JP2010002572A - プラスチック被覆用組成物、反射防止塗膜付きプラスチック部品、反射防止塗膜付きプラスチック部品の製造方法 - Google Patents

プラスチック被覆用組成物、反射防止塗膜付きプラスチック部品、反射防止塗膜付きプラスチック部品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】透明性と物理強度と反射防止性とを兼ね備え、反射光による着色等の無い硬化膜を生産性よく形成することのできるプラスチック被覆用組成物、及びそれを用いた反射防止塗膜付きプラスチック部品並びに反射防止塗膜付きプラスチック部品の製造方法を提供する。
【解決手段】中空状シリカと、(メタ)アクリロイル基を有する化合物と、活性エネルギー線重合開始剤と、溶媒と、を含む活性エネルギー線硬化性組成物であって、該組成物中の固形分100質量部中の中空状シリカの割合が30〜45質量部であるプラスチック被覆用組成物を、プラスチック基材の表面に塗布し、溶媒を除去した後、活性エネルギー線を照射して厚さ1〜20μmの硬化膜を形成して反射防止塗膜付きプラスチック部品とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、透明性と物理強度と反射防止性とを兼ね備えた硬化膜を形成することのできるプラスチック被覆用組成物、及びそれを用いた反射防止塗膜付きプラスチック部品並びに反射防止塗膜付きプラスチック部品の製造方法に関する。
プラスチックケース等の展示用ディスプレイや、パソコン、テレビ、携帯電話等の電子画像ディスプレイにおいては、外部からの光がディスプレイの表面で反射すると、反射像がディスプレイに映り込んでしまい、内部の画像が非常に見え難くなる。このため、これらのディスプレイの表面に用いられるプラスチック部品には、反射防止処理を施すことが求められている。
プラスチック部品に反射防止処理を施す方法としては、従来から、プラスチック基材の表面に、単層又は多層の薄膜を形成することが行われてきた。単層の場合は、プラスチック基材よりも低屈折率を有する層(低屈折率層)を、光学膜厚で設計波長の1/4の膜厚(=約100nm)で形成する。また、より低反射化が必要な場合には、プラスチック基材と低屈折率層との間に、プラスチック基材よりも屈折率の高い層(高屈折率層)を形成すればよいことが知られている。なお、たとえ低屈折率層であってもその膜厚が数100nmを超えると、反射防止層とはならない。このため、プラスチック基材の表面に、単層又は多層の薄膜を形成して反射防止処理を施すには、用いる材料の屈折率を制御するだけでなく、その形成する薄膜の膜厚を厳密に管理する必要がある。
また、プラスチック基材は物理強度が弱く、表面に傷などが残り易い。プラスチック基材に形成される上記反射防止層は、薄膜である必要があるために、プラスチック基材上に反射防止層を設けても物理強度はさほど向上しない。このため、物理強度の不足を補うため、プラスチック基材の表面に、ハードコート層を形成した後に、反射防止層を形成して低反射化することが行われている。
一方、下記特許文献1には、透明プラスチックフィルム基材上に、屈折率が1.50以下の中空シリカとバインダーを含有する硬化性組成物が塗設されて乾燥厚みが1.0μm以上の硬化層が形成されてなる光学フィルムであって、硬化層の基材と反対側の表面部分に低屈折率微粒子が偏在していることを特徴とする光学フィルムが開示されている。
特開2007−133236号公報
しかしながら、プラスチック基材の表面に、ハードコート層を形成した後に、湿式コート法を用いて反射防止層を形成する場合は、硬化性組成物の塗布・乾燥・硬化の工程を少なくとも2回以上繰り返すことが必要であり、生産性が著しく低下するという問題があった。
また、プラスチック基材よりも低屈折率を有する層(低屈折率層)を、光学膜厚で設計波長の1/4の膜厚(=約100nm)で形成して構成された反射防止層は、可視光反射率は低いものの、その反射スペクトルが、ある特定波長で極小値を有する曲線となる。このため、例えばその極小値の波長が低波長の場合は、プラスチック部品そのものが赤っぽく見え、その極小値の波長が長波長の場合は、プラスチック部品そのものが青っぽく見えることとなり、反射光に着色が生じるという問題があった。
一方、上記特許文献1の方法は、中空シリカの塗布量が1〜100mg/mであり、この比較的少量の中空シリカを塗布膜の表層に浮上させて集めることにより、従来の反射防止処理の方法である、低屈折率層を光学膜厚で設計波長の1/4の膜厚(=約100nm)で形成する、という考え方に基づくものである。このため、特許文献1の光学フィルムの反射スペクトルも、ある特定波長で極小値を有する曲線を有しており、光学フィルムそのものが着色して見えるという問題を解決できなかった。
したがって、本発明の目的は、透明性と物理強度と反射防止性とを兼ね備え、反射光による着色等の無い硬化膜を生産性よく形成することのできるプラスチック被覆用組成物、及びそれを用いた反射防止塗膜付きプラスチック部品並びに反射防止塗膜付きプラスチック部品の製造方法を提供することにある。
本発明は、以下を提供する。
[1] 中空状シリカと、(メタ)アクリロイル基を有する化合物と、活性エネルギー線重合開始剤と、溶媒と、を含む活性エネルギー線硬化性組成物であって、該組成物中の固形分100質量部中の中空状シリカの割合が30〜45質量部であることを特徴とするプラスチック被覆用組成物。
[2] 中空状シリカの平均粒径が5〜150nmである、[1]に記載のプラスチック被覆用組成物。
[3] 前記溶媒が、水と、25℃における水に対する溶解度が10%以上の有機溶媒と、を少なくとも含む、[1]又は[2]に記載のプラスチック被覆用組成物。
[4] プラスチック基材の表面に、[1]〜[3]のいずれか記載のプラスチック被覆用組成物の固形分の硬化物からなる厚さ1〜20μmの硬化膜を有することを特徴とする、反射防止塗膜付きプラスチック部品。
[5] 波長380〜780nmの光に対する片面反射スペクトルにおいて、平均反射率が3.0以下であり、反射率の最大値と最小値の差が1.0以下であり、反射スペクトルに極小値を有しない、[4]に記載の反射防止塗膜付きプラスチック部品。
[6] [4]又は[5]に記載の反射防止塗膜付きプラスチック部品を備えたことを特徴とするディスプレイ。
[7] プラスチック基材の表面に、[1]〜[3]のいずれか記載のプラスチック被覆用組成物を塗布し、溶媒を除去した後、活性エネルギー線を照射して、厚さ1〜20μmの硬化膜を形成する、ことを特徴とする反射防止塗膜付きプラスチック部品の製造方法。
本発明のプラスチック被覆用組成物によれば、透明性と物理強度と反射防止性とを兼ね備え、反射光による着色等の無い硬化膜を生産性よく形成できる。
また、本発明の反射防止塗膜付きプラスチック部品は、プラスチック基材の表面に、上記プラスチック被覆用組成物の固形分の硬化物からなる厚さ1〜20μmの硬化膜を有するので、透明性を損なうことなく、十分な物理強度を得ることができると共に、優れた反射防止性と、反射光に着色がないという利点を兼ね備えている。
更に、本発明のディスプレイは、上記反射防止塗膜付きプラスチック部品を備えることにより、表面反射が少なく、反射光に着色がなく、かつ、耐擦傷性等の物理的強度も高いという利点を有している。
更にまた、本発明の反射防止塗膜付きプラスチック部品の製造方法によれば、プラスチック基材の表面に、上記プラスチック被覆用組成物を塗布し、溶媒を除去した後、活性エネルギー線を照射することにより、1回の塗布工程でも、厚さ1〜20μmの硬化膜を形成することができ、こうして得られた硬化膜は、透明性と物理強度と反射防止性とを兼ね備え、反射光による着色等が無いという、優れた特性を有している。したがって、ハードコート層などを特に設けなくても、1回の塗布工程で、反射防止能と、耐擦傷性等の物理強度を兼ね備えた硬化膜を形成できる。
[プラスチック被覆用組成物]
本発明のプラスチック被覆用組成物は、中空状シリカと、(メタ)アクリロイル基を有する化合物と、活性エネルギー線重合開始剤と、溶媒と、を含み、かつ、該組成物中の固形分100質量部中の中空状シリカの割合が30〜45質量部である活性エネルギー線硬化性組成物である。
本発明のプラスチック被覆用組成物の固形分濃度は、特に限定されないが、10〜25%が好ましい。固形分濃度が10%未満であると、厚さ1μm以上の硬化膜を形成するには、多量のプラスチック被覆用組成物をプラスチック基材に塗布しなくてはならない。そのため、硬化膜を形成する際に、組成物中に含有される溶媒を除去するのに時間を要し、生産上不利となることがある。また、固形分濃度が25%を超えると、該組成物によって形成される硬化膜は、膜厚が厚くなる傾向にあり、透明性が損なわれるおそれがある。なお、固形分濃度は、プラスチック被覆用組成物の乾燥前後の重量変化より求めることができる。
(中空状シリカ)
本発明のプラスチック被覆用組成物で用いる中空状シリカは、屈折率が1.20〜1.40のものが好ましく、更に好ましくは1.25〜1.35である。なお、ここでの屈折率は、粒子全体としての屈折率を表しており、外殻のシリカのみの屈折率ではない。中空状シリカの屈折率は、中空状シリカの分散液をプラスチック基板上に、乾燥後の膜厚が100nmとなるように塗布・乾燥した後、片面反射スペクトルを測定することにより求めることができる。
中空状シリカの平均粒径は、特に限定されないが、5〜150nmの範囲であることが好ましい。平均粒径が5nm未満であると、外殻のシリカの厚さが薄くなり、粒子の物理強度が弱くなる傾向にある。平均粒径が150nmを超えると、硬化膜の透明性が低下する傾向にある。
本発明において、中空状シリカは、溶媒に分散させて、中空状シリカの分散液として用いてもよい。中空状シリカの分散に用いる溶媒としては、特に限定されないが、保存安定性の点から極性溶媒が好ましく、水、低級アルコール類、グリコールエーテル類が好ましく挙げられる。低級アルコール類としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等が挙げられる。グリコールエーテル類としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングルコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル等が挙げられる。これらの極性溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
このような中空状シリカやその分散液は、例えば、特開2001−233611号公報、特開2002−79616号公報、特開2006−335881号公報などに記載されている方法により製造することができる。
本発明において、中空状シリカは、その表面を、分子末端にパーフルオロアルキル基、又はパーフルオロポリエーテル基を有する加水分解性シラン化合物で表面処理したものを用いても良い。このような表面処理を施すことによって、中空状シリカの表面張力を下げることができる。このため、硬化膜の厚さ方向における中空状シリカの濃度勾配が大きくなる傾向にある。そのため、硬化膜の反射率がより低くなり、更には、反射光に着色がなくなる傾向にある。
中空状シリカの表面修飾に用いる上記加水分解性シラン化合物としては、例えば、C13−C−OSi(OC、CFO−(CFCFO)−CFCHOCONH(CHSi(OCH、CFO−(CFCFO)−CFCONH(CHSi(OCH等の化合物を挙げることができる。ただし、xは1〜100の整数である。
中空状シリカの表面を、上記加水分解性シラン化合物で修飾する方法としては、特に限定されない。例えば、中空状シリカと加水分解性シラン化合物とを攪拌混合し、必要に応じて、酸やアルカリなどの触媒を加えて処理する方法などが挙げられる。
中空状シリカを表面修飾する際に用いる加水分解性シラン化合物の使用割合は、中空状シリカ100質量部に対し、1〜50質量部が好ましい。加水分解性シラン化合物の使用割合が1質量部未満であると、上記表面修飾による効果が十分得られないことがある。50質量部を超えると、硬化膜の透明性が低下する傾向にある。
中空状シリカと加水分解性シラン化合物との反応温度は、特に限定されないが、5℃〜60℃程度であることが好ましい。温度が低すぎると加水分解速度が遅くなり時間がかかる傾向にある。また、温度が高すぎると、中空状シリカの分散媒(水、低級アルコール類、グリコールエーテル類等)が揮発しやすくなり、中空状シリカの保存安定性や、取り扱い性が低下する傾向にある。
本発明のプラスチック被覆用組成物においては、中空状シリカの含有量は、プラスチック被覆用組成物中の固形分100質量部に対し30〜45質量部であり、32質量部以上が好ましく、34質量部以上が特に好ましい。中空状シリカの含有量が前記比率で30質量部未満であると、中空状シリカの塗布量が少ないため、硬化膜の厚さ方向における中空状シリカの濃度勾配が生じにくくなり、硬化膜の反射防止機能が充分でないことがある。また、反射光に着色が付きやすくなる。また、中空状シリカの含有量が前記比率で45質量部を超えると、形成される硬化膜の透明性が低下する傾向にある。中空状シリカの含有量を上記範囲としたことで、透明性と物理強度と反射防止性とを兼ね備え、反射光による着色等の無い硬化膜を生産性よく形成できる。この理由は正確にはわかっていないが、次のような原理によると考えられる。
本発明のプラスチック被覆用組成物における中空状シリカは低屈折材料であり、また、比重が極めて軽い。本発明のプラスチック被覆用組成物をプラスチック基材の表面に塗布すると、中空状シリカが浮上して、プラスチック基材側から硬化膜の表面側に向かって、連続的に増加するような濃度勾配を有するように配列される。本発明のプラスチック被覆用組成物は、中空状シリカを、固形分100質量部に対し30〜45質量部と、かなり多量に含有するので、該プラスチック被覆用組成物によって形成される硬化膜は、プラスチック基材側から硬化膜の表面側に向かって屈折率勾配が生じていると推測される。そのため、硬化膜の厚みを1μm以上にしても、優れた反射防止性能を得ることができたと推測される。また、硬化膜の厚さ方向に屈折率の勾配があることから、様々な波長の光が打ち消されることにより、反射スペクトルに極小値がなくなって反射光の着色がなくなったと推測される。
((メタ)アクリロイル基を有する化合物)
本発明のプラスチック被覆用組成物で用いる(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、耐摩耗性に優れた硬化膜を形成できるという理由から、(メタ)アクリロイル基を、1分子中に2個以上有することが好ましく、2〜50個有することがより好ましく、3〜30個有することが特に好ましい。なお、本明細書において、(メタ)アクリロイル基とはアクリロイル基とメタクリロイル基の両者を意味する総称として使用する。
(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては以下の(1)〜(4)の化合物が一例として挙げられる。
(1)ペンタエリスリトールやその多量体であるポリペンタエリスリトールと、ポリイソシアネートと、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと、の反応生成物であるアクリルウレタンであって、(メタ)アクリロイル基を2個以上、より好ましくは4〜20個有する多官能性化合物。
(2)ペンタエリスリトールやポリペンタエリスリトールの水酸基含有ポリ(メタ)アクリレートと、ポリイソシアネートと、の反応生成物であるアクリルウレタンであり、好ましくは(メタ)アクリロイル基を2個以上、より好ましくは4〜20個有する多官能性化合物。
(3)ペンタエリスリトール又はポリペンタエリスリトールと、(メタ)アクリル酸とのポリエステルであるペンタエリスリトール系ポリ(メタ)アクリレートであり、好ましくは(メタ)アクリロイル基を4〜20個有する多官能性化合物。具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート。
(4)トリス(ヒドロキシアルキル)イソシアヌレート又はトリス(ヒドロキシアルキル)イソシアヌレートの1モルに、1〜6モルのカプロラクトン又はアルキレンオキシドを付加して得られる化合物と、(メタ)アクリル酸とのポリエステルであるイソシアヌレート系ポリ(メタ)アクリレートである、好ましくは(メタ)アクリロイル基を2〜3個有する多官能性化合物。
(メタ)アクリロイル基を有する化合物として、(メタ)アクリロイル基を1分子中に1個有する化合物を用いてもよい。(メタ)アクリロイル基を1分子中に1個有する化合物としては、アルキル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられる。
(活性エネルギー線重合開始剤)
本発明のプラスチック被覆用組成物で用いられる活性エネルギー線重合開始剤としては、特に限定されず、公知の光重合開始剤などを使用できる。具体例としては、アリールケトン系光重合開始剤(例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、アルキルアミノベンゾフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、ベンゾインエーテル類、ベンジルジメチルケタール類、ベンゾイルベンゾエート類、α−アシルオキシムエステル類等)、含硫黄系光重合開始剤(例えば、スルフィド類、チオキサントン類等)、アシルホスフィンオキシド類系光重合開始剤(例えば、アシルジアリールホスフィンオキシド等)が挙げられる。これらは、それぞれ単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、アミン類などの光増感剤と組み合わせて使用してもよい。
活性エネルギー線重合開始剤の含有量は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物100質量部に対して0.1〜20質量部が好ましく、0.2〜10質量部がより好ましい。活性エネルギー線重合開始剤の量が該範囲にあると、プラスチック被覆用組成物の硬化性が充分であり、硬化の際に全ての活性エネルギー線重合開始剤が分解するため好ましい。
(溶媒)
本発明のプラスチック被覆用組成物で用いる溶媒は、特に限定はないが、水と、25℃における水に対する溶解度が10%以上の有機溶媒と、を少なくとも含むものが好ましい。プラスチック被覆用組成物中における溶媒の含有量は、プラスチック被覆用組成物100質量部に対し、75〜90質量部が好ましい。
水は、中空状シリカの保存安定性の観点から好ましく用いることができる。水の含有量は、プラスチック被覆用組成物100質量部に対し、5〜30質量部が好ましい。水の含有量が5質量部未満であると、中空状シリカの保存安定性が低下するおそれがある。また、水の含有量が30質量部を超えると、プラスチック被覆用組成物をプラスチック基材に塗布した際に、プラスチック基材の表面ではじきが生じ、均一な硬化膜を形成できないことがある。
水に対する溶解度が10%以上の有機溶媒(以下、「水溶性有機溶媒」と記す)は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を溶解させることができ、また、水とも分相するおそれも少ないので、均一な組成物が得られやすくなる。このような、水溶性有機溶媒としては、低級アルコール類、グリコールエーテル類、ケトン類が挙げられる。低級アルコール類としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等が挙げられる。グリコールエーテル類としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングルコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル等が挙げられる。ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられる。これらの水溶性有機溶媒は、それぞれ単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。水溶性有機溶媒の含有量は、プラスチック被覆用組成物100質量部に対し、45〜85質量部が好ましい。水溶性有機溶媒の含有量が、45質量部未満であると、プラスチック被覆用組成物中の水の含有量が多くなりすぎて、プラスチック被覆用組成物をプラスチック基材に塗布した際に、プラスチック基材の表面ではじきが生じ、均一な硬化膜を形成できないことがある。また、水溶性有機溶媒の含有量が、85質量部を超えると、プラスチック被覆用組成物中の水の含有量が少なくなりすぎて、中空状シリカの保存安定性が低下するおそれがある。
(その他成分)
本発明のプラスチック被覆用組成物は、必要に応じて、撥水撥油剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、熱重合防止剤、レベリング剤、消泡剤、増粘剤、沈降防止剤、顔料(有機着色顔料、無機顔料)、着色染料、赤外線吸収剤、蛍光増白剤、分散剤、防曇剤、カップリング剤からなる群から選ばれる1種以上の機能性配合剤を含めてもよい。
また、本発明のプラスチック被覆用組成物は、硬化膜に防汚性を持たせる目的で、防汚剤を含有させてもよい。防汚剤としては、例えば、特開2008−88323号公報に記載された下式(A1)、(A2)で表される化合物などが挙げられる。
Figure 2010002572
ここで、式中の記号は、以下の通りである。
、Rは独立に炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8の含フッ素アルキル基又はフェニル基。
は炭素数1〜8のエーテル性酸素原子を含んでいてもよいアルキル基。
は水素原子又はメチル基。
Aは単結合又はCHCHO−。
Yは−CONHCHCHO−又は単結合。
mは1〜1000の整数。pは3〜5の整数。qは1〜20の整数。
は炭素数1〜16のエーテル性酸素原子を含んでいてもよい含フッ素アルキル基。
は水素原子又はメチル基。
Bは単結合又はCHCHO−。
Zは−CONHCHCHO−又は単結合。
nは1〜100の整数。rは3〜5の整数。sは1〜20の整数。
そして、防汚剤の含有量は、プラスチック被覆用組成物の固形分100質量部に対して、0.1〜2質量部が好ましい。含有量が0.1質量部未満であると、硬化膜に防汚性を付与できないことがある。また、含有量が2質量部を超えると、硬化膜の透明性が低下することがある。
また、本発明のプラスチック被覆用組成物は、硬化膜に帯電防止性を持たせる目的で、帯電防止剤を含有させてもよい。帯電防止剤としては特に限定されないが、例えば国際公開第2005/092991号パンフレットに記載された、4級アンモニウム塩基を有するラジカル重合性単量体(a1)と水酸基を有するラジカル重合性単量体(a2)と下式(A3)で表される構造を有するラジカル重合性単量体(a3)とを含むラジカル重合性単量体混合物(a)を反応させて得られる重合体(b)の水酸基に、1分子中に(メタ)アクリロイル基及びイソシアネート基を有する化合物(c)のイソシアネート基を付加反応させた構造の共重合体などが好適に使用できる。
−(C(=O)C2tO)− ・・・(A3)
(式中、tは3〜5の整数であり、uは1〜10の整数である。)
帯電防止剤の含有量は、プラスチック被覆用組成物の固形分100質量部に対して、2〜15質量部が好ましく、4〜10質量部がより好ましい。含有量が2質量部未満であると、硬化膜に充分な帯電防止性を付与できないことがある。また、含有量が15質量部を超えると、硬化膜の片面反射率が高くなる傾向にあり、充分な反射防止性が得られなくなることがある。
[反射防止塗膜付きプラスチック部品]
本発明の反射防止塗膜付きプラスチック部品は、プラスチック基材の表面に、上記プラスチック被覆用組成物の固形分の硬化物からなる厚さ1〜20μmの硬化膜を有するものである。
プラスチック基材の材質としては、特に限定されず、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート、アクリル樹脂、三酢酸セルロース樹脂、ポリメタクリルイミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、MS(メチルメタクリレート・スチレン)樹脂等が挙げられる。なお、これらのプラスチック基材には、あらかじめ無機物及び/又は有機物からなる硬化膜が形成され、着色、導電、帯電防止、偏光、紫外線遮蔽、赤外線遮蔽等より選ばれる1種又は2種以上の機能が付与されていてもよい。
本発明の反射防止塗膜付きプラスチック部品において、硬化膜の膜厚は、1〜20μmであることが必要であり、1〜10μmがより好ましく、2〜5μmが特に好ましい。硬化膜の膜厚が1μm未満であると、硬化膜の物理強度が不充分となり、反射防止機能も不十分となる。膜厚が1μm未満だと反射防止機能が低下する理由は、硬化膜の中空状シリカの濃度勾配が小さくなって、硬化膜中の屈折率勾配が小さくなるためと推測される。また、硬化膜の膜厚が20μmを超えると、硬化膜の透明性が損なわれるおそれがある。
本発明の反射防止塗膜付きプラスチック部品において、硬化膜のヘイズ値は、10%以下が好ましく、5%以下がより好ましい。
本発明の反射防止塗膜付きプラスチック部品は、波長380〜780nmの光に対する片面反射スペクトルにおいて、平均反射率が3.0以下であり、反射率の最大値と最小値の差が1.0以下であり、反射スペクトルに極小値を有しないことが好ましい。なお、前記平均反射率は、2.5以下であることがより好ましく、2.0以下であることが特に好ましい。このような光学物性を備えた反射防止塗膜付きプラスチック部品は、プラスチック基材の表面に、上記プラスチック被覆用組成物を塗布、乾燥、硬化させることにより、該組成物の固形分の硬化物からなる厚さ1〜20μm(好ましくは1〜10μm、より好ましくは2〜5μm)の硬化膜を形成することで、製造することができる。
なお、波長380〜780nmの光に対する片面反射スペクトルにおいて、平均反射率が3.0以下であり、反射率の最大値と最小値の差が1.0以下であり、反射スペクトルに極小値を有しないという上記特性は、厚さ1〜20μmの硬化膜中で、固形分100質量部に対し30〜45質量部と、かなり多量に含有される中空状シリカが、プラスチック基材側から硬化膜の表面側に向かって、連続的に増加するような濃度勾配を有するように配列されることによってもたらされた物性であると推測される。
本発明の反射防止塗膜付きプラスチック部品は、上記プラスチック被覆用組成物の固形分の硬化物の表層に、無機物及び/又は有機物からなる硬化膜が形成されていて、着色、導電、帯電防止、偏光、紫外線遮蔽、赤外線遮蔽、防汚、防曇、光触媒、抗菌、撥水、撥油、指紋除去、滑り性等より選ばれる1種又は2種以上の機能が付与されていてもよい。
そして、本発明の反射防止塗膜付きプラスチック部品は、プラスチックケース等の展示用ディスプレイや、パソコン、テレビ、携帯電話、タッチパネル等の電子画像ディスプレイ等の表面に接合して用いることで、外部からの光がディスプレイの表面で反射することが抑制され、反射像がディスプレイに映り込むことがなく、更には、反射光による着色もないので、鮮明な内部画像を得ることができる。
したがって、本発明の反射防止塗膜付きプラスチック部品を備えたディスプレイは、プラスチックケース等の展示用ディスプレイや、パソコン、テレビ、携帯電話、タッチパネル等の電子画像ディスプレイ等に好適である。
[反射防止塗膜付きプラスチック部品の製造方法]
次に、本発明の反射防止塗膜付きプラスチック部品の製造方法について説明する。本発明の反射防止塗膜付きプラスチック部品の製造方法は、プラスチック基材の表面に、上記プラスチック被覆用組成物を塗布し、溶媒を除去した後、活性エネルギー線を照射して、厚さ1〜20μmの硬化膜を形成して製造する。
プラスチック被覆用組成物をプラスチック基材の表面に塗布するにあたり、プラスチック基材に対して特に前処理は必要としない。プラスチック基材と硬化膜との密着性をより高める目的で、プラズマ処理、コロナ処理、UV処理、オゾン処理等の放電処理、酸やアルカリ等の化学的処理、又は研磨剤を用いた物理的処理等をプラスチック基材の表面に施しても良い。
プラスチック基材表面へのプラスチック被覆用組成物の塗布方法としては特に限定されない。ディッピング法、スピンコート法、フローコート法、スプレー法、バーコート法、グラビアコート法、ロールコート法、ダイコート法、ブレードコート法、エアーナイフコート法等、公知の方法で塗布することができる。
プラスチック被覆用組成物の塗布量は、最終的に形成される硬化膜の膜厚が1〜20μm、好ましくは1〜10μm、特に好ましくは2〜5μmとなる塗付量とする。硬化膜の膜厚が1μm未満となる塗付量であると、形成される硬化膜は物理強度が不足し、更には、充分な反射防止機能が得られない。また、硬化膜の膜厚が20μmを超える塗付量であると、硬化膜の透明性が損なわれるおそれがある。
次に、プラスチック基材の表面にプラスチック被覆用組成物を塗布して塗膜を形成した後、該塗膜を乾燥して溶媒を除去する。塗膜の乾燥温度としては、特に限定されないが、50〜90℃が好ましい。乾燥温度が50℃未満であると、乾燥に長時間を要する恐れがあるので生産性が損なわれるおそれがある。一方、乾燥温度が90℃を越えると、硬化膜やプラスチック基材が加熱変形してしまう恐れがある。
次に、乾燥した塗膜に活性エネルギー線を照射して、該塗膜を硬化させて、プラスチック基材の表面に本発明のプラスチック被覆用組成物の固形分の硬化物からなる厚さ1〜20μmの硬化膜を形成する。
プラスチック被覆用組成物の硬化に用いる上記活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、X線、放射線及び高周波線等が好ましく挙げられ、特に180〜500nmの波長を有する紫外線が経済的に好ましい。活性エネルギー線の光量としては、特に限定されないが、50〜2000mJ/cmが好ましい。活性エネルギー線の光量が50mJ/cm未満であると、硬化膜の硬化が不充分となり、硬化膜の物理強度が低下する恐れがある。一方、活性エネルギー線の光量が2000mJ/cmを超えると、光量が強すぎて、硬化膜やプラスチック基材が加熱変形してしまう恐れがある。
本発明の反射防止塗膜付きプラスチック部品の製造方法によれば、プラスチック被覆用組成物の塗布工程が1回でも、透明性と物理強度と反射防止性とを兼ね備え、更には、反射光による着色のない硬化膜をプラスチック基材に形成できるので、生産性よく反射防止塗膜付きプラスチック部品を製造できる。
以下、本発明を実施例(例1〜3、例7〜8)、比較例(例4〜6)に基づき説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、各例の反射防止膜付きプラスチック部品の特性は、以下の方法で測定した。
≪反射防止膜付きプラスチック部品の特性評価方法≫
[塗膜のヘイズ]
プラスチック基材のみのヘイズ(%)と、反射防止膜付きプラスチック部品のヘイズ(%)について、それぞれ4箇所のヘイズ(%)をヘイズメータ(スガ試験機製HGM−3DP型)で測定し、下式(1)より塗膜のヘイズを求めた。
(反射防止膜付きプラスチック部品のヘイズ)−(プラスチック基材のみのヘイズ)=塗膜のヘイズ ・・・(1)
[反射スペクトル]
反射防止膜付きプラスチック部品の裏面(反射防止膜が形成されていない側)を黒マジックで塗りつぶした後、分光光度計(島津製作所製UV−3100型)を用いて、測定波長380〜780nmの条件で、反射防止膜付きプラスチック部品の片面反射スペクトルを測定した。得られたスペクトルより、極小値の有無、平均反射率、及び反射率のΔ値(最大値と最小値の差)を求めた。
[鉛筆硬度]
反射防止膜付きプラスチック部品の表面(反射防止膜が形成されている側)に、鉛筆角度45°、荷重1000gの条件で鉛筆硬度を測定した。結果は、傷の生じない鉛筆の硬さで示した。
[水接触角、オレイン酸接触角]
反射防止膜付きプラスチック部品の表面(反射防止膜が形成されている側)の、水及びオレイン酸の接触角を、接触角計(協和界面科学社製、CA−X型)を用いて測定した。
[マジックはじき]
反射防止膜付きプラスチック部品の表面(反射防止膜が形成されている側)に、マジックインキ(寺西化学工業製)用いて膜の表面に文字を書き、はじくものを○、はじかないものを×とした。
[帯電半減期]
23℃−50%の室内で、シシド静電気社製スタチックオネストメーター S−5109型を用いて、反射防止膜付きプラスチック部品に10kVの電圧を印加後の帯電半減期を測定した。2時間以上経過しても半減期に達しないものは×とした。
≪プラスチック被覆用組成物の製造≫
(製造例1)
一次粒子径が40nmの中空状シリカの分散液(固形分濃度=12.2%、エタノール=57.8%、水=30.0%)を用いた。この中空状シリカの分散液を、厚さ1mmのアクリル樹脂基板上に、乾燥後の膜厚が約100nmとなるように塗布・乾燥した後、この塗膜付きアクリル樹脂基板の裏面を黒マジックで塗りつぶして、片面反射スペクトルを測定したところ、屈折率は1.29であった。
50mLのガラス製容器に、上記中空状シリカの分散液10.08gと、プロピレングリコールモノメチルエーテル(以下、PGMEと記す)8.83gと、(メタ)アクリロイル基を有する化合物として、ジペンタエリスリトールのアクリレート1.48gとテトラメチロールメタントリアクリレート0.37gを加え、更に、活性エネルギー線重合開始剤(商品名:「IRGACURE−184」 チバ・スペシャリティーケミカルズ製)0.05gを加え、常温で30分間スターラーで撹拌して、プラスチック被覆用組成物Aを製造した。
(製造例2)
50mLのガラス製容器に、製造例1と同じ中空状シリカの分散液9.63gを入れ、トリエトキシ−1H,1H,2H,2H−トリデカフルオロ−n−オクチルシラン(構造式:CF(CFCHCHSi(OCHCH 東京化成工業製)を0.08g加えて、50℃で3時間撹拌して中空状シリカの表面を修飾した。その後、PGME8.44gと、(メタ)アクリロイル基を有する化合物として、ジペンタエリスリトールのアクリレート1.41g及びテトラメチロールメタントリアクリレート0.35gを加え、更に、活性エネルギー線重合開始剤(商品名:「IRGACURE−184」 チバ・スペシャリティーケミカルズ製)0.04gを加え、常温で30分間スターラーで撹拌して、プラスチック被覆用組成物Bを製造した。
(製造例3)
50mLのガラス製容器に、製造例1と同じ中空状シリカの分散液5.04gと、PGMEを14.35gと、(メタ)アクリロイル基を有する化合物として、ジペンタエリスリトールのアクリレート1.15g及びテトラメチロールメタントリアクリレート0.29gを加え、更に、活性エネルギー線重合開始剤(商品名:「IRGACURE−184」 チバ・スペシャリティーケミカルズ製)0.04gを加え、常温で30分間スターラーで撹拌して、プラスチック被覆用組成物Cを製造した。
(製造例4)
50mLのガラス製容器に、製造例1と同じ中空状シリカの分散液8.40gと、PGMEを11.41gと、(メタ)アクリロイル基を有する化合物として、ジペンタエリスリトールのアクリレート0.82g及びテトラメチロールメタントリアクリレート0.21gを加え、更に、活性エネルギー線重合開始剤(商品名:「IRGACURE−184」 チバ・スペシャリティーケミカルズ製)0.03gを加え、常温で30分間スターラーで撹拌して、プラスチック被覆用組成物Dを製造した。
(製造例5)
50mLのガラス製容器に、製造例1と同じ中空状シリカの分散液12.32gを入れ、トリエトキシ−1H,1H,2H,2H−トリデカフルオロ−n−オクチルシラン(構造式:CF(CFCHCHSi(OCHCH 東京化成工業製)を0.51g加えて、50℃で3時間撹拌して中空状シリカの表面を修飾した。その後、PGME10.80gと、(メタ)アクリロイル基を有する化合物として、ジペンタエリスリトールのアクリレート1.79g及びテトラメチロールメタントリアクリレート0.45gを加え、更に、防汚剤0.02gと、活性エネルギー線重合開始剤(商品名:「IRGACURE−184」 チバ・スペシャリティーケミカルズ製)0.06gを加え、常温で30分間スターラーで撹拌して、プラスチック被覆用組成物Eを製造した。
なお、防汚剤は、特開2008−88323号の段落番号0059に記載された化合物A2−1を用いた。
(製造例6)
50mLのガラス製容器に、製造例1と同じ中空状シリカの分散液11.20gを入れ、トリエトキシ−1H,1H,2H,2H−トリデカフルオロ−n−オクチルシラン(構造式:CF(CFCHCHSi(OCHCH 東京化成工業製)を0.47g加えて、50℃で3時間撹拌して中空状シリカの表面を修飾した。その後、PGME9.27gと、(メタ)アクリロイル基を有する化合物として、ジペンタエリスリトールのアクリレート1.44g及びテトラメチロールメタントリアクリレート0.36gを加え、更に、帯電防止剤0.79gと、活性エネルギー線重合開始剤(商品名:「IRGACURE−184」 チバ・スペシャリティーケミカルズ製)0.05gを加え、常温で30分間スターラーで撹拌して、プラスチック被覆用組成物Fを製造した。
なお、帯電防止剤は、以下のように合成したものを用いた。
撹拌器及び冷却管を装着した1Lの4つ口フラスコに、2−メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドを63.00g、2−ヒドロキシエチルアクリレート1モルにε―カプロラクトン平均2モルを付加させた化合物(ダイセル化学工業製、商品名「プラクセルFA2D」を135.94g、n−オクチルメルカプタンを8.74g、メタノールを380.37g、2−2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を1.55gを投入し、65℃で15時間、加熱撹拌した。続いて、冷却管を分留管に取り替え、シクロヘキサノン587.46gを加え、67℃に加熱し、系内のメタノールをすべて留去した。その後、反応溶液を室温に冷却した後、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを4.92g、ジ−n−ブチルスズジラウリレートを0.48g、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを32.37g加え、室温で18時間撹拌して得られた化合物。
製造例1〜6のプラスチック被覆用組成物の組成について、表1にまとめて記す。
Figure 2010002572
≪反射防止膜付きプラスチック部品の製造≫
[例1]
プラスチック基材(厚さ2mmの透明なポリカーボネート樹脂基板、70mm×70mm)の表面に、プラスチック被覆用組成物Aをスピンコート法により塗布し(200rpm×10秒)、70℃の乾燥機で5分間保持して乾燥した後、高圧水銀ランプを用いて500mJ/cm(波長300〜390nm領域の紫外線積算エネルギー値。以下同じ)の紫外線を照射して膜厚3.5μmの硬化膜を形成し、例1の反射防止膜付きプラスチック部品を製造した。
[例2]
プラスチック基材(厚さ2mmの透明なポリカーボネート基板、70mm×70mm)の表面に、プラスチック被覆用組成物Bを例1と同様にして塗布し、乾燥し、硬化して、膜厚3.5μmの硬化膜を形成し、例2の反射防止膜付きプラスチック部品を製造した。
[例3]
プラスチック基材(厚さ100μmの透明なポリエチレンテレフタレートフィルム、90mm×90mm)の表面に、プラスチック被覆用組成物Bを例1と同様にして塗布し、乾燥し、硬化して、膜厚3.5μmの硬化膜を形成し、例3の反射防止膜付きプラスチック部品を製造した。
[例4]
プラスチック基材(厚さ2mmの透明なポリカーボネート樹脂基板、70mm×70mm)の表面に、プラスチック被覆用組成物Aをスピンコート法により塗布し(3000rpm×10秒)、70℃の乾燥機で5分間保持して乾燥した後、高圧水銀ランプを用いて500mJ/cmの紫外線を照射して膜厚0.8μmの硬化膜を形成し、例4の反射防止膜付きプラスチック部品を製造した。
[例5]
プラスチック基材(厚さ2mmの透明なポリカーボネート樹脂基板、70mm×70mm)の表面に、プラスチック被覆用組成物Cをスピンコート法により塗布し(500rpm×10秒)、70℃の乾燥機で5分間保持して乾燥した後、高圧水銀ランプを用いて500mJ/cmの紫外線を照射して、膜厚1.7μmの硬化膜を形成し、例5の反射防止膜付きプラスチック部品を製造した。
[例6]
プラスチック基材(厚さ2mmの透明なポリカーボネート樹脂基板、70mm×70mm)の表面に、プラスチック被覆用組成物Dをスピンコート法により塗布し(500rpm×10秒)、70℃の乾燥機で5分間保持して乾燥した後、高圧水銀ランプを用いて500mJ/cmの紫外線を照射して膜厚1.7μmの硬化膜を形成し、例6の反射防止膜付きプラスチック部品を製造した。この反射防止膜付きプラスチック部品はヘイズが非常に高く、目視で真白であったため、反射スペクトルの測定は実施しなかった。
[例7]
プラスチック基材(厚さ100μmの透明なポリエチレンテレフタレートフィルム、90mm×90mm)の表面に、プラスチック被覆用組成物Eをスピンコート法により塗布し(300rpm×10秒)、70℃の乾燥機で5分間保持して乾燥した後、高圧水銀ランプを用いて500mJ/cmの紫外線を照射して膜厚2.8μmの塗膜を形成し、例7の反射防止膜付きプラスチック部品を製造した。
[例8]
プラスチック基材(厚さ100μmの透明なポリエチレンテレフタレートフィルム、90mm×90mm)の表面に、プラスチック被覆用組成物Fをスピンコート法により塗布し(200rpm×10秒)、70℃の乾燥機で5分間保持して乾燥した後、高圧水銀ランプを用いて500mJ/cmの紫外線を照射して膜厚3.6μmの硬化膜を形成し、例8の反射防止膜付きプラスチック部品を製造した。
例1〜8の反射防止膜付きプラスチック部品の評価結果を表2に記す。また、得られた片面反射スペクトルを図1〜7に示す。
Figure 2010002572
例1の反射防止膜付きプラスチック部品の片面反射スペクトル図である。 例2の反射防止膜付きプラスチック部品の片面反射スペクトル図である。 例3の反射防止膜付きプラスチック部品の片面反射スペクトル図である。 例4の反射防止膜付きプラスチック部品の片面反射スペクトル図である。 例5の反射防止膜付きプラスチック部品の片面反射スペクトル図である。 例7の反射防止膜付きプラスチック部品の片面反射スペクトル図である。 例8の反射防止膜付きプラスチック部品の片面反射スペクトル図である。

Claims (7)

  1. 中空状シリカと、(メタ)アクリロイル基を有する化合物と、活性エネルギー線重合開始剤と、溶媒と、を含む活性エネルギー線硬化性組成物であって、
    該組成物中の固形分100質量部中の中空状シリカの割合が30〜45質量部であることを特徴とするプラスチック被覆用組成物。
  2. 中空状シリカの平均粒径が5〜150nmである、請求項1に記載のプラスチック被覆用組成物。
  3. 前記溶媒が、水と、25℃における水に対する溶解度が10%以上の有機溶媒と、を少なくとも含む、請求項1又は2に記載のプラスチック被覆用組成物。
  4. プラスチック基材の表面に、請求項1〜3のいずれか1項に記載のプラスチック被覆用組成物の固形分の硬化物からなる厚さ1〜20μmの硬化膜を有することを特徴とする、反射防止塗膜付きプラスチック部品。
  5. 波長380〜780nmの光に対する片面反射スペクトルにおいて、平均反射率が3.0以下であり、反射率の最大値と最小値の差が1.0以下であり、反射スペクトルに極小値を有しない、請求項4に記載の反射防止塗膜付きプラスチック部品。
  6. 請求項4又は5に記載の反射防止塗膜付きプラスチック部品を備えたことを特徴とするディスプレイ。
  7. プラスチック基材の表面に、請求項1〜3のいずれか1項に記載のプラスチック被覆用組成物を塗布し、溶媒を除去した後、活性エネルギー線を照射して、厚さ1〜20μmの硬化膜を形成する、ことを特徴とする反射防止塗膜付きプラスチック部品の製造方法。
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