JP2009539986A - 高濃度タンパク質溶液における液液相分離を減少または阻止する方法 - Google Patents

高濃度タンパク質溶液における液液相分離を減少または阻止する方法 Download PDF

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Abstract

タンパク質溶液中の高濃度のタンパク質を処方する方法であって、タンパク質溶液が液液相分離を欠くかまたは減少する方法が記載されている。かかるタンパク質溶液は、実質的に透明であって、実質的に均一である。さらに、液液相分離を用いてタンパク質を濃縮かつ精製する方法が提供される。

Description

(関連出願の相互参照)
本願は、2006年6月12日に出願された、米国仮出願番号60/812,760の優先権を主張し、その内容は、出典明示により本明細書の一部とする。
本発明は、一般に、タンパク質処方の分野に関する。
バイオテクノロジー由来タンパク質およびペプチド薬剤の有効性は、多数の疾患の治療および予防について新しい選択肢を与えている。タンパク質に基づく療法、特に、モノクローナル抗体に基づく療法は、癌、アレルギー疾患、喘息、および関節リウマチなどの疾患を治療する有効な方法となっている。
抗体に基づく療法は、典型的には、一定の間隔で患者に投与され、注射で投与すると数mg/kgを要する。皮下注射は、これらの療法の好ましい投与経路である。皮下注射に用いるのは少量であるため(通常、1.5mL)、高用量抗体療法について、該投与経路は、高濃度タンパク質処方を要する。
高濃度タンパク質溶液を用いることにおける課題の1つは、特定のタンパク質濃度を超えるタンパク質溶液における乳白光の発生(すなわち、濁り)である。この現象は、不均一な溶液を作製し、タンパク質溶液の処理に影響を及ぼしうる。さらに、溶液の乳白光は、商業的にマイナスの結果をもたらしうる。したがって、処理中の操作の容易性、および最終製剤のより魅力的な外観のために透明なタンパク質溶液を得ることが望ましい。
したがって、乳白光を発しない(すなわち、濁っていない)高濃度タンパク質溶液を得る方法を開発する必要がある。
本発明は、高濃度タンパク質を処方する方法に関する。より具体的には、本発明は、高濃度のタンパク質で処方されたタンパク質溶液における液液相分離を減少または阻止する方法に関する。したがって、本発明は、一般に、乳白光が減少した高濃度タンパク質溶液を提供するために、目に見えるほど透明である。本明細書に述べるように、目に見えるほど透明な溶液は、処理中の操作の容易性を促進し、市販品としてより魅力的となる。加えて、本発明は、タンパク質溶液の液液相分離を用いてタンパク質を濃縮および精製する方法を提供する。
一の態様において、本発明は、タンパク質溶液における液液相分離を減少または阻止するように液液相分離を示すタンパク質溶液中のタンパク質を再処方するための濃度を決定する方法を提供する。より具体的には、液液相分離を減少および/または阻止する方法には、溶液を所望の温度に維持するかまたは調整することが含まれる。例えば、一の方法は、液液相分離を示すタンパク質溶液を上相と下相の液相に液液相分離することを含む。次いで、液液相分離を受けたタンパク質溶液中の上相および下相のタンパク質濃度が測定される。タンパク質溶液の下相のタンパク質濃度以上のタンパク質濃度は、タンパク質を再処方するために選択される。該方法で決定される濃度を用いてタンパク質溶液を処方することは、所望の温度でタンパク質溶液における液液相分離を減少または阻止する。ある実施態様において、所望の温度でタンパク質溶液中のタンパク質を処方するタンパク質濃度は、下相のタンパク質の濃度より約0.5%〜約40%高くなるように選択される。他の実施態様において、所望の温度でタンパク質溶液中のタンパク質を処方するためのタンパク質濃度は、下相のタンパク質の濃度より約0.5%〜約5%、約5%〜約10%、約10%〜約20%、約20%〜約30%、約30%〜約40%、約5%〜約20%、約5%〜約30%、または約5%〜約40%高くなるように選択される。
本発明の他の態様において、所望の温度でタンパク質溶液における液液相分離を減少または阻止するように液液相分離を示すタンパク質溶液中のタンパク質を再処方するためのタンパク質濃度を決定する方法には、タンパク質溶液の相分離曲線を作製すること、および所望の温度で相分離曲線外側の濃度を選択することが含まれる。所望の温度で相分離曲線外側の濃度は、所望の温度でタンパク質溶液における液液相分離を減少または阻止するようにタンパク質溶液中のタンパク質の再処方することを可能にする。該態様のある実施態様において、相分離曲線は、タンパク質溶液が液液相分離を示す2または複数の異なる温度でタンパク質溶液の平衡状態における二相の共存液相の濃度をプロットすることにより作製される。ある実施態様において、2または複数の異なる温度の少なくとも1つが、所望の温度である。
本発明のさらなる態様において、所望の温度でタンパク質溶液における液液相分離を減少または阻止するようにタンパク質溶液中のタンパク質を処方するための濃度を決定する方法には、少なくともタンパク質濃度を有する第1タンパク質溶液および第1タンパク質溶液が液液相分離を示す第1温度、ならびに少なくとも第1タンパク質溶液の濃度の第2タンパク質溶液および第2タンパク質溶液が液液相分離を示す第2温度を提供することが含まれる。さらに、これらの方法は、第1および第2タンパク質溶液を上相と下相に液液相分離することに関与する。第1および第2タンパク質溶液の上相および下相のタンパク質の濃度は測定され、相分離曲線を作製するために用いられる。該相分離曲線は、第1および第2温度で第1および第2タンパク質の平衡状態における上相および下相の濃度を特定する。所望の温度で相分離曲線外側のタンパク質濃度は、所望の温度でタンパク質溶液における液液相分離を減少または阻止するようにタンパク質溶液中のタンパク質を処方するために選択される。該態様のある実施態様において、第1タンパク質溶液と同一のタンパク質濃度を有する第3タンパク質溶液および第3温度は、液液相分離することを可能にし、その上層および下層の濃度は、相分離曲線を作製するのに含められる。他の実施態様において、第1タンパク質溶液と同一のタンパク質濃度を有する第4タンパク質溶液および第4温度は、液液相分離することを可能にし、その上層および下層の濃度は、相分離曲線を作製するのに含められる。別の実施態様において、第1タンパク質溶液と同一のタンパク質濃度を有する第5タンパク質溶液および第5温度は、液液相分離することを可能にし、上層および下層の濃度は、相分離曲線を作製するのに含められる。本明細書の教示により明らかでありうるように、さらなるタンパク質溶液は、本明細書に記載の方法を用いて相分離曲線を作製するのに含められる。
本発明の別の態様において、所望の温度でタンパク質溶液における液液相分離を減少または阻止するようにタンパク質溶液中のタンパク質を処方するための濃度を決定する方法には、第1濃度で第1タンパク質溶液のタンパク質を提供し、第2濃度で第2タンパク質溶液中のタンパク質を提供し、第3濃度で第3タンパク質溶液中のタンパク質を提供することが含まれ、ここで、第1、第2、および第3タンパク質溶液は、第1、第2、および第3溶液が液液相分離を示さない温度である。さらに、該方法は、第1、第2、および第3溶液を第1、第2、および第3溶液の曇り点温度に冷却し、第1、第2、および第3濃度に対する第1、第2、および第3タンパク質溶液の曇り点温度をプロットすることにより相分離曲線を作製することを含む。所望の温度で相分離曲線外側の濃度は、所望の温度でタンパク質溶液における液液相分離を減少または阻止するようにタンパク質溶液中のタンパク質を処方するための濃度であると決定される。
本発明の別の態様において、タンパク質溶液が所望の温度で液液相分離を示さないタンパク質溶液中のタンパク質を処方する方法には、所望の温度でタンパク質溶液における相分離曲線外側の濃度でタンパク質溶液のタンパク質を処方することが含まれる。
本発明のさらに別の態様において、所望の温度で液液相分離を示すタンパク質溶液中のタンパク質を再処方する方法であって、再処方されたタンパク質溶液が、所望の温度で液液相分離を示さない方法には、液液相分離を示すタンパク質溶液を上相と下相の液相に液液相分離することが含まれる。次いで、タンパク質溶液の上相および下相の濃度が測定される。タンパク質は、タンパク質溶液の下相の濃度より高い濃度で溶液に再処方される。これは、所望の温度で再処方されたタンパク質溶液における液液相分離を減少または阻止する。
本発明のまたさらなる態様において、タンパク質溶液が所望の濃度で液液相分離を示さないようにタンパク質溶液中のタンパク質を処方する方法には、液液相分離を起こし、タンパク質溶液における相分離曲線外側の温度を超える温度でタンパク質溶液を保存することが含まれる。
本発明の別の態様において、所望の温度で液液相分離を示すタンパク質溶液から所望の温度で液液相分離を示さないタンパク質溶液を得る方法には、液液相分離を示すタンパク質溶液を所望の温度で上相と下相に分離することが含まれる。タンパク質溶液の下相は除去される。該下相は、所望の温度で液液相分離を示さないタンパク質溶液である。
さらに、本発明は、液液相分離を示す低濃度タンパク質溶液から高濃度タンパク質溶液を得る方法を提供する。該方法は、一般に、最初のタンパク質溶液を上相と下相に分離すること、および上相から下相を分離することを含む。下相は、低濃度タンパク質溶液より高濃度のタンパク質を有するタンパク質溶液である。
本発明の別の態様において、所望の溶液のタンパク質を濃縮する方法には、いずれかの溶液のタンパク質を処方することが含まれ、ここで、タンパク質溶液は、液液相分離を示す。液液相分離は、タンパク質溶液中で促進されることにより、タンパク質溶液の上相および下相を形成する。下相は、上相から分離される。該下相は、最初のタンパク質溶液より高濃度のタンパク質を有する。次いで、タンパク質をタンパク質溶液から所望の溶液に移すために緩衝液交換を行う。
本明細書に用いられる「タンパク質」には、タンパク質、ペプチド、タンパク質フラグメント、共役タンパク質、および非天然アミノ酸を含有するポリペプチドが含まれる。本発明に記載のタンパク質は、受容体、リガンド、転写因子、酵素、凝固因子、シグナルタンパク質、および抗体でありうる。タンパク質はまた、ポリクローナル抗体またはその抗原結合性フラグメント、あるいはモノクローナル抗体またはその抗原結合性フラグメントでありうる。
タンパク質溶液の所望の温度は、タンパク質溶液が、処理、製造、保存、または投与されうる温度でありうる。さらに、液液相分離は、重力分離または遠心分離により達成されうる。
特に明記しない限り、本明細書に用いられる全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解されるような同一の意味を有する。本明細書に記載のものと同様または同等の方法および材料は、本発明の実施および試験に用いられうるけれども、適当な方法および材料は以下に記載されている。本明細書に記載の全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、その全体を出典明示により一部とする。加えて、材料、方法、および実施例は、一例にすぎず、限定することを意図とするものではない。
本発明の他の特徴および利点は、図面、詳細な説明、および特許請求の範囲から明らかであろう。
PEG沈降により測定されるタンパク質の比溶解度と500nmの吸光度により測定される乳白光の間の反比例関係を図示するグラフである。この実験における全てのタンパク質は、10mMヒスチジン、pH6.0中にて90mg/mlで処方された。 抗A1抗体(5℃で10mM Tris、pH8.0中70mg/ml)および抗B1モノクローナル抗体(5℃で20mMコハク酸塩緩衝液、pH6.0中50mg/ml)を用いた液液相分離の現象の説明図である。液液相分離は、左側のチューブで観察される。 10mM Tris、pH8中にて70mg/mlで処方された抗A1抗体の相図を作製するための温度クエンチ方法に関する実験手順の略図である。 温度クエンチ方法を用いて作製された10mM Tris pH8中にて70mg/mlで処方された抗A1抗体の相図である。相図の「上部または外側」と見なされる領域は、斜線で覆われている。相図の「内側または下部」と見なされる領域は、塗りつぶされている。 曇り点方法を用いて作製された抗A1抗体の相図である。相図の「上部または外側」と見なされる領域は、斜線で覆われている。相図の「内側または下部」と見なされる領域は、塗りつぶされている。 相図と10℃の固定温度で10mM Tris pH8中の異なる濃度で処方された4種の抗A1抗体処方の外観との相関を提供する。10℃の下相および上相境界濃度は、アスタリスクで相図上に示されている。該図は、相図の「外側または上部」の濃度を用いて処方されたタンパク質処方が透明であり、一方、相図の「内部または内側」に含まれる濃度を有する処方が濁っていることを示す。 液液相分離を受けた10mM Tris pH8.0中にて59mg/mlで処方される抗A1抗体処方の上相および下相の賦形剤の濃度の比較を提供する。「透析後」試料は、液液相分離前のタンパク質処方に相当する。 液液相分離を受けた10mM Tris pH8.0中にて59mg/mlで処方された抗A1抗体処方の上相および下相におけるサイズ(SEC−HPLC)および電荷(CEX−HPLC)の比較を提供する。 FTIR アミドIスペクトルを用いて、液液相分離を受けた10mM Tris pH8.0中にて59mg/mlで処方された抗A1抗体処方の上相および下相における抗A1の二次構造の比較を提供する。 45°角キュベットとの蛍光を用いて、液液相分離を受けた10mM Tris pH8.0中にて59mg/mlで処方された抗A1抗体処方の上相および下相におけるタンパク質の三次構造の比較を提供する。
タンパク質に基づく療法について高タンパク質濃度を達成する要求が高まっている。しかしながら、高タンパク質濃度で処方された特定のタンパク質溶液における液液相分離の現象のために、乳白光(すなわち、タンパク質の濁り)は、タンパク質処方者らにとって重大な問題となっている。本明細書に開示される方法は、所望の温度で液液相分離を減少または阻止することにより高濃度でタンパク質を処方する新規方法を提供する。したがって、これらの方法は、乳白光が減少しているタンパク質溶液を得る。本明細書に記載の方法は、得られた高タンパク質濃度溶液が、液液相分離を減少し、目に見えるほど透明である所望の温度で用いるための、液液相分離および/または目的の緩衝液/溶液のタンパク質を処方するのに適当な濃度を決定する相図を使用する。本明細書に記載の方法はまた、得られたタンパク質溶液が液液相分離を減少させ、目に見えるほど透明である固定濃度で用いるための、液液相分離および目的の緩衝液/溶液のタンパク質を処方するのに適当な温度を決定する相図曲線を利用する。さらに、本発明は、タンパク質溶液を濃縮し、タンパク質を精製する方法を提供する。
溶解度と乳白光の間の関連
タンパク質溶液のタンパク質の溶解度は、タンパク質溶液の乳白光に関する。「乳白光」に関しては、タンパク質溶液の検出可能な濁りまたは不透明を意味する。反比例関係は、溶解度と乳白光の間、特に高タンパク質濃度に存在することが本発明者らにより見出されている。より具体的には、タンパク質溶液中のタンパク質の減少した溶解度は、タンパク質溶液中のタンパク質の高濃度のタンパク質溶液の増加した乳白光に関連する。この情報は、高濃度のタンパク質を処方する方法を決定する処方者に有用である。「高濃度」に関しては、約50mg/ml(例えば、50mg/ml、75mg/ml、100mg/ml、200mg/ml、300mg/ml、400mg/ml、500mg/mlなど)以上のタンパク質濃度を意味する。本願の至るところで用いられるように、「約」なる語は、前述の値の±20%前後の数値を意味する。特定のタンパク質溶液が濁っていれば、その場合、処方者は、タンパク質溶液の濁りを減少または阻止するタンパク質を処方するための代替的方法を見出しうる。例えば、高濃度の目的タンパク質の溶解度は、緩衝液のタンパク質の溶解度を決定するために複数の緩衝液/溶液で試験されうる。溶解度が特定の緩衝液/溶液中で低ければ、タンパク質溶液が乳白色である可能性がある。したがって、処方者は、高濃度のタンパク質がより溶解しやすい異なる緩衝液/溶液を選択しうることにより、該処方者が透明なタンパク質処方を達成できるようにする。
タンパク質溶液中のタンパク質の溶解度を決定する方法は、当該分野にてよく知られている。出典明示により本明細書の一部とする米国仮出願番号60/801,862は、ポリスチレングリコール沈降を用いてタンパク質の比溶解度を予測する新規方法を開示する。
乳白光は、一般に、目による簡単な可視化(すなわち、溶液が濁っているかまたは不透明であるかどうか)、直角光散乱、または蛍光により決定されうる。しかしながら、いくつかの場合において、乳白光は、ヒトの目では検出できない。これらの場合、および量的読み取り値が望ましい場合において、乳白光は、(400−600nm範囲、例えば、500nmの測定値で)可視光分光光時計を用いることにより分光光度法、例えば、自動分光光度法、または試料の光吸光度を検出する均等方法などのより高感度な方法を用いて測定されうる。混濁を分析する他の方法は、光電濁度(例えば、自動濁度)が含まれる。
乳白光および液液相分離
液液相分離は、タンパク質溶液の乳白光をもたらしうる。二元液相分離および液滴形成としても知られている、「液液相分離」に関しては、タンパク質溶液が相分離の臨界温度以下の温度で不均一なタンパク質濃度の二相の共存液相に分離する現象を意味する。液液相分離は通常、高濃度のタンパク質を有するタンパク質溶液中で観察され;かかるタンパク質溶液は乳白色である。
複数の因子は、液液相分離に影響する。これらには、限定するものではないが、タンパク質溶液の温度、タンパク質溶液中のタンパク質(群)の濃度、溶液または緩衝液のpH、溶液または緩衝液のイオン強度、ならびにタンパク質の自己相互作用および溶解特性が含まれる。温度に関して、液液相分離は、溶液の温度が相分離の臨界温度以下である場合に観察される。「相分離の臨界温度」に関しては、タンパク質溶液が液液相分離する可能性がある温度を意味する。濃度に関して、高濃度タンパク質溶液はまた、相分離を示す可能性が高い。pHに関して、高タンパク質濃度で処方されるタンパク質のpHが、タンパク質の等電点(pI)付近であれば、液液相分離は、タンパク質溶液中で起こる可能性がある。最終的には、高タンパク質濃度で処方されるタンパク質溶液の増加したイオン強度は、液液相分離が好ましい。
液液相分離は、高濃度タンパク質溶液を合し、タンパク質溶液を安定させることにより促進されうる。重力分離は、薄いメニスカスにより分離される上相と下相の液相の分離をもたらす。重力分離に加えて、二相の分離を促進する代替的方法は、遠心分離(例えば、4,000Xg)である。同一のタンパク質溶液について、沈降速度は、二相間の密度の大きな違いによる低温度でより大きい。下相は、当業者に既知のいずれかの方法により、例えば、パスツール・ピペットを用いることで上相から分離されうる。
液液相分離を受けたタンパク質の上相および下相は、異なるタンパク質濃度を有する。下相は、上相より高いタンパク質濃度を有する。上相および下相におけるタンパク質の濃度は、限定するものではないが、(280nmの)タンパク質の内因性UV吸光度、ローリーアッセイ、スミス銅/ビシンコニン酸アッセイ、およびブラッドフォード色素アッセイの測定法を含む、当該分野で知られているいずれかの方法により測定されうる。
所望の温度で最適な緩衝液/溶液中で特有の高濃度で処方される場合に未知のタンパク質が液液相分離するかどうかを測定するために、タンパク質は、所望の緩衝液/溶液中で特定の濃度で処方され、合され、所望の温度でインキュベートされる。合したタンパク質溶液が濁るならば、液液相分離が起こりうる最初の兆候である。当然、重力分離または遠心分離後、タンパク質溶液が上相と下相の液相に分離するかどうか容易に分かるであろう。
相図の作製
タンパク質溶液が、所望の温度で所望の緩衝液/溶液中で液液相分離するならば、該現象を回避する方法を見出す必要がある。これは、液液相分離が見かけも濁っている非均一溶液を作製するような医薬処方に特に重要である。本明細書に記載の方法は、この問題の解決法を提供する。いくつかの実施態様において、これらの方法は、相図の使用に関する。
即時用途との関連において、相分離曲線または共存曲線としても知られている、相図は、タンパク質溶液中のタンパク質の濃度、およびタンパク質溶液の温度に応じて、相挙動(すなわち、タンパク質溶液が一相または二相で存在するかどうか)を示す図である。相図は、所定の温度で平衡状態における共存する液相の2つの濃度を特定する。相図は通常、2つの方法のうち1つ:(i)温度クエンチ方法、または(ii)曇り点温度方法によって達する。
温度クエンチ方法
相図を作製するこの方法の非限定的な例では、同一の高濃度のタンパク質(例えば、約50−100mg/ml)を含有するタンパク質溶液の複数の試料は、タンパク質溶液が低温に対し液液相分離を示さない温度から冷却される。タンパク質溶液が液液相分離を示さない温度は、実験的に決定されうる。通常、温度を高くすればするほど、より一層タンパク質溶液が液液相分離を示す可能性は低くなる。典型的には、1つには室温で開始することができ、相分離が該温度で目的タンパク質溶液中に見られるならば、1つにはより高い温度に移行しうる。相分離が起こることを見出せない温度を特定するとすぐに、全てのタンパク質溶液は、その既存の温度から該温度に移行される。次いで、これらの試料は、液液相分離が起こる複数の異なる低温に冷却される。試料は、温度制御室で約30分間インキュベートされ、次いで、溶液が濁っているかまたは透明であるかどうかを視覚的に確認される。次いで、濁った試料は、重力分離または遠心分離により上相および下相に平衡化される。各タンパク質溶液の上相および下相から試料をアリコートし、これらの試料におけるタンパク質濃度を測定する。相図は、溶液が液液相分離を示すタンパク質溶液の特定の温度で各タンパク質溶液の上相および下相の濃度をプロットすることにより作製される。典型的には、温度をy軸上に、タンパク質濃度をx軸上にプロットする。相図を作製するこの方法の非限定的な例は、実施例3で提供される。
曇り点方法
この方法の非限定的な例では、タンパク質溶液が濁っていない温度で既知のタンパク質濃度の1種または複数のタンパク質溶液を光散乱分光光度計に入れ、次いで、温度を徐々に低下する。タンパク質溶液が濁らない温度は、実験的に決定されうる。例えば、1つには、室温で開始し、所定の濃度で濁らない溶液を得るまで、必要に応じて、温度を高めうる。タンパク質溶液に対する光散乱の強度は、各温度でモニターされる。タンパク質溶液における相分離の開始は、入射光の多数の多重散乱による透過光の消失により検出される。これは、濁っていく溶液に相当する。相分離を開始することにより、濁り始める温度は、曇り点温度、Tcloudである。次いで、各タンパク質溶液のTcloudは、タンパク質溶液の濃度に対しプロットされ、曇り点温度に基づく相図が得られる。典型的には、温度はy軸上にプロットされ、濃度はx軸上にプロットされる。この方法の非限定的な例は、実施例4で提供される。
相図の解釈
高濃度タンパク質溶液の液液相分離についての相図は、反転した放物線に似ている。曲線の上昇部および下降部は、曲線上の上向きの最高点で一致し、それを臨界温度(Tc)と定義する、タンパク質溶液中のタンパク質の濃度が適当な範囲内である限りは、臨界温度は、相分離が起こり始める温度を表す。相分離曲線の外側領域(すなわち、反転した放物線の外側)では、タンパク質溶液は均一であり、単相中に含まれる。曲線下領域では、液液相分離が起こり、高密度相の沈降が、下相の液相に高タンパク質濃度および上相の液相に低タンパク質濃度を含む、二相の透明層に巨視的分離する。
乳白光を減少させるタンパク質溶液を処方する濃度を決定する方法
本願の一部は、緩衝液/溶液中のタンパク質を処方する濃度を決定する方法であって、ここで、得られたタンパク質溶液は、所定の温度(群)で液液相分離の低下を示さないかまたは示す方法に関する。本願の一部はまた、所定の温度(群)でタンパク質溶液が実質的に透明になる(例えば、乳白光が減少する)ように緩衝液/溶液中のタンパク質を処方する濃度を決定する方法に関する。これらの方法は、最初に処方されたタンパク質溶液が所定の温度(群)で液液相分離を示す場合に、緩衝液/溶液中のタンパク質を再処方する新しい濃度を決定するのに有用である。
一般に、これらの方法は、緩衝液/溶液中で処方するためのタンパク質の濃度が、所望の温度(群)でタンパク質溶液の相図の外側の濃度でありうることを決定することに関与する。タンパク質溶液が、所望の温度で曲線の外側かつ左側(低濃度タンパク質溶液)であるかまたは外側かつ右側(高濃度タンパク質溶液)であるタンパク質濃度を用いて処方されるならば、タンパク質溶液は、所望の温度にてそれらの濃度で液液相分離または乳白光を示さないであろう。「所望の温度」に関しては、タンパク質を用いうるか、操作しうるかまたは保存しうる温度を意味する。所望の温度の非限定的な例として、タンパク質溶液を製造、処理、保存または対象に投与しうる温度が挙げられる。
典型的には、処方者らが増加タンパク質濃度のタンパク質溶液を処方する場合、該処方者らは、乳白光または液液相分離を開始する濃度を超えるタンパク質溶液の濃度を増大させようとはしない。ここで、本発明者らは、驚くほどかつ予想外に、タンパク質濃度が所望の温度で相図を超えるかまたは外側に増大する限り、乳白光または液液相分離は、減少されうるかまたはさらに消失しうることを見出した。これは、療法に用いるための高濃度タンパク質(例えば、モノクローナル抗体)処方を処方しようとする処方者らにとって非常に重要な知見である。
しかしながら、タンパク質溶液が所望の温度で必要であると先験的に知られている場合には、相図は本明細書に記載の方法を実施するためにタンパク質溶液について準備される必要はない。例えば、処方者らが特定の濃度で緩衝液/溶液のタンパク質を処方し、処方された溶液が所望の温度で液液相分離するか、または濁ることを見出す場合に、この方法は用いられる。この場合には、処方者らは、液液相分離しているタンパク質溶液の下相および/または上相の濃度を決定しうる。所望の温度で相分離を示さない高濃度タンパク質溶液を得るために、その1つは、下相(すなわち、高タンパク質濃度を有する相)の濃度より大きい濃度を選択するであろう。所望の温度で液液相分離を示さない低濃度タンパク質溶液を得るために、その1つは、上相の濃度より低い濃度を選択するであろう。高濃度タンパク質溶液を処方することしか関心がなければ、液液相分離を受けたタンパク質溶液の下層の濃度を測定することで十分である。タンパク質を、相分離が起こった温度で用いるために下層の濃度より高い濃度で処方する場合、得られたタンパク質処方は、液液相分離の減少を示すかまたはそれを示さず、所望の温度で実質的に透明になるであろう。特定の実施態様において、タンパク質濃度は、下相のタンパク質の濃度より約0.5%〜約5%、約5%〜約10%、約10%〜約20%、約20%〜約30%、約30%〜約40%、約5%〜約20%、約5%〜約30%、または約5%〜約40%高くなるように選択される。
別の態様において、方法は、相図を作製することによりタンパク質溶液中のタンパク質を処方するための濃度を決定することに関する。相図は、限定するものではないが、温度クエンチ方法および曇り点方法を含むいずれかの方法により作製されうる。
温度クエンチ方法が相図を作製するために用いられる場合、同一タンパク質濃度を有し、2つの異なる温度で相分離する少なくとも2種のタンパク質溶液が用いられる。いくつかの実施態様において、同一タンパク質濃度を有し、3つの異なる温度で相分離する少なくとも3種のタンパク質溶液が用いられる。他の実施態様において、同一タンパク質濃度を有し、4つの異なる温度で相分離する少なくとも4種のタンパク質溶液が用いられる。さらに他の実施態様において、同一タンパク質濃度を有し、5つの異なる温度で相分離する少なくとも5種のタンパク質溶液が用いられる。上記の温度クエンチ方法のいずれかの変化は、タンパク質溶液の相図を作製するために用いられうる。
曇り点方法が相図を作製するために用いられる場合、同一タンパク質の異なるタンパク質濃度を有する少なくとも2種のタンパク質溶液が用いられる。いくつかの実施態様において、同一タンパク質の異なるタンパク質濃度を有する少なくとも3種のタンパク質溶液が用いられる。他の実施態様において、同一タンパク質の異なるタンパク質濃度を有する少なくとも4種のタンパク質溶液が用いられる。さらに他の実施態様において、同一タンパク質の異なるタンパク質濃度を有する少なくとも5種のタンパク質溶液が用いられる。
用いられる方法にかかわらず、相図は、処方者にタンパク質溶液が所望の温度または温度範囲で液液相分離を示す可能性が低くなりうるタンパク質濃度を選択させるであろう。具体的には、処方者は、処方を用い、保存し、処理し、および/または操作しうる温度または温度範囲を調査し、その温度に基づき、その温度の相図の外側の濃度を選択するであろう。特定の実施態様において、タンパク質濃度は、所望の温度に対応する相分離曲線上のタンパク質の最大濃度(すなわち、上相境界濃度)より約0.5%〜約5%、約5%〜約10%、約10%〜約20%、約20%〜約30%、約30%〜約40%、約5%〜約20%、約5%〜約30%、約5%〜約40%高くなるように選択される。所定のタンパク質溶液の目的の複数の異なる温度に対して相図の外側の濃度を選択することにより、その温度範囲に液液相分離を示さない緩衝液/溶液のタンパク質を処方しうる。これは、所定のタンパク質を、異なる温度で保存するか、用いるか、処理するか、または操作する必要がある場合に特に有用である。
乳白光が低下しているタンパク質溶液を処方する方法
本明細書に記載の方法は、高濃度のタンパク質を処方するのに有用であり、ここで、得られたタンパク質溶液は、乳白光の低下を示すかまたは乳白光を全く示さない。具体的な実施態様において、方法は、タンパク質が特定の緩衝液/溶液中で処方されなければならない場合に有用であり、ここで、タンパク質は、特定の濃度および所望の温度のその緩衝液/溶液中で液液相分離を示す。別の具体的な実施態様において、本願の方法は、ある緩衝液/溶液から別の緩衝液/溶液にタンパク質を再処方する必要がある場合に有用であり、ここで、新しい緩衝液/溶液中で処方されると、タンパク質は液液相分離を示す。かかる場合において、液液相分離を示すタンパク質溶液の相図から特定される濃度を用いて、タンパク質溶液が所望の温度で液液相分離を示さないように緩衝液/溶液のタンパク質を処方するであろう。
固体温度で用いるために高濃度で緩衝液/溶液のタンパク質を処方することについて、タンパク質濃度が、所望の温度でそのタンパク質溶液の相分離曲線の外側または超えていれば十分である。タンパク質は、所望の温度に対する曲線上の最大濃度より高いいずれかの濃度で処方されうる。一般に、タンパク質は、所望の温度に対応する相分離曲線上のタンパク質の最大濃度(すなわち、上相境界濃度)より約0.5%〜約5%、約5%〜約10%、約10%〜約20%、約20%〜約30%、約30%〜約40%、約5%〜約20%、約5%〜約30%、または約5%〜約40%高い濃度で処方される。
タンパク質溶液が粘性になり始めるかまたは凝集の兆候を示す場合、タンパク質処方のタンパク質の濃度が増加するので、粘性および/または凝集を減少させるいずれかの方法は、タンパク質溶液の粘性および/または凝集を減少させるために用いられうる(例えば、米国仮出願番号60/752,660および60/784,130、その両方とも出典明示により本明細書の一部とする)。いくつかの実施態様において、高濃度タンパク質溶液の粘性を減少させるために、約0.5mM〜25mMの塩化カルシウムまたは塩化マグネシウム(例えば、0.5mM〜約5mM、約2mM〜約10mM、約5mM〜約10mM、約10mM〜約15mM、約15mM〜約20mM、約13mM〜約25mM)をタンパク質処方に加えるであろう。他の実施態様において、高濃度タンパク質溶液の凝集を減少させるために、約1mM〜約145mMメチオニン(例えば、約1mM〜約5mM、約5mM〜約10mM、約10mM〜約20mM、約20mM〜約50mM、約50mM〜約100mM、約100m〜約140mM)を加えるであろう。さらなる実施態様において、塩化カルシウム/塩化マグネシウムおよびメチオニン両方が、高濃度タンパク質処方に上記の範囲で加えられうる。
タンパク質溶液における液液相分離を減少または阻止するように、タンパク質溶液中の固定濃度のタンパク質を再処方するために、1つは再度相図を用いうる。この場合において、1つは所望の濃度に対応する相図上の最大温度を超える温度に増大するであろう。特定の実施態様において、温度が、所望の濃度に対応する相図上の最大温度より約1℃、約2℃、約3℃、約4℃、約5℃、約6℃、約7℃、約8℃、約9℃、約10℃、約0.5℃〜約5℃、約0.5℃〜約10℃、または約5℃〜約10℃以上まで増大する。
本発明はまた、液液相分離を示すタンパク質溶液から液液相分離を示さないかまたはその減少を示すタンパク質溶液を得る方法に関する。方法は、一般に、液液相分離を示すタンパク質溶液の液液相分離を促進し、タンパク質溶液の下相を分離することに関与する。液液相分離は、例えば、重力分離または遠心分離によって促進されうる。下相は、パスツール・ピペットを用いることを含む、当該分野にて既知のいずれかの方法によって上相から分離されうる。タンパク質溶液の下相は、最初のタンパク質溶液と比べて液液相分離を示さないかまたはその減少を示すタンパク質溶液である。
タンパク質を濃縮する方法
本願はまた、タンパク質を濃縮する方法に関する。一の実施態様において、液液相分離を示す低濃度タンパク質溶液から高濃度タンパク質溶液を得る方法が提供される。方法は、最初のタンパク質溶液の液液相分離を促進し、下相を上相から分離することに関与する。下相は、最初の低濃度タンパク質溶液より高濃度のタンパク質を有するタンパク質溶液である。
この方法は、低濃度タンパク質溶液からのタンパク質を新しい緩衝液/溶液に完全に濃縮するために適合されうる。方法は、上記の工程を含むが、タンパク質を新しい緩衝液/溶液に移す緩衝液交換工程をさらに含む。緩衝液交換を行う方法は、限定するものではないが、透析、限外濾過、およびダイアフィルトレーションなどの膜に基づく方法を含む、当該分野にて既知のいずれかの方法を用いて行われうる。
濃縮すると、タンパク質溶液が粘性になり始めるかまたは凝集の兆候を示す場合、粘性および/または凝集を減少させるいずれかの方法は、タンパク質溶液の粘性および/または凝集を減少させるために用いられうる(米国仮出願番号60/752,660および60/784,130)。いくつかの実施態様において、高濃度タンパク質溶液の粘性を減少させるために、塩化カルシウムまたは塩化マグネシウムの約0.5mM〜25mM(例えば、約0.5mM〜約5mM、約2mM〜約10mM、約5mM〜約10mM、約10mM〜約15mM、約15mM〜約20mM、約13mM〜約25mM)をタンパク質処方に加えるであろう。他の実施態様において、高濃度タンパク質溶液の凝集を減少させるために、約1mMないし約145mMメチオニン(例えば、約1mM〜約5mM、約5mM〜約10mM、約10mM〜約20mM、約20mM〜約50mM、約50mM〜約100mM、約100mM〜約140mM)を加えるであろう。さらなる実施態様において、塩化カルシウム/塩化マグネシウムおよびメチオニン両方が、高濃度タンパク質処方に上記の範囲で加えられうる。粘性および凝集を測定する方法は、当業者によく知られている。
タンパク質を精製する方法
液液相分離はまた、他のタンパク質の混合物から所望のタンパク質を精製するために利用されうる。かかる精製は、目的タンパク質に基づく相分離条件の慎重な選択に基づく。選択された相分離条件(例えば、pH、イオン強度)が目的タンパク質に特異的であるが、該タンパク質を精製しうる残りのタンパク質混合物に特異的でなければ、その場合、目的タンパク質のみが選択された相分離条件下で相分離するであろうし、タンパク質富化下層は、純粋なタンパク質溶液として回収されうる。
液液相分離は、抗体またはその抗原結合フラグメントを精製するのに特に有用である。これは、7未満(多くの場合、7よりはるかに低い)の等電点(pI)を有するほとんどのタンパク質とは違って、ほとんどの抗体は、約8〜9のpIを有するためである。これらの高pIのために、抗体は、そのpI付近であるpHを有する緩衝液を用いて他のタンパク質から分離される相でありうる。このような方法で、抗体は、下層にて高濃度で見出されるが、残存タンパク質は上層にあろう。例えば、抗A1抗体を精製する方法において、抗A1および細胞残屑および培地からの他のタンパク質を含有するタンパク質溶液は、pH8.0緩衝液に交換された緩衝液であり、抗A1抗体の最適位相分離条件である。これらの条件下で、抗A1は二相に安定であろうし、高濃度下層は抗A1抗体を精製するように回収されうる。
当然、上記の精製方法はまた、高等電点を有する抗体以外のタンパク質に用いられうる。
緩衝液条件は、1以上のタンパク質を約8−10のpHを有する緩衝液中で相分離させるならば、その場合、他のタンパク質の混合物から2種または複数のタンパク質を同時に精製させることができる。たとえ単一タンパク質のみが望ましくても、該製法は、最初のタンパク質混合物より多く精製されたタンパク質を提供するであろう。上記したように、液液相分離は、重力分離により達成されうるかまたは遠心分離により促進されうる。
タンパク質
本明細書に記載の方法は、一般に、いずれかのタンパク質に有用である。本明細書に用いられる「タンパク質」には、非天然アミノ酸を含有するタンパク質、ペプチド、タンパク質フラグメント、共役タンパク質、およびポリペプチドが含まれる。タンパク質は、いずれかの供給源、例えば、分泌組換えタンパク質、自然源から単離されたタンパク質、非分泌組換えタンパク質、または合成タンパク質から得られうる。特定の実施態様において、タンパク質には、限定するものではないが、抗体、抗原結合性抗体フラグメント、リガンド結合性分子、可溶性受容体、リガンド、凝固因子、シグナル伝達タンパク質、および転写因子が含まれる。
本明細書に用いられるように、「抗体」なる語には、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ポリペプチド特異性を有する抗体組成物、二重特異性抗体、ジアボディー(diabodies)、または抗体および組換え抗体の他の精製された調製物が含まれる。抗体は、目的タンパク質を結合する、全抗体、例えば、いずれかのアイソタイプ(IgG、IgA、IgE、IgMなど)、またはそのフラグメントでありうる。抗体は、従来の技法を用いてフラグメント化され、そのフラグメントは、目的抗原に結合するためにスクリーンされうる。好ましくは、抗体フラグメントは、未変化抗体の抗原結合領域および/または可変領域を含む。したがって、抗体フラグメントなる語には、特定のタンパク質を選択的に結合しうるタンパク質分解によって切断されたかまたは組換え技術によって調製された一部の抗体分子の区分が含まれる。かかるタンパク質分解および/または組換えフラグメントの非限定的な例として、ペプチドリンカーによって結合するV[L]および/またはV[H]ドメインを含有するFab、F(ab’)、Fab’、Fv、および一本鎖抗体(scFv)が挙げられる。scFv’sは、2個または複数の結合部位を有する抗体を形成するために共有結合または非共有結合しうる。
いくつかの実施態様において、抗体は、ヒト化モノクローナル抗体である。本明細書に用いられるように、「ヒト化モノクローナル抗体」なる語は、等価ヒトモノクローナル抗体(ドナー)で見出された少なくとも1個または複数のアミノ酸残基を含有するために修飾されている非ヒト供給源(レシピエント)からのモノクローナル抗体である。「完全ヒト化モノクローナル抗体」は、等価ヒトモノクローナル抗体の抗原結合領域で見出された全てのアミノ酸残基を含有するために修飾されているモノクローナル抗体である。ヒト化抗体はまた、レシピエント抗体またはドナー抗体のいずれかで見出されない残基を含みうる。これらの修飾は、機能的に抗体をさらに精製し、最適化するために行われうる。ヒト化抗体はまた、少なくとも一部のヒト免疫定常領域(Fc)を所望により含んでいてもよい。
ある実施態様において、処方され、濃縮されおよび/または精製されるタンパク質は、リゾチーム、γ−クリスタリン、β−ラクトグロブリン、タウマチン、コンカナバリンA、およびカタラーゼを含まない。
本明細書に記載の方法の使用に適するタンパク質濃度には、限定するものではないが、5mg/mL〜約50mg/mL、約50mg/mL〜約100mg/mL、約100mg/mL〜約200mg/mL、約200mg/mL〜約300mg/mL、および約300mg/mL〜約500mg/mLが含まれる。
実施例
本発明は、以下の実施例によってさらに説明される。実施例は、例示を目的としてのみ提供される。実施例は、決して本発明の範囲または内容を限定するように解釈されるものではない。
実施例1
溶解度と乳白光の間の関連の決定
溶解度と乳白光の間に関連が存在するかどうかを試験するために、10mMヒスチジン pH6.0中にて90mg/mlで処方された11個の異なるモノクローナル抗体を研究した。これらの抗体溶液を、溶解度および乳白光について試験した。溶解度を、米国仮出願番号60/801,862に記載されるようにPEG沈降によって評価した。乳白光を、500nmで抗体溶液の吸光度を測定することにより測定した。図1に示されるこれらの研究からのデータは、タンパク質の溶解度が低ければ低いほど、より一層タンパク質溶液の乳白光は大きくなることを示す。
したがって、高タンパク質濃度の溶解度と乳白光の間に反比例関係が存在する。
実施例2
液液相分離
抗A1モノクローナル抗体は、5℃で10mM Tris pH8.0中にて70mg/mlで処方された。該タンパク質溶液のpHは、抗体のpI付近である。タンパク質溶液を合すると、濁ってきた;しかしながら、安定させると、液液相分離が起こり、上相および下相になった(図2、上パネルを参照)。
抗B1モノクローナル抗体は、5℃で20mMコハク酸塩 pH6.0中にて50mg/mlで処方された。該溶液を合すると、溶液は濁ってきた;しかしながら、安定させると、液液相分離が起こり、上相および下相になった(図2、下パネルを参照)。
5℃で10mM Tris pH9.0中にて90mg/mlで処方される抗C1抗体を合し、安定させると、同様の液液相分離現象が観察された(データは示されていない)。
したがって、液液相分離は、高濃度の複数のタンパク質で観察される。pH,イオン強度および溶解特性は、観察される相分離に寄与しうる。該実施例に見られるように、液液相分離を示すタンパク質溶液は濁っている。
実施例3
温度クエンチ方法による抗A1タンパク質溶液についての相図の作製
5種類の抗A1モノクローナル抗体の試料は、各々、10mM Tris pH8.0中にて70mg/mlで処方され、それぞれ16℃、15℃、10℃、5℃、および0℃に冷却され、二層の透明な液層が重力沈降により達成されるまで巨視的重力駆動性分離された。上層および下層からのアリコートを各試料から単離し、各層の濃度を紫外・可視分光法(280nm)で測定した。上層および下層の濃度を、タンパク質溶液の温度に対しプロットし、相図を得た(図4を参照)。
該緩衝液中で臨界温度以下に冷却すると、抗A1タンパク質溶液は液液相分離した。曲線下領域において、液液相分離が起こり、高密度相の沈降が、下相に高タンパク質濃度および上相に低タンパク質濃度を含む、二層の透明層に巨視的分離する。異なるタンパク質濃度を有する二相の液相は、所定の温度で平衡状態において共存する。
実施例4
曇り点方法による抗A1タンパク質溶液についての相図の作製
10mM Tris pH8.0中にて200mg/ml、50mg/ml、30mg/mlおよび10mg/mlで処方される4種類の抗A1抗体の試料を調製した。これらの4種類の溶液を、30℃で光散乱分光光度計に入れた。該温度で、全ての該溶液は透明になった。該溶液を徐々に冷却すると、相分離が特定の温度(Tcloud)にて各溶液中で開始した。この現象は、入射光の多数の多重散乱による透過光の消失を特徴とした。該Tcloud温度以下で、溶液は不透明になった。各溶液について、曇り点温度は、タンパク質溶液の濃度に対しプロットされ、タンパク質溶液についての相図になった。
相図を作製する温度クエンチ方法(実施例3)と曇り点方法両方とも、実質的に同様の結果が得られるように思えることは注目に値するものである。
実施例5
相図を用いる乳白光の予測
相図が所定のタンパク質溶液が乳白色である(すなわち、濁っている)かまたは透明であるかどうかを決定するために用いられうるかどうかを決定するために、4種の異なる抗A1タンパク質溶液試料を、相図の異なる領域(すなわち、相分離曲線の内側または外側)に減少した10mM Tris pH8.0中にて異なる濃度(すなわち、相図を作製するために実験で用いられる同一のタンパク質および緩衝液)で調製した。
図5に示されるように、相図は、乳白光の発生とよく関連している。タンパク質溶液が透明であり、相分離曲線の外側の単相中に含まれるが、濁って、相分離曲線下重力分離で二層に分離する。相図は、10℃の固定温度で、抗A1溶液が、濃度が18mg/ml以上に達すると、不透明に変化し始めるが、濃度が180mg/ml以上に増大し続けると予想外に透明になることを証明する。
そのため、液液相分離により濁る傾向にあるタンパク質溶液について、特定の温度で高タンパク質濃度の透明な溶液は、濃度が相分離曲線を超えている限り、達成可能である。
実施例6
液液相分離の上相および下相の特性の分析
10mM Tris pH 8.0中にて59mg/mlで処方される抗A1は、液液相分離され、上相および下相からのアリコートを単離し、以下の特性を分析するために用いた:両相におけるタンパク質の(i)緩衝液成分、(ii)高分子量種、(iii)酸性種、(iv)二次構造、および(v)三次構造。
Trisおよび塩化イオンの濃度が実質上同一であることを緩衝液成分の分析は示した(図7を参照)。
サイズ排除−高速液体クロマトグラフィーによる高分子量種の分析は、上相と下相に有意差を示さなかった(図8,上パネルを参照)。
同様に、陽イオン交換−高速液体クロマトグラフィーによる酸性種の分析は、両相に有意差を示さなかった(図8,下パネルを参照)。
FTIRアミドIスペクトルによって特徴付けられる両相からの抗A1の二次構造は、実質的に同様であった(図9を参照)。
最終的に、45°角度キュベットを用いて蛍光によって特徴付けられる両相からの抗A1の三次構造はまた、有意差を示さなかった(図10を参照)。
総合すると、これらのデータは、液液相分離するタンパク質溶液の上相および下相が実質的に同様であることを示唆する。したがって、タンパク質の二次または三次構造、物理化学的特性または賦形剤含有量の相違は、液液相分離の根本原因ではなさそうである。
他の実施態様
本発明を、その詳細な説明と共に説明してきたが、前述の説明は、本発明の範囲を例証するものであって、制限することを意図するものではなく、本発明の範囲は添付した特許請求の範囲によって定義されることを理解すべきである。他の態様、利点および変更もまた、特許請求の範囲内である。

Claims (22)

  1. 所望の温度でタンパク質溶液における液液相分離を減少または阻止するように液液相分離を示すタンパク質溶液中のタンパク質を再処方するための濃度を決定する方法であって、
    (a)液液相分離を示すタンパク質溶液を上相と下相の液相に液液相分離すること;
    (b)液液相分離を受けたタンパク質溶液の上相および下相中のタンパク質の濃度を測定すること;および
    (c)所望の温度でタンパク質溶液における液液相分離を減少または阻止するようにタンパク質を再処方するための下相のタンパク質濃度以上のタンパク質濃度を選択することを含む、方法。
  2. 所望の温度でタンパク質溶液における液液相分離を減少または阻止するように液液相分離を示すタンパク質溶液中のタンパク質を再処方するためのタンパク質濃度を決定する方法であって、
    (a)タンパク質溶液の相分離曲線を作製すること;および
    (b)所望の温度で相分離曲線外側の濃度を選択することを含み、ここで、所望の温度で相分離曲線外側の濃度が、所望の温度でタンパク質溶液における液液相分離を減少または阻止するようにタンパク質溶液中のタンパク質を再処方するための濃度であるところの、方法。
  3. 相分離曲線が、温度クエンチ方法または曇り点方法により作製される、請求項2記載の方法。
  4. タンパク質溶液の相分離曲線の作製が、タンパク質溶液が液液相分離を示す少なくとも2または複数の異なる温度でタンパク質の平衡状態における二相の共存液相の濃度をプロットすることを含む、請求項2記載の方法。
  5. 所望の温度でタンパク質溶液における液液相分離を減少または阻止するようにタンパク質溶液中のタンパク質を処方するための濃度を決定する方法であって、
    (a)タンパク質濃度を有する第1タンパク質溶液および第1タンパク質溶液が液液相分離を示すタンパク質濃度を提供すること;
    (b)第1タンパク質溶液の濃度の第2タンパク質溶液および第2タンパク質溶液が液液相分離を示す第2温度を提供すること;
    (c)(a)および(b)からのタンパク質溶液を上相と下相に液液相分離すること;
    (d)第1および第2タンパク質溶液の上相および下相のタンパク質濃度を測定すること;
    (e)第1および第2温度で第1および第2タンパク質溶液の平衡状態における上相および下相の濃度を特定する相分離曲線を作製すること;および
    (f)所望の温度で相分離曲線外側の濃度を決定することを含み、ここで、所望の温度で相分離曲線外側の濃度が、所望の温度でタンパク質溶液における液液相分離を減少または阻止するようにタンパク質溶液のタンパク質を再処方するための濃度であるところの、方法。
  6. (a)第1タンパク質溶液の濃度の第3タンパク質溶液および第2タンパク質溶液が液液相分離を示す第3温度を提供すること;
    (b)第1、第2、および第3タンパク質溶液を上相と下相に液液相分離すること;
    (c)第1、第2、および第3タンパク質溶液の上相および下相のタンパク質の濃度を測定すること;
    (d)第1、第2、および第3温度で第1、第2、および第3タンパク質溶液の平衡状態における上相および下相の濃度を特定する相分離曲線を作製すること;および
    (e)所望の温度で相分離曲線外側の濃度を決定することをさらに含み、ここで、所望の温度で相分離曲線外側の濃度は、所望の温度でタンパク質溶液における液液相分離を減少または阻止するようにタンパク質溶液中のタンパク質を再処方する濃度であるところの、請求項5記載の方法。
  7. 所望の温度でタンパク質溶液における液液相分離を減少または阻止するようにタンパク質溶液中のタンパク質を再処方するための濃度を決定する方法であって、
    (a)第1濃度の第1タンパク質溶液中のタンパク質を提供すること;
    (b)第2濃度の第2タンパク質溶液中のタンパク質を提供すること;
    (c)第3濃度の第3タンパク質溶液中のタンパク質を提供すること;
    ここで、第1、第2、および第3タンパク質溶液は、第1、第2、および第3溶液が十分に透明である温度であり;
    (d)第1、第2、および第3溶液を第1、第2、および第3溶液の曇り点温度に冷却すること;および
    (e)第1、第2、および第3濃度に対する第1、第2、および第3タンパク質溶液の曇り点温度をプロットすることにより相分離曲線を作製することを含み、ここで、所望の温度で相分離曲線外側の濃度が、所望の温度でタンパク質溶液における液液相分離を減少または阻止するようにタンパク質溶液中のタンパク質を再処方するための濃度であるところの、方法。
  8. タンパク質が、受容体、リガンド、転写因子、酵素、および抗体からなる群より選択される、請求項1−7のいずれか1項に記載の方法。
  9. タンパク質が、ポリクローナル抗体またはその抗原結合性フラグメントである、請求項1−7のいずれか1項に記載の方法。
  10. タンパク質が、モノクローナル抗体またはその抗原結合性フラグメントである、請求項9記載の方法。
  11. 所望の温度が、タンパク質溶液を処理、製造、保存、または投与しうる温度である、請求項1−7のいずれか1項に記載の方法。
  12. タンパク質溶液中のタンパク質を再処方するためのタンパク質濃度が、下相のタンパク質の濃度より約5%〜約40%高くなるように選択される、請求項1−7のいずれか1項に記載の方法。
  13. 液液相分離が、重力分離または遠心分離によって達成される、請求項1−7のいずれか1項に記載の方法。
  14. タンパク質溶液が所望の温度で液液相分離を示さないようにタンパク質溶液中のタンパク質を処方する方法であって、所望の温度でタンパク質溶液の相分離曲線外側の濃度でタンパク質溶液中のタンパク質を処方することを含む、方法。
  15. タンパク質溶液が所望の濃度で液液相分離を示さないようにタンパク質溶液中のタンパク質を処方する方法であって、液液相分離を起こし、所望のタンパク質濃度でタンパク質溶液の相分離曲線外側の温度を超える温度でタンパク質溶液を保存することを含む、方法。
  16. 再処方したタンパク質溶液が、所望の温度で液液相分離を示さないかまたはその低下を示すように所望の温度で液液相分離を示すタンパク質溶液中のタンパク質を再処方する方法であって、
    (a)液液相分離を示すタンパク質溶液を上相と下相の液相に液液相分離すること;
    (b)タンパク質溶液の上相および下相の濃度を測定すること;および
    (c)タンパク質溶液の下相の濃度以上の濃度でタンパク質を再処方することを含む、方法。
  17. 所望の温度で液液相分離を示すタンパク質溶液から所望の温度で液液相分離を示さないかまたはその低下を示すタンパク質溶液を得る方法であって、
    (a)液液相分離を示すタンパク質溶液を所望の温度で上相と下相に分離すること;および
    (b)タンパク質溶液の下相を除去することを含み、ここで、下相が、所望の温度で液液相分離を示さないかまたはその低下を示すタンパク質溶液であるところの、方法。
  18. 液液相分離を示す低濃度タンパク質溶液から高濃度タンパク質溶液を得る方法であって、
    (a)最初のタンパク質溶液を上相と下相に分離すること;および
    (b)上相から下相を分離することを含み、ここで、下相が、低濃度タンパク質溶液より高濃度のタンパク質を有するタンパク質溶液であるところの、方法。
  19. 所望の溶液中のタンパク質を濃縮する方法であって、
    (a)タンパク質溶液が液液相分離を示すいずれかの溶液中のタンパク質を処方すること;
    (b)タンパク質溶液における液液相分離を促進することによって、上相および下相を形成すること;
    (c)上相から下相を分離すること、ここで、下相は、最初のタンパク質溶液より高濃度のタンパク質を有し、および
    (d)高濃度タンパク質溶液から所望の溶液にタンパク質を移すために緩衝液交換を行うことを含む、方法。
  20. 約0.5mM〜約25mMの塩化カルシウムまたは塩化マグネシウムを下相に加えることをさらに含む、請求項18または19記載の方法。
  21. 約1mM〜約145mMのメチオニンを下相に加えることをさらに含む、請求項18または19記載の方法。
  22. 約0.5mM〜約25mMの塩化カルシウムまたは塩化マグネシウム、および約1mM〜約145mMのメチオニンを下相に加えることをさらに含む、請求項18または19記載の方法。
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