JP2009539377A - 新規味細胞遺伝子および塩味受容体標的を同定するための理論的根拠、方法、およびアッセイならびにこれらの同定された遺伝子または遺伝子産物を使用するアッセイ - Google Patents
新規味細胞遺伝子および塩味受容体標的を同定するための理論的根拠、方法、およびアッセイならびにこれらの同定された遺伝子または遺伝子産物を使用するアッセイ Download PDFInfo
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Abstract
本発明は、塩味感覚、特にヒト塩味感覚に関与する遺伝子、また、甘味、苦味、うま味、および酸味感覚に関与する遺伝子も含む味覚特異的遺伝子、ならびに消化機能および消化関連疾患等の他の味細胞および味覚受容体に関連した活性、味細胞代謝回転、口道もしくは消化管の免疫調節、ならびに糖尿病および肥満等においての代謝制御に関与する遺伝子を同定する新規理論的根拠および方法と、これらの方法を用いて同定された該遺伝子と、これらの遺伝子を使用して味覚モジュレーター(エンハンサーまたはブロッカー)および潜在的治療学を同定するためのアッセイと、に関する。これらの化合物は、味感覚、特に塩味感覚の調節(増強または遮断)における、および潜在的治療学としての潜在的用途を有する。さらに、本発明は、哺乳類における甘味、苦味、うま味、酸味、塩味、および他の味細胞を含む異なる味細胞型に対するマーカーとして使用できる味覚特異的遺伝子を同定する新規方法、ならびに甘味、苦味、うま味、および酸味のモジュレーターを同定し、特に消化または代謝疾患、味覚喪失、および経口感染を治療するための治療学を同定するために、これらの遺伝子の存在下で、甘味、苦味、うま味、または酸味受容体の活性を測定するアッセイに関する。さらに、本発明は、例えば、FACS、電磁ビーズ、または標識細胞毒素等を用いて1つ以上の味覚特異的遺伝子を発現するまたは発現しない細胞を精製、濃縮、標識、または除去する他の選択方法を用いて、甘味、うま味、苦味、塩味、酸味、脂肪または幹細胞等の所望される味細胞サブタイプまたは系譜を精製、濃縮、単離または標識する特定の方法を提供する。
Description
関連出願
本出願は、2006年6月8日に出願された米国仮特許出願第60/811,763号、2006年7月17日に出願された第60/831,199号、2006年10月4日に出願された第60/848,995号、および2006年11月16日に出願された第60/866,178号の優先権を主張するものである。これらの仮特許出願の全ては、参照によりその全体が本願明細書に組み込まれる。
本出願は、2006年6月8日に出願された米国仮特許出願第60/811,763号、2006年7月17日に出願された第60/831,199号、2006年10月4日に出願された第60/848,995号、および2006年11月16日に出願された第60/866,178号の優先権を主張するものである。これらの仮特許出願の全ては、参照によりその全体が本願明細書に組み込まれる。
本発明は、その広範な実施形態において、化学感覚細胞、またはさらに具体的には味細胞、例えば、マウス有郭味細胞、ならびにヒトおよび非ヒト霊長類等の他の哺乳類に由来するあり得る味(例えば、有郭)細胞内で特異的に発現される新規一連の遺伝子を同定する。これらの遺伝子は、本明細書において、味細胞内で特異的に発現されるため「味覚特異的」遺伝子と称される。しかし、これらの味覚特異的遺伝子は、味覚検出および調節、例えば、塩味、うま味、甘味、酸味、脂肪味、金属味、または苦味変換に直接的または間接的に関与する遺伝子、ならびに消化の調節、味細胞代謝回転、免疫系の制御、口腔の特徴、および例えば炭水化物代謝、糖尿病、肥満、悪液質、消化時の食物検出等の代謝の制御等の味覚検出に直接関連しない生物学的機能に関与する遺伝子を含む。
上記に関連して、本発明は、異なる味覚様式、例えば塩味、甘味、うま味、苦味、酸味、脂肪味、または金属味を直接または間接的に調節する化合物を同定するスクリーニングアッセイ、好ましくはハイスループットスクリーニングアッセイにおいて有用な舌細胞内で発現されないまたは著しく低いレベルで発現される、マウス化学感覚細胞、例えばマウス有郭味細胞内で特異的に発現される新規一連の遺伝子を提供する。
さらに、上記に関連して、本発明は、例えば、癌および自己免疫疾患等の消化器系疾患の治療における治療学として有用な化合物を同定するため、味細胞アポトーシスもしくは味細胞代謝回転を調節するため、味細胞再生を誘発するため、口腔内の免疫制御と、例えば、糖尿病、肥満、摂食障害、および他の代謝疾患の治療における代謝の制御とに影響を与えるためのスクリーニングアッセイ、好ましくはハイスループットスクリーニングアッセイにおいて有用である新規一連の遺伝子および対応する遺伝子産物またはそれらを発現する細胞を提供する。
また、上記に関連して、本発明は、例えば、特定の味覚様式、口腔内の免疫系制御、味細胞アポトーシスもしくは味細胞代謝回転、味細胞再生、消化器系制御、食物検出、空腹および消化等に関与するホルモンもしくは酵素の分泌等に役立つ細胞等の代謝の制御等、味覚または化学感覚細胞の特定の型または系譜の同定および/または単離および/または濃縮に有用な新規一連の遺伝子を提供する。
さらに、本発明は、味覚を調節する化合物を同定するスクリーニングアッセイにおける、ならびに免疫系を調節する治療学の同定、特に、口腔内の免疫ホメオスタシスの制御、味細胞アポトーシスの制御、代謝回転もしくは味細胞再生および増殖、消化および他の味細胞機能に関与するホルモンもしくは酵素の制御、口腔癌もしくは消化器系癌、自己免疫性もしくは炎症性消化器疾患等の消化器系疾患の治療、糖尿病、肥満、摂食障害、もしくは他の代謝疾患の治療等における、これらの単離された化学感覚細胞または味細胞の使用に関する。
さらに具体的には、本発明は、本明細書に提供される1つ以上の味覚特異的遺伝子の発現に基づいて、例えば、うま味、甘味、塩味、苦味、脂肪味、酸味、金属味および味覚幹細胞を含む所望される味細胞型および味細胞系譜ならびに味蕾細胞、味細胞ニューロン、味覚免疫細胞等へ分化する他の味細胞系譜を単離、精製および標的する方法を提供する。これらの単離および精製方法は、陽性および陰性細胞分離法の両方を含む。例えば、所望される味細胞系譜または型は、陽性細胞選択方法、例えば、蛍光標示式細胞分取器(fluorescence activated cell sorting:FACS)、抗体被覆ビーズを使用した電気生理学による個別のトランスフェクト細胞等の所望される細胞の視覚的同定等による電磁ビーズ細胞選択を用いて単離されてもよい。あるいは、所望される味細胞系譜または型は、陰性細胞精製および単離方法によって回復または精製されてもよく、所望される細胞型は、1つ以上の所望されない細胞系譜を除去することによって、例えば、所望される味細胞および所望されない細胞を含有する混合細胞集団を、標的遺伝子または除去される所望されない味細胞型上で発現される遺伝子に特異的な細胞傷害抗体と接触させることによって、混合細胞集団から濃縮または精製される。
また、本発明は、特定の味覚および非味覚特異的機能、特定の味覚特異的遺伝子を発現する胃腸管および随伴器官の特定領域のマッピングに関与し、したがって本明細書に開示する1つ以上の味細胞特異的機能に関与する舌および口腔のマッピング領域における1つ以上の対象味覚特異的遺伝子に特異的な、例えば抗体またはオリゴヌクレオチド等のマーカーの使用、および/または、例えば、所望される味細胞系譜および味細胞型への味覚幹細胞および他の多能性もしくは未成熟細胞型の分化を誘発する化合物を同定するための味細胞分化研究における対象遺伝子の使用に関する。
本発明は、さらに具体的には、新規理論的根拠、方法、および塩味受容体標的として機能する遺伝子を含む、新規味覚特異的遺伝子を同定および特徴付ける電気生理学的アッセイを含むアッセイに関する。また、本発明は、そのモジュレーター、例えば、塩味エンハンサーを同定するためのその使用、ならびにヒト塩味感覚を調節するため、および高血圧、低血圧、体液貯留、心発作および脳卒中等のナトリウム輸送および吸収に関する状態の治療もしくは予防のためのその使用に関する。
発明の背景
上皮性ナトリウムチャネル(epithelial sodium channel:ENaC)は、哺乳類の酸感知イオンチャネル(acid−sensing ion channel:ASIC)、虫の機械受容デジェネリンチャネル、および軟体動物のFMRF−アミドペプチド依存性チャネル(Kellenger,S.and Schild,L.(2002)Physiol.Rev.82:735−767)を含む、イオンチャネルのENaC/デジェネリンファミリーのメンバーである。ENaCは、腎臓、結腸、および肺を含む多数の組織における高抵抗上皮にわたるアミロリド感受性頂端膜Na+輸送を媒介する。
上皮性ナトリウムチャネル(epithelial sodium channel:ENaC)は、哺乳類の酸感知イオンチャネル(acid−sensing ion channel:ASIC)、虫の機械受容デジェネリンチャネル、および軟体動物のFMRF−アミドペプチド依存性チャネル(Kellenger,S.and Schild,L.(2002)Physiol.Rev.82:735−767)を含む、イオンチャネルのENaC/デジェネリンファミリーのメンバーである。ENaCは、腎臓、結腸、および肺を含む多数の組織における高抵抗上皮にわたるアミロリド感受性頂端膜Na+輸送を媒介する。
ENaCは、α、β、およびγサブユニットまたはδ、β、およびγサブユニットで構成されるヘテロ三量体チャネルであることが知られている。このヘテロ三量体チャネルは、ヒト塩味感覚に関与すると仮定されてきた。以前に、これらの化合物がヒト塩味感覚を調節する可能性があるかどうかを検討するため、δβγおよびαβγヒトENaCを調節する化合物を同定するためにENaC配列を使用して本譲受人によりアッセイが開発されている。また、これらの化合物は、異常なENaC機能に関するヒト病理学を治療するために使用され得る可能性がある。
他の哺乳類とは異なり、アミロライドは、ナトリウムクロライド味覚の強度を僅かに減少、つまり、ENaC機能を特異的に調節する濃度で使用される場合に約15〜20%減少させることのみが報告されている(Halpern,B.P.(1998)Neuroscience and Behavioral Reviews.23:5−47)。本発明人により行われた実験は、アミロライド、またはより強力なアミロライド誘導体フェナミルが、αβγENaCに対するIC50値を上回る300倍(アミロライドに対して)および3000倍(ベンザミルに対して)のレベル(δβγENaCに対するIC50値を上回るアミロライドの10倍およびベンザミルの100倍に相当)でテストされた場合に認識されたヒト塩強度へ有意な効果を導かなかったことを示している。したがって、付加的な非ENaC遺伝子は、ヒト塩味覚に関与する可能性がある。
さらに、味覚受容体は、非口腔組織内、例えば、消化器系および潜在的に腎臓等の他の器官内で発現される場合があることが最近報告されている。特に、甘味、苦味、およびうま味受容体は、胃腸細胞等の口腔内以外の細胞内で発現されることが報告されている(例えば、Sternini et al.,Amer J Physiol.Gastrointestinal and Liver Physiology,292:G457−G461,2007;Mace,O.J.et al,J.Physiology.10:1113/J.Physiol.2007.130906.Published online May 10,2007を参照)。さらに、塩味受容体は、尿路内で発現される可能性がある。それらに基づいて、味覚受容体は、胃運動性、吸収、食物検出、代謝、および口道もしくは消化管の免疫調節等の消化機能等の、味覚に直接関連しない機能に関与し、また、血圧および体液貯留等のナトリウム吸収、排泄および輸送に関連する機能に影響を及ぼし得ると仮定されている。したがって、味細胞特異的遺伝子の同定およびこれらの遺伝子が特異的に発現される特定細胞を同定することは、これらの味覚受容体の他の非味覚機能のさらなる理解を容易にし、またこれらの遺伝子、遺伝子産物、および新規治療学を同定するための、例えば、自己免疫、炎症および癌等の消化器疾患、代謝、糖尿病、摂食障害、肥満、味細胞代謝回転、高血圧、体液貯留、ならびに消化器系の免疫調節を治療するためのアッセイにおいてそれらを発現する細胞の使用を容易にするはずである。
発明の簡単な説明および目的
本発明は、一実施形態において、化学感覚細胞または味細胞、特に、マウス有郭味細胞内で、ならびにヒトおよび非ヒト霊長類等の他の哺乳類のあり得る味細胞内で特異的に発現される新規一連の遺伝子の同定に関する。これらの遺伝子は、塩味、甘味、うま味、酸味、脂肪味、および金属味等の特定の味覚様式の検出および/または味覚強度および持続時間の調節に直接または間接的に関与する遺伝子を含む。
本発明は、一実施形態において、化学感覚細胞または味細胞、特に、マウス有郭味細胞内で、ならびにヒトおよび非ヒト霊長類等の他の哺乳類のあり得る味細胞内で特異的に発現される新規一連の遺伝子の同定に関する。これらの遺伝子は、塩味、甘味、うま味、酸味、脂肪味、および金属味等の特定の味覚様式の検出および/または味覚強度および持続時間の調節に直接または間接的に関与する遺伝子を含む。
本発明は、別の実施形態において、化学感覚細胞または味細胞、特に、マウス有郭味細胞内で、ならびに一例として、味細胞アポトーシスもしくは味細胞代謝回転、味細胞再生、消化、口腔内の免疫系の制御、炭水化物または消化、食物検出、味細胞輸送に関連する他の代謝機能の制御等を含む他の味細胞機能に関与するヒトおよび非ヒト霊長類等の他の哺乳類に由来する他のあり得る化学感覚細胞または味細胞および同様の細胞内で特異的に発現される新規一連の遺伝子の同定に関する。
本発明は、別の実施形態において、一例として、甘味、うま味、酸味、苦味、塩味、脂肪味および金属味を含む特異的味細胞サブタイプもしくは味細胞系譜の同定、単離、または濃縮するための、および、例えば口腔内における免疫の制御、消化もしくは代謝の制御、味細胞アポトーシス、代謝回転、もしくは味細胞分化および増殖の制御、ならびにナトリウム排泄、輸送および吸収の制御等の非味覚機能に関与する味細胞を単離するためのマーカーとして使用できるマウスまたは他の哺乳類味細胞内で特異的に発現される特異的遺伝子または遺伝子産物の同定にさらに関する。
本発明は、別の実施形態において、これらの味細胞特異的遺伝子もしくは遺伝子産物、または例えば甘味、酸味、うま味、塩味、苦味、脂肪味または金属味の調節を引き出す化合物を同定するためのスクリーニングアッセイに用いられる該味細胞特異的遺伝子を発現する、該単離もしくは濃縮された味細胞系譜もしくは味細胞型の使用と、これらの遺伝子、遺伝子産物、または、例えば、潰瘍性大腸炎、クローン病、セリアック病、消化不良、消化器系の癌等の種々の消化器系疾患の治療に対する治療学、味細胞代謝回転もしくはアポトーシスを調節するため、および例えば癌を有するまたは化学療法もしくは放射線を受ける高齢者被験者または個人において味細胞分化および再生を制御するための化合物、口腔の免疫系を調節または増強するための化合物、消化および代謝の制御のための化合物、例えば、唾液、胃液および腸液、GLP−I(グルカゴン様ペプチド1)、GIP(グルコース依存性インスリン分泌ポリペプチド)、セクレチン、アミラーゼ等の消化液、ホルモンもしくは酵素の生成に影響を及ぼす化合物、消化運動に影響を及ぼす化合物、食物検出を調節するため、糖尿病を治療するための化合物、ならびに肥満もしくは摂食障害、悪液質等を治療するための化合物等の、潜在的治療化合物の同定のために単離もしくは濃縮された味細胞の使用と、にさらに関する。
本発明は、本明細書に提供される1つ以上の味覚特異的遺伝子の発現または発現しない場合に基づいて、例えば、うま味、甘味、塩味、苦味、脂肪味、酸味、金属味を含む所望される味細胞型および味細胞系譜、ならびに味蕾細胞、味細胞ニューロン、味覚免疫細胞へ分化する細胞を含む、味覚幹細胞および他の未成熟および成熟味細胞系譜を単離、精製および標的する方法をさらに提供する。これらの単離および精製方法は、陽性および陰性細胞分離方法の両方を含む。例えば、所望される味細胞系譜または型は、陽性細胞選択方法、例えば、蛍光標示式細胞分取器(fluorescence activated cell sorting:FACS)、抗体被覆ビーズを使用した電気生理学による個別のトランスフェクト細胞等の所望される細胞の視覚的同定等による電磁ビーズ細胞選択を用いて単離されてもよい。あるいは、所望される味細胞系譜または型は、陰性細胞精製および単離方法によって回復または精製されてもよく、所望される細胞型は、1つ以上の所望されない細胞系譜を除去することによって、例えば、所望される味細胞と例えば舌、口腔または胃腸管および随伴器官に由来する所望されない細胞を含有する細胞懸濁液とを、標的遺伝子または除去される所望されない味細胞型上で発現される遺伝子に特異的な細胞傷害抗体と接触させることによって、混合細胞集団から濃縮または精製される。
また、本発明は、特定の味覚および非味覚特異的機能、特定の味覚特異的遺伝子を発現する腸上皮または尿路等の胃腸管および随伴器官の特定領域上に含まれる細胞のマッピングに関与し、したがって本明細書に開示する1つ以上の味細胞特異的機能に関与する舌および口腔のマッピング領域における、本明細書において提供される1つ以上の対象味覚特異的遺伝子に特異的な、例えば抗体またはオリゴヌクレオチド等のマーカーの使用、および/または、例えば、所望される味細胞系譜および味細胞型への味細胞の、例えば、成体もしくは胚性幹細胞および他の多能性もしくは未成熟細胞型の分化を誘発する化合物を同定するための味細胞分化研究における対象遺伝子およびそれらに特異的なマーカーの使用に関する。
本発明は、そのより特定の実施形態において、新規理論的根拠および方法、ならびにこれらの理論的根拠を使用したこれまでの結果および塩受容体標的を構成する種々のパラメータに基づいた新規味覚特異的遺伝子の同定および特徴付け方法に関する。これらの手順を使用した標的は、ヒト塩味エンハンサーを同定するためのハイスループットスクリーニングの取り組みにおいて有用な標的である。これらの標的は、新規塩受容体標的遺伝子を同定するために、遺伝子チップおよびポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction:PCR)スクリーニングの2つの異なる技術を使用して同定した。まず、殆ど全て既知のマウス遺伝子を含有するアフィメトリクス遺伝子チップを使用して、どの遺伝子が、レーザーキャプチャーマイクロダイセクションによって単離された舌の上皮細胞ではなく舌の後部において、マウス有郭乳頭味細胞内で特異的に発現されるかを判断する。次に、PCRを使用して、ヒト/マウスゲノムに分類整理した339チャネルからどのイオンチャネルが、レーザーキャプチャーマイクロダイセクションによって単離された舌の上皮細胞ではなくヒト/マウス有郭(circumvallate:CV)乳頭味細胞内で特異的に発現されるかを判断する。いずれかのアプローチによって同定された遺伝子の味覚特異的発現は、どの遺伝子が味細胞内で発現されるかを判断するために、in situハイブリダイゼーションまたは免疫組織化学等の非依存性組織学的方法を使用して確認する。2重標識組織学的方法を使用し、どの新規味覚特異的遺伝子が、味覚特異的イオンチャネルTRPM5を発現する甘味、苦味およびうま味細胞、味覚特異的イオンチャネルPKD2L1/PKD1L3を発現する酸味細胞、またはTRPM5もしくはPKD2L1/PKD1L3を発現しない特有の細胞型内で発現されるかを判断する。伝導性またはナトリウムにより活性化され、TRPM5−およびPKD2Ll/PKD1L3−陰性細胞集団内で発現される味覚特異的遺伝子、好ましくは、イオンチャネルは、哺乳類塩味受容体をコードする遺伝子および特定の細胞型を同定するためのスクリーニングの取り組みに対してあり得る候補であり、これらの塩味受容体遺伝子は、口腔および尿路内等で発現し、また、ヒトにおける塩味エンハンサーを特定するように設計されたハイスループットアッセイに用いる。
塩受容体標的を構成し得る新規イオンチャネルを同定することに焦点を当てて取り組んでいるが、一方、塩受容体標的は、トランスポーター、Gタンパク質共役受容体(G−protein coupled receptor:GPCR)、または性質不明の膜貫通タンパク質等のタンパク質の別の型を含み得ることも認識している。したがって、1つより多い膜貫通ドメインを有する膜タンパク質も分析に含めている。甘味、苦味、うま味、および酸味受容体は全て、多数の膜貫通ドメインを有する膜貫通タンパク質であるため、塩受容体を含む他の味覚受容体は、多数の膜貫通ドメインを有するタンパク質でもあると理論的に説明する。
また、これらの実験の焦点は新規塩受容体標的を同定することであるが、上述のように、検討過程中、他の味覚様式(例えば、酸味、渋味、口あたり、脂肪味、金属味等)に関与する付加的な味覚特異的遺伝子が同定されたと予想することは理にかなっている。したがって、本明細書において同定され、ならびに塩味感覚(およびナトリウム吸収、輸送および排泄等によって影響され得る他の生物学的活性ならびに体液貯留および血圧制御等のそれらの効果)に影響を与える新規味覚特異的遺伝子は、その他にも、他の味覚様式および風味知覚に概して影響を及ぼす場合がある。また、これらの実験の焦点は新規塩受容体標的を同定することであるが、検討過程中、付加的な味覚特異的遺伝子が同定される可能性がある。したがって、本明細書において同定される新規味覚特異的遺伝子は、甘味、苦味、うま味、酸味および塩味細胞を含む味蕾もしくは味覚受容体細胞型の特定のマーカーとして使用される可能性があり、特定された味覚特異的遺伝は、味、苦味、うま味、酸味および塩味の味覚を調節するための標的となり得る。
さらに、対象アッセイは、あり得る塩受容体標的を同定するように設計されているが、これらの方法は、上述のような非味覚生物学的機能に関与する味覚特異的遺伝子を同定した可能性がさらにある。したがって、これらの新規味覚特異的遺伝子およびそれらの対応する遺伝子産物は、新規味細胞サブタイプまたは味細胞系譜を単離するのに有用であるはずである。さらに、これらの味覚特異的遺伝子または対応する遺伝子産物、またはこれらの味細胞特異的遺伝子を発現する単離または濃縮された内在性の味覚もしくは化学感覚細胞等のそれらを発現する細胞は、例えば、消化器癌等の消化器系疾患、潰瘍性大腸炎、消化不良、クローン病、セリアック病、炎症性腸症候群、憩室炎等の自己免疫性および炎症性消化器疾患の治療のために治療学を同定するため、味細胞アポトーシスまたは味細胞代謝回転を制御するため、例えば、化学療法または放射線を受ける高齢者、癌患者または個人において味細胞再生を誘発するため、口腔の免疫系を調節するため、GLP−1(グルカゴン様ペプチド1)、GIP(グルコース依存性インスリン分泌ポリペプチド)、アミラーゼ、唾液、胃酸、腸液、ペプシン、セクレチン等の消化粘液もしくは消化液、酵素またはホルモンの制御のため、および糖尿病、摂食障害、悪液質、およびこれらの遺伝子および/または単離もしくは濃縮された味細胞に関する他の代謝疾患の治療のための治療的スクリーニングアッセイに有用である。
さらに具体的には、本発明は、アポトーシス、味細胞再生、味細胞受容体発現を調節する転写因子の調節、頂端膜/味孔領域へのおよびからの味覚受容体輸送、特定の味覚/味覚強度もしくは特定の味覚を制御する求心性神経への神経伝達物質放の強度を管理および/または調節するための味細胞作用電位発生頻度/膜電位の制御、ならびに神経線維への味細胞シグナリング等において作用し得る味覚特異的遺伝子の発見に関する。
また、本発明は、例えば、胃腸細胞または口腔細胞等の味細胞(この味細胞は、例えば、消化管および口腔、舌内等に存在する)内で特異的に発現される味覚特異的遺伝子の発見と、これらの遺伝子、遺伝子産物、およびこれらの遺伝子に特異的に結合または調節し、消化機能に関する病的状態を治療または予防するために使用され得る化合物を同定するためのそれらを発現する細胞と、にさらに関する。これらの状態は、一例として、機能性消化不良(消化不良)、および潰瘍に由来または関連する可能性があるまたはなく、上腹部管、中腹部管または下腹部管等の消化管の異なる領域を含有し得る他の消化不良を含む。
さらに、本発明は、塩味またはうま味細胞等の味細胞内で特異的に発現される遺伝子を提供し、遺伝子、遺伝子産物、または例えば、胃腸もしくは口腔由来の味細胞などのそれらを発現する細胞は、ガストリン、セクレチン、ペプシン、コレシストキニン、グルカゴン様ペプチド1(GLP−1)、アミラーゼ、グレリン、レプチン等の消化もしくは空腹に関与する胃腸液、粘液、酵素またはホルモンを伴う病的状態を治療または予防するために使用することができる化合物を同定するために、スクリーニングアッセイにおいて使用されてもよい。また、これらの化合物は、唾液または他の消化粘液性分泌物および消化液の生成を増強させ得る。これらの化合物は、必要としている被験者において空腹を抑制または誘発および/または消化を調節するために使用され得る可能性がある。
さらに、本発明は、塩味、甘味、苦味、酸味またはうま味細胞等の味細胞内で特異的に発現される遺伝子を同定するため、本発明は、また、これらの遺伝子、遺伝子産物、または、これらの遺伝子または遺伝子産物の活性もしくは量に結合または調節し、クローン病、炎症性腸症候群(inflammatory bowel syndrome:IBD)、セリアック病、潰瘍性大腸炎、憩室炎、胃炎、逆流性食道炎等の病理学的または慢性炎症性または自己免疫性胃腸状態等を治療または予防するために使用され得る可能性がある化合物を同定するためのスクリーニングアッセイにおける、例えば、胃腸または口腔由来細胞等の味細胞を含むがそれに限定されない、それらを発現する細胞の使用にも関する。これらの化合物は、消化器系に影響する自己免疫性または炎症性疾患を治療または予防するために使用されてもよい。
また、本発明は、例えば、うま味、甘味、塩味、苦味、または酸味細胞等の味細胞内で特異的に発現される遺伝子を提供するため、本発明は、これらの遺伝子、遺伝子産物、または、これらの遺伝子または遺伝子産物の活性に結合または調節し、食道逆流症、胸やけ、バレット食道および食道炎等の胃逆流およびそれらに関連する疾患および状態を調節するために使用され得る可能性がある化合物を同定するためのスクリーニングアッセイにおける、例えば、胃腸または口腔由来細胞等の味細胞等のそれらを発現する細胞の使用にさらに関する。
また、本発明は、例えば、うま味、塩味、甘味、苦味、または酸味細胞等の味細胞内で特異的に発現される遺伝子を同定するため、本発明は、これらの遺伝子、遺伝子産物、または、これらの遺伝子または遺伝子産物の活性に結合または調節し、したがって、一例として、味蕾癌および唾液腺癌等の舌癌および口腔癌、胃癌、食道癌、小腸もしくは大腸癌、肛門もしくは直腸癌、膵臓癌、胆嚢癌、肝臓癌、結腸直腸もしくは結腸癌等の消化器系に関連する癌または悪性腫瘍を治療または予防するために使用され得る可能性がある化合物を同定するためのスクリーニングアッセイにおけるそれらを発現する細胞の使用にさらに関する。
また、本発明は、例えば、うま味、甘味、酸味または他の味細胞等の味細胞内で特異的に発現される遺伝子を同定するため、本発明は、これらの遺伝子、遺伝子産物、または、これらの遺伝子または遺伝子産物の活性に結合または調節し、肥満、食欲不振、過食症、およびそれらに関連する悪液質等の食欲機能障害およびそれらに関連する状態を治療または予防するために使用され得る可能性がある化合物を同定するためのスクリーニングアッセイにおけるそれらを発現する細胞の使用にさらに関する。
また、本発明は、特定の味細胞系譜またはサブタイプ、特に、1つ以上のこれらの味細胞特異的遺伝子を発現する、例えば、舌、口腔、または胃腸系由来の味細胞の単離または濃縮のための味細胞内で特異的に発現される本明細書において同定された遺伝子の使用にも関する。
また、本発明は、味細胞(例えば、うま味、甘味、酸味、苦味または他の味細胞型)内で特異的に発現される遺伝子を同定するため、および味細胞は、消化管および口腔、舌内に存在するので、本発明は、これらの遺伝子、遺伝子産物、およびこれらの遺伝子または遺伝子産物の活性に結合または調節し、消化機能に関する病的状態を治療または予防するために使用され得る化合物を同定するための、例えば、胃腸細胞または口腔細胞等の味細胞を含むがこれらに限定されないそれらを発現する細胞の使用にさらに関する。これらの状態は、一例として、機能性消化不良(消化不良)、および潰瘍に由来または関連する可能性があるまたはなく、上腹部管、中腹部管または下腹部管等の消化管の異なる領域を含有し得る他の消化不良を含む。
さらに、本発明は、うま味、甘味、酸味、苦味、塩味または他の味細胞等の味細胞内で特異的に発現される遺伝子を同定するため、本発明は、これらの遺伝子、遺伝子産物、および唾液、消化液、ガストリン、セクレチン、コレシストキニン、グルコース依存性インスリン分泌ポリペプチド、グルカゴン様ペプチド1、アミラーゼもしくはグレリン、レプチン等の消化または空腹に関与する胃腸ホルモン、酵素、または胃腸液を伴う病的状態を治療または予防するために使用され得る化合物を同定するための、例えば、胃腸または口腔細胞等の味細胞を含むがこれらに限定されないそれらを発現する細胞の使用にさらに関する。これらの化合物は、必要としている被験者において空腹を抑制もしくは誘発または消化を調節するために使用され得る可能性がある。
さらに、本発明は、うま味、甘味、酸味、塩味、苦味または他の味細胞等の味細胞内で特異的に発現される遺伝子を提供するため、本発明は、また、これらの遺伝子、遺伝子産物、およびこれらの遺伝子または遺伝子産物の活性に結合または調節し、クローン病、炎症性腸症候群(inflammatory bowel syndrome:IBD)、セリアック病、潰瘍性大腸炎、憩室炎、胃炎、逆流性食道炎等の病理学的または慢性炎症性または自己免疫性胃腸状態を治療または予防するために使用され得る可能性がある化合物を同定するためのスクリーニングアッセイにおける、例えば、胃腸または口腔由来の細胞等の味細胞を含むがこれらに限定されないそれらを発現する細胞の使用にも関する。これらの化合物は、消化器系に影響する自己免疫性または炎症性疾患を治療または予防するために使用され得る可能性がある。
また、本発明は、うま味、甘味、塩味、酸味または他の味細胞等の味細胞内で特異的に発現される遺伝子を同定するため、本発明は、これらの遺伝子、遺伝子産物、およびこれらの遺伝子または遺伝子産物の活性に結合または調節し、胃食道逆流症、胸やけ、バレット食道、および食道炎等の胃逆流およびそれらに関連する疾患または状態を調節するために使用され得る可能性がある化合物を同定するためのスクリーニングアッセイにおける、例えば、胃腸または口腔由来の細胞等の味細胞等のそれらを発現する細胞の使用にさらに関する。
また、本発明は、うま味、甘味、塩味、苦味、酸味または他の味細胞等の味細胞内で特異的に発現される遺伝子を提供するため、本発明は、これらの遺伝子、遺伝子産物、およびこれらの遺伝子または遺伝子産物の活性に結合または調節し、したがって、一例として、唾液腺および癌味蕾癌、舌癌、口腔癌、胃癌、食道癌、小腸もしくは大腸癌、肛門癌、膵臓癌、胆嚢癌、肝臓癌、結腸直腸もしくは結腸癌等の消化器系に関連する癌または悪性腫瘍を治療または予防するために使用され得る可能性がある化合物を同定するためのスクリーニングアッセイにおけるそれらを発現する細胞の使用にさらに関する。
また、本発明は、ナトリウム輸送に関与する甘味、うま味、苦味、酸味、塩味、または他の味細胞等の味細胞内で特異的に発現される遺伝子を同定するため、これらの遺伝子、遺伝子産物、およびそれらを発現する細胞は、例えば、血圧および体液貯留ならびに異常なナトリウム吸収、排泄および輸送に関する状態および疾患を調節するために使用されてもよい治療化合物を同定するために、イオン輸送またはイオン流動、特にナトリウムイオンを制御する化合物を同定するためのスクリーニングアッセイにおいて使用することができる。
また、本発明は、甘味、うま味、苦味、酸味、塩味、または他の味細胞等の味細胞内で特異的に発現される遺伝子を同定するため、これらの遺伝子、遺伝子産物、およびそれらを発現する細胞は、味細胞の選択的アポトーシスを制御する化合物の同定、味覚受容体発現を管理する転写因子の調節、味覚細胞発生の自己分泌/傍分泌調節、味蕾生存期間、スーパーテイスター表現型をもたらす遺伝子を使用する選別、味覚幹細胞を活性化させる化合物、例えば頂端膜/味孔領域からの味細胞受容体の輸送に影響する化合物、電位発生頻度/膜電位を介して味細胞作用の制御を調節することによって味覚強度に影響する化合物、一般的または特定の味覚強度を管理する求心性神経への神経伝達物質放出、および味覚受容体機能の自己分泌/傍分泌調節を制御する化合物のためのスクリーニングアッセイで使用することができる。
また、本発明は、甘味、うま味、苦味、酸味、塩味、または他の味細胞等の味細胞内で特異的に発現される遺伝子を同定するため、これらの遺伝子、遺伝子産物、およびそれらを発現する細胞は、例えば、罹患もしくは高齢者個人または傷害もしくは手術後、化学療法を受けるもしくは傷害後の被験者における味細胞もしくは味蕾の再生に影響する化合物、例えばシェーグレン症候群において見られるような、薬物性味覚異常、味覚脱失、味蕾消失、口渇または口内乾燥を調節するための化合物、口腔衛生の維持、口臭、ウイルスおよび細菌等の有害な口腔微生物の治療または予防等に有用な化合物を同定するためのスクリーニングアッセイで使用することができる。
また、本発明は、例えば、甘味、うま味、苦味、塩味、酸味、脂肪味、金属味等、および幹細胞、味細胞ニューロン、免疫細胞等の他の味細胞系譜等の味細胞内で特異的に発現される遺伝子を同定するため、本発明は、本明細書に提供される1つ以上の味覚特異的遺伝子の発現に基づいて、例えば、うま味、甘味、塩味、苦味、脂肪味、酸味、金属味を含む所望される味細胞型および味細胞系譜ならびに味覚幹細胞および味蕾細胞、味細胞ニューロン、味覚免疫細胞等へ分化する細胞を含む他の味細胞系譜を単離、精製、濃縮および標的する方法も提供する。これらの単離および精製方法は、陽性および陰性細胞分離方法の両方を含む。例えば、所望される味細胞系譜または型は、陽性細胞選択方法、例えば、蛍光標示式細胞分取器(fluorescence activated cell sorting:FACS)、抗体被覆ビーズを使用した電気生理学による個別のトランスフェクト細胞等の所望される細胞の視覚的同定等による電磁ビーズ細胞選択を用いて単離されてもよい。あるいは、所望される味細胞系譜または型は、陰性細胞精製および単離方法によって回復または精製されてもよく、所望される細胞型は、所望されない細胞系譜を除去することによって、例えば、所望される味細胞と所望されない細胞を含有する混合細胞集団を、標的遺伝子または除去される所望されない味細胞型上で発現される遺伝子に特異的な細胞傷害抗体と接触させることによって、混合細胞集団から濃縮または精製される。
また、本発明は、例えば、うま味、甘味、苦味、塩味、酸味、脂肪味、金属味等、ならびに幹味覚幹細胞、味覚ニューロンおよび味覚免疫細胞等の他の味細胞系譜および型等の味細胞内で特異的に発現される遺伝子を同定するため、本発明は、特定の味覚および非味覚特異的機能、特定の味覚特異的遺伝子を発現する胃腸管および随伴器官の特定領域のマッピングに関与し、したがって本明細書に開示する1つ以上の味細胞特異的機能に関与する舌および口腔のマッピング領域における1つ以上の対象味覚特異的遺伝子に特異的である、例えば、抗体またはオリゴヌクレオチド等のマーカーの使用、および/または、例えば、所望される味細胞系譜および味細胞型への味覚幹細胞および他の多能性もしくは未成熟細胞型の分化を誘発する化合物を同定するための味細胞分化研究における対象遺伝子の使用にさらに関する。
さらに具体的には、下記に詳述するように、本発明は、候補塩味覚遺伝子、好ましくは下記を呈するイオンチャネルへの理論的根拠および基準を提供する。
a)舌細胞でなく味細胞内での特異的発現または舌細胞よりも高いレベルでの味細胞内での発現。
b)組織学的方法による味細胞内での発現。特に、甘味、苦味、およびうま味細胞マーカーTRPM5または酸味細胞マーカーPKD2L1/PKD1L3を発現しない特有の味細胞型内での発現。この特有の細胞型は、献身的な塩感知細胞であり得る。
c)異種発現系(アフリカツメガエル卵母細胞および哺乳類細胞等)または一次ニューロン(後根神経節ニューロン等)における基本的な構成機能(つまり、チャネル集団のごく一部は開口および静止ナトリウムを通過する)を有するナトリウムチャネルまたはナトリウム活性受容体としての機能的発現。
これらの基準を満たす遺伝子は、ヒト塩味感覚増強させる化合物を同定するために、ハイスループットスクリーニングの取り組みに進む。さらに、本明細書において、例えば表1、2および3において報告される上記の味覚特異的遺伝子は、上記のような治療的スクリーニングアッセイにおいて有用である。
したがって、本特許出願において、塩味感覚ならびに味覚および他の味細胞媒介活性一般に関与する遺伝子を推定的に同定するためのスクリーニングアッセイに関して記述する。
特定の目的は、遺伝子チップおよび/またはPCR手法を用いて、舌細胞でなく味細胞内で、また、舌上皮細胞よりも高いレベルで味細胞内で特異的に発現される膜タンパク質をコードする味覚特異的遺伝子を同定すること、塩味モジュレーターならびに他の味覚様式および味知覚および味細胞に関連する生物学的細胞機能および味細胞に関連する表現型一般に影響する化合物を同定するためのアッセイにおいて塩受容体標的としてそれらを使用することである。
本発明のさらに具体的な目的は、どの味覚特異的遺伝子が、味細胞内で、特に、甘味、苦味、および/またはうま味細胞(TRPM5陽性)、酸味細胞(PKD2L1/PKD1L3陽性)または特有の細胞型(TRPM5陰性)内で発現されるのかを判断することである。これらの特有の細胞型は、塩味感覚に専念する細胞を含む可能性がある。
本発明の別の目的は、これらの化合物がヒト塩味感覚を調節する可能性があるため、味覚特異的イオンチャネルまたは味覚特異的遺伝子のモジュレーター(エンハンサー)を同定するために、特定のアッセイにおいてこれらの遺伝子を使用することである。
本発明の特定の目的は、推定エンハンサーの存在および非存在下で、本明細書で同定された推定味覚イオンチャネルのコンダクタンスを測定する電気生理学的アッセイを提供することである。
本発明の別の特定の目的は、卵母細胞発現系における対象推定塩味関連のイオンチャネルおよび他の知覚に作用する遺伝子のエンハンサーを同定することである。
本発明のさらに特定の目的は、推定塩味受容体イオンチャネルを使用して、このチャネルの活性を調節する、したがって、塩味を調節する化合物を同定するためのパッチクランプ法または2電極式電圧クランプアッセイを提供することである。本発明のこれらのおよび他の目的は、後述の1つ以上の実施形態により達成される。
本発明は、その広範な実施形態において、化学感覚細胞、例えば、マウス有郭味細胞、ならびにヒトおよび非ヒト霊長類等の他の哺乳類に由来する、あり得る味(例えば、有郭)細胞内で特異的に発現される新規一連の遺伝子を同定する。これらの遺伝子は、味覚検出および味覚調節、例えば、塩味、うま味、甘味、酸味、脂肪味、金属味、または苦味変換に直接的または間接的に関与する遺伝子、ならびに消化の調節、唾液、胃液および腸液、GLP−1(グルカゴン様ペプチド1)、GIP(グルコース依存性インスリン分泌ポリペプチド)、セクレチン、ペプシン等の消化液の生成および組成に関与する遺伝子、血圧および体液貯留の制御に関与する遺伝子、味覚受容体輸送、味細胞代謝回転および味細胞再生に関与する遺伝子、口腔の免疫系および胃腸系の制御に関与する遺伝子、癌等の胃腸関連疾患、口腔および消化器系に影響する炎症性および自己免疫性疾患の予防または発病に関与する遺伝子、代謝の制御、例えば、炭水化物代謝、肥満、摂食障害に関与する遺伝子、消化中の食物検出に関与する遺伝子等の味覚検出および味覚調節に直接的に関連しない機能を含む。
上記に関連して、本発明は、異なる味覚様式、例えば塩味、甘味、うま味、苦味、酸味、脂肪味、または金属味を直接または間接的に調節する化合物を同定するためのスクリーニングアッセイ、好ましくはハイスループットスクリーニングアッセイにおいて有用な舌細胞内で発現されないまたは著しく低いレベルで発現される、マウス化学感覚細胞、例えばマウス有郭味細胞内で特異的に発現される新規一連の遺伝子を提供する。
さらに、上記に関連して、本発明は、消化器系疾患の治療における治療学として有用な化合物を同定するため、味細胞アポトーシスもしくは味細胞代謝回転を調節するため、味細胞再生を誘発するため、口腔もしくは消化器系の免疫の制御、および糖尿病、肥満、摂食障害、および他の代謝疾患の治療を有効にするためのスクリーニングアッセイ、好ましくはハイスループットスクリーニングアッセイにおいて有用である新規一連の遺伝子を提供する。
また、上記に関連して、本発明は、例えば、特定の味覚様式、口腔内の免疫系制御、味細胞アポトーシスもしくは味細胞代謝回転、味細胞再生、消化器系制御、食物検出、空腹および消化等に関与するホルモンもしくは酵素の分泌を促進させること等による代謝の制御等、味覚または化学感覚細胞の特定の型または系譜の同定および/または単離および/または濃縮に有用な新規一連の遺伝子を提供する。
さらに、本発明は、味覚を調節する化合物を同定するスクリーニングアッセイにおける、ならびに口腔の免疫系制御を調節するための治療学の同定、味細胞アポトーシス代謝回転、味細胞再生、消化および他の味細胞機能に関与するホルモンもしくは酵素または液体および粘液の制御、消化器系疾患の治療、糖尿病、肥満、摂食障害、もしくは他の代謝疾患の治療等における、該単離された化学感覚細胞または味細胞の使用に関する。
さらに、本発明は、本明細書に提供される1つ以上の味覚特異的遺伝子の発現に基づいて、例えば、うま味、甘味、塩味、苦味、脂肪味、酸味、金属味および味覚幹細胞を含む所望される味細胞型および味細胞系譜ならびに味蕾細胞、味細胞ニューロン、味覚免疫細胞等へ分化する他の味細胞系譜を単離、精製および標的する方法に関する。これらの単離および精製方法は、陽性および陰性細胞分離法の両方を含む。例えば、所望される味細胞系譜または型は、陽性細胞選択方法、例えば、蛍光標示式細胞分取器(fluorescence activated cell sorting:FACS)、抗体被覆ビーズを使用した電気生理学による個別のトランスフェクト細胞等の所望される細胞の視覚的同定等による電磁ビーズ細胞選択を用いて単離されてもよい。あるいは、所望される味細胞系譜または型は、陰性細胞精製および単離方法によって回復または精製されてもよく、該所望される細胞型は、所望されない細胞系譜を除去することによって、例えば、所望される味細胞および所望されない細胞を含有する混合細胞集団を、標的遺伝子または除去される所望されない味細胞型上で発現される遺伝子に特異的な細胞傷害抗体と接触させることによって、混合細胞集団から濃縮または精製される。
また、本発明は、放射性核種、フルオロフォア、酵素等の検出可能なマーカーで標識化されてもよい、例えば抗体またはオリゴヌクレオチド等のマーカーまたはプローブであって、例えば、うま味、甘味、苦味、塩味、酸味、脂肪味、金属味等の特定の味覚様式に関与する細胞、ならびに本明細書において同定されるような非味覚特異的機能、特定の味覚特異的遺伝子を発現する細胞を含有する胃腸管および随伴器官の特定領域のマッピングに関与し、したがって本明細書に開示する1つ以上の味細胞特異的機能に関与する細胞を含む舌および口腔のマッピング領域における1つ以上の対象味覚特異的遺伝子に特異的である、該マーカーまたはプローブの使用、および/または、例えば、所望される味細胞系譜および味細胞型への、例えば、成体もしくは胚性幹細胞および他の多能性もしくは未成熟細胞型等の味細胞の分化を誘発する化合物を同定するための味細胞分化研究における該対象遺伝子の使用に関する。
本発明は、さらに具体的には、新規理論的根拠、方法、および塩味受容体標的として機能する遺伝子を含む、新規味覚特異的遺伝子を同定および特徴付ける電気生理学的アッセイを含むアッセイに関する。
ヒト塩味は、ナトリウムもしくは他のイオンチャネルならびにトランスポーターおよび味細胞内で特異的に発現するGPCRによって、一部分において媒介されてもよいと考えられる。したがって、本発明は、遺伝子チップおよびPCR手法を使用して、塩味、ならびに他の味覚様式および味細胞媒介の機能および表現型を制御し得る遺伝子を含む味覚特異的遺伝子を同定するための方法を提供する。これらの標的遺伝子の活性を調節する同定された該化合物およびそれらの誘導体は、食用の食物、飲料および医薬品におけるヒト塩味のモジュレーターとして使用することができる可能性がある。また、かかる化合物およびそれらの誘導体は、異常なイオンチャネル機能に関する疾患を治療するために使用され得る可能性もある。さらに、本明細書において同定された該遺伝子およびそれらを発現する細胞を使用して同定された該化合物は、本明細書に記述するように、他の味細胞関連の機能および表現型を調節する潜在的治療学を同定するための治療的スクリーニングアッセイにおいて有用である。
一形態において、本発明は、哺乳類の味細胞においてポリペブチドをコードする遺伝子を同定する方法を提供する。本方法の一実施形態は、(i)味細胞内で発現されるが、舌細胞内で発現されない遺伝子および/または舌細胞よりも実質的に高いレベルで味細胞内で発現される遺伝子を含む一連の遺伝子を同定するステップと、(ii)うま味、甘味もしくは苦味受容体(T1RまたはT2R)または酸味受容体(PKD2L1/PKD1L3)を発現する味細胞内で発現されない、(i)で同定された該一連の遺伝子内の遺伝子のサブセットを同定するステップと、(iii)(ii)に従って同定された該サブセット内の1つ以上の遺伝子を機能的に発現させ、該遺伝子のうちどれがナトリウム反応性イオンチャネルまたはナトリウム反応性受容体もしくはトランスポーターとして機能するかを判断し、それにより、塩味を調節する推定遺伝子としてこの遺伝子または遺伝子群を同定するステップと、を含む。一般的に、本方法のための味覚組織はヒトまたは齧歯類源に由来する。本方法の好適な一実施形態において、ステップ(iii)における該遺伝子は、ナトリウム反応性イオンチャネルとして機能し、より好ましくは、チャネル集団のごく一部は開口し、静止ナトリウムを通過する。
好適な実施形態において、ステップ(i)は、非味覚組織から味覚組織を切離および精製するために、レーザーキャプチャーマイクロダイセクション(laser capture microdissection:LCM)の使用を含む。本実施形態の一形態において、ステップ(i)は、味細胞および舌細胞からの遺伝子のRNA増幅を含み、該増幅された遺伝子は、該味覚および舌組織が得られる特定の哺乳類に特異的な遺伝子の試料を含有する遺伝子チップに対してスクリーニングされ、好ましくは、該遺伝子チップは、一連の注釈付けされた哺乳類遺伝子を含む。本実施形態の代替形態において、ステップ(i)は、哺乳類ゲノム内の各イオンチャネルのためのプライマーを使用するハイスループットPCRを含む。
別の好適な実施形態において、ステップ(ii)は、味覚対舌細胞内での発現レベルを判断するために、ステップ(i)で同定された該遺伝子に対して特定的なアンチセンスRNAプローブを用いるin situハイブリダイゼーションによって達成される。好適な代替実施形態において、ステップ(ii)は、ステップ(i)で同定された遺伝子または遺伝子群によりコードされたタンパク質に特異的な標識抗体を用いる免疫化学的検出の使用によって達成される。
哺乳類の塩味感覚に関与するポリペブチドをコードする遺伝子を同定する方法の別の実施形態において、本発明の該方法は、(i)味細胞内で発現されるが、舌細胞内で発現されない遺伝子および/または舌細胞よりも実質的に高いレベルで味細胞内で発現される遺伝子を含む一連の遺伝子を同定するステップと、(ii)うま味、甘味もしくは苦味受容体(T1RまたはT2R)または酸味受容体(PKD2L1/PKD1L3)を発現する味細胞内で発現されない、(i)で同定された該一連の遺伝子内の遺伝子のサブセットを同定するステップと、(iii)(ii)に従って同定された該サブセット内の1つ以上の遺伝子を発現させる一次ニューロンにおいて、前記遺伝子のうちどれがナトリウム反応性イオンチャネルまたはナトリウム反応性受容体もしくはトランスポーターとして機能するかを判断し、それにより、塩味を調節する推定遺伝子としてこの遺伝子または遺伝子群を同定するステップと、を含む。本実施形態の一形態において、ステップ(iii)は、該ニューロンを、該遺伝子に特異的に結合し、その機能を阻害する抗体と接触させるステップを含む。
上述の該方法のいずれかに従って同定された遺伝子は、TRPM5またはPKD2L1/PKD1L3を発現しない細胞の特徴を示してもよい。別の形態において、本発明は、細胞が、上記の該方法に従って同定された遺伝子を発現するかどうかを判断することによって、TRPM5またはPKD2L1/PKD1L3を発現しない細胞を選択するのに役立つ方法を提供する。好ましくは、本段落の該方法で使用される該遺伝子は、味細胞内の膜貫通タンパク質をコードする味覚特異的遺伝子を記載している表1〜3に記載される遺伝のうちの1つである。甘味、苦味、うま味、および酸味に対する全ての既知の味覚受容体は膜貫通タンパク質をコードするので、膜貫通遺伝子に焦点を当てて取り組んだ。
別の形態において、本発明は、ヒト塩味を調節するための潜在的な生体内用途を有する化合物を同定するためのアッセイを提供する。この方法は、(i)上記の該方法のいずれか1つに従って、推定塩味に影響を与える遺伝子として同定されたイオンチャネル、受容体またはトランスポーターをコードする遺伝子、またはそれによりコードされるポリペプチドと少なくとも90%の配列同一性を有する、該ポリペプチドをコードする遺伝子を発現する細胞を、少なくとも1つの推定エンハンサー化合物と接触させるステップと、(ii)該推定エンハンサーの存在および非存在下で、ナトリウムコンダクタンス、受容体活性またはナトリウム輸送をアッセイするステップと、(iii)ナトリウムコンダクタンス、該受容体の活性またはナトリウム輸送を増加させるかどうかに基づいて、該化合物を潜在的な塩味エンハンサーとして同定するステップと、を含む。種々の実施形態において、該遺伝子はイオンチャネルをコードするか、または該遺伝子はGPCRをコードする。好ましくは、該遺伝子はヒト遺伝子である。より好ましくは、該方法は、ヒト味覚テストにおいて該化合物およびその誘導体の効果をテストするステップをさらに含む。好ましくは、該選択された化合物は、味蕾細胞へのナトリウムイオン輸送を促進する。該推定塩味に影響を与える遺伝子は、両生類卵母細胞内または哺乳類細胞内で、好ましくはアフリカツメガエル卵母細胞またはHEK293、HEK293T、Swiss3T3、CHO、BHK、NIH3T3、サルL細胞、アフリカミドリザル腎細胞、Ltk−細胞およびCOS細胞から成る群から選択される哺乳類細胞内で発現してもよい。好ましくは、該推定塩味に影響を与える遺伝子は、制御可能なプロモーターの制御下で発現される。該推定塩味に影響を与える遺伝子は、安定にまたは過渡的に発現されてもよい。好適な形態において、該推定塩味に影響を与える遺伝子は、表1〜3に含有される遺伝子ならびにそれらのオルソログおよび変異体から選択される。
好適な形態において、ステップ(ii)の該アッセイは、ナトリウム感受性色素を使用する電気生理学的アッセイであり、好適な色素は、Molecular Devices社の膜電位キット(Membrane Potential Kit)(カタログ番号R8034)、ジ−4−ANEPPS(ピリジニウム、4−(2−(6−(ジブチルアミノ)−2−ナフタレン−イル)エテニル)−1−(3−スルホプロピル)水酸化物、内塩、DiSBACC4(2)(ビス−(1,2−ジバルビツール酸)−トリエチンオキサノール)、Cc−2−DMPE(Pacific Blue1,2−ジエトラデカノイル−sn−グリセロール−3ホスホエタノールアミン、トリエチルアンモニウム塩)およびSBFI−AM(1,3−ベンゼンジカルボン酸、4,4−[1,4,10−トリオキサ−7,13−ジアザシクロペンタデカン−7,13−ジイルビス(5−メトキシ−6,1,2−ベンゾフランジイル)}ビス−テトラキス{(アセチルオキシ)メチル}エステル(Molecular Probes)から成る群から選択される膜電位色素を含み、より好ましくは、該ナトリウム感受性色素は、ナトリウムグリーンテトラ酢酸(Molecular Probes)またはナトリウム感受性色素キット塩(Molecular Devices)である。別の好適な形態において、ステップ(ii)の該アッセイは、アフリカツメガエル卵母細胞における2電極式電圧クランプアッセイ、または哺乳類細胞におけるパッチクランプアッセイである。好ましくは、該アッセイは、イオン流動アッセイにより活性を測定し、イオン流動を検出するために原子吸光分析を用いることを含む。
あるいは、該アッセイは、蛍光プレートリーダー(fluorescence plate reader:FLIPR)、またはイオンチャネル依存性のナトリウムまたは流体吸収を増加させるために使用される電圧イメージングプレートリーダー(voltage imaging plate reader:VIPR)を使用する。この方法の好適な実施形態において、該推定塩味に影響を与える遺伝子の活性は、蛍光プレートリーダー(fluorescence plate reader:FLIPR)または電圧イメージングプレートリーダー(voltage imaging plate reader:VIPR)であってもよい自動イメージング装置を好ましくは使用し、パッチクランプ法または2電極式電圧クランプ法によってカエル卵母細胞において電気生理学的にアッセイされる。
さらに別の形態において、本発明は、ヒト甘味、苦味、うま味、または酸味を調節するための潜在的な生体内用途を有する化合物を同定するためのアッセイを提供する。この方法は、(i)表1〜3の遺伝子またはオルソログもしくは変異体を発現する細胞を、少なくとも1つの推定エンハンサーまたはブロッカー化合物と接触させるステップと、(ii)該推定エンハンサーまたはブロッカーの存在および非存在下で、ナトリウムコンダクタンス、受容体活性または味覚遺伝子産物機能をアッセイするステップと、(iii)ナトリウムコンダクタンス、該受容体の活性または味覚遺伝子産物機能を調節するかどうかに基づいて、該化合物を、甘味、苦味またはうま味に対する潜在的エンハンサーまたはブロッカーとして同定するステップと、を含む。
さらに別の形態において、本発明は、潜在的な生体内用途を有する潜在的治療学としてのための化合物を同定するアッセイを提供する。この方法は、(i)表1〜3の遺伝子またはオルソログもしくは変異体を発現する細胞を、少なくとも1つの推定エンハンサーまたはブロッカー化合物と接触させるステップと、(ii)該推定エンハンサーまたはブロッカーの存在および非存在下で、ナトリウムコンダクタンス、受容体活性または味覚遺伝子産物機能をアッセイするステップと、(iii)ナトリウムコンダクタンス、該受容体の活性または味覚遺伝子産物機能を調節するかどうかに基づいて、消化器疾患もしくは障害、味細胞もしくは味蕾代謝回転もしくは再生、口腔もしくは消化器系の免疫調節、または糖尿病、肥満、摂食障害等の代謝疾患の治療等の、味覚に直接関与しない味細胞関連の機能または表現型を調節するために使用されてもよい潜在的治療学として該化合物を同定するステップと、を含む。
本発明は、味覚組織内で特異的に発現される遺伝子の同定に関する。本発明は、塩味または他の味覚様式もしくは味覚一般に推定的に関与するか、または、味細胞もしくは味蕾再生および代謝回転、口腔の免疫調節または消化もしくは代謝の消化器系制御、癌、自己免疫疾患、およびIBD、潰瘍性大腸炎、シェーグレン症候群、セリアック病、クローン病等の炎症状態等の消化器系疾患の発症または予防等の、味覚に直接関与しない味細胞関連の機能もしくは表現型に関与する味覚細胞内で特異的に発現される遺伝子の同定、ならびに、塩味感覚または他の味覚様式もしくは味覚一般を調節する化合物を同定するための、またはヒトに用いる潜在的治療学を同定するためのスクリーニングアッセイにおけるそれらの使用に関する。特に、本発明は、新規味覚特異的遺伝子を同定するために、下記の手法の使用を含む。
1)レーザーキャプチャーマイクロダイセクション(laser capture microdissection:LCM)およびRNA増幅。レーザーキャプチャーマイクロダイセクションにおいて、微細レーザービームを、組織切片から味細胞を分析および精製するために使用する。この方法は、混入する舌上皮細胞および結合組織がない味細胞を単離させ、高度に濃縮された味細胞集団への分子生物学実験を行うことを可能にする。同時に、舌の上皮細胞をLCMで単離し、味細胞を欠く陰性対照として使用する。これらの粗技術は、味細胞が採取した材料の1〜20%を構成する味細胞と舌細胞の異種混合物をもたらすため、LCMは、味覚乳頭の手動もしくは酵素的切離に有利である。RNA増幅は、分子生物学的研究(遺伝子チップまたはPCR)を行うために、偏見にとらわれない方法において十分な遺伝子材料を産生する最大100万倍までに、LCMによって単離された味細胞および舌細胞から総RNAを増幅させる。1300〜2000の味細胞は、マウス味覚組織を用いた遺伝子チップ実験に対して十分であり、ヒト味覚組織を用いるPCR実験に対しては、5,000を超える味細胞が十分であることが分かっている。
2)遺伝子チップ−遺伝子チップは、小チップ上の全ての注釈遺伝子を含有する。味細胞および舌細胞から単離および増幅されたRNAを遺伝子チップとハイブリダイズさせることは、どの特異的遺伝子が舌細胞でなく味細胞内で発現されるか、およびどの特異的遺伝子が舌細胞と比べて高いレベルで味細胞内で発現されるかを判断するために用いることができる。
3)PCR−ハイスループットPCRは、ヒト/マウスゲノム内の各イオンチャネルに対して特異的なプライマーおよびをLCMによって端単離されたヒト/マウス味細胞および舌細胞から増幅されたRNA使用して、96のウェルプレートで行われる。舌細胞でなく味細胞の適当なサイズの産物の検出および遺伝子同一性を確認するための該産物のDNA配列は、関心イオンチャネルが味覚特異的遺伝子であることを示す。
4)in situハイブリダイゼーション−(遺伝子チップまたはPCRにより同定された)個々の遺伝子に対して特異的なアンチセンスRNAプローブは、関心遺伝子に対するmRNA転写が、味細胞内、特に酸味、甘味、苦味、および/またはうま味細胞内、または塩味検出に関与し得る特有の細胞型内で発現するかどうかを判断するために、味細胞を含有する組織切片とハイブリダイズされる。
5)免疫組織化学−(それらの遺伝子が遺伝子チップまたはPCRによって同定された)個々のタンパク質に対して特異的な抗体は、関心タンパク質が、味細胞内、特に酸味、甘味、苦味、および/またはうま味細胞内、または塩味検出に関与し得る特有の細胞型内で発現するかどうかを判断するために、味細胞を含有する組織切片に適用される。
1)レーザーキャプチャーマイクロダイセクション(laser capture microdissection:LCM)およびRNA増幅。レーザーキャプチャーマイクロダイセクションにおいて、微細レーザービームを、組織切片から味細胞を分析および精製するために使用する。この方法は、混入する舌上皮細胞および結合組織がない味細胞を単離させ、高度に濃縮された味細胞集団への分子生物学実験を行うことを可能にする。同時に、舌の上皮細胞をLCMで単離し、味細胞を欠く陰性対照として使用する。これらの粗技術は、味細胞が採取した材料の1〜20%を構成する味細胞と舌細胞の異種混合物をもたらすため、LCMは、味覚乳頭の手動もしくは酵素的切離に有利である。RNA増幅は、分子生物学的研究(遺伝子チップまたはPCR)を行うために、偏見にとらわれない方法において十分な遺伝子材料を産生する最大100万倍までに、LCMによって単離された味細胞および舌細胞から総RNAを増幅させる。1300〜2000の味細胞は、マウス味覚組織を用いた遺伝子チップ実験に対して十分であり、ヒト味覚組織を用いるPCR実験に対しては、5,000を超える味細胞が十分であることが分かっている。
2)遺伝子チップ−遺伝子チップは、小チップ上の全ての注釈遺伝子を含有する。味細胞および舌細胞から単離および増幅されたRNAを遺伝子チップとハイブリダイズさせることは、どの特異的遺伝子が舌細胞でなく味細胞内で発現されるか、およびどの特異的遺伝子が舌細胞と比べて高いレベルで味細胞内で発現されるかを判断するために用いることができる。
3)PCR−ハイスループットPCRは、ヒト/マウスゲノム内の各イオンチャネルに対して特異的なプライマーおよびをLCMによって端単離されたヒト/マウス味細胞および舌細胞から増幅されたRNA使用して、96のウェルプレートで行われる。舌細胞でなく味細胞の適当なサイズの産物の検出および遺伝子同一性を確認するための該産物のDNA配列は、関心イオンチャネルが味覚特異的遺伝子であることを示す。
4)in situハイブリダイゼーション−(遺伝子チップまたはPCRにより同定された)個々の遺伝子に対して特異的なアンチセンスRNAプローブは、関心遺伝子に対するmRNA転写が、味細胞内、特に酸味、甘味、苦味、および/またはうま味細胞内、または塩味検出に関与し得る特有の細胞型内で発現するかどうかを判断するために、味細胞を含有する組織切片とハイブリダイズされる。
5)免疫組織化学−(それらの遺伝子が遺伝子チップまたはPCRによって同定された)個々のタンパク質に対して特異的な抗体は、関心タンパク質が、味細胞内、特に酸味、甘味、苦味、および/またはうま味細胞内、または塩味検出に関与し得る特有の細胞型内で発現するかどうかを判断するために、味細胞を含有する組織切片に適用される。
RNA品質管理
RNA完全性は2つの方法を使用して評価する。RNA品質は、SeriesII RNA 6000 Pico Assay(カタログ番号5067−1514)でAgilent2100Bioanalyzer(Agilent Technologies)を使用して判断する。大量の28SリボソームRNA(rRNA)および18SrRNAバンド間の比率を定量化する。比率2は分解のない高品質のRNAを示す。比率約1は、部分的なRNA分解を示す。0.5〜1.0の間の比率は、試料が染色され、室温でLCM処理された場合に発生する部分的なRNA分解のために、LCM試料に対して一般的な比率である。さらに、RNA Integrity Number(RIN)を判断する。RIN値10は、分解のない高品質RNAを示し、RIN値5は、部分的なRNA分解を示し、RIN値1は、大量なRNA分解を示す。RIN値>5は、遺伝子チップ分析に許容可能であり、LCM試料に一般的である。通常、マウス味覚組織試料の28S/18SrRNA比は約1.0、RIN値は7〜8であり、一方、ヒト味覚組織試料の28S/18SrRNA比は0.5〜1.0、RIN値は5〜6であった。
RNA完全性は2つの方法を使用して評価する。RNA品質は、SeriesII RNA 6000 Pico Assay(カタログ番号5067−1514)でAgilent2100Bioanalyzer(Agilent Technologies)を使用して判断する。大量の28SリボソームRNA(rRNA)および18SrRNAバンド間の比率を定量化する。比率2は分解のない高品質のRNAを示す。比率約1は、部分的なRNA分解を示す。0.5〜1.0の間の比率は、試料が染色され、室温でLCM処理された場合に発生する部分的なRNA分解のために、LCM試料に対して一般的な比率である。さらに、RNA Integrity Number(RIN)を判断する。RIN値10は、分解のない高品質RNAを示し、RIN値5は、部分的なRNA分解を示し、RIN値1は、大量なRNA分解を示す。RIN値>5は、遺伝子チップ分析に許容可能であり、LCM試料に一般的である。通常、マウス味覚組織試料の28S/18SrRNA比は約1.0、RIN値は7〜8であり、一方、ヒト味覚組織試料の28S/18SrRNA比は0.5〜1.0、RIN値は5〜6であった。
次に、RNA品質を、Quant−iT RiboGreen RNA Assay Kit(Molecular Probes、カタログ番号R11490)で判断する。1pg/μlまでの感受性を有する色素に結合する蛍光RNAは、味細胞および舌細胞試料内の総RNA量を定量化するために使用する。RNAの精密な定量化は、等量の味覚および舌RNAを遺伝子チップおよびPCR実験に加えるために重要である。
2)遺伝子チップ
遺伝子チップ実験は、Affymetrix430 2.0アレイを使用して5対のマウスCV味覚および舌試料に対して行い、GeneSpring GX v7.3ソフトウェア(Agilent Technologies)を使用して分析した。1300−2000間のCV味細胞および舌細胞を、LCMによって別々に単離し、総RNAを各試料に対して精製した。次いで、RNAを増幅し、遺伝子チップとハイブリダイズした。遺伝子チップ上の完全一致およびミスマッチプローブの両方を考慮するAffymetrix Microarray Suite5(MAS5)と、遺伝子チップ上の完全一致プローブのみを考慮するロバストマルチチップアルゴリズム(robust multi−chip algorithm:RMA)の2つの別々のアルゴリズムを使用してデータ分析を行った。この分析において、膜貫通タンパク質をコードする味覚特異的遺伝子を同定した。
遺伝子チップ実験は、Affymetrix430 2.0アレイを使用して5対のマウスCV味覚および舌試料に対して行い、GeneSpring GX v7.3ソフトウェア(Agilent Technologies)を使用して分析した。1300−2000間のCV味細胞および舌細胞を、LCMによって別々に単離し、総RNAを各試料に対して精製した。次いで、RNAを増幅し、遺伝子チップとハイブリダイズした。遺伝子チップ上の完全一致およびミスマッチプローブの両方を考慮するAffymetrix Microarray Suite5(MAS5)と、遺伝子チップ上の完全一致プローブのみを考慮するロバストマルチチップアルゴリズム(robust multi−chip algorithm:RMA)の2つの別々のアルゴリズムを使用してデータ分析を行った。この分析において、膜貫通タンパク質をコードする味覚特異的遺伝子を同定した。
3)PCR:ヒト/マウスゲノムで同定された全339のイオンチャネルに対するプライマーを使用したハイスループットPCRに先立って、まず、味覚および舌RNAが高品質であることを確認するために、品質管理PCR反応を最大4つの既知の味覚特異的遺伝子および2つのハウスキーピング遺伝子に行う。検査される4つの味覚特異的遺伝子は、Gαタンパク質ガストデューシン、甘味受容体成分T1R2、イオンチャネルTRPM5、および酵素ホスホリパーゼCアイソフォームβ2であり、検査される2つのハウスキーピング遺伝子は、βアクチンおよびGAPDHである。舌細胞でなく味細胞による味覚遺伝子の特異的発現と、さらに味細胞および舌細胞の両方による遍在性ハウスキーピング遺伝子の発現は、高品質RNA材料を示す。
適当なサイズのバンドが舌細胞でなく味細胞内に存在するかどうかを判断するために、PCR産物をアガロースゲル上で分析した。この発現パターンを有する遺伝子は、推定味覚特異的遺伝子である。遺伝子同一性を確認するため、全ての味覚特異的遺伝子をクローン化および配列決定した。
4)in situハイブリダイゼーション
2重標識in situハイブリダイゼーションにおいて、2つの異なるRNAプローブを、2つの異なる遺伝子、特に、遺伝子チップおよび/またはPCRアプローチによって同定した2つの異なる味覚特異的遺伝子を標識化するために産生する。あるいは、遺伝子が味細胞内で発現されるかどうかを判断するために、1つのプローブを、単一遺伝子を標識化するために産生することができる。2重標識研究では、第1の遺伝子は、蛍光顕微鏡において1つの色を発生するFITCプローブで標識化し、一方、第2の遺伝子は、蛍光顕微鏡において異なる色を発生するジゴキシゲニン(digoxygenin:DIG)プローブで標識化する。
プローブ1とプローブ2の重畳は、遺伝子が同じまたは異なる細胞型内で発現されるかどうかを明らかにする。例えば、遺伝子チップまたはPCRアプローチによって同定された特有のイオンチャネルがTRPM5を発現する細胞に共存する場合、そのイオンチャネルは、甘味、苦味、および/またはうま味に関与する細胞内で発現する。それに対して、遺伝子チップまたはPCRアプローチによって同定された特有のイオンチャネルがTRPM5を発現する細胞に共存しない場合、その特有のイオンチャネルは、塩味(または別の味様式)に関与し得る異なる細胞型内で発現し、その特有のイオンチャネルは、ナトリウム検出に直接関与する場合がある。
2重標識in situハイブリダイゼーションにおいて、2つの異なるRNAプローブを、2つの異なる遺伝子、特に、遺伝子チップおよび/またはPCRアプローチによって同定した2つの異なる味覚特異的遺伝子を標識化するために産生する。あるいは、遺伝子が味細胞内で発現されるかどうかを判断するために、1つのプローブを、単一遺伝子を標識化するために産生することができる。2重標識研究では、第1の遺伝子は、蛍光顕微鏡において1つの色を発生するFITCプローブで標識化し、一方、第2の遺伝子は、蛍光顕微鏡において異なる色を発生するジゴキシゲニン(digoxygenin:DIG)プローブで標識化する。
プローブ1とプローブ2の重畳は、遺伝子が同じまたは異なる細胞型内で発現されるかどうかを明らかにする。例えば、遺伝子チップまたはPCRアプローチによって同定された特有のイオンチャネルがTRPM5を発現する細胞に共存する場合、そのイオンチャネルは、甘味、苦味、および/またはうま味に関与する細胞内で発現する。それに対して、遺伝子チップまたはPCRアプローチによって同定された特有のイオンチャネルがTRPM5を発現する細胞に共存しない場合、その特有のイオンチャネルは、塩味(または別の味様式)に関与し得る異なる細胞型内で発現し、その特有のイオンチャネルは、ナトリウム検出に直接関与する場合がある。
5)免疫組織化学
2重標識免疫組織化学において、2つの異なる抗体プローブは、2つの異なるタンパク質、特に、遺伝子が遺伝子チップおよび/またはPCRアプローチによって同定された2つの異なる味覚特異的タンパク質を標識化するために使用する。あるいは、1つの抗体プローブは、タンパク質が味細胞内で発現されるかどうかを判断するため、単一タンパク質を標識化するために使用することができる。2重標識研究では、第1のタンパク質は、チラミドシグナル増幅(tyramide signal amplification:TSA)と称される高感度な検出法でのみ検出できる非常に希釈な濃度で抗体を用いて標識化する。次いで、第2のタンパク質を別の抗体で標識化し、非TSA方法を使用して検出する。第1の希釈な抗体は、一般的な非TSA方法で検出できないため、同じ種(例えば、ウサギポリクロナール抗体)からの2つの異なる抗体は交差反応せず、従って、2重標識実験で使用することができる。タンパク質標識1とタンパク質標識2の重畳は、タンパク質が同じまたは異なる細胞型内で発現されるかどうかを明らかにする。例えば、遺伝子チップまたはPCRアプローチによって同定された特有のイオンチャネルがTRPM5を発現する細胞に共存する場合、その特有のイオンチャネルは、甘味、苦味、および/またはうま味に関与する細胞内で発現する。それに対して、遺伝子チップまたはPCRアプローチによって同定された特有のイオンチャネルがTRPM5を発現する細胞に共存しない場合、その特有のイオンチャネルは、塩味(または別の味様式)に関与し得る異なる細胞型内で発現し、その特有のイオンチャネルは、ナトリウム検出に直接関与する場合がある。
2重標識免疫組織化学において、2つの異なる抗体プローブは、2つの異なるタンパク質、特に、遺伝子が遺伝子チップおよび/またはPCRアプローチによって同定された2つの異なる味覚特異的タンパク質を標識化するために使用する。あるいは、1つの抗体プローブは、タンパク質が味細胞内で発現されるかどうかを判断するため、単一タンパク質を標識化するために使用することができる。2重標識研究では、第1のタンパク質は、チラミドシグナル増幅(tyramide signal amplification:TSA)と称される高感度な検出法でのみ検出できる非常に希釈な濃度で抗体を用いて標識化する。次いで、第2のタンパク質を別の抗体で標識化し、非TSA方法を使用して検出する。第1の希釈な抗体は、一般的な非TSA方法で検出できないため、同じ種(例えば、ウサギポリクロナール抗体)からの2つの異なる抗体は交差反応せず、従って、2重標識実験で使用することができる。タンパク質標識1とタンパク質標識2の重畳は、タンパク質が同じまたは異なる細胞型内で発現されるかどうかを明らかにする。例えば、遺伝子チップまたはPCRアプローチによって同定された特有のイオンチャネルがTRPM5を発現する細胞に共存する場合、その特有のイオンチャネルは、甘味、苦味、および/またはうま味に関与する細胞内で発現する。それに対して、遺伝子チップまたはPCRアプローチによって同定された特有のイオンチャネルがTRPM5を発現する細胞に共存しない場合、その特有のイオンチャネルは、塩味(または別の味様式)に関与し得る異なる細胞型内で発現し、その特有のイオンチャネルは、ナトリウム検出に直接関与する場合がある。
かかる理論的根拠、方法および手順を使用して、本明細書の表に含まれる下記の遺伝子を同定した。これらの表を下記に略説する。
表1:Affymetrix430 2.0マイクロアレイ/遺伝子チップの膜貫通タンパク質をコードするマウス味覚特異的遺伝子の概要。
表2:PCRスクリーニングのヒトおよびマウス味覚特異的イオンチャネルの概要。
表3:TRPM5(甘味、苦味、うま味)およびPKD2L1/PKD1L3(酸味)細胞における味覚特異的遺伝子の共存の概要。
したがって、上記に基づいて、主題発明は、概して、塩味感覚に関与する遺伝子を含む味覚遺伝子を同定する方法と、ヒト塩味エンハンサーおよび他の味覚調節化合物を同定するための、ならびに味覚変換に直接関連しない疾患および状態を含む他の味細胞関連の機能および表現型を調節する潜在的治療学を同定するためのスクリーニングアッセイにおける使用とに関する。
特に、本発明は、塩味モジュレーター(エンハンサー)を同定するための細胞ベースのアッセイの使用を含む。これらの化合物は、ヒト塩味感覚を調節する潜在的用途を有する。例えば、電気生理学的アッセイで同定された化合物およびそれらの生物学的に許容可能な誘導体を、ヒト塩味感覚へのそれらの効果を確認するためにヒトボランティアを用いてヒト味覚テストにおいてテストする。さらに、潜在的治療学として同定された化合物は、意図とされる用途の性質に応じて、適切な生体外および生体内モデルにおいて評価する。例えば、糖尿病に対する潜在的治療学として同定された化合物は、NODマウスモデルまたはBBラットモデル等の既知の糖尿病の動物モデルにおいて評価してもよい。同様に、IBDまたはクローン病に対する潜在的治療学として同定された化合物は、IBDまたはクローン病に対する齧歯類動物モデルにおいてテストしてもよい。
下記にさらに記述するように、例えば、塩味調節または治療化合物等の味覚を同定するために使用される細胞ベースのアッセイは、本明細書に開示する遺伝子またはそれらの組み合わせを発現する細胞を使用して、塩味感覚に関与する遺伝子の活性を調節(増強)する化合物を同定するために、好ましくは、ハイスループットスクリーニングプラットフォームを含む。さらに、これらの配列は、サイレント変異またはイオン(ナトリウム)流入に影響する定義された変異等の機能的効果を有する変異をもたらすように修飾されてもよい。上記のように、アッセイは、好ましくは、両生類卵母細胞において施行される電気生理学的アッセイおよび蛍光イオン感受性色素または膜電位色素、例えば、ナトリウム感受性色素を使用する本発明に従ってイオンチャネルを発現する哺乳類細胞を用いたアッセイを含む。好ましくは、かかるイオンチャネルを調節する化合物は、本明細書において同定されたイオンチャネルを発現する卵母細胞を用いて施行される電気生理学的アッセイを使用するスクリーニングによって同定される(例えば、パッチクランプ法または2電極式電圧クランプ法)。
その上あるいは、塩味に推定的に関与する対象イオンチャネルを調節する化合物は、イオン流動アッセイ、例えば、放射性標識イオン流動アッセイまたは原子吸光分光結合のイオン流動アッセイによって検出されてもよい。上記に開示したように、これらの化合物は、ヒト塩味感覚の調節における、または異常もしくは正常イオンチャネル機能に関する他の生物学的工程を調節するための潜在的用途を有する。
対象細胞ベースのアッセイは、所望される細胞、好ましくは、卵母細胞またはHEK−293細胞等のヒト細胞、あるいはイオンチャネルもしくはGPCR調節細胞を同定するためのスクリーニングにおいて従来使用される他のヒトもしくは哺乳類細胞内で発現される変異核酸を使用する。これらの細胞は、他の配列、例えば、他の味覚GPCR、つまり、本譲受人Senomyxによる他の特許出願に記載されるようなT1RもしくはT2Rおよび適当なGタンパク質を発現するようにさらに操作されてもよい。
卵母細胞系は、多数のmRNA種の直接注入を可能にし、高タンパク質発現を提供し、イオンチャネルの過剰発現に固有な有害効果に適応できるために有利である。しかし、欠点は、両生類卵母細胞を使用する電気生理学的スクリーニングは、大量の化合物のハイスループットスクリーニングを受け入れず、また、哺乳類系を受け入れないことである。上述のように、本発明は哺乳類細胞を使用するアッセイ、好ましくはハイスループットアッセイを包含する。
卵母細胞系は、多数のmRNA種の直接注入を可能にし、高タンパク質発現を提供し、イオンチャネルの過剰発現に固有な有害効果に適応できるために有利である。しかし、欠点は、両生類卵母細胞を使用する電気生理学的スクリーニングは、大量の化合物のハイスループットスクリーニングを受け入れず、また、哺乳類系を受け入れないことである。上述のように、本発明は哺乳類細胞を使用するアッセイ、好ましくはハイスループットアッセイを包含する。
塩味(ENaC)タンパク質に推定的に関与する一部のイオンチャネルは、α、β、およびγもしくはδサブユニットの3つのサブユニットを構成する異種チャネルを形成することが知られている。これらの個別のENaCサブユニットの配列は、本譲受人による先行特許出願である米国特許出願第10/133,573号に開示されており、参照によりその全体が本願明細書に組み込まれる。適切な細胞内での同時発現の際に、これらのサブユニットは、カチオンイオンチャネル活性を有するヘテロ三量体チャネルをもたらし、特に、ナトリウムに反応し、本明細書および上記Senomyxの先行出願に開示されるもの等の細胞ベースのアッセイにおいてリチウムイオンに同様に反応するはずである。
参照により組み込まれるSenomyx出願は、ウェルまたは培養プレート内に形質移入または播種した哺乳類細胞を使用するハイスループットスクリーニングアッセイを提供し、ここで、テスト化合物の存在下において機能的発現は続行することが可能であり、活性は、膜電位蛍光またはイオン(ナトリウム)蛍光色素を使用して検出される。
上述のように、本発明は、ヒト塩味または他の味覚様式のモジュレーター、例えば、活性化因子、抑制物質、刺激因子、エンハンサーに対するスクリーニング方法、ならびに核酸およびタンパク質、本明細書に提供される配列を使用する他の味細胞機能もしくは表現型を標的する潜在的治療学を特に提供する。かかるモジュレーターは、例えば、転写、翻訳、mRNAまたはタンパク質安定性を調節することによって、細胞膜、もしくは他の分子とのイオンチャネルの相互作用を変化させることによって、またはイオンチャネルタンパク質活性に影響を与えることによって、塩味または他の味覚様式もしくは味細胞関連の機能および表現型に影響を及ぼすことができる。
化合物は、味覚受容体もしくは味覚イオンチャネルポリペプチドもしくはトランスポーターもしくはそれらの断片の活性に結合および/または調節するそれらの化合物を断定するために、例えば、ハイスループットスクリーニング(high throughput screening:HTS)を使用してスクリーニングされる。本発明において、タンパク質は、例えば、ヒト細胞またはカエル卵母細胞等の細胞内で、組み換えで発生し、活性の調節は、膜電位の測定または細胞内ナトリウムもしくはリチウムレベルの変化の測定等の、イオンチャネル、受容体またはトランスポーター機能のいずれかの測定を使用してアッセイする。イオン、例えばカチオンチャネル機能をアッセイする方法は、例えば、パッチクランプ技術、2電極式電圧クランプ法、全細胞電流の測定、ならびにイオン感受性蛍光色素およびイオン流動アッセイを使用する蛍光イメージング技術、例えば、放射標識イオン流動アッセイおよびイオン流動アッセイを含む。
化合物は、味覚受容体もしくは味覚イオンチャネルポリペプチドもしくはトランスポーターもしくはそれらの断片の活性に結合および/または調節するそれらの化合物を断定するために、例えば、ハイスループットスクリーニング(high throughput screening:HTS)を使用してスクリーニングされる。本発明において、タンパク質は、例えば、ヒト細胞またはカエル卵母細胞等の細胞内で、組み換えで発生し、活性の調節は、膜電位の測定または細胞内ナトリウムもしくはリチウムレベルの変化の測定等の、イオンチャネル、受容体またはトランスポーター機能のいずれかの測定を使用してアッセイする。イオン、例えばカチオンチャネル機能をアッセイする方法は、例えば、パッチクランプ技術、2電極式電圧クランプ法、全細胞電流の測定、ならびにイオン感受性蛍光色素およびイオン流動アッセイを使用する蛍光イメージング技術、例えば、放射標識イオン流動アッセイおよびイオン流動アッセイを含む。
さらに前述のように、本発明は、本明細書に提供する1つ以上の味覚特異的遺伝子の発現に基づいて、例えば、うま味、甘味、塩味、苦味、脂肪味、酸味、金属味等を含む所望される味細胞型または味細胞系譜、ならびに味細胞系譜および味蕾細胞、味細胞ニューロン、味覚免疫細胞等に分化する細胞を含む他の味細胞系譜を単離、精製および標識する方法をさらに提供する。これらの単離および精製方法は、陽性および陰性細胞分離方法の両方を含む。例えば、所望される味細胞系譜または型は、陽性細胞選択方法、例えば、蛍光標示式細胞分取器(fluorescence activated cell sorting:FACS)、抗体被覆ビーズを使用した電気生理学による個別のトランスフェクト細胞等の所望される細胞の視覚的同定等による電磁ビーズ細胞選択を用いて単離されてもよい。あるいは、所望される味細胞系譜または型は、陰性細胞精製および単離方法によって回復または精製されてもよく、所望される細胞型は、所望されない細胞系譜を除去することによって、例えば、所望される味細胞および所望されない細胞を含有する混合細胞集団を、標的遺伝子または除去される所望されない味細胞型上で発現される遺伝子に特異的な細胞傷害抗体と接触させることによって、混合細胞集団から濃縮または精製される。
例えば、表1、2および3に報告される本明細書で同定された味覚特異的遺伝子は、甘味、うま味、酸味、苦味、塩味、脂肪味、および幹細胞を含む他の味細胞を一例として含む特定の細胞を同定および/または精製するために、マーカーとして使用することができる。一実施形態において、表1、2または3のうちの1つに含まれる遺伝子、またそれらのオルソログもしくは変異体、例えば、それと少なくとも90%同一であるタンパク質をコードする変異体によってコードされるタンパク質のうちのいずれか1つに対して作られる抗体は、例えば、味蕾細胞、または、例えば酵素消化および組織分離によって生成された味細胞を含む胃腸管に由来する細胞懸濁液等の、味細胞の懸濁液内に含有される細胞を標識化するために使用することができる(例えば、哺乳類味蕾を単離するための分離手順を教示するHerness M.A.,Neuroscience Letters106:60−64(1989)等を参照)。また、所望される味細胞系譜またはサブタイプの分離は、蛍光標示式細胞分取器(Fluorescence activated cell sorting:FACS)(例えば、Beavis,AJ and Pennline KJ Biotechniques 21:498−503(1996)を参照)の使用により、または電磁ビーズ細胞分離技術(例えば、抗体被覆ビーズを使用するトランスフェクト細胞の視覚的同定を参照報告するJurman et al.,Biotechniques 17:887−881(1994)を参照)の使用により、あるいは、1つ以上のマーカー遺伝子の発現に基づいて、混合細胞集団内に含有される所望の細胞を単離、精製、標識および/または濃縮するための当技術分野において一般的に知られる他の方法の使用により達成することができる。また、特定の細胞サブセットに属する細胞は、例えば、非標的味細胞サブセットを表すもの等の非標的細胞を、非標的細胞を除去する方法の使用により、例えば、混合細胞集団を、1つ以上の非標的味細胞サブタイプに特異的な細胞傷害抗体と接触させることによって除去する、陰性細胞選択手順によって精製または濃縮することができる。
また、発明は、表1、2、または3に含有される対象味覚特異的遺伝子、またはそれらのオルソログもしくは変異体を使用する方法、ならびに放射性核種、フルオロフォア、酵素等の検出可能なマーカーで標識化されてもよく、例えば、うま味、甘味、苦味、塩味、酸味、脂肪味、金属味等の特定の味覚様式に関与する細胞を含む舌および口腔のマッピング特異的領域に対する、および本明細書において同定されるような非味覚特異的機能に関与するマッピング細胞に対する、および特定の味覚特異的遺伝子を発現し、したがって本明細書に開示する1つ以上の味細胞特異的機能に関与する細胞を含有する胃腸管および随伴器官の特定領域のマッピングに対する、1つ以上の対象味覚特異的遺伝子に特異的である、例えば、抗体またはオリゴヌクレオチド等のマーカーまたはプローブの使用、および/または、例えば、所望される味細胞系譜および味細胞型への、例えば、成体もしくは胚性幹細胞および他の多能性もしくは未成熟細胞型等の味細胞の分化を誘発する化合物を同定するための味細胞分化研究における対象遺伝子の使用を提供する。
本発明は、さらに具体的には、新規理論的根拠、方法、および塩味受容体として機能する遺伝子を含む新規味覚特異的遺伝子を同定および特徴付ける電気生理学的アッセイを含む、アッセイに関する。
ヒト塩味は、ナトリウムもしくは他のイオンチャネルならびにトランスポーターおよび味細胞内で特異的に発現するGPCRによって、一部分において媒介されてもよいと考えられる。したがって、本発明は、遺伝子チップおよびPCR手法を使用して、塩味、ならびに他の味覚様式および味細胞媒介の機能および表現型を制御し得る遺伝子を含む味、覚特異的遺伝子を同定するための方法を提供する。本明細書に提供される味覚特異的遺伝子の機能に結合および/または調節する本明細書において同定された化合物およびそれらの誘導体は、味覚モジュレーターとして、また、糖尿病、肥満、悪液質等の胃腸および代謝疾患を治療するための治療学としても有用である。
定義
「推定塩味受容体またはイオンチャネル遺伝子」とは、特に舌細胞内で発現されない味覚細胞中、または舌細胞内で実質的により少なく発現され、さらに好ましくはT1R、T2R、TRPM5またはPKD2L1/PKD1L3遺伝子が発現される味覚細胞内で発現されない遺伝子を指す。
「推定塩味受容体またはイオンチャネル遺伝子」とは、特に舌細胞内で発現されない味覚細胞中、または舌細胞内で実質的により少なく発現され、さらに好ましくはT1R、T2R、TRPM5またはPKD2L1/PKD1L3遺伝子が発現される味覚細胞内で発現されない遺伝子を指す。
「味細胞」とは、成熟時に少なくとも1個の受容体、トランスポーター、または甘味、酸味、うま味、塩味、苦味、脂肪味、金属味またはその他の味覚認識、または味覚強度や味覚反応の継続時間などの一般的な味覚認識などの特定の味覚の様相(モダリティ)を、直接的または間接的に制御または調節するイオンチャネルを発現する細胞を指す。味細胞は、STGとしても知られる遺伝子C6orf15(染色体読み枠15)に、mRNAおよび/またはタンパク質を発現する。この遺伝子は、味覚特異的遺伝子(M.Neira et al.,A New Gene(mSTG)specific for taste buds is found by laser capture microdissection.Mammalian Genome12:60−66(2001))として定義されており、マウス味覚特異的遺伝子とともに本願に記述されている。また、成熟した味覚受容器細胞は、通常αENaCにmRNAおよび/またはタンパク質を発現する。我々は、αENaCが少なくとも甘味、苦味、うま味、酸味内で、そしておそらく塩味の味細胞内で発現することを明らかに示すデータ(本願に記載せず)を有している。さらに、成熟した味覚受容器細胞は、通常サイトケラチン19にmRNAおよび/またはタンパク質を発現する。このタンパク質は、成熟した味細胞内にのみ発現し、基底細胞や幹細胞には見られない(L.Wong et al.,“Keratin−like immunoreactivity in receptor cells of mammalian taste buds”.Chemical Senses19(3):251−264(1994))。さらに、味細胞はその特徴的形態に基づいて当業者によって同定されることができる。特定の成熟した味覚受容体において、味細胞は細長く、紡錘状である。また、成熟した味覚受容器細胞は、味孔内に貫通している細胞の頂部(頂端膜)を有しており、これによって唾液に接近または曝露する。それに反し、例えば基底細胞や幹細胞などの未熟な味細胞は円形であり、味孔や唾液に曝露しない。また、成熟した味細胞とは異なり、基底細胞や幹細胞は、味蕾の基部に向かって局在する傾向にある。
「化学感覚細胞」とは、味物質などの化学的刺激物の感知や、臭気物質などの他の化学的な感覚上の刺激に関与する細胞である。本願において、化学感覚細胞とは、味覚受容器細胞および消化管または尿路、もしくは成熟時に1個以上の味覚受容体を発現する他の器官に含まれる細胞を特に含む。例えば、消化管内の化学感覚細胞は、T1RまたはT2Rを発現し、細胞がおそらく食物の感知、代謝、消化、糖尿病、食物吸収、胃運動性などに関与するということが知られている。また、尿路内に見られる細胞は、おそらく塩味受容体を発現し、ナトリウムの輸送、排出、ならびに血圧や体液貯留などのそれに関連する機能に関与する。さらに、消化器系において、味覚受容体を発現する化学感覚細胞はまた、分泌顆粒の標識であるクロモグラニンAを発現しうる(C.Sternini,“Taste Receptors in the Gastrointestinal Tract.IV.Functional Implications of Bitter Taste Receptors in Gastrointestinal Chemosensing”.American Journal of Physiology,Gastrointestinal and Liver Physiology.”,292:G457−G461,2007)。
本願において、「味細胞特異的遺伝子」とは、例えば、味覚関連または非味覚関連の味細胞機能または表現型に関与する舌細胞によって特異的に発現されない有郭味細胞などの味細胞によって特異的に発現される遺伝子を指す。味細胞は、舌などの味覚受容体を発現する口腔内の細胞、ならびに消化器系や尿管などの味覚受容体を発現する、身体の他の領域における味細胞を含む。かかる遺伝子は、表1、2および3に含まれる受入番号(Accession Numbers)を含むもの、またそのオルソログ、対立遺伝子変異体、キメラ、ならびに厳重なハイブリダイゼーション条件下においてこれとハイブリダイズした遺伝子および/またはタンパク質の保有を少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%、前述のいずれかにコードする遺伝子を含む。
これらの味細胞特異的遺伝子は、味細胞の代謝回転、消化器系または口腔に影響する疾患、口腔および/または消化器系の免疫調整、糖尿病、肥満、血圧、体液貯留などの味細胞に関与する消化器機能および代謝機能などの、味覚関連または非味覚関連の機能に関与する遺伝子を含む。本願に記述されるように同定される特定の味覚特異的遺伝子に関して、これらの遺伝子は、表1、2および3に含まれる受入番号(Accession Numbers)に対応する核酸配列、またそのオルソログおよびキメラ、ならびにその対立遺伝子変異体を含む変異体を含む。特に、かかる変異体は、列挙された受入番号またはそのオルソログ、特にヒトおよび非ヒト霊長類オルソログに対応する遺伝子によってコードされたポリペプチドと少なくとも80%同一の、より好ましくは少なくとも90%または95%同一のポリペプチドをコードする配列を含む。また、この遺伝子は、厳重なハイブリダイゼーション条件下において本願の表に列挙された遺伝子受入番号に対応する遺伝子配列の1つに対応する核酸配列にハイブリダイズした核酸配列を含む。
「陽イオンチャネル」とは、陽イオンの細胞膜間における流れを制御するさまざまなタンパク質である。通常、ある特定の陽イオンチャネルの、特定の陰イオンを輸送する能力は、その陽イオンの価数、および特定の陽イオンに対する任意のチャネルの特異性によって異なる。
「ホモメリックチャネル」とは同一のαサブユニットから成る陽イオンチャネルを指し、一方、「ヘテロメリックチャネル」とは、2つ以上の異なる型のαサブユニットから成る陽イオンチャネルを指す。ホモメリックおよびヘテロメリックチャネルはどちらも補助βサブユニットを含むことができる。
「βサブユニット」とは、αサブユニットから成る陽イオンチャネルの補助サブユニットであるポリペプチドモノマーであるが、βサブユニット単体ではチャネルを形成することができない(例えば、米国特許番号第5,776,734号を参照)。βサブユニットは、例えば、αサブユニットの細胞表面への到達、活性化速度の変更およびチャネルに結合する天然リガンドの検出感度の変更を助けることによって、チャネルの数を増加させることが知られている。βサブユニットは、細孔領域外および細孔領域を含むαサブユニットに関連付けられてもよい。これらはまた、細孔領域の外部口に寄与することができる。
「真性」または「野生型」または「天然」核酸配列という用語は、本願の表に含まれる野生型核酸配列、および当技術分野において概して周知であるスプライス変異体およびその他の核酸配列を指す。
「真性」または「野生型」または「天然」ポリペプチドという用語は、表に含まれる遺伝子および核酸配列によってコードされたポリペプチドを指す。
「修飾亢進受容体核酸配列」または「最適化された核酸配列」という用語は、特に組み換え宿主細胞において、遺伝子活性に影響を与える(阻害または亢進する)もの、およびもっともとりわけHEK−293細胞などの卵母細胞またはヒト細胞である、1つ以上の変異体を含む核酸配列を指す。特に、これらの突然変異は、突然変異サブユニット配列を含む、得られたイオンチャネルによるゲーティングに影響を与えるものを含む。イオンチャネルは、特定のイオンチャネルを構成する3つのサブユニットのうちの1つか複数個においてかかる突然変異を含んでもよい。例えば、修飾核酸配列は、1つのサブユニット内に、機能または表面発現欠損のゲーティングに影響を与える(妨げる)置換変異を含んでもよい。本発明は、他の突然変異遺伝子配列、すなわちスプライス変異体、欠失または付加を含むもの、対象配列のキメラおよびその同等物などの使用を包含する。さらに、本発明は、宿主細胞が好むコドン、特に両生類またはヒト宿主細胞が好むコドンを導入するために修飾された配列を使用することがある。
本発明によれば、受容体またはイオンチャネルタンパク質またはトランスポーターまたはそのフラグメント、もしくは特定の味覚受容体をコードする核酸またはイオンチャネルまたはトランスポーターまたはそのフラグメントという用語は、核酸およびポリペプチド多型変異体、対立遺伝子、突然変異体、ならびに(1)例えば本願の表に含まれる遺伝子核酸配列にコードされたタンパク質ならびにそのフラグメント、およびその保守的修飾変異体などの野生型核酸にコードされたアミノ酸配列または味覚タンパク質のアミノ酸配列と、約60%以上のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列、65%、70%、75%、80%、85%、90%、好ましくは91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%、もしくはそれ以上のアミノ酸配列の同一性、好ましくは少なくとも約25、50、100、200、500、1000、またはそれ以上の領域にわたるアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列、(3)厳重なハイブリダイゼーション条件下において明確に該遺伝子の1つにコードされる遺伝子をコードする核酸配列に対応するアンチセンス鎖にハイブリダイズした、核酸配列によってコードされたポリペプチド、およびその保守的修飾変異体、(4)約60%以上の配列同一性、65%、70%、75%、80%、85%、90%、好ましくは91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%、またはそれ以上のヌクレオチド配列同一性、好ましくは少なくとも約25、50、100、200、500、1000、またはそれ以上の領域にわたるヌクレオチドから、例えば、本願に開示される核酸へ、を有する、核酸配列を有する種間同族体を指す。
推定塩味または他の味特異的遺伝子またはポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列は、通常、例えばヒトなどの霊長類、例えばラット、マウス、ハムスターなどのげっ歯類、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジを含むがこれに限定されない哺乳類、または任意の哺乳類からのものである。本発明の核酸およびタンパク質は、自然発生のまたは組み換えの分子を両方含む。通常、これらの遺伝子は、イオンチャネル活性を有するタンパク質をコードする、すなわちこれらはナトリウムまたはリチウムに対して透過性を持つ
「機能効果を判定する」または「細胞への効果を判定する」とは、好ましくは本願において同定される塩味覚遺伝子などの味覚遺伝子の間接または直接の影響下におけるパラメータを増加または減少させる化合物の効果、例えば機能効果、物理的効果、表現型効果、および化学的効果などのアッセイを行うことを意味する。かかる機能効果には、イオン流出の変化、膜電位、電流振幅、および電圧ゲーティング、ならびにあらゆる標識遺伝子の遺伝子発現の変化などのその他の生物学的効果を含むがこれに限定されない。イオン流出には、例えばナトリウムまたはリチウムなどの、チャネルを透過するあらゆるイオン、および放射性同位体などのその類似体を含むことができる。かかる機能効果は、例えばパッチクランプ法、電位感受性染料の使用、または分光学的特性(例えば蛍光、吸光度、屈折係数)、流体力学(例えば形状)、クロマトグラフ、または溶解特性などのパラメータの変化の測定などの、当業者に周知の任意の手段によって測定されることができる。
ポリヌクレオチドおよびポリペプチド配列を発現した対象味細胞の「阻害因子」「アクチベーター」「モジュレーター」は、ポリヌクレオチドおよびポリペプチド配列の生体外および生体内アッセイを用いて同定された分子の活性、阻害または調節を指して使用される。阻害因子とは、例えば、例えばアンタゴニストなどのこれらの味覚特異的タンパク質の活性または発現を、結合する、部分的または全面的に活性をブロックする、減少させる、妨げる、活性を遅らせる、不活性化する、脱感作する、または下方制御する化合物である。「アクチベーター」とは、タンパク質活性において、活性を増加させる、開放する、活性化する、促進する、活性化を亢進させる、感作させる、作動活性化する、または上方制御する化合物である。阻害因子、アクチベーター、またはモジュレーターもまた、例えば活性が変化した種類、ならびに自然発生のおよび合成のリガンド、アンタゴニスト、アゴニスト、ペプチド、環状ペプチド、核酸、抗体、アンチセンス分子、siRNA、リボザイム、有機小分子などの、遺伝子組み換えが行われた種類の対象味細胞特異的タンパク質を含む。かかる阻害因子およびアクチベーターのアッセイは、例えば、対象味細胞特異的タンパク質の生体外、細胞内、細胞抽出物、または細胞膜での発現、推定モジュレーター化合物の適用、ならびに次に、上述のとおり活性の機能効果の測定を含む。
潜在アクチベーター、阻害因子、またはモジュレーターで処理された、本願において同定される遺伝子によってコードされたタンパク質を含むサンプルまたはアッセイは、阻害因子、アクチベーター、またはモジュレーターのない対照サンプルと比較されて、活性または移動調整の程度が検討される。対照サンプル(阻害因子で処理されていない)は、100%の相対タンパク質活性価に割り当てられる。イオンチャネルの阻害は、対照に相対する活性価が約80%、好ましくは50%、より好ましくは25〜0%である場合に達成される。イオンチャネルの活性は、対照に相対する活性価(アクチベーターで処理されていない)が110%、より好ましくは150%、より好ましくは200〜500%(すなわち、対照に相対して2〜5倍高い)、より好ましくは1000〜3000%以上である場合に達成される。
本願で使用される「テスト化合物」または「薬剤候補」または「モジュレーター」という用語またはその文法的同等物は、冷覚を調整するキャパシティをテストされる、自然発生のまたは合成物、あらゆる分子、好ましくは小分子、またはタンパク質、オリゴペプチド(例えば、長さ約5〜約25のアミノ酸、好ましくは長さ約10〜20または12〜18のアミノ酸、好ましくは長さ12、15、または18のアミノ酸)、有機小分子、多糖類、脂質、脂肪酸、ポリヌクレオチド、siRNA、オリゴヌクレオチド、リボザイムなどを示す。テスト化合物は、十分な範囲の多様性を提供する組み合わせまたは無作為のライブラリなどの、テスト化合物のライブラリの型であることができる。テスト化合物は、例えば、標的化合物、レスキュー化合物、二量化化合物、安定化合物、アドレス可能化合物、およびその他の官能基などの融合パートナーに選択的に接合される。従来、有用な性質を持つ新規化学物質は、テスト化合物(「リード化合物」と称する)を、例えば、活性の阻害、リード化合物の変異体の作成などの望ましい性質または活性と同定する、ならびにこれらの変異化合物の性質および活性を評価することによって生成される。しばしば、かかる分析には、ハイスループットスクリーニング(HTS)法が採用される。
「有機小分子」とは、約50ダルトン以上、約2500ダルトン未満、好ましくは約2000ダルトン未満、好ましくは約100〜約1000ダルトン、より好ましくは約200〜約500ダルトンの間の分子量を有する、自然発生のまたは合成の有機分子を指す。
「生体サンプル」とは、生検および解剖検体などの組織の切片、および組織学的目的のために採取された凍結切片を含む。かかるサンプルには、血液、痰、組織、例えば、初代培養、移植片、および形質転換細胞などの培養細胞、便、尿などを含む。生体サンプルは通常、もっとも好ましくは、例えば、チンパンジーまたはヒトなどの霊長類、ウシ、イヌ、ネコなどの哺乳類、例えば、モルモット、ラット、マウスなどのげっ歯類、ウサギ、鳥類、爬虫類、または魚類などの真核生物から取得される。
2つ以上の核酸またはポリペプチド配列の文脈において、「同一」またはパーセント「同一性」という用語は、下記に記載のとおり、デフォルトのパラメータとともにBLASTまたはBLAST2.0配列比較アルゴリズムを使用して測定された場合と、または手動配置および目視検査(例えば、NCBIのウェブサイトなどを参照)によって、同じ2つ以上の配列またはサブシーケンス、または特定の領域(例えば、本願の表に含まれる遺伝子または配列)にわたって、同じ(すなわち、比較窓または指定の領域にわたって最大コレスポンダンスに比較および配置された場合)約60%の同一性、好ましくは65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の同一性)特定の割合のアミノ酸残基またはヌクレオチドを有するものを指す。かかる配列は次に、「実質的に同一」と言われる。この定義はまた、テスト配列の補体を指すか、またはこれに適用される。この定義はまた、欠失および/または付加を有する配列、ならびに置換を有する配列を含む。後述のように、好ましいアルゴリズムは、ギャップなどから成ることができる。好ましくは、同一性は、少なくとも長さ約25アミノ酸またはヌクレオチドにわたる領域、またはより好ましくは、長さ50〜100アミノ酸またはヌクレオチドにわたる領域に存在する。
配列比較について、通常は1つの配列が参照配列として働き、これにテスト配列は比較される。配列比較アルゴリズムを使用する場合、テスト配列および参照配列はコンピュータに入力され、必要であればサブシーケンス配位が割り当てられ、配列アルゴリズムプログラムパラメータが割り当てられる。好ましくは、デフォルトのプログラムパラメータが使用されることができ、または代替パラメータが割り当てられることができる。次に、配列比較アルゴリズムが、プログラムパラメータに基づいて、参照配列に相対するテスト配列の配列同一性の割合を計算する。
本願において使用される「比較窓」は、20〜600、通常約50〜約200、さらに通常約100〜約150を含む群から選択されるこの2つの配列が最適に配置された後に、配列が同じ数の隣接位置の参照配列と比較される、隣接位置の数のうちの任意の1つの切片への参照を含む。比較のための配列の配置法は、当技術分野で周知である。比較のための配列の最適な配置は、例えば、Smith&Waterman、Adv.Appl.Math.2:482(1981)の局所ホモロジーアルゴリズム、Needleman&Wunsch、J.Mol.Biol.48:443(1970)のホモロジー配置アルゴリズム、Pearson&Lipman、Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA85:2444(1988)の類似法の探索、これらのアルゴリズムのコンピュータ化された実施(GAP、BESTFIT、FASTA、and TFASTA in the Wisconsin Genetics Software Package、Genetics Computer Group、575 Science Dr.、Madison、Wis.)、または手動配置および目視検査(例えば、Current Protocols in Molecular Biology(Ausubel et al.、eds.1995supplement)参照)によって実行されることができる。
配列同一性の割合および配列相同性の決定に適したアルゴリズムの好ましい例は、BLASTおよびBLAST2.0アルゴリズムであり、これらはAltschul et al.、Nucl.Acids Res.25:3389−3402(1977)、およびAltschul et al.、J.Mol.Biol.215:403−410(1990)にそれぞれ記載されている。BLASTおよびBLAST2.0は、本発明の核酸およびタンパク質の配列同一性の割合を決定するために、本願に記載のパラメータとともに使用される。BLAST分析を行うためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Informationを通じて公的に入手可能である。このアルゴリズムは、データベース配列内の同じ長さのワードと一列に並んだとき、いくつかの正の数の閾スコアTと一致するかこれを満たす、クエリ配列内の長さWのショートワードを同定することによって、高スコア配列対(HSP)を関与させる。Tとは、近接ワードスコア閾値(Altschul et al.、上述)を指す。これらの初期近接ワードヒットは、そこに含まれるより長いHSPを見つける探索のシードとしての役割を果たす。ワードヒットは、累積配置スコアが増加する限り、各配列に沿って両方向に伸長する。ヌクレオチド配列の累積スコアは、パラメータM(一致する残渣の対に対する報酬スコア、常に>0)およびN(不適合の残渣に対するペナルティスコア、常に<0)を使用して計算される。アミノ酸配列について、累積スコアを計算するためにスコアマトリクスが使用される。両方向におけるワードヒットの延長は、累積配置スコアがその最大達成値から数量X減少した場合、1つ以上の負のスコアの残渣配置の蓄積により、累積スコアがゼロになるか、それを下回った場合、またはどちらかの配列の末端に達した場合に中断される。BLASTアルゴリズムパラメータW、T、およびXは、配置の検出感度および速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列用)は、ワード長(W)11、期待値(E)10、M=5、N=−4および両方の鎖の比較をデフォルトで使用する。アミノ酸配列について、BLASTPプログラムは、ワード長3、期待値(E)10、およびBLOSUM62スコアマトリクス(Henikoff&Henikoff、Proc.Natl.Acad.Sci、USA89:10915(1989)参照)配列(B)50、期待値(E)10、M=5、N=−4、および両方の鎖の比較をデフォルトで使用する。
「核酸」は、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドおよび単鎖または二本鎖型のそのポリマー、ならびにその補体を指す。この用語は、周知のヌクレオチド類似体、または合成の、自然発生の、および非自然発生の、参照核酸に似た結合特性を有する、参照ヌクレオチドに似た様式で代謝される、修飾された骨格残渣または連鎖を含む核酸を包括する。かかる類似体の例として、ホスホロチオエート、ホスホロアミデート、メチルホスホン酸塩、キラル−メチルホスホン酸塩、2−O−メチルリボヌクレオチド、ペプチド−核酸(PNA)を含むがこれに限定されない。
別様に示されない限り、特定の核酸配列はまた、保守的に修飾したその変異体(例えば、縮重コドン置換)および相補配列、ならびに明確に示された配列を黙示的に包括する。具体的には、縮重コドン置換は、1つ以上の選択された(またはすべての)コドンの第三位が混合基および/またはデオキシイノシン残渣と置換される配列を生成することによって達成されてもよい(Batzer et al.、Nucleic Acid Res.19:5081(1991);Ohtsuka et al.、J.Biol.Chem.260:2605−2608(1985);Rossolini et al.、Mol.Cell.Probes8:91−98(1994))。核酸という用語は、遺伝子、cDNA、mRNA、オリゴヌクレオチド、およびポリヌクレオチドと交換可能に使用される。
特定の核酸配列はまた、黙示的に「スプライス変異体」を包括する。同様に、核酸によってコードされた特定のタンパク質は、その核酸のスプライス変異体によってコードされた任意のタンパク質を黙示的に包括する。その名からわかるように、「スプライス変異体」とは、遺伝子の選択的スプライシングの産物である。転写後、最初の核酸転写は、異なる(代替)核酸スプライス産物が異なるポリペプチドをコードするようにスプライスされうる。スプライス変異体の産出のメカニズムはさまざまであるが、エクソンの代替スプライシングを含む。リードスルー転写による同じ核酸由来の代替ポリペプチドもまた、この定義に包括される。スプライス産物の組み換え型を含むスプライシング反応のあらゆる産物は、この定義に含まれる。カリウムチャネルスプライス変異体の例は、Leicher、et al.、J.Biol.Chem.273(52):35095−35101(1998)において検討されている。
「ポリペプチド」「ペプチド」および「タンパク質」という用語は、本願においてアミノ酸残基のポリマーを指して交換可能に使用される。この用語は、1つ以上のアミノ酸残基が対応する自然発生のアミノ酸の人工の化学的模倣物であるアミノ酸ポリマー、ならびに自然発生のアミノ酸ポリマーおよび非自然発生のアミノ酸ポリマーに適用される。
「アミノ酸」という用語は、自然発生および合成のアミノ酸、ならびに自然発生のアミノ酸と同様の様式で機能するアミノ酸類似体およびアミノ酸模倣物を指す。自然発生のアミノ酸とは、遺伝コードによってコードされたもの、ならびに後に修飾されたアミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタミン酸塩、およびO−ホスホセリンである。アミノ酸類似体とは、自然発生のアミノ酸と同じ基本化学構造、すなわち、水素に結合した炭素、カルボキシル基、アミノ基、および例えばホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムなどのR基を有する化合物を指す。かかる類似体は、修飾R基(例えば、ノルロイシン)または修飾ペプチド骨格を有するが、自然発生のアミノ酸と同じ基本化学構造を保有する。アミノ酸模倣物とは、一般的なアミノ酸の化学構造と異なる構造を有するが、自然発生のアミノ酸と同様の様式で機能する化学的化合物を指す。
本願において、アミノ酸は、IUPAC−IUB Biochemical Nomenclature Commissionが推奨する周知の3文字の記号または1文字の記号で表されることがある。同様に、ヌクレオチドは、広く受け入れられている1字のコードで表されることがある。
「保守的に修飾された変異体」とは、アミノ酸および核酸配列の両方を指す。特定の核酸配列に関して、保守的に修飾した変異体とは、同一または本質的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸、または核酸がアミノ酸配列を本質的に同一の配列にコードしない場合を指す。遺伝コードの縮重により、多くの機能的に同一の核酸があらゆる任意のタンパク質をコードする。例えば、コドンGCA、GCC、GCGおよびGCUはすべて、アミノ酸アラニンをコードする。したがって、アラニンがコドンによって特定されるすべての位置において、このコドンは、コードされたポリペプチドを変性させることなく記載の対応する任意のコドンに変性されることができる。かかる核酸の変異は、保守的に修飾された変性の一種である「サイレント異形」である。本願におけるポリペプチドをコードするすべての核酸配列はまた、すべての可能な核酸のサイレント異形を示す。当業者であれば、核酸内の各コドン(通常メチオニンの唯一のコドンであるAUG、および通常トリプトファンの唯一のコドンであるTGGを除く)が修飾されて機能的に同一の分子を産することを認識するであろう。それゆえ、ポリペプチドをコードする核酸の各サイレント異形は、記載の各配列において、実際のプローブ配列に関してではなく、発現産物に関して黙示的である。
アミノ酸配列について、当業者であれば、核酸、ペプチド、ポリペプチドへの個別の置換、欠失または付加、またはコードされた配列内の単一アミノ酸またはわずかなアミノ酸を変性、付加、削除するタンパク質配列は、この変性がアミノ酸の化学的に類似のアミノ酸との置換をもたらす「保守的に修飾した変異体」であることを認識するであろう。機能的に類似のアミノ酸を提供する同類置換表は、当技術分野で周知である。かかる保守的に修飾した変異体は、多型変異体、種間同族体、および本発明の対立遺伝子に追加するものであり、これを排除しない。
次の8つの群、1)アラニン(A)、グリシン(G);2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);4)アルギニン(R)、リジン(K);5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);7)セリン(S)、トレオニン(T);および8)システイン(C)、メチオニン(M)(例えば、Creighton、Proteins(1984)参照)は、それぞれ互いに同類置換であるアミノ酸を含む。
ポリペプチド構造などの巨大分子構造は、さまざまなレベルの組織体の観点から示されることができる。この組織体の一般的な検討については、例えば、Alberts et al.、Molecular Biology of the Cell(3rd ed.、1994)およびCantor and Schimmel、Biophysical Chemistry Part I:The Conformation of Biological Macromolecules(1980)を参照されたい。「一次構造」とは、特定のペプチドのアミノ酸配列を指す。「二次構造」とは、局所構造の、ポリペプチド内の三次元構造を指す。これらの構造は、例えば、膜貫通ドメイン、細孔ドメイン、および細胞質尾部ドメインなどのドメインとして広く知られている。ドメインとは、ポリペプチドの小型ユニットを形成するポリペプチドの一部分であり、通常15〜350アミノ酸の長さである。模範的なドメインとして、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、細胞質ドメインを含む。ドメインは通常、一続きのβシートやαらせんなどの小組織の部分からできている。「三次構造」とは、ポリペプチドモノマーの完全な三次元構造を指す。「四次構造」とは、独立三次ユニットの非共有結合性会合によって形成される三次元構造を指す。異方性の用語はまた、エネルギーの用語として知られる。
「ラベル」または「検出可能な成分」とは、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、化学的、またはその他の物理的手段によって検出可能な組成である。例えば、有用なラベルには、32P、蛍光染料、高電子密度試薬、酵素(例えば、ELISAにおいて広く使用されるような)、ビオチン、ジゴキシゲニン、または、例えば、ペプチドに放射標識を組み込むことによって検出可能にできる、またはペプチドに特に反応する抗体の検出に使用されるハプテンおよびタンパク質を含む。
「組み換え」という用語は、例えば、細胞、または核酸、タンパク質、またはベクターなどに関して用いられた場合、その細胞、核酸、タンパク質またはベクターは、異種の核酸またはタンパク質、もしくは天然核酸またはタンパク質の変性の導入によって修飾されたことを、またはその細胞がそのように修飾された細胞由来であることを示す。それゆえ、例えば、組み換え細胞は、天然(非組み換え)型の細胞には見られない遺伝子を発現する、または別様には異常発現する、不十分に発現する、またはまったく発現されない天然遺伝子を発現する。
「異種」という用語は、核酸の一部分に関して用いられた場合、核酸が、本来は互いに同じ関係では見られない2つ以上のサブシーケンスを含むことを指す。例えば、この核酸は通常、組み換えによって産出され、例えば、ある供給源からはプロモーター、別の供給源からはコーディング領域というように、新規の機能的な核酸を作るために用意された非関連の遺伝子からの2つ以上の配列を有する。同様に、異種タンパク質とは、このタンパク質が、本来は互いに同じ関係では見られない2つ以上のサブシーケンスを含むことを示す(例えば、融合タンパク質)。
「厳重なハイブリダイゼーション条件」という語句は、プローブが通常、核酸の複合混合物において、他の配列にではなく、その標的サブシーケンスにハイブリダイズする条件を指す。厳重な条件とは配列依存であり、異なる環境においては異なる。より長い配列は、より高い温度で特にハイブリダイズする。核酸のハイブリダイゼーションの広範な指針は、Tijssen,Techniques in Biochemistry and Molecular Biology−Hybridization with Nucleic Probes,“Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid assays”(1993)に見られる。概して、厳重な条件は、定義されたイオン強度pHにおける特異的配列の熱融点(Tm)より約5〜10℃低く選択される。Tmとは、標的に相補するプローブの50%が平衡状態で標的配列にハイブリダイズする温度(定義されたイオン強度、pH、および核濃度)である(標的配列はTmにおいて過度に存在するため、プローブの50%が平衡状態で占有される)。厳重な条件は、ホルムアミドなどの不安定化剤の添加によっても達成されうる。選択的または特異的なハイブリダイゼーションについて、正の信号は少なくともバックグラウンドの2倍、好ましくはハイブリダイゼーションバックグラウンドの10倍である。模範的な厳重なハイブリダイゼーション条件は、50%ホルムアミド、5X SSC、および1%SDS、42℃で培養、または、5X SSC、1%SDS、65℃で培養、0.2X SSC、および0.1%SDS中で65℃で洗浄、であることができる。
厳重な条件下において相互にハイブリダイズしない核酸は、それらがコードするポリペプチドが実質的に同一である場合、やはり実質的に同一である。これは、例えば、核酸の複製が遺伝コードによって許可される最大のコドン縮重を使用して作成される場合などに起こる。かかる場合、核酸は通常、中程度に厳重なハイブリダイゼーション条件下においてハイブリダイズする。模範的な「中程度に厳重なハイブリダイゼーション条件」には、40%ホルムアミドの、1M NaCl、370℃で1%SDS、緩衝剤中におけるハイブリダイゼーション、および45℃、1.X SSCでの洗浄を含む。正のハイブリダイゼーションは、少なくともバックグラウンドの2倍である。当業者であれば、代替ハイブリダイゼーションおよび洗浄条件が、類似の厳重性条件を提供するために利用されることができることをただちに認識する。ハイブリダイゼーションパラメータを決定するさらなる指針は、例えば、Current Protocols in Molecular Biology、ed.Ausubel、et alなどの数多くの参考資料に提供されている。
PCRについて、アニール温度はプライマーの長さによって約32℃〜48℃の間であるが、低い厳重度の増幅には、温度約36℃が通常である。高度に厳密なPCR増幅について、高度に厳密なアニール温度はプライマーの長さおよび特異性によって約50℃〜約65℃の範囲であることができるが、温度約62℃が通常である。高度および程度の厳重度の増幅の通常のサイクル条件は、90℃〜95℃、30秒〜2分間の変性フェーズ、30秒〜2分間続くアニールフェーズ、および約72℃、1〜2分間の拡張フェーズを含む。低度および高度に厳密な増幅反応のプロトコールおよび指針は、例えば、Innis et al.(1990)PCR Protocols、A Guide to Methods and Applications、Academic Press、Inc.N.Y.)に提供されている。
「抗体」とは、免疫グロブリン遺伝子またはそのフラグメントからの骨格領域を含む、抗原を特に結合および認識するポリペプチドを指す。この認識された免疫グロブリン遺伝子は、κ、λ、α、γ、δ、ε、およびμ定常領域遺伝子、ならびに無数の免疫グロブリン変異の領域遺伝子を含む。L鎖は、κまたはλのどちらかに分類される。重鎖は、γ、μ、α、δ、またはεに分類され、これは次に免疫グロブリンのクラス、IgG、IgM、IgA、IgDおよびIgEをそれぞれ定義する。通常、抗体の抗原結合領域は、結合の特異性および親和性においてもっとも重要な意味を持つ。
また、本願において使用される抗体は、抗体全体の修飾によって生成されたか、または組み換えDNAの方法論(例えば、単鎖Fv)を使用して新規に合成されたもの、キメラ、ヒト化、またはファージ提示ライブラリ(例えば、McCafferty et al.、Nature 348:552−554(1990)参照)を使用して同定された抗体フラグメントも含む。例えば、組み換え、単クローン抗体、またはポリクローナル抗体などの抗体の調製について、当技術分野で周知の多くの技術が使用されることができる(例えば、Kohler&Milstein,Nature 256:495−497(1975);Kozbor et al.,Immunology Today 4:72(1983);Cole et al.,pp.77−96 in Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,Inc.(1985);Coligan,Current Protocols in Immunology(1991);Harlow&Lane,Antibodies,A Laboratory Manual(1988)and Harlow&Lane,Using Antibodies,A Laboratory Manual(1999);およびGoding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice(2d ed.1986)。
抗体に「特定に(または選択的に)結合する」または「特定に(または選択的に)免疫反応性である」という語句は、タンパク質またはペプチドに関する場合、しばしばタンパク質および他の生物学の不均一集団におけるタンパク質の存在を決定する結合反応を指す。したがって、指定の免疫測定条件下において、特定のタンパク質は規定の抗体に、少なくともバックグラウンドの2倍、およびさらに通常はバックグラウンドの10〜100倍結合する。かかる条件下の、抗体への特定の結合は、特定のタンパク質の特異性のために選択された抗体を必要とする。例えば、タンパク質、多型変異体、対立遺伝子、オルソログ、および保守的に修飾した変異体に引き上げられたポリクローナル抗体、またはスプライス変異体、またはその一部分は、他のタンパク質ではなく本願において同定されるタンパク質をコードする特異的に免疫反応性である遺伝子産物であるポリクローナル抗体のみを取得するために選択されることができる。この選択は、他の分子と交差反応する抗体を除外することによって達成されることができる。さまざまな免疫測定のフォーマットが、特定のタンパク質と特異的に免疫反応性である抗体の選択に使用されることができる。例えば、固相ELISA免疫測定は、タンパク質に特異的に免疫反応性である抗体の選択に日常的に使用される(例えば、特定の免疫活性の決定に使用される免疫測定フォーマットおよび条件の説明に関してはHarlow&Lane,Antibodies,A Laboratory Manual(1988)参照。)。
本願において、「治療的に有効な投与量」とは、投与される、効果を産する量を意味する。厳密な投与量は治療の目的によって異なり、当業者によって周知の技術を使用して確定されることができる(例えば、Lieberman,Pharmaceutical Dosage Forms(vols.1−3、1992);Lloyd,The Art,Science and Technology of Pharmaceutical Compounding(1999);およびPickar,Dosage Calculations(1999)参照)。
本願で同定される味覚(塩味)遺伝子の組み換え発現
対象遺伝子をコードするcDNAなどの、クローン化した遺伝子の高レベルの発現を取得するためには、通常、遺伝子を転写、転写/翻訳ターミネーターさせるための強力なプロモーター、およびタンパク質をコードする核酸の場合、翻訳開始のためのリボソーム結合部位を含む発現ベクターにサブクローンする。適切な真核性および原核プロモーターは、当技術分野で周知であり、例えば、上述のSambrookら、およびAusubelらに記載されている。例えば、味覚特異的タンパク質を発現するための細菌性の発現系は、例えば、E.coli、Bacillus sp.、and Salmonella(Palva et al.、Gene 22:229−235(1983);Mosbach et al.、Nature 302:543−545(1983)で入手可能である。かかる発現系のキットは市販されている。哺乳類細胞、酵母、および昆虫細胞の真核性発現系は当技術分野で周知であり、市販されている。例えば、レトロウイルス発現系が本発明において使用されることがある。後述のとおり、対象推定塩味影響遺伝子は、好ましくはハイスループットスクリーニングに広く使用されているHEK−293細胞などのヒト細胞に発現される。
対象遺伝子をコードするcDNAなどの、クローン化した遺伝子の高レベルの発現を取得するためには、通常、遺伝子を転写、転写/翻訳ターミネーターさせるための強力なプロモーター、およびタンパク質をコードする核酸の場合、翻訳開始のためのリボソーム結合部位を含む発現ベクターにサブクローンする。適切な真核性および原核プロモーターは、当技術分野で周知であり、例えば、上述のSambrookら、およびAusubelらに記載されている。例えば、味覚特異的タンパク質を発現するための細菌性の発現系は、例えば、E.coli、Bacillus sp.、and Salmonella(Palva et al.、Gene 22:229−235(1983);Mosbach et al.、Nature 302:543−545(1983)で入手可能である。かかる発現系のキットは市販されている。哺乳類細胞、酵母、および昆虫細胞の真核性発現系は当技術分野で周知であり、市販されている。例えば、レトロウイルス発現系が本発明において使用されることがある。後述のとおり、対象推定塩味影響遺伝子は、好ましくはハイスループットスクリーニングに広く使用されているHEK−293細胞などのヒト細胞に発現される。
異種の核酸を発現させるために使用されるプロモーターの選択は、特定の用途によって異なる。このプロモーターは、その自然環境においては転写開始部位からであるため、好ましくは異種転写開始部位からほぼ同じ距離に位置づけられる。しかし、当技術分野で周知のとおり、この距離のいくらかの変動は、プロモーター機能を損失することなく適応可能である。
プロモーターに加えて、発現ベクターは通常、転写ユニットまたは宿主細胞における核酸の発現に必要なすべての追加的な要素を含む発現カセットを含む。それゆえ、通常の発現カセットは、転写の有効なポリアデニル化、リボソーム結合部位、および翻訳終結に必要な、同定された遺伝子および信号をコードする、核酸配列に操作可能に接続されたプロモーターを含む。カセットの追加的な要素には、エンハンサーと、ゲノムDNAが構造遺伝子として使用される場合には、機能的スプライスドナーおよび受容体部位とイントロンを含んでもよい。
プロモーター配列に加えて、発現カセットはまた、有効な終結を提供するために構造遺伝子下流の転写終端領域を含む。この終端領域は、プロモーター配列と同じ遺伝子から取得されるか、または異なる遺伝子から取得されることができる。
遺伝情報を細胞内に輸送するために使用される特定の発現ベクターは、特に重要な意味をもたない。真核性細胞または原核細胞における発現に使用される従来の任意のベクターが使用されることができる。標準的な細菌性の発現ベクターは、pBR322ベースのプラスミドなどのプラスミド、pSKF、pET23D、およびMBP、GST、およびLacZなどの融合発現系を含む。単離の都合のよい方法を提供するために、エピトープタグが組み換えタンパク質に加えられてもよい。例えば、c−myc.配列タグが核酸レスキューの発現カセットに含まれてもよい。蛍光タンパク質、緑色または赤色蛍光タンパク質、β−gal、CATおよび同等物などの標識が、ベクター形質導入の標識としてベクターに含まれてもよい。
真核性ウイルスからの制限要素を含む発現ベクターは、通常、例えば、SV40ベクター、乳頭腫ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、およびEBウイルス由来のベクターなどの真核性発現ベクターにおいて使用される。他の模範的な真核性ベクターには、pMSG、pAV009/A+、pMTO10lO/A+、pMAMneo−5、バキュロウイルスpDSVE、およびCMVプロモーター、SV40早期プロモーター、SV40後期プロモーター、メタロチオネインプロモーター、マウス乳癌ウイルスプロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、ポリヘドリンプロモーター、または真核性細胞内での発現に有効であると見られている他のプロモーターによる指揮下においてタンパク質の発現を可能にするその他のあらゆるベクターを含む。
真核性ベクターからのタンパク質の発現はまた、誘導プロモーター.を使用して制限されることができる。誘導プロモーターを使用すると、これらの剤のプロモーターへの応答要素の組み込みにより、発現レベルはテトラサイクリンまたはエクジソンなどの誘発剤の濃度に関係する。概して、誘発剤がある場合にのみ誘導プロモーターから高レベルの発現が得られ、基本的発現レベルは最小限である。
本発明で使用されるベクターは、例えば、tet制限系およびRU−486系などの制限可能なプロモーターを含むことができる(例えば、Gossen&Bujard、Proc.Nat’l Acad.Sci USA89:5547(1992);Oligino et al.、Gene Ther.5:491−496(1998);Wang et al.、Gene Ther.4:432−441(1997);Neering et al.、Blood 88:1147−1155(1996);およびRendahl et al.、Nat.Biotechnol.16:757−761(1998)参照)。これらは、小分子の候補標的核酸の発現の制御に影響する。この有益な特徴は、所望の表現型が体細胞変異というよりはトランスフェクトcDNAによるものであると断定するために使用されることができる。
発現系の中には、チミジンキナーゼおよびジヒドロ葉酸還元酵素などの、遺伝子増幅を提供する標識を有するものがある。あるいは、ポリヘドリンプロモーターまたはその他の強力なバキュロウイルスプロモーターの指揮下におけるコード配列と、昆虫細胞内のバキュロウイルスベクターを用いるなど、遺伝子増幅を用いない高収量発現系もまた適切である。
発現ベクターに通常含まれる要素はまた、特定の宿主細胞内で機能するレプリコンを含む。E.coli(大腸菌)の場合、ベクターは、組み換えプラスミドを匿う細菌の選択を許可するための抗生物質の抵抗性をコードする遺伝子、および真核性配列の挿入を可能にするプラスミドの非必須領域における固有の制限部位を含むことができる。選ばれる特定の抗生物質の抵抗性遺伝子は重要な意味を持たず、同技術分野で周知の多くの抗生遺伝子のどれもが適切である。原核配列は、好ましくは、必要であれば、真核性細胞内のDNAの複製を妨げないように選ばれる。
標準トランスフェクション法は、所望の味覚特異的タンパク質を大量に発現する細菌性の、哺乳類の、酵母または昆虫細胞系を産生するために使用されることができ、これらは次に、標準的技術(例えば、Colley et al.、J.Biol.Chem.264:17619−17622(1989);Guide to Protein Purification、in Methods in Enzymology、vol.182(Deutscher、ed.、1990)参照)を使用して精製される。真核性および原核細胞の転換は、標準的技術に基づいて行われる(例えば、Morrison、J.Bact.132:349−351(1977);Clark−Curtiss&Curtiss、Methods in Enzymology 101:347−362(Wu et al.、eds、1983)。外来ヌクレオチド配列の宿主細胞への導入には、広く周知の手順が使用されることができる。これには、リン酸カルシウムトランスフェクション、ポリブレン、原形質融合、エレクトロポレーション、バイオリスティック、リポソーム、マイクロインジェクション、プラズマベクター、ウイルスベクター、クローン化ゲノムDNA、cDNA、合成のDNAまたはその他の外来遺伝物質を宿主細胞に導入するおよびその他のあらゆる広く周知の方法の使用を含む(例えば、上述のSambrook et al.)。使用される特定の遺伝工学的手法が、遺伝子を発現することができる少なくとも1つの遺伝子を、宿主細胞に成功裏に導入できる必要しかない。
発現ベクターが細胞に導入された後、トランスフェクト細胞は、遺伝子の発現に都合のよい条件下で培養される。いくつかの例において、ポリペプチドは、下記で同定される標準的技術を使用して培養を脱することがある。
本願で同定される推定味細胞特異的遺伝子産物のモジュレーターのアッセイ
推定味細胞特異的タンパク質の調整は、上述のとおり、細胞に基づいたモデルを含むさまざまな生体外および生体内アッセイを用いて査定されることができる。かかるアッセイは、タンパク質またはそのフラグメントの阻害因子およびアクチベーター、および結果として、その阻害因子およびアクチベーターをテストするために使用されることができる。かかるモジュレーターは、薬物治療または塩味またはその他の味様式または一般的な味を調整する香味料として、または本願に記載の1つ以上の同定味細胞特異的遺伝子を用いた、味細胞関連の機能または表現型を調整する潜在治療としての使用などに潜在的に有用である。
推定味細胞特異的タンパク質の調整は、上述のとおり、細胞に基づいたモデルを含むさまざまな生体外および生体内アッセイを用いて査定されることができる。かかるアッセイは、タンパク質またはそのフラグメントの阻害因子およびアクチベーター、および結果として、その阻害因子およびアクチベーターをテストするために使用されることができる。かかるモジュレーターは、薬物治療または塩味またはその他の味様式または一般的な味を調整する香味料として、または本願に記載の1つ以上の同定味細胞特異的遺伝子を用いた、味細胞関連の機能または表現型を調整する潜在治療としての使用などに潜在的に有用である。
組み換えまたは自然発生のどちらかの対象味覚特異的タンパク質を発現する細胞を使用するアッセイは、本願に記載のとおり、生体外、生体内、および体外で、さまざまなアッセイを使用して行われることができる。その活性を調節することができる分子を同定するために、さまざまな候補モジュレーターの、好ましくは細胞内に発現する活性に対する効果を検出するためのアッセイが行われる。
特に、イオンチャネルタンパク質のチャネル活性は、パッチクランプ法、全細胞電流の測定、放射標識イオン流出アッセイまたは原子吸光分光学と連結したフラックスアッセイ、および電位感受性染料またはリチウムまたはナトリウム感受性の染料を使用した蛍光アッセイ(例えば、Vestergarrd−Bogind et al.、J.Membrane Biol.88:67−75(1988);Daniel et al.、J.Pharmacol.Meth.25:185−193(1991);Hoevinsky et al.、J.Membrane Biol.137:59−70(1994)参照)を含む、イオン流出の変化を測定するさまざまなアッセイを使用して分析されることができる。例えば、イオンチャネルタンパク質またはその同族体をコードする核酸は、アフリカツメガエル卵母細胞に注入されることができ、または哺乳類細胞、好ましくはHEK−293細胞などのヒト細胞にトランスフェクトされることができる。チャネル活性は次に、膜分極の変化、すなわち膜電位の変化を測定することによって分析される。
電気生理学的測定を取得する好ましい手段は、例えば、「細胞接着型」モード、「インサイドアウト」モード、および「全細胞」モードなどのパッチクランプ法を使用して電流を測定することである(例えば、Ackerman et al.、New Engl.J.Med.336:1575−1595、1997参照)。全細胞電流は、Hamil et al.、Pflugers.Archiv.391:185(1981)によって記載されるなどの標準的な方法論を使用して判定されることができる。
チャネル活性はまた、細胞内のイオンレベル、すなわち、ナトリウムまたはリチウムの変化を測定することによって都合よく分析される。かかる方法は本願に例示されている。例えば、ナトリウム流動は、放射標識ナトリウムの取り込みの分析によって、または適切な蛍光染料を使用することによって測定される。通常の微量蛍光定量アッセイにおいて、単一ナトリウムイオンの結合時に蛍光の変化を受ける染料は、味細胞特異的イオンチャネル発現細胞のサイトゾル内に充填される。アゴニストへの曝露に際し、細胞質ナトリウムの増加が、ナトリウムが結合されるときに発生する蛍光の変化によって反映される。
対象味細胞特異的ポリペプチドの活性は、これらの好ましい方法に加えて、さまざまな他の生体外および生体内アッセイを使用して、例えば、ペプチド、有機小分子および脂質を含むその他の分子への結合の測定、タンパク質および/またはRNAレベルの測定、または例えば転写レベルなどの、対象ポリペプチドの他の側面の測定、または味細胞特異的タンパク質の活性に影響を与える生理学的変化などの、機能的、化学的および物理的効果を判定するために分析されることができる。機能的結果が無傷細胞または動物を使用して判定された場合、細胞増力の変化やpHの変化、IP3、cGMP、またはcAMPなどの細胞内の二次メッセンジャー、または経路を示すホスホリパーゼCのコンポーネントまたはレギュレーターなどの、さまざまな効果を測定することができる。かかるアッセイは、アクチベーターおよびKCNBタンパク質の阻害因子の両方をテストするために使用されることができる。それゆえ、同定モジュレーターは、例えば、多くの診断用途および治療用途のために有用である。
生体外アッセイ
対象遺伝子の調節活性で化合物を同定するアッセイは、好ましくは生体外で行われる。本願のアッセイは、好ましくは、本発明またはその変異体に基づくフルレングスのタンパク質を使用する。このタンパク質は、任意に異種タンパク質に融解されてキメラを生成してもよい。本願において例証されるアッセイにおいて、フルレングスのポリペプチドを発現する細胞は、好ましくはハイスループットアッセイにおいて使用され、遺伝子機能を修飾する化合物を同定するために使用される。あるいは、精製された組み換えまたは自然発生のタンパク質は、本発明の生体外法において使用されることができる。精製されたタンパク質またはそのフラグメントに加え、組み換えまたは自然発生の味細胞タンパク質は、細胞溶解物または細胞膜の一部であることができる。後述のように、結合アッセイは、固相または水溶性であることができる。好ましくは、タンパク質、そのフラグメントまたは膜は、固体のサポートに共有結合的にまたは非共有結合的に結合する。しばしば、本発明の生体外アッセイは、(メントールなどの周知の細胞外のリガンドと)非競争または競争のリガンド結合またはリガンド親和性アッセイである。これらの生体外アッセイには、分光学的(例えば、蛍光、吸光度、屈折係数)、流体力学(例えば、形状)、クロマトグラフ、またはタンパク質の溶解特性などの変化の測定を含む。
対象遺伝子の調節活性で化合物を同定するアッセイは、好ましくは生体外で行われる。本願のアッセイは、好ましくは、本発明またはその変異体に基づくフルレングスのタンパク質を使用する。このタンパク質は、任意に異種タンパク質に融解されてキメラを生成してもよい。本願において例証されるアッセイにおいて、フルレングスのポリペプチドを発現する細胞は、好ましくはハイスループットアッセイにおいて使用され、遺伝子機能を修飾する化合物を同定するために使用される。あるいは、精製された組み換えまたは自然発生のタンパク質は、本発明の生体外法において使用されることができる。精製されたタンパク質またはそのフラグメントに加え、組み換えまたは自然発生の味細胞タンパク質は、細胞溶解物または細胞膜の一部であることができる。後述のように、結合アッセイは、固相または水溶性であることができる。好ましくは、タンパク質、そのフラグメントまたは膜は、固体のサポートに共有結合的にまたは非共有結合的に結合する。しばしば、本発明の生体外アッセイは、(メントールなどの周知の細胞外のリガンドと)非競争または競争のリガンド結合またはリガンド親和性アッセイである。これらの生体外アッセイには、分光学的(例えば、蛍光、吸光度、屈折係数)、流体力学(例えば、形状)、クロマトグラフ、またはタンパク質の溶解特性などの変化の測定を含む。
好ましくは、ハイスループット結合アッセイが行われ、そこでタンパク質が潜在モジュレーターに接触され、適切な時間培養される。後述のように、有機小分子、ペプチド、抗体、およびリガンド類似体を含む、さまざまなモジュレーターが使用されることができる。モジュレーター結合を同定するために、標識タンパク質−タンパク質結合アッセイ、電気泳動移動度シフト、免疫測定、リン酸化反応アッセイなどの酵素的アッセイなどを含むさまざまなアッセイが使用されることができる。いくつかの場合において、候補モジュレーターの結合は、周知のリガンドの結合の干渉が潜在モジュレーターの存在下において測定される、競合的結合アッセイの使用を通じて決定される。かかるアッセイにおいて、周知のリガンドがまず結合し、次に所望の化合物、すなわち、推定エンハンサーが加えられる。特定のタンパク質の洗浄後、潜在モジュレーターまたは周知のリガンドの結合の干渉が決定される。しばしば、潜在モジュレーターまたは周知のリガンドは標識である。
また、ハイスループット機能ゲノミクスアッセイもまた、味覚特異的ポリペプチドと、結合する他のタンパク質との間のタンパク質相互作用を混乱させる化合物を同定することによって、冷覚のモジュレーターを同定するために使用されることができる。かかるアッセイは、細胞系または一次細胞のどちらかを使用して、例えば、細胞表面標識発現の変化、細胞内のカルシウムの変化、または膜電流の変化の監視をすることができる。通常、この細胞はcDNAまたは無作為ペプチドライブラリ(核酸にコードされる)に接触される。cDNAライブラリは、センス、アンチセンス、フルレングスおよび切断cDNAを含むことができる。ペプチドライブラリは、核酸によってコードされる。cDNAまたはペプチドライブラリの細胞の表現型に対する効果が、上述のアッセイを使用して次に監視される。cDNAまたはペプチドの効果は、例えば、テトラサイクリンプロモーターからの発現などの制限可能な核酸の発現を使用して認証され、体細胞変異と区別されることができる。ペプチドをコードするcDNAおよび核酸は、当業者に周知の技術、例えば、配列タグを使用して、レスキューされることができる。
本発明によるcDNAによってコードされたタンパク質と相互作用するタンパク質は、酵母2−ハイブリッド系、哺乳類2−ハイブリッド系、またはファージ提示スクリーンなどを使用して単離されることができる。そのように同定された標的は、特定のイオンチャネル、受容体またはトランスポータータンパク質と相互に作用する可能性のある追加的なコンポーネントを同定するために、さらにこれらのアッセイにおけるおとりとして使用されることができ、そのメンバーもまた医薬品開発の標的である(例えば、Fields et al.、Nature 340:245(1989);Vasavada et al.、Proc.Nat’l Acad.SciL.USA 88:10686(1991);Fearon et al.、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA89:7958(1992);Dang et al.、MolI.Cell.Bioll.11:954(1991);Chien et al.、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA9578(1991);および米国特許番号5,283,173、5,667,973、5,468,614、5,525,490、および5,637,463参照)。
細胞に基づいた生体内アッセイ
好ましい実施形態において、野生型および突然変異味細胞特異的タンパク質は細胞内に発現され、機能的な、例えば、物理的および化学的、または表現型の変化が、例えば、ゲーティング機能障害のある突然変異遺伝子の機能を回復させるモジュレーターの同定のために分析される。また、タンパク質を発現する細胞は、結合アッセイにおいて使用されることができる。あらゆる適した機能効果は、本願に記載のとおりに測定されることができる。例えば、膜電位の変化、細胞内のリチウムまたはナトリウム値の変化、およびリガンド結合はすべて、細胞に基づく系を使用した潜在モジュレーター同定に適したアッセイである。かかる細胞に基づいたアッセイに適した細胞は、一次細胞およびタンパク質を発現するように加工された組み換え細胞系の両方を含む。対象味細胞特異的タンパク質はそれゆえ、自然発生または組み換えであることができる。また、上述のとおり、イオンチャネル活性を持つこれらのタンパク質のフラグメントまたはキメラは、細胞に基づいたアッセイにおいて使用されることができる。例えば、本発明によるイオンチャネルまたはGPCRまたはトランスポーター遺伝子の膜貫通領域は、異種タンパク質、好ましくは異種イオンチャネルタンパク質の細胞質ドメインに融合されることができる。かかるキメラタンパク質はイオンチャネル活性を有し、本発明の細胞に基づいたアッセイにおいて使用されることができるであろう。別の実施形態において、細胞外のまたは細胞質ドメインなどの味細胞特異的タンパク質のドメインは、本発明の細胞に基づいたアッセイにおいて使用されることができる。
好ましい実施形態において、野生型および突然変異味細胞特異的タンパク質は細胞内に発現され、機能的な、例えば、物理的および化学的、または表現型の変化が、例えば、ゲーティング機能障害のある突然変異遺伝子の機能を回復させるモジュレーターの同定のために分析される。また、タンパク質を発現する細胞は、結合アッセイにおいて使用されることができる。あらゆる適した機能効果は、本願に記載のとおりに測定されることができる。例えば、膜電位の変化、細胞内のリチウムまたはナトリウム値の変化、およびリガンド結合はすべて、細胞に基づく系を使用した潜在モジュレーター同定に適したアッセイである。かかる細胞に基づいたアッセイに適した細胞は、一次細胞およびタンパク質を発現するように加工された組み換え細胞系の両方を含む。対象味細胞特異的タンパク質はそれゆえ、自然発生または組み換えであることができる。また、上述のとおり、イオンチャネル活性を持つこれらのタンパク質のフラグメントまたはキメラは、細胞に基づいたアッセイにおいて使用されることができる。例えば、本発明によるイオンチャネルまたはGPCRまたはトランスポーター遺伝子の膜貫通領域は、異種タンパク質、好ましくは異種イオンチャネルタンパク質の細胞質ドメインに融合されることができる。かかるキメラタンパク質はイオンチャネル活性を有し、本発明の細胞に基づいたアッセイにおいて使用されることができるであろう。別の実施形態において、細胞外のまたは細胞質ドメインなどの味細胞特異的タンパク質のドメインは、本発明の細胞に基づいたアッセイにおいて使用されることができる。
別の実施形態において、特定の標的味覚ポリペプチドの細胞ポリペプチドレベルは、タンパク質またはmRNAのレベルを測定することによって決定されることができる。タンパク質またはイオンチャネル活性に関連するタンパク質のレベルは、ウエスタンブロット法、ELISAなどと、ポリペプチドまたはそのフラグメントに選択的に結合する抗体などの免疫測定を使用して測定される。mRNAの測定について、例えば、PCR、LCRを使用した増幅、または、例えばノーザンハイブリダイゼーション、RNAseプロテクション、ドットブロット法などのハイブリダイゼーションアッセイが望ましい。タンパク質またはmRNAのレベルは、本願に記載のとおり、直接的または間接的に標識された検出剤、例えば、蛍光標識または放射活性物質で標識された核酸、放射活性物質で標識された、または酵素的に標識された抗体などを使用して検出される。
あるいは、タンパク質発現は、レポーター遺伝子系を使用して測定されることができる。かかる系は、レポーター遺伝子に操作可能に接続した、クロラムフェニコール・アセチルトランスフェラーゼ、蛍ルシフェラーゼ、細菌ルシフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼおよびアルカリホスファターゼなどの標的遺伝子のプロモーターを使用して考案されるであることができる。さらに、当該のタンパク質は、赤色または緑色蛍光タンパク質などの第2のレポーターへの連結を通して間接レポーターとして使用されることができる。(例えば、Mistili&Spector、Nature Biotechnology 15:961−964(1997)参照)。レポーター構築は、通常、細胞内にトランスフェクトされる。潜在モジュレーターでの処理の後、レポーター遺伝子転写、翻訳、または活性の量は、当業者に周知の標準的技術に基づいて測定される。
別の実施形態において、シグナル形質導入に関する機能効果は、測定されることができる。活性化されたまたは阻害されたイオンチャネルまたはGPCRまたはトランスポーターは、潜在的に標的酵素、二次メッセンジャー、チャネルおよび他のエフェクタータンパク質の特性を変性させることになる。例として、ホスホリパーゼCおよび他のシグナル系の活性化を含む。ジアシルグリセロールおよびIP3の世代などの下流結果もまた、ホスホリパーゼCによって調査される。
イオンチャネル活性のアッセイには、例えば、ナトリウム流入または細胞内のナトリウム放出を観察することによって、活性をリポートするためにイオンまたは膜電位感受性色素とともに充填された細胞を含む。かかる受容体の活性を判定するアッセイはまた、テスト化合物の活性を分析するために、陰性または陽性対照として、これらの受容体の周知のアゴニストおよびアンタゴニストを使用することができる。モジュレーター化合物(例えば、アゴニスト、アンタゴニスト)を同定するアッセイにおいて、細胞質または膜電圧内のイオンのレベルの変化は、イオン感受性のまたは膜電圧蛍光インジケーターをそれぞれ使用して監視される。使用されることができるイオン感受性のインジケーターおよび電圧プローブは、Molecular Probes1997 Catalogに開示されているものである。原子吸光分光学に連結した放射標識イオン流出アッセイまたはフラックスアッセイが使用されることもできる。
動物モデル
動物モデルもまた、遺伝子活性のモジュレーターのスクリーニングにおいて利用の可能性がある。同様に、例えば適した遺伝子標的ベクターとの相同的組み換え、または遺伝子の過剰発現の結果としてのsiRNAおよび遺伝子ノックアウト技術を含むトランスジェニック動物技術は、標的タンパク質の不在または発現増加をもたらすことになる。ノックアウト細胞の作成にも同じ技術が適用される。所望される場合、組織特異的発現または標的遺伝子のノックアウトが必要となる場合がある。かかる方法によって作られたトランスジェニック動物は、遺伝子標的に関連する応答の動物モデルとしての利用可能性がある。例えば、遺伝子または本発明による遺伝子を発現するかかる動物は、化学的および生体の毒素のスクリーニング、酸敗した/腐敗した/汚染された食物および飲み物、または味覚幹細胞の分化を調節する治療用化合物スクリーニングに使用されるスーパーテイスター表現型を導き出すために使用される。
動物モデルもまた、遺伝子活性のモジュレーターのスクリーニングにおいて利用の可能性がある。同様に、例えば適した遺伝子標的ベクターとの相同的組み換え、または遺伝子の過剰発現の結果としてのsiRNAおよび遺伝子ノックアウト技術を含むトランスジェニック動物技術は、標的タンパク質の不在または発現増加をもたらすことになる。ノックアウト細胞の作成にも同じ技術が適用される。所望される場合、組織特異的発現または標的遺伝子のノックアウトが必要となる場合がある。かかる方法によって作られたトランスジェニック動物は、遺伝子標的に関連する応答の動物モデルとしての利用可能性がある。例えば、遺伝子または本発明による遺伝子を発現するかかる動物は、化学的および生体の毒素のスクリーニング、酸敗した/腐敗した/汚染された食物および飲み物、または味覚幹細胞の分化を調節する治療用化合物スクリーニングに使用されるスーパーテイスター表現型を導き出すために使用される。
ノックアウト細胞およびトランスジェニックマウスは、相同的組み換えを通じて標識遺伝子または他の異種遺伝子をマウスゲノムの内在性遺伝子部位に挿入することによって作られることができる。かかるマウスはまた、内在性遺伝子を突然変異の標的遺伝子と置換することによって、または、内在性遺伝子を、例えば、周知の突然変異原に曝露することによって突然変異させることによって作られることができる。
DNA構造は、胚幹細胞の中核に導入される。新規に組み替えられた遺伝子病変を含む細胞は、宿主マウスの胚に注入され、これは受容するメスに再移植される。これらの胚のいくつかは、部分的に突然変異細胞系由来の生殖細胞を保有するキメラマウスに成長する。したがって、キメラマウスを交配することにより、導入された遺伝子病変を含む新規のマウスを取得することが可能である(例えば、Capecchi et al.、Science 244:1288(1989)参照)。キメラ標的のマウスは、Hogan et al.,Manipulating the Mouse Embryo:A Laboratory Manual(1988)and Teratocarcinomas and Embryonic Stem Cells:A Practical Approach(Robertson,ed.,1987)に基づいて考案されることができる。
候補モジュレーター
推定味覚関連タンパク質またはその他の非味覚関連機能としてテストされた化合物モジュレーター、および味細胞に関する表現型は、例えば、抗体またはペプチドなどのタンパク質、糖、例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはリボザイムなどの核酸、または脂質などの、あらゆる有機小分子、生物学的存在であることができる。あるいは、モジュレーターは、遺伝子組み換えされたタンパク質であることができる。通常、テスト化合物は有機小分子、ペプチド、脂質、および脂質類似体である。一実施形態において、化合物は自然発生のまたは合成のメントール類似体である。
推定味覚関連タンパク質またはその他の非味覚関連機能としてテストされた化合物モジュレーター、および味細胞に関する表現型は、例えば、抗体またはペプチドなどのタンパク質、糖、例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはリボザイムなどの核酸、または脂質などの、あらゆる有機小分子、生物学的存在であることができる。あるいは、モジュレーターは、遺伝子組み換えされたタンパク質であることができる。通常、テスト化合物は有機小分子、ペプチド、脂質、および脂質類似体である。一実施形態において、化合物は自然発生のまたは合成のメントール類似体である。
本質的に、本発明のアッセイにおいて、潜在モジュレーターまたはリガンドとして、あらゆる化学的化合物が使用されることができるが、ほとんどの場合、水溶液または有機物(特にDMSOベースのもの)に融解される化合物が使用される。アッセイは、アッセイのステップを自動化し、任意の都合のよい供給源から化合物をアッセイに提供することによって、大型化学ライブラリをスクリーンするように設計され、これは通常並行して行われる(例えば、ロボットアッセイにおけるマイクロタイタープレート上のマイクロタイターフォーマット)。Sigma(St.Louis、Mo.)、Aldrich(St.Louis、Mo.)、Sigma−Aldrich(St.Louis、Mo.)、FIuka Chemika−Biochemica Analytika(Buchs Switzerland)などを含む多くの化学的化合物の供給者が存在することが理解されよう。
好ましい一実施形態において、ハイスループットスクリーニング法は、多くの潜在治療化合物(潜在モジュレーターまたはリガンド化合物)を含む組み合わせ有機小分子またはペプチドライブラリを提供することを含む。「組み合わせ化学ライブラリ」または「リガンドライブラリ」は、次に、本願に記載のとおり、これらのライブラリメンバー(特定の化学種またはサブクラスを同定するために、1つ以上のアッセイにおいてスクリーニングされ、これは所望の特性活性を表示する。こうして同定された化合物は、従来の「リード化合物」としての役割を果たすか、またはこれら自身が潜在的または実質的な治療として使用される。
組み合わせ化学ライブラリとは、試薬などの多くの化学的「ビルディングブロック」を合わせることによって、化学合成または生物合成によって作られた多様な化学的化合物の一群である。例えば、ポリペプチドライブラリなどの線形の組み合わせ化学ライブラリは、一組のビルディングブロック(アミノ酸)を、得られた複合長(すなわち、ポリペプチド化合物中のアミノ酸の数)で可能なあらゆる方式によって合わせることによって形成される。無数の化学的化合物が、化学ビルディングブロックのかかる組み合わせ混合によって合成されることができる。
組み合わせ化学ライブラリの調製およびスクリーニングは、当業者に周知である。かかる組み合わせ化学ライブラリは、ペプチドライブラリ(例えば、米国特許番号5,010,175、Furka、Int.J.Pept.Prot.Res.37:487−493(1991)and Houghton et al.、Nature 354:84−88(1991)参照)を含むがこれに限定されない。化学的多様性ライブラリを作る他の化学反応が使用されてもよい。かかる化学反応には、ペプトイド(例えば、PCT出願番号WO91/19735)、コードされたペプチド(例えば、PCT出願番号WO93/20242)、ランダムバイオオリゴマー(例えば、PCT出願番号WO92/00091)、ベンゾジアゼピン系薬(例えば、米国特許番号5,288,514)、ヒダントイン、ベンゾジアゼピン系薬およびジペプチド(Hobbs et al.、Proc.Nat.Acad.Sci.USA90:6909−6913(1993))などのダイバーソマー、ビニル性ポリペプチド(Hagihara et al.、J.Amer.Chem.Soc.114:6568(1992))、グルコース足場付きの非ペプタイダルペプチド模倣物(Hirschmann et al.、J.Amer.Chem.Soc.114:9217−9218(1992))、小化合物ライブラリの類似有機合成(Chen et al.、J.Amer.Chem.Soc.116:2661(1994))、オリゴカルバメート(Cho et al.、Science 261:1303(1993))、および/またはペプチジルホスホン酸塩(Campbell et al.、J.Org.Chem.59:658(1994))、核酸ライブラリ(前述のAusubel、Berger and Sambrook参照)、ペプチド核酸ライブラリ(例えば、米国特許番号5,539,083参照)、抗体ライブラリ(例えば、Vaughn et al.、Nature Biotechnology、14(3):309−314(1996)およびPCT/US96/10287参照)、炭水化物ライブラリ(例えば、Liang et al.、Science、274:1520−1522(1996)および米国特許番号5,593,853参照)、有機小分子ライブラリ(例えば、benzodiazepines、Baum C&EN、January 18、page 33(1993);イソプレノイド、米国特許番号5,569,588;チアゾリジノンおよびメタチアザノン(metathiazanones)、米国特許番号5,549,974;ピロリジン、米国特許番号5,525,735および5,519,134;モルホリノ化合物、米国特許番号5,506,337;ベンゾジアゼピン系薬、米国特許番号5,288,514など参照)を含むがこれに限定されない。
組み合わせライブラリの調製の装置は、市販されている(例えば、357 MPS、390 MPS、Advanced Chem Tech、Louisville Ky.、Symphony、Rainin、Woburn、Mass.、433A Applied Biosystems、Foster City、Calif.、9050 Plus、Millipore、Bedford、Mass参照)。また、多くの組み合わせライブラリそれ自体が市販されている(例えば、ComGenex、Princeton、N.J.、Asinex、Moscow、Ru、Tripos、Inc.、St.Louis、Mo.、ChemStar、Ltd、Moscow、RU、3D Pharmaceuticals、Exton、PA、Martek Biosciences、Columbia、Md.参照)。C.固相および可溶性ハイスループットアッセイ
また、標的味覚特異的タンパク質、または自然発生のまたは組み換えの、本願に開示される標的味覚タンパク質を発現する細胞または組織を使用して、可溶性アッセイがもたらされることができる。またあるいは、細胞質ドメインなどのタンパク質またはそのフラグメントが固相基質に接触している、ハイスループットフォーマットの固相ベースの生体外アッセイがもたらされることができる。本願に記載のアッセイのどれもが、であることができる。例えば、リガンド結合、カルシウム流出、膜電位変化などのハイスループットスクリーニングに適用されることができる。
本発明のハイスループットアッセイにおいて、可溶性または固相のどちらにおいても、一日に数千の異なるモジュレーターまたはリガンドをスクリーニングすることが可能である。この方法論は、生体外タンパク質、または本願で同定される遺伝子からのタンパク質を含む、細胞に基づいたまたは膜に基づいた分析に使用されることができる。特に、マイクロタイタープレートの各孔は、選択された潜在モジュレーターに対する個別のアッセイを行うために使用されることができる。濃縮または培養時間効果が観察される場合、5〜10ごとの孔で単一のモジュレーターをテストすることができる。したがって、単一の標準のマイクロタイタープレートは、約100(例えば、96)モジュレーター分析することができる。1536孔プレートが使用される場合、単一のプレートは約100〜約1500の異なる化合物を用意に分析することができる。本発明の統合システムを使用して、一日に多くのプレートを分析することが可能であり、約6,000、20,000、50,000、または100,000以上の異なる化合物のスクリーン分析が可能である。
固相反応について、当該のタンパク質、もしくは例えば細胞外のドメインなどのそのフラグメント、または当該のタンパク質もしくは融合タンパク質の一部としてそのフラグメントを含む細胞もしくは膜は、直接的または間接的に、例えばタグなどの共有または非共有の結合を通じて、固相コンポーネントに結合することができる。タグは、さまざまなコンポーネントであることができる。概して、タグを結合する分子(タグ結合剤)は、固体のサポートに固定され、タグされた当該分子は、タグとタグ結合剤との相互作用によって固体のサポートに接触している。
多くのタグおよびタグ結合剤が、文献に詳述される周知の分子間相互作用に基づいて使用されることができる。例えば、タグがビオチン、タンパク質A、またはタンパク質Gなどの天然の結合剤を有する場合、例えば、これは適したタグ結合剤(アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラビジン、免疫グロブリンのFc領域など)と併せて使用されることができる。ビオチンなどの天然の結合剤を有する分子に対する抗体および適したタグ結合剤もまた広く入手可能である(SIGMA Immunochemicals 1998 catalogue SIGMA、St.Louis Mo.参照)。
同様に、あらゆるハプテン性のまたは抗原性の化合物が、タグ/タグ結合剤対の生成に、適した抗体と合わせて使用されることができる。数多くの特定の抗体が市販されており、多くのさらなる抗体が文献に記載されている。例えば、よく用いられる一構造において、タグは一次抗体であり、タグ結合剤は第一抗体を認識する第二抗体である。抗体−抗原の相互作用に加えて、受容体−リガンドの相互作用もまたタグおよびタグ−結合剤対に適している。例えば、細胞膜受容体(例えば、トランスフェリン、c−kit、ウイルス受容体リガンド、サイトカイン受容体、ケモカイン受容体、インターロイキン受容体、免疫グロブリン受容体および抗体、カドヘリン族、インテグリン族、セレクチン族など、例えば、Pigott&Power,The Adhesion Molecule Facts Book I(1993)参照、のアゴニストおよびアンタゴニストなどの細胞受容体−リガンド相互作用である。同様に、毒素および毒、ウイルスエピトープ、ホルモン(例えば、アヘン、ステロイドなど)、細胞内の受容体(例えば、ステロイド、甲状腺ホルモン、レチノイドおよびビタミンDを含むさまざまな小リガンド、ペプチドの効果を介在するもの)、薬物、レクチン、糖、核酸(線状および環状ポリマー配列の両方)、オリゴ糖、タンパク質、リン脂質および抗体は、すべてさまざまな細胞受容体と相互作用が可能である。
ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ尿素、ポリアミド、ポリエチレンイミン、ポリアリレン硫化物、ポリシロキサン、ポリイミドおよびポリアセテートなどの合成のポリマーもまた、適したタグまたはタグ結合剤を形成することができる。本開示を読めば当業者には明白であるように、多くの他のタグ/タグ結合剤対もまた本願に記載のアッセイ系において有用である。
ペプチド、ポリエーテルなどの一般的なリンカーもまた、タグとしての役割を果たし、約5〜200アミノ酸のポリグリ配列などのポリペプチド配列を含む。柔軟リンカーは、当業者に周知である。例えば、ポリ(エチレングリコール)リンカーは、Shearwater Polymers、Inc.Huntsville、Alaで入手可能である。これらのリンカーは、選択的にアミド結合、スルフヒドリル結合、またはヘテロ機能結合を有する。
タグ結合剤は、現在利用可能なあらゆるさまざまな方法を使用して固体基板に固定される。固体基板は一般的に、すべてのまたは一部分の基板を、化学基をタグ結合剤の一部分と反応する表面に固定する化学的試薬に曝露することによって誘導体化または機能化される。例えば、より長い鎖部分への接合に適した基は、アミン、ヒドロキシル、チオールおよびカルボキシル基を含む。アミノアルキルシランおよびヒドロキシアルキルシランは、ガラス表面などのさまざまな表面を機能化するために使用されることができる。かかる固相バイオポリマー配列の構成は、文献において詳述されている。例えば、Merrifield、J.Am.Chem.Soc.85:2149−2154(1963)(例えば、ペプチドの固相合成について記載);Geysen et al.、J.Immunol.Meth.102:259−274(1987)(ピンの固相コンポーネントの合成について記載);Frank&Doring、Tetrahedron 44:6031−6040(1988)(さまざまなペプチド配列のセルロースディスク上の合成について記載);Fodor et al.、Science、251:767−777(1991);Sheldon et al.、Clinical Chemistry 39(4):718−719(1993);and Kozal et al.、Nature Medicine 2(7):753−759(1996)(すべて、固体基板に固定されたバイオポリマー配列について記載)などを参照されたい。タグ結合剤の基板への固定の非科学的アプローチには、熱、UV放射線による架橋結合などの他の一般的な方法を含む。
上記に本発明について記載したが、下記に提供される例は本発明の好ましい実施形態についてさらに説明する。これらの例は、説明を目的として提供されるのみであり、本発明を制限するように解釈されるものではない。
発明の実用化
本明細書において同定した表1〜3の遺伝子の活性を調節、好ましくは増強させる化合物は、ヒト塩味、および可能性として他の味覚様式もしくは味覚一般の調節において重要な影響を及ぼす。さらに、これらの化合物は、味細胞代謝回転、消化器疾患、消化機能、代謝の調節、口腔および/または消化器系の免疫の調節等の他の味細胞関連の機能および表現型を含む治療的用途において有用な可能性がある。
本明細書において同定した表1〜3の遺伝子の活性を調節、好ましくは増強させる化合物は、ヒト塩味、および可能性として他の味覚様式もしくは味覚一般の調節において重要な影響を及ぼす。さらに、これらの化合物は、味細胞代謝回転、消化器疾患、消化機能、代謝の調節、口腔および/または消化器系の免疫の調節等の他の味細胞関連の機能および表現型を含む治療的用途において有用な可能性がある。
舌上の味覚乳頭において味覚イオンチャネルを活性化させる化合物は、味蕾細胞へのNa+輸送を促進することによって、塩感覚を増強させるために使用することができる。これは、低塩食品および飲料の味覚および嗜好性を向上させる点において明白な消費者用途を有する。
その上、本明細書の遺伝子および遺伝子産物は、甘味、苦味、うま味、酸味、塩味、脂肪味、金属味等を含む、特定の味細胞型または系譜を同定、単離または濃縮するためのマーカーとして使用することができる。
さらに、本明細書において同定した味細胞に特異的な遺伝子および遺伝子産物は、味細胞のアポトーシスを調節し、例えば一部の野菜、薬、コーヒー等の異味を軽減させるために、味覚受容体発現を管理する転写因子を調節し、味細胞発生の自己分泌/傍分泌調節を調節し、味蕾生存期間を延長させ、バイオテロリズム等のためのスクリーニングに用いられるスーパーテイスター動物表現型または生体内味細胞への幹細胞の活性化および分化を誘発する化合物に対するスクリーニングに用いられる動物を産出する化合物を同定するために使用することができる。
その上、対象遺伝子および遺伝子産物ならびにそれらを発現する細胞は、脂肪味または金属味細胞等の補助的味覚受容体または一次味覚受容体を同定するために使用されてもよい。
また、対象遺伝子および遺伝子産物ならびにそれらを発現する細胞は、胃運動性、食物検出、食物吸収またはGLP−1(グルカゴン様ペプチド1)、GIP(グルコース依存性インスリン分泌ポリペプチド)、ペプシン、セクレチン、アミラーゼ、唾液等の消化液、ペプチド、ホルモンもしくは酵素の生成等の消化機能に影響を及ぼす化合物を同定するためのスクリーニングに使用することができる。
また、対象遺伝子および遺伝子産物ならびにそれらを発現する細胞は、一般的もしくは特定の味覚を増強もしくは抑圧するための頂端膜/味孔領域への、およびそこからの味覚受容体の輸送、一般的もしくは特定の味覚強度を管理するための味覚細胞動作の潜在的発生頻度/膜電位の制御、求心性神経への神経伝達物質放出の制御、および味覚受容体機能の自己分泌/傍分泌調節に影響を与える化合物をスクリーニングするために使用されてもよい。
さらに、対象遺伝子および遺伝子産物ならびにそれらを発現する細胞は、味覚、薬物性味覚異常、味覚脱失、および味蕾消失の軽減に影響を及ぼす癌、化学療法放射線、傷害または手術を伴う高齢者個人もしくは患者等において味細胞を再生する化合物を同定するために使用することができる。
その上さらに、対象遺伝子および遺伝子産物ならびにそれらを発現する細胞は、口腔衛生、口臭、口腔内の有害物質の解毒、ならびに細菌、ウイルス、および唾液/口または消化管の他の免疫原の中和/除去に影響を与える化合物をスクリーニングするために使用することができる。
その上付加的に、対象遺伝子および遺伝子産物ならびにそれらを発現する細胞は、唾液生成および組成、ならびに口内乾燥(例えば、シェーグレン症候群等の場合)およびIBD、潰瘍性大腸炎、および憩室炎等の自己免疫性もしくは炎症性胃腸疾患ならび口腔および消化管に影響を与える癌等の状態における口渇の治療に影響を及ぼす化合物を同定するためのスクリーニングにおいて使用することができる。
下記の実施例は、上述の材料および方法を使用して達成した。これらの実施例は、主題発明の製作および使用方法の完全な開示および記述を当業者に提供するために進められ、本発明としてみなされるものの範囲を制限することを意図するものではない。
実施例
実施例
実施例1
結果を図1に示す本実験は、ヒト味覚組織へのLCMの例である。A〜C:有郭(circumvallate:CV)味蕾採取。D〜E:舌上皮採取。左列は、LCM前の切片を示す。中央列は、LCM後の切片を示す。右列は、採取および単離されたCV味蕾(輪状味蕾当たり5〜10細胞)および舌上皮組織を示す。LCMで前もって採取した味蕾領域はDおよびEでも見える。
実施例2
結果を図2に示す本実験は、ヒト味細胞および舌細胞のPCR品質管理の例である。舌細胞でなく、味細胞は、味覚特異的マーカーガストデューシン、TRPM5、およびPLCβ2を特異的に発現する。それに対して、味細胞および舌細胞の両方は、遍在性ハウスキーピング遺伝子GAPDHおよびβアクチンを発現し、味細胞および舌細胞RNAが無傷で高品質であることを示す。
実施例3
結果を図3に示す本実験は、味覚特異的イオンチャネルを同定するためのハイスループットPCRの例である。
8つの異なるイオンチャネルを示す。各チャネルに対して6つのレーンがある。各チャネルでは、左2つのレーンはヒトCV味蕾(taste bud:TB)のPCRを示し(+は逆転写酵素を有することを示し、−は逆転写酵素を有さない陰性対照を示す)、中央の2つのレーンはヒト舌上皮(epithelium:LE)のPCRを示し、右2つのレーンは陽性対照(表示プール)とのPCRを示し、PCRプライマーがPCR循環状態下において産物を産生することを実証する。8つのイオンチャネルは全て、陽性対照(プール)の適切なサイズのPCR産物を生じるが、TRPP3(PKD2L1としても既知)のみが、舌上皮(黄色矢印)でなく味蕾の適切なサイズの産物を生じることに留意されたい。したがって、TRPP3/PKD2L1は味覚特異的遺伝子である。
実施例4
結果を図4に示す本実験は、マウスまたはヒト味覚組織切片内での既知の味覚遺伝子ガストデューシンの発現を視覚化するための、in situハイブリダイゼーションおよび免疫化学組織学的方法の例である。左画像は、陰性対照マウスセンスRNAではなく、味覚特異的Gタンパク質ガストデューシンマウスアンチセンスRNA(緑色)で標識化されたマウスCV味蕾を示す。中央画像は、陰性対照(抗原ペプチドとプレインキュベートされた抗体)でではなく、市販の抗体(赤色)を使用してガストデューシンで標識化したマウスCV味蕾を示す。右画像は、陰性対照ヒトセンスRNAでではなく、味覚特異的Gタンパク質ガストデューシンヒトアンチセンス(紺青色)RNAで標識化したヒトCV味蕾を示す。
実施例5
結果を図5に示す本実験は、マウスまたはヒト味覚組織切片内でのTRPM5味覚遺伝子発現を視覚化するための、in situハイブリダイゼーションおよび免疫化学組織学的方法の例である。左画像は、陰性対照マウスセンスRNAでではなく、味覚特異的イオンチャネルTRPM5マウスアンチセンスRNA(緑色)で標識化されたマウスCV味蕾を示す。中央画像は、陰性対照2次抗体のみでではなく、Senomyxで開発された抗体(赤色)を使用してTRPM5で標識化されたマウスCV味蕾を示す。右画像は、陰性対照2次抗体のみでではなく、Senomyxで開発された抗体(赤色)を使用してTRPM5で標識化されたヒトCV味蕾を示す。
実施例6
結果を図6に示す本実験は、マウス味覚組織内でのTRPM5味覚遺伝子発現を視覚化するための免疫組織化学の例である。画像は、Senomyxで開発された抗体を使用してTRPM5で標識化されたマウス有郭(circumvallate:CV)味蕾を示す。TRPM5は、唾液に向かう頂端味孔領域へ極性化される。
実施例7
結果を図7に示す本実験は、マウス味覚組織内でのSCN3A/Nav1.3ナトリウムチャネル遺伝子発現を視覚化するための免疫組織化学組織学的方法の例である。左画像は、陰性対照(抗原ペプチドとプレインキュベートされた抗体、右画像はAb+ペプチド)でではなく、SCN3A/Nav1.3に対する市販の抗体で標識化されたマウスCV味蕾を示す。この結果により、SCN3A/Nav1.3が味覚特異的遺伝子であることが確認される。SCN3A/Nav1.3は、遺伝子チップおよびPCRアプローチの両方により味覚特異的遺伝子として同定された。
実施例8
結果を図8に示す本実験は、同じ味細胞内でのSCN3AおよびTRPM5の同時発現を例証する2重標識免疫組織化学の例である。SCN3A(左、緑色)は、TRPM5(中央、赤色)を発現する細胞内で検出可能である。SCN3AおよびTRPM5シグナルの重層は、黄色(右)で図示する。TRPM5は、甘味、苦味、およびうま味に関与する細胞内で発現するため、これらのデータにより、SCN3Aが甘味、苦味、および/またはうま味細胞の機能を調節するように機能することが示唆される。
結果を図1に示す本実験は、ヒト味覚組織へのLCMの例である。A〜C:有郭(circumvallate:CV)味蕾採取。D〜E:舌上皮採取。左列は、LCM前の切片を示す。中央列は、LCM後の切片を示す。右列は、採取および単離されたCV味蕾(輪状味蕾当たり5〜10細胞)および舌上皮組織を示す。LCMで前もって採取した味蕾領域はDおよびEでも見える。
実施例2
結果を図2に示す本実験は、ヒト味細胞および舌細胞のPCR品質管理の例である。舌細胞でなく、味細胞は、味覚特異的マーカーガストデューシン、TRPM5、およびPLCβ2を特異的に発現する。それに対して、味細胞および舌細胞の両方は、遍在性ハウスキーピング遺伝子GAPDHおよびβアクチンを発現し、味細胞および舌細胞RNAが無傷で高品質であることを示す。
実施例3
結果を図3に示す本実験は、味覚特異的イオンチャネルを同定するためのハイスループットPCRの例である。
8つの異なるイオンチャネルを示す。各チャネルに対して6つのレーンがある。各チャネルでは、左2つのレーンはヒトCV味蕾(taste bud:TB)のPCRを示し(+は逆転写酵素を有することを示し、−は逆転写酵素を有さない陰性対照を示す)、中央の2つのレーンはヒト舌上皮(epithelium:LE)のPCRを示し、右2つのレーンは陽性対照(表示プール)とのPCRを示し、PCRプライマーがPCR循環状態下において産物を産生することを実証する。8つのイオンチャネルは全て、陽性対照(プール)の適切なサイズのPCR産物を生じるが、TRPP3(PKD2L1としても既知)のみが、舌上皮(黄色矢印)でなく味蕾の適切なサイズの産物を生じることに留意されたい。したがって、TRPP3/PKD2L1は味覚特異的遺伝子である。
実施例4
結果を図4に示す本実験は、マウスまたはヒト味覚組織切片内での既知の味覚遺伝子ガストデューシンの発現を視覚化するための、in situハイブリダイゼーションおよび免疫化学組織学的方法の例である。左画像は、陰性対照マウスセンスRNAではなく、味覚特異的Gタンパク質ガストデューシンマウスアンチセンスRNA(緑色)で標識化されたマウスCV味蕾を示す。中央画像は、陰性対照(抗原ペプチドとプレインキュベートされた抗体)でではなく、市販の抗体(赤色)を使用してガストデューシンで標識化したマウスCV味蕾を示す。右画像は、陰性対照ヒトセンスRNAでではなく、味覚特異的Gタンパク質ガストデューシンヒトアンチセンス(紺青色)RNAで標識化したヒトCV味蕾を示す。
実施例5
結果を図5に示す本実験は、マウスまたはヒト味覚組織切片内でのTRPM5味覚遺伝子発現を視覚化するための、in situハイブリダイゼーションおよび免疫化学組織学的方法の例である。左画像は、陰性対照マウスセンスRNAでではなく、味覚特異的イオンチャネルTRPM5マウスアンチセンスRNA(緑色)で標識化されたマウスCV味蕾を示す。中央画像は、陰性対照2次抗体のみでではなく、Senomyxで開発された抗体(赤色)を使用してTRPM5で標識化されたマウスCV味蕾を示す。右画像は、陰性対照2次抗体のみでではなく、Senomyxで開発された抗体(赤色)を使用してTRPM5で標識化されたヒトCV味蕾を示す。
実施例6
結果を図6に示す本実験は、マウス味覚組織内でのTRPM5味覚遺伝子発現を視覚化するための免疫組織化学の例である。画像は、Senomyxで開発された抗体を使用してTRPM5で標識化されたマウス有郭(circumvallate:CV)味蕾を示す。TRPM5は、唾液に向かう頂端味孔領域へ極性化される。
実施例7
結果を図7に示す本実験は、マウス味覚組織内でのSCN3A/Nav1.3ナトリウムチャネル遺伝子発現を視覚化するための免疫組織化学組織学的方法の例である。左画像は、陰性対照(抗原ペプチドとプレインキュベートされた抗体、右画像はAb+ペプチド)でではなく、SCN3A/Nav1.3に対する市販の抗体で標識化されたマウスCV味蕾を示す。この結果により、SCN3A/Nav1.3が味覚特異的遺伝子であることが確認される。SCN3A/Nav1.3は、遺伝子チップおよびPCRアプローチの両方により味覚特異的遺伝子として同定された。
実施例8
結果を図8に示す本実験は、同じ味細胞内でのSCN3AおよびTRPM5の同時発現を例証する2重標識免疫組織化学の例である。SCN3A(左、緑色)は、TRPM5(中央、赤色)を発現する細胞内で検出可能である。SCN3AおよびTRPM5シグナルの重層は、黄色(右)で図示する。TRPM5は、甘味、苦味、およびうま味に関与する細胞内で発現するため、これらのデータにより、SCN3Aが甘味、苦味、および/またはうま味細胞の機能を調節するように機能することが示唆される。
SCN3Aは、甘味、苦味、およびうま味感覚に関与するTRPM5細胞内で発現する。したがって、SCN3A機能を調節する化合物は、甘味、苦味、および/またはうま味を増強または遮断するために使用され得る。
実施例9
結果を図9に示す本実験は、マウス味覚組織内でのPKD2L1味覚遺伝子発現を視覚化するための免疫組織化学の例である。左画像は、市販の抗体を使用してPKD2L1で標識化されたマウス有郭(circumvallate:CV)味蕾を示す。中央画像は、PKD2L1 1次抗体(陰性対照2次抗体のみ、2次抗体のみ)なしでインキュベートされた隣接切片内の無標識化を示す。右画像は、唾液に向かう頂端味孔領域へのPKD2L1の極性化を例証する単一マウスCV味蕾の拡大を示す。
実施例10
結果を図10に示す本実験は、異なる味細胞内でのPKD2L1およびTRPM5発現を示す2重標識免疫組織化学の例である。左画像は、PKD2L1(緑色)に対する市販の抗体で標識化されたマウスCV味蕾を示し、中央画像は、Senomyxで開発された抗体(赤色)を使用するTRPM5での標識化を示し、右画像は、PKD2L1およびTRPM5標識の混合を示す。下4つの画像は、高倍率での個々の味蕾を示す。PKD2L1は、TRPM5(標識は、別々の細胞型内で発現する)と共存せず、PKD2L1が甘味、苦味、および/またはうま味細胞(TRPM5で標識化)内で発現しないことが示唆されることに留意されたい。
実施例9
結果を図9に示す本実験は、マウス味覚組織内でのPKD2L1味覚遺伝子発現を視覚化するための免疫組織化学の例である。左画像は、市販の抗体を使用してPKD2L1で標識化されたマウス有郭(circumvallate:CV)味蕾を示す。中央画像は、PKD2L1 1次抗体(陰性対照2次抗体のみ、2次抗体のみ)なしでインキュベートされた隣接切片内の無標識化を示す。右画像は、唾液に向かう頂端味孔領域へのPKD2L1の極性化を例証する単一マウスCV味蕾の拡大を示す。
実施例10
結果を図10に示す本実験は、異なる味細胞内でのPKD2L1およびTRPM5発現を示す2重標識免疫組織化学の例である。左画像は、PKD2L1(緑色)に対する市販の抗体で標識化されたマウスCV味蕾を示し、中央画像は、Senomyxで開発された抗体(赤色)を使用するTRPM5での標識化を示し、右画像は、PKD2L1およびTRPM5標識の混合を示す。下4つの画像は、高倍率での個々の味蕾を示す。PKD2L1は、TRPM5(標識は、別々の細胞型内で発現する)と共存せず、PKD2L1が甘味、苦味、および/またはうま味細胞(TRPM5で標識化)内で発現しないことが示唆されることに留意されたい。
この結果により、PKD2L1が味覚特異的遺伝子であることが確認される。PKD2L1は、遺伝子チップおよびPCRアプローチの両方により味覚特異的遺伝子として同定された。PKD2L1は、甘味、苦味、およびうま味感覚に関与するTRPM5細胞内で発現しない。最近の報告は、PKD2L1/PKD1L3が酸味受容体として機能し、PKD2L1/PKD1L3は、酸味細胞に対するマーカーであることを示している(Ishimara et al PNAS 103(33):12569−12574,2006;Huang et al Nature 434:225−229,2006)。したがって、PKD2L1/PKD1L3機能を調節する化合物は、酸味を増強または遮断するために使用され得る。
実施例11
PCRスクリーニングによってマウスCV乳頭内の味覚特異的遺伝子として同定された過分極および環状ヌクレオチド感受性カチオンチャネルHCN4が、TRPM5(甘味、苦味、およびうま味細胞のマーカー)、PKD2L1(酸味細胞のマーカー)、特有の細胞型(推定塩味細胞)と共存するかどうかを判断するために、付加的な組織学的実験を行った。HCN4に特異的な抗体を使用し、HCN4は、TRPM5細胞(図11参照)内で発現しなかったが、PKD2L1細胞(図12参照)内で発現したと判断した。図11に示すように、2重標識免疫化学を、別々のマウスCV細胞におけるHCN4およびTRPM5を視覚化するために使用した。TRPM5(左、緑色)は、HCN4(中央、赤色)を発現しない細胞内に存在する。TRPM5およびHCN4標識の混合は右側に図示する。TRPM5は、甘味、苦味、およびうま味に関与する細胞内で発現するので、この図のデータは、HCN4が甘味、苦味、またはうま味を調節しないことを示す。
HCN4のみ、TRPM5のみ、またはHCN4とTRPM5を発現する細胞の数およびパーセンテージを図11の表に記載する。図12は、同じマウスCV細胞内のHCN4およびPKD2L1を視覚化するために使用した別の2重標識免疫化学実験の結果を含む。PKD2L1(左、緑色)は、HCN4(中央、赤色)を発現する細胞内に存在する。PKD2L1およびHCN4標識の混合を右側に図示し、黄色は、HCN4も発現するPKD2L1細胞を示す。PKD2L1は、酸味に関与する細胞内で発現するので、ここのデータは、HCN4が酸味を調節するように機能し、酸味調節細胞を同定するアッセイにおいて使用してもよいことを示す。HCN4のみ、PKD2L1のみ、またはHCN4とPKD2L1を発現する細胞の数およびパーセンテージを図12の表に記載する。混合画像におけるPKD2L1細胞(緑色)と共存しないHCN4細胞(赤色)は、CV間隙内へ脱落する細胞を表し、味蕾内に含まれる細胞ではなく、したがって、これらの細胞はカウントしなかった。図13に含まれる実験結果により示されるように、HCN4は味孔に突出している微絨毛内に存在しなかった。特に、図13に含まれる2重標識免疫化学実験は、マウスCV味細胞内の味孔からのHCN4排除を実証する。[ここで、PKD2L1(左、緑色)、HCN4(中央、赤色)、およびPKD2L1とHCN4の混合(右、黄色)。]また、同図は、PKD2L1が味覚受容体細胞(画像上部)の先端にまで及ぶことを示し、一方、HCN4は味孔領域から排除される。PKD2L1およびHCN4は細胞体内で共存し、PKD2L1のみが頂端膜内で発現する。下部の画像は、混合画像内の点々の四角形で輪郭を描いた領域の拡大を示す。
実施例11
PCRスクリーニングによってマウスCV乳頭内の味覚特異的遺伝子として同定された過分極および環状ヌクレオチド感受性カチオンチャネルHCN4が、TRPM5(甘味、苦味、およびうま味細胞のマーカー)、PKD2L1(酸味細胞のマーカー)、特有の細胞型(推定塩味細胞)と共存するかどうかを判断するために、付加的な組織学的実験を行った。HCN4に特異的な抗体を使用し、HCN4は、TRPM5細胞(図11参照)内で発現しなかったが、PKD2L1細胞(図12参照)内で発現したと判断した。図11に示すように、2重標識免疫化学を、別々のマウスCV細胞におけるHCN4およびTRPM5を視覚化するために使用した。TRPM5(左、緑色)は、HCN4(中央、赤色)を発現しない細胞内に存在する。TRPM5およびHCN4標識の混合は右側に図示する。TRPM5は、甘味、苦味、およびうま味に関与する細胞内で発現するので、この図のデータは、HCN4が甘味、苦味、またはうま味を調節しないことを示す。
HCN4のみ、TRPM5のみ、またはHCN4とTRPM5を発現する細胞の数およびパーセンテージを図11の表に記載する。図12は、同じマウスCV細胞内のHCN4およびPKD2L1を視覚化するために使用した別の2重標識免疫化学実験の結果を含む。PKD2L1(左、緑色)は、HCN4(中央、赤色)を発現する細胞内に存在する。PKD2L1およびHCN4標識の混合を右側に図示し、黄色は、HCN4も発現するPKD2L1細胞を示す。PKD2L1は、酸味に関与する細胞内で発現するので、ここのデータは、HCN4が酸味を調節するように機能し、酸味調節細胞を同定するアッセイにおいて使用してもよいことを示す。HCN4のみ、PKD2L1のみ、またはHCN4とPKD2L1を発現する細胞の数およびパーセンテージを図12の表に記載する。混合画像におけるPKD2L1細胞(緑色)と共存しないHCN4細胞(赤色)は、CV間隙内へ脱落する細胞を表し、味蕾内に含まれる細胞ではなく、したがって、これらの細胞はカウントしなかった。図13に含まれる実験結果により示されるように、HCN4は味孔に突出している微絨毛内に存在しなかった。特に、図13に含まれる2重標識免疫化学実験は、マウスCV味細胞内の味孔からのHCN4排除を実証する。[ここで、PKD2L1(左、緑色)、HCN4(中央、赤色)、およびPKD2L1とHCN4の混合(右、黄色)。]また、同図は、PKD2L1が味覚受容体細胞(画像上部)の先端にまで及ぶことを示し、一方、HCN4は味孔領域から排除される。PKD2L1およびHCN4は細胞体内で共存し、PKD2L1のみが頂端膜内で発現する。下部の画像は、混合画像内の点々の四角形で輪郭を描いた領域の拡大を示す。
結果
表1:Affymetrix430 2.0マイクロアレイ/遺伝子チップからのマウス味覚遺伝子発現の概要。遺伝子チップ実験は、5対のマウスCV味覚および舌試料に対して行い、GeneSpring GX v7.3ソフトウェア(Agilent Technologies)を使用して分析した。1300から2000間のCV味細胞および舌細胞をLCMで単離し、総RNAを単離および精製した。
RNAを増幅し、遺伝子チップとハイブリダイズした。2つの別々のアルゴリズムを使用して分析を行った。遺伝子チップ上の完全一致およびミスマッチプローブの両方を考慮するAffymetrix Suite5(MAS5)と、遺伝子チップ上の完全一致プローブのみを考慮するロバストマルチチップアルゴリズム(robust multi−chip algorithm:RMA)の2つの別々のアルゴリズムを使用して分析を行った。表は、下記の分析によって同定された遺伝子を記載する。まず、遺伝子を同定し、下記の基準を満たす味覚特異的遺伝子に分類した。1)膜貫通タンパク質をコードするとして注釈付けされ、2)いずれか一方のアルゴリズムにより、舌細胞と比較して味細胞内で1.4倍以上高く発現され、3)15以上の粗発現値を提示した。これらの包括基準は、見込まれたとおりに、甘味、苦味、うま味および酸味受容体への遺伝子および他の遺伝子を含む既知の味覚遺伝子の同定を導いた。フォールド変化(舌細胞と比較した味細胞内での遺伝子発現の割合)、味細胞内での遺伝子発現の粗計算、および膜タンパク質をコードする味覚特異的遺伝子の受入番号を記載する。次に、遺伝子は、下記の特定の組み入れ基準を使用して味覚特異的遺伝子として同定した。
組み入れ基準:
a)Affymetrix MAS5正規化データを使用
CV味蕾平均発現値≧50
CV対LE発現率≧4倍増加
CV対LE発現率p値≦0.05
433の遺伝子を同定
b)Affymetrix GC−RMA正規化データを使用
CV味蕾平均発現値≧50
CV対LE発現率≧5倍増加
CV対LE発現率p値≦0.2
137の遺伝子を同定
c)さらに、両方のデータセット(MAS5およびRMA)から同定された419の遺伝子
d)MAS5 AffymetrixデータのGeneSpringクラスタリング分析を使用
CV味蕾平均発現値≧100
CV対LE発現率≧2倍増加
CV対LE発現率t検定+Benjamini−Hochberg多重検定補正≦0.05
77の遺伝子を同定
マウス味蕾特異的遺伝子の合計数=1066
機能的特定のないまたは低い多数の膜貫通ドメインを有するタンパク質をコードするこの第2の分析からの遺伝子を下記に記載する。
表1:Affymetrix430 2.0マイクロアレイ/遺伝子チップからのマウス味覚遺伝子発現の概要。遺伝子チップ実験は、5対のマウスCV味覚および舌試料に対して行い、GeneSpring GX v7.3ソフトウェア(Agilent Technologies)を使用して分析した。1300から2000間のCV味細胞および舌細胞をLCMで単離し、総RNAを単離および精製した。
RNAを増幅し、遺伝子チップとハイブリダイズした。2つの別々のアルゴリズムを使用して分析を行った。遺伝子チップ上の完全一致およびミスマッチプローブの両方を考慮するAffymetrix Suite5(MAS5)と、遺伝子チップ上の完全一致プローブのみを考慮するロバストマルチチップアルゴリズム(robust multi−chip algorithm:RMA)の2つの別々のアルゴリズムを使用して分析を行った。表は、下記の分析によって同定された遺伝子を記載する。まず、遺伝子を同定し、下記の基準を満たす味覚特異的遺伝子に分類した。1)膜貫通タンパク質をコードするとして注釈付けされ、2)いずれか一方のアルゴリズムにより、舌細胞と比較して味細胞内で1.4倍以上高く発現され、3)15以上の粗発現値を提示した。これらの包括基準は、見込まれたとおりに、甘味、苦味、うま味および酸味受容体への遺伝子および他の遺伝子を含む既知の味覚遺伝子の同定を導いた。フォールド変化(舌細胞と比較した味細胞内での遺伝子発現の割合)、味細胞内での遺伝子発現の粗計算、および膜タンパク質をコードする味覚特異的遺伝子の受入番号を記載する。次に、遺伝子は、下記の特定の組み入れ基準を使用して味覚特異的遺伝子として同定した。
組み入れ基準:
a)Affymetrix MAS5正規化データを使用
CV味蕾平均発現値≧50
CV対LE発現率≧4倍増加
CV対LE発現率p値≦0.05
433の遺伝子を同定
b)Affymetrix GC−RMA正規化データを使用
CV味蕾平均発現値≧50
CV対LE発現率≧5倍増加
CV対LE発現率p値≦0.2
137の遺伝子を同定
c)さらに、両方のデータセット(MAS5およびRMA)から同定された419の遺伝子
d)MAS5 AffymetrixデータのGeneSpringクラスタリング分析を使用
CV味蕾平均発現値≧100
CV対LE発現率≧2倍増加
CV対LE発現率t検定+Benjamini−Hochberg多重検定補正≦0.05
77の遺伝子を同定
マウス味蕾特異的遺伝子の合計数=1066
機能的特定のないまたは低い多数の膜貫通ドメインを有するタンパク質をコードするこの第2の分析からの遺伝子を下記に記載する。
表2:PCRスクリーニングからの味覚特異的イオンチャネルの概要。ヒトおよび/またはマウス味細胞内で特異的にPCR産物を産出する遺伝子または舌細胞よりも味細胞内でより大量だったPCR産物を産出する遺伝子を記載する。DNA配列は、全ての味覚特異的遺伝子の同一性を確認した。味覚特異的遺伝子の受入番号を記載する。
表3:in situハイブリダイゼーションおよび/または免疫組織化学による、組織学的実験におけるTRPM5(甘味、苦味、うま味)およびPKD2L1/PKD1L3(酸味)細胞内の味覚特異的遺伝子の共存の概要。
上記のように、本明細書で同定された味細胞特異的遺伝子および対応する遺伝子産物およびそれらを発現する細胞、例えば、内在性味細胞もしくは化学感覚細胞および表1、2、および3に記載の味覚特異的遺伝子を含む組み換え細胞、ならびにそれらのオルソログ、対立遺伝子変異体、それらと少なくとも90%の同一性を有する変異体および/または上記否定されたハイブリダイゼーション条件下においてそれらと特異的にハイブリダイズする遺伝子は、味覚調節化合物を同定するアッセイおよび治療的スクリーニングアッセイにおいて使用されてもよい。
例えば、これらの味覚特異的遺伝子、ポリペプチドおよびそれらを発現する細胞は、消化器系疾患の治療をスクリーニングするために使用することができる。これらの疾患は、一例として、消化不良等の消化に影響を与える状態、潰瘍性大腸炎、炎症性腸症候群、クローン症候群、セリアック病等の消化器系に影響を与える自己免疫性および炎症性疾患、ならびに唾液腺、味蕾、胃、膵臓、胆嚢、食道、肛門もしくは結腸に影響を与える癌等の消化器系に影響を及ぼす前癌状態および癌を含む。
また、これらの味覚特異的遺伝子は、味細胞代謝回転に影響を及ぼす化合物を同定するためのスクリーニングアッセイで使用されてもよい。味細胞は早急に代謝回転することが知られている(約2〜3週おきに)。さらに、化学療法もしくは放射線治療を含む多くの状態、ならびに老齢は、味細胞の発達能力に悪影響を与える場合がある。結果として、癌患者または高齢者の生活の質の低下に繋がり得る味感覚が減少する。これは、頭頸部癌、食道癌、胃癌、肺癌、または膵癌を有する患者において特に明白である。さらに、これは、別の状態、悪液質または組み合わせて食欲を減少させる消耗症候群とともに進化する場合がある。適切な栄養素の欠乏は、癌患者における罹患率および死亡率の深刻な原因である。対象味覚特異的遺伝子は、幹細胞内で発現される遺伝子を含有し、それらが、味細胞の前駆物質であり、該味細胞へと進化する幹細胞のマーカーであることが示唆される。これらの遺伝子またはそれらを発現する細胞は、味細胞発生を促進するシグナルを同定するために使用することができる。
味細胞上に存在するサイトカイン様受容体を含むと考え得るこれらのシグナルは、味細胞発生を媒介するとみられ、味細胞分化または増殖を誘発する化合物を同定するためのスクリーニングに使用することができる。したがって、リガンドは唾液から単離され得る可能性があり、味覚機能に影響する唾液の能力を担う場合がある。例えば、シェーグレン症候群(唾液腺を攻撃する自己免疫疾患)の患者は、変化した味覚機能を呈する。対象遺伝子および遺伝子アレイを用いた唾液腺内での遺伝子発現の研究は、これらの分化機構の理解を容易にする。
味細胞上に存在するサイトカイン様受容体を含むと考え得るこれらのシグナルは、味細胞発生を媒介するとみられ、味細胞分化または増殖を誘発する化合物を同定するためのスクリーニングに使用することができる。したがって、リガンドは唾液から単離され得る可能性があり、味覚機能に影響する唾液の能力を担う場合がある。例えば、シェーグレン症候群(唾液腺を攻撃する自己免疫疾患)の患者は、変化した味覚機能を呈する。対象遺伝子および遺伝子アレイを用いた唾液腺内での遺伝子発現の研究は、これらの分化機構の理解を容易にする。
対象味細胞特異的遺伝子および対応する遺伝子産物ならびにそれらを発現する細胞は、口腔の免疫系を調節する潜在的治療学を同定するために使用されてもよい。口腔は、消化管と同じように常在菌叢が定植している。常在菌叢の変化は、虫歯または歯牙欠損に繋がり得る歯肉炎、口臭、胃の問題および他の感染症等の状態を発生させる場合がある。本明細書において同定した味細胞特異的遺伝子は、多くの免疫系遺伝子を含む。これらの遺伝子および対応するポリペプチドまたはそれらを発現する細胞は、口腔内の免疫ホメオスタシスの維持、病原性微生物の過成長の予防、および適切な口腔免疫を維持するのに重要な役割を担う口腔内の細胞型の同定のための治療学を同定するために使用することができる。
さらに、対象味細胞特異的遺伝子および対応する遺伝子産物またはそれらを発現する細胞は、糖尿病や、肥満、食欲不振、過食症、および他の代謝疾患等の摂食障害の治療のための化合物を同定するスクリーニングアッセイにおいて有用である。消化器系での味覚受容体の発現は、消化時に異なる場所で食物および異なる型を検出する包括的な系を表すと考え得る。したがって、炭水化物、脂肪、うま味食物、塩等の食物または特定の型の存在を「感じる」ことは、腸内の腸内分泌細胞によって生成されるGIP(グルコース依存性インスリン分泌ポリペプチド)およびGLP−1(グルカゴン様ペプチド1)等の消化の制御に関与する分子の生成を調節し得る種々のシグナルを誘発するはずである。
これらの細胞上の味覚受容体は、誘発された場合に消化器系の他の細胞内の他の分子シグナルの生成を制御する可能性がある。これらの現象は、どの細胞が異なる受容体を発現するかを判断し、次いで、活性化されたときに、これらの細胞が生成する分子を研究するために遺伝子アレイを使用することによって研究することができる。
これらの細胞上の味覚受容体は、誘発された場合に消化器系の他の細胞内の他の分子シグナルの生成を制御する可能性がある。これらの現象は、どの細胞が異なる受容体を発現するかを判断し、次いで、活性化されたときに、これらの細胞が生成する分子を研究するために遺伝子アレイを使用することによって研究することができる。
参考文献
本出願に引用される全ての参考文献は、参照によりそれら全体が本願明細書に組み込まれる。
本出願に引用される全ての参考文献は、参照によりそれら全体が本願明細書に組み込まれる。
Claims (125)
- 哺乳類の塩味感覚に関与するポリペブチドをコードする遺伝子を同定する方法であって、
(i)味細胞内で発現されるが、舌細胞内で発現されない遺伝子、および/または舌細胞よりも実質的に高いレベルで味細胞内で発現される遺伝子を含む、一連の遺伝子を同定するステップ、
(ii)(i)で同定された該遺伝子のうち、これらの細胞(T1RまたはT2R、TRPM5、およびPKD2L1/PKD1L3)のうま味、甘味、苦味、あるいは酸味受容体またはマーカーを発現する味細胞内で発現されない一連の遺伝子を同定するステップ、および
(iii)(ii)に従って同定された1つ以上の遺伝子を機能的に発現させ、該遺伝子のうちどれがナトリウム反応性イオンチャネルあるいはナトリウム反応性受容体またはトランスポーターとして機能するかを判断し、それにより、この遺伝子または遺伝子群を、塩味を調節する推定遺伝子として同定するステップと、
を含む、上記方法。 - 前記ステップ(i)は、非味覚組織から味覚組織を切離および精製するために、レーザーキャプチャーマイクロダイセクション(laser capture microdissection:LCD)の使用を含む、請求項1に記載の方法。
- 前記ステップ(i)は、味細胞および舌細胞からの遺伝子のRNA増幅を含み、前記増幅された遺伝子は、前記味覚および舌組織が得られる特定の哺乳類に特異的な遺伝子の試料を含有する遺伝子チップに対してスクリーニングされる、請求項1に記載の方法。
- 前記味覚組織は、ヒトまたは齧歯類源に由来する、請求項1に記載の方法。
- 前記遺伝子チップは、一連の注釈付けされた哺乳類遺伝子を含む、請求項1に記載の方法。
- 前記ステップ(i)は、前記ヒトまたは哺乳類ゲノム内の各イオンチャネルのためのプライマーを用いるハイスループットPCRを含む、請求項1に記載の方法。
- 前記ステップ(ii)は、味覚対舌細胞内での発現レベルを判断するために、ステップ(i)で同定された前記遺伝子に対して特定的なアンチセンスRNAプローブを用いるin situハイブリダイゼーションによって達成される、請求項1に記載の方法。
- 前記ステップ(ii)は、ステップ(i)で同定された遺伝子または遺伝子群によりコードされたタンパク質に特異的な標識抗体を用いる免疫化学的検出の使用によって達成される、請求項1に記載の方法。
- 前記同定された遺伝子または遺伝子群は、TRPM5またはPKD2L1/PKD1L3を発現しない細胞の特徴を示している、請求項1に記載の方法。
- TRPM5またはPKD2L1/PKD1L3を発現しない細胞を選択する方法であって、細胞が、請求項1に記載の方法に従って同定された遺伝子を発現するかどうかを判断するステップを含み、前記遺伝子を発現する細胞は、TRPM5またはPKD2L1/PKD1L3を発現する可能性が低い、上記方法。
- 前記遺伝子は、表1〜3のいずれか1つに含有される遺伝子から選択される、請求項10に記載の方法。
- 前記遺伝子は、ナトリウム反応性イオンチャネルとして機能し、さらに、チャネル集団のごく一部は開口し、静止ナトリウムを通過させる、請求項1に記載の方法。
- 哺乳類の塩味感覚に関与するポリペブチドをコードする遺伝子を同定する方法であって、
(i)味細胞内で発現されるが、舌細胞内で発現されない遺伝子および/または舌細胞よりも実質的に高いレベルで味細胞内で発現される遺伝子を含む一連の遺伝子を同定するステップ、
(ii)(i)で同定された該遺伝子のうち、これらの細胞(T1RもしくはT2RまたはTRPM5、またはPKD2L1/PKD1L3)のうま味、甘味、苦味、または酸味受容体またはマーカーを発現する味細胞内で発現されない一連の遺伝子を同定するステップ、および
(iii)(ii)に従って同定された1つ以上の遺伝子を発現させる一次ニューロンにおいて、該遺伝子のうちどれがナトリウム反応性イオンチャネルまたはナトリウム反応性受容体もしくはトランスポーターとして機能するかを判断し、それにより、塩味を調節する推定遺伝子としてこの遺伝子または遺伝子群を同定するステップと、
を含む、上記方法。 - 前記遺伝子は、表1、2、もしくは3のうちの1つに記載された遺伝子、またはオルソログもしくは対立遺伝子変異体、あるいは前記遺伝子もしくはそのオルソログによってコードされたタンパク質と少なくとも90%同一であるタンパク質をコードする変異体を含む、請求項13に記載の方法。
- ヒト塩味を調節するための潜在的な生体内用途を有する化合物を同定するためのアッセイであって、
(i)請求項1〜14のいずれか1項に従って同定されたイオンチャネル、受容体、またはトランスポーターをコードする遺伝子、またはそれによりコードされるポリペプチドと少なくとも90%の配列同一性を有する、ポリペプチドをコードする遺伝子を発現する細胞を、少なくとも1つの推定エンハンサー化合物と接触させるステップ、
(ii)該推定エンハンサーの存在および非存在下で、ナトリウムコンダクタンス、受容体活性またはナトリウム輸送をアッセイするステップ、および
(iii)ナトリウムコンダクタンス、該受容体の活性、またはナトリウム輸送を増加させるかどうかに基づいて、該化合物を潜在的な塩味エンハンサーとして同定するステップと、
を含む、上記アッセイ。 - 前記遺伝子は、イオンチャネルをコードする、請求項15に記載の方法。
- 前記遺伝子は、GPCRをコードする、請求項15に記載の方法。
- 前記遺伝子は、ヒトまたは哺乳類遺伝子である、請求項16または17に記載の方法。
- ヒト味覚テストにおいて前記化合物またはその誘導体の効果をテストするステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
- 推定塩味に影響を与える遺伝子は、両生類卵母細胞内で発現される、請求項15に記載の方法。
- 推定塩味に影響を与える遺伝子は、哺乳類細胞内で発現される、請求項15に記載の方法。
- 前記アッセイは、ナトリウム感受性色素を使用する電気生理学的アッセイである、請求項15に記載の方法。
- 前記アッセイは、2電極式電圧クランプアッセイである、請求項15に記載の方法。
- 前記テスト細胞は、アフリカツメガエル卵母細胞または哺乳類細胞である、請求項15に記載の方法。
- 前記哺乳類細胞は、HEK293、HEK293T、Swiss3T3、CHO、BHK、NIH3T3、およびCOS細胞から成る群から選択される、請求項24に記載の方法。
- 前記細胞は、アフリカツメガエル卵母細胞である、請求項25に記載の方法。
- 前記アッセイは、パッチクランプアッセイである、請求項15に記載の方法。
- 前記膜電位色素は、Molecular Devices社の膜電位キット(Membrane Potential Kit)(カタログ番号R8034)、ジ−4−ANEPPS(ピリジニウム、4−(2−(6−(ジブチルアミノ)−2−ナフタレン−イル)エテニル)−1−(3−スルホプロピル)水酸化物、内塩、DiSBACC4(2)(ビス−(1,2−ジバルビツール酸)−トリエチンオキサノール)、Cc−2−DMPE(Pacific Blue1,2−ジエトラデカノイル−sn−グリセロール−3ホスホエタノールアミン、トリエチルアンモニウム塩)およびSBFI−AM(1,3−ベンゼンジカルボン酸、4,4−[1,4,10−トリオキサ−7,13−ジアザシクロペンタデカン−7,13−ジイルビス(5−メトキシ−6,1,2−ベンゾフランジイル)}ビス−テトラキス{(アセチルオキシ)メチル}エステル(Molecular Probes)から成る群から選択される、請求項22に記載の方法。
- 前記ナトリウム感受性色素は、ナトリウムグリーンテトラ酢酸(Molecular Probes)またはナトリウム感受性色素キット(Molecular Devices)である、請求項22に記載の方法。
- 前記アッセイは、イオン流動アッセイにより活性を測定する、請求項15に記載の方法。
- イオン流動を検出するために原子吸光分析を用いる請求項30に記載の方法。
- 推定塩味に影響を与える遺伝子は、制御可能なプロモーターの制御下で発現される、請求項15に記載の方法。
- 蛍光プレートリーダー(fluorescence plate reader:FLIPR)を用いる請求項15に記載の方法。
- ナトリウムまたは流体吸収を増加させるために使用される電圧イメージングプレートリーダー(voltage imaging plate reader:VIPR)を用いる、請求項15に記載の方法。
- 前記選択された化合物は、味蕾細胞へのナトリウムイオン輸送を促進させる、請求項15に記載の方法。
- Molecular Devices社の膜電位キット(Membrane Potential Kit)(カタログ番号8034)、
ジ−4−ANEPPS(ピリジニウム、4−(2−(6−(ジブチルアミノ)−2−ナフタレン−イル)エテニル)−1−(3−スルホプロピル)−水酸化物、内塩)、DiSBACC4(2)(ビス−(1,2−ジバルビツール酸)−トリメチンオキサノール)、DiSBAC4(3)(ビス−(1,3−ジバルビツール酸)−トリメチンオキサノール)、CC−2−DPME(Pacific Blue,2−ジエトラデカノイル−sn−グリセロール−3−ホスホエタノールアミン、トリエチルアンモニウム塩)およびSBFI−AM(1,3−ベンゼンジカルボン酸、4,4’−[1,4,10−トリオキサ−7,13−ジアザシクロペンタデカン−7,13−ジイルビス(5−メトキシ−6,1,2−ベンゾフランジイル)]ビス−テトラキス[(アセチルオキシ)メチル]エステル(Molecular Probes)から成る群から選択される膜電位色素を使用する、請求項15に記載の方法。 - 前記細胞は、前記推定塩味に影響を与える遺伝子を安定に発現する、請求項15に記載の方法。
- 前記細胞は、推定塩味に影響を与える遺伝子を過渡的に発現する、請求項15に記載の方法
- 活性は、ナトリウム感受性色素を使用して監視される、請求項15に記載の方法。
- 前記色素は、ナトリウムグリーンテトラ酢酸塩(Molecular Probes)またはナトリウム感受性色素キット(Molecular Devices)である、請求項39に記載の方法。
- 活性は、パッチクランプ法または2電極式電圧クランプ法によってカエル卵母細胞において電気生理学的にアッセイされる、請求項15に記載の方法。
- 自動イメージング装置を使用する、請求項41に記載の方法。
- 前記装置は、蛍光プレートリーダー(fluorescence plate reader:FLIPR)である、請求項42に記載の方法。
- 前記装置は、電圧イメージングプレートリーダー(voltage imaging plate reader:VIPR)である、請求項42に記載の方法。
- 前記遺伝子配列を発現する前記細胞は、HEK−293、BHK、CHO、COS、サルL細胞、アフリカミドリザル腎細胞、Ltk−細胞および卵母細胞から成る群から選択される、請求項15に記載の方法。
- 前記スクリーニングされた遺伝子は、表1〜3のいずれか1つに含有される遺伝子を含む、請求項1〜45のいずれか1項に記載の方法。
- 前記細胞は、HEK−293細胞である、請求項45に記載の方法。
- ヒト甘味、苦味またはうま味を調節するための潜在的な生体内用途を有する化合物を同定するためのアッセイであって、
(i)TRPM5味細胞内に存在する表1〜3に記載の遺伝子を発現する細胞を、少なくとも1つの推定エンハンサー化合物と接触させるステップ、
(ii)該推定エンハンサーの存在および非存在下で、ナトリウムコンダクタンス、受容体活性またはナトリウム輸送をアッセイするステップ、および
(iii)ナトリウムコンダクタンス、該受容体の活性またはナトリウム輸送を増加させるかどうかに基づいて、該化合物を甘味、苦味またはうま味に対する潜在的エンハンサーとして同定するステップと、
を含む、上記アッセイ。 - 前記細胞は、哺乳類細胞またはカエル卵母細胞である、請求項48に記載のアッセイ。
- 前記哺乳類細胞は、CHO、Cos、BHKまたはHEK−293細胞である、請求項48に記載のアッセイ。
- 前記細胞は、HEK−293細胞である、請求項50に記載のアッセイ。
- 前記化合物の甘味への効果は、味覚テストにおいて確認される、請求項48に記載のアッセイ。
- 前記化合物のうま味への効果は、味覚テストにおいて確認される、請求項48に記載のアッセイ。
- 前記化合物の苦味への効果は、味覚テストにおいて確認される、請求項48に記載のアッセイ。
- 前記味覚テストは、ヒトボランティアに対して施行される、請求項52〜54のいずれかに記載のアッセイ。
- 推定酸味モジュレーターを同定するためのアッセイであって、
(i)PKD2L1/PKD1L3味細胞内に存在する表1〜3に記載の遺伝子を発現し、酸味感覚に関与する別の遺伝子を任意に発現する細胞を、化合物と接触させるステップ、
(ii)イオン輸送、イオンコンダクタンス、または前記イオンチャネルによって誘発された活性への該化合物の効果をアッセイするステップ、および
(iii)イオン輸送、イオンコンダクタンス、または前記チャネルによって誘発された活性への効果を有する場合に、酸味モジュレーターとして前記化合物を同定するステップと、
を含む、上記アッセイ。 - 前記イオンはナトリウムである、請求項56に記載のアッセイ。
- 前記化合物の酸味への効果は、味覚テストにおいて確認される、請求項56に記載のアッセイ。
- 前記味覚テストは、ヒトボランティアにおいて施行される、請求項58に記載のアッセイ。
- 酸味を誘発するとして知られる化合物の追加を含み、前記アッセイは、イオン輸送、イオンコンダクタンスまたは前記イオンチャネルによって誘発される活性への該化合物の効果をスクリーニングする、請求項56に記載のアッセイ。
- 前記細胞は、PKD2L1/PKD1L3も発現する、請求項56に記載のアッセイ。
- 味覚特異的ポリペプチドの活性を特異的に結合および/または調節する化合物をスクリーニングする結合または機能アッセイにおいて、表1または表2または表3に記載された遺伝子またはそれらのオルソログもしくはそれらと少なくとも90%の配列同一性を有する変異体から選択される遺伝子によってコードされる該味覚特異的ポリペプチドを使用し、該スクリーニングアッセイに基づいて、味細胞発生、老化、アポトーシス、または味蕾再生のうちの少なくとも1つを推定的に調節する化合物を同定する方法。
- 前記スクリーニングアッセイは、前記遺伝子を発現する遺伝子導入動物において、またはsiRNAまたは遺伝子ノックアウトアプローチを用いて前記遺伝子の発現の減少または除去を呈する遺伝子組み換え動物において施行される、請求項62に記載の方法。
- 味覚特異的ポリペプチドの活性を特異的に結合および/または調節する化合物をスクリーニングする結合または機能アッセイにおいて、表1または表2または表3に記載された遺伝子またはそれらのオルソログもしくはそれらと少なくとも90%の配列同一性を有する変異体から選択される遺伝子によってコードされる該味覚特異的ポリペプチドを使用し、該スクリーニングアッセイに基づいて、胃腸機能を推定的に調節する化合物を同定する方法。
- 前記細胞は、味覚または胃腸細胞であり、前記アッセイは、胃運動性、食物感知、食物吸収、またはペプチド分泌のうちの1つに影響を与える化合物をスクリーニングする、請求項64に記載の方法。
- 前記スクリーニングされた化合物は、アミラーゼ、GLP−1(グルカゴン様ペプチド1)、セクレチン、ペプシン、およびGIP(グルコース依存性インスリン分泌ポリペプチド)のうちの少なくとも1つの分泌に影響を与える、請求項65に記載の方法。
- 前記同定された化合物は、味覚または胃腸機能へのそれらの効果について生体内評価される、請求項64に記載の方法。
- 胃腸機能は、栄養吸収、栄養感知、イオン輸送、ペプチドもしくはホルモンもしくは酵素分泌、および/または食欲を含む、請求項64に記載の方法。
- 味覚特異的ポリペプチドの活性を特異的に結合および/または調節する化合物をスクリーニングする結合または機能アッセイにおいて、表1または表2または表3に記載された遺伝子またはそれらのオルソログもしくはそれらと少なくとも90%の配列同一性を有する変異体から選択される遺伝子によってコードされる該味覚特異的ポリペプチドを使用し、該スクリーニングアッセイに基づいて、消化器系または消化器官に関する病的状態を治療または予防することにおいて潜在的治療効果を有する化合物を同定する方法。
- 前記状態は、潰瘍または非潰瘍による機能性消化不良または別の消化不良である、請求項69に記載の方法。
- 前記治療化合物は、空腹または消化に関わるホルモンに影響する、請求項69に記載の方法。
- 前記タンパク質は、ガストリン、セクレチン、アミラーゼ、コレシストキニン、グルコース依存性インスリン分泌ポリペプチド、グルカゴン様ペプチド1グレリン、またはレプチンから選択される、請求項71に記載の方法。
- 前記治療化合物は、炎症性または自己免疫性胃腸疾患の治療に有用である、請求項69に記載の方法。
- 前記疾患は、セリアック病、炎症性腸症候群、クローン病、シェーグレン症候群、胃炎、憩室炎、または潰瘍性大腸炎から選択される、請求項73に記載の方法。
- 前記治療化合物は、消化器系または消化器官関連の癌を治療または予防するために使用される、請求項69に記載の方法。
- 前記癌は、結腸、小腸または大腸、肛門、肝臓、膵臓、胆嚢、食道、舌、唾液腺、味蕾、もしくは胃癌から選択される器官または癌関連の悪液質に影響を及ぼす、請求項75に記載の方法。
- 前記治療化合物は、食欲に関連した疾患または機能障害を治療または予防するために使用される、請求項69に記載の方法。
- 前記食欲に関連した疾患または状態は、過食症もしくは食欲不振、またはそれらと関連する悪液質である、請求項77に記載の方法。
- 前記治療化合物は、胃逆流と関連する障害または疾患を治療または予防するために使用される、請求項69に記載の方法。
- 前記障害または疾患は、胃食道逆流症、食道炎、バレット食道、または胸やけから選択される、請求項79に記載の方法。
- 味覚特異的ポリペプチドの活性を特異的に結合および/または調節する化合物のスクリーニングする結合または機能アッセイにおいて、表1または表2または表3に記載された遺伝子またはそれらのオルソログもしくはそれらと少なくとも90%の配列同一性を有する変異体から選択される遺伝子によってコードされる該味覚特異的ポリペプチドを使用し、該スクリーニングアッセイに基づいて、口腔または胃腸管内の免疫系を調節するのに有用な化合物を同定する方法。
- 歯肉炎、口臭を治療、またはその中の有害物質もしくは微生物を中和または抑制するのに有用な化合物をスクリーニングするために使用される、請求項81に記載の方法。
- 味覚特異的ポリペプチドの活性を特異的に結合および/または調節する化合物のスクリーニングする結合または機能アッセイにおいて、表1または表2または表3に記載された遺伝子またはそれらのオルソログもしくはそれらと少なくとも90%の配列同一性を有する変異体から選択される遺伝子によってコードされる該味覚特異的ポリペプチドを使用し、該スクリーニングアッセイに基づいて、口内乾燥(例えば、シェーグレン症候群等において)、味覚異常または味覚脱失のうちの1つを治療するのに有用な化合物を同定する方法。
- 味覚特異的ポリペプチドの活性を特異的に結合および/または調節する化合物のスクリーニングする結合または機能アッセイにおいて、表1または表2または表3に記載された遺伝子またはそれらのオルソログもしくはそれらと少なくとも90%の配列同一性を有する変異体から選択される遺伝子によってコードされる該味覚特異的ポリペプチドを使用し、該スクリーニングアッセイに基づいて、味覚または消化器系細胞機能に関する代謝疾患を治療するのに有用な化合物を同定する方法。
- 前記代謝疾患は、糖尿病または肥満である、請求項84に記載の方法。
- 味覚特異的ポリペプチドの活性を特異的に結合および/または調節する化合物のスクリーニングする結合または機能アッセイにおいて、表1または表2または表3に記載された遺伝子またはそれらのオルソログもしくはそれらと少なくとも90%の配列同一性を有する変異体から選択される遺伝子によってコードされる該味覚特異的ポリペプチドを使用し、該スクリーニングアッセイに基づいて、味細胞受容体の輸送、味細胞神経伝達物質放出、味覚受容体機能の自己分泌/傍分泌調節、および味細胞作用電位発生頻度/膜電位のうちの少なくとも1つに影響を与える化合物を同定する方法。
- 味覚特異的ポリペプチドの活性を特異的に結合および/または調節する化合物のスクリーニングする結合または機能アッセイにおいて、表1または表2または表3に記載された遺伝子もしくはまたはそれらのオルソログもしくはそれらと少なくとも90%の配列同一性を有する変異体から選択される遺伝子によってコードされる該味覚特異的ポリペプチドを使用し、該スクリーニングアッセイに基づいて、傷害、癌、化学療法、放射線、傷害もしくは手術後の後の味細胞消失、または加齢の結果としての味蕾消失を治療するのに有用な可能性がある化合物を同定する方法。
- 表1、2、または3に記載の少なくとも1つの遺伝子を発現する単離または精製された味覚または胃腸細胞。
- αENaC、サイトケラチン19、および/またはC6orf15をさらに発現する、請求項88に記載の前記単離された味細胞。
- T1Rを発現しない、請求項88に記載の前記単離された味細胞。
- T2Rを発現しない、請求項88に記載の前記単離された味細胞。
- PKD2L1/PKD1L3および/またはTRPM5を発現しない、請求項88に記載の前記単離された味細胞。
- ヒトである、請求項88に記載の前記単離された味細胞。
- T1R、T2R、またはPKD2L1/PKD1L3を発現しない、請求項88に記載の前記単離された味細胞。
- 幹細胞に関連した遺伝子を発現する、請求項88に記載の前記単離された味細胞。
- TNF、MIF、インターフェロン、およびインターロイキンから選択されるサイトカイン遺伝子を発現する、請求項88に記載の前記単離された味細胞。
- 増殖因子を発現する、請求項88に記載の前記単離された味細胞。
- ガストデューシンまたはトランスデューシンを発現する、請求項88に記載の前記単離された味細胞。
- ガストデューシンまたはトランスデューシンを発現しない、請求項88に記載の前記単離された味細胞。
- 表1、2、または3に含有される少なくとも1つの遺伝子または該遺伝子またはそのオルソログに少なくとも90%の同一性であるタンパク質をコードする遺伝子の発現または発現しない場合に基づいて、所望される味細胞型または系譜を含む混合細胞集団または細胞懸濁液内に含有される少なくとも1つの所望される味細胞サブタイプまたは系譜を単離、精製、濃縮、および/または標識する細胞単離、精製、濃縮、または標識技術において、表1、表2または表3に含有される少なくとも1つの遺伝子またはそのオルソログもしくはそれらと少なくとも90%の同一性のタンパク質をコードする変異体を使用する方法。
- 前記所望される味細胞サブタイプまたは味細胞系譜は、蛍光標示式細胞分取器(fluorescence activated cell sorter:FACS)の使用を含む方法によって単離、精製、濃縮、または標識される、請求項100に記載の方法。
- 前記所望される味細胞サブタイプまたは味細胞系譜は、標識電磁ビーズの使用を含む方法によって単離、精製、濃縮、または標識される、請求項100に記載の方法。
- 前記混合細胞集団または細胞懸濁液は、酵素消化および/または味細胞を含有する組織の組織分離によって生成される、請求項100に記載の方法。
- 前記細胞は、舌、口腔、胃腸管もしくは随伴器官、または尿路のうちの少なくとも1つに由来する、請求項103に記載の方法。
- 前記所望される味細胞サブタイプまたは味細胞系譜は、表1、2、または3に含有される少なくとも1つの遺伝子の発現または発現しない場合に基づいて、少なくとも1つの非標的味細胞サブタイプまたは系譜を除去する陰性細胞選択技術を含む方法によって、単離、精製、濃縮または標識される、請求項100に記載の方法。
- 前記方法は、少なくとも1つの非標的細胞型または系譜を特異的に死滅させるために細胞傷害抗体を使用する、請求項100に記載の方法。
- 前記濃縮、単離、精製または標識された味細胞サブタイプまたは系譜は、甘味細胞を含む、請求項100に記載の方法。
- 前記濃縮、単離、精製または標識された味細胞サブタイプまたは系譜は、うま味細胞を含む、請求項100に記載の方法。
- 前記濃縮、単離、精製または標識された味細胞サブタイプまたは系譜は、苦味細胞を含む、請求項100に記載の方法。
- 前記濃縮、単離、精製または標識された味細胞サブタイプまたは系譜は、酸味細胞を含む、請求項100に記載の方法。
- 前記濃縮、単離、精製または標識された味細胞サブタイプまたは系譜は、塩味細胞を含む、請求項100に記載の方法。
- 前記濃縮、単離、精製または標識された味細胞サブタイプまたは系譜は、脂肪味細胞を含む、請求項100に記載の方法。
- 前記濃縮、単離、精製または標識された味細胞サブタイプまたは系譜は、味覚幹細胞を含む、請求項100に記載の方法。
- 前記濃縮、単離、精製または標識された味細胞サブタイプまたは系譜は、味細胞ニューロンを含む、請求項100に記載の方法。
- 前記濃縮、単離、精製または標識された味細胞サブタイプまたは系譜は、味覚免疫細胞を含む、請求項100に記載の方法。
- 味覚調節化合物をスクリーニングする方法において、請求項100〜112のいずれか1項に従って単離、精製、濃縮または標識された細胞を使用する方法。
- 1つ以上の味細胞系譜もしくはサブタイプまたは味蕾への、濃縮、単離、精製または標識された味覚幹細胞の分化を誘発する化合物をスクリーニングする方法において、請求項113に従って生成された該単離、濃縮、精製または標識された味覚幹細胞を使用する方法。
- 前記味細胞系譜またはサブタイプは、表1、2、または3に含有される少なくとも1つの味覚特異的遺伝子の発現または発現しない場合に基づいて同定される、請求項117に記載の方法。
- 請求項100〜118のいずれか1項に従って生成された、単離、精製、濃縮または標識された味細胞系譜またはサブタイプ。
- 甘味、うま味、苦味、酸味、塩味、脂肪味、もしくは金属味細胞または味細胞ニューロン、免疫もしくは幹細胞を含む、請求項119に記載の前記単離、精製、濃縮または標識された細胞系譜またはサブタイプ。
- ヒトである、請求項119に記載の前記単離、精製、濃縮または標識された細胞系譜またはサブタイプ。
- ヒト舌、口腔、胃腸管もしくは随伴器官、または尿路もしくは泌尿器に由来する、請求項119に記載の前記単離、精製、濃縮または標識された細胞系譜またはサブタイプ。
- 甘味、うま味、苦味、酸味、脂肪味、塩味または金属味のうちの少なくとも1つを調節する化合物をスクリーニングするアッセイにおける、請求項119による味覚特異的細胞の使用。
- 味細胞分化または代謝回転を調節する化合物をスクリーニングする方法における請求項119による細胞の使用。
- 消化機能のうちの1つ、味細胞代謝回転、食物感知、経口免疫、食欲、胃腸代謝疾患、栄養吸収、栄養排泄、消化液、ペプチド、酵素もしくはホルモン分泌、味覚受容体輸送、または自己免疫性、腫瘍性もしくは炎症性胃腸疾患もしくは障害のうちの少なくとも1つを調節または治療する化合物をスクリーニングするアッセイにおける、請求項119による味細胞の使用。
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