JP5467046B2 - C7−置換カンプトテシン類似体 - Google Patents

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Description

(発明の分野)
本発明は、カンプトテシンの新規な類似体(アナログ)に関する。より詳細には、本発明は、カンプトテシン類似体及びその薬学的に許容可能な塩に関し、この類似体において、例えば、カレニテシン(登録商標)のB−環上のC7位に、ケイ素又はゲルマニウム含有側鎖の一つが種々の型の共有結合によって結合されている。
(発明の背景)
I. カンプトテシン(CPT)
カンプトテシン(CPT;IUPAC命名法:(S)−4−エチル−4−ヒドロキシ−1H−ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−3,14(4H,12H)−ジオン)及びその類似体のいくつかは、抗新生物(又は抗腫瘍)活性の程度を変化させる能力を有することが示されている。現在、2つのCPT類似体(以下に論じるイリノテカン(Irinotecan)(商標)及びトポテカン(Topotecan)(商標))が、米国における種々の形態の固形新生物(又は腫瘍)のための治療的使用について米国食品医薬品局(FDA)から認可されている。
CPTは、1966年にウォール(Wall)らによってカンレンボク(Camptotheca accuminata)(ヌマミズキ(Nyssaceae)科)、チュウゴクイチイ(Chinese yew)から最初に単離された。ウォール,M.E.(Wall, M. E.)ら、「植物化学療法剤I.カンレンボクからの新規なアルカロイド系白血病及び腫瘍阻害剤カンプトテシンの単離及び構造」、ジャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサエティー(Plant chemotherapeutic agents. I. The Isolation and Structure of Camptothecin, a Novel Alkaloidal Leukemia and Tumor Inhibitor from Camptotheca Acuminata, J. Am. Chem. Soc.) 88:3888−3890(1966)(非特許文献1)を参照のこと。
この最初に単離されたカンプトテシン(CPT)の構造を以下に示す。
Figure 0005467046
五環系には、ピロロ(pyztolo)[3,4−b]キノリン(環A、B及びC)、共役ピリドン(環D)及び20−ヒドロキシル基を有する六員ラクトン(環E)が含まれる。1970年代初めまでに、CPTは第1相及び第2相臨床試験に達し、抗腫瘍活性を有することが見出されたが、CPTの使用に付随する多くの有害な生理学的副作用が存在した。この副作用としては、重篤なかつ予測できない骨髄抑制(myelosuppression)、胃腸毒性、出血性膀胱炎、脱毛、下痢、悪心、嘔吐などが挙げられるが、これらに限定されない。初期の臨床研究の間に見出されたこれらの毒性のために、この期間の間、この薬物は「扱いにくい」ものであった。ムッジャ,F.M.(Muggia, F. M.)ら、「カンプトテシン(NSC−100880)を用いる週ごと及び日ごとの治療の第1相臨床試験:前臨床研究との相関」、キャンサー ケモテラピー リポーツ(Phase I Clinical Trial of Weekly and Daily Treatment With Camptothecin (NSC-100880): Correlation With Preclinical Studies, Cancer Chemother. Rep.) 56:515−521(1972)(非特許文献2);シェッピ,U.(Schaeppi, U.)ら、「カンプトテシン(NSC−100880)の毒性」、キャンサー ケモテラピー リポーツ(Toxicity of Camptothecin (NSC-100880), Cancer Chemother. Rep.) 5:25−36(1974)(非特許文献3)を参照のこと。
本発明の有用性及び新規性の両方を実証するために、非経口様式で投与されて行われたヒト臨床試験に関する公表された文献を簡単に総説することは参考となるであろう。CPTの物理化学的研究により、閉環したE−環ラクトン形のCPTが水に対して極めて溶解性に乏しいことが見出された(すなわち、1mLの水に約0.1μgの薬物が溶解する。)。さらに、2つのCPT鏡像異性体のうち、天然に存在する(S)−異性体は(R)−異性体よりもより効力を有することが見出された。例えば、モトワニ,M.V.(Motwani, M. V.)ら、「フラボピリドール(Flavo)は、HCT116細胞においてサイクリン依存性キナーゼ阻害剤p21waf1/cip1の下方制御に関連するSN−38誘導アポトーシスを増強する」、プロシーディングス オブ アメリカン アソシエーション キャンサー リサーチ(Flavopiridol (Flavo) Potentiates the SN-38-Induced Apoptosis in Association with Downregulation of Cyclin Dependent Kinase Inhibitor p21waf1/cip1 in HCT116 Cells), Proc. Am. Assoc. Cancer Res.) 41:32−43(2000)(非特許文献4)を参照のこと。種々の類似体のこれらの異なる性質は、CPTの核構造上の異なる化学置換基によって生じる。
それゆえ、その極めて乏しい水溶性が原因で、CPTは当初、CPTをヒト臨床試験において投与するために、水酸化ナトリウムを用いて処方された。この分子の水溶性(すなわち、親水性)を顕著に増大させて、十分な量の薬剤を患者に非経口投与できるようにするために、これらの初期臨床試験の全てがCPTの水酸化ナトリウム処方物を用いたことに留意されたい。CPTの水酸化ナトリウム処方物により、より水溶性の高いCPT種が作製され、臨床医がより高い濃度のCPTをより小さな薬物投与容量で投与することを可能にし、それによって、十分に高い用量の薬物を第1相及び第2相臨床試験を受ける癌を患う被験者に投与することを可能にした。しかしその後、この処方物は、カンプトテシン分子のラクトンE−環の加水分解を生じて、元々の非加水分解ラクトン形のCPTの抗腫瘍力の約1/10又はそれ以下しか有さない水溶性カルボキシラート形のCPTを形成することが立証された。水酸化ナトリウムで処方されたCPTを用いて実施された臨床試験は、頻繁に観察された有意な全身毒性及び抗新生物活性の欠如の両方のために、極めて期待に反するものであった。その後、この薬物の比較的低い親水性がこれらの副作用の最も重要な理由であったことが確認された。この薬物の有効用量を与えるためには、極めて大量の液体を被験体に投与しなければならないので、このラクトン形のCPTの低い水溶性によって、この薬物の実用上の臨床的有用性が大きく制限された。CPTラクトン形及び多くのその類似体の水中における強力な抗新生物活性及び乏しい水溶性のため、より高い水溶性を有する新たなCPTラクトン類似体を作製することに多大な努力が向けられた。水溶性CPT類似体は、開環したE−環形では大量に存在しないが、活性であるために、主として閉環したラクトン形にとどまっているはずである。それゆえ、閉環したラクトン形のほうに平衡が傾くCPT類似体が、投与のために望ましい。
II. CPTの薬理学的活性
初期のこれらの不本意な副作用にもかかわらず、CPTの作用機序(すなわち、トポイソメラーゼI阻害)が解明されたことにより、CPTへの臨床的関心の高まりが1980年代の間に喚起された。CPT類似体の作用機序に関するこの新たな情報のおかげで、抗新生物性薬物として使用するための新たなトポイソメラーゼI阻害剤の開発への関心が再燃し、その後、いくつかの研究グループが、癌治療のための新たなCPT類似体を開発する試みに着手した。シアン,Y.H.(Hsiang, Y. H.)ら、「カンプトテシンは哺乳類DNAトポイソメラーゼIを介してタンパク質結合DNAの破壊を誘導する」、ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー(Camptothecin Induces Protein-Linked DNA Breaks Via Mammalian DNA Topoisomerase I. J. Biol. Chem.) 260:14873−14878(1985)(非特許文献5);シアン,Y.H.;リュー,L.F.(Hsiang, Y. H.; Liu, L. F.)、「抗癌薬カンプトテシンの細胞内標的としての哺乳類DNAトポイソメラーゼIの同定」、キャンサー リサーチ(Identification of Mammalian DNA Topoisomerase I as an Intracellular Target of the Anticancer Drug Camptothecin. Cancer Res.) 48:1722−1726(1988)(非特許文献6);シアン,Y.H.(Hsiang, Y. H.)ら、「カンプトテシンによる細胞殺傷機構としての、薬物安定化されたトポイソメラーゼI DNA分割可能複合体による複製フォークの停止」、キャンサー リサーチ(Arrest of Replication Forks by Drug-Stabilized Topoisomerase I DNA Cleavable Complexes as a Mechanism of Cell Killing by Camptothecin. Cancer Res.) 49:5077−5082(1989)(非特許文献7)を参照のこと。
いくつかの臨床的に重要な抗癌薬は、DNAトポイソメラーゼに作用することによって腫瘍細胞を殺傷する。トポイソメラーゼは必須の核酵素であり、DNA複製並びに通常、複製、転写及びおそらく他のDNAプロセスの間に生じる三次構造の修飾(例えば、オーバーワインディング、アンダーワインディング及びカテネーション)において機能する。2つの主要なトポイソメラーゼ、すなわち、(i)一本鎖DNAを分割するトポイソメラーゼI(Topo I)及び(ii)二本鎖DNAを分割するトポイソメラーゼII(Topo II)が、全ての真核細胞に普遍的に存在する。トポイソメラーゼIはDNA複製に関与するものであり、移動する複製フォークの前に導入されたねじれひずみを取り除く。
トポイソメラーゼI(Topo I)は、765個のアミノ酸を含む100kDalの単量体ポリペプチドであり、染色体20q12−13.2上に位置する遺伝子によってコードされる。例えば、クリーマーズ,G.J.(Creemers, G. J.)ら、「トポイソメラーゼI阻害剤:トポテカン及びイリノテカン」、キャンサー トリートメント レビュー(Topoisomerase I Inhibitors: Topotecan and Irinotecan. Cancer Treat. Rev.) 20:73−96(1994)(非特許文献8);タキモト,C.H.;アーバック,S.G.(Takimoto, C. H.; Arbuck, S. G.)、「カンプトテシン」、キャンサー ケモテラピー アンド バイオテラピー、第2版(B.L.チャブナー、D.L.ロンゴ(編))(The Camptothecins. Cancer Chemother and Biother. 2nd edition (B. L. Chabner, D. L. Longo (eds))、463−384(1996)(非特許文献9)を参照のこと。この酵素は、DNA複製及びRNA転写において必須の酵素であり、全ての真核細胞(腫瘍細胞を含む。)に存在する。正常なDNAは超らせんでありかつ染色体において緊密に固定されているので、DNA複製フォークは、この位相的に制限されたDNAの外に新たなDNAを合成することができない。Topo Iは、超らせんDNAに結合してホスホジエステル結合を分割することによってATP−非依存様式で作用し、その結果、一本鎖を破壊する。同時に、Topo Iは、Topo Iの723位のチロシン残基と一本鎖DNA分子の3’末端との間で共有結合可逆的付加体を形成する。この付加体は、分割可能な複合体(cleavable complex)と呼ばれる。このDNA分子は、破壊されていない(intact)一本鎖DNAの周囲を自由に回転可能であり、DNAの緩和を生じる。分割のリライゲーション(religation)後、Topo IはDNAから解離する。この分割可能な複合体は、通常、分割されていない一本鎖DNAを解くことを可能にするためだけに短時間の間にのみ存在する。
詳細には、CPTは、Topo I−CPT−DNAで構成された可逆的な複合体を形成することが見出された。簡単にいえば、CPTの主要な作用機序とは、Topo Iの分割/追放(cleavage/relegation)反応の再結合工程を妨害することによるTopo Iの阻害であり、その結果として共有結合反応中間体(すなわち、分割可能な複合体)が蓄積される。CPTに基づく細胞性アポトーシスは、進行する複製フォークとTopo I DNA複合体との間の潜在する致死的な衝突を介するS期特異的な殺傷である。Topo Iの共有結合修飾に関するTopo I媒介性DNA損傷に対する2つの修復応答が同定されている。一つめは、ユビキチン/26Sプロテアソーム経路の活性化に伴うものであり、Topo Iの分解を引き起こす(CPT誘導性のTopo I下方制御)。二つめは、Topo Iへの小さなユビキチン様修飾因子(Small Ubiquitin-like Modifier (SUMO))の接合に伴うものである。これらのTopo I媒介性のDNA損傷に対する修復機構は、腫瘍細胞におけるCPT感受性及び抵抗性の決定に重要な役割を果たす。
ヒト結腸癌細胞又は子ウシ胸腺から精製されたTopo Iは、CPTによって阻害されることが明らかとなっている。CPT、イリノテカン(商標)(CPT−11)及び別のTopo I阻害剤であるトポテカンは、ある種類のヒト癌を治療するための臨床試験において用いられている。本発明の目的では、CPT類似体としては、7−エチル−10−[4−(1−ピペリジノ)−1−ピペリジノ]カルボニルオキシカンプトテシン(イリノテカン(商標)又はCPT−11)、10−ヒドロキシ−7−エチルカンプトテシン(HECPT)、9−アミノカンプトテシン、10,11−メチレンジオキシカンプトテシン及び9−ジメチルアミノメチル−10−ヒドロキシカンプトテシン(トポテカン)が挙げられる。これらのCPT類似体は、同一の機構によってTopo Iを阻害し、これらのCPT類似体は、この接触機構(catalytic mechanism)の中間体である、酵素と鎖が分割したDNAとの共有結合複合体を安定化する。これらの類似体は、単離されたDNA又はTopo Iのいずれに対しても結合親和性を有しないが、酵素−DNA複合体に対しては適度の親和性で結合する。CPT及び類似体によるTopo I「分割可能な複合体」の安定化は、容易に可逆的である。
トポイソメラーゼII(Topo II)は、Topo Iと類似の様式で機能するが、Topo IIがATP依存的に作用する点で異なり、DNAの緩和において、可逆的な二本鎖DNAの分割を引き起こす。CPTのTopo IIへの直接的な干渉は説明されていない。しかし、イリノテカン(商標)(CPT−11)による処置は、24及び48時間後にTopo II mRNAの発現を増加させることによって、マウスにおいてTopo II阻害剤に対していくつかの腫瘍異種移植片を鋭敏にすることが報告されている。このことは、ヒト固形腫瘍に対してTopo I及びTopo II標的化学療法を用いる併用療法が有益であるかも知れないことを示唆する。CPT類似体は、酵素が媒介して破壊される5’末端にグアニン残基を有するTopo I部位で、分割可能な複合体の安定化を選択的に誘導することによって、Topo Iのリライゲーション反応を阻害する。例えば、スヴァイストロップ,J.Q.(Svejstrup, J. Q.)ら、「真核生物トポイソメラーゼIの分割及びリライゲーション反応を切り離すための技術。特異的認識部位でのカンプトテシンの作用様式」、ジャーナル オブ モレキュラー バイオロジー(Technique for Uncoupling the Cleavage and Religation Reactions of Eukaryotic Topoisomerase I. The Mode of Action of Camptothecin at a Specific Recognition Site. J. Mol.Biol.) 222:669−678(1991)(非特許文献10);ジャクセル,C.(Jaxel, C.)ら、「カンプトテシンの存在下又は非存在下におけるトポイソメラーゼI分割に対する局所的DNA配列の影響」、ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー(Effect of Local DNA Sequence on Topoisomerase I Cleavage in the Presence or Absence of Camptothecin. J. Biol. Chem.) 266:20418−20423(1991)(非特許文献11);タニザワ,A.(Tanizawa, A.)ら、「カンプトテシンの存在下又は非存在下における子ウシ胸腺及び小麦胚芽由来のトポイソメラーゼI酵素によるトポイソメラーゼIc−DNAの分割の誘発」、ヌクレイック アシッズ リサーチ(Induction of Cleavage in Topoisomerase Ic-DNA by Topoisomerase I Enzymes From Calf Thymus and Wheat Germ in the Presence and Absence of Camptoehecin. Nucl. Acids Res.) 21:5157−5166(1994)(非特許文献12)を参照のこと。この安定化自体は可逆的であるが、複製フォークが分割可能な複合体と接触したときに不可逆的な二本鎖の破壊が生じる。Topo Iのレベルが高いほど、分割可能複合体と接触する頻度が高くなり、そしてDNA破壊の数も多くなる。これらの破壊は、細胞周期のS/G2期における分裂停止、アポトーシス経路の活性化及び最終的には細胞死をもたらし得る。例えば、シアン,Y.H.(Hsiang, Y. H.)ら、「カンプトテシンによる細胞殺傷機構としての、薬物安定化されたトポイソメラーゼI DNA分割可能複合体による複製フォークの停止」、キャンサー リサーチ(Arrest of Replication Forks by Drug-Stabilized Topoisomerase I DNA Cleavable Complexes as a Mechanism of Cell Killing by Camptothecin. Cancer Res.) 49:5077−5082(1989)(非特許文献7)を参照のこと。この結果、Topo I阻害剤は、進行中のDNA複製又はRNA転写の存在下において、単に破壊的であるにすぎない。例えば、D’アルパ,P.(D’Arpa, P.)ら、「トポイソメラーゼI毒の細胞殺傷機構における核酸合成の関与」、キャンサー リサーチ(Involvement of Nucleic Acid Synthesis in Cell Killing Mechanisms of Topoisomerase I Poisons. Cancer Res.) 50:6919−6924(1990)(非特許文献13)を参照のこと。S期に同調された細胞は、G1−又はG2/M−細胞に比べて、Topo I阻害剤に対してはるかに感受性が高いようであり、この型の薬物についてのS期特異的な細胞毒性が示唆された。例えば、タキモト,C.H.(Takimoto, C. H.)ら、「成人癌患者に対して毎週96時間注入投与されたイリノテカンの第1相及び薬理学的研究」ジャーナル オブ クリニカル オンコロジー(Phase I and Pharmacologic Study of Irinotecan Administered as a 96-Hour Infusion Weekly to Adult Cancer Patients. J. Clin. Oncol.) 18:659−667(2000)(非特許文献14)を参照のこと。結腸、前立腺、卵巣及び食道腫瘍においてTopo Iレベルの上昇が見出されたのに対し、腎臓腫瘍及び非ホジキンリンパ腫においてはTopo Iレベルの上昇は見出されなかった。例えば、バン デア ジー,A.(Van der Zee, A.)ら、「白金/シクロホスファミド化学療法前後の良性卵巣腫瘍及び悪性卵巣腫瘍におけるP−糖タンパク質発現並びにDNAトポイソメラーゼI及びII活性」、キャンサー リサーチ(P-glycoprotein Expression and DNA Topoisomerase I and II Activity in Benign Tumors of the Ovary and in Malignant Tumors of the Ovary, Before and After Platinum/Cyclophosphamide Chemotherapy. Cancer Res.) 51:5915−5920(1991)(非特許文献15)を参照のこと。最近の研究では、イリノテカン(商標)及びトポテカン(商標)が脈管形成(これらの化学療法活性に寄与し得る特性)の阻害剤でもあることが示された。新生血管形成は、種々のヒト腫瘍の浸潤及び転移の増大と明確に関連づけられている。マウス角膜モデルにおいて、イリノテカン(商標)(CPT−11)を含むいくつかのCPTの抗脈管形成効果が研究された。脈管形成は、線維芽細胞増殖因子によって誘発されるが、イリノテカン(商標)の用量を増加することによって、腫瘍における脈管形成領域が、ほぼ指数関数的な負の曲線に従って減少した。用量レベル210mg/kgで、新生血管形成の有意な低下が観察された。
CPT及び前述のCPT類似体は、Topo IIに対して識別可能な直接的な効果を有しないが、これらのCPT類似体は、エピポドフィロトキシン(epipodophyllotoxin)グリコシド及び種々のアントラサイクリンがTopo IIを阻害する方法に類似する様式でTopo I「分割可能な複合体」を安定化すると考えられる。
CPT及び類似体によるTopo Iの阻害は、タンパク質に結合したDNA一本鎖の破壊を誘発する。実質的には、CPTで処理された細胞においてインビトロ(in vitro)で破壊が観察されたDNA鎖の全てがタンパク質に結合している。しかし、説明できないタンパク質に結合されていないDNAの破壊の増加が、CPTで処理されたL1210細胞において検出できる。このCPT類似体は、末端標識された線状DNAにおいて同一のDNA分割パターンを生じるようである。CPT又はCPT類似体がTopo I酵素の非存在下でDNAを分割することは、未だ実証されていない。
III. カンプトテシンの細胞周期特異的活性
CPTの活性は、細胞周期特異的である。CPTに曝露された細胞において観察される最大の定量的な生化学的効果は、S期の間に起こるDNA一本鎖の破壊である。S期は細胞周期の比較的短い期間であるので、この薬物に長く曝露されると細胞殺傷が増大する。この薬物への腫瘍細胞の短時間の曝露は、ほとんど又は全く細胞殺傷を生じず、休止細胞が処理しにくい。これらの前述の結果は、2つの因子に起因するようである:
(i)この類の薬物は、Topo Iの正常な活性を可逆的に阻害する。この薬物は、DNA複製の間にDNA構造の潜在的に致死的な修飾を生じ得るが、DNA鎖の破壊は、この薬物を洗い流した後修復され得る。;及び
(ii)CPTなどのTopo I阻害剤で処理された細胞は、これらの薬物が除去されかつ分割したDNAが修復されるまで、細胞周期G期にとどまる傾向にある。これらの酵素の阻害剤は、複製、転写、再結合及び染色体分離を含む細胞の代謝の多くの局面において影響を及ぼす。
IV. 過去に試験されたカンプトテシン類似体
上記のように、CPT及びその多くの類似体(例えば、ウォール及びワニ(Wall and Wani)、「カンプトテシン及びタキソール」、ディスカバリー トゥ クリニック−第13回ブルース F. ケイン メモリアル アワード レクチャー キャンサー リサーチ(Camptothecin and Taxol:Discovery to Clinic-Thirteenth Bruce F. Cain Memorial Award Lecture Cancer Research) 55:753−760(1995)(非特許文献16)を参照のこと。)は、水溶性に乏しく、報告によれば、同様に多くの薬学的に許容可能な有機溶媒に対する溶解性も乏しい。しかし、新たに作製されたCPTの水溶性類似体に関する多くの報告書(サワダ,S.(Sawada, S.)ら、「トポイソメラーゼIの特異的阻害剤としての新規な水溶性カンプトテシン類似体の合成及び抗腫瘍活性」、ジャーナル オブ メディカル ケミストリー(Synthesis and Antitumor Activity of Novel Water Soluble Analogs of Camptothecin as Specific Inhibitors of Topoisomerase I. Jour. Med. Chem.) 38:395−401(1995)(非特許文献17))があり、これらの類似体は、癌を有する被験体へ水溶性に乏しいカンプトテシンを薬物投与することにおけるいくつかの重要な技術的問題を克服するために合成された。いくつかの水溶性CPT類似体は、乏しい水溶性及び被験体への投与の困難性に対処しようとして合成された。これらの水溶性CPT類似体のいくつかの例を、下記の表1に示す。
Figure 0005467046
異なる溶解性及び薬理学的特性を有する他の置換されたCPT類似体も、同様に合成されており、これらのカンプトテシン類似体の例としては、水性媒体にも非水性媒体にも溶解性に乏しい9−アミノカンプトテシン及び9−ニトロカンプトテシン(ルビテカン(Rubitecan))が挙げられ、これらの類似体は、ヒトにおいて試験されている。ルビテカン(9−ニトロカンプトテシン)は、9−アミノカンプトテシンのプロドラッグであり、水性媒体並びにインビボ(in vivo)マウス、イヌ及びヒトにおいて、9−アミノカンプトテシンにひとりでに変換することが明らかになっている(ヒンズ(Hinz)ら、「ヒト、イヌ及びマウスにおける9−ニトロ−20(S)−カンプトテシンの9−アミノ−20(S)−カンプトテシンへのインビボ及びインビトロ変換の薬物動力学」、キャンサー リサーチ(Pharmacokinetics of the in vivo and in vitro Conversion of 9-Nitro-20(S)-camptothecin to 9-Amino-20(S)-camptothecin in Humans, Dogs and Mice. Cancer Res.) 54:3096−3100(1994)(非特許文献18)を参照のこと。)。
9−ニトロカンプトテシン及び9−アミノカンプトテシンの薬物動力学的挙動は、血漿中半減期(plasma half lives)が、より脂溶性のCPT類似体よりも顕著に短いという点で、水溶性カンプトテシン類似体(すなわち、トポテカン(商標)及びイリノテカン(商標))に類似している。9−アミノカンプトテシンについての他の大きな問題は、半合成法を用いる9−アミノカンプトテシンの化学合成は、CPTのニトロ化、次いでアミノ基の還元によって行われるが、この方法は、非常に低収率な型の合成であることである。9−アミノカンプトテシンはまた、光感受性、熱感受性及び酸素感受性であるので、いくらよくみても、9−アミノカンプトテシンの初期合成及び合成後の安定性(すなわち、保存性)の両方に問題がある。また、9−アミノカンプトテシンの化学分解反応によって、ヌードマウスにおいて高い程度の毒性を示す類似体が頻繁に形成されるのに対し、純粋な9−アミノカンプトテシンは毒性が有意に低い。
既に論じたように、9−アミノカンプトテシンは、水性溶媒及び有機溶媒の両方において溶解性に乏しいので、被験体への投与も困難である。一方、9−ニトロカンプトテシンはより製造しやすく、かつ化学的により安定であるが、報告によれば、この薬物は、9−アミノカンプトテシンへの化学的変換によって、MDR/MRP腫瘍媒介性の薬物抵抗性を受けやすくなり、それによって、さらに、薬物抵抗性新生物の不運にも共通する設定における薬物の有用性が制限される。薬物動力学的挙動及び化学的特性に基づいて、9−アミノカンプトテシンは、より脂溶性のカンプトテシン類似体に対して組織浸透及び保持が低減されることが予測される。さらに、この薬物の乏しい溶解性によって、血液脳関門を横断できる薬物の量が減少する。
ヒトへの臨床開発がなされている多様な群の置換されたCPT類似体のうち、イリノテカン(商標)(CPT−11)は、ヒト癌患者における第1相及び第2相臨床試験の両方において最も広範に研究されているものの一つである。注目すべきことは、水溶性プロドラッグである7−エチル−10−[4−(1−ピペリジノ)−1−ピペリジノ]カルボニルオキシカンプトテシン(イリノテカン(商標))は、生物学的に不活性であり、推定カルボキシエステラーゼ酵素による活性化を必要とすることである。イリノテカン(商標)の活性種は、脱ピペリデニル化された(depiperidenylated)10−ヒドロキシ−7−エチルカンプトテシン(ミヤサカ(Miyasaka)ら、米国特許第4,473,692号(1984)(特許文献1)において特許請求された)であり、この活性種はまた、SN38としても知られる。SN38は、毒性の親油性代謝物であり、推定カルボキシエステラーゼ酵素によるイリノテカン(商標)のインビボ生物活性化によって形成される。
SN38は、非常に水溶性に乏しく、ヒト癌患者に対して直接投与されていない。近年、ヒト患者において、SN38がさらなる代謝を受けてグルクロニド種を形成することが報告されている。このグルクロニド種は、抗腫瘍活性について薬物の不活性形であり、ヒト毒性(例えば、下痢、白血球減少症)の発生並びに遊離代謝物及びそのグルクロニド抱合体の薬物レベルにおける実質的な患者間の変動性にも関与するようである。
イリノテカン(商標)は、米国、欧州及び日本においてヒト臨床試験が行われている。日本の臨床試験だけで、イリノテカン(商標)薬物毒性を直接的な理由とした約100名の患者の死が報告されている。ミヤサカ(Miyasaka)らの特許(米国特許第4,473,692号(特許文献1)及び米国特許第4,604,463号(特許文献2))には、これらの発明の目的は「・・・抗腫瘍活性が強力であり、かつ非常に低い毒性で生体における良好な吸収性を有する10−置換カンプトテシンを提供する」こと及び「・・・抗腫瘍活性が強力であり、かつ良好な水溶性及び極めて低い毒性を有する新たなカンプトテシン類似体を提供する」ことにあると記載されている。
多剤併用に関連するヒトの死及び患者への重篤な毒性を示すことは、上記の目的を満足させるためにミヤサカ(Miyasaka)らによって合成された前述の10−置換カンプトテシンの明らかな欠点である。癌を有するヒト被験体におけるイリノテカン(商標)の使用において、種々の形態の薬物レベル、薬物代謝、ある種の薬物動力学特性及び毒性に関して患者間に極めて大きな変動性があることが報告されていることは、注目に値する。イリノテカン(商標)の非経口投与によって、イリノテカン(商標)のマイクロモルの血漿中濃度を達成でき、このイリノテカンは、代謝を経てSN38を形成して、ナノモル濃度の活性代謝物SN38を生じることができる。近年、ヒト被験体において、SN38が、さらに代謝を受けてSN38グルクロニドを形成することが報告されている(例えば、グプタ(Gupta)ら、「ヒトにおけるイリノテカンの代謝の結末:グルクロニド化と下痢との相関」、キャンサー リサーチ(Metabolic Fate of Irinotecan in Humans:Correlation of Glucuronidation with Diarrhea. Cancer Res.) 54:3723−3725(1994)(非特許文献19)を参照のこと。)。
報告によれば、イリノテカン(商標)のSN38への変換の大きな変動性、及びヒト被験体において不活性な(かつ毒性の)SN38グルクロニド抱合体を形成するSN38の代謝の大きな変動性が患者間に存在するので、イリノテカン(商標)のさらなる代謝的変換は重要である(例えば、グプタ(Gupta)ら、「ヒトにおけるイリノテカンの代謝の結末:グルクロニド化と下痢との相関」、キャンサー リサーチ(Metabolic Fate of Irinotecan in Humans:Correlation of Glucuronidation with Diarrhea. Cancer Res.) 54:3723−3725(1994)(非特許文献19)及びオオエ(Ohe)ら、「CPT−11の連続5日間の注入における第1相研究及び薬物動力学」、ジャーナル オブ ザ ナショナル キャンサー インスティテュート(Phase I Study and Pharmacokinetics of CPT-11 with 5-Day Continuous Infusion. JNCI) 84(12):972−974(1992)(非特許文献20)を参照のこと。)。
イリノテカン(商標)及び代謝されたSN38の量は、個々の患者において予測できないので、以下の5つの推定の生物学的機構に起因して重要な臨床的制限が提示され、生命にかかわる薬物毒性の危険及び/又は薬物不活性の危険を生じる:(i)より大量のイリノテカン(商標)のSN38への変換;(ii)グルクロニド化によるSN38の不活性化;(iii)SN38グルクロニドの遊離SN38への変換;(iv)より少量のイリノテカン(商標)が変換されてSN38を形成することに起因する抗新生物活性の欠如;及び(v)SN38がより速やかにかつ多く変換されてグルクロニド種を形成することによる抗新生物活性の欠如。遊離SN38がナノモル濃度で抗新生物活性を示すので、強力なイリノテカン(商標)代謝物SN38の血漿中濃度の倍増でさえ、有意な毒性をもたらし得ることに留意されたい。
患者間の変動性及び毒性の他の原因は、薬物の遊離かつ活性種を生成する、インビボにおけるSN38及び同様なCPT類似体の脱グルクロニド化である。A環グルクロニド化を受けやすいCPT類似体(SN38など)の脱グルクロニド化によって、遊離かつ活性形薬物の血漿中又は局所組織濃度が増大し、患者への毒性が十分に高いレベルに達した場合には、死まで至るかもしれない。
FDAにより認可された上述の2つの薬物に加えて、現在、種々の段階の臨床試験において評価されている、少なくとも9つのカンプトテシン類似体が存在する。これらのカンプトテシン類似体としては、以下が挙げられる。
1. カレニテシン(Karenitecin)(登録商標)(BNP1350)
カレニテシン(登録商標)(BNP1350)は、7−トリメチルシリルエチル部位を有する高度に親油性のカンプトテシン類似体であり、米国特許第5,910,491号(特許文献3)において、その処方物及び使用とともに特許請求されている。N−メチルピロリジノン(NMP)を含むカレニテシン(登録商標)の処方物は、例えば、米国特許第5,726,181号(特許文献4)において特許請求されている。
2. ルルトテカン(Lurtotecan)(NX211)
NX211は、10,11−エチレンジオキシ部位及びC7位に分解可能な4−メチルピペラジノメチル部位を有する水溶性カンプトテシンである。例として、米国特許第5,559,235号(特許文献5)には、この類似体ならびにその処方物及び使用が開示されかつ特許請求される。
3. エキサテカン(Exatecan)(DX−8951f)
DX−8951fは、10−メチル及び11−フルオロ置換を有する六環式カンプトテシン類似体であり、第6番目の環は、C7位とC9位との間で縮合している。一例として、限定はされないが、米国特許第5,637,770号(特許文献6)には、この類似体並びにその処方物及び使用が記載されかつ特許請求される。
4. ジフロモテカン(Diflomotecan)(BN80915)
BN80915は、7員のE−環を有する10,11−ジフルオロカンプトテシンである。一例として、限定はされないが、米国特許第5,981,542号(特許文献7)には、この類似体並びにその使用及び処方物が記載されかつ特許請求される。
5. ルビテカン(Rubitecan)(9−ニトロCPT)
上記のように、9−ニトロカンプトテシンは、水性溶媒及び有機溶媒の両方において溶解性に乏しく、米国特許においては記載されてはいるが特許請求されておらず、1982年に出願された特願昭57−160944号(特許文献8)において、この類似体が最初に公開されている。その後いくつかの特許が発行されており、これらは全て、この類似体を調製する方法並びにその使用に関するものである。
6. アフェレテカン(Afeletecan)(CPT複合糖質)
アフェレテカンは、C20複合糖質化された水溶性カンプトテシン類似体であり、米国特許第6,492,335号(特許文献9)において記載されかつ特許請求されている。
7. ギマテカン(ジマテカン)(Gimatecan)(ST1481)
ST1481は、末端tert−ブトキシ基に結合したC7イミノ部位を有する非水溶性化合物である。この類似体は、米国特許第6,242,457号(特許文献10)に記載されかつ特許請求されている。
8. ムレレテカン(Mureletecan)(PNU166148)
ムレレテカンは、C20位に結合されてエステルを形成する、分解可能なペプチド部位を有する他の水溶性プロドラッグである。
9. ペグベトテカン(Pegbetotecan)、ペグカモテカン(Pegcamotecan)、ペグリンキソテカン(Peglinxotecan)(PEG CPT:プロテカン(Prothecan)(登録商標))
このプロドラッグは、分解可能な水溶性ポリエチレングリコール部位を含み、このポリエチレングリコール部位は、C20位でエステルを形成する。例としては、この類似体は、米国特許第5,840,900号(特許文献11)に記載されかつ特許請求されている。
上述の9つのカンプトテシン類似体の種々の化学構造を、下記の表2に示す。
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水溶性に乏しい(すなわち、疎水性の)カンプトテシンは、必然的に、有機溶媒中に溶解又は懸濁されることによって投与用に処方される。米国特許第5,447,936号(特許文献12);同第5,726,181号(特許文献4);同第5,859,022号(特許文献13);同第5,859,023号(特許文献14);同第5,880,133号(特許文献15);同第5,900,419号(特許文献16);同第5,935,967号(特許文献17);同第5,955,467号(特許文献18);などは、種々の有機溶媒(すなわち、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA);N,N−ジメチルイソソルビド(DMI);及びN−メチルピロリジノン(NMP))中の、高度に親油性で水溶性に乏しいカンプトテシン類似体の医薬処方物を記載する。
VI. CPT及び類似体の処方物及び投与
1970年代の始めに、カンプトテシンのナトリウム塩を利用する臨床的研究が、ボルティモア癌研究センター(Baltimore Cancer Research Center)で開始された。この臨床試験において、CPTは、食塩水1ミリリットルあたり2mgのカンプトテシンナトリウムの濃度で、5〜10分をかけて、迅速な連続静注(IV)溶液として投与された。実際の又は仮想の(ideal)体重1kgあたり0.5〜10.0mgのCPTナトリウムの用量(どちらにせよ少なかった。)が使用された。これらの研究者は、初期試験の数例において出血性無菌(sterile)膀胱炎が認められたので、カンプトテシンナトリウムを受ける患者に、薬物投与後72時間の間に静脈内(i.v.)又は経口のいずれかにおいて十分に水分を与えたことを報告した。CPTの平均尿回収率は、最初の48時間の間に17.4%(3.6%〜38.9%の範囲である。)であり、そのほとんどが最初の12時間内に排泄されることは注目に値する。研究者らが排泄障害のある5名の患者を除外した場合、CPTの平均尿回収率は、22.8%であった。研究者らは、高濃度の非代謝カンプトテシンが、iv薬物投与の後速やかに尿中に現れたことに注目し、さらに、この所見が、3名の適度な脱水状態の患者に認められた滅菌出血性膀胱炎の原因であった可能性を言及するに至った。大量の排尿を維持することによってこの合併症を予防できるように思われるが、研究者らは、この身体を衰弱させるタイプの毒性の危険を低減する他の可能な方法として、尿pHの様々な変動を調査したことを報告した。
ムッジャ(Muggia)ら(カンプトテシン(NSC−100880)を用いる週ごと及び日ごとの治療の第1相臨床試験:前臨床研究との相関、キャンサー ケモテラピー リポーツ、パート 1(Phase I Clinical Trial of Weekly and Daily Treatment with Camptothecin (NSC-100880): Correlation with Preclinical Studies. Cancer Chemotherapy Reports, Part 1.) 56(4):515−521(1972)(非特許文献21))は、20〜67mg/mの範囲において4つの毎週の用量レベルでCPTナトリウム処置された15名の患者の第1相臨床試験の結果を報告した。毒性を伴う用量レベルで5日クールで処置された、ある程度の疾患を有する8名の患者においては、臨床的効果は観察されなかった。CPTは、1又は10mg/mLの濃度で投与され、常に静脈内プッシュ(push)によって投与された。膀胱炎は、この研究において観察された最も顕著な非血液毒性効果であった。膀胱毒性は、20〜30mg/mの用量を受ける3名の患者において用量を制限し、30及び44mg/mの用量で、さらに2名の患者において生じた。膀胱炎、カンプトテシンを用いる処置後に頻繁に起こる他の毒性作用は、前臨床毒性研究によって予期されなかった。臨床経験者である本発明者らは、膀胱炎の発症が、患者がこの薬物に曝露される期間に関連しているかもしれないことを示唆することになる。この示唆は、投与された薬物が尿中に高い割合で占めることはできないが、CPTは腎臓によって変化されずに排泄されるという本発明者らの経験によるものである。CPTの胆汁への極めて活発な輸送が実証されているので、比較的少ない薬物が動物の尿において排泄されることは起こり得る。あるいは、ヒト膀胱の粘膜がCPTの毒作用に対してより感受性を有する、又はヒト膀胱に対する効果がいくつかの未認識CPT代謝物に起因すると仮定する必要がある。
1972年に、モルテル(Moertel)及び共同研究者ら(「進行性胃腸癌の処置におけるカンプトテシン(NSC−100880)の第2相試験」、キャンサー ケモテラピー リポーツ.(Phase II study of Camptothecin(NSC-100880) in the treatment of advanced gastrointestinal cancer. Cancer Chemother Rep.) 56(1):95−101(1972)(非特許文献22))は、2mg/mLの濃度で生理食塩水に溶解したCPTナトリウムを投与し、5〜10分かけて速やかな静脈内注入によって投与した。この研究において、以下の2つの投与スケジュールが用いられた:(i)3週間間隔で繰り返された単回注射;及び(ii)4週間ごとに繰り返された5日クール。この単回用量方法のための当初の用量は、180mg/mであった。研究者らによって過度であると判断された毒作用のために、それより後の患者は、90〜120mg/mの間の用量範囲で処置された。5日クールのための投与量は、11〜22mg/m/日の範囲であった(総クール:55〜110mg/m)。この前述の研究から得られた毒性及び応答データを、以下表3〜表6に要約する。下痢は、便失禁の点で非常に深刻であり、4週間の間持続する可能性があったが、高用量での問題に過ぎなかった。膀胱炎は、通常、処置後約7〜10日で始まり、臨床的に排尿障害及び頻度を特徴とした。毒性がより深刻になるにつれて、肉眼血尿が発症した。病理学的には、この肉眼血尿は、骨盤腎(kidney pelvis)から膀胱への尿路全体に関与し得る多発性壊死性潰瘍を特徴とした。研究者らによると、CPTを用いるさらなる処置は、出血性膀胱炎の発生によって妨げられず、出血性膀胱炎の重篤度は、その後のクールにおいて用量を低減することによって少しずつ下げる(titrated down)ことができた。研究者らはまた、スケジュールが長期になるにつれ、所定の総用量レベルにおける毒性がより重篤になるが、その差は前臨床動物研究によって予期されていたほどには大きくなかったことを報告した。
研究者らは、CPTナトリウムの妥当な初期用量が単回注射方法の場合110〜120mg/m又は5日クールの場合17mg/m/日(総用量:85mg/m)であることを提案した。研究者らは、2か月(8又は9週)後、61名の患者のうち2名のみが部分的な客観的改善の証拠を示し、3か月で改善を示した者はいなかったことに注目した。2か月で客観的な応答を示した両患者は、大きな腸癌を患っていた。研究者らは、CPTが「胃腸の癌の治療において臨床的価値を有しない、変幻自在でかつ予測不能な毒性を有する薬物である」と結論づけた。
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他の研究において、ゴットリーブ及びリュス(Gottlieb and Luce)(カンプトテシン(NSC−100880)を用いる悪性黒色腫の治療、キャンサー ケモテラピー リポーツ、パート 1(Treatment of Malignant Melanoma with Camptothecin (NSC-100880). Cancer Chemotherapy Reports, Part 1) 56(1):103−105(1972)(非特許文献23))は、CPTナトリウムを用いて悪性黒色腫を有する患者を治療した結果を報告した(1972)。進行性悪性黒色腫を有する15名の患者が、2週間ごとに繰り返される90〜360mg/mの用量で、CPTで処置された。CPTナトリウムは、2週間間隔で繰り返される120mg/mの用量で開始する単回の迅速な静脈内(IV)注射として投与された。その後のクールにおける用量は、最小限の毒性を有する初期用量を許容した8名の患者において、1用量あたり60mg/mの増分で(最大360mg/mまで)増加させた。この薬物の公知の膀胱毒性を予防するために、患者には、処置後3日間十分に水分を与えた。腫瘍直径が50%又はそれ以上減少した患者はいなかった。ほとんど目立たない一時的な腫瘍の退化が3名の患者においてみられたが、これらの応答に関連する臨床的効果はなかった。残りの患者は、それぞれの疾患において変化も進行もみられなかった。毒性効果としては、骨髄抑制(11名の患者)、悪心及び嘔吐、脱毛、下痢並びに出血性膀胱炎が挙げられた。研究者らは、少なくともこの研究において投与されたように、CPTが進行性の播種性黒色腫の患者の助けにはほとんどならないと結論づけた。
クレーベン(Creaven)ら(5日クールの治療の間の血漿中カンプトテシン(NSC−100880)レベル:用量と毒性との関係、キャンサー ケモテラピー リポーツ、パート 1(Plasma Camptothecin (NSC-100880) Levels During a 5-Day Course of Treatment: Relation to Dose and Toxicity. Cancer Chemotherapy Reports, Part 1) 56(5):573−578(1979)(非特許文献24))は、5日クールの治療の間の血漿中のCPTレベルの研究を報告した。研究者らは、初期臨床評価の過程でCPTの毒性が広範囲でかつ予測不能に変動的であったことを述べている。明らかな腎臓疾患を有する患者が除外されたにもかかわらず、重篤な毒性効果は現れた。この研究において、全5日のスケジュールにわたって1日1回投与されたCPTナトリウム投与の24時間後の血漿中CPTレベルを調べ、このような測定が毒性予測において価値あるものであるか否かを決定し、そして血漿中CPTレベルは、用量が6.5〜20mg/m/日の範囲にある場合に与えられた用量にほとんど関係しないことを観察した。
ナトリウムCPTを利用するこれらの前述の研究において共通性が認められるいくつかの特徴がある。第一は、ナトリウム−CPTの使用であり、これは、カルボキシル化種を形成するためにラクトンE−環を加水分解することよって(すなわち、水酸化ナトリウム中にCPTを処方することによって)CPTをより水溶性にしたものである。このCPTのカルボキシル化形の抗腫瘍活性は少なくとも10倍低減し、これらの研究における臨床的応答の欠如の原因の一部となる。第二は、この薬物の迅速な静脈内投与である。CPTは、S期特異的な薬物であり、それゆえに、連続的な静脈内注入のように、長期間にわたる曝露条件下で、より大きな化学療法的効果を示すであろう。これらの全研究における短い注入(i.v.「プッシュ」又は迅速なi.v.注入)時間によって、適切なレベルでの薬物の十分に長い時間の曝露ができ、さらに、CPTの水溶性カルボキシル化形の投与によってより短くなる(compounded)。第三の共通の特徴は、ナトリウムCPTを用いるこれらの研究における膀胱炎の著しい頻度である。
米国特許第4,473,692号 米国特許第4,604,463号 米国特許第5,910,491号 米国特許第5,726,181号 米国特許第5,559,235号 米国特許第5,637,770号 米国特許第5,981,542号 特願昭57−160944号 米国特許第6,492,335号 米国特許第6,242,457号 米国特許第5,840,900号 米国特許第5,447,936号 米国特許第5,859,022号 米国特許第5,859,023号 米国特許第5,880,133号 米国特許第5,900,419号 米国特許第5,935,967号 米国特許第5,955,467号
ジャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサエティー 88:3888−3890(1966) キャンサー ケモテラピー リポーツ 56:515−521(1972) キャンサー ケモテラピー リポーツ 5:25−36(1974) プロシーディングス オブ アメリカン アソシエーション キャンサー リサーチ 41:32−43(2000) ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー 260:14873−14878(1985) キャンサー リサーチ 48:1722−1726(1988) キャンサー リサーチ 49:5077−5082(1989) キャンサー トリートメント レビュー 20:73−96(1994) キャンサー ケモテラピー アンド バイオテラピー、第2版(B.L.チャブナー、D.L.ロンゴ(編))、463−384(1996) ジャーナル オブ モレキュラー バイオロジー 222:669−678(1991) ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー 266:20418−20423(1991) ヌクレイック アシッズ リサーチ 21:5157−5166(1994) キャンサー リサーチ 50:6919−6924(1990) ジャーナル オブ クリニカル オンコロジー 18:659−667(2000) キャンサー リサーチ 51:5915−5920(1991) ディスカバリー トゥ クリニック−第13回ブルース F. ケイン メモリアル アワード レクチャー キャンサー リサーチ 55:753−760(1995) ジャーナル オブ メディカル ケミストリー 38:395−401(1995) キャンサー リサーチ 54:3096−3100(1994) キャンサー リサーチ 54:3723−3725(1994) ジャーナル オブ ザ ナショナル キャンサー インスティテュート 84(12):972−974(1992) キャンサー ケモテラピー リポーツ、パート 1. 56(4):515−521(1972) キャンサー ケモテラピー リポーツ.56(1):95−101(1972) キャンサー ケモテラピー リポーツ、パート 1 56(1):103−105(1972) キャンサー ケモテラピー リポーツ、パート 1 56(5):573−578(1979)
(発明の要旨)
依然として、カンプトテシン類似体、例えば、(i)高度に親油性であり;(ii)実質的なラクトン安定性を有し;(iii)血漿中の半減期が長く;(iv)血漿タンパク質に対する薬物−結合親和性を低減させ;(v)もとの化合物の薬物のバイオアベイラビリティを改善するヒト血漿中の遊離薬物の量を増加させ;(vi)細胞内の薬物取り込みを増大させ;そして(vii)抗腫瘍活性に関して薬物の不活性形態であるグルクロニド種の形成(グルクロニド化(glucuronidation))を減少させるカンプトテシン類似体が必要とされている。
本発明において開示されかつ特許請求されたカンプトテシン類似体(アナログ)及びその薬学的に許容可能な塩は、種々の型の癌に対して強力な化学療法活性を示す新規なクラスの化学療法化合物である。この発明において開示された類似体は、他のカンプトテシン誘導体に類似のトポイソメラーゼI阻害活性を有しつつ、優れたバイオアベイラビリティ及び組織侵入のために合理的に設計された新規な構造修飾も有し、ヒト及び他の哺乳類の癌において共通する不都合な代謝及び薬物耐性機構を付随的に回避する。
本発明は、抗腫瘍剤カンプトテシンの類似体を開示する。この類似体において、例えば、カレニテシン(登録商標)のB−環上のC7位に結合されたケイ素含有側鎖に、置換基の一つが種々の型の共有結合によって結合されている。しかし、カレニテシン(登録商標)のケイ素は、ゲルマニウムに置き換わっていてもよいことに留意されたい。これらの類似体は、両親媒性であり、極性の側鎖を利用して、タンパク質結合を減少させ、かつ細胞内取り込み及び組織蓄積を増大させる。これらのカンプトテシン類似体の側鎖上の極性基は、ラクトン安定性及び薬物の効力の両方を付随的に維持しながら血漿タンパク質結合性を改良するように、血漿タンパク質に対する薬物−結合親和性を低減させる。ヒト血漿中の遊離の(すなわち、血漿タンパク質に結合していない)薬物の増大によって、もとの化合物のバイオアベイラビリティが改善される。また、既に論じたように、カンプトテシン分子のラクトンE−環の加水分解(したがって水溶性カルボキシラート形を形成する。)は、元々の加水分解されていない閉環したラクトンE−環形のカンプトテシン分子の抗腫瘍力の約1/10又はそれ以下しか有さない。
本発明の類似体は、高度に有効な化学療法薬物として有意な有用性を有し、以前に開示されたカンプトテシン誘導体よりも有意に毒性が低い。この新規な類似体はまた、A−環又はB−環のグルクロニド化(及び暗に脱グルクロニド化)も;プロドラッグが必要とする代謝活性化も受けないかもしれない。さらに、グルクロニド化を受けないことによって、有害な生理学的副作用(例えば、下痢,白血球減少症)が減少し、そして遊離代謝物及びそのグルクロニド抱合体の薬物レベルの実質的な患者間の変動性も緩和され得る。
本発明には、以下の抗癌カンプトテシン類似体(1)〜(5)が含まれる。
(1)以下からなる群より選択される抗癌カンプトテシン類似体:
11−(4S)−[2−(ジメチルビニルシラニル)−エチル]−4−エチル−4−ヒドロキシ−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン;
11−(4S)−[2−(ジメチルビニルシラニル)−エチル]−4−エチル−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−4−イルエステル;
11−(4S)−[2−(クロロメチルジメチルシラニル)−エチル]−4−エチル−4−ヒドロキシ−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン;
11−(4S)−[2−(ヨードメチルジメチルシラニル)−エチル]−4−エチル−4−ヒドロキシ−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン;
11−(4S)−{2−[(ベンジルアミノメチル)−ジメチルシラニル]−エチル}−4−エチル−4−ヒドロキシ−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン;
酢酸−(4S)−{[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチルシラニル}−メチルエステル;
(4S)−4−エチル−4−ヒドロキシル−11−[2−(ヒドロキシメチルジメチルシラニル)−エチル]−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン;
(2R,4S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−({[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチル−シラニル}−メチルスルファニル)−プロピオン酸メチルエステル;
チオ酢酸S−({[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチルシラニル}−メチル)エステル;
4S−4−エチル−4−ヒドロキシ−11−{2−[(3−ヒドロキシプロピル)−ジメチルシラニル]−エチル}−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン;
(4S)−11−{2−[(3−ブロモプロピル)−ジメチルシラニル]−エチル}−4−エチル−4−ヒドロキシ−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン;
(4S)−11−{2−[(3−ヨードプロピル)−ジメチルシラニル]−エチル}−4−エチル−4−ヒドロキシ−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン;
(4S)−11−{2−[(3−ベンゼンスルホニルプロピル)−ジメチルシラニル]−エチル}−4−エチル−4−ヒドロキシ−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン;
(4S)−4−エチル−4−ヒドロキシ−11−{2−[(3−イミダゾール−1−イル−プロピル)−ジメチル−シラニル]−エチル}−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン;
(4S)−11−{2−[ジメチル(3−[1,2,4]トリアゾール−1−イル−プロピル)−シラニル]−エチル}−4−エチル−4−ヒドロキシ−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン;
(4S)−11−{2−[(3−ジメチルアミノプロピル)−ジメチルシラニル]−エチル}−4−エチル−4−ヒドロキシ−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン;
(4S)−11−(2−{ジメチル[3−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−プロピル]−シラニル}−エチル)−4−エチル−4−ヒドロキシ−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン;
(4S)−(3−{[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチルシラニル}−プロピル)−ホスホン酸ジメチルエステル;
(4S)−酢酸11−{2−[(3−ブロモプロピル)−ジメチルシラニル]−エチル}−4−エチル−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−4−イルエステル;
(4S)−酢酸11−{2−[(3−アジドプロピル)−ジメチルシラニル]−エチル}−4−エチル−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−4−イルエステル;
トリフルオロアセタート−(4S)−3−{[2−(4−アセトキシ−4−エチル−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチルシラニル}−プロピルアンモニウム;
酢酸(4S)−11−(2−{ジメチル−[3−(2,2,2−トリフルオロアセチルアミノ)−プロピル]−シラニル}−エチル)−4−エチル−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−4−イルエステル;
(4S)−N−(3−{[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチル−シラニル}−プロピル)−2,2,2−トリフルオロ−アセトアミド;
酢酸(4S)−11−(2−{ジメチル−[3−(3−フェニルウレイド)−プロピル]−シラニル}−エチル)−4−エチル−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−4−イルエステル;
(4S)−1−(3−{[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチルシラニル}−プロピル)−3−フェニル尿素;
酢酸(4S)−11−(2−{[3−(3,3−ジエチルウレイド)−プロピル]−ジメチルシラニル}−エチル)−4−エチル−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−4−イルエステル;
(4S)−1,1−ジエチル−3−(3−{[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチル−シラニル}−プロピル)−尿素;
酢酸(4S)−11−(2−{[3−(3,3−ジメチルウレイド)−プロピル]−ジメチルシラニル}−エチル)−4−エチル−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−4−イルエステル;
(4S)−3−(3−{[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチルシラニル}−プロピル)−1,1−ジメチル尿素;
(4S)−11−[2−(ジメチル[1,2,4]トリアゾール−1−イルメチルシラニル)−エチル]−4−エチル−4−ヒドロキシ−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン;
(4S)−11−{2−[ジメチル−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イルメチル)−シラニル]−エチル}−4−エチル−4−ヒドロキシ−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン;
(4S)−11−[2−(ジメチル−ピロリジン−1−イルメチル−シラニル)−エチル]−4−エチル−4−ヒドロキシ−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン;
(4S)−11−{2−[ジメチル(1−メチル−1H−イミダゾール−2−イルスルファニルメチル)−シラニル]−エチル}−4−エチル−4−ヒドロキシ−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン;
(4S)−11−{2−[(4,5−ジヒドロ−チアゾール−2−イルスルファニルメチル)−ジメチルシラニル]−エチル}−4−エチル−4−ヒドロキシ−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン;
(4S)−4−エチル−4−ヒドロキシ−11−{2−[(2−ヒドロキシ−エチルスルファニルメチル)−ジメチル−シラニル]−エチル}−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン;
(4S)−11−[2−(アジドメチルジメチルシラニル)−エチル]−4−エチル−4−ヒドロキシ−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン;
(4S)−4−クロロ−N−({[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチルシラニル}−メチル)−ベンゼンスルホンアミド;
酢酸(4S)−11−[2−(アジドメチルジメチルシラニル)−エチル]−4−エチル−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−4−イルエステル;
トリフルオロアセタート(4S)−{[2−(4−アセトキシ−4−エチル−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチルシラニル}−メチルアンモニウム;
酢酸(4S)−11−(2−{ジメチル−[(3−フェニルウレイド)−メチル]−シラニル}−エチル)−4−エチル−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−4−イルエステル;
(4S)−1−({[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチルシラニル}−メチル)−3−フェニル尿素;
酢酸(4S)−11−{2−[(3,3−ジエチル−ウレイドメチル)−ジメチル−シラニル]−エチル}−4−エチル−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−4−イルエステル;
(4S)−1,1−ジエチル−3−({[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチルシラニル}−メチル)−尿素;
酢酸(4S)−11−{2−[(3,3−ジメチルウレイドメチル)−ジメチルシラニル]−エチル}−4−エチル−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−4−イルエステル;
(4S)−3−({[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチルシラニル}−メチル)−1,1−ジメチル尿素;
(4S)−4−エチル−4−ヒドロキシ−11−[2−(ヒドロキシジメチルシラニル)−エチル]−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン;
3−{[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチルシラニル}−プロピオン酸;
3−{[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチル−シラニル}−N,N−ジメチル−プロピオンアミド;
2−(3−{[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチル−シラニル}−プロピオニルアミノ)−ペンタン二酸ジベンジルエステル;
2−(3−{[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチル−シラニル}−プロピオニルアミノ)−ペンタン二酸;
11−{2−[ジメチル(3−トリエチルシラニルオキシ−プロピル)−シラニル]−エチル}−4−エチル−4−ヒドロキシ−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン;
炭酸ベンジルエステル11−{2−[ジメチル−(3−トリエチルシラニルオキシ−プロピル)−シラニル]−エチル}−4−エチル−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−4−イルエステル;
炭酸ベンジルエステル4−エチル−11−{2−[(3−ヒドロキシ−プロピル)−ジメチル−シラニル]−エチル}−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−4−イルエステル;
安息香酸3−{[2−(4−ベンジルオキシカルボニルオキシ−4−エチル−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチル−シラニル}−プロピルエステル;
安息香酸3−{[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチル−シラニル}−プロピルエステル;
フラン−2−カルボン酸3−{[2−(4−ベンジルオキシカルボニルオキシ−4−エチル−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチル−シラニル}−プロピルエステル;
フラン−2−カルボン酸3−{[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチル−シラニル}−プロピルエステル;
チオフェン−2−カルボン酸3−{[2−(4−ベンジルオキシカルボニルオキシ−4−エチル−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチル−シラニル}−プロピルエステル;
酢酸3−{[2−(4−ベンジルオキシカルボニルオキシ−4−エチル−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチル−シラニル}−プロピルエステル;
酢酸3−{[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチル−シラニル}−プロピルエステル;
シクロブタンカルボン酸3−{[2−(4−ベンジルオキシカルボニルオキシ−4−エチル−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチル−シラニル}−プロピルエステル;
シクロブタンカルボン酸3−{[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチル−シラニル}−プロピルエステル;
イソオキサゾール−5−カルボン酸3−{[2−(4−ベンジルオキシカルボニルオキシ−4−エチル−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチル−シラニル}−プロピルエステル;
2,3−ジヒドロ−イソオキサゾール−5−カルボン酸3−{[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチル−シラニル}−プロピルエステル;
及びそれらの薬学的に許容可能な塩;
(2)下記構造式を有する抗癌カンプトテシン類似体:
Figure 0005467046
(式中、R はメチルであり;R はメチルであり;並びにR はビニル、クロロメチル、ヨードメチル、アセトメチル、ヒドロキシメチル、チオアセトキシメチル、ヒドロキシプロピル、3−ベンゼンスルホニルプロピル、3−イミダゾール−1−イル−プロピル、3−[1,2,4]トリアゾール−1−イル−プロピル、3−ジメチルアミノプロピル、3−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−プロピル、リン酸誘導体(−(CH −P(O)(OCH )、3−(トリフルオロアセトアミノ)プロピル、3−(N’−フェニルウレイド)プロピル、N’−フェニルウレイドメチル、3−(N’,N’−ジエチルウレイド)プロピル、N’,N’−ジエチルウレイドメチル、3−(N’,N’−ジメチルウレイド)プロピル、N’,N’−ジメチルウレイドメチル、[1,2,4]トリアゾール−1−イルメチル、2−オキソ−2H−ピリジン−1−イルメチル、ピロリジン−1−イルメチル、1−メチル−1H−イミダゾール−2−イルスルファニルメチル、2−[4,5−ジヒドロ−チアゾール−2−イルスルファニルメチル、2−ヒドロキシ−エチルスルファニルメチル、4−クロロベンゼンスルホンアミドメチル、及びヒドロキシからなる群より選択される。)
及びそれらの薬学的に許容可能な塩;
(3)下記構造式を有する抗癌カンプトテシン類似体:
Figure 0005467046
(式中、R はメチルであり;R はメチルであり;並びにR は2−カルボキシエチル、2−(N,N−ジメチルカルバモイル)エチル、下記グルタミン酸ジベンジル誘導体
Figure 0005467046
(式中、Bnはベンジル基を示す)、下記グルタミン酸誘導体
Figure 0005467046
からなる群より選択される。)
及びそれらの薬学的に許容可能な塩;
(4)下記構造式を有する抗癌カンプトテシン類似体:
Figure 0005467046
(式中、R はメチルであり;R はメチルであり;並びにR は下記L−システイン誘導体
Figure 0005467046
(式中、Bocはt−ブトキシカルボニル基を示し、Meはメチル基を示す)、3−ベンゾイルオキシプロピル、2−フロイルオキシプロピル、アセトキシプロピル、シクロブタンカルボニルオキシプロピル、5−オキサゾールカルボニルオキシプロピルからなる群より選択される。)
及びそれらの薬学的に許容可能な塩;並びに
(5)上記化合物(1)〜(4)の各々に対応する抗癌カンプトテシン類似体であって、前記化合物の各々においてケイ素がゲルマニウムと置き換えられている抗癌カンプトテシン類似体。
本発明には、薬学的に有効な量の上記抗癌カンプトテシン類似体(1)〜(5)のいずれかと1又はそれ以上の薬学的に許容可能な担体とが混合されている組成物が含まれる。
本発明には、また、癌を治療する方法であって、前記治療の必要な患者に、薬学的に有効な量の前記組成物を投与することを含む方法が含まれる。
本発明には、さらに、癌を治療するための薬剤であって、上記抗癌カンプトテシン類似体(1)〜(5)のいずれかを含む薬剤が含まれる。
したがって、要約すると、本発明の新規なカンプトテシン類似体及びその薬学的に許容可能な塩の多くは、(i)インビトロ(in vitro)でヒト及び動物の腫瘍細胞の増殖を阻害する強力な抗腫瘍活性(すなわち、ナノモル又はナノモル以下の濃度において)を有し;(ii)トポイソメラーゼIを強力に阻害し;(iii)MDR/MRP薬物耐性に対する感受性を欠き;(iv)代謝薬物(代謝作用薬)の活性化を必要とせず;(v)A−環又はB−環のグルクロニド化を受けず;及び(vi)低分子量(例えば、MW<600)である。
B−環のC7位は、有用な薬学的、生物学的及び化学的特性をこれらの新たな合成物に付与する新規な化学置換基を用いる化学修飾の好ましい部位の1つである。
本発明の目的は、新規なC7−置換カンプトテシン類似体を調製するための容易でかつ極めて有効な合成方法を提供することにある。
他の目的は、抗癌剤として高度に有効な、新たなかつ有用なカンプトテシン類似体を提供することにある。
別の目的は、以下の明細書及び特許請求の範囲を読むことにより明らかとなるであろう。
(発明の詳細な説明)
(定義)
「骨格」とは、所定の式で表される分子の不変の構造部を意味する。
「フラグメント」、「部位(又は部分)」、又は「置換基」は分子の可変部であり、式中においてR、X、又は他の記号などの可変記号によって示される。フラグメントは、以下の1以上からなるものであってもよい:
「C−Cアルキル」とは、一般に、x個〜y個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐鎖状脂肪族炭化水素を意味する。例としては、「C−Cアルキル」(「低級アルキル」とも称される。)(全部で6以下の炭素原子を有する直鎖状又は分岐鎖状炭化水素で構成される。)、及びC−C16アルキル(全部で1〜16個の炭素原子を有する炭化水素で構成される。)などが挙げられる。本願において、用語「アルキル」は、1〜20個の原子を有する直鎖状又は分岐鎖状炭化水素で構成されると定義され、このアルキルは飽和であってもよいし不飽和であってもよく、また、窒素、硫黄、及び酸素などのヘテロ原子を含んでもよい;
「C−Cアルキレン」とは、「x」個〜「y」個の−CH−基で形成される橋架け(bridging)部分を意味する。本発明において、用語「アルキレン」は、その両末端の炭素において2つの他の原子に結合される、全部で1〜6個の炭素原子を有する橋架け炭化水素(−CH−)(ここで、xは1〜6である。)で構成されると定義される;
「C−Cアルケニル又はアルキニル」とは、2つの炭素原子間に少なくとも1つの二重結合(アルケニル)又は三重結合(アルキニル)を有する直鎖状又は分岐鎖状炭化水素を意味する;
「C−Cアルコキシ」とは、酸素原子を介して骨格に結合した、x個〜y個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状炭化水素鎖を意味する;
「アルコキシカルボニル」(アリールオキシカルボニル)とは、カルボニルを介して骨格に結合したアルコキシ(アリールオキシ)部分を意味する;
「ハロゲン」又は「ハロ」とは、クロロ、フルオロ、ブロモ、又はヨードを意味する;
「アシル」とは、−C(O)−R(ここで、Rは水素、C−Cアルキル、アリール、C−Cアルケニル、C−Cアルキニルなどである。)を意味する;
「アシルオキシ」とは、−O−C(O)−R(ここで、Rは水素、C−Cアルキル、アリールなどである。)を意味する;
「C−Cシクロアルキル」とは、全部でx個〜y個の炭素原子を有する環(単数又は複数)を有する縮合しているか又は縮合していない1以上の環からなる炭化水素環又は環系を意味し、ここで少なくとも1つの環結合は完全に飽和している;
「アリール」とは、一般に、環原子が全て炭素原子からなり、縮合しているか又は縮合していない1以上の環、好ましくは1〜3個の環からなる芳香環又は環系を意味する。本発明において、用語「アリール」は、全部で5〜8個の炭素原子からなる環成分を有する縮合しているか又は縮合していない芳香環系(好ましくは全部で1〜3個の環)で構成されると定義される;
「アリールアルキル」とは、アルキル部分(連結鎖)を介して骨格に結合された、上記に定義されるアリール部分を意味する;
「アリールアルケニル」及び「アリールアルキニル」とは、「アリールアルキル」と同様であるが、連結鎖において1以上の二重結合又は三重結合を有するものを意味する;
「アミン」とは、アンモニア(NH)から1以上の水素原子がアルキル基で置換されることによって得られると考えられ得る窒素の有機類似体の一種を意味する。アミンは、1つ、2つ、又は3つの水素原子が置換されているかどうかに応じて、第一級、第二級、又は第三級である。「短鎖アミン」とは、アルキル基が1〜10個の炭素原子を含むものである;
「アンミン」とは、窒素原子が直接金属に結合するような様式におけるアンモニアと金属物質との結合によって形成される配位類似体を意味する。窒素が炭素原子に直接結合しているアミンとは異なることに留意すべきである;
「両親媒性」とは、非極性の非水溶性炭化水素鎖に共有結合した極性の水溶性基を有する分子を意味する;
「アジド」とは、特性式R(Nを有する任意の群の類似体を意味する。Rは、ほぼ任意の金属原子、水素原子、ハロゲン原子、アンモニウム基、錯体[CO(NH]、[Hg(CN)M](M=Cu、Zn、Co、Ni)、メチル、フェニル、ニトロフェノール、ジニトロフェノール、p−ニトロベンジル、硝酸エチルなどの有機基であってもよい。アジド基は、環構造よりもむしろ鎖構造を有する;
「イミン」とは、炭素−窒素二重結合を有する窒素含有類似体の一種(すなわち、R−CH=NH)を意味する;及び
「複素環」とは、縮合されているか又は縮合されていない1以上の環(好ましくは1〜3個の環)の環状部分であって、1つの環の少なくとも1つの原子が炭素原子ではないものを意味する。好ましいヘテロ原子としては、酸素、窒素、及び硫黄、又はこれらの原子の2以上の組み合わせが挙げられる。用語「複素環」としては、フラニル、ピラニル、チオニル、ピロリル、ピロリジニル、プロリニル、ピリジニル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサチアゾリル、ジチオリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピペラジニル、オキサジニル、チアゾリルなどが挙げられる。
「置換(された)」とは、あるフラグメント(部位又は部分)を、任意の、いくつかの又は全ての水素原子を本明細書中に示されるような部分(又は複数の部分)で置換することによって修飾することをいう。水素原子を置換して置換類似体を形成するための置換基としては、ハロ、アルキル、ニトロ、アミノ(N−置換、及びN,Nジ置換アミノも含む。)、スルホニル、ヒドロキシ、アルコキシ、フェニル、フェノキシ、ベンジル、ベンゾキシ、ベンゾイル、及びトリフルオロメチルが挙げられる。
用語「高度に親油性のカンプトテシン類似体(HLCD)」は、本明細書では、水1mLあたり5μg未満の水溶性を有するカンプトテシン類似体として定義される。
本明細書では、用語「カンプトテシン類似体」又は「カレニテシン(登録商標)類似体」とは、カンプトテシン類似体又はカレニテシン(登録商標)類似体のB−環上のC7位に結合されたケイ素又はゲルマニウム含有側鎖に、置換基が種々の型の共有結合によって結合されているカンプトテシン類似体、並びにそれらの薬学的に許容可能な塩、プロドラッグ、抱合体、水和物、溶媒和物、多形体及び/又は互変異性体をいう。ケイ素原子は、ゲルマニウムに置き換わっていてもよい。
本明細書では、用語「薬学的に許容可能な担体」とは、本明細書に記載される化合物に対して有用な担体をいい、慣用的なものである。例えば、医薬送達に適切な組成物及び処方(物)が記載されているE.W.マーチン(E. W. Martin)によるレミングトンの薬学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)、マック・パブリッシング社、イーストン、ペンシルベニア(Mack Publishing Co., Easton, Pa.)、第15版(1975)を参照のこと。一般に、担体の性質は、使用される投与の特定の様式に依存する。例えば、非経口処方物は、通常、ビヒクルとして水、生理的食塩水、平衡塩類溶液、水性デキストロース、グリセロールなどの薬学的及び生理学的に許容可能な液体を含む注射用液体で構成される。固形組成物(例えば、散剤、丸剤、錠剤又はカプセル形態)の場合、慣用の非毒性固形担体としては、例えば、薬学的グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン又はステアリン酸マグネシウムが挙げられる。生物学的に中性の担体に加えて、投与される薬学的組成物には、湿潤剤又は乳化剤、防腐剤及びpH緩衝剤などの少量の非毒性助剤物質(例えば、酢酸ナトリウム又はモノラウリン酸ソルビタン)を含むことができる。
本明細書では、用語「薬学的に許容可能な塩」には、本明細書に記載される化合物に対して見出される特定の置換基に依存して、比較的非毒性の酸又は塩基を用いて調製される本発明の活性化合物の塩が含まれる。本発明の化合物が比較的酸性の機能性を有する場合、このような化合物の中性型と十分な量の所望の塩基とを、そのままか又は適切な不活性溶媒中のいずれかで接触させることによって、塩基添加の塩を得ることができる。薬学的に許容可能な塩基添加の塩の例としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アミノもしくはマグネシウム塩、又は類似の塩が挙げられる。本発明の化合物が比較的塩基性の機能を有する場合、このような化合物の中性型と十分な量の所望の酸とを、そのままか又は適切な不活性溶媒中のいずれかで接触させることによって、酸添加の塩を得ることができる。薬学的に許容可能な酸添加の塩の例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、炭酸一水素(monohydrogencarbonic)、リン酸、リン酸一水素(monohydrogenphosphoric)、リン酸二水素(dihydrogenphosphoric)、硫酸、硫酸一水素(monohydrogensulfuric)、ヨウ化水素酸又は亜リン酸などの無機酸に由来する塩、並びに酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p−トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸などの比較的非毒性の有機酸に由来する塩が挙げられる。また、アルギン酸塩などのアミノ酸の塩及びグルクロン酸又はガラクツロン酸などの有機酸の塩も挙げられる(例えば、ベルジュ(Berge)ら、薬学的塩、ジャーナル オブ ファーマシューティカル サイエンス(Pharmaceutical Salts, J. Pharm. Sci.) 66:1−19(1997)を参照のこと。)。本発明のある特定の化合物は、塩基性及び酸性の両方の機能性を有し、その化合物を塩基又は酸添加の塩のいずれかに変換できる。
本明細書では、用語「癌」とは、固形の癌(例えば、腫瘍)、リンパ腫及び白血病を含む全ての公知の型の癌をいう。
本明細書では、「抗新生物剤(又は抗腫瘍剤)」又は「抗癌剤」又は「化学療法剤(chemotherapeutic agent)」又は「化学的治療剤(chemotherapy agent)」とは、有害な生理学的徴候、新生物(又は腫瘍)の増殖又は転移を低減、予防、緩和、抑制、及び/又は遅延するかあるいは新生物のネクローシスもしくはアポトーシス又は任意の他の機構によって直接的に新生細胞を殺傷する薬剤をいう。化学療法剤としては、例えば、フルロピリミジン;ピリミジンヌクレオシド;プリンヌクレオシド;抗葉酸剤、白金類似体;アントラサイクリン/アントラセンジオン;エピポドフィロトキシン(epipodopodophyllotoxin);カンプトテシン;ホルモン;ホルモン類似体;抗ホルモン;酵素、タンパク質、及び抗体;ビンカアルカロイド;タキサン;抗微小管剤(antimicrotubule agents);アルキル化剤;代謝拮抗物質;トポイソメラーゼ阻害剤;抗ウイルス剤;及びその他の細胞増殖抑制性薬剤が挙げられる。「化学療法」は、認められている化学療法剤(chemotherapeutic agent)又は化学的治療剤(chemotherapy agent)を用いる治療をいう。
本明細書では、本発明の化合物又は組成物に関して「有効量」又は「薬学的に有効な量」とは、新生物疾患を患う被験体に所望の生物学的、薬理学的、又は治療学的結果をもたらすのに十分な量をいう。その結果とは、予期されたか又は観察された副作用、毒性、障害又は状態の根底にある病態生理学又は病因の低減、予防、緩和、遅延、それを解決するための時間の短縮、その徴候又は症状の緩和であってもよいし、それに対する医学的に有利な効果、又は任意の他の所望される生体系の改変の発揮であってもよい。本発明において、この結果としては、一般に、化学療法に付随する毒性の低減、予防、緩和、発現の遅延、重篤度の減弱、及び/もしくは解決の早さ、又は反転(reversal);治療の頻度及び/又は回数の増加;ならびに/あるいは化学療法の期間の延長が挙げられる。
本明細書では、「有害な症状」とは、患者によって報告される発現又は状態を意味する(例えば、疼痛、悪心、悪寒、抑うつ、しびれ、刺痛、食欲不振、味覚不全など);一方、「有害な徴候」とは、患者の状態、有害な事象又は疾患の生理学的に観察可能な発現である客観的な所見を意味する(例えば、触知可能な紫斑、斑丘疹、クモ状血管腫、クヴォステク徴候、バビンスキー徴候、トルソー徴候、後弓反張など)。
特に説明がない限り、本明細書では、すべての技術用語及び科学用語は、この開示が属する分野における当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されたものと類似の又は等価(均等)な方法及び材料が、実際において又は開示された方法及び組成物において使用できるが、適切な方法及び材料は、以下に記載される。本明細書に記載されたすべての刊行物、特許出願、特許及び他の文献は、その全体において参照されることにより組み入れられる。抵触する場合には、用語の解釈を含め、本明細書により調整されるであろう。さらに、材料、方法及び例は、例示の目的のみを意図するものであり、限定することを意図するものではない。
I. カレニテシン(登録商標)/BNP1350
高度に親油性のカンプトテシン誘導体(HLCD)、特にケイ素系(silicon-based)部分を含むものは、有効な抗癌薬である。ケイ素含有HLCDの最も有名なものの一つは、カレニテシン(登録商標)(BNP1350としても知られる;IUPAC命名法:(4S)−4−エチル−4−ヒドロキシ−11−[2−(トリメチルシリル)エチル]−1H−ピラノ[3’:4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−3,14(4H,12H)−ジオン、また、7−(2’−トリメチルシリル)エチルカンプトテシンともいわれる。)であり、現在米国において及び国際的にヒト臨床試験が行われている。米国特許第5,910,491号及び同第6,194,579号;並びに2003年7月25日に提出された米国特許出願第10/627,444号(これらの文献は、その全体において本明細書に参照されることにより組み入れられる。)には、この組成物、処方(処方物)並びにカレニテシン(登録商標)及び他の関連するHLCDを作製するための方法が記載されている。
例えば、本発明において開示されかつ特許請求されたカレニテシン(登録商標)類似体は、限定されない様式において、一般的な型の癌に対する強力な抗新生物活性を示す、新規なクラスの化学療法化合物を表す。一般的な型の癌としては、肺、胸部、前立腺、膵臓、頭部及び頸部、卵巣、結腸の癌並びに黒色腫が挙げられるが、これらに限定されない。これらのカレニテシン(登録商標)類似体は、他のカンプトテシン誘導体に類似のトポイソメラーゼI阻害活性を有しつつ、優れたバイオアベイラビリティ及び組織侵入のために合理的に設計された新規な構造修飾も有し、ヒト及び他の哺乳類の癌において共通する不都合な代謝及び薬物耐性機構を付随的に回避する。
本発明は、抗腫瘍剤カレニテシン(登録商標)の類似体を開示する。この類似体において、カレニテシン(登録商標)のB−環上のC7位に結合されたケイ素含有側鎖に、新規な置換基の一つが種々の型の共有結合によって結合されている。しかし、カレニテシン(登録商標)のケイ素は、ゲルマニウムに置き換わっていてもよいことに留意されたい。これらの類似体は両親媒性であり、極性の側鎖を利用してタンパク質結合を減少させ、かつ細胞内取り込み及び組織蓄積を増大させる。これらのカレニテシン(登録商標)類似体の側鎖上の極性基は、ラクトン安定性及び薬物の効力の両方を付随的に維持しながら血漿タンパク質結合性を改良するように、血漿タンパク質に対する薬物−結合親和性を低減させる。ヒト血漿中の遊離の(すなわち、血漿タンパク質に結合していない)薬物の増大によって、もとの化合物のバイオアベイラビリティが改善される。また、既に論じたように、カンプトテシン分子のラクトンE−環の加水分解(したがって水溶性カルボキシラート形を形成する。)は、元々の加水分解されていない閉環したラクトンE−環形のカンプトテシン分子の抗腫瘍力の約1/10又はそれ以下しか有さない。
「発明の背景」欄の第IV節において提示された薬理学的及び生化学的データから、以前に合成されたカンプトテシン類似体の多くが、抗癌剤としての有用性を顕著に低減させる多くの制限をもともと有することを確かめることができる。対照的に、カレニテシン(登録商標)は、実質的なラクトン安定性及び長い血漿中半減期によって特徴付けられる高度に親油性のカンプトテシン誘導体である。20を超えるヒト癌細胞株パネルに対して行われたインビトロ研究は、カレニテシン(登録商標)がトポテカン(商標)又はSN−38(イリノテカン(商標)の活性代謝物)のいずれかよりも、有意により強力な抗腫瘍剤であることを示す。ヒト血漿を用いる平衡透析研究は、カレニテシン(登録商標)が98〜99%タンパク質に結合されていることを実証する。血漿中の遊離薬物濃度により、一般に、臨床薬理学における薬理学的に活性な形態にあると考えられる。
B−環のC7位は、有用な薬理学的、生物学的及び化学的特性をこれらの新たな合成物に付与する新たな化学的置換基を用いる化学修飾の好ましい部位の一つである。カンプトテシンのC7位におけるある種の親油性置換は、ミニッシ型(Minisci-type)の遊離基(free radical)アルキル化を介して、プロトン化カンプトテシン上か又は修飾された誘導体(例えば、カレニテシン(登録商標))上に化学基を組み入れる。ミニッシ型の領域特異的な(regiospecific)アルキル化によって、出発物質であるアルデヒド又はアルコール又はカルボン酸に対して炭素が1つ少ないアルキル鎖を生成できる。この反応機構は、アルデヒドの場合において、側鎖の導入がその場所での(in situ)脱カルボニル化によって生じて、一酸化炭素の発生を伴って炭素が1つ少ないアルキル基を生成することを示唆する。
本発明はまた、ミニッシ型反応に基づくC7位でのカンプトテシンの領域特異的な均一(等方性)アシル化の方法を教示する。C7アルキル化のための初期に記載された方法をわずかに改変することによって、一時的にアシル基を安定化させて、カンプトテシンのアシル化を高収率で行うことができる。本発明は、さらに、C7位で変換させるためにある種の重要な多目的の合成素子(シントン)を提供するための方法を記載する。
さらに、本発明の類似体は、高度に有効な化学療法薬物としての有意な有用性を有し、以前に開示されたカンプトテシン誘導体よりも有意に毒性が低い。これらの新規な類似体もまた、もとのカレニテシン(登録商標)分子に類似して、A−環又はB−環のグルクロニド化(及び暗に脱グルクロニド化)を受けないかもしれない。グルクロニド化を受けないことによって、有害な生理学的副作用(例えば、下痢、白血球減少症)が減少し、そして遊離代謝物及びそのグルクロニド抱合体の薬物レベルにおける実質的な患者間の変動性も緩和され得る。さらに、これらの新規な類似体は、代謝活性化を必要とするプロドラッグではない。
したがって、要約すると、本発明の新規なカレニテシン(登録商標)類似体の多くは、(i)インビトロでヒト及び動物の腫瘍細胞の増殖を阻害する強力な抗腫瘍活性(すなわち、ナノモル又はナノモル以下の濃度において)を有し;(ii)トポイソメラーゼIを強力に阻害し;(iii)MDR/MRP薬物耐性に対する感受性を欠き;(iv)代謝薬物(代謝作用薬)の活性化を必要とせず;(v)A−環又はB−環のグルクロニド化を受けず;(vi)血漿タンパク質に対する薬物結合親和性を減少し;(vii)ラクトン安定性を維持し;(viii)薬物の効力を維持し;及び(ix)低分子量(例えば、MW<600)である。
本発明において開示されかつ特許請求された新規なカレニテシン(登録商標)類似体は、以下に示す一般的構造式を有する。
Figure 0005467046
(式中、R、R、Rは、カレニテシン(登録商標)の(B−環上のC7に結合した)ケイ素含有(又はゲルマニウム含有)側鎖に結合した短いアルキル鎖又は極性官能基含有アルキル鎖である。)
II.一般的な反応手順
A. ミニッシ(Minisci)反応
30%硫酸(5mL)中に硫酸鉄(II)・七水和物(0.8g)を含むスラリーに、アルデヒド又はそれに対応するアセタール(11.6mmol)を1,2−ジメトキシエタン(20mL)に溶解した溶液を加え、この反応混合物を室温で攪拌した。H(30%、0.33mL)を含む30%硫酸(55mL)にカンプトテシン(1.0g、2.9mmol)を溶解した溶液を、上記反応混合物に10分の間に滴下し、この反応混合物を15分間攪拌した。最後に、さらなるH(30%、1.0mL)をこの反応混合物中に直接加え、一晩攪拌させた。この反応混合物を最初にn−ヘキサン(100mL)で洗浄して非極性の不純物を除去し、水層をクロロホルム(2×50mL)で抽出することによって、必要とされる生成物を得た。このクロロホルム層を合わせてプロセス水(15mL)で1回洗浄し、この層を分離した。有機層を乾燥し、減圧下で濃縮乾固し、粗物質を、エタノール−ジクロロメタン混合物を用いてシリカゲルカラムで精製して、記載した収率で純粋な生成物を得た。
B. アセチル化
0℃でジクロロメタン(5mL)中にカンプトテシン誘導体(1.1mmol)を含むスラリーに、ピリジン(2.5mL)及び無水酢酸(2.0mL)を順に添加し、この反応混合物をアルゴン下で攪拌した。この反応物を0℃で5分間攪拌し、触媒量の4−ジメチルアミノピリジン(DMAP;〜5mg)を加え、この反応混合物を室温で2日間攪拌した。この反応混合物を減圧下で濃縮乾固し、残渣をジクロロメタン(30mL)と飽和塩化アンモニウム溶液(15mL)との間で分配抽出(partitioned)した。これらの層を分離し、有機溶液を乾燥し、減圧下で濃縮し、エタノール−ジクロロメタン混合物を用いてシリカゲルカラムで精製して、記載した収率でアセチル化生成物を得た。
C. 脱アセチル化
前記アセチル化カンプトテシン誘導体(50mg)をメタノール(2.5mL)に溶解した溶液にKCO(25mg)を添加し、室温で6〜24時間攪拌した(TLCに基づく。)。この反応混合物を酢酸(0.5mL)でクエンチし、この反応混合物を減圧下で濃縮した。得られた残渣を1N HCl(2mL)とクロロホルム(2×10mL)との間で分配抽出した。この有機層を合わせて乾燥し、濃縮して粗生成物を得た。この粗生成物をエタノール−ジクロロメタン混合物を用いてシリカゲルで精製して、記載した収率で所要の生成物を得た。
D. 水素化
トリフルオロ酢酸(0.5mL)を含むメタノール(30mL)中にカンプトテシン誘導体(800mg)及びPd/C(10%、80mg)を含むスラリーを、水素のバルーン圧を用いて室温で16時間水素化した。Pd/Cを反応混合物から分離して除去し、この反応混合物を減圧下で濃縮して、量的収率で所要の生成物を得た。
E. 尿素形成
乾燥テトラヒドロフラン(THF;2mL)中にアミノカンプトテシン誘導体(0.1mmol)を含むスラリーに、KCO(0.3mmol)及びイソシアン酸フェニル又はジエチルカルバミル=クロリド又はジメチルカルバミル=クロリド(0.2mmol)を添加し、この反応混合物を室温で3時間攪拌した。この反応混合物を酢酸(0.2mL)でクエンチし、減圧下で濃縮した。残渣をエタノール−ジクロロメタン混合物を用いてシリカゲルで精製して、記載した収率で所要の生成物を得た。
F. メルカプトエーテル化
NaHCO(0.2mmol)を含むN,N−ジメチルホルムアミド(DMF;1mL)中にカンプトテシン誘導体(0.1mmol)及びメルカプタン(0.2mmol)を含む混合物を、アルゴン下、70℃で3時間加熱した。DMFを真空下で除去し、粗残渣をエタノール−ジクロロメタン混合物を用いてシリカゲルで精製して、良好な収率で所要の生成物を得た。
III. カレニテシン(登録商標)類似体の合成
1. 3,3−ジメトキシプロピルジメチルビニルシランの合成
Figure 0005467046
マグネシウム顆粒(365mg)を無水テトラヒドロフラン(15mL)中に攪拌し、そこへ数滴のジブロモエタン(〜50μL)をアルゴン下、室温で添加し、得られた混合物を10分間攪拌した。この反応混合物を10℃まで冷却し、3−ブロモプロピオンアルデヒドジメチルアセタール(2.2g)を10分の間に滴下し、室温で2時間攪拌させた。グリニャール形成の完了後、この反応混合物を0℃まで冷却し、クロロジメチルビニルシラン(1.2g)を滴下し、この反応混合物を室温で一晩攪拌した。この反応混合物を0℃で水(20mL)でクエンチし、有機物をt−ブチルメチルエーテル(2×20mL)で抽出した。この有機層を合わせて乾燥し、減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。この粗物質を100℃(2mmHg)で減圧蒸留して、純粋な生成物を収率80%で得た(1.5g)。
H NMR(300MHz,δ,CDCl)6.12(dd,1H,J=14.7,19.8Hz)、5.95(dd,1H,J=4.2,14.7Hz)、5.67(dd,1H,J=4.2,20.1Hz)、4.28(t,1H,J=5.7Hz)、3.31(s,6H)、1.65−1.50(m,2H)、0.65−0.50(m,2H)、0.07(s,6H)。
2. 11−(4S)−[2−(ジメチルビニルシラニル)−エチル]−4−エチル−4−ヒドロキシ−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン(化合物1)の合成
Figure 0005467046
3,3−ジメトキシプロピルジメチルビニルシランを用いて手順Aにしたがって調製し、粗生成物を、ジクロロメタン中に1%エタノールを含む混合物を用いてシリカゲルカラムで精製して、収率35%で純粋な生成物を得た。
H NMR(300MHz,δ,CDCl)8.23(d,1H,J=8.4Hz)、8.03(d,1H,J=8.4Hz)、7.85−7.74(m,1H)、7.71−7.60(m,2H)、6.40−6.04(m,2H)、5.90−5.70(m,2H)、5.31(d,1H,J=16.2Hz)、5.23(s,2H)、3.78(s,1H)、3.20−3.00(m,2H)、2.05−1.80(m,2H)、1.15−0.85(m,5H)、0.25(s,6H)。
3. 酢酸11−(4S)−[2−(ジメチルビニルシラニル)−エチル]−4−エチル−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−4−イルエステル(化合物2)の合成
Figure 0005467046
化合物1(500mg)を用いて手順Bにしたがって調製し、粗生成物を、ジクロロメタン中に1%エタノールを含む混合物を用いてシリカゲルカラムで精製して、収率79%で純粋な生成物を得た(431mg)。
H NMR(300MHz,δ,CDCl)8.23(d,1H,J=8.3Hz)、8.04(d,1H,J=8.4Hz)、7.86−7.60(m,2H)、7.24(s,1H)、6.40−6.04(m,2H)、5.90−5.73(m,1H)、5.68(d,1H,J=16.5Hz)、5.40(d,1H,J=16.2Hz)、5.22(s,2H)、3.20−3.00(m,2H)、2.40−2.00(m,2H)、2.22(s,3H)、1.10−0.85(m,5H)、0.25(s,6H)。
4. クロロメチルジメチルシリル−3−プロパナールの合成
Figure 0005467046
クロロメチルジメチルシリル−3−プロパノール(2.0g)及び2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ(20mg)をジクロロメタン(20mL)に溶解した溶液に、NaBr(100mg)及び脱イオン水(20mL)を添加し、15分間攪拌した。NaOCl(34mL、4%溶液)及び脱イオン水(6mL)及びNaHCO(2g)を含むストック溶液を調製し、上記反応混合物にゆっくりと加え、室温で1時間攪拌させた。これらの層を分離し、水性部分をジクロロメタン(20mL)で1回抽出した。有機層を合わせて、水(10mL)で1回洗浄し、乾燥し、水流吸引下で濃縮して、収率80%で粗生成物を得た。この粗生成物を、さらに精製することなくミニッシ型反応に進めた。
H NMR(300MHz,δ,CDCl)9.77(s,1H)、2.80(s,2H)、2.60−2.40(m,2H)、1.00−0.80(m,2H)、0.14(s,6H)。
5. 11−(4S)−[2−(クロロメチルジメチルシラニル)−エチル]−4−エチル−4−ヒドロキシ−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン(化合物3)の合成
Figure 0005467046
クロロメチルジメチルシリル−3−プロパナールを用いて手順Aにしたがって調製し、粗生成物を、ジクロロメタン中に1%エタノールを含む混合物を用いてシリカゲルカラムで精製して、収率55%で純粋な生成物を得た。
H NMR(300MHz,δ,CDCl)8.25(d,1H,J=8.4Hz)、8.08(d,1H,J=7.8Hz)、7.80(t,1H,J=7.6Hz)、7.78−7.60(m,2H)、5.78(d,1H,16.5Hz)、5.30(d,1H,J=16.5Hz)、5.25(s,2H)、3.24−3.12(m,2H)、2.95(s,2H)、2.00−1.80(m,2H)、1.20−1.00(m,5H)、0.30(s,6H)。
6. 11−(4S)−[2−(ヨードメチルジメチルシラニル)−エチル]−4−エチル−4−ヒドロキシ−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン(化合物4)の合成
Figure 0005467046
化合物3(200mg)及びヨウ化ナトリウム(200mg)を2−ブタノン(4mL)に溶解した溶液を、80℃で24時間加熱した。溶媒を減圧下で除去し、ジクロロメタン中に1%エタノールを含む混合物を用いてシリカゲルで直接精製して、収率85%(200mg)で所要の生成物を得た。
H NMR(300MHz,δ,CDCl)8.24(d,1H,J=8.4Hz)、8.12(d,1H,J=7.8Hz)、7.82(t,1H,J=7.6Hz)、7.78−7.60(m,2H)、5.76(d,1H,J=16.5Hz)、5.40−5.22(m,3H)、3.25−3.10(m,2H)、2.15(s,2H)、2.00−1.80(m,2H)、1.20−1.00(m,5H)、0.33(s,6H)。
7. 11−(4S)−{2−[(ベンジルアミノメチル)−ジメチルシラニル]−エチル}−4−エチル−4−ヒドロキシ−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン(化合物5)の合成
Figure 0005467046
化合物3(100mg)及びベンジルアミン(70μL)をアセトニトリル(2mL)に溶解した溶液を、110℃で8時間にわたって加熱した。溶媒を減圧下で除去し、粗生成物を、トリフルオロ酢酸(1mL)中で、2時間室温で攪拌した。最後に、トリフルオロ酢酸を減圧下で除去し、この粗生成物をクロロホルム(20mL)と7%NaHCO水溶液(10mL)との間で分配抽出した。クロロホルム層を乾燥し、濃縮し、ジクロロメタン中に4%エタノールを含む混合物を用いてシリカゲルカラムで精製して、収率50%(57mg)で生成物を得た。
H NMR(300MHz,δ,CDCl)8.20(d,1H,J=8.4Hz)、7.97(d,1H,J=8.4Hz)、7.82−7.58(m,3H)、7.40−7.20(m,5H)、5.58(d,1H,J=16.2Hz)、5.40−5.17(m,3H)、4.02(bs,2H)、3.20−3.00(m,2H)、2.29(s,2H)、2.00−1.78(m,2H)、1.22−1.08(m,2H)、1.01(t,3H,7.2Hz)、0.26(s,3H)、0.22(s,3H)。
HRMS m/z:[M+Na] 実測値 576.2274、計算値 576.2289(C3235SiNa)。
8. 酢酸−(4S)−{[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチルシラニル)}−メチルエステル(化合物6)の合成。
Figure 0005467046
化合物3(200mg)及び酢酸カリウム(200mg)を乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(4mL)に溶解した溶液を、80℃で16時間加熱した。この反応混合物を室温まで冷却し、N,N−ジメチルホルムアミドを真空下で穏やかに加熱しながら除去した。得られた粗物質を、ジクロロメタン中に1〜2%エタノールを含む混合物を用いてシリカゲルカラムで直接精製して、収率72%(150mg)で所要の生成物を得た。
H NMR(300MHz,δ,CDCl)8.30(d,1H,J=8.2Hz)、8.08(d,1H,J=8.4Hz)、7.90−7.60(m,3H)、5.78(d,1H,J=16.5Hz)、5.40−5.20(m,3H)、3.95(s,2H)、3.24−3.10(m,2H)、2.14(s,3H)、2.00−1.80(m,2H)、1.20−0.95(m,5H)、0.25(s,6H)。
9. (4S)−4−エチル−4−ヒドロキシ−11−[2−(ヒドロキシメチルジメチルシラニル)−エチル]−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン(化合物7)の合成
Figure 0005467046
化合物6(25mg)を用いて手順Cにしたがって調製し、粗生成物を、ジクロロメタン中に2%エタノールを含む混合物を用いてシリカゲルカラムで精製して、収率78%(18mg)で所要の生成物を得た。
H NMR(300MHz,δ,CDCl)8.30(d,1H,J=8.4Hz)、8.14(d,1H,J=8.7Hz)、7.90−7.60(m,3H)、5.74(d,1H,J=16.5Hz)、5.40−5.22(m,3H)、3.61(s,2H)、3.30−3.18(m,2H)、2.00−1.80(m,2H)、1.20−0.95(m,5H)、0.22(s,6H)。
10. (2R,4S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−({[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチル−シラニル}−メチルスルファニル)−プロピオン酸メチルエステル(化合物8)の合成
Figure 0005467046
化合物3及びN−(t−ブトキシカルボニル)−L−システインメチルエステルを用いて手順Fにしたがって調製し、粗生成物を、ジクロロメタン中に2%エタノールを含む混合物を用いてシリカゲルカラムで精製して、収率57%で純粋な生成物を得た。
H NMR(300MHz,δ,CDCl)8.23(d,1H,J=8.4Hz)、8.10(d,1H,J=8.4Hz)、7.80(t,1H,J=7.2Hz)、7.68(s,1H)、7.70−7.60(m,1H)、5.75(d,1H,J=16.5Hz)、5.40−5.20(m,3H)、4.70−4.50(m,1H)、3.77(s,3H)、3.25−2.90(m,4H)、2.15−1.80(m,4H)、1.36(s,9H)、1.10−0.90(m,5H)、0.25(s,6H)。
11. チオ酢酸S−({[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチルシラニル}−メチル)エステル(化合物9)の合成
Figure 0005467046
N,N−ジメチルホルムアミド(2mL)中に化合物3(300mg)及びチオ酢酸カリウム(400mg)を含む混合物を、アルゴン下、70℃で16時間加熱した。このN,N−ジメチルホルムアミドを真空下で除去し、得られた残渣を、ジクロロメタン中に1%エタノールを含む混合物を用いてシリカゲルで直接溶出して、収率74%(240mg)で所要の生成物を得た。
H NMR(300MHz,δ,CDCl)8.24(d,1H,J=8.4Hz)、8.04(d,1H,J=8.5Hz)、7.85−7.60(m,3H)、5.76(d,1H,J=16.5Hz)、5.30(d,1H,J=16.4Hz)、5.24(s,2H)、3.24−3.04(m,2H)、2.43(s,3H)、2.27(s,2H)、2.00−1.80(m,2H)、1.18−0.98(m,5H)、0.26(s,6H)。
12. アリル−(2−[1,3]ジオキソラン−2−イル−エチル)ジメチルシランの合成
Figure 0005467046
乾燥テトラヒドロフラン(50mL)中にマグネシウム(2.43g)を含むスラリーに、数滴のジブロモエタン(〜50μL)をアルゴン下で添加し、室温で10分間攪拌した。この反応混合物を10℃まで冷却し、2−(2−ブロモエチル)−1,3−ジオキソラン(10.9g)を10分の間に滴下し、室温で2時間攪拌した。得られた反応混合物を−10℃まで冷却し、アリルジメチルクロロシラン(6.73g)を10分の間に滴下し、室温で一晩攪拌した。最後に、この反応物をNaHCO水溶液(15mL)でクエンチし、エーテル(3×50mL)で抽出した。この有機層を合わせて乾燥し、穏やかな真空下で濃縮して粗生成物を得た。この粗生成物を、さらに精製することなく次の工程に進めた(収量9.5g)。
H NMR(300MHz,δ,CDCl)5.86−5.65(m,1H)、4.90−4.75(m,3H)、4.05−3.80(m,4H)、1.70−1.40(m,4H)、0.70−0.50(m,2H)、0.0(s,6H)。
13. 3−(2−[1,3]ジオキソラン−2−イル−エチル)ジメチルシラニルプロパン−1−オールの合成
Figure 0005467046
アリル−(2−[1,3]ジオキソラン−2−イル−エチル)ジメチルシラン(2.0g)を乾燥テトラヒドロフラン(5mL)に溶解した溶液を、1モルのボランをテトラヒドロフラン(4mL)に溶解した溶液にアルゴン下、0℃で滴下した。この反応混合物を室温で2時間攪拌し、氷中で3N NaOH水溶液(1.7mL)を添加することによってクエンチした。ホウ酸塩錯体の加水分解を、氷中でH(30%、1.6mL)を注意深く添加することによって行い、得られた混合物を室温で2時間攪拌した。この反応混合物にKCO(500mg)を添加し、t−ブチルメチルエーテル(2×20mL)で抽出することによって粗生成物を得た。この有機層を合わせて塩水(brine)(10mL)で1回洗浄し、乾燥し、減圧下で濃縮して、収率86%で所要の生成物を得た。この生成物を、さらに精製することなくミニッシ型反応に進めた。
H NMR(300MHz,δ,CDCl)4.80(t,1H,J=4.7Hz)、4.00−3.80(m,4H)、3.58(t,2H,J=6.6Hz)、1.72−1.45(m,4H)、0.65−0.40(m,4H)、0.0(s,6H)。
14. 4S−4−エチル−4−ヒドロキシ−11−{2−[(3−ヒドロキシプロピル)−ジメチルシラニル]−エチル}−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン(化合物10)の合成
Figure 0005467046
3−(2−[1,3]ジオキソラン−2−イル−エチル)ジメチルシリルプロパン−1−オールを用いて手順Aにしたがって調製し、粗生成物を、ジクロロメタン中に2%エタノールを含む混合物を用いてシリカゲルカラムで精製して、収率53%で純粋な生成物を得た。
H NMR(300MHz,δ,CDCl)8.25(d,1H,J=7.8Hz)、8.04(d,1H,J=8.0Hz)、7.85−7.60(m,2H)、7.72(s,1H)、5.74(d,1H,J=16.2Hz)、5.30(d,1H,J=16.2Hz)、5.24(s,2H)、3.68(t,2H,J=6.6Hz)、3.20−3.00(m,2H)、2.00−1.80(m,2H)、1.75−1.58(m,2H)、1.04(t,3H,J=7.4Hz)、1.00−0.88(m,2H)、0.80−0.64(m,2H)、0.19(s,3H)、0.18(s,3H)
MS(m/z,M+1):493。
15. (4S)−11−{2−[(3−ブロモプロピル)−ジメチルシラニル]−エチル}−4−エチル−4−ヒドロキシ−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン(化合物11)の合成
Figure 0005467046
室温で乾燥テトラヒドロフラン(10mL)中に化合物10(1.5g)及び四臭化炭素(2.02g)を含むスラリーに、PhP(880mg)をテトラヒドロフラン(10mL)に溶解した溶液を滴下し、この反応混合物をアルゴン下で3時間攪拌した。減圧下でこの反応混合物を濃縮し、その残渣をジクロロメタン中に1%エタノールを含む混合物を用いてシリカゲルで溶出して、収率94%(1.6g)で所要の生成物を得た。
H NMR(300MHz,δ,CDCl)8.24(d,1H,J=7.9Hz)、8.00(d,1H,J=8.1Hz)、7.85−7.58(m,2H)、7.69(s,1H)、5.76(d,1H,J=16.3Hz)、5.27(d,1H,J=16.5Hz)、5.22(s,2H)、3.44(t,2H)、3.20−3.00(m,2H)、2.00−1.76(m,4H)、1.10−0.70(m,7H)、0.20(s,6H)。
16. (4S)−11−{2−[(3−ヨードプロピル)−ジメチルシラニル]−エチル}−4−エチル−4−ヒドロキシ−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン(化合物12)の合成
Figure 0005467046
乾燥テトラヒドロフラン(5mL)中に化合物10(200mg)、PhP(160mg)及びイミダゾール(55mg)を含むスラリーに、ヨウ素(155mg)をテトラヒドロフラン(5mL)に溶解した溶液を滴下し、この反応混合物をアルゴン下、室温で3時間攪拌した。この反応混合物を減圧下で濃縮し、粗残渣をジクロロメタン(20mL)と飽和Na水溶液(10mL)との間で分配抽出した。有機層を分離し、乾燥し、濃縮して、粗生成物を得た。この粗生成物を、ジクロロメタン中に1%エタノールを含む混合物を用いてシリカゲルカラムで精製して、収率74%(180mg)で所要の生成物を得た。
H NMR(300MHz,δ,CDCl)8.25(d,1H,J=7.5Hz)、8.04(d,1H,J=8.4Hz)、7.86−7.60(m,3H)、5.76(d,1H,J=16.5Hz)、5.32(d,1H,J=16.2Hz)、5.25(s,2H)、3.25(t,2H,J=7.05Hz)、3.20−3.00(m,2H)、2.00−1.80(m,4H)、1.04(t,3H,J=7.5Hz)、1.00−0.83(m,2H)、0.82−0.68(m,2H)、0.20(s,6H)。
17. (4S)−11−{2−[(3−ベンゼンスルホニルプロピル)−ジメチルシラニル]−エチル}−4−エチル−4−ヒドロキシ−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン(化合物13)の合成
Figure 0005467046
N,N−ジメチルホルムアミド(0.5mL)中に化合物11(25mg)及びベンゼンスルホン酸ナトリウム塩(15mg)を含むスラリーを、アルゴン下、70℃で5時間加熱した。この反応混合物からN,N−ジメチルホルムアミドを真空下で除去し、残渣を、ジクロロメタン中に2%エタノールを含む混合物を用いてシリカゲルで直接溶出して、量的収率(28mg)で所要の生成物を得た。
H NMR(300MHz,δ,CDCl)8.22(d,1H,J=7.8Hz)、8.06−7.38(m,9H)、5.75(d,1H,J=16.5Hz)、5.28(d,1H,J=16.4Hz)、5.20(s,2H)、3.22−3.00(m,4H)、2.02−1.70(m,4H)、1.03(t,3H,J=7.5Hz)、1.00−0.82(m,2H)、0.80−0.66(m,2H)、0.17(s,6H)
MS(m/z,M+1):617。
18. (4S)−4−エチル−4−ヒドロキシ−11−{2−[(3−イミダゾール−1−イル−プロピル)−ジメチル−シラニル]−エチル}−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン(化合物14)の合成
Figure 0005467046
乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(1mL)に化合物11(60mg)及びイミダゾール(37mg)を溶解した溶液を、アルゴン下、70℃で16時間加熱した。この反応混合物からN,N−ジメチルホルムアミドを真空下で除去し、残渣を、ジクロロメタン中に3%エタノールを含む混合物を用いてシリカゲルカラムで直接溶出して、収率77%(45mg)で所要の生成物を得た。
H NMR(300MHz,δ,CDCl)8.20(dd,1H,J=0.75,8.6Hz)、7.93(d,1H,J=8.1Hz)、7.76(t,1H,J=7.2Hz)、7.68(s,1H)、7.63(t,1H,J=7.2Hz)、7.55(s,1H)、7.06(s,1H)、6.93(t,1H,J=1.2Hz)、5.71(d,1H,J=16.2Hz)、5.28(d,1H,J=16.5Hz)、5.18(s,2H)、3.95(t,1H,J=6.9Hz)、3.10−2.95(m,2H)、2.00−1.65(m,4H)、1.01(t,3H,J=7.4Hz)、0.96−0.82(m,2H)、0.62−0.50(m,2H)、0.17(s,6H)
MS(m/z,M+1):543。
19. (4S)−11−{2−[ジメチル−(3−[1,2,4]トリアゾール−1−イル−プロピル)−シラニル]−エチル}−4−エチル−4−ヒドロキシ−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン(化合物15)の合成
Figure 0005467046
化合物11(50mg)、1,2,4−トリアゾール(31mg)及びNaHCO(15mg)を乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(1mL)に溶解した溶液を、アルゴン下、70℃で5時間加熱した。この反応混合物からN,N−ジメチルホルムアミドを真空下で除去し、残渣を、ジクロロメタン中に4%エタノールを含む混合物を用いてシリカゲルカラムで直接溶出して、収率61%(30mg)で所要の生成物を得た。
H NMR(300MHz,δ,CDCl)8.20(d,1H,J=7.6Hz)、8.17(s,1H)、8.00(s,1H)、7.96(d,1H,J=7.5Hz)、7.82−7.58(m,2H)、7.67(s,1H)、5.74(d,1H,16.5Hz)、5.26(d,1H,J=16.5Hz)、5.20(s,2H)、4.20(t,2H)、3.18−2.98(m,2H)、2.02−1.80(m,4H)、1.03(t,3H,J=7.4Hz)、1.00−0.84(m,2H)、0.70−0.50(m,2H)、0.18(s,6H)
MS(m/z,M+1):544。
20. (4S)−11−{2−[(3−ジメチルアミノプロピル)−ジメチルシラニル]−エチル}−4−エチル−4−ヒドロキシ−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン(化合物16)の合成
Figure 0005467046
脱イオン水(1mL)中に化合物11(50mg)及び炭酸カリウム(37mg)を含む混合物を、室温で30分間攪拌した。得られた混合物に、t−BuOH(1mL)及び2モルのジメチルアミンのテトラヒドロフラン溶液(0.14mL)を添加し、室温で24時間攪拌した。最後に、この反応混合物を真空下で濃縮し、得られた残渣を酢酸(10mL)及びトリフルオロ酢酸(1mL)の混合物に溶解し、室温で8時間攪拌した。この酢酸溶液を真空下で濃縮することによって粗物質を得て、残渣を7%NaHCO水溶液(5mL)とクロロホルム(2×10mL)との間で分配抽出した。有機層を合わせて乾燥し、濃縮して、残渣を、ジクロロメタン中に10%エタノールを含む混合物を用いてシリカゲルカラムで溶出して、収率56%(26mg)で所要の生成物を得た。
H NMR(300MHz,δ,CDCl)8.20(d,1H,J=7.5Hz)、8.02(d,1H,J=7.5Hz)、7.84−7.58(m,2H)、7.65(s,1H)、5.75(d,1H,J=16.2Hz)、5.30(d,1H,J=16.2Hz)、5.23(s,2H)、3.20−3.00(m,2H)、2.60−2.25(m,8H)、2.00−1.80(m,2H)、1.70−1.50(m,2H)、1.04(t,3H,J=7.4Hz)、1.00−0.84(m,2H)、0.76−0.60(m,2H)、0.19(s,6H)
MS(m/z,M+1):520。
21. (4S)−11−(2−{ジメチル[3−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−プロピル]−シラニル}−エチル)−4−エチル−4−ヒドロキシ−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン(化合物17)の合成
Figure 0005467046
化合物12(60mg)及び2−メトキシピリジン(0.1mL)をN,N−ジメチルホルムアミド(1mL)に溶解した溶液を、70℃で16時間加熱した。この反応混合物を真空下で濃縮し、残渣を、ジクロロメタン中に4%エタノールを含む混合物を用いてシリカゲルカラムで直接溶出して、収率60%(34mg)で所要の生成物を得た。
H NMR(300MHz,δ,CDCl)8.22(d,1H,J=8.2Hz)、8.00(d,1H,J=8.4Hz)、7.82−7.60(m,2H)、7.67(s,1H)、7.38−7.20(m,2H)、6.59(d,1H,J=9.2Hz)、6.26−6.12(m,1H)、5.76(d,1H,J=16.2Hz)、5.27(d,1H,J=16.2Hz)、5.21(s,2H)、3.95(t,2H)、3.18−3.00(m,2H)、2.05−1.68(m,4H)、1.03(t,3H,J=7.4Hz)、1.00−0.83(m,2H)、0.74−0.60(m,2H)、0.18(s,6H)
MS(m/z,M+1):570。
22. (4S)−(3−{[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチルシラニル}−プロピル)−ホスホン酸ジメチルエステル(化合物18)の合成
Figure 0005467046
化合物12(60mg)を亜リン酸トリメチル(1mL)に溶解した溶液を、アルゴン下、80℃で10時間加熱した。この反応混合物から亜リン酸トリメチルを真空下で除去し、残渣を、ジクロロメタン中に4%エタノールを含む混合物を用いてシリカゲルで溶出して、収率76%(44mg)で所要の生成物を得た。
H NMR(300MHz,δ,CDCl)8.22(d,1H,J=7.6Hz)、8.00(d,1H,J=8.3Hz)、7.84−7.58(m,2H)、7.66(s,1H)、5.74(d,1H,J=16.5Hz)、5.27(d,1H,J=16.4Hz)、5.20(s,2H)、3.76(s,3H)、3.72(s,3H)、3.20−3.00(m,2H)、2.00−1.60(m,6H)、1.03(t,3H,J=7.5Hz)、1.00−0.84(m,2H)、0.82−0.70(m,2H)、0.19(s,6H)
MS(m/z,M+1):585。
23. (4S)−酢酸11−{2−[(3−ブロモプロピル)−ジメチルシラニル]−エチル)−4−エチル−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−4−イルエステル(化合物19)の合成
Figure 0005467046
化合物11(500mg)を用いて手順Bにしたがって調製し、粗生成物を、ジクロロメタン中に1%エタノールを含む混合物を用いてシリカゲルカラムで精製して、収率80%(430mg)で純粋な生成物を得た。
H NMR(300MHz,δ,CDCl)8.24(d,1H,J=7.9Hz)、8.04(d,1H,J=8.1Hz)、7.85−7.62(m,2H)、7.27(s,1H)、5.68(d,1H,J=16.3Hz)、5.40(d,1H,J=16.5Hz)、5.24(s,2H)、3.44(t,2H)、3.20−3.00(m,2H)、2.40−2.02(m,2H)、2.22(s,3H)、2.00−1.80(m,2H)、1.10−0.70(m,7H)、0.20(s,6H)。
24. (4S)−酢酸11−{2−[(3−アジドプロピル)−ジメチルシラニル]−エチル}−4−エチル−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−4−イルエステル(化合物20)の合成
Figure 0005467046
化合物19(1.96g)及びアジ化ナトリウム(725mg)をN,N−ジメチルホルムアミド(15mL)に溶解した溶液を、80℃で3時間加熱した。このN,N−ジメチルホルムアミドを減圧下で濃縮し、残渣をクロロホルム(25mL)と1N HCl(10mL)との間で分配抽出した。有機層を分離し、乾燥し、濃縮して粗生成物を得て、ジクロロメタン中に1〜2%エタノールを含む混合物を用いてシリカゲルカラムで溶出することによって精製して、収率95%の所要の生成物(1.75g)を得た。
H NMR(300MHz,δ,CDCl)8.24(d,1H,J=8.1Hz)、8.05(d,1H,J=8.1Hz)、7.90−7.60(m,2H)、7.26(s,1H)、5.68(d,1H,J=17.1Hz)、5.41(d,1H,J=17.1Hz)、5.24(s,2H)、3.31(t,2H,J=6.8Hz)、3.20−3.00(m,2H)、2.40−2.00(m,2H)、2.22(s,3H)、1.74−1.50(m,4H)、0.97(t,3H,J=7.5Hz)、1.05−0.85(m,2H)、0.80−0.63(m,2H)、0.20(s,6H)。
25. トリフルオロアセタート−(4S)−3−{[2−(4−アセトキシ−4−エチル−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチルシラニル}−プロピルアンモニウム(化合物21)の合成
Figure 0005467046
出発物質として化合物20を用いて手順Dにしたがって調製し、所要の生成物を量的収率で得た。
26. 酢酸(4S)−11−(2−{ジメチル−[3−(2,2,2−トリフルオロアセチルアミノ)−プロピル]−シラニル}−エチル)−4−エチル−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−4−イルエステル(化合物22)の合成
Figure 0005467046
0℃で化合物21(150mg)をジクロロメタン(2mL)に溶解した溶液に、無水トリフルオロメタンスルホン酸(80μL)及びピリジンを添加し、室温で2時間攪拌した。溶媒を真空下で乾燥し、この粗残渣を、最後に、クロロホルム(2×10mL)と1N HCl(5mL)との間で振とうした。集めた有機層を乾燥し、揮発させ、ジクロロメタン中に2%エタノールを含む混合物を用いてシリカゲルカラムで精製して、96%の所要の生成物(140mg)を得た。
H NMR(300MHz,δ,CDCl)8.21(d,1H,J=8.4Hz)、8.02(d,1H,J=8.3Hz)、7.84−7.60(m,2H)、7.20(s,1H)、5.64(d,1H,J=16.7Hz)、5.39(d,1H,J=16.5Hz)、5.21(s,2H)、3.46−3.32(m,2H)、3.20−3.00(m,2H)、2.38−2.00(m,2H)、2.20(s,3H)、1.70−1.56(m,2H)、1.06−0.82(m,5H)、0.80−0.58(m,2H)、0.18(s,6H)。
27. (4S)−N−(3−{[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチル−シラニル}−プロピル)−2,2,2−トリフルオロ−アセトアミド(化合物23)の合成
Figure 0005467046
化合物22(100mg)を用いて手順Cにしたがって調製し、粗生成物を、ジクロロメタン中に3%エタノールを含む混合物を用いてシリカゲルカラムで精製して、69%の所要の生成物(64mg)を得た。
H NMR(300MHz,δ,CDCl)8.24(d,1H,J=7.5Hz)、8.00(d,1H,J=8.4Hz)、7.86−7.60(m,2H)、7.69(s,1H)、7.05(bs,1H)、5.71(d,1H,J=16.5Hz)、5.28(d,1H,J=16.5Hz)、5.20(s,2H)、3.50−3.32(m,2H)、3.20−3.00(m,2H)、2.00−1.80(m,2H)、1.80−1.58(m,2H)、1.02(t,3H,J=7.2Hz)、0.98−0.82(m,2H)、0.74−0.58(m,2H)、0.18(s,6H)
MS(m/z,M+1):588。
28. 酢酸(4S)−11−(2−{ジメチル[3−(3−フェニルウレイド)−プロピル]−シラニル}−エチル)−4−エチル−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−4−イルエステル(化合物24)の合成
Figure 0005467046
化合物21及びイソシアン酸フェニルを用いて上記の手順Eにしたがって、所要の生成物を調製した。所要の生成物は、50%の収率で得られた。
H NMR(300MHz,δ,CDCl)8.25(d,1H,J=7.8Hz)、8.1(d,1H,J=8.2Hz)、7.90−7.60(m,3H)、7.44−6.85(m,5H)、5.80(bs,1H)、5.72(d,1H,J=16.7Hz)、5.44(d,1H,J=16.5Hz)、5.27(s,2H)、3.50−3.25(m,2H)、3.20−3.00(m,2H)、2.40−2.00(m,2H)、2.24(s,3H)、1.80−1.50(4H)、1.00(t,3H,J=7.5Hz)、1.00−0.70(m,4H)、0.13(s,3H)、0.12(s,3H)。
29. (4S)−1−(3−{[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチルシラニル}−プロピル)−3−フェニル尿素(化合物25)の合成
Figure 0005467046
化合物24を用いて上記の手順Cにしたがって調製し、粗生成物を、ジクロロメタン中に2%エタノールを含む混合物を用いてシリカゲルカラムで精製して、収率80%で所要の生成物を得た。
H NMR(300MHz,δ,DMSO)8.39(s,1H)、8.17(d,2H,J=8.7Hz)、7.84(t,1H,J=7.5Hz)、7.73(t,1H,J=7.5Hz)、7.42−7.25(m,3H)、7.17(t,2H,J=7.8Hz)、6.84(t,1H,J=7.4Hz)、6.54(s,1H)、6.18(t,1H,J=5.4Hz)、5.44(s,2H)、5.33(s,2H)、3.25−3.00(m,4H)、2.00−1.80(m,2H)、1.60−1.40(m,2H)、1.05−0.80(m,5H)、0.75−0.58(m,2H)、0.16(s,6H)
MS(m/z,M+1):611。
30. 酢酸(4S)−11−(2−{[3−(3,3−ジエチルウレイド)−プロピル]−ジメチルシラニル}−エチル)−4−エチル−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−4−イルエステル(化合物26)の合成
Figure 0005467046
化合物21及びジエチルカルバミル=クロリドを用いて上記の手順Eにしたがって、所要の生成物を調製した。所要の生成物は、70%の収率で得られた。
H NMR(300MHz,δ,CDCl)8.22(d,1H,J=7.5Hz)、8.05(d,1H,J=7.8Hz)、7.85−7.60(m,2H)、7.20(s,1H)、5.64(d,1H,J=16.5Hz)、5.40(d,1H,J=16.5Hz)、5.21(s,2H)、3.25(q,4H,J=7.1Hz)、3.20−3.00(m,2H)、2.40−2.00(m,2H)、2.21(s,3H)、1.65−1.42(m,2H)、1.13(t,6H,J=7.2Hz)、1.05−0.82(m,5H)、0.75−0.57(m,2H)、0.17(s,6H)。
31. (4S)−1,1−ジエチル−3−(3−{[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチル−シラニル}−プロピル)−尿素(化合物27)の合成
Figure 0005467046
化合物26を用いて上記の手順Cにしたがって調製し、粗生成物を、ジクロロメタン中に2%エタノールを含む混合物を用いてシリカゲルカラムで精製して、収率76%で所要の生成物を得た。
H NMR(300MHz,δ,CDCl)8.27(d,1H,J=7.5Hz)、8.05(d,1H,J=7.8Hz)、7.73(s,1H)、7.85−7.60(m,2H)、5.75(d,1H,J=16.5Hz)、5.31(d,1H,J=16.5Hz)、5.25(s,2H)、3.26(q,4H,J=7.1Hz)、3.20−3.00(m,2H)、2.00−1.80(m,2H)、1.70−1.42(m,2H)、1.15(t,6H,J=7.2Hz)、1.05(t,3H,J=7.4Hz)、1.00−0.84(m,2H)、0.75−0.58(m,2H)、0.18(s,6H)
MS(m/z,M+1):591。
32. 酢酸(4S)−11−(2−{[3−(3,3−ジメチルウレイド)−プロピル]−ジメチルシラニル}−エチル)−4−エチル−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−4−イルエステル(化合物28)の合成
Figure 0005467046
化合物21及びジメチルカルバミル=クロリドを用いて上記の手順Eにしたがって、所要の生成物を調製した。所要の生成物は、72%の収率で得られた。
H NMR(300MHz,δ,CDCl)8.21(d,1H,J=8.4Hz)、8.05(d,1H,J=8.4Hz)、7.85−7.60(m,2H)、7.21(s,1H)、5.65(d,1H,J=17.1Hz)、5.38(d,1H,J=17.1Hz)、5.22(s,2H)、4.64(bs,1H)、3.30−3.19(m,2H)、3.20−3.00(m,2H)、2.89(s,6H)、2.40−2.00(m,2H)、2.20(s,3H)、1.65−1.42(m,2H)、1.05−0.82(m,5H)、0.75−0.58(m,2H)、0.16(s,6H)。
33. (4S)−3−(3−{[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチルシラニル}−プロピル)−1,1−ジメチル尿素(化合物29)の合成
Figure 0005467046
化合物28を用いて上記の手順Cにしたがって調製し、粗生成物を、ジクロロメタン中に2%エタノールを含む混合物を用いてシリカゲルカラムで精製して、収率71%で所要の生成物を得た。
H NMR(300MHz,δ,CDCl)8.25(d,1H,J=7.8Hz)、8.04(d,1H,J=7.8Hz)、7.90−7.60(m,3H)、5.74(d,1H,J=16.5Hz)、5.30(d,1H,J=16.2Hz)、5.24(s,2H)、4.64(bs,1H)、3.80(bs,1H)、3.34−3.20(m,2H)、3.20−3.00(m,2H)、2.90(s,6H)、2.00−1.78(m,2H)、1.70−1.42(m,2H)、1.04(t,3H,J=7.5Hz)、1.00−0.82(m,2H)、0.75−0.58(m,2H)、0.18(s,6H)
MS(m/z,M+1):563。
34. (4S)−11−[2−(ジメチル[1,2,4]トリアゾール−1−イルメチルシラニル)−エチル]−4−エチル−4−ヒドロキシ−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン(化合物30)の合成
Figure 0005467046
化合物4(60mg)、1,2,4−トリアゾール(22mg)及びNaHCO(26mg)を乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(1mL)に溶解した溶液を、アルゴン下、70℃で5時間加熱した。この反応混合物からN,N−ジメチルホルムアミドを真空下で除去し、残渣を、ジクロロメタン中に4%エタノールを含む混合物を用いてシリカゲルカラムで直接溶出して、収率79%(43mg)で所要の生成物を得た。
H NMR(300MHz,δ,CDCl)8.66(bs,1H)、8.32(d,1H,J=8.1Hz)、8.22(s,1H)、8.09(d,1H,J=7.8Hz)、7.90−7.78(m,2H)、7.70(t,1H,J=7.2Hz)、5.71(d,1H,J=16.5Hz)、5.34(s,2H)、5.28(d,1H,J=16.5Hz)、4.03(s,2H)、3.38−3.18(m,2H)、2.00−1.80(m,2H)、1.25−1.10(m,2H)、1.03(t,3H,J=7.4Hz)、0.32(s,3H)、0.31(s,3H)
MS(m/z,M+1):516。
35. (4S)−11−{2−[ジメチル−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イルメチル)−シラニル]−エチル}−4−エチル−4−ヒドロキシ−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン(化合物31)の合成
Figure 0005467046
化合物4(60mg)及び2−メトキシピリジン(0.11mL)をN,N−ジメチルホルムアミド(1mL)に溶解した溶液を、70℃で16時間加熱した。この反応混合物を真空下で濃縮し、残渣を、ジクロロメタン中に4%エタノールを含む混合物を用いてシリカゲルカラムで直接溶出して、収率44%(25mg)で所要の生成物を得た。
H NMR(300MHz,δ,CDCl)8.18(d,1H,J=8.2Hz)、8.06(d,1H,J=8.3Hz)、7.82−7.52(m,2H)、7.66(s,1H)、7.41−7.20(m,2H)、6.69(d,1H,J=9.3Hz)、6.30−6.12(m,1H)、5.73(d,1H,J=16.2Hz)、5.29(d,1H,J=16.2Hz)、5.17(s,2H)、3.80−3.60(m,2H)、3.24−3.00(m,2H)、2.05−1.78(m,2H)、1.12−0.86(m,5H)、0.27(s,3H)、0.25(s,3H)。m/z 542[M+H]
36. (4S)−11−[2−(ジメチル−ピロリジン−1−イルメチル−シラニル)−エチル]−4−エチル−4−ヒドロキシ−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン(化合物32)の合成
Figure 0005467046
脱イオン水(1mL)中に化合物4(60mg)及びKCO(43mg)を含むスラリーを、室温で30分間攪拌した。得られた反応混合物に、t−BuOH(1mL)及びピロリジン(52μL)を添加し、70℃で5時間加熱した。次いで、この反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣を酢酸(10mL)に溶解し、室温で2時間攪拌した。この酢酸溶液を真空下で再び濃縮した。最後に、残渣を、クロロホルム(2×15mL)と7%NaHCO水溶液(5mL)との間で分配抽出した。集めた有機層を乾燥し、濃縮し、ジクロロメタン中に10%エタノールを含む混合物を用いてシリカゲルで精製して、収率83%(45mg)で所要の生成物を得た。
H NMR(300MHz,δ,CDCl)8.24−8.12(m,2H)、7.82−7.57(m,2H)、7.66(s,1H)、5.74(d,1H,J=16.5Hz)、5.27(d,1H,J=16.4Hz)、5.23(s,2H)、3.25−3.08(m,2H)、2.65(bs,4H)、2.26(s,2H)、2.00−1.78(m,6H)、1.12−0.95(m,5H)、0.26(s,6H)
MS(m/z,M+1):518。
37. (4S)−11−{2−[ジメチル−(1−メチル−1H−イミダゾール−2−イルスルファニルメチル)−シラニル]−エチル}−4−エチル−4−ヒドロキシ−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン(化合物33)の合成
Figure 0005467046
化合物4及び2−メルカプト−1−メチルイミダゾールを用いて手順Fにしたがって調製し、粗生成物を、ジクロロメタン中に3%エタノールを含む混合物を用いてシリカゲルカラムで精製して、量的収率で純粋な生成物を得た。
H NMR(300MHz,δ,CDCl)8.20(d,1H,J=7.5Hz)、8.16(d,1H,J=8.7Hz)、7.79(t,1H,J=6.9Hz)、7.77−7.62(m,1H)、7.65(s,1H)、7.01(d,1H,J=1.8Hz)、5.74(d,1H,J=16.2Hz)、5.40−5.20(m,3H)、3.78(s,1H)、3.73(s,3H)、3.38−3.20(m,2H)、3.03(bs,2H)、2.00−1.80(m,2H)、1.24−1.10(m,2H)、1.04(t,3H,J=7.4Hz)、0.35(s,6H)
MS(m/z,M+1):561。
38. (4S)−11−{2−[(4,5−ジヒドロ−チアゾール−2−イルスルファニルメチル)−ジメチルシラニル]−エチル}−4−エチル−4−ヒドロキシ−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン(化合物34)の合成
Figure 0005467046
化合物4及び2−メルカプトチアゾリンを用いて手順Fにしたがって調製し、粗生成物を、ジクロロメタン中に3%エタノールを含む混合物を用いてシリカゲルカラムで精製して、収率65%で純粋な生成物を得た。
H NMR(300MHz,δ,CDCl)8.20(d,1H,J=7.8Hz)、8.09(d,1H,J=7.5Hz)、7.84−7.60(m,2H)、7.66(s,1H)、5.74(d,1H,J=16.5Hz)、5.40−5.20(m,3H)、4.37(t,2H,J=8.0Hz)、3.61(t,2H,J=8.1Hz)、3.30−3.10(m,2H)、2.86(bs,2H)、2.00−1.80(m,2H)、1.20−1.08(m,2H)、1.04(t,3H,J=7.5Hz)、0.33(s,6H)
MS(m/z,M+1):566。
39. (4S)−4−エチル−4−ヒドロキシ−11−{2−[(2−ヒドロキシ−エチルスルファニルメチル)−ジメチル−シラニル]−エチル}−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン(化合物35)の合成
Figure 0005467046
化合物4及び2−メルカプトエタノールを用いて手順Fにしたがって調製し、粗生成物を、ジクロロメタン中に3%エタノールを含む混合物を用いてシリカゲルカラムで精製して、収率83%で純粋な生成物を得た。
H NMR(300MHz,δ,CDCl)8.30(d,1H,J=8.4Hz)、8.10(d,1H,J=7.8Hz)、7.84(s,1H)、7.84−7.74(m,1H)、7.68(t,1H,J=7.2Hz)、5.72(d,1H,J=16.5Hz)、5.42(s,2H)、5.28(d,1H,J=16.2Hz)、3.92(t,2H,J=5.7Hz)、3.34−3.18(m,2H)、2.87(t,2H,J=5.6Hz)、2.06(dd,2H,J=12.3,15.0Hz)、2.00−1.80(m,2H)、1.20−0.98(m,5H)、0.27(s,3H)、0.25(s,3H)
MS(m/z,M+1):525。
40. (4S)−11−[2−(アジドメチルジメチルシラニル)−エチル]−4−エチル−4−ヒドロキシ−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン(化合物36)の合成
Figure 0005467046
乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(10mL)中に化合物3(950mg)及びアジ化ナトリウム(255mg)を含むスラリーを、アルゴン下、70℃で3時間加熱した。この反応混合物からN,N−ジメチルホルムアミドを減圧下で除去し、ジクロロメタン中に2%エタノールを含む混合物を用いてシリカゲルで直接溶出して、収率83%(800mg)で所要の生成物を得た。
H NMR(300MHz,δ,CDCl)8.28(d,1H,J=7.8Hz)、8.08(d,1H,J=8.4Hz)、7.84−7.60(m,2H)、7.73(s,1H)、5.76(d,1H,J=16.5Hz)、5.31(d,1H,J=16.5Hz)、5.26(s,2H)、3.22−3.06(m,2H)、3.00(s,2H)、2.00−1.80(m,2H)、1.20−0.96(m,5H)、0.29(s,6H)。
41. (4S)−4−クロロ−N−({[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチルシラニル}−メチル)−ベンゼンスルホンアミド(化合物37)の合成
Figure 0005467046
トリフルオロ酢酸(0.1mL)を含むメタノール(4mL)及び酢酸エチル(2mL)の混合物中に化合物36(85mg)及びPd/C(16mg,10%)を含むスラリーを、水素のバルーン圧下で3日間水素化した。真空下で溶媒を完全に乾燥し、得られた残渣を乾燥テトラヒドロフラン(2mL)中に溶解し、KCO(48mg)及び4−クロロベンゼンスルホニル=クロリド(44mg)を添加し、室温で1時間攪拌した。この反応混合物を減圧下で再び濃縮し、残渣を、ジクロロメタン中に2%エタノールを含む混合物を用いてシリカゲルカラムで精製して、収率53%(59mg)で所要の生成物を得た。
H NMR(300MHz,δ,CDCl)8.20(d,1H,J=7.8Hz)、8.07(d,1H,J=8.2Hz)、7.88−7.50(m,2H)、7.82(d,2H,J=8.7Hz)、7.63(s,1H)、7.50(d,2H,J=8.7Hz)、5.71(d,1H,J=16.5Hz)、5.26(d,1H,J=16.5Hz)、5.19(s,2H)、4.70(m,1H)、3.22−3.00(m,2H)、2.50(d,2H)、2.00−1.80(m,2H)、1.10−0.95(m,5H)、0.22(s,3H)、0.21(s,3H)。
42. 酢酸(4S)−11−[2−(アジドメチルジメチルシラニル)−エチル]−4−エチル−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−4−イルエステル(化合物38)の合成
Figure 0005467046
化合物36を用いて手順Bにしたがって調製し、粗生成物を、ジクロロメタン中に1%エタノールを含む混合物を用いてシリカゲルカラムで精製して、収率97%で純粋な生成物を得た。
H NMR(300MHz,δ,CDCl)8.28(d,1H,J=7.8Hz)、8.10(d,1H,J=8.4Hz)、7.90−7.60(m,2H)、7.28(s,1H)、5.68(d,1H,J=16.5Hz)、5.40(d,1H,J=16.5Hz)、5.25(d,2H,J=0.9Hz)、3.24−3.08(m,2H)、3.00(s,2H)、2.40−2.04(m,2H)、2.22(s,3H)、1.20−0.96(m,5H)、0.29(s,6H)。
43. トリフルオロアセタート(4S)−{[2−(4−アセトキシ−4−エチル−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチルシラニル}−メチルアンモニウム(化合物39)の合成
Figure 0005467046
化合物38を用いて手順Dにしたがって調製し、量的収率で所要の生成物を得た。
44. 酢酸(4S)−11−(2−{ジメチル−[(3−フェニルウレイド)−メチル]−シラニル}−エチル)−4−エチル−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−4−イルエステル(化合物40)の合成
Figure 0005467046
化合物39及びイソシアン酸フェニルを用いて上記の手順Eにしたがって、所要の生成物を調製した。所要の生成物は、収率43%で得られた。
H NMR(300MHz,δ,DMSO)8.22(d,1H,J=8.2Hz)、8.07(d,1H,J=8.4Hz)、7.79(t,1H,J=7.5Hz)、7.62(t,1H,J=7.2Hz)、7.40−6.90(m,6H)、5.66(d,1H,J=16.5Hz)、5.38(d,1H,J=16.5Hz)、5.30−5.10(m,2H)、5.10(bs,1H)、3.22−3.06(m,2H)、2.89(bs,2H)、2.40−2.00(m,2H)、2.19(s,3H)、1.10−0.90(m,5H)、0.22(s,3H)、0.21(s,3H)。
45. (4S)−1−({[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチルシラニル}−メチル)−3−フェニル尿素(化合物41)の合成
Figure 0005467046
化合物40を用いて手順Cにしたがって調製し、粗生成物を、ジクロロメタン中に2%エタノールを含む混合物を用いてシリカゲルカラムで精製して、収率68%で所要の生成物を得た。
H NMR(300MHz,δ,DMSO)8.40(s,1H)、8.23(d,1H,J=8.1Hz)、8.15(d,1H,J=8.7Hz)、7.81(t,1H,J=7.4Hz)、7.60(t,1H,J=7.7Hz)、7.41(d,2H,J=7.5Hz)、7.32(s,1H)、7.21(t,2H,J=8.0Hz)、6.87(t,1H,J=7.2Hz)、6.53(s,1H)、6.04(t,1H,J=5.1Hz)、5.44(s,2H)、5.35(s,2H)、3.30−3.10(m,2H)、2.75(d,2H,J=5.1Hz)、2.00−1.80(m,2H)、1.10−0.90(m,2H)、0.88(t,3H,J=7.2Hz)、0.22(s,6H)。
46. 酢酸(4S)−11−{2−[(3,3−ジエチル−ウレイドメチル)−ジメチル−シラニル]−エチル}−4−エチル−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−4−イルエステル(化合物42)の合成
Figure 0005467046
化合物39及びジエチルカルバミル=クロリドを用いて上記の手順Eにしたがって、所要の生成物を調製した。所要の生成物は、収率55%で得られた。
H NMR(300MHz,δ,CDCl)8.22(d,1H,J=8.4Hz)、8.15(d,1H,J=8.4Hz)、7.83−7.60(m,2H)、7.26(s,1H)、5.65(d,1H,J=16.5Hz)、5.40(d,1H,J=16.5Hz)、5.23(s,2H)、3.29(q,4H,J=7.2Hz)、3.25−3.10(m,2H)、2.90(d,2H)、2.40−2.00(m,2H)、2.21(s,3H)、1.14(t,6H,J=7.1Hz)、1.08−0.88(m,5H)、0.23(s,6H)。
47. (4S)−1,1−ジエチル−3−({[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチルシラニル}−メチル)−尿素(化合物43)の合成
Figure 0005467046
化合物42を用いて手順Cにしたがって調製し、粗生成物を、ジクロロメタン中に2%エタノールを含む混合物を用いてシリカゲルカラムで精製して、収率86%で所要の生成物を得た。
H NMR(300MHz,δ,CDCl)8.26(d,1H,J=8.4Hz)、8.14(d,1H,J=8.7Hz)、7.85−7.60(m,2H)、7.72(s,1H)、5.76(d,1H,J=16.5Hz)、5.31(d,1H,J=16.5Hz)、5.26(s,2H)、3.29(q,4H,J=7.2Hz)、3.28−3.08(m,2H)、2.91(bs,2H)、2.00−1.80(m,2H)、1.18(t,6H,J=7.2Hz)、1.05(t,3H,J=7.4Hz)、1.10−0.92(m,2H)、0.25(s,6H)。
48. 酢酸(4S)−11−{2−[(3,3−ジメチルウレイドメチル)−ジメチルシラニル]−エチル}−4−エチル−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−4−イルエステル(化合物44)の合成
Figure 0005467046
化合物39及びジメチルカルバミル=クロリドを用いて上記の手順Eにしたがって、所要の生成物を調製した。所要の生成物は、収率72%で得られた。
H NMR(300MHz,δ,CDCl)8.30−8.20(m,1H)、8.15(d,1H,J=8.1Hz)、7.85−7.60(m,2H)、5.66(d,1H,J=16.5Hz)、5.40(d,1H,J=16.5Hz)、5.24(s,2H)、4.30−4.18(m,1H)、3.26−3.12(m,2H)、2.95(s,6H)、2.92−2.80(m,2H)、2.38−2.02(m,2H)、2.23(s,3H)、1.10−0.86(m,5H)、0.24(s,6H)。
49. (4S)−3−({[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチルシラニル}−メチル)−1,1−ジメチル尿素(化合物45)の合成
Figure 0005467046
化合物44を用いて手順Cにしたがって調製し、粗生成物を、ジクロロメタン中に2%エタノールを含む混合物を用いてシリカゲルカラムで精製して、収率86%で所要の生成物を得た。
H NMR(300MHz,δ,CDCl)8.28(d,1H,J=8.4Hz)、8.14(d,1H,J=8.4Hz)、7.85−7.60(m,3H)、5.75(d,1H,J=16.5Hz)、5.30(d,1H,J=16.5Hz)、5.26(s,2H)、3.26−3.06(m,2H)、2.95(s,6H)、2.93−2.80(m,2H)、2.00−1.80(m,2H)、1.10−0.92(m,5H)、0.24(s,6H)。
m/z 535[M+H]
50. (4S)−4−エチル−4−ヒドロキシ−11−[2−(ヒドロキシジメチルシラニル)−エチル]−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン(化合物46)の合成
Figure 0005467046
化合物36と、TFAの代わりに(5:1)メタノール−酢酸混合物とを用いて手順Dにしたがって調製し、収率60%で所要の生成物を得た。
H NMR(300MHz,δ,CDCl)8.19(d,1H,J=8.7Hz)、8.09(d,1H,J=8.1Hz)、7.77(t,1H,J=7.7Hz)、7.69(s,1H)、7.65(t,1H,J=7.7Hz)、5.73(d,1H,J=16.2Hz)、5.29(d,1H,J=16.5Hz)、5.28(s,2H)、3.30−3.10(m,2H)、2.02−1.75(m,2H)、1.20−0.85(m,5H)、0.28(s,6H)。
MS(m/z,M+1):451。
Figure 0005467046
51. 3−{[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチル−シラニル}−プロピオン酸(化合物47)の調製
7−[2’−(3’’−ヒドロキシル)プロピルジメチルシラニル]エチルカンプトテシン(110mg、0.23mmol)を40%硫酸(2ml)に溶解した溶液を、氷浴で冷却した。三酸化クロム(92mg、0.92mmol)を40%硫酸(1ml)に溶解した溶液を添加した。得られた溶液(緑色)を、室温で16時間攪拌した。この反応を氷(20g)でクエンチし、メタノール/クロロホルム(10/90)で抽出した。これらの有機抽出物を合わせて、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、シリカゲルで濾過し、ロータリーエバポレーションによって濃縮した。放射状分取層クロマトグラフィ(radial preparative-layer chromatography)(メタノール/クロロホルム;2/98 v/v)による精製によって、100mgの化合物47を黄色固体として得た。
2731Siについて計算された正確な質量m/z 507.194591、実測値 507.19617。
52. 3−{[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチル−シラニル}−N.N−ジメチル−プロピオンアミド(化合物48)の調製
化合物47(1ml)の溶液に、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(19mg、0.099mmol)及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(触媒量)を添加した。ジメチルアミン(0.04ml、テトラヒドロフラン中、M=2)及びジイソプロピルエチルアミン(0.1ml)を、氷浴で上記溶液に添加した。得られた溶液を、室温で3日間攪拌した。この反応を1N HClでクエンチし、ジクロロメタンで抽出した。これらの有機抽出物を合わせて、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、シリカゲルで濾過し、ロータリーエバポレーションによって濃縮した。放射状分取層クロマトグラフィ(酢酸エチル/ヘキサン=50/50〜メタノール/クロロホルム=2/98)による精製によって、12mgの化合物48を黄色固体として得た。
H NMR(300MHz,CDCl)δ8.16(d,1H,J=7.5Hz)、8.00(d,1H,J=8.1Hz)、7.75−7.70(m,1H)、7.62−7.57(m,2H)、5.69(d,1H,J=16.5Hz)、5.24(d,1H,J=16.5Hz)、5.17(s,2H),3.73(s,1H)、3.15−3.02(m,2H)、2.96(s,3H)、2.91(s,3H)、2.35−2.27(m,2H)、1.88−1.74(m,2H,)、1.00−0.92(m,7H)、0.13(s,6H)。
53. 2−(3−{[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチル−シラニル}−プロピオニルアミノ)−ペンタン二酸ジベンジルエステル(化合物49)の調製
化合物47(150mg、0.30mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(5ml)に溶解した溶液に、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(170mg,0.89mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(触媒量)、L−グルタメート(L-glutamate)(215mg、0.59mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(1ml)を添加した。得られた溶液を、室温で3日間攪拌した。この反応混合物に、20mlのジクロロメタンを添加し、1N HCl(3×10ml)及び水(20ml)で洗浄した。これらの有機抽出物を合わせて、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、シリカゲルで濾過し、ロータリーエバポレーションによって濃縮した。放射状分取層クロマトグラフィ(酢酸エチル/ヘキサン=50/50〜メタノール/クロロホルム=2/98 v/v)による精製によって、化合物49を黄色固体として得た。
H NMR(300MHz,CDCl)δ8.25(d,1H,J=8.4Hz)、8.05(d,1H,J=8.1Hz)、7.82−7.77(m,1H)、7.70−7.64(m,2H)、7.37−7.27(m,10H)、6.35(d,1H,J=7.8Hz)、5.73(d,1H,J=16.2Hz)、5.28(d,1H,J=16.2Hz)、5.22(s,2H)、5.13(s,2H)、5.07(s,2H)、4.74−4.64(m,1H)、3.79(s,1H)、3.15−3.02(m,2H)、2.55−1.98(m,6H)、1.98−1.84(m,2H,)、1.05−0.92(m,7H)、0.185(d,6H,J=1.2Hz)。
54. 2−(3−{[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチル−シラニル}−プロピオニルアミノ)−ペンタン二酸(化合物50)の調製
化合物49(25mg)をジメトキシエタン(1ml)及びエタノール(1ml)に溶解した溶液に、10%パラジウム木炭(10mg)を添加した。この混合物を、水素のバルーン圧下で、16時間室温で攪拌した。得られた混合物をセライトで濾過し、溶媒をロータリーエバポレーションによって除去した。残渣を、メタノール/ジクロロメタン(50/50)を用いて溶出する分取TLCプレート(prepared TLC plate)によって精製して、化合物50を黄色固体として得た。
H NMR(300MHz,DMSO)δ8.21−8.15(m,2H)、7.85(t,1H,J=7.2Hz)、7.54(t,1H,J=7.2Hz)、7.53(d,1H,J=7.5Hz)、7.33(s,1H)、6.53(s,1H)、5.44(s,2H)、5.34(s,2H)、4.18−4.11(m,1H)、3.18−3.12(m,2H)、2.48−1.47(m,8H)、0.95−0.86(m,7H)、0.14(s,6Hz);
MS(m/z,M+1)636.5。
55. 11−{2−[ジメチル−(3−トリエチルシラニルオキシ−プロピル)−シラニル]−エチル}−4−エチル−4−ヒドロキシ−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン(化合物51)の合成
Figure 0005467046
7−[2−(3−ヒドロキシプロピルジメチルシラニル)]エチルカンプトテシン(986mg、2mmol)とピリジン(8.1mL、100mmol)とを−78℃でジクロロメタン(20mL)に溶解した溶液に、クロロトリエチルシラン(1.01mL、6mmol)を滴下した。得られた混合物を、−78℃で2時間攪拌した。この反応を飽和重炭酸ナトリウム溶液でクエンチし、水層をジクロロメタンで抽出した。有機層を分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮して黄色油を得た。この黄色油をカラムクロマトグラフィによって精製して、純粋な生成物を得た(収率:90%)。
H NMR(300MHz,CDCl):δ0.18(s,6H)、0.64(m,8H)、0.96(m,11H)、1.05(t,J=7.5Hz,3H)、1.91(m,2H)、1.59(m,2H)、3.12(m,2H)、3.60(t,J=6.9Hz,2H)、3.72(s,1H)、5.24(s,2H)、5.33(d,J=15.5Hz,1H)、5.79(d,J=15.5Hz,1H)、7.66(m,2H)、7.81(m,1H)、8.05(d,J=7.5Hz,1H)、8.24(d,J=8.7Hz,1H)。
56. 炭酸ベンジルエステル 11−{2−[ジメチル−(3−トリエチルシラニルオキシ−プロピル)−シラニル]−エチル}−4−エチル−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−4−イルエステル(化合物52)の合成
Figure 0005467046
化合物51(1.21g、2mmol)と4−ジメチルアミノピリジン(244mg、2mmol)とピリジン(1.62mL、20mmol)とを−10℃でジクロロメタン(20mL)に溶解した溶液に、ホスゲン(トルエン中20%、2.10mL、4mmol)を滴下した。得られた混合物を、−10℃で15分間攪拌した。ベンジルアルコール(0.83mL、8mmol)を添加し、得られた混合物を21℃で2時間攪拌した。この反応を飽和重炭酸ナトリウム溶液でクエンチし、水層をジクロロメタンで抽出した。有機層を合わせて、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮して黄色油を得た。この黄色油をクロマトグラフィに供して、所望の生成物を得た(収率:47%)。
H NMR(300MHz,CDCl):δ0.18(s,6H)、0.64(m,8H)、0.97(m,14H)、1.59(m,2H)、2.20(m,2H)、3.12(m,2H)、3.61(t,J=6.9Hz,2H)、5.14(m,2H)、5.24(s,2H)、5.40(d,J=17.1Hz,1H)、5.72(d,J=17.1Hz,1H)、7.30(m,6H)、7.69(t,J=6.0Hz,1H)、7.82(t,J=8.4Hz,1H)、8.05(d,J=7.8Hz,1H)、8.24(d,J=8.4Hz,1H)。
57. 炭酸ベンジルエステル 4−エチル−11−{2−[(3−ヒドロキシ−プロピル)−ジメチル−シラニル]−エチル}−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−4−イルエステル(化合物53)の合成
Figure 0005467046
20mLのアセトニトリル中に化合物52(1.70g、2.3mmol)、フッ化水素酸(水中48%、1.8mL、46mmol)及びピリジン(4.5mL、55mmol)を含む混合物を、21℃で14時間攪拌した。この反応を飽和重炭酸ナトリウム溶液でクエンチし、水層をジクロロメタンで抽出した。有機層を合わせて、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮して黄色油を得た。この黄色油をクロマトグラフィに供して、所望の生成物を得た(収率:48%)。
H NMR(300MHz,CDCl):δ0.19(s,6H)、0.72(m,2H)、0.97(m,5H)、1.65(m,2H)、2.22(m,2H)、3.15(m,2H)、3.68(m,2H)、5.14(m,2H)、5.25(s,2H)、5.40(d,J=17.1Hz,1H)、5.69(d,J=17.1Hz,1H)、7.30(m,6H)、7.69(t,J=6.0Hz,1H)、7.82(t,J=8.4Hz,1H)、8.05(d,J=7.8Hz,1H)、8.24(d,J=8.4Hz,1H)。
58. 安息香酸3−{[2−(4−ベンジルオキシカルボニルオキシ−4−エチル−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチルーシラニル}−プロピルエステル(化合物54)の合成
Figure 0005467046
6.4mLのジクロロメタン中に化合物53(200mg、0.32mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(78mg、0.64mmol)及び塩化ベンジル(55μL、0.48mmol)を含む混合物を、21℃で5時間攪拌した。この反応を飽和重炭酸ナトリウム溶液でクエンチし、水層をジクロロメタンで抽出した。有機層を合わせて、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮して粗生成物を得た。この粗生成物をクロマトグラフィに供して、所望の生成物を得た。
H NMR(300MHz,CDCl):δ0.23(s,6H)、0.76(m,2H)、0.97(m,5H)、1.82(m,2H)、2.22(m,2H)、3.15(m,2H)、4.33(t,J=6.9Hz,2H)、5.14(m,2H)、5.24(s,2H)、5.40(d,J=17.1Hz,1H)、5.69(d,J=17.1Hz,1H)、7.30(m,6H)、7.44(t,J=7.8Hz,2H)、7.57(m,1H)、7.69(t,J=6.0Hz,1H)、7.82(t,J=8.4Hz,1H)、8.05(d,J=7.8Hz,1H)、8.24(d,J=8.4Hz,1H)。
59. 安息香酸3−{[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチル−シラニル}−プロピルエステル(化合物55)の合成
Figure 0005467046
1mLのエタノール中に化合物53(20mg、0.027mmol)、10%パラジウム炭素(4mg、20%)を含む混合物を、水素のバルーン圧で21℃で17時間水素化した。セライトで濾過することによって触媒を除去し、濾液を揮発させて粗生成物を得た。この粗生成物をクロマトグラフィに供して、所望の生成物を得た。
H NMR(300MHz,CDCl):δ0.23(s,6H)、0.76(m,2H)、0.97(m,2H)、1.82(m,2H)、1.05(t,3H)、1.88(m,4H)、3.14(m,2H)、4.33(t,J=6.9Hz,2H)、5.25(s,2H)、5.31(d,J=16.5Hz,1H)、5.76(d,J=16.5Hz,1H)、7.43(t,J=7.5Hz,2H)、7.57(m,1H)、7.66(m,2H)、7.82(t,J=8.4Hz,1H)、8.05(m,3H)、8.24(d,J=8.4Hz,1H)。
60. フラン−2−カルボン酸3−{[2−(4−ベンジルオキシカルボニルオキシ−4−エチル−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチル−シラニル}−プロピルエステル(化合物56)の合成
Figure 0005467046
6.0mLのジクロロメタン中に化合物53(162mg、0.26mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(63mg、0.52mmol)及び2−フロイル=クロリド(62mg、0.47mmol)を含む混合物を、21℃で5時間攪拌した。この反応を飽和重炭酸ナトリウム溶液でクエンチし、水層をジクロロメタンで抽出した。有機層を合わせて、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮して粗生成物を得た。この粗生成物をクロマトグラフィに供して、所望の生成物を得た。
H NMR(300MHz,CDCl):δ0.22(s,6H)、0.76(m,2H)、0.97(m,5H)、1.82(m,2H)、2.22(m,2H)、3.15(m,2H)、4.32(t,J=7.2Hz,2H)、5.14(m,2H)、5.24(s,2H)、5.40(d,J=17.1Hz,1H)、5.71(d,J=17.1Hz,1H)、6.50(m,1H)、7.20(m,1H)、7.30(m,6H)、7.58(s 1H)、7.69(t,J=6.0Hz,1H)、7.82(t,J=8.4Hz,1H)、8.05(d,J=7.8Hz,1H)、8.24(d,J=8.4Hz,1H)。
61. フラン−2−カルボン酸3−{[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチル−シラニル}−プロピルエステル(化合物57)の合成
Figure 0005467046
6mLのエタノール中に化合物56(180mg、0.25mmol)、10%パラジウム炭素(36mg、20%)を含む混合物を、水素のバルーン圧で21℃で18時間水素化した。セライトで濾過することによって触媒を除去し、濾液を揮発させて粗生成物を得た。この粗生成物をクロマトグラフィに供して、所望の生成物を得た。
H NMR(300MHz,CDCl):δ0.21(s,6H)、0.73(m,2H)、0.97(m,2H)、1.04(t,3H)、1.88(m,4H)、3.15(m,2H)、3.71(s,2H)、4.31(t,J=6.9Hz,2H),δ5.25(s,2H)、5.32(d,J=16.2Hz,1H)、5.76(d,J=16.2Hz,1H)、6.50(m,1H)、7.20(d,J=3.9Hz,1H)、7.57(s 1H)、7.67(m,2H)、7.82(t,J=7.2Hz,1H)、8.05(d,J=7.8Hz,1H)、8.24(d,J=7.5Hz,1H)。
62. チオフェン−2−カルボン酸3−{[2−(4−ベンジルオキシカルボニルオキシ−4−エチル−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチル−シラニル}−プロピルエステル(化合物58)の合成
Figure 0005467046
6.0mLのジクロロメタン中に化合物53(162mg、0.26mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(63mg、0.52mmol)及び2−チオフェンカルボニル=クロリド(50μL、0.47mmol)を含む混合物を、21℃で5時間攪拌した。この反応を飽和重炭酸ナトリウム溶液でクエンチし、水層をジクロロメタンで抽出した。有機層を合わせて、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮して粗生成物を得た。この粗生成物をクロマトグラフィに供して、所望の生成物を得た。
H NMR(300MHz,CDCl):δ0.22(s,6H)、0.76(m,2H)、0.97(m,5H)、1.82(m,2H)、2.22(m,2H)、3.15(m,2H)、4.32(t,J=6.9Hz,2H)、5.14(m,2H)、5.24(s,2H)、5.40(d,J=16.2Hz,1H)、5.71(d,J=16.2Hz,1H)、6.50(m,1H)、7.08(m,1H)、7.30(m,6H)、7.56(m,1H)、7.69(t,J=6.0Hz,1H)、7.82(m,2H)、8.05(d,J=7.8Hz,1H)、8.24(d,J=8.4Hz,1H)。
63. 酢酸3−{[2−(4−ベンジルオキシカルボニルオキシ−4−エチル−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチル−シラニル}−プロピルエステル(化合物59)の合成
Figure 0005467046
6.0mLのジクロロメタン中に化合物53(200mg、0.32mmol)、ピリジン(1.26mL)及び無水酢酸(0.3mL、2.9mmol)を含む混合物を、21℃で5時間攪拌した。この反応を飽和重炭酸ナトリウム溶液でクエンチし、水層をジクロロメタンで抽出した。有機層を合わせて、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮して粗生成物を得た。この粗生成物をクロマトグラフィに供して、所望の生成物を得た。
H NMR(300MHz,CDCl):δ0.20(s,6H)、0.67(m,2H)、0.97(m,5H)、1.70(m,2H)、2.07(s,3H)、2.22(m,2H)、3.15(m,2H)、4.07(t,J=6.9Hz,2H)、5.14(m,2H)、5.24(s,2H)、5.40(d,J=17.1Hz,1H)、5.71(d,J=17.1Hz,1H)、7.30(m,6H)、7.69(t,J=6.0Hz,1H)、7.82(m,2H)、8.05(d,J=7.8Hz,1H)、8.24(d,J=8.4Hz,1H)。
64. 酢酸3−{[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチル−シラニル}−プロピルエステル(化合物60)の合成
Figure 0005467046
6mLのエタノール中に化合物59(180mg、0.27mmol)、10%パラジウム炭素(36mg、20%)を含む混合物を、水素のバルーン圧で21℃で18時間水素化した。セライトで濾過することによって触媒を除去し、濾液を揮発させて粗生成物を得た。この粗生成物をクロマトグラフィに供して、所望の生成物を得た。
H NMR(300MHz,CDCl):δ0.20(s,6H)、0.67(m,2H)、0.97(m,2H)、1.04(t,J=7.5Hz,3H)、1.67(m,2H)、1.90(m,2H)、2.07(s,3H)、3.11(m,2H),δ3.71(s,1H)、4.07(t,J=6.9Hz,2H)、5.25(s,2H)、5.32(d,J=16.2Hz,1H)、5.76(d,J=16.2Hz,1H)、7.67(m,2H),)、7.82(t,J=7.2Hz,1H)、8.05(d,J=7.8Hz,1H)、8.24(d,J=7.5Hz,1H)。
65. シクロブタンカルボン酸3−{[2−(4−ベンジルオキシカルボニルオキシ−4−エチル−3,13−ジオキソ−3.4.12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチル−シラニル}−プロピルエステル(化合物61)の合成
Figure 0005467046
2.0mLのジクロロメタン中に化合物53(70mg、0.11mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(27mg、0.22mmol)及びシクロブタンカルボニル=クロリド(26mg、0.22mmol)を含む混合物を、21℃で5時間攪拌した。この反応を飽和重炭酸ナトリウム溶液でクエンチし、水層をジクロロメタンで抽出した。有機層を合わせて、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮して粗生成物を得た。この粗生成物をクロマトグラフィに供して、所望の生成物を得た。
H NMR(300MHz,CDCl):δ0.20(s,6H)、0.67(m,2H)、0.97(m,5H)、1.70(m,3H)、1.93(m,2H)、2.25(m,6H)、3.12(m,2H)、4.07(t,J=7.2Hz,2H)、5.14(m,2H)、5.24(s,2H)、5.40(d,J=17.1Hz,1H)、5.71(d,J=17.1Hz,1H)、7.30(m,6H)、7.69(t,J=6.0Hz,1H)、7.82(t,J=8.4Hz,1H)、8.05(d,J=7.8Hz,1H)、8.24(d,J=8.4Hz,1H)。
66. シクロブタンカルボン酸3−{[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチル−シラニル}−プロピルエステル(化合物62)の合成
Figure 0005467046
20mLのエタノール中に化合物61(70mg、0.1mmol)、10%パラジウム炭素(20mg、20%)を含む混合物を、水素のバルーン圧で21℃で18時間水素化した。セライトで濾過することによって触媒を除去し、濾液を揮発させて粗生成物を得た。この粗生成物をクロマトグラフィに供して、所望の生成物を得た。
H NMR(300MHz,CDCl):δ0.20(s,6H)、0.67(m,2H)、0.97(m,2H)、1.05(t,J=7.5Hz,3H)、1.67(m,3H)、1.90(m,4H)、2.21(m,4H)、3.11(m,2H)、3.70(s,1H)、4.07(t,J=6.9Hz,2H)、5.25(s,2H)、5.32(d,J=16.5Hz,1H)、5.76(d,J=16.5Hz,1H)、7.67(t,J=6.0Hz,1H)、7.82(t,J=8.4Hz,1H)、8.05(d,J=7.8Hz,1H)、8.24(d,J=8.4Hz,1H)。
67. イソオキサゾール−5−カルボン酸3−{[2−(4−ベンジルオキシカルボニルオキシ−4−エチル−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチル−シラニル}−プロピルエステル(化合物63)の合成
Figure 0005467046
3.0mLのジクロロメタン中に化合物53(70mg、0.11mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(30mg、0.25mg)及びイソオキサゾール−5−カルボニル=クロリド(35μL、0.22mmol)を含む混合物を、21℃で5時間攪拌した。この反応を飽和重炭酸ナトリウム溶液でクエンチし、水層をジクロロメタンで抽出した。有機層を合わせて、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮して粗生成物を得た。この粗生成物をクロマトグラフィに供して、所望の生成物を得た。
H NMR(300MHz,CDCl):δ0.23(s,6H)、0.74(m,2H)、0.97(m,5H)、1.82(m,2H)、2.22(m,2H)、3.12(m,2H)、4.35(t,J=6.9Hz,2H)、5.14(m,2H)、5.24(s,2H)、5.40(d,J=17.4Hz,1H)、5.71(d,J=17.4Hz,1H)、6.98(d,J=1.8Hz,1H)、7.30(m,6H)、7.69(t,J=6.0Hz,1H)、7.82(t,J=8.4Hz,1H)、8.05(d,J=7.8Hz,1H)、8.24(d,J=8.4Hz,1H)、8.36(d,J=1.8Hz,1H)。
68. 2,3−ジヒドロ−イソオキサゾール−5−カルボン酸3−{[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチル−シラニル}−プロピルエステル(化合物64)の合成
Figure 0005467046
20mLのエタノール中に化合物63(70mg、0.1mmol)、10%パラジウム炭素(20mg、20%)を含む混合物を、水素のバルーン圧で21℃で18時間水素化した。セライトで濾過することによって触媒を除去し、濾液を揮発させて粗生成物を得た。この粗生成物をクロマトグラフィに供して、所望の生成物を得た。
H NMR(300MHz,CDCl):δ0.20(s,6H)、0.71(m,2H)、0.97(m,2H)、1.04(t,3H)、1.88(m,4H)、3.15(m,2H)、3.70(s,1H)、4.24(t,J=6.9Hz,2H)、5.25(s,2H)、5.32(d,J=16.2Hz,1H)、5.65(br,1H)、5.76(d,J=16.2Hz,1H)、5.93(m,1H)、7.16(m,2H)、7.67(m,2H)、7.82(t,J=8.4Hz,1H)、8.05(d,J=7.8Hz,1H)、8.24(d,J=8.4Hz,1H)。[M+H]:590.7。
IV. A2780/WT細胞及びDX5細胞におけるカレニテシン(登録商標)(BNP1350)細胞毒性実験
A2780/WT(野生型)細胞及びA2780/DX5細胞の両方において本研究で使用された各試験条件を、別日に実施された5〜15回の実験において繰り返した。各実験は1つのマイクロタイタープレートからなり、このプレート上には所定の薬物処理条件の少なくとも8つの個々のアッセイを有する。プレートウェルにおける種々の処理条件に対する細胞コントロールの百分率(又は細胞生存率)を計算するために、スルホローダミンB(SRB)アッセイを用いて細胞毒性及び570nmでの吸光度(A570)を評価した。
試薬
ロズウェルパーク記念研究所(Roswell Park Memorial Institute)(RPMI 1640)培地、ウシ胎仔血清(FBS)及びL−グルタミンは、ギブコBRL(Gibco BRL)から購入した。原液(2.5〜5.0mM)として、薬物を、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection (ATCC))からの滅菌ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解した。その後の希釈は、(薬物を細胞に添加するより前に)細胞培養培地を用いてなされた。SRBはシグマ(Sigma)から購入し、1.0パーセント酢酸に溶解した。トリクロロ酢酸は、VMRインターナショナル(VWR International)から購入した。
器具
細胞を、クラスIIA/B3バイオロジカルセーフティキャビネット(Class IIA/B3 Biological Safety Cabinet)(フォルマ・サイエンティフィック(Forma Scientific))中で扱い、ウォータージャケットを装着した細胞培養インキュベータ(フォルマ・サイエンティフィック)において、5%COを含有する加湿雰囲気中、37℃で維持した。細胞をコールター−Z1(Coulter-Z1)カウンタ(ベックマン−コールター(Beckman-Coulter))を用いて数えた。薬物処理後、プレートをバイオメック(Biomek)2000ステーション(ベックマン(Beckman))を用いて洗浄して、SRB染料に曝露した後、プレートを自動プレート洗浄機(Model EL404,バイオ−テク・インストルメンツ(Bio-Tek Instruments))を用いて洗浄した。コントロールの百分率はA570値に相関し、Model EL800プレート読取り装置(バイオ−テク・インストルメンツ)を用いて決定された。
細胞増殖及び生存率
本研究において使用された2つの細胞株についての集団倍加時間は、A2780/WT細胞及びA2780/DX5細胞について約5日間に対応する5回の細胞倍加の合計である。A2780/WT細胞及びA2780/DX5細胞を、10%ウシ胎仔血清及び1mMのL−グルタミンを補充したRPMI 1640培地で培養した。両細胞株を、T−25又はT−75フラスコ中で単層培地として維持し、次いで、本明細書中に記載された実験のためにマイクロタイタープレートウェルに播種した。SRBアッセイに先だって、細胞生存率を、マイクロタイターウェルを評価することによって監視した。死滅した細胞は分離して浮かび、一方、生存細胞は細胞ウェルの底部に付着して残存する。
細胞毒性アッセイ(SRBアッセイ)
スルホローダミンB(SRB)細胞毒性アッセイ(スケハン P(Skehan P)ら、抗癌薬スクリーニングのための新たな比色分析細胞毒性アッセイ、ジャーナル オブ ザ ナショナル キャンサー インスティテュート(New colorimetric cytotoxity assay for anticancer-drug screening. J. Natl. Cancer Inst.) 82: 1107−1112(1990)を参照のこと。)を用いて、インビトロにおける細胞増殖に対するBNP1350、SN−38、トポテカン、9−NH−CPT及び9−NO−CPTの細胞毒効果を測定した。手短に言えば、培地を個々のプレートウェルから吸引した後、トリクロロ酢酸(10.0%溶液の100μL)を各ウェルに添加し、プレートを4℃で少なくとも1時間培養した。このプレートを、自動マイクロプレート洗浄機(Model EL 404、バイオ−テク・インストルメンツ)を用いて水で5回洗浄し、SRB溶液(100mLの1.0パーセント酢酸に0.4グラムのSRBを溶解した溶液の100μL)を添加し、プレートを室温で15分間そのままにした。次いで、このプレートを酢酸(1.0%)を用いて5回洗浄し、風乾し、結合した染料をTris塩基(150μL、10mM)中で可溶化した。プレートを5分間(穏やかに)かき混ぜ、570nm波長でのSRB染料−タンパク質付加体の吸光度(A570)を、A570フィルタを装着した自動マイクロタイタープレート読取り装置(Model EL800、バイオ−テク・インストルメンツ)を用いて測定した。
Figure 0005467046
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Figure 0005467046
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一般的に、2.0以下のIC50比は腫瘍細胞に対する高い毒性の可能性を示すと考えられる。
V. ヒト血漿中の遊離カンプトテシン類似体の算定
種々のカンプトテシン類似体の原液(stock)をDMSO中で調製した。リン酸塩緩衝液を分析用グレードの試薬から調製し、12〜14kD分子量カットオフ(MWCO)の再生セルロース膜をスペクトラム・ラボラトリーズ(Spectrum Laboratories)から購入した。サンプルを、平衡に達するまで48時間又はそれ以上室温で培養した。遊離カンプトテシン/カレニテシン(登録商標)類似体の百分率を測定する実験を3回実施した。各カンプトテシン/カレニテシン(登録商標)類似体について最適なHPLC検出条件を、従来のHPLC法を用いて明らかにした。結果を以下の表8に示す。
Figure 0005467046
上記の表8から、本発明の新規なC7−修飾カレニテシン(登録商標)類似体は、例えば、SN22、カンプトテシン(CPT)、さらにカレニテシン(登録商標)と比較して、ヒト血漿タンパク質に対する親和性がより低いと結論され得る。したがって、C7−修飾カレニテシン(登録商標)類似体は血漿タンパク質結合性を改良し、ラクトン安定性及び化学療法の有効性を付随的に維持する。
本明細書において参照又は記載された全ての特許、出版物、科学論文、ウェブ・サイトなど、ならびに他の文献及び資料は、本発明の属する分野における当業者の技術レベルを示し、このような参照された文献及び資料の各々は、あたかも、言及することによりその全体がそれぞれ組み入れられるか又はその全体が本明細書に示されている場合と同じ程度で参照されることにより、本明細書に組み入れられる。出願人は、いかなるこのような特許、出版物、科学論文、ウェブ・サイト、電子的に入手可能な情報、及び他の参照される資料又は文献からのいかなる及び全ての資料及び情報を本明細書に物理的に組み入れる権利を留保する。
本特許の記載部分は全ての特許請求の範囲を包含する。さらに、全ての特許請求の範囲は、全ての当初の特許請求の範囲ならびに任意の及び全ての優先権書類からの全ての特許請求の範囲を含み、言及することにより、本明細書の記載部分にその全体が組み入れられる。また、出願人は任意の及び全てのそのような特許請求の範囲を本出願の記載部分又は任意の他の部分に物理的に組み入れる権利を留保する。それゆえ、例えば、いかなる場合であっても、請求項の正確な表現が本特許の記載部分中に厳密にその通りの言葉で記載されていないという主張にもとづいて、根拠なく、本特許はその請求項に対する記載が与えられていないとは解釈されない。
特許請求の範囲は法律に従って解釈される。しかし、任意の特許請求の範囲又はその一部の解釈が容易である又は難解であるという主張又は認識にもかかわらず、本特許をもたらす出願(単数又は複数)の手続の間に特許請求の範囲又はその一部を修正又は補正することは、いかなる場合であっても、先行技術の一部を成さない本特許の任意の及び全ての均等物に対する権利が放棄されたと解釈されない。
本明細書に開示された特徴の全ては、任意の組み合わせで組み合わされてもよい。その結果、特に明記しない限り、開示された特徴はそれぞれ、包括的な一連の均等物又は同様の特徴の単なる例でしかない。
本発明はその詳細な説明に関連して記載されているが、前述の詳細な説明は説明を意図するものであって、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって規定されるということが理解されるべきである。それゆえ、本発明の具体的な実施形態は、説明を目的として本明細書に記載されてはいるが、種々の修正が本発明の精神及び範囲から逸脱することなくなされ得ることは、前述から理解されるであろう。他の態様、効果、及び修正は下記の特許請求の範囲の範囲内にあり、本発明は添付の特許請求の範囲による場合以外は限定されない。
本明細書に記載された具体的な方法及び組成物は好ましい実施形態の代表例であり典型例であり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。他の課題、態様、及び実施形態は本明細書を考慮することにより当業者に想起されるものであり、特許請求の範囲によって規定される本発明の精神に包含される。本明細書に開示された本発明に対する種々の置換及び修正は本発明の範囲及び精神から逸脱することなくなされ得ることは当業者には容易に理解される。本明細書に説明的に記載された本発明は、本質的なものとして本明細書に詳細に開示されていない、任意の要素(単数又は複数)又は限定(単数又は複数)がない場合において適切に実施されてもよい。それによって、例えば、本明細書中の各例、本発明の実施形態又は実施例において、用語「構成する(comprising)」、「含む(including)」、「含有する(containing)」などは、限定されることなく広く解釈されるべきである。本明細書に説明的に記載された方法及び処理は、異なる工程順で適切に実施されてもよく、本明細書又は特許請求の範囲に示される工程順に必ずしも限定されない。
使用されている用語及び表現は、限定的ではなく記述的な用語として用いられ、このような用語及び表現の使用には、示された及び記載された特徴又はその一部のいかなる均等物を除外する意図はないが、種々の修正が、請求される本発明の範囲内で可能であることが認められる。それゆえ、本発明は種々の実施形態及び/又は好ましい実施形態及び任意の特徴によって具体的に開示されてはいるが、本明細書に開示された概念のいかなる及び全ての修正及び変更が当業者によってなされてもよく、そのような修正及び変更は、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲内にあることが理解される。
本発明は、本明細書中に広く一般的に記載されている。包括的な開示の範囲内にある狭義の種(species)及びやや包括的な分類(subgeneric groupings)も、各々本発明の一部を形成する。任意の主題を属(genus)から除くという条件又は消極的な限定を伴って、削除された事項(material)が本明細書中に詳細に列挙されているか否かに関わらず、このこと(各々本発明の一部を形成すること)は、発明の包括的な記載を構成する。
文脈において特に明らかに規定されない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される単数形「a」、「an」、及び「the」には複数形も含まれ、表現「X及び/又はY」は、「X」又は「Y」、又は「X」及び「Y」の両方を意味することも理解されるべきである。名詞に続く文字「s」はその名詞の複数形及び単数形の両方を表す。さらに、本発明の特徴又は様態がマーカッシュ群形式で記載される場合、本発明が包含することによってマーカッシュ群の任意の個々の要素及び任意の下位概念の要素で記載されることと、出願人が、マーカッシュ群の任意の個々の要素又は任意の下位概念の要素に特に言及するように出願又は特許請求の範囲を改訂する権利を留保することとを意図しており、これらのことは、当業者には明らかである。
他の実施形態は下記の請求の範囲の範疇にある。本特許は、本明細書に詳細に及び/又は明確に開示された具体的な例又は実施形態又は方法に限定されると解釈されるものではない。いかなる場合であっても、本特許は、米国特許商標局のいかなる審査官又はいかなる関係者又は当局員による見解によって限定されて解釈されない。ただし、出願人らによる応答書面にこのような見解が具体的に及び無制限に又は無条件にはっきりと採用された場合には、その限りではない。

Claims (6)

  1. 以下からなる群より選択される抗癌カンプトテシン類似体:
    11−(4S)−{2−[(ベンジルアミノメチル)−ジメチルシラニル]−エチル}−4−エチル−4−ヒドロキシ−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン;
    酢酸−(4S)−{[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチルシラニル}−メチルエステル;
    (2R,4S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−({[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチル−シラニル}−メチルスルファニル)−プロピオン酸メチルエステル;
    チオ酢酸S−({[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチルシラニル}−メチル)エステル;
    (4S)−11−{2−[(3−ベンゼンスルホニルプロピル)−ジメチルシラニル]−エチル}−4−エチル−4−ヒドロキシ−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン;
    (4S)−4−エチル−4−ヒドロキシ−11−{2−[(3−イミダゾール−1−イル−プロピル)−ジメチル−シラニル]−エチル}−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン;
    (4S)−11−{2−[ジメチル(3−[1,2,4]トリアゾール−1−イル−プロピル)−シラニル]−エチル}−4−エチル−4−ヒドロキシ−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン;
    (4S)−11−(2−{ジメチル[3−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−プロピル]−シラニル}−エチル)−4−エチル−4−ヒドロキシ−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン;
    (4S)−(3−{[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチルシラニル}−プロピル)−ホスホン酸ジメチルエステル;
    (4S)−酢酸11−{2−[(3−アジドプロピル)−ジメチルシラニル]−エチル}−4−エチル−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−4−イルエステル;
    トリフルオロアセタート−(4S)−3−{[2−(4−アセトキシ−4−エチル−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチルシラニル}−プロピルアンモニウム;
    酢酸(4S)−11−(2−{ジメチル−[3−(2,2,2−トリフルオロアセチルアミノ)−プロピル]−シラニル}−エチル)−4−エチル−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−4−イルエステル;
    (4S)−N−(3−{[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチル−シラニル}−プロピル)−2,2,2−トリフルオロ−アセトアミド;
    酢酸(4S)−11−(2−{ジメチル−[3−(3−フェニルウレイド)−プロピル]−シラニル}−エチル)−4−エチル−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−4−イルエステル;
    (4S)−1−(3−{[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチルシラニル}−プロピル)−3−フェニル尿素;
    酢酸(4S)−11−(2−{[3−(3,3−ジエチルウレイド)−プロピル]−ジメチルシラニル}−エチル)−4−エチル−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−4−イルエステル;
    (4S)−1,1−ジエチル−3−(3−{[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチル−シラニル}−プロピル)−尿素;
    酢酸(4S)−11−(2−{[3−(3,3−ジメチルウレイド)−プロピル]−ジメチルシラニル}−エチル)−4−エチル−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−4−イルエステル;
    (4S)−3−(3−{[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチルシラニル}−プロピル)−1,1−ジメチル尿素;
    (4S)−11−[2−(ジメチル[1,2,4]トリアゾール−1−イルメチルシラニル)−エチル]−4−エチル−4−ヒドロキシ−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン;
    (4S)−11−{2−[ジメチル−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イルメチル)−シラニル]−エチル}−4−エチル−4−ヒドロキシ−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン;
    (4S)−11−[2−(ジメチル−ピロリジン−1−イルメチル−シラニル)−エチル]−4−エチル−4−ヒドロキシ−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン;
    (4S)−11−{2−[ジメチル(1−メチル−1H−イミダゾール−2−イルスルファニルメチル)−シラニル]−エチル}−4−エチル−4−ヒドロキシ−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン;
    (4S)−11−{2−[(4,5−ジヒドロ−チアゾール−2−イルスルファニルメチル)−ジメチルシラニル]−エチル}−4−エチル−4−ヒドロキシ−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン;
    (4S)−4−エチル−4−ヒドロキシ−11−{2−[(2−ヒドロキシ−エチルスルファニルメチル)−ジメチル−シラニル]−エチル}−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン;
    (4S)−11−[2−(アジドメチルジメチルシラニル)−エチル]−4−エチル−4−ヒドロキシ−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン;
    (4S)−4−クロロ−N−({[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチルシラニル}−メチル)−ベンゼンスルホンアミド;
    酢酸(4S)−11−[2−(アジドメチルジメチルシラニル)−エチル]−4−エチル−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−4−イルエステル;
    トリフルオロアセタート(4S)−{[2−(4−アセトキシ−4−エチル−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチルシラニル}−メチルアンモニウム;
    酢酸(4S)−11−(2−{ジメチル−[(3−フェニルウレイド)−メチル]−シラニル}−エチル)−4−エチル−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−4−イルエステル;
    (4S)−1−({[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチルシラニル}−メチル)−3−フェニル尿素;
    酢酸(4S)−11−{2−[(3,3−ジエチル−ウレイドメチル)−ジメチル−シラニル]−エチル}−4−エチル−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−4−イルエステル;
    (4S)−1,1−ジエチル−3−({[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチルシラニル}−メチル)−尿素;
    酢酸(4S)−11−{2−[(3,3−ジメチルウレイドメチル)−ジメチルシラニル]−エチル}−4−エチル−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−4−イルエステル;
    (4S)−3−({[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチルシラニル}−メチル)−1,1−ジメチル尿素;
    (4S)−4−エチル−4−ヒドロキシ−11−[2−(ヒドロキシジメチルシラニル)−エチル]−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン;
    3−{[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ(tetrohydro)−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチルシラニル(sianyl)}−プロピオン酸;
    3−{[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチル−シラニル}−N,N−ジメチル−プロピオンアミド;
    2−(3−{[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチル−シラニル}−プロピオニルアミノ)−ペンタン二酸ジベンジルエステル;
    2−(3−{[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチル−シラニル}−プロピオニルアミノ)−ペンタン二酸;
    11−{2−[ジメチル(3−トリエチルシラニルオキシ−プロピル)−シラニル]−エチル}−4−エチル−4−ヒドロキシ−1,12−ジヒドロ−4H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−3,13−ジオン;
    炭酸ベンジルエステル11−{2−[ジメチル−(3−トリエチルシラニルオキシ−プロピル)−シラニル]−エチル}−4−エチル−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−4−イルエステル;
    安息香酸3−{[2−(4−ベンジルオキシカルボニルオキシ−4−エチル−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチル−シラニル}−プロピルエステル;
    安息香酸3−{[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチル−シラニル}−プロピルエステル;
    フラン−2−カルボン酸3−{[2−(4−ベンジルオキシカルボニルオキシ−4−エチル−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチル−シラニル}−プロピルエステル;
    フラン−2−カルボン酸3−{[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチル−シラニル}−プロピルエステル;
    チオフェン−2−カルボン酸3−{[2−(4−ベンジルオキシカルボニルオキシ−4−エチル−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチル−シラニル}−プロピルエステル;
    酢酸3−{[2−(4−ベンジルオキシカルボニルオキシ−4−エチル−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチル−シラニル}−プロピルエステル;
    酢酸3−{[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチル−シラニル}−プロピルエステル;
    シクロブタンカルボン酸3−{[2−(4−ベンジルオキシカルボニルオキシ−4−エチル−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチル−シラニル}−プロピルエステル;
    シクロブタンカルボン酸3−{[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチル−シラニル}−プロピルエステル;
    イソオキサゾール−5−カルボン酸3−{[2−(4−ベンジルオキシカルボニルオキシ−4−エチル−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチル−シラニル}−プロピルエステル;
    2,3−ジヒドロ−イソオキサゾール−5−カルボン酸3−{[2−(4−エチル−4−ヒドロキシ−3,13−ジオキソ−3,4,12,13−テトラヒドロ−1H−2−オキサ−6,12a−ジアザ−ジベンゾ[b,h]フルオレン−11−イル)−エチル]−ジメチル−シラニル}−プロピルエステル;
    又はそれらの薬学的に許容可能な塩。
  2. 下記構造式を有する抗癌カンプトテシン類似体:
    Figure 0005467046
    (式中、Rはメチルであり;Rはメチルであり;並びにR はアセトメチル、チオアセトキシメチル、3−ベンゼンスルホニルプロピル、3−イミダゾール−1−イル−プロピル、3−[1,2,4]トリアゾール−1−イル−プロピル、3−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−プロピル、基−(CH−P(O)(OCH 3−(トリフルオロアセトアミノ)プロピル、3−(N’−フェニルウレイド)プロピル、N’−フェニルウレイドメチル、3−(N’,N’−ジエチルウレイド)プロピル、N’,N’−ジエチルウレイドメチル、3−(N’,N’−ジメチルウレイド)プロピル、N’,N’−ジメチルウレイドメチル、[1,2,4]トリアゾール−1−イルメチル、2−オキソ−2H−ピリジン−1−イルメチル、ピロリジン−1−イルメチル、1−メチル−1H−イミダゾール−2−イルスルファニルメチル、2−[4,5−ジヒドロ−チアゾール−2−イルスルファニルメチル、2−ヒドロキシ−エチルスルファニルメチル、4−クロロベンゼンスルホンアミドメチル、及びヒドロキシからなる群より選択される。)
    又はそれらの薬学的に許容可能な塩。
  3. 下記構造式を有する抗癌カンプトテシン類似体:
    Figure 0005467046
    (式中、Rはメチルであり;Rはメチルであり;並びにRは2−カルボキシエチル、2−(N,N−ジメチルカルバモイル)エチル、下記グルタミン酸ジベンジル誘導体
    Figure 0005467046
    (式中、Bnはベンジル基を示す)、下記グルタミン酸誘導体
    Figure 0005467046
    からなる群より選択される。)
    又はそれらの薬学的に許容可能な塩。
  4. 下記構造式を有する抗癌カンプトテシン類似体:
    Figure 0005467046
    (式中、Rはメチルであり;Rはメチルであり;並びにRは下記L−システイン誘導体
    Figure 0005467046
    (式中、Bocはt−ブトキシカルボニル基を示し、Meはメチル基を示す)、3−ベンゾイルオキシプロピル、2−フロイルオキシプロピル、アセトキシプロピル、シクロブタンカルボニルオキシプロピル、5−オキサゾールカルボニルオキシプロピルからなる群より選択される。)
    又はそれらの薬学的に許容可能な塩。
  5. 薬学的に有効な量の請求項1〜4のいずれか一項に記載の抗癌カンプトテシン類似体と1又はそれ以上の薬学的に許容可能な担体とが混合されている医薬組成物。
  6. 癌を治療するための薬剤であって、請求項1〜4のいずれか一項に記載の抗癌カンプトテシン類似体を含む薬剤。
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