JP2009534389A - 新規な「反転した」ラクトン安定なe−環を有するカンプトテシン類似体並びにその製造及び使用方法 - Google Patents

新規な「反転した」ラクトン安定なe−環を有するカンプトテシン類似体並びにその製造及び使用方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2009534389A
JP2009534389A JP2009506579A JP2009506579A JP2009534389A JP 2009534389 A JP2009534389 A JP 2009534389A JP 2009506579 A JP2009506579 A JP 2009506579A JP 2009506579 A JP2009506579 A JP 2009506579A JP 2009534389 A JP2009534389 A JP 2009534389A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
formulation
pharmaceutically acceptable
inverted
camptothecin
weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2009506579A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5232770B2 (ja
Inventor
フレデリック, エイチ. ハウシェール,
Original Assignee
バイオニューメリック・ファーマスーティカルズ・インコーポレイテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by バイオニューメリック・ファーマスーティカルズ・インコーポレイテッド filed Critical バイオニューメリック・ファーマスーティカルズ・インコーポレイテッド
Publication of JP2009534389A publication Critical patent/JP2009534389A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5232770B2 publication Critical patent/JP5232770B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
    • C07D491/00Heterocyclic compounds containing in the condensed ring system both one or more rings having oxygen atoms as the only ring hetero atoms and one or more rings having nitrogen atoms as the only ring hetero atoms, not provided for by groups C07D451/00 - C07D459/00, C07D463/00, C07D477/00 or C07D489/00
    • C07D491/22Heterocyclic compounds containing in the condensed ring system both one or more rings having oxygen atoms as the only ring hetero atoms and one or more rings having nitrogen atoms as the only ring hetero atoms, not provided for by groups C07D451/00 - C07D459/00, C07D463/00, C07D477/00 or C07D489/00 in which the condensed system contains four or more hetero rings
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents

Landscapes

  • Organic Chemistry (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Nitrogen Condensed Heterocyclic Rings (AREA)

Abstract

本発明は、(i)新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又は類似体;(ii)前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又は類似体の合成方法;(iii)前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又は類似体、並びに任意に1又はそれ以上のさらなる化学療法剤を含む薬学的に許容可能な処方物;(iv)前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又は類似体、並びに任意に1又はそれ以上のさらなる化学療法剤を、それを必要とする被験体に投与する方法;並びに(v)前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又は類似体、並びに任意に1又はそれ以上の化学療法剤を、それを必要とする被験体に投与するための装置を開示する。

Description

(発明の分野)
本発明は、(i)新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン(lactone-stable, “flipped” E-ring camptothecin)、その薬学的に許容可能な塩及び/又は類似体;(ii)前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又は類似体の合成方法;(iii)前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又は類似体、並びに任意に1又はそれ以上のさらなる化学療法剤を含む薬学的に許容可能な処方物;(iv)前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又は類似体、並びに任意に1又はそれ以上のさらなる化学療法剤を、それを必要とする被験体に投与する方法;並びに(v)前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又は類似体、並びに任意に1又はそれ以上の化学療法剤を、それを必要とする被験体に投与するための装置に関する。
(発明の背景)
I. カンプトテシン(CPT)及び初期臨床試験
カンプトテシン(CPT;IUPAC命名法:(S)−4−エチル−4−ヒドロキシ−1H−ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−3,14(4H,12H)−ジオン)及びその類似体のいくつかは、抗新生物(又は抗腫瘍)活性の程度を変化させる能力を有することが示されている。現在、2つのCPT類似体(以下に論じられるイリノテカン(Irinotecan)(商標)及びトポテカン(Topotecan)(商標))が、米国において、種々の形態の固形新生物(又は腫瘍)のための治療的使用について米国食品医薬品局(FDA)から認可されている。
CPTは、1966年にウォール(Wall)らによってカンレンボク(Camptotheca accuminata)(ヌマミズキ(Nyssaceae)科)、チュウゴクイチイ(Chinese yew)から最初に単離された。ウォール,M.E.(Wall, M. E.)ら、「植物化学療法剤I.カンレンボクからの新規なアルカロイド系白血病及び腫瘍阻害剤カンプトテシンの単離及び構造」、ジャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサエティー(Plant chemotherapeutic agents. I. The Isolation and Structure of Camptothecin, a Novel Alkaloidal Leukemia and Tumor Inhibitor from Camptotheca Acuminata, J. Am. Chem. Soc.) 88:3888−3890(1966)(非特許文献1)を参照のこと。
この最初に単離されたカンプトテシン(CPT)の構造を以下に示す。
1970年代初めまでに、CPTは第1相及び第2相臨床試験に到達し、抗腫瘍活性を有することが見出されたが、CPTの使用に付随する多くの有害な生理学的副作用が存在した。この副作用としては、重篤なかつ予測できない骨髄抑制(myelosuppression)、胃腸毒性、出血性膀胱炎、脱毛、下痢、悪心、嘔吐などが挙げられるが、これらに限定されない。初期の臨床研究の間に見出されたこれらの毒性のために、この期間の間、この薬物は「扱いにくい」ものであった。ムッジャ,F.M.(Muggia, F. M.)ら、「カンプトテシン(NSC−100880)を用いる週ごと及び日ごとの治療の第1相臨床試験:前臨床研究との相関」、キャンサー ケモテラピー リポーツ(Phase I Clinical Trial of Weekly and Daily Treatment With Camptothecin (NSC-100880): Correlation With Preclinical Studies, Cancer Chemother. Rep.) 56:515−521(1972)(非特許文献2);シェッピ,U.(Schaeppi, U.)ら、「カンプトテシン(NSC−100880)の毒性」、キャンサー ケモテラピー リポーツ(Toxicity of Camptothecin (NSC-100880), Cancer Chemother. Rep.) 5:25−36(1974)(非特許文献3)を参照のこと。
本発明の有用性及び新規性の両方を実証するために、非経口様式で投与されて行われたヒト臨床試験を扱う公表された文献を簡単に総説することは参考となるであろう。CPTの物理化学的研究により、閉環したE−環ラクトン形のCPTが水に対して極めて溶解性に乏しいことが見出された(すなわち、1mLの水に約0.1μgの薬物が溶解する。)。さらに、2つのCPT鏡像異性体のうち、天然に存在する(S)−異性体は(R)−異性体よりもより効力を有することが見出された。例えば、モトワニ,M.V.(Motwani, M. V.)ら、「フラボピリドール(Flavo)は、HCT116細胞においてサイクリン依存性キナーゼ阻害剤p21waf1/cip1の下方制御に関連するSN−38誘導アポトーシスを増強する」、プロシーディングス オブ アメリカン アソシエーション キャンサー リサーチ(Flavopiridol (Flavo) Potentiates the SN-38-Induced Apoptosis in Association with Downregulation of Cyclin Dependent Kinase Inhibitor p21waf1/cip1 in HCT116 Cells), Proc. Am. Assoc. Cancer Res.) 41:32−43(2000)(非特許文献4)を参照のこと。種々の類似体のこれらの異なる性質は、CPTの核構造上の異なる化学置換基によって生じる。
それゆえ、その極めて乏しい水溶性が原因で、CPTをヒト臨床試験において投与するために、当初はCPTを、水酸化ナトリウムを用いて処方した。この分子の水溶性(すなわち、親水性)を顕著に増大させて、十分な量の薬剤を患者に非経口投与できるようにするために、これらの初期臨床試験の全てがCPTの水酸化ナトリウム処方物を用いたことに注目することは重要である。CPTの水酸化ナトリウム処方物により、より水溶性の高いCPT種が作製され、臨床医がより高い濃度のCPTをより小さな薬物投与容量で投与することを可能にし、それによって、十分に高い用量の薬物を第1相及び第2相臨床試験を受ける癌被験者に投与することを可能にした。しかしその後、この処方物は、カンプトテシン分子のラクトンE−環の加水分解を生じて、元々の非加水分解ラクトン形のCPTの抗腫瘍力の約1/10又はそれ以下しか有さない水溶性カルボキシラート形のCPTを形成することが立証された。水酸化ナトリウムで処方されたCPTを用いて実施された臨床試験は、頻繁に観察された有意な全身毒性及び抗新生物活性の欠如の両方に起因して、極めて期待に反するものであった。その後、この薬物の比較的低い親水性はこれらの副作用の最も重要な理由であったことが確認された。この薬物の有効用量を与えるためには、極めて大容量の液体を被験体に投与しなければならないので、このラクトン形におけるCPTの低い水溶性によって、この薬物の実用的な臨床的有用性は大きく制限された。CPTラクトン形及び多くのその類似体の水中における強力な抗新生物活性及び乏しい水溶性のため、より高い水溶性を有する新たなCPTラクトン類似体を作製することに多大な努力が向けられた。水溶性CPT類似体は、開環したE−環形では大量に存在しないが、活性であるために、主として閉環したラクトン形にとどまっているはずである。それゆえ、閉環したラクトン形のほうに平衡が傾くCPT類似体が、投与のために望ましい。
II. CPTの薬理学的活性
初めの頃のこれらの期待はずれの副作用にもかかわらず、その作用機序(すなわち、トポイソメラーゼI阻害)が解明されたことにより、CPTへの臨床的関心の高まりが1980年代の間に喚起された。CPT類似体の作用機序に関するこの新たな情報のおかげで、抗新生物性薬物として使用するための新たなTopo I阻害剤の開発への関心が再燃し、その後、いくつかの研究グループが、癌治療のための新たなCPT類似体を開発する試みを開始した。シアン,Y.H.(Hsiang, Y. H.)ら、「カンプトテシンは哺乳類DNAトポイソメラーゼIを介してタンパク質結合DNAの破壊を誘導する」、ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー(Camptothecin Induces Protein-Linked DNA Breaks Via Mammalian DNA Topoisomerase I. J. Biol. Chem.) 260:14873−14878(1985)(非特許文献5);シアン,Y.H.;リュー,L.F.(Hsiang, Y. H.; Liu, L. F.)、「抗癌薬カンプトテシンの細胞内標的としての哺乳類DNAトポイソメラーゼIの同定」、キャンサー リサーチ(Identification of Mammalian DNA Topoisomerase I as an Intracellular Target of the Anticancer Drug Camptothecin. Cancer Res.) 48:1722−1726(1988)(非特許文献6);シアン,Y.H.(Hsiang, Y. H.)ら、「カンプトテシンによる細胞殺傷機構としての、薬物安定化されたトポイソメラーゼI DNA分割可能複合体による複製フォークの停止」、キャンサー リサーチ(Arrest of Replication Forks by Drug-Stabilized Topoisomerase I DNA Cleavable Complexes as a Mechanism of Cell Killing by Camptothecin. Cancer Res.) 49:5077−5082(1989)(非特許文献7)を参照のこと。
いくつかの臨床的に重要な抗癌薬は、DNAトポイソメラーゼに作用することによって腫瘍細胞を殺傷する。トポイソメラーゼは必須の核酵素であり、DNA複製並びに通常、複製、転写及びおそらく他のDNAプロセスの間に生じる三次構造の修飾(例えば、オーバーワインディング、アンダーワインディング及びカテネーション)において機能する。2つの主要なトポイソメラーゼが、全ての真核細胞に普遍的に存在する:(i)一本鎖DNAを分割するトポイソメラーゼI(Topo I)及び(ii)二本鎖DNAを分割するトポイソメラーゼII(Topo II)。トポイソメラーゼIはDNA複製に関与して;移動する複製フォークの前に導入されたねじれひずみを取り除く。
トポイソメラーゼI(Topo I)は、765個のアミノ酸を含む100kDalの単量体ポリペプチドであり、クロロソーム20q12−13.2上に位置する遺伝子によってコードされる。例えば、クリーマーズ,G.J.(Creemers, G. J.)ら、「トポイソメラーゼI阻害剤:トポテカン及びイリノテカン」、キャンサー トリートメント レビュー(Topoisomerase I Inhibitors: Topotecan and Irinotecan. Cancer Treat. Rev.) 20:73−96(1994)(非特許文献8);タキモト,C.H.;アーバック,S.G.(Takimoto, C. H.; Arbuck, S. G.)、「カンプトテシン」、キャンサー ケモテラピー アンド バイオテラピー、第2版(B.L.チャブナー、D.L.ロンゴ(編))(The Camptothecins. Cancer Chemother and Biother. 2nd edition (B. L. Chabner, D. L. Longo (eds))、463−384(1996)(非特許文献9)を参照のこと。この酵素は、DNA複製及びRNA転写において必須の酵素であり、全ての真核細胞(腫瘍細胞を含む。)に存在する。正常なDNAは超らせんでありかつクロロソームにおいて緊密に固定されているので、DNA複製フォークは、この位相的に制約されたDNAの外に新たなDNAを合成することができない。Topo Iは、超らせんDNAに結合してホスホジエステル結合を分割することによってATP−非依存様式で作用し、結果として一本鎖を破壊する。同時に、Topo Iは、Topo Iの723位のチロシン残基と一本鎖DNA分子の3’末端との間で共有結合可逆的付加体を形成する。この付加体は、分割可能な複合体(cleavable complex)と呼ばれる。このDNA分子は、破壊されていない(intact)一本鎖DNAの周囲を自由に回転可能であり、DNAの緩和を生じる。分割のリライゲーション(religation)後、Topo IはDNAから解離する。この分割可能な複合体は、通常、分割されていない一本鎖DNAを解くことを可能にするためだけに短時間の間にのみ存在する。
詳細には、CPTは、Topo I−CPT−DNAで構成された可逆的な共有結合複合体を形成することが見出された。簡単にいえば、CPTの主要な作用機序は、Topo Iの分割/追放(cleavage/relegation)反応の再結合工程を妨害することによるTopo Iの阻害であり、その結果として共有結合反応中間体(すなわち、分割可能な複合体)が蓄積される。CPTに基づく細胞性アポトーシスは、進行する複製フォークとTopo I DNA複合体との間の潜在的に致死的な衝突を介するS期特異的な殺傷である。Topo Iの共有結合修飾に関するTopo I媒介性DNA損傷に対する2つの修復応答が同定されている。一つめは、ユビキチン/26Sプロテアソーム経路の活性化に伴うものであり、Topo Iの分解を引き起こす(CPT誘導性のTopo I下方制御)。二つめは、Topo Iへの小さなユビキチン様修飾因子(Small Ubiquitin-like Modifier (SUMO))の接合に伴うものである。これらのTopo I媒介性のDNA損傷に対する修復機構は、腫瘍細胞におけるCPT感受性/抵抗性の決定に重要な役割を果たす。
ヒト結腸癌細胞又は子ウシ胸腺から精製されたTopo Iは、CPTによって阻害されることが明らかとなっている。CPT、イリノテカン(商標)(CPT−11)及びさらなるTopo I阻害剤であるトポテカンは、ある種類のヒト癌を治療するための臨床試験において用いられている。本発明の目的では、CPT類似体としては、7−エチル−10−[4−(1−ピペリジノ)−1−ピペリジノ]カルボニルオキシカンプトテシン(イリノテカン(商標)又はCPT−11)、10−ヒドロキシ−7−エチルカンプトテシン(HECPT)、9−アミノカンプトテシン、10,11−メチレンジオキシカンプトテシン及び9−ジメチルアミノメチル−10−ヒドロキシカンプトテシン(トポテカン)が挙げられる。これらのCPT類似体は、同一の機構によってTopo Iを阻害し;これらのCPT類似体は、この接触機構の中間体である、酵素と、鎖が分割したDNAとの共有結合複合体を安定化する。これらの類似体は、単離されたDNA又はTopo Iのいずれに対しても結合親和性を有しないが、酵素−DNA複合体に対しては適度な親和性で結合する。CPT及び類似体によるTopo I「分割可能な複合体」の安定化は、容易に可逆的である。
トポイソメラーゼII(Topo II)は、Topo Iと同様の経路において機能するが、Topo IIがATP依存的に作用する点で異なり、DNAの緩和において、可逆的な二本鎖DNAの分割を引き起こす。CPTのTopo IIへの直接的な干渉は説明されていない。しかし、イリノテカン(商標)(CPT−11)による処置は、24及び48時間後にTopo II mRNA発現を増加させることによって、マウスにおいてTopo II阻害剤に対してある腫瘍異種移植を鋭敏にすることが報告されている。このことは、ヒト固形腫瘍に対してTopo I及びTopo II標的化学療法を用いる併用療法が有益であるかも知れないことを示唆する。CPT類似体は、酵素が媒介して破壊される5’末端にグアニン残基を有するTopo I部位で、分割可能な複合体の安定化を選択的に誘導することによって、Topo Iのリライゲーション反応を阻害する。例えば、スヴァイストロップ,J.Q.(Svejstrup, J. Q.)ら、「真核生物トポイソメラーゼIの分割及びリライゲーション反応を切り離すための技術。特異的認識部位でのカンプトテシンの作用様式」、ジャーナル オブ モレキュラー バイオロジー(Technique for Uncoupling the Cleavage and Religation Reactions of Eukaryotic Topoisomerase I. The Mode of Action of Camptothecin at a Specific Recognition Site. J. Mol.Biol.) 222:669−678(1991)(非特許文献10);ジャクセル,C.(Jaxel, C.)ら、「カンプトテシンの存在下又は非存在下におけるトポイソメラーゼI分割に対する局所的DNA配列の影響」、ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー(Effect of Local DNA Sequence on Topoisomerase I Cleavage in the Presence or Absence of Camptothecin. J. Biol. Chem.) 266:20418−20423(1991)(非特許文献11);タニザワ,A.(Tanizawa, A.)ら、「カンプトテシンの存在下又は非存在下における子ウシ胸腺及び小麦胚芽由来のトポイソメラーゼI酵素によるトポイソメラーゼIc−DNAの分割の誘発」、ヌクレイック アシッズ リサーチ(Induction of Cleavage in Topoisomerase Ic-DNA by Topoisomerase I Enzymes From Calf Thymus and Wheat Germ in the Presence and Absence of Camptoehecin. Nucl. Acids Res.) 21:5157−5166(1994)(非特許文献12)を参照のこと。この安定化自体は可逆的であるが、複製フォークが分割可能な複合体と接触したときに不可逆的な二本鎖の破壊が生じる。Topo Iのレベルが高いほど、分割可能複合体と接触する頻度が高くなり、そしてDNA破壊の数も多くなる。これらの破壊は、細胞周期のS/G2期における分裂停止、アポトーシス経路の活性化及び最終的には細胞死をもたらし得る。例えば、シアン,Y.H.(Hsiang, Y. H.)ら、「カンプトテシンによる細胞殺傷機構としての、薬物安定化されたトポイソメラーゼI DNA分割可能複合体による複製フォークの停止」、キャンサー リサーチ(Arrest of Replication Forks by Drug-Stabilized Topoisomerase I DNA Cleavable Complexes as a Mechanism of Cell Killing by Camptothecin. Cancer Res.) 49:5077−5082(1989)(非特許文献7)を参照のこと。この結果、Topo I阻害剤は、進行中のDNA複製又はRNA転写の存在下において、単に致命的であるにすぎない。例えば、D’アルパ,P.(D’Arpa, P.)ら、「トポイソメラーゼI毒の細胞殺傷機構における核酸合成の関与」、キャンサー リサーチ(Involvement of Nucleic Acid Synthesis in Cell Killing Mechanisms of Topoisomerase I Poisons. Cancer Res.) 50:6919−6924(1990)(非特許文献13)を参照のこと。S期に同調された細胞は、G1又はG2/M−細胞に比べて、Topo I阻害剤に対してはるかに感受性が高いようであり、この型の薬物についてのS期特異的な細胞毒性が示唆された。例えば、タキモト,C.H.(Takimoto, C. H.)ら、「成人癌患者に対して毎週96時間注入投与されたイリノテカンの第1相及び薬理学的研究」ジャーナル オブ クリニカル オンコロジー(Phase I and Pharmacologic Study of Irinotecan Administered as a 96-Hour Infusion Weekly to Adult Cancer Patients. J. Clin. Oncol.) 18:659−667(2000)(非特許文献14)を参照のこと。結腸、前立腺、卵巣及び食道腫瘍においてTopo Iレベルの上昇が見出されたのに対し、腎臓腫瘍及び非ホジキンリンパ腫においてはTopo Iレベルの上昇は見出されなかった。例えば、バン デア ジー,A.(Van der Zee, A.)ら、「白金/シクロホスファミド化学療法前後の良性卵巣腫瘍及び悪性卵巣腫瘍におけるP−糖タンパク質発現並びにDNAトポイソメラーゼI及びII活性」、キャンサー リサーチ(P-glycoprotein Expression and DNA Topoisomerase I and II Activity in Benign Tumors of the Ovary and in Malignant Tumors of the Ovary, Before and After Platinum/Cyclophosphamide Chemotherapy. Cancer Res.) 51:5915−5920(1991)(非特許文献15)を参照のこと。最近の研究では、イリノテカン(商標)及びトポテカンが脈管形成(これらの化学療法活性に寄与し得る性質)の阻害剤でもあることが示された。新生血管形成は、種々のヒト腫瘍の浸潤及び転移の増大と明確に関連づけられている。マウス角膜モデルにおいて、イリノテカン(商標)(CPT−11)を含むいくつかのCPTの抗脈管形成効果が研究された。脈管形成は、線維芽細胞増殖因子によって誘発されるが、イリノテカン(商標)CPT−11の用量を増加することによって、腫瘍における脈管形成領域が、ほぼ指数関数的な負の曲線に従って減少した。用量レベル210mg/kgで、新生血管形成の有意な低下が観察された。
CPT及び前述のCPT類似体は、Topo IIに対して識別可能な直接の効果を有しないが、これらのCPT類似体は、エピポドフィロトキシン(epipodophyllotoxin)グリコシド及び種々のアントラサイクリンがTopo Iを阻害する方法に類似する様式で「分割可能な複合体」を安定化すると考えられる。
CPT及び類似体によるTopo Iの阻害は、タンパク質に結合したDNA一本鎖の破壊を誘発する。事実上、CPTで処理された細胞においてインビトロ(in vitro)で破壊が観察されたDNA鎖の全てがタンパク質に結合している。しかし、説明できないタンパク質に結合されていないDNAの破壊の増加が、CPTで処理されたL1210細胞において検出できる。このCPT類似体は、末端標識された線状DNAにおいて同一のDNA分割パターンを生じるようである。CPT又はCPT類似体がTopo I酵素の非存在下でDNAを分割することは、未だ実証されていない。
III. カンプトテシンの細胞周期特異的活性
CPTの活性は、細胞周期特異的である。CPTに曝露された細胞において観察される最大の定量的な生化学的効果は、S期の間に起こるDNA一本鎖の破壊である。S期は細胞周期の比較的短い期間であるので、この薬物に長く曝露されると細胞殺傷が増大する。この薬物への腫瘍細胞の短時間の曝露は、ほとんど又は全く細胞殺傷を生じず、休止細胞が処理しにくい。これらの前述の結果は、2つの因子に起因するようである:
(i)この類の薬物は、Topo Iの正常な活性を可逆的に阻害する。この薬物は、DNA複製の間にDNA構造の潜在的に致死的な修飾を生じ得るが、DNA鎖の破壊は、この薬物を洗い流した後修復され得る。;及び
(ii)CPTなどのTopo I阻害剤で処理された細胞は、これらの薬物が除去されかつ分割したDNAが修復されるまで、細胞周期G期にとどまる傾向にある。これらの酵素の阻害剤は、複製、転写、再結合及び染色体分離を含む細胞の代謝の多くの局面において影響を及ぼす。
IV. 過去に試験されたカンプトテシン類似体
上記のように、CPT及びその多くの類似体(例えば、ウォール及びワニ(Wall and Wani)、「カンプトテシン及びタキソール」、ディスカバリー トゥ クリニック−第13回ブルース F. ケイン メモリアル アワード レクチャー キャンサー リサーチ(Camptothecin and Taxol:Discovery to Clinic-Thirteenth Bruce F. Cain Memorial Award Lecture Cancer Research) 55:753−760(1995)(非特許文献16)を参照のこと。)は、水溶性に乏しく、報告によれば、同様に多くの薬学的に許容可能な有機溶媒に対する溶解性も乏しい。しかし、新たに作製されたCPTの水溶性類似体に関する多くの報告書(サワダ,S.(Sawada, S.)ら、「トポイソメラーゼIの特異的阻害剤としての新規な水溶性カンプトテシン類似体の合成及び抗腫瘍活性」、ジャーナル オブ メディカル ケミストリー(Synthesis and Antitumor Activity of Novel Water Soluble Analogs of Camptothecin as Specific Inhibitors of Topoisomerase I. Jour. Med. Chem.) 38:395−401(1995)(非特許文献17))があり、これらの類似体は、癌を有する被験体へ水溶性に乏しいカンプトテシンを薬物投与するためのいくつかの重要な技術的問題を克服するために合成された。いくつかの水溶性CPT類似体は、乏しい水溶性及び被験体への投与の困難性に対処しようとして合成された。これらの水溶性CPT類似体のいくつかの例を、下記の表1に示す。
表1
9−ジメチルアミノメチル−10−ヒドロキシカンプトテシン (トポテカン)
7−[(4−メチルピペラジノ)メチル]−10,11−エチレンジオキシカンプトテシン
7−[(4−メチルピペラジノ)メチル]−10,11−メチレンジオキシカンプトテシン
7−エチル−10−[4−(1−ピペリジノ)−1−ピペリジノ]カルボニルオキシカンプトテシン (イリノテカン又はCPT−11)
9−ニトロカンプトテシン (ルビテカン(Rubitecan))。
異なる溶解性及び薬理学的特性を有する他の置換されたCPT類似体も、同様に合成されており;これらのカンプトテシン類似体の例としては、水性媒体にも非水性媒体にも溶解性に乏しい9−アミノカンプトテシン及び9−ニトロカンプトテシン(ルビテカン(Rubitecan))が挙げられ、これらの類似体は、ヒトにおいて試験されている。ルビテカン(9−ニトロカンプトテシン)は、9−アミノカンプトテシンのプロドラッグであり、水性媒体並びにインビボ(in vivo)マウス、イヌ及びヒトにおいて、9−アミノカンプトテシンにひとりでに変換することが明らかになっている(ヒンズ(Hinz)ら、「ヒト、イヌ及びマウスにおける9−ニトロ−20(S)−カンプトテシンの9−アミノ−20(S)−カンプトテシンへのインビボ及びインビトロ変換の薬物動力学」、キャンサー リサーチ(Pharmacokinetics of the in vivo and in vitro Conversion of 9-Nitro-20(S)-camptothecin to 9-Amino-20(S)-camptothecin in Humans, Dogs and Mice. Cancer Res.) 54:3096−3100(1994)(非特許文献18)を参照のこと。)。
9−ニトロカンプトテシン及び9−アミノカンプトテシンの薬物動力学的挙動は、血漿中半減期(plasma half lives)が、より脂溶性のCPT類似体よりも顕著に短いという点で、水溶性カンプトテシン類似体(すなわち、トポテカン及びイリノテカン(商標))に類似している。9−アミノカンプトテシンが有するさらなる主な問題は、半合成法を用いる9−アミノカンプトテシンの化学合成は、CPTのニトロ化、次いでアミノ基の還元によって行われるが、この方法は、非常に低収率な型の合成であることである。9−アミノカンプトテシンはまた、光感受性、熱感受性及び酸素感受性であるので、いくらよくみても、9−アミノカンプトテシンの初期合成及び合成後の安定性(すなわち、保存性)の両方に問題がある。また、9−アミノカンプトテシンの化学分解反応によって、ヌードマウスにおいて高い程度の毒性を示す類似体が頻繁に形成されるのに対し、純粋な9−アミノカンプトテシンは毒性が有意に低い。
以前に検討されたように、9−アミノカンプトテシンは、水性溶媒及び有機溶媒の両方において溶解性に乏しいので、被験体への投与も困難である。一方、9−ニトロカンプトテシンはより製造しやすくかつ化学的に、より安定であるが、報告によれば、この薬物は、9−アミノカンプトテシンへの化学的変換によって、MDR/MRP腫瘍媒介性の薬物抵抗性の影響を受けやすくなり、それによって、さらに、薬物抵抗性新生物の不運にも共通する設定における有用性が制限される。薬物動力学的挙動及び化学的特性に基づいて、9−アミノカンプトテシンは、より脂溶性のカンプトテシン類似体に対して組織浸透及び保持が低減されることが予測される。さらに、この薬物の乏しい溶解性によって、血液脳関門を横断できる薬物の量が減少する。
ヒトへの臨床開発がなされている多様な群の置換されたCPT類似体のうち、イリノテカン(商標)(CPT−11)は、ヒト癌患者における第1相及び第2相臨床試験の両方において最も広範に研究されているものの一つである。注目すべきことは、水溶性プロドラッグである7−エチル−10−[4−(1−ピペリジノ)−1−ピペリジノ]カルボニルオキシカンプトテシン(イリノテカン(商標))は、生物学的に不活性であり、推定カルボキシエステラーゼ酵素による活性化を必要とすることである。イリノテカン(商標)の活性種は、脱ピペリデニル化された(depiperidenylated)10−ヒドロキシ−7−エチルカンプトテシン(ミヤサカ(Miyasaka)ら、米国特許第4,473,692号(1984)(特許文献1)において特許請求されたように)であり、この活性種はまた、SN38としても知られる。SN38は、毒性の親油性代謝物であり、推定カルボキシエステラーゼ酵素によるイリノテカン(商標)のインビボ生物活性化によって形成される。
SN38は、非常に水溶性に乏しく、ヒト癌患者に対して直接投与されていない。近年、ヒト患者において、SN38がさらなる代謝を受けてグルクロニド種を形成することが報告されている。このグルクロニド種は、抗腫瘍活性に関して薬物の不活性形であり、ヒト毒性(例えば、下痢、白血球減少症)の発生並びに遊離代謝物及びそのグルクロニド抱合体の薬物レベルにおける実質的な患者間の変動性に関与するようである。
イリノテカン(商標)は、米国、欧州及び日本においてヒト臨床試験が行われている。日本単独の臨床試験において、イリノテカン(商標)薬物毒性を直接的な理由とした約100名の患者の死が報告されている。ミヤサカ(Miyasaka)らの特許(米国特許第4,473,692号(特許文献1)及び米国特許第4,604,463号(特許文献2))には、これらの発明の目的は「・・・抗腫瘍活性が強力であり、かつ非常に低い毒性で生体における良好な吸収性を有する10−置換カンプトテシンを提供する」こと及び「抗腫瘍活性が強力であり、かつ良好な水溶性及び極めて低い毒性を有する新たなカンプトテシン類似体を提供すること」にあると記載されている。
多剤併用に関連するヒトの死及び患者への深刻な毒性を示すことは、明らかに、上記の目的を満足させるためにミヤサカ(Miyasaka)らによって合成された前述の10−置換カンプトテシンの欠点である。癌を有するヒト被験体におけるイリノテカン(商標)の使用において、種々の形態の薬物レベル、薬物代謝、ある種の薬物動力学特性及び毒性に関して極めて大きな患者間の変動性があることが報告されていることは、注目に値する。イリノテカン(商標)の非経口投与によって、イリノテカン(商標)のマイクロモルの血漿中濃度を達成でき、このイリノテカンは、代謝を経てSN38を形成して、ナノモル濃度の活性代謝物SN38を生じることができる。近年、ヒト被験体において、SN38が、さらに代謝を受けてSN38グルクロニドを形成することが報告されている(例えば、グプタ(Gupta)ら、「ヒトにおけるイリノテカンの代謝の結末:グルクロニド化と下痢との相関」、キャンサー リサーチ(Metabolic Fate of Irinotecan in Humans:Correlation of Glucuronidation with Diarrhea. Cancer Res.) 54:3723−3725(1994)(非特許文献19)を参照のこと。)。
報告によれば、イリノテカン(商標)のSN38への変換における大きな変動性、及びヒト被験体において不活性な(かつ毒性の)SN38グルクロニド抱合体を形成するためのSN38の代謝における患者間の大きな変動性が存在するので、このイリノテカン(商標)のさらなる代謝的変換は重要である(例えば、グプタ(Gupta)ら、「ヒトにおけるイリノテカンの代謝の結末:グルクロニド化と下痢との相関」、キャンサー リサーチ(Metabolic Fate of Irinotecan in Humans:Correlation of Glucuronidation with Diarrhea. Cancer Res.) 54:3723−3725(1994)(非特許文献19)及びオオエ(Ohe)ら、「CPT−11の連続5日間の注入における第1相研究及び薬物動力学」、ジャーナル オブ ザ ナショナル キャンサー インスティテュート(Phase I Study and Pharmacokinetics of CPT-11 with 5-Day Continuous Infusion. JNCI) 84(12):972−974(1992)(非特許文献20)を参照のこと。)。
イリノテカン(商標)及び代謝されたSN38の量は、個々の患者において予測できないので、5つの推定の生物学的機構に起因して重要な臨床的制限が提示され、生命にかかわる薬物毒性の危険及び/又は薬物不活性の危険を生じる:(i)より大量のイリノテカン(商標)のSN38への変換;(ii)グルクロニド化によるSN38の不活性化;(iii)SN38グルクロニドの遊離SN38への変換;(iv)より少量のイリノテカン(商標)が変換されてSN38を形成することに起因する抗新生物活性の欠如;及び(v)SN38が速くかつ多く変換されてグルクロニド種を形成することによる抗新生物活性の欠如。遊離SN38がナノモル濃度で抗新生物活性を示すので、強力なイリノテカン(商標)代謝物SN38の血漿中濃度の倍増でさえ、有意な毒性をもたらし得ることに注目することは重要である。
患者間の変動性及び毒性の他の原因は、薬物の遊離かつ活性種を生成する、インビボにおけるSN38及び同様なCPT類似体の脱グルクロニド化である。A環グルクロニド化を受けやすいCPT類似体(SN38など)の脱グルクロニド化によって、遊離かつ活性形薬物の血漿中又は局所組織濃度が増大し、患者の毒性が十分に高いレベルに達した場合には、死まで至るかもしれない。
FDAにより認可された上述の2つの薬物に加えて、現在、種々の段階の臨床試験において評価されている、少なくとも9つのカンプトテシン類似体が存在する。これらのカンプトテシン類似体としては、以下が挙げられる。
1. カレニテシン(Karenitecin)(BNP1350)
BNP1350は、7−トリメチルシリルエチル部位を有する高度に親油性のカンプトテシン類似体であり、米国特許第5,910,491号(特許文献3)において、その処方物及び使用とともに特許請求されている。溶媒N−メチルピロリジノン(NMP)を含むBNP1350の処方物は、例えば、米国特許第5,726,181号(特許文献4)において特許請求されている。
2. ルルトテカン(Lurtotecan)(NX211)
NX211は、10,11−エチレンジオキシ部位及びC7位に分解可能な4−メチルピペラジノメチル部位を有する水溶性カンプトテシンである。例として、米国特許第5,559,235号(特許文献5)には、この類似体ならびにその処方物及び使用が開示されかつ特許請求される。
3. エキサテカン(Exatecan)(DX−8951f)
DX−8951fは、10−メチル及び11−フルオロ置換を有する六環式カンプトテシン類似体であり、第6番目の環は、C7位とC9位との間で縮合している。限定するものではなく、一例として、米国特許第5,637,770号(特許文献6)には、この類似体並びにその処方物及び使用が記載されかつ特許請求される。
4. ジフロモテカン(Diflomotecan)(BN80915)
BN80915は、7員のE−環を有する10,11−ジフルオロカンプトテシンである。限定するものではなく、一例として、米国特許第5,981,542号(特許文献7)には、この類似体並びにその使用及び処方物が記載されかつ特許請求される。
5. ルビテカン(Rubitecan)(9−ニトロCPT)
上記のように、9−ニトロカンプトテシンは、水性溶媒及び有機溶媒の両方において溶解性に乏しく、米国特許においては記載されているが特許請求されておらず、1982年に出願された特願昭57−160944号(特許文献8)において、この類似体が最初に公開されている。その後いくつかの特許が発行されており、これらは全て、この類似体を調製する方法並びにその使用に関するものである。
6. アフェレテカン(Afeletecan)(CPT複合糖質)
アフェレテカンは、C20複合糖質化された水溶性カンプトテシン類似体であり、米国特許第6,492,335号(特許文献9)において記載されかつ特許請求されている。
7. ギマテカン(ジマテカン)(Gimatecan)(ST1481)
ST1481は、末端tert−ブトキシ基に結合したC7イミノ部位を有する水溶性プロドラッグである。この類似体は、米国特許第6,242,257号(特許文献10)に記載されかつ特許請求されている。
8. ムレレテカン(Mureletecan)(PNU166148)
ムレレテカンは、C20位に結合されてエステルを形成する、分解可能なペプチド部位を有する別の水溶性プロドラッグである。
9. ペグベトテカン(Pegbetotecan)、ペグカモテカン(Pegcamotecan)、ペグリンキソテカン(Peglinxotecan)(PEG CPT:プロテカン(Prothecan)(登録商標))
このプロドラッグは、分解可能な水溶性ポリエチレングリコール部位を含み、このポリエチレングリコール部位は、C20位でエステルを形成する。例としては、この類似体は、米国特許第5,840,900号(特許文献11)に記載されかつ特許請求されている。
上述の9つのカンプトテシン類似体の種々の化学構造を、下記の表2に示す。
水溶性に乏しい(すなわち、疎水性の)カンプトテシンは、必然的に、有機溶媒中に溶解又は懸濁されることによって投与用に処方される。米国特許第5,447,936号(特許文献12);同第5,726,181号(特許文献4);同第5,859,022号(特許文献13);同第5,859,023号(特許文献14);同第5,880,133号(特許文献15);同第5,900,419号(特許文献16);同第5,935,967号(特許文献17);同第5,955,467号(特許文献18);などは、種々の有機溶媒(すなわち、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA);N,N−ジメチルイソソルビド(DMI);及びN−メチルピロリジノン(NMP))中の、高度に親油性で水溶性に乏しいカンプトテシン類似体の医薬処方物を記載する。
V. CPT及び類似体の処方物及び投与
1970年代の始めに、カンプトテシンのナトリウム塩を利用する臨床的研究が、ボルティモア癌研究センター(Baltimore Cancer Research Center)で開始された。この臨床試験において、CPTは、食塩水1ミリリットルあたり2mgのカンプトテシンナトリウムの濃度で、5〜10分をかけて、迅速な連続静注(IV)溶液として投与された。実際の又は仮想の(ideal)体重1kgあたり0.5〜10.0mgのCPTナトリウムの用量(どちらも少なかった。)が使用された。これらの研究者は、初期試験の数例において出血性無菌(sterile)膀胱炎が注目されたので、カンプトテシンナトリウムを受ける患者に、薬物投与後72時間の間に静脈内(i.v.)又は経口のいずれかにおいて十分に水分を与えたことを報告した。CPTの平均尿回収率は、最初の48時間で17.4%(3.6%〜38.9%の範囲である。)であり、そのほとんどが最初の12時間内に排泄されることは注目に値する。これらの調査者が排泄障害のある5名の患者を除外すると、CPTの平均尿回収率は、22.8%であった。これらの研究者は、高濃度の非代謝カンプトテシンが、iv薬物投与の後速やかに尿中に現れたことに注目し、さらに、この所見が、3名の適度に脱水した患者に認められた滅菌出血性膀胱炎の原因であった可能性を言及するに至った。大量の排尿を維持することによってこの合併症を予防できるように思われるが、研究者は、この衰弱させるタイプの毒性の危険を低減する他の可能な方法として、尿pHの様々な変動を調査したことを報告した。
ムッジャ(Muggia)ら(カンプトテシン(NSC−100880)を用いる週ごと及び日ごとの治療の第1相臨床試験:前臨床研究との相関、キャンサー ケモテラピー リポーツ、パート 1(Phase I Clinical Trial of Weekly and Daily Treatment with Camptothecin (NSC-100880): Correlation with Preclinical Studies. Cancer Chemotherapy Reports, Part 1.) 56(4):515−521(1972)(非特許文献21))は、20〜67mg/mの用量レベル範囲で、4週間CPTナトリウム処置された15名の患者における第1相臨床試験の結果を報告した。毒性を伴う用量レベルで5日クールで処置された、ある程度の疾患を有する8名の患者においては、臨床的効果は観察されなかった。CPTは、1又は10mg/mLの濃度で投与され、常に静脈内プッシュ(push)によって投与された。膀胱炎は、この研究において観察された最も顕著な非血液毒性効果であった。膀胱毒性は、20〜30mg/mの用量を受ける3名の患者において用量制限的であり、30及び44mg/mの用量で、さらに2名の患者において生じた。膀胱炎、カンプトテシンを用いる処置後に頻繁に起こる他の毒性作用は、前臨床毒性研究によって予期されなかった。臨床経験者である本発明者らは、膀胱炎の発症が、患者がこの薬物に曝露される期間に関連しているかもしれないことを示唆した。この示唆は、CPTは腎臓によって変化されずに排泄されるが、投与された高率の薬物は尿において回収できないという本発明者らの経験によるものである。CPTの胆汁への極めて活発な輸送が実証されているので、比較的少ない薬物が動物の尿において排泄されることは可能である。あるいは、ヒト膀胱の粘膜がCPTの毒作用に対してより感受性がある、又はヒト膀胱に対する効果がいくつかの未認識CPT代謝物に起因すると仮定する必要がある。
1972年に、モルテル(Moertel)及び共同研究者は、2mg/mLの濃度で生理食塩水に溶解したCPTナトリウムを投与し、5〜10分かけて速やかな静脈内注入によって投与した。この研究において、2つの投与スケジュールが用いられた:(i)3週間間隔で繰り返された単回注射;及び(ii)4週間ごとに繰り返された5日クール。この単回用量方法のための当初の用量は、180mg/mであった。研究者によって過度であると判断された毒作用のために、後の患者は、90〜120mg/mの間の用量範囲で処置された。5日クールのための投与量は、11〜22mg/m/日の間の範囲であった(総クール:55〜110mg/m)。この前述の研究から得られた毒性及び応答データを、以下表3〜表4に要約する。下痢は、高用量での問題に過ぎないが、便失禁の点で非常に重篤であり、4週間の間持続する可能性があった。膀胱炎は、通常、処置後約7〜10日で始まり、臨床的に排尿障害及び頻度を特徴とした。より深刻な毒性につれて、肉眼血尿が発症した。病理学的に、この肉眼血尿は、骨盤腎(kidney pelvis)から膀胱への尿路全体に関与し得る複数の壊死性潰瘍を特徴とした。これらの研究者によると、CPTを用いるさらなる処置は、出血性膀胱炎の発生によって妨げられず、出血性膀胱炎の重篤度は、その後のクールにおいて用量を低減することによって少しずつ下げる(titrated down)ことができた。これらの研究者はまた、スケジュールが長期になるにつれ、所定の総用量レベルにおける毒性がより重篤になるが、その差は前臨床動物研究によって予期されていたほどには大きくなかったことを報告した。
これらの研究者は、CPTナトリウムの妥当な初期用量が単回注射方法について110〜120mg/m又は5日クールについて17mg/m/日(総用量:85mg/m)であることを提案した。これらの研究者は、2か月(8又は9週)後、61名の患者のうち2名のみが部分的な客観的改善の証拠を示し、3か月で改善を示した者はいなかったことに注目した。2か月で客観的な応答を示した両患者は、大きな腸癌を患っていた。これらの研究者は、CPTが「胃腸の癌の治療において臨床的価値を有しない、変幻自在でかつ予測不能な毒性を有する薬物である」と結論づけた。
他の研究において、ゴットリーブ及びリュス(Gottlieb and Luce)(カンプトテシン(NSC−100880)を用いる悪性黒色腫の治療、キャンサー ケモテラピー リポーツ、パート 1(Treatment of Malignant Melanoma with Camptothecin (NSC-100880). Cancer Chemotherapy Reports, Part 1) 56(1):103−105(1972)(非特許文献22))は、CPTナトリウムを用いて悪性黒色腫を有する患者を治療した結果を報告した(1972)。進行性悪性黒色腫を有する15名の患者が、2週間ごとに繰り返される90〜360mg/mの用量で、CPTで処置された。CPTナトリウムは、2週間間隔で繰り返される120mg/mの用量で開始する単回の迅速な静脈内(IV)注射として投与された。その後のクールにおける用量は、最小限の毒性を有する初期用量を許容した8名の患者において、1用量あたり60mg/mの増分で(最大360mg/mまで)増加させた。この薬物の公知の膀胱毒性を予防するために、患者には、処置後3日間十分に水分を与えた。腫瘍直径が50%又はそれ以上減少した患者はいなかった。ほとんど目立たない一時的な腫瘍の退化が3名の患者においてみられたが、これらの応答に関連する臨床的効果はなかった。残りの患者は、それぞれの患者の疾患において変化も進行もみられなかった。毒性効果としては、骨髄抑制(11名の患者)、悪心及び嘔吐、脱毛、下痢並びに出血性膀胱炎が挙げられた。これらの研究者は、少なくともこの研究において投与されたCPTが進行性の播種性黒色腫の患者の助けにはほとんどならないと結論づけた。
クレーベン(Creaven)ら(5日クールの治療の間の血漿中カンプトテシン(NSC−100880)レベル:用量と毒性との関係、キャンサー ケモテラピー リポーツ、パート 1(Plasma Camptothecin (NSC-100880) Levels During a 5-Day Course of Treatment: Relation to Dose and Toxicity. Cancer Chemotherapy Reports, Part 1) 56(5):573−578(1979)(非特許文献23))は、5日クールの治療の間の血漿中のCPTレベルの研究を報告した。これらの研究者は、初期臨床評価の過程でCPTの毒性が広範にかつ予測不能に可変性であったことを述べている。明らかな腎臓疾患を有する患者が除外されたにもかかわらず、重篤な毒性効果は現れた。この研究において、全5日のスケジュールにわたって1日1回投与されたCPTナトリウム投与の24時間後の血漿中CPTレベルを調べ、このような測定が毒性予測において価値あるものであるか否かを決定し、そして血漿中CPTレベルは、用量が6.5〜20mg/m/日の範囲にある場合に与えられた用量にほとんど関係しないことを観察した。
ナトリウムCPTを利用するこれらの前述の研究において共通性が認められるいくつかの特徴がある。第一は、ナトリウム−CPTの使用であり、これは、カルボキシル化種を形成するためにラクトンE−環を加水分解することよって(すなわち、水酸化ナトリウム中にCPTを処方することによって)CPTをより水溶性にしたものである。このCPTのカルボキシル化形の抗腫瘍活性は少なくとも10倍低減し、これらの研究における臨床的応答の欠如の部分的な原因となる。第二は、この薬物の迅速な静脈内投与である。CPTは、S期特異的な薬物であり、それゆえに、連続的な静脈内注入のように、長期間にわたる曝露条件下で、より大きな化学療法的効果を示すであろう。これらの全研究における短い注入(i.v.プッシュ又は迅速なi.v.注入)時間は、薬物が適切なレベルで十分に長い時間曝露されることを許容せず、さらに、CPTの水溶性カルボキシル化形の投与によってより短くなる(compounded)。第三の共通の特徴は、ナトリウムCPTを用いるこれらの研究において膀胱炎の頻度が顕著なことである。
VI. ラクトン形は、CPT抗腫瘍活性を安定化し、かつ水溶性を低下させる
HPLC及びNMR技術を利用して、研究者は、CPT類似体がE−環ラクトンのアルカリpH依存性の加水分解を受けることを実証した。遅い反応速度論により、この薬物のラクトン形及び非ラクトン形がTopo Iによって分割されたDNA複合体を安定化するか否かを評価できる。研究により、この薬物の閉環したラクトン形のみが、分割可能な複合体を安定化するのに役立つことが示される。この観察により、固形腫瘍モデルにおいてみられる高程度のCPT活性に対する推論が与えられる。腫瘍細胞、特に固形新生物に広く存在する低酸素細胞は、正常細胞よりも細胞内pHレベルが低い。7.0未満のpHレベルでは、CPTの閉環形が優勢である。それゆえ、本発明者らは、CPTが、より高い細胞内pHレベルを有する細胞中よりも、酸性環境中のほうがTopo Iを阻害するときに有効であることを主張する。本発明の目的は、特許請求の範囲に記載された内容を根拠としてラクトン安定CPTを提供することにある。ラクトン安定なCPTは、薬学的に許容可能な酸の存在下でDMI又はDMAに溶解されるCPTとして定義される。この酸の存在は、CPTのラクトン形を安定化する。
CPTの抗新生物効果は分子の親水性に反比例すると述べている著者達もいるが、9−ニトロカンプトテシン(9−NC)及び9−アミノカンプトテシン(9−AC)は親水性でも疎水性でもなく、これらの化合物はいずれも有意な抗腫瘍活性を示さないので、確実に明言することはできない。それゆえ、水溶性は抗腫瘍活性に必要ではないが、ラクトンの立体配座又はその当量は、全てのカンプトテシンの抗腫瘍活性の改善に必要であるようである。例えば、CPTのラクトン形は水溶性に乏しく、さらに有意な抗腫瘍活性を有する。それゆえ、CPTのE−環ラクトンのカルボキシル化形への加水分解によって、その抗腫瘍活性の有意な低減を犠牲にして、分子の水溶性が大いに増大する。前記のように、本発明の新規な「反転した」E−環含有カンプトテシン類似体は、薬理学的に活性なα−ヒドロキシ−δ−ラクトン形(すなわち、ラクトン形)と、血液サンプルの分析(すなわち、血漿を回収するための高速遠心分離)を必要とする不活性なα−ヒドロキシ−δ−カルボキシラート形(すなわち、カルボキシル形)との間でpH及びタンパク質依存性相互変換をする薬物のクラスに属する。例えば、総濃度(すなわち、α−ヒドロキシ−δ−ラクトン + α−ヒドロキシ−δ−カルボキシラート)を測定する場合には、ラクトン形のみが赤血球の細胞膜を通って拡散可能であり、それゆえにカルボキシラート形(すなわち、α−ヒドロキシ−δ−カルボキシラート)に対するラクトン形(すなわち、α−ヒドロキシ−δ−ラクトン)の比の変化は血漿画分における総薬物濃度に対して影響をもたらすので、この高速の血液処理が非常に重要である。血漿サンプルの直接凍結によるカルボキシラートに対するラクトンの比の安定化は、α−ヒドロキシ−δ−ラクトンのみの濃度を決定するための最も簡便なアプローチである。分析に際して、全てのサンプルは、固相又は液液抽出技術によって一回で取り扱うことができ、親油性ラクトン形のみが抽出されるが、不活性α−ヒドロキシ−δ−ラクトン形は廃棄される。総薬物濃度は、サンプルの酸性化後に第2の分析において測定される。カルボキシラートに対するラクトンの比を安定化させる第2の簡単な方法は、血漿の回収直後に、冷メタノールを用いる血漿サンプルの脱タンパク質化による。この手順の利点は、1回の分析操作(analytical run)においてα−ヒドロキシ−δ−ラクトン形及びα−ヒドロキシ−δ−カルボキシラート形を同時に測定可能なことである。CPTの定量は、通常、逆相高性能液体クロマトグラフィ(HPLC)によって行われ、ほとんどのCPT類似体は強い蛍光特性を有するので、蛍光検出が、最も頻繁に適用される検出技術である。例えば、ルース,W.J.(Loos, W. J.)ら、「高性能液体クロマトグラフィによる生物学的マトリクスにおけるカンプトテシン類似体の測定」、アンチキャンサー ドラッグス(Determination of Camptothecin Analogs in Biological Matrices by High-Performance Liquid Chromatography. Anticancer Drugs) 11:315−324(2000)(非特許文献24)を参照のこと。
非酵素的pH依存性の可逆的相互変換は、6員のE−環を有するカンプトテシン類似体の2つの形の間に存在する。第1の形は、本発明の、薬理学的に活性な、新規な「反転した」α−ヒドロキシ−δ−ラクトンE−環形(この形は、酸性pHで優勢である。)であり、ここで、このE−環は閉環指向にある。第2の形は、本発明の、薬学的に不活性なα−ヒドロキシ−δ−カルボキシラートE−環形(この形は、塩基性pHで優勢である。)であり、ここで、このE−環は開環指向にある。不活性な「開環した」α−ヒドロキシ−δ−カルボキシラート形は、分割可能な複合体を安定化する能力が欠如するだけでなく、細胞膜を通って無抵抗に拡散できず、それゆえに薬学的に不活性である。「閉環した」α−ヒドロキシ−δ−ラクトン形と「開環した」α−ヒドロキシ−δ−カルボキシラート形との間の平衡は、溶液のpHに依存するだけでなく、タンパク質に対するこの異なる2種の異なる親和性に依存する。例えば、CPTは、ヒト血清アルブミンに対するカルボキシラート形の優先的結合により、ヒト血清アルブミンによって不活化され、その結果カルボキシラート形の方へ平衡移動することが明らかとなっている。ルース,W.J.(Loos, W. J.)ら、「ヒトにおける総9−アミノ−20(S)−カンプトテシンの速度論的プロフィールにおける赤血球及び血清タンパク質の役割」、アンチキャンサー ドラッグス(A Role of Erythrocytes and Serum Proteins in the Kinetic Profile of Total 9-amino-20(S)-Camptothecin in Humans. Anticancer Drugs) 10:705−7109(1999)(非特許文献25)を参照のこと。
様々な研究者が、出血性膀胱炎を生じる水酸化ナトリウムで処理されたCPT(ナトリウムCPT)の過去の使用は、腎臓において遠位尿細管の低pH(〜pH5)に曝露されたカルボキシラート形CPTの腎臓排泄の増大に関連し、カルボキシラート形CPTがラクトン形CPTに変換されることを主張している。遠位尿細管での高濃度のラクトン形の形成によって高濃度のラクトン形CPTを生じ、このラクトン形CPTは集合管中並びに尿管及び膀胱中へ排出され、その結果出血性膀胱炎を生じる。腎経路によるCPTの排出は、カルボキシラート形の投与によって増強され、このような排出は、CPTラクトン形の投与によって低減され得る。
2つのCPT類似体(すなわち、CPT−11及びトポテカン)は、散発性毒性をほとんど有しないが、もとの(parent)類似体の有意な活性を保持する。CPT−11及びトポテカンは、米国において、米国食品医薬品局によりヒトへの使用について現在認可されている。さらに、報告によれば、10,11−メチレンジオキシカンプトテシンは、前臨床研究において非常に活性であったが、比較的水に不溶であるために臨床においてその使用が制限されることが報告されている。
下記の表7には、CPT−11の第1相臨床試験を要約したデータを示す。好中球減少症及び下痢が、主に報告されたCPT−11の用量制限的毒性であった。
本発明に開示される類似体は、実質的に、ラクトン形において患者に経口的又は非経口的のいずれかで投与することができ、腎臓でのCPT解毒及び出血性膀胱炎の付随的発生を大いに改善することは、特筆されるべきである。既に記載されたCPTに対する上述の毒性及び制限された臨床的応答に加えて、CPTは、水溶性も乏しいので、直接的な臨床的使用に不適切であると考えられてきた。本発明の1つの有用な目的は、ラクトン環形においてCPTを安定化させる薬学的に許容可能な様式でCPTを処方することにある。癌患者に対するCPTの直接的な投与を可能にするのは、このラクトン安定なCPT処方物である。本発明のさらなる目的は、ヒトにおいて癌を治療するためのラクトン安定なカンプトテシンの特定の指示、スケジュール、投与量及び投与経路を提供することである。本発明のさらなる利点は、臨床医が、投与の用量及びスケジュールを制御することによって血漿中のCPTレベルを治療の許容範囲まで直接的に調整できるようにすることである。本発明者らは、この利点が優れた能力をもたらし、より良好な化学療法的活性を達成しかつ血漿中のCPTレベルの患者間の変動性を低減することを主張する。
既に記載されたように、CPTのラクトン安定形は、癌細胞の増殖を阻害する目的でヒト被験体に非経口又は経口経路によって投与されていなかった。本発明は、これらの限界を克服し、以下を開示しかつ特許請求するものである:(i)新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又は類似体;(ii)前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又は類似体の合成方法;(iii)前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又は類似体、並びに任意の1又はそれ以上のさらなる化学療法剤を含む薬学的に許容可能な処方物;(iv)前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又は類似体、並びに任意の1又はそれ以上のさらなる化学療法剤を、それを必要とする被験体に投与する方法;及び(v)前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又は類似体、並びに任意の1又はそれ以上の化学療法剤を、それを必要とする被験体に投与するための装置。
米国特許第4,473,692号 米国特許第4,604,463号 米国特許第5,910,491号 米国特許第5,726,181号 米国特許第5,559,235号 米国特許第5,637,770号 米国特許第5,981,542号 特願昭57−160944号 米国特許第6,492,335号 米国特許第6,242,257号 米国特許第5,840,900号 米国特許第5,447,936号 米国特許第5,859,022号 米国特許第5,859,023号 米国特許第5,880,133号 米国特許第5,900,419号 米国特許第5,935,967号 米国特許第5,955,467号 ジャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサエティー 88:3888−3890(1966) キャンサー ケモテラピー リポーツ 56:515−521(1972) キャンサー ケモテラピー リポーツ 5:25−36(1974) プロシーディングス オブ アメリカン アソシエーション キャンサー リサーチ 41:32−43(2000) ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー 260:14873−14878(1985) キャンサー リサーチ 48:1722−1726(1988) キャンサー リサーチ 49:5077−5082(1989) キャンサー トリートメント レビュー 20:73−96(1994) キャンサー ケモテラピー アンド バイオテラピー、第2版(B.L.チャブナー、D.L.ロンゴ(編))、463−384(1996) ジャーナル オブ モレキュラー バイオロジー 222:669−678(1991) ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー 266:20418−20423(1991) ヌクレイック アシッズ リサーチ 21:5157−5166(1994) キャンサー リサーチ 50:6919−6924(1990) ジャーナル オブ クリニカル オンコロジー 18:659−667(2000) キャンサー リサーチ 51:5915−5920(1991) ディスカバリー トゥ クリニック−第13回ブルース F. ケイン メモリアル アワード レクチャー キャンサー リサーチ 55:753−760(1995) ジャーナル オブ メディカル ケミストリー 38:395−401(1995) キャンサー リサーチ 54:3096−3100(1994) キャンサー リサーチ 54:3723−3725(1994) ジャーナル オブ ザ ナショナル キャンサー インスティテュート 84(12):972−974(1992) キャンサー ケモテラピー リポーツ、パート 1. 56(4):515−521(1972) キャンサー ケモテラピー リポーツ、パート 1 56(1):103−105(1972) キャンサー ケモテラピー リポーツ、パート 1 56(5):573−578(1979) アンチキャンサー ドラッグス 11:315−324(2000) アンチキャンサー ドラッグス 10:705−7109(1999)
(発明の要旨)
本明細書に記載されかつ特許請求される発明は多くの属性及び実施形態を有し、このような属性及び実施形態としては、この要旨に記述又は記載又は参照されるものが挙げられるがこれらに限定されない。包括的であることを意図するものではなく、本明細書に記載されかつ特許請求される発明は、この要旨に規定される特徴又は実施形態によって特定されない。この要旨に規定される特徴又は実施形態は、限定する目的ではなく単に例示の目的で包含されるものである。
本発明は、前記の組成物、方法、処方物、装置及び使用を開示する。本発明の組成物、方法、処方物及び装置は、1又はそれ以上の種類の癌に罹患する被験体を医学的に治療するために利用され得る。このような癌としては、卵巣、胸部、肺、食道、膀胱、胃、膵臓、肝臓、精巣、頭部、頸部、口腔粘膜、結腸直腸、肛門、腎臓、膀胱、尿路上皮、リンパ腫、中枢神経系、前立腺、子宮内膜、子宮、卵管、中皮腫、末梢神経系、黒色腫、骨髄腫、白血病及びカポージ肉腫が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の一実施形態は、下記に表される構造からなる、新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン類似体を開示する:
(式中、Xは、−(CH(式中、n≦2である。)又はCFであり;
は、−(CH−、−(CHSi(R、−(CHGe(R(式中、nは0〜6である。);任意のハロゲン化物;任意の短鎖アミン(式中、RはCH、C、Cである。)であり;
は、−(CH−、−(CHSi(R、−(CHGe(R(式中、nは0〜6である。);任意のハロゲン化物;任意の短鎖アミン(式中、RはCH、C、Cである。)であり;
及びRは、任意のハロゲン化物;任意の短鎖アミン;CHO;−OCHCHO−、−OCHO−(式中、R及びRの前記置換基は、互いに共有結合して前記置換基の間に「環様」構造を形成してもよい。)であり;あるいはR及びR、又はR及びR、又はR,R;R及びR;並びにR及びR置換基のいずれの組み合わせも、共有的に結合してさらなる環様構造(単数又は複数)を形成してもよい。);あるいは
その薬学的に許容可能な塩、類似体、プロドラッグ、抱合体、水和物、溶媒和物、多形体及び/又は互変異性体。
他の実施形態において、Rが、−X−(低級アルキル)−Si(アルキル)又は−X−(低級アルキル)−Ge(アルキル)で構成され、かつA環部位の1又はそれ以上が水素以外の置換基である、新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又は類似体が開示される。
本発明の一実施形態において、Rが、−(低級アルキル)−Si部位又は−(低級アルキル)−Ge部位で構成され、ここで、R乃至Rの1又は2つが、アミノ、置換アミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、−カルボニル−低級アルキル−複素環、−低級アルキル−トリメチルシリル、−低級アルキル−トリメチルゲルマニウム又はアリールオキシからなる群より選択された部位である、新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン類似体又はその薬学的に許容可能な塩が開示される。
一実施形態において、前記類似体が、薬学的に許容可能な酸の存在下、1又はそれ以上の溶媒(N−メチルピロリジノン、ジメチルイソソルビド又はジメチルアセトアミドが挙げられるがそれらに限定されない。)に溶解される、新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン類似体、その薬学的に許容可能な塩及び/又は類似体を含む処方物が開示される。好ましい実施形態において、薬学的に許容可能な酸は、有機カルボン酸である。最も好ましい実施形態において、薬学的に許容可能な酸は、クエン酸又はリン酸である。
本発明の他の実施形態において、総投与約0.1mg/m〜約100mg/mを与えるために、十分な濃度の前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又は類似体を含む処方物の投与が開示される。好ましい実施形態において、カンプトテシンは、薬学的に許容可能な酸の存在下、N−メチルピロリジノン、ジメチルイソソルビド又はジメチルアセトアミドが挙げられるがこれらに限定されない1又はそれ以上の溶媒に溶解される。
一実施形態において、総投与約0.1mg/m〜約100mg/mを与えるために十分な濃度の前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン類似体で構成され、かつ前記ラクトン安定なE−環含有カンプトテシン類似体、その薬学的に許容可能な塩及び/又は類似体1重量部あたり約0.01〜約0.9重量部の薬学的に許容可能な有機カルボン酸を含む処方物が開示される。最も好ましい形態において、薬学的に許容可能な有機カルボン酸は、クエン酸又はリン酸である。
本発明の一実施形態において、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン類似体、その薬学的に許容可能な塩及び/又は類似体の約0.05〜約0.1重量部である薬学的に許容可能な有機カルボン酸で構成された処方物が開示される。
一実施形態において、さらにタウロコール酸又はその薬学的に許容可能な塩及びポリエチレングリコールを含む処方物が開示される。
他の実施形態において、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又は類似体の1重量部に対して、約1〜約10重量部のN−メチルピロリジノン、ジメチルイソソルビド又はジメチルアセトアミド;約0.005〜約0.5重量部のクエン酸;約1〜約10重量部のタウロコール酸又はその薬学的に許容可能な塩;及び約1〜約10重量部のポリエチレングリコールを含む処方物が開示される。
他の実施形態において、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又は類似体の1重量部に対して、約1〜約10重量部のN−メチルピロリジノン、ジメチルイソソルビド又はジメチルアセトアミド、約0.005〜約0.5重量部の薬学的に許容可能な有機カルボン酸、約1〜約10重量部のタウロコール酸又は薬学的に許容可能な塩、約1〜約10重量部のポリエチレングリコール、約0.1〜約2重量部のグリセリン、約0.1〜約2重量部のエタノール及び約0.005〜約0.5部の緩衝剤を含む処方物が開示される。好ましい実施形態において、薬学的に許容可能な有機カルボン酸はクエン酸であり、ポリエチレングリコールは分子量約300である。
他の実施形態において、総投与約0.1mg/m〜約100mg/mを与えるために、約0.1〜約0.5重量部の薬学的に許容可能な有機カルボン酸の存在下、約1〜約10重量部のN−メチルピロリジノン、ジメチルイソソルビド又はジメチルアセトアミドに溶解された十分な濃度の前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン類似体、その薬学的に許容可能な塩及び/又は類似体を含み、この組成物が、さらに約5〜約9重量部のポリエチレングリコール、約0.1〜約2.0重量部の薬学的に許容可能なアルコール及び約1〜約10重量部の非イオン界面活性剤を含む処方物が開示される。好ましい実施形態において、薬学的に許容可能な有機酸はクエン酸であり、ポリエチレングリコールは分子量約300であり、低級アルコールはエタノールであり、そして界面活性剤はポリソルベート−80又はポロクサマーPF−127である。
一実施形態において、以前に治療を受けていない癌患者に、前記新規なラクトン安定な「反転した」カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又は類似体を含む処方物を投与する方法であって、連続した3週間の間、1週間に1回、各3週間サイクル後に2週間の休止(rest)を挟んで、約120分の間にわたって約0.1mg/m〜約100mg/mの組成物を注入することを含み、組成物が、癌患者への経口、胸腔内、鞘内、槽内、小胞内、腹腔内、局所又は非経口投与のために滅菌かつ調製される方法が開示される。
一実施形態において、以前に治療を受けていない癌患者に、前記新規なラクトン安定な「反転した」カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又は類似体を含む処方物を投与する方法であって、連続した3週間の間、1週間に1回、各3週間サイクル後に2週間の休止を挟んで、約120分の間にわたって約0.1mg/m〜約75mg/mの組成物を注入することを含み、組成物が、癌患者への経口、胸腔内、鞘内、槽内、小胞内、腹腔内、局所又は非経口投与のために滅菌かつ調製される方法が開示される。
一実施形態において、以前に治療を受けていない癌患者に、前記新規なラクトン安定な「反転した」カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又は類似体を含む処方物を投与する方法であって、連続した3週間の間、1週間に1回、各3週間サイクル後に2週間の休止を挟んで、約120分の間にわたって約0.1mg/m〜約50mg/mの組成物を注入することを含み、組成物が、癌患者への経口、胸腔内、鞘内、槽内、小胞内、腹腔内、局所又は非経口投与のために滅菌かつ調製される方法が開示される。
一実施形態において、癌患者に前記新規なラクトン安定な「反転した」カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又は類似体を含む処方物を非経口投与する方法であって、21〜28日ごとに、約120分の間にわたって約0.1mg/m〜約100mg/mの組成物を注入することからなる方法が開示される。
一実施形態において、癌患者に前記新規なラクトン安定な「反転した」カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又は類似体を含む処方物を非経口投与する方法であって、21〜28日ごとに、約120分の間にわたって約0.1mg/m〜約75mg/mの組成物を注入することからなる方法が開示される。
一実施形態において、癌患者に前記新規なラクトン安定な「反転した」カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又は類似体を含む処方物を非経口投与する方法であって、21〜28日ごとに、連続した3日間の間、約120分の間にわたって約0.1mg/m〜約50mg/mの組成物を注入することからなる方法が開示される。
他の実施形態において、前記新規なラクトン安定な「反転した」カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又は類似体と、1又はそれ以上の化学療法剤とを組み合わせて含む処方物を非経口投与する方法が開示され、ここで、この化学療法剤としては、フルロピリミジン;ピリミジンヌクレオシド;プリンヌクレオシド;葉酸拮抗剤、白金類似体;アントラサイクリン/アントラセンジオン;エピポドフィロトキシン(Epipodopodophyllotoxin);カンプトテシン;ホルモン、ホルモン類似体;抗ホルモン;酵素、タンパク質、ペプチドもしくは抗体;ビンカアルカロイド;タキサン;エポチロン(Epothilone);抗微小管剤;アルキル化剤;代謝拮抗物質;トポイソメラーゼ阻害剤;抗ウイルス薬;又は他の細胞毒性及び細胞増殖抑制剤が挙げられるが、これらに限定されない。
一実施形態において、癌患者に前記新規なラクトン安定な「反転した」カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又は類似体を含む処方物を経口投与する方法であって、21〜28日ごとに、24時間以内に1回の又は分割した投与で、約0.1mg/m〜約100mg/mの組成物を投与することからなる方法が開示される。
一実施形態において、癌患者に前記新規なラクトン安定な「反転した」カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又は類似体を含む処方物を経口投与する方法であって、21〜28日ごとに、連続した3日間の間、1回の又は分割した用量(又は投与量)で、毎日約0.1mg/m〜約75mg/mの組成物を投与することからなる方法が開示される。
一実施形態において、癌患者に前記新規なラクトン安定な「反転した」カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又は類似体を含む処方物を経口投与する方法であって、21〜28日ごとに、連続した3日間の間、1回の又は分割した用量で、毎日約0.1mg/m〜約50mg/mの組成物を投与することからなる方法が開示される。
他の実施形態において、癌患者に前記新規なラクトン安定な「反転した」カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又は類似体を含む処方物を経口投与する方法であって、連続した3週間の間、1週間に1回、各3週間サイクル後に2週間の休止を挟んで、24時間以内に1回の又は分割した投与で、約0.1mg/m〜約100mg/mの組成物を投与することからなる方法が開示される。
一実施形態において、以前に治療を受けていない癌患者に、前記新規なラクトン安定な「反転した」カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又は類似体を含む処方物を経口投与する方法であって、連続した3週間の間、1週間に1回、各3週間サイクル後に2週間の休止を挟んで、24時間以内に1回の又は分割した用量で、約0.1mg/m〜約75mg/mの組成物を投与することからなる方法が開示される。
他の実施形態において、癌患者に前記新規なラクトン安定な「反転した」カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又は類似体を含む処方物を経口投与する方法であって、連続した3週間の間、1週間に1回、各3週間サイクル後に2週間の休止を挟んで、24時間以内に1回の又は分割した投与で、約0.1mg/m〜約50mg/mの組成物を投与することからなる方法が開示される。
一実施形態において、癌患者に前記新規なラクトン安定な「反転した」カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又は類似体を含む処方物を経口投与する方法であって、連続した2〜5日間、かつ21〜48日ごとに繰り返された1回の又は各々24時間以内に投与された分割した1日量で、約0.1mg/m/日〜約100mg/m/日の組成物を投与することからなる方法が開示される。
一実施形態において、癌患者に前記新規なラクトン安定な「反転した」カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又は類似体を含む処方物を経口投与する方法であって、連続した2〜5日間、かつ21〜48日ごとに繰り返された1回の又は各々24時間以内に投与された分割した1日量で、約0.1mg/m/日〜約75mg/m/日の組成物を投与することからなる方法が開示される。
一実施形態において、癌患者に前記新規なラクトン安定な「反転した」カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又は類似体を含む処方物を経口投与する方法であって、連続した2〜5日間、かつ21〜48日ごとに繰り返された1回の又は各々24時間以内に投与された分割した1日量で、約0.1mg/m/日〜約50mg/m/日の組成物を投与することからなる方法が開示される。
一実施形態において、1又はそれ以上の癌を有し、付随的に出血性膀胱炎及び腎毒性にも罹患しているヒト被験体に、前記新規なラクトン安定な「反転した」カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又は類似体を含む処方物を投与する方法が開示される。
このような新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンは、上記のように、A環及びB環上の同じ位置で誘導体化できる。このような誘導体化は、多くの薬理学的活性をこの分子に付与するために利用できる。この薬理学的活性としては、(i)親油性の増大、(ii)安定性の増大、(iii)DNAとの反応性の増大などが挙げられるがこれらに限定されない。A環及びB環上の種々の側鎖は、米国特許第6,194,579号;同第5,935,967号;同第5,674,874号;同第5,633,260号;及び同第5,900,419号(これらの文献の全ては、言及することによりその全体が本明細書中に組み入れられる。)に開示され、そしてこれらの新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンに対する置換基として適している。
さらに、新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン及びその種々の類似体の合成方法の開示に関して、本発明はまた、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン及びその種々の類似体を利用し得る、薬学的に許容可能な処方物を開示する。これらの処方物は、7員のE−環対応物(7-member E-ring counterparts)よりもさらに親油性が高い前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン及びその種々の類似体などの高度に親油性な類似体の使用に有効である。この処方物は、種々の癌/腫瘍の治療として、非経口(例えば、静脈内)及び/又は経口経路によるヒト患者への投与に適用される。この処方物は、有効量の高度に親油性のカンプトテシン類似体をその有効成分として有し、代表的には、癌/腫瘍の治療において使用される。
詳細には、本発明は、ヒトにおいて癌を治療するための新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンの処方物及び使用方法を包含する。新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンの静脈内投与の場合、いくつかのスケジュール及び種々の投与量によって、前記カンプトテシンが十分なレベルになり、ヒトに有益な化学療法効果をもたらす。有効なレベルの新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンは、投与によって生じ得る特定の副作用の発生率及び重篤度の点で安全であり、癌の治療を受ける患者に対する標準的な医療行為の許容範囲内にある。
好ましい処方物は、以下の詳細な説明に開示されるが、特許請求の範囲によって規定される発明の範囲を制限するものではない。
(発明の詳細な説明)
本明細書に記載する好ましい実施形態は、完全であることを意図するものではなく、開示された正確な形態に本発明を限定することを意図するものでもない。これらの好ましい実施形態は、本発明の原理並びにその適用及び実用的使用を説明することにより、当業者がその教示を最善に理解できるように選択及び記載される。
(定義)
全ての定義は、ホーレーズ コンデンスド ケミカル ディクショナリー、第14版、ジョン ウィリー&サンズ,インク.,パブリッシャーズ(2001)及びアメリカン ホスピタル フォミュラリー サービス,ドラッグ インフォメーション,アメリカン ソサエティー オブ ヘルス−システム ファーマシスツ,パブリッシャーズ(Hawley’s Condensed Chemical Dictionary, 14th Edition, John Wiley & Sons, Inc., Publishers (2001) and American Hospital Formulary Service, Drug Information, American Society of Health-System Pharmacists, Publishers)(1999)によって規定された。
「骨格」とは、所定の式で表される分子の不変の構造部を意味する。
「フラグメント」、「部位(又は部分)」、又は「置換基」は分子の可変部であり、式中においてR、X、又は他の記号などの可変記号によって示される。フラグメントは、以下の1以上からなるものであってもよい:
「C−Cアルキル」とは、一般に、x個〜y個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐鎖状脂肪族炭化水素を意味する。例としては、「C−Cアルキル」(「低級アルキル」とも称される。)(全部で6以下の炭素原子を有する直鎖状又は分岐鎖状炭化水素で構成される。)、及びC−C16アルキル(全部で1〜16個の炭素原子を有する炭化水素で構成される。)などが挙げられる。本願において、用語「アルキル」は、1〜20個の原子を有する直鎖状又は分岐鎖状炭化水素で構成されると定義され、このアルキルは飽和であってもよいし不飽和であってもよく、また、窒素、硫黄、及び酸素などのヘテロ原子を含んでもよい;
「C−Cアルキレン」とは、「x」個〜「y」個の−CH−基で形成される橋架け(bridging)部分を意味する。本発明において、用語「アルキレン」は、その両末端の炭素において2つの他の原子に結合される、全部で1〜6個の炭素原子を有する橋架け炭化水素(−CH−)(ここで、xは1〜6である。)で構成されると定義される;
「C−Cアルケニル又はアルキニル」とは、2つの炭素原子間に少なくとも1つの二重結合(アルケニル)又は三重結合(アルキニル)を有する直鎖状又は分岐鎖状炭化水素を意味する;
「C−Cアルコキシ」とは、酸素原子を介して骨格に結合した、x個〜y個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状炭化水素鎖を意味する;
「アルコキシカルボニル」(アリールオキシカルボニル)とは、カルボニルを介して骨格に結合したアルコキシ(アリールオキシ)部分を意味する;
「ハロゲン」又は「ハロ」とは、クロロ、フルオロ、ブロモ、又はヨードを意味する;
「アシル」とは、−C(O)−R(ここで、Rは水素、C−Cアルキル、アリール、C−Cアルケニル、C−Cアルキニルなどである。)を意味する;
「アシルオキシ」とは、−O−C(O)−R(ここで、Rは水素、C−Cアルキル、アリールなどである。)を意味する;
「C−Cシクロアルキル」とは、全部でx個〜y個の炭素原子を有する環(単数又は複数)を有する縮合しているか又は縮合していない1以上の環からなる炭化水素環又は環系を意味し、ここで少なくとも1つの環結合は完全に飽和している;
「アリール」とは、一般に、環原子が全て炭素原子からなる縮合しているか又は縮合していない1以上の環、好ましくは1〜3個の環からなる芳香環又は環系を意味する。本発明において、用語「アリール」は、全部で5〜8個の炭素原子からなる環成分を有する縮合しているか又は縮合していない芳香環系(好ましくは全部で1〜3個の環)で構成されると定義される;
「アリールアルキル」とは、アルキル部分(連結鎖)を介して骨格に結合された、上記に定義されるアリール部分を意味する;
「アリールアルケニル」及び「アリールアルキニル」とは、「アリールアルキル」と同様であるが、連結鎖において1以上の二重結合又は三重結合を有するものを意味する;
「アミン」とは、アンモニア(NH)から1以上の水素原子がアルキル基で置換されることによって得られると考えられ得る窒素の有機類似体の一種を意味する。アミンは、1つ、2つ、又は3つの水素原子が置換されているかどうかに応じて、第一級、第二級、又は第三級である。「短鎖アミン」とは、アルキル基が1〜10個の炭素原子を含むものである;
「アンミン」とは、窒素原子が直接金属に結合するような様式におけるアンモニアと金属物質との結合によって形成される配位類似体を意味する。窒素が炭素原子に直接結合しているアミンとは異なることに留意すべきである;
「アジド」とは、特性式R(Nを有する任意の群の類似体を意味する。Rは、ほぼ任意の金属原子、水素原子、ハロゲン原子、アンモニウム基、錯体[CO(NH]、[Hg(CN)M](M=Cu、Zn、Co、Ni)、メチル、フェニル、ニトロフェノール、ジニトロフェノール、p−ニトロベンジル、硝酸エチルなどの有機基であってもよい。アジド基は、環構造よりもむしろ鎖構造を有する;
「イミン」とは、炭素−窒素二重結合を有する窒素含有類似体の一種(すなわち、R−CH=NH)を意味する;及び
「複素環」とは、縮合されているか又は縮合されていない1以上の環(好ましくは1〜3個の環)の環状部分であって、1つの環の少なくとも1つの原子が炭素原子ではないものを意味する。好ましいヘテロ原子としては、酸素、窒素、及び硫黄、又はこれらの原子の2以上の組み合わせが挙げられる。用語「複素環」としては、フラニル、ピラニル、チオニル、ピロリル、ピロリジニル、プロリニル、ピリジニル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサチアゾリル、ジチオリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピペラジニル、オキサジニル、チアゾリルなどが挙げられる。
「置換(された)」とは、あるフラグメント(部位又は部分)を、任意の、いくつかの又は全ての水素原子を本明細書中に示されるような部分(または複数の部分)で置換することによって修飾することをいう。水素原子を置換して置換類似体を形成するための置換基としては、ハロ、アルキル、ニトロ、アミノ(N−置換、及びN,Nジ置換アミノも含む。)、スルホニル、ヒドロキシ、アルコキシ、フェニル、フェノキシ、ベンジル、ベンゾキシ、ベンゾイル、及びトリフルオロメチルが挙げられる。
用語「高度に親油性のカンプトテシン類似体(HLCD)」は、水1mLあたり5μg未満の水溶性を有するカンプトテシン類似体として定義される。
用語「新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン」(IUPAC命名法:4R−エチル−4−ヒドロキシ−3H−ピラノ[2’,3’:6:7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−2,14(4H,12H)−ジオン)は、本発明の新規なラクトン安定な「反転した」カンプトテシンにおいて、E−環ラクトンのメチレン基がベンジル位から三級ヒドロキシ(tertiary hydroxy)とカルボニル基との間に転位又は移動して、α−ヒドロキシ−δ−ラクトンのβ−ヒドロキシ−δ−ラクトンへの転換を引き起こしていることを除いては、カンプトテシン(IUPAC命名法:(S)−4−エチル−4−ヒドロキシ−1H−ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−3,14(4H,12H)−ジオン)と類似の分子構造を有するものとして定義される。本明細書において使用されるように、この用語は、新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン分子自体、その薬学的に許容可能な塩(本明細書に言及される塩を含む。)及び/又はラクトン安定なE−環含有カンプトテシンの種々の類似体をいう。
用語「薬学的に許容可能な酸」は、本発明の溶液に含まれる。任意の薬学的に許容な酸としては、例えば、塩酸などの無機酸;及び酒石酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸又はマレイン酸などの有機カルボン酸を用いることができる。有機カルボン酸が好ましく、クエン酸が最も好ましい。用いられる酸の量は、新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン1重量部あたり約0.005〜約0.5重量部、好ましくは新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン1重量部あたり約0.01〜0.3重量部であってもよい。クエン酸は、好ましくは、タウロコール酸又はその薬学的に許容可能な塩の存在下、約0.05〜約0.1、及び約0.1重量部の割合で用いられる。
本明細書において使用されるように、用語「癌」とは、固形の癌(例えば、腫瘍)、リンパ腫及び白血病を含む全ての公知の癌をいう。
本明細書において使用されるように、「抗新生物剤(又は抗腫瘍剤)」又は「抗癌剤」又は「化学療法剤(chemotherapeutic agent)」又は「化学的治療剤(chemotherapy agent)」とは、有害な生理学的徴候、新生物(又は腫瘍)の増殖又は転移を低減、予防、緩和、抑制、及び/又は遅延するかあるいは新生物のネクローシスもしくはアポトーシス又は任意の他の機構によって直接的に新生細胞を殺傷する薬剤をいう。化学療法剤としては、例えば、フルロピリミジン;ピリミジンヌクレオシド;プリンヌクレオシド;抗葉酸剤、白金錯体;アントラサイクリン/アントラセンジオン;エピポドフィロトキシン(epipodopodophyllotoxin);カンプトテシン;ホルモン;ホルモン錯体;抗ホルモン;酵素、タンパク質、及び抗体;ビンカアルカロイド;タキサン;抗微小管剤(antimirotubule agents);アルキル化剤;代謝拮抗物質;トポイソメラーゼ阻害剤;抗ウイルス剤;及びその他の細胞増殖抑制性薬剤が挙げられる。「化学療法」は、認められている化学療法剤(chemotherapeutic agent)又は化学的治療剤(chemotherapy agent)を用いる治療をいう。
本明細書において使用されるように、本発明の化合物又は組成物に関して「有効量」又は「薬学的に有効な量」とは、新生物疾患を患う被験体に所望の生物学的、薬理学的、又は治療学的結果をもたらすのに十分な量をいう。その結果とは、予期されたか又は観察された副作用、毒性、障害又は状態の根底にある病態生理学又は病因の低減、予防、緩和、遅延、それを解決するための時間の短縮、その徴候又は症状の緩和であってもよいし、それに対する医学的に有利な効果、又は任意の他の所望される生体系の改変の発揮であってもよい。本発明において、この結果としては、一般に、化学療法に付随する毒性の低減、予防、緩和、発現の遅延、重篤度の減弱、及び/もしくは解決の早さ、又は反転(reversal);治療の頻度及び/又は回数の増加;ならびに/あるいは化学療法の期間の延長が挙げられる。
本明細書において使用されるように、「有害な症状」とは、患者によって報告される発現又は状態を意味する(例えば、疼痛、悪心、悪寒、抑うつ、しびれ、刺痛、食欲不振、味覚不全など);一方、「有害な徴候」とは、患者の状態、有害な事象又は疾患の生理学的に観察可能な発現である客観的な所見を意味する(例えば、触知可能な紫斑、斑丘疹、クモ状血管腫、クヴォステク徴候、バビンスキー徴候、トルソー徴候、後弓反張など)。
本発明の新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンの投与は、例えば、CPT−11及び他の非ラクトン安定なカンプトテシンの投与に対して、いくつかの重要な臨床的利点を提供するようである。例えば、
(1)新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンの直接投与によって、臨床医は、患者の状態に応じて活性な細胞毒性種(すなわち、新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン)の投与を調整できる;
(2)新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンの直接投与によって、例えば、CPT−11のHECPTへの代謝において、鍵となる酵素(単数又は複数)の多形性に起因し得る患者間の変動性が克服される;及び
(3)臨床医が薬物投与量及びスケジュールをより確実に最適化し、最も有益な臨床的抗癌効果をもたらすと思われる新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンの最大許容用量を達成できる。
ヒト癌の治療のために新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンを臨床的に利用することに関して、本発明は、以下のものを提供する:
(1)新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンを癌患者に投与する方法、
(2)新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンの溶液(又は液剤);
(3)新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンを含む処方物;
(4)非経口投与に適した新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンの安定な処方物;
(5)癌治療の標準的な臨床法において観察される許容可能な臨床的毒性で最大許容用量を達成するための薬理学的スケジュール;
(6)新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンの新規な経口処方物;及び
(7)種々の体腔への直接投与による局部的癌の治療のための新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンの使用。
本発明において開示された種々の化合物は、カンプトテシンの半合成類似体である。特に、本発明のカンプトテシン類似体は、新規なラクトン安定な「反転した」E−環を有し、この類似体としては、前記新規なカンプトテシンに由来する二置換及び三置換類似体も挙げることができる。本発明において開示された新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン(IUPAC命名法:4R−エチル−4−ヒドロキシ−3H−ピラノ[2’,3’:6:7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−2,14(4H,12H)−ジオン)の一般的な構造式を、下記式Aにおいて説明する。
式中、Xは、−(CH(式中、n≦2である。)又はCFであり;
は、−(CH−、−(CHSi(R、−(CHGe(R(式中、nは0〜6である。);任意のハロゲン化物;任意の短鎖アミン(式中、RはCH、C、Cである。)であり;
は、−(CH−、−(CHSi(R、−(CHGe(R(式中、nは0〜6である。);任意のハロゲン化物;任意の短鎖アミン(式中、RはCH、C、Cである。)であり;
及びRは、任意のハロゲン化物;任意の短鎖アミン;CHO;−OCHCHO−、−OCHO−(式中、R及びRの前記置換基は、互いに共有結合して前記置換基の間に「環様」構造を形成してもよい。)であり;あるいはR及びR、又はR及びR、又はR,R;R及びR;並びにR及びR置換基のいずれの組み合わせも、共有的に結合してさらなる環様構造(単数又は複数)を形成してもよい。);あるいは
その薬学的に許容可能な塩、類似体、プロドラッグ、抱合体、水和物、溶媒和物、多形体及び/又は互変異性体。
限定するものではなく、一例として、本発明の新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンのこれら上述の類似体の種々の例を、下記にIUPAC名を付して説明する。
本発明の新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンの好ましい類似体としては、Rが−X−(低級アルキル)−Si(アルキル)又は−X−(低級アルキル)−Ge(アルキル)であり、かつ1又はそれ以上のA環部位が水素以外である類似体が挙げられるが、これらに限定されない。好ましいR部位としては、水素及び低級アルキレンが挙げられ、Rが低級アルキレンであるとき、好ましいR部位としては任意のシラン部位が挙げられる。この式は、天然に存在するカンプトテシンの種々の二置換又は三置換類似体を示す。骨格上の1又はそれ以上のケイ素又はゲルマニウム部位の存在は、類似体の高い親油性を増強し、ラクトンE−環を安定化する。本発明の好ましいラクトン安定なE−環含有カンプトテシンとしては、構造(II)4−エチル−4−ヒドロキシ−8,9−ジメトキシ−11−(2−(トリメチルシリル)エチル)−3H−ピラノ[2’,3’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−2,14−(4H,12H)−ジオン;及び構造(VIII)4−エチル−4−ヒドロキシ−8,9−ジフルオロ−11−トリメチルシリル−3H−ピラノ[2’,3’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−2,14−(4H,12H)−ジオンが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の新規なラクトン安定なE−環含有カンプトテシンのより好ましい類似体としては、構造(III)4R−エチル−4−ヒドロキシ−8,9−エチレンジオキシ−11−(2−(トリメチルシリル)エチル)−3H−ピラノ[2’,3’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−2,14−(4H,12H)−ジオン;構造(IV)4R−エチル−4−ヒドロキシ−8,9−エチレンジオキシ−10−(2−(トリメチルシリル)エチル)−3H−ピラノ[2’,3’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−2,14−(4H,12H)−ジオン;構造(V)4R−エチル−4−ヒドロキシ−8−フルオロ−9−メトキシ−11−(2−(トリメチルゲルマニル)エチル)−3H−ピラノ[2’,3’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−2,14−(4H,12H)−ジオン;構造(VII)4R−エチル−4−ヒドロキシ−8,9−ジフルオロ−11−(2−(トリメチルシリル)エチル)−3H−ピラノ[2’,3’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−2,14−(4H,12H)−ジオン;構造(IX)4R−エチル−4−ヒドロキシ−8,9−エチレンジオキシ−10−((トリメチルシリル)メチルチオ)−3H−ピラノ[2’,3’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−2,14−(4H,12H)−ジオン;及び構造(XI)4R−エチル−4−ヒドロキシ−8,9−ジメトキシ−11−(2−(ジメチルアミノ)エチル)−3H−ピラノ[2’,3’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−2,14−(4H,12H)−ジオンが挙げられるが、これらに限定されない。
最も好ましい類似体としては、Rが−(低級アルキル)−Si部位又は−(低級アルキル)−Ge部位であり、R乃至Rの1又は2つがアミノ、置換アミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、−カルボニル−低級アルキル−複素環、−低級アルキル−トリメチルシリル、−低級アルキル−トリメチルゲルマニウム又はアリールオキシである類似体が挙げられる。本発明の新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンの最も好ましい類似体としては、構造(I)4R−エチル−4−ヒドロキシ−11−(2−(トリメチルシリル)エチル)−3H−ピラノ[2’,3’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−2,14−(4H,12H)−ジオン;構造(VI)4R−エチル−4−ヒドロキシ−8,9−エチレンジオキシ−11−(2−(トルメチルゲルマニル)エチル)−3H−ピラノ[2’,3’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−2,14−(4H,12H)−ジオン;及び構造(X)4R−エチル−4−ヒドロキシ−8,9−ジメトキシ−11−((トリメチルシリル)メチルチオ)−3H−ピラノ[2’,3’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−2,14−(4H,12H)−ジオンが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンは、上記構造(I)〜(XII)に示されるように、A環及びB環上の同じ位置で誘導体化され得る。このような誘導体化は、(i)親油性の増大;(ii)安定性の増大;(iii)DNAとの相互作用の増大;などが挙げられるがこれらに限定されない、多くの目標のいずれかを達成するためになされ得る。A環及びB環のいくつかの側鎖は、米国特許第6、194,579号;同第5,935,967号;同第5,674,874号;同第5,633,260号;及び同第5,900,419号(これらの文献の全ては、言及することによりその全体が本明細書中に組み入れられる。)に開示され、そしてこれらの新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンに対する置換基に適している。
本発明のこれらの新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンを合成する方法を、下記スキーム1及びスキーム2に記載する。
「反転した」ラクトン安定なE−環含有カンプトテシンの実験的な合成手順の具体例
I.2−クロロ−3−メトキシピリジン(式2)
N、N−ジメチルホルムアミド(250mL)中に2−クロロ−3−ヒドロキシピリジン(25g;193mmol)を含む溶液に、ナトリウムメトキシド(11.5g;212mmol)を加えた。その混合物を室温で4時間攪拌し、ヨウ化メチル(24mL;386mmol)を混合物に加えた。得られた混合物をさらに16時間攪拌した。反応混合物を水でクエンチし、ジクロロメタンで抽出した。抽出物を合わせて水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、黄色油状の生成物(13g)を得た。前述の生成物2−クロロ−3−メトキシピリジン(2)は、さらに精製することなく、次の工程で用いた。
II.2,3−ジメトキシピリジン(式3)
工程Iで得られた前記2−クロロ−3−メトキシピリジン(2)(13g、90.6mmol)を3当量のナトリウムメトキシド(14.7g、271.8mmol)と一緒に、ジメチルホルムアミド(100mL)中で、反応が完了するまで、100℃で攪拌した。次いで、得られた反応混合物を水でクエンチし、ジクロロメタンで抽出した。抽出物を合わせて水で洗浄し、濃縮し、蒸留して(74℃;5mmHg)、透明な油状の生成物2,3−ジメトキシピリジン(3)を得た(7g;2工程に対して収率29%)。
H NMR(300MHz,CDCl)δ7.65(dd,1H,J=5.1Hz、J=1.5Hz)、6.96(dd,1H,J=7.5Hz,J=1.5Hz)、6.76(dd,1H,J=5.1Hz,J=7.7Hz)、3.95(s,3H)、3.80(s,3H)。
III.2,3−ジメトキシ−4−(1’−ヒドロキシプロピル)ピリジン(式4)
n−ブチルリチウム(38.7mL;テトラヒドロフラン(THF)中に10M)をTHF(600mL)に溶解し、−78℃で、THF(200mL)に2,3−ジメトキシピリジン(3)(22.4g;161mmol)を含む溶液に、管を用いて移した(カニュレートした)。その後、反応混合物を0℃に温め、1時間攪拌した。この混合物に、−78℃でプロピオンアルデヒド(29.1mL;403mmol)を滴下した。反応混合物を25℃に温め、16時間攪拌した。続いて、反応混合物を水でクエンチし、ジクロロメタンで抽出した。抽出物を合わせて硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、クロマトグラフィ(SiO;2〜10%酢酸エチル/ヘキサン)によって精製し、無色油状の生成物2,3−ジメトキシ−4−(1’−ヒドロキシプロピル)ピリジン(4)を得た(18.6g;59%)。
H NMR(300MHz、CDCl)δ7.85(d,1H,J=5.4Hz)、6.90(d,1H,J=4.8Hz)、4.92−4.85(m,1H)、4.00(s,3H)、3.86(s,3H)、1.77−1.70(m,2H)、0.95(t,3H,J=7.2Hz)。δ157.4、146.1、140.9、140.5、115.0、70.1、60.6、53.7、30.9、10.2。
1015NO の計算上の正確な質量(m/z,M):197.1056;実測値197.1037。
IV.1−(2,3−ジメトキシ−ピリジン−4−イル)−プロパン−1−オン(式5)
無水ジクロロメタン(300mL)中に2,3−ジメトキシ−4−(1’−ヒドロキシプロピル)ピリジン(4)(18.6g;94.4mmol)を含む溶液に、セライト(27g、乾燥機で乾燥された)及びクロロクロム酸ピリジニウム(26.46g;12.27mmol)を加えた。得られた混合物を室温で16時間攪拌した。次いで、混合物をセライト及びシリカゲルを含むパッドでろ過をした。濃縮し、13.8gの粗生成物1−(2,3−ジメトキシ−ピリジン−4−イル)−プロパン−1−オン(5)が得られた。この粗生成物はさらに精製することなく、次の合成工程に用いた。
H NMR(300MHz,CDCl)δ7.84(d,1H,J=5.1Hz)、6.88(d,1H,J=5.1Hz)、3.96(s,3H)、3.84(s,3H)、2.89(q,2H,J=14.4Hz,J=7.2Hz)、1.11(t,3H,J=7.2Hz)。
V.3−(2,3−ジメトキシ−ピリジン−4−イル)−3−ヒドロキシ−ペンタン酸tert−ブチルエステル(式6)
無水ジエチルエーテル(400mL)に亜鉛(23.1g;353.9mmol)を含む混合物に、トリメチルシリルクロライド(0.5mL)を加えた。混合物を室温で15分間攪拌し、還流した。得られた混合物に、ブロモ酢酸tert−ブチルエステル(56.5g、290.0mmol)を滴下して加え、反応を還流しながらさらに1時間続けた。次いで、混合物を室温まで冷却し、無水テトラヒドロフラン(300mL)に1−(2,3−ジメトキシ−ピリジン−4−イル)−プロパン−1−オン(13.8g;70.8mmol)を含む溶液に、管を用いて移した(カニュレートした)。反応を室温で16時間攪拌し、飽和塩化アンモニウム溶液でクエンチした。水層をジクロロメタンで抽出した。抽出物を合わせて硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、クロマトグラフィ(SiO;2〜10%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、生成物3−(2,3−ジメトキシ−ピリジン−4−イル)−3−ヒドロキシ−ペンタン酸tert−ブチルエステル(6)(16.0g)を得た。
H NMR(300MHz,CDCl)δ7.85(d,1H,J=5.4Hz)、7.15(d,1H,J=5.1Hz)、4.62(s,1H)、4.01(s,3H)、3.90(s,3H)、3.16(d,1H,J=15.3Hz)、2.73(d,1H,J=15.3Hz)、2.08−1.94(m,1H)、1.92−1.78(m,1H)、1.28(s,9H)、0.77(t,3H,J=7.5Hz)。δ172.4、157.6、145.9、140.0、116.4、81.8、75.0、60.1、53.5、44.9、33.0、27.9、7.9。
1625NONaの計算上の正確な質量(m/z,M+Na):334.162492、実測値334.163420。
VI.3−ヒドロキシ−3−(3−メトキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリジン−4−イル)−ペンタン酸tert−ブチルエステル(式7)
酢酸(10mL)中に3−(2,3−ジメトキシ−ピリジン−4−イル)−3−ヒドロキシ−ペンタン酸tert−ブチルエステル(6)(3.6g;11.56mmol)及びヨウ化カリウム(8g)を含む混合物を、60℃で16時間攪拌した。反応をTLCで確認したところ、終了していなかった。次いで、混合物を73℃で2日間加熱した。酢酸を減圧蒸留によって除去し、ジクロロメタン(50mL)を加えた。その後、溶液を飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。濃縮物をシリカゲルを用いるカラムクロマトグラフ(10〜50%酢酸エチル/ヘキサン)によって精製し、1.9gの白色固体のエステルである、3−ヒドロキシ−3−(3−メトキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリジン−4−イル)−ペンタン酸tert−ブチルエステル(7)を得た。
H NMR(300MHz,CDCl)δ7.10(d,1H,J=6.9Hz)、6.66(d,1H,J=7.2Hz)、4.68(s,1H)、4.02(s,3H)、3.21(d,1H,J=15.9Hz)、2.72(d,1H,J=15.9Hz)、2.04−1.90(m,1H)、1.88−1.78(m,1H)、1.35(s,9H)、0.82(t,3H,J=7.2Hz)。δ172.6、161.4、146.9、144.5、127.5、107.1、82.0、74.9、59.1、44.5、32.8、28.0、7.8。
1523NONaの計算上の正確な質量(m/z,M+Na):320.14684、実測値320.14556。
VII.2−クロロ−3−ヒドロキシメチルキノリン
150mLのメタノール中に2−クロロ−3−ホルミルキノリン(6g;21.3mmol)を含む溶液に水素化ホウ素ナトリウム(1.8g;46.97mmol)を加え、室温で16時間攪拌した。混合物からメタノールをロータリーエバポレーションによって除去した。残渣をクロロホルム中に再懸濁し、水で洗浄し、炭酸カリウムで乾燥した。シリカゲルパッドでろ過した後、白色固体として存在する生成物2−クロロ−3−ヒドロキシメチルキノリン(4.3g)を得た。生成物をさらに精製することなくに、次の合成工程で用いた。
H NMR(300MHz,CDCl)δ8.24(s,1H)、7.96(dd,1H,J1=8.4Hz、J2=0.6Hz)、7.78(d,1H,J=8.1Hz)、7.69−7.64(m,1H)、7.54−7.20(m,1H)、4.88(d,2H,J=1.2Hz)。
VIII.2−ヨード−3−ヨードメチルキノリン(式10)
アセトニトリル(200mL)中に2−クロロ−3−ヒドロキシメチルキノリン(粗生成物、4.3g)及びヨウ化ナトリウム(20g)を含む混合物に、クロロトリメチルシラン(16mL)を加えた。得られた混合物を6時間還流し、室温で2日間攪拌した。混合物を濃縮後、シリカゲルを用いるカラムクロマトグラフ(2〜5%酢酸エチル/ヘキサン)によって精製し、4.2gの黄色固体の2−ヨード−3−ヨードメチルキノリン(10)を得た。
H NMR(300MHz,CDCl)δ8.08(s,1H)、7.98(d,1H,J=8.4Hz)、7.71(d,1H,J=8.1Hz)、7.68−7.62(m,1H)、7.51(t,1H,J=6.9Hz)、4.60(s,2H)。δ148.6、135.9、135.7、130.9、128.8、127.9、127.7、127.5、124.4、9.5。
10NHの計算上の正確な質量(m/z,M+H):395.87407、実測値395.87441。
IX.3−[1−(2−ヨード−キノリン−3−イルメチル)−3−メトキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリジン−4−イル]−3−ヒドロキシ−ペンタン酸tert−ブチルエステル(式11)
無水1,2−ジメトキシエタン(15mL)に工程Vlで得られた3−ヒドロキシ−3−(3−メトキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリジン−4−イル)−ペンタン酸tert−ブチルエステル(7)(330mg;0.8355mmol)を含む溶液に、カリウムtert−ブトキシド(0.92mL;tert−ブチルアルコール中にM=1)を加えた。得られた白色懸濁液を室温で1時間攪拌した。次いで、キノリン誘導体である、2−ヨード−3−ヨードメチルキノリン(10)(248mg;0.8355mmol)を加えた。得られた混合物を90℃で16時間攪拌した。混合物を減圧下でほぼ乾燥するまで濃縮した後、残渣をジクロロメタン(20mL)に溶解し、水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。濃縮物をシリカゲルを用いるカラムクロマトグラフ(10〜50%酢酸エチル/ヘキサン)によって精製し、445mgの黄色固体のエステル(11)を得た。
H NMR(300MHz,CDCl)δ8.05(d,1H,J=7.5Hz)、7.74−7.52(m,4H)、7.18(d,1H,J=7.5Hz)、6.65(d,1H,J=7.5Hz)、5.40−5.25(m,2H)、4.65(s,1H)、4.04(s,3H)、3.25(d,1H,J=15.9Hz)、2.75(d,1H、J=15.9Hz)、2.04−1.92(m,1H)、1.90−178(m,1H)、1.38(s,9H)、0.86(t,3H,J=7.2Hz)。δ172.6、159.0、148.8、145.0、144.5、135.0、132.4、130.5、130.0、128.5、127.7、127.6、127.1,122.8、106.1、81.8、74.6、59.2、55.2、44.3、32.7、28.1、7.9。
2529INNaの計算上の正確な質量(m/z,M+Na):587.101339、実測値587.10016。
X.3−ヒドロキシ−3−(8−メトキシ−9−オキソ−9,11−ジヒドロ−インドリジノ[1,2−b]キノリン−7−イル)−ペンタン酸tert−ブチルエステル(式12)
乾燥機で乾燥させた高圧反応用フラスコに、エステル(11)(320mg;0.567mmol)、酢酸カリウム(139mg、1.42mmol)、及びビス(トリフェニルホスフィン)酢酸パラジウム(II)(21mg、0.03mmol)を加えた。無水アセトニトリル(7mL)をフラスコに加え、反応混合物を20分間アルゴンでバブリングした。フラスコを密閉し、100℃で16時間加熱した。次いで、反応を1N塩酸でクエンチし、反応混合物をジクロロメタンで抽出した。抽出物を合わせて硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。濃縮物をシリカゲルを用いるカラムクロマトグラフ(10〜50%酢酸エチル/ヘキサン)によって精製し、120mg(回収された85mgの出発物質を含み66%)の黄色固体の3−ヒドロキシ−3−(8−メトキシ−9−オキソ−9,11−ジヒドロ−インドリジノ[1,2−b]キノリン−7−イル)−ペンタン酸tert−ブチルエステル(12)を得た。
H NMR(300MHz,CDCl)δ8.33(s,1H)、8.21(d,1H,J=8.4Hz)、7.90(d,1H,J=8.1Hz)、7.80(t,1H,J=7.5Hz)、7.76(s,1H)、7.62(t,1H,J=7.5Hz)、5.28(s,2H)、4.80(s,1H)、4.15(s,3H)、3.32(d,1H,J=15.9Hz)、2.79(d,1H,J=15.9Hz)、2.12−1.98(m,1H)、1.92−178(m,1H)、1.34(s,9H)、0.86(t,3H,J=7.5Hz)。
質量(m/z,M+1)437.7。
XI.(R/S)−「反転した」E−環含有カンプトテシン(FCPT;本発明のカンプトテシンの包括的な構造式)
ジクロロメタン(5mL)中に3−ヒドロキシ−3−(8−メトキシ−9−オキソ−9,11−ジヒドロ−インドリジノ[1,2−b]キノリン−7−イル)−ペンタン酸tert−ブチルエステル(12)(100mg、0.229mmol)を含む溶液に、−78℃で三臭素化ホウ素(1.15mL、ジクロロメタン中においてM=1)を加えた。混合物を0℃で5時間攪拌し、氷水でクエンチした。得られた沈殿物をろ過し、5mLの水に懸濁させた。0.2N水酸化ナトリウム溶液を、懸濁液が均質になるまで加えた。次いで、2mLの過酸化水素(40%水溶液)を加え、溶液を16時間攪拌した。続いて、37%HCl溶液をpH値が1.0になるまで加えた。得られた沈殿物をろ過し、乾燥して30mgの中間体FCPT酸形を得た。上記中間体(19mg、0.052mmol)を無水N,N−ジメチルギ酸塩(N,N-dimethylformate)(2mL)に溶解した。4−ジメチルアミノピリジン(13mg、0.104mmol)及びジシクロヘキシルカルボジイミド(0.1mL、ジクロロメタン中にM=1)溶液を加えて、反応を2日間攪拌した。反応を0.1mLの酢酸でクエンチした。混合物を減圧下でほとんど乾燥するまで濃縮した後、残渣をシリカゲルを用いるカラムクロマトグラフ(10%メタノール/ジクロロメタン)によって精製し、10mgの黄色固体の(R/S)−FCPTを得た。
H NMR(300MHz,CDCl/CDOD)δ8.33(s,1H)、8.02(d,1H,J=8.4Hz)、7.83(d,1H,J=7.2Hz)、7.73−7.67(m,1H)、7.55−7.51(m,1H)、7.46(s,1H)、5.19(s,2H)、2.88(dd,2H,J=15.9Hz,J=20.4Hz)、1.73(q,2H)、0.86(t,3H,J=7.3Hz)。
質量(m/z,M+1)349.6。
同様に、本発明の新規なラクトン安定な「反転した」E−環ゲルマニウム含有カンプトテシンは、下記のスキーム3〜6に記載される合成プロトコルに従って調製されてもよい。
上記スキーム3では、ジオキソランゲルマニウム中間類似体の合成が説明されている。この中間体は、カンプトテシンの骨格上にゲルマニウム含有部位を置換する付加反応に使われる。合成は、好ましくは、マグネシウム懸濁液とハロゲン化反応体とを用いるグリニャール反応によってなされ、対応するハロゲン原子(このスキームでは、臭素として示されている)三置換ゲルマニウムへの所望の置換を達成する。グリニャール転位の反応の詳細はよく知られており、下記の例に記載されるが、本発明を限定するものではない。
上記スキーム4では、カンプトテシン骨格のC7位での、ゲルマニウム含有部位の置換が説明される。この置換の合成方法は、米国特許第5,910,491号などに開示されているものと類似する。最終生成物は、改変されたMinisciアルキル化を経て形成される。具体的には、カンプトテシンを取り込み、金属硫酸塩の存在下、硫酸及び強酸化剤(過酸化水素が最も好ましい)を穏やかに添加しながら、選択された中間体と反応させて、示されるようなゲルマニウム置換カンプトテシンが形成される。
本明細書及び以下に示される構造において、「X」は、全炭素数1〜6の炭化水素の架橋(bridge)(アルキレン、アルケニレン又はアルキニレン)を意味し、又はゲルマニウムがカンプトテシン骨格に直接結合するのが望ましい場合、「X」は結合であってもよい。使用される中間体の炭化水素鎖の長さを変えることで、Xの正確な長さを変えてもよい。カンプトテシン骨格に沿った別の位置での置換は、ゲルマニウム側鎖の付加の前又は後で付加されてもよい。
上記スキーム5では、ゲルマニウム含有カンプトテシンを作製する合成方法が説明される。このカンプトテシンでは、天然に存在するカンプトテシンのE−環とは対照的に、E−環が7又は8員環である。この方法は、スキーム2と同じではあるが、開始反応体が異なる。このスキームで作製される好ましい類似体は、Xが−CH−又は−CHCH−のものである。
上記スキーム6では、本発明の最も好ましいゲルマニウム含有の新規なラクトン安定な「反転した」カンプトテシン類似体:4R−エチル−4−ヒドロキシ−11−(2−(トリメチルゲルマニル)エチル)−3H−ピラノ[2’,3’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−2,14−(4H,12H)−ジオンを作製するために用いられる合成方法を説明する。このスキーム、及びスキーム2及び3における好ましい類似体について、R、R及びRは全てメチルであり、Xは−CHCH−である。
ゲルマニウム含有「反転した」ラクトン安定なE−環含有カンプトテシン
下記の具体的な例は、ゲルマニウム含有の新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン及びその類似体を作製するために用いられる合成方法を説明するが、本発明を限定するものではない。
A.(2−[1,3]ジオキソラン−2−イル−エチル)−トリメチルゲルマン
テトラヒドロフラン(THF)(10mL)のマグネシウム(0.37g)懸濁剤に、2−(2−ブロモエチル)−1,3−ジオキソラン(2.7g)を0℃において加えた。混合物を室温まで温めた。反応が開始した後、反応混合物を0〜5℃まで戻した。反応を0℃で2時間、室温で16時間続けた。反応を10mLの氷水でクエンチし、反応混合物をエーテルで抽出し(10mL×3回)、濃縮した。粗生成物をクーゲルロール装置中でバルブ・ツー・バルブ(bulb-to-bulb)蒸留し、透明油状の生成物(2−[1,3]ジオキソラン−2−イル−エチル)−トリメチルゲルマニウムを得た。
H NMR(300MHz,CDCl)δ4.76(1H,t,J=4.8Hz)、3.77−3.95(4H,m)、1.57−1.65(2H,m)、0.67−0.75(2H,m)、0.058(9H,s)。
B.7−(2’−トリメチルゲルマニル)「反転した」カンプトテシンの調製案
本発明の新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン(200mg)を水(10mL)及び酢酸(5mL)に懸濁させた懸濁剤に、FeSO・7HO(400mg)を加える。この混合物を室温で10分間攪拌する。(2−[1,3]ジオキソラン−2−イル−エチル)−トリメチル−ゲルマン(0.5mL)を加え、得られた混合物を0℃まで冷却する。次いで、濃硫酸(HSO)を滴下して加え、続いて30%H(0.3mL)を滴下する。溶液を、反応させながら室温で3時間攪拌した後、氷中に注ぐ。水相をクロロホルム(20mL×3回)で抽出する。次いで、有機抽出物を合わせて水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、シリカゲルでろ過し、ロータリーエバポレーションにより濃縮する。シリカゲルを用いるカラムクロマトグラフィ(溶出液として50%酢酸エチル/ヘキサン)によって精製して、生成物を得る。
処方物及び投与方法
新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン及びその様々な類似体の合成方法の開示に加えて、本発明は、前記の新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン及びその様々な類似体を有して利用してもよい薬学的処方物も開示及び特許請求する。これらの処方物は、本発明の新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンなどの高親油性類似体及びその様々な類似体の使用に有効である。前記カンプトテシン及びその様々な類似体は、7員E−環含有カンプトテシン対応物よりもさらに、親油性が高い(そして、前記カンプトテシンがシラン又はゲルマニル部位を有する場合、親油性はより一層高くなる。)。
限定されない例によって、本発明の新規な組成物及び処方物は下記の投与経路に適用される:(i)肝臓による初回代謝を回避する舌下投与による経口投与(例えば、錠剤、懸濁剤、液剤、ゼラチンカプセル(硬又は軟)、舌下剤、溶解性錠剤、トローチ等);(ii)注射(例えば、皮下(subcutaneous)投与、皮内投与、真皮下(subdermal)投与、筋内投与、デポー(depot)投与、静脈内投与、動脈内投与等)であって、例えば、注射による送達、非経口ボーラスを介する送達、緩慢な静脈内注射、及び点滴、及び輸液装置(例えば、埋込可能な能動型及び受動型輸液(注入)装置の両方)によって投与がなされてもよい;(iii)腔内(例えば、胸腔内、腹腔内、小胞内、及び/又は鞘内腔への);及び(iv)経直腸(例えば、坐剤、留置浣腸)投与経路。前記組成物及び処方物は、その有効成分として、本明細書に記載される前記の新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体を含む。
化学療法処方物の理想的な特性としては:(i)処置、軽減(緩和)、及び/又は進行の遅延、及び/又は新生物疾患の患者の生存の向上;(ii)許容可能な低レベルの化学療法に付随する副作用(そのような副作用による、関連する処置の中断、遅延又は変更);(iii)他の化学療法剤(併用して投与されてもよい)の抗腫瘍活性による干渉が無く、全体的に有害な薬物−薬物相互作用が無いこと;及び(iv)目的とする腫瘍反応速度の増加、腫瘍進行の時間もしくは腫瘍の一時的な回復持続時間の増加又は疾患の安定化、及び患者の生存の全体的な改善による、被験体に対する医学的利点における有効性が挙げられる。
A. 非経口処方物及び投与
本発明の様態は、本発明の新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン及び/又はその誘導体を含む制御された又は他の用量、剤形(投与形態)、処方物、組成物及び/又は装置を含み、限定はされないが、注射のための用量及び剤形、(例えば、皮下投与、真皮下投与、筋内投与、デポー投与、静脈内投与(ボーラスによる送達、緩慢な静脈内注射、点滴を含む)、及び輸液装置(埋込可能な能動型及び受動型輸液(注入)装置の両方を含む。)を含む。
本発明の化合物及び処方物の注射に適した投薬形態の例としては、静脈内注射、皮下、真皮下及び筋内投与による、ボーラスによる単回又は複数回の投与などの送達が挙げられる。これらの形態は、シリンジ、ペン、ジェット式注射器、及び内部又は外部ポンプを用いて注射されてもよく、例えば、針の無い「ジェット式注射器」もこの分野において公知であり、空気を圧縮した空気圧「ジェット」を用いて溶液の微細なスプレーを皮膚に注射する。例えば、薬学的剤形:非経口薬剤(Pharmaceutical Dosage Forms: Parenteral Medications)、第1巻、第2版、エイビス(Avis)ら(編)、マルセル デッカー, ニューヨーク,N.Y.(Mercel Dekker, New York, N.Y.)(1992)を参照のこと。
皮膚直下の組織に挿入されたカテーテルに柔軟なチューブによって接続された輸液ポンプも、この分野において公知である。カテーテルは、一度に数日間挿入されたままにされる。ポンプは、適切な時間に必要量の溶液を分注するようにプログラムされる。本発明の化合物及び処方物のための埋込可能な輸液(又は注入)装置の例としては、この活性剤が、生分解性ポリマー又はシリコーン、シリコーンゴム、シラスチック、もしくは同様のポリマー等の合成ポリマーの内部にカプセル化されているか又はその中に分散されている任意の固体状が挙げられる。
本発明の化合物及び処方物の送達に役立つ制御された薬物処方物の様々な例が以下に見られる。例えば、スウィートマン,S.C.(Sweetman, S. C.)(編)、マーティンデール.薬物参考文献完全版、第33版、ファーマシューティカル プレス、シカゴ(Martindale. The Complete Drug Reference, 33rd Edition, Pharmaceutical Press, Chicago)、2483頁(2002);オウルトン,M.E.(Aulton,M.E.)(編)、薬剤学.剤形設計の科学、チャーチヒル リビングストン、エジンバラ(Pharmaceutics. The Science of Dosage Form Design. Churchill Livingstone, Edinburgh)、734頁(2000);及びアンセル,H.C.(Ansel, H. C.)ら、薬学的投与形態及び薬物送達系、第7版、リッピンコット(Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, 7th Ed., Lippincott)、676頁(1999)。薬物送達系の形成において用いられる賦形剤は、当業者に公知の様々な出版物、例えば、キービ,E.H.(Kibbe, E. H.)、薬学的賦形剤ハンドブック、第3版、アメリカン ファーマシューティカル アソシエーション、ワシントン(Handbook of Pharmaceutical Excipients, 3rd Ed., American Pharmaceutical Association, Washington)、665頁(2000)などに記載されている。
本発明の剤形のさらなる例としては、限定はされないが、遅延型放出(DR)形態を含む改変放出(modified-release)(MR)投与形態;持続性作用(PA)形態;制御放出(controlled-release(CR))形態;拡張放出(extended-release(ER))形態;時間調節放出(timed-release(TR))形態;及び長時間作用性(LA)形態が挙げられる。たいてい、これらの用語は経口投与形態を記述するために使われるが、明細書に記載される任意の剤形、処方物、組成物及び/又は装置に適用してもよい。これらの処方物は、薬物投与後、しばらくの間、全薬剤放出の遅延、及び/又は投与後の断続的な少量ずつ(small aliquots)での薬物放出、及び/又は送達系に制御された一定量でのゆっくりとした薬物放出、及び/又は変化しない一定割合での薬物放出、及び/又は通常の処方物よりも顕著に長い期間にわたる薬物放出を達成する。
本発明の改変放出投与形態としては、時間、クール(又はコース)(course)、及び/又は位置に基づいた薬物放出特徴を有する投与形態(又は剤形)が挙げられる。この投与形態は、慣用の又は即時放出形態では得られない治療上又は便宜上の目的を達成するように設計されている。例えば、ボグナー,R.H.(Bogner, R. H.)、「拡張放出(extended-release)経口投与形態の生物学的利用能及び生物学的平衡」、ユナイテッド ステイツ ファーマシスト(Bioavailability and bioequivalence of extended-release oral dosage forms. U.S. Pharmacist)、22(増補):3−12(1997)を参照のこと。本発明の拡張放出(extended-release)投与形態(剤形)としては、例えば、米国食品医薬品局(FDA)によって定義されるように、溶液又は即時放出型投与形態などの慣用の剤形での投与頻度を低下させる投与形態(剤形)などを含む。
また、本発明は、非経口投与のための、本発明の新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン及び/又はその類似体を含む拡張放出(extended-release)処方物を想定する。注射後の、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体の、放出速度及びそれに続く薬理活性の拡大は、下記に挙げる多くの方法によって達成されてもよいが、これらに限定されない:長期の溶解特徴を有する結晶又は非結晶形態;カンプトテシン処方物がゆっくりと溶解する化学複合体;ゆっくりと吸収される担体又はベヒクル(例えば、油性として)における、新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体の液剤又は懸濁剤;懸濁剤中の前記カンプトシンの粒径増大;又は新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体のゆっくりと浸食するミクロスフェアの注射(例えば、フリース,W.(Friess, W.)ら、「タンパク質の延長された送達のための不溶コラーゲンマトリックス」、ファーマシューティカル デベロップメント アンド テクノロジー(Insoluble collagen matrices for prolonged delivery of proteins. Pharmaceut. Dev. Technol.) 1:185−193(1996)を参照のこと)。例えば、インシュリンの様々な形態の作用持続は、部分的に、その物理的形態(非結晶状又は結晶状)、添加された薬剤との錯体形成、及びその剤形(懸濁剤の液剤)に基づく。
担体又は賦形剤は、本発明の組成物及び処方物の投与を容易にするために使用することもできる。担体及び賦形剤の例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、ラクトース、グルコース又はスクロースなどの様々な糖、又はデンプン類、セルロース誘導体、ゼラチン、ポリエチレングリコール及び生理学的に適合可能な溶媒が挙げられる。適切な分散剤又は懸濁剤を薬学的処方物に加えることも望ましいといえる。前記分散剤又は懸濁剤としては、例えば、トラガカント、アカシア、アルギナート、デキストラン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、又はゼラチンなどの合成及び天然ガムなどの水性懸濁剤が挙げられる。
様々な他の成分を本発明の非経口薬学的処方物に使用することも可能である。このような添加成分としては、湿潤剤、油剤(例えば、ごま油、ピーナツ油又はオリーブ油などの植物油)、鎮痛剤、乳化剤、抗酸化剤、充填剤、張度改質剤、金属イオン、脂肪性ベヒクル、タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン、ゼラチン又はタンパク質)及び両性イオン(例えば、ベタイン、タウリン、アルギニン、グリシン、リシン、ヒスチジンなどのアミノ酸)が挙げられる。このような添加成分は、当然ながら、本発明の薬学的処方物の全体的な安定性に不利な影響を与るべきではない。
拡大した薬物作用を達成する前記手段に加えて、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体の送達速度及び持続期間は、例えば、機械的に制御された薬物輸液ポンプの使用によって制御されてもよい。本発明は、ある程度、輸液用量送達処方物及び装置を提供し、これらの処方物及び装置としては、本発明の組成物及び処方物送達用の埋込可能な輸液装置が挙げられるが、これらに限定されない。既に記載された生分解性ポリマー又はシラスチック、シリコーンゴムもしくはダウ・コーニング社製の他のポリマーなどの合成シリコーンなどの不活性物質が使用されてもよい。ポリマーは、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体並びに任意の賦形剤で満たされていてもよい。また、埋込可能な輸液(又は注入)装置は、医療用装置の膜(coating)又は部品で構成されてもよい。この医療用装置では、前記膜(coating)が、本発明の新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体並びに任意の賦形剤で満たされたポリマーで構成されている。このような埋込可能な輸液装置は、例えば、米国特許第6,309,380号に開示されているように、装置を、所望の投与量の前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体並びに任意の賦形剤で構成された溶液を用いて、インビボ(in vivo)で生体適合性及び生分解性又は生体吸収性又は生体腐食性溶液又はゲル溶液でコーティングすることによって調製されてもよい。前記溶液を前記医療装置に付着するフィルムにすることで、新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンを送達可能であり、埋込可能な医療用装置が形成される。
埋込可能な輸液装置は、その全体が本明細書中に組み入れられている米国特許第6,120,789号に開示されているように、新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンを含有する固形マトリックスのその場での(in situ)形成によって調製されてもよい。埋込可能な輸液装置は受動型であっても能動型であってもよい。埋込可能な能動型輸液装置は以下で構成されてもよい:
(i)新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンリザーバ;(ii)前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン及び/又はその誘導体を前記リザーバから(例えば、半透膜を通過させて)流出させる手段;及び(iii)前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン及び/又はその誘導体を前記リザーバから推進させるための「駆動力」。このような埋込可能な能動型輸液装置は、例えば、WO 02/45779に開示されるように、さらに外部信号によって作動させてもよい。ここで、埋込可能な輸液装置は、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体を送達するために構成されたシステムを含み、この輸液装置は、埋込可能な輸液装置を作動させたい使用者によって、操作可能な外部作動ユニットを含み、この外部作動ユニットは、閉鎖間隔が終わる前にそのような要求を拒絶するコントローラを含む装置が開示される。埋込可能な能動型輸液装置の例としては、埋込式(埋込可能な)薬物ポンプが挙げられる。埋込式薬物ポンプとしては、例えば、目標とする器官系、通常、脊髄又は管に挿入される付属のカテーテルを有する、小型でコンピュータ化されたプログラム可能で詰め替え可能な薬物送達系が挙げられる。例えば、メドトロニック インク パブリケーションズ(Medtronic Inc. Publications):UC9603124EN NP−2687、1997;UC199503941b EN NP−2347 182577−101、2000;UC199801017a EN NP3273a 182600−101、2000;UC200002512 EN NP4050、2000;UC199900546bEN NP−3678EN、2000. ミネアポリス,MN(Minneapolis, MN):メドトロニック,インク(Medtronic, Inc)(1997−2000)を参照のこと。ポンプには、たいてい2つの引き込み口があり、その一方へ薬物が注入され、そして、他方は、ボーラス投与又はカテーテルからの液体分析のために、カテーテルに直接接続されている。埋込式薬物輸液ポンプ(例えば、シンクロメドEL(SynchroMed EL)及びシンクロメドプログラマブルポンプ(SynchroMed Programmable Pumps);メドトロニック(Medtronic)製)は、慢性難治性疼痛治療のためのモルヒネ硫酸塩の長期の鞘内輸液;原発性又は転位性癌治療のためのフロクスウリジンの血管内への輸液;重篤な痙縮のための鞘内注射(例えば、バクロフェン注射);慢性難治性疼痛治療のためのモルヒネ硫酸塩の長期の硬膜外輸液;転位性癌治療のためのドキソルビシン、シスプラチン又はメトトレキサートの長期の血管内への輸液;及び骨髄炎治療のためのクリンダマイシンの長期の静脈内への輸液などに必要とされる。このようなポンプは、新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体の長期にわたる輸液にも、所望の濃度における所望の投与回数又は定常投与のいずれかの場合で使用されてもよい。典型的な埋込式薬物輸液ポンプの1種としては(例えば、シンクロメドELプログラマブルポンプ(SynchroMed EL Programmable Pump);メドトロニック(Medtronic)製)、チタンで覆われ、概円盤状(測定において、直径85.2mm、厚み22.86mm、及び全重量185グラム)であり、全液容量(全液量)が10mLの薬物リザーバを有し、リチウム−塩化チオニル電池で作動し、使用量によるが、使用可能年数が6〜7年であるポンプがある。ダウンロード可能なメモリは、プログラムされた薬物送達パラメータ及び算出された薬物残存量を含み、この薬物残存量を実際の薬物残存量と比較することでポンプ機能の正確性にアクセスできるが、長時間にわたる実際のポンプ機能は記録されない。ポンプは、通常、腹壁の右側又は左側に埋め込まれる。本発明において有用な他のポンプとしては、例えば、携帯用使い捨て輸液ポンプ(PDIP)が挙げられる。また、埋込可能な輸液装置は、様々なリン脂質、例えば、コレステロール、ステアリルアミン又はホスファチジルコリンなどから形成され得る小単層小胞(気胞)、大単層小胞(気胞)、及び多層小胞(気胞)などのリポソーム送達系を利用してもよい。
本発明は、ある程度だが、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体の生物学的利用能を高めるために処方された用量送達処方物及び装置も提供する。この処方物及び装置は、上述の任意の処方物又は装置に加えて又は組み合わせて用いてもよい。前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体の生物学的利用能の増加は、前記新規なカンプトテシンが1種又はそれ以上の生物学的利用能又は吸収増強剤と錯体化することによってか又は生物学的利用能又は吸収増強処方物において達成され得る。
本発明は、ある程度だが、生物学的利用能を高めるための、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体のマイクロエマルジョンも規定する。マイクロエマルジョンは、下記の4つの主な成分を含む流体でかつ安定した均一な溶液である:(i)親水性相;(ii)親油性相;(iii)少なくとも1つの界面活性剤(SA)及び(iv)少なくとも1つの共界面活性剤(CoSA)。界面活性剤は2つの基を有する化合物であり、第1の基は極性又はイオン性であり、水に対する親和性が大きく、そして、第2の基は長鎖又は短鎖の脂肪族鎖を含み、かつ疎水性である。著しく親水性の特性を有するこれらの化合物は、水性又は油性溶液中でミセル形成を生じることを意図する。適切な界面活性剤の例としては、モノ、ジ及びトリグリセリド並びにポリエチレングリコール(PEG)モノ及びジエステルが挙げられる。「共表面活性剤」としても知られる共界面活性剤は、疎水性の特徴を有する化合物であり、マイクロエマルジョン中で水相及び油相の相互可溶化を生じることを意図する。適切な共界面活性剤の例としては、エチルジグリコール、プロピレングリコールのラウリル酸エステル、ポリグリセロールのオレイン酸エステル、及びそれに関連した化合物が挙げられる。
本発明の好ましい処方物において、前記HLCDはC7−置換カンプトテシン類似体であり;最も好ましいHLCDとしては、限定はされないが、シリル側鎖を有する新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン又はゲルマニウム含有側鎖を有する新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンが挙げられる。
好ましい溶媒としては、N−メチルピロリジノン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMA)、及び/又はジメチルイソソルビド(DMI);又は、共溶媒として利用される、前記溶媒の2つ以上の組み合わせが挙げられる。最も好ましい溶媒はNMP、共溶媒としてのNMP及びDMAの組み合わせ、又は主な共溶媒としてのDMAである。
好ましい界面活性剤としては、限定はされないが、ポリソルベートが挙げられ;最も好ましい界面活性剤はポリソルベート80である。好ましいアルコールとしては、限定はされないが、エチルアルコール及びベンジルアルコール挙げられ;最も好ましいアルコールは変性エチルアルコールである。好ましい低分子量ポリエチレングリコール(PEG)としては、限定はされないが、PEG100、PEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG800が挙げられ;最も好ましいPEGはPEG300である。
本発明の好ましい実施形態は、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体が、薬学的に許容可能な酸の存在下、N−メチルピロリジノン(NMP)、又はジメチルイソソルビド(DMI)及び/又はジメチルアセトアミド(DMA)単独又はその組み合わせに溶解されている処方物である。特許請求された本発明のさらなる実施形態において、前記薬学的に許容可能な酸は有機カルボン酸であり、最も好ましくは、クエン酸である。特許請求された本発明の別の実施形態において、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体の溶液は、その溶液1mLあたり約0.1mg〜約100mgの前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体を含有する。この濃度は前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体の経口及び非経口投与両方において有効である。
前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン溶液は、所望の成分をN−メチルピロリジノン(NMP)、ジメチルイソソルビド(DMI)及び/又はジメチルアセトアミド(DMA)に溶解して調製される。ジメチルイソソルビドは、筋肉弛緩剤(例えば、米国特許第3,699,230号を参照のこと)、テトラサイクリン(米国特許第3,219,529号)、アスピリン(米国特許第4,228,162号)、及びステロイド(米国特許第4,082,881号)の溶媒として使われている。NMP、DMI、及びDMAは非常に良好な高い毒性プロファイルを有し、エタノール、プロピレングリコール、ミリスチン酸イソプロピル、水、ジエチルエーテル、コーン油、アセトン、綿実油などと混和する。
本発明は、所望の成分をNMP、DMI及び/又はDMAに溶解して、得られた溶液をろ過し、ろ液を回収することによって調製される。本発明の溶液に含まれる前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンの量は、特に制限されないが、薬学的な目的に便利な任意の量であればよく、調製される投与量に応じて選択されてもよい。好ましいカプセル充填溶液は、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体を、総用量が約0.1mg/m〜100mg/mになるように、十分な濃度で含有する。
特許請求された本発明の好ましい実施形態として、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン溶液は、薬学的に許容可能な酸の存在下、所望の成分をN−メチルピロリジノン(NMP)、ジメチルイソソルビド(DMI)及び/又はジメチルアセトアミド(DMA)に溶解して調製される。既に定義されたように、薬学的に許容可能な酸は本発明の溶液に含まれる。任意の薬学的に許容可能な酸が使用されてもよく;例えば、塩酸等の無機酸;及び、酒石酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸又はマレイン酸等の有機カルボン酸が使用されてもよい。有機カルボン酸が好ましく、リン酸と同様にクエン酸が最も好ましい。使用される酸の量は、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体1重量部あたり、約0.005〜約0.5重量部、好ましくは約0.01〜0.3重量部であってもよい。クエン酸は、タウロコール酸又はその薬学的に許容可能な塩の存在下で、好ましくは、約0.05〜約0.1、及び約0.1重量部の割合で使用される。
本発明が提供する処方物において、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体は、ともに可溶性であり、かつその活性な「閉環」ラクトン安定形が維持される。「閉環」ラクトン(すなわち、活性)から「開環」カルボキシラート形(すなわち、不活性)へのpH不安定なE−環の非酵素変換は、酸性pH条件(<5.0)下で、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンの形成によって低減される。従って、水溶性の酸は、希釈条件下でのミセル溶液を形成において、酸性pH値を維持することができるので含有される。本発明において有効な固体水溶性有機カルボン酸の好ましい例としては、限定はされないが、クエン酸、グルコン酸、マレイン酸、酒石酸、又はアスコルビン酸が挙げられる。他の酸を使用してもよいが、クエン酸及びリン酸が最も好ましい。
本発明の一実施形態は、癌患者に、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンを投与する方法であって、一定量の前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体を、ある期間にわたって所定の間隔で繰り返し注入することを含む方法である。
本発明の他の実施形態において、総用量約0.1mg/m〜約100mg/mの前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体を含む処方物の投与が開示される。好ましい実施形態において、前記カンプトテシンは、薬学的に許容可能な酸の存在下、1種又はそれ以上の溶媒に溶解される。前記溶媒としては、限定はされないが、N−メチルピロリジノン、ジメチルイソソルビド、又はジメチルアセトアミドが挙げられる。
一実施形態において、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体を総用量約0.1mg/m〜約100mg/mで含有し、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン類似体、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体の1重量部あたり、約0.01〜約0.9重量部の薬学的に許容可能な有機カルボン酸を含有する処方物が開示される。最も好ましい実施形態において、薬学的に許容可能な有機カルボン酸はクエン酸である。
本発明の一実施形態において、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン類似体、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体の約0.05〜約0.1重量部である、薬学的に許容可能な有機カルボン酸を含有する処方物が開示される。
一実施形態において、タウロコール酸、又はその薬学的に許容可能な塩、及びポリエチレングリコールをさらに含有する処方物が開示される。
他の実施形態において、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体の1重量部あたり、約1〜約10重量部のN−メチルピロリジノン、ジメチルイソソルビド又はジメチルアセトアミド、約0.005〜約0.5重量部のクエン酸、約1〜約10重量部のタウロコール酸又はその薬学的に許容可能な塩及び約1〜約10重量部のポリエチレングリコールを含む処方物が開示される。
他の実施形態において、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体の1重量部あたり、約1〜約10重量部のN−メチルピロリジノン、ジメチルイソソルビド又はジメチルアセトアミド、約0.005〜約0.5重量部の薬学的に許容可能な有機カルボン酸、約1〜約10重量部のタウロコール酸又はその薬学的に許容可能な塩、約1〜約10重量部のポリエチレングリコール、約0.1〜約2重量部のグリセリン、約0.1〜約2重量部のエタノール、及び約0.005〜約0.5部の緩衝剤を含む処方物が開示される。好ましい実施形態において、薬学的に許容可能な有機カルボン酸はクエン酸であり、ポリエチレングリコールは分子量約300である。
他の実施形態において、約0.1〜約0.5重量部の薬学的に許容可能な有機カルボン酸の存在下、約1〜約10重量部のN−メチルピロリジノン、ジメチルイソソルビド又はジメチルアセトアミドに、総用量約0.1mg/m〜約100mg/mの前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン類似体、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体が溶解された処方物であって、前記組成物が、さらに約5〜約9重量部のポリエチレングリコール、約0.1〜約2.0重量部の薬学的に許容可能なアルコール、及び約1〜約10重量部の非イオン界面活性剤を含む処方物が開示される。好ましい実施形態において、薬学的に許容可能な有機酸はクエン酸又はリン酸であり、ポリエチレングリコールは分子量約300であり、低級アルコールはエタノールであり、そして界面活性剤はポリソルベート−80又はポロクサマーPF−127である。
本発明の他の実施形態において、癌患者に、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体を注入する方法であって、薬学的に許容可能な酸の存在下、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体が、N−メチルピロリジノン(NMP)に溶解され、薬学的に許容可能な酸の存在下、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体が、ジメチルイソソルビド(DMI)に溶解され、薬学的に許容可能な酸の存在下、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体は、ジメチルアセトアミド(DMA)に溶解される方法が開示される。本発明の目的は、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンがNMP、DMI及び/又はDMA含有溶液に溶解された溶液を提供することである。前記溶液は、有用で実用的な、前記薬物を溶解する手段を提供する非経口での使用のため処方されてもよいし、経口ゼラチンカプセル又は直腸用坐剤用の充填溶液として有用な濃縮溶液として処方されてもよいということは留意されるべきである。
本発明の好ましい実施形態は、十分な濃度の前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンを含有するN−メチルピロリジノン(NMP)、ジメチルイソソルビド及び/又はジメチルアセトアミドに溶解された前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン溶液を含み、総投与約0.1mg/m〜約100mg/mを提供する処方物であって、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン1重量部あたり、約0.01〜約0.9重量部の薬学的に許容可能な有機カルボン酸を含む。本発明者らは、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン1重量部あたり、約0.01〜約0.2重量部の薬学的に許容可能な有機カルボン酸を使用することを好む。
本発明のさらなる実施形態において、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン1重量部あたり、前記薬学的に許容可能な有機カルボン酸の重量部は約0.05〜約0.1重量部であり、その酸はクエン酸である。
本発明の他の実施形態は、薬学的に許容可能な酸の存在下、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンが、N−メチルピロリジノン、ジメチルイソソルビド及び/又はジメチルアセトアミドに溶解された溶液を含む処方物であって、その溶液が、さらにタウロコール酸又はその薬学的に許容可能な塩、及びポリエチレングリコールを含む処方物である。
本発明のさらに他の実施形態において、処方物の溶液は、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン1重量部に対して、約1〜約10重量部のN−メチルピロリジノン、ジメチルイソソルビド及び/又はジメチルアセトアミド、約0.005〜約0.5重量部の薬学的に許容可能な酸、約1〜約10重量部のタウロコール酸又はその薬学的に許容可能な塩、及び約1〜約10重量部のポリエチレングリコールを含む。さらなる実施形態において、酸は有機カルボン酸であり、最も好ましくは、クエン酸又はリン酸である。
特許請求された発明の他の実施形態は、さらに低級アルコールを含む処方物である。多くの様々なアルコールが、本発明において有効であるが、最も好ましくはエタノールである。特許請求された発明の他の実施形態は、さらにグリセリンを共溶媒として含む処方物である。
本発明のさらに他の実施形態は、薬学的に許容可能な酸存在下、前期新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンが、N−メチルピロリジノン、ジメチルイソソルビド及び/又はジメチルアセトアミドに溶解された溶液を含む処方物であって、前記溶液が、さらにタウロコール酸又はその薬学的に許容可能な塩、ポリエチレングリコール、エタノール、グリセリン、及び酸性pHを維持するために酢酸ナトリウムなどの緩衝剤を含む処方物である。
本発明のさらなる実施形態において、溶液は、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンの1重量部あたり、約1〜約10重量部のN−メチルピロリジノン、ジメチルイソソルビド及び/又はジメチルアセトアミド、約0.005〜約0.5重量部の薬学的に許容可能な酸、約1〜約10重量部のタウロコール酸又はその薬学的に許容可能な塩、約1〜約10重量部のポリエチレングリコール、約0.1〜約2重量部のグリセリン、約0.1〜約2重量部のエタノール、及び約0.005〜約0.5部の緩衝剤を含む。
本発明の他の実施形態において、ポリエチレングリコールは分子量約300であり、そして処方物は、さらに非イオン界面活性剤を含む。多くの異なる界面活性剤は本発明において有効であり、ポロクサマーPF−127が最も好ましい。
本発明のさらに他の実施形態は、薬学的に許容可能な酸の存在下、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンが、ジメチルイソソルビド又はジメチルアセトアミドに溶解された溶液を含む処方物であって、前記溶液が、さらに低級アルコール、ポリエチレングリコール及び界面活性剤を含む処方物である。この処方物のより好ましい実施形態として、薬学的に許容可能な有機酸はクエン酸であり、ポリエチレングリコールは分子量が約300であり、低級アルコールはエタノールであり、そして界面活性剤はポリソルベート−80である。
本発明のさらに他の実施形態は、約0.1〜0.5重量部の薬学的に許容可能な有機カルボン酸の存在下、約1〜約10重量部のN−メチルピロリジノン、ジメチルイソソルビド及び/又はジメチルアセトアミドに溶解された前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンを総用量約0.1mg/m〜約100mg/mを提供する溶液を含む処方物である。この処方物は、さらに約5〜約9重量部のポリエチレングリコール、約0.1〜約2.0重量部の薬学的に許容可能なアルコール、及び約1〜約10重量部の非イオン界面活性剤を含む。前記処方物についてより好ましくは、酸がクエン酸であり、ポリエチレングリコールが分子量約300であり、アルコールがエタノールであり、そして界面活性剤がポリソルベート−80である。
本発明の他の実施形態は、約0.1〜約0.5重量部の薬学的に許容可能な有機カルボン酸の存在下、約1〜約10重量部のN−メチルピロリジノン、ジメチルイソソルビド及び/又はジメチルアセトアミドに溶解された前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンを総用量約0.1mg/m〜約100mg/mを提供する溶液を含む処方物である。この溶液は、さらに約0.1〜約2.0重量部の薬学的に許容可能なアルコール、及び約1〜約10重量部の非イオン界面活性剤を含む。より具体的には、この処方物において、酸はクエン酸又はリン酸であり、アルコールはエタノールであり、そして非イオン界面活性剤はポリオキシエチル化ヒマシ油で構成されている。
本発明の他の実施形態は、約1〜約10重量部のN−メチルピロリジノン、ジメチルイソソルビド及び/又はジメチルアセトアミドに溶解された前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンを総用量約0.1mg/m〜約100mg/mを提供する溶液を含む処方物であって、この溶液が、さらに約1〜約10重量部のポリオキシエチル化ヒマシ油、約0.1〜約2重量部の脱水エチルアルコールUSP、及び約0.1〜約0.9重量部のクエン酸を含む処方物である。
好ましい非経口処方物において、全体的にpH約3〜4の酸性化媒体に、脱水エチルアルコールを0.1〜2.0重量部、ベンジルアルコールを0.1〜2.0重量部、クエン酸を0.1〜0.9重量部、ポリエチレングリコール(分子量200〜300)を4〜10重量部、ポリソルベート−80(Tween 80)を1〜10部、及びジメチルイソソルビドを1〜10重量部含むベヒクルの1〜2mLあたり、1部の前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体の滅菌した非水性溶液を作製することによって、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンは、臨床上の使用に適切な方法において可溶化される。
他の好ましい非経口処方物は、2mLの非水溶媒あたり、総用量約0.1mg/m〜100mg/mの前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体を提供する非経口投与前の希釈のために処方された前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンであって、前記非水溶媒は、限定されないが、1〜10重量部のクレマホルEL(Cremaphor EL)(商標)(ポリオキシエチル化ヒマシ油)、0.1〜2重量部の脱水エチルアルコールUSP、1〜10重量部のジメチルイソソルビド、及び最終pHを約3〜4に調製するための、0.1〜0.9重量部のクエン酸を含む。
本発明の一実施形態は、癌患者に、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体を投与する方法であって、約0.1mg/m〜約100mg/mの前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンを注入することを含み、患者の状態及び前記患者の癌の種類又は癌の影響に応じて、選択された用量を、約24時間にわたって少なくとも1回、及び少なくとも連続した2日間の間繰り返して投与する方法である。
本発明のさらに他の実施形態において、癌患者に、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体を投与する方法であって、21〜28日ごとに、約24〜120時間の間にわたって、約0.1mg/m〜約100mg/mの前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体を連続的に注入することを含む方法が開示される。
一実施形態において、以前に治療を受けていない癌患者に、前記新規なラクトン安定な「反転した」カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体を含む処方物を投与する方法であって、連続した3週間の間、1週間に1回、各3週間サイクル後に2週間の休止を挟んで、約1mg/m〜約100mg/mの前記組成物を約120分間の間にわたって注入することを含む方法であって、前記組成物は、癌患者への経口、胸腔内、鞘内、槽内、小胞内、腹腔内、局所又は非経口投与のため、滅菌及び調製される方法が開示される。
一実施形態において、以前に治療を受けていない癌患者に、前記新規なラクトン安定な「反転した」カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体を含む処方物を投与する方法であって、連続した3週間の間、1週間に1回、各3週間サイクル後に2週間の休止を挟んで、約0.1mg/m〜約75mg/mの前記組成物を約120分間の間にわたって注入することを含む方法であって、前記組成物が、癌患者への経口、胸腔内、鞘内、槽内、小胞内、腹腔内、局所又は非経口投与のため、滅菌及び調製される方法が開示される。
一実施形態において、以前に治療を受けていない癌患者に、前記新規なラクトン安定な「反転した」カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体を含む処方物を投与する方法であって、連続した3週間の間、1週間に1回、各3週間サイクル後に2週間の休止を挟んで、約0.1mg/m〜約50mg/mの前記組成物を約120分間の間にわたって注入することを含む方法であって、前記組成物が、癌患者への経口、胸腔内、鞘内、槽内、小胞内、腹腔内、局所又は非経口投与のため、滅菌及び調製される方法が開示される。
一実施形態において、癌患者に、前記新規なラクトン安定な「反転した」カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体を含む処方物を非経口投与する方法であって、21〜28日ごとに、約120分間の間にわたって、約0.1mg/m〜約100mg/mの前記組成物を注入することからなる方法が開示される。
一実施形態において、癌患者に、前記新規なラクトン安定な「反転した」カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体を含む処方物を非経口投与する方法であって、21〜28日ごとに、約120分間の間にわたって、約0.1mg/m〜約75mg/mの前記組成物を注入することからなる方法が開示される。
一実施形態において、癌患者に、前記新規なラクトン安定な「反転した」カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体を含む処方物を非経口投与する方法であって、21〜28日ごとに、連続した3日間の間約120分間の間にわたって、約0.1mg/m〜約50mg/mの前記組成物を注入することからなる方法が開示される。
本発明の一実施形態において、被験体の癌を処置するために、前記方法は実施される。他の実施形態において、被験体は癌に罹患したヒトであり、癌としては、限定はされない例として、卵巣、胸部、肺、食道、膀胱、胃、膵臓、肝臓、精巣、頭部、頸部、口腔粘膜、結腸直腸、肛門、腎臓、膀胱、尿路上皮(urocpithelium)、リンパ腫、中枢神経系、前立腺、子宮内膜、子宮、卵管、中皮腫、末梢神経系、黒色腫、骨髄腫、白血病、及びカポージ肉腫の1種又はそれ以上の癌が挙げられる。処置される腫瘍の部位及び種類は共に、多くの場合、好ましい投与経路及び適用される治療レジメン(regimen)に影響を与えることは留意されるべきである。その結果、本発明の開示された処方物は、最も一般的に、静脈内注射又は注入によって投与されてもよいが、腫瘍部位に直接送達することもできるし又は薬物を腫瘍部位に直接向けるように設計された他の方法によって送達することもできる。例えば、悪性胸水患者には、胸腔内経路が好ましく;静脈アクセスの少ない患者には皮下投与経路が好ましく;脳又は神経系の原発性又は転位性癌患者には、槽内又は鞘内投与経路が最も有利であり;癌に次いで悪性腹水に罹患した患者には、腹腔内投与を選択してもよく;及び膀胱癌患者には、直接小胞内点滴注入が最も有利といえる。同様に、皮膚の腫瘍においては、処方物は、局所的に適用されてもよい。経口処方物も、また、適切な使用に提供される。
従って、本発明のさらなる実施形態は、薬学的に許容可能な酸の存在下で、N−メチルピロリジノン、ジメチルイソソルビド及び/又はジメチルアセトアミドに溶解された前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンを含む溶液であり、そしてこの溶液は、癌患者への経口、胸腔内、鞘内、皮下、槽内、小胞内、腹腔内、局所又は非経口投与のために滅菌及び調製される。
本発明の開示された処方物は、集中治療(convergent therapy)の方法において、1種又はそれ以上の他の化学療法剤と共に使われてもよく、その際に、追加された薬物は、特許請求された組成物と共に同時投与される。従って、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンは、多くの他の化学療法剤と同時投与されてもよい。他の化学療法剤としては、限定されないが、;フルロピリミジン;ピリミジンヌクレオシド;プリンヌクレオシド;葉酸拮抗剤、白金類似体;アントラサイクリン/アントラセンジオン;エピポドフィロトキシン(epipodopodophyllotoxin);カンプトテシン;ホルモン、ホルモン類似体;抗ホルモン(antihormonal);酵素、タンパク質、ペプチド、又は抗体;ビンカアルカロイド;タキサン;エポチロン;抗微小管剤;アルキル化剤;代謝拮抗物質;トポイソメラーゼ阻害剤;抗ウイルス薬;又は細胞増殖抑制剤を含む。フルロピリミジンとしては、例えば、5−フルオロウラシル[5−FU]、S−1カペシタビン、フトラフール、5’デオキシフルロウリジン、UFT、エニルウラシル等が含まれる。ピリミジンヌクレオシドとしては、例えば、シタラビン、デオキシシチジン、5−アザシトシン、ゲムシタビン、5−アザデオキシシチジン等が含まれる。プリンヌクレオシドとしては、例えば、フルダラビン、6−メルカプトプリン、チオグアニン、アロプリノール、クラドリビン、2−クロロアデノジンが含まれる。葉酸拮抗剤としては、例えば、メトトレキサート(MTX)、トリメトレキサート、アミノプテリン、及びメチレン−10−デアゼアアミノプテリン(MDAM)が含まれる。白金類似体としては、例えば、シスプラチン、カルボプラチン、オキサプラチン、ピコプラチン、テトラプラチン、白金−DACH及びその類似体が含まれる。アントラサイクリン/アントラセンジオンとしては、例えば、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、及びイダルビシンが含まれる。エピポドフィロトキシン誘導体としては、例えば、エトポシド、リン酸エトポシド及びテニポシドが含まれる。カンプトテシンとしては、例えば、イリノテカン、トポテカン、9−アミノカンプトテシン、10,11−メチレンジオキシカンプトテシン、カレニテシン、9−ニトロカントテシン(9-nitrocamtothecin)、及びTAS 103が含まれる。ホルモン及びホルモン類似体としては、例えば、アナストラゾール、ジエチルスチルベストロール(diethylstilbesterol)、エストラジオール、プレマリン、ラロキシフェンを含むエストロゲン及びエストロゲン類似体;プロゲステロン、ノルエチルドレル、エチステロン(esthisterone)、ジメスチステロン、酢酸メゲステロール(megestrol acetate)、酢酸メドロキシプロゲステロン(medroxyprogesterone acetate)、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、及びノルエチステロンを含むプロゲステロン、プロゲステロン類似体及びプロゲスチン;フルオキシメステロン、メチルテストステロン及びテストステロンを含むアンドロゲン;デキサメタゾン(dexamthasone)を含む副腎皮質ステロイドが含まれる。抗ホルモン(antihormonal)としては、例えば、タモキシフェン、フルベストラント、トレミフェンを含む抗エストロゲン剤;アミノグルテチミド、テストラクトン、ドロロキシフェン、アナストロゾール;ビカルタミド、フルタミド、ニルタミド、ゴセレリンを含む抗アンドロゲン剤;フルタミド、ロイプロリド、トリプトレリンを含む抗テストロゲン剤;アミノグルテチミド及びミトタンを含む副腎ステロイド阻害剤;及びゴセレリンを含む抗卵黄剤(anti-leuteinizing)を含む。酵素、タンパク質、ペプチド及び抗体としては、例えば、アスパラギナーゼ、セツキシマブ、エルロチニブ、ベバシズマブ、リツキシマブ、ゲフィチニブ、トラスツズマブ、インターロイキン、インターフェロン、ロイプロリド、peg−アスパラナーゼ(pegasparanase)等が含まれる。ビンカアルカロイドとしては、例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンデシン等を含む。タキサンとしては、例えば、パクリタキセル、ドセタキセル、及びその処方物及びその類似体を含む。アルキル化剤としては、例えば、ダカルバジン;プロカルバジン;テモゾラミド;チオテパ;ナイトロジェンマスタード(例えば、メクロレタミン、クロラムブシル、L−フェニルアラニンマスタード、メルフェランなど);オキサザホスホリン(例えば、イホスファミド、シクロホスファミド、メホスファミド(mefosphamide)、ペルホスファミド、トロホスファミドなどを含む);アルキル硫酸塩(例えば、ブスルファン);及びニトロソウレア(例えば、カルムスチン、ロムスチン、セムスチン等)を含む。エポチロンとしては、例えば、エポチロンA−Eを含む。代謝拮抗物質としては、例えば、トミュデックス及びメトトレキサート、6−メルカプトプリン、6−チオグアニンを含む。トポイソメラーゼ阻害剤としては、例えば、イリノテカン、及びトポテカン、カレニテシン、アムサクリン、エトポシド、リン酸エトポシド、テニポシド、及びドキソルビシン、ダウノルビシン、及び他の類似体を含む。抗ウイルス薬剤としては、例えば、アシクロビル、バラシクロビル、ガンシクロビル、アマンタジン、リマンタジン、ラミブジン、及びジドブジンを含む。細胞増殖抑制剤としては、例えば、ベバシズマブ、トラスツズマブ、リツキシマブ等並びにエルロチニブ等の増殖阻害剤を含む。一般には、細胞増殖抑制剤は、新生物疾患の進行を遅らせる機序基剤である。
非経口投与される場合のN−メチルピロリジノン、ジメチルイソソルビド及び/又はジメチルアセトアミド中の本発明の新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンは、適切な容量の非経口ベヒクルで、総用量約0.1mg/m〜約100mg/mの前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン活性を得るような濃度に希釈されるのが好ましい。特許請求された本発明のさらなる実施形態は、癌患者に、滅菌投与するための、滅菌非経口ベヒクルで希釈された、特許請求された新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン組成物及び処方物のいずれかの滅菌溶液である。本発明の目的のために、非経口ベヒクルとしては、約5%〜約10%のデキストロース水溶液、約0.9%NaCl水溶液(5%又は10%のデキストロースを含むか又は含まない)、約0.45%NaCl水溶液(5%又は10%のデキストロースを含むか又は含まない)、及び約3%NaCl水溶液(5%又は10%のデキストロースを含むか又は含まない)、又は癌患者のための非経口栄養補助に用いられるイントラリピッドなどの滅菌脂質処方物が挙げられる。
臨床医は、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体を、ヒトの癌患者に、その潜在的化学療法的効果を最大化し、かつ潜在的毒性副作用を減少させるスケジュールに従って投与する。前記薬物の血漿中での濃度を高める極端に高い用量でない限り、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体の化学療法活性は、薬物の用量の増加(すなわち、用量依存性)によるよりも、薬物の曝露(exposure)期間の増加(すなわち、時間依存性)によって増加され得る。曝露(exposure)期間の増加に伴うより優れた化学療法効果は、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体の優勢なS期状態の化学療法活性に最も関連しているという所見である。前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体は、S期活性剤であり;従って、ヒトにおける最も優れた化学療法効果は、長期にわたる注入又は間隔を短くした繰り返し投与スケジュールで観察されるであろう。このような投与のスケジュールによって、循環する腫瘍細胞は、前記薬物により一層曝露され、S期における、腫瘍細胞を十分な毒性レベルの薬物に曝露する頻度を増加させる。
B.経口及び直腸処方物及び投与
経口処方物としては、錠剤、懸濁剤、液剤、ゼラチンカプセル(硬又は軟)、溶解性錠剤、トローチ等が含まれる。舌下投与によって、肝臓を経由する初回代謝(すなわち、シトクロムP450オキシダーゼ系)が避けられることは留意されるべきである。前記組成物及び処方物は、本明細書に記載されるように、有効成分として、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体を含む。この分野において、認められる用語として、高度に親油性のカンプトテシン類似体(HLCD)は、水1mLあたり5μg未満の水溶性を有すると定義される。
経口投与量がカプセル様式で投与される場合、カプセル化に適する前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンの濃縮液を軟又は硬ゼラチンカプセル内へ入れることが優れていることは明らかである。濃縮溶液によって、患者が容易に摂取できる小さいサイズのカプセルの調製が可能になり、そして、嚥下するカプセルの数を減らすこともできる。このような事実は、全身的にひどい状態の癌患者を考慮すると、重要である。
タウロコール酸、胆汁酸は、ある特定の患者において、薬物の腸吸収を向上させる。本発明は、タウロコール酸又はその薬学的に許容可能な塩が、溶液投薬組成物中に、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンと共に含まれる場合、組成物の摂取後の薬物吸収を改善するという発見を利用したものである。この改善は胃の内容物によって希釈された際の、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンのミセル溶液の形成によるものと考えられる。
タウロコール酸を含む胆汁酸が媒介する水溶性に乏しい薬物のミセル可溶化の現象は、グルテチミド、ヘキセステロール、グリセオフルビン(例えば、ベイツ(Bates)ら、「グリセオフルビン及びヘキセステロールの胆汁酸塩溶液中の溶解速度」、ケミカル アブストラクツ(Rates of Dissolution of Griseofulvin and Hexestrol in Bile Salt Solutions. Chem. Abstracts) 65:8680b(1966);ベイツ(Bates)ら、「グルテチミド、グリセオフルビン及びヘキセステロールにおける胆汁酸塩の溶解特性」、ケミカル アブストラクツ(Solubilizing Properties of Bile Salt Solutions on Glutethimide, Griseofulvin, and Hexestrol. Chem. Abstracts) 64:9517e(1966)を参照のこと;レセルピン(例えば、マローン(Malone)ら、「デゾキシコリン酸による経口投与されたレセルピンの増強」、ジャーナル オブ ファーマシューティカル サイエンス(Desoxycholic Acid Enhancement of Orally Administered Reserpine. J. Pharmaceutical Sci.) 55:972−974(1966)を参照のこと。)及び脂肪酸及びコレステロール(例えば、ウェスターガード(Westergaard)ら、「胆汁酸ミセルが脂肪酸及びコレステロールの腸粘膜細胞への取り込みを増加する機序」、ジャーナル オブ クリニカル インベスティゲーション(The Mechanism Whereby Bile Acid Mycelles Increase the Rate of Fatty Acid and Cholesterol Uptake Into the Intestinal Mucosal Cell. J. Clinical Invest.) 58:97−108(1976)を参照のこと。)に関して既に報告されている。本発明におけるタウロコール酸又はその薬学的に許容な塩の使用には、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンの薬学的溶液が含まれ、この溶液は、1〜100容量の水で希釈される際に、明らかに安定な薬物の溶液を提供するという独特な特性を有する。この溶液は安定であり、そして、少なくとも2時間の間は沈殿が生じない;これは、患者に投与及び吸収されるのに十分な時間である。
別の不溶性抗癌薬であるエトポシドの同様な溶液についても、経口投与後の薬物の生物学的利用能が、実質的にエトポシドの溶液の静脈内投与によって得られたものと同等であることが、観察されている(米国特許第4,713,246号)。エトポシドの場合の結果に似て、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン及び胃の内容物によって生じたその希釈物の本投与形態の摂取は、胃腸管で速やかに吸収される、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンのミセル溶液を胃の中で形成する結果となると考えられる。本出願人らは、本発明の新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン処方物の優れた経口生物学的利用能を達成する機序の、いかなる論理的な説明によって、束縛されることを望まない。
前記新規ラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体を癌患者に経口投与するための本発明のさらに他の実施形態は、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体を、薬学的に許容可能な酸の存在下、N−メチルピロリジノン(NMP)に溶解するか、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体を、薬学的に許容可能な酸の存在下、ジメチルイソソルビド(DMI)に溶解するか、又は前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体を、薬学的に許容可能な酸の存在下、ジメチルアセトアミド(DMA)に溶解する。
本発明のさらなる実施形態は、硬ゼラチンカプセル内に、特許請求された組成物及び処方物をカプセル化することによって、この組成物を投与する方法である。さらに、特許請求された組成物及びこの組成物を投与する方法のさらに他の実施形態は、軟ゼラチンカプセル内に特許請求された処方物をカプセル化することである。当業者には、経口投与に適用される、任意の特許請求された処方物が軟又は硬ゼラチンカプセルの充填物として使用可能であることは公知である。
本発明の他の実施形態は、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体の経口処方物であって、この処方物は、軟ゼラチンカプセル(例えば、ゼラチン/グリセリン/ソルビトール/浄化剤で構成される)において、0.1〜0.9重量部のクエン酸、1〜10重量部のグリセリン、5〜9重量部のポリエチレングリコール(分子量200〜300)、総溶液重量あたり10〜20重量%の脱水エチルアルコール、0.05〜0.5重量部の酢酸ナトリウム、界面活性剤、及び1〜10重量部のジメチルイソソルビドを含むベヒクル中に、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体を1.0部含む。より好ましい経口処方物は、界面活性剤として、プルロニックF127ポロクサマーを0.05〜1.0重量部の割合で含む。
他の好ましい経口処方物は、さらに、2〜10重量部のタウロコール酸を含むであろう。軟ゼラチンカプセルは、この目的のために使用される多くの化合物のいずれかで構成されてもよく、限定されないが、ゼラチン、グリセリン、ソルビトール、及びパラベンの混合物で構成されていてもよい。
本発明は、直腸坐剤又は留置浣腸の利用による直腸送達及び吸収のための、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンの処方物も規定する。一般的には、坐剤は、直腸及びS状結腸へ薬物を送達するために利用される。本発明の処方物の送達のための理想的な坐剤の基剤は、下記の仕様を満たすのがよい:(i)肛門粘膜に対して無毒性でかつ刺激性の無い基剤;(ii)様々な薬物と混和可能な基剤;(iii)直腸液(rectal fluids)に溶融又は溶解する基剤;及び(iv)貯蔵安定性を有し、かつ坐剤に含まれる薬学的処方物に結合しないかあるいはこの処方物の放出及び/又は吸収を妨害する基剤。典型的な坐剤の基剤としては、カカオバター、グリセリンゼラチン、硬化植物油、様々な分子量のポリエチレングリコール及びポリエチレングリコールの脂肪酸エステルの混合物が挙げられる。直腸上皮は、類脂質の性質を有する。下、中、及び上直腸静脈が直腸を取り巻いている。上直腸静脈だけが、門脈系へ血液を輸送し、そのため、下及び中直腸静脈へと吸収された薬物は、肝臓及びシトクロムP450オキシダ−ゼ系を迂回するであろう。そのため、薬物の吸収及び分布は、直腸から吸収された薬物の少なくとも一部が、肝臓を迂回しつつ、下大静脈へ直接通されてもよいという点で、薬物の直腸での位置によって変化する。本発明はまた、1種又はそれ以上の化学療法剤に加えて、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体を含む坐剤によって投与される処方物を規定する。
一実施形態において、癌患者に、前記新規なラクトン安定な「反転した」カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体を含む処方物を経口投与する方法であって、21〜28日ごとに、24時間以内に単回の又は分割した投与で、組成物を約0.1mg/m〜約100mg/m投与することからなる方法が開示される。
一実施形態において、癌患者に、前記新規なラクトン安定な「反転した」カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体を含む処方物を経口投与する方法であって、21〜28日ごとに、連続した3日間の間、毎日単回の又は分割した投与で、組成物を約0.1mg/m〜約75mg/m投与することからなる方法が開示される。
一実施形態において、癌患者に、前記新規なラクトン安定な「反転した」カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体を含む処方物を経口投与する方法であって、21〜28日ごとに、連続した3日間の間、毎日単回の又は分割した投与で、組成物を約0.1mg/m〜約50mg/mの投与することからなる方法が開示される。
他の実施形態において、癌患者に、前記新規なラクトン安定な「反転した」カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体を含む処方物を経口投与する方法であって、連続した3週間の間、1週間に1回、各3週サイクル後に2週間の休止を挟んで、24時間以内に単回の又は分割した投与で、組成物を約0.1mg/m〜約100mg/m投与することからなる方法が開示される。
一実施形態において、以前に治療を受けていない癌患者に、前記新規なラクトン安定な「反転した」カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体を含む処方物を経口投与する方法であって、連続した3週間の間、1週間に1回、各3週サイクル後に2週間の休止を挟んで、24時間以内に単回の又は分割した投与で、組成物を約0.1mg/m〜約75mg/m投与することからなる方法が開示される。
他の実施形態において、癌患者に、前記新規なラクトン安定な「反転した」カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体を含む処方物を経口投与する方法であって、連続した3週間の間、1週間に1回、各3週サイクル後に2週間の休止を挟んで、24時間以内に単回の又は分割した投与で、組成物を約0.1mg/m〜約50mg/m投与することからなる方法が開示される。
一実施形態において、癌患者に、前記新規なラクトン安定な「反転した」カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体を含む処方物を経口投与する方法であって、連続した2〜5日間の間、かつ21〜28日ごとに繰り返された、単回の又は各々24時間以内に投与される分割された1日量で、組成物を約0.1mg/m/日〜約100mg/m/日投与することからなる方法が開示される。
一実施形態において、癌患者に、前記新規なラクトン安定な「反転した」カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体を含む処方物を経口投与する方法であって、連続した2〜5日間の間、かつ21〜28日ごとに繰り返される、1回の又は各々24時間以内に投与される分割した1日量で、組成物を約0.1mg/m/日〜約75mg/m/日投与することからなる方法が開示される。
一実施形態において、癌患者に、前記新規なラクトン安定な「反転した」カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩及び/又はその類似体を含む処方物を経口投与する方法であって、連続した2〜5日間の間、かつ21〜28日ごとに繰り返された、1回の又は各々24時間以内に投与される分割した1日量で、組成物を約0.1mg/m/日〜約50mg/m/日投与することからなる方法が開示される。
本発明の処方物の具体例
好ましい実施形態において、本発明は、新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン処方物の調剤及び投与を含む。これらの処方物の以下の投与例は、本発明を実施するために選択された形態を説明するものであり、決して、限定するものとして解釈されるべきではない。
例1
水性体液への注射又は注入のために、処方物は、約10〜約40%の許容可能なアルコール、約4〜約10重量部のポリエーテルグリコール、及び約1〜約10部の非イオン界面活性剤を含む酸性化ベヒクル中に、1〜10部のN−メチルピロリジノン、ジメチルイソソルビド及び/又はジメチルアセトアミドに溶解された総用量約0.1mg/m〜約100mg/mの前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンを含む。適切なアルコールとしては、脱水エチルアルコール、ベンジルアルコールを含む。適切なポリエーテルグリコールとしては、ポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール300、プロピレングリコールを含む。適切な非イオン界面活性剤としては、限定はされないが、ポリソルベート−80を含む。好ましい実施形態において、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンの処方物は、1mgバイアルに、静脈内注射可能なように供給される。この1mgバイアルは、pH3〜4の酸性化溶媒中に脱水エチルアルコール、ベンジルアルコール、クエン酸、ポリエチレングリコール300、及びポリソルベート(Tween 80)を含むベヒクル1〜2mLあたり、最終濃度1mgで薬物を含む、滅菌の非水溶液で構成される。
例2
第二の処方物は、総用量約0.1mg/m〜約100mg/mの前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンを酸性化ベヒクル中に含み、酸性化ベヒクルは、約0.1〜2部のアルコール及び約1〜10部の非イオン界面活性剤を含む。適切なアルコールとしては、脱水エチルアルコールUSP、及びベンジルアルコールが含まれる。適切な非イオン界面活性剤としては、ヒマシ油、ピーナッツ油、及びオリーブ油などのポリオキシエチル化された植物油などのポリオキシエチル化油が含まれる。好ましい実施形態において、1mg〜200mgの前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンは、1〜10部のN−メチルピロリジノン、ジメチルイソソルビド及び/又はジメチルアセトアミド、1〜10部のクレマホルEL(Cremaphor EL)(商標)(ポリオキシエチル化ヒマシ油)、0.1〜2重量部の脱水エチルアルコールUSP、及び最終pHを3〜4に調節するための0.1〜0.9部のクエン酸において処方される。
例3
軟ゼラチンカプセル(例えば、ゼラチン/グリセリン/ソルビトール/浄化剤で構成される)中の前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンの経口処方物は、1.0部の前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンを、0.05〜0.5重量部の酢酸ナトリウム、0.05〜1.0重量部のプルロニックポロクサマー、及びタウロコール酸2〜10重量部を使用して、総液重量あたり、1〜10部のN−メチルピロリジノン、ジメチルイソソルビド及び/又はジメチルアセトアミド、0.1〜0.5重量部のクエン酸、1〜10重量部のグリセリン、及び5〜9重量部のポリエチレングリコール200〜300、0.2〜2重量部の脱水エチルアルコール含む。軟ゼラチンカプセルは、この目的のために使用される多くの化合物のいずれかで構成されていてもよく、例えば、ゼラチン、グリセリン、ソルビトール、及びパラベンの混合物で構成されてもよい。
前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンの臨床的注入のために、安定性及び溶解性を持続させるためには、薬物は、注射又は注入に先立って、最終濃度において、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンが総用量約0.1mg/m〜約100mg/mとなるように、5%デキストロース水溶液(D5W)に希釈されてもよいことに言及されるべきである。
処方物において、酸性pH(すなわち、pH3〜4)を維持することは、生理学的pHで起こる、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン(すなわち、活性形)からE−環が加水分解されたカルボキシラート(すなわち、不活性形)へのゆっくりとした変換を低減するために、特に重要である。生理学的pHの平衡において、ラクトンに対する不活性な「開環」形の割合は増加する。それ故、薬物が酸性環境化で保持されると、ラクトンE−環の加水分解は、実質的には低減される。例えば、本発明の新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンにおけるような、天然に存在するカンプトテシンのラクトン形は、カルボキシラートE−環形よりも水溶性が低い。すでに議論したように、初期のカンプトテシンの臨床試験が、最初にNaOHを用いて行われたとき、癌患者の治療における均一な有効性に対する、閉環したラクトン環の維持の重要性はあまり理解されなかった。初期に報告された、カンプトテシン投与に関連した予測できない臨床上の毒性は、カルボキシラート形の形成を促進させるNaOH処方物、及び化学療法活性と関連するカンプトテシンのラクトン形の重要性の理解の相対的な欠如によって悪化されていたのかもしれない。
処方物の投与の具体例
処方物の発明の上述の記載は、特許法の要件に準じ、並びに説明及び例示の目的のために特に好ましい実施形態を指向している。当業者らは、多くの修正及び変更が、本発明の範囲及び精神から逸脱せずになされ得ることを認めるであろう。
本発明の新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンの投与は、様々なスケジュール及び投与量を使用して実施され得る。例えば:
(1)静脈内投与のために、適切な用量は24時間の間において約0.1mg/m〜約100mg/mであり、主治医によって、1回又は分割された複数回用量において投与され得る。この投与計画は、48時間又はそれ以上の間、繰り返されてもよい。他の適切な静脈内投与スケジュールは、21〜30日ごとに、3〜5日の連続注入スケジュールを使って1日あたり約0.1mg/m〜約100mg/m、及び21〜30日ごとに30〜90分間注入によって投与される約0.1mg/m〜約100mg/mの範囲である。
(2)薬物の適切な経口用量は、3〜5日間の間低用量で、及び1日あたり2〜4回に分割された投与量で、約0.1mg/m〜約100mg/mである。他の適切な経口投与スケジュールは、3〜5日間の間で1日あたり約0.1mg/m〜約75mg/m、及び3〜5日間の間で1日あたり約0.1mg/m〜約50mg/mの範囲である。
個々の患者の最大許容用量へと投与量を段階的に増加させることに基づいて、非経口及び経口用量は、医師の監視の下で投与され得ることに留意されるべきである。前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンの経口投与スケジュールは、医師が、個々の患者において、最も毒性が低い最大有効化学治療用量に達することによって治療を最適化できるように1又はそれ以上の連続した日数の間、複数回の1日量又は単回の1日量を必要としてもよい。
また、患者は、入院又は外来患者のいずれかとして、以下のスケジュール例を使用して、本発明の前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンを与えられてもよい:
(1)21〜28日ごと、90分にわたる、約0.1mg/m〜約100mg/mの静脈内投与;
(2)21〜28日ごと、連続した3日間で、毎日90分にわたる、約0.1mg/m〜約100mg/mの静脈内投与;
(3) 以前に治療を受けた患者に、一週間に一度、90分にわたる、約0.1mg/m〜約100mg/mの静脈内投与であって、連続した3週間行われ、各3週間サイクル後に2週間の休止を挟む;
(4)以前に治療を受けていない患者に、一週間に一度、90分にわたる、約0.1mg/m〜約100mg/mの静脈内投与であって、連続した3週間行われ、各3週間サイクル後に2週間の休止を挟む;及び
(5)21〜28日ごと、約0.1mg/m/日〜約100mg/m/日の連続した静脈注入として、連続した3〜5日間繰り返す。
好ましい実施形態において、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンは、初期には、低用量で投与される。次いで、前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンの用量は、個々の治療耐性を示す副作用が患者に発現するまで、処置の連続したサイクルごとに増加される。用量増加の目的は、薬物レベルを安全に最大許容用量にまで増加することであり、細胞毒性を増加、及び化学療法活性の向上をもたらはずである。
患者の忍容毒性(unaccaptable toxicity)が観察されない限り、患者の寛容に基づいて、投与量は増加できる。「忍容毒性」は、国立癌研究所一般毒性基準に従って、グレード3が悪心及び嘔吐を含まない非血液毒性、及びグレード4が嘔吐又は血液毒性と世界保健機構(WHO)によって定義される。いくつかの臨床的薬物毒性が、慣例の臨床的腫瘍学の手法において予測されるので、兆候及び症状(例えば、下痢)が観察された場合、適切な処置が、毒性(例えば、悪心及び嘔吐)を抑制するため又は兆候及び症状を改善するために使用される。例えば、制吐薬が、悪心及び嘔吐に対して投与され、下痢止め薬が、下痢には投与され、そして解熱薬が、熱に対して投与される。ステロイド/アンチヒスタミンの適切な投与も、アナフィラキシー反応が観察された場合、いかなるアナフィラキシー毒性をも抑制する又は改善するために使用される。
血清レベルの決定
カネダ(Kaneda)のHPLC方法及びバリレロ(Barilero)らによってさらに改変された方法(「高性能速液体クロマトグラフィーによるカンプトテシン類似体CPT−11及びその代謝物HECPTの同時決定;癌患者における薬物動体力学研究への応用」、ジャーナル オブ クロマトグラフ(Simultaneous Determination of the Camptothecin Analogue CPT-11 and Its Active Metabolite HECPT by High Performance Liquid chromatography:Application to Plasma Pharmacokinetics Studies in Cancer Patients. J. Chromat.) 575:275−280(1992))は、血漿及び組織中の様々なカンプトテシン(本発明の前記新規なラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンを含む)の量を測定するために役立つ。
本明細書において参照又は記載された全ての特許、出版物、科学論文、ウェブ・サイト、ならびに他の文献及び資料は、本発明の属する分野における当業者の技術レベルを示し、このような参照された文献及び資料の各々は、あたかも、言及することによりその全体がそれぞれ組み入れられるか又はその全体が本明細書に示されている場合と同じ程度で参照されることにより組み入れられる。出願人らは、いかなるこのような特許、出版物、科学論文、ウェブ・サイト、電子的に入手可能な情報、及び他の参照される資料又は文献からのいかなる及び全ての資料及び情報を本明細書に物理的に組み入れる権利を留保する。
本特許の記述説明部分は全ての請求の範囲を包含する。さらに、全ての請求の範囲は、全ての当初の請求の範囲ならびに任意の及び全ての優先権書類からの全ての請求の範囲を含み、言及することにより、本明細書の記述説明部分にその全体が組み入れられる。また、出願人らは任意の及び全てのそのような請求の範囲を本出願の記述説明部分または任意の他の部分に物理的に組み入れる権利を留保する。それゆえ、例えば、いかなる場合であっても、本特許は、請求項の表現が本特許の記述部分中に厳密にその通りの言葉で記載されていないという主張にもとづいて、根拠なく、その請求項に対する記述部分が与えられていないとは解釈されない。
請求の範囲は法律に従って解釈される。しかし、任意の請求の範囲又はその一部の解釈が容易である又は難解であるという主張又は認識にもかかわらず、特許をもたらす出願(単数又は複数)の手続の間に任意の請求の範囲又はその一部を修正又は補正することは、いかなる場合であっても、先行技術の一部を成さない本特許の任意の及び全ての均等物に対する権利が放棄されたと解釈されない。
本明細書に開示された特徴の全ては、任意の組み合わせで組み合わされてもよい。その結果、別に述べない限り、開示された特徴はそれぞれ、包括的な一連の均等物又は同様の特徴の単なる例でしかない。
本発明はその詳細な説明に関連して記載されるが、前述の詳細な説明は説明を意図するものであって、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の範囲は添付の請求の範囲によって規定されるということが理解されるべきである。それゆえ、本発明の具体的な実施形態が説明を目的として、明細書に記載されてはいるが、種々の修正形態が本発明の精神及び範囲から逸脱することなくなされ得ることは、前述から理解されるであろう。他の態様、効果、及び修正形態は上記の請求の範囲の範囲内にあり、本発明は添付の請求の範囲による場合以外は限定されない。
本明細書に記載された具体的な方法及び組成物は好ましい実施形態の代表例であり模範例であり、本発明の範囲を限定すること意図するものではない。他の課題、態様、及び実施形態は本明細書を考慮することにより当業者に想起されるものであり、請求の範囲によって規定される本発明の精神に包含される。本明細書に開示された本発明に対する種々の置換及び修正形態は本発明の範囲及び精神から逸脱することなくなされることは当業者には容易に理解される。本明細書に説明的に記載された本発明は、本質的なものとして詳細に開示されていない、任意の要素(単数又は複数)又は限定(単数又は複数)がない場合において適切に実施されてもよい。それによって、例えば、本明細書中の各例、本発明の実施形態又は実施例において、用語「構成する」、「含む」、「含有する」などは、限定されることなく広く解釈されるべきである。本明細書に説明的に記載された方法及び処理は、異なる工程順で適切に実施されてもよく、本明細書又は請求の範囲に示される工程順に必ずしも限定されない。
使用されている用語及び表現は、限定用語ではなく記述用語として用いられ、このような用語及び表現の使用には、示された及び記載された特徴及びその一部の任意の均等物を除外する意図はないが、種々の修正形態が、請求される本発明の範囲内で可能であることが認められる。それゆえ、本発明は種々の実施形態及び/又は好ましい実施形態及び任意の特徴によって具体的に開示されてはいるが、本明細書に開示された概念の任意の及び全ての修正形態及び変更は当業者によってなされてよく、そのような修正形態及び変更は、添付の請求の範囲によって規定される本発明の範囲内にあることが理解される。
本発明は明細書中に広く一般的に記載されている。包括的な開示の範囲内にある狭義の種及びやや包括的な分類も、各々本発明の一部をなす。削除されたものが本明細書中に詳細に列挙されているか否かにかかわらず、任意の内容を種から除くという条件又は消極的な限定による本発明の包括的な記載も含まれる。
文脈において特に明らかに規定されない限り、本明細書及び添付の請求の範囲において使用される単数形「a」、「an」、及び「the」には複数形も含まれ、表現「X及び/又はY」は「X」又は「Y」は「X」及び「Y」の両方を意味し、また、名詞に続く文字「s」はその名詞の複数形及び単数形の両方を表すことも理解されるべきである。さらに、本発明の特徴又は様態がマーカッシュ群で記載されるところでは、本発明が包含し、それによってマーカッシュ群の任意の個々の要素及び任意の下位概念の要素の形式で記載され、出願人らは、マーカッシュ群の任意の個々の要素及び任意の下位概念の要素に特に言及する出願又は請求の範囲を改訂する権利を留保するということを意図しており、このことは、当業者には明らかである。
他の実施形態は上記の請求範囲の範疇にある。本特許は、本明細書に詳細に及び/又は明確に開示された具体的な例又は実施形態又は方法に限定されると解釈されるものではない。いかなる場合であっても、本特許は、米国特許商標局のいかなる審査官又はいかなる関係者又は当局員による見解によって限定されて解釈されない。ただし、出願人らによる応答書面にこのような見解が具体的に及び無制限に又は無条件にはっきりと採用された場合には、その限りではない。

Claims (71)

  1. 下記に表される構造からなる、ラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン類似体:
    (式中、Xは、−(CH(式中、n≦2である。)又はCFであり;
    は、−(CH−、−(CHSi(R、−(CHGe(R(式中、nは0〜6である。);任意のハロゲン化物;任意の短鎖アミン(式中、RはCH、C、Cである。)であり;
    は、−(CH−、−(CHSi(R、−(CHGe(R(式中、nは0〜6である。);任意のハロゲン化物;任意の短鎖アミン(式中、RはCH、C、Cである。)であり;
    及びRは、任意のハロゲン化物;任意の短鎖アミン;CHO;−OCHCHO−、−OCHO−(式中、R及びRの前記置換基は、互いに共有結合して前記置換基の間に「環様」構造を形成してもよい。)であり;あるいはR及びR、又はR及びR、又はR,R;R及びR;並びにR及びR置換基のいずれの組み合わせも、共有的に結合してさらなる環様構造(単数又は複数)を形成してもよい。);あるいは
    その薬学的に許容可能な塩、類似体、プロドラッグ、抱合体、水和物、溶媒和物、多形体及び/又は互変異性体。
  2. が、−X−(低級アルキル)−Si(アルキル)又は−X−(低級アルキル)−Ge(アルキル)からなる群より選択され、かつA環部位の1又はそれ以上が水素以外の置換基である請求項1記載のラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン類似体。
  3. が、−(低級アルキル)−Si部位又は−(低級アルキル)−Ge部位からなる群より選択され、R乃至Rの1又は2つが、アミノ、置換アミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、−カルボニル−低級アルキル−複素環、−低級アルキル−トリメチルシリル、−低級アルキル−トリメチルゲルマニウム又はアリールオキシからなる群より選択された部位である請求項1記載のラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン類似体。
  4. 請求項1、2又は3のいずれか一項に記載のラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン類似体を含む処方物であって、前記類似体が、薬学的に許容可能な酸の存在下、N−メチルピロリジノン、ジメチルイソソルビド又はジメチルアセトアミドからなる群より選択された1又はそれ以上の溶媒に溶解している処方物。
  5. 薬学的に許容可能な酸がクエン酸である請求項4記載の処方物。
  6. 薬学的に許容可能な酸がリン酸である請求項4記載の処方物。
  7. 処方物が、ある濃度のラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩、プロドラッグ、抱合体、水和物、溶媒和物及び/又は多形体を含み、それを必要とする患者への投与のために総用量約0.1mg/m〜約100mg/mを提供する請求項4記載の処方物。
  8. 処方物が、ある濃度のラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩、プロドラッグ、抱合体、水和物、溶媒和物及び/又は多形体を含み、それを必要とする患者への投与のために総用量約0.1mg/m〜約75mg/mのラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩、プロドラッグ、抱合体、水和物、溶媒和物、多形体及び/又は互変異性体を提供する請求項4記載の処方物。
  9. 処方物が、ある濃度のラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩、プロドラッグ、抱合体、水和物、溶媒和物及び/又は多形体を含み、それを必要とする患者への投与のために総用量約0.1mg/m〜約50mg/mのラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩、プロドラッグ、抱合体、水和物、溶媒和物、多形体及び/又は互変異性体を提供する請求項4記載の処方物。
  10. 患者の生理学的状態、患者が罹患する癌の種類及び患者に投与されたラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンの用量に依存する投与の総日数で、ラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンが、約24時間にわたって少なくとも1回投与され、かつ少なくとも連続した2日間繰り返される請求項7〜9のいずれか一項に記載の処方物。
  11. ラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシンが、約15分〜24時間の期間にわたって投与される請求項7〜9のいずれか一項に記載の処方物。
  12. ラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩、プロドラッグ、抱合体、水和物、溶媒和物及び/又は多形体が、(i)注射(例えば、皮下投与、皮内投与、真皮下投与、筋内投与、デポー投与、静脈内投与又は動脈内)、ここで投与は、例えば、注射による送達、非経口ボーラスを介する送達、緩慢な静脈内注射及び点滴、並びに注入もしくは輸液装置(例えば、埋込可能な能動及び受動型注入もしくは輸液装置)によって行われてもよい。;(ii)腔内(例えば、胸腔内、腹腔内、小胞内及び/又は鞘内腔中へ);(iii)経口(例えば、錠剤、懸濁剤、液剤、ゼラチンカプセル(硬又は軟)、舌下剤、溶解性錠剤又はトローチ);又は(iv)経直腸(例えば、坐剤又は留置浣腸)からなる群より選択された方法による投与に適した形態である請求項7〜9のいずれか一項に記載の処方物。
  13. 総用量約0.1mg/m〜約100mg/mのカンプトテシン類似体を含み、かつラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩、類似体、プロドラッグ、抱合体、水和物、溶媒和物、多形体及び/又は互変異性体1重量部あたり約0.01〜約0.9重量部の薬学的に許容可能な有機カルボン酸を含む請求項4記載の処方物。
  14. 薬学的に許容可能な酸が、リン酸又はクエン酸からなる群より選択される請求項13記載の処方物。
  15. 薬学的に許容可能な有機カルボン酸の重量部が、ラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩、類似体、プロドラッグ、抱合体、水和物、溶媒和物、多形体及び/又は互変異性体1重量部あたり、約0.05〜約0.1重量部である請求項13記載の処方物。
  16. 処方物が、さらにタウロコール酸又はその薬学的に許容可能な塩、及びポリエチレングリコールを含む請求項13記載の処方物。
  17. 組成物が、ラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩、類似体、プロドラッグ、抱合体、水和物、溶媒和物、多形体及び/又は互変異性体の1重量部に対して、約1〜約10重量部のN−メチルピロリジノン、ジメチルイソソルビド又はジメチルアセトアミド;約0.005〜約0.5重量部の薬学的に許容可能な酸;約1〜約10重量部のタウロコール酸又はその薬学的に許容可能な塩;及び約1〜約10重量部のポリエチレングリコールを含む請求項16記載の処方物。
  18. 薬学的に許容可能な酸が、クエン酸である請求項17記載の処方物。
  19. 薬学的に許容可能な酸が、リン酸である請求項17記載の処方物。
  20. さらに低級アルコールからなる請求項16記載の処方物。
  21. 低級アルコールが、エタノールである請求項20記載の処方物。
  22. さらにグリセリンからなる請求項16記載の処方物。
  23. さらにタウロコール酸又はその薬学的に許容可能な塩、ポリエチレングリコール、エタノール、グリセリン及び緩衝剤からなる請求項16記載の処方物。
  24. 組成物が、ラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン類似体、その薬学的に許容可能な塩、類似体、プロドラッグ、抱合体、水和物、溶媒和物、多形体及び/又は互変異性体の1重量部に対して、約1〜約10重量部のN−メチルピロリジノン、ジメチルイソソルビド又はジメチルアセトアミド;約0.005〜約0.5重量部の薬学的に許容可能な酸;約1〜約10重量部のタウロコール酸又は薬学的に許容可能な塩;約1〜約10重量部のポリエチレングリコール;約0.1〜約2重量部のグリセリン;約0.1〜約2重量部のエタノール;及び約0.005〜約0.5部の緩衝剤を含む請求項23記載の処方物。
  25. ポリエチレングリコールが、分子量約300である請求項16又は請求項23に記載の処方物。
  26. さらに非イオン界面活性剤を含む請求項16又は請求項23に記載の処方物。
  27. 非イオン界面活性剤が、ポロクサマーである請求項26記載の処方物。
  28. ポロクサマーが、ポロクサマーPF−127である請求項27記載の処方物。
  29. 組成物が、さらに低級アルコール、ポリエチレングリコール及び界面活性剤を含む請求項13記載の処方物。
  30. ポリエチレングリコールが分子量約300であり、低級アルコールがエタノールであり、及び界面活性剤がポリソルベート−80である請求項29記載の処方物。
  31. 約0.1〜約0.5重量部の薬学的に許容可能な有機カルボン酸の存在下、約1〜約10重量部のN−メチルピロリジノン、ジメチルイソソルビド又はジメチルアセトアミドに溶解された総用量約0.1mg/m〜約100mg/mのラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩、類似体、プロドラッグ、抱合体、水和物、溶媒和物、多形体及び/又は互変異性体からなる処方物であって、組成物が、さらに約5〜約9重量部のポリエチレングリコール;約0.1〜約2.0重量部の薬学的に許容可能なアルコール;及び約1〜約10重量部の非イオン界面活性剤を含む請求項4記載の処方物。
  32. 酸がクエン酸であり、ポリエチレングリコールが分子量約300であり、アルコールがエタノールであり、及び界面活性剤がポリソルベート−80である請求項31記載の処方物。
  33. 酸がクエン酸であり、アルコールがエタノールであり、及び非イオン界面活性剤がポリオキシエチル化ヒマシ油で構成される請求項31記載の処方物。
  34. さらに、約1〜約10重量部のN−メチルピロリジノン、ジメチルイソソルビド又はジメチルアセトアミドに溶解された総用量約0.1mg/m〜約100mg/mのラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩、類似体、プロドラッグ、抱合体、水和物、溶媒和物、多形体及び/又は互変異性体からなる処方物であって、組成物が、さらに約1〜約10重量部のポリオキシエチル化ヒマシ油;約0.1〜約2重量部の脱水エチルアルコールUSP;及び約0.1〜約0.9重量部のクエン酸を含む請求項4記載の処方物。
  35. 1又はそれ以上の化学療法剤をさらに含む処方物であって、この化学療法剤が、フルロピリミジン;ピリミジンヌクレオシド;プリンヌクレオシド;葉酸拮抗剤、白金類似体;アントラサイクリン/アントラセンジオン;エピポドフィロトキシン;カンプトテシン;ホルモン、ホルモン類似体;抗ホルモン;酵素、タンパク質、ペプチドもしくは抗体;ビンカアルカロイド;タキサン;エポチロン;抗微小管剤;アルキル化剤;代謝拮抗物質;トポイソメラーゼ阻害剤;抗ウイルス薬;又は他の細胞毒性及び細胞増殖抑制剤からなる群より選択される請求項4〜34のいずれか一項に記載の処方物。
  36. 処方物が、皮下、皮内、真皮下、筋内、デポー、静脈内又は動脈内からなる群より選択された注射方法によって投与される処方物であって、投与が、注射による送達、非経口ボーラスを介する送達、緩慢な静脈内注射、点滴及び輸液装置(例えば、埋込可能な能動及び受動型注入又は輸液装置)によって行われる請求項4〜35のいずれか一項に記載の処方物。
  37. 処方物が、胸腔内、腹腔内、小胞内又は鞘内腔からなる群より選択された腔内方法によって投与される請求項4〜35のいずれか一項に記載の処方物。
  38. 処方物が、坐剤又は留置浣腸からなる群より選択された経直腸的方法によって投与される請求項4〜35のいずれか一項に記載の処方物。
  39. 組成物が、卵巣、胸部、肺、食道、膀胱、胃、膵臓、肝臓、精巣、頭部、頸部、口腔粘膜、結腸直腸、肛門、腎臓、膀胱、尿路上皮、リンパ腫、中枢神経系、前立腺、子宮内膜、子宮、卵管、中皮腫、末梢神経系、黒色腫、骨髄腫、白血病及びカポージ肉腫からなるヒトの癌の群より選択される1又はそれ以上の癌を有するヒト被験体に投与される請求項4〜35のいずれか一項に記載の処方物。
  40. 請求項1、2又は3のいずれか一項に記載の1又はそれ以上のラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩、類似体、プロドラッグ、抱合体、水和物、溶媒和物、多形体及び/又は互変異性体からなる処方物であって、1又はそれ以上のカンプトテシンが、それを必要とするヒト被験体への投与に適した薬学的に許容可能な処方物に溶解される処方物。
  41. 以前に治療を受けていない癌患者に、連続した3週間の間、1週間に1回、各3週間サイクル後に2週間の休止を挟んで、約120分の間にわたって用量約0.1mg/m〜約100mg/mの組成物を注入することからなる請求項40記載の処方物を投与する方法であって、前記組成物が、癌患者への経口、胸腔内、鞘内、槽内、小胞内、腹腔内、局所又は非経口投与のために滅菌かつ調製されている投与方法。
  42. 癌患者に、21〜28日ごとに、約120分の間にわたって用量約0.1mg/m〜約75mg/mの組成物を注入することからなる、請求項40記載の処方物を非経口投与する方法。
  43. 癌患者に、21〜28日ごとに、連続した3日間の間、約120分の間にわたって用量約0.1mg/m〜約50mg/mの組成物を注入することからなる、請求項40記載の処方物を非経口投与する方法。
  44. 癌患者に、連続した3週間の間、1週間に1回、各3週間サイクル後に2週間の休止を挟んで、約120分の間にわたって用量約0.1mg/m〜約100mg/mの組成物を注入することからなる、請求項40記載の処方物を非経口投与する方法。
  45. 以前に治療を受けていない癌患者に、連続した3週間の間、1週間に1回、各3週間サイクル後に2週間の休止を挟んで、約120分の間にわたって用量約0.1mg/m〜約75mg/mの組成物を注入することからなる、請求項40記載の処方物を非経口投与する方法。
  46. 癌患者に、連続した3週間の間、1週間に1回、各3週間サイクル後に2週間の休止を挟んで、約120分の間にわたって用量約0.1mg/m〜約50mg/mの組成物を注入することからなる、請求項40記載の処方物を非経口投与する方法。
  47. 処方物が、さらに1又はそれ以上の化学療法剤を含み、化学療法剤が、フルロピリミジン;ピリミジンヌクレオシド;プリンヌクレオシド;葉酸拮抗剤、白金類似体;アントラサイクリン/アントラセンジオン;エピポドフィロトキシン;カンプトテシン;ホルモン、ホルモン類似体;抗ホルモン;酵素、タンパク質、ペプチドもしくは抗体;ビンカアルカロイド;タキサン;エポチロン;抗微小管剤;アルキル化剤;代謝拮抗物質;トポイソメラーゼ阻害剤;抗ウイルス薬;又は他の細胞毒性及び細胞増殖抑制剤からなる群より選択される請求項40〜46のいずれか一項に記載の処方物を非経口投与する方法。
  48. ラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩、類似体、プロドラッグ、抱合体、水和物、溶媒和物、多形体及び/又は互変異性体が、薬学的に許容可能な酸の存在下、N−メチルピロリジノン、ジメチルイソソルビド又はジメチルアセトアミドからなる群より選択された1又はそれ以上の溶媒に溶解される請求項40〜46のいずれか一項に記載の方法。
  49. 癌患者に、21〜28日ごとに、24時間以内の単回の又は分割した投与で、組成物を用量約0.1mg/m〜約100mg/mで投与することからなる、請求項40記載の処方物を経口投与する方法。
  50. 癌患者に、21〜48日ごとに、連続した3日間の間、単回の又は分割した用量で、組成物を1日量約0.1mg/m〜約100mg/mで投与することからなる、請求項40記載の処方物を経口投与する方法。
  51. 癌患者に、21〜48日ごとに、連続した3日間の間、単回の又は分割した用量で、組成物を1日量約0.1mg/m〜約75mg/mで投与することからなる、請求項40記載の処方物を経口投与する方法。
  52. 癌患者に、21〜48日ごとに、連続した3日間の間、単回の又は分割した用量で、組成物を1日量約0.1mg/m〜約50mg/mで投与することからなる、請求項40記載の処方物を経口投与する方法。
  53. 癌患者に、連続した3週間の間、1週間に1回、各3週間サイクル後に2週間の休止を挟んで、24時間以内に単回の又は分割した投与で、組成物を用量約0.1mg/m〜約100mg/mで投与することからなる、請求項40記載の処方物を経口投与する方法。
  54. 癌患者に、連続した3週間の間、1週間に1回、各3週間サイクル後に2週間の休止を挟んで、24時間以内に単回の又は分割した投与で、組成物を用量約0.1mg/m〜約75mg/mで投与することからなる、請求項40記載の処方物を経口投与する方法。
  55. 癌患者に、連続した3週間の間、1週間に1回、各3週間サイクル後に2週間の休止を挟んで、24時間以内に単回の又は分割した投与で、組成物を用量約0.1mg/m〜約50mg/mで投与することからなる、請求項40記載の処方物を経口投与する方法。
  56. 以前に治療を受けていない癌患者に、連続した3週間の間、1週間に1回、各3週間サイクル後に2週間の休止を挟んで、24時間以内に単回の又は分割した用量で、組成物を用量約0.1mg/m〜約100mg/mで投与することからなる、請求項40記載の処方物を経口投与する方法。
  57. 以前に治療を受けていない癌患者に、連続した3週間の間、1週間に1回、各3週間サイクル後に2週間の休止を挟んで、24時間以内に単回の又は分割した用量で、組成物を用量約0.1mg/m〜約75mg/mで投与することからなる、請求項40記載の処方物を経口投与する方法。
  58. 以前に治療を受けていない癌患者に、連続した3週間の間、1週間に1回、各3週間サイクル後に2週間の休止を挟んで、24時間以内に単回の又は分割した用量で、組成物を用量約0.1mg/m〜約50mg/mで投与することからなる、請求項40記載の処方物を経口投与する方法。
  59. 癌患者に、連続した2〜5日間、かつ21〜28日ごとに繰り返された単回の又は各々24時間以内に投与された分割した1日量で、組成物を用量約0.1mg/m/日〜約100mg/m/日で投与することからなる、請求項40記載の処方物を経口投与する方法。
  60. 処方物が、薬学的に許容可能な酸の存在下、N−メチルピロリジノン、ジメチルイソソルビド又はジメチルアセトアミドからなる群より選択された1又はそれ以上の溶媒に溶解されたラクトン安定なE−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩、類似体、プロドラッグ、抱合体、水和物、溶媒和物及び/又は多形体を含む請求項49〜59のいずれか一項に記載の方法。
  61. 処方物が、錠剤、懸濁剤、液剤、ゼラチンカプセル(硬又は軟)、舌下剤、溶解性錠剤又はトローチからなる群より選択された経口方法によって投与される請求項49〜59のいずれか一項に記載の方法。
  62. 処方物が、卵巣、胸部、肺、食道、膀胱、胃、膵臓、肝臓、精巣、頭部、頸部、口腔粘膜、結腸直腸、肛門、腎臓、膀胱、尿路上皮、リンパ腫、中枢神経系、前立腺、子宮内膜、子宮、卵管、中皮腫、末梢神経系、黒色腫、骨髄腫、白血病及びカポージ肉腫からなるヒトの癌の群より選択される1又はそれ以上の癌を有するヒト被験体に投与される請求項40〜61のいずれか一項に記載の方法。
  63. 請求項1〜35のいずれか一項に記載の処方物を含む医療用装置であって、処方物を、ラクトン安定な「反転した」E−環含有カンプトテシン、その薬学的に許容可能な塩、プロドラッグ、抱合体、水和物、溶媒和物、多形体及び/又は互変異性体を総用量約0.1mg/m〜約100mg/mで、それを必要とする被験体に投与する、医療用装置。
  64. 請求項1〜35のいずれか一項に記載の処方物を含む医療用装置であって、処方物を、連続した3週間の間、1週間に1回、各3週間サイクル後に2週間の休止を挟んで、約120分の間にわたって総用量約0.1mg/m〜約100mg/mの処方物で、それを必要とする被験体に投与する、医療用装置。
  65. 装置が、埋込可能な注入又は輸液装置である請求項63又は請求項64に記載の装置。
  66. 埋込可能な注入又は輸液装置が、受動型輸液装置である請求項65記載の装置。
  67. 埋込可能な注入又は輸液装置が、能動型輸液装置である請求項65記載の装置。
  68. 請求項1〜35のいずれか一項に記載の処方物を含む医療用装置であって、処方物を、21〜28日ごとに、約120分の間にわたって総用量約0.1mg/m〜約100mg/mの組成物で、それを必要とする被験体に投与する、医療用装置。
  69. 装置が、埋込可能な注入又は輸液装置である請求項68記載の装置。
  70. 埋込可能な注入又は輸液装置が、受動型輸液装置である請求項69記載の装置。
  71. 埋込可能な注入又は輸液装置が、能動型輸液装置である請求項69記載の装置。
JP2009506579A 2006-04-19 2007-04-19 新規な「反転した」ラクトン安定なe−環を有するカンプトテシン類似体並びにその製造及び使用方法 Expired - Fee Related JP5232770B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US79328506P 2006-04-19 2006-04-19
US60/793,285 2006-04-19
PCT/US2007/009564 WO2007123995A2 (en) 2006-04-19 2007-04-19 Camptothecin-analog with a novel, “flipped” lactone-stable, e-ring and methods for making and using same

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009534389A true JP2009534389A (ja) 2009-09-24
JP5232770B2 JP5232770B2 (ja) 2013-07-10

Family

ID=38625588

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009506579A Expired - Fee Related JP5232770B2 (ja) 2006-04-19 2007-04-19 新規な「反転した」ラクトン安定なe−環を有するカンプトテシン類似体並びにその製造及び使用方法

Country Status (8)

Country Link
EP (1) EP2007386B1 (ja)
JP (1) JP5232770B2 (ja)
CN (1) CN101478968A (ja)
AU (1) AU2007240737B2 (ja)
CA (1) CA2648895C (ja)
MX (1) MX2008013105A (ja)
PL (1) PL2007386T3 (ja)
WO (1) WO2007123995A2 (ja)

Families Citing this family (25)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9770517B2 (en) 2002-03-01 2017-09-26 Immunomedics, Inc. Anti-Trop-2 antibody-drug conjugates and uses thereof
US9707302B2 (en) 2013-07-23 2017-07-18 Immunomedics, Inc. Combining anti-HLA-DR or anti-Trop-2 antibodies with microtubule inhibitors, PARP inhibitors, bruton kinase inhibitors or phosphoinositide 3-kinase inhibitors significantly improves therapeutic outcome in cancer
US10058621B2 (en) 2015-06-25 2018-08-28 Immunomedics, Inc. Combination therapy with anti-HLA-DR antibodies and kinase inhibitors in hematopoietic cancers
EP2473495A1 (en) 2009-09-18 2012-07-11 Almac Discovery Limited Pharmaceutical compounds
CN101967172A (zh) * 2010-09-15 2011-02-09 东北林业大学 喜树碱10位偶合胆酸的新衍生物
US9382329B2 (en) 2012-08-14 2016-07-05 Ibc Pharmaceuticals, Inc. Disease therapy by inducing immune response to Trop-2 expressing cells
US9150585B2 (en) 2012-11-13 2015-10-06 Fl Therapeutics Llc Analogs of camptothecin
US9107960B2 (en) 2012-12-13 2015-08-18 Immunimedics, Inc. Antibody-SN-38 immunoconjugates with a CL2A linker
US10206918B2 (en) 2012-12-13 2019-02-19 Immunomedics, Inc. Efficacy of anti-HLA-DR antiboddy drug conjugate IMMU-140 (hL243-CL2A-SN-38) in HLA-DR positive cancers
US10744129B2 (en) 2012-12-13 2020-08-18 Immunomedics, Inc. Therapy of small-cell lung cancer (SCLC) with a topoisomerase-I inhibiting antibody-drug conjugate (ADC) targeting Trop-2
US9931417B2 (en) 2012-12-13 2018-04-03 Immunomedics, Inc. Antibody-SN-38 immunoconjugates with a CL2A linker
US10137196B2 (en) 2012-12-13 2018-11-27 Immunomedics, Inc. Dosages of immunoconjugates of antibodies and SN-38 for improved efficacy and decreased toxicity
US9492566B2 (en) 2012-12-13 2016-11-15 Immunomedics, Inc. Antibody-drug conjugates and uses thereof
US10413539B2 (en) 2012-12-13 2019-09-17 Immunomedics, Inc. Therapy for metastatic urothelial cancer with the antibody-drug conjugate, sacituzumab govitecan (IMMU-132)
AU2013360335B2 (en) 2012-12-13 2017-12-07 Immunomedics, Inc. Dosages of immunoconjugates of antibodies and SN-38 for improved efficacy and decreased toxicity
US9962452B2 (en) 2013-02-04 2018-05-08 Zhuhai Beihai Biotech Co., Ltd. Soluble complexes of drug analogs and albumin
US11253606B2 (en) 2013-07-23 2022-02-22 Immunomedics, Inc. Combining anti-HLA-DR or anti-Trop-2 antibodies with microtubule inhibitors, PARP inhibitors, Bruton kinase inhibitors or phosphoinositide 3-kinase inhibitors significantly improves therapeutic outcome in cancer
US9937259B2 (en) 2014-06-27 2018-04-10 Zhuhai Beihai Biotech Co., Ltd. Abiraterone derivatives and non-covalent complexes with albumin
WO2016065139A1 (en) 2014-10-24 2016-04-28 Fl Therapeutics Llc 3-substituted piperidine-2, 6-diones and non-covalent complexes with albumin
CN107428837A (zh) 2015-04-22 2017-12-01 免疫医疗公司 循环trop‑2阳性癌细胞的分离、检测、诊断和/或鉴定
US10195175B2 (en) 2015-06-25 2019-02-05 Immunomedics, Inc. Synergistic effect of anti-Trop-2 antibody-drug conjugate in combination therapy for triple-negative breast cancer when used with microtubule inhibitors or PARP inhibitors
US20170224837A1 (en) 2016-02-10 2017-08-10 Immunomedics, Inc. Combination of abcg2 inhibitors with sacituzumab govitecan (immu-132) overcomes resistance to sn-38 in trop-2 expressing cancers
JP7379795B2 (ja) 2016-04-27 2023-11-15 イミューノメディクス、インコーポレイテッド チェックポイント阻害薬に再発/耐性を示す腫瘍を治療するための抗Trop-2-SN-38抗体薬物複合体の効果
WO2018183041A1 (en) 2017-03-27 2018-10-04 Immunomedics, Inc. Treatment of trop-2 expressing triple negative breast cancer with sacituzumab govitecan and a rad51 inhibitor
WO2018187074A1 (en) 2017-04-03 2018-10-11 Immunomedics, Inc. Subcutaneous administration of antibody-drug conjugates for cancer therapy

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11508249A (ja) * 1995-06-21 1999-07-21 ソシエテ・ド・コンセイユ・ド・ルシエルシエ・エ・ダアツプリカーシヨン・シヤンテイフイツク・(エス.セー.エール.アー.エス) カンプトテシンの新規な同族体、その製造方法、その医薬としての用途及びこれを含有する医薬組成物
JP2000516933A (ja) * 1996-08-19 2000-12-19 バイオニューメリック ファーマシューティカルズ インク 極めて脂肪親和性のカンプトテシン誘導体

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB9512670D0 (en) * 1995-06-21 1995-08-23 Sod Conseils Rech Applic Camptothecin analogues

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11508249A (ja) * 1995-06-21 1999-07-21 ソシエテ・ド・コンセイユ・ド・ルシエルシエ・エ・ダアツプリカーシヨン・シヤンテイフイツク・(エス.セー.エール.アー.エス) カンプトテシンの新規な同族体、その製造方法、その医薬としての用途及びこれを含有する医薬組成物
JP2000516933A (ja) * 1996-08-19 2000-12-19 バイオニューメリック ファーマシューティカルズ インク 極めて脂肪親和性のカンプトテシン誘導体

Also Published As

Publication number Publication date
EP2007386A2 (en) 2008-12-31
WO2007123995A2 (en) 2007-11-01
PL2007386T3 (pl) 2013-01-31
JP5232770B2 (ja) 2013-07-10
CA2648895C (en) 2015-02-10
CN101478968A (zh) 2009-07-08
AU2007240737A1 (en) 2007-11-01
EP2007386B1 (en) 2012-08-22
EP2007386A4 (en) 2011-10-12
MX2008013105A (es) 2008-10-27
CA2648895A1 (en) 2007-11-01
AU2007240737B2 (en) 2011-12-08
WO2007123995A3 (en) 2008-09-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5232770B2 (ja) 新規な「反転した」ラクトン安定なe−環を有するカンプトテシン類似体並びにその製造及び使用方法
US7687487B2 (en) Camptothecin-analog with a novel, “flipped” lactone-stable, E-ring and methods for making and using same
US5633260A (en) 11,7 Substituted camptothecin derivatives and formulations of 11,7 substituted camptothecin derivatives and methods for uses thereof
Khaiwa et al. Camptothecin's journey from discovery to WHO Essential Medicine: Fifty years of promise
US5726181A (en) Formulations and compositions of poorly water soluble camptothecin derivatives
US5674874A (en) Lactone stable formulation of 7-ethyl 10-hydroxy camptothecin and methods for uses thereof
US20080045559A1 (en) Tocopherol-modified therapeutic drug compounds
WO2001008663A2 (en) Liposomal prodrugs comprising derivatives of camptothecin and methods of treating cancer using these prodrugs
JP4903936B2 (ja) カンプトテシン類似体及びその調製方法
US5597829A (en) Lactone stable formulation of camptothecin and methods for uses thereof
JP2000505448A (ja) カンプトテシン誘導体及び抗腫瘍剤としてのその利用
JP5467046B2 (ja) C7−置換カンプトテシン類似体
US7687497B2 (en) C10-substituted camptothecin analogs
CN101033230B (zh) 一类喜树碱衍生物及其应用
US7687496B2 (en) C7-substituted camptothecin analogs
JP5308447B2 (ja) C10−置換カンプトテシン類似体
US6593334B1 (en) Camptothecin-taxoid conjugates as antimitotic and antitumor agents
US20140073793A1 (en) Germanium-containing camptothecin analogues

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100405

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120911

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121109

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121211

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130207

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130305

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130325

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160329

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5232770

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees