図1は、本発明の実施の形態に係るセンチニクバエを利用した飼料生産システムの第1実施例を示すブロック図であり、刺傷することによって抗菌活性を有する幼虫を混合した飼料を製造するものである。第1実施例の飼料製造システムは、成虫飼育部2、幼虫飼育部4、幼虫分離部6、成虫循環部8、幼虫麻酔刺傷部10、抗菌ペプチド産生部12、幼虫凍結乾燥部14、幼虫粉砕部16、産生検査部18および飼料混合部20を有する。なお、各部に付した(1)乃至(9)の数字は、各部による工程の実施順序を示す。また各部は、コンピュータを有する生産管理部22によって集中管理されている。本発明によって生産される飼料は、畜産業または水産業において従来の抗生物質配合飼料に代わるものとして極めて有用なものである。
図1において、成虫飼育部2、幼虫飼育部4、成虫分離部6および成虫循環部8は全体として機密状態に外気と密閉されている。また、これらの部分は隔壁24、26および28により通常はそれぞれ機密状態に分断されているが、後述のように工程移管の目的で適宜これら隔壁を開くことができる。なお、隔壁24、26おおよび28のいずれが開かれた場合でも、成虫飼育部2、幼虫飼育部4、成虫分離部6および成虫循環部8は全体として機密状態に保たれる。
成虫飼育部2は、吸気部30から新鮮な空気を取り入れ、脱臭部32を介して排気部34から無害無臭の空気を排出する環境保護システムを備えている。成虫飼育部2自体が臭気を発することは少ないが、隔壁24を開いた際に幼虫飼育部4の強い臭気が流れ込む可能性があるので、独自に上記の環境保護システムを備える。
成虫飼育部2には飼育籠36が備えられており、捕虫籠38から放たれたセンチニクバエの成虫40がその中で25℃から28℃の温度で飼育されている。捕虫籠38に羽化直後の成虫を捕える方法については後述する。成虫40は成虫餌容器42に入っている水および成虫餌容器44に入っている砂糖と粉ミルクで成長し、羽化後約5日で成虫出入口を開放した産仔箱46内に侵入し、幼虫餌容器48に入っている動物のレバーなど幼虫餌の上に仔虫を産む。なお、センチニクバエは卵胎生である。
図1では、幼虫餌容器48を入れた産仔箱46を一つしか図示していないが、実際には多数の産仔箱46が飼育籠36内に設置されており、一つの産仔箱46内にも複数の幼虫餌容器48が収容されている。そして産仔箱46単位で幼虫餌容器48を設置した時刻が管理されている。
成虫飼育部2と同様にして、幼虫飼育部4は、吸気部50から新鮮な空気を取り入れ、脱臭部52を介して排気部54から無害無臭の空気を排出する環境保護システムを備えている。なお、成虫飼育部4は幼虫の食餌排泄により強い臭気を発生するので、脱臭部52には臭気センサ56が設けられており、臭気の強さにより脱臭部52および排気部54の能力を調節する。幼虫飼育部4も幼虫の育成のため25℃から28℃の温度に保たれる。なお、幼虫の育成速度は温度が高いほど促進される。しかしながら、餌と温度が一定であれば育成速度もほぼ所定範囲に収まり、育成の再現性は良い。
成虫飼育部2に設置された産仔箱46は、充分な産仔数が確保されたことが期待される所定交換時刻が到来すると、成虫の出入り口を閉じ、隔壁24を開いて幼虫飼育部4に移送される。この交換時刻は実験的に求めるが一度決定したあとはシステム全体の見直しを行わない限り変更せず、後述する生産管理においては変数として扱わない。
幼虫飼育部4に移送された産仔箱46からは、取り出し口を開くことによって幼虫餌容器48が取り出され、容器移送部58に移される。なお、幼虫餌容器48取り出し後の産仔箱46は新たな幼虫餌容器48を入れて成虫飼育部2に戻される。このようにして、産仔箱46は成虫飼育部2と幼虫飼育部4の間を循環する。なお、上記の産仔箱46からの幼虫餌容器48の出し入れおよび産仔箱46の成虫飼育部2と幼虫飼育部4の間の移送およびこれに伴う隔壁24の開閉は自動機構によって行われる。
容器移送部58は、産仔箱46から取り出されてから24時間経過した虫餌容器48があればこれを1齢管理部60に移送する。この段階で、幼虫餌容器48には1齢幼虫62が育っているものと期待される。1齢管理部60はこの状態の幼虫餌容器48の組成を初期値として記憶する。幼虫餌容器48の組成は、幼虫の成育に従って餌から幼虫の体および排泄物に変化し、変わっていく。1齢管理部60はこの組成の変化を幼虫餌容器48内の餌と幼虫の混合物の表面の色または混合物の超音波診断などによって検出する。次に、容器移送部58は、1齢管理部60に移送されてからさらに24時間経過した虫餌容器48があればこれを2齢管理部64に移送する。この段階で、幼虫餌容器48には脱皮を行って2齢幼虫66が育っているものと期待される。2齢管理部64は同様に組成を検出し、この状態の幼虫餌容器48の組成を初期値との比較のために記憶する。さらに、容器移送部58は、2齢管理部64に移送されてからさらに24時間経過した虫餌容器48があればこれを3齢管理部68に移送する。この段階で、幼虫餌容器48にはさらに脱皮を行って3齢幼虫70が育っているものと期待される。2齢管理部64は同様に組成を検出し、この状態の幼虫餌容器48の組成を初期値および2齢組成との比較、さらには3齢幼虫生育情報として記憶する。なお、図1では、幼虫餌容器48内の幼虫はレバーなどの餌の表面にのみ図示されているが、実際には大半が餌の中にもぐりこんでいる。そして、3齢幼虫の段階になると蛹になるための乾燥をもとめて餌の表面に這い出し、餌容器48の内壁を登るものも出現する。
3齢管理部68による組成検出が完了した幼虫餌容器48は、隔壁26または隔壁28を開き、所定の配分比率に従って幼虫分離部6または成虫循環部8に移送される。この配分比率は幼虫餌容器48の大半が幼虫分離部6に移送されるよう定められが、一つの幼虫餌容器48あたりの3齢幼虫数70の数が多すぎると成虫循環部8への配分比率が減らされるとともに、逆の場合は成虫循環部8への配分比率が高められる。これによって3齢幼虫70の生産に必要な飼育籠36の成虫40の数を確保するとともに、飼育籠36の成虫数が飼育に破綻をきたす程度に過剰とならないよう管理する。なお、上記の配分は、3齢幼虫が入った幼虫餌容器48が充分多い大規模な生産システムの場合は、幼虫分離部6または成虫循環部8に所定配分比率で同時的に移送されるが、小規模生産システムの場合は、例えば幼虫餌容器48を10回連続で幼虫分離部6に移送する毎に後成虫循環部8への移送を1回挟むなど、時系列的に移送先を振り分け調節することによって行われる。このように、生産管理は飼育箱36への幼虫餌容器48の出し入れ時間を固定して成虫循環部への配分比率によりフィードバックをかけることによって行われる。なお、上記のように、システム全体を見直してより収量を上げようとする場合には、生産管理は飼育箱36への幼虫餌容器48の出し入れ時間がより適切となるよう変数として検討する。
幼虫分離部6に配分された幼虫餌容器48はグリセロール槽72に沈められ、液面に浮んだ3齢幼虫数70を回収籠74で掬い取ることにより3齢幼虫数70を分離する。回収籠74の重量は計量部75で計量される。回収籠74自体の重量は既知なので、この計量により、一つの幼虫餌容器48から回収された3齢幼虫70の総重量の情報が得られる。この情報は後述する幼虫麻酔刺傷部10で得られる幼虫数の情報と組み合わされ、幼虫一匹あたりの重量の情報となる。
グリセロール槽72には、3齢幼虫数70のみを浮かせるため、幼虫よりも重くレバーなどの餌よりも軽い比重となるよう調整した3%から10%のグリセロール水溶液が満たされている。なお、幼虫分離部6にも吸気部、脱臭部および排気部が設けられているが、成虫飼育部2と同様の構成なので説明は省略する。
一方、成虫循環部8に配分された幼虫餌容器48についてはそのまま放置すると、3齢幼虫70は乾燥を求めて幼虫餌容器48を這い登り、蛹76となる。蛹76は10日で成虫40に羽化するので、誘引餌を入れた捕虫籠38の入り口を開いてこれを捕える。なお、成虫は光に誘引されるので、捕虫籠38の近傍に誘引光源を置いて成虫を誘引してもよい。成虫誘引後、捕虫籠38の入り口を閉じるとともに誘引餌を除去(光誘引の場合は除去不要)し、これを成虫飼育部36に移送する。そして移送した捕虫籠38の入り口を開いて飼育籠36に接続すると、成虫餌容器44などに誘引されて、成虫40が飼育籠36に移動するので、成虫の循環が成立する。なお、成虫循環部8にも吸気部、脱臭部および排気部が設けられているが、成虫飼育部2と同様の構成なので説明は省略する。
成虫分離部6で分離された3齢幼虫70は回収籠74ごと水分を補給しながら24時間放置される。この水分は幼虫が乾燥して蛹になるのを防ぐためのものである。これは幼虫が蛹になって体表が固くなるとともに成虫組織にむけて変態すると、後の刺傷工程の効率が悪くなるからである。しかし、抗菌ペプチドの産生能力は、蛹にも成虫にもあるので、刺傷による抗菌ペプチド産生自体が不可能になるわけではない。このようにして24時間放置すると、3齢幼虫の体内に残っていた餌が完全に消化され、幼虫体内が清浄化される。この清浄化は後の工程において幼虫ごと飼料に混合しても飼料が汚染されることがないようにするためのものである。幼虫清浄化の様子は幼虫を外から観察することによっても確認できるので、幼虫の画像や色をセンサで検出することにより清浄化を自動的に確認することもできる。
体内が清浄化された3齢幼虫70は回収籠74ごと幼虫麻酔刺傷部10に移送され、トレイ部78に載置される。トレイ部78は位置センサ部80による検知が容易なように表面が黒色であるとともに金属などの熱伝導率の良い材質で作られている。トレイ部78に載置された3齢幼虫70は氷などが入ったトレイ冷却部82で4℃程度に冷やされることによって麻酔され動かなくなる。このような状態になった3齢幼虫70の個々の位置は位置センサ部80で検知され、その情報が針駆動部84に伝達されるので、針駆動部84は位置情報に基づき針86を順次3齢幼虫70の真上に移動させるとともに3齢幼虫70を一匹ずつ高速で刺傷する。このような幼虫麻酔刺傷部10の構成の詳細は後述する。
幼虫麻酔刺傷部10で刺傷された3齢幼虫70は抗菌ペプチド産生部12の常温維持および水分維持容器87内に移送される。常温維持および水分維持容器87内は常温に保たれるとともに3齢幼虫70が乾燥しないよう維持する。これによって、抗菌ペプチド産生部12に移送された3齢幼虫70は冷却麻酔から覚めるとともに蛹に変わるのを阻止され、3齢幼虫状態を維持する。そして、この状態で12時間待機させると3齢幼虫70はその体液中に抗菌ペプチドを産生する。
抗菌ペプチド産生部12に移送されて12時間経過した3齢幼虫70は、凍結乾燥部14に移送されて凍結乾燥される。乾燥状態となった3齢幼虫70は、さらに幼虫粉砕部16に移送され、ここで粉砕されて幼虫粉末88となる。なお、通常の蛋白質は、加熱等によって変性するが、3齢幼虫70が産生した抗菌ペプチドの抗菌活性は、過熱や乾燥によっても失われない。従って、幼虫凍結乾燥部14および幼虫粉砕部16の処理によって幼虫粉末88となっても抗菌ペプチドの活性は維持されている。また、幼虫粉砕部16では乾燥した3齢幼虫70をそのまま粉砕するので、抗菌ペプチドを含む体液乾燥部分だけでなく、幼虫外壁のクチクラ層を含んでいる。クチクラ層は比較的固い組織であるが、幼虫粉砕部16は、これを砕くに充分な粉砕能力を持っている。
幼虫粉砕部16で得られた幼虫粉末88の一部は検査サンプルとして産生検査部18により採取され、クロマトグラフィーなどの手法により精製されてその存在の確認が行われる。そして、このサンプル検査を経た幼虫粉末88は飼料混合部20に移送され、飼料90と混合撹拌される。以上によって、抗菌ペプチド配合飼料の生産が可能となる。
図2は、生産管理部22のコンピュータによって集中管理されている生産管機能を示すフローチャートである。コンピュータが電源投入により立ち上がると、まずステップS2で管理している各部の機能の初期化を行ってステップS4に移行する。
ステップS4では、成虫育成部2の飼育籠36の中に、交換時刻が到来した幼虫餌容器48があるか否かをチェックする。そして、該当する幼虫餌容器48があれば、これを幼虫飼育部4に移送してステップS8に進む。一方、幼虫餌容器48がすべて交換したばかりで、まだ該当する幼虫餌容器48がない場合は直接ステップS8に移行する。
ステップS8では、幼虫飼育部4の中に移送後24時間経過後48時間経過未満の幼虫餌容器48があるか否かをチェックする。このような幼虫餌容器48の中には1齢幼虫62がいることが想定されるからである。そして該当する幼虫餌容器48があればステップS10に進み、容器移送部58によってこれを1齢管理部60の上に移送してステップS12に進む。一方、該当する幼虫餌容器48がない場合は直接ステップS12に移行する。
同様に、ステップS12では、幼虫飼育部4の中に移送後48時間経過後72時間経過未満の幼虫餌容器48があるか否かをチェックする。このような幼虫餌容器48の中には2齢幼虫66がいることが想定されるからである。そして該当する幼虫餌容器48があればステップS14に進み、容器移送部58によってこれを2齢管理部64の上に移送してステップS16に進む。一方、該当する幼虫餌容器48がない場合は直接ステップS16に移行する。
さらに、ステップS16では、幼虫飼育部4の中に移送後72時間以上経過している幼虫餌容器48があるか否かをチェックする。このような幼虫餌容器48の中には3齢幼虫70がいることが想定されるからである。そして該当する幼虫餌容器48があればステップS18に進み、容器移送部58によってこれを3齢管理部68の上に移送してステップS20に進む。一方、該当する幼虫餌容器48がない場合は直接ステップS20に移行する。
ステップS20では、ステップS10、ステップS14およびステップS18による移送直後に幼虫餌容器48の内容物の組成をそれぞれ検出する1齢管理部60、2齢管理部64および3齢管理部68の検出結果に基づき、組成の変化が想定範囲内の変化をしていて異常がないかどうかチェックする。そして異常がなければステップS22に進み、今度は3齢管理部68が検出する組成が所定範囲外となっていないかどうかチェックする。これは、想定どおりの数の3齢幼虫70が得られていることのチェックに該当する。なお、餌の量などによるバラつきをキャンセルするため、ステップS22のチェックのためには、1齢管理部60、2齢管理部64および3齢管理部68の検出結果を相互引き算する。
ステップS22で3齢管理部68の検出する組成が所定範囲外であることが検知されるとステップS24に進み、3齢幼虫が入っている幼虫餌容器48を成虫循環部に移送する比率を加減してステップS26に移行する。具体的には、ステップS24では、3齢管理部68の検出する組成が所定範囲より大きいときは成虫循環部8への配分比率が減らされるとともに、3齢管理部68の検出する組成が所定範囲より小さいときは成虫循環部8への配分比率が増やされる。なお、3齢管理部68の検出する組成が所定範囲外でないときはこのような加減は不要なので直接ステップS26に移行する。ステップS26では、設定された配分比率に従って、幼虫飼育部4から移送されたときにこれを幼虫分離部6または成虫循環部8に移送してステップS28に進む。一方、ステップS16において幼虫飼育部4の中に移送後72時間以上経過していて中に3齢幼虫70がいる幼虫餌容器48があることが確認できなければ直接ステップS28に移行する。
ここで、ステップS22の派生機能について補足説明する。ステップS22では3齢管理部68の組成のチェックを行っているが、これが所定範囲内であったときでも、その組成の情報は後続する幼虫麻酔刺傷部10などの機能で活用される。その詳細は後述する。
ステップS28では、生産検査部18の検査結果が正常であるか否かをチェックし、正常手あればステップS30に進んで、幼虫粉砕部16の粉砕幼虫が飼料混合部20に移送されこれが製品として飼料に混合されるのを許可する。そしてフローはステップS4に戻り、以下、同様にして、ステップS4からステップS30を繰り返すことで生産を管理する。
なお、ステップS20で組成の変化に異常があることが検知されるとステップS32に進み、生産を中止してフローを終了する。これは、幼虫飼育部4に問題が生じており、生産を続行することに問題があるからである。一方、ステップS28において産生検査に異常があり、期待すべき抗菌ペプチドの産生が行われていないときもステップS32に移行し、生産を中止してフローを終了する。このような粉砕幼虫88を混合して飼料を生産することはできないからである。
図3は、図1の第1実施例における幼虫麻酔刺傷部10の詳細構成を示すブロック図であり、図1と共通の構成要素には共通の番号を付している。トレイ部78は、図3のように複数のトレイ102、104、106、108および110等に分かれており、トレイ移送部112によりトレイ冷却部82の周りを循環移送されている。なお、各トレイは、既に述べたように表面が黒色であるとともに金属などの熱伝導率の良い材質で作られており、トレイ冷却部82に接することで、その上に載っている3齢幼虫70を冷却麻酔する。
回収籠74により幼虫麻酔刺傷部10に移送された3齢幼虫70は、その蓋を開けて振動回転位置にあるトレイ102に落とされて載置される。このとき3齢幼虫70はトレイ102の中央部に集まって積み重なった状態になっている。トレイ振動回転部114は、3齢幼虫70がトレイ102全体に重ならずに均等に散らばるようにするため、トレイ102を振動するとともにこれを回転させて緩やかな遠心力を与える。その詳細は後述する。
トレイ振動回転部114によって所定の振動および回転を与えられたトレイ102は、トレイ移送部112によってトレイ104のように位置検出位置に移送される。3齢幼虫70の冷却はトレイ102がトレイ振動回転部114にある時点から開始されるが、トレイ104のように位置検出位置に移送されてからが本格的な冷却となる。位置検出位置に移送されたトレイ104は、フラッシュ閃光管などを有する照明部116によって斜めから照明されるとともに、カメラ部118によって真上から撮影される。撮影は所定時間毎に繰り返し行われて静止画として画像処理部120で処理される。このとき、トレイ104の表面が黒いので、白い3齢幼虫70の輪郭検出が容易に行われる。また、照明部116による斜めからの照明も3齢幼虫70の輪郭検出を容易にする。
画像処理部120は、撮影した画像を処理してまずトレイ104上の3齢幼虫の重なりの有無を検出する。そして、このような重なりが検出されると、トレイ移送部112はトレイ104をトレイ102の位置に差し戻す。画像処理部120は、また、所定時間間隔で撮影した静止画を比較し、近接する二つの画像に差がなくなったとき3齢幼虫70がすべて麻酔されて静止したと判断する。トレイ移送部112はこれに応答してトレイ104を針駆動部84の下のトレイ106のような刺傷位置に移送する。なお、撮影された静止画は3齢幼虫70のそれぞれの位置を示す情報としても針駆動部84で利用される。
針86は針上下駆動部122に保持され、高速上下駆動が与えられる。この針上下駆動部122は二次元水平駆動部124によって保持されている。針駆動制御部126は画像処理部120によって検出された3齢幼虫70のそれぞれの位置情報に基づき、上記の針上下駆動部122および二次元水平駆動部124の動きを制御する。このような構成によって、針86は順次3齢幼虫70の真上に来るよう針上下駆動部122の右側の破線矢印のように二次元移動させられるとともに3齢幼虫70を一匹ずつ刺傷する。なお、幼虫の刺傷は幼虫をほぼ貫く程度に行われるが、自己治癒力により数分以内に傷口が塞がるため体液が漏洩することはない。また、刺傷は高速で行われ、特に針を抜く速度が充分速いので、3齢幼虫70の質量による慣性のため3齢幼虫70が針の動きとともに持ち上がることはない。
針駆動制御部126は、所定の手順により二次元水平駆動部124に指示して針上下駆動部122を針上下駆動部122の左側の破線矢印のように針洗浄部針128の上に移動させるとともに、針上下駆動部122に指示して針86を針洗浄部128の中で複数回、刺傷時とは異なる洗浄モードの動きで上下動させる。これによって、3齢幼虫70の体液などによる針の汚れが適宜洗浄される。このような針駆動制御部の機能の詳細については後述する。
トレイ106上のすべての3齢幼虫70が刺傷されると、トレイ移送部112はこれらを常温維持および水分維持容器87に移すためにトレイ106をトレイ108のように排出位置に移送して傾ける。常温維持および水分維持容器87に移された刺傷済みの3齢幼虫70は、これらを受取った容器ごと抗菌ペプチド産生部12に移送される。
空になったトレイ108は、トレイ移送部112によりトレイ110のようにトレイ洗浄部130内の洗浄位置に移送される。ここで表面汚れが洗浄されたトレイ110は、トレイ移送部112によってトレイ102のような振動回転位置に戻され、回収籠74から次の3齢幼虫70を受取る準備に入る。以上のような図10の各部の機能は、コンピュータを含む幼虫麻酔刺傷制御部132によって制御されている。
図4は、図3の幼虫麻酔刺傷制御部132の基本機能を示すフローチャートである。フローは図2のステップS18に従って3齢幼虫70が幼虫麻酔刺傷部10に最初に移送されることによって起動され、まずステップS42で各部の機能がチェックされる。そして各部の機能が正常であればステップS44に移行して新規に回収された3齢幼虫70の有無をチェックする。これは、図3において移送された回収籠74が幼虫麻酔刺傷部10にセットされ、トレイ102に移す準備ができている状態であるかどうかのチェックに該当する。
そして新規回収幼虫の準備ができていればステップS46に進み、新規トレイ102に3齢幼虫70を載置するとともに、ステップS48に移行してトレイ冷却部82による冷却を開始する。次いでステップS50では、トレイ振動回転部114による振動回転処理を起動してステップS52に移行する。なお、ステップS44で新規回収幼虫の準備ができていなければ、直接ステップS52に移行する。
ステップS52では、トレイ振動回転部114による振動回転処理が完了したトレイの有無をチェックする。そして該当するトレイがあれば、ステップS54に進み、これを図3のトレイ104のような位置検出位置に移送する。次いでステップS56では、図3の位置センサ部80による処理を起動してステップS58に移行する。なお、ステップS52でトレイ振動回転部114による振動回転処理が完了したトレイがあることが検出できなければ直接ステップS58に移行する。
ステップS58では、位置センサ部80によって3齢幼虫70の停止およびそれらの各位置が確認できたかどうかをチェックする。そして該当するトレイがあれば、ステップS60に進み、これを図3のトレイ106のような刺傷位置に移送する。次いでステップS62では、図3の針駆動部84による処理を起動してステップS64に移行する。なお、ステップS58で位置センサ部80によって3齢幼虫70の停止およびそれらの各位置の確認ができなければ直接ステップS64に移行する。
ステップS64では、針駆動部84によるトレイ106上のすべての3齢幼虫70の刺傷が完了したかどうかがチェックされ、該当すればステップS66に進んで、図3のように抗菌ペプチド産生部への移送のためにトレイ108から3齢幼虫を排出する。以上の後フローはステップS42に戻り、以下ステップS42からステップS66を繰り返して幼虫麻酔刺傷部10の機能を管理する。なお、上記の繰り返しにおいて、ステップS64で幼虫刺傷の完了が検出されなかったときは直接ステップS42に戻る。また、ステップS42で幼虫麻酔刺傷部10の各部のいずれかに何かの異常が検出されたときは、ステップS68に移行し、生産を中止してフローを終了する。
図5は、図4のステップS50によって起動されるトレイ振動回転部114の機能の詳細を示すフローチャートであり、幼虫麻酔刺傷制御部132のコンピュータによって実行されるものである。トレイ振動回転部114の機能が起動されてフローがスタートすると、まずステップS72で、第1、第2振動時間および振動モードの等詳細設定が行われる。これは、図2のステップS22で得られた3齢管理部68の組成の情報に基づいて行われる。3齢管理部68の組成は3齢幼虫の数に依存した情報であるが、これを均等に散らばるようにするための振動回転モードを3齢幼虫の数の多少によって詳細に調節することは有効である。ステップS72はこのような調節の設定を行うものである。なお、第1振動時間等の意味については後続するステップで説明する。
次いでステップS74では、トレイ振動回転部114に載せられているトレイ102がトレイ104のような位置検出位置から差し戻されたものかどうかをチェックする。該当しなければ、新規に回収籠74から3齢幼虫70を受取ったトレイであることを意味するのでステップS76に進み、トレイの水平振動に垂直振動を加えた三次元モードにて振動をおこなう。ついでステップS78でトレイ102を回転させ遠心力を付加して、ステップS80に移行する。ステップS80では、このような振動および回転を行うことが予定されている第1振動時間が経過したかどうかのチェックが行われ、時間経過がなければステップS76に戻って、以下時間経過が検出されるまでステップS76からステップS80を繰り返して三次元モード振動と回転を継続する。なお、上記のようにステップS76における垂直振動成分の付加程度、ステップS78における遠心力の付加程度およびステップS80でチェックされる第1振動時間はステップS72で設定される。
ステップS80で第1振動時間が経過したことが検出されるとステップS82に進み、冷却温度に相当する約4℃の冷水滴がトレイ102に噴射される。これは互いにくっついている3齢幼虫70を分離する処理である。次いでステップS84に進み、トレイの水平振動のみの二次元モードにて振動をおこなう。そしてステップS86では、このような冷水滴の噴射および振動を行うことが予定されている第2振動時間が経過したかどうかのチェックが行われ、時間経過がなければステップS82に戻って、以下時間経過が検出されるまでステップS82からステップS86を繰り返して冷水滴噴射および二次元モード振動を継続する。なお、ここでもステップS82における冷水滴噴射の程度ステップS84における二次元モード振動の程度およびステップS80でチェックされる第2振動時間はステップS72で設定される。
ステップS87で第2振動時間が経過したことが検出されるとステップS87に進み、トレイ振動が完了した旨の信号を出力してフローを終了する。ステップS87で出力される信号は図4のステップS52でのチェックに必要な信号である。
一方、ステップS74でトレイ振動回転部114に載せられているトレイ102がトレイ104のような位置検出位置から差し戻されたものであることがチェックされたときはステップS88に進み、そのトレイの個別認識によって同じトレイの差し戻しが3回目となったかどうかをチェックする。そして2回目以内であればステップS82に移行してステップS82以降の処理を行う。これは、差し戻しトレイであれば3齢幼虫の散らばりはある程度進んでおり、ステップS82以降の処理だけで幼虫の重なり解消が期待されるからである。
これに対し、ステップS88で同じトレイの差し戻しが3回目に達したときはステップS90に進み、これ以上の振動処理による幼虫重なり解消はできないと看做して対象トレイをトレイ移送路から排除する信号を出力する。これによってトレイ移送部112は該当トレイを正常移送路から排除し、そのトレイの3齢幼虫70を破棄した後トレイ洗浄部に移送する。
さらに、ステップS91では、ステップS90によって出力された排除信号が連続3回に及んでいるかどうかチェックし、2回以下であれば当面問題なしとしてフローを終了する。一方、ステップS91連続3回目の排除信号出力が検出されたときはステップS92に進み、生産を中止してフローを終了する。これは、トレイ単位の不具合でなく、トレイ振動回転部114そのものの不具合であることを意味するからである。
図6は、図4のステップS56によって起動される位置センサ部80の機能の詳細を示すフローチャートであり、幼虫麻酔刺傷制御部132のコンピュータによって実行されるものである。位置センサ部80の機能が起動されてフローがスタートすると、まずステップS93で、照明部116のフラッシュ閃光管の発光による照明の下でトレイ104の静止画像が撮影される。次いでステップS94で撮影画像の処理を行ってステップS96に進む。
ステップS96では画像処理結果に基づく幼虫の重なりの有無がチェックされ、重なりがないときはステップS98に進んで、前回撮影済みの記憶画像の有無をチェックする。そして記憶画像があればステップS100に進み、これを今回の撮影画像と比較する。次いでステップS102に進み、両画像の比較結果が互いに一致するかどうかチェックする。
冷却初期で麻酔が効いていないときは3齢幼虫70がトレイ104上で動くので比較結果は一致せず、ステップS104に進む。そして、今回撮影した画像を記憶画像に上書きしてステップ93に戻る。なお、ステップS98において記憶画像がなかった場合は最初の撮影であることを意味するので直接ステップS104に至る。この場合、上書きされる元画像はないが、今回撮影した画像を記憶することをステップS104では「上書」と総称する。以下、冷却麻酔が効いてトレイ104上の全ての3齢幼虫70が動かなくなるまでステップS93からステップS104が繰り返される。
一方、麻酔が利き、ステップS102において両画像の一致が検出されると、フローはステップS106に進み、記憶画像の画像処理を行う。次いで、ステップS108では、画像処理結果に基づいて各3齢幼虫70の二次元画像の重心位置を算出し、これをトレイ104の基準位置を元にした各3齢幼虫70の相対的な二次元の位置情報としてそれぞれ記憶する。このときのトレイ104の基準位置としてはトレイ104の角の画像を採用してもよいし、トレイ104に予め設けられたアラインメントマークの画像を採用してもよい。
次いで、ステップS110では、記憶された各3齢幼虫の重心位置情報を針駆動部84に送信する。重心位置の情報はトレイ104上にある3齢幼虫の正確な数の情報でもあるので、ステップS112では、この数が所定範囲外であるかどうかチェックする。そして所定範囲外であればステップS114に進み、図2のステップS24と同様にして成虫循環部8に移送する幼虫餌容器48の比率を加減する信号を出力してステップS116に移行する。なお、ステップS112で重心数が所定範囲外でなければ直接ステップS116に移行する。ステップS114で出力される信号は、図1の生産管理部22で利用される。
次いで、ステップS116では幼虫停止確認および各幼虫位置確認信号を出力し、フローを終了する。ステップS116で出力される信号は、図4のステップS58でのチェックに用いられる。一方、ステップS96で幼虫の重なりが検出されたときはステップS118に進み、トレイ差戻し信号を出力してフローを終了する。
図7は、図4のステップS62によって起動される針駆動部84の機能の詳細を示すフローチャートであり、幼虫麻酔刺傷制御部132のコンピュータによって実行されるものである。針駆動部84の機能が起動されてフローがスタートすると、まずステップS122で、移送されてきたトレイ106の基準位置の2次元アラインメントを確認し、トレイ106が針駆動部84に対して正しい位置にセットされているかどうかチェックする。これは、トレイ106の角などが針駆動部84に設けられた基準ストッパーに正しく当たっているかどうかのチェックなどによって可能である。
図7は、次に、位置センサ部80から送られてきた各3齢幼虫70の重心位置に基づいて、これを順次選択していくための順序を決定する。この順序は、針86が隣接する重心位置を効率よく巡っていくよう重心位置間の相対関係を考慮して決定される。以上の後、ステップS126に至って、決定された順序に従って最優先の重心位置を一つ新規に選択する。
ついで、ステップS128では、二次元水平駆動部124により針上下駆動部122を選択された重心位置の真上に針86が来るよう水平移動する。そして移動が確認されるとステップS130に進み、針上下駆動部122によって針86を1回だけ高速で上下させる。これによって、その真下にある3齢幼虫の刺傷が完了する。次いで、ステップS132では、累積の針上下駆動回数を1回分インクリメントしてステップS134に進む。当然ながら、最初の刺傷がおこなわれた直後では、ステップS132の結果の累積針上下回数は「1」である。
ステップS134では、累積の針上駆動回数が所定回数に達しているかどうかをチェックし、該当すればステップS136に進んで二次元水平駆動部124により針上下駆動部122を針洗浄部の真上に針86が来るよう水平移動する。そして移動が確認されるとステップS138に進み、針上下駆動部122によって針86を洗浄モードにて10回上下させる。洗浄モードにおける針の上下動は洗浄を効果的にするため、刺傷の際の上下動とは異なる。また、洗浄モードでは、必要に応じ、二次元水平駆動部124による微小の水平動を加えてもよい。次いで、ステップS140では、累積の針上下駆動回数のカウントをリセットしてゼロにし、ステップS142に移行する。なお、ステップS134において累積の針上駆動回数が所定回数に達していることが検出されない場合は直接ステップS142に移行する。以上のようにして、所定回の刺傷実行毎に針洗浄部128における針86の洗浄が行わる。
ステップS142では、刺傷が行われていない未処理の重心位置の有無をチェックし、未処理のものがあればステップS126に戻って次の重心位置を一つ選択する。以下、同様にして、全ての重心位置にて針86の上下駆動が行われるまでステップS126からステップS142が繰り返される。
一方、ステップS142で未処理重心位置が検出されなければステップS144に進み、二次元水平駆動部124により針上下駆動部122を針洗浄部の真上に針86が来るよう水平移動する。そして移動が確認されるとステップS146に進み、針上下駆動部122によって針86を洗浄モードにて20回上下させる。ステップS138での洗浄モードでの針の上下動は刺傷処理中であるので、その速やかな完了を優先するため洗浄を最低限の回数に留めているが、ステップS146では、すべての刺傷処理が終わっているので確実な洗浄を優先する。次いで、ステップS148では、累積の針上下駆動回数のカウントをリセットし、新たなトレイでの刺傷処理に備えて累積回数をゼロとする。次いでステップS150に進み、トレイ106内の全ての3齢幼虫70の刺傷が完了した旨の信号を出力する。この信号は、図4のステップS64におけるチェックで活用される。
以上の第1実施例では、抗菌ペプチドの産生を幼虫の刺傷によって行っているが、本発明の特徴の一部はこれに限定されるものではなく、他の方法により幼虫に抗菌ペプチドを産生させる実施においても活用可能である。例えば、本発明における抗菌ペプチド配合飼料は、遺伝子組み換えなどにより抗菌ペプチドを大量に発現するよう形質転換したセンチニクバエより得た抗菌ペプチドによっても生産することができる。さらに、抗菌ペプチドの飼料への配合は、大量生産とコストを優先して第1実施例のように幼虫全体を粉砕することも可能であるが、純度を優先する場合には幼虫体液のみを抽出してこれを飼料に加えることによってもよい。また、既に述べたように抗菌ペプチドは加熱によっても変性しないので、幼虫の乾燥は第1実施例のような凍結乾燥に代えて、過熱による乾燥を採用してもよい。
また、上記の第1実施例における生産管理に関する諸特徴についても、抗菌ペプチドの産生を幼虫の刺傷によって行うものに限らず、上記のように遺伝子組み換えなどにより抗菌ペプチドを大量に発現するよう形質転換したセンチニクバエに基づくものにも適用することが可能なものである。
図8は、本発明の実施の形態に係るセンチニクバエを利用した飼料生産システムの第2実施例を示すブロック図である。その構成は図1の第1実施例と同様の部分が多いので興注する部分には同一の番号を付し、必要がない限り説明を省略する。なお、各部に付した(1)乃至(9)の数字は、第1実施例と同様、各部による工程の実施順序を示す。
第2実施例では、産仔箱46の中に産仔専用餌箱202が設けられており、その表面の色の観察により所定数の仔が産み付けられたかどうかを知る。この目的のため、産仔箱46には産仔専用餌箱202の表面観察用のカメラまたはセンサが設けられており、その情報に基づいて生産管理部22は産仔専用餌箱202の表面の画像分析または色分析を行って仔の数が充分かどうかの判定を行う。
充分な数の仔が産み付けられたことが確認できた産仔専用餌箱202は生産管理部22の制御で自動的に産仔箱46から取り出される。そして攪拌により産仔専用餌箱202内の組成を均一化した後、幼虫餌容器48に小分けされて幼虫育成部4に自動的に移送される。この結果、同一の産仔専用餌箱202から小分けされて幼虫飼育部4に移送された各幼虫餌容器48内の幼虫数は均一となる。
幼虫飼育部4に移送された各幼虫餌容器48は飼育器管理部204によって幼虫飼育部4移送後の時間経過が管理される。なお、図8には同一の大きさの幼虫206が代表として図示されているが、実際には移送後の経過時間によって、1例幼虫62が入った幼虫餌容器48、2齢幼虫66が入った幼虫餌容器48および3齢幼虫70が入った幼虫餌容器48が混在し、それぞれ。飼育器管理部204によって移送後の経過時間が管理されている。飼育器管理部204はさらに不図示の幼虫這い登りセンサを備えており、3齢幼虫70が入った幼虫餌容器48からの幼虫の這い登り開始を検出することによりその幼虫餌容器48内の3齢幼虫が完全に成熟したことを確認する。
なお、這い出した幼虫が幼虫飼育部4に直接零れるのを防止すること、および幼虫の這い出し開始を確実に検出することを目的とし、幼虫餌容器48をそれぞれ不図示の脱出防止籠内に収めた二重構造として幼虫飼育部4内に配置し、幼虫餌容器48から這い出した幼虫がこの脱出防止籠に零れ始めるのを検出することにより3齢幼虫70が完全に成熟したことを確認するようにしてもよい。
幼虫分離部6は、図1と比べて図示の配置は異なるが、その構成は第1実施例のものと同様である。但し、吸気部50と排気部52は、幼虫飼育部4と幼虫分離部6で共通となっている。幼虫清浄化部208は第1実施例において既に説明したものを図示したものであり、回収籠74を水分保持箱210内に収容し、水分を維持しながら24時間幼虫を待機させて体内の残留餌を消化させる。既に述べたように、幼虫清浄化の様子は幼虫を外から観察することによっても確認できるので、幼虫清浄化部には幼虫の画像または色を検出するセンサが設けられ、清浄化を自動的に確認する。また、残留餌の消化が確認された幼虫は回収籠74ごと洗浄され、排泄物等が幼虫の体表面から除去される。これによって幼虫が清浄化され、幼虫のまま飼料に混合しても資料が汚染されない。なお、第2実施例では、回収籠74の全ての幼虫が幼虫清浄化部208に移送されるのではなく、その一部が、成虫循環部への配分比率に従って成虫循環部212に移送される。
第2実施例は、第1実施例のように幼虫餌容器48単位で配分比率に従う配分を行うのではなく、上記のように一つの幼虫餌容器48内から分離した幼虫を所定の配分比率に従って幼虫単位で幼虫清浄化部208と成虫循環部212に配分する。成虫循環部212に配分された3齢幼虫70は羽化箱214内で待機し、乾燥することで蛹76になる。羽化箱214にはすでにレバーなど悪臭の原因になる物質はないので成虫循環部212には吸気部や排気部は設けられていない。なお、図8には、第1実施例で説明した誘引光源216が図示されている。
なお、抗菌ペプチド産生部12における待機中に3齢幼虫70体内の残留餌の消化が充分期待される場合には、幼虫清浄化部208における待機を省略または簡略化することも可能である。少なくとも抗菌ペプチド産生完了時点までに幼虫体内の残留餌が消化され、幼虫凍結乾燥部14への移送直前に再度幼虫体表面の洗浄を行えば、幼虫体内の残留餌や幼虫からの排泄物による飼料の汚染が防止されるからである。但し、幼虫清浄化部208における待機の省略または待機のための構成の簡略化並びに待機時間の短縮は、幼虫体内の残留餌が幼虫麻酔刺傷部10での幼虫刺傷または抗菌ペプチド産生部12における抗菌ペプチド産生に悪影響を与えないことを条件とする。
図9は、本発明の実施の形態に係るセンチニクバエを利用した飼料生産システムの第3実施例を示すブロック図である。その構成は図1の第1実施例と同様の部分が多いので共通する部分には同一の番号を付し、必要がない限り説明を省略する。なお、各部に付した(1)乃至(9)の数字は、第1実施例と同様、各部による工程の実施順序を示す。
図9の第3実施例は、図1の第1実施例における成虫飼育部2、幼虫飼育部4、成虫循環部8、抗菌ペプチド産生部12、成虫凍結乾燥部14、幼虫粉砕部16、産生検査部18および資料混合部20と同様の構成を持っている。なお、図9では成虫循環部8の図示を省略している。図9の第3実施例が他の実施例と異なるところは、幼虫の分離から刺傷に関する部分である。
まず、3齢幼虫の分離に関しては、第1実施例および第2実施例ではグリセロール槽72を用いていたところ、図9の第3実施例では、3齢幼虫70自身が幼虫餌容器48這い登って脱出することを利用している。これによって、3齢幼虫の分離および3齢幼虫が完全に成熟したことの確認を同時に行っている。幼虫脱出部302はこれを実現するためのものである。
第3実施例では、3齢まで育った幼虫70が入った幼虫餌容器48は、3齢計量部306で軽量された後、幼虫飼育部4から取り出され、幼虫脱出部302内の計量部308の上に置かれる。完全に成熟した3齢幼虫70は幼虫餌容器48の内壁を這い登って上端に達するが、幼虫餌容器48の外壁は3齢幼虫70との密着性が低い表面処理がなされているので、外壁に移ったあと水流路310に落下する。なお、幼虫の落下を促進するためには、幼虫餌容器48の表面処理によらず、ビーカーのように容器上端を外に広がるような形状とすることによっても外壁に移動してからの幼虫の密着性を低くすることが可能である。このようにして3齢幼虫70は次々に幼虫餌容器48から脱出し、その結果、計量部308が示す幼虫餌容器48の重量は、3齢計量部306で計量した重量から軽くなっていく。そして、計量部308が検出する重量差が所定以上に達したことをもって、幼虫餌容器48からの3齢幼虫70の脱出完了を確認することができる。もちろん、この重量差は、幼虫餌容器48内に元々入っていた3齢幼虫70の数のばらつきにより一定するものではないが、重量差の変化率をモニターし、これが飽和状態に達することをもって、脱出完了と判断することができる。なお、幼虫飼育部4からの取り出し時点と幼虫脱出部302への挿入時点で幼虫餌容器48の重量が一致しているものと看做す場合は、3齢計量部306を省略してもよい。
水流路310には矢印で示す向きの水流312が供給されており、水流路310に落下した3齢幼虫70は水流312に浮きながら流されて幼虫刺傷部314の冷却槽316に水流312とともに落下する。水流312はほぼ4℃の冷水であって、3齢幼虫70は水流路310に落下した時点から冷却され始め、冷却槽316内で冷却が継続される。なお冷却槽316の水位は水流312の流入量と冷却槽316の排水量とのバランスにより一定に保たれている。水流312は、上記のように3齢幼虫70の移送と冷却の意義を有するが、これに加えて、3齢幼虫70の洗浄の意義も有する。
コンベア部318は3齢幼虫70との密着性が高い網のコンベアベルトの循環により、3齢幼虫70を冷却槽316から水切りして引き上げるとともに、これを配置制御部320に移す。配置制御部320は、冷却洗浄された3齢幼虫70を一匹ずつ分離して刺傷のために配置するものである。配置制御部320により配置された3齢幼虫70は刺傷移送部322により順次ステッピング移送され、針駆動部324によって高速上下動する針326によって順次刺傷される。配置制御部320、刺傷移送部322、針駆動部324の詳細は後述する。
図10は、幼虫刺傷部314の詳細を示すブロック図であり、主に配置制御部320、刺傷移送部322、針駆動部324の具体的な構成を、コンベア部318とともに示したものである。水流分散整列部402はコンベア部318から落下する3齢幼虫70を分散させて一列に整列させるためのものであり、3齢幼虫70が落下する部分から徐々に細くなっていく水路を持っている。但し、3齢幼虫70が詰まらないよう、最も細い出口部分でも水路断面の最短径は3齢幼虫70の長さよりも充分大きい。以上によって、水路の流速は3齢幼虫70が落下する部分から徐々に早くなり、3齢幼虫70は水路に従って一匹ずつ一列に疎らに流れるよう分散されていく。なお、水流分散整列部402の水路は3齢幼虫70を互いに分離させてその分散を促進するため、途中で適宜屈曲されている。
以上のような水流分散整列402を経て、3齢幼虫70は一匹ずつ滴下タイミング制御部404に落とされる。滴下タイミング制御部402は、3齢幼虫70を水切りするとともにこれを所定のタイミングで滴下口406から一匹ずつ滴下させるものであり、その動作の詳細は後述する。滴下口406の下にはメッシュ状の幼虫載置部を持つメッシュトレイ408が設置されており、配置時ステッピング駆動部410によって、メッシュが順次滴下口406の真下に来るよう、メッシュひとつ分ずつ順次ステッピング駆動されていく。このような動作は、配置時ステッピング駆動部410に正しくメッシュトレイ408が設置されたときの滴下口406の中心とメッシュトレイ408の各メッシュの中心との位置関係が既知であることによって可能である。即ち、この位置関係の情報に基づいて配置時ステッピング駆動部410がメッシュトレイ408をステッピング駆動していくと、各メッシュの中心が順次滴下口406の下に移動していく。
滴下センサ411は光源412とともに光カプラを構成しており、その間を横切って滴下口106からメッシュトレイ408に落下する3齢幼虫70を検知する。配置時ステッピング駆動部410は滴下センサ411による3齢幼虫70の落下検知によりメッシュトレイをステッピング駆動する。メッシュトレイ408の各メッシュは緩やかな凹部を形成している。この凹部の表面は3齢幼虫70との密着性が低い表面処理が行われているので、その上に落下した3齢幼虫70は自然にメッシュの中心に位置するようになるとともに、麻酔により完全に停止状態になくても、メッシュ中心から移動することはない。
なお、後述するように、配置時ステッピング駆動部410は所定時間経過すると3齢幼虫70の落下検知がなくても、メッシュトレイをステッピング駆動する。これは、次の3齢幼虫70の落下を待ってメッシュトレイ408が長時間配置時ステッピング駆動部410の上に留まることにより滴下済みの3齢幼虫70が活発化してメッシュから這い出す等の事態を避け、一つのメッシュトレイ408への3齢幼虫70の配置を速やかに終了させるためである。このように構成する結果、図示のようにメッシュトレイ408には3齢幼虫が乗っていないメッシュも存在することになる。なお、このような空のメッシュの位置は記録される。以上の構成が配置制御部320の詳細に該当する。
配置時ステッピング駆動部410によって最後のメッシュまで駆動されたメッシュトレイ408はメッシュトレイ移送部414によって針駆動部324の下のメッシュトレイ416の位置に移送される。なお、メッシュトレイ移送部414は、図3のトレイ移送部112と同様のものであって、メッシュトレイ408をさらに抗菌ペプチド産生部12に移送して刺傷後の3齢幼虫70を常温維持&水分維持容器87に移す。メッシュトレイ移送部414は、さらにメッシュトレイ408を図3のトレイ洗浄部130と同様の洗浄部に移送して洗浄させた後、滴下口406の下の位置に循環させる。図10では、これら常温維持&水分維持容器87への3齢幼虫移動やメッシュトレイ洗浄の図示を省略している。
針駆動部324の構成は、図3よりも簡単なものであり、通常の幼虫刺傷の際には針326は水平移動せず、針上下駆動部418によって上下動されるだけである。但し、針洗浄の際には、針洗浄用水平駆動部420が針上下駆動部を図3の針洗浄部128と同様の針洗浄部(不図示)の上に水平移動させる。針駆動制御部422はこれらの針駆動を制御する。
第3実施例では、針326を水平移動させず、これに換えて、刺傷時ステッピング駆動部424によりメッシュトレイ416の方をメッシュひとつ分ずつ順次ステッピング駆動することにより、針326と3齢幼虫70との相対位置を変更していく。これは、刺傷時ステッピング駆動部424に正しくメッシュトレイ416が設置されたときの針326とメッシュトレイ416上の各メッシュの中心との位置関係が既知であることにより可能である。つまり、この位置関係の情報に基づいて刺傷時ステッピング駆動部424がメッシュトレイ416をステッピング駆動していくと、各メッシュに載置された3齢幼虫が順次針326の下に移動していく。なお、上記のように3齢幼虫70が乗っていない空のメッシュの位置情報は配置時に予め記録されているので、このようなメッシュ上では針326は上下動せず、速やかに次のメッシュへの駆動が行われる。以上のようなメッシュトレイ416駆動の構成が刺傷移送部322の詳細に該当する。幼虫刺傷制御部426は、これまで説明してきた配置制御部320および刺傷移送部322を中心とする幼虫刺傷部314の機能全体を制御する。
図11は、図10の幼虫刺傷制御部426の機能を示すフローチャートであり、主に配置制御部320の制御に関するものである。フローは水流312の冷却槽316への流入開始によりスタートし、まずステップS162において、配置制御部320の水流分散整列部402が動作中であるかどうかチェックする。動作中であればステップS164に進み、配置時ステッピング駆動部410にメッシュトレイ408が設置中であるかどうかチェックする。そして設置中でなければステップS166に進み、メッシュトレイ移送部414に指示して新規のメッシュトレイ408を配置時ステッピング駆動部に設置させ、ステップS168に移行する。一方、メッシュトレイが既に設置中であればステップS164から直接ステップS168に移行する。
ステップS168では、滴下タイミング制御部404が水流分散整列部402から3齢幼虫を受領したかどうかチェックする。該当すればステップS170に進み、受領した3齢幼虫の重量が一匹分の重量として想定されている範囲内かどうかチェックする。そして範囲内であればステップS172に進み、前回の3齢幼虫受領から所定時間(例えば、2秒)内の受領であるかどうかチェックする。所定時間内の受領ではなく、充分間隔を開けてからの受領であればステップS174に進み、受領した3齢幼虫が滴下口406に向かって通過するのを許可してステップS176に移行する。
一方、ステップS170で重量が所定範囲外であることが検知されたときは、ステップS178に進み受領した3齢幼虫を滴下タイミング制御部404の外に排除して破棄し、ステップS176に移行する。重量が所定以下であれば破断しているなど正常な幼虫でないことを意味し抗菌ペプチド産生が期待できないからである。逆に、重量が所定以上であれば二匹以上が重なって受領されたことを意味し、一つのメッシュに一匹の幼虫を配置することができなくなるからである。
また、ステップS172で、前回受領から所定時間内に連続して3齢幼虫が受領されたことが検知されたときもステップS178に進み、受領した3齢幼虫を滴下タイミング制御部404の外に排除して破棄し、ステップS176に移行する。これは、滴下タイミング制御部404が短い間隔で連続して3齢幼虫を受領した場合、3齢幼虫を一匹ずつ滴下口406から滴下するタイミングと配置時ステッピング駆動部がメッシュトレイ408をステッピング駆動するタイミングとが整合せず、一つのメッシュに一匹の幼虫を正しく配置することができない可能性があるからである。
さらに、ステップS168で水流分散整列部による幼虫受領が検出されないときはステップS180に進み、3齢幼虫を受領しない状態が所定時間(例えば15秒)続いているかチェックする。そして該当しなければ正常な受領待ち状態なので、ステップS176に移行する。
ステップS176では、3齢幼虫が滴下口406からメッシュトレイ408に滴下したことが滴下センサ411で検知されたかどうかをチェックする。そして検知がなければステップS182に進み、前回メッシュトレイ408を駆動してから所定時間(例えば5秒)が経過したかどうかチェックする。ここで、「前回駆動」とは新規メッシュトレイ408の設置駆動および設置中のメッシュトレイ408のステッピング駆動の両者を含む。ステップS182で所定時間の経過が検知されるとステップS184に進み、その時点で滴下口406の下にあるメッシュを「空送りメッシュ」としてその位置を記録し、ステップS186に進んでメッシュトレイ408のステッピング駆動を指示する。この場合はメッシュに3齢幼虫70が乗せられないままの「空送り」となる。
これに対し、ステップS176で、3齢幼虫が滴下口406からメッシュトレイ408に滴下したことが検知されると、直接ステップS186に進み、メッシュトレイ408のステッピング駆動を指示する。この場合はメッシュに3齢幼虫70が乗せられた状態の正常はステッピング駆動となる。
次いで、ステップS188で、ステッピング駆動したメッシュが最終メッシュであったかどうかがチェックされる。そして該当しなければステップS168に戻り、水流分散整列部402よりの幼虫の受領を待つ。なお、ステップS182で前回駆動からの所定時間経過が検出されなかったときもステップS168に戻る。以下、ステップS188で最終メッシュ検出が行われるか、またはステップS180で所定時間受領なしが検出されるかしない限り、ステップS168からステップS188が繰り返され、メッシュトレイ408への3齢幼虫70の配置が進められていく。
一方、ステップS188で最終メッシュが検出されるとステップS190に進み、メッシュトレイ移送部414に対し、メッシュトレイ408をメッシュトレイ416の位置に移送するよう指示する。その後フローはステップS162に戻る。以下、ステップS162で水流整列部が動作中であることが検出されなくなるかまたはステップS180で所定時間受領なしが検知されない限り、ステップS162からステップS190が繰り返され、新規メッシュトレイの設置とそのメッシュトレイの3齢幼虫の配置が繰り返される。
なお、ステップS162で水流整列部が動作中であることが検出されなくなった場合、図11のフローは直ちに終了となる。また、ステップS180で所定時間受領なしが検知された場合はステップS192に進み、水流分散整列部以前の段階で何らかの異常が発生していることを通報してフローを終了する。
図12も、図10の幼虫刺傷制御部426の機能を示すフローチャートであるが、主に刺傷移送部332の制御に関するものである。フローは配置制御部320の動作開始によりスタートし、まずステップS202において、3齢幼虫70が配置された新規メッシュトレイ416がメッシュトレイ移送部414によって移送され、刺傷時ステッピング駆動部424の所定位置に到着したかどうかがチェックされる。到着があれば、ステップS204に進み、刺傷時ステッピング駆動部424がメッシュトレイ416の最初のメッシュの中心が針326の真下に来るよう初期メッシュ位置の設定を行う。なお、メッシュトレイ416が到着した時点で最初のメッシュの中心が針326の真下に来るよう刺傷時ステッピング駆動部が設計されている場合、ステップS204をその確認ステップとするか、またはステップS204自体を省略してもよい。
次いでステップS206に進み、現在針326の真下にあるメッシュが「空送りメッシュ」であるかどうかチェックする。該当しなければ、ステップS208に進み、針上下駆動部418によって針326を1回だけ高速で上下させる。これによって、その真下のメッシュ上にある3齢幼虫の刺傷が完了するとステップS210に進み、メッシュトレイ416のステッピング駆動を指示する。一方、ステップS206で「空送りメッシュ」であることが検出されたときは、直接ステップS210に進み、直ちにメッシュトレイ416のステッピング駆動を指示する。この場合は針326の上下動をおこなわない「空送り」となる。
続くステップS212では、ステップS210の指示でステッピング駆動したメッシュが最終メッシュであったかどうかがチェックされる。そして該当しなければステップS206に戻り、次のメッシュが「空送りメッシュ」であるかどうかチェックする。以下、ステップS212で最終メッシュ検出が行われない限り、ステップS206からステップS212が繰り返され、順次メッシュトレイ416上の3齢幼虫70の刺傷が進められていく。
一方、ステップS212で 最終メッシュが検出されるとステップS214に進み、針洗浄用水平駆動部420により針上下駆動部418を針洗浄部の真上に針326が来るよう水平移動する。そして移動が確認されるとステップS216に進み、針上下駆動部418によって針326を洗浄モードにて20回上下させる。次いでステップS218に進み、メッシュトレイ移送部414に対し、メッシュトレイ416を刺傷済み3齢幼虫排出位置に移送する。この位置では、図3のトレイ位置108と同様にして、メッシュトレイ416が傾けられ、刺傷済み3齢幼虫が常温維持および水分維持容器87に移される。
その後フローはステップS202に戻る。なお、ステップS202で新規メッシュトレイの到着が検出されない場合はステップS220に進み、新規メッシュトレイの新着がない状態で所定時間(例えば5分)が経過したかどうかチェックされる。そして所定時間経過が無ければステップS202に戻り到着を待つ。以下、ステップS220で所定時間経過が検出されない限り、ステップS202からステップS220が繰り返され、メッシュトレイ416の新着待ちおよび新着したメッシュトレイ上の3齢幼虫70の刺傷が繰り返される。
なお、ステップS220で新規メッシュトレイの新着がない状態で所定時間が経過したことが検出されるとステップS222に進み、配置制御部320以前の段階で何らかの異常が発生していることを通報してフローを終了する。
本発明は、上記実施例に限ることなく、種々のバリエーションにて実施可能である。たとえば、第3実施例において、冷却槽316を省略し、水流312を直接図10の水流分散整列部に直結することも可能である。これにより、3齢幼虫の搬送、洗浄、冷却および分散を総合して行うことも可能である。この場合、水による幼虫の窒息を防ぐため、全工程の所要時間を所定内(例えば5、6分以内)に収めることが望ましい。また、以上の各実施例は、それぞれ隔絶したものではなく、互いに乗り入れが可能であり、適宜各部の組合せを変更して実施可能である。例えば、第1実施例と第3実施例の間で相互乗り入れを行い、図9のコンベア部318から図3のトレイ102に3齢幼虫70を落として載置し、以下、図3の構成により麻酔刺傷するよう構成してもよい。また、図3の回収籠74から図10の水流分散整列部402に3齢幼虫70を落とし、以下、図10の構成により配置および刺傷するよう構成してもよい。