JP2010007063A - ポリオール置換誘導体の製造方法およびそれにより得られるポリオール置換誘導体 - Google Patents
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Abstract
【課題】溶剤溶解性に優れたポリオール置換誘導体を低コストで得ることが可能なポリオール置換誘導体の製造方法の提供。
【解決手段】ポリオール化合物を準備する準備工程と、前記ポリオール化合物の水酸基の一部を、炭素数3〜10のシアノアルキル基で置換するシアノアルキル化工程と、前記ポリオール化合物の残りの水酸基の一部または全部を、炭素数6〜18の脂肪酸エステル基で置換するエステル化工程とを有するポリオール置換誘導体の製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】ポリオール化合物を準備する準備工程と、前記ポリオール化合物の水酸基の一部を、炭素数3〜10のシアノアルキル基で置換するシアノアルキル化工程と、前記ポリオール化合物の残りの水酸基の一部または全部を、炭素数6〜18の脂肪酸エステル基で置換するエステル化工程とを有するポリオール置換誘導体の製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、ポリオール置換誘導体の製造方法およびそれにより得られるポリオール置換誘導体に関する。
従来から、澱粉等のポリオール化合物の機能を強化し、また新規な特性の導入によって、より高度に発展させたポリオール置換誘導体が知られている。例えば、同一澱粉分子の水酸基が、エステル基(アシル基)等で置換された澱粉置換誘導体が提案されている(特許文献1〜3)。この澱粉置換誘導体は、例えば、ビニルエステル化合物をエステル化試薬として用い、溶媒中で炭酸水素ナトリウム等のエステル化触媒を使用して澱粉と反応させることで製造される。この澱粉置換誘導体は、導入されたエステル基等により高い疎水性を示すため、原料澱粉よりもシクロヘキサノン、酢酸ブチル、酢酸エチル等の溶剤に溶解しやすい。しかしながら、この方法で溶剤溶解性に優れた澱粉置換誘導体を得るには、より高い疎水性を得るために、エステル化試薬として、高価な長鎖脂肪酸ビニルエステルが大量に必要であり、コストがかかる。
そこで、本発明は、溶剤溶解性に優れたポリオール置換誘導体を低コストで得ることが可能なポリオール置換誘導体の製造方法およびそれにより得られるポリオール置換誘導体を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明のポリオール置換誘導体の製造方法は、
ポリオール置換誘導体の製造方法であって、
ポリオール化合物を準備する準備工程と、
前記ポリオール化合物の水酸基の一部を、炭素数3〜10のシアノアルキル基で置換するシアノ化工程と、
前記ポリオール化合物の残りの水酸基の一部または全部を、炭素数6〜18の脂肪酸エステル基で置換するエステル化工程とを有することを特徴とする。
ポリオール置換誘導体の製造方法であって、
ポリオール化合物を準備する準備工程と、
前記ポリオール化合物の水酸基の一部を、炭素数3〜10のシアノアルキル基で置換するシアノ化工程と、
前記ポリオール化合物の残りの水酸基の一部または全部を、炭素数6〜18の脂肪酸エステル基で置換するエステル化工程とを有することを特徴とする。
本発明のポリオール置換誘導体は、前記本発明の製造方法により製造されたポリオール置換誘導体である。
本発明によれば、ポリオール化合物に、シアノアルキル基と脂肪酸エステル基とを導入することで、溶剤溶解性に優れたポリオール置換誘導体を得ることができる。ここで、前記シアノアルキル基は、例えば、アクリロニトリル等の安価なシアノ化試薬を用いて導入することが可能であるため、本発明によれば、低コストで溶剤溶解性に優れたポリオール置換誘導体を得ることができる。
本発明の製造方法において、前記シアノ化工程が、
前記ポリオール化合物に溶剤を添加することで、前記ポリオール化合物のスラリーを調製するスラリー化工程と、
前記スラリーにシアノ化試薬を添加することで、シアノ化反応を実施するシアノ化反応工程とを含む態様であってもよい。
前記ポリオール化合物に溶剤を添加することで、前記ポリオール化合物のスラリーを調製するスラリー化工程と、
前記スラリーにシアノ化試薬を添加することで、シアノ化反応を実施するシアノ化反応工程とを含む態様であってもよい。
本発明の製造方法では、前記シアノ化反応工程において、さらに、前記スラリーにアセトンを添加することが好ましい。これにより、着色の抑制されたポリオール置換誘導体を得ることができる。本発明者等は、前記シアノ化反応工程を、水、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)等の溶剤のみが存在する条件下で実施すると、得られるポリオール置換誘導体が褐色に着色することを突き止めた。この知見に基づき、本発明者等は、ポリオール置換誘導体の着色を抑制する方法について検討した。その結果、前記シアノ化反応工程において、さらに、前記スラリーにアセトンを添加することで、ポリオール置換誘導体の着色が抑制されることを見出した。この着色の抑制は、本発明者等が初めて見出したものである。この着色の抑制により、本発明のポリオール置換誘導体は、用途範囲が制限されず、例えば、塗料等、広い範囲に適用可能である。
本発明の製造方法において、前記シアノ化工程は、前記ポリオール化合物に、シアノ化試薬を添加することで、前記ポリオール化合物をスラリー化し、この状態で、シアノ化反応を実施する態様であってもよい。本態様によれば、前記シアノ化工程において、前記ポリオール化合物のスラリー化に溶剤を用いないことで、着色のより抑制されたポリオール置換誘導体を得ることができる。この着色の抑制も、本発明者等が初めて見出したものである。なお、本発明において、前記シアノ化試薬の添加量は、特に制限されない。本態様において、前記シアノ化試薬は、シアノ化反応に必要な量のみで前記ポリオール化合物をスラリー化できるのであれば、シアノ化反応に必要な量だけを添加すればよい。一方、シアノ化反応に必要な量のみでは前記ポリオール化合物をスラリー化できない場合には、シアノ化反応に必要な量を超えて、前記ポリオール化合物をスラリー化できるよう、前記シアノ化試薬の添加量を調整すればよい。
本発明の製造方法において、前記エステル化工程を、触媒無添加の条件下で実施することが好ましい。従来の炭酸水素ナトリウム等のエステル化触媒を用いる方法では、得られるポリオール置換誘導体が黄色く着色してしまうと共に、溶剤に溶解すると、前記エステル化触媒の残存により、溶液が白濁してしまうという問題があった。これに対し、本発明では、前記エステル化工程において、触媒無添加の条件下でもエステル化反応が進行するため、着色がより抑制され、溶剤に溶解しても白濁することなく透明な溶液となるポリオール置換誘導体を得ることが可能である。前記エステル化工程において、触媒無添加の条件下でもエステル化反応が進行するメカニズムは、例えば、つぎのように推測される。すなわち、本発明では、シアノ化工程で用いた触媒(例えば、水酸化ナトリウム、テトラメチルアンモニウムクロリド等)、アルカリ触媒の中和に用いた酸のナトリウム塩等の試薬が微量に残存し、これらがエステル化触媒として機能することで、エステル化反応が進行している場合がある。すなわち、本発明の製造方法では、前記シアノ化工程における残存試薬を、次工程のエステル化工程における触媒として用いてもよい。本発明は、この形態を含む。前記エステル化反応の進行メカニズムは、推測であり、本発明を何ら限定しない。なお、前記エステル化工程で、炭酸水素ナトリウム等の触媒を添加する場合においても、その量を減らすことで、得られるポリオール置換誘導体の着色およびそれを溶剤に溶解したときの溶液の白濁を、低減することが可能である。
本発明の製造方法では、前記エステル化工程において、エステル化試薬として、ビニルエステル化合物および脂肪酸クロライドの少なくとも一方を用いてもよい。特に、前記エステル化工程における溶媒としても、前記ビニルエステル化合物を用いれば、ビニルエステル化合物を多く用いることでコストが高くなる反面、他の溶媒を使用しなくてすむため、溶媒回収工程が不要となると共に、シアノアルキル基の脱離も抑制される。また、前記エステル化試薬として、安価な脂肪酸クロライドを用いれば、生産コストを抑えることができる。
本発明の製造方法において、前記シアノアルキル基は、シアノエチル基であることが好ましい。
本発明の製造方法では、前記準備工程において、前記ポリオール化合物として、重量平均分子量が、5,000〜1,000,000の範囲の多糖類を準備することが好ましい。重量平均分子量が前記範囲の多糖類を用いることで、溶剤溶解性により優れたポリオール置換誘導体を得ることができる。
本発明の製造方法では、前記ポリオール化合物として前記多糖類を用いた場合において、前記シアノ化工程後の前記シアノアルキル基への置換度が、前記多糖類の糖残基1個当たりの平均値で、0.5〜2.8の範囲であることが好ましく、より好ましくは、1.0〜2.5の範囲であり、さらに好ましくは、1.5〜2.5の範囲である。特に、例えば、前記シアノ化工程において、前記ポリオール化合物のスラリー化に溶剤を用いない態様において、前記シアノ化工程後の前記シアノアルキル基への置換度を2以上とすれば、着色のさらに抑制されたポリオール置換誘導体を得ることができる。この着色の抑制も、本発明者等が初めて見出したものである。
本発明の製造方法では、前記ポリオール化合物として前記多糖類を用いた場合において、前記エステル化工程後の前記シアノアルキル基への置換度が、前記多糖類の糖残基1個当たりの平均値で、0.5〜2.8の範囲であり、前記脂肪酸エステル基への置換度が、前記多糖類の糖残基1個当たりの平均値で、0.1〜1.5の範囲であり、前記シアノアルキル基への置換度と前記脂肪酸エステル基への置換度の合計が、前記多糖類の糖残基1個当たりの平均値で、1.0〜3の範囲であることが好ましい。
本発明の製造方法において、前記多糖類は、澱粉であることが好ましい。前記ポリオール化合物として、石油資源ではなく、植物由来(天然原料由来)の澱粉を用いることで、環境への負荷を少なくすることができる。
本発明のポリオール置換誘導体において、前記ポリオール置換誘導体0.5g(無水物換算)をシクロヘキサノン1.7mLに溶解した溶液のL*a*b*表色系のb*値は、絶対値が小さいほど好ましく、10以下であることが好ましい。前記b*値が10以下であれば、ポリオール置換誘導体の用途範囲が制限されず、例えば、塗料等、広い範囲に適用可能である。前記b*値は、より好ましくは、5以下であり、さらに好ましくは、3以下であり、最も好ましくは、0である。前記b*値は、負の値(0未満)であってもよい。なお、前記L*a*b*表色系は、1976年に国際照明委員会(CIE)で規格化されたもの(CIE1976(L*a*b*)表色系)である(JIS Z 8729参照)。
本発明のポリオール置換誘導体の用途は、特に制限されず、例えば、塗料、誘電体、分散型ELランプ、電子写真感光体、液晶表示素子、プラスチック加工品、接着剤、紙用コーティング剤等が挙げられる。
(1)ポリオール置換誘導体の製造方法の各工程
つぎに、本発明のポリオール置換誘導体の製造方法について、例を挙げて説明する。本発明の製造方法は、前述のとおり、準備工程と、シアノ化工程と、エステル化工程とを有する。
つぎに、本発明のポリオール置換誘導体の製造方法について、例を挙げて説明する。本発明の製造方法は、前述のとおり、準備工程と、シアノ化工程と、エステル化工程とを有する。
(1−1)準備工程
まず、ポリオール化合物を準備する。前記ポリオール化合物としては、例えば、少糖類、多糖類、ポリビニルアルコールおよびそれらの誘導体等が挙げられる。前記少糖類としては、例えば、サッカロース、ソルビトール、キシリトール等が挙げられる。前記多糖類としては、例えば、澱粉およびその誘導体、セルロースおよびその誘導体等が挙げられる。前記澱粉およびその誘導体としては、例えば、とうもろこし澱粉(コーンスターチ);小麦澱粉;じゃがいも澱粉;タピオカ澱粉;米澱粉;デキストリン;アミロース;アミロペクチン;プルラン;ハイアミロースコーンスターチ;ヒドロキシプロピル澱粉等のヒドロキシアルキル澱粉;ジヒドロキシプロピル澱粉等のジヒドロキシアルキル澱粉;ジヒドロキシプロピルプルラン等のジヒドロキシアルキルプルラン等が挙げられる。前記セルロースおよびその誘導体としては、再生セルロース;粉末セルロース;微結晶セルロース;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のヒドロキシアルキルセルロース;ジヒドロキシプロピルセルロース等のジヒドロキシアルキルセルロース等が挙げられる。これらの中でも、多糖類およびその誘導体が好ましく、特に好ましくは、澱粉およびその誘導体である。なお、前記ポリオール化合物として、ハイアミロースコーンスターチを用いれば、通常のコーンスターチと比べて分岐が少ないため、高強度のポリオール置換誘導体を得ることができる。前記ポリオール化合物は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
まず、ポリオール化合物を準備する。前記ポリオール化合物としては、例えば、少糖類、多糖類、ポリビニルアルコールおよびそれらの誘導体等が挙げられる。前記少糖類としては、例えば、サッカロース、ソルビトール、キシリトール等が挙げられる。前記多糖類としては、例えば、澱粉およびその誘導体、セルロースおよびその誘導体等が挙げられる。前記澱粉およびその誘導体としては、例えば、とうもろこし澱粉(コーンスターチ);小麦澱粉;じゃがいも澱粉;タピオカ澱粉;米澱粉;デキストリン;アミロース;アミロペクチン;プルラン;ハイアミロースコーンスターチ;ヒドロキシプロピル澱粉等のヒドロキシアルキル澱粉;ジヒドロキシプロピル澱粉等のジヒドロキシアルキル澱粉;ジヒドロキシプロピルプルラン等のジヒドロキシアルキルプルラン等が挙げられる。前記セルロースおよびその誘導体としては、再生セルロース;粉末セルロース;微結晶セルロース;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のヒドロキシアルキルセルロース;ジヒドロキシプロピルセルロース等のジヒドロキシアルキルセルロース等が挙げられる。これらの中でも、多糖類およびその誘導体が好ましく、特に好ましくは、澱粉およびその誘導体である。なお、前記ポリオール化合物として、ハイアミロースコーンスターチを用いれば、通常のコーンスターチと比べて分岐が少ないため、高強度のポリオール置換誘導体を得ることができる。前記ポリオール化合物は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
前述のとおり、本工程において、前記ポリオール化合物として、重量平均分子量が5,000〜1,000,000の範囲の多糖類を準備することが好ましい。重量平均分子量が前記範囲の多糖類を用いることで、溶剤溶解性により優れたポリオール置換誘導体を得ることができる。前記重量平均分子量は、より好ましくは、7,000〜700,000の範囲であり、さらに好ましくは、10,000〜200,000の範囲である。前記重量平均分子量は、例えば、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフ(GPC)法により測定することができる。
前記重量平均分子量の調整方法としては、例えば、酸加水分解、酸化分解、酵素分解等の従来公知の方法を採用できる。
前記ポリオール化合物として、前記多糖類以外のものを用いる場合において、その重量平均分子量は、例えば、前記多糖類の場合と同様とすればよい。
(1−2)シアノ化工程
つぎに、前記ポリオール化合物の水酸基の一部を、炭素数3〜10のシアノアルキル基で置換する。前記シアノアルキル基としては、例えば、2−シアノエチル基、2−シアノプロピル基、2−シアノブチル基、2−シアノ−3−メトキシプロピル基、2−シアノ−3−クロロプロピル基、2−シアノ−3−エトキシプロピル基、2−シアノ−3−ブトキシプロピル基、2−シアノ−3−フェノキシプロピル基等が挙げられる。
つぎに、前記ポリオール化合物の水酸基の一部を、炭素数3〜10のシアノアルキル基で置換する。前記シアノアルキル基としては、例えば、2−シアノエチル基、2−シアノプロピル基、2−シアノブチル基、2−シアノ−3−メトキシプロピル基、2−シアノ−3−クロロプロピル基、2−シアノ−3−エトキシプロピル基、2−シアノ−3−ブトキシプロピル基、2−シアノ−3−フェノキシプロピル基等が挙げられる。
つぎに、前記ポリオール化合物の水酸基の一部を、前記シアノアルキル基で置換する方法について、例を挙げて説明する。
前記ポリオール化合物の水酸基の一部を、前記シアノアルキル基で置換する第1の方法は、溶剤として、水を用いて前記ポリオール化合物をスラリー化する方法である。具体的には、まず、アルカリ触媒を、水に溶解する。ついで、前記アルカリ水溶液に前記ポリオール化合物を加え懸濁し、前記ポリオール化合物のスラリーを調製する。前記水の添加量は、特に制限されないが、前記ポリオール化合物に対し、例えば、100〜1000重量%の範囲であり、好ましくは、150〜800重量%の範囲であり、より好ましくは、200〜500重量%の範囲である。
この第1の方法においては、前記ポリオール化合物を前記アルカリ水溶液でスラリー化する前に、前記ポリオール化合物に、前記アルカリ触媒とは別の触媒を含浸させておいてもよい。前記別の触媒としては、例えば、テトラメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。
前記別の触媒の添加量は、特に制限されない。前記ポリオール化合物に対する前記別の触媒の添加量は、例えば、0.05〜10重量%の範囲であり、好ましくは、0.1〜5重量%の範囲であり、より好ましくは、0.2〜3重量%の範囲である。前記ポリオール化合物として前記多糖類を用いた場合において、前記別の触媒の添加量は、前記多糖類の糖残基1モルに対して、例えば、0.001〜0.2モルの範囲であり、好ましくは、0.002〜0.1モルの範囲であり、より好ましくは、0.004〜0.06モルの範囲である。
前記ポリオール化合物に前記別の触媒を含浸させる方法も、特に制限されず、例えば、前記別の触媒を少量の水に溶解し、これを前記ポリオール化合物に添加し、混合して均一に含浸させればよい。
前記アルカリ触媒としては、例えば、水酸化物、アルコラート、塩類、金属ナトリウム等を用いることができる。前記水酸化物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。前記アルコラートとしては、例えば、ナトリウムアルコラート等が挙げられる。前記塩類としては、例えば、炭酸ナトリウム、水酸化アンモニウム塩等が挙げられる。前記アルカリ触媒は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
前記アルカリ触媒の添加量は、特に制限されない。前記ポリオール化合物に対する前記アルカリ触媒の添加量は、例えば、0.5〜30重量%の範囲であり、好ましくは、1〜20重量%の範囲であり、より好ましくは、2〜15重量%の範囲である。前記ポリオール化合物として前記多糖類を用いた場合において、前記アルカリ触媒の添加量は、前記多糖類の糖残基1モルに対して、例えば、0.02〜1.2モルの範囲であり、好ましくは、0.04〜0.8モルの範囲であり、より好ましくは、0.1〜0.6モルの範囲である。
つぎに、加圧ニーダーで撹拌しながら、前記スラリーにシアノ化試薬を添加し、前記ポリオール化合物と前記シアノ化試薬とを反応させる。前記シアノ化試薬としては、例えば、アクリロニトリル、α−メチルアクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリル、α−メトキシメチルアクリロニトリル、α−クロロメチルアクリロニトリル、α−エトキシメチルアクリロニトリル、α−ブトキシメチルアクリロニトリル、α−フェノキシメチルアクリロニトリル等が挙げられる。前記シアノ化試薬は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。前記シアノ化試薬の添加量は、前記ポリオール化合物に対し、例えば、20〜2000重量%の範囲であり、好ましくは、50〜1500重量%の範囲であり、より好ましくは、80〜1000重量%の範囲である。シアノ化反応温度は、特に制限されず、例えば、10〜50℃の範囲であり、好ましくは、15〜40℃の範囲であり、より好ましくは、20〜35℃の範囲である。シアノ化反応時間は、前記シアノ化反応温度および所望のシアノアルキル基への置換度等に応じて適宜決定すればよい。
つぎに、得られたサンプルをエタノール溶液または水に流し込み、生成物を回収する。回収した生成物は、さらにエタノール溶液または水でよく洗浄し、ミキサーで微粉砕した後、乾燥させる。乾燥方法は、特に限定されないが、真空条件下での乾燥であれば試薬の残留が少なく好ましい。
前記ポリオール化合物の水酸基の一部を、前記シアノアルキル基で置換する第2の方法は、溶剤として、DMAcを用いて前記ポリオール化合物をスラリー化する方法である。具体的には、まず、前記ポリオール化合物にDMAcを添加して、前記ポリオール化合物のスラリーを調製する。前記DMAcの添加量は、特に制限されないが、前記ポリオール化合物に対し、例えば、100〜1000重量%の範囲であり、好ましくは、150〜800重量%の範囲であり、より好ましくは、200〜500重量%の範囲である。
この第2の方法においては、前記ポリオール化合物をDMAcでスラリー化する前に、前記ポリオール化合物に、後述のアルカリ触媒とは別の触媒を含浸させておいてもよい。前記別の触媒の種類、添加量および前記ポリオール化合物への含浸方法は、前記第1の方法と同様である。
つぎに、前記スラリーにアルカリ触媒を添加して、前記ポリオール化合物と前記シアノ化試薬とを反応させる。前記アルカリ触媒の種類および添加量、前記シアノ化試薬の種類および添加量、シアノ化反応温度、シアノ化反応時間は、前記第1の方法と同様である。
つぎに、前記シアノ化反応液に、前記アルカリ触媒と等モルの酸を添加して撹拌することで、反応を停止する。前記酸としては、例えば、酢酸、ギ酸、炭酸、燐酸、クエン酸等が挙げられる。前記酸は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。ついで、前記シアノ化反応液をエタノール溶液または水に流し込み、生成物を回収する。回収した生成物は、さらにエタノール溶液または水でよく洗浄し、ミキサーで微粉砕した後、乾燥させる。乾燥方法は、特に限定されないが、真空条件下での乾燥であれば試薬の残留が少なく好ましい。
前記ポリオール化合物の水酸基の一部を、前記シアノアルキル基で置換する第3の方法は、溶剤として、水を用いて前記ポリオール化合物をスラリー化した後、アセトンを添加する方法である。具体的には、まず、アルカリ触媒を、水に溶解する。ついで、前記アルカリ水溶液に前記ポリオール化合物およびアセトンを加え懸濁し、スラリーを調製する。前記水の添加量は、特に制限されないが、前記ポリオール化合物に対し、例えば、100〜1000重量%の範囲であり、好ましくは、150〜800重量%の範囲であり、より好ましくは、200〜500重量%の範囲である。前記アセトンの添加量も、特に制限されないが、前記ポリオール化合物に対し、例えば、100〜1000重量%の範囲であり、好ましくは、150〜800重量%の範囲であり、より好ましくは、200〜500重量%の範囲である。これら以外は、この第3の方法は、前記第1の方法と同様である。
前記ポリオール化合物の水酸基の一部を、前記シアノアルキル基で置換する第4の方法は、前記ポリオール化合物のスラリー化に溶剤を用いない方法である。具体的には、まず、前記ポリオール化合物に、シアノ化試薬を添加することで、前記ポリオール化合物のスラリーを調製する。前記シアノ化試薬の添加量は、前述のとおりである。これら以外は、この第4の方法は、前記第2の方法と同様である。
前記ポリオール化合物の水酸基の一部を、前記シアノアルキル基で置換する方法は、前記第1〜第4の方法に限定されず、いかなる方法であってもよい。
(1−3)エステル化工程
つぎに、前記ポリオール化合物の水酸基の残りの一部または全部を、炭素数6〜18の脂肪酸エステル基で置換する。前記脂肪酸エステル基としては、例えば、カプロン酸エステル基、カプリル酸エステル基、オクチル酸エステル基、カプリン酸エステル基、ラウリン酸エステル基、パルミチン酸エステル基、ステアリン酸エステル基、オレイン酸エステル基等が挙げられる。
つぎに、前記ポリオール化合物の水酸基の残りの一部または全部を、炭素数6〜18の脂肪酸エステル基で置換する。前記脂肪酸エステル基としては、例えば、カプロン酸エステル基、カプリル酸エステル基、オクチル酸エステル基、カプリン酸エステル基、ラウリン酸エステル基、パルミチン酸エステル基、ステアリン酸エステル基、オレイン酸エステル基等が挙げられる。
つぎに、前記ポリオール化合物の水酸基の残りの一部または全部を、前記脂肪酸エステル基で置換する方法について、例を挙げて説明する。
前記ポリオール化合物の水酸基の残りの一部または全部を、前記脂肪酸エステル基で置換する第1の方法は、エステル化試薬として、脂肪酸クロライドを用いる方法である。具体的には、前記シアノ化工程で得られた前記シアノアルキル基が導入されたポリオール化合物(以下、シアノアルキル化物という)を溶剤に分散あるいは溶解した後、塩酸捕捉剤の存在下に、炭素数6〜18の脂肪酸基を有するエステル化試薬を添加し反応させる。この第1の方法に用い得るエステル化試薬としては、例えば、塩化ラウロイル、塩化パルミトイル、塩化ステアロイル等が挙げられる。前記エステル化試薬は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。前記溶剤としては、例えば、アセトン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、メチルエチルケトン(MEK)、DMAc、ピリジン等が挙げられる。前記溶剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。前記塩酸捕捉剤としては、例えば、ピリジン、トリエチルアミン等の塩基性有機溶剤等を用いることができる。前記塩酸捕捉剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。この第1の方法では、エステル化反応温度を、100℃以下とすることが好ましい。エステル化反応時間は、前記エステル化反応温度および所望の脂肪酸エステル基への置換度等に応じて適宜決定すればよい。
前記ポリオール化合物の水酸基の残りの一部または全部を、前記脂肪酸エステル基で置換する第2の方法は、エステル化試薬として、ビニルエステル化合物を用いる方法である。具体的には、まず、前記シアノアルキル化物を、溶媒に溶解する。前記溶媒としては、例えば、前記ビニルエステル化合物、DMAc、DMSO、DMF、ピリジン、酢酸エチル、アセトン等を用いることができる。前記溶媒は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。前記溶媒として、前記ビニルエステル化合物を用いることが、溶媒回収工程が不要となるため、好ましい。
つぎに、前記溶液にエステル化試薬を添加し、反応させる。この第2の方法に用い得るエステル化試薬としては、例えば、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、オクチル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、オレイン酸ビニル等が挙げられる。
この第2の方法において、エステル化反応温度は、30〜200℃の範囲であることが好ましく、より好ましくは、60〜150℃の範囲である。エステル化反応時間は、前記エステル化反応温度および所望の脂肪酸エステル基への置換度等に応じて適宜決定すればよい。
つぎに、前記反応液を大量の水に懸濁することで生成物を析出させ、前記生成物をミキサーで粉砕してヌッチェで回収し乾燥させる。乾燥方法は、特に限定されないが、真空条件下での乾燥であれば試薬の残留が少なく好ましい。
前記ポリオール化合物の水酸基の残りの一部または全部を、前記脂肪酸エステル基で置換する第3の方法は、エステル化試薬として、アルキルケテンダイマー(AKD)を用いる方法である。前記AKDとしては、例えば、下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。前記AKDは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これ以外は、この第3の方法は、前記第2の方法と同様である。
前記ポリオール化合物の水酸基の残りの一部または全部を、前記脂肪酸エステル基で置換する第4の方法は、エステル化試薬として、アルケニル無水コハク酸(ASA)を用いる方法である。これ以外は、この第4の方法は、前記第2の方法と同様である。
本工程において、前記シアノアルキル化物に対する前記エステル化試薬の添加量は、例えば、1〜500重量%の範囲であり、好ましくは、5〜300重量%の範囲であり、より好ましくは、10〜200重量%の範囲である。前記ポリオール化合物として前記多糖類を用いた場合において、前記エステル化試薬の添加量は、前記多糖類の糖残基1モルに対して、例えば、0.1〜5モルの範囲であり、好ましくは、0.2〜3モルの範囲であり、より好ましくは、0.3〜2モルの範囲である。
前述のとおり、本発明の製造方法において、本工程を、触媒無添加の条件下で実施することが好ましい。これにより、着色がより抑制され、溶剤に溶解しても白濁することなく透明な溶液となるポリオール置換誘導体を得ることができる。ただし、本発明の製造方法は、これに限定されず、本工程を、触媒を添加して実施してもよい。前記触媒としては、例えば、周期表中第5周期までに属する金属の水酸化物、鉱酸塩、炭酸塩、有機化合物若しくはアルカリ金属アルコキシド;有機物層間転移触媒;アミノ化合物等が挙げられる。前記周期表中第5周期までに属する金属の水酸化物、鉱酸塩、炭酸塩、有機化合物若しくはアルカリ金属アルコキシドとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物;酢酸ナトリウム、p−トルエンスルホン酸ナトリウム等のアルカリ金属有機酸塩;水酸化バリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物;酢酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム、p−トルエンスルホン酸バリウム等のアルカリ土類金属有機酸塩;リン酸ナトリウム、リン酸カルシウム、亜硫酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、硫酸カリウム、アルミン酸ナトリウム、亜鉛酸カリウム等の無機酸塩;水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛等の両性金属水酸化物等が挙げられる。前記有機物層間転移触媒としては、例えば、N−トリメチル−N−プロピルアンモニウムクロリド、N−テトラエチルアンモニウムクロリド等の第4級アンモニウム化合物等が挙げられる。前記アミノ化合物としては、例えば、ジメチルアミノピリジン、ジエチルアミノ酢酸等が挙げられる。これらの中でも、反応効率およびコスト等の観点から、前記周期表中第5周期までに属する金属の水酸化物、鉱酸塩、炭酸塩、有機化合物若しくはアルカリ金属アルコキシドが、特に好ましい。前記触媒は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。前記触媒を用いる場合において、前記触媒を添加するタイミングおよび方法は、特に制限されない。
前記ポリオール化合物の水酸基の残りの一部または全部を、前記脂肪酸エステル基で置換する方法は、前記第1〜第4の方法に限定されず、例えば、前記エステル化試薬として、前記脂肪酸クロライド以外のハロゲン化脂肪酸を用いる方法、脂肪酸無水物を用いる方法等、いかなる方法であってもよい。
前記ポリオール化合物として前記多糖類を用いた場合において、前記エステル化工程後の前記シアノアルキル基への置換度が、前記多糖類の糖残基1個当たりの平均値で、0.5〜2.8の範囲であり、前記脂肪酸エステル基への置換度が、前記多糖類の糖残基1個当たりの平均値で、0.1〜1.5の範囲であり、前記シアノアルキル基への置換度と前記脂肪酸エステル基への置換度の合計(合計置換度)が、前記多糖類の糖残基1個当たりの平均値で、1.0〜3の範囲であることが好ましい。より好ましくは、前記エステル化工程後の前記シアノアルキル基への置換度が、前記多糖類の糖残基1個当たりの平均値で、1.0〜2.5の範囲であり、前記脂肪酸エステル基への置換度が、前記多糖類の糖残基1個当たりの平均値で、0.2〜1.0の範囲であり、前記合計置換度が、前記多糖類の糖残基1個当たりの平均値で、1.5〜3の範囲であることであり、さらに好ましくは、前記エステル化工程後の前記シアノアルキル基への置換度が、前記多糖類の糖残基1個当たりの平均値で、1.5〜2.5の範囲であり、前記脂肪酸エステル基への置換度が、前記多糖類の糖残基1個当たりの平均値で、0.3〜0.8の範囲であり、前記合計置換度が、前記多糖類の糖残基1個当たりの平均値で、1.7〜3の範囲であることである。
(2)ポリオール置換誘導体
つぎに、本発明のポリオール置換誘導体について、前記ポリオール化合物がアミロースである場合を例にとり、説明する。本例のポリオール置換誘導体は、下記一般式(2)で示される。
前記一般式(2)において、R1、R2およびR3は、水素原子、炭素数3〜10のシアノアルキル基、炭素数6〜18の脂肪酸エステル基のいずれかである。前記合計置換度が3である場合においては、R1、R2およびR3は、前記シアノアルキル基および前記脂肪酸エステル基のいずれかである。
つぎに、本発明のポリオール置換誘導体について、前記ポリオール化合物がアミロースである場合を例にとり、説明する。本例のポリオール置換誘導体は、下記一般式(2)で示される。
本発明のポリオール置換誘導体の重量平均分子量は、前記本発明の製造方法の前記準備工程における前記ポリオール化合物の重量平均分子量、前記エステル化工程後のシアノアルキル基への置換度および脂肪酸エステル基への置換度に応じて決定されるが、例えば、6,000〜1,000,000の範囲であり、好ましくは、8,000〜700,000の範囲であり、より好ましくは、11,000〜200,000の範囲である。
(3)用途
前述のとおり、本発明のポリオール置換誘導体の用途は、特に制限されず、例えば、塗料、誘電体、分散型ELランプ、電子写真感光体、液晶表示素子、プラスチック加工品、接着剤、紙用コーティング剤等が挙げられる。
前述のとおり、本発明のポリオール置換誘導体の用途は、特に制限されず、例えば、塗料、誘電体、分散型ELランプ、電子写真感光体、液晶表示素子、プラスチック加工品、接着剤、紙用コーティング剤等が挙げられる。
(3−1)塗料
つぎに、本発明のポリオール置換誘導体を用いた塗料について、例を挙げて説明する。前記塗料は、例えば、本発明のポリオール置換誘導体および硬化剤を含む。塗料用途においては、前記本発明のポリオール置換誘導体が多糖類置換誘導体であって、前記シアノアルキル基への置換度が、前記多糖類の糖残基1個当たりの平均値で、1.5〜2.8の範囲であり、前記脂肪酸エステル基への置換度が、前記多糖類の糖残基1個当たりの平均値で、0.2〜1.0の範囲であり、前記合計置換度が、前記多糖類の糖残基1個当たりの平均値で、1.7以上3未満の範囲であることが好ましい。
つぎに、本発明のポリオール置換誘導体を用いた塗料について、例を挙げて説明する。前記塗料は、例えば、本発明のポリオール置換誘導体および硬化剤を含む。塗料用途においては、前記本発明のポリオール置換誘導体が多糖類置換誘導体であって、前記シアノアルキル基への置換度が、前記多糖類の糖残基1個当たりの平均値で、1.5〜2.8の範囲であり、前記脂肪酸エステル基への置換度が、前記多糖類の糖残基1個当たりの平均値で、0.2〜1.0の範囲であり、前記合計置換度が、前記多糖類の糖残基1個当たりの平均値で、1.7以上3未満の範囲であることが好ましい。
前記硬化剤は、前記本発明のポリオール置換誘導体の残存水酸基と相補的に反応する官能基(例えば、イソシアネート基、酸無水基、酸基、アミノ基、アミド基、イミノ基等)を有するものであれば、特に制限されず、例えば、イソシアネート化合物、アミノ樹脂等を用いることができる。
前記イソシアネート化合物は、フリーのイソシアネート基を有するイソシアネート化合物であってもよいし、ブロックされたイソシアネート基を有するイソシアネート化合物であってもよい。前記フリーのイソシアネート基を有するイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類;キシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の環状脂肪族ジイソシアネート類;トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類;これらの誘導体および重合体等が挙げられる。前記フリーのイソシアネート基を有するイソシアネート化合物としては、例えば、市販品を用いてもよい。前記市販品としては、例えば、大日本インキ化学工業(株)製の商品名「バーノックD−750、−800、DN−950、−970、15−455」、バイエル社製の商品名「ディスモジュールL、N、HL、N3390」、武田薬品工業(株)製の商品名「タケネートD−102、−202、−110、−123N」、日本ポリウレタン工業(株)製の商品名「コロネートEH、L、HL、203」、旭化成(株)製の商品名「デュラネート24A−90CX」等が挙げられる。前記ブロックされたイソシアネート基を有するイソシアネート化合物としては、例えば、前記フリーのイソシアネート基を有するイソシアネート化合物を、オキシム、フェノール、アルコール、ラクタム、マロン酸エステル、メルカプタン等の従来公知のブロック化剤でブロックしたものが挙げられる。前記ブロックされたイソシアネート基を有するイソシアネート化合物としては、例えば、市販品を用いてもよい。前記市販品としては、例えば、大日本インキ化学工業(株)製の商品名「バーノックD−550」、武田薬品工業(株)製の商品名「タケネートB−815−N」、ヘキスト社製の商品名「アディトールVXL−80」、日本ポリウレタン工業(株)製の商品名「コロネート2507」等が挙げられる。
前記アミノ樹脂としては、例えば、メラミン、ベンゾグアナミン、尿素、ジシアンジアミド等と、ホルムアルデヒドとの縮合または共縮合によって得られるものが挙げられる。
前記硬化剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
前記硬化剤の配合割合は、特に制限されず、例えば、前記本発明のポリオール置換誘導体における残存水酸基1個あたり、硬化剤中の官能基が平均0.001〜2個の範囲であり、好ましくは、平均0.01〜1.5個の範囲である。
前記塗料は、必要に応じて、さらに、従来公知の着色剤を含んでもよい。前記着色剤としては、例えば、有機顔料、天然色素、無機顔料等が挙げられる。
前記有機顔料としては、例えば、赤色202号(リソールルビンBCA)、赤色203号(レーキレッドC)、赤色204号(レーキレッドCBA)、赤色205号(リソールレッド)、赤色206号(リソールレッドCA)、赤色207号(リソールレッドBA)、赤色208号(リソールレッドSR)、赤色219号(ブリリアントレーキレッドR)、赤色220号(ディープマルーン)、赤色221号(トルイジンレッド)、赤色228号(パーマトンレッド)、だいだい色203号(パーマネントオレンジ)、だいだい色204号(ペンチジンオレンジG)、黄色205号(ペンチジンイエローG)、赤色404号(ブリリアントファストスカーレット)、赤色405号(パーマネントレッドF5R)、だいだい色401号(ハンザオレンジ)、黄色401号(ハンザイエロー)、青色404号(フタロシアニンブルー)等が挙げられる。
前記天然色素としては、例えば、カルチノイド系色素、フラボノイド系色素、フラビン系色素、キノン系色素、ポルフィリン系色素、ジケトン系色素、ベタシアニジン系色素等が挙げられる。前記カルチノイド系色素としては、例えば、カロチン、カロチナール、カプサンチン、リコピン、ビキシン、クロシン、カンタキサンチン、アナトー等が挙げられる。前記フラボノイド系色素としては、例えば、シソニン、ラファニン、エノシアニン等のアントシアニジン類;サフロールイエロー、ベニバナ等のカルコン類;ルチン、クエルセチン等のフラボノール類;カカオ色素等のフラボン類等が挙げられる。前記フラビン系色素としては、例えば、リボフラビン等が挙げられる。前記キノン系色素としては、例えば、ラッカイン酸、カルミン酸(コチニール)、ケルメス酸、アリザリン等のアントラキノン類;シコニン、アルカニン、エキノクローム等のナフトキノン類等が挙げられる。前記ポルフィリン系色素としては、例えば、クロロフィル、血色素等が挙げられる。前記ジケトン系色素としては、例えば、クルクミン(ターメリック)等が挙げられる。前記ベタシアニジン系色素としては、例えば、ベタニン等が挙げられる。
前記無機顔料としては、例えば、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、タルク、カオリン、ベントナイト、マイカ、雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸マグネシウム、重質炭酸マグネシウム、黄酸化鉄、ベンガラ、黒酸化鉄、グンジョウ、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、カラミン等が挙げられる。
前記着色剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
前記着色剤の配合割合は、特に制限されないが、例えば、前記本発明のポリオール置換誘導体100重量部に対して、0.001〜400重量部の範囲であり、好ましくは、0.01〜200重量部の範囲である。
前記塗料は、必要に応じて、さらに、従来公知の添加剤を含んでもよい。前記添加剤としては、例えば、体質顔料、メタリック顔料、着色パール顔料、流動性調整剤、ハジキ防止剤、垂れ止め防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、紫外線安定剤、艶消し剤、艶出し剤、防腐剤、硬化促進剤、硬化触媒、擦り傷防止剤、消泡剤、ブロック剤等が挙げられる。
前記塗料は、例えば、前記本発明のポリオール置換誘導体および前記硬化剤と、必要に応じて前記着色剤等の他の添加成分とを、溶剤に溶解若しくは分散して、液状で使用することができる。前記溶剤としては、例えば、脂肪族系溶剤、芳香族系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤等が挙げられる。前記溶剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。前記液状の塗料は、例えば、ローラー塗装、刷毛塗装、浸漬塗装、スプレー塗装(例えば、非静電塗装、静電塗装等)、カーテンフロー塗装等により塗装することができる。
前記塗料は、固形状の粉体塗料として使用することも可能である。前記粉体塗料として使用する場合には、数平均粒子径が、1〜150μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは、2〜100μmの範囲である。粉体塗装方法としては、流動浸漬塗装、静電粉体塗装、コロナ、摩擦帯電塗装等が挙げられる。
前記塗料は、例えば、熱風乾燥機、赤外乾燥機、遠赤外乾燥機等を用いて熱硬化させることができる。塗膜の厚みは、特に制限されないが、例えば、1〜200μmの範囲であり、好ましくは、2〜150μmの範囲である。
前記塗料が塗装される被塗物としては、特に制限されないが、例えば、プラスチック、金属、ガラス、陶器、木材、植物、岩、砂等が挙げられる。
なお、前記本発明のポリオール置換誘導体が導電性を示すことから、前記塗料は、導電性塗料として用いることも可能である。
(3−2)誘電体
つぎに、本発明のポリオール置換誘導体を用いた誘電体について、例を挙げて説明する。前記誘電体は、本発明のポリオール置換誘導体を含む。前記誘電体は、高い誘電率を示すとともに、疎水性が高く、低吸湿の前記本発明のポリオール置換誘導体を用いているため、誘電特性の経時劣化が少ない。
つぎに、本発明のポリオール置換誘導体を用いた誘電体について、例を挙げて説明する。前記誘電体は、本発明のポリオール置換誘導体を含む。前記誘電体は、高い誘電率を示すとともに、疎水性が高く、低吸湿の前記本発明のポリオール置換誘導体を用いているため、誘電特性の経時劣化が少ない。
前記誘電体は、例えば、分散型EL発光素子やコンデンサ等の電気・電子部品に有用である。前記コンデンサの製造方法は、例えば、つぎのとおりである。すなわち、まず、前記本発明のポリオール置換誘導体を、DMF等の溶剤に溶解し、アルミニウムシート上にキャスティングした後、100℃で2時間乾燥し、ついで、さらに、120℃で2時間乾燥する。このようにして、厚み約50μmのフィルムを作成した後、このフィルムの表面にアルミニウムを蒸着し、コンデンサを得る。前記コンデンサの製造方法は、前記誘導体の製造方法の一例にすぎない。前記誘電体は、いかなる方法で製造されてもよい。
(3−3)分散型ELランプ
つぎに、本発明のポリオール置換誘導体を用いた分散型ELランプについて、例を挙げて説明する。前記分散型ELランプは、例えば、電極間に設けられる発光層および絶縁反射層のバインダー材料として、本発明のポリオール置換誘導体が用いられたものである。前記分散型ELランプは、疎水性が高く、低吸湿の前記本発明のポリオール置換誘導体を用いているため、発光寿命が長い。
つぎに、本発明のポリオール置換誘導体を用いた分散型ELランプについて、例を挙げて説明する。前記分散型ELランプは、例えば、電極間に設けられる発光層および絶縁反射層のバインダー材料として、本発明のポリオール置換誘導体が用いられたものである。前記分散型ELランプは、疎水性が高く、低吸湿の前記本発明のポリオール置換誘導体を用いているため、発光寿命が長い。
前記分散型ELランプの製造方法は、例えば、つぎのとおりである。すなわち、まず、バインダー材料として前記本発明のポリオール置換誘導体を準備し、これにDMF等の溶剤を加えて混合撹拌し、濃度の均一なバインダー溶液を調製する。ついで、このバインダー溶液を2分して、その一方に重量平均粒子径が30μmの蛍光体粉末(ZnS:Cu)を、前記バインダー材料の重量の3.2倍量加え、均一に分散して発光層用ペーストとし、もう一方のバインダー溶液には重量平均粒子径1.4μmのチタン酸バリウム粉末を前記バインダー材料の重量の4.7倍量加え、均一に分散して絶縁反射層用ペーストを調製する。つぎに、80μm厚のアルミニウムシート基板上にスクリーン印刷法によって前記絶縁反射層用ペーストを印刷し、その乾燥後、同層上に同じくスクリーン印刷法によって発光層用ペーストを印刷し、乾燥して発光層を形成する。このようにして、厚み約26μmの絶縁反射層、および厚み約58μmの発光層を得る。つぎに、透明導電性フィルム(日東電工(株)製の商品名「エレクリスタ300C」)の導電面側に給電線として銀ペーストを印刷乾燥し、りん青銅よりなるリード電極を取付けた後、この給電線印刷面に前記発光層を重ね合せ、ロールラミネータにより加熱圧着する。つぎに、背面電極となる前記アルミニウムシート基板にリード電極を取付けた後、一体化した積層素子全体にポリクロロトリフルオロエチレンよりなる防湿シート(日東電工(株)製の商品名「ELシーラー 4810N−R」)をロールラミネータにより圧着封止し、分散型ELランプを得る。前記製造方法は、例示にすぎない。前記分散型ELランプは、いかなる方法で製造されてもよい。
前記分散型ELランプは、例えば、広告、看板等の標識表示用途や液晶ディスプレイ等のバックライト光源として有用である。
(3−4)電子写真感光体
つぎに、本発明のポリオール置換誘導体を用いた電子写真感光体について、例を挙げて説明する。前記電子写真感光体は、例えば、導電性支持体上に下引き層、電荷発生層、電荷輸送層の順に積層された構造を有する電子写真感光体であって、前記下引き層形成用樹脂および前記電荷発生層形成用樹脂の少なくとも一方の樹脂として、本発明のポリオール置換誘導体が用いられたものである。本発明の電子写真感光体を用いれば、鮮明で、印字濃度も良好な画像を得ることができる。
つぎに、本発明のポリオール置換誘導体を用いた電子写真感光体について、例を挙げて説明する。前記電子写真感光体は、例えば、導電性支持体上に下引き層、電荷発生層、電荷輸送層の順に積層された構造を有する電子写真感光体であって、前記下引き層形成用樹脂および前記電荷発生層形成用樹脂の少なくとも一方の樹脂として、本発明のポリオール置換誘導体が用いられたものである。本発明の電子写真感光体を用いれば、鮮明で、印字濃度も良好な画像を得ることができる。
前記電子写真感光体の製造方法は、例えば、つぎのとおりである。すなわち、まず、導電性支持体を準備する。前記導電性支持体としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅等の金属製ドラム状またはシート状のもの、導電性金属化合物、金属等を樹脂に分散または塗布することにより導電化したドラム状またはシート状のもの、あるいは絶縁性素材にアルミニウム、ニッケル、酸化インジウムスズ等を蒸着またはラミネート加工したドラム状またはシート状のもの等が挙げられる。
つぎに、前記導電性支持体上に下引き層を形成する。前記下引き層形成用樹脂としては、例えば、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルアルコール、エポキシ樹脂、カゼイン、メチルセルロース、ニトロセルロース、フェノール樹脂、前記本発明のポリオール置換誘導体等が用いられる。前記下引き層の形成は、例えば、前記下引き層形成用樹脂を、アセトン、DMF、MEK、γ−ブチロラクトン等の溶剤に溶解した後、その溶液を浸漬塗布法、スプレー塗布法、スピンコート法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法等の従来公知の塗布方法により前記導電性支持体上に塗布し、前記溶剤を蒸発させることによって行われる。前記下引き層の膜厚は、特に制限されないが、好ましくは、0.05〜5μmの範囲である。
つぎに、前記下引き層上に、電荷発生層を形成する。前記電荷発生層は、例えば、電荷発生層形成用樹脂を溶剤に溶解し、得られた溶液に電荷発生物質を加えて分散し、この分散液を前記下引き層上に塗布し、乾燥させることによって形成される。前記電荷発生層形成用樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリビニルアセタール、ポリウレタン、シリコーン、エポキシ、前記本発明のポリオール置換誘導体等が挙げられる。前述のとおり、本例では、前記下引き層形成用樹脂および前記電荷発生層形成用樹脂の少なくとも一方の樹脂として、前記本発明のポリオール置換誘導体が用いられる。前記電荷発生物質としては、例えば、酸化チタンフタロシアニン、無金属フタロシアニン、銅フタロシアニン等のフタロシアニン系染料;クロロダイアブルー等のアゾ染料;ピレン、キノン等のキノン顔料等が挙げられる。前記分散液の塗布方法としては、前記下引き層の形成に用いたのと同様の方法を採用することができる。前記電荷発生層の膜厚は、特に制限されないが、好ましくは、0.05〜5μmの範囲である。
つぎに、前記電荷発生層上に、電荷輸送層を形成する。前記電荷輸送層は、バインダー樹脂中に電荷輸送材料を分散させたもので、バインダー樹脂を溶剤に溶解したものに、電荷輸送材料を加え、これを前記電荷発生層上に塗布・乾燥することによって形成される。前記バインダー樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリサルホン、スチレン−メタクリレート共重合体樹脂等が使用できる。前記電荷輸送材料としては、例えば、アントラセン等の多環芳香族化合物、カルバゾイル等の含窒素複素環化合物、ヒドラゾン化合物、トリアリールアミン化合物、スチルベン化合物が挙げられる。前記溶液の塗布方法としては、前記下引き層の形成に用いたのと同様の方法を採用することができる。前記電荷輸送層の膜厚は、特に制限されないが、好ましくは、5〜30μmの範囲である。このようにして、前記電子写真感光体を得る。
前記電子写真感光体は、例えば、電子写真方式の複写機、プリンター、ファクシミリ等に好適に用いられる。
(3−5)液晶表示素子
つぎに、本発明のポリオール置換誘導体を用いた液晶表示素子について、例を挙げて説明する。前記液晶表示素子は、例えば、透明電極を有する二枚の基板上に、それぞれ、配向膜を形成し、これを対向配置させ、その間に液晶材料を封入した液晶表示素子であって、前記二枚の基板上に形成された配向膜の少なくとも一方の配向膜に、本発明のポリオール置換誘導体を用いたものである。前記液晶表示素子は、疎水性が高く、低吸湿の前記本発明のポリオール置換誘導体を用いているため、コントラストが良好である。
つぎに、本発明のポリオール置換誘導体を用いた液晶表示素子について、例を挙げて説明する。前記液晶表示素子は、例えば、透明電極を有する二枚の基板上に、それぞれ、配向膜を形成し、これを対向配置させ、その間に液晶材料を封入した液晶表示素子であって、前記二枚の基板上に形成された配向膜の少なくとも一方の配向膜に、本発明のポリオール置換誘導体を用いたものである。前記液晶表示素子は、疎水性が高く、低吸湿の前記本発明のポリオール置換誘導体を用いているため、コントラストが良好である。
前記液晶表示素子は、例えば、前記透明電極を有する二枚の基板の少なくとも一方に、前記本発明のポリオール置換誘導体を用いて配向膜を形成すること以外は、従来公知の液晶表示素子と同様にして製造できる。前記本発明のポリオール置換誘導体を用いて配向膜を形成するには、例えば、適当な溶剤に前記本発明のポリオール置換誘導体を溶解した溶液を、前記透明電極を有する基板にスピンコーター、ローラーコーター、スクリーン印刷、転写印刷等を用いて塗布した後、前記溶剤を蒸発させればよい。前記溶剤としては、例えば、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、DMF、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、MEK、プロピレンカーボネート、ニトロメタン、メチルセロソルブ等が挙げられる。前記溶剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。前記本発明のポリオール置換誘導体よりなる配向膜は、前記透明電極を有する二枚の基板の双方に形成してもよいし、一方の基板のみに形成してもよい。一方の基板のみに形成する場合には、他方の基板には、例えば、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルアルコール等からなる配向膜を形成すればよい。また、前記本発明のポリオール置換誘導体は、前記配向膜材料として単独で使用してもよいが、必要に応じてシアノエチルプルラン、シアノエチルセルロース等に代表されるシアノエチル化ポリマーあるいはポリイミド等の他の樹脂と混合して使用してもよい。そして、前記配向膜は、ナイロン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、綿、羊毛のような繊維でラビング処理してもよい。さらに、前記透明電極に加え、スクリーン印刷法、染色法、蒸着法、電着法、フォトリングラフィ法等で形成されたカラーフィルターを有する基板上に前記本発明のポリオール置換誘導体よりなる配向膜を形成してもよい。このようにして、前記液晶表示素子を得ることができる。
(3−6)プラスチック加工品
つぎに、本発明のポリオール置換誘導体を用いたプラスチック加工品について説明する。前記プラスチック加工品は、本発明のポリオール置換誘導体を含む。前記プラスチック加工品の製造方法は、例えば、つぎのとおりである。
つぎに、本発明のポリオール置換誘導体を用いたプラスチック加工品について説明する。前記プラスチック加工品は、本発明のポリオール置換誘導体を含む。前記プラスチック加工品の製造方法は、例えば、つぎのとおりである。
すなわち、まず、前記本発明のポリオール置換誘導体とフィラーとを、ヘンシェルミキサーで混合した後、プラストミルやエクストルーダー等で混練し、ポリオール置換誘導体組成物を調製する。前記フィラーとしては、例えば、無機系フィラー、有機系フィラー、合成系フィラー等が挙げられる。前記無機系フィラーとしては、例えば、タルク、酸化チタン、クレー、チョーク、ライムストーン、炭酸カルシウム、マイカ、ガラス、ケイソウ土、ウォールアストナイト、シリカおよび各種シリカ塩、各種マグネシウム塩、各種マンガン塩等が挙げられる。前記有機系フィラーとしては、澱粉およびその誘導体、セルロースおよびその誘導体、木粉、パルプ、ピカンファイバー、綿粉、穀物外皮、コットンリンター、木材繊維、バカス等が挙げられる。前記合成系フィラーとしては、ガラス繊維、尿素重合体、セラミック等が挙げられる。
ついで、前記ポリオール置換誘導体組成物を、射出成形、押出成形、インフレーション法、Tダイ法、カレンダー加工、圧縮成形(プレス成形)、トランスファー成形、注型法(キャスト)、積層法、真空成形、吹込み成形(ブロー成形)、発泡成形、塗装、流延、熱接着、延伸加工等の従来公知の方法で加工する。前記プラスチック加工品には、立体形状を有する成形品のみならず、フィルム、シート、さらには塗工紙等も含まれる。すなわち、前記プラスチック加工品用途には、接着剤用途、紙用コーティング剤用途が含まれる。
つぎに、本発明の実施例について比較例と併せて説明する。なお、本発明は、下記の実施例および比較例によってなんら限定ないし制限されない。また、各実施例および比較例における各種特性および物性の測定および評価は、下記の方法により実施した。
(シアノ化工程後のシアノエチル基への置換度)
シアノ化工程により得られたシアノエチル基が導入されたポリオール化合物(シアノエチル化物)の窒素含量を、ケルダール法により測定し、シアノ化工程後のシアノエチル基への置換度を算出した。
シアノ化工程により得られたシアノエチル基が導入されたポリオール化合物(シアノエチル化物)の窒素含量を、ケルダール法により測定し、シアノ化工程後のシアノエチル基への置換度を算出した。
(エステル化工程後のシアノエチル基への置換度およびエステル基への置換度)
エステル化工程後のポリオール置換誘導体を、99重量%濃度のエタノール溶液で洗浄することで、余分なエステル化試薬を除去したサンプルを調製し、このサンプルの結合窒素およびエステル含量を測定した。前記結合窒素は、ケルダール法にて測定した。前記エステル含量は、つぎの方法で測定した。すなわち、まず、前記サンプル1gを精秤し、これを300mL三角フラスコに入れた。ついで、ここにDMSOを40g添加して、前記サンプルを溶解させた。前記サンプルが完全に溶解したところで、10mLの蒸留水を添加し、ついで、フェノールフタレインを数滴添加した。つぎに、前記溶液が赤色を呈するまで0.1N(0.1mol/L)のKOH溶液を添加した後、0.5N(0.5mol/L)のKOH溶液を20mL添加して3時間撹拌した。つぎに、0.2N(0.2mol/L)の塩酸で残存するKOHを滴定し、滴定量から、前記エステル含量を算出した。前記結合窒素および前記エステル含量から、下記式により、エステル化工程後のシアノエチル基への置換度(CE基DS)およびエステル基への置換度(ES基DS)を算出した。
CE基DS=(16200×M×α)/{140000×M−5300×M×α−1400×(M−1)×β}
ES基DS=(226800×β)/{140000×M−5300×M×α−1400×(M−1)×β}
CE基DS:エステル化工程後のシアノエチル基への置換度
ES基DS:エステル化工程後のエステル基への置換度
M:脂肪酸(カルボン酸)の分子量−17
α:結合窒素(重量/重量%)
β:エステル含量(重量/重量%)
エステル化工程後のポリオール置換誘導体を、99重量%濃度のエタノール溶液で洗浄することで、余分なエステル化試薬を除去したサンプルを調製し、このサンプルの結合窒素およびエステル含量を測定した。前記結合窒素は、ケルダール法にて測定した。前記エステル含量は、つぎの方法で測定した。すなわち、まず、前記サンプル1gを精秤し、これを300mL三角フラスコに入れた。ついで、ここにDMSOを40g添加して、前記サンプルを溶解させた。前記サンプルが完全に溶解したところで、10mLの蒸留水を添加し、ついで、フェノールフタレインを数滴添加した。つぎに、前記溶液が赤色を呈するまで0.1N(0.1mol/L)のKOH溶液を添加した後、0.5N(0.5mol/L)のKOH溶液を20mL添加して3時間撹拌した。つぎに、0.2N(0.2mol/L)の塩酸で残存するKOHを滴定し、滴定量から、前記エステル含量を算出した。前記結合窒素および前記エステル含量から、下記式により、エステル化工程後のシアノエチル基への置換度(CE基DS)およびエステル基への置換度(ES基DS)を算出した。
CE基DS=(16200×M×α)/{140000×M−5300×M×α−1400×(M−1)×β}
ES基DS=(226800×β)/{140000×M−5300×M×α−1400×(M−1)×β}
CE基DS:エステル化工程後のシアノエチル基への置換度
ES基DS:エステル化工程後のエステル基への置換度
M:脂肪酸(カルボン酸)の分子量−17
α:結合窒素(重量/重量%)
β:エステル含量(重量/重量%)
(溶剤溶解性、硬化剤相溶性および透過率)
前述と同様にして調製したサンプル0.5g(無水物換算)をバイアルに量りとり、これに溶剤1.7mLを添加し、スパーテルでかき混ぜながら溶解した。この溶液の溶剤溶解性(透明度)を、下記の評価基準に従って評価した。なお、実施例3においては、前記バイアルの背後に白線を引いた紙を配置し、前記溶液を通して、前記白線がどの程度見えるかを評価した。また、前記溶液の溶剤溶解性(着色)を、日本電色工業(株)製の分光色差計、商品名「SE−2000」を用いて、L*a*b*表色系のb*値を測定することで、下記の評価基準に従って評価した。そして、前記溶液の波長650nmにおける透過率を、前記分光色差計を用いて測定した。さらに、実施例10および11においては、前記溶液の溶剤溶解性(溶解度)を、下記の評価基準に従って目視評価した。さらに、前記溶剤溶解性評価後の溶液0.85mLを別のバイアルに移し、イソシアネート系硬化剤Aまたはイソシアネート系硬化剤Bを0.85mL添加して、よく混合し、硬化剤相溶性を、下記の評価基準1に従って目視評価した。ただし、実施例10および11においては、前記硬化剤溶解性を、下記の評価基準2に従って目視評価した。前記溶剤としては、シクロヘキサノン、酢酸ブチル、酢酸エチル、およびアセトンを用いた。
前述と同様にして調製したサンプル0.5g(無水物換算)をバイアルに量りとり、これに溶剤1.7mLを添加し、スパーテルでかき混ぜながら溶解した。この溶液の溶剤溶解性(透明度)を、下記の評価基準に従って評価した。なお、実施例3においては、前記バイアルの背後に白線を引いた紙を配置し、前記溶液を通して、前記白線がどの程度見えるかを評価した。また、前記溶液の溶剤溶解性(着色)を、日本電色工業(株)製の分光色差計、商品名「SE−2000」を用いて、L*a*b*表色系のb*値を測定することで、下記の評価基準に従って評価した。そして、前記溶液の波長650nmにおける透過率を、前記分光色差計を用いて測定した。さらに、実施例10および11においては、前記溶液の溶剤溶解性(溶解度)を、下記の評価基準に従って目視評価した。さらに、前記溶剤溶解性評価後の溶液0.85mLを別のバイアルに移し、イソシアネート系硬化剤Aまたはイソシアネート系硬化剤Bを0.85mL添加して、よく混合し、硬化剤相溶性を、下記の評価基準1に従って目視評価した。ただし、実施例10および11においては、前記硬化剤溶解性を、下記の評価基準2に従って目視評価した。前記溶剤としては、シクロヘキサノン、酢酸ブチル、酢酸エチル、およびアセトンを用いた。
溶剤溶解性(透明度)評価基準
A :前記透過率が、90%以上。
A− :前記透過率が、80%以上。
A−−:前記透過率が、70%以上。
B :前記透過率が、70%未満であるが実用上問題の無いレベル。
A :前記透過率が、90%以上。
A− :前記透過率が、80%以上。
A−−:前記透過率が、70%以上。
B :前記透過率が、70%未満であるが実用上問題の無いレベル。
溶剤溶解性(着色)評価基準
A :前記b*値が、5以下。
A− :前記b*値が、5を超えて8以下。
A−−:前記b*値が、8を超えて10以下。
B :前記b*値が、10を超える。
A :前記b*値が、5以下。
A− :前記b*値が、5を超えて8以下。
A−−:前記b*値が、8を超えて10以下。
B :前記b*値が、10を超える。
溶剤溶解性(溶解度)評価基準
A :完全に溶解。
B :ほぼ溶解し、実用上問題のないレベル。
A :完全に溶解。
B :ほぼ溶解し、実用上問題のないレベル。
硬化剤相溶性評価基準1
A :良好。
A− :良好であるが、やや粘度上昇が見られる。
A−−:良好であるが、わずかに白色の浮遊物が見られる。
B :粘度上昇及びわずかな白色の浮遊物が見られるが実用上問題のないレベル。
A :良好。
A− :良好であるが、やや粘度上昇が見られる。
A−−:良好であるが、わずかに白色の浮遊物が見られる。
B :粘度上昇及びわずかな白色の浮遊物が見られるが実用上問題のないレベル。
硬化剤相溶性評価基準2
A :完全に溶解。
B :ほぼ溶解し実用上問題のないレベル。
A :完全に溶解。
B :ほぼ溶解し実用上問題のないレベル。
(重量平均分子量)
分子量は、下記条件によりGPC法で測定した。
カラム:shodex OHpack SB−860M HQ ×2
ガードカラム:shodex OHpack SB−G
溶離液:DMSO
流速:0.3mL/分
インジェクト量:50μL
サンプル:0.5重量%DMSO溶液
スタンダード:プルラン
分子量は、下記条件によりGPC法で測定した。
カラム:shodex OHpack SB−860M HQ ×2
ガードカラム:shodex OHpack SB−G
溶離液:DMSO
流速:0.3mL/分
インジェクト量:50μL
サンプル:0.5重量%DMSO溶液
スタンダード:プルラン
(水酸基価)
水酸基価は、JIS K 1557に準じた無水フタル酸法にて測定するか、若しくは下記式により算出した。
水酸基価=[{(3−A−B)×56.11}/M]×1000
A:CE基DS
B:ES基DS
M:糖残基1モル当たりの分子量(M=162+53×A+182×B)
水酸基価は、JIS K 1557に準じた無水フタル酸法にて測定するか、若しくは下記式により算出した。
水酸基価=[{(3−A−B)×56.11}/M]×1000
A:CE基DS
B:ES基DS
M:糖残基1モル当たりの分子量(M=162+53×A+182×B)
[実施例1]
(1)準備工程
コーンスターチ100g(無水物換算)を水に懸濁し、40重量%濃度のスラリーを調製した。これを、52℃にセットした恒温槽中で撹拌しながら加温し、15重量%濃度の塩酸を、前記コーンスターチに対して10重量%添加した。前記塩酸の添加開始から4時間、52℃で撹拌しながら保持し、酸処理を実施した。その後、前記スラリーを30℃まで氷冷し、2重量%濃度の水酸化ナトリウム溶液でpH6.5〜7に中和した。これを、ヌッチェで脱水し、コーンスターチ固形分の5倍量の50重量%濃度のエタノール溶液で懸濁させて洗浄した。この洗浄を2回実施して、得られたウェットケーキを30℃の温風乾燥機で一晩乾燥させた。このようにして、重量平均分子量が約70,000のコーンスターチを得た。
(1)準備工程
コーンスターチ100g(無水物換算)を水に懸濁し、40重量%濃度のスラリーを調製した。これを、52℃にセットした恒温槽中で撹拌しながら加温し、15重量%濃度の塩酸を、前記コーンスターチに対して10重量%添加した。前記塩酸の添加開始から4時間、52℃で撹拌しながら保持し、酸処理を実施した。その後、前記スラリーを30℃まで氷冷し、2重量%濃度の水酸化ナトリウム溶液でpH6.5〜7に中和した。これを、ヌッチェで脱水し、コーンスターチ固形分の5倍量の50重量%濃度のエタノール溶液で懸濁させて洗浄した。この洗浄を2回実施して、得られたウェットケーキを30℃の温風乾燥機で一晩乾燥させた。このようにして、重量平均分子量が約70,000のコーンスターチを得た。
(2)シアノ化工程
前記準備工程で得られたコーンスターチ80g(無水物換算)に、2.4g(前記コーンスターチの糖残基1モル当たり0.045モル)のテトラメチルアンモニウムクロリドを少量の水で溶解したものを添加し、混合して均一に含浸させた。ここに、480mLのアクリロニトリルを添加してスラリーを調製し、これを、所定の温度の恒温槽にセットして、DCスターラーで撹拌した。ここに、24重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液を40g(前記コーンスターチの糖残基1モル当たり0.5モル)添加して前記所定の温度で所定の時間反応させた。ここに、前記水酸化ナトリウムと等モルの酢酸を添加して暫く撹拌して反応を止め、反応液を99重量%濃度のエタノール溶液に流し込み生成物を回収した。この生成物を、さらにエタノールでよく洗浄した後、ミキサーで微粉砕し、40℃で一晩真空乾燥させた。前記所定の温度(シアノ化反応温度)および前記所定の時間(シアノ化反応時間)を変更することで、前記シアノ化工程後のシアノエチル基への置換度が異なる4種のシアノエチル化物C1〜C4を得た。前記シアノエチル化物C1〜C4における前記シアノ化反応温度、前記シアノ化反応時間および前記シアノ化工程後のシアノエチル基への置換度の関係を、下記表1に示す。
前記準備工程で得られたコーンスターチ80g(無水物換算)に、2.4g(前記コーンスターチの糖残基1モル当たり0.045モル)のテトラメチルアンモニウムクロリドを少量の水で溶解したものを添加し、混合して均一に含浸させた。ここに、480mLのアクリロニトリルを添加してスラリーを調製し、これを、所定の温度の恒温槽にセットして、DCスターラーで撹拌した。ここに、24重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液を40g(前記コーンスターチの糖残基1モル当たり0.5モル)添加して前記所定の温度で所定の時間反応させた。ここに、前記水酸化ナトリウムと等モルの酢酸を添加して暫く撹拌して反応を止め、反応液を99重量%濃度のエタノール溶液に流し込み生成物を回収した。この生成物を、さらにエタノールでよく洗浄した後、ミキサーで微粉砕し、40℃で一晩真空乾燥させた。前記所定の温度(シアノ化反応温度)および前記所定の時間(シアノ化反応時間)を変更することで、前記シアノ化工程後のシアノエチル基への置換度が異なる4種のシアノエチル化物C1〜C4を得た。前記シアノエチル化物C1〜C4における前記シアノ化反応温度、前記シアノ化反応時間および前記シアノ化工程後のシアノエチル基への置換度の関係を、下記表1に示す。
(表1)
シアノエチル シアノ化反応温度 シアノ化反応時間 シアノ化工程後のシアノ
化物 (℃) (分) エチル基への置換度
C1 25 195 1.8
C2 30 90 2.1
C3 30 150 2.4
C4 25 375 2.7
シアノエチル シアノ化反応温度 シアノ化反応時間 シアノ化工程後のシアノ
化物 (℃) (分) エチル基への置換度
C1 25 195 1.8
C2 30 90 2.1
C3 30 150 2.4
C4 25 375 2.7
(3)エステル化工程
前記シアノエチル化物C1(無水物換算)80gを、640gのDMAcに溶解し、オイルバス中で撹拌しながら、90℃に加温した。ここに、前記コーンスターチの糖残基1モルに対して、所定の比率のラウリン酸ビニル(LV)を添加し、90℃で1時間反応させた。前記反応液を、大量の水に懸濁し、生成物を析出させ、前記生成物をミキサーで粉砕してヌッチェで回収した。この回収物を、40℃で一晩真空乾燥させた。前記所定の比率(LV添加率)を変更することで、CE基DSおよびES基DSが異なる5種のポリオール置換誘導体E1〜E5を得た。さらに、シアノエチル化物として、それぞれ、前記シアノエチル化物C2〜C4を用いたこと以外は同様にして、CE基DSおよびES基DSが異なる12種のポリオール置換誘導体E6〜E17を得た。前記ポリオール置換誘導体E1〜E17における前記シアノエチル化物、前記LV添加率、前記CE基DS、前記ES基DS、前記CE基DSと前記ES基DSの合計(合計置換度)および水酸基価の関係を、下記表2に示す。
前記シアノエチル化物C1(無水物換算)80gを、640gのDMAcに溶解し、オイルバス中で撹拌しながら、90℃に加温した。ここに、前記コーンスターチの糖残基1モルに対して、所定の比率のラウリン酸ビニル(LV)を添加し、90℃で1時間反応させた。前記反応液を、大量の水に懸濁し、生成物を析出させ、前記生成物をミキサーで粉砕してヌッチェで回収した。この回収物を、40℃で一晩真空乾燥させた。前記所定の比率(LV添加率)を変更することで、CE基DSおよびES基DSが異なる5種のポリオール置換誘導体E1〜E5を得た。さらに、シアノエチル化物として、それぞれ、前記シアノエチル化物C2〜C4を用いたこと以外は同様にして、CE基DSおよびES基DSが異なる12種のポリオール置換誘導体E6〜E17を得た。前記ポリオール置換誘導体E1〜E17における前記シアノエチル化物、前記LV添加率、前記CE基DS、前記ES基DS、前記CE基DSと前記ES基DSの合計(合計置換度)および水酸基価の関係を、下記表2に示す。
[実施例2]
(1)準備工程
後述のコーンスターチの40重量%濃度のスラリーを調製するのに必要な量の99重量%濃度のエタノール溶液に、濃塩酸を、前記コーンスターチに対し30重量%添加して、52℃まで加温した。52℃に達したところで、コーンスターチ100g(無水物換算)を添加し、よく撹拌して反応スラリーを調製した。前記コーンスターチの添加から4時間、52℃で撹拌しながら保持し、酸処理を実施した。その後、前記スラリーを30℃まで氷冷し、2重量%濃度の水酸化ナトリウム溶液(80重量%エタノール溶液)でpH6.5〜7に中和した。これを、ヌッチェで脱水し、コーンスターチ固形分の5倍量の50重量%濃度のエタノール溶液で懸濁させて洗浄した。前記洗浄を2回実施して、得られたウェットケーキを30℃の温風乾燥機で一晩乾燥させた。このようにして、重量平均分子量が約6,000のコーンスターチを得た。
(1)準備工程
後述のコーンスターチの40重量%濃度のスラリーを調製するのに必要な量の99重量%濃度のエタノール溶液に、濃塩酸を、前記コーンスターチに対し30重量%添加して、52℃まで加温した。52℃に達したところで、コーンスターチ100g(無水物換算)を添加し、よく撹拌して反応スラリーを調製した。前記コーンスターチの添加から4時間、52℃で撹拌しながら保持し、酸処理を実施した。その後、前記スラリーを30℃まで氷冷し、2重量%濃度の水酸化ナトリウム溶液(80重量%エタノール溶液)でpH6.5〜7に中和した。これを、ヌッチェで脱水し、コーンスターチ固形分の5倍量の50重量%濃度のエタノール溶液で懸濁させて洗浄した。前記洗浄を2回実施して、得られたウェットケーキを30℃の温風乾燥機で一晩乾燥させた。このようにして、重量平均分子量が約6,000のコーンスターチを得た。
(2)シアノ化工程
前記準備工程で得られた重量平均分子量が約6,000のコーンスターチを用いたこと以外は、実施例1のシアノ化工程と同様にして、前記シアノ化工程後のシアノエチル基への置換度が異なる4種のシアノエチル化物C5〜C8を得た。前記シアノエチル化物C5〜C8におけるシアノ化反応温度、シアノ化反応時間および前記シアノ化工程後のシアノエチル基への置換度の関係を、下記表3に示す。
前記準備工程で得られた重量平均分子量が約6,000のコーンスターチを用いたこと以外は、実施例1のシアノ化工程と同様にして、前記シアノ化工程後のシアノエチル基への置換度が異なる4種のシアノエチル化物C5〜C8を得た。前記シアノエチル化物C5〜C8におけるシアノ化反応温度、シアノ化反応時間および前記シアノ化工程後のシアノエチル基への置換度の関係を、下記表3に示す。
(表3)
シアノエチル シアノ化反応温度 シアノ化反応時間 シアノ化工程後のシアノ
化物 (℃) (分) エチル基への置換度
C5 25 195 1.9
C6 30 90 2.2
C7 30 150 2.4
C8 25 375 2.8
シアノエチル シアノ化反応温度 シアノ化反応時間 シアノ化工程後のシアノ
化物 (℃) (分) エチル基への置換度
C5 25 195 1.9
C6 30 90 2.2
C7 30 150 2.4
C8 25 375 2.8
(3)エステル化工程
シアノエチル化物として、それぞれ、前記シアノエチル化物C5〜C8を用いたこと以外は、実施例1のエステル化工程と同様にして、CE基DSおよびES基DSが異なる17種のポリオール置換誘導体E18〜E34を得た。前記ポリオール置換誘導体E18〜E34における前記シアノエチル化物、LV添加率、前記CE基DS、前記ES基DS、合計置換度および水酸基価の関係を、下記表4に示す。
シアノエチル化物として、それぞれ、前記シアノエチル化物C5〜C8を用いたこと以外は、実施例1のエステル化工程と同様にして、CE基DSおよびES基DSが異なる17種のポリオール置換誘導体E18〜E34を得た。前記ポリオール置換誘導体E18〜E34における前記シアノエチル化物、LV添加率、前記CE基DS、前記ES基DS、合計置換度および水酸基価の関係を、下記表4に示す。
[実施例3]
前記シアノエチル化物C2(無水物換算)10gを、80gのDMAcに溶解し、ここに炭酸水素ナトリウムを所定量添加し、オイルバス中で撹拌しながら、90℃に加温した。ここに、8.45g(コーンスターチの糖残基1モルに対して1モル)のラウリン酸ビニルを添加し、90℃で1時間反応させた。前記反応液を、大量の水に懸濁し、生成物を析出させ、前記生成物をミキサーで粉砕してヌッチェで回収した。この回収物を、40℃で一晩真空乾燥させた。前記所定量(炭酸水素ナトリウムの添加量)を変更することで、5種のポリオール置換誘導体E35〜E39を得た。前記ポリオール置換誘導体E35〜E39における前記炭酸水素ナトリウムの添加量、CE基DSおよびES基DSの関係を、下記表5に示す。
前記シアノエチル化物C2(無水物換算)10gを、80gのDMAcに溶解し、ここに炭酸水素ナトリウムを所定量添加し、オイルバス中で撹拌しながら、90℃に加温した。ここに、8.45g(コーンスターチの糖残基1モルに対して1モル)のラウリン酸ビニルを添加し、90℃で1時間反応させた。前記反応液を、大量の水に懸濁し、生成物を析出させ、前記生成物をミキサーで粉砕してヌッチェで回収した。この回収物を、40℃で一晩真空乾燥させた。前記所定量(炭酸水素ナトリウムの添加量)を変更することで、5種のポリオール置換誘導体E35〜E39を得た。前記ポリオール置換誘導体E35〜E39における前記炭酸水素ナトリウムの添加量、CE基DSおよびES基DSの関係を、下記表5に示す。
(表5)
ポリオール 炭酸水素ナトリウム CE基 ES基
置換誘導体 の添加量(g) DS DS
E35 8 1.78 0.40
E36 4 1.80 0.39
E37 2 1.79 0.40
E38 1 1.78 0.39
E39 0 1.79 0.39
ポリオール 炭酸水素ナトリウム CE基 ES基
置換誘導体 の添加量(g) DS DS
E35 8 1.78 0.40
E36 4 1.80 0.39
E37 2 1.79 0.40
E38 1 1.78 0.39
E39 0 1.79 0.39
[実施例4]
(1)準備工程
実施例1の準備工程と同様にして、重量平均分子量が約70,000のコーンスターチを得た。
(1)準備工程
実施例1の準備工程と同様にして、重量平均分子量が約70,000のコーンスターチを得た。
(2)シアノ化工程
水酸化ナトリウム4g(0.1モル)を485mLの水に溶解し、ここに、前記準備工程で得られたコーンスターチ162g(無水物換算、前記コーンスターチの糖残基1モル)を加え懸濁し、25重量%濃度のスラリーを調製した。これを、加圧ニーダーに入れ、40℃で撹拌しながら1モルのアクリロニトリルを添加し、さらに撹拌しながら90分おきにアクリロニトリルを追加添加し、最終的に全量で4モルのアクリロニトリルを添加して、さらに150分間反応させた(合計シアノ化反応時間7時間)。得られたサンプルを、99重量%のエタノール溶液に流し込み、生成物を回収した。これを、さらにエタノールでよく洗浄した後、ミキサーで微粉砕し、40℃で一晩真空乾燥させた。このようにして、シアノエチル化物C9を得た。前記シアノエチル化物C9のシアノ化工程後のシアノエチル基への置換度は、1.7であった。
水酸化ナトリウム4g(0.1モル)を485mLの水に溶解し、ここに、前記準備工程で得られたコーンスターチ162g(無水物換算、前記コーンスターチの糖残基1モル)を加え懸濁し、25重量%濃度のスラリーを調製した。これを、加圧ニーダーに入れ、40℃で撹拌しながら1モルのアクリロニトリルを添加し、さらに撹拌しながら90分おきにアクリロニトリルを追加添加し、最終的に全量で4モルのアクリロニトリルを添加して、さらに150分間反応させた(合計シアノ化反応時間7時間)。得られたサンプルを、99重量%のエタノール溶液に流し込み、生成物を回収した。これを、さらにエタノールでよく洗浄した後、ミキサーで微粉砕し、40℃で一晩真空乾燥させた。このようにして、シアノエチル化物C9を得た。前記シアノエチル化物C9のシアノ化工程後のシアノエチル基への置換度は、1.7であった。
(3)エステル化工程
シアノエチル化物として、前記シアノエチル化物C9を用いたこと以外は、実施例1のエステル化工程と同様にして、ポリオール置換誘導体E40を得た。この際、前記コーンスターチの糖残基1モルに対するラウリン酸ビニルの添加量(LV添加率)は、0.5モルとした。前記ポリオール置換誘導体E40における、CE基DSは1.5、ES基DSは0.35、合計置換度は1.85、水酸基価は211mgKOH/gであった。また、前記ポリオール置換誘導体E40の溶剤溶解性(溶剤として、シクロヘキサノンを用いた場合)の評価結果は、透明度がA−−(透過率74.2%)、着色がB(b*値:42.7)であった。
シアノエチル化物として、前記シアノエチル化物C9を用いたこと以外は、実施例1のエステル化工程と同様にして、ポリオール置換誘導体E40を得た。この際、前記コーンスターチの糖残基1モルに対するラウリン酸ビニルの添加量(LV添加率)は、0.5モルとした。前記ポリオール置換誘導体E40における、CE基DSは1.5、ES基DSは0.35、合計置換度は1.85、水酸基価は211mgKOH/gであった。また、前記ポリオール置換誘導体E40の溶剤溶解性(溶剤として、シクロヘキサノンを用いた場合)の評価結果は、透明度がA−−(透過率74.2%)、着色がB(b*値:42.7)であった。
[実施例5]
(1)準備工程
実施例1の準備工程と同様にして、重量平均分子量が約70,000のコーンスターチを得た。
(1)準備工程
実施例1の準備工程と同様にして、重量平均分子量が約70,000のコーンスターチを得た。
(2)シアノ化工程
前記準備工程で得られたコーンスターチ80gに、2.4g(前記コーンスターチの糖残基1モル当たり0.045モル)のテトラメチルアンモニウムクロリドを少量の水で溶解したものを添加し、混合して均一に含浸させた。ここに、DMAcを240mL添加してスラリーを調製した後、さらに240mLのアクリロニトリルを添加して、DCスターラーで攪拌した。ここに、24重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液を40g(前記コーンスターチの糖残基1モル当たり0.5モル)添加して40℃で所定の時間反応させた。ここに、前記水酸化ナトリウムと等モルの酢酸を添加して暫く撹拌して反応を止め、反応液を99重量%濃度のエタノール溶液に流し込み生成物を回収した。この生成物を、さらにエタノールでよく洗浄した後、ミキサーで微粉砕し、40℃で一晩真空乾燥させた。前記所定の時間(シアノ化反応時間)を変更することで、前記シアノ化工程後のシアノエチル基への置換度が異なる2種のシアノエチル化物C10およびC11を得た。前記シアノエチル化物C10およびC11における前記シアノ化反応温度、前記シアノ化反応時間および前記シアノ化工程後のシアノエチル基への置換度の関係を、下記表6に示す。
前記準備工程で得られたコーンスターチ80gに、2.4g(前記コーンスターチの糖残基1モル当たり0.045モル)のテトラメチルアンモニウムクロリドを少量の水で溶解したものを添加し、混合して均一に含浸させた。ここに、DMAcを240mL添加してスラリーを調製した後、さらに240mLのアクリロニトリルを添加して、DCスターラーで攪拌した。ここに、24重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液を40g(前記コーンスターチの糖残基1モル当たり0.5モル)添加して40℃で所定の時間反応させた。ここに、前記水酸化ナトリウムと等モルの酢酸を添加して暫く撹拌して反応を止め、反応液を99重量%濃度のエタノール溶液に流し込み生成物を回収した。この生成物を、さらにエタノールでよく洗浄した後、ミキサーで微粉砕し、40℃で一晩真空乾燥させた。前記所定の時間(シアノ化反応時間)を変更することで、前記シアノ化工程後のシアノエチル基への置換度が異なる2種のシアノエチル化物C10およびC11を得た。前記シアノエチル化物C10およびC11における前記シアノ化反応温度、前記シアノ化反応時間および前記シアノ化工程後のシアノエチル基への置換度の関係を、下記表6に示す。
(表6)
シアノエチル シアノ化反応温度 シアノ化反応時間 シアノ化工程後のシアノ
化物 (℃) (分) エチル基への置換度
C10 40 300 1.4
C11 40 360 1.7
シアノエチル シアノ化反応温度 シアノ化反応時間 シアノ化工程後のシアノ
化物 (℃) (分) エチル基への置換度
C10 40 300 1.4
C11 40 360 1.7
(3)エステル化工程
シアノエチル化物として、それぞれ、前記シアノエチル化物C10およびC11を用いたこと以外は、実施例1のエステル化工程と同様にして、ポリオール置換誘導体E41およびE42を得た。この際、前記コーンスターチの糖残基1モルに対するラウリン酸ビニルの添加量(LV添加率)は、0.5モルとした。前記ポリオール置換誘導体E41およびE42における、前記シアノエチル化物、LV添加率、CE基DS、ES基DS、合計置換度および水酸基価の関係を、下記表7に示す。前記ポリオール置換誘導体E41およびE42の溶剤溶解性(溶剤として、シクロヘキサノンを用いた場合)の評価結果は、透明度がそれぞれBおよびA−(透過率:65.2%および78.4%)、着色がいずれもB(b*値:14.6および36.6)であった。
シアノエチル化物として、それぞれ、前記シアノエチル化物C10およびC11を用いたこと以外は、実施例1のエステル化工程と同様にして、ポリオール置換誘導体E41およびE42を得た。この際、前記コーンスターチの糖残基1モルに対するラウリン酸ビニルの添加量(LV添加率)は、0.5モルとした。前記ポリオール置換誘導体E41およびE42における、前記シアノエチル化物、LV添加率、CE基DS、ES基DS、合計置換度および水酸基価の関係を、下記表7に示す。前記ポリオール置換誘導体E41およびE42の溶剤溶解性(溶剤として、シクロヘキサノンを用いた場合)の評価結果は、透明度がそれぞれBおよびA−(透過率:65.2%および78.4%)、着色がいずれもB(b*値:14.6および36.6)であった。
[実施例6]
(1)準備工程
コーンスターチの添加から3時間、52℃で撹拌しながら保持し、酸処理を実施したこと以外は、実施例2の準備工程と同様にして、重量平均分子量が約10,000のコーンスターチを得た。
(1)準備工程
コーンスターチの添加から3時間、52℃で撹拌しながら保持し、酸処理を実施したこと以外は、実施例2の準備工程と同様にして、重量平均分子量が約10,000のコーンスターチを得た。
(2)シアノ化工程
前記準備工程で得られたコーンスターチ40g(無水物換算)に、5重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液400gを加え懸濁し、スラリーを調製した。ここに、アクリロニトリル300gとアセトン300gの混合物を添加し、20℃で24時間反応させた。前記水酸化ナトリウムと等モルの酢酸を添加して暫く撹拌して反応を止め、反応液を99重量%濃度のエタノール溶液に流し込み生成物を回収した。この生成物を、さらにエタノールでよく洗浄した後、ミキサーで微粉砕し、40℃で一晩真空乾燥させた。このようにして、シアノエチル化物C12を得た。前記シアノエチル化物C12のシアノ化工程後のシアノエチル基への置換度は、2.9であった。
前記準備工程で得られたコーンスターチ40g(無水物換算)に、5重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液400gを加え懸濁し、スラリーを調製した。ここに、アクリロニトリル300gとアセトン300gの混合物を添加し、20℃で24時間反応させた。前記水酸化ナトリウムと等モルの酢酸を添加して暫く撹拌して反応を止め、反応液を99重量%濃度のエタノール溶液に流し込み生成物を回収した。この生成物を、さらにエタノールでよく洗浄した後、ミキサーで微粉砕し、40℃で一晩真空乾燥させた。このようにして、シアノエチル化物C12を得た。前記シアノエチル化物C12のシアノ化工程後のシアノエチル基への置換度は、2.9であった。
(3)エステル化工程
前記シアノエチル化物C12(無水物換算)40gを、200gのアセトンに溶解した。これを70℃に加温した後、ピリジン50gを添加した。ここに、ラウリン酸ビニル33.1g(前記コーンスターチの糖残基1モルに対して、1.14モル)を20分かけて添加し、70℃で加熱還流しながら4時間反応させた。前記反応液をエタノールに流し込み生成物を回収した。この生成物を、ヘキサンで洗浄した後、40℃で一晩真空乾燥させた。このようにして、ポリオール置換誘導体E43を得た。前記ポリオール置換誘導体E43のCE基DSは、2.7、ES基DSは、0.2、水酸基価は、16mgKOH/gであった。前記ポリオール置換誘導体E43の溶剤溶解性(溶剤として、シクロヘキサノンを用いた場合)の評価結果は、透明度がA−(透過率:82.1%)、着色がA−−(b*値:8.8)であった。
前記シアノエチル化物C12(無水物換算)40gを、200gのアセトンに溶解した。これを70℃に加温した後、ピリジン50gを添加した。ここに、ラウリン酸ビニル33.1g(前記コーンスターチの糖残基1モルに対して、1.14モル)を20分かけて添加し、70℃で加熱還流しながら4時間反応させた。前記反応液をエタノールに流し込み生成物を回収した。この生成物を、ヘキサンで洗浄した後、40℃で一晩真空乾燥させた。このようにして、ポリオール置換誘導体E43を得た。前記ポリオール置換誘導体E43のCE基DSは、2.7、ES基DSは、0.2、水酸基価は、16mgKOH/gであった。前記ポリオール置換誘導体E43の溶剤溶解性(溶剤として、シクロヘキサノンを用いた場合)の評価結果は、透明度がA−(透過率:82.1%)、着色がA−−(b*値:8.8)であった。
[実施例7]
(1)準備工程
実施例6の準備工程と同様にして、重量平均分子量が約10,000のコーンスターチを得た。
(1)準備工程
実施例6の準備工程と同様にして、重量平均分子量が約10,000のコーンスターチを得た。
(2)シアノ化工程
シアノ化反応温度を30℃、シアノ化反応時間を4時間としたこと以外は、実施例6の
シアノ化工程と同様にして、シアノエチル化物C13を得た。前記シアノエチル化物C13のシアノ化工程後のシアノエチル基への置換度は、1.6であった。
シアノ化反応温度を30℃、シアノ化反応時間を4時間としたこと以外は、実施例6の
シアノ化工程と同様にして、シアノエチル化物C13を得た。前記シアノエチル化物C13のシアノ化工程後のシアノエチル基への置換度は、1.6であった。
(3)エステル化工程
シアノエチル化物として、前記シアノエチル化物C13を用いたこと、およびラウリン酸ビニルに代えて、塩化ラウロイル(前記コーンスターチの糖残基1モルに対して、1.14モル)を用いたこと以外は、実施例6のエステル化工程と同様にして、ポリオール置換誘導体E44を得た。ポリオール置換誘導体E44のCE基DSは、1.4、ES基DSは、0.6、水酸基価は、162mgKOH/gであった。前記ポリオール置換誘導体E44の溶剤溶解性(溶剤として、シクロヘキサノンを用いた場合)の評価結果は、透明度がA−(透過率:85.3%)、着色がB(b*値:11.6)であった。
シアノエチル化物として、前記シアノエチル化物C13を用いたこと、およびラウリン酸ビニルに代えて、塩化ラウロイル(前記コーンスターチの糖残基1モルに対して、1.14モル)を用いたこと以外は、実施例6のエステル化工程と同様にして、ポリオール置換誘導体E44を得た。ポリオール置換誘導体E44のCE基DSは、1.4、ES基DSは、0.6、水酸基価は、162mgKOH/gであった。前記ポリオール置換誘導体E44の溶剤溶解性(溶剤として、シクロヘキサノンを用いた場合)の評価結果は、透明度がA−(透過率:85.3%)、着色がB(b*値:11.6)であった。
[実施例8]
(1)準備工程
コーンスターチの添加から2.5時間、52℃で撹拌しながら保持し、酸処理を実施したこと以外は、実施例2の準備工程と同様にして、重量平均分子量が約50,000のコーンスターチを得た。
(1)準備工程
コーンスターチの添加から2.5時間、52℃で撹拌しながら保持し、酸処理を実施したこと以外は、実施例2の準備工程と同様にして、重量平均分子量が約50,000のコーンスターチを得た。
(2)シアノ化工程
前記準備工程で得られた重量平均分子量が約50,000のコーンスターチを用いたこと以外は、実施例1のシアノ化工程と同様にして、前記シアノ化工程後のシアノエチル基への置換度が異なる2種のシアノエチル化物C14およびC15を得た。前記シアノエチル化物C14およびC15におけるシアノ化反応温度、シアノ化反応時間および前記シアノ化工程後のシアノエチル基への置換度の関係を、下記表8に示す。
前記準備工程で得られた重量平均分子量が約50,000のコーンスターチを用いたこと以外は、実施例1のシアノ化工程と同様にして、前記シアノ化工程後のシアノエチル基への置換度が異なる2種のシアノエチル化物C14およびC15を得た。前記シアノエチル化物C14およびC15におけるシアノ化反応温度、シアノ化反応時間および前記シアノ化工程後のシアノエチル基への置換度の関係を、下記表8に示す。
(表8)
シアノエチル シアノ化反応温度 シアノ化反応時間 シアノ化工程後のシアノ
化物 (℃) (分) エチル基への置換度
C14 30 210 2.6
C15 30 180 2.5
シアノエチル シアノ化反応温度 シアノ化反応時間 シアノ化工程後のシアノ
化物 (℃) (分) エチル基への置換度
C14 30 210 2.6
C15 30 180 2.5
(3)エステル化工程
シアノエチル化物として、それぞれ、前記シアノエチル化物C14およびC15を用いたこと以外は、実施例7のエステル化工程と同様にして、ポリオール置換誘導体E45およびE46を得た。前記ポリオール置換誘導体E45およびE46における前記シアノエチル化物、CE基DS、ES基DSおよび合計置換度の関係を、下記表9に示す。
シアノエチル化物として、それぞれ、前記シアノエチル化物C14およびC15を用いたこと以外は、実施例7のエステル化工程と同様にして、ポリオール置換誘導体E45およびE46を得た。前記ポリオール置換誘導体E45およびE46における前記シアノエチル化物、CE基DS、ES基DSおよび合計置換度の関係を、下記表9に示す。
[実施例9]
(1)準備工程
ハイアミロースコーンスターチ100g(無水物換算)を水に懸濁し、40重量%濃度のスラリーを調製した。これを、52℃にセットした恒温槽中で撹拌しながら加温し、15重量%濃度の塩酸を、前記ハイアミロースコーンスターチに対して10重量%添加した。前記塩酸の添加開始から4時間、52℃で撹拌しながら保持し、酸処理を実施した。その後、前記スラリーを30℃まで氷冷し、2重量%濃度の水酸化ナトリウム溶液でpH6.5〜7に中和した。これを、ヌッチェで脱水し、ハイアミロースコーンスターチ固形分の5倍量の50重量%濃度のエタノール溶液で懸濁させて洗浄した。この洗浄を2回実施して、得られたウェットケーキを30℃の温風乾燥機で一晩乾燥させた。このようにして、重量平均分子量が約22,500のハイアミロースコーンスターチを得た。
(1)準備工程
ハイアミロースコーンスターチ100g(無水物換算)を水に懸濁し、40重量%濃度のスラリーを調製した。これを、52℃にセットした恒温槽中で撹拌しながら加温し、15重量%濃度の塩酸を、前記ハイアミロースコーンスターチに対して10重量%添加した。前記塩酸の添加開始から4時間、52℃で撹拌しながら保持し、酸処理を実施した。その後、前記スラリーを30℃まで氷冷し、2重量%濃度の水酸化ナトリウム溶液でpH6.5〜7に中和した。これを、ヌッチェで脱水し、ハイアミロースコーンスターチ固形分の5倍量の50重量%濃度のエタノール溶液で懸濁させて洗浄した。この洗浄を2回実施して、得られたウェットケーキを30℃の温風乾燥機で一晩乾燥させた。このようにして、重量平均分子量が約22,500のハイアミロースコーンスターチを得た。
(2)シアノ化工程
前記準備工程で得られた重量平均分子量が約22,500のハイアミロースコーンスターチを用いたこと以外は、実施例1のシアノ化工程と同様にして、シアノエチル化物C16を得た。前記シアノエチル化物C16におけるシアノ化反応温度、シアノ化反応時間および前記シアノ化工程後のシアノエチル基への置換度の関係を、下記表10に示す。
前記準備工程で得られた重量平均分子量が約22,500のハイアミロースコーンスターチを用いたこと以外は、実施例1のシアノ化工程と同様にして、シアノエチル化物C16を得た。前記シアノエチル化物C16におけるシアノ化反応温度、シアノ化反応時間および前記シアノ化工程後のシアノエチル基への置換度の関係を、下記表10に示す。
(表10)
シアノエチル シアノ化反応温度 シアノ化反応時間 シアノ化工程後のシアノ
化物 (℃) (分) エチル基への置換度
C16 30 50 1.8
シアノエチル シアノ化反応温度 シアノ化反応時間 シアノ化工程後のシアノ
化物 (℃) (分) エチル基への置換度
C16 30 50 1.8
(3)エステル化工程
シアノエチル化物として、前記シアノエチル化物C16を用いたこと、およびエステル化試薬として、オクチル酸ビニルを用いたこと以外は、実施例1のエステル化工程と同様にして、CE基DSおよびES基DSが異なる5種のポリオール置換誘導体E47〜E51を得た。前記ポリオール置換誘導体E47〜E51における前記シアノエチル化物、前記ハイアミロースコーンスターチの糖残基1モルに対するオクチル酸ビニルの添加量(OV添加率)、前記CE基DS、前記ES基DSおよび合計置換度の関係を、下記表11に示す。
シアノエチル化物として、前記シアノエチル化物C16を用いたこと、およびエステル化試薬として、オクチル酸ビニルを用いたこと以外は、実施例1のエステル化工程と同様にして、CE基DSおよびES基DSが異なる5種のポリオール置換誘導体E47〜E51を得た。前記ポリオール置換誘導体E47〜E51における前記シアノエチル化物、前記ハイアミロースコーンスターチの糖残基1モルに対するオクチル酸ビニルの添加量(OV添加率)、前記CE基DS、前記ES基DSおよび合計置換度の関係を、下記表11に示す。
[実施例10]
エステル化試薬として、カプリル酸ビニルを用いたこと以外は、実施例9と同様にして、CE基DSおよびES基DSが異なる5種のポリオール置換誘導体E52〜E56を得た。前記ポリオール置換誘導体E52〜E56における前記シアノエチル化物、前記ハイアミロースコーンスターチの糖残基1モルに対するカプリル酸ビニルの添加量(ClV添加率)、前記CE基DS、前記ES基DSおよび合計置換度の関係を、下記表12に示す。前記ポリオール置換誘導体E54、E55およびE56の溶剤溶解性(溶剤として、酢酸ブチルを用いた場合)の評価結果は、溶解度がそれぞれB、AおよびAであった。また、前記ポリオール置換誘導体E54、E55およびE56の硬化剤相溶性(溶剤として、酢酸ブチルを用い、硬化剤として、硬化剤Aを用いた場合)の評価結果は、すべてAであった。さらに、前記ポリオール置換誘導体E54、E55およびE56の硬化剤相溶性(溶剤として、酢酸ブチルを用い、硬化剤として、硬化剤Bを用いた場合)の評価結果は、それぞれB、AおよびAであった。
エステル化試薬として、カプリル酸ビニルを用いたこと以外は、実施例9と同様にして、CE基DSおよびES基DSが異なる5種のポリオール置換誘導体E52〜E56を得た。前記ポリオール置換誘導体E52〜E56における前記シアノエチル化物、前記ハイアミロースコーンスターチの糖残基1モルに対するカプリル酸ビニルの添加量(ClV添加率)、前記CE基DS、前記ES基DSおよび合計置換度の関係を、下記表12に示す。前記ポリオール置換誘導体E54、E55およびE56の溶剤溶解性(溶剤として、酢酸ブチルを用いた場合)の評価結果は、溶解度がそれぞれB、AおよびAであった。また、前記ポリオール置換誘導体E54、E55およびE56の硬化剤相溶性(溶剤として、酢酸ブチルを用い、硬化剤として、硬化剤Aを用いた場合)の評価結果は、すべてAであった。さらに、前記ポリオール置換誘導体E54、E55およびE56の硬化剤相溶性(溶剤として、酢酸ブチルを用い、硬化剤として、硬化剤Bを用いた場合)の評価結果は、それぞれB、AおよびAであった。
[実施例11]
(1)準備工程
実施例9の準備工程と同様にして、重量平均分子量が約22,500のハイアミロースコーンスターチを得た。
(1)準備工程
実施例9の準備工程と同様にして、重量平均分子量が約22,500のハイアミロースコーンスターチを得た。
(2)シアノ化工程
シアノ化反応時間を65分としたこと以外は、実施例9のシアノ化工程と同様にして、シアノエチル化物C17を得た。前記シアノエチル化物C17のシアノ化工程後のシアノエチル基への置換度は、1.85であった。
シアノ化反応時間を65分としたこと以外は、実施例9のシアノ化工程と同様にして、シアノエチル化物C17を得た。前記シアノエチル化物C17のシアノ化工程後のシアノエチル基への置換度は、1.85であった。
(3)エステル化工程
シアノエチル化物として、前記シアノエチル化物C17を用いたこと、およびエステル化試薬として、カプリン酸ビニルを用いたこと以外は、実施例1のエステル化工程と同様にして、CE基DSおよびES基DSが異なる5種のポリオール置換誘導体E57〜E61を得た。前記ポリオール置換誘導体E57〜E61における前記シアノエチル化物、前記ハイアミロースコーンスターチの糖残基1モルに対するカプリン酸ビニルの添加量(CnV添加率)、前記CE基DS、前記ES基DSおよび合計置換度の関係を、下記表13に示す。前記ポリオール置換誘導体E58、E59、E60およびE61の溶剤溶解性(溶剤として、酢酸ブチルを用いた場合)の評価結果は、溶解度がそれぞれB、A、AおよびAであった。前記ポリオール置換誘導体E58、E59、E60およびE61の硬化剤相溶性(溶剤として、酢酸ブチルを用い、硬化剤として、硬化剤Aを用いた場合)の評価結果は、すべてAであった。さらに、前記ポリオール置換誘導体E58、E59、E60およびE61の硬化剤相溶性(溶剤として、酢酸ブチルを用い、硬化剤として、硬化剤Bを用いた場合)の評価結果は、それぞれB、A、AおよびAであった。
シアノエチル化物として、前記シアノエチル化物C17を用いたこと、およびエステル化試薬として、カプリン酸ビニルを用いたこと以外は、実施例1のエステル化工程と同様にして、CE基DSおよびES基DSが異なる5種のポリオール置換誘導体E57〜E61を得た。前記ポリオール置換誘導体E57〜E61における前記シアノエチル化物、前記ハイアミロースコーンスターチの糖残基1モルに対するカプリン酸ビニルの添加量(CnV添加率)、前記CE基DS、前記ES基DSおよび合計置換度の関係を、下記表13に示す。前記ポリオール置換誘導体E58、E59、E60およびE61の溶剤溶解性(溶剤として、酢酸ブチルを用いた場合)の評価結果は、溶解度がそれぞれB、A、AおよびAであった。前記ポリオール置換誘導体E58、E59、E60およびE61の硬化剤相溶性(溶剤として、酢酸ブチルを用い、硬化剤として、硬化剤Aを用いた場合)の評価結果は、すべてAであった。さらに、前記ポリオール置換誘導体E58、E59、E60およびE61の硬化剤相溶性(溶剤として、酢酸ブチルを用い、硬化剤として、硬化剤Bを用いた場合)の評価結果は、それぞれB、A、AおよびAであった。
実施例1で得られたポリオール置換誘導体E1〜E17の溶剤溶解性および硬化剤相溶性の評価結果(溶剤として、シクロヘキサノンおよび酢酸ブチルを用いた場合)を、下記表14に示す。また、実施例3で得られたポリオール置換誘導体E35〜E39における炭酸水素ナトリウムの添加量、溶剤溶解性(着色)評価結果および透過率測定結果(共に溶剤として、シクロヘキサノンを用いた場合)を、下記表15に示す。さらに、実施例3で得られたポリオール置換誘導体E35〜E39の溶剤溶解性評価(溶剤として、酢酸ブチルおよび酢酸エチルを用いた場合)における、背後に白線を引いた紙を配置したバイアルの写真を、図1および図2に示す。図1が、前記溶剤が酢酸ブチルの場合の写真であり、図2が、前記溶剤が酢酸エチルの場合の写真である。
(表15)
ポリオール 炭酸水素ナトリウム 溶剤溶解性(着色) 溶剤溶解性(透明度)
置換誘導体 の添加量(g) (b * 値) (透過率(%))
E35 8 A− (7.87) B (64.6)
E36 4 A−−(8.55) A−−(70.5)
E37 2 A− (6.10) A− (83.8)
E38 1 A (4.89) A− (88.1)
E39 0 A (3.98) A (91.8)
ポリオール 炭酸水素ナトリウム 溶剤溶解性(着色) 溶剤溶解性(透明度)
置換誘導体 の添加量(g) (b * 値) (透過率(%))
E35 8 A− (7.87) B (64.6)
E36 4 A−−(8.55) A−−(70.5)
E37 2 A− (6.10) A− (83.8)
E38 1 A (4.89) A− (88.1)
E39 0 A (3.98) A (91.8)
前記表14に示すとおり、実施例1で得られたポリオール置換誘導体E1〜E17は、エステル化工程に用いたシアノエチル化物のシアノエチル基への置換度が低いほど、やや着色する傾向にあったものの、優れた溶剤溶解性を示した。また、実施例1で得られたポリオール置換誘導体E1〜E17は、硬化剤相溶性にも優れており、例えば、塗料用途に好適に用いることができると判断できた。なお、溶剤として、酢酸エチルを用いた場合には、硬化剤相溶性は、酢酸ブチルを用いた場合と同様の結果であった。また、溶剤として、アセトンを用いた場合には、溶剤溶解性の評価結果はすべて「A」であり、硬化剤溶解性の評価結果は、シクロヘキサノンを用いた場合と同様であった。さらに、実施例2で得られたポリオール置換誘導体E18〜E34は、それぞれ、すべての溶剤において、溶剤溶解性・硬化剤相溶性ともに実施例1で得られたポリオール置換誘導体E1〜E17と同様の結果であった。
前記表15に示すとおり、実施例3で得られたポリオール置換誘導体E35〜E39は、炭酸水素ナトリウムの添加量が少ないほど、溶剤溶解性評価における着色が少なく、且つ、溶液の透過率が高かった。また、図1および図2に示すように、炭酸水素ナトリウムの添加量が0gのポリオール置換誘導体E39では、その溶液を通して、バイアルの背後に配置した紙に引かれた白線がはっきりと見えたのに対し、炭酸水素ナトリウムの添加量が8gのポリオール置換誘導体E35では、前記白線がやや見えにくかった。ポリオール置換誘導体E35〜E39において、前記白線は、炭酸水素ナトリウムの添加量が多くなるに従い、少しずつ見えにくくなった。
以上のように、本発明によれば、溶剤溶解性に優れたポリオール置換誘導体を低コストで得ることが可能である。本発明のポリオール置換誘導体の用途は、限定されず、例えば、塗料、誘電体、分散型ELランプ、電子写真感光体、液晶表示素子、プラスチック加工品、接着剤、紙用コーティング剤等の用途に広く適用可能である。
Claims (15)
- ポリオール置換誘導体の製造方法であって、
ポリオール化合物を準備する準備工程と、
前記ポリオール化合物の水酸基の一部を、炭素数3〜10のシアノアルキル基で置換するシアノ化工程と、
前記ポリオール化合物の残りの水酸基の一部または全部を、炭素数6〜18の脂肪酸エステル基で置換するエステル化工程とを有するポリオール置換誘導体の製造方法。 - 前記シアノ化工程が、
前記ポリオール化合物に溶剤を添加することで、前記ポリオール化合物のスラリーを調製するスラリー化工程と、
前記スラリーにシアノ化試薬を添加することで、シアノ化反応を実施するシアノ化反応工程とを含む請求項1記載のポリオール置換誘導体の製造方法。 - 前記シアノ化反応工程において、さらに、前記スラリーにアセトンを添加する請求項2記載のポリオール置換誘導体の製造方法。
- 前記シアノ化工程において、前記ポリオール化合物に、シアノ化試薬を添加することで、前記ポリオール化合物をスラリー化し、この状態で、シアノ化反応を実施する請求項1記載のポリオール置換誘導体の製造方法。
- 前記エステル化工程を、触媒無添加の条件下で実施する請求項1から4のいずれか一項に記載のポリオール置換誘導体の製造方法。
- 前記エステル化工程において、エステル化試薬として、ビニルエステル化合物および脂肪酸クロライドの少なくとも一方を用いる請求項1から5のいずれか一項に記載のポリオール置換誘導体の製造方法。
- 前記シアノアルキル基が、シアノエチル基である請求項1から6のいずれか一項に記載のポリオール置換誘導体の製造方法。
- 前記準備工程において、前記ポリオール化合物として、重量平均分子量が5,000〜1,000,000の範囲の多糖類を準備する請求項1から7のいずれか一項に記載のポリオール置換誘導体の製造方法。
- 前記シアノ化工程後において、前記シアノアルキル基への置換度が、前記多糖類の糖残基1個当たりの平均値で、2以上である請求項8記載のポリオール置換誘導体の製造方法。
- 前記エステル化工程後において、前記シアノアルキル基への置換度が、前記多糖類の糖残基1個当たりの平均値で、0.5〜2.8の範囲であり、前記脂肪酸エステル基への置換度が、前記多糖類の糖残基1個当たりの平均値で、0.1〜1.5の範囲であり、前記シアノアルキル基への置換度と前記脂肪酸エステル基への置換度の合計が、前記多糖類の糖残基1個当たりの平均値で、1.0〜3の範囲である請求項8または9記載のポリオール置換誘導体の製造方法。
- 前記多糖類が、澱粉である請求項8から10のいずれか一項に記載のポリオール置換誘導体の製造方法。
- 請求項1から11のいずれか一項に記載の製造方法により製造されたポリオール置換誘導体。
- 前記ポリオール置換誘導体0.5g(無水物換算)をシクロヘキサノン1.7mLに溶解した溶液のL*a*b*表色系のb*値が、10以下である請求項12記載のポリオール置換誘導体。
- 前記ポリオール置換誘導体0.5g(無水物換算)をシクロヘキサノン1.7mLに溶解した溶液のL*a*b*表色系のb*値が、5以下である請求項12記載のポリオール置換誘導体。
- 塗料、誘電体、分散型ELランプ、電子写真感光体、液晶表示素子、プラスチック加工品、接着剤および紙用コーティング剤からなる群から選択される少なくとも一つの用途に用いられる請求項12から14のいずれか一項に記載のポリオール置換誘導体。
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JP2009128053A JP2010007063A (ja) | 2008-05-30 | 2009-05-27 | ポリオール置換誘導体の製造方法およびそれにより得られるポリオール置換誘導体 |
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JP2012224851A (ja) * | 2011-04-05 | 2012-11-15 | Shin-Etsu Chemical Co Ltd | 2−シアノエチル基含有有機化合物の製造方法 |
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2009
- 2009-05-27 JP JP2009128053A patent/JP2010007063A/ja not_active Withdrawn
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