JP2010000840A - ステアリング装置 - Google Patents

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明雄 古賀
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Abstract

【課題】アクチュエータの作動によってチルト角を設定する際に異音を発生させず軽快な作動が可能なステアリング装置を構成する。
【解決手段】ステアリングホイール1を支持するメインチューブ10と、固定フレーム20とをチルト軸芯X周りで揺動自在に連結すると共に、ステアリングホイール1に対して持ち上げ方向に付勢力を作用させるコイルバネ30を備えた。固定フレーム20に支持された回転型のカム体33のカム面33Sに接触する受圧体15をメインチューブ10に備え、カム体33を電動モータMで駆動することでメインチューブ10をチルト軸芯X周りでチルト作動させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ステアリング装置に関し、詳しくは、ステアリングホイールのチルト角をアクチュエータの駆動力によって調節するための技術に関する。
上記のように構成されたステアリング装置として特許文献1に示されるものが存在する。この特許文献1では、ステアリングホイール側のアッパーチューブ5と、固定側のロアーチューブ1とが支点O周りで回動自在に支持されている。アッパーチューブ5の下方に設けたステー27に支点Y周りで回動自在にホルダ7が支持され、このホルダ7にDCモータ9が固定されている。また、ロアーチューブ1の下方に設けられたステー27に支点X周りで回動自在にスライダー11が支持され、このスライダー11の内部に雌ネジ部11aが設けられている。
ホルダ7に対して、回転自在、かつ、軸芯方向への移動が禁止される状態でシャフト13を支持し、このシャフト13の雄ネジ部13aをスライダー11の雌ネジ部11aに螺合している。シャフト13の端部に形成したウォームホイールギヤ17に対して、DCモータ9で駆動されるウォームギヤ15を噛合させている。
この構成からDCモータ9を駆動することにより、スライダー11に対してシャフト13が軸方向に移動し、この移動力がホルダ7を介してアッパーチューブ5に伝えられ、これを上下させることによりチルト角の調節が可能となる。
特開2001‐334942号公報 (段落番号〔0012〜0020〕、図1〜図5)
特許文献1の構成のようにシャフトを回転させ、このシャフトのネジ部に螺合するスライダーと、このシャフトとの相対移動力によってチルト作動を行わせるものでは、シャフトの軸芯方向に力が作用するため、シャフトが振れやすく、このシャフトが振れブッシュ等の近傍の部材に接触して負荷を増大させることがある。また、シャフトが一定の周期に振れることでブッシュ等に接触する場合には、周期的に異音を発生させることもある。
特許文献1に記載されたステアリング装置では、アッパーチューブの重量がシャフトを圧縮する方向に向けて常に作用する状況にあり、シャフトとして長い部材が使用されるので、このシャフトの姿勢が安定し難くシャフトの振れを招く原因になっている。特に、シャフトに対して軸芯方向にアッパーチューブの重量が常に作用する構造では、アッパーチューブを下方に移動させる駆動を軽快に行える反面、アッパーチューブを上方に移動させる駆動が重くなることから、異音や、駆動音が周期的に増減する「うなり」を発生させやすいものとなる。
また、この特許文献1ではDCモータの出力軸が、ステアリング操作系の軸芯と直交する姿勢で配置されるため、このDCモータが装置の横幅方向のサイズを拡大させるものとなり改善の余地があった。
本発明の目的は、アクチュエータの作動によってチルト角を設定する際に異音を発生させず軽快な作動が可能な装置を合理的に構成する点にある。
本発明の特徴は、ステアリングホイールに連結するステアリングシャフトを回転自在に支持するメインチューブと、このメインチューブを前記ステアリングホイールと反対の端部側における横向き姿勢のチルト軸芯周りで揺動自在に支持する固定フレームと、前記ステアリングホイールが連結する側のメインチューブの端部側に持ち上げ方向に付勢力を作用させる付勢機構とを備えると共に、アクチュエータの駆動力によりカム軸芯周りで回動するカム体を前記固定フレームとメインチューブとの何れか一方に備え、このカム体のカム面に対し前記付勢機構の付勢力によって接触する受圧体を前記固定フレームとメインチューブとのうちの他方に備えることにより、前記カム体の回動によるカム体からの押圧力を受圧体に伝え、前記付勢機構の付勢力に抗してメインチューブを前記チルト軸芯周りで揺動させる点にある。
この構成によると、メインチューブを持ち上げる方向に付勢機構の付勢力が作用し、カム体と受圧体とが付勢機構の付勢力によって接触する状態を維持するので、メインチューブを持ち上げる方向にカム体を回転させた場合でも、メインチューブを下げる方向にカム体を回転させた場合でも、カム体と受圧体との接触圧が大きく変動するものではなく、この部位で異音を発生させることがない。従って、アクチュエータの作動によってチルト角を設定する際に異音を発生させず軽快な作動が可能なステアリング装置が構成された。
本発明は、前記カム軸芯と、前記チルト軸芯とが互いに平行に設定されると共に、前記カム体と一体回動するカム軸にホイールギヤが連結され、このホイールギヤに咬合するウォームギヤを前記アクチュエータとしての電動モータで駆動しても良い。この構成によると、アクチュエータとしての電動モータを、その駆動軸の姿勢をステアリングホイールの軸芯に沿う姿勢に設定し、横方向への張り出しを抑制して装置の小型化を可能にする。
本発明は、弁の切換により、ボトム側空間とロッド側空間との間での流体の移動を許す自由伸縮位置と、この流体の移動を阻止するロック位置とに切換自在なロックシリンダが構成されると共に、このロックシリンダが前記固定フレームと前記メインチューブとの間に介装され、前記アクチュエータの作動時にはシリンダを前記自由伸縮位置に設定し、前記アクチュエータの停止時にはシリンダを前記ロック位置に設定するように前記弁を制御する制御手段を備えても良い。この構成によると、チルト角を調節する際には、ロックシリンダを自由伸長状態に設定することでアクチュエータの作動によるチルト角の調節が許容され、アクチュエータの作動を停止した後にロックシリンダをロック位置にすることで、ロックシリンダによってチルト角の維持が可能となる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔全体構成〕
図1〜図3には乗用車等の車両の運転座席(図示せず)の近傍に備えられるステアリング装置を示している。このステアリング装置は、アクチュエータとしての電動モータMの駆動力によってステアリングホイール1のチルト角を調節するチルト角調節機構Aを備えている。
ステアリング装置は、ステアリングホイール1に連結するステアリングシャフト2を回転自在に支持するメインチューブ10と、ステアリングシャフト2にユニバーサルジョイント3によって連結する駆動シャフト4を回転自在に支持する固定フレーム20とを備えている。
図面には示していないが、ステアリングシャフト2はメインチューブ10の内部においてボールベアリング等によってシャフト軸芯P周りで回転自在、かつ、シャフト軸芯Pの方向に移動不能に支持されている。これと同様に、駆動シャフト4は固定フレーム20の内部においてボールベアリング等によって回転自在に支持されている。また、駆動シャフト4は車両の前車輪等の操舵輪に回転操作力を伝える。
メインチューブ10は、ダイキャスト等の鋳造の技術によって製造され、その幅方向の両側部には軸受部11が外側に突出する形態で一体的に形成され、その上部には上方に突出する一対の連結アーム12が一体的に形成されている。
これと同様に固定フレーム20がダイキャスト等の鋳造の技術によって製造され、その幅方向の両側部には水平方向に張り出す一対の支持アーム21が一体的に形成され、その上部には電動モータMを支持するフランジ部22が一体的に形成されている。更に、この固定フレーム20にはフランジ部22からメインチューブ10の方向に突出する部位にカム支持部23が一体形成されている。
固定フレーム20の支持アーム21と、メインチューブ10の軸受部11とに亘りチルト軸芯Xと同軸芯上に支持軸13を配置することにより、固定フレーム20とメインチューブ10とがチルト軸芯X周りで揺動自在に連結される。
メインチューブ10に形成された一対の連結アーム12の突出端を貫通する支持ロッド14が備えられ、この支持ロッド14と、固定フレーム20の上部のバネ支持部24とに亘って付勢機構として引っ張り型のコイルバネ30が備えられている。これによりメインチューブ10のうちステアリングホイール1が支持される部位を持ち上げる方向にコイルバネ30の付勢力が常時作用する。
この連結アーム12の基端部で、この一対の連結アームに挟まれる位置には円柱状の受圧体15が備えられている。
固定フレーム20のカム支持部23の内部にチルト軸芯Xと平行姿勢となるカム軸芯Y周りで回動自在となるようにラジアルボールベアリングで成る軸受(図示せず)でカム軸32が回転自在に支持されている。このカム軸32の外端部にカム体33が支持され、このカム軸32のうちカム支持部23の内部には、ホイールギヤ34が備えられている。このカム体33は、その外周のカム面33Sが前記受圧体15に接触する位置に配置される。
固定フレーム20のフランジ部22に連結支持した電動モータMの駆動軸Maをカム軸芯Yと直交する姿勢でフランジ部22に貫通させ、この駆動軸Maによって駆動されるウォームギヤ35をカム支持部23の内部空間においてホイールギヤ34に咬合させている。
メインチューブ10の下部と、固定フレーム20の下部との対向する部位に複動型シリンダに等しい構造を有するロックシリンダCが介装されている。このロックシリンダCはシリンダ部37と、これに挿嵌されたピストン部38(図4を参照)と、このピストン部38に連結するピストンロッド部39とを備えている。そして、シリンダ部37が固定フレーム20に連結され、ピストンロッド部39がメインチューブ10に連結されている。
図4に示すように、シリンダ部37のボトム側の空間と、ピストンロッド部側の空間との間での流体の移動を許す自由伸縮位置と、この流体の移動を阻止するロック位置とに切り換える2位置切換型の電磁弁Vを備えている。この電磁弁Vは非駆動状態でロック位置に維持され、その電磁ソレノイドに電力を供給する駆動状態で自由伸縮位置に切り換えられる。
尚、このロックシリンダCでは、流体としてアクチュエータの作動油やブレーキ油として使用される液体が用いられる。また、電磁弁Vが自由伸縮位置にある場合において流体に抵抗を作用させるオリフィスが電磁弁Vの内部に備えられている。
固定フレーム20には、メインチューブ10が揺動し、そのチルト角が作動限界に達したことを電気的に検出する限界センサSを備えている。この限界センサSはメインチューブ10がステアリングホイール1を持ち上げる方向の限界に達した際、及び、メインチューブ10がステアリングホイール1を下げる方向の限界に達した際にON状態に達する一対のスイッチを想定しているが、ポテンショメータやロータリエンコーダであっても良い。
この実施形態では、コイルバネ30と、受圧体15と、カム体33と、このカム体33を駆動する電動モータMを含む駆動系、及び、制御装置41によってチルト角調節機構Aが構成されている。
特に、このチルト角調節機構Aを構成するに、電動モータM、及び、この電動モータMからの動力で回動するカム体33をメインチューブ10に備え、カム体33のカム面33Sに接触する受圧体15を固定フレーム20に備えても良い。つまり、メインチューブ10と固定フレーム20との形状や構造上の制約がある場合でも、このように実施形態と異なる位置関係でカム体33と受圧体15とを備えることにより、柔軟な配置を行うことも可能となる。
〔制御構成〕
図4に示すように、電動モータMと電磁弁Vとを制御することで、ステアリングホイール1のチルト角の調節を行う制御手段としての制御装置41を備えている。この制御装置41は、2つのチルトスイッチ42の選択的な操作によってステアリングホイール1を持ち上げる方向と下げる方向に揺動させるように作動する。
2つのチルトスイッチ42は、運転座席の近傍位置に配置され、夫々に対応した操作ボタン42aが人為操作されることでON状態に達する。制御装置41は何れのチルトスイッチ42も操作されない状態では電動モータMを停止状態に維持すると共に、電磁弁Vを同図に示すロック位置に維持する。
また、何れかのチルトスイッチ42がON状態に達すると、制御装置41が電磁弁Vを自由伸縮位置に操作すると共に、操作されたチルトスイッチ42に対応する方向にON状態が継続している間だけ電動モータMを回転させる。このようにチルトスイッチ42が操作された場合には、限界センサSによって限界に達したことが検出されるまでは、ON状態が継続する限り電動モータMの駆動を維持し、限界に達したことが検出されると電動モータMを停止させる。
図面には示していないが、車両のエンジンを始動させるキースイッチにキーが挿入され、そのキーがエンジンを稼働状態に維持する位置(例えば、アクセサリー位置)にある状態において、チルトスイッチ42の操作に基づいた電動モータMの制御を行うように制御装置41の制御形態を設定しても良い。
更に、キースイッチをOFF位置(エンジン停止位置)に操作した状態でメインチューブ10を上限まで揺動させ、キースイッチにキーを挿入してエンジンを稼働状態に維持する位置(例えば、アクセサリー位置)に操作した時点で、ステアリングホイール1を先に設定したチルト角まで下降させるように制御装置41の制御形態を設定しても良い。
この制御装置41は、チルトスイッチ42がON操作された際に、電動モータMを駆動し、電磁弁Vの電磁ソレノイドに電力を供給させる単純な制御を行うため、論理ゲートを用いた構成を採用して良い。尚、この制御装置41として、CPUやASIC等を核としたECU( Electric Control Unit)の一部を用いて構成しても良い。
〔チルト作動〕
このステアリング装置では、ステアリングホイール1を持ち上げる方向のチルトスイッチ42が操作された場合には、電磁弁Vを自由伸縮位置に操作した状態においてカム体33を時計方向に回動させる方向に電動モータMが駆動され、カム体33のカム面33Sのうち、カム軸芯Yからの距離が短縮する部位に受圧体15が接触する結果、コイルバネ30の付勢力によってメインチューブ10が持ち上げ方向に揺動する。
これとは逆に、ステアリングホイール1を下げる方向のチルトスイッチ42が操作された場合には、電磁弁Vを自由伸縮位置に操作した状態において図2に示すカム体33を反時計方向に回動させる方向に電動モータMが駆動され、カム体33のカム面33Sのうち、カム軸芯Yからの距離が増大する部位に受圧体15が接触する結果、コイルバネ30の付勢力に抗してカム体33からの力によってメインチューブ10が下がる方向に揺動する。
このようにカム体33がカム軸芯Y周りで回動する際には、カム体33のカム面33Sと受圧体15との接触圧は大きく変動するものではなく、この接触部位で異音を発生させることもない。また、コイルバネ30の付勢力によってカム体33のカム面33Sと受圧体15との接触状態が維持する構造であり、外力が作用した場合には、カム面33Sと受圧体15とが離間する方向にメインチューブ10に外力が作用した場合でも、ロックシリンダCがメインチューブ10と固定フレーム20との相対的な位置関係を維持することによってメインチューブ10が揺動せずロックされる。
特に、電動モータMが作動する際にはロックシリンダCのボトム側の空間と、ピストンロッド部側の空間との間に流れる流体に対して電磁弁Vのオリフィスから抵抗が作用するので、電動モータMの回転速度が乱れることがあっても、オリフィスが流体に抵抗力に作用させることにより電動モータMの回転の乱れの影響を低減し、メインチューブ10を一定速度で揺動させることも可能となる。
本発明のチルト角調節機構Aでは、電動モータMを固定フレーム20の上部に配置しているので、チルト角調節機構Aの横幅方向での寸法の拡大を抑制して全体的のコンパクト化を実現する。そして、電動モータMの駆動力をウォームギヤ35からホイールギヤ34に伝え、カム式にチルト作動を行わせる伝導系を備えることにより、ネジ式にチルト作動を行うものと比較して伝動軸等に振れを招かず円滑な作動により異音を発生させる現象も抑制される。
ステアリング装置とチルト角調節機構との側面図 ステアリングホイール側を下げる方向にチルトさせた状態のチルト角調節機構の作動状態を示す側面図 ステアリング措置とチルト角調節機構との平面図 チルト角調節機構の制御系のブロック回路図
符号の説明
1 ステアリングホイール
2 ステアリングシャフト
10 メインチューブ
15 受圧体
20 固定フレーム
30 付勢機構(コイルバネ)
32 カム軸
33 カム体
33S カム面
34 ホイールギヤ
35 ウォームギヤ
41 制御手段(制御装置)
C ロックシリンダ
M アクチュエータ・電動モータ
V 弁(電磁弁)
X チルト軸芯
Y カム軸芯

Claims (3)

  1. ステアリングホイールに連結するステアリングシャフトを回転自在に支持するメインチューブと、このメインチューブを前記ステアリングホイールと反対の端部側における横向き姿勢のチルト軸芯周りで揺動自在に支持する固定フレームと、前記ステアリングホイールが連結する側のメインチューブの端部側に持ち上げ方向に付勢力を作用させる付勢機構とを備えると共に、
    アクチュエータの駆動力によりカム軸芯周りで回動するカム体を前記固定フレームとメインチューブとの何れか一方に備え、このカム体のカム面に対し前記付勢機構の付勢力によって接触する受圧体を前記固定フレームとメインチューブとのうちの他方に備えることにより、前記カム体の回動によるカム体からの押圧力を受圧体に伝え、前記付勢機構の付勢力に抗してメインチューブを前記チルト軸芯周りで揺動させるステアリング装置。
  2. 前記カム軸芯と、前記チルト軸芯とが互いに平行に設定されると共に、前記カム体と一体回動するカム軸にホイールギヤが連結され、このホイールギヤに咬合するウォームギヤを前記アクチュエータとしての電動モータで駆動する請求項1記載のステアリング装置。
  3. 弁の切換により、ボトム側空間とロッド側空間との間での流体の移動を許す自由伸縮位置と、この流体の移動を阻止するロック位置とに切換自在なロックシリンダが構成されると共に、このロックシリンダが前記固定フレームと前記メインチューブとの間に介装され、前記アクチュエータの作動時にはシリンダを前記自由伸縮位置に設定し、前記アクチュエータの停止時にはシリンダを前記ロック位置に設定するように前記弁を制御する制御手段を備えている請求項1又は2記載のステアリング装置。
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