JP2009537487A - 抗増殖薬及び血管新生阻害薬としてのボレリジン誘導体 - Google Patents

抗増殖薬及び血管新生阻害薬としてのボレリジン誘導体 Download PDF

Info

Publication number
JP2009537487A
JP2009537487A JP2009510462A JP2009510462A JP2009537487A JP 2009537487 A JP2009537487 A JP 2009537487A JP 2009510462 A JP2009510462 A JP 2009510462A JP 2009510462 A JP2009510462 A JP 2009510462A JP 2009537487 A JP2009537487 A JP 2009537487A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
compound
compound according
borrelidin
carboxylic acid
formula
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Abandoned
Application number
JP2009510462A
Other languages
English (en)
Inventor
ウイルキンソン バルリエ
モスス ステベン
ズハング ミング
Original Assignee
バイオチカ テクノロジー リミテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by バイオチカ テクノロジー リミテッド filed Critical バイオチカ テクノロジー リミテッド
Publication of JP2009537487A publication Critical patent/JP2009537487A/ja
Abandoned legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/33Heterocyclic compounds
    • A61K31/335Heterocyclic compounds having oxygen as the only ring hetero atom, e.g. fungichromin
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
    • C07D405/00Heterocyclic compounds containing both one or more hetero rings having oxygen atoms as the only ring hetero atoms, and one or more rings having nitrogen as the only ring hetero atom
    • C07D405/02Heterocyclic compounds containing both one or more hetero rings having oxygen atoms as the only ring hetero atoms, and one or more rings having nitrogen as the only ring hetero atom containing two hetero rings
    • C07D405/12Heterocyclic compounds containing both one or more hetero rings having oxygen atoms as the only ring hetero atoms, and one or more rings having nitrogen as the only ring hetero atom containing two hetero rings linked by a chain containing hetero atoms as chain links
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P27/00Drugs for disorders of the senses
    • A61P27/02Ophthalmic agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P3/00Drugs for disorders of the metabolism
    • A61P3/08Drugs for disorders of the metabolism for glucose homeostasis
    • A61P3/10Drugs for disorders of the metabolism for glucose homeostasis for hyperglycaemia, e.g. antidiabetics
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • A61P35/02Antineoplastic agents specific for leukemia
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • A61P35/04Antineoplastic agents specific for metastasis
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P9/00Drugs for disorders of the cardiovascular system

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Diabetes (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • Oncology (AREA)
  • Endocrinology (AREA)
  • Emergency Medicine (AREA)
  • Heart & Thoracic Surgery (AREA)
  • Cardiology (AREA)
  • Obesity (AREA)
  • Ophthalmology & Optometry (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Pyrane Compounds (AREA)
  • Plural Heterocyclic Compounds (AREA)

Abstract

本発明は、例えば癌もしくはB-細胞性悪性疾患、又は糖尿病性網膜症に加え加齢黄斑変性(AMD)、角膜血管新生及び未熟児網膜症のような眼科疾患を含む、血管新生が病理進行の原因である他の疾患の治療などでの、医薬品において有用であるボレリジンの誘導体に関する。本発明は、これらの化合物の製造方法、並びにそれらの医薬品における使用、特に癌もしくはB-細胞性悪性疾患及び血管新生が病理進行過程に関与している他の疾患の治療及び/又は予防における使用も提供する。
【選択図】なし

Description

(発明の背景)
ボレリジン1(図1)は、ストレプトマイセス・ロケイ(Streptomyces rochei) ATCC23956、ストレプトマイセス・パルブルス(Streptomyces parvulus) Tu113及びストレプトマイセス・パルブルスTu4055を含むが、これらに限定されるものではないいくつかの細菌株により生成される、18-員マクロライドである。ボレリジンの全体構造は、1967年に最初に解明され(Keller-Scheirleinの論文, 1967)、その後詳細なNMR解析により精巧なものとなった(Kuoらの論文、1989)。ボレリジンの絶対配置は、X-線結晶解析により確認された(Andersonらの論文、1989)。抗生物質トレポネマイシン(treponemycin)とその同一性が、証明されている(Maehr及びEvansの論文、1987)。
多くのグループが、ボレリジン構造の断片の合成を報告しており、4種の独立したボレリジンの全合成が報告されている(Hanessianらの論文、2003;Duffeyらの論文、2003;Nagamitsuらの論文、2004;Vongらの論文、2004)。加えてストレプトマイセス・パルブルスTu4055によるボレリジン生合成に責任を負う遺伝子クラスターが同定され、クローニングされかつ配列決定された(国際公開公報第2004/058976号;Olanoらの論文、2004a)。この生合成操作技術の適用を基に、ボレリジンへ及び新規類似体の生成へつながる生合成経路の解明が可能になった(国際公開公報第2004/058976号;Olanoらの論文、2003;Olanoらの論文、2004b;Mossらの論文、2006)。
ボレリジンは、その抗菌活性のために最初に発見された(Bergerらの論文、1949)が、この抗菌活性は、限られた数のミクロコッカスにのみ示され、一般的な試験細菌全てに対しては認められない。感受性のある微生物における作用様式は、トレオニルtRNA合成酵素の選択的阻害に関連している(Paetz及びNassの論文、1973;Ruanらの論文、2005)。トレポネーマ(Treponema)属スピロヘータに対する他の活性(Singhらの論文、1985;米国特許第4,759,928号)、ウイルスに対する活性(Dickinsonらの論文、1965)、動物害虫及び雑草の防除における使用(独国特許第3607287号)、並びに農業用殺菌剤としての使用(独国特許第19835669号;米国特許第6,193,964号)が、報告されている。加えて最近、ボレリジンが、薬剤耐性亜熱帯マラリア原虫(Plasmodium falciparum)株に対する抗マラリア活性を有することが報告された(Otoguroらの論文、2003)。これらの報告全ての中でわずかに2本の論文のみが、合成的に修飾された誘導体を報告している。その中で第一のものは、ベンジルエステル及びそのビス-O-(4-ニトロベンゾイル)誘導体を説明している(Bergerらの論文、1949)。第二のものは、ボレリジンメチルエステル、ビスO-アセチルメチルエステル誘導体、並びにΔ14-15-ジヒドロ-、Δ14-15,12-13-テトラヒドロ-、及びΔ14-15,12-13-テトラヒドロ-C12-アミノメチルエステル誘導体を説明している(Anderton及びRickardsの論文、1965)。これらの化合物のいずれについても、生物学的活性は報告されなかった。
特に関心のある最新の発表は、ボレリジンが抗-血管新生活性を示すという発見である(Wakabayashiらの論文、1997)。血管新生は、新たな血管を形成するプロセスである。血管新生は、例えば局所外傷後の修復及び女性の生殖周期に関連して、成体においては局所的かつ一過性にのみ起こる。これは、癌、関節リウマチ及び糖尿病性網膜症を含むいくつかの病理進行過程における重要な構成要素として確立されている(Perrinらの論文、2005)。血管新生は、腫瘍が直径1〜2cmを超えて増殖することを可能にする上で重要であることが、Folkmanにより確立されており(Folkmanの論文、1986)、かつ血管新生は低酸素症に反応する腫瘍により誘発される。その下流の結果において、血管新生は、ほとんど宿主-由来のプロセスであり、その結果血管新生の阻害は、癌型の多様性及び薬物耐性のような、他の抗癌療法モダリティのハードルを回避する(Matterの論文、2001)という、癌治療における重大な可能性をもたらす。最新の刊行物が、血管新生の調節におけるチロシニル-及びトリプトファニル-tRNA合成酵素の機能的関与を説明したことは更に興味深い(Wakasugiらの論文、2002;Otaniらの論文、2002)。
血管新生のラット大動脈マトリクス培養モデルにおいて、ボレリジンは、強力な血管新生-阻害作用を示し、更に毛細血管-形成細胞のアポトーシスを誘導することにより、用量依存様式で形成された毛細管の破壊も引き起こす(Wakabayashiらの論文、1997)。ボレリジンは、毛細管形成を、IC50値0.4ng/mL(0.8nM)で阻害した。同じ研究で、ボレリジンは、細胞増殖アッセイにおいて、ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)に対する抗-増殖活性を有することが示され;そのIC50値は、6ng/mLと測定され、これは同じ培地で測定された抗-血管新生活性よりも15倍弱い。このボレリジンの抗-増殖活性は、癌細胞増殖阻害アッセイにおいて認められるように、様々な細胞株に対し全般的であることが示された。これらの執筆者は、これらのデータに加えて、ボレリジンは、培養されたラット細胞におけるタンパク質合成を阻害し、これはそのトレオニルtRNA合成酵素阻害能が恐らく最も関連した要因であるが;しかし、抗-血管新生活性のIC50値(0.4ng/mL)は、タンパク質合成の阻害について報告された値(20ng/mL)よりも50倍低く、このことは本化合物の異なる活性を示していることを報告している。従って抗-増殖活性は、トレオニルtRNA-合成酵素阻害に関連し、及び2種の異なる活性を特異的に変更するためのその分子の構造修飾は、治療係数を改善する手段を提供すると考えられる。トレオニルtRNA合成酵素の阻害は、例えばRuanらにより公開された方法のような(Ruanらの論文、2005)、多くの公開された方法により測定することができる。
ボレリジンは、VEGF-誘導した血管新生を試験しかつ腫瘍-血管新生を研究するための優れたモデルであるマウス背部皮下法モデルを使用し、インビボでの血管新生の強力な阻害も示す(Funahashiらの論文、1999)。ボレリジンは、投与量1.8mg/kgで腹腔内注射により投与され、WiDr細胞により誘導された血管容積の増分の有意な低下を示し、これは臨床試験中の合成血管新生阻害薬であるTNP-470投与よりもより大きい程度を示した。詳細にわたる制御は、これらのデータは血管新生阻害についてであり、腫瘍細胞増殖の阻害についてではないことを検証した。この執筆者らは、ボレリジンは、それらの形成に関連した血管新生プロセスを阻害することにより、同じ用量で、B16-BL6メラノーマ細胞の自然発生的肺転移の形成の阻害に関して有効であることも示した。
日本特許公開平09-227,549及び特許公開平08-173,167は、ボレリジンは、ヒト結腸癌WiDr細胞株に対して、及びヒト前立腺癌PC-3細胞株に対しても有効であることを開示した。日本特許公開平09-227,549は、ストレプトマイセス・ロケイMer-N7167(Ferm P-14670)及び得られる発酵培養物からのその単離体によるボレリジンの生成を開示している。ボレリジン1に加え、12-デスニトリル-12-カルボキシルボレリジン2(恐らく生合成中間体又は短絡代謝産物)、10-デスメチルボレリジン3(恐らくボレリジンPKSのモジュール4内の代替のマロニル-CoAイクステンダーユニットの誤取込みから生じる生合成類似体)、11-エピボレリジン4及びC14,C15-cisボレリジン類似体5が、説明された(図1参照)。従って日本特許公開平09-227,549は、ボレリジン、及びニトリル基又はカルボキシル基がC12で炭素骨格に結合し、かつ水素原子又は低級アルキル基がC10で炭素骨格に結合している、ボレリジン類似体を特定した。
ボレリジンは、1960年代に、その医薬(抗-ウイルス)の可能性について調べられたが、これらの努力は、毒性、特に化学増感剤としてのその作用のために続かなかった(Lumbらの論文、1965;Dickinsonらの論文、1965)。
国際公開公報第01/09113号は、シクロペンタン環のカルボン酸部分で合成修飾を受けるボレリジン類似体の調製を開示している。これらの化合物の活性は、先に説明されたものと同様の様式で、内皮細胞増殖アッセイ及び内皮毛細血管形成アッセイを用いて試験された。概してカルボキシル部分の修飾は、毛細血管形成の阻害の選択性を改善し:この選択性における改善の主な理由は、細胞増殖阻害活性の低下によるのに対し、毛細血管形成阻害活性は、はるかに低い程度にまで変更された。具体的には、ボレリジンに関する毛細血管形成阻害活性、対、細胞増殖について、ボレリジン-モルホリノエチルエステルは、60倍の選択指数を示し、ボレリジン-アミドは37倍の選択指数を示し、ボレリジン-(2-ピリジル)-エチルエステルは7.5倍の選択指数を示し、及びボレリジン-モルホリノエチルアミドは6倍の選択指数を示した。これらの及び他のボレリジン誘導体の毛細血管形成阻害活性は、微小血管形成アッセイを用いて検証された。加えてこれらの執筆者は、Lewis肺腺癌モデルを使用し、ボレリジンは、原発性腫瘍の除去後に、転移性小結節の繁殖を弱く阻害したことをことを示した。しかしボレリジン-(3-ピコリルアミド)誘導体は、準中毒量での腹腔内投与及び同じく経口投与後に、ラットにおける微小転移巣の増加を非常に大きく阻害することが報告された。同様に、結腸38脾臓肝臓モデルを使用し、マウス脾臓へ移植されたマウス結腸腺癌細胞の転移巣形成能は、本ボレリジン誘導体の準中毒量での処置後、大幅に低下した。これらのデータは、より早く報告されたボレリジン及びその誘導体の転移巣形成を阻害する能力を確認した。
ボレリジンは、IC50値12μg/mL(24μM)である、サッカロミセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerivisiae)のサイクリン-依存性キナーゼCdc28/Cln2の阻害因子としても同定された(Tsuchiyaらの論文、2001)。ボレリジンは、G1後期に(α-接合フェロモンから識別不能な時点で)、及びタンパク質生合成総量に影響を及ぼさない濃度で、一倍体細胞及び二倍体細胞の両方を停止することが示された。これらのデータは、ボレリジンは、抗-腫瘍薬開発のためのリード化合物としての可能性があることを示すと考えられる。
ボレリジンの生物学的活性に関するふたつの更なる報告が公開されている。これらの中の第一の報告は、ボレリジンの抗-血管新生作用は、明確な経路を介して媒介されることを指摘している(Kawamuraらの論文、2003)。高濃度のトレオニンは、ラット大動脈培養モデルの毛細管形成及びHUVEC細胞増殖の両方を阻害するボレリジンの能力を減弱することがわかったが;しかしこれは、形成された毛細管を破壊又はHUVECのアポトーシスを誘導するボレリジンの能力には影響を及ぼさなかった。ボレリジンは、カスパーゼ-3及びカスパーゼ-8を活性化し、並びにこれらの両方の阻害因子は、HUVECにおいてボレリジンが誘導したアポトーシスを抑制することもわかった。これらの論文の第二のものは、包括的(global)細胞mRNAプロファイリング法を使用し、ボレリジンのサッカロミセス・セレビシアエに対する作用に関する識見を提供した(Eastwood及びSchausの論文、2003)。この分析は、ボレリジン処理時に、時間依存型のアミノ酸生合成酵素の誘導を示し、この経路の誘導は、GCN4転写因子に関与していることを確定した。
ある種のボレリジン類似体は、国際公開公報第2004/058976号(Biotica Technology Ltdら)に開示されている。
まとめると、ボレリジンの血管新生-阻害作用は、増殖及び毛細血管形成の対の生物学的作用に向けられている。加えてボレリジン及びそれらの誘導体は、転移巣増殖を阻害することが示されている。ボレリジンは、細胞周期変調における使用のための適応症(indication)も有する。従ってボレリジン及び関連化合物は、単剤として又は他の療法との併用のいずれかでの、腫瘍組織の治療のための治療的薬剤としての研究にとって、特に魅力的な目標である。加えてこれらは、血管新生が病理進行過程において関与している他の疾患の治療に使用されてもよく、これらの疾患は以下の列記に限定されるものではない:関節リウマチ、乾癬、アテローム性動脈硬化症、及び様々な眼科疾患、例えば糖尿病性網膜症に加え加齢黄斑変性症(AMD)、角膜血管新生及び未熟児網膜症。
本発明は、抗癌剤及びB-細胞悪性腫瘍治療薬として、並びに血管新生が病理進行過程において関与した他の疾患の治療のための薬剤として有用である、ボレリジン誘導体を提供する。
従って、癌及び/又はB-細胞性悪性疾患の治療における利用性、又は血管新生が病理進行過程において関与した他の疾患の治療のための薬剤としての利用性を有し得る、改善された治療係数を伴う新規ボレリジン誘導体を同定する必要性が依然存在する。好ましくはこのようなボレリジン誘導体は、下記の特性を1つ以上有する:全般的細胞増殖の阻害のための抗-血管新生活性及び/又はtRNA合成酵素活性の改善された比、改善された水溶解度、改善された細胞透過性、改善された薬理学的プロファイル、及び投与に関する低下した副作用プロファイル。本発明は、ボレリジン及び関連類似体と比べ、一般に改善された生物学的特性を有する、鎖式(open chain)スターターユニット又は4-員環スターターユニットのいずれかを伴う、ボレリジン類似体の誘導を開示しており;特にこれらは、抗-血管新生活性の全般的細胞増殖の阻害に対する改善された比に関する改善を示す。
(発明の要旨)
本発明は、ボレリジンの誘導体、これらの化合物、それらの中間体の製造方法、並びに医薬品におけるこれらの化合物の使用方法を提供する。
より詳細な態様において、本発明は、下記式(I)のボレリジン誘導体、又はそれらの医薬として許容し得る塩を提供する:
Figure 2009537487
(式中、R1及びR2は各々独立して、H、SR3、又はOH、F、ClもしくはSR3から選択された1個以上の基により任意に置換されてよいC1-C4アルキル基を表し;ここで、R3は、H、CH3、又はCOCH3を表すか;あるいは、R1及びR2は、それらが結合した炭素一緒に、1個以上のハロ原子もしくは1個以上のC1〜C3アルキル基により任意に置換された4員のシクロアルキル環を表し;
R4は:
Figure 2009537487
又は-NHNHC(O)R8を表し、ここでR8は、ビオチン、H、もしくはOH、F、Clから選択された1個以上の基により任意に置換されたC1-C4アルキル基を表し;
Xは、-NH-又は-O-を表し;
Yは、-NH-、-O-又はCH2-を表し;
R5は、H又は-(CH2)nR6を表し;ここで
nは、1〜3の整数を表し;
R6は、H、-OH、-OCH3、-CO2R7、又はOH、F、Cl、-CO2R7、-COR7から選択された1個以上の基により任意に置換されたC1〜C4アルキル基を表し、ここでR7は、C1-C4アルキル基を表すか;
又は、R6は:
i)6員の芳香環、
ii)1〜3個のN、S又はO原子を含む、5〜7員の複素芳香環、
iii)5〜7員のシクロアルキル基、もしくは
iv)1〜3個のN、S又はO原子を含む、5〜7員のヘテロアルキル環:を表し、
前述のi)からiv)の各々は、CH3、OCH3、F、Cl又はBrから選択された1個以上の基により任意に置換されてよく;並びに
R9は、CN、CO2H、CH3又はCONH2を表し、
但し、XがO-を表す場合、R5はHを表さないことを条件とする。)。
前記構造は、代表的互変異性体を示し、本発明は、例えばエノール化合物が図示された場合のケト化合物、又はその逆のような、式(I)の化合物の互変異性体の全てを包含している。
更なる態様において、本発明は、医薬として使用するために、式(I)の化合物のようなボレリジン誘導体又はそれらの医薬として許容し得る塩を提供する。
(定義)
冠詞「ある(a, an)」は、冠詞の文法上の目的語の1つ又は2つ以上(すなわち少なくとも1つ)を意味するように、本明細書において使用される。例として、「ある類似体」は、1つの類似体又は2つ以上の類似体を意味する。
本明細書において使用される用語「類似体(類)」は、別のものに構造的に類似しているが、組成がわずかに異なる(1個の原子の別の原子との交換又は特定の官能基の存在もしくは非存在として)、化合物を意味する。
特に用語「ボレリジン類似体」は、国際公開公報第2004/058976号の方法により生成され、かつ式(II)に示されたような、ボレリジン化合物を意味する。これらの化合物は、「親化合物」とも称され、これらの用語は本出願において互換的に使用される。本出願において、用語「ボレリジン類似体」は、ボレリジンそれ自身の言及を含む。
本明細書において使用される用語「ボレリジン誘導体」は、その最も広い態様において本発明を表すものとして、先に言及されたボレリジン誘導体、すなわち先の式(I)の化合物、又はそれらの医薬として許容し得る塩を意味する。これらの化合物は、「本発明の化合物」又は「ボレリジンの誘導体」とも称され、これらの用語は本出願において互換的に使用される。
本明細書において使用される用語「癌」は、皮膚、又はより一般的には例えば乳房、前立腺、肺、腎臓、膵臓、脳、胃もしくは腸などの体内臓器の内層内に認められる上皮細胞から生じる悪性の新たな増殖を意味する。癌は、隣接組織へ浸潤し、かつ例えば骨、肝臓、肺又は脳などの遠位臓器に広がる(転移する)傾向がある。本明細書において使用される用語癌は、非限定的にメラノーマ、リンパ腫、白血病、線維肉腫、横紋筋肉腫及び肥満細胞腫のような転移性腫瘍細胞型、並びに非限定的に結腸直腸癌、前立腺癌、小細胞肺癌及び非-小細胞肺癌、乳癌、膵臓癌、膀胱癌、腎臓癌、胃癌、グリア芽細胞腫、原発性肝癌及び卵巣癌などの組織癌型の両方を含む。
本明細書において使用される用語「B-細胞性悪性疾患」は、慢性リンパ性白血病(CLL)、多発性骨髄腫、及び非ホジキンリンパ腫(NHL)を含む障害群を含む。これらは、血液及び造血臓器の新生物疾患である。これらは、骨髄及び免疫系の機能障害を引き起こし、このことは宿主を感染症に罹り易く、出血し易くする。
式(I)の化合物のような本発明の化合物の医薬として許容し得る塩は、医薬として許容し得る無機又は有機の酸又は塩基から形成される通常の塩、更には第4級アンモニウム酸付加塩を含む。好適な酸性塩のより詳細な例は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ギ酸、乳酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、パルモン酸、マロン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ヒドロキシナフトエ酸、ヨウ化水素酸、リンゴ酸、ステロイック酸、タンニン酸などの塩を含む。シュウ酸などの他の酸は、それら自身医薬として許容し得るものではないが、本発明の化合物及びそれらの医薬として許容し得る塩を得るための中間体として有用な塩の調製において有用なことがある。好適な塩基性塩のより詳細な例は、ナトリウム、リチウム、カリウム、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、亜鉛、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、N-メチルグルカミン及びプロカインの塩を含む。以後本発明の化合物の言及は、式(I)の化合物及びそれらの医薬として許容し得る塩の両方を含む。
アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基は、直鎖又は分枝鎖であってよい。
C1-C4アルキル基の例は、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル及びn-ブチルである。
5〜7-員のシクロアルキル基は、任意に分枝されてよい、炭素原子5〜7個を含むシクロアルキル環を意味する。例は、シクロペンチル及びシクロヘキシルである。
N、O及びSから選択されたヘテロ原子を1個以上含む5〜7員のヘテロアルキル環は、1又は2個のヘテロ原子、特に1個のヘテロ原子を含む環である。例は、フラン、ピラン、オキセタン、オキシラン、ピペリジン、ピロリジン、アゼチジン、アジリジン、チイラン、チエタン、チオフェン、チオピラン及びモルホリンである。
6-員の芳香環は、フェニルを含む。
N、O及びSから選択されたヘテロ原子を1〜3個含む5〜7-員の複素芳香環は、例えばピリジル及びピリミジニルのような6-員の環、並びに例えばフラニル、ピロリル、イミダゾリル、チオフェニル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル及びチアジアゾリルのような5-員の環である。
図1は、ボレリジン産生菌から単離されたボレリジン及びいくつかの関連代謝産物の構造を図示している。 図2は、17-デス(シクロペンタン-2-カルボン酸)-17-(シクロブタン-2-カルボン酸)ボレリジン(4-(2-ヒドロキシエチル))モルホリンエステル(7)の1H NMRスペクトルを示す。 図3は、17-デス(シクロペンタン-2-カルボン酸)-17-(シクロブタン-2-カルボン酸)ボレリジン(2-(2-ヒドロキシエチル)ピリジンエステル(8)の1H NMRスペクトルを示す。 図4は、17-デス(シクロペンタン-2-カルボン酸)-17-(シクロブタン-2-カルボン酸)ボレリジン(4-(2-アミノエチル))モルホリンアミド(9)の1H NMRスペクトルを示す。 図5は、17-デス(シクロペンタン-2-カルボン酸)-17-(シクロブタン-2-カルボン酸)ボレリジン(4-アミノメチル)ピリジンアミド(10)の1H NMRスペクトルを示す。
図6は、17-デス(シクロペンタン-2-カルボン酸)-17-(シクロブタン-2-カルボン酸)ボレリジン(3-アミノメチル)ピリジンアミド(11)の1H NMRスペクトルを示す。 図7は、17-デス(シクロペンタン-2-カルボン酸)-17-(シクロブタン-2-カルボン酸)ボレリジン(2-アミノメチル)ピリジンアミド(12)の1H NMRスペクトルを示す。 図8は、17-デス(シクロペンタン-2-カルボン酸)-17-(シクロブタン-2-カルボン酸)ボレリジン(3-(2-アミノエチル))ピリジンアミド(13)の1H NMRスペクトルを示す。 図9は、17-デス(シクロペンタン-2-カルボン酸)-17-(シクロブタン-2-カルボン酸)ボレリジンアミド(14)の1H NMRスペクトルを示す。 図10は、実施例において生成された化合物(6-14)の構造である。
(発明の説明)
本発明は、前述のようなボレリジンの誘導体、これらの化合物、それらの中間体の製造方法、並びに医薬品におけるこれらの化合物の使用方法を提供する。
好適には、R9は、CNを表す。
好適には、R1及びR2は、それらが結合した炭素と一緒に、4員のシクロアルキル環を表す。
好適には、R1及びR2は、それらが結合した炭素と一緒に、R4によってのみ置換された、4員のシクロアルキル環を表す。
好適には、Xは、-O-を表す。あるいは好適には、Xは、-NH-を表す。
好適には、Yは、NH-又はO-を表す。ひとつの実施態様において、Yは、NH-を表す。別の実施態様において、Yは、O-を表す。
好適には、R4は:
Figure 2009537487
を表す。
好適には、nは、1を表す。あるいは好適には、nは、2を表す。
好適には、R6は、1〜3個のN、S又はO原子を含む、6員の複素芳香環を表す。
より好適には、R6は、1個のN原子を含む、6員の複素芳香環を表す。
最も好適には、R6は:
Figure 2009537487
を表す。
あるいは好適には、R6は、1〜3個のN、S又はO原子を含む、6員のヘテロアルキル環を表す。
より好適には、R6は:
Figure 2009537487
を表す。
好適には、R1及びR2は、それらが結合した炭素と一緒に:
Figure 2009537487
を表すR4によってのみ置換された、4員のシクロアルキル環を表し、ここでXは、-O-を表し、及びR5は、-(CH2)nR6を表し、ここでnは2を表し、及びR6は:
Figure 2009537487
を表す。
あるいは好適には、R1及びR2は、それらが結合した炭素と一緒に:
Figure 2009537487
を表すR4によってのみ置換された、4員のシクロアルキル環を表し、ここでXは、-O-を表し、及びR5は、-(CH2)nR6を表し、ここでnは2を表し、及びR6は:
Figure 2009537487
を表す。
あるいは好適には、R1及びR2は、それらが結合した炭素と一緒に:
Figure 2009537487
を表すR4によってのみ置換された、4員のシクロアルキル環を表し、ここでXは、-NH-を表し、及びR5は、-(CH2)nR6を表し、ここでnは2を表し、及びR6は:
Figure 2009537487
を表す。
あるいは好適には、R1及びR2は、それらが結合した炭素と一緒に:
Figure 2009537487
を表すR4によってのみ置換された、4員のシクロアルキル環を表し、ここでXは、-NH-を表し、及びR5は、-(CH2)nR6を表し、ここでnは1を表し、及びR6は:
Figure 2009537487
を表す。
あるいは好適には、R1及びR2は、それらが結合した炭素と一緒に:
Figure 2009537487
を表すR4によってのみ置換された、4員のシクロアルキル環を表し、ここでXは、-NH-を表し、及びR5は、-(CH2)nR6を表し、ここでnは1を表し、及びR6は:
Figure 2009537487
を表す。
あるいは好適には、R1及びR2が、それらが結合した炭素と一緒に:
Figure 2009537487
を表すR4によってのみ置換された、4員のシクロアルキル環を表し、ここでXは、-NH-を表し、及びR5は、-(CH2)nR6を表し、ここでnは1を表し、及びR6は:
Figure 2009537487
を表す。
あるいは好適には、R1及びR2は、それらが結合した炭素と一緒に:
Figure 2009537487
を表すR4によってのみ置換された、4員のシクロアルキル環を表し、ここでXは、NH-を表し、及びR5は、-(CH2)nR6を表し、ここでnは2を表し、及びR6は:
Figure 2009537487
を表す。
あるいは好適には、R1及びR2は、それらが結合した炭素と一緒に:
Figure 2009537487
を表すR4によってのみ置換された、4員のシクロアルキル環を表し、ここでXは、NH-を表し、及びR5は、Hを表す。
概して、本発明の化合物は、ボレリジン類似体の半-合成誘導体化により調製される。ボレリジン類似体は、国際公開公報第2004/058976号に開示された方法を用い調製することができ、この特許はその全体が引用により本明細書に組み込まれている。
概して、式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩の製造方法は:
(a)式(II)の化合物:
Figure 2009537487
又はそれらの保護された誘導体を、下記(i)〜(viii)に説明された方法のいずれか1つを用いて、反応させる工程:又は
(b)式(I)の化合物又はそれらの塩を、別の式(I)の化合物又は別のそれらの医薬として許容し得る塩へ転換する工程;又は
(c)保護された式(I)の化合物を脱保護する工程:を含む。
式(II)の化合物は、好適には、当業者に公知のいずれかの方法により生成することができる。特にこれらの方法は、国際公開公報第2004/058976号に開示されている。
本発明は、特に、当業者に公知のエステル化法、アミド化法及び還元法を使用し、式(I)の化合物を製造する方法を提供する。本明細書に提供された特定の方法及び参考文献に加え、当業者は、「Vogel実践有機化学(Vogel's Textbook of Practical Organic Chemistry)」(Furnissらの著書、1989)及び「March上級有機化学(March's Advanced Organic Chemistry)」(Smith及びMarchの著書、2001)を含むが、これらに限定されるものではない、合成法に関する標準の教書文献を参考にしてもよい。
一般式(I)の化合物は、例えば、下記のプロセスであるが、これらに限定されるものではないプロセスを使用する、本明細書に説明された一般的方法を応用することにより製造することができる:
(i)式(II)の化合物から形成された酸クロリドと、好適なアルコール又はアミンとの反応;
(ii)N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N'-エチルカルボジイミド(EDCI)のようなカルボジイミド及び塩基の存在下での、式(II)の化合物の直接のエステル化又はアミド化;
(iii)式(II)の化合物から形成されたエステルの、好適なアルコールとのエステル転移反応;
(iv)式(II)の化合物のメチルエステルの、好適なアミンとの反応;
(v)例えば1-ヒドロキシベンズトリアゾールによる、式(II)の化合物からの反応性エステルの形成、その後の好適なアルコール又はアミンとの反応;
(vi)例えばクロロギ酸エステルによる、式(II)の化合物からの混合型無水物の形成、その後の好適なアミンとの反応;
(vii)式(II)の化合物からの混合型無水物の、金属水素化物によるアルコールへの還元;
(viii)式(II)の化合物から調製された第1級アルコールのアルキル化及びアシル化。
特に式(II)の化合物のエステル誘導体は、最も好ましくは、好適なアルコールを伴う、カルボジイミド(例えば、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N'-エチルカルボジイミド(EDCI)など)の存在下で、式(II)の化合物から形成された活性化された誘導体の、1-ヒドロキシベンズトリアゾールとの反応により製造することができる。
このような反応は、典型的には、例えばテトラヒドロフラン(THF)などであるが、これに限定されるものではない不活性溶媒中で実行される。このような反応において、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N'-エチルカルボジイミド(EDCI)は、カルボジイミドとして使用され、及びジメチルアミノピリジン(DMAP)は、塩基として使用される。これは、10倍過剰のモル数のアルコール成分を使用することが適している。この反応は、温度0℃〜100℃、好ましくは周囲温度(例えば25℃)で、1〜10時間、典型的には3時間攪拌しながら、実行される。
式(II)の化合物のアミド誘導体は、例えば、クロロギ酸エステルから形成された混合型無水物誘導体により、容易に調製することができる。この反応は、例えばTHF又はジクロロメタン(DCM)などであるが、これらに限定されるものではない不活性有機溶媒及び水非含有溶媒中で実行することができる。トリエチルアミン、ピリジン及び4-(ジメチルアミノ)ピリジンを、塩基として使用することができる。典型的には、カップリングされるアミンは、最大10倍過剰のモル数で存在することができる。この反応は、温度-20℃〜50℃で攪拌することにより実行される。この反応は典型的には、1〜10時間攪拌状態とされる。本プロセスの好ましい実施態様において、混合型無水物は、無水THF中-20℃で、トリエチルアミンの存在下で、クロロギ酸イソブチルにより形成され、カップリングは、5〜10倍過剰なアミンの添加後3時間かけて行われる。
式(II)の化合物の第1級アルコール誘導体は、混合型無水物から及びTHF中-20℃での金属水素化物錯体との還元から調製することができる。そのような化合物のアルキル化及びアシル化は、「Vogel実践有機化学(Vogel's Textbook of Practical Organic Chemistry)」(Furnissらの著書、1989)及び「March上級有機化学(March's Advanced Organic Chemistry)」(Smith及びMarchの著書、2001)に記載された方法のような、任意の一般的方法により実行することができる。
当業者は、本明細書に提供された具体的方法及び参考文献に加え、「Vogel実践有機化学(Vogel's Textbook of Practical Organic Chemistry)」(Furnissらの著書、1989)及び「March上級有機化学(March's Advanced Organic Chemistry)」(Smith及びMarchの著書、2001)を含むが、これらに限定されるものではない、合成法に関する標準の教書文献を参考にしてもよい。
プロセス(a)及び(c)において、保護基の例及びそれらの除去手段は、T W Greeneの著書「有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」(J Wiley and Sons, 1991)に認めることができる。好適なヒドロキシル保護基は、加水分解により取り除くことができるアルキル(例えばメチル)、アセタール(例えばアセトニド)、及びアシル(例えばアセチル又はベンゾイル)、並びに触媒的加水素分解により取り除くことができるアリールアルキル(例えばベンジル)、又は酸性加水分解もしくはフッ化物イオンが補助する切断により取り除くことができるシリルエーテルがある。好適なアミン保護基は、適宜加水分解又は水素化分解により取り除くことができるスルホニル(例えばトシル)、アシル(例えばベンジルオキシカルボニル又はt-ブトキシカルボニル)、及びアリールアルキル(例えばベンジル)がある。
本発明の他の化合物は、それ自身公知の方法によるか、又は先に説明された方法に類似した方法により製造することができる。
本発明の化合物は、抗癌剤として有用な化合物を作製するために、直接に、及び更なる半-合成又は生体内転換の鋳型として有用である。ボレリジンの半-合成誘導体化の方法は、国際公開公報第01/09113号に開示されている。
前記中間体(例えば式(II)の化合物)の構造は、互変異性化に供することができ、代表的互変異性体が例示された場合、これは、それ及び全ての互変異性体であると理解され、例えば、エノール化合物が例示された場合のケト化合物、又はその逆を意味することが意図されている。
本発明は追加的に、癌及び/又はB-細胞性悪性疾患の治療における本発明の化合物の使用を提供する。これは、癌又はB-細胞性悪性疾患の治療における使用のための本発明の化合物も提供する。これは、本発明の化合物の有効量を患者へ投与することを含む癌及び/又はB-細胞性悪性疾患の治療の方法も提供する。これは、癌又はB-細胞性悪性疾患の治療のための医薬品の調製における本発明の化合物の使用も提供する。
ボレリジンは、細菌感染症、ウイルス感染症及びマラリアを含むが、これらに限定されるものではないその他の状態、並びに関節リウマチ、乾癬、アテローム性動脈硬化症、糖尿病性網膜症及び様々な眼科疾患を含むが、これらに限定されるものではない病理進行過程において血管新生が関与するその他の疾患の治療における有用性も公知である。本発明の化合物が関与する使用及び方法は、これらの他の適応症へも及ぶ。
好ましい実施態様において、本発明は、癌又はB-細胞性悪性疾患の治療において有用性のある化合物を提供する。当業者は、慣習的実験により、腫瘍細胞増殖を阻害するこれらの化合物の能力を決定することができるであろう(例えば、Rothらの論文、1999、及びDenglerらの論文、1995に説明された方法、並びに本明細書「実施例」に説明された方法を参照されたい)。
本発明は、アンサマイシン誘導体、又はそれらの医薬として許容し得る塩を、医薬として許容し得る担体と共に含有する、医薬組成物も提供する。
前述の本発明の化合物又はそれらの製剤は、任意の通常の方法により投与することができ、例えばこれらは、非経口的(静脈内投与を含む)、経口、局所的(口腔内、舌下又は経皮を含む)、医療用具を介して(例えばステント)、吸入によるか、又は注射により(皮下又は筋肉内)投与されるが、これらに限定されるものではない。本治療は、単回投与又はある期間に渡る反復投与によりなることができる。
本発明の化合物は単独で投与することが可能であるが、これは、1種以上の許容し得る担体と一緒に医薬製剤として存在することが好ましい。従って、本発明の化合物を、1種以上の医薬として許容し得る希釈剤又は担体と一緒に含有する医薬組成物が提供される。希釈剤(類)又は担体(類)は、本発明の化合物と相溶性がありかつそれらのレシピエントに有害でないという意味で、「許容でき」なければならない。好適な担体の例は、以下により詳細に説明する。
本発明の化合物は、単独で又は他の治療薬と組合せて投与されてよい。2種(又はそれよりも多い)薬剤の同時投与は、使用される各々の投与量を著しく低下することができ、これにより認められる副作用を軽減する。1種以上の医薬として許容し得る希釈剤又は担体と一緒に、本発明の化合物及び更なる治療薬を含有する医薬組成物も提供される。
更なる実施態様において、本発明は、癌又はB-細胞性悪性疾患の治療のための第二の薬剤との併用療法における本発明の化合物の使用を提供する。
ひとつの実施態様において、本発明の化合物は、癌又はB-細胞性悪性疾患の治療のための別の治療薬と同時投与され、好ましい薬剤は、メトトレキセート、ロイコボリン、アドリアマイシン、プレニゾン、ブレオマイシン、シクロホスファミド、5-フルオロウラシル、パクリタキセル、ドセタキセル、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、ドキソルビシン、タモキシフェン、トレミフェン、酢酸メゲストロール、アナストロゾール、ゴセレリン、抗-HER2モノクローナル抗体(例えばハーセプチン(Herceptin)(商標))、カペシタビン、塩酸ラロキシフェン、EGFR阻害剤(例えばイレッサ(Iressa)(登録商標)、タルセバ(Tarceva)(商標)、エルビタックス(Erbitax)(商標)、HSP90阻害剤(例えば17-(アリルアミノ)-17-デメトキシゲルダナマイシン(17-AAG)又は17-(ジメチルアミノエチルアミノ)-17-デメトキシゲルダナマイシン(17-DMAG))、mTOR阻害剤(例えばラパマイシン、CCI-779、RAD001)、又はVEGF阻害剤(例えばアバスチン(Avastin)(商標))、プロテアソーム阻害剤(例えばベルケード(Velcade)(商標))又はGlivec(登録商標)を含むが、これらに限定されるものではない。加えて本発明の化合物は、放射線治療又は手術を含むが、これらに限定されるものではない他の療法と組合せて投与されてよい。
本製剤は、好都合なことに、単位剤形で示され、及び調剤技術分野において周知の任意の方法により調製されてよい。このような方法は、活性成分(本発明の化合物)の、1種以上の補助成分を構成する担体との会合をもたらす工程を含む。一般に本製剤は、活性成分の液体担体又は微細化された固形担体又は両方との会合を均質かつ密接にし、その後必要ならば製品を造形することで、調製される。
本発明の化合物は、任意に医薬として許容し得る剤形内の無毒の有機もしくは無機の酸もしくは塩基、付加塩の形で、活性成分を含有する医薬製剤の形で経口又は任意に非経口経路により通常投与される。治療される障害及び患者に加え、投与経路に応じて、本組成物は変動する投与量で投与することができる。
例えば、本発明の化合物は、即時-、遅延-又は制御された放出の適用のために、矯味矯臭剤又は着色剤を含有してよい、錠剤、カプセル剤、卵形剤(ovule)、エリキシル剤、液剤又は懸濁剤の形で、経口、口腔内、又は舌下へ投与することができる。
このような錠剤は、微晶質セルロース、ラクトース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウム及びグリシンのような賦形剤、デンプン(好ましくはトウモロコシ、ジャガイモ又はタピオカデンプン)、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム及びある種の複合シリカのような崩壊剤、並びにポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシ-プロピルセルロース(HPC)、ショ糖、ゼラチン及びアカシアゴムのような造粒結合剤を含んでよい。加えて、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリル及びタルクのような滑沢剤を含んでよい。
同様の型の固形組成物も、ゼラチンカプセル剤中の充填剤として利用することができる。これに関する好ましい賦形剤は、ラクトース、デンプン、セルロース、乳糖又は高分子量ポリエチレングリコールを含む。水性懸濁剤及び/又はエリキシル剤に関して、本発明の化合物は、様々な甘味剤又は矯味矯臭剤、着色物質又は染料と一緒に、乳化剤及び/又は懸濁化剤と一緒に、並びに水、エタノール、プロピレングリコール及びグリセリンのような希釈剤と一緒に、並びにそれらの組合せと一緒にすることができる。
錠剤は、任意に1種以上の補助成分と共に、圧縮又は成形により作製することができる。圧縮錠は、任意に結合剤(例えば、ポビドン、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、滑沢剤、不活性希釈剤、保存剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム、架橋したポビドン、架橋したカルボキシメチルセルロースナトリウム)、表面活性化剤又は分散剤と混合された、粉末又は顆粒のような自在流動形の活性成分を、好適な装置において圧縮することにより調製することができる。成形錠は、不活性液体希釈剤で湿潤された粉末化された化合物の混合物を好適な装置において成形することにより作製することができる。これらの錠剤は、任意に被覆するか又は刻み目を入れることができ、かつ所望の放出プロファイルを提供するために例えば変動する割合でヒドロキシプロピルメチルセルロースを使用し、その中の活性成分の遅延放出又は制御放出を提供するために製剤することができる。
経口投与に適した本発明の製剤は、各々予め決定された量の活性成分を含有する、カプセル剤、カシェ剤又は錠剤のような個別の単位として;散剤又は顆粒剤として;水性液体又は非水性液体中の液剤又は懸濁剤として;もしくは、水中油型液体乳剤又は油中水型液体乳剤として、提供されてよい。本活性成分は、ボーラス、舐剤又はペースト剤としても提供されてよい。
口内の局所投与に好適な製剤は、通常ショ糖及びアカシアゴム又はトラガカントガムの香料基剤中に活性成分を含有する、トローチ剤;ゼラチン及びグリセリン、又はショ糖及びアカシアゴムのような不活性基剤中に活性成分を含有する、香錠;並びに、好適な液体担体中に活性成分を含有する、含嗽剤を含む。
本発明の製剤は、前述の特定の成分に加え、問題の剤型に関する当該技術分野において通常の他の作用物質を含有することができることは理解されなければならず、例えば、経口投与に適したものは、矯味矯臭剤を含有してよい。
局所投与に適合された医薬組成物は、軟膏剤、クリーム剤、懸濁剤、ローション剤、散剤、液剤、ペースト剤、ゲル剤、含浸包帯、スプレー剤、エアロゾル剤又は油剤、経皮デバイス、粉剤などとして製剤されてよい。これらの組成物は、活性物質を含む通常の方法により調製されてよい。従ってこれらは、相溶性のある通常の担体及び添加剤、例えばクリーム剤又は軟膏剤中の保存剤、薬物の透過を補助する溶媒、緩和剤など、並びにローション剤中のエタノール又はオレイルアルコールなどを含有することもできる。このような担体は、組成物の約1%から最大約98%で存在してよい。より一般的には、これらは組成物の最大約80%を形成する。単なる例示として、クリーム剤又は軟膏剤は、所望の稠度を有するクリーム剤又は軟膏剤を作製するのに十分な量で、本化合物を約5〜10重量%含有する、親水性物質及び水の十分な量を混合することにより調製される。
経皮投与に適合された医薬組成物は、長時間、レシピエントの表皮と密接に接触し続けることが意図された個別の貼付剤として提供されてよい。例えば、活性物質は、イオン導入法により貼付剤から送達されてよい。
例えば口及び皮膚のような外部組織への適用に関して、本組成物は、局所用軟膏剤又はクリーム剤として適用されることが好ましい。軟膏剤として製剤される場合、活性物質は、パラフィン系又は水混和性のいずれかの軟膏基剤と共に使用することができる。
あるいは、この活性物質は、水中油型クリーム基剤又は油中水型基剤と共に、クリーム剤に製剤されてもよい。
非経口的投与に関して、活性成分、並びに無菌ビヒクル、例えば水、アルコール、ポリオール、グリセリン及び植物油などであるが、これらに限定されないものを用い、流体単位剤形が調製され、水が好ましい。この活性成分は、使用されるビヒクル及び濃度に応じて、ビヒクル中に懸濁されるか又は溶解されるかのいずれかであることができる。溶液の調製において、活性成分は、注射用水に溶解され、濾過滅菌され、その後好適なバイアル又はアンプルに充填され、密封される。
有利なことに、局所麻酔薬、保存剤及び緩衝剤などの作用物質を、このビヒクルに溶解することができる。安定性を増強するために、本組成物は、バイアルへの充填後に凍結し、かつ真空下で水を除去することができる。次に無水の凍結乾燥された粉末は、バイアル中で密封され、使用前に液体を再構成するように、注射用水のバイアルを伴って供給されてよい。
非経口懸濁剤は、活性成分が、溶解される代わりにビヒクル中に懸濁されること及び滅菌を濾過により実現できないこと以外は、液剤と実質的に同じ様式で調製される。本活性成分は、無菌ビヒクル中へ懸濁される前に、エチレンオキシドへ曝露することにより滅菌することができる。有利なことに、活性成分の均質な分布を促進するために、本組成物中に界面活性剤又は湿潤剤が含まれる。
本発明の化合物は、当該技術分野において公知の医療用具を用いて投与されてもよい。例えばひとつの実施態様において、本発明の医薬組成物は、米国特許第5,399,163号;第5,383,851号;第5,312,335号;第5,064,413号;第4,941,880号;第4,790,824号;又は、第4,596,556号に開示された装置のような、無針皮下注射装置により投与することができる。本発明において有用な周知のインプラント及びモジュールの例は、以下のものを含む:米国特許第4,487,603号は、投薬を制御された速度で分配するための、植え込み可能な微量注入ポンプを開示している;米国特許第4,486,194号は、皮膚を通る医薬品の投与のための治療的装置を開示している;米国特許第4,447,233号は、正確な注入速度で投薬を送達するための投薬用注入ポンプを開示している;米国特許第4,447,224号は、連続薬物送達のための可変流量の植え込み可能な注入器具を開示している;米国特許第4,439,196号は、マルチ-チャンバーコンパートメントを備える浸透圧式薬物送達システムを開示している;並びに、米国特許第4,475,196号は、浸透圧式薬物送達システムを開示している。多くの他のインプラント、送達システム、及びモジュールが、当業者に公知である。
本発明の化合物の投与される用量は、特定の化合物、関連する疾患、対象、並びに疾患の性質及び重症度、並びに対象の生理的状態、並びに選択された投与経路に応じて変動する。適量は、当業者により容易に決定され得る。
本組成物は、投与方法に応じて、本発明の化合物を0.1重量%以上、好ましくは5〜60%、より好ましくは10〜30重量%含有する。
当業者により、本発明の化合物の最適量及び個々の投薬の間隔は、治療される状態の性質及び程度、剤型、投与経路及び部位、並びに治療される特定の対象の年齢及び状態により決定されること、並びに医師が使用されるべき適量を最終的に決定することは認められるであろう。この投薬は、適宜反復することができる。副作用が出現した場合には、通常の臨床の実践に従い、投薬の量及び/又は頻度を変更又は減少することができる。
(実施例)
(全般的方法)
(培養物の発酵)
ボレリジン類似体の生成は、先に国際公開公報第2004/058976号に開示されたように行った。典型例を以下に示す(実施例1)。
(発酵ブロス分析及びインビボ形質転換試験のためのLCMS分析手順)
培養ブロス(1mL)及び酢酸エチル(1mL)を15分間混合し、引き続き10分間遠心分離した。有機層0.5mLを収集し、蒸発乾固させ、その後メタノール0.25mLに再溶解した。LCMSを、陽イオンモードで操作するBruker Daltonics Esquire 3000+エレクトロスプレー式質量分析計と組み合わせた一体型Agilent HP1100 HPLCシステム上で行った。クロマトグラフィーは、Phenomenex Hypercloneカラム(C18 BDS、3μm、150×4.6mm)上で、水+0.1%ギ酸からアセトニトリル+0.1%ギ酸までの直線勾配で、流量1mL/分で25分間かけて溶出し、実行した。
(合成)
全ての反応は、乾燥機で乾燥し真空下で冷却したガラス製品内で、無水溶媒を用い、別に記さない限りは、無水条件下で行った。反応は、Micromass Platformシングル四重極型装置上で、LC-UV-MSによりモニタリングした。クロマトグラフィーは、Atlantis dC18カラム(50×2.1mm, 5μm)を用い、下記の勾配を1ml/分で溶出し、逆相シリカ上で行った:T=0, 100%A;T=2.5, 100%B;移動相A、水+0.1%ギ酸;移動相B、アセトニトリル+0.1%ギ酸。UV検出は、215nmで行った。
(水への溶解度の評価)
水への溶解度は、以下のように試験することができる:ボレリジン類似体の10mMストック液を、室温で、100%DMSO中に調製する。3つ組の0.01mLアリコートを、琥珀色バイアル内で、0.1M PBS(pH7.3)溶液又は100%DMSOのいずれかで、0.5mLとする。得られた0.2mM溶液を、暗所、室温において、IKA(登録商標)vibrax VXR振盪機上で6時間振盪し、引き続き得られた溶液又は懸濁液を、2mLエッペンドルフチューブへ移し、13200rpmで30分間遠心分離する。その後上清液のアリコートを、前述のLCMS法により分析する。
(細胞透過性の評価)
細胞透過性は、以下のように評価することができる:被験化合物を、10mMでDMSO中に溶解し、その後更に緩衝液で希釈し、最終投薬濃度10μMを作製する。膜完全性をモニタリングするために、蛍光マーカールシファーイエローも含ませる。その後被験化合物を、Caco-2細胞単層の頂端表面に塗布し、側底コンパートメントへの化合物の透過を測定する。これは、能動輸送を調べるために、逆方向(側底から頂端へ)で行う。LC-MS/MSを用い、被験化合物及び標準対照化合物(例えばプロパノロール及びアセブトロールなど)の両方のレベルを定量する。
(合成化合物のNMR構造決定)
1H NMRスペクトルは、Bruker 400B装置において、400MHzで記録した。化合物はCDCl3に溶解し、δ=7.26ppmで共鳴する残存プロトンに対し参照した。
(抗癌活性のインビトロバイオアッセイ)
単層増殖アッセイでの12種のヒト腫瘍細胞株パネルにおける抗癌活性について、化合物のインビトロ評価を、Oncotest社のInstitute for Experimental OncologyのOncotest Testing Facility(フライブルグ)において行った。選択された12種の細胞株の特徴を、表1にまとめる。
Figure 2009537487
Oncotest細胞株は、Rothらの論文(1999)に説明されたように、ヒト腫瘍異種移植片から確立した。ドナー異種移植片の起源は、Fiebigらの論文(1999)に説明されている。他の細胞株は、NCI(H460、SF-268、OVCAR-3、DU145、MDA-MB-231、MDA-MB-468)から入手したか、又はDSMZ(ブラウンシュバイヒ, 独国)(LNCAP)から購入したかのいずれかであった。
別に指定しない限りは、全ての細胞株は、RPMI 1640培地、10%ウシ胎仔血清、及び0.1mg/mLゲンタマイシン(PAA, コルベ, 独国)を含有する「成分調合済み(ready-mix)」培地において、加湿大気(95%空気、5%CO2)内で、37℃で増殖した。
(単層アッセイ−プロトコールの簡単な説明)
改変ヨウ化プロピジウムアッセイを用い、被験化合物(類)のヒト腫瘍細胞株の増殖に対する作用を評価した(Denglerらの論文、(1995))。
簡単に述べると、細胞を、トリプシン処理により対数期培養物から収穫し、カウントし、96ウェル平底マイクロタイタープレートに細胞株に応じた細胞密度(5〜10,000個生存細胞/ウェル)で播種した。24時間後、細胞を対数増殖を再開するために回収し、培養培地(6対照ウェル/プレート)又はマクベシン含有する培養培地の0.010mLを、これらのウェルに添加した。各濃度は、3つ組で播種した。化合物を、2種の濃度(0.001mM及び0.01mM)で適用した。4日間連続曝露後、被験化合物を伴う又は伴わない、細胞培養培地を、ヨウ化プロピジウム(PI)水溶液(7mg/L)0.2mLにより交換した。生存細胞の割合を測定するために、これらのプレートを凍結することにより、細胞を透過性とすることができる。これらのプレートを解凍後、Cytofluor 4000マイクロプレートリーダー(励起530nm、発光620nm)を用い蛍光を測定し、生存細胞の総数に対する直接相関を得た。
12種の細胞株パネルにわたる平均増殖阻害は、処置/対照×100(%T/C)として表した。
本癌細胞増殖阻害アッセイにおいて示されたボレリジン類似体の活性は、トレオニルtRNA合成酵素の阻害により大部分生じると考えられる。
(実施例1:17-デス(シクロペンタン-2-カルボン酸)-17-(シクロブタン-2-カルボン酸)ボレリジン(6)の発酵及び単離)
記された実施例は、6の生成に特定されるが、この方法は全てのボレリジン類似体に一般化され、当業者は、以下に説明された特定の方法を、別のボレリジン類似体の生成に適用する方法を理解するであろう。3×7L Applikon発酵槽を、説明されたように試行し、これらの発酵ブロスは、抽出のために一緒にした。
NYG培地(250mL Erlenmyerフラスコ中30mL)を含む種フラスコに、菌糸体ストック培養液(0.5mL;凍結-保存剤を伴う2日種培養物(脱イオン水中20%w/vグリセロール及び10%w/vラクトース)の1:1希釈により作製)からのS.パルブルスTu4055/borG::aac3(IV))(国際公開公報第2004/058976号)を接種した。NYG培地は、脱イオン水中に、ウシエキス(0.3%w/v)、バクトペプトン(0.5%w/v)、グルコース(1%w/v)及び酵母エキス(0.5%w/v)を含有する。
二次種(secondary seed)を、前述のように調製した(しかし2L Erlenmyerフラスコ内に250mL NYGを含む)。発泡を防ぐために0.01%v/vプルロニックL0101を含有するPYDG生産培地(4L)に、二次種接種材料(10%v/v)を接種した。PYDG培地は、脱イオン水中、ペプトン処理したミルク栄養素(1.5%w/v)、酵母自己融解物(0.15%w/v)、デキストリン(4.5%w/v)及びグルコース(0.5%w/v)を含み、pH7.0に調節した。これは、7L Applikon発酵槽中で30℃で6日間の発酵を可能にした。24時間後、メタノール中のシクロブタン1,2-trans-ジカルボン酸を添加し、最終濃度4mMとした。溶存酸素分圧は、飽和空気の30%又はそれを上回るように維持するために、空気流れを0.75vvmに設定し、傾斜のついたバッフル及び羽根車の速度を電子的に250〜600rpmの間に制御した。このような3個の発酵槽の発酵ブロスを一緒にし(12L)、アッセイした;合計339mgの6が生成された(平均力価28mg/L)。
発酵ブロスを、pH〜5.5に調節し(濃HCl)、その後遠心分離により清明とした。上清を、酢酸エチル(2×1容積等量)で抽出し、細胞ペレットを、メタノール(2×1容積等量)で抽出した。一緒にした有機抽出液を蒸発させ、茶色の水性スラリーを得た。これを、水で希釈し(1Lへ)、酢酸エチル(3×1L)で抽出した。一緒にした有機抽出液を蒸発させ、茶色油状物(〜4.5g)を得た。この油状物を、アセトンに溶解し、フラッシュシリカゲル60(150g)を添加し、蒸発により溶媒を除去した。これを、ヘプタン中に予め調製したフラッシュシリカカラム(5×25cm)に装加した。このカラムを、100%ヘプタンから100%酢酸エチルまでの段階勾配により溶出した。6含有画分を、TLCにより同定し、一緒にし、蒸発により溶媒を除去し、黄色油状物(〜1g)を得た。その後この油状物を、最低量の溶媒混合液(ヘプタン:CHCl3:エタノール、10:10:1)に溶解し、同じ溶媒混合液中に予め調製したSephadex LH-20(2.5×60cm)のカラムに装加した。カラムは、同じ溶媒混合液約3Lにより自重で溶出し、12mL画分を収集した。6含有画分を一緒にし、蒸発により溶媒を除去した。得られた淡黄色固形物(550mg)を、最低量のCHCl3に溶解し、曇り始めるまでヘキサンを添加することにより、晶出させた。得られた溶液を、-20℃で一晩貯蔵し、得られた固形物を、濾過により収集し、冷ヘキサンで洗浄した。母液を、再度同様に処理した。ふたつのバッチを一緒にし、6(190mg)を得た。
6のNMRスペクトルを、Bruker Advance 500分光計上、298Kで、1H及び13Cについて各々500MHz及び125MHzで操作し記録した。標準Brukerパルスプログラムを用い、1H-1H COSY、APT、HMQC及びHMBCスペクトルを獲得し;結合定数は、ヘルツで得た。NMR実験は、CDCl3中で試行し、δH 7.26で共鳴する残存プロトン及びCDCl3についてδC 77.0でのカーボンシグナルに対し参照した。
Figure 2009537487
Figure 2009537487
(実施例2:17-デス(シクロペンタン-2-カルボン酸)-17-(シクロブタン-2-カルボン酸)ボレリジン(4-(2-ヒドロキシエチル))モルホリンエステル(7)の合成)
無水テトラヒドロフラン(THF)(7mL)中のボレリジン類似体6(125mg, 0.263mmol)の攪拌溶液を、1-ヒドロキシトリアゾール(35mg, 0.263mmol)、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N'-エチルカルボジイミド(EDCI)(64mg, 0.33mmol)及びDMAP(73mg, 0.60mmol)により、窒素下で処理した。30分後、4-(2-ヒドロキシエチル)モルホリン(344mg, 0.32mL, 2.63mmol)を添加した。更に3時間後、この混合物を蒸発乾固させた。残渣を、ジクロロメタン(DCM)に溶解し、水で2回洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥した。濾過及び蒸発後、残渣をDCM中0〜90%酢酸エチルの勾配で溶出する「コンビフラッシュ(Combiflash)」により精製した。生成物を、蒸発乾固させ、クロロホルムで2回共沸し、無色のガラス状物を得た。収量=61mg, 39%。純度(LCMSにより)>95%。1H NMRは、正確な化合物と一致した(図2)。
(実施例3:17-デス(シクロペンタン-2-カルボン酸)-17-(シクロブタン-2-カルボン酸)ボレリジン(2-(2-ヒドロキシエチル)ピリジンエステル(8)の合成)
本化合物を、4-(2-ヒドロキシエチル)モルホリンの代わりに2-(2-ヒドロキシエチル)ピリジン(323mg, 0.30mL, 2.63mmol)を用いる以外は、同量の材料を使用し、実施例2に説明されたように調製した。収量=89mg, 58%。純度(LCMSによる)>95%。1H NMRは、正確な化合物と一致した(図3)。
(実施例4:17-デス(シクロペンタン-2-カルボン酸)-17-(シクロブタン-2-カルボン酸)ボレリジン(4-(2-アミノエチル))モルホリンアミド(9)の合成)
無水THF(7.5mL)中の6(100mg, 0.204mmol)の攪拌溶液を、-20℃に冷却し、無水トリエチルアミン(0.03mL, 0.225mmol)、引き続きクロロギ酸イソブチル(0.03mL, 0.225mmol)により、窒素下で処理した。-20℃で30分間攪拌した後、この混合物を濾過し、塩酸トリエチルアミンを除去した。濾液を再度-20℃に冷却し、4-(2-アミノエチル)モルホリン(0.17mL, 1.3mmol)により窒素下で処理した。その後3時間かけて、その温度を周囲温度まで上昇させ、その後この混合物を蒸発乾固させた。残渣を、DCMに溶解し、水で3回洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥した。濾過後、溶媒を、室温での蒸発により除去した。生成物を、DCM中0〜90%酢酸エチルの勾配、その後酢酸エチル中5%トリエチルアミンで溶出する「コンビフラッシュ」により精製した。蒸発後、生成物をかすかに黄色のガラス状物として得た。収量=84mg, 54%。純度(LCMSによる)>99%。1H NMRは、正確な化合物と一致した(図4)。
(実施例5:17-デス(シクロペンタン-2-カルボン酸)-17-(シクロブタン-2-カルボン酸)ボレリジン(4-アミノメチル)ピリジンアミド(10)の合成)
本化合物を、以下の量の材料を使用すること以外は、実施例4に説明されたように調製した:ボレリジン類似体6(125mg, 0.263mmol)、無水THF(10mL)、無水トリエチルアミン(29mg, 0.04mL, 0.289mmol)、クロロギ酸イソブチル(39mg, 0.04mL, 0.289mmol)及び4-(アミノメチル)ピリジン(181mg, 0.17mL, 1.68mmol)。精製は、DCM中0〜90%酢酸エチル、その後無希釈の酢酸エチルを使用する「コンビフラッシュ」を用い行った。生成物を、白色固形物として単離した。収量=32mg, 21.5%。純度(LCMSによる)>97%。1H NMRは、正確な化合物と一致したが、生成物の溶解を補助するために、若干のd6-DMSOの添加が必要であった(図5)。
(実施例6:17-デス(シクロペンタン-2-カルボン酸)-17-(シクロブタン-2-カルボン酸)ボレリジン(3-アミノメチル)ピリジンアミド(11)の合成)
本化合物は、4-(2-アミノエチル)モルホリンの代わりに3-(アミノメチル)ピリジン(181mg, 0.17mL, 1.68mmol)を使用した以外は、同量の材料を使用し、実施例4に説明されたように調製した。精製は、DCM中0〜90%酢酸エチル、その後90%酢酸エチルを使用する「コンビフラッシュ」を用い行った(生成物は、副産物の後で溶出された)。この生成物を、クロロホルムで2回共沸し、無色のガラス状物を得た。収量=121mg, 81%。純度(LCMSによる) 100%。1H NMRは、正確な化合物と一致した(図6)。
(実施例7:17-デス(シクロペンタン-2-カルボン酸)-17-(シクロブタン-2-カルボン酸)ボレリジン(2-アミノメチル)ピリジンアミド(12)の合成)
本化合物は、4-(2-アミノエチル)モルホリンの代わりに2-(アミノメチル)ピリジン(181mg, 0.17mL, 1.68mmol)を使用した以外は、同量の材料を使用し、実施例4に説明されたように調製した。実施例4のような精製は、無色のガラス状物を生じた。収量=137mg, 92%。純度(LCMSによる) 100%。1H NMRは、正確な化合物と一致した(図7)。
(実施例8:17-デス(シクロペンタン-2-カルボン酸)-17-(シクロブタン-2-カルボン酸)ボレリジン(3-(2-アミノエチル))ピリジンアミド(13)の合成)
本化合物は、4-(2-アミノエチル)モルホリンの代わりに3-(2-アミノエチル)ピリジン(205mg, 0.27mL, 1.68mmol)を使用した以外は、同量の材料を使用し、実施例4に説明されたように調製した。実施例4のような精製は、無色のガラス状物を生じた。収量=98mg, 64%。純度(LCMSによる) 100%。1H NMRは、正確な化合物と一致した(図8)。
(実施例9:17-デス(シクロペンタン-2-カルボン酸)-17-(シクロブタン-2-カルボン酸)ボレリジンアミド(14)の合成)
本化合物は、4-(2-アミノエチル)モルホリンの代わりにアンモニア水溶液(0.1mL)を使用した以外は、同量の材料を使用し、実施例4に説明されたように調製した。後処理直前に氷酢酸3滴を添加し、その後実施例4のような精製は、生成物を無色のガラス状物として生じた。収量=90mg, 72%。純度(LCMSによる)>99%。1H NMRは、正確な化合物と一致した(図9)。
(実施例10:エステル誘導体7及び8並びにアミド誘導体9及び13の切断試験)
化合物7、8、9及び13を、ラット血液中でインキュベーションし、親酸6を生じるそれらの切断について調べた。
化合物7、8、9及び13を、ラット血液(EDTA含有)に最終濃度0.01mg/mLで添加し、37℃でインキュベーションした。試料を、2、30、60、120及び180分の時点で採取し、SPEカートリッジを用いて抽出した。簡単に述べると、試料(0.1mL)を、2mLのプロピレン製チューブに移し、内部標準を添加した。この試料を、0.1M水性KH2PO4の添加により、容積1mLに希釈した。試料を、5分間ボルテックスにかけ、3000rpmで5分間遠心した。Oasis MAXカートリッジ(1cc/30mg)を、1mL MeOH及び1mL水で連続してコンディショニングした。上清を、コンディショニングしたカートリッジに流量1〜2mL/分で移した。カートリッジを、水中2%NH4OH及び30%MeOH(2%ギ酸含有)で、1〜2mL/分で洗浄した。最後に、分析物を、80%MeOH(2%ギ酸含有)で1〜2mL/分で溶出した。これらの抽出物を、自動サンプラーバイアルに移し、直ちにLC/MSにより分析した。試料は、6に関する標準検量線と比較した。
抽出後、各化合物に関する2分の時点の試料を連続希釈し、LC-MSにより分析し、それらの反応は、3〜100%の濃度範囲にわたり線形であることを保証した。LCMSを、HPLCへ連結されたBruker Daltonics Esquire 3000+エレクトロスプレー式給源を装備した質量分析計上で行った。HPLC条件は、以下であった:20%Bで1分間、その後100%Bまで7分間かけた直線勾配、及び100%Bで2分間の定組成期間。注入容積:0.05mL。HPLCは、Waters Symmetry C8 3.5μmカラム、50mm×2.1mm、移動相の試行:移動相A:水中0.1%ギ酸;移動相B:アセトニトリル中0.1%ギ酸;流量:1mL/分。
化合物6は、m/z474に極めて強い[M-H]-イオンを示している。この分子種の断片化は、m/z 271及び412に極めて強いイオンを伴うスペクトルを生じる。m/z 412の娘イオンは、定量のために理想的に選択することができる。
これらの方法を用い、アミド誘導体9及び13は、親化合物6のいずれかを生じるようには、切断されなかった。2種のエステル誘導体7及び8は、親化合物6を生じるように、迅速に切断された。7の切断に関する半減期は、12分と概算され、8に関する切断速度は、本プロトコールを用いて計算するには余りにも早すぎた。
これらのデータを基に、エステル誘導体7及び8は、可能性のある6のプロドラッグとして作用すると考えられた。前述のアミド誘導体は、6のプロドラッグとして機能しない。
(実施例11:生物学的データ−ボレリジン誘導体の抗癌活性のインビトロ評価)
単層増殖アッセイでのヒト腫瘍細胞株パネルにおける被験化合物の抗癌活性に関するインビトロ評価を、改変ヨウ化プロピジウムアッセイを用い、「全般的方法」に説明されたように実行した。このスクリーニングは、全般的細胞増殖を阻害する化合物の毒性作用のモデルとして使用することができる。
これらの結果を、下記表IIIに示す;化合物1及び6に関して、これらの結果は2つ組実験の平均を表すこと以外は、各結果は、3つ組実験の平均を表す。
Figure 2009537487
化合物9、10、11、12、13及び14は、1μMでほとんど又は全く細胞増殖の阻害を生じなかったので、これらの化合物は、比較的良好な安全性プロファイルを有すると述べることができる。化合物7及び8は、化合物1に比べ改善された化合物6それ自身に比べ改善された。
(実施例12:生物学的データ−ニワトリ絨毛尿膜(CAM)アッセイを使用するボレリジン誘導体の抗-血管新生活性の評価)
新鮮な受精卵を、標準孵卵器において、37℃で3日間インキュベーションした。 3日目に、卵を無菌条件下で割り、胚を20×100mmプラスチック製プレート上に配置し、貯水器を備えた胚培養用インキュベーターの下段で、37℃で培養した。インキュベーター内の湿度を一定に維持するように、小型ポンプを使用し、空気を、貯水器へ連続して泡立てた。6日目に、滅菌したシリコーン製「O」リングを、各CAMに配置し、0.5%メチルセルロース10μl中に溶解した被験化合物の一定量を、無菌フード内の各「O」リングへ送達した。対照胚は、ビヒクル10μLのみ受け取った。8日目に、胚をインキュベーターから取り出し、室温で維持しながら、倍率160×で画像取得システムを使用し、各「O」リング下で、血管密度を決定した。
血管密度は、血管新生スコアリングシステムを用い、半定量的に測定し、ここで指数番号(exponential number)1〜32を用い、CAM上の処置部位に存在する血管の数を示した。番号32は、最高密度を表し、0は血管新生が生じないことを示した。各投与量の部位での阻害率を、各個別の実験に関して、その部位について記録されたスコアを、適当な対照試料から得られた平均スコアで除算した数を用いて算出した。所定の化合物の各投与量の阻害率は、その投与量で得られた全ての結果をまとめることにより算出した。
これらの結果は、下記表IVに示す;各平均血管密度スコアは、10回の実験の平均を表している。1μMでの癌細胞株の阻害率は、100から表IIIの1μMでの平均%T/Cを減算することにより算出した。インビトロ癌細胞阻害におけるCAM血管形成の阻害比のより高い値は、全般的細胞増殖阻害と比べた抗-血管新生活性、又はtRNA合成酵素活性の相対的増加を示唆している。
Figure 2009537487
このデータから、9の抗-血管新生治療係数(抗-血管新生、対、全般的細胞阻害の比)は特に良好であり、並びに7及び9は1及び6と比べ、改善されていることが示されている。
(参考文献)
Anderson, B.F., Herlt, A.J., Rickards, R.W.及びRobertson, G.B.の論文、(1989)「マクロライド系抗生物質ボレリジンの2種の同形溶媒和物の結晶構造及び分子構造:結晶格子内のキラル溶媒の取り込みによる絶対配置決定(Crystal and molecular structures of two isomorphous solvates of the macrolide antibiotic borrelidin: absolute configuration determination by incorporation of a chiral solvent in the in the crystal lattice)」 Aust. J. Chem., 42:717-730
Anderton, K.及びR. W. Rickardsの論文、(1965)「抗-ウイルス抗生物質ボレリジンの構造特徴(Some structural features of borrelidin, an anti-viral antibiotic)」 Nature, 206(981):269
Berger, J., Jampolsky, L.M.及びGoldberg, M.W.の論文、(1949) 「ボレリジン、抗-ボレリア菌活性及びペニシリン増強特性を伴う新規抗生物質(Borrelidin, a new antibiotic with anti-Borrelia activity and penicillin enhancement properties)」 Arc. Biochem., 22:476-478
Dengler W.A., Schulte J., Berger D.P., Mertelsmann R.及びFiebig HH.の論文、(1995) 「増殖及び細胞傷害性アッセイのためのヨウ化プロピジウム蛍光アッセイの開発(Development of a propidium iodide fluorescence assay for proliferation and cytotoxicity assay)」 Anti-Cancer Drugs, 6:522-532
Dickinson, L., Griffiths, A.J., Mason, C.G.及びMills, R.F.の論文、(1965) 「ストレプトマイセス種から単離された2種の抗生物質の抗-ウイルス活性(Anti-viral activity of two antibiotics isolated from a species of Streptomyces)」 Nature, 206:265-268
Duffey, M. O., A. LeTiranらの論文、(2003) 「ボレリジン全合成のエナンチオ選択性(Enantioselective total synthesis of borrelidin)」 J Am Chem Soc, 125(6):1458-1459
Eastwood, E. L.及びS. E. Schausの論文、(2003) 「GCN4-依存型経路を介したアミノ酸生合成酵素の転写を誘導するボレリジン(Borrelidin induces the transcription of amino acid biosynthetic enzymes via a GCN4-dependent pathway)」 Bioorg Med Chem Lett, 13(13):2235-7
Folkman, J.の論文、(1986) 「正常組織及び新生物組織において調節された血管増殖の方法(How is blood vessel growth regulated in normal and neoplastic tissue?)」G.H.A. Cloves Memorial Lecture. Cancer Res., 51:467-473
Funahashi, Y., Wakabayashi, T., Semba, T., Sonoda, J., Kitoh, K.及びYoshimatsu, K.の論文、(1999) 「定量的マウス背部皮下法モデルの確立及び新規血管新生阻害因子評価へのその適用(Establishment of a quantitative mouse dorsal air sac model and its application to evaluate a new angiogenesis inhibitor)」Oncol. Res., 11:319-329
Furniss B.S., Hannaford A.J., Smith P.W.G.及びTatchell A.R.の著書、(1989) 「Vogel実用有機化学(Vogel's textbook of practical organic chemistry)」第5版, Pearson, Prentice Hall, Harlow, 英国
Hanessian, S., Y. Yangらの論文、(2003) 「非環式立体選択における立体配置デザインの適用:結晶性ベンゼン溶媒和物としてのボレリジンの全合成(Application of conformation design in acyclic stereoselection: total synthesis of borrelidin as the crystalline benzene solvate)」J Am Chem Soc, 125(45):13784-92
Kawamura, T., D. Liuらの論文、(2003) 「明確な経路を介した媒介されたボレリジンの抗-血管新生作用:トレオニル-tRNA合成酵素及びカスパーゼは独立して内皮細胞における増殖の抑制及びアポトーシスの誘導に関与する(Anti-angiogenesis effects of borrelidin are mediated through distinct pathways: threonyl-tRNA synthetase and caspases are independently involved in suppression of proliferation and induction of apoptosis in endothelial cells)」J Antibiot (東京), 56(8): 709-15
Keller-Schierlein, W.の論文、(1967) 「微生物の代謝産物:ボレリジンの構成に関して(Metabolic products of microorganisms. Concerning the constitution of borrelidin)」Helv Chim Acta, 50(3): 731-53
Kuo, M. S., D. A. Yurekらの論文、(1989) 「1H及び13C NMRシグナルの帰属並びにボレリジンC-7でのアルケン幾何配置(Assignment of 1H and 13C NMR signals and the alkene geometry at C-7 in borrelidin)」Journal of Antibiotics, 42(6): 1006-1007
Lumb, M., Macey, P.E., Spyvee, J., Whitmarsh, J.M.及びWright, R.D.の論文、(1965) 「ストレプトマイセス種からの抗-ウイルス活性を持つ2種の抗生物質ビボマイシン及びボレリジンの単離(Isolation of vivomycin and borrelidin, two antibiotics with anti-viral activity, from a species of Streptomyces.)」 Nature, 206: 263-265
Maehr, H.及びR. H. Evansの論文、(1987) 「トレポネマイシンによるボレリジンの同定(Identity of borrelidin with treponemycin)」 Journal of Antibiotics, 40(10):1455-1456
Matter, A.の論文、(2001) 「治療標的としての腫瘍血管新生(Tumor angiogenesis as a therapeutic target)」Drug Dis. Today, 6:1005-1024
Moss, S. J., I. Carletti, C. Olano, R. M. Sheridan, M. Ward, V. Math, M. Nur-E-Alam, A. F. Brana, M. Q. Zhang, P. F. Leadlay, C. Mndez, J. A. Salas及びB. Wilkinsonの論文、(2006) 「血管新生阻害因子ボレリジンの生合成:新規類似体の方向付けられた生合成(Biosynthesis of the angiogenesis inhibitor borrelidin: directed biosynthesis of novel analogues)」 Chem. Commun., 印刷中
Nagamitsu, T., Takano, D., Fukuda, T., Otoguro, K., Kuwajima, I., Harigaya, Y.及びmura, S.の論文、(2004) 「(-)-ボレリジンの全合成(Total synthesis of (-)-borrelidin)」Org. Lett., 6:1865-1867
Olano C, Wilkinson B, Moss SJ, Brana AF, Mendez C, Leadlay PF, Salas JA.の論文、(2003) 「モジュラーポリケチド合成酵素における反復モジュール使用のための操作された遺伝子融合体の証拠(Evidence from engineered gene fusions for the repeated use of a module in a modular polyketide synthase)」 Chem. Commun, 2780-2782
Olano C, Wilkinson B, Sanchez C, Moss SJ, Sheridan R, Math V, Weston AJ, Brana AF, Martin CJ, Oliynyk M, Mendez C, Leadlay PF, Salas JA.の論文、(2004a) 「ストレプトマイセス・パルブルスTu4055による血管新生阻害因子ボレリジンの生合成:クラスター解析及び機能割当(Biosynthesis of the angiogenesis inhibitor borrelidin by Streptomyces parvulus Tu4055: cluster analysis and assignment of functions)」 Chem. Biol., 11:87-97
Olano C, Moss SJ, Brana AF, Sheridan RM, Math V, Weston AJ, Mendez C, Leadlay PF, Wilkinson B, Salas JA.の論文、(2004b) 「ストレプトマイセス・パルブルスTu4055による血管新生阻害因子ボレリジンの生合成:ニトリル形成への識見(Biosynthesis of the angiogenesis inhibitor borrelidin by Streptomyces parvulus Tu4055: insights into nitrile formation)」 Mol. Microbiol., 52:1745-1756
Otani, A., Slike, B.M., Dorrell, H.I., Hood, J., Kinder, K., Cheresh, D.A., Schimmel, P.及びFriedlander, M.の論文、(2002) 「眼血管新生の強力なアンタゴニストとしてのヒトTrpRSの断片(A fragment of human TrpRS as a potent antagonist of ocular angiogenesis)」Proc. Nat. Acad. Sci. USA, 99:178-183
Otoguru, K., Ui, H., Ishiyama, A., Kobayashi, M., Togashi, H., Takahashi, Y., Masuma, R., Tanaka, H., Tomado, H., Yamada, H.及びmura, S.の論文、(2003) 「マラリア原虫の薬物耐性菌に対する非-グリコシドの18-員マクロライド系抗生物質ボレリジンのインビトロ及びインビボ抗マラリア活性(In vitro and in vivo antimalarial activities of a non-glycosidic 18-membered macrolide antibiotic, borrelidin, against drug-resistant strains of Plasmodia)」 J. Antibiot., 56:727-729
Paetz, W.及びNass, G.の論文、(1973) 「大腸菌K12の2種のボレリジン-耐性変異体のトレオニル-tRNA合成酵素の生化学的及び免疫学的特徴(Biochemical and immunological characterization of threonyl-tRNA synthetase of two borrelidin-resistant mutants of Escherichia coli K12)」 Eur. J. Biochem., 35:331-337
Perrin, R.M., Konopatskaya, O., Qiu, Y., Harper, S., Bates, D.O.及びChurchill, A.J.の論文、(2005) 「血管内皮増殖因子の抗-からプロ-血管新生アイソフォームへのスプライシングにおけるスイッチに関連した糖尿病性網膜症(Diabetic retinopathy is associated with a switch in splicing from anti- to pro-angiogenic isoforms of vascular endothelial growth factor)」Diabetologia, 48, 2422-2427
Fiebig HH, Burger AM (編集)の文献「抗癌剤開発のための腫瘍モデルの関連(Relevance of Tumor Models for Anticancer Drug Development)」の中の、Roth T., Burger A.M., Dengler W., Willmann H.及びFiebig H.H.の論文、「抗癌剤スクリーニングの有用なモデルとしての患者腫瘍の特徴を明らかにしているヒト腫瘍細胞株(Human tumor cell lines demonstrating the characteristics of patient tumors as useful models for anticancer drug screening)」Contrib. Oncol. 1999, 54: 145-156
Ruan B, Bovee ML, Sacher M, Stathopoulos C, Poralla K, Francklyn CS, Soll D.の論文、(2005) 「トレオニル-tRNA合成酵素間のボレリジン阻害の差異に寄与する活性部位近傍の独自の疎水性クラスター(A unique hydrophobic cluster near the active site contributes to differences in borrelidin inhibition among threonyl-tRNA synthetases)」J. Biol. Chem., 280:571-577
Singh, S.K., Gurusiddaiah, S.及びWhalen, J.W.の論文、(1985) 「トレポネマイシン:トレポネーマ・ヒオジセンテリアエに対するニトリル抗生物質活性(Treponemycin, a nitrile antibiotic active against Treponema hyodysenteriae)」 Antimicrob. Agents Chemother. 27:239-245
Smith M.B.及びMarch J.の論文、(2001) 「March上級有機化学(March's advanced organic chemistry)」第5版、 John Wiley and Sons Inc., 英国
Tsuchiya, E., Yukawa, M., Miyakawa, T., Kimura, K.I.及びTakahashi, H.の論文、(2001) 「サッカロミセス・セレビシアエのサイクリン依存性キナーゼ(CDK)Cdc28/Cln2を阻害するボレリジン(Borrelidin inhibits a cyclin-dependent kinase (CDK), Cdc28/Cln2, of Saccharomyces cerevisiae)」J. Antibiot., 54:84-90
Vong, B.G., Kim, S.-H., Abraham, S.及びTheodorakis, E.A.の論文、(2004) 「(-)-ボレリジン全合成の立体選択性(Stereoselective total synthesis of (-) -borrelidin)」Angew. Chem. Int. Ed., 43, 3947-3951
Wakabayashi, T., Kageyama, R., Naruse, N., Tsukahara, N., Funahashi, Y., Kitoh, K.及びWatanabe, Y.の論文、(1997) 「血管新生阻害因子であるボレリジン;ラット大動脈マトリクス培養モデルにおける新生毛細血管の破壊(Borrelidin is an angiogenesis inhibitor; disruption of angiogenic capilla vessels in a rat aorta matrix culture model)」J. Antibiot., 50:671-676
Wakasugi, K., T. Nakanoらの論文、(2005) 「ヒトトリプトファニル-tRNA合成酵素の血管新生抑制型に特異的な酸化ストレス-反応性細胞内調節(Oxidative Stress-Responsive Intracellular Regulation Specific for the Angiostatic Form of Human Tryptophanyl-tRNA Synthetase)」Biochemistry, 44(1): 225-32

Claims (32)

  1. 下記式(I)の化合物、又はそれらの医薬として許容し得る塩:
    Figure 2009537487
    (式中、R1及びR2は各々独立して、H、SR3、又はOH、F、ClもしくはSR3から選択された1個以上の基により任意に置換されてよいC1-C4アルキル基を表し;ここで、R3は、H、CH3、又はCOCH3を表すか;あるいは、R1及びR2は、それらが結合した炭素一緒に、1個以上のハロ原子もしくは1個以上のC1〜C3アルキル基により任意に置換された4員のシクロアルキル環を表し;
    R4は、下記式:
    Figure 2009537487
    又は-NHNHC(O)R8を表し、ここでR8は、ビオチン、H、もしくはOH、F、Clから選択された1個以上の基により任意に置換されたC1-C4アルキル基を表し;
    Xは、-NH-又は-O-を表し;
    Yは、-NH-、-O-又はCH2-を表し;
    R5は、H又は-(CH2)nR6を表し;
    nは、1〜3の整数を表し;
    R6は、H、-OH、-OCH3、-CO2R7、又はOH、F、Cl、-CO2R7、-COR7から選択された1個以上の基により任意に置換されたC1〜C4アルキル基を表し、ここでR7は、C1-C4アルキル基を表すか;
    又は、R6は:
    i)6員の芳香環、
    ii)1〜3個のN、S又はO原子を含む、5〜7員の複素芳香環、
    iii)5〜7員のシクロアルキル基、もしくは
    iv)1〜3個のN、S又はO原子を含む、5〜7員のヘテロアルキル環:を表し、
    前述のi)からiv)の各々は、CH3、OCH3、F、Cl又はBrから選択された1個以上の基により任意に置換されてよく;並びに
    R9は、CN、CO2H、CH3又はCONH2を表し、
    但し、XがO-を表す場合、R5はHを表さないことを条件とする。)。
  2. 前記R9が、CNを表す、請求項1記載の化合物。.
  3. 前記R1及びR2が、それらが結合した炭素と一緒に、4員のシクロアルキル環を表す、請求項1又は2記載の化合物。
  4. 前記R1及びR2が、それらが結合した炭素と一緒に、R4によってのみ置換された、4員のシクロアルキル環を表す、請求項3記載の化合物。
  5. 前記R4が:
    Figure 2009537487
    を表す、請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
  6. 前記Xが、-O-を表す、請求項1〜5のいずれか1項記載の化合物。
  7. 前記Xが、-NH-を表す、請求項1〜5のいずれか1項記載の化合物。
  8. 前記nが、1を表す、請求項1〜7のいずれか1項記載の化合物。
  9. 前記nが、2を表す、請求項1〜7のいずれか1項記載の化合物。
  10. 前記R6が、1〜3個のN、S又はO原子を含む、6員の複素芳香環を表す、請求項1〜9のいずれか1項記載の化合物。
  11. 前記R6が、1個のN原子を含む、6員の複素芳香環を表す、請求項10記載の化合物。
  12. 前記R6が:
    Figure 2009537487
    を表す、請求項11記載の化合物。
  13. 前記R6が、1〜3個のN、S又はO原子を含む、6員のヘテロアルキル環を表す、請求項1〜9のいずれか1項記載の化合物。
  14. 前記R6が:
    Figure 2009537487
    を表す、請求項13記載の化合物。
  15. 前記R1及びR2が、それらが結合した炭素と一緒に:
    Figure 2009537487
    を表すR4によってのみ置換された、4員のシクロアルキル環を表し、ここでXは、-O-を表し、及びR5は、-(CH2)nR6を表し、ここでnは2を表し、及びR6は:
    Figure 2009537487
    を表す、請求項1又は2記載の化合物。
  16. 前記R1及びR2が、それらが結合した炭素と一緒に:
    Figure 2009537487
    を表すR4によってのみ置換された、4員のシクロアルキル環を表し、ここでXは、-O-を表し、及びR5は、-(CH2)nR6を表し、ここでnは2を表し、及びR6は:
    Figure 2009537487
    を表す、請求項1又は2記載の化合物。
  17. 前記R1及びR2が、それらが結合した炭素と一緒に:
    Figure 2009537487
    を表すR4によってのみ置換された、4員のシクロアルキル環を表し、ここでXは、-NH-を表し、及びR5は、-(CH2)nR6を表し、ここでnは2を表し、及びR6は:
    Figure 2009537487
    を表す、請求項1又は2記載の化合物。
  18. 前記R1及びR2が、それらが結合した炭素と一緒に:
    Figure 2009537487
    を表すR4によってのみ置換された、4員のシクロアルキル環を表し、ここでXは、-NH-を表し、及びR5は、-(CH2)nR6を表し、ここでnは1を表し、及びR6は:
    Figure 2009537487
    を表す、請求項1又は2記載の化合物。
  19. 前記R1及びR2が、それらが結合した炭素と一緒に:
    Figure 2009537487
    を表すR4によってのみ置換された、4員のシクロアルキル環を表し、ここでXは、-NH-を表し、及びR5は、-(CH2)nR6を表し、ここでnは1を表し、及びR6は:
    Figure 2009537487
    を表す、請求項1又は2記載の化合物。
  20. 前記R1及びR2が、それらが結合した炭素と一緒に:
    Figure 2009537487
    を表すR4によってのみ置換された、4員のシクロアルキル環を表し、ここでXは、-NH-を表し、及びR5は、-(CH2)nR6を表し、ここでnは1を表し、及びR6は:
    Figure 2009537487
    を表す、請求項1又は2記載の化合物。
  21. 前記R1及びR2が、それらが結合した炭素と一緒に:
    Figure 2009537487
    を表すR4によってのみ置換された、4員のシクロアルキル環を表し、ここでXは、NH-を表し、及びR5は、-(CH2)nR6を表し、ここでnは2を表し、及びR6は:
    Figure 2009537487
    を表す、請求項1又は2記載の化合物。
  22. 前記R1及びR2が、それらが結合した炭素と一緒に:
    Figure 2009537487
    を表すR4によってのみ置換された、4員のシクロアルキル環を表し、ここでXは、NH-を表し、及びR5は、Hを表す、請求項1又は2記載の化合物。
  23. 17-デス(シクロペンタン-2-カルボン酸)-17-(シクロブタン-2-カルボン酸)ボレリジン(4-(2-ヒドロキシエチル))モルホリンエステル;
    17-デス(シクロペンタン-2-カルボン酸)-17-(シクロブタン-2-カルボン酸)ボレリジン(2-(2-ヒドロキシエチル)ピリジンエステル;
    17-デス(シクロペンタン-2-カルボン酸)-17-(シクロブタン-2-カルボン酸)ボレリジン(4-(2-アミノエチル))モルホリンアミド;
    17-デス(シクロペンタン-2-カルボン酸)-17-(シクロブタン-2-カルボン酸)ボレリジン(4-アミノメチル)ピリジンアミド;
    17-デス(シクロペンタン-2-カルボン酸)-17-(シクロブタン-2-カルボン酸)ボレリジン(3-アミノメチル)ピリジンアミド;
    17-デス(シクロペンタン-2-カルボン酸)-17-(シクロブタン-2-カルボン酸)ボレリジン(2-アミノメチル)ピリジンアミド;
    17-デス(シクロペンタン-2-カルボン酸)-17-(シクロブタン-2-カルボン酸)ボレリジン(3-(2-アミノエチル))ピリジンアミド;
    17-デス(シクロペンタン-2-カルボン酸)-17-(シクロブタン-2-カルボン酸)ボレリジンアミド;
    又はそれらの医薬として許容し得る塩である、請求項1記載の化合物。
  24. 医薬として使用するための、請求項1〜23のいずれか1項記載の化合物。
  25. 癌又はB-細胞性悪性疾患の治療において医薬として使用するための、請求項1〜23のいずれか1項記載の化合物。
  26. 請求項1〜23のいずれか1項記載の化合物を、1種以上の医薬として許容し得る希釈剤又は担体と共に含有する、医薬組成物。
  27. 請求項1〜23のいずれか1項記載の化合物の有効量を、患者へ投与することを含む、癌又はB-細胞性悪性疾患の治療法。
  28. 癌又はB-細胞性悪性疾患の治療のための医薬品の調製における、請求項1〜23のいずれか1項記載の化合物の使用。
  29. 血管新生が関与する眼科疾患の治療における医薬として使用するための、請求項1〜23のいずれか1項記載の化合物。
  30. 前記眼科疾患が、糖尿病性網膜症である、請求項29記載の化合物。
  31. 前記眼科疾患が、加齢黄斑変性、角膜血管新生及び未熟児網膜症である、請求項29記載の化合物。
  32. (a)式(II)の化合物:
    Figure 2009537487
    (式中、R1、R2及びR9は、請求項1〜23のいずれか1項に記載されている。)、又はそれらの保護された誘導体を、下記(i)〜(viii)に説明された方法のいずれか1つを用いて、反応させる工程:
    (i)式(II)の化合物から形成された酸クロリドと、好適なアルコール又はアミンとの反応;
    (ii)カルボジイミド及び塩基の存在下での、式(II)の化合物の直接のエステル化又はアミド化;
    (iii)式(II)の化合物から形成されたエステルの、好適なアルコールとのエステル転移反応;
    (iv)式(II)の化合物のメチルエステルの、好適なアミンとの反応;
    (v)式(II)の化合物からの反応性エステルの形成、その後の好適なアルコール又はアミンとの反応;
    (vi)式(II)の化合物からの混合型無水物の形成、その後の好適なアミンとの反応;
    (vii)式(II)の化合物からの混合型無水物の、金属水素化物によるアルコールへの還元;
    (viii)式(II)の化合物から調製された第1級アルコールのアルキル化及びアシル化;又は
    (b)式(I)の化合物又はそれらの塩を、別の式(I)の化合物又は別のそれらの医薬として許容し得る塩へ転換する工程;又は
    (c)保護された式(I)の化合物を脱保護する工程:
    を含む、請求項1〜23のいずれか1項記載の式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩の製造方法。
JP2009510462A 2006-05-19 2007-05-17 抗増殖薬及び血管新生阻害薬としてのボレリジン誘導体 Abandoned JP2009537487A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
GBGB0609981.6A GB0609981D0 (en) 2006-05-19 2006-05-19 Novel compounds
PCT/EP2007/054801 WO2007135078A2 (en) 2006-05-19 2007-05-17 Borrelidin derivatives as antiproliferative agents and angiogenesis inhibitors

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2009537487A true JP2009537487A (ja) 2009-10-29

Family

ID=36660486

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009510462A Abandoned JP2009537487A (ja) 2006-05-19 2007-05-17 抗増殖薬及び血管新生阻害薬としてのボレリジン誘導体

Country Status (11)

Country Link
US (1) US20090312316A1 (ja)
EP (1) EP2023915A2 (ja)
JP (1) JP2009537487A (ja)
KR (1) KR20090010064A (ja)
CN (1) CN101442999A (ja)
AU (1) AU2007253422A1 (ja)
BR (1) BRPI0709709A2 (ja)
CA (1) CA2652399A1 (ja)
GB (1) GB0609981D0 (ja)
MX (1) MX2008014600A (ja)
WO (1) WO2007135078A2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010048731A1 (en) * 2008-10-31 2010-05-06 Christopher John Ong Aminoacyl trna-synthetase inhibitors as broad-spectrum immunosuppressive agents
AU2020325035A1 (en) * 2019-08-06 2022-02-24 The Regents Of The University Of California Scaleable preparation of polyketides

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
HUP9902628A3 (en) * 1999-08-02 2001-07-30 Ivax Gyogyszerki Kft Angiogenesis inhibiting borrelidin derivatives, their use and pharmaceutical compositions containing them
GB0230217D0 (en) * 2002-12-27 2003-02-05 Biotica Tech Ltd Borrelidin-producing polyketide synthase and its uses

Also Published As

Publication number Publication date
WO2007135078A2 (en) 2007-11-29
WO2007135078A3 (en) 2008-02-21
US20090312316A1 (en) 2009-12-17
BRPI0709709A2 (pt) 2011-07-26
KR20090010064A (ko) 2009-01-28
MX2008014600A (es) 2008-11-28
CA2652399A1 (en) 2007-11-29
EP2023915A2 (en) 2009-02-18
CN101442999A (zh) 2009-05-27
AU2007253422A1 (en) 2007-11-29
GB0609981D0 (en) 2006-06-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10030030B2 (en) Crystals of dispiropyrrolidine derivatives
JP5422788B2 (ja) ラパマイシンの39−デスメトキシ誘導体
TWI623533B (zh) 作為檢測點激酶1 (chk1)抑制劑之3,5-二取代吡唑及其製備及應用
RU2534527C2 (ru) Синтез лактонов резорциловой кислоты, используемых в качестве терапевтических агентов
KR20070011457A (ko) 신규 수용성 프로드럭
JP2009537502A (ja) 癌および他の疾患の治療のための36−デス(3−メトキシ−4−ヒドロキシシクロヘキシル)−36−(3−ヒドロキシシクロヘプチル)ラパマイシン誘導体
JP2009537487A (ja) 抗増殖薬及び血管新生阻害薬としてのボレリジン誘導体
CA2636040C (en) Metabolites of wortmannin analogs and methods of using the same
CN102020640A (zh) 四氢吲哚酮和四氢吲唑酮衍生物、其制备方法及其在医药上的应用
JPWO2005061461A1 (ja) ヒートショックプロテイン90(hsp90)ファミリー蛋白質阻害剤
WO2023233994A1 (ja) 医薬組成物及びオートファジー活性化剤
US20120083527A1 (en) Anticancer Agents
KR20120092677A (ko) 암의 치료용 마크로사이클릭 락톤 유도체
WO2020135765A1 (zh) Cxcr4抑制剂及其应用
KR20190014474A (ko) Hsp90 억제 활성을 갖는 디히드록시페닐계 입체이성질체 및 이의 의학적 용도
JPWO2004024141A1 (ja) Hsp90ファミリー蛋白質阻害剤

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100512

A762 Written abandonment of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A762

Effective date: 20110527