JP2010008025A - ループヒートパイプおよび電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】発熱体や発熱電子部品の発熱量が小さい状況下でも作動流体の循環速度の低下を抑えることができるループヒートパイプおよび電子機器を提供する。
【解決手段】多孔質の材料で構成されたウィックをそれぞれ有し、共通の発熱体に熱的に結合されてなる複数の蒸発管であって、それぞれのウィックを通過中の液相の作動流体を発熱体から受け取った熱によって蒸発させる複数の蒸発管を有する蒸発器と、気相の作動流体の熱を放出させて作動流体を凝縮させる凝縮器と、蒸発器と凝縮器を連結し、蒸発器で蒸発した気相の作動流体を蒸発器から凝縮器まで移動させる蒸気管と、蒸発器と凝縮器を連結し、凝縮器で凝縮した液相の作動流体を凝縮器から蒸発器まで移動させる液管と、複数の蒸発管のうちの1つ以上の蒸発管それぞれに対応して設けられ、対応する蒸発管を開閉する1つ以上のバルブと、1つ以上のバルブそれぞれの開閉を制御するバルブ制御部とを備えている。
【選択図】図5

Description

本件は、作動流体を移動させることで発熱体の熱を輸送するループヒートパイプと、動作により発熱する発熱電子部品を備えた電子機器に関する。
今日の社会では、工業技術の進歩に伴い多種多様な電子機器が開発されており、複雑な構成を有する電子機器も数多く存在している。特に近年では、情報化社会の進展とともに、コンピュータをはじめ情報処理を行う電子機器に関する技術が急速に発展しており、複雑な構成を有する高性能の電子機器が次々と開発されている。
電子機器では、電子機器内部に複雑な電子回路が備えられていることが一般的であり、電子機器として動作する際には、こうした電子回路が発熱することが多い。例えば、コンピュータでは、コンピュータの動作制御の中枢を担うCPUが、コンピュータの動作に伴って発熱する。電子回路が発熱すると、その熱により、その電子回路やその周囲にある他の電子部品に不具合が生じることがあるため、発生した熱を電子回路から他の場所に逃がすための熱輸送の機構が必要になることが少なくない。
熱輸送の機構としては、従来から、ループヒートパイプと呼ばれる熱輸送デバイスが知られている。ループヒートパイプは、パイプなどの容器の内部に作動流体が封入された構成を備えており、熱を吸収した作動流体がヒートパイプ内を移動することにより熱の輸送が行われる。ここで、ループヒートパイプの構成と作動原理とについて説明する。
図1は、ループヒートパイプの構成と作動原理とを表した模式構成図である。
図1に示すループヒートパイプは、液相の作動流体100が発熱体(不図示)からの熱を吸収して気化する蒸発器101と、気相の作動流体100が熱を放出して液化する凝縮器105とを有している。このループヒートパイプでは、蒸発器101で気化した作動流体100が蒸気管104中を通って図の上向き矢印方向に移動して凝縮器105において液化し、その液化した作動流体100が液管102中を通って図の下向き矢印方向に移動して蒸発器101に戻る。このような作動流体100の移動により熱の輸送が行われる。ここで、蒸発器101の内部には、多孔質の材料で構成されたウィック1003が設けられており、蒸発器101に戻ってきた液相の作動流体100は、毛細管力によりウィック103内部に浸透しながら周囲からの熱を受けて気化し、その気化した作動流体100は、蒸気管104を介して凝縮器105に向かう。
図2は、作動流体100がウィック103中を進んで液相から気相に変化する様子を模式的に表した図である。
実際には、液相の作動流体100が浸透するウィック3’中の通過路(空洞部分)は曲がりくねって複雑なものであるが、この図では、ウィック3’中の複数の通過路は、左右方向に互いに平行に延びた円柱状の通過路として模式的に表されている。この図では、液相の作動流体100は、毛細管力によりウィック103内部を右方向に進み、周囲からの熱を受けて気化する。ここで、作動流体100が液相となっている側(液側)と、作動流体100が気相となっている側(蒸気側)との境界面は、図に示すように、蒸気側から液側に向かって凸の形状となっており、毛細管力ΔPcは、下記の式で表される。
ΔPc = (2×ρ×cosθc)/rc ・・・(1)
上記の(1)において、「ρ」は、作動流体100の表面張力であり、「θc」は、円柱状の通過路の壁面と境界面とがなす接触角(図2参照)、「rc」は、円柱状の通過路の半径である。
米国特許4765396号公報
一般に、ループヒートパイプでは、蒸発器中のウィックによる毛細管力は、発熱体から蒸発器に供給される熱量が少ないほど小さくなり、作動流体の循環速度が低下する傾向がある。
図3は、発熱体の発熱量に応じた、液側と蒸気側との境界面の様子を表した図である。
ここで、図3のパート(a)には、発熱体の発熱量が大きい状況における、作動流体の液側と蒸気側との境界面の様子が表されている。また、図3のパート(b)には、発熱体の発熱量が小さい状況における、作動流体の液側と蒸気側との境界面の様子が表されている。
円柱状の通過路の壁面と境界面とがなす接触角θcは、発熱体から蒸発器に供給される熱量が小さい図3のパート(b)の状況では、発熱体から蒸発器に供給される熱量が大きい図3のパート(a)の状況と比べて大きくなっており、毛細管力ΔPcは小さくなっている。このように毛細管力ΔPcが小さい状況では作動流体の循環速度が低下するため、発熱量が小さいといえども発熱体周囲の温度が徐々に上昇して発熱体周囲の電子部品に不具合が生じるおそれがある。特に、作動流体の循環速度が完全にゼロになってしまった状況では、蒸発器に供給される作動流体が不足する、いわゆるドライアウトが発生し、発熱体周囲の温度上昇が深刻なものとなる。
上記事情に鑑み、発熱体や発熱電子部品の発熱量が小さい状況下でも作動流体の循環速度の低下を抑えることができるループヒートパイプおよび電子機器を提供する。
上記目的を達成するループヒートパイプの基本形態は、
多孔質の材料で構成されたウィックをそれぞれ有し、共通の発熱体に熱的に結合されてなる複数の蒸発管であって、それぞれのウィックを通過中の液相の作動流体を上記発熱体から受け取った熱によって蒸発させる複数の蒸発管を有する蒸発器と、
気相の作動流体の熱を放出させて該作動流体を凝縮させる凝縮器と、
上記蒸発器と上記凝縮器を連結し、該蒸発器で蒸発した気相の作動流体を該蒸発器から上記凝縮器まで移動させる蒸気管と、
上記蒸発器と上記凝縮器を連結し、該凝縮器で凝縮した液相の作動流体を該凝縮器から上記蒸発器まで移動させる液管と、
上記複数の蒸発管のうちの1つ以上の蒸発管それぞれに対応して設けられ、対応する蒸発管を開閉する1つ以上のバルブと、
上記1つ以上のバルブそれぞれの開閉を制御するバルブ制御部とを備えている。
このループヒートパイプの基本形態によれば、作動流体が移動可能な蒸発管の数をバルブの開閉の制御によって調節することができ、これにより、その作動流体が移動可能な蒸発管においては毛細管力ΔPcを適度な値に維持することができる。この結果、このループヒートパイプの基本形態では、ループヒートパイプ全体での-作動流体の循環速度の低下を回避することができる。
上記目的を達成する電子機器の基本形態は、
動作により発熱する発熱電子部品を備えた電子機器であって、
多孔質の材料で構成されたウィックをそれぞれ有し、上記発熱電子部品に熱的に結合されてなる複数の蒸発管であって、それぞれのウィックを通過中の液相の作動流体を上記発熱電子部品から受け取った熱によって蒸発させる複数の蒸発管を有する蒸発器と、
気相の作動流体の熱を放出させて該作動流体を凝縮させる凝縮器と、
上記蒸発器と上記凝縮器を連結し、該蒸発器で蒸発した気相の作動流体を該蒸発器から上記凝縮器まで移動させる蒸気管と、
上記蒸発器と上記凝縮器を連結し、該凝縮器で凝縮した液相の作動流体を該凝縮器から上記蒸発器まで移動させる液管と、
上記複数の蒸発管のうちの1つ以上の蒸発管それぞれに対応して設けられ、対応する蒸発管を開閉する1つ以上のバルブと、
上記1つ以上のバルブそれぞれの開閉を制御するバルブ制御部とを備えている。
この電子機器の基本形態は、上述したループヒートパイプの基本形態を備えているので、作動流体の循環速度の低下を回避することができ、好ましい動作状態が維持される。
以上説明したように、ループヒートパイプおよび電子機器の基本形態によれば、発熱体や発熱電子部品の発熱量が小さい状況下でも作動流体の循環速度の低下を抑えることができる。
以下、基本形態について上述したループヒートパイプおよび電子機器に対する具体的な実施形態を説明する。ここで説明する電子機器の実施形態は、CPUを有するコンピュータであり、このコンピュータは、コンピュータの動作に伴って発熱したCPUを冷却するために、ループヒートパイプを備えている。このループヒートパイプが、基本形態について上述したループヒートパイプの一実施形態に相当する。
図4は、電子機器の実施形態であるコンピュータ1000と、このコンピュータ1000に備えられているループヒートパイプ200とを示す図である。
コンピュータ1000は、電力を蓄える電源24、情報を蓄えるハードディスク装置(HDD)22、および、種々の電子回路を有する基板21を備えている。例えば、この基板21には、情報を一時的に蓄えるメモリ23、および、コンピュータ1000の動作の中枢を担うCPU20が設けられている。このコンピュータ1000はCPU20の制御の下で動作し、CPU20は、コンピュータ1000の動作に伴って発熱する。CPU20は、一辺の長さが50mmの正方形の形状を有しており、CPU20の発熱量は、10W〜120Wの間である。
ループヒートパイプ200は、CPU20から熱を吸収してCPU20外部にその熱を輸送するこことでCPU20の冷却を行う役割を担っている。このループヒートパイプ200は、CPU20に接している蒸発器1を有しており、発熱したCPU20の熱が蒸発器1に伝導し、この熱により、蒸発器1内の液相の作動流体100が気化する。ここで、蒸発器1は、50mm×50mm×15mmの直方体に近い形状をしており、作動流体100としては、具体的には水が採用されている。
蒸発器1には、内部が空洞の管であって、蒸発器1から出て蒸発器1に戻るループ状の銅製の管が接続しており、これにより、この管の内部を熱輸送材となる作動流体100が移動できる構成が実現されている。この管の途中の部分は、点線で示すように曲がりくねった形状となっており、この部分に銅製の放熱フィン6aが接触している。図の実線矢印の向きにこの管の中を移動してきた気相の作動流体100の熱は、放熱フィン6aが接触している部分で放熱フィン6aに伝導する。これにより、気相の作動流体100が冷却されて液化する。ここで、放熱フィン6aが接触している、曲がりくねった形状の管が凝縮器5であり、気相の作動流体100が蒸発器1から凝縮器5まで移動する際に通る管が、蒸気管4である。また、蒸発器1と凝縮器5との間の距離は、約300mmであり、蒸気管4の管内径はφ3mmであり、凝縮器5となる曲がりくねった管の総長は約250mmである。
放熱フィン6aの近くには、コンピュータ1000内部の空気を外部に排気する2台のファン6が設けられており、これらのファン6の排気により、放熱フィン6a周囲の熱い空気がコンピュータ1000外部に放出される。この結果、CPU20の熱は、最終的には、コンピュータ1000外部に放出されることとなる。ここで、ファン6の大きさはφ60mmである。
一方、液化した作動流体100は、図の点線矢印に沿って管の中を移動して蒸発器1に戻る。このとき液化した作動流体100が凝縮器5から蒸発器1まで移動する際に通る管が、液管2である。この液管2の管内径はφ2mmである。
次に、蒸発器1について詳しく説明する。
図5は、図4の蒸発器1の構成を表した模式図である。
蒸発器1は、蒸気出口部14、液入口部11、ウィック3、断熱部材13、および本体部12を備えており、液入口部11はウィック3を介して本体部12に接続しており、蒸気出口部14は、液入口部11が接続している箇所とは反対側で本体部12に接続している。
液入口部11は、図4の液管2(図5では不図示)と接続されている入口管11aを有しており、蒸気出口部14は、図4の蒸気管4(図5では不図示)と接続されている出口管14aを有している。
断熱部材13は、本体部12の、図5の上側を向いた面に接しており、本体部12の熱を外部に逃がさないようにする役割を担っている。
ウィック3は、多孔質のステンレス焼結材で構成されており、底面がある円筒の形状をした3本の腕3aを備えている。ここで、腕3aの各底面はこの図の奥側を向いているため図示されておらず、この図の手前側を向いている、円筒の開口部分が、3本の腕3aそれぞれについて図示されている。
本体部12には、この図で点線で示す、第1金属管121、第2金属管122、および第3金属管123の3本の金属管が設けられており、これら3本の金属管に、ウィック3の3本の腕3aがそれぞれ挿入される。ここで、3本の金属管の内径は平均的には10mmであり、3本の金属管の内壁には、互いに平行な複数の突条が、3本の金属管の延びる方向に沿って設けられている。ここで、隣り合った突条の間は溝部12aとなっており、この溝部12aの存在により、各金属管にウィック3の腕3aが嵌め込まれたときにウィック3の腕3aと各金属管との間に隙間が形成される。
ここで、ウィック3では、ウィック3の材料となるステンレス焼結材の表面の平均的な孔の半径と、このステンレス焼結材の表面の開口率と、水の蒸発潜熱量とに基づき、各金属管に供給されるCPU20の発熱量が40Wのときに各金属管における接触角θ(図2参照)が最も小さく毛細管力ΔPが最も大きくなるように、各金属管内におけるウィック3の各腕3aの表面積が調節されている。
上記の3本の金属管は蒸気出口部14につながっている。ここで、蒸気出口部14内では、図の右側の第1金属管121および左側の第2金属管122それぞれの、蒸気出口部14側の開口付近に第1バルブ141および第2バルブ141が設けられており、これら第1バルブ141および第2バルブ141によって、第1金属管121および第2金属管122の閉鎖・開放がそれぞれ行われる。この閉鎖・開放の機構については後述する。一方、図の真ん中の第3金属管123に対しては、こうしたバルブは設けられておらず、この第3金属管123は、蒸気出口部14に向かって常に開放された状態となっている。
ここで、ループヒートパイプ200には、CPU20の発熱量を検出するワットメータ20aと、第1金属管121および第2金属管122の閉鎖・開放を制御する制御回路20bとが備えられており、これらは、図4の基板21上に配置されている。ワットメータ20aは、CPU20に供給される電圧と、動作時におけるCPU20のクロック数とを取得し、これらの情報に基づきCPU20の発熱量(単位はW(ワット))を求める電子回路である。上述した第1バルブ141および第2バルブ141による第1金属管121および第2金属管122の閉鎖・開放は、第1バルブ141および第2バルブ141を駆動する、後述のアクチュエータを、制御回路20bが制御することによって実現する。この制御では、制御回路20bは、ワットメータ20aの検出結果に応じて第1金属管121および第2金属管122の閉鎖・開放を行う。第1金属管121および第2金属管122の閉鎖・開放の制御については、後で詳しく説明する。
図6は、図5の第1金属管121に垂直な平面での蒸発器1の断面図、図7は、図5の第1金属管121に沿った平面での蒸発器1の断面図である。
図6には、本体部12が有する、第1金属管121、第2金属管122、および第3金属管123が、各金属管中のウィック3や各金属管の周囲に設けられた部材とともに図示されている。各金属管の内壁は、溝部12aの存在のために図6に示すように凹凸状になっている。ここで、凸状の部分(上述の突条)はウィック3と接しているが、凹状となっている部分(溝部12a)とウィック3との間には隙間があり、気相の作動流体100が通るのに充分な広さが確保されている。
図6に示すように、各金属管の周囲には、熱伝導性の高い熱伝導部材12bが設けられており、この熱伝導部材12bは銅製のケース12cで覆われている。このケース12cには、図6の下側からCPU20が接しており、図6の上側からは断熱部材13が接している。このような構成により、銅製のケース12c、熱伝導部材12b、および各金属管を介してCPU20の熱が作動流体100に伝わりやすくなっているとともに、断熱部材13が存在することで、熱伝導部材12からCPU20周辺の電子素子や電子回路に熱が伝導しにくくなっている。
図7では、第1金属管121が第1バルブ141により閉鎖されていない(すなわち開放されている)状態における蒸発器1の断面図が示されており、図5の入口管11aおよび出口管14aについては、図7では点線で示されている。第1金属管121が開放されている状態では、液管2(図7では不図示)から入口管11aを介して液入口部11に流入してきた液相の作動流体100の一部は第1金属管121に流入し、図7の矢印で示すように、第1金属管121内のウィック3を透過して蒸気出口部14に向かう。このウィック3の透過の際には、液相の作動流体100は、ウィック3内部に浸透しながら周囲からの熱を受けて気化する。気化した作動流体100は、蒸気出口部14から出口管14を介して図4の蒸気管4に流出していく。
以上では第1金属管121を通る作動流体100について説明したが、第3金属管123を通る作動流体100や、図5の第2バルブ142により閉鎖されていない(すなわち開放されている)状態の第2金属管122を通る作動流体100についても、同様にして、液相での流入と気相での流出が行われる。なお、第1バルブ141により閉鎖されている第1金属管121や、第2バルブ142により閉鎖されている第2金属管122では、作動流体100が移動できないため、上記のような、液相での作動流体100の流入と気相での作動流体100の流出は行われない。
ここで、第1金属管121、第2金属管122、および第3金属管123が、基本形態で上述したループヒートパイプおよび電子機器における複数の蒸発管の一例に相当し、第1金属管121および第2金属管122が、基本形態で上述したループヒートパイプおよび電子機器における1つ以上の蒸発管の一例に相当する。また、制御回路20bが、基本形態で上述したループヒートパイプおよび電子機器におけるバルブ制御部の一例に相当する。
本実施形態のロープヒートパイプ200では、第1金属管121の閉鎖や第2金属管122の閉鎖は、アクチュエータの駆動により、第1バルブ141や第2バルブ142が移動して第1金属管121の閉鎖や第2金属管122の、蒸気出口部14側の開口を塞ぐことによって実現する。図7では、第1バルブ141の傍らに、第1バルブ141の移動を担当する2つのアクチュエータ140が位置している様子が示されている。この図7では図示されていないが、第1バルブ141の移動を担当する2つのアクチュエータ140と同じ2つのアクチュエータ140が、第2バルブ142(図7では不図示)の傍らに設けられている。このアクチュエータ140はピエゾ素子を用いて力を発生するピエゾアクチュエータのうちのバイモルフ型と呼ばれるタイプのアクチュエータである。
以下、アクチュエータ140について説明する。
図8は、図7のアクチュエータ140を、その変位の様子とともに表した図である。
アクチュエータ140は、金属性の薄板140aの図の上端部および下端部を、それぞれ2つのピエゾ素子140bで挟んだ構成を備えている。ここで、薄板140aの上端部を挟む2つのピエゾ素子140b、および、薄板140aの下端部を挟む2つのピエゾ素子140bは、制御回路20bと電気的に接続(配線)されている。この配線により、制御回路20bは、薄板140aの上端部を、図の上側の2つのピエゾ素子140bに対する電極として用いて、上側の2つのピエゾ素子140bそれぞれに対し互いに異なる電圧を印加することができる。また、制御回路20bは、薄板140aの下端部を、図の下側の2つのピエゾ素子140bに対する電極として用いて、下側の2つのピエゾ素子140bそれぞれに対し互いに異なる電圧を印加することができる。
一般に、ピエゾ素子には、電圧の印加を受けるとその印加電圧の大きさに応じて伸縮する性質がある。バイモルフ型のピエゾアクチュエータは、2つのピエゾ素子で金属性の薄板の端を挟んだ構成を有しており、2つのピエゾ素子に対して異なる大きさの電圧が印加されると、これらのピエゾ素子の伸縮の程度が異なることに起因して薄板に反りが生じ、バイモルフ型のピエゾアクチュエータでは、このときの薄板の形状の変化に伴う力が動力として利用される。
図の上側の2つのピエゾ素子140bは、一部が、上側の固定部140cに固定されており、電圧の印加を受けると、この固定部140cに固定されていない残りの部分が伸縮する。同様に、図の下側の2つのピエゾ素子140bは、一部が、下側の固定部140cに固定されており、電圧の印加を受けると、この固定部140cに固定されていない残りの部分が伸縮する。ここで、図8のアクチュエータ140では、上側の2つのピエゾ素子140bのうちの右側のピエゾ素子140bに対しては、下側の2つのピエゾ素子140bのうちの右側のピエゾ素子140bに印加される電圧と同じ大きさの電圧が印加され、上側の2つのピエゾ素子140bのうちの左側のピエゾ素子140bに対しては、下側の2つのピエゾ素子140bのうちの左側のピエゾ素子140bに印加される電圧と同じ大きさの電圧が印加される。このとき、制御回路20bは、上側の2つのピエゾ素子140bに印加される電圧の差(すなわち、下側の2つのピエゾ素子140bに印加される電圧の差)を制御することにより、薄板140aの反りの向きを制御する。例えば、上側の2つのピエゾ素子140b、および下側の2つのピエゾ素子140bに電圧が印加されて図の実線に示すように薄板140aが右向きに反っている状況において、上側の左右の2つのピエゾ素子140bに印加される電圧を入れ替え、さらに、下側の左右の2つのピエゾ素子140bに印加される電圧を入れ替えることで、薄板140aの配置を、図の矢印で示すように、実線で示す薄板140aの配置(右向きに反った配置)から、点線で示す薄板140aの配置(左向きに反った配置)に変化させることができる。
図9は、図7の2つのアクチュエータ140によって、第1バルブが第1金属管の閉鎖・開放を行う様子を表した図である。
図9のパート(a)には、2つのアクチュエータ140の薄板140aのうち、右側のアクチュエータ140の薄板140aの配置が、図9のパート(a)の右向き矢印で示すように、実線で示す配置(左向きに反った配置)から、点線で示す配置(右向きに反った配置)に変化した様子が示されている。この右側の薄板140aの反りの変化の際には、この右側の薄板140aは、第1バルブ141の前面141aに接触して第1バルブ141を第1金属管121に向かって押す。ここで、第1バルブ141は、ガイド1410によって図9のパート(a)の上下方向への移動が抑制されているが、左右方向には移動することができる。このため、右側の薄板140aに押された第1バルブ141は、図9のパート(a)の右方向に移動し、第1金属管121の開口を塞ぐ。これにより、第1金属管121が閉鎖されることとなる。このときの第1バルブ141が、閉じた状態の第1バルブ141である。
図9のパート(b)には、2つのアクチュエータ140の薄板140aのうち、左側のアクチュエータ140の薄板140aの配置が、図9のパート(b)の左向き矢印で示すように、実線で示す配置(右向きに反った配置)から、点線で示す配置(左向きに反った配置)に変化した様子が示されている。この左側の薄板140aの反りの変化の際には、この左側の薄板140aは、第1バルブ141の後面141bに接触して第1バルブ141を第1金属管121から引き離す方向に押す。このため、左側の薄板140aに押された第1バルブ141は、図9のパート(b)の左方向に移動し、第1金属管121の開口から離れる。これにより、第1金属管121が開放されることとなる。このときの第1バルブ141が、開いた状態の第1バルブ141である。
なお、第1バルブ141が閉じた状態から開いた状態に移行する際には、まず、2つのアクチュエータ140の薄板140aのうち、右側のアクチュエータ140の薄板140aが、左に反った配置(図9のパート(a)の実線の配置)に戻り、次に、左側のアクチュエータ140の薄板140aが、左に反った配置(図9のパート(b)の点線の配置)に移動する。
逆に、第1バルブ141が開いた状態から閉じた状態に移行する際には、まず、2つのアクチュエータ140の薄板140aのうち、左側のアクチュエータ140の薄板140aが、右に反った配置(図9のパート(b)の実線の配置)に戻り、次に、右側のアクチュエータ140の薄板140aが、右に反った配置(図9のパート(a)の点線の配置)に移動する。
以上では、第1バルブ141による第1金属管121の開放および閉鎖(第1バルブ141の開閉)について説明したが、図5の第2バルブ142による第2金属管122についても同様に、第2バルブ142の傍に設けられている2つのアクチュエータ140によって第2バルブ142が移動して第2金属管122の開放および閉鎖(第2バルブ142の開閉)が実現する。
図5の制御回路20bは、ワットメータ20aの検出結果に応じて、第1バルブ141の傍に設けられている2つのアクチュエータ140、および、第2バルブ142の傍に設けられている2つのアクチュエータ140を制御することで、第1バルブ141および第2バルブ142の開閉を制御する。
図10は、制御回路20bによって行われる、第1バルブ141および第2バルブ142の開閉の制御方式を表したフローチャートである。
ユーザの操作により図4のコンピュータ100の電源がオンになってCPU20の発熱が始まると(ステップS1)、図5の制御回路20bは、ワットメータ20aにより検出されるCPU20の発熱量の監視を開始する(ステップS2)。次に、制御回路20bは、第1バルブ141の傍に設けられている2つのアクチュエータ140、および、第2バルブ142の傍に設けられている2つのアクチュエータ140を制御し、第1バルブ141および第2バルブ142を閉じる(ステップS3)。CPU20の発熱量が、CPU20の最大発熱量の1/3以下である間は(ステップS4;No)、第1バルブ141および第2バルブ142が閉じた状態が維持される。上述したように、CPU20の最大発熱量は120Wであり、従って、CPU20の発熱量が、40W以下である間は、第1バルブ141および第2バルブ142が閉じた状態が維持される。
図11は、第1バルブ141および第2バルブ142を閉じている様子を表した模式図である。
この図に示すように、図の一番上側に位置するの第1バルブ141は、この第1バルブ141の傍に備えられている2つのアクチュエータ140のうちの、右側のアクチュエータ140の薄板140aに押されて第1金属管121の開口を塞いでいる。同様に、図の一番下側に位置するの第2バルブ142は、この第2バルブ141の傍に備えられている2つのアクチュエータ140のうちの、右側のアクチュエータ140の薄板140aに押されて第2金属管122の開口を塞いでいる。このようにして、第1金属管121および第2金属管122が閉鎖された状態が実現する。この状態では、作動流体100は、第3金属管123中のみ通ることができ、第3金属管123中のウィック3のみが、作動流体100の気相から液相への相変化の際に利用されることとなる。
図12は、第1バルブ141および第2バルブ142が閉じた状態の下で、作動流体100がウィック3中を進んで液相から気相に変化する様子を模式的に表した図である。
この図では、第1金属管121、第2金属管122、および第3金属管123の各金属管について、各金属管内のウィック3の一部における作動流体100の通過路が模式的に示されている。実際には、液相の作動流体100が浸透するウィック3中の通過路(空洞部分)は曲がりくねって複雑なものであるが、この図では、ウィック3中の複数の通過路は、左右方向に互いに平行に延びた円柱状の通過路として模式的に表されている。すなわち、図12では、ウィックに関して図2や図3と同様の図面上の表現の仕方が用いられている。この図では、液相の作動流体100は、毛細管力によりウィック103内部を右方向に進み、周囲からの熱を受けて気化する。ここで、毛細管力ΔPcと、円柱状の通過路の壁面と境界面とがなす接触角θとの間には、上述した式(1)の関係が成立する。
CPU20の最大発熱量の1/3以下となっている、CPU20の発熱量が小さい状況では、第3金属管123中のみ作動流体100が流れて第3金属管123中のウィック3で作動流体100が液相から気相に変化する。一方、第1金属管121および第2金属管122は未使用であってこれらの金属管中のウィック3は利用されない。この図12の状態では、CPU20からの発熱量がこのように小さい状況下で第3金属管123中のウィック3に加えて他の金属管のウィック3も利用されているときの状態と比べて、第3金属管123内のウィック3では、図12に示すように、接触角θが小さく毛細管力ΔPcが大きい状態が実現される。
図10に戻って説明を続ける。
CPU20の発熱量が、CPU20の最大発熱量の1/3を越えると(ステップS4;Yes)、制御回路20bは、第1バルブ141の傍に設けられている2つのアクチュエータ140を制御して第1バルブ141を開く(ステップS5)。
図13は、第1バルブ141が開き、第2バルブ142が閉じている様子を表した模式図である。
制御回路20bは、第1バルブ141の傍に設けられている2つのアクチュエータ140の薄膜149aのうち、まず、図11で右向きに反っている右側の薄膜149aを左向きに反らせ、次に、図11で右向きに反っている左側の薄膜149aを左向きに反らせる。これにより、図13に示すように、第1バルブ141の傍に設けられている2つのアクチュエータ140の薄膜149aが両方とも左向きに反った状態となる。左側の薄膜149aを左向きに反ったときに第1バルブ141が左側に移動して第1金属管121の開口から離れ、これにより第1金属管が開放される。このようにして、第1金属管121が開放され、第2金属管122が閉鎖された状態が実現する。この状態では、作動流体100は、第1金属管121および第3金属管123の中を通ることができ、第1金属管121および第3金属管123の中のウィック3が、作動流体100の気相から液相への相変化の際に利用されることとなる。
図10に戻って説明を続ける。
CPU20の発熱量が、CPU20の最大発熱量の2/3以下である間は(ステップS6;No)、第2バルブ122が閉じられた状態が維持される(ステップS7)。ここで、上述したように、CPU20の最大発熱量は120Wであり、従って、CPU20の発熱量が80W以下である間は、第2バルブ122が閉じられた状態が維持される。そして、CPU20の発熱量が、CPU20の最大発熱量の2/3以下であるが最大発熱量の1/3を超えている限り、上述のステップS4、ステップS5、ステップS6、およぼステップS7の過程が繰り返される。なお、途中でCPU20の発熱量が低下してCPU20の最大発熱量の1/3以下となった場合は、再びステップS4でNoが選択されて第1バルブ141および第2バルブ142が閉じた状態が実現する。
CPU20の発熱量が、CPU20の最大発熱量の2/3を越えると(ステップS6;Yes)、制御回路20bは、第2バルブ142の傍に設けられている2つのアクチュエータ140を制御して第2バルブ142を開く(ステップS8)。
図14は、第1バルブ141および第2バルブ142が開いている様子を表した模式図である。
制御回路20bは、第2バルブ142の傍に設けられている2つのアクチュエータ140の薄膜149aのうち、まず、図13で右向きに反っている右側の薄膜149aを左向きに反らせ、次に、図13で右向きに反っている左側の薄膜149aを左向きに反らせる。これにより、図14に示すように、第2バルブ142の傍に設けられている2つのアクチュエータ140の薄膜149aが両方とも左向きに反った状態となる。左側の薄膜149aを左向きに反ったときに第2バルブ142が左側に移動して第2金属管122の開口から離れ、これにより第2金属管が開放される。このようにして、第1金属管121および第2金属管122の両方が開放された状態が実現する。この状態では、作動流体100は、第1金属管121、第2金属管122、および第3金属管123の中を通ることができ、全部の金属管の中のウィック3が、作動流体100の気相から液相への相変化の際に利用されることとなる。
図15は、第1バルブ141および第2バルブ142が閉じた状態の下で、作動流体100がウィック3中を進んで液相から気相に変化する様子を模式的に表した図である。
この図では、図12と同様に、第1金属管121、第2金属管122、および第3金属管123の各金属管について、各金属管内のウィック3の一部における作動流体100の通過路が模式的に示されている。
CPU20の最大発熱量の2/3を越えている、CPU20の発熱量が大きい状況では、第1金属管121、第2金属管122、および第3金属管123の全ての金属管中を作動流体100が流れて、各金属管中のウィック3で作動流体100が液相から気相に変化する。このように、図15の状態では、CPU20からの発熱量が大きい状況であることに対応して全ての金属管中のウィック3が利用されて、いずれの金属管中のウィック3においても、図15に示すように、接触角θが小さく毛細管力ΔPcが大きい状態が実現される。
図10に戻って説明を続ける。
図4のコンピュータ100の電源がオンである間は(ステップS9;No)、CPU20の最大発熱量の2/3を越えている限り、上述のステップS4、ステップS5、ステップS6、ステップS8、およびステップS9が繰り返されて、第1バルブ121および第2バルブ122が開かれた状態が維持される。なお、途中でCPU20の発熱量が低下してCPU20の最大発熱量の1/3を越えているが最大発熱量の2/3以下となった場合は、再びステップS6でNoが選択されて第2バルブ142が閉じた状態が実現する。そして、上述のステップS4、ステップS5、ステップS6、およびステップS7が繰り返される。さらに、CPU20の発熱量が低下してCPU20の最大発熱量の1/3以下となった場合は、再びステップS4でNoが選択されて第1バルブ141および第2バルブ142が閉じた状態が実現する。
ユーザの操作により図4のコンピュータ100の電源がオフになると(ステップS9;Yes)、制御回路20bによって行われる、第1バルブ141および第2バルブ142の開閉の制御は終了する。
以上説明したように、本実施形態のループヒートパイプ200では、CPU20の発熱量が小さいほど、蒸発器1中で作動流体100が流れる金属管の本数が少なくなるように、第1バルブ141および第2バルブ142の開閉の制御が行われる。
仮に、CPU20からの小さい発熱量を、第1金属管121、第1金属管122、および第3金属管123全部で分配したとすると、これらの金属管中のウィック3では、接触角θが大きく毛細管力ΔPcが小さい状態となり、ウィック3付近で作動流体100が移動しにくく作動流体100の循環速度が低下する。このような状態では、CPU20の発熱量が小さいといえどもCPU20周囲の温度が徐々に上昇してCPU20周囲の電子部品に不具合が生じるおそれがある。特に、全ての金属管で作動流体100の循環速度が完全にゼロになってしまった状況では、各金属管に供給される作動流体100が不足する、いわゆるドライアウトが発生し、CPU20周囲の温度上昇が深刻なものとなる。
本実施形態のループヒートパイプ200では、CPU20の発熱量が小さい状況では、蒸発器1中で作動流体100が流れる金属管の本数を減らすことで、作動流体100が流れる金属管に、CPU20からの小さい発熱量を集中することができる。この結果、その金属管では、ウィック3付近での作動流体100の移動性低下が回避され、作動流体の循環速度の低下が抑えられる。この結果、ループヒートパイプ200全体としても作動流体の循環速度の低下が抑えられることとなる。
また、本実施形態のループヒートパイプ200では、応答性の良いピエゾ素子140bを用いたアクチュエータ140を用いることで、第1バルブ141や第2バルブ142の開閉が、迅速に切り替えることができる。
ここで、本実施形態のループヒートパイプ200においては、CPU200の発熱量が小さいときでも高い毛細管力ΔPが維持されることを具体的なグラフを用いて説明する。
図16は、本実施形態のループヒートパイプ200における、CPU20の発熱量の増加に伴う毛細管力ΔPの変化の様子を表した図である。
この図では、本実施形態のループヒートパイプ200の第3金属管123における、CPU20の発熱量の増加に伴う毛細管力ΔPの変化の様子が実線のグラフで示されている。また、この図では、CPU20の発熱量に関わらず第1バルブ141および第2バルブ142が常に開いた状態に維持されている点を除き、本実施形態のループヒートパイプ200と同一の構成を有するループヒートパイプを比較例として、その比較例のループヒートパイプの第3金属管123における毛細管力ΔPの変化の様子が点線のグラフで示されている。
この図では、CPU20の発熱量の領域が、40[W]以下の領域、40[W]より大きく80[W]以下の領域、および、80[W]より大きい領域の3つの領域に区分して示されている。ここで、本実施形態のループヒートパイプ200では、上述したように、40[W]以下の領域では第1バルブ141および第2バルブ142の両方が閉じられ、40[W]より大きく80[W]以下の領域では第1バルブ141が開かれるが第2バルブ142は閉じられ、80[W]より大きい領域では第1バルブ141および第2バルブ142の両方が開かれる。
第1バルブ141および第2バルブ142の両方が開かれる点で、本実施形態のループヒートパイプ200と比較例のループヒートパイプとは共通しており、このため、この図に示すように80[W]より大きい領域では、実線のグラフと点線のグラフは一致している。しかし、80[W]以下では、実線のグラフが点線のグラフの上側に位置していることからわかるように、CPU20の発熱量が同じでも、本実施形態のループヒートパイプ200では、比較例と比べて高い毛細管力が実現している。
このように、本実施形態のループヒートパイプ200では、第1バルブ141および第2バルブ142の開閉制御により、CPU200の発熱量が小さいときでも高い毛細管力ΔPが維持されることがわかる。
次に、以上説明した本実施形態のループヒートパイプ200による冷却効果を、具体的な実験結果に基づき説明する。
この実験では、以上説明したループヒートパイプ200を用いて、CPU20の発熱量の増加に対する蒸発器1の温度上昇の割合(熱抵抗)を測定した。なお、この実験では、
CPU20の発熱量に関わらず第1バルブ141および第2バルブ142が常に開いた状態に維持されている点を除き、本実施形態のループヒートパイプ200と同一の構成を有するループヒートパイプを比較例として、その比較例のループヒートパイプについても、CPU20の発熱量の増加に対する蒸発器1の温度上昇の割合(熱抵抗)を測定した。
図17は、実験結果を表す図である。
この図では、本実施形態のループヒートパイプ200における、CPU20の発熱量の増加に伴う蒸発器1の熱抵抗の変化の様子が実線のグラフで示されている。また、この図では、比較例のループヒートパイプにおける、CPU20の発熱量の増加に伴う蒸発器1の熱抵抗の変化の様子が点線のグラフで示されている。
この図に示すように、本実施形態のループヒートパイプ200では、第1バルブ141や第2バルブ142の開閉切替時に、熱抵抗の値に多少の増加が見られるものの、全体的には、CPU20の発熱量が増加しても、熱抵抗の値はほぼ同程度の低い値に保たれている。一方、比較例のループヒートパイプでは、CPU20の発熱量が80W以下では、熱抵抗の値が急上昇している。この熱抵抗の急上昇は、比較例のループヒートパイプの蒸発器1でドライアウトが生じていることに対応している。この実験結果より、CPU20の発熱量が低いときには、本実施形態のループヒートパイプ200のように、第1バルブ141や第2バルブ142を閉じて実効的に作動流体が通過するウィックの面積を減らすことでドライアウトが回避されることがわかる。
以上が実施形態の説明である。
以上の説明では、3本の金属管を備えたループヒートパイプについて説明したが、基本形態で上述したループヒートパイプおよび電子機器は、2本の金属管を備えたループヒートパイプおよび電子機器や、4本以上の金属管を備えたループヒートパイプおよび電子機器であってもよい。
ループヒートパイプの構成と作動原理とを表した模式構成図である。 作動流体がウィック中を進んで液相から気相に変化する様子を模式的に表した図である。 発熱体の発熱量に応じた、液側と蒸気側との境界面の様子を表した図である。 電子機器の実施形態であるコンピュータと、このコンピュータに備えられているループヒートパイプとを示す図である。 図4の蒸発器の構成を表した模式図である。 図5の第1金属管に垂直な平面での蒸発器1の断面図である。 図5の第1金属管に沿った平面での蒸発器1の断面図である。 図7のアクチュエータを、その変位の様子とともに表した図である。 図7の2つのアクチュエータによって、第1バルブが第1金属管の閉鎖・開放を行う様子を表した図である。 制御回路によって行われる、第1バルブおよび第2バルブの開閉の制御方式を表したフローチャートである。 第1バルブおよび第2バルブを閉じている様子を表した模式図である。 第1バルブおよび第2バルブが閉じた状態の下で、作動流体がウィック中を進んで液相から気相に変化する様子を模式的に表した図である。 第1バルブが開き、第2バルブが閉じている様子を表した模式図である。 第1バルブおよび第2バルブが開いている様子を表した模式図である。 第1バルブおよび第2バルブが閉じた状態の下で、作動流体がウィック中を進んで液相から気相に変化する様子を模式的に表した図である。 本実施形態のループヒートパイプにおける、CPUの発熱量の増加に伴う毛細管力ΔPの変化の様子を表した図である。 実験結果を表す図である。
符号の説明
101,1 蒸発器
102,2 液管
103,3 ウィック
3a 腕
104,4 蒸気管
105,5 凝縮器
6 ファン
11 液入口部
11a 入口管
12 本体部
12a 溝部
12b 伝導部材
12c ケース
121 第1金属管
122 第2金属管
123 第3金属管
13 断熱部材
14 蒸気出口部
14a 出口管
140 アクチュエータ
140a 薄板
140b ピエゾ素子
140c 固定部
141 第1バルブ
141a 前面
141b 後面
142 第2バルブ
20 CPU
20a ワットメータ
20b 制御回路
21 基板
22 HDD
23 メモリ
24 電源
200 ループヒートパイプ
1000 コンピュータ

Claims (5)

  1. 多孔質の材料で構成されたウィックをそれぞれ有し、共通の発熱体に熱的に結合されてなる複数の蒸発管であって、
    それぞれのウィックを通過中の液相の作動流体を前記発熱体から受け取った熱によって蒸発させる複数の蒸発管を有する蒸発器と、
    気相の作動流体の熱を放出させて該作動流体を凝縮させる凝縮器と、
    前記蒸発器と前記凝縮器を連結し、該蒸発器で蒸発した気相の作動流体を該蒸発器から前記凝縮器まで移動させる蒸気管と、
    前記蒸発器と前記凝縮器を連結し、該凝縮器で凝縮した液相の作動流体を該凝縮器から前記蒸発器まで移動させる液管と、
    前記複数の蒸発管のうちの1つ以上の蒸発管それぞれに対応して設けられ、対応する蒸発管を開閉する1つ以上のバルブと、
    前記1つ以上のバルブそれぞれの開閉を制御するバルブ制御部とを備えたことを特徴とするループヒートパイプ。
  2. 前記発熱体の発熱量を検出する発熱量検出手段を備え、
    前記バルブ制御部は、前記1つ以上のバルブそれぞれの開閉を、前記発熱量検出手段により検出された発熱量に応じて制御するものであることを特徴とする請求項1記載のループヒートパイプ。
  3. 前記バルブ制御部は、前記発熱量検出手段により検出された発熱量が少ないほど、前記バルブが開かれる蒸発管の数を減じるものであることを特徴とする請求項2記載のループヒートパイプ。
  4. 前記バルブ制御部は、ピエゾ素子に印加される電圧を制御し、その印加電圧に応じた該ピエゾ素子の変位によって前記バルブの開閉を行うものであることを特徴とする請求項1から3のうちのいずれか1項記載のループヒートパイプ。
  5. 動作により発熱する発熱電子部品を備えた電子機器であって、
    多孔質の材料で構成されたウィックをそれぞれ有し、前記発熱電子部品に熱的に結合されてなる複数の蒸発管であって、それぞれのウィックを通過中の液相の作動流体を前記発熱電子部品から受け取った熱によって蒸発させる複数の蒸発管を有する蒸発器と、
    気相の作動流体の熱を放出させて該作動流体を凝縮させる凝縮器と、
    前記蒸発器と前記凝縮器を連結し、該蒸発器で蒸発した気相の作動流体を該蒸発器から前記凝縮器まで移動させる蒸気管と、
    前記蒸発器と前記凝縮器を連結し、該凝縮器で凝縮した液相の作動流体を該凝縮器から前記蒸発器まで移動させる液管と、
    前記複数の蒸発管のうちの1つ以上の蒸発管それぞれに対応して設けられ、対応する蒸発管を開閉する1つ以上のバルブと、
    前記1つ以上のバルブそれぞれの開閉を制御するバルブ制御部とを備えたことを特徴とする電子機器。
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