JP2020069484A - 保持炉 - Google Patents
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Abstract
【課題】溶解炉から流れ出た溶湯を一時的に貯留する機能を有し、不純物が少ない溶湯を供給可能な保持炉を提供すること。【解決手段】保持炉41は、対向する側壁52、53を底盤51で結んだU字状断面で、上流側の処理室45と下流側の汲出室46との境界には、前方仕切板11と後方仕切板31と中仕切板21を配置する。前方仕切板11と後方仕切板31は、対向する側壁52、53の間を結ぶように平行に並び、また中仕切板21は、前方仕切板11と後方仕切板31との間に挟み込む。そして後方仕切板31の底面には溶湯の流路を確保し、さらに前方仕切板11には、中仕切板21を挟んで流入口13と還流口14を設け、流入口13の近傍にガスバブリング装置61を配置する。その結果、撹拌された溶湯だけが汲出室46に到達するほか、汲出室46の溶湯を改めてガスバブリング装置61に導くことができ、不純物が少ない溶湯を供給可能である。【選択図】図1
Description
本発明は、溶解炉から流れ出た溶湯を一時的に貯留する機能を有する保持炉に関する。
アルミニウム合金など、比較的融点の低い金属は、ダイキャストマシンなどで精密な形状に仕上げることができるが、ダイキャストマシンなどに溶湯を供給するため、別途に溶解炉が必要になる。この溶解炉から流れ出た溶湯中には、水素ガスのほか、成分の酸化で生じた非金属介在物などが存在しているが、これらは最終製品の品質を悪化させるため、溶湯の段階で除去する必要がある。この除去方法の例としてGBF(Gas Bubbling Filtration)が挙げられる。GBFは、溶湯中に不活性ガスを勢いよく噴射して撹拌する技術で、不活性ガスの泡が水素ガスや非金属介在物を吸着しながら浮上し、溶湯面にドロスが形成される。なお保持炉は、溶解炉の下流側に設置されるが、溶解炉と保持炉は隣接して配置されるため、これらをまとめて溶解保持炉と称することもある。
本願発明と関連のある技術の例として後記特許文献が挙げられ、そのうち特許文献1では、加熱ヒータへのドロスの付着を防止できるほか、加熱ヒータの破損を防止できるインライン脱ガス装置が開示されている。この装置は、非鉄溶融金属を受け入れて貯留する脱ガス処理槽や、気泡状の不活性ガスを放出する回転式ガス放出手段などで構成され、脱ガス処理槽の側壁の下部には、水平方向に伸びる加熱ヒータを差し込んであり、さらに側壁には、内部に突出するバッフルプレートを複数配置してある。そのため加熱ヒータは、溶湯面から離れて配置され、ドロスの付着を防止できる。しかもバッフルプレートによって渦流の発生が緩和され、加熱ヒータに作用する圧力が減少し、その破損を防止できる。
次の特許文献2では、溶湯中の水素ガスや介在物などの除去を十分に行うことができる脱ガス装置が開示されている。この脱ガス装置は、上流側の脱ガス室と、下流側の出湯室と、で構成され、脱ガス室と出湯室との間は、側壁で仕切られている。また脱ガス室には、脱ガスを実現するため、回転軸などを有する撹拌体を組み込んであり、撹拌体が回転しながら溶湯中に不活性ガスを送り込む。そして、脱ガス室と出湯室を仕切る側壁の下方中央には、溶湯を流し出すための開口部を設け、さらに脱ガス室の底面には、開口部を取り巻くように囲い板を配置してある。囲い板は、撹拌体で生じる流れの下流側に開放させてあり、脱ガスが行われた溶湯が囲い板から開口部に流入する。
最後の特許文献3では、貯湯槽内を確実に外気と遮断できるアルミニウム溶湯処理装置が開示されている。この貯湯槽は、上部が閉塞蓋で閉じられた密閉型で、また閉塞蓋の中央付近には、筒状シール部材が貫通しており、筒状シール部材の中には、処理ガス吹き込み用シャフトが差し込まれている。さらに貯湯槽の周壁には、入湯管路と出湯管路が貫通しており、入湯管路と貯湯槽との境界には入湯口を設け、貯湯槽と出湯管路との境界には出湯口を設けてある。そして、吹き込まれた処理ガスによって槽内圧が高まることで、閉塞蓋がない箇所では溶湯液面が上昇し、筒状シール部材の下端・入湯口・出湯口のいずれとも、溶湯液面の下に沈み込む。その結果、貯湯槽内では、シャフト挿通孔(筒状シール部材の内周)を除いて溶湯が外気と遮断され、酸化物の発生を防ぐことができる。
前記の特許文献2では、脱ガス室と出湯室を側壁で仕切ってあり、側壁の下方中央に溶湯を流し出すための開口部を設け、さらに脱ガスが行われた溶湯を開口部に導くため、囲い板を配置してある。そのため、溶湯が撹拌されることなく出湯室に流入することを防止できる。そして出湯室に流入した溶湯は、汲み出しを待つことになるが、その時間が長いと、やがて溶湯面付近で酸素と反応し、再び非金属介在物が生成される恐れがある。しかし出湯室では、撹拌体による処理を行うことができないため、新たに生成された非金属介在物は、そのまま次の工程に持ち出される恐れがある。
本発明はこうした実情を基に開発されたもので、不純物が少ない溶湯を供給可能な保持炉に関する。
前記の課題を解決するための請求項1記載の発明は、溶解炉から流れ出た溶湯を一時的に貯留する機能を有する保持炉であって、該保持炉の縦断面は、対向する側壁を底盤で結んだU字状で、該保持炉の上流側は溶湯を撹拌する処理室としてあり、その下流側は溶湯を外部に供給するための汲出室としてあり、前記処理室と前記汲出室との境界には、前記側壁に対してほぼ直交するように前方仕切板を配置してあり、その下流側には、該前方仕切板と平行するように後方仕切板を配置してあり、該前方仕切板と該後方仕切板との間には、該側壁とほぼ平行に伸びる中仕切板を配置してあり、該中仕切板は、該側壁同士の間のほぼ中央に位置し且つ該前方仕切板と該後方仕切板の両方に接触しており、前記前方仕切板と前記後方仕切板と前記中仕切板は、いずれもその上面を溶湯面よりも高くしてあり、また該前方仕切板と該中仕切板の底面は、いずれも前記底盤に接触しており、さらに該後方仕切板の底面は、該底盤に接触することなく溶湯の流路を確保してあり、前記中仕切板から一方の前記側壁までの間において、前記前方仕切板の上部には切り欠き状の流入口を設けてあり、且つその下流側には前記後方仕切板を配置してあり、該流入口の下部は溶湯面よりも低くしてあり、前記中仕切板から他方の前記側壁までの間には、前記前方仕切板と前記後方仕切板の両方またはいずれか一方を配置してあり、且つこの間の該前方仕切板については、溶湯面よりも下に切り欠き状の還流口を設けてあり、前記処理室において、前記流入口の近傍には、ガスバブリング装置を配置してあり、該ガスバブリング装置で撹拌された溶湯は、該流入口を通過して前記汲出室に到達し、また該汲出室の溶湯は、前記中仕切板から他方の前記側壁までの間を通過して該処理室に戻ることができることを特徴とする保持炉である。
本発明による保持炉は、金属を加熱する溶解炉から流れ出た溶湯を一時的に貯留するためのもので、通常は溶解炉と一体化した構造になるが、溶解炉との接続方法に制限はなく、また保持炉自体の大きさや詳細な構造にも制限はない。ただし保持炉は、その底部に広がる底盤と、底盤の左右両端から立ち上がる側壁と、で構成されたU字状の縦断面で、その内部で溶湯を貯留することを前提としており、さらにこの保持炉は、処理室と汲出室の二区画に細分化される。処理室は、溶湯の流れを基準として上流側に位置しており、汲出室は処理室の下流側に位置しており、双方の境界には複数の仕切板を配置する。
処理室は、溶解炉から流れ出た溶湯を貯留するほか、その内部にガスバブリング装置を配置する。ガスバブリング装置は、溶湯中にアルゴンなどの不活性ガスを勢いよく噴射し、溶湯を撹拌する。したがって、溶湯が処理室に滞留する間、その内部の水素ガスや非金属介在物が除去され、溶湯面にドロスが形成される。なおガスバブリング装置については、特定の構成に限定される訳ではなく、都度、最適なものを選択する。
汲出室は、溶湯を外部に供給するために設けてあり、ラドルなどを使用できるよう、その上部は開放している。なお本発明では、処理室と汲出室は一体的に形成してあり、底盤や側壁は同じものを共有している。そして処理室と汲出室との境界には、前方仕切板と後方仕切板と中仕切板の計三枚の仕切板を配置する。
前方仕切板は、三枚の仕切板のうち、最も上流側に位置し、溶湯の流れと直交し、左右に対向する側壁の間を結ぶように配置する。そして前方仕切板の底面は、底盤に接触しており、また前方仕切板の上面は、通常の溶湯面よりも高いものとする。ただし前方仕切板は、対向する側壁の間を途切れることなく結ぶ場合もあれば、途中で途切れる場合もある。さらに溶湯の流路を確保するため、前方仕切板の上部の一部区間を切り欠き、流入口を設ける。加えて、前方仕切板の下部の一部区間を切り欠き、還流口を設けることがある。
後方仕切板は、前方仕切板の下流側に位置し、前方仕切板と同様、溶湯の流れと直交し、対向する側壁の間を結ぶように配置する。したがって前方仕切板と後方仕切板は、ほぼ平行に並ぶが、双方は接触することなく、ある程度の隙間が確保される。このように本発明による保持炉は、前方仕切板と後方仕切板の前後二枚で区画されており、前方仕切板は処理室に面しており、後方仕切板は汲出室に面している。なお後方仕切板についても、対向する側壁の間を途切れることなく結ぶ場合もあれば、途中で途切れる場合もある。
後方仕切板の上面は、通常の溶湯面よりも高いものとする。そのため処理室で形成されたドロスは、後方仕切板などでせき止められ、汲出室に流入することはない。また後方仕切板の底面は、底盤に接触することなく開放している。したがって、後方仕切板の下部では、溶湯が自在に流動可能である。
中仕切板は、前方仕切板や後方仕切板に対して直交するように配置され、その一方の側端面は前方仕切板に接触し、他方の側端面は後方仕切板に接触する。そのため中仕切板は、側壁とほぼ平行に揃うことになるが、両側壁の間の中央付近に配置する。そして中仕切板の底面は、底盤に接触しており、また中仕切板の上面は、通常の溶湯面よりも高いものとする。中仕切板を用いることで、前方仕切板と後方仕切板との間では、溶湯の流路が二つに区画されることになる。
前方仕切板の上部に設ける流入口は、中仕切板から一方の側壁までの間に形成する。また前方仕切板や後方仕切板は、前記のように、対向する側壁の間を結ぶことなく、途中で途切れていてもよい。この場合でも、中仕切板から一方の側壁(流入口がある側)までの間については、前方仕切板と後方仕切板の二枚が途切れることなく並ぶものとする。対して、中仕切板から他方の側壁(流入口がない側)までの間については、この二枚のうち、いずれか一方が途切れていてもよい。
中仕切板から他方の側壁までの間は、汲出室の溶湯が処理室に戻る際の流路となる。この間についても、処理室のドロスが汲出室に流入しないよう、溶湯面付近には、前方仕切板と後方仕切板の両方または一方を配置する必要があるが、その下部は還流口などで開放してあり、溶湯の流路が確保される。
ガスバブリング装置は、流入口の近傍に配置し、撹拌された溶湯だけが自然に流入口に到達するよう配慮を要する。ただし、撹拌によって生じる流れは装置によって様々であり、装置毎に最適な配置を決める必要がある。またガスバブリング装置の特性に基づき、流入口の位置や大きさを最適化することもある。
撹拌された溶湯は、不活性ガスと共に上昇するほか、ガスバブリング装置で生じた流れによって自然に流入口を通過する。この際、ドロスも流入口を通過するが、これは後方仕切板や中仕切板でせき止められる。そのため、不純物が低減した溶湯だけが後方仕切板の下部から汲出室に到達する。そして汲出室の溶湯は徐々に冷え、下方に沈み込んでいく。この冷えた溶湯は、新しく流入した溶湯に押し出され、流入口の反対側(中仕切板を基準とする)下部を通過して処理室に戻り、改めてガスバブリング装置による撹拌が行われる。なお中仕切板があるため、処理室に戻る流れは、流入口を通過する流れと混じることはない。
請求項1記載の発明のように、溶解炉から流れ出た溶湯を一時的に貯留する保持炉において、前方仕切板と後方仕切板と中仕切板を用い、保持炉を処理室と汲出室に区画するほか、前方仕切板に流入口を設けることで、処理室と汲出室との間では、流路が完全に区画された循環経路が構成される。そのため、汲出室で不純物が生成された溶湯を改めてガスバブリング装置に導くことができる。
また各仕切板を用いることで、溶湯面付近では、溶湯の流動が完全にせき止められ、処理室で形成されたドロスが汲出室に流入することを防止できるほか、前方仕切板の流入口の近傍にガスバブリング装置を配置することで、不活性ガスによって撹拌された溶湯だけが流入口を通過して汲出室に到達する。これら一連の特徴により、非金属介在物などの不純物が少ない溶湯を次の工程に供給することができる。
図1は、本発明による保持炉41の構成例を示し、保持炉41は、底盤51と側壁52、53とからなるU字状断面で、その内部で溶湯を貯留する。この保持炉41において、図の右側には溶解炉(図示は省略)が配置されており、そこから連続的に溶湯が供給される。また反対側は終壁54で塞がれており、溶湯を漏らすことなく貯留する。そして保持炉41の内部には、前方仕切板11と後方仕切板31と中仕切板21を配置してあり、これらによって保持炉41の内部が処理室45と汲出室46に区画されている。なお図の上方には、前方仕切板11と後方仕切板31と中仕切板21の形状や配置を描いてある。
処理室45は、溶湯の流れを基準として汲出室46よりも上流側(溶解炉側)に位置しており、その内部には、溶湯中の水素ガスや非金属介在物などを除去するため、ガスバブリング装置61を配置してある。また汲出室46は、溶湯を外部に供給するための場所で、その上部は開放しており、ラドルなどで溶湯を汲み出し、次の工程に供給する。なお、溶湯の汲み出し方法は様々で、ポンプなどで連続的に吸い出すこともある。
汲出室46は溶解炉から離れており、溶湯の温度が低下する恐れがある。そこで汲出室46には、溶湯を加熱するヒーター59を配置してある。なおこの図のヒーター59は、溶湯面から差し入れる投げ込み方式としてあるが、側壁52、53から水平方向に差し込み、溶湯面に露出しないものを用いることもある。
処理室45と汲出室46は、前方仕切板11と後方仕切板31と中仕切板21の計三枚の板で区画してある。そのうち前方仕切板11と後方仕切板31は、溶湯の流れに対して直交するように配置してあり、対向する側壁52、53の間を途切れることなく結んでおり、しかもこの二枚は所定の距離を隔てて平行に揃えてある。また中仕切板21は、対向する側壁52、53の間のほぼ中央に配置してあるが、溶湯の流れに沿うように伸び、他の二枚と直交する。そして中仕切板21の側端面のうち、一方は前方仕切板11に接触し、他方は後方仕切板31に接触している。
前方仕切板11は、対向する側壁52、53の間を途切れることなく結んでおり、しかもその上面は、通常の溶湯面よりも高くしてあり、溶湯の流動をせき止める。また前方仕切板11の底面は、底盤51に接触しており、ここでも溶湯の流動をせき止める。ただし、溶湯の流動を完全にせき止めることはできないため、一部を切り欠き、流入口13と還流口14を設けてある。
後方仕切板31は、対向する側壁52、53の間を途切れることなく結んでおり、しかもその上面は、通常の溶湯面よりも高くしてあり、溶湯の流動をせき止める。ただし後方仕切板31の底面は、底盤51に接触することなく隙間を確保してあり、溶湯が流動できる状態にしてある。
中仕切板21は、前方仕切板11と後方仕切板31との間を途切れることなく結んでおり、しかもその上面は、通常の溶湯面よりも高くしてあり、溶湯の流動をせき止める。また中仕切板21の底面は、底盤51に接触しており、ここでも溶湯の流動をせき止める。このように中仕切板21を用いることで、保持炉41の内部では、溶湯の流路が二つに区画されることになる。
前方仕切板11の流入口13は、中仕切板21から一方の側壁52までの間に限って設けてあり、中仕切板21から他方の側壁53までの間には存在しない。しかも流入口13は、前方仕切板11の上部だけに留まり、底盤51には到達していない。対して還流口14は、中仕切板21から他方の側壁53までの間に限って設けてあり、さらに還流口14は、底盤51から所定の高さまでに留めてあり、通常の溶湯面に到達することはない。このように流入口13と還流口14は、中仕切板21を挟んで対向するように配置する。
ガスバブリング装置61は、溶湯中に不活性ガスを勢いよく噴射し、不活性ガスは、水素ガスや非金属介在物などを吸着して溶湯面に浮上し、ドロスが形成させる。そしてこの図のガスバブリング装置61は、シャフト64の先端に円盤状のローター63を組み込み、ローター63を電動機65で回転させる方式で、溶湯中にローター63を沈め、回転するローター63の外周面から不活性ガスを勢いよく噴射して溶湯を撹拌する。さらに、撹拌された溶湯の流れを整えるため、シャフト64に隣接してバッフルプレート66を配置してある。なお図中のバッフルプレート66は、宙に浮いたように描いてあるが、実際にはガスバブリング装置61で支持されている。
ガスバブリング装置61は、前方仕切板11の流入口13の近傍に配置してあり、ローター63で撹拌された溶湯が自然に流入口13に到達するよう、ガスバブリング装置61と流入口13との配置を調整してある。そして流入口13を通過した溶湯は、溶解炉からの流動圧で押し出され、後方仕切板31の下部を通過して汲出室46に到達する。なお流入口13は、溶湯面の流動を妨げないため、処理室45で形成されたドロスも流入口13を通過するが、その下流の後方仕切板31や中仕切板21により、汲出室46への流入はせき止められる。その結果、汲出室46には、ガスバブリング装置61で撹拌された不純物が少ない溶湯だけが供給される。
汲出室46の溶湯は、溶解炉から流れ出た後、相応の時間が経過しているため温度が低下するが、ヒーター59で加熱して流動性を確保してある。ただし溶湯面付近では、空気との接触で温度が低下するほか、酸素と反応し、再び非金属介在物が生成されることがある。この温度が低下した溶湯は、汲出室46の底付近に沈み込むが、やがて新たに流入する溶湯によって押し出され、還流口14を通過して処理室45に戻り、改めて撹拌が行われる。
前方仕切板11と後方仕切板31と中仕切板21は、炭化ケイ素など、耐熱性に優れた素材を使用している。さらに、前方仕切板11と後方仕切板31の側端面は、側壁52、53と強固に一体化してあり、溶湯の流動圧を受け止めている。また中仕切板21は、その側端面を前方仕切板11および後方仕切板31と強固に一体化してある。
図2は、図1の保持炉41内での溶湯の挙動を示し、図の上方には溶湯の流れを描いてあり、図の下方には溶湯が貯留された状態を描いてある。ガスバブリング装置61を作動させると、ローター63の周辺で溶湯が撹拌され、前方仕切板11に沿って上昇するほか、流動圧で押し出されて流入口13を通過する。そして流入口13を通過した後の溶湯は、後方仕切板31と中仕切板21でせき止められ、押し出されるような状態で後方仕切板31の下部を通過して汲出室46に到達する。ここで溶湯は次の工程に供給されるが、ヒーター59によって温度の低下を防いでいる。
汲出室46において、溶湯はヒーター59で加熱されるが、溶湯面付近では空気との接触で冷却され、しかもその際に酸素と反応し、再び非金属介在物が生成されることがある。この溶湯は徐々に沈み込んでいくが、流入口13からは新たな溶湯が供給され続けるため、それによって押し出されるような状態で還流口14を通過して処理室45に戻り、改めてガスバブリング装置61で撹拌される。
このように本発明では、中仕切板21を用いて保持炉41の中央付近を区画しており、その区画のうち一方を汲出室46に向かう流路としてあり、他方を処理室45に戻る流路としてあり、この二つの流れを厳密に区画することで、乱れのない溶湯の循環経路が構築される。しかも前方仕切板11の流入口13は、ガスバブリング装置61で発生する流れの下流側に配置することで、撹拌された溶湯だけが汲出室46に供給される。これらの効果により、不純物が少ない溶湯を外部に供給することができる。
図2の下方には、保持炉41に溶湯が貯留された状態を描いてある。このように溶湯が貯留された状態においても、前方仕切板11と後方仕切板31と中仕切板21のいずれとも、その上面は、溶湯面よりも高くなっている。また、ガスバブリング装置61で形成されたドロスは、前方仕切板11や後方仕切板31や中仕切板21でせき止められ、汲出室46に流入することを防いでいる。
図3は、前方仕切板11や後方仕切板31や中仕切板21の構成例を示し、図の上方には、後方仕切板31と中仕切板21をL字状に一体化したものを描いてあり、図の下方には、前方仕切板11と中仕切板21をL字状に一体化したものを描いてある。前方仕切板11や後方仕切板31について、比較的薄い板材を用いた場合、溶湯の流動圧を受け止めるため、その両端を側壁52、53で強固に支持する必要がある。しかし、前方仕切板11や後方仕切板31や中仕切板21にレンガなどを用いるならば、自重で流動圧を受け止めることができる。そのため、前方仕切板11や後方仕切板31の両端を側壁52、53で支持する必要がなく、この図のように、後方仕切板31や前方仕切板11は、中仕切板21から一方の側壁52までの間に限定し、さらに中仕切板21と一体化することもできる。
図3では、上下のいずれの構成とも、流入口13の奥に後方仕切板31と中仕切板21を配置してある。そのため溶湯は、先の図2と同じような挙動を示す。ただし中仕切板21を基準として、流入口13の反対側については、前方仕切板11または後方仕切板31のいずれか一方だけが配置されている。この場合でも、溶湯面付近の流動は、完全にせき止められている点に変わりはなく、形成されたドロスが汲出室46に流入することはない。このように、前方仕切板11や後方仕切板31や中仕切板21の詳細は、溶湯の流動に変化を与えない範囲において自在に決めることができ、極端な場合、前方仕切板11や後方仕切板31は一直線ではなく、中仕切板21との交点で段差が付いていてもよい。
11 前方仕切板
13 流入口
14 還流口
21 中仕切板
31 後方仕切板
41 保持炉
45 処理室
46 汲出室
51 底盤
52 側壁(一方の側)
53 側壁(他方の側)
54 終壁
59 ヒーター
61 ガスバブリング装置
63 ローター
64 シャフト
65 電動機
66 バッフルプレート
13 流入口
14 還流口
21 中仕切板
31 後方仕切板
41 保持炉
45 処理室
46 汲出室
51 底盤
52 側壁(一方の側)
53 側壁(他方の側)
54 終壁
59 ヒーター
61 ガスバブリング装置
63 ローター
64 シャフト
65 電動機
66 バッフルプレート
Claims (1)
- 溶解炉から流れ出た溶湯を一時的に貯留する機能を有する保持炉(41)であって、
該保持炉(41)の縦断面は、対向する側壁(52、53)を底盤(51)で結んだU字状で、該保持炉(41)の上流側は溶湯を撹拌する処理室(45)としてあり、その下流側は溶湯を外部に供給するための汲出室(46)としてあり、
前記処理室(45)と前記汲出室(46)との境界には、前記側壁(52、53)に対してほぼ直交するように前方仕切板(11)を配置してあり、その下流側には、該前方仕切板(11)と平行するように後方仕切板(31)を配置してあり、該前方仕切板(11)と該後方仕切板(31)との間には、該側壁(52、53)とほぼ平行に伸びる中仕切板(21)を配置してあり、該中仕切板(21)は、該側壁(52、53)同士の間のほぼ中央に位置し且つ該前方仕切板(11)と該後方仕切板(31)の両方に接触しており、
前記前方仕切板(11)と前記後方仕切板(31)と前記中仕切板(21)は、いずれもその上面を溶湯面よりも高くしてあり、また該前方仕切板(11)と該中仕切板(21)の底面は、いずれも前記底盤(51)に接触しており、さらに該後方仕切板(31)の底面は、該底盤(51)に接触することなく溶湯の流路を確保してあり、
前記中仕切板(21)から一方の前記側壁(52)までの間において、前記前方仕切板(11)の上部には切り欠き状の流入口(13)を設けてあり、且つその下流側には前記後方仕切板(31)を配置してあり、該流入口(13)の下部は溶湯面よりも低くしてあり、
前記中仕切板(21)から他方の前記側壁(53)までの間には、前記前方仕切板(11)と前記後方仕切板(31)の両方またはいずれか一方を配置してあり、且つこの間の該前方仕切板(11)については、溶湯面よりも下に切り欠き状の還流口(14)を設けてあり、
前記処理室(45)において、前記流入口(13)の近傍には、ガスバブリング装置(61)を配置してあり、該ガスバブリング装置(61)で撹拌された溶湯は、該流入口(13)を通過して前記汲出室(46)に到達し、また該汲出室(46)の溶湯は、前記中仕切板(21)から他方の前記側壁(53)までの間を通過して該処理室(45)に戻ることができることを特徴とする保持炉。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018203260A JP2020069484A (ja) | 2018-10-29 | 2018-10-29 | 保持炉 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018203260A JP2020069484A (ja) | 2018-10-29 | 2018-10-29 | 保持炉 |
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Family Applications (1)
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JP2018203260A Pending JP2020069484A (ja) | 2018-10-29 | 2018-10-29 | 保持炉 |
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JP (1) | JP2020069484A (ja) |
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2018
- 2018-10-29 JP JP2018203260A patent/JP2020069484A/ja active Pending
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