JP2009542823A - コンポジット - Google Patents

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Abstract

粘土及びカーボンナノチューブ(CNT)強化ポリマーマトリクスナノコンポジットの両方の機械的性質の改善が、溶融混合プロセスに先立つナノ粒子及びポリマーペレットの前処理によって、達成される。ボールミルプロセスによって、ナノ粒子がポリマーペレットの表面上にコーティングされる。混合物を一定時間粉砕した後に、ナノ粒子薄膜がポリマーペレットの表面上に形成される。

Description

本願は米国仮特許出願第60/789300号及び第60/810394号の優先権を主張する。これらの出願は参照として本願に組み込まれる。
ナノコンポジットは、1〜100nmのサイズ範囲の粒子を含有するコンポジット材料である。これらの材料は、分子のサブミクロンの構造的性質を利用する。粘土やカーボンナノチューブ(CNT,carbon nanotube)等のこれらの粒子は一般的に、優れた性質、高いアスペクト比、層状構造を有し、ポリマーと粒子との間の結合を最大化させる。これらの添加物を少量(0.5〜5%)加えることによって、より高い強度、より大きな剛性、高い耐熱性、高い耐UV性、より低い吸水率、より低い気体透過率等のポリマー材料の多くの性質を改善することができる(非特許文献1)。
T.D.Fornes、D.L.Hunter、D.R.Paul、"Nylon‐6 nanocomposites from Alkylammonium‐modified clay: The role of Alkyl tails on exfoliation"、Macromolecules、2004年、第37巻、p.1793−1798 Shamal K.Mhetre、Yong K.Kim、Steven B.Warner、Prabir K.Patra、Phaneshwar Katangur、Autumn Dhanote、"Nanocomposites with functionalized carobn nanotubes"、Mat.Res.Soc.Symp.Proc.、2004年、第788巻
しかしながら、ポリマーマトリクスナノコンポジットを強化するためには、ナノ粒子の分散が非常に重要となる。このようなポリマーマトリクス中のナノ粒子の分散が課題となっている。このことが、ナノ粒子強化ナノコンポジットが予想されるような優れた性質を達成していない理由である(非特許文献2)。複数の研究によって、ナノコンポジットのin‐situ重合で、ナノ粒子の分散を改善することができると主張されている。ナノコンポジットのより良い性質がどうにかして得られた。しかしながら、in‐situ重合は、ポリマー製造用に許容可能な製造性を有するプロセスであることが証明されていない。また、溶融混合プロセスも使用されてきている。このプロセスは、より一般的であり、ナノ粒子強化ポリマーナノコンポジットを製造するための製造性を有するプロセスである。しかしながら、結果物は満足のいくものではない。
粘土及びカーボンナノチューブ(CNT)強化ポリマーマトリクスナノコンポジットの両方の機械的性質の改善が、溶融混合プロセスに先立つナノ粒子及びポリマーペレットの前処理によって、達成される。ボールミルプロセスによって、ナノ粒子がポリマーペレットの表面上にコーティングされる。混合物を一定時間粉砕した後に、ナノ粒子薄膜がポリマーペレットの表面上に形成される。
ボールミルプロセスは、
1.ナノ粒子がポリマーペレットの表面上に付着することを可能にし、
2.ポリマーペレットの衝撃によってナノ粒子の巨大なクラスターを破壊する。これによって、溶融混合プロセスの後に、ナノ粒子をポリマーマトリクス中に更に分散させる。
粘土及びCNT以外に、グラファイト粒子、カーボンファイバ、フラーレン、カーボンナノチューブ、セラミック粒子等の他の充填材を用いてもよい。
本発明の実施形態を例示するために、二つのケースを提供する。
ケース1:ナイロン11/粘土ナノコンポジット
ナイロン11ペレットを日本のアルケマ(Arkema)社から入手した(製品名:RILSAN BMV−P20 PA11)。粘土は米国のSouthern Clay Products製であった(製品名:Cloisite(登録商標)シリーズ93A)。これは、三元アンモニウム塩で修飾された天然のモンモリロナイト(montmorillonite)である。
図2を参照すると、ステップ201において、粘土及びナイロン11ペレットの両方を、真空オーブン中で80℃で少なくとも16時間にわたって乾燥させて、湿気を完全に取り除いた。その後、ステップ202において、これらをガラス容器に入れて、ボールミルプロセスにかけた。図1は、典型的なボールミル装置の概略図である。このマシーンの速度は毎分略50〜60回転である。本方法では、5wt%及び10wt%の粘土粉末を実験用に選択した。全粘土粒子をナイロン11ペレットの表面上に付着させるために、混合物を少なくとも三十分間粉砕した。IPA、水、アセトン等の溶媒を混合物中に加えてもよい。比較用に、直接混合法も用いた。粘土及びナイロン11をプラスチックバッグに入れて、少なくとも三十分間手で振った。
混合物をボールミルプロセス及び直接混合プロセスによって混合した後に、ステップ203において、HAAKE Rheomex CTW 100ツインスクリュー押出機(独国)を用いて、ナイロン6/粘土/SEBSナノコンポジットを混ぜ合わせた。以下に本プロセスで用いられたパラメータを示す。
スクリューゾーン1の温度 ‐ 230℃
スクリューゾーン1の温度 ‐ 220℃
スクリューゾーン1の温度 ‐ 220℃
ダイ温度 ‐ 230℃
スクリュー速度 ‐ 100rpm
各工程におけるナイロン11ペレット及び粘土の量は1ポンドである。何故ならば、ツインスクリューを、コンポジット樹脂を収集する前に、混合物を用いてきれいにする必要があるからである。以下の射出成形プロセスによって、合成樹脂で20本のバーを製造可能である。ステップ204において、押し出しプロセスの後に、ナノコンポジットファイバを、水中で急冷して、Haake PP1 Palletizer POSTEXを用いて、ペレット状にした。ステップ205において、見本を作製する射出成形プロセスに先立って、ナノコンポジットペレットを70℃で乾燥させた。ステップ206において、Mini‐Jector(米国オハイオ州ニューベリー(Newbury)のMini‐Jector Machinery社のモデル55)の実験室規模の射出成形機を用いて、ステップ207の物理試験用のインパクトバーを作製した。サンプルには、ASTM指定モールド(衝撃強度試験用のASTM D256、曲げ弾性率試験用のASTM D790)を用いて、特定の寸法を与えた。以下に、用いられたパラメータを示す。
射出圧力 ‐ 70バール
保持圧力 ‐ 35バール
保持時間 ‐ 40秒
加熱ゾーン1の温度 ‐ 220℃
加熱ゾーン2の温度 ‐ 220℃
ノズル温度 ‐230℃
モールド温度 ‐60〜80℃
試験プロセスの前に、見本を少なくとも40時間にわたって乾燥機内で乾燥させて調整した。サンプルの曲げ弾性率及び衝撃強度を、標準的な3点曲げ法を用いて、特性評価した。
表1は、異なる重量比を有するナイロン11/粘土/SEBSコンポジットの機械的性質(曲げ弾性率及び衝撃強度)を示す。
Figure 2009542823
同じ積載量の粘土において、ボールミルプロセスによって前処理したナイロン11/粘土ナノコンポジットの機械的性質が、直接混合プロセスによるものよりも優れていることが明らかに見て取れる。
ケース2:ナイロン6/カーボンナノチューブナノコンポジット
ナイロン6ペレットを、日本のウベ(UBE)社から入手した(製品名:SF1018A)。粘土は、米国のSouthern Clay Products製であった(製品名:Cloisite(登録商標)シリーズ93A)。このケースで用いられたカーボンナノチューブは二層CNT(DWNT,double wall CNT)であった。DWNTをベルギーのNanocyl社から入手した。
図2に関して上述したものと同様のプロセスを用いた。CNT及びナイロン6ペレットの両方を、真空オーブン内で80℃で少なくとも16時間にわたって乾燥させて、湿気を完全に取り除いた。その後、これらをガラス容器に入れて、ボールミルプロセスにかけた。このケースでは、ナイロン6マトリクスに対して0.4wt%のCNTを用いた。
図3は、純ナイロン6ペレット(左側)及びナイロン6/CNT(右側)の写真を示す。純ナイロン6は透明である。一方、ボールミルプロセス後にCNTを備えると黒色になった。何故ならばCNTが黒色だからである。つまり、このことは、ナイロン6ペレットの表面上をCNTがコーティングしているということを意味する。
混合物をボールミルによって混合した後に、HAAKE Rheomex CTW 100ツインスクリュー押出機(独国)を用いて、ナイロン6/粘土/SEBSナノコンポジットを混ぜ合わせた。以下に、本プロセスで用いられたパラメータを示す。
スクリューゾーン1の温度 ‐ 240℃
スクリューゾーン1の温度 ‐ 230℃
スクリューゾーン1の温度 ‐ 230℃
ダイ温度 ‐ 220℃
スクリュー速度 ‐ 100rpm
各工程におけるナイロン6ペレット及びCNTの量は1ポンドであった。何故ならば、ツインスクリューを、コンポジット樹脂を収集する前に、混合物を用いてきれいにする必要があったからである。以下の射出成形プロセスによって、合成樹脂で、20本のバーを製造した。押し出しプロセスの後に、ナノコンポジットファイバを、水中で急冷して、Haake PP1 Palletizer POSTEXを用いて、ペレット状にした。見本を作製する射出成形プロセスに先立って、ナノコンポジットペレットを70℃で乾燥させた。Mini‐Jector(米国オハイオ州ニューベリー(Newbury)のMini‐Jector Machinery社のモデル55)の実験室規模の射出成形機を用いて、物理試験用のインパクトバーを作製した。サンプルを、ASTM指定モールド(引張強度試験用のASTM D638、曲げ弾性率試験用のASTM D790)を用いて成形した。以下に、用いられたパラメータを示す。
射出圧力 ‐ 70バール
保持圧力 ‐ 35バール
保持時間 ‐ 40秒
加熱ゾーン1の温度 ‐ 230℃
加熱ゾーン2の温度 ‐ 230℃
ノズル温度 ‐240℃
モールド温度 ‐60〜80℃
比較用に、純ナイロン6の見本も成形した。試験プロセスの前に、見本を乾燥機内で少なくとも40時間にわたって乾燥させて調整した。
表2は、ナイロン6/CNTナノコンポジットの機械的性質(引張強度及び衝撃強度)を示す。
Figure 2009542823
ボールミルプロセスによって前処理したナイロン6/CNTナノコンポジットの機械的性質が純ナイロン6のものよりも優れていることが明らかに見て取れる。溶融混合プロセスによって合成されたナイロン6/CNTナノコンポジットは、純ナイロン6よりも悪い機械的性質を有する(非特許文献2のL11.17.1〜L11.17.6)。
ボールミル装置の概略図を示す。 ナイロン11/粘土/SEBS/コンポジット樹脂製造の流れ図を示す。 左側に純ナイロン6ペレットの写真を示す。純ナイロン6ペレットは、右側のナイロン6/CNTペレットとは対照的に透明である。

Claims (20)

  1. ボールミル装置を用いてナノ粒子をナイロンペレットと混合することを備えた方法。
  2. 前記ナイロンペレットがナイロン11ペレットである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記ナイロンがナイロン6ペレットを含む、請求項1に記載の方法。
  4. 前記ナノ粒子が粘土ナノ粒子を含む、請求項1に記載の方法。
  5. 前記ナノ粒子がカーボンナノチューブを含む、請求項1に記載の方法。
  6. 前記ナノ粒子がグラファイト粒子を含む、請求項1に記載の方法。
  7. 前記ナノ粒子がカーボンファイバを含む、請求項1に記載の方法。
  8. 前記ナノ粒子がフラーレンを含む、請求項1に記載の方法。
  9. 前記ナノ粒子がセラミック粒子を含む、請求項1に記載の方法。
  10. 前記ボールミル装置を用いて混合した後に、前記ナイロンペレットが前記ナノ粒子で覆われている、請求項1に記載の方法。
  11. ナノ粒子が表面上に付着しているナイロンペレットを備えた組成物。
  12. 前記ナイロンペレットが11ナイロンペレットである、請求項11に記載の組成物。
  13. 前記ナイロンがナイロン6ペレットを含む、請求項11に記載の組成物。
  14. 前記ナノ粒子が粘土ナノ粒子を含む、請求項11に記載の組成物。
  15. 前記ナノ粒子がカーボンナノチューブを含む、請求項11に記載の組成物。
  16. 前記ナノ粒子がグラファイト粒子を含む、請求項11に記載の組成物。
  17. 前記ナノ粒子がカーボンファイバを含む、請求項11に記載の組成物。
  18. 前記ナノ粒子がフラーレンを含む、請求項11に記載の組成物。
  19. 前記ナノ粒子がセラミック粒子を含む、請求項11に記載の組成物。
  20. ボールミル装置を用いて混合した後に、前記ナイロンペレットが前記ナノ粒子で覆われている、請求項11に記載の組成物。
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