JP2009543018A - 非鉄金属のカバーガス - Google Patents
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Abstract
【選択図】なし
Description
本願は、2006年7月3日に出願された米国仮出願60/818416の優先権を主張する。この仮出願の内容は、本明細書に参照により組み込まれる。
発明の背景
(1)発明の分野
本発明は、マグネシウム等の溶融非鉄金属のためのカバーガス組成物に関し、この金属が空気に曝されるときの酸化を防止するための、その使用方法に関する。
(2)関連技術の説明
マグネシウム、アルミニウムおよびリチウム等の特定の非鉄金属は、非常に反応しやすく、酸化に対し不安定である。例えば、溶融マグネシウムは、周囲空気または乾燥空気の中で、容易にかつ激しく酸化され、約2820℃の火炎温度で燃焼する。これらの激しい酸化過程を抑制するために、3つの取り組み方が提案されている。すなわち、(1)溶融金属を覆うように塩のカバーフラックスを振りかけること、(2)ヘリウム、窒素もしくはアルゴン等の不活性ガスにより溶融金属を覆うことにより、酸素を溶融金属への接触から遮断すること、または(3)保護カバーガス組成物により溶融金属を覆うことである。保護カバーガス組成物は、一般に、空気および/または二酸化炭素、ならびに少量の抑制剤を含み、この抑制剤は、溶融金属と反応または相互作用して、溶融金属表面上において酸化からその表面を保護する膜または層を形成する。
カバーガスのGWPの問題は、WO00/64614の中で扱われており、そこでは、ジフルオロメタン(HFC−32)、ペンタフルオロエタン(HFC−125)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、ジフルオロエタン(HFC−152a)、メトキシ−ノナフルオロブタン(HFE−7100)、エトキシ−ノナフルオロブタン(HFE−7200)およびその他の、比較的GWPが低い特定のハイドロフルオロカーボンおよびハイドロフルオロエーテルが、溶融したマグネシウムおよびマグネシウム合金を酸化から保護するためのブランケットガスとして有用であるとして開示された。米国特許第6521018号(Hobbs)により、フッ化カルボニル(COF2)、トリフルオロアセチルフルオライド(CF3COF)、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−オン((CF3)2CO)、三フッ化窒素(NF3)、フッ化スルフリル(SO2F2)、フッ化ニトロシル(NOF)、フッ素ガス(F2)等を含む、非鉄の金属および合金のためのブランケットガスとして有用でありうる特定の低GWP化合物も開示されている。米国特許第6537346号、米国特許第6685764号および米国特許第6780220号(すべてMilbrathによる)において、C2F5C(O)CF(CF3)2等のパーフルオロケトンを含む、マグネシウムのブランケットガスのために有用なさらに他の化合物が開示されている。
発明の概要
本発明の一態様は、マグネシウム等の溶融した非鉄の金属および合金を、酸素含有ガス(例えば空気)に曝す等、酸化条件に曝すときに、このような金属の酸化を妨げるための組成物を提供する。ある実施形態において、このような組成物は、好ましくは少なくとも1種のフルオロオレフィン、より好ましくは少なくとも1種のC2〜C6のフルオロオレフィン、より好ましくは1種または複数のC3からC5のフルオロオレフィン、なおより好ましくは以下の式I
XCFZR3−Z (I)
を有する1種または複数の化合物を含む(式中、Xは、C1、C2、C3、C4またはC5の、不飽和、置換または非置換の基であり、各Rは独立して、Cl、F、Br、IまたはHであり、zは1から3である)。最も好ましいフルオロオレフィンには、trans−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(trans−HFO−1234ze)、cis−1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロペン(cis−HFO−1225ye)、3−クロロ−1,1,1−トリフルオロプロペン(HFCO−1233xf)、cis−1,1,1−トリフルオロ−3−クロロ−プロペン(cis−HFCO−1233zd)およびtrans−1,1,1−トリフルオロ−3−クロロ−プロペン(trans−HFCO−1233zd)が挙げられる。
本明細書において、「HFO−1234」という用語は、すべてのテトラフルオロプロペンを指すのに用いられる。テトラフルオロプロペンの中には、1,1,1,2−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)ならびにcis−およびtrans−1,1,1,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze)の両方が含まれる。本明細書において、HFO−1234zeという用語は、それがcis−またはtrans−の形のいずれであるかに関わらず、一般に1,1,1,3−テトラフルオロプロペンを指すのに用いられる。本明細書において、「cis−HFO−1234ze」および「trans−HFO−1234ze」という用語は、それぞれ、1,1,1,3−テトラフルオロプロペンのcis−およびtrans−の形を記述するのに用いられる。したがって、「HFO−1234ze」という用語は、cis−HFO−1234zc、trans−HFO−1234zeおよびこれらのすべての組合せおよび混合物をその範囲内に含む。
本明細書において用いられる「空気」という用語は、周囲空気、乾燥空気または湿り空気のいずれかを意味する。このような化合物は、非常に低いGWPポテンシャル、比較的低い沸点を有し、比較的無毒であるという長所がある。
発明の好適な態様の詳細な説明
本発明のフルオロオレフィン組成物は、カバーガスとして一般に有効であり、金属の表面が空気等の酸素源に曝されるときに、溶融反応性金属の酸化を妨げる。本明細書において用いられる「非鉄反応性金属」という用語は、マグネシウム、アルミニウムもしくはリチウム、ならびにこれらの金属の少なくとも1種を含む合金等の、空気に曝されたときに破壊的で激しい酸化に敏感である金属または合金を意味する。便宜上、本発明の実例となる実施形態の以下の説明では、マグネシウムに言及する。しかし、アルミニウム、リチウムもしくは他の非鉄反応性金属、またはこれらの金属の少なくとも1種を含有する合金とともに本発明を用いることもできると理解される。
実施例
以下の実施例により、本発明のある態様をさらに例証するが、それにより制限されるものではない。
実施例1
溜め穴を有する石英管に、定量されるカバーガス源、および溜め穴中に置かれた熱電対を備え付けた。この溜め穴を、約0.2から0.3gの固体マグネシウム片で満たした。カバーガスは、空気(キャリヤガス)とtrans−HFO−1234zeとの混合物とした。空気およびtrans−HFO−1234zeを、別々のシリンダーから供給し、混合物に入るそれぞれの相対量を、容積でtrans−HFO−1234zeが約4.5%の組成を与えるように制御した。
そのマグネシウムは、マグネシウムがうまく保護されたことを示す白色被膜(おそらくMgOまたはMgF2)を含有していた。
実施例2
カバーガスが、容積で約1.5%のtrans−HFO−1234zeを含有していた以外は、実施例1の実験を繰り返した。
実施例3
カバーガスが、容積で約0.5%のtrans−HFO−1234zeを含有していた以外は、実施例1の実験を繰り返した。
実施例4
カバーガスが、容積で約0.2%のtrans−HFO−1234zeを含有していた以外は、実施例1の実験を繰り返した。
実施例5
カバーガスが、容積で約0.1%のtrans−HFO−1234zeを含有していた以外は、実施例1の実験を繰り返した。
比較例
カバーガスが、SF6またはHFC−134aのいずれかを含有していた以外は、実施例1〜5の実験を繰り返した。
Claims (41)
- 溶融した非鉄の金属および合金の空気に曝したときの酸化を妨げるための、少なくとも1種のフルオロオレフィンを含むカバーガス組成物。
- 前記フルオロオレフィンが、C2からC6のフルオロオレフィンである、請求項1に記載のカバーガス組成物。
- 前記C2からC6のフルオロオレフィンが、1種または複数のC3からC5のフルオロオレフィンを含む、請求項2に記載の組成物。
- 前記C2からC6のフルオロオレフィンが、式I
XCFZR3−Z (I)
(式中、Xは、C1、C2、C3、C4またはC5の、不飽和、置換または非置換の基であり、各Rは、独立してCl、F、Br、IまたはHであり、zは1から3である)
を有する1種または複数の化合物を含む、請求項2に記載の組成物。 - 前記式Iの化合物の前記少なくとも1種が、少なくとも4個のハロゲン置換基を有する、請求項4に記載の組成物。
- 前記1種または複数の式Iの化合物が、少なくとも3個のフッ素置換基を有する、請求項4に記載の組成物。
- Br置換基を有さない少なくとも1種の式Iの化合物を含有する、請求項4に記載の組成物。
- 前記組成物が、少なくとも1個のBr置換基を有する少なくとも1種の式Iの化合物を含有し、前記化合物が水素を含まない、請求項4に記載の組成物。
- 少なくとも1個のBr置換基を不飽和炭素上に有する少なくとも1種の式Iの化合物を含有する、請求項4に記載の組成物。
- 少なくとも1個のBr置換基を非末端の不飽和炭素上に有する少なくとも1種の式Iの化合物を含有する、請求項4に記載の組成物。
- 前記少なくとも1種の式Iの化合物が、少なくとも1種のテトラフルオロプロペンを含む、請求項4に記載の組成物。
- 前記少なくとも1種の式Iの化合物が、少なくとも1種のフルオロクロロプロペンを含む、請求項4に記載の組成物。
- 前記少なくとも1種の式Iの化合物が、少なくとも1種のペンタフルオロプロペンを含む、請求項4に記載の組成物。
- 前記ペンタフルオロプロペンが、末端の不飽和炭素上に少なくとも1個の水素置換基を有する、請求項4に記載の組成物。
- 前記フルオロオレフィンが、CF3CF=CH2、CF3CH=CHFおよびCF3CF=CHFからなる群から選択される、請求項4に記載のカバーガス組成物。
- 前記組成物が、窒素、二酸化炭素、空気、希ガスおよびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種のキャリヤガスをさらに含む、請求項1に記載のカバーガス組成物。
- 約98から約99.99重量パーセントのキャリヤガスおよび約0.01から約2重量パーセントの1種または複数のフルオロオレフィンを含む、請求項16に記載のカバーガス組成物。
- 前記金属が、マグネシウム、アルミニウム、リチウム、およびそれらの合金からなる群から選択される、請求項1に記載のカバーガス組成物。
- 前記金属がマグネシウムである、請求項18に記載のカバーガス組成物。
- (a)表面を有する溶融非鉄金属を供給するステップと、
(b)前記表面を、気体のフルオロオレフィン組成物の層に曝すステップと
を含む、空気に曝される溶融非鉄金属の酸化を妨げる方法。 - (c)前記表面上に酸化膜を形成するステップ
をさらに含む、請求項20に記載の方法。 - 前記フルオロオレフィンが、式I
XCFZR3−Z (I)
(式中、Xは、C1、C2、C3、C4またはC5の、不飽和、置換または非置換の基であり、各Rは独立して、Cl、F、Br、IまたはHであり、zは1から3である)
を有する1種または複数の化合物を含むC2からC6のフルオロオレフィンである、請求項20に記載の方法。 - 前記フルオロオレフィンが、CF3CF=CH2、CF3CH=CHFおよびCF3CF=CHFからなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
- 前記フルオロオレフィン組成物が、窒素、二酸化炭素、空気、希ガスおよびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種のキャリヤガスをさらに含む、請求項20に記載の方法。
- 前記金属が、マグネシウム、アルミニウム、リチウム、およびそれらの合金からなる群から選択される、請求項20に記載の方法。
- 前記金属がマグネシウムである、請求項25に記載の方法。
- その表面に保護膜を有する非鉄反応性金属を含み、前記膜が、金属とフルオロオレフィン組成物との間の反応により形成され、前記膜が、前記金属の酸化を妨げる溶融金属組成物。
- 前記金属が、マグネシウム、アルミニウム、リチウム、およびそれらのうちの少なくとも1種の合金からなる群から選択される、請求項27に記載の溶融金属組成物。
- 前記金属が、マグネシウムまたはマグネシウム合金である、請求項28に記載の溶融金属組成物。
- 前記フルオロオレフィン組成物が、式I
XCFZR3−Z (I)
(式中、Xは、C1、C2、C3、C4またはC5の、不飽和、置換または非置換の基であり、各Rは独立して、Cl、F、Br、IまたはHであり、zは1から3である)
を有する1種または複数の化合物を含むC2からC6のフルオロオレフィンを含む、請求項21に記載の溶融金属組成物。 - 前記C2からC6のフルオロオレフィンが、CF3CF=CH2、CF3CH=CHFおよびCF3CF=CHFからなる群から選択される、請求項30に記載の溶融金属組成物。
- trans−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、cis−1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロペンおよびフルオロクロロプロペンからなる群から選択される少なくとも1種のフルオロオレフィンを含む、空気に曝したときの溶融した非鉄の金属および合金の酸化を妨げるカバーガス組成物。
- 前記フルオロオレフィンが、trans−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを含む、請求項32に記載のカバーガス。
- 前記フルオロオレフィンが、本質的にtrans−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンからなる、請求項32に記載のカバーガス。
- 前記フルオロオレフィンが、trans−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンからなる、請求項32に記載のカバーガス。
- 前記フルオロオレフィンが、cis−1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロペンを含む、請求項32に記載のカバーガス。
- 前記フルオロオレフィンが、本質的にcis−1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロペンからなる、請求項32に記載のカバーガス。
- 前記フルオロオレフィンが、cis−1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロペンからなる、請求項32に記載のカバーガス。
- 前記フルオロクロロプロペンが、トリフルオロ−モノクロロ−プロペンである、請求項32に記載のカバーガス。
- 前記トリフルオロ−モノクロロ−プロペンが、CF3CCl=CH2(HFCO−1233xf)、cis−CF3CH=CHCl(HFCO−1233zd)およびtrans−CF3CH=CHCl(HFCO−1233zd)からなる群から選択される、請求項39に記載のカバーガス。
- 前記組成物が、窒素、二酸化炭素、空気、希ガスおよびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種のキャリヤガスをさらに含む、請求項32に記載のカバーガス組成物。
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