッタと、前記第1乃至第nの分岐ファイバの遠端に個別に接続され互いに異なる波長λ1,λ2,…,λnの光を個別に反射しそれ以外の波長の光を透過させる第1乃至第nの反射型光フィルタとを備える光分岐線路システムに用いられる波形解析装置において、
    前記光ファイバに個別に入射されるλ1,λ2,…,λnの波長の試験光の後方散乱光の距離に対する強度分布波形Dを前記波長ごとに測定する測定処理部と、
    前記波長ごとの強度分布波形Dを前記分岐ファイバの長さの順にD(n),D(n−1),…,D(2),D(1)と配列する配列処理部と、
    最長の分岐ファイバに対応する強度分布波形D(n)における反射型光フィルタ以遠の折り返し波形を、横軸を線形目盛り、縦軸を対数目盛りとするグラフ上で当該反射型光フィルタの位置に対して点対称に射影する射影処理部と、
    前記射影した折り返し波形を補正して前記最長の分岐ファイバの後方散乱光情報を復元する復元処理部とを具備し、
    前記射影処理部は、
    iをnから2まで順次デクリメントされる変数としたとき、強度分布波形D(i)をもたらす分岐ファイバの後方散乱光情報を強度分布波形D(i−1)から減算して差分波形T(i−1)を算出する減算処理部と、
    この差分波形T(i−1)における反射型光フィルタ以遠の折り返し波形を当該反射型光フィルタの位置に対して点対称に射影する移動処理部とを含み、
    前記復元処理部は、
    前記移動処理部で射影された折り返し波形を補正して強度分布波形D(i−1)をもたらす分岐ファイバの後方散乱光情報を抽出する抽出処理部を含むことを特徴とする波形解析装置。
  7. 光ファイバを第1乃至第nの分岐ファイバに分岐する光スプリッタと前記第1乃至第nの分岐ファイバの遠端に個別に接続され互いに異なる波長λ1,λ2,…,λnの光を個別に反射しそれ以外の波長の光を透過させる第1乃至第nの反射型光フィルタとを備える光分岐線路システムに用いられるコンピュータに読み込まれるプログラムであって、
    前記コンピュータに、
    前記光ファイバに個別に入射されるλ1,λ2,…,λnの波長の試験光の後方散乱光の距離に対する強度分布波形Dを前記波長ごとに測定する処理を実行させる命令と、
    前記波長ごとの強度分布波形Dを前記分岐ファイバの長さの順にD(n),D(n−1),…,D(2),D(1)と配列する処理を実行させる命令と、
    最長の分岐ファイバに対応する強度分布波形D(n)における反射型光フィルタ以遠の折り返し波形を、横軸を線形目盛り、縦軸を対数目盛りとするグラフ上で当該反射型光フィルタの位置に対して点対称に射影する処理を実行させる命令と、
    前記射影した折り返し波形を補正して前記最長の分岐ファイバの後方散乱光情報を復元する処理を実行させる命令と、
    強度分布波形D(i)をもたらす分岐ファイバの後方散乱光情報を強度分布波形D(i−1)から減算して差分波形T(i−1)を算出する減算処理を実行させる命令と、
    この差分波形T(i−1)における反射型光フィルタ以遠の折り返し波形を当該反射型光フィルタの位置に対して点対称に射影する移動処理を実行させる命令と、
    前記射影された折り返し波形を補正して強度分布波形D(i−1)をもたらす分岐ファイバの後方散乱光情報を抽出する抽出処理を実行させる命令と、
    前記減算処理と、前記移動処理と、前記抽出処理とを、iをnから2まで順次デクリメントして繰り返す処理を実行させる命令とを含むことを特徴とするプログラム。
JP2008171678A 2008-06-30 2008-06-30 光線路試験方法、波形解析装置およびプログラム Expired - Fee Related JP4990846B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008171678A JP4990846B2 (ja) 2008-06-30 2008-06-30 光線路試験方法、波形解析装置およびプログラム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008171678A JP4990846B2 (ja) 2008-06-30 2008-06-30 光線路試験方法、波形解析装置およびプログラム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010008389A true JP2010008389A (ja) 2010-01-14
JP4990846B2 JP4990846B2 (ja) 2012-08-01

Family

ID=41589060

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008171678A Expired - Fee Related JP4990846B2 (ja) 2008-06-30 2008-06-30 光線路試験方法、波形解析装置およびプログラム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4990846B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018169234A (ja) * 2017-03-29 2018-11-01 アンリツ株式会社 光パルス試験装置及び光パルス試験方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06232817A (ja) * 1993-02-03 1994-08-19 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 光ファイバ伝送装置およびその試験方法
JPH0787017A (ja) * 1993-09-16 1995-03-31 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 光分岐線路監視システム
JP2002139403A (ja) * 2000-11-01 2002-05-17 Sumitomo Electric Ind Ltd 分岐光線路の試験方法
JP2004156962A (ja) * 2002-11-05 2004-06-03 Furukawa Electric Co Ltd:The 光分岐線路の監視システムおよび監視方法
JP2009063377A (ja) * 2007-09-05 2009-03-26 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 光線路試験システムおよび光線路試験方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06232817A (ja) * 1993-02-03 1994-08-19 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 光ファイバ伝送装置およびその試験方法
JPH0787017A (ja) * 1993-09-16 1995-03-31 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 光分岐線路監視システム
JP2002139403A (ja) * 2000-11-01 2002-05-17 Sumitomo Electric Ind Ltd 分岐光線路の試験方法
JP2004156962A (ja) * 2002-11-05 2004-06-03 Furukawa Electric Co Ltd:The 光分岐線路の監視システムおよび監視方法
JP2009063377A (ja) * 2007-09-05 2009-03-26 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 光線路試験システムおよび光線路試験方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018169234A (ja) * 2017-03-29 2018-11-01 アンリツ株式会社 光パルス試験装置及び光パルス試験方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4990846B2 (ja) 2012-08-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9130672B2 (en) System and method for fault identification in optical communication systems
US8315517B2 (en) Optical line monitoring apparatus and optical line monitoring method
EP2577890B1 (en) Multiple-acquisition otdr method and device
JP4324581B2 (ja) 光ネットワークにおける光ファイバ状態モニタリングデバイス及び方法
WO2010067729A1 (ja) 光線路監視システムおよびそのシステムに含まれる監視装置
WO2009147963A1 (ja) 光線路監視装置および光線路監視システム
JP4759493B2 (ja) 光設備検出方法および光設備検出システム
EP1952561B1 (en) Method and apparatus for identification of multiple fibers using an otdr
JP4990854B2 (ja) 光線路特性の解析方法、解析装置およびプログラム
JP6263426B2 (ja) 分岐光線路特性解析システム、分岐光線路とその製造方法
JP5291908B2 (ja) 光線路試験システムおよび光線路試験方法
JP5467080B2 (ja) 光線路心線判定装置およびその判定方法
JP4990846B2 (ja) 光線路試験方法、波形解析装置およびプログラム
JP5993818B2 (ja) 光線路特性解析装置及び光線路特性解析方法
JP6024634B2 (ja) 光線路障害検知装置および光線路障害検知方法
WO2011070404A1 (pt) Sistema óptico e método para monitorização da estrutura física de redes ópticas, baseado no rodt com sensores remotos
JP2015132562A (ja) 分岐光線路の特性解析装置および分岐光線路の特性解析方法
JP4819165B2 (ja) 光通信システム及びその監視方法
JP6277115B2 (ja) 試験光遮断フィルタおよびそれを適用したインサービス試験方法
JP2017072495A (ja) 試験光合分波器及び光線路試験システム
JP5066555B2 (ja) 光線路障害探索装置
JPH08201223A (ja) 光ファイバ線路網の監視方法及びその監視システム
JP5907907B2 (ja) 光線路特性解析装置及びその解析方法
JP2006140730A (ja) 光通信システムおよび光試験装置
JP4160939B2 (ja) 光線路の障害探索方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100805

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120409

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120424

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120502

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150511

Year of fee payment: 3

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees