JP2010006954A - 電子基板保護用シート - Google Patents
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Abstract
【課題】
電子部品や電子基板との密着性が良好であり、被覆性と入り込み性を同時に満たすことで、保護機能の信頼性の高い電子基板保護用シートを提供する。
【解決手段】
下記の共重合体(a)70〜90質量部に対して、下記のグラフト成分(b)10〜30質量部をグラフト化して得られるグラフト共重合体を成形してなり、厚みが100〜1000μmである電子基板保護用シート。
(a)オレフィン系単量体(a1)60〜98質量%と、エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和カルボン酸エステル、およびエチレン性不飽和ジカルボン酸無水物からなる群より選ばれる少なくとも1種の極性単量体(a2)2〜40質量%を共重合してなる共重合体
(b)芳香族単官能エチレン性不飽和単量体(b1)70〜95質量%と、2官能エチレン性不飽和単量体(b2)5〜30質量%からなるグラフト成分
【選択図】 図1
電子部品や電子基板との密着性が良好であり、被覆性と入り込み性を同時に満たすことで、保護機能の信頼性の高い電子基板保護用シートを提供する。
【解決手段】
下記の共重合体(a)70〜90質量部に対して、下記のグラフト成分(b)10〜30質量部をグラフト化して得られるグラフト共重合体を成形してなり、厚みが100〜1000μmである電子基板保護用シート。
(a)オレフィン系単量体(a1)60〜98質量%と、エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和カルボン酸エステル、およびエチレン性不飽和ジカルボン酸無水物からなる群より選ばれる少なくとも1種の極性単量体(a2)2〜40質量%を共重合してなる共重合体
(b)芳香族単官能エチレン性不飽和単量体(b1)70〜95質量%と、2官能エチレン性不飽和単量体(b2)5〜30質量%からなるグラフト成分
【選択図】 図1
Description
本発明は、電子部品および電子部品を搭載した電子基板の表面を被覆し保護するための電子基板保護用シートに関する。
電子部品や電子部品を搭載した電子基板を、高温多湿の腐食環境や、温度変化による熱衝撃から保護するために、電子基板の一部ないし全面を被覆保護することが行われている。さらに、近年では、保護される電子部品や電子基板回路の著しい性能の向上や小型化に伴い、被覆保護する材料に求められる保護機能の要求水準が高まっている。
電子基板を被覆保護する手法としては、生産性の高さから、シート状ないしフィルム状に成形され粘接着性を有する電子基板保護用シートが広く用いられている。この電子基板保護用シートとしては、ベースシート上に粘接着剤を塗布したタイプのものが用いられてきた(例えば、特許文献1)。
しかし、ベースシートを用いた電子基板保護用シートの場合、ベースシート材料とこれに塗布して使用される粘接着剤との温度変化による材料の膨張・収縮における挙動の違いから、保護機能の信頼性に影響を及ぼす場合があることが知られている。すなわち、被着体である電子基板や部品とベースシートとの間に介在する粘接着剤は、両者のいずれかの変形に追随するため、熱履歴によって空隙が生じやすい。空隙が生じた場合、水蒸気等の存在により信頼性の低下を招きやすい。
電子基板を被覆保護する手法としては、生産性の高さから、シート状ないしフィルム状に成形され粘接着性を有する電子基板保護用シートが広く用いられている。この電子基板保護用シートとしては、ベースシート上に粘接着剤を塗布したタイプのものが用いられてきた(例えば、特許文献1)。
しかし、ベースシートを用いた電子基板保護用シートの場合、ベースシート材料とこれに塗布して使用される粘接着剤との温度変化による材料の膨張・収縮における挙動の違いから、保護機能の信頼性に影響を及ぼす場合があることが知られている。すなわち、被着体である電子基板や部品とベースシートとの間に介在する粘接着剤は、両者のいずれかの変形に追随するため、熱履歴によって空隙が生じやすい。空隙が生じた場合、水蒸気等の存在により信頼性の低下を招きやすい。
ポリイミド樹脂は電子基板保護用シートに従来から重用されてきたが、電子基板保護用シートに対する近年の要求水準の高まりから、問題点もクローズアップされるようになった。ポリイミド樹脂の有する透湿性が、非常に僅かな空隙発生に対して問題となる場合が出てきているのである。
ポリイミド樹脂に代わる材料として、熱可塑性樹脂は透湿性が非常に低く、また熱硬化性樹脂の硬化反応時のアウトガス発生も無いので、信頼性の点から電子基板保護用シートの材料として優れた特徴を有しているといえる。とりわけ、ポリオレフィン系の熱可塑性樹脂は、リサイクル可能であり近年の対環境要求にも沿うものである。しかしながら、電子基板保護用シートのベースシートとして使用するには、接着機能が十分でないという問題を有している。
熱可塑性樹脂の接着性を改善する手立てが図られている。特許文献2には、エチレン−グリシジルメタクリレート等のランダム共重合体にロジン等の化合物を配合した組成物が開示されており、これをフィルム状に成形してフィルム接着剤としての使用が可能であるとしている。しかしながらこの開示技術による組成物を電子基板保護用シートとして使用しようとすると、熱による接着工程において樹脂ダレが生じて被覆されない部分が出来てしまう。
ポリイミド樹脂に代わる材料として、熱可塑性樹脂は透湿性が非常に低く、また熱硬化性樹脂の硬化反応時のアウトガス発生も無いので、信頼性の点から電子基板保護用シートの材料として優れた特徴を有しているといえる。とりわけ、ポリオレフィン系の熱可塑性樹脂は、リサイクル可能であり近年の対環境要求にも沿うものである。しかしながら、電子基板保護用シートのベースシートとして使用するには、接着機能が十分でないという問題を有している。
熱可塑性樹脂の接着性を改善する手立てが図られている。特許文献2には、エチレン−グリシジルメタクリレート等のランダム共重合体にロジン等の化合物を配合した組成物が開示されており、これをフィルム状に成形してフィルム接着剤としての使用が可能であるとしている。しかしながらこの開示技術による組成物を電子基板保護用シートとして使用しようとすると、熱による接着工程において樹脂ダレが生じて被覆されない部分が出来てしまう。
特許文献3には、熱溶融温度が異なる2種の樹脂材料が積層された保護シートが開示されている。この開示技術においては、熱溶融温度の高い樹脂にベースフィルムの役割をさせ、熱溶融温度が低い光硬化性樹脂に粘接着剤の役割をさせるものであり、2種の材料に類似の材料特性を有する樹脂を用いることにより、ベースフィルムを用いることなく樹脂間の熱履歴の違いによる信頼性低下の問題の回避を図ることができる。しかしながら、この開示技術によっても依然として粘接着成分の熱による樹脂ダレの問題は解決しない。
熱圧着時の温度でも流動せずフィルム形状を保持しながらも、保護される基板や部品の接着界面に十分に行き渡り良好な接着性を発現することにより、信頼性の高い保護機能を果たすことができる電子基板保護用シートが求められているのである。
特開平8−181418号公報
特開平10−316955号公報
特開2008−27973号公報
熱圧着時の温度でも流動せずフィルム形状を保持しながらも、保護される基板や部品の接着界面に十分に行き渡り良好な接着性を発現することにより、信頼性の高い保護機能を果たすことができる電子基板保護用シートが求められているのである。
本発明の目的は、電子部品や電子基板との密着性が良好であり、搭載された電子部品の上面を確実に被覆し、かつ電子基板と電子部品との間隙への樹脂の入り込みが十分であり、かつ熱圧力負荷時においても樹脂ダレが抑制されて形状安定性が良好であることによって、保護機能の信頼性の高い電子基板保護用シートを提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の共重合体からなる被グラフト体に対して、特定のグラフト成分を特定比率でグラフト化して得られるグラフト共重合体(P)を成形してなる電子基板保護用シートが、前記の課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は次の〔1〕である。
すなわち、本発明は次の〔1〕である。
〔1〕下記の共重合体(a)70〜90質量部に対して、下記のグラフト成分(b)10〜30質量部をグラフト化して得られるグラフト共重合体(P)を成形してなり、厚みが100〜1000μmである電子基板保護用シート。
(a)オレフィン系単量体(a1)60〜98質量%と、エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和カルボン酸エステル、およびエチレン性不飽和ジカルボン酸無水物からなる群より選ばれる少なくとも1種の極性単量体(a2)2〜40質量%を共重合してなる共重合体
(b)芳香族単官能エチレン性不飽和単量体(b1)70〜95質量%と、2官能エチレン性不飽和単量体(b2)5〜30質量%からなるグラフト成分
(a)オレフィン系単量体(a1)60〜98質量%と、エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和カルボン酸エステル、およびエチレン性不飽和ジカルボン酸無水物からなる群より選ばれる少なくとも1種の極性単量体(a2)2〜40質量%を共重合してなる共重合体
(b)芳香族単官能エチレン性不飽和単量体(b1)70〜95質量%と、2官能エチレン性不飽和単量体(b2)5〜30質量%からなるグラフト成分
本発明の電子基板保護用シートは、金属や樹脂など極性の異なる各種の材料に対する良好な密着性(親和性)を有し、施工時の熱圧力負荷の条件を経た後にも樹脂ダレを生じず良好に形状を保持しながら、電子部品表面の凹凸部や、電子基板とその上に搭載された電子部品との間隙までも電子基板表面を良好に被覆する効果を有する。
以下、本発明の最良と思われる実施形態について詳細に説明する。
本発明の電子基板保護用シートに用いるグラフト共重合体(P)は、以下に示す共重合体(a)に、グラフト成分(b)をグラフト化してなる。
<共重合体(a)>
本発明に用いる共重合体(a)は、グラフト共重合体(P)における幹の高分子鎖であり、以下に示すオレフィン系単量体(a1)と極性単量体(a2)を共重合してなる。
<オレフィン系単量体(a1)>
本発明に用いるオレフィン系単量体(a1)は、共重合体(a)中に構成単位としての導入された後に非極性の構成単位となり、主に絶縁性等の熱可塑性樹脂としての基本的な性能を発現する成分である。オレフィン系単量体(a1)の具体例としては、エチレン;プロピレン、ブテン、オクテン、4−メチルペンテン等のα−オレフィン等が挙げられる。オレフィン系単量体(a1)は1種または2種以上を混合して用いることができる。
共重合体(a)中におけるオレフィン系単量体(a1)の割合は60〜98質量%であり、好ましくは70〜95質量%である。この割合が98質量%よりも多い場合には、極性単量体(a2)を十分な量配合できず、本発明の効果を得ることができない。60質量%よりも少ない場合には、溶融樹脂の張力が低下し樹脂が破断しやすくなったり、押出装置やカレンダーロールなどフィルム化装置への樹脂粘着が著しくなったりするのでシート成形が困難となる。
本発明の電子基板保護用シートに用いるグラフト共重合体(P)は、以下に示す共重合体(a)に、グラフト成分(b)をグラフト化してなる。
<共重合体(a)>
本発明に用いる共重合体(a)は、グラフト共重合体(P)における幹の高分子鎖であり、以下に示すオレフィン系単量体(a1)と極性単量体(a2)を共重合してなる。
<オレフィン系単量体(a1)>
本発明に用いるオレフィン系単量体(a1)は、共重合体(a)中に構成単位としての導入された後に非極性の構成単位となり、主に絶縁性等の熱可塑性樹脂としての基本的な性能を発現する成分である。オレフィン系単量体(a1)の具体例としては、エチレン;プロピレン、ブテン、オクテン、4−メチルペンテン等のα−オレフィン等が挙げられる。オレフィン系単量体(a1)は1種または2種以上を混合して用いることができる。
共重合体(a)中におけるオレフィン系単量体(a1)の割合は60〜98質量%であり、好ましくは70〜95質量%である。この割合が98質量%よりも多い場合には、極性単量体(a2)を十分な量配合できず、本発明の効果を得ることができない。60質量%よりも少ない場合には、溶融樹脂の張力が低下し樹脂が破断しやすくなったり、押出装置やカレンダーロールなどフィルム化装置への樹脂粘着が著しくなったりするのでシート成形が困難となる。
<極性単量体(a2)>
本発明に用いる極性単量体(a2)は、エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和カルボン酸エステル、およびエチレン性不飽和ジカルボン酸無水物群より選ばれる少なくとも1種の単量体である。極性単量体(a2)は、極性官能基として、酸素を含有する官能基であるカルボキシル基、カルボン酸エステル基、または無水カルボン酸基を有し、共重合体(a)中に構成単位として導入された後に適度な極性を有する構成単位となり、グラフト共重合体(P)に本発明の目的に適う接着性を付与することができる。
極性単量体(a2)は、具体的には、エチレン性不飽和カルボン酸の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸などが、エチレン性不飽和カルボン酸エステルとしては、グリシジルメタクリレート、エチルアクリレート、酢酸ビニルなどが、エチレン性不飽和ジカルボン酸無水物としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸などが挙げられる。極性単量体(a2)は1種または2種以上を混合して用いることができる。
共重合体(a)中における極性単量体(a2)の割合は2〜40質量%であり、好ましくは5〜30質量%である。この割合が2質量%よりも少ない場合には、極性の大きい材料表面との分子間相互作用が低下するため、電子基板保護用シートは金属材料など極性の大きい表面に対する密着力が低下する。一方で40質量%よりも多い場合には、オレフィン系単量体(a1)を十分な量配合できず、本発明の効果を得ることができない。
本発明に用いる極性単量体(a2)は、エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和カルボン酸エステル、およびエチレン性不飽和ジカルボン酸無水物群より選ばれる少なくとも1種の単量体である。極性単量体(a2)は、極性官能基として、酸素を含有する官能基であるカルボキシル基、カルボン酸エステル基、または無水カルボン酸基を有し、共重合体(a)中に構成単位として導入された後に適度な極性を有する構成単位となり、グラフト共重合体(P)に本発明の目的に適う接着性を付与することができる。
極性単量体(a2)は、具体的には、エチレン性不飽和カルボン酸の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸などが、エチレン性不飽和カルボン酸エステルとしては、グリシジルメタクリレート、エチルアクリレート、酢酸ビニルなどが、エチレン性不飽和ジカルボン酸無水物としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸などが挙げられる。極性単量体(a2)は1種または2種以上を混合して用いることができる。
共重合体(a)中における極性単量体(a2)の割合は2〜40質量%であり、好ましくは5〜30質量%である。この割合が2質量%よりも少ない場合には、極性の大きい材料表面との分子間相互作用が低下するため、電子基板保護用シートは金属材料など極性の大きい表面に対する密着力が低下する。一方で40質量%よりも多い場合には、オレフィン系単量体(a1)を十分な量配合できず、本発明の効果を得ることができない。
<共重合体(a)の合成>
共重合体(a)は、(a1)成分と(a2)との共重合によって合成され、ランダム共重合体、ブロック共重合体のいずれでもよい。また、共重合体(a)の重合方法としては、エチレン性不飽和結合の付加重合反応を用いるラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合等の公知の方法を用いることができる。共重合体(a)は、固相重合、溶液重合、塊状重合、乳化重合、シード乳化重合、懸濁重合、分散重合等の重合方法を用いて共重合することができる。
共重合体(a)の具体例としては、EGMA(エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体)、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)、EEA(エチレン−エチルアクリレート共重合体)、EMA(エチレン−メタクリル酸共重合体)、エチレン−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体、プロピレン−酢酸ビニル共重合体、プロピレン−グリシジルメタクリレート共重合体、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−グリシジルメタクリレート共重合体などの共重合体が挙げられる。共重合体(a)は1種または2種以上を混合して用いることができる。
共重合体(a)は、(a1)成分と(a2)との共重合によって合成され、ランダム共重合体、ブロック共重合体のいずれでもよい。また、共重合体(a)の重合方法としては、エチレン性不飽和結合の付加重合反応を用いるラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合等の公知の方法を用いることができる。共重合体(a)は、固相重合、溶液重合、塊状重合、乳化重合、シード乳化重合、懸濁重合、分散重合等の重合方法を用いて共重合することができる。
共重合体(a)の具体例としては、EGMA(エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体)、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)、EEA(エチレン−エチルアクリレート共重合体)、EMA(エチレン−メタクリル酸共重合体)、エチレン−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体、プロピレン−酢酸ビニル共重合体、プロピレン−グリシジルメタクリレート共重合体、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−グリシジルメタクリレート共重合体などの共重合体が挙げられる。共重合体(a)は1種または2種以上を混合して用いることができる。
<グラフト成分(b)>
本発明に用いるグラフト成分(b)は、芳香族単官能エチレン性不飽和単量体(b1)と2官能エチレン性不飽和単量体(b2)からなり、グラフト共重合してグラフト共重合体(P)における枝の高分子鎖を構成する構造単位となる。
<芳香族単官能エチレン性不飽和単量体(b1)>
本発明に用いる芳香族単官能エチレン性不飽和単量体(b1)は、共重合体(a)中に構成単位として導入された後、高いガラス転移温度(Tg)と高い分解開始温度を有するため、本発明の電子基板保護用シートに高い熱安定性を付与する。
本発明に用いる芳香族単官能エチレン性不飽和単量体(b1)の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2−ビニルトルエンなどのスチレン系単量体が挙げられる。(b1)成分は1種または2種以上を混合して用いることができる。
本発明に用いるグラフト成分(b)は、芳香族単官能エチレン性不飽和単量体(b1)と2官能エチレン性不飽和単量体(b2)からなり、グラフト共重合してグラフト共重合体(P)における枝の高分子鎖を構成する構造単位となる。
<芳香族単官能エチレン性不飽和単量体(b1)>
本発明に用いる芳香族単官能エチレン性不飽和単量体(b1)は、共重合体(a)中に構成単位として導入された後、高いガラス転移温度(Tg)と高い分解開始温度を有するため、本発明の電子基板保護用シートに高い熱安定性を付与する。
本発明に用いる芳香族単官能エチレン性不飽和単量体(b1)の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2−ビニルトルエンなどのスチレン系単量体が挙げられる。(b1)成分は1種または2種以上を混合して用いることができる。
以下、本発明の最良と思われる実施形態について詳細に説明する。
本発明の電子基板保護用シートに用いるグラフト共重合体(P)は、以下に示す共重合体(a)に、グラフト成分(b)をグラフト化してなる。
<共重合体(a)>
本発明に用いる共重合体(a)は、グラフト共重合体(P)における幹の高分子鎖であり、以下に示すオレフィン系単量体(a1)と極性単量体(a2)を共重合してなる。
<オレフィン系単量体(a1)>
本発明に用いるオレフィン系単量体(a1)は、共重合体(a)中に構成単位としての導入された後に非極性の構成単位となり、主に絶縁性等の熱可塑性樹脂としての基本的な性能を発現する成分である。オレフィン系単量体(a1)の具体例としては、エチレン;プロピレン、ブテン、オクテン、4−メチルペンテン等のα−オレフィン等が挙げられる。オレフィン系単量体(a1)は1種または2種以上を混合して用いることができる。
共重合体(a)中におけるオレフィン系単量体(a1)の割合は60〜98質量%であり、好ましくは70〜95質量%である。この割合が98質量%よりも多い場合には、極性単量体(a2)を十分な量配合できず、本発明の効果を得ることができない。60質量%よりも少ない場合には、溶融樹脂の張力が低下し樹脂が破断しやすくなったり、押出装置やカレンダーロールなどフィルム化装置への樹脂粘着が著しくなったりするのでシート成形が困難となる。
本発明において、(b2)成分の割合は、グラフト成分(b)中においては上記の通りであればよいが、さらに、グラフト共重合体(P)中における割合としては、好ましくは1〜4質量%、より好ましくは1.5〜3.5質量%である。グラフト共重合体(P)中における(b2)成分の割合が少なすぎる場合、同様の理由で熱圧力負荷時における形状安定性が低下したり、被覆性が低下したりして好ましくない。また、グラフト共重合体(P)中における(b2)成分の割合が多すぎる場合、同様の理由で入り込み性が低下して好ましくない。
本発明の電子基板保護用シートに用いるグラフト共重合体(P)は、以下に示す共重合体(a)に、グラフト成分(b)をグラフト化してなる。
<共重合体(a)>
本発明に用いる共重合体(a)は、グラフト共重合体(P)における幹の高分子鎖であり、以下に示すオレフィン系単量体(a1)と極性単量体(a2)を共重合してなる。
<オレフィン系単量体(a1)>
本発明に用いるオレフィン系単量体(a1)は、共重合体(a)中に構成単位としての導入された後に非極性の構成単位となり、主に絶縁性等の熱可塑性樹脂としての基本的な性能を発現する成分である。オレフィン系単量体(a1)の具体例としては、エチレン;プロピレン、ブテン、オクテン、4−メチルペンテン等のα−オレフィン等が挙げられる。オレフィン系単量体(a1)は1種または2種以上を混合して用いることができる。
共重合体(a)中におけるオレフィン系単量体(a1)の割合は60〜98質量%であり、好ましくは70〜95質量%である。この割合が98質量%よりも多い場合には、極性単量体(a2)を十分な量配合できず、本発明の効果を得ることができない。60質量%よりも少ない場合には、溶融樹脂の張力が低下し樹脂が破断しやすくなったり、押出装置やカレンダーロールなどフィルム化装置への樹脂粘着が著しくなったりするのでシート成形が困難となる。
本発明において、(b2)成分の割合は、グラフト成分(b)中においては上記の通りであればよいが、さらに、グラフト共重合体(P)中における割合としては、好ましくは1〜4質量%、より好ましくは1.5〜3.5質量%である。グラフト共重合体(P)中における(b2)成分の割合が少なすぎる場合、同様の理由で熱圧力負荷時における形状安定性が低下したり、被覆性が低下したりして好ましくない。また、グラフト共重合体(P)中における(b2)成分の割合が多すぎる場合、同様の理由で入り込み性が低下して好ましくない。
<グラフト化によるグラフト共重合体(P)の製造>
上記の通り、本発明に用いるグラフト共重合体は、幹の高分子鎖に相当する共重合体(a)に、枝に相当するグラフト成分(b)をグラフト化してなる。(a)、(b)両成分に由来する2つのセグメントは、上述の通りの内容成分(a1)、(a2)、および(b1)、(b2)をそれぞれ特定量配合されているので、極性の相違から、(a)をマトリックス成分、(b)をドメイン成分とする相分離構造を取る。そのため、本発明の電子基板保護用シートは、グラフト成分(b)の架橋構造によって高温においても良好な形状安定性を有する一方で、熱圧着時においてはドメイン成分を掻き分けるような形態で、ドメイン成分がマトリックス成分と随伴するように、マトリックス成分が電子基板表面に優勢的に接触し、そこで作用するマトリックス成分は多種の被着材料への親和性が良好であることから、良好な密着性や間隙への入り込み性も良好となる。形状安定性と入り込み性という相反する2つの性能を同時に満たすことが可能になるのである。
本発明に用いるグラフト共重合体(P)のグラフトの幹と枝のそれぞれに相当する共重合体(a)とグラフト成分(b)の配合比率は、グラフト共重合体(P)中における共重合体(a)の割合として、70〜90質量%であり、好ましくは74〜86質量%である。この割合が90質量%より多い場合は、上述の相分離状態におけるドメインの密度が小さくなるため、グラフト共重合体(P)は軟化点以上において高い流動性を示し、溶融樹脂の張力が低下するため、樹脂が破断しやすくシート成形が困難となり、また密着後の形状安定性や搭載された電子部品上部の被覆性が低下する。一方でこの割合が70質量%よりも少ない場合は、上述の相分離状態におけるドメインの密度が高くなるため、樹脂が脆くなりシート成形が困難となる。また、流動性が低下するため、電子基板との接触が十分に成されず密着力が低下したり、電子部品と電子基板との間隙への入り込み性が低下する。
上記の通り、本発明に用いるグラフト共重合体は、幹の高分子鎖に相当する共重合体(a)に、枝に相当するグラフト成分(b)をグラフト化してなる。(a)、(b)両成分に由来する2つのセグメントは、上述の通りの内容成分(a1)、(a2)、および(b1)、(b2)をそれぞれ特定量配合されているので、極性の相違から、(a)をマトリックス成分、(b)をドメイン成分とする相分離構造を取る。そのため、本発明の電子基板保護用シートは、グラフト成分(b)の架橋構造によって高温においても良好な形状安定性を有する一方で、熱圧着時においてはドメイン成分を掻き分けるような形態で、ドメイン成分がマトリックス成分と随伴するように、マトリックス成分が電子基板表面に優勢的に接触し、そこで作用するマトリックス成分は多種の被着材料への親和性が良好であることから、良好な密着性や間隙への入り込み性も良好となる。形状安定性と入り込み性という相反する2つの性能を同時に満たすことが可能になるのである。
本発明に用いるグラフト共重合体(P)のグラフトの幹と枝のそれぞれに相当する共重合体(a)とグラフト成分(b)の配合比率は、グラフト共重合体(P)中における共重合体(a)の割合として、70〜90質量%であり、好ましくは74〜86質量%である。この割合が90質量%より多い場合は、上述の相分離状態におけるドメインの密度が小さくなるため、グラフト共重合体(P)は軟化点以上において高い流動性を示し、溶融樹脂の張力が低下するため、樹脂が破断しやすくシート成形が困難となり、また密着後の形状安定性や搭載された電子部品上部の被覆性が低下する。一方でこの割合が70質量%よりも少ない場合は、上述の相分離状態におけるドメインの密度が高くなるため、樹脂が脆くなりシート成形が困難となる。また、流動性が低下するため、電子基板との接触が十分に成されず密着力が低下したり、電子部品と電子基板との間隙への入り込み性が低下する。
グラフト共重合体(P)の製造方法としては、一般によく知られる含浸グラフト重合法、連鎖移動法、電離性放射線照射法などが挙げられる。これらの中で、作業安全面で優位かつ、グラフト効率が高く、熱による凝集が起きにくいため性能が効果的に現れる含浸グラフト重合法が好ましい。本方法によるグラフト共重合体(P)製造法は通常以下の通りである。共重合体(a)を水に懸濁させ、別途グラフト成分(b)にラジカル共重合性有機過酸化物をグラフト成分(b)100質量部に対して0.1〜10質量部と、10時間の半減期を得るための分解温度が40〜90℃であるラジカル重合開始剤をグラフト成分(b)およびラジカル共重合性有機過酸化物の合計100質量部に対して0.01〜5質量部を溶解させた溶液を加える。次いで、前記ラジカル共重合性有機過酸化物を共重合体(a)に含浸させる。その後、ラジカル重合開始剤の分解が実質的に起こらない温度にまでこの水性懸濁液を昇温させ、グラフト成分(b)およびラジカル共重合性有機過酸化物を共重合体(a)中で共重合させ、グラフト化前駆体を得る。このグラフト化前駆体を100〜300℃溶融下で混練し、目的のグラフト共重合体(P)を得る。
前記のグラフト共重合体(P)には、本発明の目的を損ねない範囲において酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、着色剤、導電性フィラー、熱伝導性フィラーなどの添加剤を添加して使用することができる。
本発明の電子基板保護用シートを構成する上記グラフト共重合体(P)の樹脂物性としては、MFR(メルトマスフローレイト)値を指標として管理すればよい。MFR値は230℃/10kgfの測定条件下で、好ましくは2〜20g/10分であり、より好ましくは3〜15g/10分である。MFR値が2g/10分を下回ると、電子基板保護用シートを電子基板に密着させる際に、搭載された電子部品の凹凸部や、電子部品と電子基板との間隙へ樹脂を十分に入り込ませるために要する時間が長くなるため作業性が悪化する。一方25g/10分を上回ると、溶融樹脂の張力が低下するため樹脂が破断しやすくシート成形が困難となる傾向がある。
本発明の電子基板保護用シートを構成する上記グラフト共重合体(P)の樹脂物性としては、MFR(メルトマスフローレイト)値を指標として管理すればよい。MFR値は230℃/10kgfの測定条件下で、好ましくは2〜20g/10分であり、より好ましくは3〜15g/10分である。MFR値が2g/10分を下回ると、電子基板保護用シートを電子基板に密着させる際に、搭載された電子部品の凹凸部や、電子部品と電子基板との間隙へ樹脂を十分に入り込ませるために要する時間が長くなるため作業性が悪化する。一方25g/10分を上回ると、溶融樹脂の張力が低下するため樹脂が破断しやすくシート成形が困難となる傾向がある。
<電子基板保護用シート>
本発明の電子基板保護用シートは、上述のグラフト共重合体(P)を成形して得られる。成型方法については特に制限されないが、一般によく知られているTダイ法、インフレーション成形法、カレンダーロール成形法、プレス成形法などがある。Tダイ法、インフレーション成形法、カレンダーロール成形法は加熱溶融樹脂を押出機で押し出し、それぞれ所定の方法にてフィルム成形させる。シート厚み制御の容易性の点からは、Tダイ法およびカレンダーロール成形法が好ましい。押出機を用いる際の温度、あるいはプレス成形時のプレス温度は、グラフト共重合体(P)が十分に軟化し、かつ高温での熱分解が実用上問題とならない範囲で行えばよく、通常は電子基板保護用シート組成物の軟化点よりも20℃以上高い温度であり、一般的には100〜250℃の範囲である。
本発明の電子基板保護用シートは、上述のグラフト共重合体(P)を成形して得られる。成型方法については特に制限されないが、一般によく知られているTダイ法、インフレーション成形法、カレンダーロール成形法、プレス成形法などがある。Tダイ法、インフレーション成形法、カレンダーロール成形法は加熱溶融樹脂を押出機で押し出し、それぞれ所定の方法にてフィルム成形させる。シート厚み制御の容易性の点からは、Tダイ法およびカレンダーロール成形法が好ましい。押出機を用いる際の温度、あるいはプレス成形時のプレス温度は、グラフト共重合体(P)が十分に軟化し、かつ高温での熱分解が実用上問題とならない範囲で行えばよく、通常は電子基板保護用シート組成物の軟化点よりも20℃以上高い温度であり、一般的には100〜250℃の範囲である。
このようにして成形される電子基板保護用シートを用いるための好ましい方法は、密着させる電子基板に電子基板保護用シートを重ね合わせ、熱圧着させる方法である。電子基板保護用シート厚みは100〜1000μmであり、好ましくは120〜900μmである。厚みが100μm未満では、電子基板保護用シート密着時に、搭載された電子部品の凹凸部や、電子部品と電子基板との間隙への入り込み性が低下する。一方で1000μmを上回ると、電子基板端面における樹脂ダレが顕著になったり、電子基板保護用シートが密着された電子基板の撓みが問題となったりする。
本発明の熱融着性電子基板保護用シートは、金属、樹脂、繊維、セラミック、ガラス、導電性シリコンいずれにも実用上十分な密着力を示す。金属としては、アルミニウム、銅、真鍮、ステンレス、鉄、クロムなどに使用できる。樹脂としてはエポキシ樹脂、ポリエチレンテレフタラート、ポリイミド、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン系グラフトポリマー、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルなどに使用できる。それゆえに本電子基板保護用シートは極性の異なる異種材料間の密着にも好適に用いることができる。
本発明の電子基板保護用シートは、各種電子基板、すなわち、リジッド基板、FPC基板など各種基板の保護に好適に用いることができる。
本発明の電子基板保護用シートは通常、密着させる電子基板に本発明の電子基板保護用シートを重ね合わせ、ハンドプレス成形機や真空プレス装置等の熱と圧力を同時に負荷できる装置を用いて熱圧着させ、当該圧力・温度を所定時間保持したのち常温まで冷却する方法により使用に供される。
本発明の電子基板保護用シートは、各種電子基板、すなわち、リジッド基板、FPC基板など各種基板の保護に好適に用いることができる。
本発明の電子基板保護用シートは通常、密着させる電子基板に本発明の電子基板保護用シートを重ね合わせ、ハンドプレス成形機や真空プレス装置等の熱と圧力を同時に負荷できる装置を用いて熱圧着させ、当該圧力・温度を所定時間保持したのち常温まで冷却する方法により使用に供される。
本発明の電子基板保護用シートを熱圧着により施工するときの温度は、電子基板保護用シートの軟化点を超える範囲において選定される。通常は100〜260℃であり、120〜240℃が好ましい。その温度が低すぎると密着力の低下する可能性や、搭載された電子部品と電子基板との間隙への電子基板保護用シート樹脂の入り込み性が低下する可能性が増す。一方で、その温度が高すぎると、本発明の電子基板保護用シートのグラフト共重合体(P)の熱分解や酸化が起こりやすくなり、反応生成物などによる接着部位の信頼性低下の可能性が増す。
本発明の電子基板保護用シートを密着させるときの圧力は、通常0.1〜10MPaであり、0.5〜5MPaが好ましい。その圧力が低すぎると密着力の低下する可能性や、搭載された電子部品と電子基板との間隙への電子基板保護用シート樹脂の入り込み性が低下する可能性が増す。一方でその圧力が高すぎると、被着体自身にもその圧力が負荷されるため、接着体が破壊されたり、撓んだりする可能性が増す。
本発明の電子基板保護用シートを密着(熱圧着)させるときの熱圧着時間は、通常0.5〜30分であり、1〜20分の範囲が好ましい。熱圧着時間が短すぎると密着力の低下する可能性や、搭載された電子部品と電子基板との間隙への電子基板保護用シート樹脂の入り込み性が低下する可能性が増す。一方でその時間が長すぎると、グラフト共重合体(P)の熱分解や酸化が起こりやすくなり、反応生成物などによる接着部位の信頼性低下の可能性が増す。
本発明の電子基板保護用シートを密着させるときの圧力は、通常0.1〜10MPaであり、0.5〜5MPaが好ましい。その圧力が低すぎると密着力の低下する可能性や、搭載された電子部品と電子基板との間隙への電子基板保護用シート樹脂の入り込み性が低下する可能性が増す。一方でその圧力が高すぎると、被着体自身にもその圧力が負荷されるため、接着体が破壊されたり、撓んだりする可能性が増す。
本発明の電子基板保護用シートを密着(熱圧着)させるときの熱圧着時間は、通常0.5〜30分であり、1〜20分の範囲が好ましい。熱圧着時間が短すぎると密着力の低下する可能性や、搭載された電子部品と電子基板との間隙への電子基板保護用シート樹脂の入り込み性が低下する可能性が増す。一方でその時間が長すぎると、グラフト共重合体(P)の熱分解や酸化が起こりやすくなり、反応生成物などによる接着部位の信頼性低下の可能性が増す。
以下に、参考例、実施例および比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。なお、例中の%は特に断らない限り質量%を示す。
まず、各例に用いた電子基板保護用シートの評価方法を示す。
(電子基板保護用シート組成物の樹脂物性評価方法)
電子基板保護用シート樹脂(シート成形前のペレット状のもの)について、230℃/10kgf荷重下におけるMFR(メルトフローレート)測定により、10分間辺りの樹脂流出質量を評価した。
まず、各例に用いた電子基板保護用シートの評価方法を示す。
(電子基板保護用シート組成物の樹脂物性評価方法)
電子基板保護用シート樹脂(シート成形前のペレット状のもの)について、230℃/10kgf荷重下におけるMFR(メルトフローレート)測定により、10分間辺りの樹脂流出質量を評価した。
(電子基板保護用シートの形状安定性評価方法)
電子基板保護用シート樹脂(ペレット状)を成形して得られた厚さ300μmの電子基板保護用シートを一辺50mmの正方形状とした。別途、一辺50mmの正方形状のアルミニウム板(厚さ400μm)を2枚準備し、上記の電子基板保護用シートをアルミニウム板2枚の間に揃えて挟み込み、プレス機を用いて160℃、2MPaで1分間の熱圧着を行った。熱圧着後、アルミニウム板と接着シートが密着された試験片を常温まで冷却し、回収した。試験片の各辺における樹脂のはみ出した長さを測定し、その平均値、すなわち樹脂ダレの多寡を形状安定性の指標とした。
なお、測定値は試験数(n)2回の平均値とした。
電子基板保護用シート樹脂(ペレット状)を成形して得られた厚さ300μmの電子基板保護用シートを一辺50mmの正方形状とした。別途、一辺50mmの正方形状のアルミニウム板(厚さ400μm)を2枚準備し、上記の電子基板保護用シートをアルミニウム板2枚の間に揃えて挟み込み、プレス機を用いて160℃、2MPaで1分間の熱圧着を行った。熱圧着後、アルミニウム板と接着シートが密着された試験片を常温まで冷却し、回収した。試験片の各辺における樹脂のはみ出した長さを測定し、その平均値、すなわち樹脂ダレの多寡を形状安定性の指標とした。
なお、測定値は試験数(n)2回の平均値とした。
(電子基板保護用シートの密着性評価方法)
電子基板保護用シート樹脂(ペレット状)を成形して得られた厚さ300μmの電子基板保護用シートを一辺100mmの正方形状とした。別途、一辺100mmの正方形状の銅板(厚さ100μm)を2枚準備し、電子基板保護用シートと銅板を各辺ともずれないように揃えて重ね、ハンドプレス機を用いて200℃、2MPaで1分間の熱圧着を行った。なお、2枚の銅板は同一種である。熱圧着後、銅板と接着シートが接着された試験片を常温まで急冷させ、回収した。試験片を幅10mmの短冊状に裁断し、銅板−電子基板保護用シート接着面を剥離させるように銅板を摘み、引張速度50mm/秒で引き剥がし、90度剥離強度を測定した。引き剥がし長さは60mmとした。同様な方法により、ポリプロピレンと電子基板保護用シートとを熱圧着させ、同様の測定を行った。また、同様な方法によりガラスエポキシ基板用樹脂(FR−4;表面に銅箔を積層していないもの)と電子基板保護用シートとを熱圧着させ、同様の測定を行った。
いずれの剥離強度(密着強度)とも、試験数(n)4回の平均値を採用した。
電子基板保護用シート樹脂(ペレット状)を成形して得られた厚さ300μmの電子基板保護用シートを一辺100mmの正方形状とした。別途、一辺100mmの正方形状の銅板(厚さ100μm)を2枚準備し、電子基板保護用シートと銅板を各辺ともずれないように揃えて重ね、ハンドプレス機を用いて200℃、2MPaで1分間の熱圧着を行った。なお、2枚の銅板は同一種である。熱圧着後、銅板と接着シートが接着された試験片を常温まで急冷させ、回収した。試験片を幅10mmの短冊状に裁断し、銅板−電子基板保護用シート接着面を剥離させるように銅板を摘み、引張速度50mm/秒で引き剥がし、90度剥離強度を測定した。引き剥がし長さは60mmとした。同様な方法により、ポリプロピレンと電子基板保護用シートとを熱圧着させ、同様の測定を行った。また、同様な方法によりガラスエポキシ基板用樹脂(FR−4;表面に銅箔を積層していないもの)と電子基板保護用シートとを熱圧着させ、同様の測定を行った。
いずれの剥離強度(密着強度)とも、試験数(n)4回の平均値を採用した。
(電子基板保護用シートの入り込み性および被覆性評価方法)
一辺100mmの正方形のガラスエポキシ基板(FR−4)上に、電子部品と基板との間隙を想定して、図1に示すような形状を有するアルミニウム製の部材を中央部に設置した。図1に示すように、部材の形状は15mm×5mm×0.5mmであり、FR−4と接する面には5mm×5mm×0.1mmの溝が切ってある。すなわち、FR−4と部材とが接する部分を横から見ると、開口部5mm×0.1mm、奥行き5mmの間隙になっている。次に、電子基板保護用シート樹脂(ペレット状)を成形して得られた厚さ700μmの電子基板保護用シートを一辺100mmの正方形状とし、上記の部材が設置された基板に積層させ、ハンドプレス機を用いて160℃、2MPaで2分間の熱圧着を行った。熱圧着後、電子基板保護用シートとFR−4が密着された積層体を常温まで急冷させ回収した。上記の間隙における電子基板保護用シート樹脂の入り込み程度を目視で観察した。入り込み程度について、表1に示す評価基準で○、△、×の判定を行った。
また部材上面における電子基板保護用シート積層厚みを測定した。3回の評価における平均値を採用した。
一辺100mmの正方形のガラスエポキシ基板(FR−4)上に、電子部品と基板との間隙を想定して、図1に示すような形状を有するアルミニウム製の部材を中央部に設置した。図1に示すように、部材の形状は15mm×5mm×0.5mmであり、FR−4と接する面には5mm×5mm×0.1mmの溝が切ってある。すなわち、FR−4と部材とが接する部分を横から見ると、開口部5mm×0.1mm、奥行き5mmの間隙になっている。次に、電子基板保護用シート樹脂(ペレット状)を成形して得られた厚さ700μmの電子基板保護用シートを一辺100mmの正方形状とし、上記の部材が設置された基板に積層させ、ハンドプレス機を用いて160℃、2MPaで2分間の熱圧着を行った。熱圧着後、電子基板保護用シートとFR−4が密着された積層体を常温まで急冷させ回収した。上記の間隙における電子基板保護用シート樹脂の入り込み程度を目視で観察した。入り込み程度について、表1に示す評価基準で○、△、×の判定を行った。
また部材上面における電子基板保護用シート積層厚みを測定した。3回の評価における平均値を採用した。
次に、各例に用いた電子基板保護用シートの製造方法を実施例1に示す。
(実施例1)
内容積10リットルのステンレス製反応容器にイオン交換水3700gを入れ、さらに懸濁剤としてポリビニルアルコール2.7gおよびハイドロキシアパタイト27gを溶解(分散)させた。この中にペレット状の、グリシジルメタクリレート含有比率12質量%であるエチレン−グリシジルメタクリレート共重合体(EGMA)「ボンドファーストE」(住友化学(株)製)1400gを入れ、攪拌、分散した。別途、ラジカル重合開始剤としてのベンゾイルペルオキシド(日油(株)製)3g、ラジカル共重合性有機過酸化物としてt−ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネート(日油(株)製)18gを、芳香族単官能エチレン性不飽和単量体であるスチレン540gと2官能エチレン性不飽和単量体であるジビニルベンゼン60g中に溶解させ、この溶液を反応容器中に投入、攪拌した。
続いて、反応容器温度を55〜65℃に昇温し、2時間攪拌することにより、ラジカル重合開始剤およびラジカル重合性有機過酸化物を含むビニル単量体をEGMAペレット中に含浸させた。続いて温度を80〜95℃に上昇、その温度にて5時間攪拌することにより、含浸重合を完結させ、さらに濾過・水洗および乾燥させ、グラフト化前駆体を得た。次いで、このグラフト化前駆体をラボプラストミル一軸押出機((株)東洋精機製作所製)で200℃にて押し出し、グラフト化反応させることによりグラフト共重合体(P)である熱融着性接着シート組成物を得た。
次いで得られた組成物を、前記のラボプラストミル一軸押出機に連結させたTダイ(吐出幅1mm)で200℃にて押し出し、押し出された直後にロールで引っ張りながら巻き取ることによりシートを得た。ロール巻き取り速さを変えることで、シートの厚みは100〜1000μmの範囲で可変であった。ここで得られたグラフト共重合体(P)およびシートを、先述の各種評価に供した。その結果を表2に示す。
(実施例1)
内容積10リットルのステンレス製反応容器にイオン交換水3700gを入れ、さらに懸濁剤としてポリビニルアルコール2.7gおよびハイドロキシアパタイト27gを溶解(分散)させた。この中にペレット状の、グリシジルメタクリレート含有比率12質量%であるエチレン−グリシジルメタクリレート共重合体(EGMA)「ボンドファーストE」(住友化学(株)製)1400gを入れ、攪拌、分散した。別途、ラジカル重合開始剤としてのベンゾイルペルオキシド(日油(株)製)3g、ラジカル共重合性有機過酸化物としてt−ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネート(日油(株)製)18gを、芳香族単官能エチレン性不飽和単量体であるスチレン540gと2官能エチレン性不飽和単量体であるジビニルベンゼン60g中に溶解させ、この溶液を反応容器中に投入、攪拌した。
続いて、反応容器温度を55〜65℃に昇温し、2時間攪拌することにより、ラジカル重合開始剤およびラジカル重合性有機過酸化物を含むビニル単量体をEGMAペレット中に含浸させた。続いて温度を80〜95℃に上昇、その温度にて5時間攪拌することにより、含浸重合を完結させ、さらに濾過・水洗および乾燥させ、グラフト化前駆体を得た。次いで、このグラフト化前駆体をラボプラストミル一軸押出機((株)東洋精機製作所製)で200℃にて押し出し、グラフト化反応させることによりグラフト共重合体(P)である熱融着性接着シート組成物を得た。
次いで得られた組成物を、前記のラボプラストミル一軸押出機に連結させたTダイ(吐出幅1mm)で200℃にて押し出し、押し出された直後にロールで引っ張りながら巻き取ることによりシートを得た。ロール巻き取り速さを変えることで、シートの厚みは100〜1000μmの範囲で可変であった。ここで得られたグラフト共重合体(P)およびシートを、先述の各種評価に供した。その結果を表2に示す。
(実施例2〜9)
実施例1に示した方法と同様の製造方法を用いて、表2に示す種々の共重合体(a)、グラフト成分(b1)および(b2)からなるペレット状のグラフト共重合体(P)を得た。またペレットを、先述のラボプラストミル一軸押出機に連結させたTダイ(吐出幅1mm)で200℃にて押し出し、直後にロールで引っ張りながら巻き取ることによりシートを得た。ここで得られたグラフト共重合体(P)およびシートを先述の評価試験に供した。その結果を表2に示す。
実施例1に示した方法と同様の製造方法を用いて、表2に示す種々の共重合体(a)、グラフト成分(b1)および(b2)からなるペレット状のグラフト共重合体(P)を得た。またペレットを、先述のラボプラストミル一軸押出機に連結させたTダイ(吐出幅1mm)で200℃にて押し出し、直後にロールで引っ張りながら巻き取ることによりシートを得た。ここで得られたグラフト共重合体(P)およびシートを先述の評価試験に供した。その結果を表2に示す。
表中の略号の意味は次の通りである。
EGMA:エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体(住友化学工業(株)製「ボンドファ−ストE」、グリシジルメタクリレート含有量12質量%、MFR:3g/10分(190℃/2.16kgf))
EGMA・MA:エチレン−グリシジルメタクリレート−アクリル酸メチル共重合体(住友化学工業(株)製「ボンドファ−スト7L」、グリシジルメタクリレート含有量3質量%、アクリル酸メチル27質量%、MFR:7g/10分(190℃/2.16kgf))
EVA:エチレン−酢酸ビニル共重合体(日本ユニカー(株)製「NUC8451」、酢酸ビニル含有量15質量%、MFR:1.5g/10分(190℃/2.16kgf))
EEA−MAH:エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体(アトフィナ社製「TX8030」、エチルアクリレート含有量13質量%、無水マレイン酸含有量2質量%、MFR:5.0g/10分(190℃/2.16kgf))
PGMA:プロピレン−グリシジルメタクリレート共重合体(プロピレンとグリシジルメタクリレートを高圧容器中でラジカル重合法にて重合させたもの、グリシジルメタクリレート含有量20質量%、MFR:2.5g/10分(190℃/2.16kgf))
EMA1:エチレン−メタクリル酸共重合体(ニュクレルN1108C、三井・デュポンポリケミカル(株)製、メタクリル酸含有量12質量%、MFR:8g/10分(190℃/2.16kgf))
EMA2:エチレン−メタクリル酸共重合体(ニュクレルAN4214C、三井・デュポンポリケミカル(株)製、メタクリル酸含有量4質量%、MFR:7g/10分(190℃/2.16kgf))
St:スチレン
VTL:2−ビニルトルエン
DVB:ジビニルベンゼン
DGA:ジエチレングリコールジアクリレート
EGMA:エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体(住友化学工業(株)製「ボンドファ−ストE」、グリシジルメタクリレート含有量12質量%、MFR:3g/10分(190℃/2.16kgf))
EGMA・MA:エチレン−グリシジルメタクリレート−アクリル酸メチル共重合体(住友化学工業(株)製「ボンドファ−スト7L」、グリシジルメタクリレート含有量3質量%、アクリル酸メチル27質量%、MFR:7g/10分(190℃/2.16kgf))
EVA:エチレン−酢酸ビニル共重合体(日本ユニカー(株)製「NUC8451」、酢酸ビニル含有量15質量%、MFR:1.5g/10分(190℃/2.16kgf))
EEA−MAH:エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体(アトフィナ社製「TX8030」、エチルアクリレート含有量13質量%、無水マレイン酸含有量2質量%、MFR:5.0g/10分(190℃/2.16kgf))
PGMA:プロピレン−グリシジルメタクリレート共重合体(プロピレンとグリシジルメタクリレートを高圧容器中でラジカル重合法にて重合させたもの、グリシジルメタクリレート含有量20質量%、MFR:2.5g/10分(190℃/2.16kgf))
EMA1:エチレン−メタクリル酸共重合体(ニュクレルN1108C、三井・デュポンポリケミカル(株)製、メタクリル酸含有量12質量%、MFR:8g/10分(190℃/2.16kgf))
EMA2:エチレン−メタクリル酸共重合体(ニュクレルAN4214C、三井・デュポンポリケミカル(株)製、メタクリル酸含有量4質量%、MFR:7g/10分(190℃/2.16kgf))
St:スチレン
VTL:2−ビニルトルエン
DVB:ジビニルベンゼン
DGA:ジエチレングリコールジアクリレート
(比較例1)
実施例1に示したものと同一のペレット状のグリシジルメタクリレート共重合体(EGMA)のペレットを、先述のラボプラストミル一軸押出機に連結させたTダイ(吐出幅1mm)で200℃にて押し出し、直後にロールで引っ張りながら巻き取ることによりシートを得た。ペレット状のEGMAあるいはTダイ成形で得られたシート状EGMAを先述の評価試験に供した。その結果を表3に示す。
(比較例2〜8)
実施例1に示した方法と同様の製造方法を用いて、表3に示す種々の共重合体、グラフト成分からなるグラフト共重合体(P)およびシートを得た。ここで得られたグラフト共重合体(P)およびシートを、先述の評価試験に供した。その結果を表3に示す。
実施例1に示したものと同一のペレット状のグリシジルメタクリレート共重合体(EGMA)のペレットを、先述のラボプラストミル一軸押出機に連結させたTダイ(吐出幅1mm)で200℃にて押し出し、直後にロールで引っ張りながら巻き取ることによりシートを得た。ペレット状のEGMAあるいはTダイ成形で得られたシート状EGMAを先述の評価試験に供した。その結果を表3に示す。
(比較例2〜8)
実施例1に示した方法と同様の製造方法を用いて、表3に示す種々の共重合体、グラフト成分からなるグラフト共重合体(P)およびシートを得た。ここで得られたグラフト共重合体(P)およびシートを、先述の評価試験に供した。その結果を表3に示す。
表中の略号の意味は次の通りである。
EGMA:エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体(住友化学工業(株)製「ボンドファ−ストE」、グリシジルメタクリレート含有量12質量%、MFR:3g/10分(190℃/2.16kgf))
PP:ポリプロピレン(サンアロマー(株)製「サンアロマーPM671A」、MFR:7g/10分(230℃/2.16kgf))
EPVC:エチレン塩化ビニル共重合体(エチレンと塩化ビニルを水系で懸濁重合させて作製したもの、塩化ビニル含有率20%、MFR:6g/10分(190℃/2.16kgf))
St:スチレン
DVB:ジビニルベンゼン
CHMA:シクロへキシルメタクリレート
DGA:ジエチレングリコールジアクリレート
EGMA:エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体(住友化学工業(株)製「ボンドファ−ストE」、グリシジルメタクリレート含有量12質量%、MFR:3g/10分(190℃/2.16kgf))
PP:ポリプロピレン(サンアロマー(株)製「サンアロマーPM671A」、MFR:7g/10分(230℃/2.16kgf))
EPVC:エチレン塩化ビニル共重合体(エチレンと塩化ビニルを水系で懸濁重合させて作製したもの、塩化ビニル含有率20%、MFR:6g/10分(190℃/2.16kgf))
St:スチレン
DVB:ジビニルベンゼン
CHMA:シクロへキシルメタクリレート
DGA:ジエチレングリコールジアクリレート
表2に示したように、実施例1から9において、本発明の電子基板保護用シートは、極性表面を有する被着体であるCuやFR−4、あるいは非極性の被着体であるポリプロピレンとの密着強度はいずれも0.3N/mm以上となり、良好な密着力を有することが分かる。また被着体と熱圧着させたときの電子基板保護用シートの形状安定性(樹脂ダレ程度)はいずれも初期のシート大きさ:50×50(mm)に対して1mm以内という結果であり、実用上問題ないことが確認された。
電子基板保護用シートの樹脂物性については、本実施例における評価で適用した熱圧着温度よりも高温である230℃におけるMFRはいずれも2以上20以下の値であり、先述の一軸押出機での押出によるフィルム成形は問題なくできた。
基板と電子基板保護用シートとの熱圧着による部材上面の電子基板保護用シート積層厚みはいずれも50μmを超えており、被覆性は十分であることが分かった。また部材と基板との間隙における入り込み性はいずれも良好であった。
電子基板保護用シートの樹脂物性については、本実施例における評価で適用した熱圧着温度よりも高温である230℃におけるMFRはいずれも2以上20以下の値であり、先述の一軸押出機での押出によるフィルム成形は問題なくできた。
基板と電子基板保護用シートとの熱圧着による部材上面の電子基板保護用シート積層厚みはいずれも50μmを超えており、被覆性は十分であることが分かった。また部材と基板との間隙における入り込み性はいずれも良好であった。
これに対して、表3に示した比較例1では、密着力は良好であるものの、本発明におけるグラフト成分(b)を含有していないため流動性が高く、被着体との熱圧着による電子基板保護用シートの樹脂ダレは初期のシート大きさ:50×50(mm)に対して5.5mmに達した。また基板上の部材上面から樹脂が流出してしまっている状況であり、被覆厚みは測定不能であった。また樹脂物性については、230℃でのMFRが90以上と非常に大きく、一軸押出機でのフィルム成形は各実施例での成形時と比較すると困難であるとともに、装置内部への樹脂付着が激しいため作業性が悪い状況であった。
比較例5では、極性単量体(a2)を含有していないことから、極性表面を有するCuやFR−4との接着力は低下した。また、組成物中におけるグラフト成分(b)の比率が高いため部材と基板との間隙への入り込み性が低下した。さらに(b2)成分を含有していないため樹脂ダレが顕著であった。
比較例4では、グラフト成分(b)中における(b2)成分の比率が高いため、部材と基板との間隙への入り込み性が悪化した。
比較例6では、極性単量体(a2)を含有していないため、極性表面を有するCuやFR−4との接着力は低下した。
比較例5では、極性単量体(a2)を含有していないことから、極性表面を有するCuやFR−4との接着力は低下した。また、組成物中におけるグラフト成分(b)の比率が高いため部材と基板との間隙への入り込み性が低下した。さらに(b2)成分を含有していないため樹脂ダレが顕著であった。
比較例4では、グラフト成分(b)中における(b2)成分の比率が高いため、部材と基板との間隙への入り込み性が悪化した。
比較例6では、極性単量体(a2)を含有していないため、極性表面を有するCuやFR−4との接着力は低下した。
比較例3においては、(b2)成分を含有していないことや、組成物中における共重合体(a)の比率が高いため、基板上の部材上面から樹脂が流出してしまっている状況であり、被覆厚みは測定不能であった。また230℃でのMFRは48とかなり高く、各実施例と比較すると一軸押出機でのシート成形は容易ではなかった。
比較例2では、(b2)成分を含有していないため熱圧着による樹脂ダレが大きい。また基板上の部材上面における被覆厚みは15〜20μmと、非常に薄い厚みでしか被覆されなかった。
比較例7は、グラフト共重合体(P)の主鎖成分がエチレンと塩化ビニルの共重合体であるが、主鎖成分中の塩化ビニルの極性が顕著に高く、グラフト成分(b)の極性との差異が大きいため、基板と部材との間隙への入り込み性が低下した。
また、比較例8では、単官能エチレン性不飽和単量体として、極性かつ芳香環を有さないシクロへキシルメタクリレートを含有する。共重合体(a)とグラフト成分(b)との極性が近くなるため、樹脂ダレが大きくなった。また芳香環を含有しない組成であるため、物性が脆く、フィルム成形が困難であるという結果であった。
以上より、本発明の電子基板保護用シートは、極性の性質が異なる種々の材料との密着性が良好であり、かつ高温域においても良好な形状保持性と被覆性を有し、かつ良好な入り込み性を併せ持つため、主に電子基板における電子基板保護用シートとして好適に使用することができる。
比較例2では、(b2)成分を含有していないため熱圧着による樹脂ダレが大きい。また基板上の部材上面における被覆厚みは15〜20μmと、非常に薄い厚みでしか被覆されなかった。
比較例7は、グラフト共重合体(P)の主鎖成分がエチレンと塩化ビニルの共重合体であるが、主鎖成分中の塩化ビニルの極性が顕著に高く、グラフト成分(b)の極性との差異が大きいため、基板と部材との間隙への入り込み性が低下した。
また、比較例8では、単官能エチレン性不飽和単量体として、極性かつ芳香環を有さないシクロへキシルメタクリレートを含有する。共重合体(a)とグラフト成分(b)との極性が近くなるため、樹脂ダレが大きくなった。また芳香環を含有しない組成であるため、物性が脆く、フィルム成形が困難であるという結果であった。
以上より、本発明の電子基板保護用シートは、極性の性質が異なる種々の材料との密着性が良好であり、かつ高温域においても良好な形状保持性と被覆性を有し、かつ良好な入り込み性を併せ持つため、主に電子基板における電子基板保護用シートとして好適に使用することができる。
1…ガラスエポキシ基板(FR−4)、2…アルミニウム製の部材
a:5mm、b:5mm、c:15mm、d:500μm、e:100μm
a:5mm、b:5mm、c:15mm、d:500μm、e:100μm
Claims (1)
- 下記の共重合体(a)70〜90質量部に対して、下記のグラフト成分(b)10〜30質量部をグラフト化して得られるグラフト共重合体(P)を成形してなり、厚みが100〜1000μmである電子基板保護用シート。
(a)オレフィン系単量体(a1)60〜98質量%と、エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和カルボン酸エステル、およびエチレン性不飽和ジカルボン酸無水物からなる群より選ばれる少なくとも1種の極性単量体(a2)2〜40質量%を共重合してなる共重合体
(b)芳香族単官能エチレン性不飽和単量体(b1)70〜95質量%と、2官能エチレン性不飽和単量体(b2)5〜30質量%からなるグラフト成分
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JP2008168082A JP2010006954A (ja) | 2008-06-27 | 2008-06-27 | 電子基板保護用シート |
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---|---|---|---|---|
WO2011024492A1 (ja) | 2009-08-31 | 2011-03-03 | 株式会社ブリヂストン | タイヤ |
JP6260734B1 (ja) * | 2017-03-30 | 2018-01-17 | 東洋インキScホールディングス株式会社 | 電子部品保護シート |
KR20230019132A (ko) | 2021-07-29 | 2023-02-07 | 토요잉크Sc홀딩스주식회사 | 전자 부품 탑재 기판, 전자 부품 보호 시트, 및 전자 기기 |
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2008
- 2008-06-27 JP JP2008168082A patent/JP2010006954A/ja active Pending
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WO2011024492A1 (ja) | 2009-08-31 | 2011-03-03 | 株式会社ブリヂストン | タイヤ |
JP6260734B1 (ja) * | 2017-03-30 | 2018-01-17 | 東洋インキScホールディングス株式会社 | 電子部品保護シート |
JP2018170405A (ja) * | 2017-03-30 | 2018-11-01 | 東洋インキScホールディングス株式会社 | 電子部品保護シート |
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