JP2010002153A - 熱交換器 - Google Patents

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Abstract

【課題】通水抵抗の増大を抑制しつつ、熱交換能力向上の要求に容易に対応可能な熱交換器を提供する。
【解決手段】箱体150を、2枚のプレート151a、151bにより形成するとともに、複数積層し、箱体150内に、複数箇所の山部171と谷部172とを有して波状に形成された仕切部材170を配設し、仕切部材170により、箱体150内で蛇行状の水通路250aを構成し、仕切部材170の隣り合う山部171の中心同士の距離をピッチ寸法としたとき、箱体150内において、通過する水の温度が予め定めた基準温度以上になる高温領域の通路断面積が、通過する水の温度が基準温度を下回る低温領域の通路断面積より大きくなるように、仕切部材170のピッチ寸法を設定する。
【選択図】図2

Description

本発明は、水と冷媒とを熱交換する熱交換器に関し、水と二酸化炭素よりなる冷媒とを熱交換して水を加熱するヒートポンプ式給湯器に搭載される水冷媒熱交換器に用いて好適である。
従来、ヒートポンプ式給湯器に搭載される水冷媒熱交換器は、2枚のプレートの周縁を接合することにより形成された箱体と、この箱体の外面に螺旋状に巻装された冷媒配管とを備えている。そして、箱体の内部には、板状部材を所定のピッチで交互に折り曲げて波状に成形した仕切部材(コルゲート板)が配設されており、これにより箱体内に蛇行状、すなわち1回以上Uターンする水通路が形成されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−314975号公報
ところで、上記特許文献1に記載の水冷媒熱交換器において、熱交換能力の向上が要求される場合がある。この要求に対し、仕切部材のピッチを小さくして、水と冷媒との熱伝達率を増大させる方法や、箱体の寸法、すなわちプレートの寸法を大きくして、伝熱面積を増加させる方法がある。
しかしながら、仕切部材のピッチを小さくする方法では、通水断面積が減少するとともに、水通路のターン数が増加するため、通水抵抗の増大を招くという問題がある。また、プレートの寸法を大きくする方法では、プレートの型を新設する必要があるため、熱交換能力向上の要求に容易に対応できないという問題がある。
本発明は、上記点に鑑み、通水抵抗の増大を抑制しつつ、熱交換能力向上の要求に容易に対応可能な熱交換器を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、箱体(150)は、2枚のプレート(151a、151b)により形成されているとともに、複数積層されており、箱体(150)内には、複数箇所の山部(171)と谷部(172)とを有して波状に形成された仕切部材(170)が配設されており、仕切部材(170)は、箱体(150)内で蛇行状の水通路(250a)を構成しており、仕切部材(170)の隣り合う山部(171)の中心同士の距離をピッチ寸法としたとき、箱体(150)内において、通過する水の温度が予め定めた基準温度以上になる高温領域の通路断面積が、通過する水の温度が基準温度を下回る低温領域の通路断面積より大きくなるように、仕切部材(170)のピッチ寸法が設定されていることを特徴としている。
このように、水通路(250a)を構成する箱体(150)を2枚のプレート(151a、151b)により形成するとともに、水冷媒熱交換器(15)を箱体(150)を複数積層させることにより構成することで、水冷媒熱交換器(15)の熱交換能力を向上させるために、箱体(150)の寸法を大きくする必要がなくなる、すなわち箱体(150)を形成するプレートの型を新設する必要がなくなる。このため、熱交換能力向上の要求に容易に対応することが可能となる。このとき、熱交換能力を向上させるために、仕切部材(170)のピッチ寸法を小さくする必要もないため、通水抵抗の増大を抑制することが可能となる。
また、仕切部材(170)のピッチ寸法を変更するだけで、熱交換能力および通水抵抗を変更することができるので、種々の熱交換能力のバリエーション対応を容易に実現できる。
ところで、水の中(特に、水道水)には、カルシウム(Ca)等の不純物が含まれているため、加熱されて水の温度が上昇すると、不純物の溶解度が低下して水に溶けていた不純物が析出する。そして、析出した不純物が箱体(150)の内壁および仕切部材(170)に付着すると、水通路(250a)が詰まってしまい、熱交換器が機能しなくなる。
これに対し、箱体(150)内において、水温が基準温度以上になる高温領域の通路断面積が、水温が基準温度を下回る低温領域の通路断面積より大きくなるように、仕切部材(170)のピッチ寸法を設定することで、不純物が析出し易い高温領域の通路断面積を増大させることができる。したがって、高温領域において、不純物が箱体(150)の内壁および仕切部材(170)に付着しても、通路断面積が小さくなることを抑制できる。したがって、不純物が箱体(150)の内壁および仕切部材(170)に付着した場合における、熱交換性能の低下や通水抵抗の増大を緩和することができる。
また、請求項2に記載の発明のように、箱体(150)は、2枚のプレート(151a、151b)により形成されているとともに、複数積層されており、箱体(150)内には、複数箇所の山部(171)と谷部(172)とを有して波状に形成された仕切部材(170)が配設されており、仕切部材(170)は、箱体(150)内で水通路(250a)を複数の細流路に分割しており、仕切部材(170)の隣り合う山部(171)の中心同士の距離をピッチ寸法としたとき、箱体(150)内において、通過する水の温度が予め定めた基準温度以上になる高温領域のピッチ寸法が、通過する水の温度が基準温度を下回る低温領域のピッチ寸法より大きくなるように、板状部材(170)が形成されていてもよい。
また、請求項3に記載の発明では、複数の箱体(150)の水通路(250a)は直列に接続されて、1つの接続水流路(250)が形成されており、複数の箱体(150)のうちいずれか1つの箱体(150A)には、接続水通路(250)に水を流入させる流入部(160a)が設けられており、接続水通路(250)の流入部(160a)からの距離が接続水通路(250)の全長の70%以上となる領域における通路断面積が、接続水通路(250)の流入部(160)からの距離が接続水通路(250)の全長の70%未満となる領域における通路断面積より大きくなるように、仕切部材(170)が形成されていることを特徴としている。
水の中の不純物成分として代表的なカルシウムは、水温が約65℃以上になると析出し始めることが知られている。また、後述する図5に示すように、接続水通路(250)の流入部(160a)からの距離が接続水通路(250)の全長の70%以上になると、その領域を通過する水の温度が65℃以上になる。
したがって、接続水通路(250)の流入部(160a)からの距離が接続水通路(250)の全長の70%以上となる領域における通路断面積が、接続水通路(250)の流入部(160a)からの距離が接続水通路(250)の全長の70%未満となる領域における通路断面積より大きくなるように、仕切部材(170)を形成することで、カルシウムが析出し始める領域の通路断面積を増大させることができる。これにより、カルシウムが箱体(150)の内壁および仕切部材(170)に付着しても、通路断面積が小さくなることを抑制できる。
また、請求項4に記載の発明では、仕切部材(170)の隣り合う山部(171)と谷部(172)とは、平面部(173)により繋がれており、隣り合う平面部(173)間には、水との伝熱面積を増大させるインナーフィン(180)が配設されていることを特徴としている。
これによれば、水通路(250a)の通水抵抗を低減させるために、仕切部材(170)のピッチ寸法を大きくすることで、水の流速が遅くなった場合でも、インナーフィン(180)により、水流れを乱流化して箱体(150)と水との熱伝達率を増大させるとともに、箱体(150)と水との伝熱面積を増大させることができる。このため、熱交換能力を向上させるとともに、圧力損失を低減することが可能となる。
また、請求項5に記載の発明では、インナーフィン(180)は、複数箇所の山部(181)と谷部(182)とを有して波状に形成されており、低温領域における仕切部材(170)の隣り合う平面部(173)間の距離を第1通路幅寸法(L)、高温領域における仕切部材(170)の隣り合う平面部(173)間の距離を第2通路幅寸法(L)とし、インナーフィン(180)の隣り合う山部(181)の中心同士の距離をフィンピッチ寸法(P)としたとき、第2通路幅寸法(L)は、L=L+nP(但し、nは自然数)の関係を満たしていることを特徴としている。
これによれば、同一の仕様(フィン高さ寸法およびフィンピッチ寸法(P))のインナーフィン(180)を、配置する山数(山部(181)の数)を変更するだけで、高温領域および低温領域の両方に用いることができる。このため、低温領域に配置されるインナーフィン(180)と、高温領域に配置されるインナーフィン(180)とを、同じローラにより成形することができる。
また、請求項6に記載の発明では、インナーフィン(180)は、箱体(150)内の低温領域にのみ設けられていることを特徴としている。
これによれば、インナーフィン(180)により高温領域の通路断面積が増加することを防止できるので、カルシウムが箱体(150)の内壁および仕切部材(170)に付着しても、通路断面積が小さくなることを抑制できる。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について図1〜図6に基づいて説明する。本実施形態は、本発明に係る熱交換器をヒートポンプ式給湯器の水冷媒熱交換器に適用したものである。図1は、本第1実施形態に係る水冷媒熱交換器15が適用されたヒートポンプ式給湯器を示す全体構成図である。
図1に示すように、ヒートポンプ式給湯器は、給湯水を貯留する貯湯タンク10、貯湯タンク10内の給湯水を循環する水循環通路11、および、給湯水を加熱するためのヒートポンプサイクル装置12を備えている。貯湯タンク10は、高温の給湯水を長時間保温することができる温水タンクである。貯湯タンク10に貯留された給湯水は、貯湯タンク10の上部に設けられた出湯口10aから出湯され、台所や風呂等に給湯される。貯湯タンク10内の下部に設けられた給水口10bから水道水が補給されるようになっている。
水循環通路11には、給湯水を循環させる電動水ポンプ13が配置されており、給湯水は、貯湯タンク10下部の給湯水出口10c→電動水ポンプ13→水冷媒熱交換器15→貯湯タンク10上部の給湯水入口10dの順に流れる。
ヒートポンプサイクル装置12は、電動圧縮機14、水冷媒熱交換器15、膨張弁16、蒸発器17等を順次配管接続した周知の冷凍サイクルである。
電動圧縮機14は冷媒を吸入、圧縮、吐出する。電動圧縮機14の冷媒吐出口側は、水冷媒熱交換器15の冷媒入口側に接続されている。水冷媒熱交換器15は、給湯水が通過する水通路250aと、電動圧縮機14吐出冷媒(高温高圧冷媒)が通過する冷媒通路250bとを有し、給湯水と電動圧縮機14の吐出冷媒との間で熱交換させて、給湯水を加熱する加熱用熱交換器である。水冷媒熱交換器15の詳細については後述する。
水冷媒熱交換器15の冷媒通路250b出口側は、膨張弁16の入口側に接続されている。膨張弁16は冷媒通路250bから流出した高圧冷媒を減圧する減圧装置である。
膨張弁16の出口側は、蒸発器17に接続されている。蒸発器17は、膨張弁16で減圧された低圧冷媒と外気(室外空気)とを熱交換させることで、低圧冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させる室外熱交換器である。蒸発器17の冷媒出口側は、電動圧縮機14の吸入口側に接続されている。
次に、本実施形態の水冷媒熱交換器15の具体的構造について図2〜図6を参照して説明する。図2は本第1実施形態における水冷媒熱交換器15の全体構造を模式的に示しており、(a)は一部透過平面図で、(b)は正面図である。なお、図2(a)は、後述する第1箱体150Aを示している。
図2(a)、(b)に示すように、水冷媒熱交換器15は、水通路250aを形成する薄型矩形状の箱体150と、冷媒通路250bを形成するチューブ160を備えている。
箱体150は、縦方向、横方向および高さ方向のうち、高さ方向の長さが最も短くなっており、横方向の長さが最も長くなっている。そして、箱体150は、その高さ方向が重力方向に一致するように配置されている。箱体150内に形成された水通路250aにおける水流れ方向は、重力方向、すなわち高さ方向に対して略直交している。また、本実施形態の水冷媒熱交換器15は、箱体150を3つ有している。3つの箱体150は、重力方向に積層されている。
チューブ160は、3本の細管161a、161b、161cから構成されている金属製チューブである。3本の細管161a、161b、161cは1組となって、箱体150の外周を螺旋状に巻くように形成されている。なお、チューブ160は、3本の細管161a、161b、161cを1組として箱体150の外周を螺旋状に巻く場合に限らず、チューブ160は、2本の細管を1組として箱体150の外周を螺旋状に巻くようにしてもよい。
3本の細管161a、161b、161cの上流側端部には、分岐管162aが接続されている。分岐管162aは、電動圧縮機14から吐出された冷媒を細管161a、161b、161cに分流する。また、3本の細管161a、161b、161cの下流側端部には、分岐管162bが接続されている。分岐管162bは、細管161a、161b、161cから流出する冷媒を集合して膨張弁16の入口側に流す。
図3は本第1実施形態における箱体150を示す分解斜視図、図4(a)は図2(b)のA−A断面図、図4(b)は図2(b)のB−B断面図である。図3および図4に示すように、箱体150は、空間を挟んで対向する2枚のプレート151a、151bの周縁を接合することにより形成されている。また、2枚のプレート151a、151bの間には、矩形波状に形成された仕切部材170が配置されている。
仕切部材170は、後述するように蛇行状の水通路250aを構成するものである。仕切部材170は、複数の山部171、複数の谷部172、および複数の平面部173から構成されている。仕切部材170の外形(縦×横×高さ)は、箱体150の内寸に適合している。
山部171および谷部172は、平坦状に形成されており、それぞれプレート151a、プレート151bに接合されている。複数の山部171と複数の谷部172とは、山部171と谷部172とが交互になるよう、箱体150の横方向に並べられている。隣り合う山部171と谷部172とは、平面部173により繋がれている。複数の平面部173は、それぞれ、箱体150の縦方向に延びる長方形状に形成されている。複数の平面部173のうち隣り合う2つの平面部173は、水通路250aを構成する。
複数の平面部173には、第1、第2切り欠き開口部174a、174bのうちいずれか一方の切り欠き開口部が形成されている。第1、第2切り欠き開口部174a、174bは、水通路250aの一部を構成する。
第1切り欠き開口部174aは、平面部173のうち稜線方向、すなわち箱体150の縦方向の一端側(図2(a)中の上側)に形成されている。第2切り欠き開口部174bは、平面部173のうち稜線方向の他端側(図2(a)中の下側)に形成されている。複数の平面部173は、第1切り欠き開口部174aと第2切り欠き開口部174bとが箱体150の横方向(図2(a)中の左右方向)に向かって交互に並ぶように形成されている。
以上により、仕切部材170により図2(a)中太字の矢印の如く蛇行状の水通路250aを構成することができる。
ここで、重力方向に積層された3つの箱体150のうち、最も下方側に配置される箱体を第1箱体150Aといい、第1箱体150Aの上側に配置される箱体を第2箱体150Bといい、第2箱体150Bの上側、すなわち最も上方側に配置される箱体を第3箱体150Cという。
図2に戻り、第1箱体150Aの横方向における一端側には水入口160aが設けられており、他端側には水出口160bが設けられている。水入口160aには、入口側水配管181が接続されている。入口側水配管181には、電動水ポンプ13からの水を箱体150内に流入させる流入部(図示せず)、および箱体150内の水を抜く水抜き栓(図示せず)が設けられている。
第1箱体150Aの水出口160bには、第1接続水配管182aが接続されている。第1接続水配管182aは、第1箱体150Aの水出口160bと、第2箱体150Bの横方向における一端側に設けられている水入口160cとを接続するものである。
第2箱体150Bの他端側には、水出口160dが設けられている。水出口160dには、第2接続水配管182bが接続されている。第2接続水配管182bは、第2箱体150Bの水出口160dと、第3箱体150Cの横方向における一端側に設けられている水入口160eとを接続するものである。
第3箱体150Cの他端側には、水出口160fが設けられている。水出口160fには、出口側配管183が接続されている。出口側配管183には、箱体150内の水を貯湯タンク10へ流出させる流出部(図示せず)、および箱体150内のエア抜きを行うためのエア抜き栓(図示せず)が設けられている。
したがって、第1箱体150A、第2箱体150Bおよび第3箱体150C内の水通路250aは直列に接続されており、1つの接続水通路250を構成している。ここで、第1箱体150Aの水入口160aが、接続水通路250内に水を流入させる流入部になっている。
接続水通路250において、水入口160aから流入した水は冷媒と熱交換されることにより加熱されるので、水流れ下流側に向かうにつれて水温が上昇する。したがって、接続水通路250のうち通過する水の温度が予め定めた基準温度以上となる領域を高温領域とし、接続水通路250のうち通過する水の温度が予め定めた基準温度を下回る領域を低温領域としたとき、高温領域は低温領域より水流れ下流側に存在している。以下、接続水通路250における水入口160aからの距離を水通路距離という。
ところで、水の中のカルシウムは、水温が約65℃以上になると析出し始めることが知られている。したがって、本実施形態では上記の基準温度は65℃に設定されている。
図5は、接続水通路250の水通路距離と水温との関係を示す特性図である。図5より、接続水通路250の流入部160aからの距離が接続水通路250の全長の70%以上になると、水温が65℃以上になることがわかる。したがって、本実施形態では、高温領域を水通路距離が接続水通路250の全長の70%以上となる領域とし、低温領域を水通路距離が接続水通路250の全長の70%未満となる領域としている。
ところで、図4(a)は接続水通路250の低温領域を示しており、図4(b)は接続水通路250の高温領域を示している。図4(a)、(b)に示すように、仕切部材170の隣り合う山部171の中心同士の距離をピッチ寸法としたとき、高温領域における仕切部材170のピッチ寸法が、低温領域における仕切部材170のピッチ寸法より大きくなっている。これにより、高温領域の通路断面積が、低温領域の通路断面積より大きくなっている。
また、仕切部材170の平面部173間には、インナーフィン180が配置されている。
図6は、本第1実施形態におけるインナーフィン180を示す斜視図である。図6に示すように、本実施形態のインナーフィン180は、水流れ方向に略垂直な断面形状、すなわち、水流れ方向から見たときの断面形状が、山部181と谷部182とを交互に位置させて曲折する波形状であって、水流れ方向で、部分的に切り起こされた切り起こし部183を備え、水流れ方向から見たときに、切り起こし部183によって形成される波形状部分が、水流れ方向で隣接する波形状部分に対して、オフセットしているオフセットフィンである。ここで、インナーフィン180における隣り合う山部181の中心同士の距離をフィンピッチ寸法Pという。
また、図4に示すように、接続水通路250の低温領域に配置された仕切部材170の隣り合う平面部173同士の距離を第1通路幅寸法Lとし、接続水通路250の高温領域に配置された仕切部材170の隣り合う平面部173同士の距離を第2通路幅寸法Lとしたとき、第2通路幅寸法Lは、L=L+nP(但し、nは自然数)の関係を満たすように設定されている。
以上説明したように、水通路250aを構成する箱体150を2枚のプレート151a、151bにより形成するとともに、この箱体150を複数積層させることにより水冷媒熱交換器15を構成することで、箱体150の寸法を大きくすることなく、水冷媒熱交換器15の熱交換能力を向上できる。すなわち、水冷媒熱交換器15の熱交換能力を向上させるために、箱体150を形成するプレートの型を新設する必要がなくなる。このため、熱交換能力向上の要求に容易に対応することが可能となる。このとき、熱交換能力を向上させるために、仕切部材170のピッチ寸法を小さくする必要もないため、通水抵抗の増大を抑制することが可能となる。
また、仕切部材170のピッチ寸法を変更するだけで、熱交換能力および通水抵抗を変更することができるので、種々の熱交換能力のバリエーション対応を容易に実現できる。
また、箱体150内において、水温が基準温度、すなわちカルシウムが析出し始める温度以上になる高温領域の通路断面積を、水温が基準温度を下回る低温領域の通路断面積より大きくなるように、仕切部材170のピッチ寸法を設定することで、カルシウムが析出し易い高温領域の通路断面積を増大させることができる。したがって、高温領域において、カルシウムが箱体150の内壁および仕切部材170(以下、箱体150内部ともいう)に付着しても、通路断面積が小さくなることを抑制できる。したがって、カルシウムが箱体150内部に付着した場合における、熱交換性能の低下や通水抵抗の増大を緩和することができる。すなわち、カルシウムが箱体150内部に付着したときに、水冷媒熱交換器150に与える悪影響を小さくすることができる。
ところで、水通路250aの通水抵抗を低減させるために、仕切部材170のピッチ寸法を大きくすると、水の流速が遅くなってしまう。これに対し、箱体150内における隣り合う平面部173間に、水との伝熱面積を増大させるインナーフィン180を配設することで、インナーフィン180により、水流れを乱流化して箱体150と水との熱伝達率を増大させるとともに、箱体150と水との伝熱面積を増大させることができる。このため、熱交換能力を向上させるとともに、圧力損失を低減することが可能となる。
また、第2通路幅寸法Lを、L=L+nP(但し、nは自然数)の関係を満たすように設定することで、同一の仕様(フィン高さ寸法およびフィンピッチ寸法(P))のインナーフィン180を、配置する山数(山部(181)の数)を変更するだけで、高温領域および低温領域の両方に用いることができる。このため、低温領域に配置されるインナーフィン180と、高温領域に配置されるインナーフィン180とを、同じローラにより成形することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図7に基づいて説明する。図7は、本第7実施形態における箱体150を示す分解斜視図である。
図7に示すように、本実施形態の仕切部材170は、波状(コルゲート状)に形成されており、その稜線方向が箱体150の横方向と一致するように配設されている。このため、水通路250aは、箱体150の横方向と平行に延びる複数の細流路に分割される。そして、通過する水の温度が基準温度以上となる高温領域のピッチ寸法が、通過する水の温度が基準温度を下回る低温領域のピッチ寸法より大きくなるように、板状部材170が形成されている。本実施形態においても、上記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
(他の実施形態)
なお、上記第1、第2実施形態では、インナーフィン180を、箱体150内の低温領域および高温領域の双方に設けた例について説明したが、これに限らず、インナーフィン180を、箱体150内の低温領域にのみ設けてもよい。
これによれば、インナーフィン180により高温領域の通路断面積が増加することを防止できるので、カルシウムが箱体150内部に付着しても、通路断面積が小さくなることを抑制できる
また、上記第1、第2実施形態では、箱体150を3つ積層した例について説明したが、これに限らず、箱体150を4つ以上積層してもよいし、箱体150を2つ積層してもよい。
第1実施形態に係る水冷媒熱交換器15が適用されたヒートポンプ式給湯器を示す全体構成図である。 第1実施形態における水冷媒熱交換器15の全体構造を模式的に示しており、(a)は一部透過平面図で、(b)は正面図である。 第1実施形態における箱体150を示す分解斜視図である。 (a)は図2(b)のA−A断面図、(b)は図2(b)のB−B断面図である。 接続水通路250の水通路距離と水温との関係を示す特性図である。 第1実施形態におけるインナーフィン180を示す斜視図である。 第2実施形態における箱体150を示す分解斜視図である。
符号の説明
150 箱体
151a プレート
151b プレート
160 チューブ
170 仕切部材
160a 水入口(流入部)
180 インナーフィン
250a 水通路
250b 冷媒通路

Claims (6)

  1. 水が流れる水通路(250a)を構成する箱体(150)と、
    前記箱体(150)の外面に巻き付けられ、冷媒が流れる冷媒通路(250b)を構成するチューブ(160)とを備え、
    水と冷媒との間で熱交換を行う熱交換器であって、
    前記箱体(150)は、2枚のプレート(151a、151b)により形成されているとともに、複数積層されており、
    前記箱体(150)内には、複数箇所の山部(171)と谷部(172)とを有して波状に形成された仕切部材(170)が配設されており、
    前記仕切部材(170)は、前記箱体(150)内で蛇行状の前記水通路(250a)を構成しており、
    前記仕切部材(170)の隣り合う前記山部(171)の中心同士の距離をピッチ寸法としたとき、
    前記箱体(150)内において、通過する水の温度が予め定めた基準温度以上になる高温領域の通路断面積が、通過する水の温度が前記基準温度を下回る低温領域の通路断面積より大きくなるように、前記仕切部材(170)の前記ピッチ寸法が設定されていることを特徴とする熱交換器。
  2. 水が流れる水通路(250a)を構成する箱体(150)と、
    前記箱体(150)の外面に巻き付けられ、冷媒が流れる冷媒通路(250b)を構成するチューブ(160)とを備え、
    水と冷媒との間で熱交換を行う熱交換器であって、
    前記箱体(150)は、2枚のプレート(151a、151b)により形成されているとともに、複数積層されており、
    前記箱体(150)内には、複数箇所の山部(171)と谷部(172)とを有して波状に形成された仕切部材(170)が配設されており、
    前記仕切部材(170)は、前記箱体(150)内で前記水通路(250a)を複数の細流路に分割しており、
    前記仕切部材(170)の隣り合う前記山部(171)の中心同士の距離をピッチ寸法としたとき、
    前記箱体(150)内において、通過する水の温度が予め定めた基準温度以上になる高温領域の前記ピッチ寸法が、通過する水の温度が前記基準温度を下回る低温領域の前記ピッチ寸法より大きくなるように、前記板状部材(170)が形成されていることを特徴とする熱交換器
  3. 複数の前記箱体(150)の前記水通路(250a)は直列に接続されて、1つの接続水流路(250)が形成されており、
    前記複数の箱体(150)のうちいずれか1つの箱体(150A)には、前記接続水通路(250)に水を流入させる流入部(160a)が設けられており、
    前記接続水通路(250)の前記流入部(160a)からの距離が前記接続水通路(250)の全長の70%以上となる領域における通路断面積が、前記接続水通路(250)の前記流入部(160)からの距離が前記接続水通路(250)の全長の70%未満となる領域における通路断面積より大きくなるように、前記仕切部材(170)が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
  4. 前記仕切部材(170)の隣り合う前記山部(171)と前記谷部(172)とは、平面部(173)により繋がれており、
    隣り合う前記平面部(173)間には、水との伝熱面積を増大させるインナーフィン(180)が配設されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の熱交換器。
  5. 前記インナーフィン(180)は、複数箇所の山部(181)と谷部(182)とを有して波状に形成されており、
    前記低温領域における前記仕切部材(170)の隣り合う前記平面部(173)間の距離を第1通路幅寸法(L)、前記高温領域における前記仕切部材(170)の隣り合う前記平面部(173)間の距離を第2通路幅寸法(L)とし、
    前記インナーフィン(180)の隣り合う前記山部(181)の中心同士の距離をフィンピッチ寸法(P)としたとき、
    前記第2通路幅寸法(L)は、L=L+nP(但し、nは自然数)の関係を満たしていることを特徴とする請求項4に記載の熱交換器。
  6. 前記インナーフィン(180)は、前記箱体(150)内の前記低温領域にのみ設けられていることを特徴とする請求項4に記載の熱交換器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101871735A (zh) * 2010-06-12 2010-10-27 艾欧史密斯(中国)热水器有限公司 一种适于热泵热水器的微通道换热器及其制造方法

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CN101871735A (zh) * 2010-06-12 2010-10-27 艾欧史密斯(中国)热水器有限公司 一种适于热泵热水器的微通道换热器及其制造方法

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