JP2010001519A - 過酸化水素製造装置並びにそれを用いた空調機、空気清浄機及び加湿器 - Google Patents

過酸化水素製造装置並びにそれを用いた空調機、空気清浄機及び加湿器 Download PDF

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Abstract

【課題】酸素を含むガスと水を用いて過酸化水素を効率良く生成できる過酸化水素製造装置並びにそれにより製造された過酸化水素を洗浄に利用した空調機、空気清浄機及び加湿器を提供することを目的としている。
【解決手段】水素イオン伝導性を有する電解質膜3と電解質膜3の第一の面に接して配設された陽極電極4と電解質膜3の第二の面に接して配設された陰極電極5とにより構成された電解セル2と、電解セル2の陽極電極4側に設けられた陽極水槽10と、電解セル2の陰極電極5側に設けられた陰極水槽11と、陰極電極5に周期的に水を供給する水供給手段と、陽極電極4と陰極電極5とに直流電圧を印加する直流電源18と、を備えたもので、効率良く過酸化水素を生成できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、酸素を含むガスと水から電気化学的に過酸化水素を製造する装置並びにそれを用いた空調機、空気清浄機及び加湿器に関するものである。
近年、過酸化水素は漂白、酸化作用を有しており、食品、医薬品を始め工業用に広く使用されている。また、殺菌効果や滅菌効果にも注目されており、家庭用電化製品においても、その殺菌性や防黴性を利用して、清潔で快適な環境を作るため、洗濯機、空気清浄機等への応用が期待されている。従来、過酸化水素はイオン交換膜を利用して電気化学反応にて製造されている。
例えば、特許文献1の発明による過酸化水素製造装置では、陽イオン交換膜により陽極室と陰極室に区画され、陽イオン交換膜の陽極室側には、チタンなどの基材に貴金属酸化膜等の触媒を担持してなる多孔質陽極を設置し、陽イオン交換膜の陰極室側にはチタンなどの基材に炭素、金などの触媒を担持してなる多孔質陰極を設置する。それぞれの多孔質電極は陽イオン交換膜に密着した状態で保持されている。塩水を電解してアルカリ水溶液を製造し、アルカリ水溶液及び酸素を含むガスを加えながら水を電解し、陰極室において過酸化水素を生成する。
また、特許文献2の発明による過酸化水素製造装置では、陽イオン交換膜により陽極室と陰極室に区画され、陽イオン交換膜の陽極室側には多孔質陽極を設置し、陽イオン交換膜の陰極室側には多孔質陰極を設置する。多孔質陽極は陽イオン交換膜に密着した状態で設置されるが、多孔質陰極は親水性多孔質層を間に挟んで陽イオン交換膜に密着している。水酸化ナトリウム水溶液などの生成物が、多孔質陰極であるガス拡散層を透過せず、反応ガスである酸素の供給方向とは対向することなく、親水性多孔質層を介してイオン交換膜表面から取り出すことができる。
特開平08−296076号公報 特開平11−172484号公報
しかしながら、従来の過酸化水素の製造方法においては、生成した過酸化水素水が陽イオン交換膜や陰極上に蓄積し、反応ガスである酸素や陽イオン交換膜を透過する水素イオンの供給を阻害するため、充分な過酸化水素の生成特性が得られないという問題点があった。
本発明は、上述のような問題点を解決するためになされたものであり、水と酸素を含むガスを用いて過酸化水素を効率良く生成できる過酸化水素製造装置並びにそれにより製造された過酸化水素を洗浄に利用した空調機、空気洗浄機及び加湿器を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明に係る過酸化水素製造装置は、水素イオン伝導性を有する電解質膜と電解質膜の第一の面に接して配設された陽極電極と電解質膜の第二の面に接して配設された陰極電極とにより構成された電解セルと、陽極電極に水を供給する水供給手段と、陰極電極に周期的に水を供給する水供給手段と、陽極電極と陰極電極とに直流電圧を印加する直流電源と、を備えたことを特徴とする。
請求項8の構成では、過酸化水素製造装置において製造される過酸化水素を用いて熱交換器を洗浄する機能を有する空調機であることを特徴とする。
請求項9の構成では、過酸化水素製造装置において製造される過酸化水素を用いて空気を除菌する機能を有する空気清浄機であることを特徴とする。
請求項10の構成では、過酸化水素製造装置において製造される過酸化水素を用いて加湿素子を洗浄する機能を有する加湿器であることを特徴とする。
本発明によれば、陰極水槽における水の注入及び排出量を制御することにより、水素イオン伝導性の電解質膜と陰極電極に蓄積した過酸化水素を効率よく排出することにより、陰極電極に十分な量の酸素及び水素イオンを供給拡散させることができ、過酸化水素の生成効率の高い過酸化水素製造装置を提供できる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態に係る過酸化水素製造装置並びにそれを用いた空調機、空気清浄機及び加湿器について説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1における過酸化水素製造装置を示す概略断面図である。図2は、過酸化水素製造装置の電解セル部の概略断面図を示す。
図1に示すように、過酸化水素製造装置1の電解セル2は、水素イオン伝導性を有する電解質膜である高分子電解質膜3、この高分子電解質膜3の第一の面に接するように配設された陽極電極4、高分子電解質膜3の第二の面に接するように配設された陰極電極5で構成されており、さらに、陽極電極4には陽極端子6、陰極電極5には陰極端子7が取付けられており、電解セル2を入れる水槽8は、電解セル2と隔壁9により陽極水槽10と陰極水槽11に分割され、陽極電極4に水を供給する手段として、陽極水槽10には水12が貯えられて陽極電極4に供給され、また、陰極電極5に周期的に水を供給する水供給手段として、液送ポンプ14によってバッファタンク15の水の注入、排出することにより、陰極水槽11に貯えられた水13の水位16を制御する水位制御装置17が設けられており、電解セル2には、陽極端子6と陰極端子7を介して直流電圧を印加する直流電源18が接続され、直流電圧が印加された電解セル2の化学反応により陽極電極4では酸素からなる気泡19と陰極電極5では水素からなる気泡20がそれぞれ発生する。
次に、図1と図2を用いて過酸化水素製造装置1と電解セル2の具体的な材料構成と作製方法について説明する。図2に示すように、電解セル2は高分子電解質膜3を、陽極電極4と炭素繊維5aと触媒混合層5bとからなる陰極電極5とで挟み込んだ構造をしている。
陽極電極4は、基材と水の酸化反応を促進する酸化触媒から構成されている。基材としては、チタン(Ti)金属繊維の焼結体(繊維径20μm、長さ50〜100mmの単繊維を織り込んで焼結体としたもの)からなる密度200g/cmの布(厚み300μm)や、チタン製の網目構造を持つエキスパンドメタルを用いる。基材の高分子電解質膜3に接する面には触媒となる白金(Pt)または、酸化イリジウム(IrO)を0.25〜2mg/cmの密度でめっきすることにより陽極電極4を形成する。水の酸化反応は、基材上に形成された酸化触媒と高分子電解質膜3の界面でのみ進行するので、基材としてエキスパンドメタルを用いる場合には、網目の密度が電解性能に影響する。具体的には、1インチあたり10個以上の穴が開いたエキスパンドメタルを用いることが好ましい。
陰極電極5は、炭素系基材と酸素の還元反応を促進する還元触媒から構成されている。炭素系基材としては、厚さ200μmの炭素繊維5a(繊維径約5〜50μm、空隙率50〜80%)を用いる。また、炭素繊維5aは、撥水化処理されている。例えば、フッ素ガスで処理され(室温、F2分圧:6.7×10Pa)、表面官能基がC−F結合に置換されている。この炭素繊維5aの高分子電解質膜3に接する面に、炭素粒子21と高分子電解質粒子22を混合した還元触媒層5bを形成する。具体的には、カーボン粉末と高分子電解質(パーフルオロスルホン酸)を分散させた溶液を重量比で10:1〜1:10の割合で混合し、炭素繊維5a上に30〜500μmの厚さに塗布した後、50℃、真空下で乾燥させている。
水槽8、すなわち陽極水槽10及び陰極水槽11は、例えば、アクリル樹脂などからなり、電解セル2の陽極電極4及び陰極電極5は、それぞれ陽極端子6及び陰極端子7により、面圧2×10〜1×10Paで締め付けられている。また、陽極端子6及び陰極端子7は、例えば、円状の平板(半径1cm、厚み2mm)に細い棒(外径2mm、長さ15mm)を円板の中央から円板に垂直に溶接したもので、材料はチタン(Ti)からできている。電解セル2との接触面での腐食を防止するために、0.1〜3μm程度の厚みで白金(Pt)をめっきすることが好ましい。また、比較的低コストで電極端子を作製する必要がある場合には、同様な形状に加工したカーボン板を用いてもよい。
次に、実施の形態1の過酸化水素製造装置を用いた過酸化水素製造方法の動作原理について、図1及び図2を参照して説明する。
陽極水槽10に貯えられている水12(HO)は、陽極電極4を通過して高分子電解質膜3に接触する。さらに、この水12は高分子電解質膜3に吸収され、高分子電解質膜3内を拡散し、高分子電解質膜3で保持される。陽極電極4では、供給された水が酸化され、反応式(1)で示すように酸素(O)と水素イオン(H)とに分離される。直流電源18により陽極電極4と陰極電極5の間に連続的もしくは断続的に直流電圧を印加すると、電流が流れ、陽極電極4の表面で酸素が生成され、酸素の気泡19が発生する。
陽極: 2HO → O+ 4H + 4e (1)
高分子電解質膜3は、気体を透過せず、電気絶縁性があり、水及び水素イオン(H)のみを伝導する材質、例えば、パーフルオロスルホン酸膜でできており、陽極電極4で分離され高分子電解質膜3を透過した水素イオン(H)と陰極水槽11から供給された水13(HO)に含まれる酸素(O)とが、陰極電極5上で反応し、反応式(2)で示す還元反応によって過酸化水素(H)が生成される。生成された過酸化水素は陰極水槽11の水13に徐々に蓄積され、過酸化水素水として利用することができる。
陰極: O + 2H + 2e → H (2)
高分子電解質膜3の水素イオン伝導度は、膜中の相対湿度すなわち水の量に比例して大きくなる。高分子電解質膜3が、パーフルオロスルホン酸膜の場合では、20℃において、相対湿度20%では10−4Scm−1、40%では2×10−3Scm−1、60%では10−2Scm−1と大きく変化する。
また、陰極電極5では、過酸化水素(H)が更に還元されて水(HO)が生成する反応(3)と水素イオン(H)が直接還元されて、水素(H)が発生する反応式(4)も進行する。
陰極: H+ 2H + 2e → 2HO (3)
2H + 2e → H (4)
さらに、図2を用いて反応の様子を詳しく説明する。高分子電解質膜3に隣接する炭素粒子21と電解質粒子22の還元触媒層5bにおいて、電解質粒子22は3次元的に接合しており、陽極電極4側で発生した水素イオン(H)が高分子電解質膜3を透過して伝達する。そして、陰極電極5側から供給された酸素(O)は、炭素粒子21と電解質粒子22の界面23(黒点で示す部分)において電子(e)を受けとり、過酸化水素(H)を生成する電気化学反応が進行する。
本発明においては、反応式(2)で示すように酸素を水素イオンによって電気化学的に還元することを目的としているため、還元触媒層5bが水で被覆されてしまうと酸素の供給速度が激減し、過酸化水素の生成能力が低下する。水中とガス中における酸素の拡散係数は、それぞれ1.6×10−9(m/s)、1×10−5(m/s)程度であることから、陰極電極5の表面が水で覆われた場合には、酸素の供給速度が1/10,000に低下し、その結果、反応式(2)はほとんど進行しなくなる。
また、陰極電極5の内部に過酸化水素が蓄積し高濃度化された場合にも、高分子電解質膜3から供給される水素イオンと過酸化水素が更に反応し、式(3)に示すように水に変化することとなる。通電によって輸送された水素イオンのうち過酸化水素生成に使われる割合が低下するので、過酸化水素の生成効率は低下する。したがって、酸素の還元反応の生成物である過酸化水素と高分子電解質膜3を介して拡散する水を陰極電極5の内部から排出しないと、過酸化水素の生成能力が十分に得られないことが明らかになった。
そこで、上述した反応過程を詳細に検討した結果、本発明者らは、陰極電極における水の供給を周期的に行うことにより、水が陰極電極表面を覆っている時間を減らし、陰極電極に十分な量の酸素及び水素イオンを供給拡散させるとともに、水素イオン伝導性の電解質膜と陰極電極に蓄積した生成物である過酸化水素を速やかに除去することができ、高濃度な過酸化水素が蓄積することを抑制できることを見出した。これにより、反応式(2)の反応を促進し、過酸化水素の生成能力を低下させないように工夫している。過酸化水素の生成効率を向上させることができる。
具体的な陰極水槽11における水13の水位制御方法としては、バッファタンク15に貯えられた水を水位制御装置17により液送ポンプ14で周期的に、陰極水槽11に注入、排出することにより陰極水槽11の水位16を周期的に変化させ、陰極電極5表面における水の濡れ時間の制御を行っている。陰極電極5への酸素の供給方法としては、陰極水槽11の水13を昇降させる際に空気中の酸素が水13に取り込まれる酸素を利用する。バッファタンク15の容量は、想定される陰極水槽11の最大水量をVとすると、V以上の容量を持つバッファタンクを用意すればよく、水の供給及び排出の速度を制御できる液送ポンプ14を備えた手段を用いることができる。液送圧力や流量は電解セル2のサイズや必要とされる過酸化水素生成量により設定すればよいが、液送ポンプ14からの吐出圧力の変動が小さいものが望ましい。液送ポンプ14としては、一定の空間容積にある液を往復運動または回転運動にて容積変化させ液体にエネルギーを与える容積形ポンプが望ましい。容積形ポンプとしては、ピストンポンプ、プランジャーポンプ、ダイヤフラムポンプ、ローターや歯車の回転運動により吸込と吐出し作用を行う回転ポンプなどが使用できる。
陰極水槽11に供給する水13としては、イオン交換水や水道水を用いることが望ましい。水道水であれば、カルキ、トリハロメタンなどをフィルタで除去した水であって、電気伝導度が10mScm−1以下であれば使用することができる。
このように、実施の形態1の過酸化水素製造装置によると、水位制御装置により陰極電極における水の供給を周期的に水位を昇降させることにより行い、陰極電極に十分な量の酸素を供給拡散させるとともに、陰極電極表面を洗い流すことにより、電解質膜や陰極電極に生成、蓄積される過酸化水素を効率よく排出させ、過酸化水素が高濃度に蓄積されることを抑制して、過酸化水素の生成効率を上げることができるといった従来にはない顕著な効果を得ることができる。
なお、実施の形態1では、水素イオン伝導性を有する電解質膜として高分子電解質膜3のパーフルオロスルホン酸膜を使用する場合について述べたが、気体を透過せず、電気絶縁性があり、水分及び水素イオンのみを伝導する材料であればよく、他にポリベンゾイミダゾール系イオン交換膜、ポリベンズオキサゾール系イオン交換膜、ポリアリーレンエーテル系イオン交換膜なども用いることができ、このとき高分子電解質膜3中に含まれる水の分子数に対して約2〜6倍のリン酸分子を添加すると水素イオン伝導性が高まり、過酸化水素の生成効率を改善できる。また、陰極電極5の炭素系基材として、炭素繊維以外にも、カーボンナノファイバ(太さ10〜100nm)、黒鉛または層間にアルカリ金属を挿入した黒鉛、単層または多層のカーボンナノチューブ(太さ10nm以下)、繊維状活性炭または粒子状活性炭を用いることができる。
また、実施の形態1では、水槽8を電解セル2と隔壁9により、陽極水槽10と陰極水槽11に分割しているが、隔壁を設けずに電解セル2で分割してもよい。
〔実施例1〕
図3は、実施の形態1の過酸化水素製造装置を用いた実施例1による過酸化水素生成特性の測定結果を示す。過酸化水素製造装置全体については、図1に示すものを使用した。電解セル2を構成する材料としては、陽極電極4の基材は、チタン製エキスパンドメタル(1インチ平方あたりのメッシュ数80、線径0.1mm)、酸化触媒は酸化イリジウム(担持密度0.6mg/cm、無電解めっきで形成)を用いた。陰極電極5は、炭素繊維(繊維径10μm、空隙率70%)を基材としてその上に、炭素粉末と高分子電解質(パーフルオロスルホン酸)粉末を分散した溶液を重量比で1:3の割合で混合し、50〜400μm厚で塗布した後、50℃、真空下で乾燥して還元触媒層5bを形成した。高分子電解質膜3はパーフルオロスルホン酸である。
過酸化水素の生成条件としては、印加電圧が2.5V、温度が25℃、導入する酸素ガス流量が10cc/min、陽極電極4と陰極電極5の面積が9cm、陽極水槽10には常温のイオン交換水を50cc入れた。また、陰極水槽11には常温のイオン交換水を100cc入れた。陰極電極5で生成された過酸化水素は陰極水槽11内に徐々に蓄積される。過酸化水素濃度の経時変化は、紫外線吸光光度計(図示せず)を取付けて、180〜250nmの範囲の波長を用いて測定した。
実施例1においては、水位制御装置17により、5分を一周期として、陰極水槽11の水13の水位16を昇降させた。昇降する範囲としては、陰極電極5が完全に水没する位置(図1の位置A)から完全に露出する位置(図1の位置D)とした。陰極電極5の浸漬時間を変化させて過酸化水素の生成速度との関係を調べた。ここで、定義した浸漬時間とは、陰極電極5の各部位における浸漬時間を平均化したものである。つまり、図1のX軸に沿った陰極電極5の実質の浸漬時間をT(X)とすると、浸漬時間=1/X×∫T(X)dXで表される。ここで、図1における位置AをX=X、位置DをX=0とする。図3に実施例1での過酸化水素の生成速度(単位時間あたりの生成量)を示す。過酸化水素の生成速度は200時間連続通電した後の値である。陰極電極5を常時浸漬した場合(浸漬時間5分)や陰極電極5を浸漬しなかった場合(浸漬時間0分)と比較して、浸漬時間が1〜4分の場合には過酸化水素の生成速度が向上した。特に、浸漬時間1〜3分の場合には生成速度が0.2mg/hr以上となり、常時浸漬した場合と比較して、10倍以上の生成速度が得られた。
次に、陰極水槽11の水13の昇降により過酸化水素の生成速度が増加するメカニズムを図4に示す。陰極電極5は通電による発熱で局所的に温度が高く、気液界面近傍の界面張力が低くなっている。水位16の上昇時(図4(a))には、気液界面近傍の界面張力の変化の影響により、界面張力が低い箇所から高い箇所に水の流れ24が発生する。この流れにより高分子電解質膜3と陰極電極5に蓄積した生成物である過酸化水素25(H)を効率よく排出することが可能になる。一方、水位16の下降時(図4(b))には、上昇時と比較して陰極電極5の温度上昇は小さいが、気液界面近傍の界面張力の変化の影響により、界面張力が低い箇所から高い箇所に水の流れ24が発生する。この流れにより高分子電解質膜3と陰極電極5に蓄積した過酸化水素25(H)を効率よく排出することができる。また、水位16の下降時には水面が陰極電極5の表面に引っ張られることで、気液界面上方に薄い水膜が形成されるが、その水膜を介して気相からの酸素26の取り込み速度が向上するという効果が得られる。
以上のことから、陰極水槽11の水13を昇降させることにより、陰極電極5の近傍に陰極電極5から離れる方向に流れが発生するので、陰極電極5近傍の過酸化水素が効率的に水中に排出される。また、水位16の下降時には、気相からの酸素の取り込み速度が向上するという効果もある。その結果、陰極電極に十分な量の酸素及び水素イオンを供給拡散させるとともに、電解質膜や陰極電極に過酸化水素が高濃度に蓄積することを抑制できるので、過酸化水素の生成効率が上がるといった従来にはない顕著な効果を得ることができる。
〔実施例2〕
図5は、実施の形態1の過酸化水素製造装置を用いた実施例2による過酸化水素の生成速度の通電時間に対する経時変化特性の測定結果を示すものである。過酸化水素製造装置としては、図1に示すものを使用した。過酸化水素生成条件としては、印加電圧が2.5V、温度が25℃、陽極電極4と陰極電極5の面積がそれぞれ9cmである。電解セル2の材料、構成は、実施例1と同じであるので説明を省略する。
実施例2(図5のAで示す)では、実施例1と同様、水位制御装置17を制御して陰極電極5の浸漬時間を1分に設定した。ここで、浸漬時間とは、陰極電極5の各部位における浸漬時間を平均化したものである。つまり、図1のX軸に沿った陰極電極5の実質の浸漬時間をT(X)で定義すると、浸漬時間=1/X×∫T(X)dXで定義される。ここで、図1における位置AをX=X、位置DをX=0とする。比較例1として、陰極水槽11の水位16を図1の位置B(陰極電極5が75%浸漬した状態)、及び比較例2として、水位16を図1の位置C(陰極電極5が10%浸漬した状態)で一定とした場合の過酸化水素生成速度(図5のB、Cで示す)をそれぞれ測定した。
陰極水槽11の水位16を昇降させた実施例2(図5のAで示す)での過酸化水素の生成速度(単位時間あたりの発生量)は通電時間によらずほぼ一定であった。これに対して、水位16を位置Bで一定とした比較例1(図5のBで示す)では、初期の生成速度は0.2〜0.6mg/hrと比較的高いが、通電時間が30時間を過ぎると急激に性能が低下し、120時間後には0.02mg/hr以下にまで減少した。また、水位16を位置Cで一定とした比較例2(図5のCで示す)では、開始直後に0.02mg/hrにまで急激に低下し、120時間後には、過酸化水素の生成がほぼ停止した。比較例1において、過酸化水素の生成能力が急激に低下したのは、高分子電解質膜3と陰極電極5に過酸化水素などの生成物が蓄積し、反応式(3)、(4)による過酸化水素が生成されない、もしくは消費する反応が進行したことが原因と考えられる。実施例2では、陰極電極5に十分な量の酸素及び水素イオンを供給拡散させるとともに、高分子電解質膜3や陰極電極5上に過酸化水素が高濃度に蓄積することを抑制できるので、長期間にわたり安定した過酸化水素の生成速度を実現している。このことからも、陰極水槽11の水位16を周期的に変化させることは、安定的に効率よく過酸化水素を生成する上で有効であることが確認できた。
〔実施例3〕
実施の形態1の過酸化水素製造装置1を用いた陰極水槽11の水位16の昇降速度を変えた場合における過酸化水素の生成速度との関係について検討した実施例3の結果について述べる。水位制御装置17を操作して、陰極電極5表面の浸漬時間を一定に保持した状態で水位16の上昇速度及び下降速度を0.1〜100m/sの範囲で変化させた。過酸化水素生成条件としては、印加電圧が2.5V、温度が25℃、陽極電極4と陰極電極5の面積がそれぞれ9cm2である。ここで、浸漬時間を3分と一定に設定した。電解セル2の材料、構成は、実施例1と同じであるので説明を省略する。ここで、浸漬時間とは、実施例1、2と同様、陰極電極5の各部位における浸漬時間を平均化したものである。つまり、図1のX軸に沿った陰極電極5の実質の浸漬時間をT(X)で定義すると、浸漬時間=1/X×∫T(X)dXで定義される。ここで、図1における位置AをX=X、位置DをX=0とする。
図6に実施例3での過酸化水素生成速度(単位時間あたりの発生量)を示す。陰極水槽11の水位16の上昇速度1mm/s、下降速度を1mm/sに設定した場合の過酸化水素生成速度を100とした場合に対する相対値を示す。この図から、水位16の上昇速度は50mm/s以下が望ましく、また、水位下降速度は10mm/s以下が望ましいことが分かった。ただし、上昇速度と下降速度を同時に極端に小さくすると、1周期あたりに必要な時間が長くなってしまい、陰極水槽11の水位16を変化させない場合と大差がなくなるため、水位16を昇降させる効果が小さくなる。具体的には、水位16が陰極電極5の任意の2点の間を移動する昇降の周期は1時間以下に設定することが望ましい。水位16の上昇速度及び下降速度を0.1m/s以下に設定すると、気液界面付近の温度変化が小さくなり界面張力の差が急激に小さくなる。従って、水位16の上昇速度及び下降速度は0.1m/s以上に設定することが望ましい。更に安定して過酸化水素生成を行うためには、水面16の上昇速度を0.1〜50mm/s、水面の下降速度を0.1〜10mm/sに設定することが望ましい。
実施の形態2.
図7は、本発明の実施の形態2における過酸化水素製造装置を示す概略断面図である。
図7に示すように、実施の形態2における過酸化水素製造装置には、実施の形態1の水位制御装置17の他、酸素を含むガスを発生するガス発生装置27が設けられ、このガス発生装置27で発生されたガスを陰極水槽11の水13に供給するガス供給管28が設けられ、このガス供給管28の先端の孔29から酸素を含むガスの気泡30として、陰極水槽11の水13に導入される。実施の形態2の過酸化水素製造装置において、図1と同一符号は、同一または相当部分を示すので、説明を省略する。
次に、実施の形態2の過酸化水素製造装置にガス発生装置を設置した場合の動作について説明する。実施の形態1では、陰極電極5への酸素の供給方法としては、陰極水槽11の水位16を昇降させる際に空気中から取り込まれる酸素を利用しているが、実施の形態2では、さらに効率よく酸素を陰極電極5に供給するために、ガス供給手段としてのガス発生装置27を別途設置して、酸素を含むガスをガス供給管28の先端に設けた孔29から水13の中に導入するものである。これにより、水には十分な酸素を含ませた状態に保つことができ、陰極電極5に安定的に酸素を供給し、高い効率で過酸化水素を生成することができる。
ガス供給管28の材料としては、アクリル、塩化ビニル、ガラス、TiO2、酸化アルミ、カーボンなどの親水性を有するものを用いると、気泡30が孔29から離れやすくなるため微細な気泡を形成できる。具体的にはこれにより0.1mm程度まで気泡を微細化できる。微細な気泡を形成すれば、陰極電極5表面により均一に酸素と水を同時に供給できるので、電解セル2のより安定した運転を実現できる。また、陽極水槽10、陰極水槽11及びガス供給管28の材料としては、過酸化水素に対する分解性能が低いものがよく、樹脂材料全般、チタン、カーボン、ガラス、金などを用いることができる。一方、ステンレス鋼、銅、白金、マンガン、マンガン酸化物、パラジウム、鉄などを含む材料を用いるとその表面において過酸化水素が分解されるため望ましくない。
また、陰極水槽11での水中、もしくは陰極電極5表面近傍において、ガス発生装置27によって形成された気泡30同士の融合を防止する目的で、水13に添加剤を加えてもよい。具体的には、酢酸や、カルボキシル基以外の親水性の残基(−OH、−NH(第1アミン)、−NH−(第2アミン)、−N<(第3アミン)、−C(O)NH−(ペプチド結合)、−C(O)NH(第1アミド)、(−C(O))NH(第2アミド)、(−C(O))N(第3アミド)、−O−、−SOH、−POH、−F、−NO、−S(O)−、−CNなど)を持つ有機酸(カルボン酸)が使用可能である。また、水に対し、残基(カルボキシル基)の濃度が0.001〜1mol/Lとなるように用いると好ましく、0.01〜0.2mol/Lとなるように用いるとさらに好ましい。残基の濃度が0.001mol/Lよりも低い場合、発生する気泡の径が大きくなってしまう傾向があり、残基の濃度が1mol/Lよりも高い場合には、浮上した気泡がなかなか消滅しない傾向がある。なお、ここで残基の濃度とは、分子の濃度に1分子中の残基(この例ではカルボキシル基)の数を乗じた値を意味する。また、この水のpHは、4以下であると好ましく、3以下であるとさらに好ましい。水のpHが4よりも大きい場合、発生する気泡の径が大きくなってしまう傾向がある。一方、無機化合物を添加する場合には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウムなどの強電離性の塩を用いるのがよい。塩濃度は0.1重量%以上にするのが望ましい。
このように、実施の形態2の過酸化水素製造装置によると、水位制御装置により陰極電極における水の供給を周期的に行い、水位を昇降させることと、ガス発生装置により酸素を含むガスを陰極水槽の水に供給することにより、陰極電極に十分な量の酸素を供給拡散させるとともに、陰極電極表面を洗い流すことにより、電解質膜や陰極電極に生成、蓄積される過酸化水素を効率よく排出させ、過酸化水素が高濃度に蓄積されることを抑制して、過酸化水素の生成効率を上げることができるといった従来にはない顕著な効果を得ることができる。
実施の形態3.
図8は、本発明の実施の形態3における過酸化水素製造装置を示す概略断面図である。
図8に示すように、実施の形態3における過酸化水素製造装置には、水供給手段として、水供給装置31から水供給管32を通して陰極電極5表面に水を噴霧する回転機構を有するノズル33が設けられ、陰極水槽11の水13を循環配管34、送水ポンプ35により水供給装置31に循環送水する。実施の形態3の過酸化水素製造装置において、図1と同一符号は、同一または相当部分を示すので、説明を省略する。
次に、実施の形態3の過酸化水素製造装置の動作について説明する。実施の形態1では、陰極電極5への酸素の供給方法としては、陰極水槽11の水13を昇降させる際に空気中から取り込まれる酸素を利用しているが、実施の形態3では、水供給装置31とノズル33により水が陰極電極5に向かって噴霧される際に取り込まれる空気中の酸素を利用している。陰極水槽11の底部から水13を送水ポンプ35により循環配管34を通して水供給装置31に送水し、水供給管32の先端部に取り付けられたノズル33をスキャンさせながら、水を陰極電極5表面に噴霧する。水がノズル33から陰極電極5に噴霧される際に、取り込まれる空気中の酸素を陰極電極5に供給する。ノズル33は上下左右に走査可能で、水が万遍なく陰極電極5表面に噴霧される。これにより、陰極電極5に安定的に酸素を供給し、高い効率で過酸化水素を生成することができる。また、高分子電解質膜3と陰極電極5で生成された過酸化水素を噴霧水で常に洗い流すことにより、高濃度の過酸化水素が高分子電解質膜3や陰極電極5に蓄積されないので、過酸化水素の生成を阻害することがなく、効率よく過酸化水素を生成することができる。水13に過酸化水素が蓄積され、過酸化水素水として利用できる。
このように、実施の形態3の過酸化水素製造装置によると、水供給装置により陰極電極表面に向かってノズルから水を噴霧することにより、陰極電極に十分な量の酸素を供給拡散させるとともに、陰極電極表面を洗い流すことにより、電解質膜や陰極電極に生成、蓄積される過酸化水素を効率よく排出させ、過酸化水素が高濃度に蓄積されることを抑制して、過酸化水素の生成効率を上げることができるといった従来にはない顕著な効果を得ることができる。
〔実施例4〕
実施の形態3の過酸化水素製造装置において、図8に示した回転機構を有するノズル33によって陰極電極5に水を噴霧した場合の過酸化水素生成特性について詳細に検討した結果について述べる。水13の水位16を図1に相当するA〜Dの間の任意の位置に設定した後、水供給装置31とノズル33を回転操作して、陰極電極5に対して連続的、断続的に水を供給した。過酸化水素生成条件としては、印加電圧が2.5V、温度が25℃、陽極電極4と陰極電極5の面積が9cmである。噴霧する水の流量は0.1〜10L/min、ノズル33から陰極電極5への噴霧角度αは−90〜90度、ノズル33の先端から陰極電極5までの距離は1mm〜100mm、浸漬時間は3分で一定に設定した。電解セル2を構成する材料は、実施例1と同じであるので説明を省略する。ここで、浸漬時間とは、陰極電極5の各部位における浸漬時間を平均化したものである。つまり、図1に相当するX軸に沿った陰極電極5の実質の浸漬時間をT(X)で定義すると、浸漬時間=1/X×∫T(X)dXで定義される。ここで、図1に相当する位置AをX=X、位置DをX=0とする。
ノズル33から陰極電極5に向かって噴霧された水は陰極電極5の表面を伝って陰極水槽11に回収される。従って、ノズル33の走査速度を調節することにより、陰極電極5の各部位の浸漬時間が制御され、陰極電極5の全体の平均浸漬時間を制御することが可能である。また、ノズル33の噴霧角度αの変化速度を調節すると、陰極電極5上に形成される気液界面の移動速度を制御することも可能である。ノズル33の形状として、ライン状のスリットを持つものを用いると陰極電極5を図8の紙面に垂直な方向においても同等の条件を実現することができる。また、円状に穴の開いたノズルを使用する場合には、図8の紙面に垂直な方向にノズルを複数設置することが望ましい。実施例4においては、実施の形態3における水供給装置31を制御して5分を一周期として、ノズル33からの水の噴霧パターンを変化させた。また、陰極水槽11の水13の水位16は図1のDの位置に設置した後、ノズル33から水の噴霧を行った。
実施例4での過酸化水素の生成速度(単位時間あたりの生成量)を評価した結果を以下に示す。陰極電極5を常時浸漬した場合(浸漬時間5分)や陰極電極5を浸漬しなかった場合(浸漬時間0分)と比較して、浸漬時間0.8〜4.2分の場合には過酸化水素生成速度が向上した。特に、浸漬時間1.2〜3.2分の場合には生成速度が0.2mg/hr以上となり、常時浸漬した場合と比較して、10倍以上の生成速度が得られた。また、ノズル33の噴霧角度αを調節して気液界面の移動速度を変化させて過酸化水素発生速度を調べた。陰極電極5上において水が陰極電極5面に沿う方向に移動する速度を1mm/sに設定した場合の生成速度を100とすると、移動速度が10mm/s以上では40以下に低下し、50mm/s以上では20以下に低下した。逆に、移動速度を0.1mm/s以下にしても、相対的な過酸化水素生成速度は10以下に低下した。
陰極電極5上における気液界面の移動速度に極端に小さくすると、1周期あたりに必要な時間が長くなってしない、陰極水槽11の水位16を変化させない場合と大差なくなるため、噴霧の効果が小さくなる。具体的には、ノズル33からの水の噴霧パターンの1周期は1時間以下に設定することが望ましい。また、水噴霧の効果を最大限発揮させるには、陰極電極5の全体に噴霧する方が良いので、ノズル33から水の噴霧を開始する前には、水位16を図1のDの位置(陰極電極5が浸漬しない位置)か、それ以下の位置に設定することが望ましい。
実施の形態4.
図9は、本発明の実施の形態4における過酸化水素製造装置を示す概略断面図である。
図9に示すように、実施の形態4における過酸化水素製造装置には、実施の形態1の水位制御装置17の他、酸素を含む有機ガス36を発生するガス発生装置35が設けられ、このガス発生装置35で発生された有機ガス36が、ガス供給管37を通して陰極水槽11の水13に供給される。実施の形態4の過酸化水素製造装置において、図1と同一符号は、同一または相当部分を示すので、説明を省略する。
次に、実施の形態4の過酸化水素製造装置の動作について説明する。
実施の形態4では、ガス発生装置35において、酸素を含む有機ガス36を発生させ、この有機ガス36を陰極電極5の上方に設置されたガス供給管37の先端部から陰極水槽11の気相へ有機ガス36を供給し、酸素を電解セル2へ供給することによって過酸化水素の生成を行うものである。
有機ガス36を導入することにより、有機物が水13に徐々に溶解し、水13の水面近傍の有機物濃度が上昇する。一般的に有機物の界面張力は水と比較して小さいため、有機物の添加がない場合と比較して、気液界面付近の水の界面張力をより小さくすることが可能である。水位の昇降時には、気液界面近傍の界面張力の変化の影響により、界面張力が低い所から高い所に流れが発生する。したがって、有機物と酸素を陰極電極5に接触する気相部分に供給することで、有機物がない場合と比較して、気液界面付近の水の界面張力をより小さくすることが可能であり、陰極水槽11の水13の水位16を昇降させると陰極電極5付近でより大きな水の流れ発生させることができる。この流れにより、水素イオン伝導性の電解質膜や陰極電極に蓄積した過酸化水素を効率よく排出させることができる。
ここで、ガス供給管37は水没しないことが望ましい。このため、水位センサ(図示しない)によって陰極水槽11の水位16を監視し、水位16がガス供給管37よりも低い場合にのみ、有機ガスの供給を行うようにする。
このように、実施の形態4の過酸化水素製造装置によると、水位制御装置により陰極電極における水の供給を周期的に行い、水位を昇降させることと、有機物を陰極水槽の水に添加にすることにより、気液界面付近の水の界面張力をより小さくすることで、水位の昇降に伴って生じる水の流れをより大きくさせて、陰極電極に十分な量の酸素を供給拡散させるとともに、電解質膜や陰極電極に生成、蓄積される過酸化水素をより効率よく排出させ、過酸化水素が高濃度に蓄積されることを抑制して、過酸化水素の生成効率を上げることができるといった従来にはない顕著な効果を得ることができる。
〔実施例5〕
実施の形態4の過酸化水素製造装置を用いて、有機物と酸素を含む有機ガスを陰極電極5に接触する気相部分に供給した。ガス発生装置35に導入する有機物としては、例えば、エチルグリコール(ethlglycol)、1−プロパノール(1−propanol)、2−プロパノール(2−propanol)、テトラヒドロフラン(tetrahydrofurane)、4−オキシ−4メチル−2ペンタモーン(4−hydroxy−4−methl−2−pentamone)、1−ブタノール(1−butanol)、2−ブタノール(2−butanol)、メタノール(methanol)、エタノール(ethanol)、イソプロピルアルコール(isopropylalcohol)、アセトン(atetone)、n−プロピルアルコール(n−propylalcohol)または、ジメチルエーテル(dimethlether)を用いることができる。
25℃における水の界面張力が72.75dyn/cmであるのに対して、メタノールは24dyn/cm、エタノールは24.1dyn/cm、n−プロピルアルコール及びイソプロピルアルコールは22.9dyn/cm、アセトンは26.3dyn/cmの表面張力を有する。
前記の有機物が陰極電極5の気液界面に溶解されると、実施例1で説明した気液界面近傍の界面張力の変化の影響で発生する流れの強度を更に強化することができる。また、水位16の下降時には水位16が陰極電極5の表面に引っ張られることで引き起こされる気相からの酸素の取り込み速度も更に強化することができる。
実施例5においては、過酸化水素生成条件として、印加電圧が2.5V、温度が25℃、陽極電極4と陰極電極5の面積が9cmである。電解セル2を構成する材料は、実施例1と同じであるので説明を省略する。有機物としては、エチレングリコール、ブタノール、1−プロパノール、エタノール、メタノールを用いて、その添加濃度を0.01〜10%の範囲で変化させた場合の過酸化水素発生速度を評価した。図10は、実施例5での過酸化水素生成速度(単位時間あたりの発生量)であり、エチレングリコール1%の場合の過酸化水素発生速度を100とした場合の相対値を示す。エチレングリコール(A)、ブタノール(B)、1−プロパノール(C)、エタノール(D)、メタノール(E)のいずれにおいても有機物濃度が0.01%以下では生成速度が30以下、10%以上では生成速度は50以下となった。有機物濃度が0.01%以下では有機物による界面張力の変化が十分でなく、有機物の添加の効果が見られなかったものと考えられる。一方、10%以上では添加した有機物は過酸化水素との反応によって酸化され、過酸化水素を消費したため生成速度が低下したと考えられる。従って、添加する有機物濃度は0.01〜10%の範囲が望ましい。更に安定して過酸化水素を発生するには、添加する有機物濃度を0.1〜10%の範囲に設定することが望ましい。
有機ガス36の水13への溶解に伴って、水13中の有機物濃度が増大する。電気分解によって生成した過酸化水素は有機物と反応する可能性があるが、水13に含まれる全有機炭素量が100mg/Lを超えると過酸化水素の分解速度が0.1mg/hrを超えることがわかった。過酸化水素の生成速度が最大で0.2〜0.4mg/hr程度なので、全有機炭素量は100mg/Lを超えないことが望ましい。また、全有機炭素量が100mg/L以下であっても、水13の溶存有機物濃度が飽和濃度に到達すると、気液界面近傍と離れた位置での濃度が同等となる。水13内の有機物濃度が均一となると気液界面付近の水の界面張力が界面から離れた位置の界面張力が同等となり、水位の昇降時に発生する流れが弱められる。具体的には水13の溶存有機物濃度は、気相に存在する有機物濃度に対する飽和濃度の1/5以下に制御することが望ましい。制御方法としては、有機濃度が高濃度化する前に過酸化水素水を取り出す、新たに水を追加する、もしくは有機物を吸収する吸着剤を投入するなどが考えられる。なお、使用する有機物は前記のいずれかの単体または混合物であってもよい。
以上のことから、有機物の添加により陰極電極5の近傍に陰極電極5から離れる方向に発生する流れが大きくなるので、陰極電極5近傍の過酸化水素が効率的に水中に排出される。また、水位16の下降時には、気相からの酸素の取り込み速度も向上するという副次的効果もある。
なお、本発明の実施の形態1から実施の形態4の説明では、高分子電解質膜3として、パーフルオロスルホン酸膜を使用する場合について述べたが、気体を透過せず、電気絶縁性があり、水分及び水素イオンのみを伝導する材料であればよく、他にポリベンゾイミダゾール系イオン交換膜、ポリベンズオキサゾール系イオン交換膜、ポリアリーレンエーテル系イオン交換膜なども用いることができる。さらに、高分子電解質膜3中に含まれる水の分子数の約2〜6倍のリン酸分子を添加すると水素イオン伝導性が高まり、過酸化水素の生成効率が改善される。
また、陰極電極材料としては、実施の形態で述べた炭素繊維以外にも、基材として、カーボンナノファイバ(太さ10〜100nm)、黒鉛または層間にアルカリ金属を挿入した黒鉛、単層または多層のカーボンナノチューブ(太さ10nm以下)、繊維状活性炭または粒子状活性炭を用いることができる。
実施の形態5.
図11は、本発明の実施の形態5における空調機の熱交換器部を示す概略断面図である。
熱交換器を有する空調機に過酸化水素製造装置を設置したもので、空気中の水蒸気は熱交換器38の表面において冷却され、熱交換器38の表面で凝縮され凝縮水39となる(凝縮水のことを以下「ドレン水」と呼ぶ)。熱交換器38の表面は親水化処理されているため、ある一定以上の凝縮水39が付着すると自然落下を始めて、ドレン水40として、ドレンパン41にて回収される。次に、ドレン水40は水供給手段42によって一定速度で過酸化水素製造装置43に供給され、生成された過酸化水素水45は過酸化水素水供給手段44によって熱交換器38の表面に散布され、熱交換器38の表面に発生、付着するカビや細菌などを除去する。
水供給手段42、過酸化水素水供給手段44としては、液送ポンプなどの動力や、繊維状の吸水性シートの毛管現象、超音波噴霧などを利用することができる。吸水性のシートとしては、パルプとポリエチレン繊維を編んだシートやセラミック繊維、ガラス繊維からなるシートを用いることができる。特に、過酸化水素水45を熱交換器38へ供給する場合には、過酸化水素との反応性の低い、セラミック繊維、ガラス繊維を用いるのが好ましい。
このように、本発明の過酸化水素製造装置を設置した空調機によると、空調機内部にある熱交換器により凝縮された水を利用して、過酸化水素製造装置により製造された過酸化水素で熱交換器を洗浄することで、熱交換器の表面に発生するカビや細菌の発生を抑制することができるという効果がある。また、熱交換器の凝縮による空気中に存在する希薄な水を利用して過酸化水素を生成しているので、過酸化水素の生成に必要な水を確保できない環境下においても使用することができるという効果もある。
〔実施例6〕
図12は、本発明の実施の形態5における過酸化水素製造装置を設置した空調機の熱交換器に付着させた菌体に対する除菌効果を実施例6による測定結果を示す。以下のような設定条件で試験を実施した。過酸化水素の生成条件としては、実施の形態1において、電流値0.5〜5A、温度25℃、供給する空気流量が20〜100cc/min、陽極電極4と陰極電極5の面積が20cmである。また、電解セル2を構成する材料は実施例1と同様のものを用いた。
空気中の水蒸気は熱交換器38の表面において冷却され、熱交換器38の表面で凝縮されて凝縮水39なる。熱交換器38の表面は親水化処理されているため、単位面積あたり0.1mg/cm以上の凝縮水39が付着すると自然落下を始めて、ドレンパン41に回収される。次に、ドレンパン41のドレン水40は水供給手段42によって一定速度で過酸化水素製造装置43の陽極電極に供給され、さらに、陰極電極には送風ファン(図示せず)によって送出された空気が供給される。生成された過酸化水素水45は過酸化水素水供給手段44によって熱交換器38の表面に散布される。予め熱交換器38の表面には大腸菌を1cm2あたり900個生息させておき、過酸化水素製造装置43により生成された過酸化水素水溶液を散布した場合の大腸菌の菌体数を測定した。水供給手段42としては、厚さが0.25mmから3mm、線径0.1μmから100μmのガラス繊維を主成分とする無機酸化物からなる幅40mm、長さ30cmの複合ペーパを用いた。過酸化水素水供給手段46には、超音波噴霧装置を用いた。噴霧速度としては250cc/hr、噴霧粒径は3μmに設定した。
次に、熱交換器38に生成された過酸化水素水45を散布した場合における熱交換器表面の菌体数の変化について詳細に述べる。図12において、電流値を0.5Aに設定した場合の前記菌体数の時間変化を実線Aで、電流値を5Aに設定した場合の菌体数の時間変化を一点鎖線Bで示す。また、比較のために本実施例において電源をOFFして、電流値を0Aに設定した場合の菌体の時間変化を比較例として破線Cで示す。A及びBでは電源ONとともに時間に伴って大腸菌の菌体数が減少し、減少速度は電流値に比例して増加した。これは、電流値に比例して過酸化水素濃度が増加したためと考えられる。A及びBでの過酸化水素の生成量はそれぞれ120ppm、800ppmであった。これに対して、比較例のCでは、過酸化水素が生成されず、菌体数はほぼ800〜900個/cmと一定で変化が認められなかった。
このように、過酸化水素の生成に必要な水を確保できない環境下において使用される空調機においても、熱交換器により凝縮された水を利用して本発明の過酸化水素製造装置により製造された過酸化水素で熱交換器を洗浄することにより空調機内部にある熱交換器の表面に発生するカビや細菌の発生を抑制できる効果があることが確認できた。
実施の形態6.
図13は、本発明の実施の形態6における加湿器を示す概略断面図である。
過酸化水素製造装置を加湿器に設置したもので、空気を加湿するための水を貯めておく貯水タンク46、貯水タンク46から加湿用の水を加湿素子47に送る配管48と、加湿素子47で余剰となった加湿水49を回収するドレンパン50、ドレンパン50にて回収されたドレン水51を貯水タンク46に送る配管52で構成されている。さらに、貯水タンク46から過酸化水素を製造するための水を過酸化水素製造装置53に供給する水供給手段54と、過酸化水素製造装置53で生成された過酸化水素水55を加湿素子47の表面に散布する過酸化水素水供給手段56によって構成され、加湿素子47の表面に発生、付着するカビや細菌などを過酸化水素水55により除去し、洗浄に使用された過酸化水素水55はドレンパン50にて回収される。
水供給手段58、過酸化水素水供給手段60としては、液送ポンプなどの動力や、繊維状の吸水性シートの毛管現象、超音波噴霧などを利用することができる。吸水性のシートとしては、パルプとポリエチレン繊維を編んだシートやセラミック繊維、ガラス繊維からなるシートを用いることができる。特に、過酸化水素水59を加湿素子51へ送出する場合には、過酸化水素との反応性の低い、セラミック繊維、ガラス繊維を用いるのがよい。
このように、加湿器で水分が蓄積しやすい部分、特に加湿素子、ドレンパンなどはカビが発生しやすいという問題があるが、加湿用の水の一部を利用して本発明による過酸化水素製造装置により過酸化水素水を生成させて加湿素子を洗浄することにより、カビや細菌の発生を抑制する効果がある。また、一度、過酸化水素水を供給した場所が乾燥した場合でも、過酸化水素は水と比較して蒸気圧が1/10程度であるので蒸発しにくいため、過酸化水素が濃縮されてカビや細菌の除菌効果は飛躍的に向上する。
実施の形態7.
図14は、本発明の実施の形態7における空気清浄機を示す概略断面図である。
過酸化水素製造装置を業務用に使用される空気清浄機57に設置したもので、空気を循環させる送風機58、温湿度調整を行なう冷却コイル59及び加熱コイル60及び過酸化水素水を空気と接触させる水膜を形成する除菌エレメント61が装置内部に設置されて空気清浄機57が構成されている。また、除菌エレメント61に過酸化水素水を供給するための手段として過酸化水素製造装置62が設けられ、生成された過酸化水素水がポンプ63、流量調整弁64を介して、散水ヘッダ65より除菌エレメント61に供給されるように構成されている。そして、除菌エレメント61設置側(図14中、左側)から、除菌対象となる空気66が空気清浄機57内に吸引されるように構成されている。また、水膜を形成する除菌エレメント61の中央部にはパッドが配設され、その上面には分散マット(図示せず)が取付けられている。そして、この分散マットに流量調整弁64に接続された散水ヘッダ65を介して過酸化水素水が供給されるように構成されている。さらに、除菌エレメント61の下部にはドレンパン67が配設され、パッドを流下した過酸化水素水を装置外部に排出できるように構成されている。
過酸化水素製造装置62で生成された過酸化水素水はポンプ63で吸い上げられ、流量調節弁64を通して、散水ヘッダ65により除菌エレメント61の分散マットに噴霧される。一方、除菌対象となる空気66は送風機58により、空気清浄機57本体に取り込まれ、除菌エレメント61でカビや細菌が除去され、冷却コイル59で冷やされ、除湿された後、加熱コイル60で暖められ、清浄化された空気68が、空気清浄機57から取り出される。
なお、水膜を形成する除菌エレメント61のパッドとして、保水性の高い吸水性素材を使用すると、過酸化水素の滴下量を低減することができるだけでなく、除菌対象となる空気との接触時間を長くすることができるので、除菌性能を向上させることができる。このパッドの材質としては、例えば、グラスファイバを骨材として焼成した複合セラミックスや、多孔質セラミックを用いることができる。また、ポリエステル、ポリエチレン等の化学繊維を用いた吸水性素材を用いてもよい。
このように、本発明による過酸化水素製造装置を業務用に使用される空気清浄機に設置することで、効率よく過酸化水素水を生成でき、除菌エレメントを過酸化水素により空気中に存在するカビや細菌を除去できる効果がある。
実施の形態1における過酸化水素製造装置を示す概略断面図である。 実施の形態1における過酸化水素製造装置の電解セル部の構成を示す概略断面図である。 実施の形態1における過酸化水素製造装置を用いた実施例1による浸漬時間と過酸化水素生成速度の測定結果を示す図である。 実施の形態1における過酸化水素製造装置を用いた水位昇降による過酸化水素生成速度の増加メカニズムを示す図である。 実施の形態1における過酸化水素製造装置を用いた実施例2による通電時間と過酸化水素生成速度の測定結果を示す図である。 実施の形態1における過酸化水素製造装置を用いた実施例3による水位昇降と過酸化水素生成速度の測定結果を示す図である。 実施の形態2における過酸化水素製造装置を示す概略断面図である。 実施の形態3における過酸化水素製造装置を示す概略断面図である。 実施の形態4における過酸化水素製造装置を示す概略断面図である。 実施の形態4における過酸化水素製造装置を用いた実施例5による有機溶剤蒸気濃度と過酸化水素生成速度の測定結果を示す図である。 実施の形態5における空調機を示す概略断面図である。 実施の形態5における空調機の実施例6による接触時間と菌体数の測定結果を示す図である。 実施の形態6における加湿器を示す概略断面図である。 実施の形態7における空気清浄機を示す概略断面図である。
符号の説明
1,43,53,62 過酸化水素製造装置
2 電解セル
3 高分子電解質膜
4 陽極電極
5 陰極電極
10 陽極水槽
11 陰極水槽
12,13 水
16 水位
17 水位制御装置
18 直流電源
27 ガス発生装置
28 ガス供給管
31 水供給装置
27 水供給管
33 ノズル
35 ガス発生装置
37 ガス供給管
38 熱交換器
45,55 過酸化水素水
47 加湿素子
61 除菌エレメント
57 空気清浄機

Claims (10)

  1. 水素イオン伝導性を有する電解質膜と前記電解質膜の第一の面に接して配設された陽極電極と前記電解質膜の第二の面に接して配設された陰極電極とにより構成された電解セルと、
    前記陽極電極に水を供給する水供給手段と、
    前記陰極電極に周期的に水を供給する水供給手段と、
    前記陽極電極と前記陰極電極とに直流電圧を印加する直流電源と、
    を備えたことを特徴とする過酸化水素製造装置。
  2. 陰極電極に周期的に水を供給する水供給手段が、前記陰極電極側に陰極水槽を設け、前記陰極水槽の水位を変化させるものであることを特徴とする請求項1に記載の過酸化水素製造装置。
  3. 水位の変化を上昇速度が0.1から50mm/s、下降速度が0.1から10mm/sとなるよう制御することを特徴とする請求項2に記載の過酸化水素製造装置。
  4. 陰極電極に周期的に水を供給する水供給手段が、前記陰極電極側に上下、左右に可動自在なノズルを設け、前記ノズルにより陰極電極に水を噴霧するものであることを特徴とする請求項1に記載の過酸化水素製造装置。
  5. 陰極電極に酸素を含むガスを供給するガス供給手段が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の過酸化水素製造装置。
  6. 陰極電極に供給される水に、添加剤として酢酸若しくはカルボキシル基以外の親水性の残基(−OH、−NH(第1アミン)、−NH−(第2アミン)、−N<(第3アミン)、−C(O)NH−(ペプチド結合)、−C(O)NH(第1アミド)、(−C(O))NH(第2アミド)、(−C(O))N(第3アミド)、−O−、−SOH、−POH、−F、−NO、−S(O)−、−CN)のいずれかを持つカルボン酸を単独または混合したもの添加したことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の過酸化水素製造装置。
  7. 酸素を含むガスに、添加剤としてエチルグリコール、1−プロパノール、2−プロパノール、テトラヒドロフラン、4−オキシ−4メチル−2ペンタモーン、1−ブタノール、2−ブタノール、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、n−プロピルアルコールおよびジメチルエーテルのいずれかの単独または混合したものを添加したことを特徴とする請求項5に記載の過酸化水素製造装置。
  8. 請求項1から請求項7のいずれかに記載の過酸化水素製造装置を備え、前記過酸化水素製造装置により製造される過酸化水素を用いて熱交換器を洗浄する機能を有する空調機。
  9. 請求項1から請求項7いずれかに記載の過酸化水素製造装置を備え、前記過酸化水素製造装置により製造される過酸化水素を用いて加湿素子を洗浄する機能を有する加湿器。
  10. 請求項1から請求項7のいずれかに記載の過酸化水素製造装置を備え、前記過酸化水素製造装置製造により製造される過酸化水素を用いて空気を除菌する機能を有する空気清浄機。
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