JP2009534306A - 軽度から中等度の尋常性ざ瘡の局所治療のためのバルプロ酸の使用 - Google Patents

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Abstract

本発明は、軽度〜中等度の尋常性ざ瘡患者に対する単一薬剤療法として驚くべき治療効果をもたらす、局所適用のためのバルプロ酸(VPA)の使用を提供する。局所適用したVPAは、本適応症の市販標準薬イソトレチノインに匹敵する臨床有効性を有する。さらに、局所適用したVPAの耐容性は、概して、良好〜極めて良好である。本発明は、尋常性ざ瘡の治療として、医療用にVPAを局所使用することに関する。また、本発明はVPAまたはその医薬上許容される塩を局所適用することを含む。

Description

本発明は、軽度〜中等度の尋常性ざ瘡患者に対する単一薬剤療法として驚くべき治療効果をもたらす、局所適用のためのバルプロ酸の使用を提供する。治療効果とは、局所適用したVPAが、本適応症の市販標準薬、イソトレチノインに匹敵する臨床有効性を有することを意味する。本発明は、尋常性ざ瘡の治療として、医療用にVPAを局所使用することに関する。また、本発明はVPAまたはその医薬上許容される塩、および皮膚科学的に許容される担体を局所適用することを含む。さらに、局所適用したVPAの耐容性は、概して、良好〜極めて良好である。
クロマチン制御と疾患
クロマチンの局在リモデリングは、遺伝子の転写活性化における重要な過程の一つである。転写タンパク質がDNAの鋳型に接触するためには、DNAが折り畳まれたヌクレオソーム構造に動的変化が起こることが必要である。クロマチンリモデリングおよび遺伝子転写に影響を及ぼす最も重要なメカニズムの1つは、ヒストンおよび他の細胞性タンパク質のアセチル化による翻訳後修飾、およびそれに続くクロマチン構造の変化である(Davie,1998,Curr Opin Genet Dev 8,173−8;Kouzarides,1999,Curr Opin Genet Dev 9,40−8;StrahlおよびAllis,2000,Nature 403,41−4)。ヒストンが高度にアセチル化されると、疎水性アセチル基によってDNAに対する静電引力および立体障害が変化し、ヒストンとDNAとの相互作用が不安定になる。結果として、ヒストンのアセチル化によりヌクレオソームが解離し、DNAは転写装置に接近することができる。アセチル基が外れると、ヒストンはDNAおよび隣接するヌクレオソームにさらに強固に結合できるため、転写抑制のかかったクロマチン構造を維持することが可能になる。アセチル化は、ヒストンアセチル化酵素(HAT)活性を有する一連の酵素によって行われる。逆に、アセチル基は、特異的なヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)によって除去される。これらのメカニズムが異常をきたすと、転写の誤調節が起こり、自己免疫性、炎症性、代謝性または過剰増殖性の疾患(腫瘍化および腫瘍進行を含む)を含む様々なヒト疾患の原因となる可能性がある。
核内受容体およびヒストン脱アセチル化酵素
核ホルモン受容体は、リガンド依存性転写因子で、遺伝子発現の正負両方の制御によって、発生および恒常性を制御する。これらの調節過程の異常は多くの疾患の根源となり、癌の発生に大きく関与する。T3R、RARおよびPPARなどの多くの核内受容体は、リガンドの非存在下では、例えばN−CoRおよびSMRTなどのコリプレッサーと相互作用して転写を阻害し得る。さらに、N−CoRは、アンタゴニストが結合したプロゲステロンおよびエストロゲン受容体と相互作用することも報告されている。非常に興味深いことに、N−CoRおよびSMRTは、mSin3タンパク質およびヒストン脱アセチル化酵素を含有する巨大タンパク質複合体内に存在することが報告されている(PazinおよびKadonaga,1997;Cell 89,325−8)。従って、リガンドによる核内受容体の抑制から活性化への切り替えは、拮抗酵素活性を有するコリプレッサーおよびコアクチベーター複合体の交換を反映している。
ヒストン脱アセチル化酵素のタンパク質ファミリー
細胞の増殖および分化で重要な役割を担う多くの遺伝子の動的調節において、ヒストンアセチル化酵素(HAT)およびヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)の動員は、重要な要素であると考えられる。ヒストンH3およびH4のN末端テール領域の高度なアセチル化は遺伝子の活性化に相関し、脱アセチル化は転写抑制を媒介し得る。従って、転写因子に影響を与える変異に起因した遺伝子発現の変化は、多くの疾患と関係がある。例えばPML−RAR、PLZF−RAR、AML−ETOおよびStat5−RARなどの白血病融合タンパク質による異常抑制は、この典型例である。こういった全ての事例において、染色体転座が原因となって転写活性化因子が抑制因子に変換され、該抑制因子は、例えば、HDACの動員を介して、造血分化に重要な標的遺伝子を構成的に抑制する。当然のことながら、同様の現象が、他の様々な疾患の病因にもなり得る。同じことが自己免疫性、炎症性、代謝性または過剰増殖性の疾患についても当てはまることが、次第に明らかになってきている。
哺乳類ヒストン脱アセチル化酵素は、3つのサブクラスに分類できる(GrayおよびEkstrom、2001)。酵母RPD3タンパク質と相同性があるHDAC1、2、3および8は、クラスIを構成する。HDAC4、5、6、7、9および10は、酵母Hda1タンパク質に類似し、クラスIIを構成する。最近、酵母Sir2タンパク質の哺乳類ホモログがいくつか同定され、NAD依存性の脱アセチル化酵素として第三クラスを構成している。さらに、HDAC11は、これまで、クラスIIのHDACの構造的特徴を有するクラスIのヒストン脱アセチル化酵素として分類されてきた。これらのHDACは全て、細胞内で、多くのマルチタンパク質複合体のサブユニットとして存在すると考えられている。特に、クラスIおよびIIのHDACは、転写コリプレッサーであるmSin3、N−CoRおよびSMRTと相互作用することが示されており、該転写コリプレッサーは、HDACの転写因子群への動因に必要な架橋因子として作用する。
HDAC阻害剤を用いた治療
HDAC(ヒストン脱アセチル化酵素)阻害の原理に基づいた癌患者の全身的な臨床治療を進展させるために、近年さらなる臨床研究が始められている。現在までに、近縁酪酸誘導体Pivanex(Titan Pharmaceuticals)を単独療法として用いた第II相臨床試験が終了し、病期第III/IVの非小細胞肺癌における活性が示されている(Keerら、2002,ASCO,Abstract No.1253)。さらに多くのHDAC阻害剤が同定されてきており、NVP−LAQ824(Novartis)、SAHA(Aton Pharma Inc.,現在のMerck&Co.)およびPXD101(Topo Target A/S)は、第II相臨床試験の試験薬として用いられたヒドロキサム酸の構造クラスに属するものである(Marksら、2001,Nature Reviews Cancer 194−202)。他のクラスに属する化合物としては、環状テトラペプチドが挙げられ、例としては、T細胞リンパ腫の治療薬として第II相試験で成果がみられたデプシペプチド(FR901228−Fujisawa)などが挙げられる(Piekarzら、2001,Blood 98,2865−8)。さらに、ベンズアミド類の関連化合物であるMS−27−275(Mitsui Pharmaceuticals)は、悪性血液疾患の患者に対する治療薬として第I相試験において現在治験が行われている。
ヒストン脱アセチル化酵素の阻害剤としてのバルプロ酸
バルプロ酸(VPA)は、癲癇の治療薬として開発されてきた。従って、VPAは全身、経口または静脈内投与された後、血液脳関門を通過して脳組織の癲癇標的領域に到達し、その抗癲癇作用を十分に発揮することができる。さらに、種々のヒト癌の治療に、VPAを単独で、またはそれぞれ顕著に異なる作用機序に基づいた他の様々な抗腫瘍療法と併用で使用した場合に、VPAはHDAC活性を有する特定の組の酵素を阻害し、それによって分化および/またはアポトーシスを誘導することで、特定の有益な効果を有する可能性が示されている(WO 02/07722 A2、EP 1170008;WO 03/024442 A2、EP 1293205 A1)。また、悪性疾患、自己免疫疾患、または他の炎症性または過剰増殖性の疾患の治療または予防として、VPAを全身、経口または静脈内投与してもよい。さらに、VPAはヒト皮膚を効果的に透過するため、皮膚に局所投与することも可能で、自己免疫性、炎症性または過剰増殖性ヒト皮膚疾患(例えば、乾癬およびヒト皮膚癌)の局所治療または予防に使用した場合に、有益な効果を発揮することが示されている(WO 2005/000289)。
バルプロ酸
バルプロ酸(VPA;2−プロピル−ペンタン酸=2PPA)は、異なる分子作用機序によって多様な生理活性を有する:
− VPAは、抗癲癇薬である。
− VPAは、催奇性がある。妊娠中に抗癲癇薬として使用した場合、VPAによって新生児の数%で出生時欠損(神経管閉鎖欠損およびその他の奇形)が生じる。マウスでは、VPAを適量投与した場合に、大部分のマウス胎児において催奇性を示す。
− VPAは、核ホルモン受容体(PPARδ)を活性化する。他の転写因子の中には脱抑制されるものがあるが、有意に脱抑制されない転写因子(グルココルチコイド受容体、PPARα)もある。
− VPAは、肝毒性を引き起こすことがあるが、これはエステルが補酵素Aで充分に代謝されていないことに起因する。
− VPAは、HDACの阻害剤である。
− VPAは、細胞、例えば免疫細胞のサイトカイン発現プロフィールを調節する。
− VPAは、細胞、例えば免疫細胞の炎症性サイトカインの分泌を抑制し得る。
VPA誘導体を用いることによって、それぞれの活性は、異なる分子作用機序を介して生じることが解明された。催奇性または抗癲癇作用のいずれかを優位に示す化合物が単離できることから、催奇性および抗癲癇作用は、異なる作用機序に基づくものである(Nauら、1991,Pharmacol.Toxicol.69,310−321)。PPARδの活性化は、催奇性と厳密に相関することが示されており(Lampenら、1999,Toxicol.Appl.Pharmacol.160,238−249)、このことは、PPARδ活性化および催奇性の両方が、VPAの有する同一の分子活性を必要とすることを示唆している。さらに、F9細胞の分化と、PPARδ活性化および催奇性とが厳密に相関していることが、Lampenら、1999によって示唆されており、また分化マーカーの分析によっても立証されている(Werlingら、2001,Mol.Pharmacol.59,1269−1276)。また、PPARδ活性化は、VPAおよびその誘導体の有するHDAC阻害活性によって生じることが示された(PCT/EP01/07704;WO 03/024442 A2)。さらに、周知のHDAC阻害剤TSAは、PPARδを活性化し、VPAの場合と同種のF9細胞を分化誘導することが示された。これらの結果から、VPAまたはVPA誘導体によるPPARδの活性化だけでなく、F9細胞の分化誘導および催奇性も、HDAC阻害によって生じると結論付けることができる。
抗癲癇作用および鎮静作用は、異なる構造活性相関を有することから、両作用は、HDAC阻害とは明らかに異なるVPAの第一義的な(primary)活性によるものである。肝毒性のメカニズムは、充分に解明されておらず、VPA−CoAエステルの形成が関与しているのかどうかは不明である。しかし、HDAC阻害は、CoAエステル形成を必要としないと考えられる。
レチノイド
レチノイン酸(RA)および誘導体は、レチノイドとして知られている化合物群に属し、該化合物群には9−cisRA、イソトレチノイン、transRA、オール−transRA、タザラトン(Guenther,2003,Am.J.Clin.Dermatol.4,197−202;Peris Kら、1999,N Engl J Med 341,1767−1768)などが含まれるが、これらに限定されない。レチノイドは、遺伝子の転写調節において重要な役割を果たしており、このため、生体内における多くの機能、例えば、細胞の分裂および分化、免疫反応および胚発生などを制御している。また、癌細胞の発生および転移も制御し、レチノイドの中にはRAなど、癌細胞の増殖を抑制することによって腫瘍成長を阻害することができるものがある(AltucciおよびGronemeyer,2001,Nature Reviews Cancer 1,181−193)。
免疫細胞の機能が誤調節されたことに少なくとも一部起因する多くの疾患に対して、特定のレチノイドによる薬物治療が承認されている。その適応症としては、例えば、尋常性ざ瘡および乾癬などが挙げられる。
レチノイドの作用は、主に2種類の核内受容体、RA受容体(RAR)およびレチノイドX受容体(RXR)を介して生じる(Zhang & Pfahl 1993,Kastnerら、1995,Mangelsdorf & Evans 1995)。RARおよびRXRは、3つの異なる遺伝子(α、βおよびγ)によってコードされている。さらに、多くのレチノイド受容体アイソフォームがそれぞれ異なるプロモーターを用いて産生されるため、多くの異なるレチノイド受容体タンパク質が生じる。これまでに、レチノイドの作用を媒介する多くの受容体の存在が知られている。9−cisRAは、RARおよびRXRの両方の高親和性リガンドであり、trans−RAはRARのみのリガンドである。レチノイド受容体は、多くのホルモン、ビタミンおよび薬剤の生理作用を媒介する大きいステロイド/甲状腺受容体スーパーファミリーに属する。RARおよびRXRは、活性化クロマチン構造内の標的遺伝子のプロモーター領域にあるレチノイン酸応答エレメント(RARE)に結合することによって、標的遺伝子の発現を正負に調節する転写因子として作用し、標的遺伝子の転写を誘導する。転写における直接的作用だけではなく、リガンド結合RARは、他の転写因子、例えばAP−1などの活性を調節することができる(Pfahl 1993)。活性化レチノイド受容体は、AP−1の活性を阻害することによって、AP−1標的遺伝子の発現を調節することができる。AP−1活性の阻害は、レチノイドの抗増殖作用に関与し、レチノイド標的遺伝子の転写を直接活性化する機構とは別であると考えられる。
これまで、医師たちは、数種の癌、特に前立腺癌および白血病の治療に、RA誘導体を使用してきたが、現在は、他の種類の癌の治療にこの薬剤を用いる試みを行っている。RAを用いた一般的な治療は、好ましい遺伝子の発現をオンにするためにRARを活性化しようとするものである。しかし、RAの重大な欠点は、遺伝子発現を「オン」および「オフ」にするために高用量の投薬を必要とし、多くの場合、破壊的で致死に至る可能性のある副作用を引き起こすことである(AltucciおよびGronemeyer,2001,Nature Reviews Cancer 1,181−193)。
RAまたは他のレチノイド、例えば、タザロテン(Guenther,2003,Am.J.Clin.Dermatol.4,197−202)は、軽度〜中等度のざ瘡および日光損傷(光加齢)をうけた皮膚の治療にも、局所的に使用することができる。レチノイドは、ある特定の皮膚癌、例えば基底細胞癌の治療に使用されている(Peris Kら、1999,N Engl J Med 341,1767−1768)。RAを局所投与すると、細胞の分裂および代謝回転の速度が増加すると考えられ、皮膚の外側部分における細胞層の数が減少する。丘疹があれば、それらはより速やかに消失する。RAの局所投与は、日光への過剰暴露に関わる微細なシワ、斑状色素沈着過剰および肌荒れの軽減に有効である。治療効果は、即時性ではないが、数週間〜数ヶ月後で目に見える形で現れる。通常、治療を中止すると、RAの効果が失われる。
自己免疫および炎症におけるサイトカインの役割
サイトカインは、個々の細胞および組織の機能活性を調節する調節因子として働く多様な可溶性タンパク質およびペプチド群である。サイトカインは、異物および変性した内因性物質に対する防御として、炎症反応を誘発することを目的としている。サイトカインの生理活性は、特定の腺組織によって産生される古典的なホルモンの生理活性と多くの点で類似しており、双方とも全身レベルで作用して、炎症、急性期反応および自己免疫のような生理現象を誘導する。しかし、炎症反応の不適切な活性化は、多くの一般的な疾患の根源となるため、炎症反応も薬剤開発の重要なターゲットである。
多くのサイトカインは、直接的に、またはある特定の細胞において細胞接着分子または他のサイトカインの合成を誘導することによって、炎症を促進し、局所的または全身的な炎症反応を調節する。初期反応に関与している主要なサイトカインは、IL1、IL6およびTNF−αである。他の炎症誘発性メディエーターは、LIF、IFN−γ、GM−CSF、IL11、IL12、IL18、および種々の他のケモカインである。
しかし、サイトカインの役割は、炎症反応だけに限定されず、自己免疫疾患の発症および進展においても主要な役割を有している。古典的な例は慢性関節リウマチであり、特定のCD4+T細胞が、多くの場合、未知の外因性または内因性抗原への反応として、患部の関節において免疫反応を誘発する(Olsenら、2003,New England Journal of Medicine 350,2167−79)。次いで、動員された単球、マクロファージおよび線維芽細胞が、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)およびインターロイキン−1などのサイトカインを滑液腔内に産生する。これらのサイトカインが、傷害カスケードの中心となって、最終的にマトリックスメタロプロテアーゼおよび破骨細胞の産生を誘導し、その結果、軟部組織および骨に不可逆性傷害が生じる。
TNF−α(活性化された単球、マクロファージおよびTリンパ球によって分泌される炎症性サイトカイン)は、慢性関節リウマチの発症に大きく関与する炎症反応を促進する。慢性関節リウマチの患者の滑液中のTNF−α濃度は高い。TNF−αは、炎症パンヌスと正常な軟骨との接触部に局在し、滑液中に存在する高濃度のTNF−αが、骨の侵食に関与している。
当然のことながら、TNFアンタゴニストは、慢性関節リウマチの最も有効な治療法の1つと考えられる。その効果は、一般に即時性で、数週間で現れる場合が多いが、全ての患者に見られるわけではない。
TNF−α拮抗薬は、慢性関節リウマチのような慢性自己免疫疾患の治療だけでなく、クローン病、潰瘍性大腸炎、シェーグレン症候群、強皮症、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、治療抵抗性ブドウ膜炎、ベーチェット病、成人発症スティル病およびヴェーゲナー肉芽腫症の治療においても有効である。
他の例としては、乾癬が挙げられる。乾癬では、ケラチノサイトに対して、T細胞性の免疫反応が起こる。これらのTリンパ球は、真皮または表皮で初期抗原と遭遇し、1型サイトカイン(Th1)、特に、インターフェロン−γ、インターロイキン2およびTNF−αを分泌する。これらの分泌物によって、ケラチノサイトが未成熟なまま増殖を繰り返し、これに関連した血管変化も生じる。インターロイキン8のような他のサイトカインの分泌によって、乾癬の完成形へと導かれる(Lebwohl,2004,The Lancet 361,1197−1204)。
種々の疾患の治療にサイトカインを使用して得られた知見から、自己免疫疾患の原因としてサイトカインが関与することが、さらに明らかになってきている(Krauseら、2003,The American Journal of Medicine 115,390−397)。興味深いことに、サイトカインは免疫および自己免疫状態の誘発および増悪といった副作用に関連し、該副作用は顕性自己免疫疾患に発展する可能性がある。このような自己免疫の出現は、以前から自己免疫傾向を有する患者において、よく見られる傾向がある。
多発性硬化症の憎悪は、インターフェロン−γを用いた治療中に見られる。インターフェロン−γ療法に関連した自己免疫の出現頻度は低いと考えられるが、骨髄増殖性疾患をインターフェロン−γ単独で、ならびにインターフェロン−γとの併用で治療した患者で、全身性エリテマトーデスが報告されている。インターフェロン−γは、動物モデルにおける全身性エリテマトーデスの発症に関係している。インターフェロン−γの投与によって、狼瘡易発性(NZBXNZW)F1マウスで、糸球体腎炎への進行速度が加速する。これは、抗インターフェロン−γ抗体を用いた治療を行うことで抑制される。全身性エリテマトーデスの患者で、インターフェロン−γの血清レベルが高いことが報告されている。インターフェロン−γは、ナチュラルキラー細胞によって産生され、II型インターフェロン受容体に結合する。それは、ナチュラルキラー細胞の活性化において、インターフェロン−γより有効性が低く、抗ウイルス作用および抗腫瘍作用に対しても効力が低い。しかし、インターフェロン−γは、最も強力なマクロファージ活性誘導物質であり、主要な組織適合性クラスII分子である。インターフェロン−γは、B細胞による免疫グロブリン分泌を促進し、T細胞のTヘルパー1型への分化を促進する。
インターロイキン2は、抗腫瘍活性を有する活性化T細胞より分泌される。インターロイキン2は、転移性悪性黒色腫および腎細胞癌の治療に有効である。インターロイキン2は、T細胞の増殖を誘導し、B細胞の増殖を促し、ナチュラルキラー細胞および単球の活性化を促進する。インターロイキン2療法において見られる最も一般的な自己免疫性の副作用は、免疫性甲状腺疾患である。可逆性甲状腺機能不全は、インターロイキン単独で、またはリンフォカイン活性化キラー細胞もしくはインターフェロン−γと併用で治療している癌患者において高頻度で起こる。転移性腎細胞癌の患者に対してインターロイキン2を用いた試験では、患者の18%(60/329)で抗甲状腺抗体が検出された。あまり一般的ではないが、他にも自己免疫と考えられる現象が、インターロイキン2療法に関して記載されている。例としては、慢性関節リウマチ、乾癬性関節症、強直性脊椎炎およびライター症候群が挙げられる。関節炎の誘発は、関節に浸潤するT細胞によって自己抗原が認識され、それが炎症に発展すると説明することが可能である。インターロイキン2によって、筋肉特異性抗原および腫瘍抗原に対する免疫寛容の破綻が進み、その結果、腫瘍および筋肉細胞の両方が攻撃される可能性がある。インターロイキン2およびリンフォカイン活性化キラー細胞で治療した転移性腎細胞癌のある患者では、全身性硬化症の急性憎悪が起こった。全身性硬化症の患者において、インターロイキン2および可溶性インターロイキン2受容体の血清レベルは高く、疾患の期間および疾患活動性と相関する。これらの知見によって、インターロイキン2療法と、全身性硬化症の発症との関係を説明できる可能性がある。
VPAおよび尋常性ざ瘡
癲癇発作の治療および予防としてのVPAの使用に関しては、ほぼ30年にわたって膨大な臨床経験が蓄積されている。この薬剤は経口および静脈内投与用に承認されている。VPAの全身適用は、血清濃度が0.3〜0.9mMになる1日用量約1200mg〜2100mg/日の範囲で、長期治療においても、安全かつ耐容性が良好であると考えられる。最も一般的に報告されている副作用は、下痢、吐き気および嘔吐などの胃腸障害である。神経学的作用としては、鎮静、運動失調および振せんなどが見られる。これらの症状はまれに起こるもので、一般に、投与量の減少に呼応している。発疹、ざ瘡、脱毛および食欲増進が見られることもある。極めてまれな場合に、致死的な肝不全および膵臓炎も報告されているが、一般に、これらは以前から肝臓または膵臓機能不全を有する患者に見られる。
ざ瘡は、VPAを抗癲癇薬として服用する患者で起こる副作用で、このことはこれまで十分に実証されている(Gentonら、2001,Epilepsia 42:295−304;Morrell 2003,Epilepsia 44[Suppl.4]11−20)。ざ瘡は、生涯のある時期に85〜100%の人が罹患する一般的な皮膚疾患であり、15〜24才で罹患率が高い。ざ瘡病変は一般に、顔、首、背、胸および肩に生じる。
濾胞上皮過剰増殖および角質増殖は、ざ瘡病変の発生における初期現象の1つであると考えられる。この過剰増殖は、ざ瘡病変における皮脂および脂質レベルの変化によって刺激される可能性があり、閉塞孔(黒色面ぽう、および白色面ぽう)、炎症性丘疹(膿疱)、およびより深いしこり(嚢腫または小結節)へとつながる。
本発明は、ざ瘡の予防または治療として改良治療を提供することを目的としている。
VPAは、癲癇の治療薬として開発されてきた。従って、VPAは全身、経口または静脈内投与された後、血液脳関門を通過して脳組織の癲癇標的領域に到達し、その抗癲癇作用を十分に発揮することができる。従って、治療効果を得るためには、VPAは全身的に適用すべき薬剤と考えられる。
驚くべきことに、VPAは、ざ瘡の局所治療に使用した場合に、実際予期しない有益な効果を有することが見出された。ここでは、VPAの明確な作用機序は十分には理解されていないが、VPAは、炎症反応においてサイトカインの分泌を阻害する能力を有する。VPAのこの驚くべき能力は、HDAC活性をもつ特定の酵素群に対する阻害活性に基づいている可能性がある。
ざ瘡は、VPAを抗癲癇薬として服用する患者に見られる公知の副作用であるという事実を鑑みると(上記参照)、この発見は極めて驚くべき事実である。さらに、ざ瘡のインビボ治療に、VPAまたは他のいずれのHDAC阻害剤を使用することも、これまでに報告されていない。
本発明は、VPAを単一薬剤として局所適用することで、尋常性ざ瘡または他の種類のざ瘡に罹患した患者に対して、驚くべき新規医療用途を提供する。
よって、本発明は、ざ瘡の局所治療薬を製造するための、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤の使用に関する。
該治療薬は、非炎症性および炎症性ざ瘡病変の治療に使用することができる。
好ましいヒストン脱アセチル化酵素阻害剤は、バルプロ酸(VPA)またはその医薬上許容される誘導体もしくはプロドラッグである。さらに、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤は、ヒドロキサム酸誘導体、ベンズアミド、ピロキサミドおよびその誘導体、HDAC阻害活性を示す微生物代謝産物、脂肪酸およびその誘導体、環状テトラペプチド、ペプチド化合物、HDACクラスIII阻害剤およびSIRT阻害剤を包含する。その例としては、LAQ824、LBH589、トリコスタチンA、スベロイルアニリドヒドロキサム酸、CBHA、ピロキサミド、スクリプタイド、CI−994、CG−1521、クラミドシン、例えばA−161906などのビアリールヒドロキサメート、二環式アリール−N−ヒドロキシカルボキサミド、PXD−101、MGCD0103、TPX−HA類縁体(CHAP)、オキサムフラチン、トラポキシン、デプデシン、アピジシン、MS−275、Pivanex(ピバロイルオキシメチルブチレート)、トラポキシンA、デプシペプチド(FK−228)、タセジナリン、MG2856などが挙げられる。
患者の皮膚に局所適用する組成物はヒストン脱アセチル化酵素阻害剤(例えば、VPA)を1重量%〜4重量%の濃度で含有し、活性成分は医薬上許容される担体に懸濁されているのが好ましい。
好ましい態様において、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤は1日に1〜3回局所適用され、その1日の累積用量は病変1cmにつき0.5mg〜200mg、より好ましくは病変1cmにつき2.0mg〜50mgである。局所適用される治療薬の合計量は、1日当たり2,000mg以下であってよく、局所適用されるヒストン脱アセチル化酵素阻害剤の合計量は、1日当たり60mg以下であってよい。
少なくとも56日間、例えば、56〜85日間の継続的な局所投与後における、治療患者のヒストン脱アセチル化酵素阻害剤の血清濃度は、通常12.0μg/mL未満、好ましくは4μg/mL未満である。
驚くべきことに、本発明における治療は極めて高い耐容性を示し、例えば、通常、適用部位に紅斑または痛みを生じない。一般に、上記治療薬の局所耐容性は、イソトレチノインの局所耐容性より高い。
本発明における治療は、併用療法として他の活性剤の投与をさらに含んでよい。他の活性剤は、VPA以外のヒストン脱アセチル化酵素阻害剤であってよく、またはHDAC阻害剤でない化合物であってもよい。他の活性剤の例としては、抗生物質、レチノイド、ホルモン剤、および過酸化ベンゾイルなどの局所殺菌剤が挙げられる。
他の実施形態において、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤(例えば、VPA)は、本発明における治療における単一活性剤であり、即ち、ざ瘡治療の単独療法において使用される。
本発明は、さらに(i)ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤である第一活性剤、および(ii)第一活性剤以外のヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、抗生物質、レチノイド、ホルモン剤および局所殺菌剤からなる群より選択される第二活性剤からなる医薬組成物にも関する。本発明は、さらに(i)ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤である第一活性剤、および(ii)第一活性剤以外のヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、抗生物質、レチノイド、ホルモン剤および局所殺菌剤からなる群より選択される第二活性剤からなるざ瘡治療用の医薬キットにも関する。
一般に、本発明は、尋常性ざ瘡の治療における新たな可能性を提供する。本出願人は、VPA単独で、即ち新規単独療法として、VPAのHDAC阻害活性および細胞分化誘導活性を、尋常性ざ瘡の局所治療に効果的に利用することができること、ならびにそれによって、患者に対して優れた局所耐容性を示すことを見出した。
本発明は、ざ瘡治療薬の製造のための、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤の使用に関する。好ましくは、該治療は局所治療であり、即ち上記治療薬の局所適用も含む。本明細書において使用される「局所適用」という用語は、本明細書に記載する組成物を、皮膚の表面に塗布するかまたは展延することを意味する。
ざ瘡
尋常性ざ瘡、しゅさ性ざ瘡、集簇性ざ瘡、劇症ざ瘡、化学的ざ瘡、塩素ざ瘡、熱帯ざ瘡、インバーサ(inversa)ざ瘡およびコルチコステロイドざ瘡などの種々のざ瘡が存在する。本発明によれば、これらのざ瘡のいずれの治療にも、HDAC阻害剤を使用することができる。好ましくは、尋常性ざ瘡の治療に、HDAC阻害剤を使用する。
尋常性ざ瘡は、多因子性の病因による疾患であり、病変の種類、大きさ、数、瘢痕および炎症後色素変化によって重症度が異なる、脂腺性毛包の慢性疾患である。ざ瘡は、顔面でよく見られるが、顔面の皮膚以外でも起こり得る(例えば、背、肩、胸)。
ざ瘡病変は、非炎症性および炎症性の主に2つの種類に分けられる。ざ瘡の非炎症性病変は、開放(黒色面ぽう)または閉鎖(白色面ぽう)面ぽうである。これらの病変、特に閉鎖面ぽうは、さらに大きい炎症性病変の前段階となるため、臨床的に重要である。炎症性病変は、真皮における炎症の重症度および位置に応じて、丘疹、膿疱および小結節/小結節嚢胞性病変に分類される。丘疹および膿疱は、紅斑の周縁に輪紋があり、炎症性として特徴づけられる。小結節は、一般に紅斑性であり、多くの場合、柔らかくかつ/または触ると痛みを感じる。さらに、小結節は皮膚の深部に存在する(即ち、真皮または皮下結合組織を中心とする)。小結節は、直径が5mmより大きいものとして定義されている。
1つの態様において、HDAC阻害剤は、炎症性ざ瘡病変の治療に使用される。好ましい態様において、HDAC阻害剤は、非炎症性ざ瘡病変の治療に使用される。第三の態様において、HDAC阻害剤は、炎症性および非炎症性ざ瘡病変の治療に使用される。
尋常性ざ瘡は、疾患の重症度に応じて種々の形態がある:
・軽度ざ瘡 − 表在性病変、大部分は面ぽう、いくつかの炎症性丘疹および膿疱を有する。瘢痕の形跡はなく、小結節もない。
・中等度ざ瘡 − 顔および体幹に丘疹、膿疱、面ぽう、および少数の小結節などの病変を有する。軽度表在性瘢痕が見られる場合もある。この場合、小結節は主要な病変ではない。
・重度ざ瘡 − ざ瘡が、持続性の痛みを有する小結節、面ぽう、丘疹を生じ、深い瘢痕を有する場合もある。
(参照: http://www.mamc.amedd.army.mil/Referral/guidelines/derm acne.htm)
HDAC阻害剤(例えば、VPA)は、軽度、中等度および/または重度の尋常性ざ瘡の治療に使用することができる。しかし、好ましくは、軽度または中等度の尋常性ざ瘡の治療に使用される。
治療患者は、どのような年齢であってもよい。患者の年齢としては、好ましくは13〜40才、さらに好ましくは14〜30才、最も好ましくは15〜25才である。
HDAC阻害剤
HDAC阻害剤は、1つまたはそれ以上のHDAC酵素の酵素活性を阻害することができる化合物である。ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤の阻害活性は、WO 2005/105055の実施例1に記載されているインビトロアッセイによって測定することができる。該アッセイの内容は参照することによって、本明細書に援用される。IC50値は、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤の阻害活性の指標として使用することができる。IC50値が低い場合は、阻害活性が高いことを意味し、IC50値が高い場合は、阻害活性が低いことを意味する。本発明で使用するヒストン脱アセチル化酵素阻害剤は、少なくとも1つのヒストン脱アセチル化酵素に関して、好ましくは1mM未満、より好ましくは500μM未満のIC50値を有する。
本発明によって使用される好ましいHDAC阻害剤は、VPAまたはその医薬上許容される誘導体またはプロドラッグである。VPAの誘導体は、特に、VPAの医薬上許容される塩を包含する。最も好ましいHDAC阻害剤は、VPAおよびその医薬上許容される塩である。
よって、本発明は、上記に記載した疾患の局所治療薬を製造するための、VPAまたはその誘導体の使用にも関する。VPAの誘導体は、下記の式(1)で示される炭素分岐状のカルボン酸またはカルボン酸誘導体を包含する:
Figure 2009534306
[式中、R1およびR2は、それぞれ、直鎖状または分岐状で飽和または不飽和の脂肪族C3〜25炭化水素鎖であり、該炭化水素鎖は、1個または複数個のヘテロ原子を有していてもよく、かつ置換されてもよく;R3は、ヒドロキシル、ハロゲン、またはアルコキシ基であり、またはアルキル化されたアミノ基であってもよい]。R1およびR2が異なる場合、キラル化合物を生じる。一般に、立体異性体の一方は、他方より強い催奇作用を有し(Nauら、1991,Pharmacol.Toxicol.69,310〜321)、催奇性の強い異性体ほど、より効果的にPPARδを活性化する(Lampenら、1999)。従って、そのような異性体は、HDACをより強く阻害すると予想される(PCT/EP01/07704)。本発明は、それぞれの化合物のラセミ混合物を包含するが、特により活性の強い異性体を包含する。炭化水素鎖R1およびR2は、炭化水素鎖の炭素原子の代わりに、1個または複数個のヘテロ原子(例えば、O、N、S)を含んでいてもよい。この理由としては、ヘテロ原子が、対応する炭素基と同じ種類の混成軌道を有する場合、炭素基の構造と極めて類似した構造が、ヘテロ原子基によって得られることが挙げられる。
R1およびR2は置換されていてもよい。可能な置換基としては、ヒドロキシル、アミノ、カルボキシルおよびアルコキシ基、ならびにアリールおよびヘテロアリール基が挙げられる。
好ましくは、R1およびR2は、それぞれ、3〜10個、より好ましくは4〜10個または5〜10個の炭素原子を有する。R1およびR2は、それぞれ、飽和の炭化水素鎖である、もしくは1個の二重結合または1個の三重結合を有する、のいずれかであることも好ましい。特に、側鎖の1つ(R1)は、2位および3位においてsp1炭素原子、または類似構造を生じるヘテロ原子を有するのが好ましい。この側鎖は、3個の炭素原子またはヘテロ原子を有するのがよいが、より長鎖でも、HDAC阻害分子が生じ得る。さらに、R2に芳香環またはヘテロ原子が存在すると、HDAC阻害活性を有する化合物が生じると考えられる。その理由としては、HDACタンパク質の触媒部位が、多様な結合分子に適合すると考えられることがあげられる。催奇性のあるVPA誘導体がHDAC阻害剤であるという見解から、これまで適切な抗癲癇薬としては認められなかった化合物もHDAC阻害剤であると考えられる(PCT/EP01/07704)。限定するものでないが、特に、R1としてプロピニル基を有し、R2として炭素数7個以上の炭素鎖を有する化合物も提案されている(Lampenら、1999)。
好ましくは、R3はOHであり、隣接カルボニル基と一緒にカルボキシル基を形成する。さらに、カルボキシル基の誘導体化によって、有望なHDAC阻害活性を有する化合物が生じると考えられる。そのような誘導体として、ハロゲン化物(例えば、塩化物)、エステルまたはアミドが挙げられる。
R3がアルコキシである場合、アルコキシ基は、1〜25個、好ましくは1〜10個の炭素原子を有する。R3がモノ−またはジ−アルキル化アミノ基である場合、アルキル置換基は、1〜25個、好ましくは1〜10個の炭素原子を有する。
本発明によれば、式(1)の化合物の医薬上許容される塩も製剤に使用することができる。本発明によれば、ヒトの体内で代謝されて式(1)で示される化合になる物質、または例えばエステル加水分解によって、式(1)で示される化合物を生成する物質も使用することができる。
具体的な実施形態において、本発明は、式(1)で示されるα−炭素分岐状カルボン酸またはその医薬上許容される塩の、ヒストン脱アセチル化酵素活性を有する酵素の阻害剤としての使用、および癌の局所治療におけるその使用に関する。式中、R1は、直鎖状または分岐状で飽和または不飽和の脂肪族C2〜25炭化水素鎖であり、R2は、R1とは独立して、直鎖状または分岐状で飽和または不飽和の脂肪族C2〜25炭化水素鎖であるが、−CH2−CH=CH2、−CH2−C≡CHまたは−CH2−CH2−CH3ではなく、R1およびR2は、ヒドロキシル、アミノ、カルボキシル、アルコキシ、アリールおよび/または複素環基で置換されてもよく、R3はヒドロキシル基である。
さらに別の実施形態において、本発明は、式(1)で示されるα−炭素分岐状カルボン酸またはその医薬上許容される塩の、癌の局所治療における使用に関する。式中、R1は、直鎖状または分岐状で飽和または不飽和の脂肪族C3〜25炭化水素鎖であり、R2は、R1とは独立して、直鎖状または分岐状で飽和または不飽和の脂肪族C3〜25炭化水素鎖であり、R1またはR2は、炭化水素鎖の炭素原子の代わりに、1個または複数個のヘテロ原子(例えば、O、N、S)を有していてもよく、R1およびR2は、ヒドロキシル、アミノ、カルボキシル、アルコキシ、アリールおよび/または複素環基で置換されてもよく、R3はヒドロキシル基である。
本発明のさらに別の実施形態において、R1およびR2はエステル基(−CO−O−)を有さない。R1およびR2は、ヘテロ原子O、NまたはSを有さない炭化水素鎖であってもよい。
本発明で使用するのに最も好ましい化合物は、VPAおよび/または4−インVPAである。
本発明のさらなる態様において、他のHDAC阻害剤を使用する。
VPAと同様にヒストン脱アセチル化酵素の阻害剤として作用する他の活性化合物も、ざ瘡、特に尋常性ざ瘡の治療に同様に使用することができる。該活性化合物としては、下記のような化合物およびその誘導体が挙げられるが、これらに限定されない:LAQ824(Novartis)、LBH589(Novartis)、トリコスタチンA、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(Aton/Merck)、CBHA(Aton/Merck)、ピロキサミド(Aton/Merck)、スクリプタイド(Johns Hopkins)、CI−994(Pfizer)、CG−1521(CircaGen)、クラミドシン(Janssen)、例えばA−161906(Abbott)などのビアリールヒドロキサメート、二環式アリール−N−ヒドロキシカルボキサミド(Kansai University)、PXD−101(TopoTarget)、MGCD0103(MethylGene)、TPX−HA類縁体(CHAP)(Japan Energy)、オキサムフラチン、トラポキシン、デプデシン、アピジシン(Kyongji)、例えばMS−275(Mitsui/Schering)などのベンズアミド、ピロキサミドおよびその誘導体、例えば酪酸などの短鎖脂肪酸およびその誘導体(例えばPivanex(ピバロイルオキシメチルブチレート))、例えばトラポキシンA、デプシペプチド(FK−228;Fujisawa/NCI)および関連ペプチド化合物などの環状テトラペプチド、タセジナリン(Pfizer)、MG2856(MethylGene)、およびHDACクラスIII阻害剤またはSIRT阻害剤(Kelly,O‘Connor and Marks,2002;Expert Opin.Investig.Drugs 11(12),1695−1713参照)が挙げられる。
単独療法および併用療法
1つの態様において、本発明の治療に1つのHDAC阻害剤のみを使用する。即ち、該治療は単独療法である。好ましくは、VPAまたはその医薬上許容される誘導体またはプロドラッグを、軽度または中等度の尋常性ざ瘡治療のための単独療法において、単一活性剤として使用する。
他の態様において、本発明の治療は併用療法であり、即ち、少なくとも2種類の療法をざ瘡の治療に使用する。本明細書に記載されるようなHDAC阻害剤による治療は、既に確立されている他のざ瘡治療方法、例えば、抗生物質(全身または局所)、レチノイド、過酸化ベンゾイルなどの局所殺菌剤、光線療法剤またはホルモン剤の投与と併用することができる。局所抗生物質の例としては、エリスロマイシン、クリンダマイシンおよびテトラサイクリンであり、全身性抗生物質の例としては、エリスロマイシン、テトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリンおよびリメサイクリンが挙げられる。局所レチノイドの例としては、トレチノイン、アダパレン、タザロテンおよびイソトレチノインが挙げられる。イソトレチノインは、経口投与も可能である。ホルモン剤の例としては、経口避妊薬が挙げられる。
また別の態様において、少なくとも2つの異なるHDAC阻害剤を併用療法に使用する。少なくとも2つのHDAC阻害剤は、上述のHDAC阻害剤から選択されるのが好ましい。
併用療法の場合、種々の活性剤を、同時に、または任意の順序で逐次的に、投与することができる。種々の活性剤を同時に投与する場合、それらは、通常、同じ組成物中に含有される。種々の活性剤を逐次的に投与する場合、第一活性剤および第二活性剤の投与の間隔は、10日以下、好ましくは7日以下、より好ましくは5日以下であるのがよい。この期間は、極めて短い時間(1分間以下)〜5日間でもよく、好ましくは1時間〜3日間、最も好ましくは6時間〜2日間(例えば、約24時間)であるのがよい。
治療薬は、1日に1回、2回、3回、4回または5回適用してもよい。好ましくは、1日に1回〜3回適用される。治療は、少なくとも1週間、好ましくは少なくとも2週間、より好ましくは少なくとも4週間、さらにより好ましくは少なくとも6週間または少なくとも8週間継続してもよい。
治療開始前のベースラインにおけるざ瘡病変数に対する、85日間の継続治療後のざ瘡病変数の平均減少率は、一般に少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、最も好ましくは少なくとも50%である。
治療開始前のベースラインにおける炎症性ざ瘡病変数に対する、85日間の継続治療後の炎症性ざ瘡病変数の平均減少率は、一般に少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、最も好ましくは少なくとも50%である。
治療開始前のベースラインにおける非炎症性ざ瘡病変数に対する、85日間の継続治療後の非炎症性ざ瘡病変数の平均減少率は、一般に少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、最も好ましくは少なくとも50%である。
治療した患者の少なくとも50%において、治療した全ざ瘡病変数のうち30%以上の減少が見られるまでの時間は、好ましくは8週間未満、より好ましくは6週間未満、より好ましくは4週間未満、最も好ましくは3週間未満または2週間未満である。14日間の継続治療後において、通常、治療した患者の少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%、最も好ましくは少なくとも40%または少なくとも50%で、治療した全ざ瘡病変数のうち30%以上の減少が見られる。
本発明の治療によって、通常、治療した患者の75%未満、好ましくは50%未満、より好ましくは25%未満で、部位刺激、部位紅斑または部位疼痛の症状が見られる。
本発明の別の態様は、ざ瘡の予防薬または治療薬の製造のための、VPAおよび/またはその医薬上許容される塩の使用である。この使用では、少なくとも約0.1%のVPAまたはその誘導体を含む予防薬または治療薬を、各人の皮膚の必要な箇所に局所適用する。
VPAまたはその誘導体は、例えば、尋常性ざ瘡、乾癬またはアトピー性皮膚炎などの皮膚および/または粘膜の炎症の治療に使用することができる。
組成物
本発明の局所適用剤は、通常、
(i) HDAC阻害剤、VPAおよびその医薬上許容される塩、VPAの誘導体およびプロドラッグならびにその医薬上許容される塩からなる群より選択される活性剤を少なくとも約0.1%含有し、
(ii) 皮膚科学的に許容される担体を含有する
ざ瘡の予防用または治療用の医薬組成物である。
本明細書において使用される「局所適用」という用語は、本発明の組成物を皮膚表面に塗布または展延することを意味する。
本明細書において使用される「皮膚科学的に許容される」という用語は、そのように記述された組成物またはその成分が、過度な毒性、不適合性、不安定性、アレルギー反応等を示すことなく、ヒト皮膚に接触して使用するのに好適であることを意味する。
特に記載がなければ、本明細書において示されるパーセント値は、重量%(w/w)である。
本発明の組成物は、好ましくは約0.1%〜約25%、より好ましくは約0.1%〜約6%、さらにより好ましくは約0.3%〜約5%、なおより好ましくは約0.5%〜約4%、なおより好ましくは約1%〜約4%、最も好ましくは約2%〜約4%の活性剤を含む。
本発明の組成物は、より好ましくはVPAおよび/またはその医薬上許容される塩を、約0.1%〜約10%、より好ましくは約0.5%〜約6%、さらにより好ましくは約0.5%〜約4%、なおより好ましくは約1%〜約4%、最も好ましくは約2%〜約4%の濃度で含む。
本発明の組成物は、通常約1%〜約99.9%の皮膚科学的に許容される担体を含有してなり、本発明の組成物に配合された担体によって、活性剤ならびに他の任意の活性剤が、適切な濃度で皮膚に送達される。
好ましい実施形態において、本発明の組成物は、大気圧下、25℃で半固体である。この実施形態によれば、該組成物の剤形は、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤またはペースト剤であってよい。該組成物の剤形は、液体分散物、即ちローション剤であってもよい。
好ましい実施形態において、担体は溶液でない。別の好ましい実施形態において、担体は、クリーム、ペースト、軟膏、ローションまたはゲルである。
本発明の別の態様は、ざ瘡の予防薬または治療薬の製造のための、VPA、その医薬上許容される塩、VPAの誘導体またはその医薬上許容される塩の使用である。この使用では、少なくとも約0.1%のVPAまたはその誘導体を含む予防薬または治療薬を、各人の皮膚の必要な箇所に局所適用する。
他の活性剤としては、VPAと異なる下記のようなヒストン脱アセチル化酵素阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない:NVP−LAQ824(Novartis)、LBH−589(Novartis)、トリコスタチンA、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(Aton/Merck)、CBHA(Aton/Merck)、ピロキサミド(Aton/Merck)、スクリプタイド(Johns Hopkins)、CI−994(Pfizer)、CG−1521(CircaGen)、クラミドシン(Janssen)、例えばA−161906(Abbott)などのビアリールヒドロキサメート、二環式アリール−N−ヒドロキシカルボキサミド(Kansai University)、PXD−101(TopoTarget)、MGCD0103(Methyl Gene)、TPX−HA類縁体(CHAP)(Japan Energy)、オキサムフラチン、トラポキシン、デプデシン、アピジシン(Kyongji)、例えばMS−275(Mitsui/Schering)などのベンズアミド、ピロキサミドおよびその誘導体、例えば酪酸などの短鎖脂肪酸およびその誘導体(例えばPivanex(ピバロイルオキシメチルブチレート))、例えばトラポキシンA、デプシペプチド(FK−228;Fujisawa/NCI)および関連ペプチド化合物などの環状テトラペプチド、タセジナリン(Pfizer)、MG2856(Methyl Gene)、およびHDACクラスIII阻害剤またはSIRT阻害剤(Kelly,O‘Connor and Marks,2002;Expert Opin.Investig.Drugs 11(12),1695−1713参照)、分化誘導薬(例えば、ビタミンD、ビタミンD誘導体、レチノイド、イミキモド(imiquimode)などの受容体結合剤)、放射線療法(例えば、X線またはγ線)、免疫学的方法(抗体療法、ワクチン接種)、組み合わせ免疫療法的/細胞傷害的方法(細胞傷害成分と結合した抗体)等が挙げられる。上記のような他の活性剤は、VPAの代わりに、またはVPAと組み合わせて、使用することができる。
本発明はさらに、ざ瘡の局所治療に、単独でまたはレチノイドと併用で使用するバルプロ酸またはその誘導体を含有する局所適用可能な製剤も提供する。従って、本発明の1つの態様は、ざ瘡の局所治療に、単独でまたはレチノイドと併用で使用するVPAまたはその誘導体を含有する局所適用可能な製剤の使用である。この場合、併用局所療法では、各成分の単独療法と比べて抗ざ瘡活性を向上させることができるため、各薬剤の単独治療で生じる望ましくない副作用を減少させるために、併用療法では、所望であれば、各成分の用量を減少させてもよい。
製剤
本発明の組成物は、約1%〜約99.9%の皮膚科学的に許容される担体を含有してなり、本発明の組成物に配合された担体によって、活性剤ならびに他の任意の活性剤が、適切な濃度で皮膚に送達される。担体は、1つまたはそれ以上の皮膚科学的に許容される固体、半固体または液体の充填剤、希釈剤、溶媒、増量剤等を含有してもよい。担体は、固体、半固体または液体であってよい。好ましい担体は、実質的に半固体である。担体はそれ自体不活性である、もしくはそれ自体の皮膚科学的効果を有する、のいずれかであってよい。担体の濃度は、担体の種類、ならびに活性剤および任意成分の所望の濃度に応じて異なってもよい。
好適な担体は、皮膚科学的に許容される慣用またはその他の公知の担体を含む。担体は、本明細書に記載する必須成分と物理的および化学的な適合性がよく、本発明の組成物に関わる安定性、有効性または他の使用効果を過度に損なわないものがよい。本発明の組成物の成分は、通常の使用状況下で該組成物の有効性を実質的に減少させる相互作用が生じないように混合できるものが好ましい。本発明に使用される担体の種類は、該組成物の所望の剤形によって異なる。本発明に有用な局所組成物は、当技術分野において公知の多様な剤形にすることができる。例としては、ローション剤、クリーム剤、ゲル剤、スティック剤、スプレー剤、軟膏剤、オイル状剤形、泡状剤形、パウダー状剤形およびペースト剤が挙げられるが、これらに限定されない。これらの剤形は、溶液、エアロゾル、エマルジョン、ゲル、固形物およびリポソームなどのいくつかの種類の担体を含んでいてもよいが、該担体はこれらに限定されない。好ましい担体は、皮膚科学的に許容される親水性希釈剤を含有する。本明細書において使用される「希釈剤」とは、粒子状物質を分散、溶解、または他の方法で配合することができる物質を意味する。親水性希釈剤としては、例えば、水および有機親水性希釈剤が挙げられ、有機親水性希釈剤としては、例えば、低級一価アルコール(例えば、C1〜C4)および低分子量グリコールおよびポリオールであり、具体的にはプロピレングリコール、ポリエチレングリコール(例えば、分子量200〜600g/モル)、ポリプロピレングリコール(例えば、分子量425〜2025g/モル)、グリセロール、ブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、ソルビトールエステル、1,2,6−ヘキサントリオール、エタノール、イソプロパノール、ソルビトールエステル、ブタンジオール、エーテルプロパノール、エトキシ化エーテル、プロポキシ化エーテルおよびそれらの組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい希釈剤としては水である。該組成物は、約60%〜約99.99%の親水性希釈剤を含むのが好ましい。
本発明の溶液としては、一般に、皮膚科学的に許容される親水性希釈剤が挙げられる。本発明に有用な溶液は、約60%〜約99.99%の親水性希釈剤を含むのが好ましい。
本発明のエアロゾルは、上述の溶液に、噴射剤を添加することによって得ることができる。噴射剤の例としては、低分子塩化フッ化炭化水素が挙げられる。エアロゾルは、一般に、スプレー製品として皮膚に適用される。
好ましい担体は、水または他の親水性希釈剤などの親水性成分を含む親水相、および脂質、油または油性物質などの疎水性成分を含む疎水相からなるエマルジョンよりなる。当業者に周知のように、組成物の成分に応じて、親水相を疎水相に分散させるか、またはその逆で分散させ、それぞれ親水性または疎水性の分散相および連続相を形成する。エマルジョン技術において、「分散相」という用語は当業者に周知の用語であり、相が小さい粒子または液滴として、別の連続相に懸濁され、囲まれている状態を意味する。分散相は、内相または不連続相という語でも知られている。エマルジョンは、水中油型エマルジョン、またはシリコーン中水型エマルジョンなどの油中水型エマルジョンであってもよく、またはそれを含んでいてもよい(例えば、三相または他の多相エマルジョン)。水中油型エマルジョンは、一般に、約1%〜約50%の分散疎水相および約1%〜約98%の連続親水相からなり;油中水型エマルジョンは、一般に、約1%〜約98%の分散親水相および約1%〜約50%の連続疎水相から成る。エマルジョンは、ゲル網状構造から成っていてもよい。好ましいエマルジョンとして、さらに以下に記載する。
本発明の局所組成物としては、限定するものではないがローション剤およびクリーム剤が挙げられ、該組成物は皮膚科学的に許容される皮膚軟化剤を含んでいてもよい。そのような組成物は、好ましくは、約2%〜約50%の皮膚軟化剤を含有する。
皮膚軟化剤は、皮膚を潤滑にし、皮膚の滑らかさおよび柔軟さを増加させ、皮膚の乾燥を予防または緩和し、かつ/または皮膚を保護する傾向がある。皮膚軟化剤は、一般に、水非混和性の油性または蝋状物質である。皮膚軟化剤を本明細書で例示するが、それらに限定されない。
本発明のローション剤およびクリーム剤は、好ましくは、溶液担体系および1つまたはそれ以上の皮膚軟化剤から成る。ローション剤は、一般に、約1%〜約20%、好ましくは約5%〜約10%の皮膚軟化剤;約50%〜約90%、好ましくは約60%〜約80%の水から成る。クリーム剤は、一般に、約5%〜約50%、好ましくは約10%〜約20%の皮膚軟化剤;および、約45%〜約85%、好ましくは約50%〜約75%の水から成る。
本発明の軟膏剤は、動物性または植物性油あるいは半固体炭化水素(油性)の単純担体ベース;水を吸収してエマルジョンを形成する吸収軟膏ベース;または、水溶性溶液担体などの水溶性担体;からなるのがよい。軟膏剤はさらに、粘稠化剤(thickening agent)を含有してもよい。例えば、軟膏剤は、約2%〜約10%の皮膚軟化剤;および0.1%〜約2%の粘稠化剤から成ってもよい。粘稠化剤を本明細書で例示するが、それらに限定されない。
本発明の局所組成物は、エマルジョンからなるのが好ましい。本発明のエマルジョンは下記から選ばれる1つまたはそれ以上の成分を含有してもよい。
a) 疎水性成分
本発明のエマルジョンは、脂質、油、油性または他の疎水性成分から成る疎水相を含む。本発明の組成物は、組成物の重量の約1%〜約50%、好ましくは約1%〜約30%、およびより好ましくは約1%〜約10%の疎水性成分を含むのが好ましい。疎水性成分は、動物、植物または石油由来のものでもよく、天然のものでも、合成(即ち、人工)されたものでもよい。好ましい疎水性成分は、実質的に水不溶性であり、より好ましくは本質的に水不溶性である。好適な疎水性成分としては、下記からなる群より選択される成分が例示されるが、これらに限定されない。
(1) 流動ワセリンとしても公知の鉱物油は、石油から得られる液化炭化水素の混合物である。The Merck Index,Tenth Edition,Entry 7048,P.1033(1983)参照。
(2) 石油ゼリーとしても公知のワセリンは、非直鎖状固体炭化水素と高沸点液化炭化水素とからなるコロイド系であり、大部分の液化炭化水素はミセル内に保持されている。The Merck Index,Tenth Edition,Entry 7047,P.1033(1983);Schindler,Drug.Cosmet.Ind.,89,36−37,76,78−80,82(1961)参照。
(3) 炭素数約7〜約40の直鎖状および分岐状炭化水素。この炭化水素物質の例としては、ドデカン、イソドデカン、スクアラン、コレステロール、水素化ポリイソブチレン、ドコサン、ヘキサデカン、イソヘキサデカンが挙げられるが、これらに限定されない。C7〜C40分岐状炭化水素であるC7〜C40イソパラフィン(例えば、C13〜C14イソパラフィン)も有用である。
(4) 直鎖状および分岐状物質ならびに芳香族誘導体を包含するC1〜C30カルボン酸およびC2〜C30ジカルボン酸のC1〜C30アルコールエステル(疎水性成分に関して本明細書において使用されるモノ−およびポリ−カルボン酸は、直鎖状、分岐状およびアリールカルボン酸を包含する)。例としては、セバシン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸メチル、プロピオン酸ミリスチル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ネオペンタン酸イソデシル、マレイン酸ジ−2−エチルヘキシル、パルミチン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸セチル、ベヘン酸ベヘニル、マレイン酸ジオクチル、セバシン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソプロピル、オクタン酸セチル、ジリノール酸ジイソプロピルが挙げられるが、これらに限定されない。
(5) C1〜C30カルボン酸のモノ−、ジ−およびトリ−グリセリド、例えば、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、PEG−6カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、PEG−8カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド。
(6) C1〜C30カルボン酸のエチレングリコールモノ−およびジ−エステル、ならびにプロピレングリコールモノ−およびジ−エステルなどのC1〜C30カルボン酸のアルキレングリコールエステル、例としてはエチレングリコールジステアレートが挙げられる。
(7) 上記の物質のプロポキシ化およびエトキシ化誘導体。
(8) 糖および関連物質のC1〜C30モノ−およびポリ−エステル。このエステルは、糖またはポリオール基、および1つまたはそれ以上のカルボン酸基から誘導される。構成成分の酸および糖によって異なるが、これらのエステルは、室温で液体または固体のいずれかである。液体エステルの例としては、以下の物質が挙げられる:グルコーステトラオレエート、ダイズ油脂肪酸(不飽和)のグルコーステトラエステル、混合ダイズ油脂肪酸のマンノーステトラエステル、オレイン酸のガラクトーステトラエステル、リノール酸のアラビノーステトラエステル、キシローステトラリノレエート、ガラクトースペンタオレエート、ソルビトールテトラオレエート、不飽和ダイズ油脂肪酸のソルビトールヘキサエステル、キシリトールペンタオレエート、スクローステトラオレエート、スクロースペンタオレエート、スクロースヘプタオレエート、スクロースヘキサオレエート、スクロースオクタオレエート、およびそれらの混合物。固体エステルの例としては、以下の物質が挙げられる:カルボン酸エステル基が1:2のモル比のパルミトオレエートおよびアラキデートであるソルビトールヘキサエステル;カルボン酸エステル基が1:3のモル比のリノレエートおよびベヘネートであるラフィノースのオクタエステル;エステル化カルボン酸基が3:4のモル比のヒマワリ種子油脂肪酸およびリグノセレートであるマルトースのヘプタエステル;エステル化カルボン酸基が2:6のモル比のオレエートおよびベヘネートであるスクロースのオクタエステル;およびエステル化カルボン酸基が1:3:4のモル比のラウレート、リノレエートおよびベヘネートであるスクロースのオクタエステル。好ましい固体エステルは、脂肪酸基が、モル比1:7〜3:5のC18モノ−および/またはジ−不飽和脂肪酸およびベヘン酸であって、エステル化度が7〜8のショ糖ポリエステルである。特に好ましい固体ショ糖ポリエステルは、1分子中に約7個のベヘン酸脂肪酸基および約1個のオレイン酸基を含有するスクロースのオクタエステルである。他のエステルとしては、スクロースの綿実油またはダイズ油脂肪酸エステルが挙げられる。
(9) オルガノポリシロキサン油。オルガノポリシロキサン油は、揮発性シリコーン、不揮発性シリコーン、または揮発性および不揮発性シリコーンの混合物であってよい。本発明において使用される「不揮発性」という用語は、周囲条件下において液体であるシリコーンを意味する。本発明において使用される「揮発性」という用語は、他の全てのシリコーン油を意味する。好適なオルガノポリシロキサンは、様々な揮発性および粘性をもつ種々のシリコーンから選択することができる。好ましいのは、不揮発性ポリシロキサンである。好適なオルガノポリシロキサン油の例としては、ポリアルキルシロキサン、環状ポリアルキルシロキサンおよびポリアルキルアリールシロキサンが挙げられる。本発明で使用するのに好ましいのは、下記からなる群より選択されるオルガノポリシロキサンである:ポリアルキルシロキサン、アルキル置換ジメチコーン、シクロメチコーン、トリメチルシロキシシリケート、ジメチコノール、ポリアルキルアリールシロキサン、およびそれらの混合物。本発明で使用するのにより好ましいのは、ポリアルキルシロキサンおよびシクロメチコーンである。米国特許第5,968,528号に記載されているように、ポリアルキルシロキサンの中で好ましいのはジメチコーンである。
(10) 植物油および硬化植物油。植物油および硬化植物油の例としては、以下の油が挙げられる:ベニバナ油、ヒマシ油、ヤシ油、綿実油、メンヘーデン油、パーム核油、パーム油、ラッカセイ油、ダイズ油、ナタネ油、アマニ油、米ぬか油、パイン油、ゴマ油、ヒマワリ種子油、硬化ベニバナ油、硬化ヒマシ油、硬化ヤシ油、硬化綿実油、硬化メンヘーデン油、硬化パーム核油、硬化パーム油、硬化ラッカセイ油、硬化ダイズ油、硬化ナタネ油、硬化アマニ油、硬化米ぬか油、硬化ゴマ油、硬化ヒマワリ種子油、およびそれらの混合物。
(11) 例えばラノリンおよびその誘導体、タラ肝油などの動物性油脂。
(12) ポリプロピレングリコールのC4〜C20アルキルエーテル、ポリプロピレングリコールのC1〜C20カルボン酸エステル、およびジ−C8〜C30アルキルエーテルも有用である。これらの物質の例としては、PPG−14ブチル−エーテル、PPG−15ステアリルエーテル、ジオクチルエーテル、ドデシルオクチルエーテル、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
b) 親水性成分
本発明のエマルジョンは、水または他の親水性希釈剤などの親水性成分も含む。従って、親水相は、水、または水と1つまたはそれ以上の水溶性または水分散性成分との組み合わせから成ることができる。好ましいのは、水を含む親水性成分である。
c) 他の成分
本発明のエマルジョンおよび他の局所組成物は、本明細書で開示される種々の他の成分を含有してよい。当業者には周知であるが、組成物中の所与の成分は、その親水度によって、親水相または疎水相のいずれかに主に分布される。
本発明のエマルジョンは、乳化剤、界面活性剤、構造化剤(structuring agent)および増粘剤から選択される1つまたはそれ以上の化合物を含有するのが好ましい。
(1)乳化剤/界面活性剤
エマルジョンは、一般に、連続相内での不連続相の分散および懸濁を助けるために、乳化剤および/または界面活性剤を含有してよい。種々のそのような物質を使用することができる。組成物の必須成分と化学的および物理的な適合性がよく、所望の分散特性を与える限りにおいては、公知のまたは慣用の乳化剤/界面活性剤を組成物に使用することができる。好適な物質としては、非シリコーン系乳化剤/界面活性剤、シリコーン系乳化剤/界面活性剤、およびそれらの混合物が挙げられる。
好ましい実施形態において、該組成物は、親水性の乳化剤または界面活性剤を含む。本発明の組成物は、好ましくは約0.05%〜約5%、より好ましくは約0.05%〜約1%の少なくとも1つの親水性界面活性剤を含む。
好ましい親水性界面活性剤は、非イオン性界面活性剤から選択される。本発明に有用な非イオン性界面活性剤には、例えばC8〜30アルコールなどの長鎖アルコールと、糖またはデンプンポリマーとの広義の縮合生成物、即ちグリコシドが含まれる。アルキル基を誘導することができる長鎖アルコールの例としては、デシルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール等が挙げられる。例えば、これらの界面活性剤のうち、デシルポリグルコシド(HenkelからAPG 325 CSとして入手可能)およびラウリルポリグルコシド(HenkelからAPG 600 CSおよび625 CSとして入手可能)などが市販されている。
他の有用な非イオン性界面活性剤としては、アルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物(即ち、脂肪酸のアルキレンオキシドエステル)が挙げられる。他の非イオン性界面活性剤としては、アルキレンオキシドと脂肪族アルコールとの縮合生成物(即ち、脂肪族アルコールのアルキレンオキシドエーテル)が挙げられる。さらに他の非イオン性界面活性剤としては、アルキレンオキシドと、脂肪酸および脂肪族アルコールの両方との縮合生成物が挙げられる[即ち、ポリアルキレンオキシド部分の、一端が脂肪酸によってエステル化され、他端が脂肪族アルコールによってエーテル化(即ち、エーテル結合によって結合)されている]。これらのアルキレンオキシド誘導非イオン性界面活性剤の例としては、以下の物質が挙げられるが、これらに限定されない:セテス−6、セテス−10、セテス−12、セテアレス−6、セテアレス−10、セテアレス−12、ステアレス−6、ステアレス−10、ステアレス−12、PEG−6ステアレート、PEG−10ステアレート、PEG−100ステアレート、PEG−12ステアレート、PEG−20グリセリルステアレート、PEG−80グリセリルタローエート(tallowate)、PEG−10グリセリルステアレート、PEG−30グリセリルココエート、PEG−80グリセリルココエート、PEG−200グリセリルタローエート、PEG−8ジラウレート、PEG−10ジステアレート、およびそれらの混合物。
さらに別の有用な非イオン性界面活性剤としては、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド界面活性剤が挙げられる。
非イオン性界面活性剤の中で好ましいのは、ステアレス−21、セテアレス−20、セテアレス−12、スクロースココエート、ステアレス−100、PEG−100ステアレートおよびそれらの混合物からなる群より選択されるものである。
本発明に使用するのに好適な他の非イオン性界面活性剤としては、以下が挙げられる:糖エステルおよびポリエステル、アルコキシ化糖エステルおよびポリエステル、C1〜C30脂肪族アルコールのC1〜C30脂肪酸エステル、C1〜C30脂肪族アルコールのC1〜C30脂肪酸エステルのアルコキシ化誘導体、C1〜C30脂肪族アルコールのアルコキシ化エーテル、C1〜C30脂肪酸のポリグリセリルエステル、ポリオールのC1〜C30エステル、ポリオールのC1〜30エーテル、アルキルホスフェート、ポリアルキレン脂肪族エーテルホスフェート、脂肪酸−アミド、アシルラクチレート、およびそれらの混合物。これらの非シリコーン系乳化剤の例としては、ポリエチレングリコール20ソルビタンモノラウレート(ポリソルベート20)、ポリエチレングリコール5、ダイズステロール、ステアレス−20、セテアレス−20、PPG−2メチルグルコースエーテルジステアレート、セテス−10、ポリソルベート80、リン酸セチル、セチルリン酸カリウム、ジエタノールアミン、リン酸セチル、ポリソルベート60、グリセリルステアレート、ポリオキシエチレン20ソルビタントリオレエート(ポリソルベート85)、ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン4ラウリルエーテル、ステアリン酸ナトリウム、ポリグリセリル−4イソステアレート、ヘキシルラウレート、PPG−2メチルグルコースエーテルジステアレート、PEG−100ステアレート、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明に有用な別の乳化剤は、ソルビタンまたはソルビトール脂肪酸エステルとスクロース脂肪酸エステルとの混合物に基づく脂肪酸エステル混合体である。好ましい脂肪酸エステル乳化剤は、ソルビタンまたはソルビトールC16〜C20脂肪酸エステルとスクロースC10〜C16脂肪酸エステルとの混合体で、特にソルビタンステアレートとスクロースココエートとの混合体である。これは、ICIからArlatone 2121の商品名で市販されている。
本発明に有用な親水性界面活性剤は、上述したものの代わりに、もしくは上述したものに加えて、当技術分野において公知の種々の陽イオン、陰イオン、両性イオンおよび両性界面活性剤のいずれであってもよい。(例えば、McCutcheon’s,Detergents and Emulsifiers,North American Edition(1986),Allured Publishing Corporation発行を参照。)
本発明に有用な陽イオン界面活性剤の例としては、米国特許第5,968,528号に開示されている陽イオン界面活性剤が挙げられる。本発明に有用な陽イオン界面活性剤としては、第四級アンモニウム塩などの陽イオンアンモニウム塩およびアミノ−アミドが挙げられる。
種々の陰イオン界面活性剤も、本発明に有用である。米国特許第5,968,528号参照。陰イオン界面活性剤の例としては、アルコイルイセチオネート(例えば、C12〜C30)、アルキルおよびアルキルエーテルスルフェートおよびそれらの塩、アルキルおよびアルキルエーテルホスフェートおよびそれらの塩、アルキルメチルタウレート(例えば、C12〜C30)、および脂肪酸の石鹸(例えばナトリウム塩またはカリウム塩などのアルカリ金属塩)が挙げられるが、これらに限定されない。
両性および両性イオン界面活性剤も本発明に有用である。本発明の組成物に使用できる両性および両性イオン界面活性剤の例としては、脂肪族第二級および第三級アミンの誘導体として広く記述されるものであり、この誘導体において脂肪族ラジカルは直鎖状でも分岐状でもよく、脂肪族置換基の1つは、炭素数約8〜約22(好ましくはC8〜C18)からなり、もう1つの置換基はカルボキシ、スルホネート、スルフェート、ホスフェートまたはホスホネートなどの水溶性陰イオンを含む。例としては、アルキルイミノアセテート、イミノジアルカノエートおよびアミノアルカノエート、イミダゾリニウムおよびアンモニウム誘導体である。他の好適な両性および両性イオン界面活性剤は、ベタイン、スルタイン、ヒドロキシスルタイン、アルキルサルコシネート(例えば、C12〜C30)、およびアルカノイルサルコシネートからなる群より選択される。
本発明の好ましいエマルジョンは、シリコーン系乳化剤または界面活性剤を含有する。種々のシリコーン系乳化剤が本発明に有用である。これらのシリコーン系乳化剤は、一般に有機変性オルガノポリシロキサンであり、シリコーン系界面活性剤としても当業者に公知である。有用なシリコーン系乳化剤としては、ジメチコーンコポリオールが挙げられる。このような物質は、ポリエーテル側鎖、例えば、ポリエチレンオキシド鎖、ポリプロピレンオキシド鎖、これらの鎖の混合物、ならびにエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの両方から誘導された基を含有するポリエーテル鎖などを有するように変性された、ポリジメチルシロキサンである。他の例としては、アルキル変性ジメチコーンコポリオール、即ち、C2〜C30ペンダント側鎖を有する化合物が挙げられる。さらに他の有用なジメチコーンコポリオールとしては、種々の陽イオン、陰イオン、両性および両性イオンペンダント基を有する物質が挙げられる。
本発明において乳化剤として有用なジメチコーンコポリオールおよび他のシリコーン系界面活性剤の例としては、ポリエチレンオキシドペンダント側鎖を有するポリジメチルシロキサンポリエーテルコポリマー、ポリプロピレンオキシドペンダント側鎖を有するポリジメチルシロキサンポリエーテルコポリマー、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシド混合ペンダント側鎖を有するポリジメチルシロキサンポリエーテルコポリマー、ポリ(エチレン)(プロピレン)オキシド混合ペンダント側鎖を有するポリジメチルシロキサンポリエーテルコポリマー、オルガノベタインペンダント側鎖を有するポリジメチルシロキサンポリエーテルコポリマー、カルボキシレートペンダント側鎖を有するポリジメチルシロキサンポリエーテルコポリマー、第四級アンモニウムペンダント側鎖を有するポリジメチルシロキサンポリエーテルコポリマー;および、C2〜C30の直鎖状、分岐状または環状アルキルペンダント基を有する上記コポリマーのさらなる変性物が挙げられるが、これらに限定されない。Dow Corning Corporationによって市販されている本発明に有用なジメチコーンコポリオールの例としては、Dow Corning(登録商標)190、193、Q2−5220、2501 Wax、2−5324 fluid、および3225Cが挙げられる(この最後の物質は、シクロメチコーンとの混合物として市販されている)。セチルジメチコーンコポリオールは、ポリグリセリル−4イソステアレート(および)ヘキシルラウレートとの混合物として、商品名ABIL(登録商標)WE−O9で市販されている(Goldschmidtから入手可能)。セチルジメチコーンコポリオールは、ヘキシルラウレート(および)ポリグリセリル−3オレエート(および)セチルジメチコーンとの混合物としても、商品名ABIL(登録商標)WS−08で市販されている(Goldschmidtから入手可能)。ジメチコーンコポリオールの他の例としては、ラウリルジメチコーンコポリオール、ジメチコーンコポリオールアセテート、ジメチコーンコポリオールアジペート、ジメチコーンコポリオールアミン、ジメチコーンコポリオールベヘネート、ジメチコーンコポリオールブチルエーテル、ジメチコーンコポリオールヒドロキシステアレート、ジメチコーンコポリオールイソステアレート、ジメチコーンコポリオールラウレート、ジメチコーンコポリオールメチルエーテル、ジメチコーンコポリオールホスフェート、およびジメチコーンコポリオールステアレートが挙げられるが、これらに限定されない。本発明に有用なジメチコーンコポリオール乳化剤は、例えば、米国特許第5,968,528号に記載されている。
(2) 構造化剤
本発明の組成物、および特に本発明のエマルジョンは、構造化剤を含有してもよい。構造化剤は、本発明の水中油型エマルジョンに特に好ましい。理論にとらわれることなく、構造化剤は、組成物の安定性に寄与する流動学的特性を、組成物に付与するのを補助すると考えられている。例えば、構造化剤は、液体結晶性ゲル網状構造の形成を補助する傾向がある。構造化剤は、乳化剤または界面活性剤としても機能し得る。好ましい本発明の組成物は、約1%〜約20%、より好ましくは約1%〜約10%、最も好ましくは約2%〜約9%の、1つまたはそれ以上の構造化剤を含む。好ましくは、HLB値が約1〜約8で、少なくとも約45℃の融点を有する構造化剤である。好適な構造化剤は、下記からなる群より選択される:C14〜C30飽和脂肪族アルコール、約1〜約5モルのエチレンオキシドを含有するC16〜C30飽和脂肪族アルコール、C16〜C30飽和ジオール、C16〜C30飽和モノグリセロールエーテル、C16〜C30ヒドロキシ飽和脂肪酸、C14〜C30ヒドロキシル化および非ヒドロキシル化飽和脂肪酸、C14〜C30エトキシ化飽和脂肪酸、約1〜約5モルのエチレンオキシドジオールを含有するアミンおよびアルコール、少なくとも40%のモノグリセリドを含有するC14〜C30飽和グリセリルモノエステル、約1〜約3個のアルキル基および約2〜約3個の飽和グリセロール単位を有するC14〜C30飽和ポリグリセロールエステル、C14〜C30グリセリルモノエーテル、C14〜C30ソルビタンモノ/ジエステル、約1〜約5モルのエチレンオキシドを有するC14〜C30飽和エトキシ化ソルビタンモノ/ジエステル、C14〜C30飽和メチルグルコシドエステル、C14〜C30飽和スクロースモノ/ジエステル、約1〜約5モルのエチレンオキシドを有するC14〜C30飽和エトキシ化メチルグルコシドエステル、平均1〜2個のグルコース単位を有するC14〜C30飽和ポリグルコシド、およびそれらの混合物(上記物質は少なくとも約45℃の融点を有する)。
好ましい本発明の構造化剤は、下記からなる群より選択される:ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ベヘニルアルコール、ステアリン酸、パルミチン酸、平均約1〜約5個のエチレンオキシド単位を有するステアリルアルコールのポリエチレングリコールエーテル、平均約1〜約5個のエチレンオキシド単位を有するセチルアルコールのポリエチレングリコールエーテル、およびそれらの混合物。より好ましい本発明の構造化剤は、下記からなる群より選択される:ステアリルアルコール、セチルアルコール、ベヘニルアルコール、平均約2個のエチレンオキシド単位を有するステアリルアルコールのポリエチレングリコールエーテル(ステアレス−2)、平均約2個のエチレンオキシド単位を有するセチルアルコールのポリエチレングリコールエーテル、およびそれらの混合物。さらに好ましい構造化剤は、下記からなる群より選択される:ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ベヘニルアルコール、ステアレス−2、およびそれらの混合物。
(3) 粘稠化剤(増粘剤およびゲル化剤を包含する)
本発明の組成物は、好ましくは約0.1%〜約5%、より好ましくは約0.1%〜約3%、最も好ましくは約0.25%〜約2%の粘稠化剤も含むことも可能である。粘稠化剤の例としては、下記からなる群より選択されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
(i) カルボン酸ポリマー
これらのポリマーは、アクリル酸、置換アクリル酸、およびこれらのアクリル酸および置換アクリル酸の塩およびエステルから誘導された1つまたはそれ以上のモノマーを含有する架橋化合物である。架橋剤として、2個またはそれ以上の炭素−炭素二重結合を有し、多価アルコールから誘導されるものが含まれる。好ましいカルボン酸ポリマーは、一般的に2種類に大別される。一つは、アクリル酸モノマーまたはその誘導体の架橋ホモポリマーである(例えば、アクリル酸の2つおよび3つの炭素原子上に、C1〜4アルキル、−CN、−COOHおよびそれらの混合物からなる群より選択される置換基をそれぞれ有する)。もう一つは、アクリル酸モノマーまたはその誘導体(直前の文に記載の通り)、短鎖アルコール(即ち、C1〜4)アクリル酸エステルモノマーまたはその誘導体(例えば、エステルのアクリル酸部分の2つおよび3つの炭素原子上に、C1〜4アルキル、−CN、−COOHおよびそれらの混合物からなる群より選択される置換基をそれぞれ有する)、およびそれらの混合物からなる群より選択される第一モノマー;および、長鎖アルコール(即ち、C8〜40)アクリル酸エステルモノマーまたはその誘導体(例えば、エステルのアクリル酸部分の2つおよび3つの炭素原子上に、C1〜4アルキル、−CN、−COOHおよびそれらの混合物からなる群より選択される置換基をそれぞれ有する)である第二モノマーを有する架橋コポリマーである。これら2つの型のポリマーの組み合わせも、本発明に有用である。
第一型の架橋ホモポリマーにおいて、モノマーを、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸およびそれらの混合物からなる群より選択するのが好ましく、アクリル酸が最も好ましい。第二型の架橋コポリマーにおいて、アクリル酸モノマーまたはその誘導体を、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸およびそれらの混合物からなる群より選択するのが好ましく、アクリル酸、メタクリル酸およびそれらの混合物が最も好ましい。短鎖アルコールアクリル酸エステルモノマーまたはその誘導体は、C1〜4アルコールアクリル酸エステル、C1〜4アルコールメタクリル酸エステル、C1〜4アルコールエタクリル酸エステルおよびそれらの混合物からなる群より選択するのが好ましく、C1〜4アルコールアクリル酸エステル、C1〜4アルコールメタクリル酸エステルおよびそれらの混合物が最も好ましい。長鎖アルコールアクリル酸エステルモノマーは、C8〜40アルキルアクリル酸エステルから選択され、C10〜30アルキルアクリル酸エステルが好ましい。
これら両方の型のポリマーに含まれる架橋剤は、1分子当たり1より多いアルケニルエーテル基を有する多価アルコールのポリアルケニルポリエーテルである。親化合物である該多価アルコールは、少なくとも3個の炭素原子および少なくとも3個のヒドロキシル基を有する。好ましい架橋剤は、スクロースのアリルエーテル、ペンタエリスリトールのアリルエーテル、およびそれらの混合物からなる群より選択される。
本発明に有用な第一型の市販ホモポリマーの例としては、カルボマーが挙げられる。カルボマーは、スクロースまたはペンタエリスリトールのアリルエーテルで架橋されたアクリル酸のホモポリマーである。カルボマーは、B.F.GoodrichからCarbopol(登録商標)900シリーズ(例えば、Carbopol(登録商標)954)として入手可能である。本発明に有用な第二型の市販コポリマーの例としては、アクリル酸、メタクリル酸、またはそれらの短鎖(即ち、C1〜4アルコール)エステルから選ばれる1つまたはそれ以上のモノマーと、C10〜30アルキルアクリレートとのコポリマーが挙げられる。架橋剤としては、スクロースまたはペンタエリスリトールのアリルエーテルが含まれる。これらのコポリマーは、アクリレートC10〜30アルキルアクリレートクロスポリマーとして公知であり、Carbopol(登録商標)1342、Carbopol(登録商標)1382、Pemulen TR−I、およびPemulen TR−2として、B.F.Goodrichより市販されている。すなわち、本発明に有用なカルボン酸ポリマー増粘剤の例としては、カルボマー、アクリレート/C10〜C30アルキルアクリレートクロスポリマー、およびそれらの混合物からなる群より選択されるものが挙げられる。
(ii) 架橋ポリアクリレートポリマー
増粘剤またはゲル化剤として有用な架橋ポリアクリレートポリマーとしては、陽イオンおよび非イオンポリマーの両方が挙げられ、一般的に陽イオンポリマーが好ましい。好適な架橋ポリアクリレートポリマーの例は、米国特許第5,968,528号に開示されているが、これに限定されない。
(iii) ポリアクリルアミドポリマー
ポリアクリルアミドポリマー、特に非イオンポリアクリルアミドポリマーも本発明に有用であり、置換された分岐状または非分岐状ポリマーを含む。これらのポリマーは、非置換もしくは1個もしくは2個のアルキル基(C1〜C5)で置換されたアクリルアミドおよびメタクリルアミドを含む種々のモノマーから形成される。好ましくは、アミド窒素が非置換もしくは1個もしくは2個のC1〜C5アルキル基(好ましくは、メチル、エチルまたはプロピル)で置換されたアクリレートアミドおよびメタクリレートアミドモノマーであり、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、およびN,N−ジメチルアクリルアミドである。これらのポリマーの分子量は、約1,000,000〜約30,000,000、好ましくは約1,500,000〜約30,000,000である。これらのポリアクリルアミドポリマーの中で最も好ましいのは、 CTFA名称ポリアクリルアミド/イソパラフィン/ラウレス−7で、商品名Sepigel 305としてSeppic Corporation(Fairfield,N.J.)より市販されている非イオンポリマーである。
本発明に有用な他のポリアクリルアミドポリマーは、アクリルアミドおよび置換アクリルアミドとアクリル酸および置換アクリル酸とのマルチブロックコポリマーを含む。例えば、これらのマルチブロックコポリマーは、Lipo Chemicals,Inc.,(Patterson,N.J.)よりHypan SR150H、SS500V、SS500W、SSSA100Hとして市販されている。
(iv) 多糖
種々の多糖が本発明に有用である。「多糖」とは、糖(即ち、炭水化物)を構成単位とする基本骨格をもつゲル化剤を意味する。多糖ゲル化剤の例としては、下記からなる群より選択されるものが挙げられるが、これらに限定されない:セルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネートカルボキシレート、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、微結晶性セルロース、セルロース硫酸ナトリウム、およびそれらの混合物。アルキル置換セルロースも本発明に有用である。これらのポリマーは、セルロースポリマーのヒドロキシ基が、ヒドロキシアルキル化(好ましくは、ヒドロキシエチル化またはヒドロキシプロピル化)されて、ヒドロキシアルキル化セルロースを形成し、次いで、エーテル結合によってC10〜C30直鎖状または分岐状アルキル基でさらに変性したものである。一般に、これらのポリマーは、C10〜C30直鎖状または分岐状アルコールとヒドロキシアルキルセルロースとのエーテルである。本発明に有用なアルキル基の例としては、下記からなる群より選択されるものが挙げられる:ステアリル、イソステアリル、ラウリル、ミリスチル、セチル、イソセチル、ココイル(即ち、ヤシ油のアルコールから誘導されるアルキル基)、パルミチル、オレイル、リノレイル、リノレニル、リシノレイル、ベヘニル、およびそれらの混合物。アルキルヒドロキシアルキルセルロースエーテルの中でも、セチルアルコールとヒドロキシエチルセルロースとのエーテルであるCTFA名称セチルヒドロキシエチルセルロースが好ましい。この物質は、商品名Natrosol(登録商標)CS PlusとしてAqualon Corporationによって市販されている。
v) ゴム
本発明に有用な他の粘稠化剤およびゲル化剤としては、本来天然物に由来する物質が挙げられる。これらのゴム系ゲル化剤の例としては、下記からなる群より選択される物質が挙げられるが、これらに限定されない:アカシア、寒天、アルギン、アルギン酸、アルギン酸アンモニウム、アミロペクチン、アルギン酸カルシウム、カラギーナンカルシウム、カミチン、カラギーナン、デキストリン、ゼラチン、ジェランガム、グアーゴム、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、ヘクトライト、ヒアルロン酸、含水シリカ、ヒドロキシプロピルキトサン、ヒドロキシプロピルグアー、カラヤガム、ケルプ、ローカストビーンガム、ナットーゴム、アルギン酸カリウム、カラギーナンカリウム、アルギン酸プロピレングリコール、菌核(sclerotium)ゴム、カルボキシメチルデキストランナトリウム、カラギーナンナトリウム、トラガカントゴム、キサンタンゴム、およびそれらの混合物。
(vi) 架橋ビニルエーテル無水マレイン酸コポリマー
本発明に有用な他の粘稠化剤およびゲル化剤としては、アルキルビニルエーテルと無水マレイン酸との架橋コポリマーが挙げられる。
(vii) 架橋ポリ(N−ビニルピロリドン)
他の粘稠化剤およびゲル化剤として、架橋ポリビニル(N−ピロリドン)が本発明に有用である。これらのゲル化剤は、一般に、下記からなる群より選択される架橋剤を約0.25重量%〜約1重量%で含有する:炭素数約2〜約12の末端ジオールのジビニルエーテルおよびジアリルエーテル、約2〜約600構成単位を有するポリエチレングリコールのジビニルエーテルおよびジアリルエーテル、炭素数約6〜約20のジエン、ジビニルベンゼン、ペンタエリスリトールのビニルおよびアリルエーテル等。
好ましい本発明の組成物は、カルボン酸ポリマー、架橋ポリアクリレートポリマー、ポリアクリルアミドポリマーおよびそれらの混合物からなる群より選択される粘稠化剤、より好ましくは、架橋ポリアクリレートポリマー、ポリアクリルアミドポリマーおよびそれらの混合物からなる群より選択される粘稠化剤を含有する。
任意成分
本発明の局所組成物は、種々の任意成分を含んでもよいが、該任意成分が、本明細書に記載する必須成分と物理的および化学的な適合性がよく、本発明組成物に関わる安定性、有効性または他の使用効果を過度に損なわないものとする。任意成分は、本発明組成物の担体に、分散または溶解等させてもよい。
任意成分としては、美容剤および活性剤が挙げられる。例えば、組成物は、本発明の必須成分に加えて、下記を含有してもよい:吸収剤(クレーおよび高分子吸収剤のような油吸収剤を包含する)、研磨剤、凝結防止剤、消泡剤、抗微生物剤(例えば、微生物を殺すか、微生物の発生を防止するか、または微生物の病原作用を抑制することができ、例えば、ざ瘡の抑制および/または局所組成物の保存に有用な化合物)、結合剤、生物学的添加剤、緩衝剤、増量剤、化学添加剤、化粧用殺生物剤、変性剤、化粧用収れん剤、薬用収れん剤、外用鎮痛剤、皮膜形成剤、湿潤剤、乳白剤、芳香剤、香料、顔料、着色剤、精油、皮膚知覚剤(skin sensate)、皮膚軟化剤、皮膚鎮静剤、皮膚修復剤、pH調整剤、可塑剤、防腐剤、防腐増強剤、噴射剤、還元剤、皮膚状態調整剤、皮膚浸透促進剤、皮膚保護剤、溶媒、懸濁化剤、乳化剤、粘稠化剤、可溶化剤、組成物の皮膜形成性およびその持続性を補助するポリマー(例えばエイコセンとビニルピロリドンとのコポリマー、その一例として、GAF Chemical CorporationよりGanex(登録商標)V−220として市販されている)、蝋、遮光剤、日焼け止め剤、紫外線吸収剤または散乱剤、サンレスタンニング剤(sunless tanning agent)、酸化防止剤および/またはラジカルスカベンジャー、キレート化剤、金属イオン封鎖剤、抗ざ瘡剤、抗炎症剤、抗アンドロゲン、脱毛剤、落屑剤/剥離剤、有機ヒドロキシ酸、ビタミンおよびその誘導体(例えばビタミンCおよびアスコルビルホスフェートなどの水分散性または水溶性のビタミン)、コラーゲン産生促進化合物、および天然抽出物。上記の物質は、当技術分野において公知であり、その例として、Pharmaceutical Dosage Forms−Disperse Systems;Lieberman,Rieger & Banker,Vols.1(1988)&2(1989);または米国特許第5,968,528号に記載されているが、これらに限定されない。
本発明の組成物は、皮膚軟化剤を含んでもよい。皮膚軟化剤は、下記の種類の1つまたはそれ以上から選択することができる。
(1)トリグリセリドエステル
例えば、ヒマシ油、カカオ脂、ベニバナ油、綿実油、トウモロコシ油、オリーブ油、タラ肝油、アーモンド油、アボカド油、パーム油、ゴマ油、スクアレン、ククイ(kikui)油およびダイズ油などの植物性および動物性油脂が挙げられるが、これらに限定されない。
(2)アセトグリセリドエステル
例えば、アセチル化モノグリセリド。
(3)エトキシ化グリセリド
例えば、エトキシ化グリセリルモノステアレート。
(4)炭素数10〜20の脂肪酸のアルキルエステル
例えば、ヘキシルラウレート、イソヘキシルラウレート、イソヘキシルパルミテート、イソプロピルパルミテート、メチルパルミテート、デシルオレエート、イソデシルオレエート、ヘキサデシルステアレート、デシルステアレート、イソプロピルイソステアレート、メチルイソステアレート、ジイソプロピルアジペート、ジイソヘキシルアジペート、ジヘキシルデシルアジペート、ジイソプロピルセバケート、ラウリルラクテート、ミリスチルラクテートおよびセチルラクテートなどの脂肪酸のメチル、イソプロピルおよびブチルエステルが挙げられるが、これらに限定されない。
(5)炭素数10〜20の脂肪酸のアルケニルエステル
例えば、オレイルミリステート、オレイルステアレートおよびオレイルオレエート。
(6)炭素数10〜20の脂肪酸
例えば、ペラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リシノール酸、アラキジン酸、ベヘン酸、およびエルカ酸。
(7)炭素数10〜20の脂肪族アルコール
例えば、ラウリル、ミリスチル、セチル、ヘキサデシル、ステアリル、イソステアリル、ヒドロキシステアリル、オレイル、リシノレイル、ベヘニル、エルシル、および2−オクチルドデカニルアルコール。
(8)ラノリンおよびラノリン誘導体
例えば、ラノリン、ラノリン油、ラノリン蝋、ラノリンアルコール、ラノリン脂肪酸、イソプロピルラノレート、エトキシ化コレステロール、プロポキシ化ラノリンアルコール、アセチル化ラノリンアルコール、ラノリンアルコールリノレエート、ラノリンアルコールリシノレエート、ラノリンアルコールリシノレエートのアセテート、エトキシ化アルコールエステルのアセテート、ラノリンの水素化分解物、エトキシ化水素化ラノリン、ならびに液体および半固体ラノリン吸収ベース。
(9)多価アルコールエステル
例えば、エチレングリコールモノおよびジ−脂肪酸エステル、ジエチレングリコールモノ−およびジ−脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(200〜6000)モノ−およびジ−脂肪酸エステル、プロピレングリコールモノ−およびジ−脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール2000モノオレエート、ポリプロピレングリコール2000モノステアレート、エトキシ化プロピレングリコールモノステアレート、グリセリルモノ−およびジ−脂肪酸エステル、ポリグリセロールポリ脂肪酸エステル、エトキシ化グリセリルモノステアレート、1,2−ブチレングリコールモノステアレート、1,2−ブチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル、およびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル。
(10)蝋エステル
例えば、蜜蝋、鯨蝋、ミリスチルミリステートおよびステアリルステアレート。
(11)蜜蝋誘導体
例えば、ポリオキシエチレンソルビトール蜜蝋(蜜蝋と、各種付加量のエチレンオキシドを有するエトキシ化ソルビトールとの反応生成物であり、エーテルエステルの混合物を形成する)。
(12)植物蝋
例えば、カルナウバ蝋およびキャンデリラ蝋が挙げられるが、これらに限定されない。
(13)レシチンなどのリン脂質およびその誘導体
(14)ステロール
例えば、コレステロールおよびコレステロール脂肪酸エステルが挙げられるが、これらに限定されない。
(15)アミド
例えば、脂肪酸アミド、エトキシ化脂肪酸アミド、および固体の脂肪酸アルカノールアミド。
組成物は、例えば多価アルコール系の湿潤剤を含んでもよい。一般的な多価アルコールとしては、ポリアルキレングリコール、より好ましくはアルキレンポリオールおよびそれらの誘導体が挙げられる。具体的には例えば、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールおよびそれらの誘導体、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、エリスリトール、トレイトール、ペンタエリスリトール、キシリトール、グルシトール、マンニトール、ヘキシレングリコール、ブチレングリコール(例えば、1,3−ブチレングリコール)、ヘキサントリオール(例えば、1,2,6−ヘキサントリオール)、グリセロール、エトキシ化グリセロール、プロポキシ化グリセロール、2−ピロリドン−5−カルボン酸ナトリウム、可溶性コラーゲン、ジブチルフタレート、ゼラチン、およびそれらの混合物などである。
さらなる任意成分としては、グアニジン;グリコール酸およびグリコール酸塩(例えば、アンモニウムおよび第四級アルキルアンモニウム);乳酸および乳酸塩(例えば、アンモニウムおよび第四級アルキルアンモニウム);あらゆる形態のアロエベラ(例えば、アロエベラゲル);糖およびデンプン誘導体(例えば、アルコキシ化グルコース);ヒアルロン酸およびその誘導体(例えば、ヒアルロン酸ナトリウムのような塩誘導体);ラクトアミドモノエタノールアミン;アセトアミドモノエタノールアミン;尿素;パンテノール;糖;デンプン;シリコーン油;シリコーンゴム;およびそれらの混合物が挙げられる。また、プロポキシ化グリセロールも有用である。
好ましい実施形態:
親水性および疎水性クリームの両方について検査した。これらのクリームは、生体適合性の高い成分で構成される。具体的には、これらのクリーム系の脂質相は、オリーブ油、スイートアーモンド油、アボカド油、ホホバ油等の任意の植物油、ワセリン等の鉱物油、および/または脂肪酸エステルや短、中および長鎖トリグリセリドなどの任意の合成油相から構成し得る。これらのクリーム系を調製するために、一定の生理化学的安定性をクリームに付与することが可能で、皮膚科学的に許容される界面活性剤(例えば、レシチン、Tween 80等)を使用することができる。また、ゲル性製剤も、バルプロ酸、その塩および誘導体の局所適用のための有望な製剤として調査した。ゲル剤は、製剤に所望の流動学的特性を付与できる任意の粘性剤(viscosizing agent)を使用して調製することができる。この場合も、ゲル性製剤の調製に使用される物質、即ち、セピゲル(sepigel)、ジルゲル(zilgel)、カルボポール、キサンタンゴム、ゼラチン、PVP、PEa等は、ある一定のヒト皮膚耐容性を有する必要がある。
投与
具体的には、特定の患者のための局所投与量を、下記の種々の要因に応じて決定するのがよい:年齢、体重、全般的な健康状態、性別、食事および以前の投薬歴、および患者の特定疾患の重症度、および使用する特定化合物の活性、投与時期、排泄速度、治療期間、併用する他の薬剤、化合物および/または物質。当然のことながら、活性化合物、および活性化合物を含む組成物の適切な投与量は、患者によって異なる可能性がある。一般的に、最適投与量は、本発明の治療のあらゆるリスクまたは有害副作用と、治療効果レベルとのバランスをとることで決定される。
一般に、活性化合物、即ちVPAまたはその医薬上許容される塩の好適な用量は、少なくとも約0.1重量%、好ましくは約0.1重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.5重量%〜約6重量%、さらにより好ましくは約0.5重量%〜約4重量%、なおより好ましくは約1重量%〜約4重量%、最も好ましくは約2重量%〜約4重量%であり、活性成分は医薬上許容される担体に懸濁される。活性成分が、VPA、VPAの医薬上許容される塩、ならびにVPAから誘導されるエステルおよびプロドラッグ等である場合、投与量は親化合物に基づいて計算されるため、使用する実重量は比例的に増加する。
局所適用:
本発明の好ましい実施形態において、VPAは、約1cm(qcm)の病変につき0.5mg(ミリグラム)〜200mg(ミリグラム)の用量で、1日に1回〜3回局所適用される。より好ましい実施形態において、VPAは、約1cm(qcm)の病変につき1.0mg(ミリグラム)〜100mg(ミリグラム)の用量で、1日に1回〜3回局所適用され、さらにより好ましい実施形態において、VPAは、約1cm(qcm)の病変につき2.0mg(ミリグラム)〜50mg(ミリグラム)の用量で、1日に1回〜3回局所適用される。
実際の1日用量は、治療する病変の大きさに依存するため、病変の大きさに応じて増加する。この種の複数の病変を治療してもよい。
薬物動態:
本発明の好ましい実施形態において、VPAは1日に1回〜3回局所適用される。継続的に局所適用した患者のVPAの血清レベルは、合計1日用量2,000mg以下の3%VPA含有薬を顔面尋常性ざ瘡の治療に使用した場合、最大約12.0μg/ml(マイクログラム/ミリリットル)に達し得る。より好ましい実施形態において、VPAの血清レベルは8μg/ml(マイクログラム/ミリリットル)未満、より好ましい実施形態において、VPAの血清レベルは6μg/ml(マイクログラム/ミリリットル)未満、さらにより好ましい実施形態において、VPAの血清レベルは4μg/ml(マイクログラム/ミリリットル)未満である。1日約2,000mg(ミリグラム)以下の3%VPA含有薬、すなわち60mg以下のVPAを毎日局所適用することで、上記の血清レベルに達し得る。
インビボ局所投与は、一用量で、治療期間を通して継続的または間欠的に行うことができる。最も有効な投与方法および用量を決定する方法は、当業者に周知であり、治療に使用する製剤、治療目的、治療対象細胞、および治療対象者によって異なる。治療を施す医師が選択する用量およびパターンに従って、単回または複数回に分けて投与することができる。一般に、活性化合物、即ちVPAまたはVPA誘導体の好適な用量は、少なくとも約0.1重量%、好ましくは0.1重量%〜6重量%、より好ましくは0.3重量%〜5重量%、より好ましくは0.5重量%〜4重量%、さらにより好ましくは1重量%〜4重量%の濃度であり、活性成分は、医薬上許容される担体に懸濁される。活性成分が、塩、エステル、プロドラッグ等である場合、投与量は、親化合物に基づいて計算されるため、使用する実重量は比例的に増加する。
活性化合物、即ちVPAまたはVPA誘導体を、レチノイドと併用する場合、この活性化合物の好適な用量は、少なくとも0.1重量%、好ましくは0.1重量%〜6重量%、より好ましくは0.3重量%〜5重量%、より好ましくは0.5重量%〜4重量%、さらにより好ましくは1重量%〜4重量%であり、使用するレチノイドに関しては、活性化合物の好適な用量は、約0.01重量%〜約1重量%、好ましくは0.05重量%〜0.5重量%の範囲である。
本発明の好ましい実施形態において、VPAは1日に1回〜3回局所適用され、その1日の累積用量は約1cm(qcm)の病変につき、0.5mg(ミリグラム)〜10mg(ミリグラム)である。より好ましい実施形態において、VPAは1日に1回〜3回局所適用され、その1日の累積用量は約1cm(qcm)の病変につき、1mg(ミリグラム)〜8mg(ミリグラム)である。さらにより好ましい実施形態において、VPAは1日に1回〜3回局所適用され、その1日の累積用量は約1cm(qcm)の病変につき、2mg(ミリグラム)〜6mg(ミリグラム)である。
実際の1日用量は、治療する病変の大きさに依存するため、病変の大きさに応じて増加する。病変の大きさは最大約100cm(qcm)まで包含し、大きさに相応して1日用量が増加する。
本発明の他の好ましい実施形態において、VPAを含有する局所製剤は、下記に記載した成分を含有する下記の3つの製剤のいずれかからなる(含有量は%[w/w]で示す)。
製剤例1:
白色鉱物油 20
セチルアルコール 24
セトマクロゴール1000 6
バルプロ酸 >0.1、例えば、0.1〜6
白色ワセリン 加えて全体を100とする
製剤例2:
酸化亜鉛 25
デンプン 25
バルプロ酸 >0.1、例えば、0.1〜6
白色ワセリン 加えて全体を100とする
製剤例3:
白色ワセリン 25
セチルアルコール 10
Tween 60 5
グリセリン 10
EDTA 0.2
香料(任意) 2滴
バルプロ酸ナトリウム >0.1、例えば、0.1〜6
高純度蒸留水 加えて全体を100とする
本明細書に記載する種々の実施形態を、互いに組み合わすことができる。
実施例1
本発明は、軽度〜中等度の尋常性ざ瘡患者で行った臨床試験から得られた驚くべき治療効果に基づいている。この試験は、二重盲検無作為試験として実施した。インフォームドコンセントの下に、軽度〜中等度の顔面尋常性ざ瘡の患者が試験に参加した。治療期間は12週間であった。
方法:
被験者選択のための診断および主要基準
本試験実施にあたり、局所治療を必要とする顔面皮膚の尋常性ざ瘡を有する18〜35才の患者を、軽度〜中等度(改訂Leeds Scale of Acne Gradingによる等級2〜8)の顔面の面ぽう性ざ瘡または丘疹性膿疱性ざ瘡の確定診断という主要選択基準に基づいて選定した。
試験薬剤、投与量および投与方法
VPAとして、透明でオフホワイト色の半固体状の3%ゲル剤(30mg/ml VPA)を準備した。低刺激性の洗顔料で洗顔した後に、上記ゲルを清潔で乾いた皮膚に1日1回、毎日適用した。
対照治療および偽薬、投与量および投与方法
比較対照治療として、レチノイド系のイソトレチノイン0.05%ゲル剤(0.5mg イソトレチノイン/g)を準備した。
評価の基準
有効性
− ベースラインと比較した治療有効性を、7点尺度法によって、調査者および患者がそれぞれ評価した
− 顔全体の病変の計数
− 写真判定に基づく、調査者による改善の総合評価
安全性および耐容性
− 安全性実験室パラメータ
− 臨床安全性試験
− 有害事象
− 5点尺度法を用いた、患者による局所耐容性の評価
試験エンドポイント:
一次エンドポイント:
有効性: − ベースラインから第12週の終りまでの、顔面ざ瘡病変の合計数の変化(1日目と85日目、即ち、d1、d85の比較)
二次エンドポイント:
有効性: − ざ瘡病変減少率が30%を超えるまでの時間
− 治療開始2週間後、4週間後、8週間後および12週間後における、顔のざ瘡病変数、ならびにベースラインに対するそのパーセントおよび絶対変化数
安全性/耐容性: − 安全性実験室パラメータ
− 臨床安全性
− 患者による局所耐容性の評価
実施例1に記載した臨床試験において、治療した全ざ瘡病変数のうち30%以上が減少するまでの時間についても、患者が治験病院へ来院する際に毎回調査した。減少が30%以上に達した場合、その時点での実際の概算減少率および来院日を記録した。得られたデータを図1bに示す。図は、それぞれ14日目、28日目または85日目にあたる来院時に減少率が30%以上に達した際の実際の減少率を示す。
結果:
図1aにおいて、VPA単独で局所治療をした患者(患者1、2および3)、またはレチノイド系の比較薬剤イソトレチノインで局所治療をした患者(患者4および5)の代表的写真が示されている。左側パネル(d1)が示すような治療開始前の全患者に見られた病変(病変領域を示す丸印を参照)に対して治療効果が現われていることが、治療終了後を示す右側パネル(d85)からわかる。
さらに、治療した全ざ瘡病変数のうち30%以上が減少するまでの時間を、図1bに示す。図は、それぞれ14日目、28日目または85日目にあたる患者の来院時に減少率が30%以上に達した際の実際の減少率を示す。驚くべきことに、VPAの治療は、イソトレチノインの治療と比較して、臨床効果が現れるのが早かった。14日目に、VPAで治療した5人の患者で、既に顔面ざ瘡病変合計数が少なくとも30%減少していることが報告され、一方、イソトレチノンで治療した患者では、顔面ざ瘡病変合計数が少なくとも30%減少したのは、3人のみであった。
実施例2
実施例1に記載した臨床試験に基づいて、試験結果を集計表にまとめ、図2に示す。この表は、1日目(治療開始前)および85日目(d85)の治療終了後の病変数を比較した際の、治療患者の顔面におけるざ瘡病変数のパーセント変化を示している。
結果:
図2の表は、ざ瘡病変数の減少を、平均値および相対減少パーセントで示している。この表では、治療開始前のベースラインにおけるざ瘡病変数を、治療後(85日目)のざ瘡病変数と比較している。要約すると、ベースラインの病変数と比較した場合、85日目において、単一活性剤として用いたVPAの局所治療では、驚くことに、ざ瘡病変数の平均減少率が約57%を示し、一方、比較薬剤イソトレチノインの治療では、ざ瘡病変の平均減少率が約54%であった。これらのデータは、単独療法として用いたVPAの治療が、驚くべきことに、本適応症向けに市販されている化合物イソトレチノインに匹敵する治療効果を有することを示している。
実施例3
同時に、3%VPA含有薬で局所治療した尋常性ざ瘡患者の血中VPA含量を、HPLCを用いた方法で分析した。その結果を図3に示す。測定したVPAの血清レベルは、56日目に最大2.436μg/mlに達し、85日目に最大1.586μg/mlに達した。この血清濃度レベルは、1日約2,000mg(これはVPAの合計1日用量として約60mgを意味する)以下の3%VPA含有薬を局所適用して毎日治療した後に測定した。より多くのまたはより大きい病変を治療するために、1日用量としてより多いVPAを局所適用する場合、それに相応して、より高い血清レベルが得られると予想される。
実施例1に記載した臨床試験において、治療有効性の評価に加えて、患者による局所耐容性の評価および副作用プロフィールを記録した。試験期間中、患者の各来院時に記録した局所耐容性に関する患者評価を図4にまとめた。上記評価は治療開始後14、24、56および85日目に行われた。患者は、下記の評価尺度に従って、局所耐容性を主観的に評価した。
Figure 2009534306
結果:
治験薬の局所耐容性に関する患者の評価データを、図4にまとめた。3%VPAで局所治療した患者の全評価のうち61.9%が、このVPA治療の局所耐容性を「良好」とし、さらに23.8%が「許容できる」であった。これに対して、レチノイド系のイソトレチノインでの局所治療の局所耐容性に関する患者評価のうち、「良好」だったのは38.1%のみで、さらに、これらの患者評価の40.5%が「許容できる」であった。イソトレチノインの局所耐容性と比較して、VPAを用いた局所治療の局所耐容性の方がより高値にシフトしているのは、耐容性が「不良」とした患者評価のパーセントだけを見ても明らかであり、即ち、VPAで治療した患者の評価では、4.8%のみが「不良」であるのに対し、一方、イソトレチノインで治療した患者の評価では、11.9%が「不良」であった。
VPAで局所治療した患者で見られた有害事象として、適用部位に関する部位刺激、部位紅斑または部位疼痛などは、主として軽度〜中等度であった。全ての有害事象は、臨床試験の終了後に回復した。
実施例4
実施例1に記載した臨床試験において、治療したざ瘡病変数を種類別に評価した。即ち、炎症性病変の数および非炎症性病変の数を、別々に記録した。
結果:
図5は、VPAで局所治療したざ瘡患者の、炎症性および非炎症性病変数の減少を示す。1日目の治療開始前における炎症性病変の中央値は30と推定され、85日目の治療終了時において14.4に減少したと評価された。同時に、1日目の治療開始前における非炎症性病変の中央値は41と推定され、85日目の治療終了時において11.5に減少したと評価された。
これらのデータは、驚くべきことに、VPAが全ざ瘡病変数を減少させるだけでなく、予想していなかった効果として、炎症性および非炎症性病変数も同程度に減少させることを示している。
VPAを用いた局所治療前および後の尋常性ざ瘡患者の写真 図1aは、12週間にわたるVPA(患者1、2および3)またはレチノイド系の比較薬剤イソトレチノイン(患者4および5)の局所治療前および後の、尋常性ざ瘡患者を撮影した代表的写真を示す。治療開始前(d1;1日目)に上記患者に見られた病変を、左側パネルに示す(病変領域を示す丸印を参照)。これらの病変に対して治療効果が現れていることが、右側パネルの治療終了後(d85;85日目)の写真からわかる。 全ざ瘡病変数のうち30%以上が減少するまでの時間 図1bは、VPA(A)で局所治療した患者のうち、5人が14日目に、3人が28日目に、2人が85日目に、初めて、治療した全ざ瘡病変数のうち30%以上が減少した。比較化合物イソトレチノイン(B)で治療した患者のうち、3人が14日目に、3人が28日目に、2人が85日目に、初めて、治療した全ざ瘡病変数のうち30%以上が減少した。 これらの結果から、驚くべきことに、VPAを用いた局所治療は尋常性ざ瘡治療において治療効果を有し、その効果はイソトレチノインで得られる治療効果に少なくとも匹敵し、それに加えて、加速的に、従ってより速く、臨床効果を生じ得ると考えられる。 VPAを用いた局所治療の臨床治療有効性データ 図2は、VPAを用いた尋常性ざ瘡患者の局所治療と、活性化合物イソトレチノイン含有標準薬を用いた局所治療とを比較した集計表を示す。表は、ざ瘡病変数の減少を、平均値および相対減少パーセントで示している。この表では、VPAで治療した患者およびイソトレチノインで治療した患者の、治療開始前のベースラインにおけるざ瘡病変数と治療後(85日目)のざ瘡病変数とを比較している。要約すると、単一活性化合物として用いたVPAの局所治療では、驚くことに、ざ瘡病変数の平均減少率が約57%を示し、一方、比較薬剤イソトレチノインの治療では、ざ瘡病変数の平均減少率が約54%であった。これらのデータは、単独療法として用いたVPAでの治療が、驚くべきことに、本適応症の市販標準薬である化合物イソトレチノインに匹敵する治療効果を有することを示している。 薬物動態:局所適用後の患者におけるVPA含量 図3は、1日約2,000mg(ミリグラム)(これはVPA約60mg(ミリグラム)を意味する)以下の3%VPA含有薬を局所適用して毎日治療した患者で測定した血清濃度レベルを示す。測定したVPAの血清レベルは、56日目に最大2.436μg/ml(マイクログラム/ミリリットル)、85日目に最大1.586μg/ml(マイクログラム/ミリリットル)に達した。 VPAを用いた局所治療の臨床局所耐容性 図4は、患者のコンプライアンスおよび安全性の指標として、患者による局所耐容性の評価を、イソトレチノインの局所適用における局所耐容性と比較した集計表を示す。これらの評価は、試験期間中の各来院時に行われるように計画されていた。VPAで局所治療した患者の全評価のうち61.9%が、このVPA治療の局所耐容性を「良好」とし、さらに23.8%が、「許容できる」であった。これに対して、レチノイド系のイソトレチノインの局所治療の局所耐容性に関する患者評価のうち、「良好」だったのは38.1%のみで、さらに、これらの患者評価の40.5%が「許容できる」であった。イソトレチノインの局所耐容性と比較して、VPAを用いた局所治療の局所耐容性の方がより高値にシフトしているのは、耐容性が「不良」とした患者評価のパーセントだけを見ても明らかであり、即ち、VPAで治療した患者の評価では、4.8%のみが「不良」であるのに対し、一方、イソトレチノインで治療した患者の評価では、11.9%が「不良」であった。注:図4におけるバー(例えば、||||)は、特定のレベルに対応する評価数を示し、括弧内の数値は、全評価に対するパーセントを示す。 VPAの局所治療によるざ瘡病変数の減少 図5は、VPAの局所治療が、炎症性および非炎症性ざ瘡病変の両方を減少させることを示す。

Claims (19)

  1. 軽度または中等度の尋常性ざ瘡の局所治療薬の製造のための、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤の使用。
  2. 前記治療薬が、非炎症性ざ瘡病変の治療に使用される、請求項1に記載の使用。
  3. 前記ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤が、バルプロ酸(VPA)ならびに、VPAの医薬上許容される誘導体およびプロドラッグからなる群より選択される、請求項1または2に記載の使用。
  4. 前記ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤が、ヒドロキサム酸誘導体、ベンズアミド、ピロキサミドおよびその誘導体、HDAC阻害活性を示す微生物代謝産物、脂肪酸およびその誘導体、環状テトラペプチド、ペプチド化合物、HDACクラスIII阻害剤およびSIRT阻害剤からなる群より選択される、請求項1または2に記載の使用。
  5. 前記ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤が、LAQ824、LBH589、トリコスタチンA、スベロイルアニリドヒドロキサム酸、CBHA、ピロキサミド、スクリプタイド、CI−994、CG−1521、クラミドシン、例えばA−161906などのビアリールヒドロキサメート、二環式アリール−N−ヒドロキシカルボキサミド、PXD−101、MGCD0103、TPX−HA類縁体(CHAP)、オキサムフラチン、トラポキシン、デプデシン、アピジシン、MS−275、ピバネクス(ピバロイルオキシメチルブチレート)、トラポキシンA、デプシペプチド(FK−228)、タセジナリン、MG2856からなる群より選択される、請求項4に記載の使用。
  6. 組成物が、前記ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤を1〜4重量%含有し、活性成分が皮膚科学的に許容される担体に懸濁されている、請求項1〜5のいずれかに記載の使用。
  7. 前記ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤を1日に1〜3回局所適用し、1日の累積用量が病変1cmにつき0.5mg〜200mgである、請求項1〜6のいずれかに記載の使用。
  8. 前記1日の累積用量が、病変1cmにつき2.0mg〜50mgである、請求項7に記載の使用。
  9. 局所適用される前記治療薬の合計量が1日当たり2,000mg以下であり、局所適用されるヒストン脱アセチル化酵素阻害剤の合計量が1日当たり60mg以下である、請求項1〜8のいずれかに記載の使用。
  10. 治療患者における前記ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤の血清濃度が、少なくとも56日間にわたる継続治療後に、12.0μg/ml未満である、請求項1〜9のいずれかに記載の使用。
  11. 前記血清濃度が4μg/ml未満である、請求項10に記載の使用。
  12. 治療によって、適用部位に紅斑または痛みを生じない、請求項1〜11のいずれかに記載の使用。
  13. 前記治療薬の局所耐容性が、イソトレチノインの局所耐容性より高い、請求項1〜12のいずれかに記載の使用。
  14. 前記治療に、他の活性剤を投与することをさらに含む、請求項1〜13のいずれかに記載の使用。
  15. 前記他の活性剤が、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤でない、請求項14に記載の使用。
  16. 前記他の活性剤が、抗生物質、レチノイド、ホルモン剤および局所殺菌剤からなる群より選択される、請求項15に記載の使用。
  17. 前記治療薬が、1つのヒストン脱アセチル化酵素阻害剤を、ざ瘡治療用の単一活性剤として含む、請求項1〜13のいずれかに記載の使用。
  18. (i)ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤である第一活性剤、および(ii)第一活性剤以外のヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、抗生物質、レチノイド、ホルモン剤および局所殺菌剤からなる群より選択される第二活性剤、を含む、局所医薬組成物。
  19. (i)ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤である第一活性剤、および(ii)第一活性剤以外のヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、抗生物質、レチノイド、ホルモン剤および局所殺菌剤からなる群より選択される第二活性剤、を含む、ざ瘡治療用の医薬キット。
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