JP2010008077A - 自動洗浄式光センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】開発コスト、製品コストが大幅に上昇することなく、レンズの表面に付着した汚れを確実に除去することができる自動洗浄式光センサを提供する。
【解決手段】制御装置11の画像処理用プロセッサ12は、光センサ2の先端部3に設けられたレンズ4の表面に煤や有機物或いは無機物の汚れが付着することにより燃焼室1における検出対象領域からの光の照度が低下した場合は、レンズ4の表面に形成された櫛歯状電極トランスデューサ6に通電する。これにより、レンズ4の表面に表面弾性波が発生し、レンズ4の表面に付着した汚れを霧化することができるので、レンズ4の表面を清浄化することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃焼ガス雰囲気中における検出対象領域を結像させるためのレンズの表面を自動洗浄する機能を備えた自動洗浄式光センサに関する。
従来、車両のエンジンにおいて、燃焼室の燃焼過程、或いは排気系のガス温度、或いはフィルタ表面温度などの燃焼ガス雰囲気中の所定の検出対象領域の温度分布を検出するための光センサが提供されている。この種の光センサは、例えば検出対象領域をレンズで光ファイバの一端面に結像させることにより光ファイバの他端面に検出対象領域の画像を形成し、その画像を解析することにより検出対象領域の温度分布を検出するようになっている。
特表2006−526142号公報
ところで、例えば検出対象領域を光ファイバの一端面に結像するためのレンズは燃焼ガス雰囲気に晒されていることから、比較的短時間で燃焼ガス中の煤や有機物或いは無機物の汚れがレンズの表面に付着し、光ファイバの他端に形成される画像の照度が低下する。このため、検出対象領域の温度分布を確実に検出可能とするには、煤や有機物或いは無機物の汚れを洗浄する必要があるものの、使用者の要望としては、計測作業の手間を減らすべく、レンズの洗浄のためセンサを取り外すことなく、レンズを自動的に清浄化できることにある。
このような使用者の要望に対して、特許文献1のものでは、レンズの近傍に加熱装置を設けることにより煤や有機物或いは無機物の汚れを加熱焼却し、レンズ表面の清浄化を実現している。加熱装置は電力供給によりジュール発熱し、その熱はセンサ先端部を構成する構造部材を介して熱伝導によりレンズまで達する。レンズの温度が、煤や有機物或いは無機物の汚れが燃える温度以上に達すると、煤や有機物或いは無機物の汚れが加熱焼却され、レンズが清浄化される仕組みとなっている。
しかしながら、引用文献1の構成では、センサ先端周辺部の温度は、加熱装置による加熱のためにレンズの温度よりも高くなる。このため、センサ周辺部では高い熱応力が発生し、部品の破壊につながりかねない。特に、引用文献1のものは、レンズと周辺部の線膨張係数の違いから、この接合部分での熱応力が極めて大きく、熱応力破壊にいたる虞がある。このような問題を避けるためには、構成部品の放熱設計を確実に行うか、耐久性の高い材料選定が不可避であり、開発コスト、製品コストが高くなるという問題がある。
また、レンズにデポジットがこびり付いた場合は、デポジットを加熱焼却することができないという問題もある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、開発コスト、製品コストが大幅に上昇することなく、レンズの表面に付着した汚れを確実に除去することができる自動洗浄式光センサを提供することにある。
請求項1の発明によれば、振動発生手段によりレンズの表面に振動を発生させることができるので、レンズに付着した汚れを霧化させることができる。この場合、振動により汚れを除去するので、熱伝導を利用して汚れを焼却する構成に比較して、構成部品の開発が容易であると共に、部品コストを低減することができる。
請求項2の発明によれば、弾性振動、或いは表面弾性波を利用するようにしたので、レンズに付着した汚れを効果的に除去することができる。
請求項3の発明によれば、櫛歯状電極トランスデューサを用いることにより容易に実施することができる。
請求項4の発明によれば、レンズに汚れが付着した場合のみ振動発生手段が駆動されるので、汚れを効率よく除去することができる。
請求項5の発明によれば、撮像手段は燃焼ガス雰囲気から離れて設けることができるので、撮像手段の熱対策を省略することができる。
以下、本発明の一実施形態について図1ないし図4を参照して説明する。
図1は、全体構成を示す概略図である。エンジンの燃焼室(燃焼ガス雰囲気に相当)1の壁面には光センサ2の先端部3が装着されている。この光センサ2は、燃焼室1の燃焼ガスの温度分布を検出することによりエンジンの燃焼状態を判断するためのものである。先端部3は燃焼室1内を臨んでおり、その先端面にはレンズ4が設けられていると共に光ファイバ(導光手段に相当)5が設けられている。
レンズ4と光ファイバ5とは、図示しない光カプラにより光学的に接続されていると共に、ロウ付け、或いは焼結など、セラミック接合と同様な方法により先端部3に接合されている。レンズ4は、燃焼室1内の所定の検出対象領域を結像する。光ファイバ5は、レンズ4により結像した画像が一端面に位置するように設けられている。光ファイバ5は燃焼室1の外部に導出しており、一端面に結像した画像を他端面に画像として形成するようになっている。
図2は光センサ2の先端部3を示す斜視図である。レンズ4は、石英或いは透光性アルミナなどの圧電セラミックスからなる。レンズ4の表面には、櫛歯状電極トランスデューサ(振動発生手段に相当)6が形成されており、先端部3に内蔵されたリード線7と電気的に接続されている。電気的な接続手段としては、耐熱性の高いリード線、或いはレンズ4の表面及び先端部3の先端面に形成された導電パターンを採用することができる。
櫛歯状電極トランスデューサ6は対向する一対の櫛歯状電極からなり、数十から数百MHzの高周波電圧が印加されると、レンズ4の表面に、電極間隔で規定される表面弾性波を発生させる。この表面弾性波は、Rayleigh(レイリー)波、或いはSezawa(セザワ)波で、その振幅はレンズ4の表面の鉛直方向成分を有するのが特徴である。
図1において、光ファイバ5の他方の端面と対向するようにCMOSカメラ8が配置されている。CMOSカメラ8はレンズ9とイメージセンサ(撮像手段に相当)10からなり、光ファイバ5の他端面に形成された画像がレンズ9によりイメージセンサ10に結像する。CMOSカメラ8は、イメージセンサ10に結像した画像を示す画像信号を制御装置11に出力する。
制御装置11は、画像処理用プロセッサ(画像処理手段に相当)12と制御回路(制御手段に相当)13とから構成されている。
図3は、制御回路13の構成を示す電気回路図である。画像処理用プロセッサ12は、CMOSカメラ8のイメージセンサ10からの画像信号を処理することにより燃焼室1の所定の検出対象領域における燃焼温度分布を検出する。このように燃焼室1の燃焼温度分布を検出する理由は、近年、低燃費、或いは低排出ガス性能を向上させるためにHCCI(予混合圧縮着火)燃焼方式のように大量のEGR(排気ガス再循環)を使用した燃焼方式の開発が行われており、このような大量のEGRを使用した燃焼方式では、燃焼が不均一となることから、燃焼温度分布を観察してエンジンの制御にリアルタイムに反映させることが今後重要となるからである。つまり、燃焼室1の燃焼が適正に行われる場合には、予め記憶した燃焼温度分布となるものの、制御が不適正な場合は、燃焼温度分布が予め記憶した温度分布から許容範囲から外れることから、このような場合は、燃焼が不適正であると判断するのである。
制御回路13は、電源と櫛歯状電極トランスデューサ6との間に介在された無接点スイッチ14からなる。無接点スイッチ14はノーマルオープンタイプであり、画像処理用プロセッサ12によりオンされた状態で電源を櫛歯状電極トランスデューサ6に接続する。
画像処理用プロセッサ12は、CMOSカメラ8からの画像信号に基づいて燃焼室1の燃焼温度分布を検出し、検出した燃焼温度分布が予め設定した温度分布の許容範囲から外れていた場合は、異常を図示しないエンジンECUに通知する。エンジンECUは、画像処理用プロセッサ12からの異常の通知を受け、その異常に応じてエンジンに対する制御を燃焼状態が適正となるように変更する。
さて、レンズ4の表面に表面弾性波が発生した状態でレンズ4の表面に燃料・潤滑油などの油滴が付着すると、油滴は表面弾性波のエネルギを吸収して不安定な状態となる。すると、油滴が跳躍するようになり、エネルギが高い場合には霧化し、レンズ4の表面から離脱するようになる。また、レンズ4に煤や有機物或いは無機物の汚れが付着した場合は、レンズ4の表面が振動することにより煤や有機物或いは無機物の汚れが霧化するので、レンズ4の表面は清浄化されるようになる。このような清浄作用は、レンズ4の表面にデポジットがこびり付いた場合でも可能である。
レンズ4への電圧印加は、エンジン始動中の常時、或いはレンズ4が汚れた場合の何れかを選択可能である。
<エンジンの始動中の常時とした場合>
レンズ4の表面が常時振動するため、飛来した燃料・潤滑油などの油滴、煤や有機物或いは無機物の汚れなどの汚れは付着しにくいと共に、汚れが付着した場合であっても直ちに霧化してしまう。従って、レンズ4の表面を常時清浄化することができる。
<レンズ4が汚れたときとした場合>
図4は、画像処理用プロセッサ12の動作のうち本発明に関連した動作を示すフローチャートである。画像処理用プロセッサ12は、CMOSカメラ8からの画像信号における全ての画素毎の光の照度Wnを求め(S1)、それらの照度Wnを加算してから(S2)、その加算値Pが最低照度を上回っているかを判断する(S3)。CMOSカメラ8が受光する燃焼室からの光の照度が十分な場合は、加算値Pは最低照度を上回っているので(S3:YES)、無接点スイッチ14のオフ状態を維持する(S4)。
さて、光センサ2の先端部3に設けられたレンズ4は燃焼室1内に位置していることから、燃焼ガス雰囲気に晒されている。このため、燃焼ガス中の燃料・潤滑油などの油滴、或いは煤や有機物或いは無機物の汚れが比較的短時間でレンズ4の表面に付着するので、CMOSカメラ8の受光量が低下し、燃焼温度分布を正確に検出することができなくなる。また、このような状態が継続すると、汚れがレンズ4にデポジットがこびり付くようになる。
画像処理用プロセッサ12は、CMOSカメラ8からの画像信号における画素毎の光の照度の加算値Pが最低照度を下回った場合は(S3:NO)、レンズ4に汚れが付着したと判断し、タイマをリセットすると共に(S5)、タイマの計時を開始してから(S6)、無接点スイッチ14をオンする(S7)。これにより、無接点スイッチ14を通じて電源が櫛歯状電極トランスデューサ6に接続されるので、櫛歯状電極トランスデューサ6が通電により振動する。これにより、レンズ4の表面に表面弾性波が発生し、レンズ4の表面に付着している油滴、煤や有機物或いは無機物の汚れ、デポジットなどの汚れが霧化されるので、レンズ4の表面を清浄化することができる。
画像処理用プロセッサ12は、タイマの計時時間が設定時間を上回った場合は(S8:YES)、無接点スイッチ14をオフする(S4)。この場合の設定時間とは、レンズ4に付着した汚れを霧化するのに十分な時間で、予め画像処理用プロセッサ12に記憶しておく。
画像処理用プロセッサ12は、レンズ4に付着した汚れの霧化が終了した場合は、燃焼温度分布の計測を再開するようになる。
以上の動作により、レンズ4の表面に付着した汚れを霧化することができるので、レンズ4の表面が清浄化され、CMOSカメラ8が撮像した画像に基づいて検出対象領域の燃焼温度分布を確実に計測することができる。
尚、櫛歯状電極トランスデューサ6の振動による清浄機能を助長するために、燃料の油分をはじきやすい酸化チタンやフッ素皮膜などの塗膜をレンズ4及び櫛歯状電極トランスデューサ6の表面に形成するのが望ましい。
このような実施形態によれば、燃焼室1内に位置するレンズ4の表面に櫛歯状電極トランスデューサ6を形成し、レンズ4の表面に汚れが付着することにより燃焼室1における検出対象領域からの光の照度が低下した場合は、櫛歯状電極トランスデューサ6を駆動することにより汚れを霧化してレンズ4の表面を清浄化するようにしたので、光センサのレンズを加熱装置からの熱伝導を利用して加熱する構成であるために、部品の放熱設計が困難であったり、耐久性の高い材料選定が不可避であったりする従来例のものと違って、開発コスト、製品コストが大幅に上昇することなく、レンズ4の表面に付着した汚れを確実に除去することができる。
尚、レンズ4の表面に形成する櫛歯状電極トランスデューサ6の形状としては、図5に示すように環状に形成したり、図6に示すように一組の櫛歯状電極トランスデューサ6を対向させて形成したり、図7に示すように対向する櫛歯状電極トランスデューサ6を二組直交するように形成するようにしてもよい。
また、図8に示すように、先端部に複数のレンズ4を設け、異なる燃焼領域を撮像することにより燃焼温度分布の計測領域の拡大を図るようにしてもよい。
(他の実施形態)
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、次のように変形または拡張できる。
ガラスレンズにおいて燃焼ガス雰囲気に晒される表面に例えばZnO膜による圧電性膜を形成し、その圧電性膜上に櫛歯状電極トランスデューサを形成しても良い。
振動発生手段として圧電素子を用いるようにしても良い。
光ファイバに代えて、光導波路、或いは真空、気体、液体等で満たされた透光空間部から構成するようにしてもよい。尚、透光空間部を採用する場合は、レンズ4による結像を透光空間部を介して直線状に位置する撮像手段に撮像することになる。
光ファイバを省略し、レンズ4により結像した画像を撮像手段で直接撮像するようにしてもよい。
レンズ4において燃焼室に臨む側の表面は、DLC(ダイアモンドライクカーボン)でコーティングしてもよい。この場合、油分の付着がしにくくなるので、振動により落としやすくなる。
本発明を、各種燃焼ガス雰囲気の燃焼温度分布を計測する装置に適用するようにしても良い。
本発明の一実施形態における全体構成を示す概略図 光センサの先端部を示す斜視図 制御回路の電気回路図 画像処理用プロセッサの動作を示すフローチャート 変形例におけるレンズを示す平面図(その1) 変形例におけるレンズを示す平面図(その2) 変形例におけるレンズを示す平面図(その3) 変形例における先端部を示す斜視図
符号の説明
図面中、1は燃焼室(燃焼ガス雰囲気)、2は光センサ、3は先端部、4はレンズ、5は光ファイバ(導光手段)、6は櫛歯状電極トランスデューサ(振動発生手段)、10はイメージセンサ(撮像手段)、12は画像処理用プロセッサ(画像処理手段)、13は制御回路(制御手段)である。

Claims (12)

  1. 燃焼ガス雰囲気を臨むように設けられた先端部と、
    前記先端部に設けられ、燃焼ガス雰囲気中の所定の検出対象領域を結像するレンズと、
    前記レンズにより結像した画像を画像信号に変換する撮像手段と、
    前記撮像手段からの画像信号を解析することにより前記検出対象領域の温度分布を検出する画像処理手段と、
    前記レンズの表面に振動を発生させる振動発生手段と、
    前記振動発生手段を駆動する駆動手段と、
    を備えたことを特徴とする自動洗浄式光センサ。
  2. 前記振動発生手段は、弾性振動、或いは表面弾性波を発生させることを特徴とする請求項1記載の自動洗浄式光センサ。
  3. 前記振動発生手段は、前記レンズの表面に設けられた櫛歯状電極トランスデューサからなり、
    前記駆動手段は、前記櫛歯状電極トランスデューサに高周波電圧を印加することを特徴とする請求項2記載の自動洗浄式光センサ。
  4. 前記駆動手段は、前記撮像手段が撮像した画像の全体照度が閾値以下となった場合に前記振動発生手段を駆動することを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載の自動洗浄式光センサ。
  5. 前記レンズによる画像が一端面に結像するように設けられ、当該画像を前記燃焼ガス雰囲気の外部に導出された他端面に形成する導光手段を備え、
    前記撮像手段は、前記導光手段の他端面に形成された画像を撮像するように設けられていることを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載の自動洗浄式光センサ。
  6. 前記レンズは、少なくとも燃焼ガス雰囲気に晒される表面が圧電体で構成されていることを特徴とする請求項1ないし5の何れかに記載の自動洗浄式光センサ。
  7. 前記レンズは、透光性を有する圧電セラミックスからなることを特徴とする請求項6記載の自動洗浄式光センサ。
  8. 前記櫛歯状電極トランスデューサは、櫛歯が円周方向に並んで構成されていることを特徴とする請求項3ないし7の何れかに記載の自動洗浄式光センサ。
  9. 前記櫛歯状電極トランスデューサは、櫛歯が直径方向に並んで構成されていることを特徴とする請求項3ないし7の何れかに記載の自動洗浄式光センサ。
  10. 前記櫛歯状電極トランスデューサは、櫛歯が中心から放射状に並んで構成されていることを特徴とする請求項3ないし7の何れかに記載の自動洗浄式光センサ。
  11. 前記レンズにおいて前記燃焼ガス雰囲気を臨む側の表面は、DLC(ダイアモンドライクカーボン)でコーティングされていることを特徴とする請求項1ないし10の何れかに記載の自動洗浄式光センサ。
  12. 前記導光手段は、光ファイバ、光導波路、或いは真空、気体、液体等で満たされた透光空間部から構成されていることを特徴とする請求項5ないし11の何れかに記載の自動洗浄式光センサ。
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