JP2010007833A - 液面調整装置および変速機 - Google Patents
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Abstract
【課題】液体容器の内部に貯留する液体の液面高さの変化を抑制できる、液面調整装置を提供する。
【解決手段】液面調整装置は、オイルパン12内を上下動可能なピストン1と、ピストン1とオイルパン12の壁部22との間をシールするOリング4と、ピストン1を上下方向に支持するスプリング3とを備える。オイルパン12は、オイルパン12内に流入するオイルOLがピストン1の上側に貯留するように形成されている。スプリング3は、ピストン1の上側に貯留するオイルOLの重量変化に対応してピストン1を上下動させ、オイルパン12の内部に貯留するオイルOLの液面Sの高さを調整して、オイルの液面Sの高さの変動を抑制する。
【選択図】図2
【解決手段】液面調整装置は、オイルパン12内を上下動可能なピストン1と、ピストン1とオイルパン12の壁部22との間をシールするOリング4と、ピストン1を上下方向に支持するスプリング3とを備える。オイルパン12は、オイルパン12内に流入するオイルOLがピストン1の上側に貯留するように形成されている。スプリング3は、ピストン1の上側に貯留するオイルOLの重量変化に対応してピストン1を上下動させ、オイルパン12の内部に貯留するオイルOLの液面Sの高さを調整して、オイルの液面Sの高さの変動を抑制する。
【選択図】図2
Description
本発明は、液面調整装置および変速機に関し、特に、温度変化に伴って粘性が変化する液体の液面調整装置と、その液面調整装置を備える変速機とに関する。
車両に搭載される変速機では、各部位の冷却および焼き付き防止、ならびに各機器の油圧による動作制御のため、各部位にオイルを供給する必要がある。変速機のハウジングの内部、典型的にはハウジングの底部には、オイルを貯留するオイルパンが設けられる。たとえば、オイルポンプによってオイルパン内のオイルを吸入する、ギヤなどの回転部材の一部をオイルに浸漬させ回転によってオイルパン内のオイルを掻き上げるなどの方法によって、変速機のハウジング内の各部にオイルが供給される。各部に供給されたオイルは、自然に落下することによりハウジングの底部のオイルパンに戻され、オイルは循環して使用される。
オイルには一般的に、温度変化に伴って粘度が変化する特性がある。つまりオイルは、低温になると粘度が高くなり、高温になると粘度が低くなるという特性を有する。低温時には、オイルの粘度が高いため、各部に供給されたオイルの流動性が低く、オイルパン内に戻ってくるオイルの量が少なくなる。一方高温時には、オイルの粘度が低いため、各部に供給されたオイルの流動性が高く、オイルパン内に戻ってくるオイルの量が多くなる。このように、油温によってオイルパン内のオイルレベル(油面の高さ)が上下する場合がある。
オイルパン内のオイルレベルが低下すると、回転部材により掻き上げられて各部に供給されるオイルの供給量が減少し、各部の冷却が不十分となり、装置が高温化して焼き付きが発生する、また各部の潤滑が不十分となり装置が損傷するなどの問題がある。またオイルポンプでオイルを吸入するときに空気を吸込んでしまい、たとえばクラッチなどの摩擦係合装置においてピストンを押圧し摩擦係合板を互いに係合させるための油圧上昇が妨げられ、油圧を変動できずに機器の油圧制御が困難になるという問題がある。
オイルパン内のオイルレベルが上昇すると、回転部材がオイルに浸漬される浸漬深さが大きくなり、回転部材によってオイルパン内のオイルが攪拌される。この攪拌が発生すると、回転部材の回転に対する抵抗が大きくなり、損失が増大して動力伝達効率が低下する問題がある。また攪拌によりオイルの温度がさらに上昇してしまい、オイルが劣化して潤滑機能を阻害する、冷却能が不十分となり装置全体が高温化するなどの問題がある。
このような問題を回避するために、オイルパン内のオイルレベルを調整し、オイルレベルの変化を抑制することが重要視されている。オイルレベルを調整するための従来の技術は、たとえば特許文献1〜4に開示されている。
特開平2−271147号公報
実開昭62−121469号公報
特開2006−275163号公報
特開平6−307523号公報
特許文献1では、オイルパン内に体積が可変の体積可変室が設けられており、低温時などに体積可変室内部に供給される流体圧を上昇させ、体積可変室を膨張させて油面を上昇させる貯油装置が提案されている。また、特許文献2〜4では、オイルの温度を感知して変形する形状記憶合金を使用して、オイルパン内のオイルレベルを調整する技術が提案されている。
しかし、特許文献1に記載の技術では、体積可変室内の流体圧を調整するための流体圧制御装置を備える必要があり、流体圧制御装置を設置するためのスペースが必要となるため変速機全体が大型化するとともに、変速機の製造コストが増大する問題があった。また、流体圧制御装置に何らかの異常が発生した場合のフェールセーフのために別の制御回路を備える必要があることにより、さらに大きなスペースが必要になり、またコストもさらに増大するという問題があった。
一方、特許文献2〜4に記載の技術では、所定の変態温度に達すると可逆的に変形する形状記憶合金が用いられているが、変態温度未満での形状記憶合金の形状と、変態温度以上での形状記憶合金の形状とは大きく異なる。形状記憶合金を用いた場合、変態温度を境として二つの状態を取る制御、すなわちオイルパン内のオイルレベルを二段階に制御することが可能であるが、油温に対応してオイルパン内のオイルレベルをリニアに制御することは困難であった。
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、液体容器の内部に貯留する液体の液面高さを調整し、液面高さの変化を抑制できる、液面調整装置を提供することである。
本発明に係る液面調整装置は、壁部を有する液体容器の内部に貯留する液体の液面高さを調整する装置である。液面調整装置は、ピストンと、シール部と、弾性部材とを備える。ピストンは、液体容器内を上下動可能である。シール部は、ピストンと壁部との間をシールする。弾性部材は、ピストンを上下方向に支持する。液体容器は、液体容器内に流入する液体がピストンの上側に貯留するように形成されている。弾性部材は、ピストンの上側に貯留する液体の重量変化に対応してピストンを上下動させ、液体の液面高さの変動を抑制する。
好ましくは、液面調整装置は、止め具をさらに備える。止め具は液体容器内に設けられており、止め具がピストンと当接してピストンの上方向への移動を制限する。
本発明に係る変速機は、内部に液状のオイルを貯留するオイルパンと、オイルパン内のオイルの液面高さの変動を抑制する液面調整装置とを備える。
本発明の液面調整装置によると、液体容器内の液体の重量変化により、自動的に液面高さを調整することができる。少ない構成部品で液面高さの変動を抑制できるので、必要な設置スペースも少なくなり液面調整装置を小型化でき、また液面調整装置の製造コストを低減することができる。
以下、図面に基づいてこの発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。
なお、以下に説明する実施の形態において、各々の構成要素は、特に記載がある場合を除き、本発明にとって必ずしも必須のものではない。また、以下の実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、上記個数などは例示であり、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。
図1は、本発明の一実施の形態の液面調整装置を備える、自動変速機の構成を示す分解斜視図である。図1に示す自動変速機10は、車両に搭載されている。この車両は、前側にエンジンが配置され後輪駆動の、FR(Front engine Rear wheel drive)方式の自動車である。図1中の矢印100は、車両の前方向を示す。
図1に示すように、自動変速機10は長手方向を有し、長手方向が車両の前後方向になるように配置されている。自動変速機10の筐体は、鉛直下方向に開口されたトランスミッションケース11と、オイルパン12とを備える。オイルパン12は、トランスミッションケース11の開口を塞ぐように、トランスミッションケース11に取り付けられる。トランスミッションケース11内には、ギヤやシャフト、ベアリングなどを含んで構成され、エンジンから出力された動力を変速してドライブシャフト側に出力するための、ギヤトレインが収容されている。
オイルパン12は、受け皿形状に形成されている。オイルパン12は、上部が開口した箱形状に形成されている。オイルパン12は壁部22を有し、オイルパン12の内部には後述するピストン1が収容されている。本実施の形態のオイルパン12は、金属で形成されている。たとえば、オイルパン12を鋼板から形成することができ、またたとえば、アルミ鋳造によりオイルパン12を形成することができる。オイルパン12の材質は金属に限られず任意の材質で形成することができ、たとえばオイルパン12が樹脂から形成されていても構わない。
トランスミッションケース11内に収容されるギヤトレインの底部には、クラッチなどの油圧制御を行なうための、図示しないバルブボディが配置されている。バルブボディの底部には、オイルパン12からバルブボディに供給されるオイル中の異物を除去するためのストレーナが設けられている。ストレーナはオイル吸込み口を有する。オイルパン12内に貯留されたオイルは、オイル吸込み口を経由してストレーナに導入され、バルブボディを貫通する流路を経由して、図示しないオイルポンプによって吸引される。吸引されたオイルは、オイルポンプにより、トルクコンバータ、摩擦係合装置、各種のギヤなどに供給され、各機器の油圧制御、冷却および潤滑に用いられる。
図2は、本実施の形態の液面調整装置の構成を示す断面模式図である。図2に示す液面調整装置の断面は、図1に示すII−II線に沿うオイルパン12の断面を示す。自動変速機10の筐体内には、所定量のオイルが充填されており、オイルパン12はその内部に液状のオイルOLを貯留している。本実施の形態におけるオイルOLは、ATF(Automatic Transmission Fluid)と呼ばれ、変速を行なうためのクラッチを作動させたり、トルクコンバータにおいて力の伝達を行なったり、歯車などの機械要素間の焼き付き防止のための潤滑油として機能したりする。
図2に示すように、液体容器としてのオイルパン12は、オイルパン12の床面を形成する底部21と、オイルパン12の側壁面を形成する壁部22とを有する。オイルパン12の内部には、オイルパン12内を上下動可能に設けられたピストン1が設置されている。壁部22は鉛直方向に沿うように形成され、ピストン1は壁部22の延在方向に沿って往復運動可能であるように設けられている。ピストン1は、平面形状がオイルパン12の底部21の平面形状と略等しくなるように形成されている。ピストン1は、底部21の全面を上方から覆うように、底部21と略平行に設置されている。
ピストン1がオイルパン12の壁部22と対向する外周部1aには、シール部としてのOリング4が取り付けられている。Oリング4は、ピストン1の外周部1aと壁部22との間をシールする。ピストン1がオイルパン12内を移動するとき、Oリング4はピストン1とともに移動し、Oリング4は壁部22の内面上を摺動する。Oリング4によって、ピストン1の外周部1aと壁部22との間は、オイルOLが漏れる隙間なく密封されている。そのため、オイルパン12内に流入するオイルOLは、オイルパン12の内部のピストン1よりも上方側に貯留し、ピストン1よりも下方側にはオイルOLが溜まっていない空間24が形成されている。オイルパン12は、オイルOLがピストン1の上側に貯留するように形成されている。
ピストン1は、ピストン1の下方側に設けられた弾性部材としてのスプリング3によって、上下方向に支持されている。スプリング3には、オイルパン12の壁部22に沿う形状に形成された、リングばねが用いられている。スプリング3はオイルパン12の底部21に立設されており、スプリング3の伸縮によってピストン1は上下動を行なう。スプリング3は、ピストン1を上下動可能に、下方から支持している。ピストン1には、下部に向かって突起する凸部2が形成されている。凸部2はスプリング3の位置決めを行なっている。スプリング3が凸部2よりもピストン1の外周部1a側に配置されているため、ピストン1を底部21と略平行に上下動させることが可能な構成とされている。
なお、ピストン1を支持する弾性部材は、リングばねに限られるものではない。たとえば複数のコイルばねを、ピストン1の外周部1aに相当する複数箇所において、オイルパン12の底部21から立設させてもよい。弾性部材として板ばねをピストン1の下側に設けてもよい。また、弾性的にピストン1を支持することが可能なゴム材やエアシリンダなどを、弾性部材として使用してもよい。また、弾性部材がオイルパン12の底部21に立設されピストン1を下方から支持する構成に限られず、弾性部材がピストン1の上方側からピストン1を上下動可能に支持する構成であっても構わない。
オイルパン12の壁部22の一部は、外側に突起しており、突起部23を形成している。この突起部23に支持されるように、止め具としてのスナップリング5が設けられている。スナップリング5は環状に形成されており、オイルパン12の内部に設けられている。スナップリング5は、環状の外周側の縁部において壁部22に形成された突起部23によって支持されている。スナップリング5の環状の内周側の縁部5aは、オイルパン12の内部に突き出している。スナップリング5は、内周側の縁部5aがピストン1の外周部1aと対向するように設けられている。
図3は、ピストンが上昇した状態の液面調整装置を示す断面模式図である。図3に示す液面調整装置の断面は、図1に示すIII−III線に沿うオイルパン12の断面を示す。図2に示す液面調整装置の断面では、スプリング3が縮んだ状態であって、ピストン1はオイルパン12の下側に移動している。これに対し、図3に示す液面調整装置の断面では、スプリング3が伸びた状態であって、ピストン1はオイルパン12の上側に移動している。スプリング3の伸縮によって、ピストン1はオイルパン12の内部を上下動する。
図3に示すピストン1が上方へ移動した状態において、スナップリング5の内周側の縁部5aがピストン1の外周部1aと当接している。スナップリング5がピストン1と当接することにより、ピストン1の上方向への移動が制限されている。つまり、図3に示す状態において、ピストン1はスプリング3によって下方から上方へ向かって付勢されているが、ピストン1が上部表面においてスナップリング5と当接しているため、ピストン1の上方向への移動が妨げられて、ピストン1は図3に示す位置で止められている。
ここで、図2と図3とを比較して、オイルパン12内に貯留されたオイルOLの量は、図2に示す状態において相対的に多く、図3に示す状態において相対的に少なくなっている。図2では、相対的に多量のオイルOLがオイルパン12の内部に貯留されており、オイルパン12の内部に貯留されているオイルOLの重量が相対的に大きくなっている。一方図3では、相対的に少量のオイルOLがオイルパン12の内部に貯留されており、オイルパン12の内部に貯留されているオイルOLの重量が相対的に小さくなっている。
オイルパン12内のオイルOLの重量が大きい図2では、オイルOLの自重によってピストン1に上方から加わる荷重が大きい。そのため、スプリング3が縮み、ピストン1は下方に移動する。一方オイルパン12内のオイルOLの重量が小さい図3では、オイルOLの自重によってピストン1に上方から加わる荷重が小さくなる。そのため、弾性力によってスプリング3が伸び、ピストン1は上方に移動している。つまり、オイルパン12内のオイルOLの重量が増加するとスプリング3が縮んでピストン1が下降する。またオイルパン12内のオイルOLの重量が減少するとスプリング3が伸びてピストン1が上昇する。スプリング3は、オイルOLの重量変化に対応して弾性変形することにより、ピストン1を上下動させている。
図2および図3に示すオイルOLの液面Sとピストン1の上面との距離を比較すれば、相対的に多量のオイルOLがオイルパン12内に貯留されている図2では、液面Sとピストン1の上面との距離も相対的に大きくなっており、相対的に少量のオイルOLが貯留されている図3では、液面Sとピストン1の上面との距離も相対的に小さくなっている。オイルパン12内に貯留しているオイルOLの量の変化によって、液面Sとピストン1の上面との距離が変化している。
この液面Sとピストン1の上面との距離の変化量に合わせた距離分ピストン1が上下動するように、スプリング3を調整することができる。具体的には、スプリング3の個数、ばね定数、スプリング3の伸縮する方向におけるスプリング3の寸法などを調整することができる。スプリング3の調整によって、オイルパン12内のオイルOLの量の増減に伴う液面Sとピストン1の上面との距離の変化分に合わせて、ピストン1を上下動させることが可能となる。このとき、オイルパン12の壁部22に対する液面Sの高さは、図2および図3で一定となっている。
すなわち、オイルパン12内においてピストン1の上側に貯留するオイルOLの重量変化に対応してスプリング3が伸縮し、ピストン1がスプリング3の伸縮に伴って上下動することにより、オイルOLの液面(油面)Sの高さの変動を抑制することができる。このようにして、オイルOLの液面Sの高さを調整することができる。なお、液面Sの高さとは、任意の位置(たとえば、オイルパン12の底部21の上面側)を基準点としたときの、鉛直方向における当該基準点と液面Sとの間の距離をいう。
オイルOLは、温度変化に伴って粘度が変化する特性がある。つまり、オイルOLが低温になると粘度が高くなり、高温になると粘度が低くなる。低温時には、オイル粘度が高いため、自動変速機10の各部に供給されたオイルOLの流動性が低く、オイルOLがオイルパン12内に戻ってくる量が少なくなって、オイルパン12内のオイルOLの重量は小さくなる。このとき、オイルOLの自重によってピストン1を押し下げる方向にピストン1に作用する荷重が低減するので、スプリング3の弾性力の作用によりピストン1が押し上げられる。オイルパン12内のオイルOLの量が減少すると液面Sの高さは小さくなるが、ピストン1が押し上げられることでオイルOLの液面Sの高さを上昇させる作用が働き、液面Sの高さの変動は抑制される。
一方高温時には、オイル粘度が低いため、各部に供給されたオイルの流動性が高く、オイルがオイルパン内に戻ってくる量が多くなって、オイルパン12内のオイルOLの重量は大きくなる。このとき、オイルOLの自重によってピストン1を押し下げる方向にピストン1に作用する荷重が増加し、スプリング3が押圧されて縮むことにより、ピストン1は下降する。オイルパン12内のオイルOLの量が増加すると液面Sの高さは大きくなるが、ピストン1が下げられることでオイルOLの液面Sの高さを低下させる作用が働き、液面Sの高さの変動は抑制される。
油温の変化に伴うピストン1の移動により、オイルパン12内におけるピストン1よりも上側の空間の容積が増減する。この空間の容積の増減量が、オイルパン12内のオイルOLの貯留量の増減と一致するように、スプリング3を調整することができる。この場合、油温が変化する場合でもオイルOLの液面Sの高さは自動的に調整され、オイルOLの液面Sの高さはほぼ一定に保たれる。オイルOLの液面Sの高さがほぼ一定に維持されるため、オイルパン12のオイルOLの量が減少したときにも、回転部材によるオイルパン12内部のオイルOLの掻き上げ量を確保することができ、またオイルポンプへの空気の吸い込みを防止することができる。またオイルパン12内のオイルOLの量が増加したときにも、回転部材によるオイルパン12内のオイルOLの攪拌の発生を抑制でき、動力伝達効率の低下やオイルの過熱を防止することができる。
オイルパン12の内部において、ピストン1よりも下方側にはオイルOLが溜まっていない空間24が形成されている。空間24が密閉空間として形成されている場合、ピストン1が下方へ押し下げられたときに、空間24内の気体の圧力が上昇してピストン1を押し上げる向きの荷重をピストン1に作用させて、ピストン1の下方向への移動を妨げるおそれがある。そのため、空間24とオイルパン12の外部空間とを連通する貫通孔を、オイルパンの底部21または壁部22に形成し、空間24に外部空間から自由に空気が流出入可能な構成とすることができる。このようにすれば、空間24内の気体の圧力上昇によってピストン1の移動が妨げられることを回避でき、オイルOLの重量によって加えられる荷重とスプリング3の弾性力との作用によってピストン1を移動させることができるので、オイルOLの液面Sの高さの変動を効果的に抑制することができる。
図4は、オイルの特性の一例を示すグラフである。図4の横軸はオイルOLの温度(単位:℃)を示す。図4の縦軸(図4の左側に示す第一軸)は、オイルを貯留する容器の上下方向(オイルOLの深さ方向)における、任意に設定した所定の基準点とオイルOLの液面Sとの間の距離(すなわち液面Sの高さ、単位:mm)を示す。また図4の縦軸(図4の右側に示す第二軸)は、容器内に貯留されたオイルOLの量(単位:cc)、および容器内に貯留されたオイルOLの重量(単位:g)を示す。
図4中の凡例Aは、オイルOLの温度と液面Sの高さとの関係を表すグラフを示す。凡例Bは、オイルOLの温度とオイルOLの量との関係を表すグラフを示す。凡例Cは、オイルOLの温度とオイルOLの重量との関係を示すグラフを示す。
図4に示す特性を有するオイルOLの場合、オイルOLの温度が−20℃〜40℃の間で、液面Sの高さの変化量は約80mmと大きくなっている。このときの容器内のオイルOLの量は約3000cc変化し、容器内のオイルOLの重量の変化は約2400gとなっている。この重量の変化分をスプリング3の作動荷重として、オイルOLの重量が2400g変化するときピストン1が80mm移動するようにスプリング3を調整し、スプリング3の弾性力によってオイルOLの重量変化に対応してピストン1を上下動させる。
たとえば、オイルOLの温度が−20℃のときにはピストン1が上昇し、スナップリング5で止まるようにスプリング3の荷重を設定する。またオイルOLの温度が40℃のときにはピストン1がオイルOLの重量によって押し下げられ、オイルパン12の底部21に向かって移動するようにスプリング3の荷重を設定する。また、オイルOLの温度が−20℃から40℃まで変化したとき、ピストン1の移動によって増加するオイルパン12内部のピストン1よりも上方側の容積が、オイルOLの変化量(3000cc)と一致するように、ピストン1の径を設定する。このようにすれば、オイルOLの液面Sの高さの変動を約80mmから低減し、液面Sの高さの変動を抑制して、液面Sの高さを自動的にほぼ一定に保つことができる。
スプリング3のばね定数の選定について以下に説明する。オイルOLの比重をρ、オイルパン12の水平方向断面の断面積をA、ばね定数をkとする。ピストン1の上側に、ピストン1の上面と液面Sとの距離H分のオイルOLが貯留しており、そのときのスプリング3の変位量をxとすると、フックの法則より、以下の式が成立する。
ρAH=kx (1)
この状態から、ピストン1の上側に貯留するオイルOLの量が増加して、ピストン1の上面と液面Sとの距離が(H+ΔH)となり、そのときのスプリング3の変位量を(x+Δx)とすると、以下の式が成立する。
この状態から、ピストン1の上側に貯留するオイルOLの量が増加して、ピストン1の上面と液面Sとの距離が(H+ΔH)となり、そのときのスプリング3の変位量を(x+Δx)とすると、以下の式が成立する。
ρA(H+ΔH)=k(x+Δx) (2)
式(2)に式(1)を代入すると、
ρAΔH=kΔx (3)
液面Sの高さを常に一定に保つためには、
ΔH=Δx (4)
が成立すればよいので、式(4)を式(3)に代入すると、次の式(5)が得られる。
式(2)に式(1)を代入すると、
ρAΔH=kΔx (3)
液面Sの高さを常に一定に保つためには、
ΔH=Δx (4)
が成立すればよいので、式(4)を式(3)に代入すると、次の式(5)が得られる。
k=ρA (5)
したがって、液面Sの高さを自動的に一定に保つためには、式(5)を満足するばね定数を有するようなスプリング3を選定すればよい。つまり、弾性部材としてのスプリング3のばね定数kは、液体としてのオイルOLの比重ρに、液体容器としてのオイルパン12の水平方向断面の断面積Aを乗じた値とすればよい。たとえば、ピストン1を支持する弾性部材に複数のコイルばねが用いられる場合には、当該複数のコイルばねの合成ばね定数が式(5)を満たすように、各コイルばねのばね定数を選定すればよい。オイルOLの温度変化に伴ってオイルOLの比重が変動する場合には、たとえば、変動する比重ρの中央値に断面積Aを乗じた値をばね定数kとして選定することができる。
したがって、液面Sの高さを自動的に一定に保つためには、式(5)を満足するばね定数を有するようなスプリング3を選定すればよい。つまり、弾性部材としてのスプリング3のばね定数kは、液体としてのオイルOLの比重ρに、液体容器としてのオイルパン12の水平方向断面の断面積Aを乗じた値とすればよい。たとえば、ピストン1を支持する弾性部材に複数のコイルばねが用いられる場合には、当該複数のコイルばねの合成ばね定数が式(5)を満たすように、各コイルばねのばね定数を選定すればよい。オイルOLの温度変化に伴ってオイルOLの比重が変動する場合には、たとえば、変動する比重ρの中央値に断面積Aを乗じた値をばね定数kとして選定することができる。
上述した説明と一部重複する部分もあるが、本実施の形態の特徴的な構成を列挙すると以下のようになる。本実施の形態の自動変速機10は、内部に液状のオイルOLを貯留するオイルパン12と、液面調整装置とを備える。液面調整装置は、ピストン1と、Oリング4と、スプリング3とを備える。ピストン1は、壁部22と底部21とを有するオイルパン12内を上下動可能とされている。Oリング4は、ピストン1の外周部1aと壁部22との間をシールする。スプリング3は、底部21に立設されており、ピストン1を上下方向に移動可能に支持する。オイルパン12は、オイルパン12内に流入するオイルOLがピストン1の上側に貯留するように形成されている。スプリング3は、オイルパン12内部においてピストン1の上側に貯留するオイルOLの重量変化に対応してピストン1を上下動させ、オイルOLの液面(油面)Sの高さを調整して、液面Sの高さの変動を抑制する。
このようにすれば、スプリング3の弾性力の作用によって、オイルOLの重量に対応してピストン1を上下動自在とすることができる。オイルパン12内のオイルOLの重量変化によってピストン1が上下方向に移動するので、自動的にオイルOLの液面Sの高さを調整することができる。少ない構成部品でオイルOLの液面Sの高さの変動を抑制できるので、液面調整装置の設置のために必要なスペースが低減され、自動変速機10を小型化することができる。また、構成部品が少なく安価な液面調整装置を提供できるので、自動変速機10の製造コストを低減することができる。
液面調整装置は、スナップリング5をさらに備える。スナップリング5は、オイルパン12の内部に設けられ、壁部22によって支持されており、ピストン1と当接してピストン1の上方向への移動を制限する。このようにすれば、ピストン1が上昇したとき、スナップリング5によってピストン1の抜けを防止することができるとともに、ピストン1の上下方向の位置決めを行なうことができる。オイルパン12内のオイルOLの重量が低減した場合、上昇したピストン1がスナップリング5で止まるようにスプリング3を調整することができるので、スプリング3の設定が容易となり、オイルOLの液面Sの高さの変動をより効果的に抑制することができる。
なお、これまでの説明においては、ピストン1の平面形状がオイルパン12の底部21の平面形状とほぼ等しく、ピストン1の外周部1aがオイルパン12の壁部22と近接対向している例について説明したが、この構成に限られるものではない。たとえば、オイルパン12の底部21からオイルパン12の内部側に突起する突起物があり、ピストン1の下方への移動がその突起物によって妨げられるような場合には、オイルパン12の内部に突起物を隔離するような隔壁を設け、オイルパン12の壁部が当該隔壁を含んで構成されるものとすることができる。このときピストン1は、シール部によってオイルパン12の側壁および隔壁との間を隙間なく密封されるような形状に形成すればよい。
また、これまでの説明においては、車両に搭載される自動変速機10に用いられるオイルOLの液面Sを調整するための液面調整装置について説明した。車両の駆動源であるエンジンが駆動している間、自動変速機10の内部には常にオイルOLを供給する必要があり、このオイルOLは温度変化によって粘度が変わる特性を有している。そのため、本発明の液面調整装置を自動変速機10に用いると、オイルOLの液面高さの変動を抑制できるので好適である。但し、本発明の液面調整装置は自動変速機10に限られず、内部に貯留される液体の重量が変動するような液体容器を備える装置であれば、どのような装置にも適用することができる。たとえば、動力伝達装置やエンジンなどに、本発明の液面調整装置を適用することができる。
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 ピストン、1a 外周部、2 凸部、3 スプリング、4 Oリング、5 スナップリング、5a 縁部、10 自動変速機、11 トランスミッションケース、12 オイルパン、21 底部、22 壁部、23 突起部、24 空間、100 矢印、OL オイル、S 液面。
Claims (3)
- 壁部を有する液体容器の内部に貯留する液体の液面高さを調整する、液面調整装置であって、
前記液体容器内を上下動可能なピストンと、
前記ピストンと前記壁部との間をシールするシール部と、
前記ピストンを上下方向に支持する弾性部材とを備え、
前記液体容器内に流入する液体が前記ピストンの上側に貯留するように、前記液体容器は形成されており、
前記弾性部材は、前記ピストンの上側に貯留する液体の重量変化に対応して前記ピストンを上下動させ、液体の液面高さの変動を抑制する、液面調整装置。 - 前記液体容器内に設けられ、前記ピストンと当接して前記ピストンの上方向への移動を制限する止め具をさらに備える、請求項1に記載の液面調整装置。
- 内部に液状のオイルを貯留するオイルパンと、
前記オイルパン内のオイルの液面高さの変動を抑制する、請求項1または2に記載の液面調整装置とを備える、変速機。
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JP2012042007A (ja) * | 2010-08-20 | 2012-03-01 | Jatco Ltd | 変速機のオイルパン構造 |
-
2008
- 2008-06-30 JP JP2008170961A patent/JP2010007833A/ja not_active Withdrawn
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