JP2010007751A - 真空弁 - Google Patents

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Abstract

【課題】製品組立後でもストローク調整部材の原点位置を簡単且つ正確に調整できる真空弁を提供すること。
【解決手段】真空弁1は、第1ピストン26と第2ピストン27を個別に移動させることにより弁体7のストロークを変更し、流量を段階的に制御する。真空弁1は、第2ピストン27を上蓋22に当接させた状態で第2ピストン27に突き当たるまでストローク調整部材38を調整ネジ部11dに締め付けてストローク調整部材38を止めネジ39で固定することにより、ストローク調整部材の原点位置を調整する。
【選択図】図5

Description

本発明は、例えば半導体製造装置の真空チャンバ内の真空排気を行う場合に排気流量を段階的に制御可能な真空弁に関する。
半導体製造装置において真空チャンバ内の真空排気を行う場合、急速に真空チャンバ内の気体を排出したのでは短時間に大量の気体が流れ、真空チャンバの内壁や流路上に付着していたパーティクル(塵埃)が巻き上げられてしまう。その一方で、排気流量を絞り過ぎると、排気時間が長くなって生産タクトに悪影響を及ぼすこととなる。そこで、例えば、特許文献1では、排気流量を小流量から大流量に切り替えることでパーティクルの巻き上げを防止する真空弁が提案されている。
図7乃至図9は、特許文献1に記載される真空弁100の実施形態を示した断面図であり、図7は、弁閉状態、図8は緩速排気状態、そして図9は急速排気状態を示す図である。
真空弁100は、ポンプポート101とチャンバポート102とを備えるバルブボディ103内に弁座104が設けられている。弁体105は、主軸107の下端部に固定され、復帰バネ106により弁座方向に常時付勢されている。弁体105には、環状シール部材122が装着され、環状シール部材122を弁座104に押し付けることにより流路を遮断する。
バルブボディ103には、シリンダチューブ108が固定されている。シリンダチューブ108の両端面には、有底孔が開設され、その有底孔を底蓋109と上蓋110とで塞ぐことにより、第1ピストン室111と第2ピストン室112とが形成されている。主軸107は、バルブボディ103から底蓋109と、第1ピストン室111と第2ピストン室112との間に設けられた中間壁113と、上蓋110に貫き通されている。
主軸107には、第1ピストン114が固設され、第1ピストン114を第1ピストン室111に摺動可能に配置している。また、主軸107は、第2ピストン室112に嵌装された第2ピストン115に挿通されている。主軸107の上端部には、係止部材121がナット116を用いて取り付けられている。第1ピストン室111と第2ピストン室112は、第1ピストン114と第2ピストン115によりそれぞれ気密に区画され、第1ピストン114と第2ピストン115に区画された下側の室に、シリンダチューブ108に開設された第1操作ポート117と第2操作ポート118とが連通している。
調整ハンドル119は、上蓋110に螺設され、下端部を第2ピストン室112に進退可能に配置している。調整ハンドル119は、固定ネジ120により、所定の位置で固定される。
このような真空弁100は、図7に示すように、第1操作ポート117と第2操作ポート118から第1ピストン室111と第2ピストン室112に操作エアを供給しない場合には、弁体105が復帰バネ106に付勢されて弁座104に当接している。
この状態から緩速排気を行う場合には、図8のドット部分に示すように、第2操作ポート118から第2ピストン室112に操作エアを供給する。第2ピストン115は、操作エアの圧力により、係止部材121に突き当たるまで単独で上昇した後、主軸107と一体的に上昇する。これにより、主軸107の下端部に固設した弁体105が弁座104から離間する。第2ピストン115は、調整ハンドル119の下端部に当接するまで上昇することができ、その位置で移動を制限される。そのため、主軸107と弁体105の上昇も停止し、緩速排気に適した弁開度の状態を維持する。よって、真空弁100は、チャンバポート102からポンプポート101へ小流量排気を行うことで、パーティクルを巻き上げないように真空チャンバ内の圧力を調整することができる。
急速排気を行う場合には、図9のドット部分に示すように、第1操作ポート117に操作エアを供給する。第1ピストン114は、操作エアの圧力により、復帰バネ106の付勢力に抗して主軸107と一体的に上昇する。真空弁100は、弁体105が主軸107と一体的に上昇して弁開度を大きくすることにより、チャンバポート102からポンプポート101へ大流量で排気を行うことができる。
真空チャンバ内の排気を終了する場合には、第1操作ポート117及び第2操作ポート118から操作エアを排出する。すると、図7に示すように、主軸107は、復帰バネ106の付勢力によって下降し、弁体105を弁座104に当接させる。また、第2ピストン115は、第2操作ポート118から操作エアを排出されるのに伴って下降し、調整ハンドル119から離間する。
よって、従来の真空弁100によれば、第1操作ポート117と第2操作ポート118への操作エアの供給と停止により、排気流量を段階的に制御することができる。
特開2001−12649
しかしながら、従来の真空弁100は、流量をゼロにする調整ハンドル119の原点位置を、製品組立後に調整することができなかった。そのため、調整ハンドル119を回しても、バルブ流量の調整ができない動作不感帯が存在することがあった。
具体的には、真空弁100は、第2ピストン115が係止部材121に当接した後、主軸107と一緒に上昇する。そして、第2ピストン115は、調整ハンドル119の下端部に接触して移動を制限されるまで、主軸107と一緒に上昇する。このため、従来の真空弁100は、第2ピストン115と調整ハンドル119との間の距離が、弁体105のストロークになり、調整ハンドル119が下側に位置するほど弁体105のストロークが短くなる。
このような真空弁100は、製品組立時に、第2ピストン室112に圧縮エアを供給せず、復帰バネ106の付勢力により第2ピストン115を中間壁113に当接する下限位置に配置した状態で、調整ハンドル119を第2ピストン115に突き当てるまで上蓋110にねじ込む。これにより、真空弁100は、調整ハンドル119の原点位置が設定される。ここで、原点位置とは、流量をゼロにする基準となる位置をいう。そして、調整ハンドル119は、原点位置から所定方向に回転されて上昇し、固定ネジ120により上蓋110に対して固定されることにより、第2ピストン115との間の距離すなわち弁体105のストロークを決定する。
ところが、弁体105のストロークは、実際には、第2ピストン115が係止部材121に当接してから調整ハンドル119に当接するまでの距離によって決定される。第2ピストン115と係止部材121との間の距離は、環状シール部材122の撓み量によって変化する。これにより弁体105のストロークも変化する。
つまり、例えば、環状シール部材122の撓み量が大きい場合には、第2ピストン115と係止部材121との間の距離が短くなり、第2ピストン115が主軸107及び弁体105を持ち上げる距離が長くなるため、弁体105のストロークが大きくなる。一方、例えば、環状シール部材122の撓み量が小さい場合には、第2ピストン115と係止部材121との間の距離が長くなり、第2ピストン115が主軸107及び弁体105を持ち上げる距離が短くなるため、弁体105のストロークが小さくなる。
よって、下限位置に配置した第2ピストン115に調整ハンドル119を突き当てて調整ハンドル119の原点位置を決め、その原点位置を基準にして調整ハンドル119を所定回数回転させたとしても、環状シール部材122の撓み量などにより、第2ピストン115と係止部材121との間の距離がばらつくと、弁体105のストロークを設定値に調整することができなかった。例えば、環状シール部材122の撓み量が設計値より小さい場合には、調整ハンドル119を原点位置から数回転させても、第2ピストン115が係止部材121に当接する前に調整ハンドル119の下端部に当接してしまい、弁開度を調整できないことがあった。
その上、環状シール部材122は、繰り返し使用していると劣化し、弁閉時の環状シール部材122の撓み量が変化する。一方、第2ピストン115と係止部材121との間の距離は、製品組立時に一義的に決められる。そのため、従来の真空弁100は、弁閉時における環状シール部材122の撓み量が製品組立後に変化しても、その環状シール部材122の撓み量の変化に応じて調整ハンドル119の原点位置を調整することができなかった。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、製品組立後でもストローク調整部材の原点位置を簡単且つ正確に調整できる真空弁を提供することを目的とする。
本発明に係る真空弁は、次のような構成を有している。
(1)チャンバポートとポンプポートとの間に設けられたボディの弁座に、弁体に装着された環状シール部材を弾性変形させて密着させることにより、チャンバポートとポンプポートとの間を遮断するものであって、第1ピストンと第2ピストンがシリンダチューブに設けられた第1ピストン室と第2ピストン室とに摺動可能に配置され、前記弁体に連結される主軸が前記第1ピストンに固設されると共に前記第2ピストンに挿通され、前記第2ピストンを係止する係止部材を備えており、前記第1及び前記第2ピストンを個別に動作させることにより前記弁体のストロークを段階的に調整する真空弁において、前記主軸は、前記第2ピストン室に挿通される部分の外周面に調整ネジ部が形成され、前記係止部材は、前記調整ネジ部に螺合するストローク調整部材であり、前記ストローク調整部材を前記主軸に対して固定する固定部材を有する。
(2)(1)に記載の発明において、前記シリンダチューブは、両端が開口する円筒形状をなし、内部空間を中間壁で仕切られ、一方開口部に底蓋を取り付けて前記第1ピストン室を形成し、他方開口部に上蓋を取り付けて前記第2ピストン室を形成しており、前記上蓋は、前記ストローク調整部材が螺合する前記主軸を挿通される貫通孔を形成されている。
(3)(1)又は(2)に記載の発明において、前記第2ピストンは、前記上蓋と面接触する。
(4)(1)乃至(3)の何れか一つに記載の発明において、前記調整ネジ部のネジ径が、前記主軸の径よりも小さい。
本発明の真空弁は、弁体の環状シール部材を弁座との間で弾性変形させて弁座に密着させ、チャンバポートとポンプポートとの間を遮断する。第2ピストンは、ストローク調整部材に当接する位置まで移動すると、主軸と一体的に移動する。第2ピストンは、上蓋に当接すると、移動を制限される。弁体は、ストローク調整部材に当接してから上蓋に当接するまでの距離だけ弁座から持ち上げられ、チャンバポートからポンプポートへ流れる流体の流量を調整する。一方、第1ピストンは、移動開始と同時に主軸と一体的に移動する。弁体は、第1ピストンの移動量だけ弁座から持ち上げられ、チャンバポートからポンプポートへ流れる流体の流量を調整する。よって、真空弁は、第1ピストンと第2ピストンを個別に移動させることにより弁体のストロークを変更し、流量を段階的に制御することが可能である。
第2ピストンは、ストローク調整部材を第2ピストンの近くに配置するほど、単独で移動する距離が短くなる。つまり、真空弁は、ストローク調整部材が第2ピストンの近くに位置決め固定されるほど第2ピストンが主軸と一緒に移動する距離が長くなるため、弁体のストロークが大きくなる。一方、第2ピストンは、上蓋に当接すると移動を制限される。そのため、真空弁は、第2ピストンを上蓋に当接させた状態でストローク調整部材を第2ピストンに突き当たるまで調整ネジ部に締め付けてストローク調整部材を固定部材で固定した場合には、第2ピストンが単独で移動して上蓋に当接する。つまり、真空弁は、弁体のストロークがゼロになる。
真空弁は、部品の組立寸法が製品毎にばらついたり、環状シール部材の弾性変形量が異なっても、製品毎に、上蓋と第2ピストンの当接位置を一義的に定めることができる。そのため、真空弁は、製品組立後でも、第2ピストンを上蓋に当接させた状態で第2ピストンに突き当たるまでストローク調整部材を調整ネジ部に締め付けてストローク調整部材を固定部材で固定すれば、ストローク調整部材の原点位置を調整することが可能である。よって、本発明の真空弁によれば、製品組立後でもストローク調整部材の原点位置を簡単且つ正確に調整することができる。
本発明の真空弁は、第2ピストンを摺動可能に装填する第2ピストン室を形成する上蓋に貫通孔を形成し、その貫通孔にストローク調整部材が螺合する主軸を挿通している。そのため、本発明の真空弁は、第2ピストンが上蓋に当接して係止されるときの衝撃がストローク調整部材に伝達されず、ストローク調整部材が緩んで位置ずれすることがない。
本発明の真空弁は、第2ピストンが上蓋と広く面接触するため、真空弁は、第2ピストンが上蓋に当接する場合の衝撃が上蓋に広く分散され、上蓋やシリンダチューブの材料強度を上げる必要がない。よって、本発明の真空弁によれば、材料強度の低い材料をシリンダチューブや上蓋に適用して軽量化を図ると共に、コストダウンを図ることができる。
本発明の真空弁は、調整ネジ部のネジ径が主軸の径よりも小さくされているので、調整ネジ部のネジを小ピッチで形成できる。よって、本発明の真空弁は、ストローク調整部材の位置を調整ネジ部との間のネジ送りにより微小調整することができる。
次に、本発明に係る真空弁の一実施形態について図面を参照して説明する。
<真空弁の構成>
図1乃至図3は、真空弁1の実施形態を示した断面図であり、図1は、弁閉状態、図2は緩速排気状態、そして図3は急速排気状態を示す図である。図1乃至図3の何れも、ストローク調整部材38を最下点位置に配置している。また、図4は、図1に示す真空弁1の上面図である。
図1乃至図4に示す真空弁1は、従来技術と同様に半導体製造装置のチャンバと真空ポンプとの間に配設される。
図1乃至図3に示すように、真空弁1は、下方の弁部Xと上方の駆動部Yとから構成されている。真空弁1は、第1ピストン室24と第2ピストン室25内で第1ピストン26と第2ピストン27を個別に移動させることにより弁体7のストロークを変更し、流量を段階的に制御する。
図1乃至図3に示すように、弁部Xは、筒形状のバルブボディ2に設けられている。バルブボディ2は、図示しない真空ポンプに接続するポンプポート3が側方に突設され、図示しないチャンバに接続されるチャンバポート4が下方に突設されている。バルブボディ2は、チャンバポート4側の弁孔5の入口に、弁座6が平らな面で形成されている。バルブボディ2の内部には、弁体7が弁座6に当接・離間可能に配設されている。
弁体7は、弁体ブロック8と保持プレート9との間に形成されるアリ溝に環状シール部材10を配置したものであり、主軸11の下端部にナット12で固設されている。環状シール部材10は、ゴムや樹脂など弾性力を有する材料で環状に形成されている。弁体7を構成する弁体ブロック8には、ベローズ13の下端部が連結されている。ベローズ13の上端部は、弁部Xと駆動部Yの間に配置される環状の固定盤14に連結されている。よって、ベローズ13は、主軸11と弁体7の上下動に従って伸縮する。
一方、上方の駆動部Yは、図1乃至図3に示すように、シリンダチューブ20内に構成されている。シリンダチューブ20は、押し出し加工などにより成形されたアルミ等の金属製パイプを所定長に切断したものである。シリンダチューブ20は、底蓋21と上蓋22と仕切板(中間壁の一例)23を取り付けられて第1ピストン室24と第2ピストン室25とを形成され、その第1及び第2ピストン室24,25に第1ピストン26と第2ピストン27が摺動可能に装填されている。
図1乃至図3に示すように、シリンダチューブ20は、Cリング31が内周面に嵌合装着され、そのCリング31に突き当てるように仕切板23が上端開口部から嵌装されている。シリンダチューブ20は、Cリング32を装着するための環状溝が形成され、その環状溝の奥側に上蓋22を位置決めするための段差が設けられている。図1乃至図4に示すように、上蓋22は、シリンダチューブ20の段差とCリング32との間で軸方向にがたつかないように保持され、仕切板23との間に第2ピストン室25を形成している。
図1乃至図3に示すように、第2ピストン室25は、第2ピストン27により上室25Aと下室25Bとに区画されている。下室25Bには、シリンダチューブ20に開設した第2操作ポート33が連通孔34を介して連通している。一方、上室25Aは、上蓋22に形成された貫通孔22aを介して外気に連通している。第2ピストン27には、軸部27aが一端面から軸方向に延設されている。第2ピストン27は、その軸部27aが仕切板23の中心部に形成された保持孔23aに摺動可能に挿通され、第2操作ポート33から下室25Bに供給される圧縮エアの圧力により第2ピストン室25内を上昇する。
また、シリンダチューブ20は、下端開口部内周にCリング28を装着するための環状溝が形成され、その環状溝の奥側に底蓋21を位置決めするための段差が設けられている。底蓋21は、シリンダチューブ20の段差とCリング28との間で軸方向にがたつかないように保持され、仕切板23との間に第1ピストン室24を形成している。
第1ピストン室24には、第1ピストン26により上室24Aと下室24Bに気密に区画されている。下室24Bには、シリンダチューブ20に開設した第1操作ポート29が連通孔30を介して連通している。一方、上室24Aは、呼吸孔18を介して外気に連通している。第1ピストン26は、第1操作ポート29から下室24Bに供給される圧縮エアの圧力により第1ピストン室24内を上昇する。
このような駆動部Yは、図1乃至図3に示すように、シリンダチューブ20が固定盤14を介してバルブボディ2に同軸上に積み重ねられ、図4に示すように、上方から4本のボルト19でバルブボディ2に固定されている。これにより、固定盤14は、シリンダチューブ20とバルブボディ2との間で挟持され、ベローズ13を位置決め固定する。
底蓋21は、パイプ部21bが軸線方向に延設され、固定盤14からベローズ13の内部へパイプ部21bを突出させている。弁体7に連結する主軸11は、パイプ部21bに挿通され、バルブボディ2からシリンダチューブ20へ挿通されている。
主軸11は、第1ピストン26を位置決めするための段差11aが設けられ、その段差11aより上端部側に雄ねじ部11bが形成されている。そして、主軸11は、雄ねじ部11bより上側を、雄ねじ部11bより細くすることにより、調整ロッド部11cを構成している。主軸11は、調整ロッド部11cが第2ピストン27の貫通孔27bと上蓋22の貫通孔22aに隙間を空けて挿通され、上蓋22から突出している。調整ロッド部11cは、第2ピストン室25に配置される部分の外周面に調整ネジ部11dが形成されている。
第1ピストン26は、主軸11の上端部から段差11aに突き当てるように主軸11に嵌め合わされ、雄ねじ部11bにナット37を締め付けることにより、主軸11に固設されている。
主軸11は、調整ネジ部11dにストローク調整部材38が螺合している。ストローク調整部材38は、止めネジ39により主軸11に対して位置決め固定されている。主軸11は、調整ネジ部11dより上端側に抜け止め40が取り付けられている。ストローク調整部材38は、図1に示すように、第2ピストン27が仕切板23に当接する下限位置にある場合に、第2ピストン27に突き当てるまで調整ネジ部11dにねじ込まれた位置が、最下点位置になる。また、ストローク調整部材38は、抜け止め40により上方向の移動を制限される位置が、最上点位置になる。
底蓋21と弁体7との間には、復帰バネ41が縮設され、弁体7を弁座6方向へ常時付勢している。復帰バネ41は、ベローズ13に覆われ、パーティクルなどが流路内へ流出しないようにされている。
<動作説明>
このような構成からなる真空弁1では、以下のような作用によって真空排気が行われる。弁閉時、真空弁1は、図1に示すように弁体7の環状シール部材10が弁座6に当接し、弁孔5が遮断された状態にある。これは、弁体7が復帰バネ41の弾性力のみによって下方へと付勢されているからである。そして、チャンバポート4に接続された不図示の真空チャンバの真空排気を行う場合には、次のような緩速排気及び急速排気のための2段階による動作が行われる。
先ず、緩速排気を行うため、図2のドット部に示すように、真空弁1は第2操作ポート33から圧縮エアが第2ピストン室25の下室25Bへ供給される。そのため、第2ピストン27は、下方から加圧され、ストローク調整部材38を押し上げるようにして上昇する。そのため、主軸11は、復帰バネ41の下方への付勢力に抗して第2ピストン27に持ち上げられ、弁座6から離間する方向へ弁体7を引き上げる。一方、第2ピストン27は、主軸11を持ち上げた後、更に一定量上昇したところで上蓋22に当たり、その移動が制限される。そのため、主軸11及び弁体7の上昇も停止し、図2に示す位置、即ち緩速排気を行うのに適した弁開度の状態が維持される。
真空弁1は、図2に示す緩速排気の状態では弁開度が小さく、ポンプポート3とチャンバポート4との間を流れる流体は、弁座6と弁体7との隙間を通って流れ、その流量が制限されている。そのため、真空チャンバ内のガスは急激に流れることはなく、パーティクルを巻き上げることのないスロー排気が行われる。そして、真空チャンバ内の圧力が所定の値になったところで、続く急速排気が行われる。
急速排気を行う場合、図3のドット部に示すように、真空弁1には、第1操作ポート29から圧縮エアが第1ピストン室24の下室24Bへ供給される。そのため、第1ピストン26は下方から加圧され第1ピストン室24内を上昇する。このとき、主軸11は第1ピストン26に対して固定されているため、第1ピストン26の上昇に伴って上昇することとなる。従って、その主軸11に固定された弁体7は、復帰バネ41の付勢力に抗して上昇し、図3に示すように弁開度を大きくした状態で弁が開けられる。
真空弁1が図3に示す急速排気状態の場合には、弁開度が大きく、ポンプポート3とチャンバポート4との間を流れる流量が増し、真空チャンバ内に残るガスが急速に排気される。そして、真空チャンバ内のガスの排気が終了すれば、第1操作ポート29及び第2操作ポート33から圧縮エアが抜かれ、第1ピストン26及び第2ピストン27が、下方から押し上げられていた圧縮エアによる加圧力から解除される。そのため、弁体7、主軸11及び第1ピストン26並びに第2ピストン27は、復帰バネ41によって下方へ付勢され図1に示す状態へと戻される。即ち、下降した弁体7の環状シール部材10が弁座6に当接して弾性変形し、ポンプポート3とチャンバポート4とが遮断される。
<緩速排気時の流量調整方法>
ところで、緩速排気を行う場合、排気流量に応じて弁開度を調整することが必要である。この場合、真空弁1は、原点位置に配置したストローク調整部材38を所定方向に回転させることにより弁体7のストロークを調整し、緩速排気時の流量を目標流量に設定する。
図5は、図1に示す真空弁1のストローク調整部材38を原点位置に位置調整する方法を説明する図である。
真空弁1は、第2操作ポート33から下室25Bに圧縮エアを供給して第2ピストン27を上蓋22に当接させる。この状態で、ストローク調整部材38が第2ピストン27に突き当たるまでストローク調整部材38を調整ネジ部11dに締め付ける。そして、止めネジ39でストローク調整部材38を主軸11に対して位置決め固定する。第2ピストン27は、上蓋22に当接するとそれ以上上昇できない。そのため、上蓋22に当接する第2ピストン27にストローク調整部材38を突き当ててストローク調整部材38を位置決めした場合、第2ピストン27は、上蓋22に当接するまで単独で上昇し、弁体7を弁座6から持ち上げない。よって、ストローク調整部材38の弁閉時の原点位置が一義的に決定される。
そして、原点位置に配置したストローク調整部材38を所定方向に回転させて、ストローク調整部材38を下降させる。ストローク調整部材38が下降するほど、第2ピストン27が主軸11と一緒に上昇する移動量が増え、第2ピストン27が上蓋22に当接したときに弁体7が弁座6から持ち上げる量が大きくなる。すなわち、弁体7のストロークが大きくなる。よって、原点位置のストローク調整部材38を規定回数回転させて下降させることにより、流量を目標流量に設定するように弁体7のストロークを設定できる。
尚、真空弁1は、調整ネジ部11dのピッチを小さくしてストローク調整部材38の位置を微小調整できるようにすれば、緩速排気時の排気流量を微小流量に制御することができる。
<作用効果>
従って、本実施形態の真空弁1は、弁体7の環状シール部材10を弁座6との間で弾性変形させて弁座6に密着させ、ポンプポート3とチャンバポート4との間を遮断する。第2ピストン27は、ストローク調整部材38に当接する位置まで移動すると、主軸11と一体的に移動する。第2ピストン27は、上蓋22に当接すると、移動を制限される。弁体7は、ストローク調整部材38に当接してから上蓋22に当接するまでの距離だけ弁座6から持ち上げられ、チャンバポート4からポンプポート3へ流れる流体の流量を調整する。一方、真空弁1は、第1ピストン26が、移動開始と同時に主軸11と一体的に移動する。弁体7は、第1ピストン26の移動量だけ弁座6から持ち上げられ、チャンバポート4からポンプポート3へ流れる流体の流量を調整する。よって、真空弁1は、第1ピストン26と第2ピストン27を個別に移動させることにより弁体7のストロークを変更し、流量を段階的に制御する。
第2ピストン27は、ストローク調整部材38を第2ピストン27の近くに配置するほど、単独で移動する距離が短くなる。つまり、真空弁1は、ストローク調整部材38が第2ピストン27の近くに位置決め固定されるほど第2ピストン27が主軸11と一緒に移動する距離が長くなるため、弁体7のストロークが大きくなる。一方、第2ピストン27は、上蓋22に当接すると移動を制限される。そのため、真空弁1は、第2ピストン27を上蓋22に当接させた状態でストローク調整部材38を第2ピストン27に突き当たるまで調整ネジ部11dに締め付けてストローク調整部材38を止めネジ39で固定した場合には、第2ピストン27が単独で移動して上蓋22に当接する。つまり、真空弁1は、弁体7のストロークがゼロになる。
真空弁1は、部品の組立寸法が製品毎にばらついたり、環状シール部材10の弾性変形量が異なっても、製品毎に、上蓋22と第2ピストン27の当接位置を一義的に定めることができる。そのため、真空弁1は、製品組立後でも、第2ピストン27を上蓋22に当接させた状態で第2ピストン27に突き当たるまで調整ネジ部11dにストローク調整部材38を締め付けてストローク調整部材38を止めネジ39で固定すれば、ストローク調整部材の原点位置を調整することが可能である。よって、本実施形態の真空弁1によれば、製品組立後でもストローク調整部材38の原点位置を簡単且つ正確に調整することができる。
本実施形態の真空弁1は、第2ピストン27を摺動可能に装填する第2ピストン室25を形成する上蓋22に貫通孔22aを形成し、その貫通孔22aにストローク調整部材38が螺合する主軸11を挿通している。そのため、本実施形態の真空弁1は、第2ピストン27が上蓋22に当接して係止されるときの衝撃がストローク調整部材38に伝達されず、ストローク調整部材38が緩んで位置ずれすることがない。
本実施形態の真空弁1は、第2ピストン27が上蓋22と広く面接触するため、真空弁1は、第2ピストン27が上蓋22に当接する場合の衝撃が上蓋22に広く分散され、上蓋22やシリンダチューブ20の材料強度を上げる必要がない。よって、本実施形態の真空弁1によれば、材料強度の低い材料をシリンダチューブ20や上蓋22に適用して軽量化を図ると共に、コストダウンを図ることができる。
本実施形態の真空弁1は、調整ネジ部11dのネジ径が主軸11の径よりも小さくされているので、調整ネジ部11dのネジをより小ピッチで形成できる。よって、本実施形態の真空弁1は、ストローク調整部材38の位置を調整ネジ部11dとの間のネジ送りにより微小調整することができる。
なお、本発明は、前記実施の形態の真空弁に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、ピストン室24,25及びピストン26,27を2段にしたが、ピストン室及びピストンを3段以上にしても良い。
例えば、上記実施形態では、ストローク調整部材38を止めネジ39で位置決め固定した。これに対して、図6に示す真空弁1Aのように、主軸11Aの調整ネジ部11dの上方に固定ネジ45を取り付けるための取付ネジ部11eを設け、固定ネジ45でストローク調整部材38の位置決め固定を行っても良い。そして、上蓋11と第2ピストン27との間に圧縮バネ46を配置して、搬送時の振動を防止しても良い。
例えば、上記実施形態では、底蓋21と上蓋22をシリンダチューブ20に対してCリング28,32で固定したが、底蓋21と上蓋22をシリンダチューブ20にネジ止めしても良い。
例えば、上記実施形態では、シリンダチューブ20と別体の仕切板23を用いて第1ピストン室24と第2ピストン室25とを区画したが、円柱材の両端面から第1ピストン室24と第2ピストン室25とを削り出しで形成し、中間壁をシリンダチューブ20と一体に設けても良い。
本発明の実施形態に係る真空弁の断面図であって、ストローク調整部材を最下点位置に配置した場合の弁閉状態を示す。 図1に示す真空弁の断面図であって、ストローク調整部材を最下点位置に配置した場合の緩速排気状態を示す。 図1に示す真空弁の断面図であって、ストローク調整部材を最下点位置に配置した場合の急速排気状態を示す。 図1に示す真空弁の上面図である。 図1に示す真空弁のストローク調整部材を原点位置に位置調整する方法を説明する図である。 本発明の真空弁の変形例を示す図である。 従来の真空弁の断面図であって、弁閉状態を示す。 図7に示す真空弁の断面図であって、緩速排気状態を示す。 図7に示す真空弁の断面図であって、急速排気状態を示す。
符号の説明
1,1A 真空弁
3 ポンプポート
4 チャンバポート
6 弁座
7 弁体
10 環状シール部材
11 主軸
11d 調整ネジ部
20 シリンダチューブ
21 底蓋
22 上蓋
22a 貫通孔
23 仕切板(中間壁)
24 第1ピストン室
25 第2ピストン室
26 第1ピストン
27 第2ピストン
38 ストローク調整部材
39 止めネジ(固定部材)
45 固定ネジ(固定部材)

Claims (4)

  1. チャンバポートとポンプポートとの間に設けられたボディの弁座に、弁体に装着された環状シール部材を弾性変形させて密着させることにより、チャンバポートとポンプポートとの間を遮断するものであって、第1ピストンと第2ピストンがシリンダチューブに設けられた第1ピストン室と第2ピストン室とに摺動可能に配置され、前記弁体に連結される主軸が前記第1ピストンに固設されると共に前記第2ピストンに挿通され、前記第2ピストンを係止する係止部材を備えており、前記第1及び前記第2ピストンを個別に動作させることにより前記弁体のストロークを段階的に調整する真空弁において、
    前記主軸は、前記第2ピストン室に挿通される部分の外周面に調整ネジ部が形成され、
    前記係止部材は、前記調整ネジ部に螺合するストローク調整部材であり、
    前記ストローク調整部材を前記主軸に対して固定する固定部材を有する
    ことを特徴とする真空弁。
  2. 請求項1に記載する真空弁において、
    前記シリンダチューブは、
    両端が開口する円筒形状をなし、内部空間を中間壁で仕切られ、
    一方開口部に底蓋を取り付けて前記第1ピストン室を形成し、
    他方開口部に上蓋を取り付けて前記第2ピストン室を形成しており、
    前記上蓋は、前記ストローク調整部材が螺合する前記主軸を挿通される貫通孔を形成されている
    ことを特徴とする真空弁。
  3. 請求項1又は請求項2に記載する真空弁において、
    前記第2ピストンは、前記上蓋と面接触する
    ことを特徴とする真空弁。
  4. 請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載する真空弁において、
    前記調整ネジ部のネジ径が、前記主軸の径よりも小さい
    ことを特徴とする真空弁。
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