JP2010007971A - 溶解炉 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶解貯留部内にノロの発生する箇所とノロの発生しない箇所を作り出すこと。
【解決手段】上下周囲が覆われた溶解室1と、処理材を溶解する渦室2を備え、溶解室に渦室を設け、渦室から一対の連通口を介して溶解室に溶湯が出入りするものとし、溶解室にはノロ掻出用の扉5を開閉可能に設けてある溶解炉において、溶解室内の少なくとも下部を平面視して二室8、9に仕切る仕切壁7を、渦室2から離れる方向に延在すると共に、二室のうち一室に一方の連通口3が連通し、二室のうち他室に他方の連通口が連通し、二室のうち一室を渦室2内に溶湯が取り込まれる受熱室8とし、二室のうち他室を渦室内から溶湯が排出されるノロ掻室9とし、仕切壁7の下部に二室を連通する湯道7aを形成してあることを特徴とする溶解炉。仕切壁は、溶解室内の下部のみを平面視して二室に仕切るものであって、仕切壁よりも上側では二室を連通してある。
【選択図】 図1

Description

本発明は、主にアルミニウム合金の処理材(切削粉、飲料缶、破砕材や長尺材等)を溶解する溶解炉に関する。
上記処理材を溶解する溶解炉として、溶解貯留部と材料投入部を区画して形成し、材料投入部と溶解貯留部との間を連通する通穴が底の左右に設けられたものが存在する(例えば特許文献1参照。)。これは、材料投入部で発生させた渦流によって、処理材を溶解し、溶解貯留部との間で溶湯を出入りさせ、溶解貯留部に設けられたバーナーによって溶湯を加熱するものである。
特開平5−156378号公報
しかし、上述の溶解炉は溶解貯留部の全域においてノロが溶湯の上に浮遊することになった。これは、溶解貯留部を単一の空間にしていることと、渦室から送り込まれた溶湯の勢いによって溶解貯留部内の溶湯が攪拌されることが原因と考えられる。また、ノロとは、溶湯の表面に浮遊する異物のことであり、例えば、酸化物や不純物が挙げられる。ノロが溶湯の表面を覆うと、バーナーによる火炎の熱や炉壁の輻射熱を遮断することになり、熱伝達効率が悪化することになった。従って、ノロを掻き出す作業を行っていたが、溶解貯留部を単一の空間にしていることと溶湯の攪拌作用によって、ノロはそのうち再び全域に広がることになり、熱伝達効率を向上させることが難しかった。
本発明は上記実情を考慮して創作されたもので、その解決課題は溶解貯留部(溶解室)内にノロの発生する箇所とノロの発生しない箇所を作り出すことである。
本発明の溶解炉は、溶湯を貯留するために上下周囲が覆われた溶解室と、渦流によって材料を溶解する渦室とを備え、溶解室の側面に渦室を設け、渦室から一対の連通口を介して溶解室に溶湯が出入りするものとし、溶解室にはその一部を構成するノロ掻用の扉を開閉可能に設けてある溶解炉を前提とする。
そして、本発明は、溶解室内の少なくとも下部を平面視して二室に仕切る仕切壁を、渦室から離れる方向に延在すると共に、二室のうち一室に一方の連通口が連通し、二室のうち他室に他方の連通口が連通し、二室のうち一室を渦室内に溶湯が取り込まれる受熱室とし、二室のうち他室を渦室内から溶湯が排出されるノロ掻室とし、仕切壁の下部に二室を連通する湯道を形成してあることを特徴とする。
また、仕切壁は、溶解室を完全に二室に仕切り、湯道でのみ連通するものであってもよいが、二室の溶湯を均一な温度に保ち、バーナーを設置しやすくするには、次のようにすることが望ましい。即ち、請求項2の発明のように、仕切壁は、溶解室内の下部のみを平面視して二室に仕切るものであって、仕切壁よりも上側では二室を連通してあることである。
湯道は、渦室の直ぐ傍に設けても良いが、溶湯が受熱室およびノロ掻室でそれぞれ十分に攪拌されるには、次のようにすることが望ましい。即ち、請求項3の発明のように、湯道を渦室から離れた箇所に設けることである。
溶解室に設ける渦室の個数は問わない。渦室を一つだけ溶解室に設けた場合に、溶湯の攪拌作用を一段と向上するには、次のようにすることが望ましい。即ち、請求項4の発明のように、渦室を一つだけ溶解室に設け、溶解室の底のうち略水平面の範囲における、仕切壁の延在方向の全長に対する半分長以上、渦室から離れた箇所に湯道を形成してあることである。
また、二つの渦室を溶解室の対向する側面に向かい合わせに設けた場合に、溶湯の攪拌作用を一段と向上するには、次のようにすることが望ましい。即ち、請求項5の発明のように、二つの渦室を溶解室の対向する側面に向かい合わせに設け、仕切壁を一方の渦室から他方の渦室に向かって延在し、仕切壁の延在方向の全長に対する1/4長以上、各渦室から離れた箇所に湯道を形成してあることである。
本発明の溶解炉は、溶解室の下部を平面視して二室に仕切っているので、二室のノロは行き来せず、また、仕切壁の下部に設けられた湯道と、渦室のみで溶湯が二室を行き来する。従って、渦室に投入された処理材から発生するノロがノロ掻室に集中することになり、ノロ掻き作業の効率が上がるし、受熱室での熱伝達効率も向上する。
請求項2の発明は、仕切壁よりも上側では二室を連通してあるので、二室を行き来する熱気によって、二室の溶湯が均一な温度に保たれやすくなる。また、一室側にのみバーナーを設置しても良いし、バーナーの設置がしやすくなる。
請求項3の発明は、二室を行き来する溶湯の湯道を渦室から離れた箇所に設けるので、二室での溶湯の攪拌効率がそれぞれ向上する。
請求項4の発明は、仕切壁の延在長の全長に対する半分長以上、渦室から離れた箇所に湯道を形成してあるので、湯道が渦室から十分に離れているといえ、溶湯の攪拌作用を一段と向上できる。請求項5の発明も、同様に溶湯の攪拌作用を一段と向上できる。
溶解炉の基本的構造の一例を図1に基づいて説明する。溶解炉は、溶湯を貯留する溶解室1と、処理材を渦流で溶解する渦室2とを備え、渦室2を溶解室1の側面に設け、溶解室1の内部と渦室2の内部が連通する一対の連通口3、3を設けてあるものである。以下、詳述する。
溶解室1とは、溶湯を貯留する部屋のことである。溶解室1は、周りを囲む周壁11と、周壁11で囲まれた空間の上方を覆う天井壁12と、周壁11で囲まれた空間の底を塞ぐ底壁13とから構成される。また、溶解室1は、バーナー4を上部に取り付けてある。
周壁11は、矩形であって、その一側面(図では右側面)の前後幅中央部に渦室2を連続して設けてある。また、周壁11は、対向する側面の上部に一対のバーナー4を向かい合わせに取り付けてあり、バーナー4の火炎が通る通孔4aを、溶湯の貯留水位よりも上側にあけてある。
さらに、周壁11は、渦室2を設置した面以外の面の上部に、溶解室1の内外を連通する一つのノロ掻出口5aを設けてある。つまり周壁11は、その上部において平面視コ字状で、図では左側面がノロ掻出口5aとなっており、ノロ掻出口5aの外側を一枚のノロ掻出用の扉5で開閉可能に覆ってある。また、周壁11は、その前面の壁および後面の壁が、ノロ掻出口5aに向かって徐々に開口幅を狭くする方向に絞って(傾けて)形成してある。
底壁13は、その大半を略水平面とし、その一部(図では左側)において、ノロ掻出口5aに向かって徐々に高くなるスロープ13aを設けてある。略水平面としたのは、溶解室1の底は水平に対して僅かな斜度が付いており、この斜度を利用して溶湯を最終的には溶解室1の外部に排出するからである。
扉5を開き、ノロ掻出口5aの外側から作業者が図示しない引っ掻き棒を操作し、引っ掻き棒の先に付いた下向きのヘラで、溶湯の上に浮遊するノロをノロ掻出口5aから外部に掻き出す。このとき、ヘラの下端をスロープ13aに付けたまま、扉5に向かって引っ掻き棒をたぐり寄せることよって、溶湯とノロを分離させ、ノロをノロ掻出口5aから掻き出すことができる。
渦室2とは、投入したアルミ合金などの処理材を渦流によって溶解する部屋のことである。渦室2は、有底円筒形状の渦室本体2aと、渦室本体2aの上端開口を塞ぐ開閉可能な蓋(図示せず)とから構成される。渦室本体2aは、円筒部分の一部が周壁11によって形成される。また、渦室本体2aの周囲には、その外側を囲む状態で平面視半円状の移動磁界発生装置6が配置してある。
移動磁界発生装置6とは、移動磁界を発生させ、その移動磁界が渦室2内の溶湯に作用して誘導電流を流し、それによって溶湯に渦巻力を発生させ、攪拌するもののことをいう。移動磁界を発生させる一般的な手法は、リニアモータの原理を応用し、コイルに三相交流を印加するものである。移動磁界発生装置6を駆動して渦室2内の溶湯に渦流を発生させ、蓋をあけて処理材を投入すれば渦流で処理材が溶解される。渦流は、コイルに流す電流の向きによって、平面視して時計方向、又は反時計方向に発生させることができる。
また、溶解室1の内部と渦室2の内部が連通する一対の連通口3、3は、渦室本体2aの下部であって、円周方向に間隔をあけて設けてある。各連通口3の延在方向は、平面視して、周壁11のうち渦室2を設けた面と直交する方向であって、渦室本体2aの内周円の接線方向に一致している。各連通口3の底は、溶解室1と渦室本体2aの双方の底と面一に合わせてある。また、各連通口3の上面には、側面視して、溶解室1から渦室2に向かって低くなる勾配が付けてある。
本発明の溶解炉の第一例は、図1に示すように、以下の構造上の特徴を有する。第一に、溶解室1の下部を平面視して前後(図の上下)の二室8、9に仕切る仕切壁7を、渦室2から離れる方向に延在し、二室8、9のうち一室を一方の連通口3に通じ、二室8、9のうち他室を他方の連通口3に通じるものとしている。第二に、二室8、9は、渦室2内に溶湯が取り込まれる受熱室8と、渦室2内から溶湯が排出されるノロ掻室9となり、渦室2内で発生する渦流の回転方向を時計方向とするか反時計方向とするかによって、受熱室8となるか、ノロ掻室9となるかが決まる。第三に、仕切壁7の起立高さを溶解室1の底から全高の途中までとし、仕切壁7よりも上側では受熱室8とノロ掻室9を連通している。第四に、仕切壁7の下部に受熱室8とノロ掻室9とを連通する湯道7aを形成してある。以下、仕切壁7と湯道7aについて詳述する。
仕切壁7は、溶解室1内の下部を均等に二室8、9に分けるものである。仕切壁7の高さ幅は、底壁13のうち略水平面に対応する部分では均等に設けられ、底壁13のうちスロープ13aに対応する部分ではノロ掻出口5aに向かって徐々に先細りして設けられる。仕切壁7の延在方向の全長のうち、溶解室1の底のうち略水平面の範囲に対応する部分を、全仕切長Lとする。仕切壁7の全仕切長Lに、スロープ13aの範囲に対応する部分を含めなかったのは、この部分は渦室2から遠く、スロープ13aによって溶湯の流れが淀む箇所だからである。
湯道7aは、仕切壁7の下部であって、溶解室1の底に通じるものである。そして、湯道7aの形成箇所は、仕切壁7の全仕切長Lの半分長以上、渦室2から離れた箇所としてある。より望ましくは、半分長よりも遠くに離れた箇所とする。
また、仕切壁7の延在方向に一致する湯道7aの開口幅Wは、前記半分長さよりも短くしてある。さらに、湯道7aの全高は、仕切壁7の高さ幅よりも半分以下としてある。また、湯道7aの上面は、開口幅Wの中間部が高くなる円弧状に形成してある。
上述した図1の溶解炉の第一例は、受熱室8から渦室2、ノロ掻室9、湯道7aの順に溶湯が循環することになる。また、渦室2から排出される溶湯の勢いでノロ掻室9でも溶湯が攪拌されて循環するようになる。受熱室8でも同様である。但し、前述したようにスロープ13aの上側の溶湯は、スロープ13aの勾配が溶湯の進行の抵抗となることから、流れの淀んだ箇所となる。また、渦室2に溶湯が出入りする連通口3は、溶湯が詰まりやすいが、渦室2で発生させる渦流の方向を変えることによって、長期間に亘って連通口3の詰まりを防ぐことができる。
図2に示す溶解炉の第二例は、形態上の特徴として、ノロ掻出口5aおよび扉5が二つずつ対応して溶解室1の周方向に離れて設けられている。
詳述すると、二つのノロ掻出口5aは、矩形の周壁11の左側面に、柱壁14を境にして前後に区画して設けてある。柱壁14は、天井壁12および底壁13間に架設されるもので、ノロ掻出口5aに向かって徐々に開口幅を狭くする方向に絞って(傾斜して)形成してある。また、柱壁14は、ノロ掻出口5aからスロープ13aの途中まで延在している。なお、スロープ13aの途中から渦室2まで仕切壁7が延在している。
この場合、ノロ掻室9に対応する扉5のみを開けて、ノロ掻き作業ができるので、第一例の場合に比べて熱が逃げにくい。
図3に示す溶解炉の第三例は、次の形態上の特徴を有する。第一に、二つの渦室2を矩形の周壁11の対向する側面に向かい合わせに設けてある。第二に、周壁11に対して一対のバーナー4を一方の渦室2と同じ面に、かつ渦室2を中心に前後に設けてある。第三に、周壁11のうち渦室2を設置していない二面に、ノロ掻出口5aを対向して形成してある。第四に、ノロ掻出口5aに対応する扉5を周壁11の二面に設けてある。第五に、ノロ掻出口5aに対応するスロープ13aを底壁13の前後に設けてある。
また、この形態上の特徴に対応して、溶解炉の第三例は、構造上の特徴として、対向する一対の渦室2、2の間に仕切壁7を延在して形成し、仕切壁7の延在方向の中間部に湯道7aを形成してある。そして、仕切壁7は一方の渦室2から離れる方向に延在し、他方の渦室2に達するのであり、このような場合も、仕切壁7を渦室2から離れる方向に延在すると言える。また、この場合、仕切壁7の全長が全仕切長Lとなり、仕切壁7の全長に対する1/4長以上、各渦室2から離れた箇所に湯道7aを形成してある。より望ましくは、1/4長よりも離れた箇所とする。
本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、仕切壁7が溶解室1の下部のみに設けられ、溶解室1の二室8、9が上部で連通している場合には、バーナー4は二室8、9のうち一室にのみ設けても良い。また、仕切壁7が溶解室1の内部全高に亘って設けられ、二室が完全に仕切壁7で仕切られている場合には、各室にバーナー4をそれぞれ設けるものであっても良い。
さらに、湯道7aは形状も問わないし、数も一つに限らず、複数設けても良い。
(イ)、(ロ)図は、本発明の溶解炉の第一例を示す横断面図、A−B−C−D線断面図である。 (イ)、(ロ)図は、本発明の溶解炉の第二例を示す横断面図、A−A線断面図である。 (イ)、(ロ)、(ハ)図は、本発明の溶解炉の第三例を示す横断面図、A−A線断面図、B−B線断面図である。
符号の説明
1溶解室、2渦室、2a渦室本体、3連通口、4バーナー、4a通孔、
5扉、5aノロ掻出口、6移動磁界発生装置、7仕切壁、7a湯道、8受熱室、
9ノロ掻室、11周壁、12天井壁、13底壁、13aスロープ、14柱壁、
L全仕切長、W開口幅

Claims (5)

  1. 溶湯を貯留するために上下周囲が覆われた溶解室(1)と、渦流によって処理材を溶解する渦室(2)とを備え、溶解室(1)の側面に渦室(2)を設け、渦室(2)から一対の連通口(3)を介して溶解室(1)に溶湯が出入りするものとし、溶解室(1)にはその一部を構成するノロ掻出用の扉(5)を開閉可能に設けてある溶解炉において、
    溶解室(1)内の少なくとも下部を平面視して二室(8、9)に仕切る仕切壁(7)を、渦室(2)から離れる方向に延在すると共に、二室(8、9)のうち一室に一方の連通口(3)が連通し、二室(8、9)のうち他室に他方の連通口(3)が連通し、二室(8、9)のうち一室を渦室(2)内に溶湯が取り込まれる受熱室(8)とし、二室(8、9)のうち他室を渦室(2)内から溶湯が排出されるノロ掻室(9)とし、仕切壁(7)の下部に二室を連通する湯道(7a)を形成してあることを特徴とする溶解炉。
  2. 仕切壁(7)は、溶解室(1)内の下部のみを平面視して二室(8、9)に仕切るものであって、仕切壁(7)よりも上側では二室(8、9)を連通してあることを特徴とする請求項1記載の溶解炉。
  3. 湯道(7a)を渦室(2)から離れた箇所に設けてあることを特徴とする請求項2記載の溶解炉。
  4. 渦室(2)を一つだけ溶解室(1)に設け、
    溶解室(1)の底のうち略水平面の範囲における、仕切壁(7)の延在方向の全長に対する半分長以上、渦室(2)から離れた箇所に湯道(7a)を形成してあることを特徴とする請求項3記載の溶解炉。
  5. 二つの渦室(2)を溶解室(1)の対向する側面に向かい合わせに設け、
    仕切壁(7)を一方の渦室(2)から他方の渦室(2)に向かって延在し、仕切壁(7)の延在方向の全長に対する1/4長以上、各渦室(2)から離れた箇所に湯道(7a)を形成してあることを特徴とする請求項3記載の溶解炉。
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