JP2009538120A - 四量体化ポリペプチドおよび使用方法 - Google Patents

四量体化ポリペプチドおよび使用方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、血管拡張作用因子刺激リンタンパク質(VASP)ドメインと異種タンパク質とを含む融合タンパク質をコードする発現ベクターで形質転換またはトランスフェクトされた宿主細胞を培養する段階を含む、四量体タンパク質を調製する方法に関する。一つの態様において、異種タンパク質は膜タンパク質であり、融合タンパク質に含まれる異種タンパク質部分は、そのタンパク質の細胞外ドメインであり、得られる融合タンパク質は可溶性である。本方法を用いて、ホモおよびヘテロ四量体タンパク質を生成することができる。本発明はまた、本方法において用いられるDNA分子、発現ベクター、および宿主細胞、ならびに本方法によって生成される融合タンパク質を包含する。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2006年4月13日に出願された米国仮出願第60/791,626の恩典を主張し、これは参照により本明細書に組み入れられる。
発明の背景
本発明の多量体化ポリペプチドの四次構造の基本構成要素は、コイルドコイルである(Muller et al., (2000) Meth.Enzymol. 328: 261-283(非特許文献1)に概説される)。コイルドコイルは、緩やかにねじれたロープ状の束の形状をとるタンパク質ドメインである。この束には、2〜5のαヘリックスが、平行または逆平行の配向で含まれる。多くのコイルドコイル配列の重要な特徴は、7残基、すなわち7つ組(heptad)反復(通常(abcdefg)nと表示される)であり、1番目の(a)と4番目の(d)の位置は通常疎水性アミノ酸が占めている。コイルドコイル構造の残りのアミノ酸は、一般に極性であり、らせん構造を乱すその作用のため通常プロリンは除外される。
この特徴的な7つ組反復(3,4疎水性反復としても公知)は、コイルドコイルドメインの構造を形成するものであり、各残基は約100°で曲線を描く。この結果、7つ組反復の7残基は、完全な2回転に約27°足りない。このずれが、αヘリックスに沿う残基の緩やかな左巻き疎水性ストライプを形成し、これらの疎水性ストライプが会合する場合にコイルドコイル構造が形成される。非極性残基の規則的な3,4スペーシングからずれることで、αヘリックス軸に対する疎水性ストライプの角度が変化し、ヘリックスの交角が改変され、四次構造が不安定になる。言い換えると、完全回転に満たないかまたはそれを超える疎水性パッチを含むヘリックスが互いに会合する場合に、スーパーコイル(左または右のいずれか)が形成される。7つ組反復により、疎水性パッチは完全な2回転には達せず、会合の際に左巻きのスーパーコイルが形成される。
7つ組反復が、コイルドコイル配列において見出されかつ研究されている反復構造の最も一般的な長さであるが、他の長さの反復もまた可能である。具体的には、微生物スタフィロサーマスマリナス(Staphylohthermus marinus)由来のテトラブラチオン(tetrabrachion)タンパク質で、11残基の反復が見出された(Peters et al. (1996) J. Mol. Biol. 257:1031(非特許文献2))。このタンパク質は、わずかに右巻きのスーパーコイルを伴う平行な4本鎖のコイルドコイルを有する。なお大きな反復が、血管拡張作用因子刺激リンタンパク質(VASP)のドメイン内で観察され、これは四量体形成に関与するタンパク質の領域内に15残基の反復を含む(Kuhnel et al. (2004) Proc. Natl. Acad. Sci. 101:17027(非特許文献3))。一般的な7つ組反復のコイルドコイル構造とは対照的に、15残基反復に対するスーパーコイル形成は、左巻きよりむしろ右巻きであるが、同程度である。
コイルドコイルドメイン配列を、他の異種タンパク質配列と融合することで、多様な実験目的が達成されてきた。1つの一般的な用途は、天然のオリゴマー形成ドメインを異種配列で置換して、オリゴマー形成の状態、安定性、および/または結合活性を改変することである。他の多量体標的に効果的に結合させるため、天然では会合しない親和性が低い単量体を、オリゴマー形成させることができる。さらに、オリゴマー形成ドメインの融合を用いて、組換えタンパク質生成では達成することが困難な天然のタンパク質の活性化状態を模倣することができる(例えばPullen et al. (1999) Biochem.94:6032(非特許文献4)を参照されたい)。関心対象のタンパク質の細胞外(細胞質)または細胞内部分など特定のドメインのみを生成する場合、このアプローチが特に効果的である。一般的に、コイルドコイルは、大きな三次元空間への融合をもたらす柔軟なリンカーを介して、関心対象のタンパク質に遺伝的に融合される。結晶化に用いられるような比較的強固な分子を必要とする実験目的のために、直接的な融合が用いられる。
ミオシンおよびトロポミオシンなど大きな構造タンパク質(TM43, Lau et al. J Biol Chem; 259: 13253-13261(非特許文献5))、コレクチンとして公知のタンパク質群(Hoppe et al. (1994) Protein Sci; 3:1143-1158(非特許文献6))、または酵母転写活性化タンパク質GCN4-p1などDNA調節タンパク質の二量体化領域(Landschulz et al. (1988) Science; 240:1759-1764(非特許文献7))の構造情報に基づき、多くのコイルドコイルモデルシステムが開発されてきた。この最後の構造は、しばしば「ロイシンジッパー」またはLZと呼ばれる。TM43由来の誘導体モデルシステムが作製されており、具体的には7つ組1つ当たり1つのロイシンがフェニルアラニンに変えられている。この構造は、「フェニルアラニンジッパー」またはFZとして公知である(Thomas et al. Prog Colloid Polymer Sci; 99:24-30(非特許文献8))。LZの周知の誘導体の3番目のタイプは、イソロイシンジッパー(IZ)である(Harbury et al. (1994) Nature 371:80-83(非特許文献9))。
コイルドコイルモデルの重要な制約条件は、発現宿主内で産生される能力である。コイルドコイル構造内にジスルフィド結合がないことは、異種発現システム内でのそれらの産生を助ける。しかしながら、新たに設計された配列は、タンパク質分解に感受性である傾向がある。有効に発現された場合でさえ、天然の配列と比較して相対的に有効性を欠くことが、タンパク質の相互作用に関与する可変部分全てに関して現在の知識に隙間をもたらしている(Arndt et al. (2002) Structure 10:1235-1248(非特許文献10))。さらに、産生される融合タンパク質の目的が、生物学的に機能的なタンパク質である場合、モデル配列の使用は問題がある。
上記のように、このタンパク質が15残基(15個組(quindecad))の反復を含有する四量体化領域を含むことが、結晶化を介して示される。この15残基反復は、7つ組反復から得られる左巻きコイルドコイルと同程度のスーパーコイルを有する平行右巻きコイルドコイル構造をもたらす(図2を参照されたい)。この構造は、塩橋、特に荷電した2つのアミノ酸残基間で形成される強い水素結合によってさらに安定化される。
より詳細には、2つの連続した15反復がタンパク質内に見られ、7つ(a、b、d、e、f、j、およびoの位置)は2つの反復間で同一であり、4つ(c、h、i、およびlの位置)は、置換アミノ酸残基の電荷および/または疎水性を保存する保存的変化である。15残基反復は、a、d、h、およびlの位置で、反復した疎水性残基の顕著なパターンを有する。これらの残基にeの位置のリシンの脂肪族部分を加えて、VASP四量体化ドメインの疎水性コアが構成される。15残基反復では、αヘリックス相の増大が、完全4回転を約44?超える。これはこのタンパク質の疎水性領域が会合する場合を意味し、αヘリックスを含む7つ組反復の左巻きスーパーヘリックスと異なることはない程度の右巻きスーパーヘリックスをもたらす。VASP構造と一般的なロイシンッパー(GCN4-pLI)との比較を、図2に示す。
このドメインの構造を発現させる別の方法は、2つの4残基スタッター(stutter)を伴う1つの7つ組反復である。1つまたは複数のスタッター(挿入を指す専門用語)は、7つ組を含む多くのコイルドコイルに見出され、左巻きコイルドコイルの「巻き戻し」または部分的に右巻きのねじれさえも引き起こすことができる(例えばBrown et al. (1996) Proteins 26:134(非特許文献11)を参照されたい)。そのため、VASP四量体化ドメインは、規則的に反復する4つのアミノ酸スタッターが隣接する7つ組の反復として記載することができる。スタッターにより、右巻きスーパーコイルが形成される。したがって、7つ組を3, 4疎水性反復と称する場合、VASPドメインを4, 3, 4, 4疎水性反復と呼ぶことができ、真ん中の3, 4が7つ組の部分を表す。
当技術分野では、天然の四量体化配列を、生物学的に活性な組換え融合タンパク質の産生における使用に適応させる必要性が残されている。したがって、本出願は、組換えタンパク質の分野において四量体化に有用なポリヌクレオチドおよびポリペプチドを記載する。
Muller et al., (2000) Meth.Enzymol. 328: 261-283 Peters et al. (1996) J. Mol. Biol. 257:1031 Kuhnel et al. (2004) Proc. Natl. Acad. Sci. 101:17027 Pullen et al. (1999) Biochem.94:6032 Lau et al. J Biol Chem; 259: 13253-13261 Hoppe et al. (1994) Protein Sci; 3:1143-1158 Landschulz et al. (1988) Science; 240:1759-1764 Thomas et al. Prog Colloid Polymer Sci; 99:24-30 Harbury et al. (1994) Nature 371:80-83 Arndt et al. (2002) Structure 10:1235-1248 Brown et al. (1996) Proteins 26:134
発明の概要
本発明は、多量体タンパク質、好ましくは四量体タンパク質を調製する方法に関し、本方法は、血管拡張作用因子刺激リンタンパク質(VASP)ドメインと異種タンパク質とを含む融合タンパク質をコードする発現ベクターで形質転換またはトランスフェクトされた宿主細胞を培養する段階を含む。一つの態様において、異種タンパク質は膜タンパク質であり、融合タンパク質に含まれる異種タンパク質部分は、そのタンパク質の細胞外ドメインであり、得られる融合タンパク質は可溶性である。そのような1つの態様は、膜貫通の共刺激性分子であるB7H1(プログラム細胞死1リガンド1またはPCD1L1としても公知)の細胞外ドメインで構成される。別のそのような分子であるzB7R1(SEQ ID NO:18)も使用することができる。さらなる態様において、融合タンパク質はリンカー配列を含む。本発明のなお別の態様において、VASPドメインを用いて同様のタンパク質構造パターンを有する配列を同定することができ、これらの類似のドメインを用いて異種タンパク質またはタンパク質ドメインを多量体化する融合タンパク質を作製する。
本発明のさらなる態様は、VASPドメインおよび異種タンパク質またはタンパク質ドメインを含む融合タンパク質をコードする、少なくとも1つ、最大4つの異なる発現ベクターで形質転換またはトランスフェクトされた宿主細胞を培養することによって、可溶性のホモまたはヘテロ四量体タンパク質を調製する方法である。この態様において、4つのVASPドメインが優先的に、ホモまたはヘテロ四量体を形成する。同じかまたは異なる宿主細胞内で、この培養を行うことができる。VASPドメインは、同じであっても異なってもよく、融合タンパク質はさらにリンカー配列を含むことができる。一つの特定の態様において、ホモ四量体タンパク質を形成するのに用いるタンパク質は、B7H1(PCD1L1)の細胞外ドメインである。別の態様において、zB7R1の細胞外ドメインを用いる(SEQ ID NO:19)。本発明はまた、本方法において利用できるDNA配列、発現ベクター、および形質転換宿主細胞、ならびに本方法によって生成される融合タンパク質を包含する。
これらおよび他の本発明の局面は、以下により十分に記載する本発明の詳細を読むことで、当業者には明らかになると考えられる。
本明細書で引用する全ての参考文献は、その全体が参照により組み入れられる。
発明の詳細な説明
本発明は、血管拡張作用因子刺激リンタンパク質(VASP)ドメインと異種タンパク質とを含む融合タンパク質をコードする発現ベクターで形質転換またはトランスフェクトされた宿主細胞を培養することによって、多量体タンパク質、好ましくは四量体タンパク質を調製する方法を提供する。本発明は、特定のタンパク質に由来する四量体化配列が、高い生理活性を持つ融合タンパク質をもたらすという知見に基づく。この所見は、融合タンパク質の生成方法の開発を可能にし、本方法を利用して、それらの生物活性を保持したホモまたはヘテロ四量体タンパク質を生成することができる。
定義
本特許出願において、「融合タンパク質」という用語は、配列が少なくとも2つの異なる遺伝子供給源に由来するタンパク質を表すために、本明細書中で用いる。この配列は、少なくとも2つの異なる遺伝子由来の配列を含む1つのタンパク質へと転写および翻訳されるように、遺伝子操作される。本発明では、1つの遺伝子供給源は、15残基の反復配列(血管拡張作用因子刺激リンタンパク質すなわちVASPドメインとして公知)であり、追加の1つまたは複数の遺伝子供給源は、1つまたは複数の異種遺伝子である。融合タンパク質はまた、通常VASPドメインと異種タンパク質配列との間に位置するリンカー配列を含むことができる。
「異種」という用語は、VASPドメインの15残基の反復配列と共には、天然にはコードされず発現もされないポリヌクレオチドまたはタンパク質を表すために用いる。VASPドメインは、ヒト配列に由来しても、他の種由来の配列と同等であってもよく、このタンパク質以外の任意の遺伝子供給源は異種であると見なす。異種タンパク質は、全長タンパク質またはタンパク質の特定のドメインであってよい。本発明の異種タンパク質は、膜結合タンパク質および可溶性タンパク質の両方、ならびにそれらのドメインを包含する。
「ポリヌクレオチド」および「核酸分子」という用語は本明細書で互換的に用いられ、任意の長さの重合型のヌクレオチドを意味する。ポリヌクレオチドには、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、および/またはそれらの類似体が含まれてもよい。ヌクレオチドは、任意の三次元構造を有してもよく、既知または未知の任意の機能を実行してもよい。「ポリヌクレオチド」という用語には、一本鎖、二本鎖、および三重らせん分子が含まれる。「オリゴヌクレオチド」は一般に、約5〜約100ヌクレオチドの一本鎖または二本鎖DNAのポリヌクレオチドを指す。しかしながら、この開示の目的のためには、オリゴヌクレオチドの長さに上限はない。オリゴヌクレオチドはまた、オリゴマーまたはオリゴとして公知であり、遺伝子から単離されても、当技術分野で公知の方法によって化学的に合成してもよい。
下記は、ポリヌクレオチドの非制限的な態様である:遺伝子または遺伝子断片、エクソン、イントロン、mRNA、tRNA、rRNA、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分枝ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離されたDNA、任意の配列の単離されたRNA、核酸プローブ、およびプライマー。核酸分子には、メチル化核酸分子など改変核酸分子、および核酸分子類似体が含まれてもよい。プリンおよびピリミジンの類似体が、当技術分野では公知である。核酸は、天然(例えばDNAまたはRNA)であってもよく、または当技術分野で公知であるような合成された類似体であってもよい。そのような類似体は、アッセイ条件下で優れた安定性を持つことから、プローブとして使用するのに好ましい可能性がある。天然の構造の改変(バックボーン、糖、または複素環塩基の改変を含む)は、細胞内安定性および結合親和性を増大することが示されている。バックボーンの化学面における有用な変化としては、ホスホロチオエート;非架橋性酸素が両方ともイオウで置換されたホスホロジチオエート;ホスホロアミダイト;アルキルホスホトリエステル、およびボラノリン酸(boranophosphate)がある。アキラル性リン酸誘導体には、3'-O'-5'-S-ホスホロチオエート、3'-S-5'-O-ホスホロチオエート、3'-CH2-5'-O-ホスホネート、および3'-NH-5'-O-ホスホロアミダイトが含まれる。ペプチド核酸では、リボースホスホジエステルバックボーンの全体がペプチド結合によって置換される。
安定性および親和性を高めるために糖修飾も用いる。天然のβ-アノマーに対して塩基が反転しているαアノマー型のデオキシリボースを用いてもよい。リボース糖の2'-OHを変化させ、親和性を生じずに分解に対する耐性が得られる2'-O-メチルまたは2'-O-アリル糖を形成させることも可能である。
複素環式塩基の修飾では、適切な塩基対形成を維持する必要がある。いくつかの有用な置換には、デオキシウリジンによるデオキシシチジンの置換、5-メチル-2'-デオキシシチジンと5-ブロモ-2'-デオキシシチジンによるデオキシシチジンの置換が含まれる。5-プロピニル-2'-デオキシウリジンおよび5-プロピニル-2'-デオキシシチジンによってデオキシチミジンおよびデオキシシチジンを置換した場合には、それぞれ親和性および生物活性が高まることが示されている。
「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語は本明細書で互換的に用いられ、任意の長さの重合型アミノ酸を意味し、これにはコード化されているアミノ酸およびコード化されていないアミノ酸、化学的または生化学的に修飾または誘導体化されたアミノ酸、ならびに修飾ペプチドバックボーンを有するポリペプチドを含むことができる。この用語には融合タンパク質が含まれ、これは異種アミノ酸配列との融合タンパク質、異種および同種リーダー配列との融合、N末端メチオニン残基を有するまたは有しないもの、免疫学的タグ付加タンパク質などを含むがこれらに限定されない。
「実質的に単離された」または「単離された」ポリヌクレオチドとは、天然では会合している配列を実質的に含まないポリヌクレオチドである。実質的に含まないとは、天然では会合している物質を少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、およびなおより好ましくは少なくとも90%含まないことを意味する。本明細書で用いる場合、「単離された」ポリヌクレオチドはまた、組換えポリヌクレオチドを指し、これは、起源または操作の理由から、(1)天然では会合しているポリヌクレオチドの全てまたは一部と会合しない、(2)天然で結合しているもの以外のポリヌクレオチドに結合する、または(3)天然では出現しない。
ハイブリダイゼーション反応は様々な「ストリンジェンシー」の条件下で行うことができる。ハイブリダイゼーション反応のストリンジェンシーを高める条件は、当技術分野で広く知られ、刊行されている。例えば、Sambrook et al. (1989)を参照されたい。妥当な条件の例には、以下が含まれる(ストリンジェンシーを増大させる順に記載):インキュベーション温度25℃、37℃、50℃、および68℃;緩衝液濃度10×SSC、6×SSC、1×SSC、0.1×SSC(SSCは0.15M NaClおよび15mMクエン酸緩衝液である)および他の緩衝系を用いたその等価物;ホルムアミド濃度0%、25%、50%、および75%;インキュベーション時間5分間〜24時間;1回、2回またはそれ以上の洗浄工程;洗浄インキュベーション時間1、2または15分間;および洗浄溶液6×SSC、1×SSC、0.1×SSC、または脱イオン水。ストリンジェントな条件の例は、50℃以上、0.1×SSC(9 mM NaCl/0.9 mMクエン酸ナトリウム)中でのハイブリダイゼーションおよび洗浄である。
「Tm」とは、ワトソン-クリックの塩基対形成によって逆平行方向に水素結合した相補鎖から構成されるポリヌクレオチド二重鎖の50%が、実験条件下で一本鎖に解離する摂氏温度のことである。Tmは、以下のような標準式に従って予測してもよい。式中、[X+]はmol/L単位での陽イオン濃度(通常はナトリウムイオン、Na+)であり、(%G/C)は二重鎖中の全残基に占めるG残基とC残基の割合であり、(%F)は溶液中のホルムアミドの比率であり(wt/vol)、Lは二重鎖の各鎖中のヌクレオチドの数である。
DNA/DNAおよびDNA/RNAハイブリダイゼーションの双方に関するストリンジェントな条件は、Sambrook et al. Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989に記載されており、これは参照により本明細書に組み入れられる。例えば、Sambrook et al.の7.52頁を参照されたい。
「宿主細胞」という用語は、本発明の任意の組換えベクターまたは単離されたポリヌクレオチドのレシピエントとなりうる、またはレシピエントとなってきた、個々の細胞または細胞培養物が含まれる。宿主細胞には単一の宿主細胞の子孫が含まれ、子孫は自然な、偶発的な、または計画的な変異および/または変化に起因して、最初の親細胞と(形態または総DNA相補物に関して)必ずしも完全に同一でない可能性がある。宿主細胞には、インビボまたはインビトロで、本発明の組換えベクターまたはポリヌクレオチドによるトランスフェクションまたは感染を受けた細胞が含まれる。本発明の組換えベクターを含む宿主細胞は、「組換え宿主細胞」である。
「分泌シグナル配列」という用語は、より大きいポリペプチドの成分として、より大きいポリペプチドを、それが合成される細胞の分泌経路に向けるポリペプチド(「分泌ペプチド」)をコードするDNA配列を指す。より大きいペプチドは通常切断され、分泌経路を通って移動する際に分泌ペプチドが除去される。
「アフィニティタグ」という用語は、本明細書において、第二のポリペプチドに結合させて、第二のポリペプチドの精製または検出を提供するまたは基質に対する第二のポリペプチドの結合部位を提供することができるポリペプチドセグメントを指すために用いる。原則的に、抗体または他の特異的結合物質が利用可能であるいかなるペプチドまたはタンパク質も、アフィニティタグとして用いることができる。アフィニティタグには、ポリヒスチジントラクト、プロテインA(Nilsson et al., EMBO J. 4:1075, 1985; Nilsson et al., Methods Enzymol. 198:3, 1991)、グルタチオンS トランスフェラーゼ(Smith and Johnson, Gene 67:31, 1988)、Glu-Gluアフィニティタグ(Grussenmeyer et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:7952-4, 1985)、サブスタンスP、Flag(商標)ペプチド(Hopp et al., Biotechnology 6:1204-10, 1988)、ストレプトアビジン結合ペプチド、または他の抗原エピトープもしくは結合ドメインが含まれる。概してFord et al., Protein Expression and Purification 2: 95-107, 1991を参照されたい。アフィニティタグをコードするDNAは、供給業者(例えば、Pharmacia Biotech, Piscataway, NJ)から購入できる。
「アミノ末端」(N末端)および「カルボキシ末端」(C末端)という用語は、本明細書においてポリペプチド内の位置を示すために用いる。文脈によって、これらの用語は、ポリペプチドの特定の配列もしくは部分に関して近接した位置または相対的位置を指すために用いる。例えば、ポリペプチド内の参照配列に対してカルボキシル末端に位置するある配列は、参照配列のカルボキシル末端の近位に位置するが、必ずしも完全なポリペプチドのカルボキシル末端に存在するわけではない。
本明細書で用いる「治療」、「治療すること」などの用語は、所望の薬理学的および/または生理学的な効果を得ることを指す。該効果は、疾患またはその症状の完全または部分的な防止という点で予防的であってもよく、かつ/または、疾患および/もしくは該疾患に起因する有害作用に関する部分的または完全な治癒という点で治療的であってもよい。本明細書で用いる「治療」とは、哺乳動物、特にヒトにおける疾患の全ての治療を包含し、以下の段階を含む:(a)疾病の素因を持ちうるが、それを有するとまだ診断されていない対象において、疾病の発症を防止する段階; (b)疾病を阻害する、すなわち、その進行を阻止する段階;および(c)疾病を緩和する、すなわち、疾病を後退させる段階。
「個体」、「対象」、および「患者」という用語は本明細書で互換的に用いられ、マウス、サル、ヒト、哺乳動物の家畜、哺乳動物の競技動物、および哺乳動物のペットを含むがこれらに限定されない哺乳動物を指す。
血管拡張作用因子刺激リンタンパク質(VASP)ドメイン
本発明は、多量体、好ましくは四量体タンパク質(VASPドメインと異種タンパク質ドメインを含む融合タンパク質を含む)を生成する方法である。VASPドメインは、多くの種に存在するVASP遺伝子に由来する。コイルドコイルタンパク質構造が、多量体タンパク質型を形成する能力に重要であることから、配列は、この構造を形成するそれらの予想される能力について選択される。特に、四量体タンパク質構造を生成するコイルドコイルタンパク質の能力が、本発明には望ましい。特に好ましい態様では、ヒトVASP配列のアミノ酸343〜376位(SEQ ID NO:2のアミノ酸5〜38位)を利用する。このタンパク質の全長DNA配列は、SEQ ID NO:16であり、このタンパク質の全長ポリペプチド配列はSEQ ID NO:17である。
多量体化配列の他のタイプ(例えばロイシンジッパー)による研究により、限定された数の保存アミノ酸置換(d残基でさえ)がしばしば、分子が多量体化する能力を失わずにジッパー配列内で許容されることが示されてきた(Landschultz et al., (1989)、上記)。したがって、VASPドメインに対する天然の配列を保存的に変化させることは、本発明の範囲内であることが企図される。コイルドコイル構造で許容されると予想される保存的変化を、表1に示す。
(表1)保存的アミノ酸置換
塩基性:アルギニン
リシン
ヒスチジン
酸性: グルタミン酸
アスパラギン酸
極性: グルタミン
アスパラギン
疎水性:ロイシン
イソロイシン
バリン
メチオニン
芳香族:フェニルアラニン
トリプトファン
チロシン
小型: グリシン
アラニン
セリン
スレオニン
メチオニン
複数の融合タンパク質を用いてヘテロ多量体タンパク質(例えばヘテロ四量体)を生成する場合、用いるVASPドメインは、両方の融合タンパク質に対して同じドメインであるか、または互いに会合して多量体タンパク質を形成する能力を有する限り、異なるVASPドメインであり得る。
機能に関する考慮(すなわち、異種タンパク質がI型膜タンパク質であるか、II型膜タンパク質であるか)および構築物の構築の容易さに基づき、VASPドメインを、関心対象の異種タンパク質のNまたはC末端のいずれかに配置することができる。さらに、VASPドメインを、タンパク質の真ん中に配置することで、1つ目の異種配列、VASPドメイン、および2つ目の異種配列を有する二重融合タンパク質を効果的に作製することができる。二重融合タンパク質に対する2つの異種配列は、同じであっても異なってもよい。
異種タンパク質−関心対象のタンパク質
関心対象の異種タンパク質はまず、そのタンパク質の多量体(特に四量体)タイプを生成したいという要求に基づいて選択される。さらに、異種タンパク質の可溶性ドメインのみを利用することで、膜貫通タンパク質を可溶性形態で生成することができる。本発明で特に関心がもたれるのは、関心対象の生物学的に活性なタンパク質を生成することである。通常活性のために多量体(例えば四量体)を利用するタンパク質の1つのファミリーは、B7ファミリーであり、これはCarino et al., Annu. Rev. Immunol. (2002) 20: 29およびより近年にはGreenwald et al., Annu. Rev. Immunol. (2005) 23: 515に概説されている。これらのファミリーに関与する遺伝子は、T細胞の活性化と耐容性とを制御する免疫系において重要な役割を担う。このファミリーの遺伝的な関連性は、陽性シグナル(活性化)および下方制御シグナル(非活性化)の両方が存在するという点で複雑である。
このファミリーの主要なメンバーは、タンパク質B7H1(PCD1L1またはPD-L1としても公知)であり、これはB細胞、マクロファージ、樹状細胞、およびT細胞で発現する。B7H1はまた、内皮組織内のリンパ系細胞外および多くの種類の腫瘍細胞でも発現する。このタンパク質、および交差受容体PD-1との相互作用は、自己免疫疾患、喘息、感染性疾患、移植、および腫瘍免疫を含むいくつかの疾患状態と関連している。これは290アミノ酸を有するI型膜タンパク質であり、その配列はDong et al. (1999) Nature Med. 5: 1365で報告されている。この構造は、18アミノ酸のシグナル配列、221アミノ酸の細胞外領域、21アミノ酸の膜貫通領域、および31アミノ酸の細胞質領域を含む。このタンパク質の全長DNA配列は、SEQ ID NO:13であり、全長ポリペプチド配列はSEQ ID NO:14である。機能を維持しながらこれらのタンパク質を大量に生成する能力は、正常組織および罹患組織内のこのタンパク質ファミリーの詳細な機能を完全に理解する上で、律速段階である。
リンカー配列、アフィニティタグ配列、およびシグナルペプチド
関心対象のタンパク質は、他のタンパク質に直接結合して、融合タンパク質を形成してもよい;またはこれらのタンパク質は、生物活性に必要な適切な二次構造および三次構造を形成するのに十分な距離をとってもよい。適したリンカー配列は、柔軟な長いコンフォメーションをとり、融合タンパク質の機能的ドメインと相互作用すると考えられる秩序立った二次構造を生じる傾向を示さず、かつ融合タンパク質の機能を干渉するとも考えられる疎水性または荷電性質を最小限有する。異種配列のNまたはC末端を厳密に制限することが、生物学的に活性なタンパク質を生成するにあたって最善の方策ではない可能性があるため、リンカー配列は、15残基反復を考慮して構築されるべきである。これらの考慮が及ばないところで、リンカー配列の長さは、融合タンパク質の生物活性に有意な影響を及ぼさずに変化する場合がある。アフィニティタグとシグナルペプチドとを含む融合タンパク質(または発現構築物)の任意および全ての構成要素間で、リンカー配列を用いることができる。リンカーの例には、GSGG配列(SEQ ID NO:11)がある。
融合タンパク質のさらなる構成要素は、アフィニティタグであり得る。そのようなタグは、融合タンパク質の生物活性を改変せず、抗原性が高く、かつ特異的結合分子(例えばモノクローナル抗体)によって可逆的に結合することができるエピトープを提供し、これは発現した融合タンパク質の迅速な検出と精製を可能にする。タンパク質が大腸菌(E. coli)などの細菌内で産生される場合、アフィニティタグは細胞内分解に対する耐性を伝えることもできる。例示的なアフィニティタグには、FLAGタグ(SEQ ID NO: 15)またはHIS6タグ(SEQ ID NO: 12)がある。精製のためにこのアフィニティタグを利用して融合タンパク質を生成する方法は、米国特許第5,011,912号に記載される。
融合タンパク質のなおさらなる構成要素は、シグナル配列またはリーダー配列であり得る。一般にこれらの配列を利用して、発現の際に融合タンパク質を宿主細胞から分泌させることができる。これらの配列は、リーダー配列、プレプロ配列、またはプレ配列としても公知である。分泌シグナル配列は、そのような配列を有しているならば、産生される異種タンパク質のものであってもよく、または分泌された他のタンパク質(例えばt-PA)に由来しても、新たに合成してもよい。分泌シグナル配列は、融合タンパク質のDNA配列に機能的に連結する。すなわち、二つの配列を正確な読み取り枠で結合して、新しく合成されたポリペプチドを宿主細胞の分泌経路に向けるように配置する。分泌シグナル配列は、通常関心対象のポリペプチドをコードするDNA配列の5’に位置するが、特定のシグナル配列は、関心対象のDNA配列内の他の位置にあってもよい(例えば、Welch et al., 米国特許第5,037,743号; Holland et al., 米国特許第5,143,830号を参照されたい)。
VASP-異種融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドの調製
上記の通り、本発明の核酸組成物は、VASP-異種融合タンパク質の全てまたは一部を調製する際の用途が見出される。対象のポリヌクレオチド(cDNAまたは全長遺伝子を含む)を用いて、部分的または完全遺伝子産物を発現させることができる。対象のポリヌクレオチドを含む構築物を、合成により生成することができる。または、多くのオリゴデオキシリボヌクレオチドからの遺伝子および全プラスミドの一段階アッセンブリーは、例えばStemmer et al., Gene (Amsterdam) (1995) 164(1):49-53に記載されている。本方法では、アッセンブリーPCR(多くのオリゴデオキシリボヌクレオチド(オリゴ)からの長いDNA配列の合成)を記載する。この方法は、DNAシャッフリング(Stemmer, Nature (1994) 370:389-391)に由来し、DNAライゲースには依らないが、代わりにDNAポリメラーゼによってアッセンブリーの過程で徐々に長いDNA断片を構築する。例えばSambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Ed., (1989) Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, N.Y.に記載されるような標準的な組換えDNA技術を用いて、かつ米国保健社会福祉省、国立衛生研究所(NIH)の組換えDNA研究に関するガイドラインに記載の現行の規制下で、適切なポリヌクレオチド構築物を精製する。
本明細書に提供するポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド分子を、ベクター内に配置することにより増やす。プラスミドを含むウイルス性および非ウイルス性ベクターを用いる。増幅をさせたい細胞のタイプと増幅の目的に応じてプラスミドを選択する。所望のDNA配列を増幅して大量にするために、特定のベクターが有用である。培養細胞における発現には他のベクターが適している。動物およびヒトの全身の細胞内に移入して発現させるには、なお別のベクターが適している。適切なベクターの選択は、十分に当技術分野の範囲内である。そのような多くのベクターが市販されている。典型的に、ベクター内の切断した制限酵素部位へのDNAリガーゼ接着によって、部分的または全長ポリヌクレオチドをベクター内に挿入する。または、相同組換えによってインビボで、所望のヌクレオチド配列を挿入することができる。典型的に、所望のヌクレオチド配列に隣接して相同性の領域をベクターに結合することにより、これを達成する。オリゴヌクレオチドのライゲーションによって、または例えば相同性領域と所望のヌクレオチド配列の一部の両方を含むプライマーを用いるポリメラーゼ連鎖反応によって、相同性の領域を付加する。
発現のために、発現カセットまたは発現系を用いてもよい。例えば細菌、酵母、昆虫、両生類、および哺乳動物の系を含む任意の簡便な発現系で、本発明のポリヌクレオチドによってコードされる遺伝子産物を発現させる。適したベクターおよび宿主細胞は、米国特許第5,654,173号に記載されている。発現ベクター内で、ポリヌクレオチドをコードする異種タンパク質(例えばzB7R1の細胞外ドメイン;すなわち SEQ ID NO:19)を適切に制御配列に結合させて、所望の発現特性を得る。これらには、プロモーター(センス鎖の5’端またはアンチセンス鎖の3’端のいずれかに結合している)、エンハンサー、ターミネーター、オペレーター、リプレッサー、およびインデューサーが含まれ得る。このプロモーターは、制御されていても、構成的であってもよい。ある状況では、条件的に活性なプロモーター(例えば、組織特異的または発生ステージ特異的プロモーター)を用いることが望ましい場合がある。ベクターへの結合のための上記の技術を用いて、これらを所望のヌクレオチド配列に結合する。当技術分野で公知の任意の技術を使用することができる。換言すると、発現ベクターは、コード領域が転写開始領域の転写制御下で機能的に結合した位置にあるような、誘導性または構成性のいずれでもよい転写および翻訳開始領域と、転写および翻訳終結領域とを提供すると考えられる。これらの制御領域は、VASP-異種融合タンパク質をコードするDNAにとって本来のものでよく、外因性供給源に由来するものでもよい。
発現ベクターには通常、プロモーター配列の付近に位置する好都合な制限部位があり、これにより異種タンパク質をコードする核酸配列が挿入される。発現宿主内で機能的な選択マーカーが存在してもよい。発現ベクターを融合タンパク質の産生のために用いてもよく、外因性融合ペプチドは、付加的な機能、すなわちタンパク質合成の増加、安定性、規定の抗血清との反応性、酵素マーカー(例えばβ-ガラクトシダーゼ)などを提供する。
転写開始領域、遺伝子またはその断片、および転写終結領域を含む発現カセットを調製してもよい。特に関心がもたれるのは、通常は少なくとも約8アミノ酸長、より一般的には少なくとも約15アミノ酸長から約25アミノ酸まで、最大で遺伝子の完全オープンリーディングフレームである機能的なエピトープまたはドメインの発現を可能とする配列の使用である。DNAの導入後には、構築物を含む細胞を選択マーカーによって選択し、細胞を増殖させた後に発現のために用いることができる。
VASP-異種融合タンパク質を、発現の目的に応じて、従来のやり方に従って原核生物または真核生物内で発現させることもできる。タンパク質の大規模生産のために、大腸菌、枯草菌(B. subtilis)、出芽酵母(S. cerevisiae)などの単細胞生物、バキュロウイルスベクターと組み合わせた昆虫細胞、または例えばCOS7細胞、HEK 293、CHO、アフリカツメガエル卵母細胞などの脊椎動物、特に哺乳動物など高等生物の細胞を、発現宿主細胞として用いることもできる。いくつかの状況では、多型VASPタンパク質が天然のフォールディングおよび翻訳後修飾の恩恵を受ける真核細胞内で、多型VASP核酸分子を発現させることが望ましい。小分子ペプチドを研究室で合成することも可能である。完全VASP配列のサブセットであるポリペプチドを用いて、機能のために重要なタンパク質の部分を同定および調査してもよい。
関心対象の特定の発現系には、細菌、酵母、昆虫細胞、および哺乳動物細胞に由来する発現系が含まれる。これらのカテゴリーのそれぞれの代表的な系を以下に提示する。
細菌
細菌における発現系には、以下に記載のものが含まれる:Chang et al., Nature (1978) 275:615; Goeddel et al., Nature (1979) 281:544; Goeddel et al., Nucleic Acids Res. (1980) 8:4057; EP 0 036,776; 米国特許第4,551,433号; DeBoer et al., Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) (1983) 80:21-25; およびSiebenlist et al., Cell (1980) 20:269。
酵母
酵母における発現系には、以下に記載のものが含まれる:Hinnen et al., Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) (1978) 75:1929; Ito et al., J. Bacteriol. (1983) 153:163; Kurtz et al., Mol. Cell. Biol. (1986) 6:142; Kunze et al., J. Basic Microbiol. (1985)25:141; Gleeson et al., J. Gen. Microbiol. (1986) 132:3459; Roggenkamp et al., Mol. Gen. Genet. (1986) 202:302; Das et al., J. Bacteriol. (1984) 158:1165; De Louvencourt et al., J. Bacteriol. (1983) 154:737; Van den Berg et al., Bio/Technology (1990)8:135; Kunze et al., J. Basic Microbiol. (1985)25:141; Cregg et al., Mol. Cell. Biol. (1985) 5:3376; 米国特許第4,837,148号および第4,929,555号; Beach and Nurse, Nature (1981) 300:706; Davidow et al., Curr. Genet. (1985) 10:380; Gaillardin et al., Curr. Genet. (1985) 10:49; Ballance et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. (1983) 112:284-289; Tilburn et al., Gene (1983) 26:205-221; Yelton et al., Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) (1984) 81:1470-1474; Kelly and Hynes, EMBO J. (1985) 4:475479; EP 0 244,234; ならびにWO 91/00357。
昆虫細胞
昆虫における異種遺伝子の発現は、以下に記載の通りに達成される:米国特許第4,745,051号; Friesen et al.,「The Regulation of Baculovirus Gene Expression」, The Molecular Biology Of Baculoviruses (1986) (W. Doerfler, ed.); EP 0 127,839; EP 0 155,476; およびVlak et al., J. Gen. Virol. (1988) 69:765-776; Miller et al., Ann. Rev. Microbiol. (1988) 42:177; Carbonell et al., Gene (1988) 73:409; Maeda et al., Nature (1985) 315:592-594; Lebacq-Verheyden et al., Mol. Cell. Biol. (1988) 8:3129; Smith et al., Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) (1985) 82:8844; Miyajima et al., Gene (1987) 58:273; およびMartin et al., DNA (1988) 7:99。多くのバキュロウイルス株および変種、ならびに宿主由来の対応する許容可能な昆虫宿主細胞が、Luckow et al., Bio/Technology (1988) 6:47-55, Miller et al., Generic Engineering (1986) 8:277-279, およびMaeda et al., Nature (1985) 315:592-594に記載されている。
哺乳動物細胞
哺乳動物の発現は、以下に記載の通りに達成される:Dijkema et al., EMBO J. (1985) 4:761, Gorman et al., Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) (1982) 79:6777, Boshart et al., Cell (1985) 41:521、および米国特許第4,399,216号。哺乳動物の発現の他の特徴は、以下に記載のように促進される:Ham and Wallace, Meth. Enz. (1979) 58:44, Barnes and Sato, Anal. Biochem. (1980) 102:255, 米国特許第4,767,704、第4,657,866号、第4,927,762号、第4,560,655号、WO 90/103430、WO 87/00195、および米国特許第RE 30,985号。
本発明のポリヌクレオチドまたは核酸を複製および/または発現させるために、上記の宿主細胞のいずれか、または他の適切な宿主細胞もしくは生物体を用いる場合には、その結果得られる複製された核酸、RNA、発現タンパク質またはポリペプチドは、宿主細胞または生物体の産物として本発明の範囲に含まれる。当技術分野で公知の任意の適切な手段によって、産物を回収する。
選択したポリヌクレオチドに対応する遺伝子がひとたび同定されれば、その遺伝子が本来存在する細胞でその発現を調節することができる。例えば、細胞の内因性遺伝子は、細胞における遺伝子の発現を少なくとも増強させるのに十分な位置で、細胞のゲノム中に挿入された外因性調節配列によって調節可能である。調節配列は、米国特許第5,641,670号および第5,733,761号(その開示は参照により本明細書に組み入れられる)に開示された通りに、相同組換えを介してゲノム中に組み込まれるように設計してもよく、または、WO 99/15650(その開示は参照により本明細書に組み入れられる)に記載された通りに、非相同組換えを介してゲノム中に組み込まれるように設計してもよい。
本発明のポリヌクレオチドを含むベクターおよび宿主細胞
本発明はさらに、本発明のポリヌクレオチドを含む組換えベクターおよび宿主細胞を提供する。通常、本発明の組換えベクターおよび宿主細胞を単離するが、本発明のポリヌクレオチドを含む宿主細胞が、遺伝子改変動物の一部であってもよい。
本発明はさらに、本発明のポリヌクレオチドを含む組換えベクター(「構築物」)を提供する。組換えベクターには、本発明のポリヌクレオチドの増幅に用いるベクターと、発現ベクターとが含まれる。ポリヌクレオチドの導入に有用なベクターには、哺乳動物細胞内で一時的にまたは安定に維持されるプラスミドおよびウイルスベクター(例えばレトロウイルスに基づくベクター、アデノウイルスベクターなど)が含まれる。様々なベクターを、細胞のゲノムへの遺伝子のトランスフェクションおよび/または組み込みに使用することができる。または、適した宿主細胞に遺伝子を導入するために、マイクロインジェクション、融合など、を使用してもよい。
発現ベクターには通常、プロモーター配列の付近に位置する好都合な制限部位があり、これにより異種タンパク質をコードする核酸配列が挿入される。発現宿主内で機能的な選択マーカーが存在してもよい。発現ベクターを融合タンパク質の産生のために用いてもよく、外因性融合ペプチドは、付加的な機能、すなわちタンパク質合成の増加、安定性、規定の抗血清との反応性、酵素マーカー(例えばβ-ガラクトシダーゼ)などを提供する。
転写開始領域、遺伝子またはその断片、および転写終結領域を含む発現カセットを調製してもよい。特に関心がもたれるのは、通常は少なくとも約8アミノ酸長、より一般的には少なくとも約15アミノ酸長、少なくとも約25アミノ酸、少なくとも約45アミノ酸、最大で遺伝子の完全オープンリーディングフレームである機能的なエピトープまたはドメインの発現を可能とする配列の使用である。DNAの導入後には、構築物を含む細胞を選択マーカーによって選択し、細胞を増殖させた後に発現のために用いることができる。
発現カセットを様々なベクター(例えばプラスミド、BAC、YAC、バクテリオファージ(ラムダ、P1、M13など)、動物または植物ウイルスなど)に導入してもよく、通常ベクターは、発現ベクターを含む細胞の選択を提供する能力によって特徴付けられる。ベクターは、特にプラスミドまたはウイルスとして、染色体外での維持を提供しても、または宿主染色体への組み込みを提供してもよい。染色体外での維持が望ましい場合、プラスミドの複製のために複製起点配列が提供される。これは低コピー数でも高コピー数でもよい。様々なマーカー、特に毒素から、より詳細には抗生物質から保護するマーカーが、選択に利用可能である。選んだ特定のマーカーを、宿主の性質に従って選択し、いくつかの場合では、栄養要求性宿主との相補性を用いてもよい。DNA構築物の導入には、任意の簡便な方法(例えば、接合、細菌による形質転換、カルシウム沈殿したDNA、エレクトロポレーション、融合、トランスフェクション、ウイルスベクターによる感染、微粒子銃など)を用いてもよい。
本発明はさらに、本発明の多型VASP核酸分子を含む宿主細胞(単離された宿主細胞でもよい)を提供する。適した宿主細胞には、原核生物(例えば大腸菌(E. coli)、枯草菌(B. subtilis))、真核生物(バキュロウイルスベクターと組み合わせた昆虫細胞を含む)、酵母細胞(出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)など)、または高等生物(両生類(例えばアフリカツメガエル(Xenopus laevis)卵母細胞)を含む脊椎動物)の細胞が含まれ、哺乳動物、特にヒト(例えばCOS細胞、CHO細胞、HEK293細胞など)を、宿主細胞として用いてもよい。多型VASP核酸分子を増幅する目的で、多型VASPポリペプチドの生成のために、または細胞内のVASP mRNAおよび/またはタンパク質および/または生物活性のレベルを調節する物質を特定する細胞ベースの方法において、宿主細胞を用いることができる。
VASP-異種融合タンパク質多型をコードするDNAを含むベクターの導入によって、初代またはクローン細胞および細胞株を改変してもよい。単離した多型VASP核酸分子は、1つまたは複数の変異配列(例えば通常発生する組み合わせのハプロタイプ)を含んでもよい。本発明の一つの態様において、各細胞株がVASP多型を含む二つ以上の遺伝子改変細胞株のパネルを、基質および/または発現アッセイのために提供する。パネルは、他の遺伝的配列により遺伝子改変された細胞をさらに含んでもよい。他の遺伝的配列には、多型、特に遺伝薬理学的スクリーニングに関して関心対象の他の配列、例えば肥満に関連した他の遺伝子/遺伝子変異、当技術分野で公知の多くのものが含まれる。
対象核酸を用いて、遺伝子改変した非ヒト動物、または細胞株における部位特異的遺伝子改変を作製することができる。「トランスジェニック」という用語は、VASP-異種融合タンパク質をコードするDNAの付加を有するか、または宿主細胞内で安定に伝達されるVASP-異種融合タンパク質をコードする外因性DNAを有する遺伝子改変動物を包含することを意図する。トランスジェニック動物は、相同組換えによって作製してもよい。または、核酸構築物をゲノム中にランダムに組み込む。安定な組み込みのためのベクターには、プラスミド、レトロウイルス、およびその他の動物ウイルス、YACなどが含まれる。関心対象となるのは、トランスジェニック哺乳動物(例えばウシ、ブタ、ヤギ、ウマなど)、特に齧歯類(例えばラット、マウスなど)である。
相同組換えのためのDNA構築物には、VASP-異種融合タンパク質をコードするDNAの少なくとも一部が含まれ、かつ標的遺伝子座に対する相同性領域が含まれる。ポジティブおよびネガティブ選択のためのマーカーが含まれることは好都合である。相同組換えによって標的遺伝子に改変を有する細胞を作製するための方法は、当技術分野で公知である。哺乳動物細胞をトランスフェクションするための様々な技術については、Known et al. (1990) Methods in Enzymology 185:527-537を参照されたい。
胚性幹(ES)細胞については、ES細胞系を用いてもよく、マウス、ラット、モルモットなどの宿主からES細胞を新たに採取してもよい。この種の細胞は、適切な線維芽細胞フィーダー層上で増殖させるか、または白血球抑制因子(LIF)の存在下で増殖させる。ES細胞が形質転換を受ければ、それらをトランスジェニック動物の作出のために用いることができる。形質転換の後に、細胞を適切な培地中のフィーダー層上に播く。構築物を含む細胞を、選択培地を用いることによって検出してもよい。コロニーが増殖するのに十分な時間をおいた後、それらを摘出し、相同組換えの発生に関して分析する。次いで、相同組換えを示すこれらのコロニーを、胚操作および胚盤胞への注入のために用いてもよい。胚盤胞は4〜6週齢の過排卵性のメスから採取する。ES細胞をトリプシン処理し、改変された細胞を胚盤胞の胞胚腔に注入する。注入後、胚盤胞を偽妊娠させたメスの各々の子宮角に戻す。その後、メスを出産させ、この結果得られた同腹仔を、構築物を有する変異細胞に関してスクリーニングする。胚盤胞およびES細胞に異なる表現型を与えていることにより、キメラ型の子孫を容易に検出することができる。キメラ動物をVASP-異種融合タンパク質をコードするDNAの存在に関してスクリーニングし、改変を有するオスとメスを交配させてホモ接合型の子孫を得る。トランスジェニック動物は、任意の非ヒト哺乳動物、例えば実験動物、家畜などでもよい。トランスジェニック動物を用いて、インビボ環境での候補薬物の効果を判定してもよい。
VASP構築物を利用するホモまたはヘテロ四量体タンパク質の生成
本発明は、VASPドメインと異種タンパク質を含む融合タンパク質をコードする、少なくとも1つまたは最大4つの異なる発現ベクターで形質転換またはトランスフェクトされた宿主細胞を培養することによって、可溶性のホモまたはヘテロ三量体タンパク質を調製する方法である。生物学的に機能するタンパク質を生成するために、4つのVASPドメインが優先的に、ホモまたはヘテロ四量体を形成する。効率的な生成が維持できる場合、同じ宿主細胞で培養することも可能であり、その後ホモまたはヘテロ四量体タンパク質を、培地から単離する。理想的には、4つの異種タンパク質を、様々なタグ配列(すなわちHisタグ、FLAGタグ、およびGlu-Gluタグ)で差次的に標識することで、組成物の分析または得られた分子の精製を可能にする。または、4つの構成要素を別々に生成し、計画的な比率で組み合わせて、所望のヘテロ四量体分子を得ることができる。このようなヘテロ三量体分子の作製に利用されるVASPドメインは、同じであっても異なってもよく、融合タンパク質はさらにリンカー配列を含むことができる。一つの特定の態様において、ホモ四量体タンパク質を形成するのに用いる異種タンパク質は、zB7R1の可溶性ドメインである。
本発明のVASP四量体化ドメインを使用した結果の1つは、四量体型の形成を介したそのリガンドまたは結合パートナーに対する異種タンパク質の親和性と結合活性を増大させる能力である。結合活性とは、多数の分子がより大きな分子へ結合する強度、抗体による複合抗原の結合に例証されるがそれに限定されない状況を意味する。例えば、VASPドメインを用いる異種受容体の四量体化を介した、その1つまたは複数のリガンドに対する多重結合部位の形成によって、多くの異種タンパク質について、そのような特性が改善されるかまたは形成される。親和性とは、単一の受容体-リガンドシステムの結合強度を意味する。例えば、受容体の四量体化を介して、単一のリガンドに対するよりよい結合特性を持つ結合部位を形成することによって、本発明の四量体化ドメインを用いる異種タンパク質のサブセットについて、このような特性は改善される。結合活性および親和性は、当業者に周知の標準的なアッセイ、例えば実施例3に記載の方法を用いて測定することができる。四量体化ドメイン-異種タンパク質融合とそのリガンドに対する親和性または結合活性値(例えば親和性定数またはKa)が、異種タンパク質単独とそのリガンドに対する値より高い場合、親和性または結合活性は改善されている。これらの特性を測定する別の手法は平衡定数(Kd)であり、本発明のVASP四量体化ドメインを用いた親和性または結合活性の改善に伴い、減少が観察される。
VASP-異種融合タンパク質の生物活性
組換えVASP-異種融合タンパク質の生物活性は、組換え融合タンパク質が同族分子(受容体または交差受容体など)に結合することを介している。同族分子は、組換え融合タンパク質と同族分子との適切なコンフォメーションに基づいて、非共有結合性相互作用により組換え融合タンパク質に結合する分子として定義される。例えば、受容体の細胞外領域を含む組換え融合タンパク質に対して、同族分子は受容体の細胞外領域に結合するリガンドを含む。逆に、リガンドを含む組換え可溶性融合タンパク質に対して、同族分子はリガンドに結合する受容体(または結合タンパク質)を含む。
組換え融合タンパク質が同族分子に結合することは、生物活性についてのマーカーである。例えば、同族分子の結合ドメインへの結合に対する競合(すなわち競合的結合アッセイ)によって、このような結合活性を測定してもよい。リガンドを含む組換え融合タンパク質についての競合的結合アッセイの1つの形態は、放射標識した可溶性受容体と天然の形態のリガンドを発現する無傷の細胞とを用いる。同様に、受容体を含む組換え融合タンパク質についての競合アッセイは、放射標識した可溶性リガンドと天然の形態の受容体を発現する無傷の細胞とを用いる。そのようなアッセイは、実施例3に記載する。天然の形態の同族分子を発現する無傷の細胞の代わりに、固相に結合した精製同族分子を用いることができる。競合的結合アッセイは、標準的な方法論を用いて実施することができる。競合的オートラジオグラフプレート結合アッセイによって、定性的または半定量的な結果を得ることができ、または蛍光活性化細胞ソーティングまたはScatchardプロットを利用して定量的な結果を得てもよい。
細胞増殖アッセイなど当技術分野で公知のバイオアッセイを用いて、生物活性を測定してもよい。例示的なバイオアッセイを実施例4に記載する。用いる細胞増殖アッセイのタイプは、組換え可溶性融合タンパク質によって決められる。例えば、その天然形態がT細胞に作用する組換え可溶性融合タンパク質についてのバイオアッセイは、当技術分野で公知の方法により得た精製T細胞を利用する。このようなバイオアッセイには、同時刺激アッセイが含まれ、このアッセイにおいては、組換え可溶性融合タンパク質と最適以下のレベルの分裂促進因子(Con AまたはPHAなど)との存在下で、精製したT細胞をインキュベートする。同様に、精製したB細胞を、その天然形態がB細胞に作用する組換え可溶性融合タンパク質に対して用いる。組換え可溶性融合タンパク質の天然形態が作用する細胞タイプに基づいて、細胞の他のタイプを選択してもよい。標準的な方法に従って、3Hチミジンなど放射標識した物質の組み込みを測定することにより、増殖を判定する。
生物活性を判定するためのなお別のタイプのアッセイは、二次分子の分泌の誘導である。例えば、特定のタンパク質が、T細胞によるサイトカインの分泌を誘導する。T細胞を精製し、サイトカイン分泌を誘導するのに必要な条件下(例えば同時分裂促進因子の存在下)で組換え可溶性融合タンパク質により刺激する。バイオアッセイによりサイトカイン依存性細胞株の増殖を測定することで、サイトカイン分泌の誘導を判定する。同様に、酵素イムノアッセイなど定量的(または半定量的)アッセイを用いて、組換え可溶性融合タンパク質(天然形態でB細胞に作用する)で刺激した精製B細胞によって分泌された免疫グロブリンの量を測定することにより、免疫グロブリン分泌の誘導を判定する。
特定の異種タンパク質に対する結合パートナーが不明の場合、VASP-融合タンパク質を結合アッセイに用いて結合パートナーを探し出すことができる。これを実施する方法の1つは、分泌トラップアッセイと呼ばれ、実施例5に記載するが、結合パートナーを特定するためにVASP-融合タンパク質を用いる他の方法も当業者に周知である。
治療方法
薬学的に用いるために、本発明の融合タンパク質は、通常の方法に従って非経口投与、特に静脈内または皮下投与のために製剤化される。静脈内投与は、1〜数時間の典型的な期間、ボーラス注射またはボーラス注入によって行われる。通常薬学的製剤には、生理食塩液、緩衝生理食塩液、5%デキストロース水など薬学的に許容される溶媒と組み合わせて、VASP-異種融合タンパク質が含まれるであろう。製剤には、バイアル表面などの上でのタンパク質損失を防止するために、一つまたは複数の賦形剤、保存剤、溶解剤、緩衝剤、アルブミンがさらに含まれてもよい。調製法は当技術分野で周知であり、例えば参照により本明細書に組み入れられる、Remington's Pharmaceutical Sciences, Gennaro, ed., Mack Publishing Co., Easton PA, 1990に開示される。治療用量は一般的に、患者の体重1kg当たり0.1〜100μg/日、好ましくは0.5〜20μg/kg/日の範囲であり、正確な用量は、治療される病態の性質および重症度、患者の形質などを考慮して、容認される標準に従って臨床医が決定する。用量の決定は当技術分野の水準内である。1週間以下、しばしば1〜3日の期間の急性の処置のために、このタンパク質を投与しても、数ヶ月または数年にわたる慢性処置に用いてもよい。一般に、VASP-異種融合タンパク質の治療的有効量とは、異種タンパク質機能の喪失が特徴である症状における臨床的に有意な変化をもたらすのに十分な量である。または、VASP-異種融合タンパク質がアンタゴニストとして作用する場合、治療的有効量とは、異種タンパク質機能の過剰が特徴である症状における臨床的に有意な変化をもたらす量である。
本方法を、下記の非限定的な実施例によりさらに説明する。
実施例
実施例1
VASP発現ベクターのクローニングおよび構築
ヒトの血管拡張作用因子活性化リンタンパク質(VASP)は、Kuhnel, et al., (2004) Proc. Nat’l. Acad. Sci. 101: 17027に記載されている。VASPヌクレオチドおよびアミノ酸配列は、SEQ ID NO:1および2として提供する。ヒトVASPタンパク質の四量体化ドメインのセンス鎖およびアンチセンス鎖の両方をコードする2つのオーバーラップするオリゴヌクレオチドを、固相合成によって合成した:
Figure 2009538120
オリゴヌクレオチドzc50629およびzc50630を55℃でアニーリングして、オリゴヌクレオチドプライマーzc50955
Figure 2009538120
を用いたPCRによって増幅した。
増幅したDNAを、1.5%アガロースゲル上で分画し、次いでQiagenゲル単離キットを用いて、製造業者のプロトコールに従って単離した(Qiagen, Valiencia, CA)。単離したDNAを、酵母の組換えによってBglII切断pzmp21ベクターに挿入した。DNA配列決定により、pzmp21VASP-His6と称されるベクターの予想される配列を確認した。
オリゴヌクレオチドプライマーzc51310
Figure 2009538120
を用いるPCRによって、B7H1の細胞外ドメインを増幅した。増幅したDNAを、1.5%アガロースゲル上で分画し、次いでQiagenゲル単離キットを用いて、製造業者のプロトコール(Qiagen, Valiencia, CA)に従って単離した。製造業者の説明書(BD Biosciences, San Diego, CA)に従い、融合によって、単離したDNAを、BglIIおよびEcoR1切断pzmp21VASP-His6ベクターに挿入した。DNA配列決定により、pzmp21B7H1VASP-His6と称されるベクターの予想される配列を確認した。B7H1-VASP-His6部分は本明細書ではSEQ ID NO:9として開示され、得られるポリペプチド配列はSEQ ID NO:10である。
このベクターには、全長遺伝子のアミノ酸1〜239位(SEQ ID NO:13のアミノ酸1〜239位)を含むB7H1細胞外ドメインのコード配列(これは遺伝子の最初の18アミノ酸の天然のシグナル配列を含む)、フレキシブルリンカーGSGG(SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:11のアミノ酸1〜4位)、VASP四量体化ドメイン(SEQ ID NO:2のアミノ酸5〜38位)、フレキシブルリンカーGSGG(SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:11のアミノ酸39〜42位)、およびHis6タグアミノ酸残基(SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:12のアミノ酸43〜48位)が含まれる。
実施例2
B7H1VASP-HIS6の発現および精製
リポフェクタミン2000を用いて製造業者のプロトコール(Invitrogen, Carlsbad, CA)に従い、pzmp21B7H1VASP-His6ベクターをBHK570細胞にトランスフェクトし、培養物を10μMのメトトレキサートに耐性の形質移入体について選択した。耐性コロニーを組織培養ディッシュに移し、増殖させて、抗His(C末端)抗体(Invitrogen, Carlsbad, CA)を用いるウェスタンブロット分析によって、B7H1VASP-His6の分泌について分析した。結果として得られた細胞株、BHK.B7H1VASP-His6.2を増殖させた。
A)BHK細胞からのB7H1VASP-His 6 の精製
4℃で精製を行った。Pellicon-2 5kフィルター(Millipore, Bedford, MA)を用い、次いで20mM NaPO4、0.5M NaCl、15mMイミダゾール、pH 7.5で10回緩衝液を交換して、BHK:B7H1VASP-His6.2由来の約2 Lの調整培地を0.2 Lに濃縮した。最終試料0.2 Lを0.2 mmフィルター(Millipore, Bedford, MA)に通した。
総容積20 mLのTalon(BD Biosciences, San Diego, CA)カラムを充填して、20 mM NaPi、15 mMイミダゾール、0.5 M NaCl、pH 7.5で平衡化した。培養液をカラムに0.2〜0.4 mL/分の流速でロードし、次いで5〜6 CVの平衡化緩衝液で洗浄した。20 mM NaPO4、0.5 M NaCl、0.5 Mイミダゾール、pH 7.5により、4 mL/分の流速で、B7H1VASP-His6をカラムから溶出した。10 mL画分を回収し、クーマシー染色したSDS-PAGEによって、B7H1VASP-His6の存在について分析した。
上記のように、3回の同一のランから得たTalon溶出物を組み合わせたプールを、Amicon Ultra 5k遠心分離フィルター(Millipore, Bedford, MA)を用いて、60 mLから3 mLへ濃縮した。総用量318 mLのSuperdex 200カラムを、50 mM NaPi、110 mM NaCl、pH 7.3で平衡化し、試料3 mLを流速0.5 mL/分でカラムに注入した。一方は0.38 CV、他方は0.44 CVでカラムから溶出すると、280 nm吸光度の2つのピークが観察された。0.44 CV付近で溶出した画分は、四量体B7H1VASP-His6を含むと考えられ、これらをプールし、濃縮して、0.2 mm Acrodiscフィルター(Pall Corporation, East Hills, NY)を通して無菌濾過し、かつ-80℃で保存した。最終試料の濃度は、BCA(Pierce, Rockford, IL)によって決定した。
B)B7H1VASP-CH 6 のSEC-MALS分析
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)の目的は、分子量(MW)の概算のためにサイズに基づき分子を分離することである。静的光散乱検出をSECシステムに追加する場合、分子量の絶対測定が可能である。これが可能であるのは、分析物による光散乱の強度が、その質量と濃度に直接比例し、かつSEC溶出物の位置、コンフォメーション、またはカラムマトリックスとの相互作用から完全に独立しているからである。さらに、SEC、多角度光散乱検出器(MALS)、および屈折率検出器(RI)を組み合わせることにより、分子量、会合状態、およびグリコシル化の程度を判定することができる。MWに関する単分散である試料についてのこれらの測定値の精度の限界は、±2%である。
単量体B7H1VASP-CH6の分子量は、一次アミノ酸配列から推定して、31 kDaである。四量体B7H1VASP-CH6の予測分子量は、124 Kdaであると考えられる。SEC-MALSによって測定したB7H1VASP-CH6の測定分子量は、155 KDaであった。炭水化物に起因する35 Kdaの分子量を引くと、コアタンパク質の質量として120 KDaが残り、溶液中の四量体状態と一致する。
実施例3
細胞株に対する125I-VASP-B7H1融合タンパク質の結合活性の試験
A)飽和結合
25 mgの精製したB7H1VASP-His6を、IODO-TUBES(Pierce, Rockford, IL)を用いて、製造業者の説明書に従い、2mCi 125Iで標識した。この標識したタンパク質を用いて、PD-1、B7H1に対するリガンド(参照)を発現するトランスフェクトしたBHK 570細胞への結合を、対照としてトランスフェクトしていないBHK-570細胞と共に評価した。1×105細胞を24ウェルディッシュに播き、2日間培養した。22.5 nM〜10.3 pMの125I-B7H1VASP-His6の濃度を、100倍過剰の非標識B7H1VASP-His6と共にまたは伴わず、細胞の3つ組ウェルに添加した。結合反応物を1時間氷上でインキュベートし、次いで細胞を氷冷した結合緩衝液で3回洗浄した。結合したタンパク質を1 M NaOHで抽出し、COBRAII Auto-gamma counter(Packard Instruments Co., Meriden, Conn.)にて定量化した。GraphPad, Prism 4(GraphPad Software, Inc., San Diego, CA)を用いて、この結合を分析した。
飽和結合と、非標識タンパク質による阻害とにより、四量体B7H1VASP-His6と細胞表面PD-1との結合の高い親和性(Kd 50 nM)が明らかとなった。これは、B7H1IgGについて報告(Freeman et al., (2000) J. Exp. Med. 192: 1027)されているよりも、10倍高い親和性である。
B)結合特異性
1×105細胞を24ウェルディッシュに播き、2日間培養した。250 pMの125I-B7H1VASP-His6を、100倍過剰の非標識B7H1VASP-His6、B7H1IgG、B7DCIgG(R & D Systems, Minneapolis, Minn.)、zB7R1IgG、またはpG6BIgGと共にまたは伴わず、細胞の3つ組ウェルに添加した。結合反応物を1時間氷上でインキュベートし、次いで細胞を氷冷した結合緩衝液で3回洗浄した。結合したタンパク質を1 M NaOHで抽出し、COBRAII Auto-gamma counter(Packard Instruments Co., Meriden, Conn.)にて定量化した。GraphPad, Prism 4(GraphPad Software, Inc., San Diego, CA)を用いて、この結合を分析した。125I-B7H1VASP-His6は、PD-1を発現するトランスフェクトしたBHK細胞のみに結合し、トランスフェクトしていない細胞には結合しない。zB7H1VASPの相互作用の特異性は、結合を阻害するPD-1リガンドの能力によって実証され、一方PD-1と相互作用しない他のB7ファミリーメンバーは、結合に影響を与えない。
C) B7H1VASP-His 6 またはB7H1IgGによる 125 I-B7H1VASP-His 6 結合の競合
1×105細胞を24ウェルディッシュに播き、2日間培養した。250 pMの125I-B7H1VASP-His6を、濃度を増加させた非標識B7H1VASP-His6またはB7H1IgG(R & D Systems, Minneapolis, Minn.)と共にまたは伴わず、細胞の3つ組ウェルに添加した。結合反応物を1時間氷上でインキュベートし、次いで細胞を氷冷した結合緩衝液で3回洗浄した。結合したタンパク質を1 M NaOHで抽出し、COBRAII Auto-gamma counter(Packard Instruments Co., Meriden, Conn.)にて定量化した。GraphPad, Prism 4(GraphPad Software, Inc., SanDiego, CA)を用いて、この結合を分析した。B7H1IgGと比較して、10倍高いB7H1VASPの親和性は、125I-B7H1VASP-His6結合に対する競合がより低い濃度へシフトすることにより実証される。
実施例4
VASP-B7H1融合タンパク質の生物活性
ネガティブ選択により、T細胞を末梢血から単離する(Mitenyi Biotec, Auburn, CA)。抗CD3(BD Bioscience, San Diego, CA)で予めコーティングした96ウェルディッシュの各ウェルに、T細胞を播く。抗CD28(BD Bioscience, San Diego, CA)および濃度を増加させたB7H1VASPを、適切なウェルに添加した。培養物を37℃で4日間インキュベートし、次いで1μCi [3H]チミジン/ウェルで一晩標識した。増殖を、組み込まれた[3H]チミジンとして測定し、培養サイトカイン含有量をLuminex(Austen, TX)を用いて定量化する。B7H1VASPは、T細胞増殖とサイトカイン放出の両方を強力に阻害することが予想される(Dong et al., Nature Med. 5: 1365-1369, 1999)。
実施例5
リガンドについてスクリーニングするためのVASP-タンパク質融合の使用
A)cDNAライブラリーのスクリーニング:
分泌トラップアッセイを用いて、VASP-タンパク質融合と推定リガンドまたは結合パートナーとを組み合わせる。ビオチン化された可溶性VASP融合タンパク質は、分泌トラップアッセイにおいて結合試薬として用いる。関心対象の細胞(例えば刺激したマウス骨髄(mBMDC))由来のcDNAライブラリーを、クローンのプールでCOS細胞に一時的にトランスフェクトする。通常、約800クローンを最初のトランスフェクションに対して生成する。以下に記載の分泌トラップアッセイを用いて、ビオチン化VASP-タンパク質融合を、トランスフェクトしたCOS細胞に結合させる。スクリーニングしたプールのサブセット内に、陽性結合が見られる。これらのプールの1つを選択し、DH10Bなど細菌宿主内にエレクトロポレーションする。400の単一コロニーを、深い96ウェルブロック内の1.2ml LB+100μg/mlアンピシリンへ入れ、一晩増殖させて、各プレートからDNAを単離する。トランスフェクションおよび分泌トラップ探索後に、陽性ウェルをこの分析結果から特定し、配列決定にかけ、公知の配列との比較から同定する。精製したcDNAをトランスフェクトし、さらなる対照と共に、ビオチン化VASP-タンパク質融合を用いて探索して、特定されたタンパク質が特異的かつ再現可能にVASP-融合タンパク質に結合するが、他のVASPキメラには結合しないことを検証する。
B)COS細胞トランスフェクション
COS細胞トランスフェクションは以下のように実施する。1μgのプールしたDNAを25μlの血清不含DMEM培養液(5 mlの非必須アミノ酸を含む500 ml DMEM)中に混合し、1μlのCosfectin(商標)を25μlの血清不含DMEM培養液中に混合する。次いで希釈したDNAとcosfectinとを組み合わせて、その後室温で30分間インキュベートする。この50μlの混合物を、前日に12ウェル組織培養プレート中に播いた8.5×105COS細胞/ウェルに添加し、37℃で一晩インキュベートする。
C)分泌トラップアッセイ
分泌トラップは以下のように実施する。ウェルから培養液を吸引し、次いでPBS中1.8%ホルムアルデヒドで15分間、細胞を固定する。次いで細胞を、TNT(水中0.1M Tris-HCL、0.15M NaCl、および0.05%Tween-20)で洗浄し、PBS中0.1%Triton-Xで15分間透過化処理し、再度TNTで洗浄する。TNB(水中0.1M Tris-HCL、0.15M NaCl、および0.5%Blocking Reagent(NEN Renaissance TSA-Direct Kit))で細胞を1時間ブロックし、再度TNTで洗浄する。2μg/mlの可溶性ビオチン化VASP-融合タンパク質と共に1時間、細胞をインキュベートする。次いで、細胞をTNTで洗浄する。PBS中1.8%ホルムアルデヒドで15分間、細胞の二回目の固定を行う。TNTでの洗浄後、1:1000に希釈したストレプトアビジンHRPと共に細胞をさらに1時間インキュベートする。再度、細胞をTNTで洗浄する。
希釈緩衝液(NENキット)中で1:50に希釈した蛍光チラミド試薬を用いて、5分間インキュベートし、TNTで洗浄して、陽性結合を検出する。TNT中で1:5に希釈したVectashield Mounting Media(Vector Labs Burlingame, CA)により、細胞を保存する。蛍光顕微鏡上でFITCフィルターを用いて、細胞を可視化する。
実施例6
リガンドについてスクリーニングするためのVASP-zB7R1融合タンパク質の使用
B7H1VASPについての実施例1〜5に記載の通り、zB7R1VASP融合タンパク質を作製した。次にこのタンパク質を用いて、下記の通りその対応するリガンドについてスクリーニングを行った。
A)mBMDCライブラリーのスクリーニング:
分泌トラップアッセイを用いて、mzB7R1とmCD155(PVR)を組み合わせた。ビオチン化された可溶性mzB7R1/Vasp融合タンパク質を、分泌トラップアッセイにおいて結合試薬として用いた。刺激したマウス骨髄(mBMDC)由来のpZP-7NX cDNAライブラリーを、800クローンのプールでCOS細胞に一時的にトランスフェクトした。以下に記載の分泌トラップアッセイを用いて、mzB7R1/Vasp-ビオチンを、トランスフェクトしたCOS細胞に結合させた。スクリーニングした72のプールのうち26に、陽性結合が見られた。これらのプールの1つを選択し、DH10Bにエレクトロポレーションした。400の単一コロニーを、深い96ウェルブロック内の1.2ml LB+100μg/mlアンピシリンへ入れ、一晩増殖させて、各プレートからDNAを単離した。トランスフェクションおよび分泌トラップ探索後に、単一の陽性ウェルをこの分析結果から特定し、配列決定にかけ、mCD155として同定した。この精製したcDNAをトランスフェクトし、さらなる対照と共にmB7R1/Vasp-ビオチンを用いて探索して、mCD155が特異的かつ再現可能にmB7R1/Vasp-ビオチンに結合するが、他のvaspキメラには結合しないことを検証した。
B)COS細胞トランスフェクション
COS細胞トランスフェクションは以下のように実施した。1μgのプールしたDNAを25μlの血清不含DMEM培養液(5 mlの非必須アミノ酸を含む500 ml DMEM)中に混合し、1μlのCosfectin(商標)を25μlの血清不含DMEM培養液中に混合する。次いで希釈したDNAとcosfectinとを組み合わせて、その後室温で30分間インキュベートする。この50μlの混合物を、前日に12ウェル組織培養プレート中に播いた8.5×105COS細胞/ウェルに添加し、37℃で一晩インキュベートした。
C)分泌トラップアッセイ
分泌トラップは以下のように実施した。ウェルから培養液を吸引し、次いでPBS中1.8%ホルムアルデヒドで15分間、細胞を固定した。次いで細胞を、TNT(水中0.1M Tris-HCL、0.15M NaCl、および0.05%Tween-20)で洗浄し、PBS中0.1%Triton-Xで15分間透過化処理し、再度TNTで洗浄した。TNB(水中0.1M Tris-HCL、0.15M NaCl、および0.5%Blocking Reagent(NEN Renaissance TSA-Direct Kit))で細胞を1時間ブロックし、再度TNTで洗浄した。2μg/mlのmzB7R1/Vasp-ビオチン可溶性受容体融合タンパク質と共に1時間、細胞をインキュベートした。次いで、細胞をTNTで洗浄した。PBS中1.8%ホルムアルデヒドで15分間、細胞の二回目の固定を行った。TNTでの洗浄後、1:1000に希釈したストレプトアビジンHRPと共に細胞をさらに1時間インキュベートした。再度、細胞をTNTで洗浄した。
希釈緩衝液(NENキット)中で1:50に希釈した蛍光チラミド試薬を用いて、5分間インキュベートし、TNTで洗浄して、陽性結合を検出した。TNT中で1:5に希釈したVectashield Mounting Media(Vector Labs Burlingame, CA)により、細胞を保存した。蛍光顕微鏡上でFITCフィルターを用いて、細胞を可視化した。
実施例7
急性移植片対宿主病(GVHD)におけるzB7R1-VASP
この実験の目的は、B7R1-VASP可溶性タンパク質の予防的処置が、マウスにおける急性GVHD応答の発症と重症度に影響するかどうかを判定することであった。
GVHDを開始するため、0日目に、C57Bl/6マウス由来の7500万の脾細胞を、静脈内送達により、DBA2×C57Bl/6 F1マウス(BDF1)に注射した。150μgのB7R1-VASPタンパク質でマウスの腹腔内を1日おきに処理する。これは細胞移入の前日に開始し、実験期間を通して継続する。体重を毎日モニターし、脾臓移入後12日目にマウスを屠殺する。FACS分析のために脾臓を採取し、血清のために血液を採取する。B7R1-VASPの予防的送達は、急性GVHDの間の体重減少の重症度を有意に低下させる。
実施例8
罹患していない組織と比較して、コラーゲン誘導関節炎(CIA)を患うマウス由来の組織内で制御されるB7R1
実験プロトコール:
コラーゲン誘導関節炎(CIA)モデルにおける疾患の様々な程度で、マウスから組織を得た。コラーゲンによりオスDBA/1Jマウスを免疫化する以下の標準的な手順(下記実施例9参照)で、モデルを実施し、これには罹患していない適切な対照が含まれた。単離した組織には、罹患した足および膝窩のリンパ節が含まれた。標準的な手順を用いて、全ての組織からRNAを単離した。簡潔には、組織を回収して、液体N2中で直ちに凍結し、次いで処理まで-80℃に移した。処理のため、組織をQiazol試薬(Qiagen, Valencia, CA)内に移し、Qigen Rneasyキットを用いて製造業者の推奨に従い、RNAを単離した。多重リアルタイム定量的RT-PCR方法(TaqMan)およびABI PRISM 7900配列検出システム(PE Applied Biosystems)によって、マウスのzB7R1 mRNA発現を測定した。マウスのzB7R1 mRNAレベルを、マウスのヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼmRNAの発現に対して正規化し、比較閾値サイクル法(User Bullein 2: PE Applied Biosystems)によって決定した。マウスB7R1に対するプライマーおよびプローブには、フォワードプライマー5’ SEQ ID NO:65、リバースプライマー5’ SEQ ID NO:66、およびプローブSEQ ID NO:67が含まれた。
結果:
マウスのB7R1 mRNA発現を、試験した組織内で検出した。足に比べてリンパ節で、より高い発現レベルを観察した。罹患していない対照から得た組織と比較して、関節炎のCIAモデルにおけるマウス由来の膝窩リンパ節および足で、B7R1 mRNAが増加しており、レベルは疾患の重症度に関連していた。罹患していない対照と比較して、B7R1 mRNAは足において、軽度の疾患状態のマウスでは約2.3倍増加し、重度の疾患を有するマウスでは約4倍増加した。罹患していない対照と比較して、B7R1 mRNAはリンパ節において、軽度の疾患状態のマウスでは約1.5倍増加し、重度の疾患を有するマウスでは約1.8倍増加した。
実施例9
マウスコラーゲン誘導関節炎(CIA)モデルにおいて疾患の発生率と進行を低下させるB7R1m-mFcおよびB7R1m-VASP CH6
マウスコラーゲン誘導関節炎(CIA)モデル:
10週齢のオスDBA/1Jマウス(Jackson Labs)を、マウス13匹/群の3群に分けた。-21日目に、完全フロインドアジュバント中で製剤化した1mg/mlのニワトリII型コラーゲン50〜100μl(Chondrex, Redmond, WAによって調製)を動物の尾に皮内注射し、3週間後の0日目に、その動物に、不完全フロインドアジュバント中で調製した以外は同じ注射を行った。B7R1m-mFcまたはB7R1m-VASP CH6を、1日おきに1.5週間(しかし投薬は4週間まで延長される場合がある)、-1日目から大半のマウスが疾患の適度な症状を示す日までの異なる時点で、腹腔内注射により投与した。群は150μgのB7R1m-mFcまたはB7R1m-VASP CH6/動物/用量を受け、対照群は溶媒対照であるPBS(Life Technologies, Rockville, MD)を受けた。動物は、二回目のコラーゲン注射後関節炎の症状を示し始め、ほとんどの動物が1.5〜3週間以内に炎症を発症した。キャリパを用いて足の厚さを測定し、各足に対して臨床スコア(0〜3)を割り当てることで、疾患の程度を各足で評価した。0=正常、0.5=足指に炎症、1=足に軽度の炎症、2=足に中程度の炎症、および3=足に重度の炎症(下記に記載)。
疾患のモニタリング:
動物は、二回目のコラーゲン注射後すぐに、足の炎症の兆候を示し始め、動物によっては、二回目のコラーゲン注射前に足指の炎症の兆候を示し始めるものもある。ほとんどの動物は追加抗原注射の1〜3週間以内に関節炎を発症するが、より長い期間を必要とする動物もある。このモデルにおける疾患の発生率は典型的に、95〜100%であり、動物40例を用いる研究では、典型的に非反応体が0〜2例見られる(観察の6週間後に判定)。炎症が始まると、足または足指に多様な軽度の炎症が、通常一過性に発生し得る。この理由から、動物は、顕著な持続性の足の腫脹を発症するまで、疾患が確立されたと見なされない。
全ての動物を毎日観察し、それらの足における疾患の状態を評価した。これは足のそれぞれに定性的臨床スコアを割り当てることによって行う。毎日、各動物の四肢をその臨床疾患の状態に従ってスコア化した。臨床スコアを決定するために、足は、三つの領域、すなわち足指、足そのもの(手または足)、および手首または足首の関節を有すると考えることができる。腫脹に関する各足指の知見、爪の裂傷または足指の発赤、任意の足における浮腫または発赤の任意の証拠に関する記録、腱または骨の微細な解剖学的境界の任意の喪失に関する記録、任意の浮腫または発赤に関する手首または足首の評価、および炎症が脚の付近まで進行しているか否かの記録を含む、これらの領域に対する炎症の程度および重症度を観察した。足のスコア1、2、または3は、最初に重症度に関する全体的な印象に基づき、第二にどれほど多くの領域が関与しているかに基づく。臨床スコア化に用いた尺度を下記に示す。
臨床スコア:
0=正常
0.5=1つまたは複数の足指が罹患しているが、足指のみが炎症を有する
1=足に及ぶ軽度の炎症(一つの領域)、1つまたは複数の足指が含まれてもよい
2=足における中程度の炎症、足指および/または手首/足首のいくつかが含まれてもよい(二つの領域)
3=足、手首/足首、および足先の一部または全体における重度の炎症(三つの領域)
確立された疾患は、連続して2日持続するランク2またはそれ以上の足の炎症の定性的スコアとして定義される。確立された疾患が存在すれば、日を記録して「確立された疾患」を有する動物の最初の日と指定する。
抗コラーゲン抗体の血清レベル、ならびに血清免疫グロブリンおよびサイトカインレベルをモニターするために、実験を通して血液を採取した。血清抗コラーゲン抗体は、疾患の重症度によく相関する。動物を決められた日に安楽死させ、血液を血清のために採取する。各動物から、罹患した足の一つを組織学のために10%NBF中に採取してもよく、一つを液体窒素中で凍結し、mRNA分析のために-80℃で保存する。同様に、脾臓1/2、胸腺1/2、腸間膜リンパ節1/2、肝葉1、および左腎臓を、RNA分析のためにRNAlater中に回収し、脾臓1/2、胸腺1/2、腸間膜リンパ節1/2、残りの肝臓、および右腎臓を組織学のために10%NBF中に回収する。血清を採取して免疫グロブリンおよびサイトカインアッセイのために-80℃で凍結する。
本明細書に記載の可溶性zB7R1-Fc融合タンパク質および本明細書に記載のzB7R1-VASP CH6を、試験した全ての時点(予防的送達および治療的送達)で受けたマウスの群は、足の炎症の発症率(予防的投与について)、発症、および/または進行の遅延によって特徴付けられた。モデルの8日目で、予防的にPBSを受けたマウスは、疾患発症率100%であり、その足の大半が著しく腫脹していた。しかしながら、zB7R1-Fc融合タンパク質を予防的に受けたマウスは、足の腫脹が有意に低下し(PBS処理マウスと比較して、関節炎スコアが2.3倍低い)、発症率は80%であった。さらに、zB7R1-VASP CH6融合タンパク質で予防的に処置したマウスは、疾患から顕著に保護されていた。これらのマウスの40%のみが関節炎症状を発症し、これは著しく低下した関節炎スコアと関連していた(PBS処理マウスより3.5倍低い)。疾患の発症後に投与した場合でも、zB7R1-VASP CH6融合タンパク質は、関節炎症状を減少することができた。これは、zB7R1-VASP CH6融合タンパク質で治療的に処置したマウスが、PBSで治療的に処置したマウスよりも、約2倍低い関節炎スコアを有した程であった。これらの結果により、本発明の可溶性zB7R1融合タンパク質が、炎症ならびに疾患の発症率および進行を低減することが示される。
上記から、本発明の具体的な態様を例示の目的のために本明細書に記載しているが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく様々な改変を加えてもよいことが理解される。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲によるものを除いて、制限されない。
コイルドコイルタンパク質の構造、ならびにコイル内の残基間の相互作用およびコイル間の残基間の相互作用を表す図である。 ロイシンジッパー内およびVASP四量体化ドメイン内に存在するスーパーコイルを表す図である(上記のKuhnel et alに由来する)。

Claims (10)

  1. 血管拡張作用因子刺激リンタンパク質(VASP)ドメインと異種タンパク質とを含む融合タンパク質をコードする発現ベクターで形質転換またはトランスフェクトされた宿主細胞を培養する段階を含む、四量体タンパク質を調製する方法。
  2. 異種タンパク質がタンパク質の細胞外ドメインを含む、請求項1記載の方法。
  3. 融合タンパク質が可溶性である、請求項1記載の方法。
  4. VASPドメインがヒトVASP遺伝子に由来する、請求項1記載の方法。
  5. VASPドメインが、SEQ ID NO:2のアミノ酸5〜38位を含む、請求項4記載の方法。
  6. 融合タンパク質がリンカー配列をさらに含む、請求項1記載の方法。
  7. 請求項1記載の方法によって生成される、融合タンパク質。
  8. VASPドメインと異種タンパク質とを含む、融合タンパク質。
  9. 異種タンパク質が、B7ファミリーのメンバーである、請求項8記載のタンパク質。
  10. 異種タンパク質が、B7R1の細胞外ドメインである、請求項9記載のタンパク質。
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