JP2010007061A - ナノ構造中空炭素材料含有ポリプロピレン樹脂組成物およびその成形体 - Google Patents

ナノ構造中空炭素材料含有ポリプロピレン樹脂組成物およびその成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】引張破断強度などの力学物性に優れた成形体を得ること。
【解決手段】ナノ構造中空炭素材料1重量%〜20重量%と、メルトフローレート(MFR)が1g/10分〜200g/10分であるポリプロピレン樹脂80重量%〜99重量%とを含有するポリプロピレン樹脂組成物(ただし、該ナノ構造中空炭素材料の含量と該ポリプロピレン樹脂の含量は、ともに該ナノ構造中空炭素材料と該ポリプロピレン樹脂の合計量を基準とする)。
【選択図】なし

Description

本発明は、ナノ構造中空炭素材料含有ポリプロピレン樹脂組成物とその成形体に関するものである。さらに詳細には、ナノ構造中空炭素材料とポリプロピレン樹脂が均一に混合された、引張破断強度などの力学物性に優れるナノ構造中空炭素材料含有ポリプロピレン樹脂組成物と、その成形体に関するものである。
従来から、ポリプロピレン樹脂の機械的強度を改良する手段として、タルクやガラス繊維などの無機フィラーを含有するポリプロピレン樹脂組成物が知られている(非特許文献1)。
しかし、上記の文献に記載されている樹脂組成物や製造方法では、充分な機械的強度を得るために、タルクやガラス繊維などの無機フィラーが10重量%から40重量%添加されている。近年樹脂製品に対する軽量化の要求が高まる中、無機フィラーを多量に添加することは比重が高くなるため好ましくない。
"Polypropyrene Handbook"(E.P.Moore,Jr.著 Hanser(1996年発行))
かかる状況の下、本発明の目的は、少量のナノ構造中空炭素材料をポリプロピレン樹脂と均一に混合し、引張破断強度などの力学物性に優れた成形体を得ることができるナノ構造中空炭素材料含有ポリプロピレン樹脂組成物を提供することにある。
本発明者は、かかる実状に鑑み、鋭意検討の結果、本発明が、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、ナノ構造中空炭素材料1重量%〜20重量%と、ポリプロピレン樹脂80重量%〜99重量%とを含有するポリプロピレン樹脂組成物(ただし、該ナノ構造中空炭素材料の含量と該ポリプロピレン樹脂の含量は、ともに該ナノ構造中空炭素材料と該ポリプロピレン樹脂の合計含量を基準とする)に関する。
本発明によれば、引張破断強度などの力学物性に優れた成形体を得ることができる。
本発明において、ナノ構造中空炭素材料は、ナノサイズ(0.5nm〜1μm程度)であり、炭素部および中空部を有する。本発明の効果をより高める意味で、本発明の組成物および成形体におけるナノ構造中空炭素材料は、以下の(A)の要件を有することが好ましく、さらに以下の(B)、(C)の要件を有することがより好ましい。
(A)ナノ構造中空炭素材料が炭素部および中空部を有し、中空部が炭素部により袋状に覆われた構造、もしくはその一部の構造であるか、またはこれらの集合体である。
(B)ナノ構造中空炭素材料の炭素部の厚みが、1nm〜100nmの範囲である。
(C)ナノ構造中空炭素材料の中空部の径が、0.5nm〜90nmの範囲である。
また、本発明において、ナノ構造中空炭素材料は、その炭素部が多層状であってもよく、例えば、以下の(D)の要件を有していてもよい。
(D)ナノ構造中空炭素材料の炭素部が、2〜200層(製造面で好ましいものは2〜100層)からなる多層状の構造である。
本発明において、ナノ構造中空炭素材料は、以下の(1)、(2)、(3)および(4)の工程をこの順で含む製造方法により得られることが、好ましい実施形態である。
(1)テンプレート触媒ナノ粒子を製造する工程。
(2)前記テンプレート触媒ナノ粒子の存在下、炭素材料前駆体の重合を行い、前記ナノ粒子の表面に炭素材料中間体を形成させる工程。
(3)前記炭素材料中間体を炭化して炭素材料を形成させ、ナノ構造複合材料を製造する工程。
(4)前記ナノ構造複合材料から、テンプレート触媒ナノ粒子を除去して、ナノ構造中空炭素材料を製造する工程。
以下、上記の(1)、(2)、(3)および(4)の工程につき、具体的に説明する。
工程(1)において、テンプレート触媒ナノ粒子は、以下のようにして製造される。
一つもしくは複数の触媒前駆体と一つもしくは複数の分散剤を用い、次に触媒前駆体と分散剤を反応もしくは結合させ触媒複合体を形成させる。一般的には、触媒前駆体と分散剤とを適当な溶媒に溶解(このとき得られるものを触媒溶液とする。)または分散(このとき得られるものを触媒懸濁液とする。)させ、触媒と分散剤が結合することによりこの触媒複合体は形成される。
触媒前駆体としては、後述の炭素材料前駆体の重合および/または炭素材料中間体の炭化を促進するものであれば特に限定されないが、好ましくは、鉄、コバルト、ニッケルなどの遷移金属を挙げることができ、より好ましくは鉄である。
触媒複合体は単体もしくは複数の分散剤を含む。この分散剤は、目的とする安定性、大きさ、均一性を有する触媒ナノ粒子の生成を促進されるものから選ばれる。分散剤とは種々の有機分子、高分子、オリゴマー等である。この分散剤は、適当な溶媒に溶解もしくは分散させて用いる。
溶媒としては、水や有機溶媒を含む種々の溶媒を利用してよい。触媒前駆体と分散剤の相互作用のため、溶媒を用いる。また、単なる溶媒としてだけではなく、分散剤として作用してもよい。溶媒は触媒ナノ粒子を懸濁液にすることもできる。好ましい溶媒としては、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、アセトニトリル、アセトン、テトラヒドロフラン、エチレングリコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシド、メチレンクロライド等が挙げられ、これらを混合して用いてもよい。
この触媒複合体は溶媒分子によって囲まれた、触媒前駆体と分散剤とから得られる複合体であると考えられる。触媒複合体は触媒溶液または触媒懸濁液中で生成したのち、溶媒を乾燥等により除去することにより、乾燥された触媒複合体を得ることができる。またこの乾燥された触媒複合体は適当な溶媒を加えることで懸濁液に戻すこともできる。
上記においては、触媒溶液または触媒懸濁液の中で、分散剤と触媒前駆体とのモル比を制御できるという特徴がある。好ましくは、分散剤の官能基に対する触媒原子の割合としては0.01:1〜100:1程度であり、さらに好ましくは0.05:1〜50:1程度である。
上記において、分散剤は、非常に小さくかつ均一な粒径の触媒ナノ粒子の形成を促進させることができる。一般的に、分散剤存在下でナノ粒子は1μm以下の大きさとして形成される。好ましくは、50nm以下であって、さらに好ましくは20nm以下である。
上記の触媒溶液または触媒懸濁液においては、触媒ナノ粒子の形成を促進させるための添加物を含んでもよい。添加物としては、例えば、無機酸や塩基化合物を加えることができる。無機酸としては例えば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸などであり、無機塩基化合物としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化アンモニウムなどである。塩基性物質(例えば、アンモニア水溶液)をpH8〜13に調整するため、加えてもよい。より好ましくは10〜11に調整する。高いpH値で触媒前駆体が微細に分離し、触媒ナノ粒子の粒径に影響を与える。
また、触媒ナノ粒子の形成を促進させるための固体物質を加えてもよい。例えば、イオン交換樹脂を触媒ナノ粒子形成時に加えることができる。固体物質は、最終的な触媒溶液もしくは触媒懸濁液から簡単な操作によって除去することができる。
典型的には、上記の触媒溶液または触媒懸濁液は、0.5時間〜14日間混合されることにより、触媒ナノ粒子は得られる。また混合温度は0℃〜200℃程度である。混合温度は、触媒ナノ粒子の粒径に影響を与える重要な因子である。
触媒前駆体として鉄を用いた場合には、典型的には、塩化鉄、硝酸鉄、硫酸鉄などの鉄化合物となり、分散剤と反応もしくは結合することにより、触媒ナノ粒子となる。これらの化合物は水系の溶媒に溶解する場合が多い。金属塩を用いた触媒ナノ粒子の形成によって、副生成物が生成する。典型的な副生成物としては、金属を用いて触媒を調整したときに出る水素ガスである。典型的な実施様態としては、触媒ナノ粒子は混合工程で活性化されるかもしくは、さらには水素を用いてより還元を行う。
好ましくは、触媒ナノ粒子は安定的に活性な金属触媒ナノ粒子の懸濁液として形成されることである。触媒ナノ粒子の安定性により粒子同士の凝集を抑制する。一部もしくはすべての触媒ナノ粒子が沈降したとしても、混合することによって容易に再懸濁化する。
上記において得られる触媒ナノ粒子をテンプレート触媒ナノ粒子として用いる。テンプレート触媒ナノ粒子は、炭素材料前駆体の重合および/または炭素材料中間体の炭化を促進する触媒としての役割を担う。ここでナノ粒子の径は、ナノ構造中空炭素材料における中空部の径に影響を与える。
工程(2)において、炭素材料前駆体としては、テンプレート触媒ナノ粒子を分散できるものであれば特に限定されるものではなく、テンプレート触媒ナノ粒子を分散させて、炭素材料前駆体が重合されることにより、ナノ粒子の表面に炭素材料中間体が形成される。炭素材料前駆体として、好適な有機材料としては、分子中に芳香族環を1つもしくは複数有し重合化のための官能基を有するベンゼンやナフタレン誘導体が挙げられる。重合化のための官能基としては、COOH、C=O、OH、C=C、SO3、NH2、SOH、N=C=Oなどが例示される。
好ましい炭素材料前駆体としては、レゾルシノール、フェノール樹脂、メラニン−ホルムアルデヒドゲル、ポリフルフリルアルコール、ポリアクリロニトリル、砂糖、石油ピッチ等が挙げられる。
テンプレート触媒ナノ粒子は、その表面で炭素材料前駆体が重合するように、炭素材料前駆体と混合される。テンプレート触媒ナノ粒子は触媒活性であるため、その粒子近傍で炭素材料前駆体の重合の開始および/または促進の役割を担う。
炭素材料前駆体に対するテンプレート触媒ナノ粒子の含量は、炭素材料前駆体が、均一にナノ炭素材料中間体を最大量形成するように設定してもよい。テンプレート触媒ナノ粒子の含量は、用いる炭素材料前駆体の種類にも依存する。実施様態の例としては、炭素材料前駆体とテンプレート触媒ナノ粒子とのモル比は、0.1:1〜100:1程度であり、好ましくは1:1〜30:1である。このモル比、触媒ナノ粒子の種類、粒径は、得られるナノ構造中空炭素材料における炭素部の厚みに影響を与える。
テンプレート触媒ナノ粒子および炭素材料前駆体の混合物は、テンプレートナノ触媒粒子の表面に炭素材料中間体が十分に形成されるまで、十分熟成させる。炭素材料中間体を形成させるのに必要な時間は、温度、触媒の種類、触媒の濃度、溶液のpH、用いる炭素材料前駆体の種類に依存する。
pH調整のためにアンモニアを加えることで、重合の速度を速め、炭素材料前駆体同士の架橋量が増え、効果的に重合できることがある。
熱により重合可能な炭素材料前駆体については、通常、温度が上昇するほど重合が進む。好ましくは0℃〜200℃であり、さらに好ましくは25℃〜120℃である。
レゾルシノール−ホルムアルデヒドゲル(鉄粒子を用いる場合で、懸濁液pHが1−14の場合)の最適な重合条件は、0℃〜90℃であり、熟成時間は1時間〜72時間である。
工程(3)において、炭素材料中間体を炭化して炭素材料を形成させ、ナノ構造複合材料を得る。炭化は、通常焼成により行う。典型的には、焼成は、500℃〜2500℃の温度で行う。焼成時には、炭素材料中間体における酸素原子、窒素原子が放出され、炭素原子の再配列が起こり、炭素材料が形成される。好ましくは、炭素材料は、グラファイト様の層状構造(多層状)であり、厚みが1nm〜100nm、より好ましくは1nm〜20nmの構造である。層数は、炭素材料中間体の種類、厚み、焼成温度により制御できる。また、ナノ構造中空炭素材料の炭素部の厚みは、炭素材料前駆体の重合および/または炭素材料中間体の炭化の進行度の調整によっても制御できる。
工程(4)において、ナノ構造複合材料から、テンプレート触媒ナノ粒子を除去して、ナノ構造中空炭素材料を得る。除去は、典型的には、ナノ構造複合材料と、硝酸、フッ酸溶液、水酸化ナトリウムなどの酸や塩基とを接触させることによって行う。好ましくは、硝酸(例えば5規定の硝酸)と接触させるのがよく、3時間〜6時間リフラックスすればよい。この除去においては、ナノ中空体構造、ナノリング構造を完全に壊すことのない手法であればよい。
本発明において、ナノ構造中空炭素材料は、形状、大きさ、電気的特性において特異的である。典型的な形状としては中空部を有する略球状、もしくは少なくともその一部の構造を含む形状である。ナノ構造中空炭素材料の形状、粒径は、製造時に用いたテンプレート触媒ナノ粒子の形状、大きさに依存する部分が大きい。テンプレート触媒ナノ粒子の周囲に炭素材料が形成されることから、中空部の形状、径、ナノ構造中空炭素材料の形状、粒子径にも影響を与える。ナノ構造中空炭素材料は、前記の略球状のみならず、中空部が炭素部により袋状に覆われた構造、もしくはその一部の構造であるか、またはこれらの集合体であってもよい。
上記のナノ構造中空炭素材料において、その形状、炭素部が多層状の場合の層数、炭素部の厚み、中空部の径は、透過型電子顕微鏡(TEM)によって、測定することができる。
本発明のポリプロピレン樹脂組成物は、ナノ構造中空炭素材料とポリプロピレン樹脂との合計を100重量%としたとき、ナノ構造中空炭素材料の含量が1重量%〜20重量%であり、好ましくは1重量%〜10重量%である。
ポリプロピレン樹脂としては、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−α−オレフィンランダム共重合体,プロピレンを単独重合した後にエチレンとプロピレンを共重合して得られるプロピレンブロック共重合体、不飽和カルボン酸およびその誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物で変性された変性ポリプロピレン樹脂などが挙げられる。耐熱性の観点から、ポリプロピレン樹脂として好ましくは、プロピレン単独重合体、プロピレンを単独重合した後にエチレンとプロピレンを共重合して得られるプロピレンブロック共重合体である。これらのポリプロピレン樹脂を単独で用いても良く、少なくとも2種を併用しても良い。
なお、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−α−オレフィンランダム共重合体に含有されるエチレンの含量、α−オレフィンの含量またはエチレンとα−オレフィンの含量の合計は、50モル%未満である(ただし、プロピレンとエチレンとα−オレフィンのそれぞれの含量の合計を100モル%とする)。エチレンの含量、α−オレフィンの含量またはエチレンとα−オレフィンの含量の合計は、”新版 高分子分析ハンドブック”(日本化学会、高分子分析研究懇談会編 紀伊国屋書店(1995))に記載されているIR法またはNMR法を用いて測定される。
ポリプロピレン樹脂に用いられる炭素数4以上のα−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、2−メチル−1−プロペン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、メチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ペンテン、エチル−1−ペンテン、トリメチル−1−ブテン、メチルエチル−1−ブテン、1−オクテン、メチル−1−ペンテン、エチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ヘキセン、プロピル−1−ヘプテン、メチルエチル−1−ヘプテン、トリメチル−1−ペンテン、プロピル−1−ペンテン、ジエチル−1−ブテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等が挙げられる。好ましくは、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンである。
ポリプロピレン樹脂のメルトフローレート(MFR)はナノ構造中空炭素材料の成形品中での分散性や引張破断強度などの機械的強度の観点から、1g/10分〜200g/10分であることが好ましく、より好ましくは、5g/10分〜100g/10分であり、さらに好ましくは、5g/10分〜50g/10分である。
ポリプロピレン樹脂の製造方法としては、溶液重合法、スラリー重合法、バルク重合法、気相重合法等によって製造する方法が挙げられる。また、これらの重合法を単独で用いる方法であっても良く、少なくとも2種を組み合わせた方法であっても良い。
ポリプロピレン樹脂の製造方法としては、例えば、”新ポリマー製造プロセス”(佐伯康治編集、工業調査会(1994年発行))、特開平4−323207号公報、特開昭61−287917号公報等に記載されている重合法が挙げられる。
ポリプロピレン樹脂の製造に用いられる触媒としては、マルチサイト触媒やシングルサイト触媒が挙げられる。マルチサイト触媒として、好ましくは、チタン原子、マグネシウム原子およびハロゲン原子を含有する固体触媒成分を用いて得られる触媒が挙げられ、また、シングルサイト触媒として、好ましくは、メタロセン触媒が挙げられる。
本発明で用いられるポリプロピレン樹脂の製造方法に用いられる好ましい触媒として、上記のチタン原子、マグネシウム原子およびハロゲン原子を含有する固体触媒成分を用いて得られる触媒が挙げられる。
ポリプロピレン樹脂として、変性ポリプロピレン樹脂を含んでいてもよい。
変性ポリプロピレン樹脂とは、不飽和カルボン酸およびその誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物で変性された樹脂である。これらの変性ポリプロピレン樹脂を単独で用いても良く、少なくとも2種を併用しても良い。
変性ポリプロピレン樹脂の製造方法としては、溶液法、バルク法、溶融混練法等の方法が挙げられる。また、これらの少なくとも2種の方法を組み合わせた製造方法であっても良い。
溶液法、バルク法、溶融混練法等の方法としては、例えば、”実用 ポリマーアロイ設計”(井出文雄著、工業調査会(1996年発行))、Prog.Polym.Sci.,24,81−142(1999)、特開2002−308947号公報、特開2004−292581号公報、特開2004−217753号公報、特開2004−217754号公報等に記載されている方法が挙げられる。
変性ポリプロピレン樹脂としては、市販されている変性ポリプロピレン樹脂を用いても良く、例えば、商品名モディパー(日本油脂(株)製)、商品名ブレンマーCP(日本油脂(株)製)、商品名ボンドファースト(住友化学(株)製)、商品名ボンダイン(住友化学(株)製)、商品名レクスパール(日本ポリエチレン(株)製)、商品名アドマー(三井化学(株)製)、商品名モディックAP(三菱化学(株)製)、商品名ポリボンド(クロンプトン(株)製)、商品名ユーメックス(三洋化成(株)製)等が挙げられる。
変性ポリプロピレン樹脂に用いられる不飽和カルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。
また、不飽和カルボン酸の誘導体としては、前記の不飽和カルボン酸の酸無水物、エステル化合物、アミド化合物、イミド化合物、金属塩等が挙げられ、その具体例としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、フマル酸ジメチルエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸モノアミド、マレイン酸ジアミド、フマル酸モノアミド、マレイミド、N−ブチルマレイミド、メタクリル酸ナトリウム等が挙げられる。
また、クエン酸やリンゴ酸のように、ポリオレフィンにグラフトする工程で脱水されることで不飽和カルボン酸を生じるものを用いても良い。
不飽和カルボン酸およびその誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物として、好ましくはアクリル酸、メタクリル酸のグリシジルエステル、無水マレイン酸、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルである。
変性ポリプロピレン樹脂として、好ましくは、以下(a)〜(c)の樹脂、またはこれらの2種類以上の混合物である。
(a)プロピレンの単独重合体に、不飽和カルボン酸および/または不飽和カルボン酸誘導体をグラフト重合して得られる変性ポリプロピレン樹脂。
(b)2種類以上のオレフィンを共重合して得られる共重合体に、不飽和カルボン酸および/または不飽和カルボン酸誘導体をグラフト重合して得られる変性ポリプロピレン樹脂。
(c)プロピレンを単独重合した後に少なくとも2種のオレフィンを共重合して得られるブロック共重合体に、不飽和カルボン酸および/または不飽和カルボン酸誘導体をグラフト重合して得られる変性ポリプロピレン樹脂。
変性ポリプロピレン樹脂に含有される不飽和カルボン酸およびその誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物に由来する構成単位の含量は、引張破断強度等の機械的強度を高めるという観点から、好ましくは0.1重量%〜10重量%である。なお、不飽和カルボン酸およびその誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物に由来する構成単位の含量は、赤外吸収スペクトルまたはNMRスペクトルによって、変性に用いた不飽和カルボン酸およびその誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物に基づく吸収を定量した値である。
本発明において変性ポリプロピレン樹脂を用いる場合、その含量は変性ポリプロピレン樹脂を含むポリプロピレン樹脂の合計重量を100重量%としたとき、0.5重量%〜20重量%が好ましく、さらに好ましくは、0.5重量%〜10重量%である。
本発明のポリプロピレン樹脂組成物の製造方法としては、ナノ構造中空炭素材料とポリプロピレン樹脂とを、プラストミル、バンバリーミキサー、ブラベンダープラストグラフ、一軸押出機または二軸押出機等の公知の溶融混練装置を用いて溶融混練する方法が挙げられる。
より好ましくは、プラストミルまたは二軸押出機を用いて、ナノ構造中空炭素材料とポリプロピレン樹脂を溶融混練する方法である。
本発明のポリプロピレン樹脂組成物には、必要に応じて添加剤を処方することができる。例えば、その主たる役割で代表的な添加剤を列挙すると、ステアリン酸カルシウムなどの中和剤、チバスペシャルティケミカルズ社製 IRGANOX1010に代表されるフェノール系酸化防止剤、チバスペシャルティケミカルズ社製 IRGAFOS168に代表される燐系酸化防止剤、造核剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤などが挙げられる。
本発明の成形体とは、本発明のポリプロピレン樹脂組成物からなる成形体である。成形方法としては、射出成形法、射出圧縮成形法、ガスアシスト成形法、押出成形法等が挙げられる。
本発明の成形体の用途としては、各種電気製品の部品、自動車用部品、建築部材が挙げられる。
電気製品の部品としては例えばハウジング、自動車用部品としては例えばコンソール、レバー、ハンドル等、建築部材としては例えばカーテンレールが挙げられる。
以下、実施例および比較例によって、本発明を説明する。実施例または比較例で、以下に示したナノ構造中空炭素材料、タルクおよびポリプロピレン樹脂を用いた。
(1)ナノ構造中空炭素材料
前述の方法により調製したナノ構造中空炭素材料で、透過型電子顕微鏡および/または走査型電子顕微鏡により観察される径は20−50nm、中空部の径の平均が12nm、炭素部の厚みが4−19nm、中空部の容積が0.363cc/g、炭化率は90%以上であるナノ構造中空炭素材料。
(2)タルク
林化成社製 JR−47を用いた。
(3)ポリプロピレン樹脂
I−1:プロピレン単独重合体を特開平7−216017記載の固体触媒成分を用いて気相重合法により製造した。以下に示した通りに添加剤を配合、混練した後、評価用サンプルを射出成形し、種々の評価に用いた。評価した結果、比重は0.910、MFRは20g/10分、引張破断強度は22MPaであった。
I−2:プロピレン単独重合体を特開平7−216017記載の固体触媒成分を用いて気相重合法により製造した。以下に示した通りに添加剤を配合、混練した後、評価用サンプルを射出成形し、種々の評価に用いた。評価した結果、比重は0.909、MFRは9g/10分、引張破断強度は24MPaであった。
I−3:プロピレン単独重合体を特開平7−216017記載の固体触媒成分を用いて気相重合法により製造した。以下に示した通りに添加剤を配合、混練した後、評価用サンプルを射出成形し、種々の評価に用いた。評価した結果、比重は0.911、MFRは342g/10分、引張破断強度は35MPaであった。
実施例および比較例に用いた評価用サンプルの組成と評価結果を表1に示した。
(1)混合物の混練
混練機:東洋製機社製 ラボプラストミル(Cモデル)
スクリュー回転数:80rpm
混練温度:200℃
混練時間:5分
添加剤:ステアリン酸カルシウム0.05重量部、チバスペシャルティケミカルズ社製 IRGNOX1010 0.1重量部、チバスペシャルティケミカルズ社製 IRGAFOS168 0.1重量部
(2)成形
成形機 TOYO SI−30III
金型温度 :50℃
設定 バレル温度上流側から順に190/210/220/220℃、背圧5MPa、射出速度20mm/秒
実施例および比較例に用いた評価用サンプルの評価方法を以下に示した。
(1)比重(単位:−)
A.S.T.M D792に従って、測定した。
(2)MFR(単位:g/10分)
A.S.T.M D1238に従って、下記条件で測定した。
測定温度:230℃
荷重 :21.1N
(3)引張破断強度(単位:MPa)
A.S.T.M. D638に従って、下記条件で測定した。
測定温度 :23℃
サンプル厚み:2mm
引張速度 :10mm/分

Figure 2010007061

Claims (5)

  1. ナノ構造中空炭素材料1重量%〜20重量%と、メルトフローレート(MFR)が1g/10分〜200g/10分であるポリプロピレン樹脂80重量%〜99重量%とを含有するポリプロピレン樹脂組成物(ただし、該ナノ構造中空炭素材料の含量と該ポリプロピレン樹脂の含量は、ともに該ナノ構造中空炭素材料と該ポリプロピレン樹脂の合計量を基準とする)。
  2. ナノ構造中空炭素材料が炭素部および中空部を有し、該中空部が該炭素部により袋状に覆われた構造、もしくはその一部の構造であるか、またはこれらの集合体である、請求項1に記載のポリプロピレン樹脂組成物。
  3. ナノ構造中空炭素材料の炭素部の厚みが、1nm〜100nmの範囲であり、ナノ構造中空炭素材料の中空部の径が、0.5nm〜90nmの範囲である、請求項1または2に記載のポリプロピレン樹脂組成物。
  4. ナノ構造中空炭素材料が以下の(1)、(2)、(3)および(4)の工程をこの順に含む製造工程から製造される、請求項1から3いずれかに記載のポリプロピレン樹脂組成物。
    (1)テンプレート触媒ナノ粒子を製造する工程。
    (2)前記テンプレート触媒ナノ粒子の存在下、炭素材料前駆体の重合を行い、前記ナノ粒子の表面に炭素材料中間体を形成させる工程。
    (3)前記炭素材料中間体を炭化して炭素材料を形成させ、ナノ構造複合材料を製造する工程。
    (4)前記ナノ構造複合材料から、テンプレート触媒ナノ粒子を除去して、ナノ構造中空炭素材料を製造する工程。
  5. 請求項1〜4いずれかに記載のポリプロピレン樹脂組成物からなる成形体。
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