JP2009529340A - 急性拒絶反応を評価する方法および組成物 - Google Patents

急性拒絶反応を評価する方法および組成物 Download PDF

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Abstract

本発明は、移植拒絶において同時にアップレギュレーションされている遺伝子の解析および同定に関するものである。遺伝子のこの同時アップレギュレーションは、移植拒絶を正確に検出するための分子シグネチャーを提供する。

Description

効力のある免疫調節剤および生物製剤を臨床適用しているにもかかわらず、急性拒絶反応は、依然としてよく見られる深刻な移植後合併症である。これはまた、過酷な進行性の経過をたどる、慢性拒絶反応に関する危険因子である。急性拒絶症状の発現は、成人および子供における慢性拒絶の後発的発症に関する最も強力な予測因子であるため、急性拒絶症状の発現を可能な限り早期に検出および除去する戦略は、これらの発現を緩和する助けとなる。しかしながら、現行のモニターおよび診断様式は、初期段階での急性拒絶の診断に不適であり得る。
例えば、急性腎臓同種移植拒絶反応は、現行では同種移植片の経皮的コア針生検後に診断される。ほとんどの場合、血清クレアチニンの増加後に侵襲的生検手順を実施する。現時点で血清クレアチニンレベルの増加は急性拒絶反応の最良の代用マーカーであるが、それらは拒絶反応の予測に関して鋭敏度および特異性を欠いている。
同種移植片拒絶反応の診断手順は、一般的に移植片機能不全の検出および単核白血球浸潤の存在に依存している。しかしながら、少しぐらいの細胞浸潤の存在は、決定的なものではない場合が多く、非拒絶移植片でも検出され得る。急性同種移植片拒絶反応の診断および追跡調査用の信頼できるツールを有することが助けになる。
したがって、鋭敏度が高く、拒絶反応の、特にその初期および/または前臨床状態での臨床診断で使用され得る遺伝子またはタンパク質に基づく試験の確定が要望される。
同時にアップレギュレーションされ、「分子シグネチャー」をもたらすことにより移植拒絶反応を正確に検出する遺伝子の解析については、本明細書で初めて報告されている。同種移植拒絶(例、腎臓同種移植拒絶)の早期診断および新たな予後マーカーは、免疫抑制を最小限にし、個人化するのに重要である。組織病理学的鑑別診断に加えて、遺伝子発現プロファイリングは、これらの分子シグネチャーの特定により病気の分類を著しく改善させる。
本明細書では、対象における移植臓器の状態をモニターする方法および組成物について記載する。本方法では、対象から採取した移植後試料における遺伝子発現の規模を測定し、マーカーの基準レベルに対するマーカー遺伝子の相対的発現を比較することにより、対象における移植拒絶反応を評価する。試料における選択された複数遺伝子の遺伝子発現のアップレギュレーション(すなわち、遺伝子発現の増加または減少)は、拒絶反応を示す。表3における遺伝子の組合せの発現増加は、移植拒絶反応を示す。別の例では、表3の遺伝子のいずれかのうちの1個、2個またはそれ以上の遺伝子の発現の増加は、移植拒絶反応を示す。
したがって、一つの特徴として、本発明は、対象から移植後試料を採取することによる、対象における移植臓器の拒絶反応の兆候の評価方法に関するものである。その方法では、表3に示した複数遺伝子の移植後試料における遺伝子発現のレベルを測定し、その少なくとも1個の遺伝子はNADPHオキシダーゼ経路と関連しているものとする。移植後試料における少なくとも1個の遺伝子の遺伝子発現の規模を、対照試料における同遺伝子の遺伝子発現の規模と比較する。上記対照は、健康な非移植腎臓または拒絶の兆候を全く示していない移植腎臓からの生検材料を含む。少なくとも1個の遺伝子のアップレギュレーションは、対象が移植拒絶反応を有する可能性があることを示すもので、それにより対象における移植臓器の拒絶反応の兆候を評価する。
本方法を用いることにより、急性移植拒絶反応、特に初期急性移植拒絶反応を評価することが可能である。表3における複数遺伝子のアップレギュレーションにより、対象が急性移植拒絶反応を有する可能性があることを示す分子シグネチャーが与えられる。試料における発現の規模は、定量的に測定され得る。少なくとも約2または約3倍の、対照試料の発現規模との差を示す試料における複数遺伝子の発現規模は、対象が急性移植拒絶反応を有する可能性があること示すものである。
本発明はまた、発現レベルが移植拒絶の指標である生物学的/生理学的機能による遺伝子クラスターの測定に関するものである。移植後試料において1つまたはそれ以上の遺伝子クラスターから選択される少なくとも2個の遺伝子の発現のアップレギュレーションを測定することによりこれを実施し、その際上記遺伝子のうち少なくとも2個の遺伝子発現がアップレギュレーションされていれば、急性拒絶反応を示しているものとみなす。本発明は、限定するわけではないが、造血系クラスター、Bリンパ球クラスター、Tリンパ球クラスター、リソソームクラスター、免疫プロテアソームクラスター、NADPHオキシダーゼ経路クラスター、IFNガンマ経路クラスター、アポトーシスクラスター、およびインテグリンおよび細胞外マトリックスクラスターを含むいくつかの遺伝子クラスターを提供する。本発明のこの特徴において、異なる患者からのアップレギュレーションされた遺伝子について好ましくは約75%のコンシステンシー、さらに好ましくはアップレギュレーションされた遺伝子について約80%のコンシステンシー、約85%のコンシステンシー、約90%、約95%のコンシステンシー、さらに好ましくは約96%、97%、98%、99%および100%のコンシステンシーが存在する。
したがって、別の特徴として、本発明は、対象から移植後試料を入手することによる対象における移植臓器の拒絶反応の兆候の評価方法に関するものである。遺伝子発現の規模を、造血関連遺伝子、Bリンパ球関連遺伝子、Tリンパ球関連遺伝子、リソソーム関連遺伝子、MHC関連遺伝子、免疫プロテアソーム関連遺伝子、NADPHオキシダーゼ経路関連遺伝子、IFNガンマ経路関連遺伝子、アポトーシス関連遺伝子、およびインテグリンおよび細胞外マトリックス関連遺伝子から成る群から選択される複数遺伝子の組合せについて移植後試料で測定する。移植後試料における遺伝子組合せの遺伝子発現規模を、対照試料における同遺伝子組合せの遺伝子発現規模と比較し得る。遺伝子組合せのアップレギュレーションは、対象が移植拒絶反応を有する可能性があること示すもので、それにより対象における移植臓器の拒絶反応の兆候を評価する。
造血関連遺伝子は、CD18(NM_000211)、CD44(NM_001001389;NM_000610)、CD44(NM_001001390;NM_001001391)、CD52(NM_001803)、CD53(NM_000560)、造血細胞特異的Lyn基質1(NM_005335)、造血細胞キナーゼ(NM_002110)から成る群から選択され得る。
Bリンパ球関連遺伝子は、IgM(BC089412)、IgM重鎖(XM_522973)、CD48抗原(NM_001778)、仮説的タンパク質MGC27165(IgA)(S55735)、PKCベータ1類似体(BM684568)、プロテインキナーゼCベータ1(NM_002738)、およびプロテインキナーゼCベータ1(X06318)から成る群から選択され得る。
Tリンパ球関連遺伝子は、CD8抗原アルファポリペプチド(NM_171827;NM_001768)、インターロイキン10受容体アルファ(NM_001558)、リンパ球細胞質ゾル(cystolic)タンパク質1(L−プラスチン)(NM_002298)、リンパ球特異的タンパク質チロシンキナーゼ(NM_005356)、プロテインキナーゼCベータ1(X06318)、プロテインキナーゼCベータ1(NM_002738)、Rac2(NM_002872)、Rho GDP解離阻害剤(GDI)ベータ(NM_001175)、PKCベータ1類似体(BM684568)、SLP76(NM_005565)、Src様アダプター(NM_006748)、およびSTAT1(NM_139266)から成る群から選択され得る。
リソソーム関連遺伝子は、リソソーム関連複数回膜貫通型タンパク質−5(NM_006762)、リゾチーム(NM_000239)、およびプレクストリン(NM_002664)から成る群から選択され得る。
MHC関連遺伝子は、MHCクラスIB(NM_005514)、MHCクラスIC(NM_002117)、MHCクラスIIDMベータ(NM_002118)、MHCクラスIIDPベータ1(NM_002121)、MHCクラスIIDQベータ1(NM_002123)、MHCクラスIIDRアルファ(NM_019111)、MHCクラスIIDRベータ3(NM_022555;NM_021983)、MHCクラスIIDRベータ3(NM_002124、NM_002125)、およびMHCクラスIIDMアルファ(NM_006120)から成る群から選択され得る。
免疫プロテアソーム関連遺伝子は、プロテアソームサブユニットベータ8型(NM_004159;NM_148919)、プロテアソームサブユニットベータ9型(NM_002800;NM_148954)、プロテアソームサブユニットベータ10型(NM_002801)、TAP1(NM_000593)、およびユビキチンD(NM_006398)から成る群から選択され得る。
NADPHオキシダーゼ経路関連遺伝子は、シトクロムb-245ベータポリペプチド(NM_000397)、プレクストリン(NM_002664)、rac2(NM_002872)およびRho GDP解離阻害剤(GDI)ベータ(NM_001175)から成る群から選択され得る。
IFNガンマ経路関連遺伝子は、ケモカインリガンド5(NM_002985)、ケモカインリガンド10(NM_001565)、ケモカインリガンド9(NM_002416)、GBP1(NM_002053)、GBP2(AL832451)、グランザイムA(NM_006144)、インターフェロン刺激遺伝子20kDa(ISG20)(NM_002201)、プロテアソームサブユニットベータ10型(202659)、プロテアソームサブユニットベータ8型(NM_004159;NM_148919)、プロテアソームサブユニットベータ9型(NM_002800;NM_148954)、STAT1(NM_139266)、TAP1(NM_000593)、およびユビキチンD(NM_006398)から成る群から選択され得る。
アポトーシス関連遺伝子は、カスパーゼ1(NM_001223)、カスパーゼ1(NM_033292)、カスパーゼ1(NM_033293)、カスパーゼ1(NM_033294、NM_033295)、CD27(NM_001242)、グランザイムA(NM_006144)、プロテオグリカン1(NM_002727)、TRAF3−相互作用性JNK活性化モジュレーター類似体(NM_025228)、およびTRAF3−相互作用性JNK活性化モジュレーター(XM_514166)から成る群から選択され得る。
インテグリンおよび細胞外マトリックス関連遺伝子は、CD18(NM_000211)、CD44(NM_001001389;NM_000610)、CD44(NM_001001390;NM_001001391)、硫酸コンドロイチンプロテオグリカン2(NM_004385)、グリア成熟因子ガンマ(NM_004877)、MMP7(NM_002423)、Rac2(NM_002872)、Rho GDP解離阻害剤(GDI)ベータ(NM_001175)、runt関連転写因子3(NM_004350)、テナシンC(NM_002160)、テナシンC(AL162425)、およびTIMP1(NM_003254)から成る群から選択され得る。
したがって、本明細書記載の研究の成果として、生検材料の組織、尿、末梢血単核細胞および他の体液においてマーカー遺伝子発現を正確に定量し、これらの遺伝子の発現規模と同種移植片の拒絶反応との相関関係を明らかにする方法が利用可能となった。
別の特徴として、本発明は、拒絶反応を起こしていないことが判明している移植対象から採取した試料における複数遺伝子の組合せの遺伝子発現の規模を基準値とすることによる、対象における移植拒絶のモニター方法に関するものである。複数遺伝子の組合せに対応する遺伝子発現の規模を、移植後対象から採取した試料で検出する。第一の値を第二の値と比較し、第一の値が第二の値より低いかまたは高い場合、移植対象が拒絶反応発症の危険に直面しているものと予測する方法であり、上記の複数遺伝子は表3に示した通りである。
別の特徴として、本発明は、移植当日にドナー対象から採取した試料からの複数遺伝子の組合せに対応する遺伝子発現の規模を検出する、対象における移植拒絶反応のモニター方法に関するものである。複数遺伝子に対応する遺伝子発現の規模を、移植後のレシピエント対象から採取した試料から検出する。第一の値を第二の値と比較し、第一の値が第二の値より低いかまたは高い場合、レシピエント対象が拒絶反応発症の危険に直面しているものと予測する方法であり、上記の複数遺伝子は表3に示した通りである。
別の特徴として、本発明は、拒絶阻害剤の投与前に移植対象から投与前試料を採取することによる、移植拒絶の危険に直面した対象におけるそのモニター方法に関するものである。投与前試料から複数遺伝子の遺伝子発現規模を検出する。一つまたはそれ以上の投与後試料を移植対象から入手し、複数遺伝子の遺伝子発現規模を、投与後の一試料または複数試料において検出する。投与前試料における複数遺伝子の遺伝子発現規模を、投与後の一試料または複数試料における遺伝子発現規模と比較し、その結果に応じて作用物質を調節する方法であり、上記の複数遺伝子は表3に示した通りである。
別の特徴として、本発明は、処置を必要とする対象における移植拒絶の予防、阻止、縮小または処置方法であって、表3に示した1個またはそれ以上の遺伝子またはそれらの遺伝子によりコード化される遺伝子産物の合成、発現または活性をモジュレーションする化合物を対象に投与することを含み、その結果拒絶反応の少なくとも一つの兆候が改善される方法に関するものである。
別の特徴として、本発明は、表3に示した1個またはそれ以上の遺伝子または遺伝子産物の遺伝子発現レベルをモニターすることを含む、移植拒絶の予防、阻止、縮小または処置に使用する作用物質の同定方法に関するものである。遺伝子発現の規模は、遺伝子によりコード化されるタンパク質の存在を検出することにより、例えばタンパク質に特異的に結合する試薬により評価され得る。
表3に列挙した複数遺伝子またはその発現産物の組合せの検出が、移植拒絶に関するバイオマーカーとして使用され得る。また、表3に示した1個またはそれ以上の遺伝子またはその発現産物の合成、発現または(of)活性をモジュレーションする化合物は、対象における移植拒絶の予防または処置用の医薬の製造に使用され得る。
別の特徴として、本発明は、拒絶反応を起こしていないことが判明している移植対象の試料における複数遺伝子の組合せに対応する遺伝子発現の規模を基準値とすることによる、対象における移植拒絶反応のモニター方法に関するものである。複数遺伝子の組合せに対応する遺伝子発現の規模を、移植後対象から入手した試料における遺伝子発現の規模と比較し得る。第一の値を第二の値と比較し得、第一の値が第二の値より低いかまたは高い場合、移植対象が拒絶反応発症の危険に直面しているものと予測する方法であり、上記複数遺伝子は表3に示した通りである。
図面の簡単な説明
図1は、メタアナリシスで使用される4つの独立したAffymetrixデータセットからの遺伝子の遺伝子発現プロフィールを示す;
図2は、様々なデータセットのオーバーラップしている結果を示すグラフである;
図3は、データセットE−NHPのクラスタリングについての階層図である;
図4は、データセットBのクラスタリングについての階層図である;
図5は、データセットCのクラスタリングについての階層図である;
図6は、データセットAのクラスタリングについての階層図である;さらに
図7は、データセットDのクラスタリングについての階層図である。
発明の開示
本発明は、一つには、特定の組合せの遺伝子が急性拒絶反応においてアップレギュレーションされているという発見に基づいている。腎臓同種移植拒絶の早期診断および新たな予後マーカーは、免疫抑制を最小限にし、個人化するのに重要である。組織病理学的鑑別診断に加えて、遺伝子発現プロファイリングは、「分子シグネチャー」の特定により病気の分類を著しく改善させる。以前のいくつかの研究では、トランスクリプトーム技法を効果的に適用することにより、異なる種類の腎臓移植を区別してきた。しかしながら、マイクロアレイプラットフォームおよび様々なデータ分析法は不均質であるため、急性拒絶反応の確固たるシグネチャーの同定は困難になっている。この問題に取り組むため、異なるマイクロアレイデータセットからの多くの遺伝子発現シグネチャーの共通部分を同定する比較メタアナリシスを実施した。表3に開示した遺伝子組合せのアップレギュレーション間における強力な関連性により、移植拒絶、特に急性移植拒絶に関する「分子シグネチャー」がもたらされる。
本発明をさらに理解しやすくするため、若干の用語および語句を以下に定義する:
本明細書で使用している「移植」の語は、一対象から「移植体」または「移植片」と呼ばれる細胞、組織または臓器を取り出し、それまたはそれらを(通常は)異なる対象に植え付ける過程をいう。移植体を提供する対象を「ドナー」と呼び、移植体を受け入れる対象を「レシピエント」という。同種の遺伝的に異なる2対象間で臓器または移植片の移植を行うことを、「同種移植」と呼ぶ。種が異なる対象間で移植体の移植を行うことを「異種移植」と呼ぶ。
本明細書で使用している「移植拒絶(反応)」の語は、レシピエントが発する急性免疫応答に起因し、臓器機能不全の非免疫学的原因とは関係の無い臓器の機能的および構造的悪化として定義される。
本明細書で使用している「急性拒絶(反応)」の語は、移植後の最初の5〜60日後に移植臓器が発する拒絶反応をいう。一般的に、これは細胞性免疫の傷害が現れたものである。遅延型過敏症および細胞傷害性の両機構が関与すると考えられる。免疫性の傷害は、HLA、およびおそらくは管系上皮および血管内皮が発現する他の細胞特異的抗原に対して指向される。
本明細書で使用している「対象」の語は、免疫応答が発せられる生物体をいう。対象の語は、ヒト、ヒト以外の霊長類、例えばチンパンジーおよび他の類人猿および尾の長いサル種、家畜、例えばウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギおよびウマ、飼いならされた哺乳類、例えばイヌおよびネコ、マウス、ラットおよびモルモットなどのげっ歯動物を含む実験動物などを含むが、これらに限定するわけではない。この語は、特定の年齢または性別を示さない。したがって、成体および新生児対象、および胎児が、雄性であろうと雌性であろうと包含されるものとする。
「遺伝子」は、転写および翻訳された後特定ポリペプチドまたはタンパク質をコード化し得る少なくとも1個の読み枠を含むポリヌクレオチドを含む。本明細書記載のポリヌクレオチド配列のいずれかを用いることにより、それらが会合している遺伝子の大きなフラグメントまたは完全長コーディング配列が同定され得る。大きなフラグメント配列の単離方法は、当業者には公知であり、それらのうちのいくつかを本明細書に記載している。
「遺伝子産物」は、遺伝子が転写および翻訳されたときに生成されるアミノ酸(例、ペプチドまたはポリペプチド)を含む。
本明細書で使用している「発現の規模」の語は、マーカー遺伝子転写物を定量し、この量を構成的に発現された遺伝子の転写物の量と比較する場合に用いる。「発現の規模」の語は、「遺伝子発現の正規化または標準化された量」をいう。例えば、細胞における全遺伝子の全体的発現は変動する(すなわち、一定していない)。増加したmRNA転写物の検出が有意であるか否かを正確に評価するため、遺伝子発現を「正規化」することにより、試料間で発現レベルを正確に比較することが好ましい、すなわちそれは遺伝子発現を比較する場合の基準レベルとなる。一具体例では、発現された遺伝子は、NADPHオキシダーゼ経路と関連している。競合的逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)を用いて遺伝子転写物の定量を実施し、発現された遺伝子の遺伝子発現量に対する各マーカー遺伝子の遺伝子発現の量の比を計算することにより、遺伝子発現の規模を測定した。
遺伝子に適用されている場合の「示差的に発現された」の語は、遺伝子または遺伝子によりコード化されたタンパク質産物から転写されたmRNAの有意差を示す産生を含む。示差的に発現された遺伝子は、正常または対照細胞の発現レベルと比べて過剰発現または過少発現され得る。一つの特徴として、これは、対照試料で検出された発現レベルよりも少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍または少なくとも10倍高いか低い差異を含む。好ましい実施態様では、発現規模は対照試料より高い。また、「示差的に発現された」の語は、対照細胞で検出できない場合に発現されるかまたは対照細胞で発現される場合に発現されない細胞または組織でのヌクレオチド配列についても包含する。
本明細書で使用している「試料」の語は、生検材料から得られる細胞をいう。「試料」の語はまた、流体試料、例えば、限定するわけではないが、気管支肺胞洗浄液の試料、胆汁、胸膜液または腹膜液の試料、または正常または異常に機能している同種移植片により分泌または排泄される他の流体、または同種移植片を通して、または同種移植片の解剖学的近位での滲出または濾出から生じる流体、または同種移植片との液体連通における流体から得られる細胞をいう。また、流体試験試料は、血液(末梢血を含む)、リンパ液、汗、腹膜液、胸膜液、気管支肺胞洗浄液、心膜液、胃腸液、胆汁、尿、糞便、組織液または腫脹液、関節液、脳脊髄液、または同種移植片の近位にある解剖学的領域から集められるか、または同種移植片との流体連通における(流体)導管から集められる他の特定または不特定の流体を含め、本質的にいかなる体液からでも入手され得る。「移植後流体試験試料」は、移植が行われた後に対象から得られる試料をいう。
また、一連の試料を対象から採取し、本明細書記載の要領で免疫活性化遺伝子マーカーの定量を実施し、拒絶反応の経過を一定期間にわたって追跡し得る。この場合、例えば、免疫活性化マーカー遺伝子の遺伝子発現の基準規模は、移植後採取した移植後試料における遺伝子発現規模である。例えば、最初の一試料または複数試料を、非拒絶期間内、例えば移植の1週間以内に採取し、これらの試料におけるマーカー遺伝子の発現規模を、1週間後に採取した試料における遺伝子の発現規模と比較し得る。一実施態様では、試料を移植後6、12および24週間目に採取する。
本明細書で使用している「生検材料」の語は、検診用に生きている患者から組織を取り出すことにより得られる標本をいう。この語は、吸引生検、ブラシ生検、絨毛採取生検、内視鏡生検、切除生検、針生検(皮膚または臓器の外表面を穿刺して、検査すべき深層組織へ到達させる適切な針またはトロカールを通した吸引による摘出により得られる標本)、直視下生検、パンチ生検(トレフィン)、薄片生検、擦過生検、および楔状生検を包含する。一実施態様では、穿刺吸引生検を使用する。別の実施態様では、ミニコア針生検を使用する。慣用的経皮コア針生検材料も使用され得る。
「アップレギュレーション」または「アップレギュレーションされた」の語については、本明細書では互換的に使用しており、標的遺伝子または標的タンパク質の量の増加または上昇をいう。「アップレギュレーション」または「アップレギュレーションされた」の語はまた、標的遺伝子または標的タンパク質を伴うプロセスまたはシグナル伝達カスケードの増加または上昇をいう。
本明細書で使用している「遺伝子クラスター」または「クラスター」の語は、発現パターンに関連性が見られる一群の遺伝子をいう。言い換えれば、遺伝子のクラスターは、例えば移植片非拒絶対移植片拒絶といった異なる条件の場合でも、全般的に類似したレギュレーションを示す一群の遺伝子である。一クラスターにおける各遺伝子に関する発現プロフィールと、そのクラスターにおける他の少なくとも1個の遺伝子の発現プロフィールとの相関関係を明らかにするべきである。相関関係は、様々な統計的方法を用いて評価され得る。必ずではないが、多くの場合、一遺伝子クラスターの構成員は、類似した遺伝子発現パターンに加えて類似した生物学的機能を有する。
「造血遺伝子クラスター」は、造血に関与する細胞の生物学的/生理学的機能にしたがって分類された遺伝子のクラスターであり、例としては、CD18、CD44、CD44、CD52、CD53、造血細胞特異的Lyn基質1、造血細胞キナーゼおよび類似CD52がある。この遺伝子クラスターの構成員は、これらの遺伝子に関する発現パターンと実質的な関連性を示す拒絶対非拒絶移植試料における発現パターンを有する。
「Bリンパ球遺伝子クラスター」は、Bリンパ球細胞の生物学的/生理学的機能にしたがって分類された遺伝子のクラスターであり、例としては、IgM、IgM重鎖、CD48抗原、仮説的タンパク質MGC27165(IgA)、PKCベータ1類似体、プロテインキナーゼCベータ1、およびプロテインキナーゼCベータ1がある。この遺伝子クラスターの構成員は、これらの遺伝子に関する発現パターンと実質的な関連性を示す拒絶対非拒絶移植試料における発現パターンを有する。
「Tリンパ球遺伝子クラスター」は、T細胞の生物学的/生理学的機能にしたがって分類された遺伝子のクラスターであり、例としては、CD8抗原アルファポリペプチド、インターロイキン10受容体アルファ、リンパ球細胞質ゾル(cystolic)タンパク質1(L−プラスチン)、リンパ球特異的タンパク質チロシンキナーゼ、リンパ球特異的タンパク質チロシンキナーゼ、プロテインキナーゼCベータ1、プロテインキナーゼCベータ1、Rac2、Rho GDP解離阻害剤(GDI)ベータ、PKCベータ1類似体、SLP76、Src様アダプター、Src様アダプターおよびSTAT1がある。この遺伝子クラスターの構成員は、これらの遺伝子に関する発現パターンと実質的な関連性を示す拒絶対非拒絶移植試料での発現パターンを有する。
「リソソーム遺伝子クラスター」は、リソソーム細胞の生物学的/生理学的機能にしたがって分類された遺伝子のクラスターであり、例としては、リソソーム関連複数回膜貫通型タンパク質−5、リソソーム関連複数回膜貫通型タンパク質−5、リゾチーム、およびプレクストリンがある。この遺伝子クラスターの構成員は、これらの遺伝子に関する発現パターンと実質的な関連性を示す拒絶対非拒絶移植試料における発現パターンを有する。
「MHC遺伝子クラスター」は、MHC細胞の生物学的/生理学的機能にしたがって分類された遺伝子のクラスターであり、例としては、MHCクラスIB、MHCクラスIC、MHCクラスIIDMベータ、MHCクラスIIDPベータ1、MHCクラスIIDQベータ1、MHCクラスIIDQベータ1、MHCクラスIIDQベータ2、MHCクラスIIDRアルファ、MHCクラスIIDRアルファ、MHCクラスIIDRベータ3、MHCクラスIIDRベータ3、およびMHCクラスIIDMアルファがある。MHCこの遺伝子クラスターの構成員は、これらの遺伝子に関する発現パターンと実質的な関連性を示す拒絶対非拒絶移植試料における発現パターンを有する。
「免疫プロテアソーム遺伝子クラスター」は、免疫プロテアソーム細胞の生物学的/生理学的機能にしたがって分類された遺伝子のクラスターであり、例としては、プロテアソームサブユニットベータ8型、プロテアソームサブユニットベータ9型、プロテアソームサブユニットベータ10型、TAP1、およびユビキチンDがある。この遺伝子クラスターの構成員は、これらの遺伝子に関する発現パターンと実質的な関連性を示す拒絶対非拒絶移植試料における発現パターンを有する。
「NADPHオキシダーゼ経路遺伝子クラスター」は、NADPHオキシダーゼ経路に関与する細胞の生物学的/生理学的機能にしたがって分類された遺伝子のクラスターであり、例としては、シトクロムb245ベータポリペプチド、プレクストリン、rac2およびRho GDP解離阻害剤(GDI)ベータがある。この遺伝子クラスターの構成員は、これらの遺伝子に関する発現パターンと実質的な関連性を示す拒絶対非拒絶移植試料における発現パターンを有する。
「IFNガンマ経路遺伝子クラスター」は、IFNガンマ経路に関与する細胞の生物学的/生理学的機能にしたがって分類された遺伝子のクラスターであり、例としては、ケモカインリガンド5、ケモカインリガンド5、ケモカインリガンド10、ケモカインリガンド9、GBP1、GBP1、GBP2、グランザイムA、インターフェロン刺激遺伝子20kDa(ISG20)、ISG20類似体、プロテアソームサブユニットベータ10型、プロテアソームサブユニットベータ8型、プロテアソームサブユニットベータ9型、STAT1、TAP1、およびユビキチンDがある。この遺伝子クラスターの構成員は、これらの遺伝子に関する発現パターンと実質的な関連性を示す拒絶対非拒絶移植試料における発現パターンを有する。
「アポトーシス遺伝子クラスター」は、アポトーシスに関与する細胞の生物学的/生理学的機能にしたがって分類された遺伝子のクラスターであり、例としては、カスパーゼ1、CD27、グランザイムA、プロテオグリカン1、TRAF3−相互作用性JNK活性化モジュレーター類似体、およびTRAF3−相互作用性JNK活性化モジュレーターがある。この遺伝子クラスターの構成員は、これらの遺伝子に関する発現パターンと実質的な関連性を示す拒絶対非拒絶移植試料における発現パターンを有する。
「インテグリンおよび細胞外マトリックス遺伝子クラスター」は、インテグリンおよび細胞外マトリックスに関連した細胞の生物学的/生理学的機能にしたがって分類された遺伝子のクラスターであり、例としては、CD18、CD44、硫酸コンドロイチンプロテオグリカン2、グリア成熟因子ガンマ、MMP7、Rac2、Rho GDP解離阻害剤(GDI)ベータ、runt関連転写因子3、runt関連転写因子3、テナシンC、テナシンC、およびTIMP1がある。この遺伝子クラスターの構成員は、これらの遺伝子に関する発現パターンと実質的な関連性を示す拒絶対非拒絶移植試料における発現パターンを有する。
本明細書で使用している「プローブセット」は、2個またはそれ以上の遺伝子を検出するのに使用され得る核酸の一群をいう。検出は、例えば、PCRおよびRT−PCRでの増幅、またはマイクロアレイでのハイブリダイゼーション、または1本または2本鎖核酸の選択的酵素分解に基づく検定法における選択的破壊および保護を通して行われ得る。プローブセットにおけるプローブは、1つまたはそれ以上の蛍光性、放射性または他の検出可能な部分(酵素を含む)により標識され得る。目的遺伝子を選択的に検出するのに十分な大きさのプローブであれば、いかなるサイズのプローブでもよい。プローブセットは、マルチプレックスPCRの場合に典型的であるように溶解状態であり得るか、またはプローブセットは、アレイまたはマイクロアレイの場合のように固体表面に付着され得る。PNAなどの化合物が、核酸の代わりに遺伝子とのハイブリダイゼーションに使用され得ることは公知である。さらに、プローブは、希少または非天然核酸、例えばイノシンを含み得る。
「ポリヌクレオチド」および「オリゴヌクレオチド」の語は互換的に使用され、あらゆる長さのヌクレオチドのポリマー形態、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド、またはその類似体を包含する。ポリヌクレオチドは、三次元構造を有し得、既知または未知の機能を遂行し得る。以下のものはポリヌクレオチドの非限定的な例である:遺伝子または遺伝子フラグメント、エキソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、転移RNA、リボソームRNA、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分枝状ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列を有する単離DNA、任意の配列を有する単離RNA、核酸プローブ、およびプライマー。ポリヌクレオチドは、修飾ヌクレオチド、例えばメチル化ヌクレオチドおよびヌクレオチド類似体を含み得る。存在するとすれば、ヌクレオチド構造に加えられる修飾は、ポリマー集合の前または後に付与され得る。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド成分により中断され得る。ポリヌクレオチドは、さらに重合後に、例えば標識成分で標識することにより修飾され得る。またこの語は、2本および1本鎖分子の両方を含む。特記または要求されなければ、ポリヌクレオチドである本発明の実施態様は全て、2本鎖形態および2本鎖形態を構成することが既知または予測される2本の相補的1本鎖の各々を共に包含する。
ポリヌクレオチドは、4種のヌクレオチド塩基の特定配列により構成される:アデニン(A);シトシン(C);グアニン(G);チミン(T)、およびポリヌクレオチドがRNAである場合はグアニンの代わりにウラシル(U)。この「ポリヌクレオチド配列」の語は、ポリヌクレオチド分子のアルファベット表示である。このアルファベット表示を、中央処理装置を有するコンピューターにおけるデータベースに入力し、バイオインフォマティクス適用、例えば機能ゲノム学および相同性検索に使用し得る。
「cDNA」の語は、相補的DNA、すなわち酵素、例えば逆転写酵素でcDNAに合成される細胞または生物体に存在するmRNA分子を含む。「cDNAライブラリー」は、酵素、すなわち逆転写酵素によりcDNA分子に変換され、次いで「ベクター」(外来DNAの付加後に複製し続け得る他のDNA分子)に挿入される、細胞または生物体に存在するmRNA分子の集合体を含む。ライブラリーに関するベクターの例には、バクテリオファージ、細菌に感染するウイルス(例、ラムダファージ)がある。また、ライブラリーを、興味の対象である特異的cDNA(すなわちmRNAも)について探査し得る。
「プライマー」は、標的とハイブリダイゼーションした後、標的に相補的なポリヌクレオチドの重合を促進することにより興味の対象である試料に存在する標的または「鋳型」に結合する遊離3’−OH基を一般的に伴う短いポリヌクレオチドを含む。「ポリメラーゼ連鎖反応」(「PCR」)は、「上流」および「下流」プライマーから成る「プライマー対」または「プライマーのセット」、および重合の触媒、例えばDNAポリメラーゼ、および典型的には熱安定性ポリメラーゼ酵素を用いて標的ポリヌクレオチドから複製コピーを作成する反応である。PCR方法は当業界では公知であり、例えば MacPherson et al.、IRL Press、Oxford University Press(1991)に示されている。PCRまたは遺伝子クローニングなどのポリヌクレオチドの複製コピーの生成過程は全て、本明細書ではまとめて「複製」と称す。プライマーはまた、ハイブリダイゼーション反応、例えばサザンまたはノーザン・ブロット分析におけるプローブとして使用され得る(例、Sambrook,J.、Fritsh,E.F.および Maniatis,T.Molecular Cloning: A Laboratory Manual.第2版、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor Laboratory Press、コールドスプリングハーバー、ニューヨーク、1989参照)。
「ポリペプチド」の語は、2個またはそれ以上のサブユニットのアミノ酸、アミノ酸類似体、またはペプチドミメティクスの化合物を含む。サブユニットは、ペプチド結合により結合され得る。別の具体例では、サブユニットは、他の結合、例えばエステル、エーテルなどにより結合され得る。本明細書で使用している「アミノ酸」の語は、天然および/または非天然または合成アミノ酸、例えばグリシンおよびDまたはL光学異性体の両方、およびアミノ酸類似体およびペプチドミメティクスを包含する。3個またはそれ以上のアミノ酸のペプチドを一般にオリゴペプチドと称す。3個またはそれ以上のアミノ酸より大きいペプチド鎖をポリペプチドまたはタンパク質と称す。
「ハイブリダイゼーション」の語は、1個またはそれ以上のポリヌクレオチドが反応することにより、ヌクレオチド残基の塩基間における水素結合を介して安定化される複合体を形成する反応を含む。水素結合は、ワトソン−クリック塩基対合、フーグスティーン結合、または他の配列特異的な形で起こり得る。複合体は、二重らせん構造を形成する2本鎖、多重鎖複合体を形成する3本またはそれより多い鎖、単自己ハイブリダイゼーション鎖、またはこれらの組合せを含み得る。ハイブリダイゼーション反応は、例えばPCR反応の開始、またはリボザイムによるポリヌクレオチドの酵素的開裂などの広範な過程における一段階を構成し得る。
ハイブリダイゼーション反応は、異なる「ストリンジェンシー」条件下で実施され得る。ハイブリダイゼーション反応のストリンジェンシーは、任意の2個の核酸分子が互いにハイブリダイゼーションする際の難度を含む。ストリンジェント条件下において、互いに少なくとも60%、65%、70%、75%同一である核酸分子は互いにハイブリダイゼーションするが、同一性パーセントが低い分子の場合ハイブリダイゼーションは起こり得ない。高ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の好ましい非限定な例は、約45℃で6倍塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)でのハイブリダイゼーション、次いで、50℃、好ましくは55℃、さらに好ましくは60℃、さらに好ましくは65℃での0.2倍SSC、0.1%SDS中での1回またはそれ以上の洗浄である。
ハイブリダイゼーションが2本の1本鎖ポリヌクレオチド間において逆平行立体配置で起こる場合、この反応は「アニーリング」と呼ばれ、それらのポリヌクレオチドは「相補的」として記載される。ハイブリダイゼーションが第一ポリヌクレオチドの鎖の一方と第2ポリヌクレオチドの鎖の一方の間で起こり得る場合、2本鎖ポリヌクレオチドは、もう1つのポリヌクレオチドと「相補的」または「相同的」であり得る。「相補性」または「相同性」(一ポリヌクレオチドがもう一つのポリヌクレオチドと相補的である度合)は、一般的に認められている塩基対合規則にしたがって、互いに水素結合すると予測される向かい合わせの鎖における塩基の比率に関して定量可能である。
本明細書で使用している「マーカー」の語は、臓器拒絶反応に関する危険性がある対象に存在するかまたは量または活性が増強されているポリヌクレオチドまたはポリペプチド分子を含む。マーカーの量または活性における相対変化は、拒絶反応の発生または発生の危険性と相関関係をなす。
本明細書で使用している「マーカーのパネル」の語は、一群のマーカーを含み、その各構成員の量または活性は臓器拒絶反応の発生または発生の危険性と相関関係を示す。ある例では、マーカーのパネルは、臓器拒絶反応についての危険性がある対象において量または活性が増強されているマーカーのみを含み得る。
1.移植拒絶反応
本発明は、拒絶反応中、特に初期急性拒絶反応中にアップレギュレーションされる遺伝子の同定に関するものである。非常に統計的に有意な相関関係が、遺伝子のある組合せの発現と急性拒絶反応の間で見出されていることから、移植拒絶反応(例、急性腎臓拒絶、特に初期急性腎臓拒絶反応)に関する「分子シグネチャー」が得られた。これらの遺伝子の共発現によって、拒絶反応が起こると思われる臓器、これらの遺伝子およびそれらの発現産物は、移植拒絶反応の危険性がある患者の管理、診断および処置に使用され得る。
したがって、一つの特徴として、本発明では、移植拒絶反応、特に移植臓器の急性拒絶反応を知らせるための表3に示した遺伝子の組合せを含む認識シグネチャーを使用する。
特に移植後1カ月以内における初期移植片生着不全に関する一つの最も一般的な原因は、同種移植片の免疫学的拒絶である。拒絶の好ましくない影響は、(a)免疫抑制の維持に付加された、高用量抗拒絶療法の使用が、移植に関連した病的状態および死亡の主たる原因となっている、(b)拒絶移植片から生じる「高頻度の(public)」HLA特異性に対する免疫化により、この患者集団に対する再移植が困難になる、および(c)移植が失敗した免疫化レシピエントを、移植を待つ患者のプールに戻すことにより、長年続いている臓器不足の問題を助長するという事実により拡大される。
抗原誘発によるT細胞活性化およびそれに続く活性化CD4+およびCD8+T細胞クローン、マクロファージ、およびナチュラルキラー(NK)細胞の移植片への浸潤は、急性同種移植拒絶の重大な事象である。しかしながら、移植片へのT細胞侵入を示す生検結果では、確実な診断に十分ではない。例えば、高T細胞間質性腎炎は、急性腎臓同種移植拒絶の顕著な特徴であるが、処置に応答した臨床的拒絶症状の発現としては、多くの場合限られた細胞性浸潤を示すに過ぎず、良好に機能している腎臓同種移植片で得られるサーベイランス生検材料でも同様の浸潤が観察される(Rush et al.、Transplantation 57:208−211(1994))(Rush et al.、Transplantation 59:511−514(1994))。
移植片機能不全について他の原因からの拒絶との診断の区別および効果的な治療法の設定は、(a)拒絶の診断に利用可能な現行手段の最善のものである、移植片の経皮的コア針生検は、通常、移植片機能不全および移植片障害(場合によっては不可逆的)が既に存在するという「事実」があって初めて実施される、(b)移植片の形態学的分析により、所与の拒絶症状の発現を後退させる可能性に関する限られた手掛かり、および再発(「リバウンド」)の尤度に関する僅かな手掛かりが得られるに過ぎない、および(c)治療戦略の設計のための前提条件である、拒絶現象の機械論的根拠は、拒絶の形態学的特徴を含む現行の診断指数により十分に定義されているわけではないため、さらに複雑になっている。
例えば、腎臓同種移植拒絶の診断は、通常移植片機能不全の発現(例、血清クレアチニン濃度の増加)および単核細胞浸潤も示している移植片領域における移植片損傷の形態学的証拠により下される。しかしながら、拒絶経過の指標として腎機能の異常を用いることについては、2つ警告すべき点がある。第1に、死体の腎臓移植片の多くは、摘出および生体外保存処置により被った損傷故に移植直後の期間は急性(可逆性)腎不全に陥っていることから、腎機能の衰退が臨床的手掛かりとして必ずしも利用可能とはいえない。第2に、腎臓機能が直接的に損なわれていない場合でさえ、非免疫学的原因、例えば免疫抑制療法そのものにより、移植片機能不全が発生することもあり得る。
例えば、CsAの血漿/血液濃度に基づくだけでは容易に同定されない合併症であるシクロスポリン(CsA)腎毒性は、よく見られる合併症である。拒絶反応に対しては免疫抑制剤用量の段階的上昇、そして腎毒性に対してはCsA用量の低減化というように治療戦略が全く反対であるため、CsA腎毒性からの拒絶を区別する臨床的重要性はあまり強調され得ない。
本発明は、一つには、多くの異なる遺伝子および/またはコード化されたタンパク質の発現の増加または減少が、ある種の移植片拒絶状態に随伴しているという観察に基づいている。本明細書記載のデータの結果として、本方法は、同種移植生検材料が緩やかな細胞浸潤しか示していない場合でさえ、急性および慢性拒絶の迅速で信頼できる診断に利用可能である。同時にアップレギュレーションされ、分子シグネチャーを提供することにより移植拒絶を正確に検出し得る遺伝子の分析は、本明細書で初めて記載されたことである。
さらに、本発明は、一つには、遺伝子が、機能的に関連性を示すことが多く、ある種の環境下では実質的に関連した発現プロフィールを有する遺伝子クラスター−遺伝子群として発現されるという観察に基づいている。したがって、本発明は、その構成員の発現が移植片拒絶と相関関係を示す遺伝子のクラスターを提供する。さらに本発明は、適切なマーカー遺伝子の発現を測定する古典的分子方法および大規模方法を提供する。
本明細書記載の方法は、急性移植拒絶、好ましくは初期急性移植拒絶を検出するのに特に有用である。最も典型的には、対象(すなわち、移植体のレシピエント)は哺乳類、例えばヒトである。移植臓器は、移植可能な臓器または組織であればよく、例えば腎臓、心臓、肺、肝臓、膵臓、骨、骨髄、腸、神経、幹細胞(または幹細胞由来細胞)、組織成分および組織複合物が含まれ得る。好ましい例では、移植体は腎臓移植体である。
本明細書記載の方法は、抗拒絶療法の効力を評価するのに有用である。上記方法では、マーカー遺伝子の転写物の投与前規模と、同遺伝子の転写物の投与後規模を比較し、遺伝子転写物の投与後規模が同遺伝子転写物の投与前規模より小さい場合、抗拒絶療法が有効であることを示すものとする。移植拒絶の予防および/または処置についての候補(例えば、薬剤、抗体、または拒絶または予防の他の形態)は、候補への暴露の前と後におけるマーカー発現の規模を比較することによりスクリーニングし得る。さらに、この方法で集められた有用な情報は、生物学的材料の評価を実施している対象の将来的な臨床管理体制を決定する際の助けとなり得る。評価は、対象からの試料を用いて、マーカー遺伝子の遺伝子発現の規模を測定する本明細書記載の方法を用いることにより実施され得る。分析は、さらに感染源の検出を含み得る。
II.遺伝子組合せおよび遺伝子クラスター
別の特徴として、本発明は、急性移植拒絶の診断に役立つ遺伝子クラスターおよび他の移植関連状態の診断に役立つ遺伝子クラスターの発見に関するものである(表1参照)。増大している多量のヒト遺伝子配列情報と組合せた高度並列自動化DNAハイブリダイゼーション技術の進歩により、何千もの遺伝子に関する発現レベルを同時に解析することが可能となった(例、Schena et al.、1995、Science 270:467−470;Lockhort et al.、1996、Nature Biotechnology 14:1675−1680;Blanchard et al.、1996、Nature Biotechnology 14:1649;Ashby et al.、1996年10月29日付米国特許第5569588号;Perou et al.、2000、Nature 406:747−752参照)。実施例記載の遺伝子ごとの定量的RT−PCRなどの方法は、非常に正確ではあるが比較的労働集約的である。定量PCRを用いて何千もの遺伝子の発現を解析することは可能であるが、それに要する労力と費用は莫大である。それに代わる大規模解析の一例として、mRNAの集団全体をcDNAに変換し、概して10〜10000またはそれ以上の遺伝子を表すプローブを規則正しく配列させたアレイとハイブリダイゼーションさせ得る。これらのプローブの各々とハイブリダイゼーションするcDNAの相対量が、対応する遺伝子の発現レベルの尺度である。次いで、データを統計分析することにより、遺伝子発現の情報的パターンを明らかにすることができる。
大規模遺伝子発現解析の出現により、遺伝子群は多くの場合共役的にまとめて発現されることが明らかにされた。例えば、酵母サッカロマイシス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)における全ゲノム発現解析は、ジオーキシーシフトとして知られる成長条件の変化中における代謝遺伝子の同調調節を示した(DiRisi et al.、1997、Science 278:680−686;Eisen et al.、1998、PNAS 95:14863−14868)。ジオーキシーシフトは、グルコースをエタノールに発酵させる酵母細胞が培地中のグルコースを使い果たし、エタノールの代謝を開始したときに起こる。グルコースの存在下では、解糖経路の遺伝子が発現され、グルコースからエタノールへの発酵を実施する。グルコースが使い果たされたとき、酵母細胞は、クレブス回路および呼吸に大きく依存する過程である、エタノールの代謝を行わなければならない。
したがって、解糖遺伝子の発現が減少すると、クレブス回路および呼吸遺伝子の発現が同調的に増加する。同様の同調遺伝子調節は、様々な癌細胞からも見出される。細胞周期の進行およびDNA合成に関与するタンパク質をコード化する遺伝子は、癌細胞で同調的に過剰発現されることが多い(Ross et al.、2000、Nature Genet.24:227−235;Perou et al.、1999、PNAS 96:9212−9217;Perou et al.、2000、Nature 406:747−752)。
遺伝子の同調調節は、機能的観点から見て論理的である。ほとんどの細胞プロセスは、多くの遺伝子を必要とし、例えば、解糖、クレブス回路、および細胞周期の進行は全て多遺伝子プロセスである。したがって、機能的に関連した遺伝子の共役発現は、細胞に様々な細胞活動を遂行させるのに不可欠である。上記の遺伝子群は、「遺伝子クラスター」と称され得る(Eisen et al.、1998、PNAS 95:14863−68)。
遺伝子発現のクラスタリングは、機能的必要性だけでなく、転写制御機構による当然の成り行きでもある。遺伝子発現は、主として調節エレメントとも呼ばれるシス作用DNA配列に結合する転写調節因子により調節される。特定遺伝子に関する発現パターンは、遺伝子に作用する様々な転写調節因子の活性を合わせた結果である。したがって、類似した一連の調節エレメントを有する遺伝子はまた、類似した発現パターンを有し、群がる傾向を有する。勿論、異なる調節エレメントを有する遺伝子がある種の環境下で共役発現されることも可能であり、全く一般的なことである。
一実施態様において、移植拒絶状態は、遺伝子クラスターの組合せから複数遺伝子のアップレギュレーションを検出することにより診断され得る。すなわち、本方法では、造血遺伝子クラスター、Bリンパ球遺伝子クラスター、Tリンパ球遺伝子クラスター、リソソーム遺伝子クラスター、MHC遺伝子クラスター、免疫プロテアソーム遺伝子クラスター、NADPHオキシダーゼ経路遺伝子クラスター、IFNガンマ経路遺伝子クラスター、アポトーシス遺伝子クラスター、およびインテグリンおよび細胞外マトリックス遺伝子クラスターから成る群から選択されたる1つまたはそれ以上の遺伝子クラスターから選択される複数の遺伝子の規模を測定する。また、当業者が認めるところによると、造血遺伝子クラスター、Bリンパ球遺伝子クラスター、Tリンパ球遺伝子クラスター、リソソーム遺伝子クラスター、MHC遺伝子クラスター、免疫プロテアソーム遺伝子クラスター、NADPHオキシダーゼ経路遺伝子クラスター、IFNガンマ経路遺伝子クラスター、アポトーシス遺伝子クラスター、およびインテグリンおよび細胞外マトリックス遺伝子クラスターから成る群から選択される1つまたはそれ以上の遺伝子クラスターから選択される複数遺伝子の規模の測定を含むこれらの方法は、拒絶を伴わない他の移植関連状態の処置にも適用され得る。
T細胞関与の急性拒絶において、移植片は、エフェクターT細胞、活性化マクロファージ、B細胞および形質細胞により浸潤され、IFN−ガンマ作用、ケモカイン発現および細胞外マトリックスの増加、毛細管透過性の改変および実質機能の衰退を示す。T細胞関与の拒絶の特徴的な病変は、腎臓細管(尿細管炎)および小動脈内膜(動脈炎)を侵す単核細胞を表す。T細胞により活性化されたマクロファージは、多様な生物活性分子を分泌することにより炎症応答の発現に参与するが、損傷は依然として抗原特異的である。損傷は、主として腎臓における標的細胞の細胞傷害性T細胞誘導溶解に伴うが、間葉細胞への実質細胞分化転換および細胞老化も必然的に伴い得る。
81遺伝子プローブおよび57選択遺伝子の大多数は、同種移植片拒絶で観察される進行中の免疫および炎症応答中に起こる主要な生物学的事象を反映する。これらの遺伝子は、移植腎臓におけるB細胞、T細胞および抗原提示細胞(APC)のリクルートおよび活性化と直接関連性を示し得る。このメタアナリシスでは、ケモカイン、インテグリンまたは細胞外マトリックス経路およびIFN−ガンマ関連作用、細胞傷害性およびアポトーシスに関する確固たるシグネチャーが同定された。
一般的造血系マーカー
以下の遺伝子は、造血細胞、主としてBおよびTリンパ球、NK細胞およびAPC(単球およびマクロファージ)で特異的に発現される。したがって、これらのシグネチャーは、腎臓への造血細胞浸潤に関する一般的マーカーである。
Figure 2009529340
Bリンパ球マーカー
Sarwal et al.が下した最も驚くべき結果の一つは、不十分な機能回復をまねく、AR I型群の患者間におけるB細胞浸潤とグルココルチコイド抵抗の臨床表現型の間の強い関連性の報告であった(4)。このメタアナリシスを通じて、我々は、特異的B細胞マーカーが早期ARの顕著な特徴ではあるが、非常に不均一なマーカーとして観察されることを確認した。以下のシグネチャーは、腎臓へのB細胞浸潤を特異的に示す。
Figure 2009529340
T細胞浸潤および活性化
ドナーアロ抗原に対するT細胞応答は、臓器急性拒絶反応の重要な特徴である。T細胞の完全な活性化は、2種の独立したものではあるが相補的なシグナルの送達を必要とする。シグナル1は、抗原提示細胞(APC)におけるT細胞受容体(TCR/CD3複合体とMHC結合ペプチド間での連結した相互作用中に送達される。第2のシグナルは、T細胞およびAPCで発現された一対の共刺激分子の相互作用により誘発される抗原非特異的「陽性」シグナルである。共刺激因子は、それ自体、T細胞活性化を単独で誘発することはなく、TCRにより送達されるシグナル1を増大させる。同種移植片拒絶の病態生理学的変化と一致することに、T細胞特異的およびTCRシグナル伝達経路に関するシグネチャーは、急性拒絶のメタ−シグネチャーで高度に表示される。
Figure 2009529340
APC浸潤および活性化(単球/マクロファージ)
非常に多くのシグネチャーが、間質マクロファージリクルートおよび食作用、抗原提示または活性酸素種生成などの機能と関連している。マクロファージの食作用は、損傷の消散における重要な要素である。マクロファージおよび他のAPCはまた、MHC分子による抗原提示を介したT細胞活性化において主要な役割を有する。免疫プロテアソーム機構は、MHC系の調節において不可欠な役割を有し、IFN−ガンマにより強く活性化される。マクロファージおよび好中球はまた、炎症の発生において有害な影響を及ぼし得る食細胞NADPHオキシダーゼ経路を通じたスーパーオキシドアニオンの特異的生産体である。
ファゴソーム/リソソーム関連遺伝子
Figure 2009529340
MHCおよび関連遺伝子
Figure 2009529340
免疫プロテアソーム
Figure 2009529340
NADPHオキシダーゼ経路関連遺伝子
Figure 2009529340
IFNガンマ経路
以下の遺伝子は全て、IFN−ガンマおよびSTAT1を通したシグナル変換を通じて調節(主として誘導)される。これらの遺伝子は、リンパ球およびマクロファージにおいて優先的に発現されると思われる。IFN−ガンマ作用は、拒絶腎臓で観察される炎症応答に対する多大な影響を含んでおり、この経路は、AR中に最もアップレギュレーションされた遺伝子を集める。
Figure 2009529340
アポトーシス関連遺伝子
以下の遺伝子のほとんどは、細胞傷害性CD8 T細胞およびTh1 CD4 T細胞により発現されると思われる。また、カスパーゼ1は、IL−1の活性化を調節することから、炎症マーカーであるとみなされる。
Figure 2009529340
インテグリン/細胞外マトリックス関連遺伝子
以下のシグネチャーは、細胞外マトリックスおよび組織リモデリング(MMP7、TIMP1、テナシンCおよびベルシカン)と、または直接インテグリンシグナリングおよび細胞機動性と関連している。
Figure 2009529340
本明細書に開示したデータは、急性臨床状況下、および遺伝子発現の分子操作の非存在下では、高レベルの遺伝子組合せが急性拒絶反応の指標となることを立証している。一実施態様において、分子シグネチャーを形成するアップレギュレーションされた遺伝子の組合せは、表3に示したものである。
複数の遺伝子クラスターの分析は、移植拒絶の診断のみならず、適切な医学的介入の決定にも有用であることが予測される。例えば、急性拒絶は、多くの変異型および多種多様な最適な治療戦略を有する疾患を総合的に表すものである。一実施態様において、本発明は、移植拒絶を同時に識別し、適切な処置を決定する方法を提供する。概して、本発明は、適切な治療プロトコルを指示する、種々の情報的遺伝子クラスターの典型を測定することを含む方法を提供する。
III.遺伝子発現の検出
ある実施態様では、発現規模を、対象から得た1つまたはそれ以上の遺伝子について測定する。試料は、対象から、例えば移植片生検材料から得た細胞を含み得る。他の試料には、流体試料、例えば血液、血漿、血清、リンパ液、CSF、嚢胞液、腹水、尿、糞尿および胆汁があるが、これらに限定されるわけではない。また、試料は、気管支肺胞洗浄液、胸膜液または腹膜液、または正常または異常に機能している同種移植片により分泌または排泄される他の流体、または同種移植片を通して、または同種移植片の解剖学的近位での滲出または濾出から生じる他の流体、または同種移植片との液体連通における流体から得られる。
本明細書を見た場合、遺伝子発現の測定については多くの異なる方法が当業界では知られている。古典的方法には、定量RT−PCR、ノーザンブロットおよびリボヌクレアーゼ保護検定法がある。本明細書記載のある例では、競合的逆転写(RT)−PCRを用いることにより、マーカー遺伝子の発現の規模を測定する。上記方法を用いることにより、対象遺伝子および全遺伝子クラスターの発現を調べることが可能である。しかしながら、調べるべき遺伝子の数が増えると、時間と費用も手に負えないものとなり得る。
大規模検出方法により、多くの遺伝子の発現レベルの迅速で安価な同時分析が可能となった。上記方法は、典型的には固体基質に固定化したプローブの規則正しいアレイを必要とする。各プローブは、異なるセットの核酸とハイブリダイゼーションし得る。一方法では、興味の対象である様々な遺伝子のコーディング領域の実質的部分を増幅または合成することにより、プローブを作製する。次いで、これらの遺伝子を固体支持体にスポットする。mRNA試料を得、cDNAに変換し、増幅および(通常蛍光性標識により)標識する。次いで、標識cDNAをアレイに適用し、それらの濃度と線形関係を示すようにcDNAをそれぞれのプローブとハイブリダイゼーションさせる。標識の検出により、アレイに付着した各cDNAの量が測定され得る。
上記DNAアレイ実験に関する多くの実施方法が当業界では公知である。典型的な方法を以下に記載するが、限定を意図したものではない。
マイクロアレイは当業界では公知であり、遺伝子産物(例、cDNA、mRNA、オリゴヌクレオチド)に順序どおりに対応しているプローブが既知の位置で結合される表面により構成される。一実施態様では、マイクロアレイは、各位置が遺伝子によりコード化される産物(例、タンパク質またはRNA)について別々の結合部位を表し、結合部位が生物体ゲノムにおける遺伝子の大部分またはほとんど全部の産物について存在するアレイ(すなわち、マトリックス)である。好ましい実施態様では、「結合部位」(以後、「部位」)は、特定同族cDNAが特異的にハイブリダイゼーションし得る核酸または核酸誘導体である。結合部位の核酸または誘導体は、例えば合成オリゴマー、完全長cDNA、完全長未満のcDNAまたは遺伝子フラグメントであり得る。
通常、マイクロアレイは、少なくとも100、さらに好ましくは500、1000、4000またはそれ以上の遺伝子に対応する結合部位を有する。ある実施態様では、最も好ましいアレイは、示された特定生物体の遺伝子の約98〜100%を有する。他の実施態様では、少数の特に選択された遺伝子に対応する結合部位を有するカスタマイズされたマイクロアレイが使用され得る。ある実施態様において、カスタマイズされたマイクロアレイは、4000未満、1000未満、200未満または50未満の遺伝子についての結合部位を含み、表3のクラスターのいずれかのうち少なくとも2個、好ましくは少なくとも3、4、5個またはそれ以上の遺伝子についての結合部位を含む。好ましくは、マイクロアレイは、興味の対象である生物学的ネットワークモデルの試験および確認に適切な遺伝子に関する結合部位を有する。
マイクロアレイと接触させる核酸は、様々な方法で製造され得る。全体およびポリ(A)+RNAの製造方法は、公知であり、Sambrook et al.、前出で総括的に記載されている。標識cDNAは、オリゴdT−プライマーまたはランダム−プライマー逆転写によりmRNAから製造され、両方とも当業界では公知である(例、Klug および Berger、1987、Methods Enzymol.152:316−325参照)。逆転写は、検出可能な標識に結合させたdNTP、最も好ましくは蛍光標識dNTPの存在下で実施され得る。別法として、単離mRNAは、標識dNTPの存在下における2本鎖cDNAのインビトロ転写により合成される標識アンチセンスRNAに変換され得る(Lockhart et al.、1996、Nature Biotech.、14:1675)。cDNAまたはRNAは、検出可能な標識の非存在下で合成され得、それに続いて例えばビオチニル化dNTPまたはrNTPを組込むかまたは類似手段(例、ビオチンのプロラレン誘導体をRNAに光架橋する)によりそれらを標識し、次いで標識ストレプトアビジン(例、フィコエリトリン標識ストレプトアビジン)または均等内容物質を付加し得る。
蛍光標識を使用するとき、多くの適切な発蛍光団が知られており、フルオレセイン、リサミン、フィコエリトリン、ローダミン(Perkin Elmer Cetus)、Cy2、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、Cy7、蛍光体X(Amersham)などが挙げられる(例えば、Kricka、1992、Academic Press、サンディエゴ、カリフォルニア)。
別の実施態様では、蛍光標識以外の標識を使用する。例えば、一放射性標識、または異なる放射スペクトルをもつ一対の放射性標識が使用され得る(Zhao et al.、1995、Gene 156:207;Pietu et al.、1996、Genome Res.6:492参照)。しかしながら、放射性同位元素の使用はそれほど好ましくない例である。
核酸ハイブリダイゼーションおよび洗浄条件については、標識核酸の集団が、マトリックスに固定化された適切な相補的核酸と特異的にハイブリダイゼーションするように選択する。本願で使用しているところでは、ポリヌクレオチドの短い方が25塩基またはそれ未満である場合に標準塩基対合規則によると誤対合が無く、またはポリヌクレオチドの短い方が25塩基より長い場合に5%以下の誤対合が存在するとき、一方のポリヌクレオチド配列は、他方と相補的であると考えられる。
最適ハイブリダイゼーション条件は、標識核酸および固定化ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの長さ(例、オリゴマー対200塩基より大きいポリヌクレオチド)およびタイプ(例、RNA、DNA、PNA)により異なる。核酸についての特異的(すなわち、ストリンジェントな)ハイブリダイゼーション条件に関する一般的パラメーターは、Sambrook et al.、前出、および Ausubel et al.、1987、Current Protocols in Molecular Biology(Greene Publishing および Wiley-Interscience、ニューヨーク)に記載されており、これらを目的に応じて出典明示により援用する。アレイへの標識核酸の非特異的結合は、アレイを大量の非特異的DNAで処理すること、いわゆる「ブロッキング」段階により低減化され得る。
蛍光標識プローブを使用するとき、転写物アレイの各部位での蛍光放射は、好ましくは走査型共焦レーザー顕微鏡により検出され得る。2種の発蛍光団を使用するとき、使用する2種の発蛍光団のそれぞれについて、適切な励起線を用いて別々の走査を実施する。別法として、2種の発蛍光団に対し特異的な波長での同時試料照明を可能にするレーザーが使用され得、2種の発蛍光団からの放射は同時に分析され得る(Shalon et al.、1996、Genome Research 6:639−645参照)。好ましい実施態様では、コンピューター制御X−Yステージおよび顕微鏡対物レンズを備えたレーザー蛍光スキャナーでアレイを走査する。2発蛍光団の連続励起を多波長型混合ガスレーザーで達成し、放射光線を波長により分解し、2つの光電子倍増管で検出する。蛍光レーザー走査装置は、Schena et al.、1996、Genome Res.6:639−645および本明細書で挙げた他の参考文献に記載されている。別法として、Ferguson et al.、1996、Nature Biotech.14:1681−1684に報告された光ファイバー束を用いることにより、多数の部位で同時にmRNA存在量レベルをモニターすることが可能である。蛍光マイクロアレイスキャナーは、Affymetrix、Packard BioChip Technologies、BioRobotics および多くの他の供給会社により市販されている。
様々なコンピューターソフトウェアを用いて、シグナルを記録し、定量し、分析する。一実施態様では、走査画像を、グラフィクスプログラム(例、Hijaak Graphics Suite)を用いてスペックル除去し、各部位における各波長での平均ハイブリダイゼーションのスプレッドシートを作成する画像グリッドプログラムを用いて解析する。必要ならば、2つの蛍光体に関するチャンネル間の「クロストーク」(またはオーバーラップ)について実験的に決定した補正を行い得る。転写物アレイ上の特定ハイブリダイゼーション部位について、好ましくは2種の発蛍光団の放射の比を計算する。この比は、同族遺伝子の絶対発現レベルとは無関係であるが、発現が薬剤投与、遺伝子欠失または他の試験事象により著しくモジュレーションされる遺伝子には有用である。
一実施態様において、2種の異なる標識のcDNAセットの混合物をマイクロアレイとハイブリダイゼーションさせることにより、興味の対象である細胞の転写状態を反映する転写物アレイを作製する。一方の細胞は興味の対象である細胞であり、他方は標準化対照として使用される。したがって、マイクロアレイとの各細胞のcDNAの相対的ハイブリダイゼーションは、2細胞における各遺伝子の相対的発現を反映する。
好ましい実施態様では、様々な統計的方法を用いることにより、異なる試料および条件における発現レベルが比較され得る。様々な統計的方法は、異なる遺伝子の発現パターンにおける関連性の度合いを評価するのに利用可能である。統計的方法は、2つの関連部分に分けられる:1個またはそれ以上の遺伝子の発現パターンの関連性を決定する測定基準法、および適切な測定基準法に基づいた発現データを組織化および分類する、クラスタリング方法(Sherlock、2000、Curr.Opin.Immunol.12:201−205;Butte et al.、2000、Pacific Symposium on Biocomputing、ハワイ、World Scientific、p418−29)。
一実施態様では、ピアソンの相関関係が測定基準法として使用され得る。簡単に述べると、所与の遺伝子について、遺伝子発現レベルの各データポイントにより、全条件に及ぶその遺伝子に関する遺伝子発現レベルの全体平均からの遺伝子発現の偏差を表すベクトルを定められる。次いで、各遺伝子の発現パターンは、一連のプラスおよびマイナスのベクトルとして考察され得る。次いで、各遺伝子のベクトルを互いに比較することにより、ピアソン相関係数が計算され得る。かかる方法の一例は、Eisen et al.(1998、前出)に記載されている。ピアソン相関係数は、ベクトルの向きの説明となるが、規模について説明するものではない。
別の実施態様では、ユークリッド距離測定法が測定基準法として使用され得る。これらの方法では、ベクトルを各条件での各遺伝子について計算し、遺伝子に関するベクトルが描く点の間の多次元空間における絶対距離に基づいて比較する。別の実施態様では、ユークリッド距離測定および相関係数の両方をクラスタリングで使用した。
さらなる実施態様では、遺伝子発現パターンの関連性がエントロピー計算により決定され得る(Butte et al.2000、前出)。各遺伝子の発現パターンについてエントロピーを計算する。次いで、2遺伝子について計算したエントロピーを比較することにより、相互情報量を測定する。主体的に各遺伝子について計算したエントロピーから合同遺伝子発現パターンのエントロピーを減じることにより、相互情報量を計算する。2遺伝子の発現パターンが異なるほど、合同エントロピーも高くなり、計算される相互情報量は低くなる。したがって、高い相互情報量は、2つの発現パターン間における非ランダムな関連性を示す。
別の実施態様では、凝集型クラスタリング方法を用いることにより、遺伝子クラスターを同定し得る。一実施態様では、ピアソン相関係数またはユークリッド測定基準法を各遺伝子について決定し、次いで樹状図を形成する基礎として使用する。一例では、極めて密接な相関係数をもつ遺伝子対について遺伝子を走査した。次いで、枝の奥行の間の距離を相関度と比例させて、これらの遺伝子を節点で連結した樹状図の2本の枝に配置する。段々に枝を木に付け加えながら、この処理を続行する。最終的に、短い枝で連結された遺伝子がクラスターを表し、長い枝で連結された遺伝子がクラスターを形成していない遺伝子を表す樹状図が形成される。ユークリッド測定基準法による多次元空間における点を用いても樹状図を作成することが可能である。
さらに別の実施態様では、分枝型クラスタリング方法が使用され得る。例えば、各遺伝子の発現パターンにベクトルを割り当て、2つのランダムベクトルを作成する。次いで、各遺伝子を、その一ベクトルと適合する可能性に基づいて2つのランダムベクトルの一方に割り当てる。ランダムベクトルを繰り返し再検討することにより、遺伝子を2群に分割する2つの重心を作成する。この分割により樹状図の基部に主要な枝が形成される。次いで、各群をさらに同じ要領で分割し、最終的に完全に枝分かれした樹状図が得られる。
さらなる実施態様では、自己組織化マップ(SOM)を用いてクラスターを形成させ得る。一般的には、例えば上記のユークリッド測定基準法などの測定基準法を用いることにより、遺伝子発現パターンをn次元空間でプロットする。次いで、重心の格子をn次元空間に配置し、重心を点のクラスターに向かって移動させることにより、遺伝子発現のクラスターが表わされる。最終的に、重心は、遺伝子クラスターの一種の平均である遺伝子発現パターンを表す。ある実施態様では、SOMを用いて重心を作成し、各重心でクラスターを形成する遺伝子がさらに樹状図により表示され得る。典型的な方法は、Tamayo et al.、1999、PNAS 96:2907−12に記載されている。一旦重心が形成されると、前記方法の一つにより相関関係が評価され得る。
別の特徴として、本発明はプローブセットを提供する。好ましいプローブセットは、1個またはそれ以上の遺伝子の発現を検出するように設計され、移植片の状態に関する情報を提供する。本発明の好ましいプローブセットは、表1の遺伝子クラスターのいずれかに属する少なくとも2個の遺伝子の検出に有用なプローブを含む。特に好ましいプローブセットは、表3の遺伝子クラスターのいずれかに属する少なくとも1個、2個、3個、4個または少なくとも5個の遺伝子の検出に有用なプローブを含む。本発明のプローブセットは、10000以下の遺伝子転写物の検出に有用なプローブを含み、好ましいプローブセットは、4000未満、1000未満、200未満、100未満、90未満、80未満、70未満、60未満、50未満、40未満、30未満、20未満、10未満の遺伝子転写物の検出に有用なプローブを含む。本発明のプローブセットは、移植体の状態に関する情報を与える遺伝子転写物の検出に標的を定めている。本発明のプローブセットはまた、移植体の状態に関する情報を与えるわけではない遺伝子転写物を検出する多数または少数のプローブを含み得る。好ましい実施態様では、本発明のプローブセットは、固体基材に固定されることによりプローブのアレイを形成する。プローブセットはまた、マルチプレックスPCRに有用であり得ることが期待される。プローブセットのプローブは、核酸(例、DNA、RNA、DNAおよびRNAの化学的修飾形態)、またはPNA、または目的核酸配列と特異的に相互作用し得る他のポリマー化合物であり得る。
本発明のマーカー(複数も可)を含むコンピューターで読み取り可能な媒体も提供される。上記で使用している「コンピューターで読み取り可能な媒体」は、コンピューターで読み取り、直接アクセスできる媒体を包含する。上記媒体には、磁気記憶媒体、例えばフロッピーディスク、ハードディスク記憶媒体、および磁気テープ;光記憶媒体、例えばCD−ROM;電気記憶媒体、例えばRAMおよびROM;およびこれらの範疇のハイブリッド、例えば磁気/光記憶媒体があるが、これらに限定されるわけではない。現在知られているコンピューターで読み取り可能な媒体のいずれかを用いて、本発明のマーカーを記録させるコンピューターで読み取り可能な媒体を含む製品を作製する方法については、当業者であれば容易に理解できるはずである。
上記で使用している「記録させる」は、コンピューターで読み取り可能な媒体に情報を保存する処理を含む。当業者であれば、コンピューターで読み取り可能な媒体に情報を記録する現在公知の方法のいずれかを採用することにより、本発明のマーカーを含む製品を容易に作製し得るはずである。
様々なデータ処理プログラムおよびフォーマットを用いることにより、コンピューターで読み取り可能な媒体に本発明のマーカー情報を保存することが可能である。例えば、マーカーに対応する核酸配列は、市販のソフトウェア、例えばWordPerfect および MicroSoft Wordでフォーマット化される、ワード・プロセッシング・テキストファイルで表示されるか、またはデータベースアプリケーション、例えばDB2、Sybase、Oracleなどに保存される、ASCIIファイル形式で表示され得る。幾つかのデータプロセッサー構造化フォーマット(例、テキストファイルまたはデータベース)を適合させることにより、本発明のマーカーを記録させたコンピューターで読み取り可能な媒体が得られる。
コンピューターで読み取り可能な形態で本発明のマーカーを提供することにより、常用手順で様々な目的に関するマーカー配列情報にアクセスすることが可能である。例えば、当業者であれば、コンピューターで読み取り可能な形態で本発明のヌクレオチドまたはアミノ酸配列を用いることにより、標的配列または標的構造モチーフを、データ記憶装置内に保存された配列情報と比較することができるはずである。検索手段を用いることにより、特定標的配列または標的モチーフと適合する本発明配列のフラグメントまたは領域が同定される。
本発明はまた、本発明マーカー(複数も可)を含むアレイを包含する。アレイを用いることにより、アレイにおける1個またはそれ以上の遺伝子の発現が検定され得る。一実施態様では、アレイを用いて組織における遺伝子発現を評価することにより、アレイにおける遺伝子の組織特異性を確認することが可能である。この方法では、約8600までの遺伝子が発現について同時に検定され得る。1つまたはそれ以上の組織で特異的に発現される一群の遺伝子を示すプロフィールが明らかにされ得る。
上記の定性的測定に加えて、本発明では遺伝子発現が定量化され得る。すなわち、組織特異性に加えて、組織における一群の遺伝子の発現レベルも確認され得る。したがって、遺伝子は、それらの組織発現性そのものおよびその組織での発現レベルに基づいて分類され得る。これは、例えば2つまたはそれ以上の組織の間における遺伝子発現の関係を確かめるのに有用である。すなわち、一組織を揺動させ、第2組織での遺伝子発現に対する影響を測定し得る。これに関連して、生物学的刺激因子に対する応答における一細胞型に対する別の細胞型の影響が測定され得る。かかる測定は、例えば遺伝子発現レベルでの細胞対細胞の相互作用の影響を知るのに有用である。ある細胞型を処置するために治療上作用物質を投与したところ、その作用物質が別の細胞型に対して望ましくない作用を有する場合、本発明は、望ましくない作用の分子レベルでの基盤を測定する検定法を提供することから、中和性薬剤を併用投与するかまたは望ましくない作用を処置する機会を提供するものである。同様に、単細胞型内でさえ、望ましくない生物学的作用が分子レベルで測定され得る。すなわち、標的以外の遺伝子の発現に対する作用物質の効果も確認および中和され得る。
別の実施態様では、アレイを用いることにより、アレイにおける1個またはそれ以上の遺伝子の発現の時間推移をモニターすることが可能である。これは、本明細書で開示した様々な生物学的状況、例えば発生および分化、病気の進行、インビトロ過程、例えば細胞の形質転換および老化、自律神経および神経学的過程、例えば疼痛および本能的欲望、および認知機能、例えば学習または記憶で行われ得る。
アレイはまた、同一細胞または異なる細胞における他の遺伝子の発現に対する一遺伝子の発現の効果を確認するのに有用である。これは、例えば最終または下流標的が調節され得ない場合に、治療的介入に関する代替的分子標的の選択対象を提供する。
アレイはまた、正常および罹患細胞における1個またはそれ以上の遺伝子の示差的発現パターンを確認するのに有用である。これは、診断または治療的介入に関する分子標的としての役割を果たし得る一群の遺伝子を提供する。
IV.タンパク質
さらに、ある種のタンパク質のレベル増加もまた、移植に関する診断に役立つ情報を提供し得ることが予測される。ある実施態様では、表3の遺伝子クラスターのいずれかの遺伝子によりコード化される1種またはそれ以上のタンパク質が検出され得、タンパク質レベルの上昇または減少を、移植拒絶の診断に用い得る。好ましい実施態様では、タンパク質レベルを移植後流体試料で検出し、特に好ましい実施態様では、流体試料は、末梢血または尿である。別の好ましい実施態様では、タンパク質レベルは移植片生検材料から検出される。
この明細書によると、タンパク質の検出方法は当業界では公知である。上記方法の例には、ウエスタン・ブロッティング、酵素結合イムノソルベント検定法(ELISA)、一および二次元電気泳動、質量分析法および酵素活性の検出がある。適切な抗体には、ポリクローナル、モノクローナル、フラグメント(たとえばFabフラグメント)、1本鎖抗体および特異結合分子の他の形態が含まれ得る。
V.予測医学
本発明は、診断的検定法、予後判定法、薬理遺伝学および臨床試験モニタリングを予後(予測)目的に用いることにより、対象を診断し、予防的に処置する予測医学分野に関するものである。したがって、本発明の一つの特徴は、試料(例、血液、血清、細胞、組織)からのマーカータンパク質および/または核酸発現を測定することにより、対象が移植拒絶を起こす可能性があるか否かを測定する診断的検定法に関するものである。
本発明の別の特徴は、以下の項でさらに詳しく記載している臨床試験におけるマーカーの発現または活性に対する作用物質(例、薬物、化合物)の影響のモニタリングに関するものである。
試料中における本発明のマーカータンパク質または遺伝子の存在または非存在を検出する方法の一例では、試験対象から試料を入手し、マーカータンパク質または核酸の存在が試料から検出されるように、タンパク質またはマーカータンパク質をコード化する核酸(例、mRNA、ゲノムDNA)を検出し得る化合物または作用物質と試料を接触させる。本発明のマーカー遺伝子またはタンパク質に対応するmRNAまたはゲノムDNAを検出するのに好ましい作用物質は、本発明のmRNAまたはゲノムDNAとハイブリダイゼーションし得る標識核酸プローブである。本発明の診断的検定法での使用に適切なプローブを本明細書では記載している。
マーカータンパク質の検出に好ましい作用物質は、マーカータンパク質に結合し得る抗体、好ましくは検出可能な標識を伴う抗体である。抗体は、ポリクローナル、さらに好ましくはモノクローナルであり得る。無傷の抗体、またはそのフラグメント(例、FabまたはF(ab’))が使用され得る。プローブまたは抗体に関する「標識(された)」の語は、プローブまたは抗体に検出可能な物質をカップリング(すなわち、物理的結合)することによるプローブまたは抗体の直接的標識、および直接標識されている別の試薬との反応性によるプローブまたは抗体の間接的標識を包含するものとする。間接的標識の例には、蛍光標識2次抗体を用いる1次抗体の検出およびビオチンでDNAプローブを末端標識することにより、それを蛍光標識ストレプトアビジンで検出させ得る方法がある。「試料」の語は、対象から単離した組織、細胞および生物学的流体、並びに対象内に存在する組織、細胞および流体を包含するものとする。すなわち、本発明検出方法は、インビトロおよびインビボで、試料中におけるマーカーmRNA、タンパク質またはゲノムDNAを検出するのに使用され得る。例えば、マーカーmRNAのインビトロ検出技術には、ノーザン・ハイブリダイゼーションおよび in situ ハイブリダイゼーションがある。マーカータンパク質のインビトロ検出技術には、酵素結合イムノソルベント検定法(ELISA)、ウエスタン・ブロット、免疫沈降および免疫蛍光がある。マーカーゲノムDNAのインビトロ検出技術には、サザン・ハイブリダイゼーションがある。さらに、マーカータンパク質のインビボ検出技術には、対象への標識抗マーカー抗体の導入がある。例えば、抗体は、対象におけるその存在および位置が標準イメージング技術により検出され得る放射性マーカーで標識され得る。
一実施態様において、試料は、試験対象からのタンパク質分子を含む。別法として、試料は、試験対象からのmRNA分子または試験対象からのDNA分子を含み得る。好ましい試料は、対象から慣用的手段により単離される血清試料である。
さらに本方法では、対照対象から対照試料(例、健康な非移植腎臓または拒絶の徴候を全く示していない健康な移植腎臓からの生検材料)を入手し、マーカータンパク質、mRNAまたはゲノムDNAの存在が試料から検出されるように、マーカータンパク質、mRNAまたはゲノムDNAを検出し得る化合物または作用物質と対照試料を接触させ、次いで対照試料中におけるマーカータンパク質、mRNAまたはゲノムDNAの存在を、試験試料中におけるーカータンパク質、mRNAまたはゲノムDNAの存在と比較する。
本発明はまた、試料におけるマーカーの存在を検出するキットを包含する。例えば、キットは、試料中のマーカータンパク質またはmRNAを検出し得る標識化合物または作用物質;試料中のマーカーの量を測定する手段;および試料中のマーカーの量を標準と比較する手段を含み得る。化合物または作用物質は、適切な容器に包装され得る。さらにキットは、マーカータンパク質または核酸を検出するためのキットの使用説明書を含み得る。
さらに、本明細書記載の診断方法は、異常なマーカー発現または活性に関連した疾患または障害を有するかまたは発症する危険がある対象の識別に使用され得る。本明細書で使用する「異常な」の語は、野生型マーカー発現または活性から逸脱したマーカー発現または活性を含む。異常な発現または活性は、増加または減少した発現または活性、および発現の野生型発生パターンまたは細胞レベル下の発現パターンに従わない発現または活性を含む。例えば、異常なマーカー発現または活性は、マーカー遺伝子における突然変異が、マーカー遺伝子の過少発現または過剰発現を誘発する場合および上記突然変異が、非機能性マーカータンパク質または野生型の流儀では機能しないタンパク質、例えばマーカーリガンドと相互作用しないタンパク質または非マーカータンパク質リガンドと相互作用するタンパク質をもたらす状況を含むものとする。
さらに、本明細書記載の予後判定法は、対象に作用物質(例、アゴニスト、アンタゴニスト、ペプチドミメティック、タンパク質、ペプチド、核酸、小分子、または他の薬剤候補)、例えば、シクロスポリンを投与することにより、拒絶の危険性を低減化させ得るか否かを判定するのに使用され得る。すなわち、本発明は、対象が表3における遺伝子組合せの遺伝子発現または活性の増加と関連した疾患について作用物質で有効に処置され得るか否かを判定する方法を提供する。
遺伝子の発現または活性に対する作用物質(例、薬剤)の影響のモニタリングは、基本的薬剤スクリーニングおよび臨床試験の両方で適用され得る。例えば、遺伝子発現、タンパク質レベルを増加、または活性をアップレギュレーションする本明細書記載のスクリーニング検定法により決定される作用物質の有効性は、対象の臨床試験において現れる分子シグネチャーおよび作用物質で処置している間に分子シグネチャーの変化があればそれを調べることによりモニタリングされ得る。
例えば、ただし限定するわけではないが、遺伝子活性をモジュレーションする作用物質(例、化合物、薬剤または小分子)での処置により細胞でモジュレーションされる遺伝子およびそれらのコード化タンパク質が同定され得る。臨床試験では、細胞を単離し、RNAを調製し、拒絶反応に関与する遺伝子の発現レベルについて分析し得る。遺伝子発現レベル(例、遺伝子発現パターン)は、本明細書で記載しているノーザンブロット分析またはRT−PCRにより、または別法として、本明細書記載の方法の一つにより、産生されたタンパク質の量を測定することにより定量され得る。こうして、遺伝子発現パターンは、作用物質に対する細胞の生理学的応答を示す、分子シグネチャーとしての役割を果たし得る。したがって、この応答状態は、対象を作用物質で処置する前および処置している間の様々な時点で測定され得る。
好ましい実施態様では、本発明は、作用物質(例、本明細書記載のスクリーニング検定法により同定されるアゴニスト、アンタゴニスト、ペプチドミメティック、タンパク質、ペプチド、核酸、小分子、または他の薬剤候補)による対象の処置の有効性をモニターする方法であって、(i)作用物質の投与前に対象から投与前試料を採取し、(ii)投与前試料における一遺伝子または遺伝子組合せ、遺伝子によりコード化されたタンパク質、mRNAまたはゲノムDNAの発現レベルを検出し、(iii)対象から一つまたはそれ以上の投与後試料を入手し、(iv)投与後試料におけるマーカータンパク質、mRNAまたはゲノムDNAの発現または活性のレベルを検出し、(v)投与前試料におけるマーカータンパク質、mRNAまたはゲノムDNAの発現または活性のレベルを、投与後の一試料または複数試料における一遺伝子または遺伝子組合せ、遺伝子によりコード化されたタンパク質、mRNAまたはゲノムDNAの場合と比較し、さらに(vi)その結果に応じて対象への作用物質の投与を改変する段階を含む方法を提供する。例えば、作用物質の投与の増加は、遺伝子の発現または活性を低レベルに低下させる、すなわち、移植拒絶に対して保護する作用物質の有効性を高めるのに望ましいことであり得る。他方、作用物質の投与の減少は、マーカーの発現または活性を検出されたレベルより低レベルに低減化する、すなわち作用物質の有効性を減少させる、例えば毒性を回避するのに望ましいことであり得る。上記の態様によると、遺伝子の発現または活性は、観察可能な表現型応答が存在しない場合でも、作用物質の有効性の指標として使用され得る。
本発明は、移植拒絶阻止を目的とする予防および治療の両方法を提供する。予防および治療の両処置方法に関して、上記処置は、薬理遺伝学分野から得られた知識に基づいて特異的に調整または修正され得る。本明細書で使用している「薬理遺伝学」は、臨床開発中および市販されている薬剤へのゲノミクス技術、例えば遺伝子配列決定、統計的遺伝学、および遺伝子発現解析の適用を包含する。さらに具体的には、この語は、対象の遺伝子が薬剤に対する彼または彼女の応答(例、対象の「薬剤応答表現型」または「薬剤応答遺伝子型」)を如何にして決定するかの研究をいう。すなわち、本発明の別の特徴は、対象の薬剤応答遺伝子型にしたがって、本発明のマーカー分子またはマーカーモジュレーターにより対象の予防的または治療的処置を調整する方法に関するものである。薬理遺伝学により、臨床医学者または医師は、予防的または治療的処置を、その処置が非常に有益なものとなる対象にターゲッティングし、毒性薬剤関連副作用を有する可能性がある対象の処置を回避することが可能となる。
一つの特徴として、本発明は、マーカー発現をモジュレーションする化合物または作用物質を対象に投与することによる、マーカー発現または活性の増加に関連した対象における移植拒絶の阻止方法を提供する。上記化合物または作用物質の例は、例えば移植で使用される、例えば免疫抑制特性を有する化合物または作用物質、例えばカルシニューリン阻害剤、例えばシクロスポリンAまたはFK506;mTOR阻害剤、例えばラパマイシン、40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシン、CCI779、ABT578、AP23573、ビオリムス−7またはビオリムス−9;免疫抑制特性を有するアスコマイシン、例えばABT−281、ASM981など;コルチコステロイド類;シクロホスファミド;アザチオプレン;メトトレキセート;レフルノミド;ミゾリビン;ミコフェノール酸または塩;ミコフェノール酸モフェチル;15−デオキシスペルグアリンまたはその免疫抑制性相同体、類似体または誘導体;PKC阻害剤、例えば国際公開第WO02/38561号または同第WO03/82859号に開示されたもの、例えば実施例56または70の化合物;JAK3キナーゼ阻害剤、例えばN−ベンジル−3,4−ジヒドロキシ−ベンジリデン−シアノアセトアミド a−シアノ−(3,4−ジヒドロキシ)−]N−ベンジルシナマミド(チルホスチンAG490)、プロジギオシン25−C(PNU156804)、[4−(4’−ヒドロキシフェニル)−アミノ−6,7−ジメトキシキナゾリン](WHI−P131)、[4−(3’−ブロモ−4’−ヒドロキシフェニル)−アミノ−6,7−ジメトキシキナゾリン](WHI−P154)、[4−(3’,5’−ジブロモ−4’−ヒドロキシフェニル)−アミノ−6,7−ジメトキシキナゾリン](WHI−P97)、KRX−211、3−{(3R,4R)−4−メチル−3−[メチル−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−アミノ]−ピペリジン−1−イル}−3−オキソ−プロピオニトリルの遊離形態または医薬上許容される塩形態、例えばモノ−クエン酸塩(CP−690550とも呼ばれる)、または国際公開第04/052359号または国際公開第05/066156号に開示された化合物;S1P受容体アゴニストまたはモジュレーター、例えば所望によりリン酸化されていてもよいFTY720またはその類似体、例えば所望によりリン酸化されていてもよい2−アミノ−2−[4−(3−ベンジルオキシフェニルチオ)−2−クロロフェニル]エチル−1,3−プロパンジオールまたは1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸またはその医薬上許容される塩類;免疫抑制性モノクローナル抗体、例えば白血球受容体に対するモノクローナル抗体、例えばMHC、CD2、CD3、CD4、CD7、CD8、CD25、CD28、CD40、CD45、CD52、CD58、CD80、CD86またはそれらのリガンド;他の免疫モジュレーター化合物、例えばCTLA4またはその突然変異体の細胞外ドメインの少なくとも一部分、例えば非CTLA4タンパク質配列と結合されたCTLA4またはその突然変異体、例えばCTLA4Ig(例えばATCC68629と称す)またはその突然変異体の少なくとも細胞外部分を有する組換え結合性分子、例えばLEA29Y;接着分子阻害剤、例えばLFA−1アンタゴニスト、ICAM−1または−3アンタゴニスト、VCAM−4アンタゴニストまたはVLA−4アンタゴニストである。また、これらの化合物または作用物質は併用され得る。
本発明の別の特徴は、治療目的のためマーカータンパク質の発現または活性をモジュレーションする方法に関するものである。したがって、本発明のモジュレーション方法の典型的実施態様では、細胞に随伴するマーカータンパク質活性の1つまたはそれ以上の活性をモジュレーションするマーカータンパク質または作用物質と細胞を接触させる。マーカータンパク質活性をモジュレーションする作用物質は、本明細書記載の作用物質、例えば核酸またはタンパク質、マーカータンパク質の天然に存する標的分子(例、マーカータンパク質基質)、マーカータンパク質抗体、マーカータンパク質アゴニストまたはアンタゴニスト、マーカータンパク質アゴニストまたはアンタゴニストのペプチドミメティック、または他の小分子であり得る。一実施態様では、作用物質は、1つまたはそれ以上のマーカータンパク質活性を刺激する。上記刺激性作用物質の例には、活性マーカータンパク質および細胞に導入されたマーカータンパク質をコード化する核酸分子がある。別の実施態様において、作用物質は、1つまたはそれ以上のマーカータンパク質活性を阻害する。上記阻害性作用物質の例には、アンチセンスマーカータンパク質核酸分子、抗マーカータンパク質抗体、およびマーカータンパク質阻害剤がある。これらのモジュレーション方法は、インビトロ(例、作用物質と共に細胞を培養することによる)または別法としてインビボ(例、対象への作用物質の投与による)で実施され得る。本発明それ自体は、マーカータンパク質または核酸分子の異常な発現または活性を特徴とする疾患または障害に罹患した対象の処置方法を提供する。本方法の一実施態様では、マーカータンパク質の発現または活性をモジュレーション(例、アップレギュレーションまたはダウンレギュレーション)する作用物質(例、本明細書記載のスクリーニング検定法により同定される作用物質)または作用物質の組合せを投与する。本方法の別の実施態様では、低下したか、または異常マーカータンパク質の発現または活性を補償するための治療としてマーカータンパク質または核酸分子を投与する。
マーカータンパク質活性の刺激は、マーカータンパク質が異常にダウンレギュレーションされている状況および/またはマーカータンパク質活性の増加が有益な効果を有すると思われる状況では望ましい。例えば、マーカータンパク質活性の刺激は、マーカーがダウンレギュレーションされている状況および/またはマーカータンパク質活性の増加が有益な効果を有すると思われる状況では望ましい。同様に、マーカータンパク質活性の阻害は、マーカータンパク質が異常にアップレギュレーションされている状況および/またはマーカータンパク質活性の減少が有益な効果を有すると思われる状況では望ましい。
本発明のマーカータンパク質および核酸分子、並びに本明細書記載のスクリーニング検定法により同定されるマーカータンパク質活性(例、マーカー遺伝子発現)に対して刺激または阻害効果を及ぼす作用物質またはモジュレーターを対象に投与することにより、異常なマーカータンパク質活性に伴うマーカー関連疾患(例、前立腺癌)が(予防的または治療的に)処置され得る。上記処置と関連して、薬理遺伝学(すなわち、対象の遺伝子型と外来化合物または薬剤に対する前記対象の応答の関係の研究)が考慮され得る。治療薬の代謝の差異は、薬理活性薬剤の用量と血中濃度の関係を改変することにより深刻な毒性または治療の失敗を誘発し得る。したがって、医師または臨床医学者は、マーカー分子またはマーカーモジュレーターを投与するべきか否かを決定し、その用量および/またはマーカー分子またはマーカーモジュレーターによる処置の治療体制を調整する際に直接関連する薬理遺伝学研究で得られた知識を適用しながら考究すればよい。
薬剤応答を予測する遺伝子の同定への薬理遺伝学的アプローチは、「全ゲノム関連解析」として知られ、主として既知遺伝子関連マーカーから成るヒトゲノムの高解像度地図(例、ヒトゲノム上の60000〜100000の多型または可変部位から成る「2対立遺伝子」遺伝子マーカー地図、それぞれ2変異型を有する)に信頼を置くものである。上記の高解像度遺伝子地図を、II/III相薬剤治験に参加している統計的有意数の対象の各々のゲノムの地図と比較することにより、観察される特定薬剤応答または副作用に関連したマーカーが同定され得る。別法として、上記の高解像度地図は、ヒトゲノムにおける1000万程度の既知一塩基多型(SNP)の組合せから作成され得る。本明細書で使用しているSNPは、DNAの一伸長範囲において一ヌクレオチド塩基で起こる共通した変化である。例えば、SNPは、DNAの1000塩基ごとに1回起こり得る。SNPが病気の経過に関与している場合もあり得るが、疾患関連性の無いのが大多数であり得る。上記SNPの発生に基づいた遺伝子地図を考慮に入れれば、対象は、彼らの対象ゲノムにおけるSNPの特定パターンによって遺伝的範疇に分類され得る。この方法で、上記の遺伝的に類似した対象間で共通したものであり得る特性を考慮に入れながら、遺伝的に類似した対象の群に治療体制を適合させることが可能である。
別法として、「候補遺伝子アプローチ」と呼ばれる方法が、薬剤応答を予測する遺伝子の同定に利用され得る。この方法によると、薬剤標的をコード化する遺伝子が既知の場合(例、本発明のマーカータンパク質)、その遺伝子の共通した変異型は全て、母集団からかなり容易に同定できることから、ある遺伝子型に対して別の遺伝子型を有することが特定薬剤応答と関連しているか否かが測定され得る。
複数の上記薬理遺伝学アプローチから得られる情報を用いることにより、対象の予防的または治療的処置に関して適切な用量および処置法が決定され得る。この知識を投薬または薬剤選択に適用することにより、有害な反応または治療上の失敗が回避され得るため、マーカー分子またはマーカーモジュレーター、例えば本明細書記載の典型的スクリーニング検定法の一つにより同定されたモジュレーターで対象を処置したときに治療または予防効率を高めることができる。
以下、実施例により本発明についてさらに詳しく説明するが、限定的なものとみなすべきではない。本明細書全体で引用した全ての参考文献、特許および公開特許出願の内容については、出典明示により援用する。
実施例
実施例1:急性拒絶を示す遺伝子発現シグネチャーの同定
2.1 データ収集
2つのマイクロアレイのデータセットを、Gene Expression Omnibus(GEO)からダウンロードした。アクセス番号GDS365を通じてカスタマイズした2−チャンネルcDNAマイクロアレイ・プラットフォーム(Lymphochip)で一つの分析を遂行した(データセットD)(Stanford et al. New England Journal of Medicine 2003;349(2):125−138)。2003年に発表されたこの研究は、腎臓移植の遺伝子発現プロファイリングにおけるレファレンスとしてみなされる。Affymetrics U95A バージョン2プラットフォームで実施した別の分析は、アクセス番号GDS724により入手可能である(データセットA)(Flechner et al. American Journal of Transplantation 2004;4(9):1475−1489)。これら2つの公開データベースを、両方とも Affymetrix HG-U133 Plus2 チップで実施したデータセットCおよびデータセットBを含む3つの内部分析結果と比較した。これらのヒト研究に加えて、Affymetrix HG−U133Aを用いて、メタアナリシス試験をヒト以外の霊長類(NHP)について実行した(データセットE)(Novartis RDS番号:RD−2003−02871)。最後に、メタアナリシスは、総数40の急性(AR)とボーダーライン、61の正常非拒絶(正常)および22の非移植対照腎臓生検材料(対照)を含む(表1)。メタアナリシスにおける全データを、2−チャンネルcDNAマイクロアレイに基づくデータセットDを除いてAffymetrix プラットフォームで作成した。
表1:1データセット当たりの試料数
Figure 2009529340
2.2 初回データ分析
2.2.1 統計的フィルタリング
全データセットについて、正常または対照対ボーダーラインおよび急性拒絶試料の間における同一対比較法を実施した。Affymetrix マイクロアレイで実施した試験については、MAS5正規化遺伝子発現値を、以下の分析処理にかけた:
−未補正値>=最小群のチップの75%中における80
−一元配置ANOVA(p<=0.05)
−倍率変化>=2
データセットDは2−チャンネルcDNAマイクロアレイに基づくため、unlog2比の値を使用し、一元配置ANOVA(p<=0.05)および試験条件間における倍率変化2を適用した。
異なる分析から得られたプローブセットを、HG_U133_plus 2チップ識別子(マッピング参照)に翻訳し、交差させることにより共通の遺伝子発現シグネチャーを同定した。
2.2.2 マッピング
2つの異なる戦略を用いて、異なるプラットフォーム(HG_U95Av2、HG−U133A、cDNAマイクロアレイ)からの結果をHG−U133_Plus−2プラットフォームにマッピングした。
1)Affymetrix HG U95Av2およびHG−U133Aチップからの結果に関する戦略
HG U95Av2またはHG−U133AからHG−U133_Plus−2へのプローブセットの直接マッピングを、Novartisでの Demon アプリケーションの“Sequence Set Mapping”機能を通して行った。
2)cDNAマイクロアレイLymphochip(データセットD)からの結果に関する戦略
データセットD分析からの結果は、NCBIアクセス番号をもつcDNAフラグメントを含む。これらのフラグメントを、Novartisでの社内データベース、SRSを通じてダウンロードした。さらに、BLASTアプリケーションを適用して、ヒットを特定することによりcDNAフラグメントをHuman Refseq 転写物および Compugen Human Transcripts にマッピングしたところ、そのアラインメントは入力cDNAフラグメント配列の>=75%長を含み、アラインメントにおいて>=95%の同一性を共有している。RefReq および Compugen からの出力を、Demon により分析し、これらの転写物ヒットをHG−U133_Plus−2におけるプローブセットにマッピングした。
2.2.3 独立データセット分析
データセットA
MAS5未補正値をGEOからインポートし、HG−U95Av2ゲノムを用いて GeneSpring で分析した。このデータセットは、生きているドナー対照9名、急性拒絶が組織学的に確認されたレシピエント7名から得た腎臓生検材料、および移植片機能が良好であり組織が正常である患者において移植後1年を超える時点で採取した10のプロトコル生検材料により構成される。前記の統計的フィルタリングを用いて、急性および健康な非移植(正常)腎臓間で比較するため470のプローブセットを選択した(図1)。急性および正常試料間における比較により、871プローブセットがリターンされる。次いで、これら2つの遺伝子リストを、HG U95Av2からHG−U133_plus2に翻訳し(マッピング参照)、さらにメタアナリシスに使用する1420のプローブセットをリターンした。
注:多数の遺伝子が、ARおよび正常試料では対照と比べて変化している。正常試料は拒絶の臨床的証拠を全く示さないが、将来的または既往の急性症状の発現を反映する遺伝子発現に関しては亜(急性)活性化状態を示している。この亜急性活性化は、将来的な拒絶応答を予測するものであると考えられる。
データセットB
MAS5未補正値をNPGN(Novartisでの社内データベース)からダウンロードし、HG−U133A_plus2ゲノムを用いてGenespring で分析した。このデータセットは、合計30名の患者について1患者あたり3連続の診断用生検材料により構成される。移植後の来診の動態は、6、12および24週間であった。この試験は、Novartisとドイツ国ハノーヴァーの Medizinische Hochschule からのHannover 教授の共同研究で綿密に行われた。試験経過中に拒絶の徴候を示さない患者からの健全な生検材料のみを使用した。これは、30の健全な異なる生検材料を表す。前記の統計的フィルタリングを用いて、969のプローブセットを急性および健康な移植腎臓(正常)間での比較用に選択した。急性およびボーダーライン間の比較により、140のプローブセットをリターンする。合同リストは、1088のプローブセットをリターンする(図1)。
データセットC
未補正データをGDLからダウンロードし、HG−U133A_plus2ゲノムを用いてGenespringで分析した。このデータセットは、対照腎摘患者からの正常腎臓の13試料、7ボーダーライン生検材料、急性拒絶(AR)を伴う9腎臓生検材料およびCAN(AR+CR)のトップでの急性拒絶を伴う7腎臓生検材料により構成される。腎臓コア生検材料を、RNAlater(Ambion)でサンプリングし、RNAを RNeasy(Qiagen)により抽出した。高品質総RNA50ngを、Affymetrix2サイクルcDNA合成増幅(Affy SSTv2)にかけ、蛍光標識し、HG−U133Plus2ヒトゲノムアレイにハイブリダイゼーションさせた。正常移植腎臓からの13の追加生検材料は利用可能であるが、この群での不均一性が高いためメタアナリシスには含めなかった。前記の統計的フィルタリングを用いて、1611のプローブセットを急性および健康な非移植腎臓間での比較用に選択した。急性およびボーダーライン間の比較により420のプローブセットをリターンし、健康およびボーダーライン間の比較により851のプローブセットをリターンする。合同リストは2182のプローブセットをリターンしている(図1)。
データセットD
この分析では、合計59の試料を小児腎臓同種移植レシピエント(移植後1ヶ月〜10年で、急性同種移植片機能不全中、基準線から血清クレアチニン濃度の10パーセントを超える増加により特定)から入手し、8試料をドナーから入手した。生検試料を全て急速冷凍した。約12440のヒト遺伝子を表す28032のDNAスポットを含む Lymphochipでマイクロアレイ実験を実施する。全RNAを冷凍生検材試料から単離した(TRI試薬、Molecular Research Center)。RNAの共通レファレンスプールを内部標準として用いた。試料またはレファレンスRNAを2連続ラウンドの増幅にかけた後、マイクロアレイとハイブリダイゼーションさせた。Log2比の値をGEOからダウンロードし、線形値に変換し、前記の統計的フィルタリングを用いて Genespringで再分析した。異なるデータセット間において分析の一貫性を保つため、正常試料(15生検材料)対急性IおよびII型(合計15の急性生検材料)を比較したが、III型試料については廃棄した。これらの型は、生検材料を分類するためこの分析で使用しているARの異なるレベルを指す。包括的分析において、我々は、IおよびII型を類似しているものとみなし、III型についてはこの拒絶レベルが極めて稀であるため含めなかった。この新しい分析によりlymphochip 分析では842のプローブセットをリターンし、HG−U133_plus2チップへのマッピング後には790をリターンした(マッピング参照)。
データセットE−ヒト以外の霊長類
Mas5未補正データをNPGNデータベースからエクスポートし、HG_U133Aゲノムを用いてGenespringで分析した。移植後の様々な時点で集めたカニクイザルの腎臓同種移植片によりこの試験を実施した。生検材料について急性拒絶、ボーダーラインおよび正常なものとして組織学的に診断を下した。各移植片について、皮質を切除し、液体窒素で急速冷凍した。正常対AR比較(各群n=6)は、2倍を超える率で著しく変化している2636遺伝子をリターンし、HG−U133Plus2チップでの翻訳後には4430のプローブセットをリターンしている(図1)。
3.結果
3.1 腎臓急性拒絶のメタ−シグネチャー
急性拒絶に関する系統的遺伝子発現シグネチャーを同定するため、我々は、得られた各データセットの遺伝子リストを交差させた。表2は、4つのヒトおよびNHPデータベース間における連続的オーバーラップを示す。
表2:5再分析データセット間における急性拒絶シグネチャーの交差
Figure 2009529340
この戦略は、正常または健康な腎臓と比べて全急性試料において系統的にアップレギュレーションされている81のAffymetrix プローブセットにより表わされた57遺伝子の共通転写プロフィールを明らかにする(表3)。興味深いことに、95のプローブセットが4つのヒトデータセットから系統的に見出されることがわかる。それらのうち、81はNHP分析を通して確認されている(表2)。図2は、オーバーラップしたデータセットの数によるプローブセット−交差展開の数を示す。2データセットの交差(それらの交差順序とは無関係)により、オーバーラップ遺伝子での急降下が誘導された。この現象は、分析したデータの高い変動性により確実に説明される。しかしながら、オーバーラップの数の増加が、遺伝子の数の顕著な減少を招くわけではなく、交差曲線は安定水準に達する傾向を示す。この結果は、この交差方法により、急性同種移植片拒絶に関する確固たるシグネチャーとして一貫して見出される一連の遺伝子を同定することが可能であることを示している(表3)。
重要なことに、これらの57遺伝子は、主として造血細胞特異的であり、移植臓器におけるT細胞、B細胞および抗原提示細胞(APC、単球/樹状細胞/マクロファージ)浸潤を反映する。免疫プロテアソームおよび主要組織適合性(複合体)クラスIおよびII経路並びにIFN−γ、ケモカイン、アポトーシスおよびインテグリンシグナリングは、この転写プロフィールに関連した他の優勢な生物学的機能を表す。したがって、このメタアナリシスからは、急性拒絶反応の病態生理学において重要であることが知られている最も重要で一貫した特徴が抽出され(Halloran et al. N.Engl.J Med 2004;351(26):2715−2729)、さらなるバイオマーカーの発見に関する優れた基礎情報が提供される。驚くべきことに、ヒト食細胞NADPHオキシダーゼ経路は、全データセットの中でも高度に保存されていると思われることから、活性化されたマクロファージおよび好中球によるスーパーオキシドアニオンの生成が腎臓損傷に至る急性拒絶過程において重要な役割を演じている可能性があることが示唆される。
表3.急性メタ−シグネチャー
Figure 2009529340
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3.2 分類および予測
3.2.1 階層的クラスタリング判別分析
ボーダーライン、正常または対照試料に対して急性試料を比較分類するこの遺伝子セットの能力を評価するため、我々は、各対象分析において異なるアレイの階層的クラスタリング分析を実施した。クラスタリングは、正規化された値および標準的相関関係に基づいていた。各データセットについて結果を記載する。各横行は対象プローブセットを表し、各縦行は対象試料を表す。ヒートマップ上の各タイルは、単一マイクロアレイにおける一遺伝子の発現レベルを表す。赤色および緑色は、転写物レベルが試料全体におけるその遺伝子に関するメジアンより上および下であることを示す。色彩度は、メジアンからの差異の大きさに比例している。データセットDは未補正発現値ではなく比の値に基づくため、ヒートマップは他の4つのデータセット分析と比べて相違していると思われる。
3.2.1.1 データセットE−NHP
メタアナリシスで同定された81のプローブセットを用いると、階層的クラスタリング分析は、高い有意性で急性拒絶腎臓対正常試料を完全に分離し得る(図3)。ここでの遺伝子は全て、急性拒絶反応中に系統的にアップレギュレーションされている。図3は、データセットE−NHPの標準的相関関係をもつ階層的クラスタリングを示す。
3.2.1.2 データセットB
81のプローブセットによる階層的クラスタリングは、急性およびボーダーライン対正常試料の大部分を正確に分類することができる(図4)。1急性試料はボーダーライン試料と分類され、1ボーダーライン試料は正常試料と明確に分類される。興味深いことに、このクラスタリングは、正常患者の2つの異なる群を示す。第1の群はメタ−シグネチャー遺伝子のアップレギュレーションの兆候を全く示さない。第2の群は、ボーダーライン試料と類似した形でこれらのマーカーの弱いアップレギュレーションを明らかに示す。図4は、データセットBの標準的相関関係をもつ階層的クラスタリングを示す。
3.2.1.3 データセットC
ここで、メタ−シグネチャーは、対照試料として反応を示す一急性試料を除き、急性試料対対照を正確に分類することができる(図5A)。この特定データセットでは、ボーダーラインおよび対照試料は、それらの遺伝子の低い発現または発現の欠如に関して非常に類似しており、急性試料からは容易に分離され得る(図5B)。しかしながら、1ボーダーライン試料は、明らかに急性試料として分類される。これら2つの誤分類された患者については病気の展開を追跡する機会を設けた。
チップ4058に関連した患者は、4月29日にボーダーラインとして診断されたが、遺伝子リストにより急性として分類された。7月7日(2か月後)の2回目の診断は、この患者が急性症状を発現していることを示した。この特定の症例では、生検材料における遺伝子発現変化が、組織学的分類に先行している。
チップ4044に関連した患者は、4月29日に急性として診断されたが、遺伝子リストによりボーダーライン/正常として分類された。興味深いことに、この患者は2か月前に(2月19日に)ボーダーラインとして診断されていた。同じ範囲で、チップ4076に関連した別の患者は、2003年11月12日にボーダーラインとして診断されたが、遺伝子リストにより正常として分類された。11月21日(9日後)の2回目の診断は、この患者が実際に正常として分類されたことを示している。これら2つの症例では、遺伝子発現プロフィールの方が、組織学的解釈よりも正確な診断を下し得る。図5は、データセットCの標準的相関関係をもつ階層的クラスタリングを示す。(A)対照対急性試料分類;(B)対照対ボーダーラインおよび急性試料分類。
3.2.1.4 データセットA
メタ−シグネチャーは、完全に対照腎臓対急性拒絶腎臓を分離することができる(図6A)。ここでもまた、我々は正常群における矛盾を観察し得る(図6B)。1つの群はそれらの遺伝子の発現を全く示さず、対照試料と類似しており、他方の群は対照から急性段階への発現勾配を呈する。図6は、データセットAの標準的相関関係をもつ階層的クラスタリングを示す。(A)対照対急性試料分類;(B)対照対正常および急性試料分類。
3.2.1.5 データセットD
メタ−シグネチャーは、急性対正常試料の大部分を正確に分類することができる(図7)。急性および正常試料の明確な2群は完全に分離されるが、2急性および3対照試料の1中間群は、ボーダーラインとしての反応を示し得る。ここでもまた、分離はアップレギュレーションされた遺伝子の勾配に基づいている。図7は、データセットDの標準的相関関係をもつ階層的クラスタリングを示す。
要約すると、階層的クラスタリングは、81のプローブセットの組合せ(表3参照)が、5つの再分析データセット全てにおいて最も正確に急性対対照、正常およびボーダーライン試料を分類することができることを示している。この結果は、このメタ−シグネチャーに関する強力な診断特性を示唆している。分類は、常に対照および正常試料における発現無しからボーダーライン試料における弱い発現へのアップレギュレーション遺伝子の勾配、次いで完全急性拒絶試料における強いアップレギュレーションと関連している。また、多くの場合、正常移植患者はこの遺伝子発現プロフィールに関する2つの異なる群(対照またはボーダーライン試料と類似)に分類されることを挙げるのも重要である。この観察結果は、当然診断ツールとしてのこのメタ−シグネチャーの確認に強い影響を有すると思われる。
3.2.2 サポートベクターマシーン(SVM)アルゴリズムによる予測
81プローブセットのこの発現パターンが、急性拒絶の結果を予測するツールとして使用され得るか否かをさらに確認するため、我々は、GeneSpringにおけるクラス予測機能を使用した。Class Predictorは、特性未確認の試料または一連の試料において対象パラメーターの値、または「クラス」を予測するように設計されている。次いで、7つのAR+CR試料をデータセットCから試験した。これらの試料は、急性拒絶の組織学的兆候およびその上部では慢性拒絶の追加的兆候を呈する。それらの試料が分析に含まれることはないため、それらは、完全に独立したものであり、現実の予測試験に適切であるものとしてみなされた。SVM予測機能(Golub,T.R. et al.“Molecular Classification of Cancer:Class Discovery and Class Prediction by Gene Expression Monitoring”、Science、v286、531−537頁(1999))、および「対照、ボーダーライン、急性」比較(データセットAから)を練習用セットとして用いることにより、7つのAR+CR試料のうち5つは急性として予測された。1試料はボーダーラインとして、また1試料は対照として予測される。
4.結論
これらの結果は、異なる5データセットのメタアナリシス後、腎臓急性拒絶の共通のトランスクリプトームプロフィールが同定されたことを示す。このプロフィールは、分析した全急性試料においてアップレギュレーションされている81のプローブセット(57遺伝子に相当)を含む。これらのメタ−シグネチャー遺伝子は、同種移植拒絶の発生にとって決定的であること知られている生物学的機構と高度に関連しており、5つの独立試験において急性対正常試料を正確に分類することができる。したがって、このメタアナリシスの結果は、急性同種移植拒絶の診断に適切な遺伝子発現の確固たる組合せを提供するものである。
均等
当業者であれば、明細書に記載した本発明実施態様に関して多くの均等な事物があることを認識しているか、または単なる常用実験手順を用いて確認できるはずである。上記の均等な事物も、請求の範囲により包含されるものとする。
メタアナリシスで使用される4つの独立したAffymetrixデータセットからの遺伝子の遺伝子発現プロフィールを示す。 様々なデータセットのオーバーラップしている結果を示すグラフである。 データセットE−NHPのクラスタリングについての階層図である。 データセットBのクラスタリングについての階層図である。 データセットCのクラスタリングについての階層図である。 データセットAのクラスタリングについての階層図である。 データセットDのクラスタリングについての階層図である。

Claims (48)

  1. 対象における移植臓器の拒絶反応の兆候を評価する方法であって、
    対象から移植後試料を入手し、
    移植後試料における表3の複数の遺伝子の組合せの遺伝子発現レベルを測定し、ここでその中の少なくとも1個の遺伝子はNADPHオキシダーゼ経路に関連したものであり、
    移植後試料における少なくとも1個の遺伝子の遺伝子発現の規模を、対照試料における同遺伝子の遺伝子発現の規模と比較し、
    少なくとも1個の遺伝子が対照試料に比べてアップレギュレーションされているか否かを測定し、その結果少なくとも1個の遺伝子がアップレギュレーションされていれば、対象が移植拒絶反応を有する可能性があるものとみなし、それにより対象における移植臓器の拒絶反応の兆候を評価する
    ことを含む方法。
  2. 試料が対象から入手した細胞を含む、請求項1記載の方法。
  3. 試料が移植片の生検材料である、請求項1記載の方法。
  4. 試料が、血液、血清および尿から成る群から選択される、請求項1記載の方法。
  5. 拒絶反応が急性拒絶反応である、請求項1記載の方法。
  6. 急性拒絶反応が初期急性拒絶反応である、請求項1記載の方法。
  7. NADPHオキシダーゼ経路に関連する少なくとも1個の遺伝子と組合せた表3における少なくとも1個の遺伝子がアップレギュレーションされていれば、対象が急性移植拒絶反応を有する可能性があるものとする、請求項1記載の方法。
  8. 試料における発現規模が対照の発現規模の少なくとも約2倍の差を示す、請求項7記載の方法。
  9. 試料における発現規模が対照の発現規模の少なくとも約3倍の差を示す、請求項7記載の方法。
  10. 対象がヒト患者である、請求項1記載の方法。
  11. 移植臓器が腎臓である、請求項1記載の方法。
  12. 対象における移植臓器の拒絶反応の兆候を評価する方法であって、
    対象から移植後試料を入手し、
    移植後試料における造血関連遺伝子、Bリンパ球関連遺伝子、Tリンパ球関連遺伝子、リソソーム関連遺伝子、MHC関連遺伝子、免疫プロテアソーム関連遺伝子、NADPHオキシダーゼ経路関連遺伝子、IFNガンマ経路関連遺伝子、アポトーシス関連遺伝子、およびインテグリンおよび細胞外マトリックス関連遺伝子から成る群から選択される複数遺伝子の組合せの遺伝子発現レベルを測定し、
    移植後試料における遺伝子の組合せの遺伝子発現の規模を、対照試料における同遺伝子組合せの遺伝子発現の規模と比較し、
    遺伝子の組合せが対照試料に比べてアップレギュレーションされているか否かを測定し、遺伝子の組合せがアップレギュレーションされていれば、対象が移植拒絶反応を有する可能性があるものとみなし、それにより対象における移植臓器の拒絶反応の兆候を評価する
    ことを含む方法。
  13. 試料が対象から入手した細胞を含む、請求項9記載の方法。
  14. 試料が移植片生検材料である、請求項9記載の方法。
  15. 試料が、血液、血清および尿から成る群から選択される、請求項9記載の方法。
  16. 造血関連遺伝子が、CD18(NM_000211)、CD44(NM_001001389;NM_000610)、CD44(NM_001001390;NM_001001391)、CD52(NM_001803)、CD53(NM_000560)、造血細胞特異的Lyn基質1(NM_005335)、造血細胞キナーゼ(NM_002110)から成る群から選択される、請求項9記載の方法。
  17. Bリンパ球関連遺伝子が、IgM(BC089412)、IgM重鎖(XM_522973)、CD48抗原(NM_001778)、仮説的タンパク質MGC27165(IgA)(S55735)、PKCベータ1類似体(BM684568)、プロテインキナーゼCベータ1(NM_002738)、およびプロテインキナーゼCベータ1(X06318)から成る群から選択される、請求項9記載の方法。
  18. Tリンパ球関連遺伝子が、CD8抗原アルファポリペプチド(NM_171827;NM_001768)、インターロイキン10受容体アルファ(NM_001558)、リンパ球細胞質ゾル(cystolic)タンパク質1(L−プラスチン)(NM_002298)、リンパ球特異的タンパク質チロシンキナーゼ(NM_005356)、プロテインキナーゼCベータ1(X06318)、プロテインキナーゼCベータ1(NM_002738)、Rac2(NM_002872)、Rho GDP解離阻害剤(GDI)ベータ(NM_001175)、PKCベータ1類似体(BM684568)、SLP76(NM_005565)、Src様アダプター(NM_006748)、およびSTAT1(NM_139266)から成る群から選択される、請求項9記載の方法。
  19. リソソーム関連遺伝子が、リソソーム関連複数回膜貫通型タンパク質−5(NM_006762)、リゾチーム(NM_000239)、およびプレクストリン(NM_002664)から成る群から選択される、請求項9記載の方法。
  20. MHC関連遺伝子が、MHCクラスIB(NM_005514)、MHCクラスIC(NM_002117)、MHCクラスIIDMベータ(NM_002118)、MHCクラスIIDPベータ1(NM_002121)、MHCクラスIIDQベータ1(NM_002123)、MHCクラスIIDRアルファ(NM_019111)、MHCクラスIIDRベータ3(NM_022555;NM_021983)、MHCクラスIIDRベータ3(NM_002124、NM_002125)、およびMHCクラスIIDMアルファ(NM_006120)から成る群から選択される、請求項9記載の方法。
  21. 免疫プロテアソーム関連遺伝子が、プロテアソームサブユニットベータ8型(NM_004159;NM_148919)、プロテアソームサブユニットベータ9型(NM_002800;NM_148954)、プロテアソームサブユニットベータ10型(NM_002801)、TAP1(NM_000593)、およびユビキチンD(NM_006398)から成る群から選択される、請求項9記載の方法。
  22. NADPHオキシダーゼ経路関連遺伝子が、シトクロムb245ベータポリペプチド(NM_000397)、プレクストリン(NM_002664)、rac2(NM_002872)およびRho GDP解離阻害剤(GDI)ベータ(NM_001175)から成る群から選択される、請求項9記載の方法。
  23. IFNガンマ経路関連遺伝子が、ケモカインリガンド5(NM_002985)、ケモカインリガンド10(NM_001565)、ケモカインリガンド9(NM_002416)、GBP1(NM_002053)、GBP2(AL832451)、グランザイムA(NM_006144)、インターフェロン刺激遺伝子20kDa(ISG20)(NM_002201)、プロテアソームサブユニットベータ10型(202659)、プロテアソームサブユニットベータ8型(NM_004159;NM_148919)、プロテアソームサブユニットベータ9型(NM_002800;NM_148954)、STAT1(NM_139266)、TAP1(NM_000593)、およびユビキチンD(NM_006398)から成る群から選択される、請求項9記載の方法。
  24. アポトーシス関連遺伝子が、カスパーゼ1(NM_001223)、カスパーゼ1(NM_033292)、カスパーゼ1(NM_033293)、カスパーゼ1(NM_033294、NM_033295)、CD27(NM_001242)、グランザイムA(NM_006144)、プロテオグリカン1(NM_002727)、TRAF3−相互作用性JNK活性化モジュレーター類似体(NM_025228)、およびTRAF3−相互作用性JNK活性化モジュレーター(XM_514166)から成る群から選択される、請求項9記載の方法。
  25. インテグリンおよび細胞外マトリックス関連遺伝子が、CD18(NM_000211)、CD44(NM_001001389;NM_000610)、CD44(NM_001001390;NM_001001391)、硫酸コンドロイチンプロテオグリカン2(NM_004385)、グリア成熟因子ガンマ(NM_004877)、MMP7(NM_002423)、Rac2(NM_002872)、Rho GDP解離阻害剤(GDI)ベータ(NM_001175)、runt関連転写因子3(NM_004350)、テナシンC(NM_002160)、テナシンC(AL162425)、およびTIMP1(NM_003254)から成る群から選択される、請求項9記載の方法。
  26. 試料における発現規模が、対照の発現規模の少なくとも約2倍の差を示す、請求項9記載の方法。
  27. 試料における発現規模が、対照の発現規模の少なくとも約3倍の差を示す、請求項9記載の方法。
  28. 移植後試料が移植片の生検材料である、請求項9記載の方法。
  29. 移植後試料が、血液、血清および尿から成る群から選択される、請求項9記載の方法。
  30. 拒絶反応が急性拒絶反応である、請求項9記載の方法。
  31. 急性拒絶反応が初期急性拒絶反応である、請求項30記載の方法。
  32. 対象がヒト患者である、請求項9記載の方法。
  33. 移植臓器が腎臓である、請求項9記載の方法。
  34. 拒絶反応を起こしていないことが判明している移植対象から採取した試料における複数遺伝子の組合せの遺伝子発現の規模を基準値とし、
    移植後患者から採取した試料における複数遺伝子の組合せに対応する遺伝子発現の規模を検出し、
    第一の値を第二の値と比較することを含み、第一の値が第二の値より低いかまたは高い場合、移植対象が拒絶反応発症の危険に直面していることが予測され、上記複数遺伝子が表3に示したものである、対象における移植拒絶反応のモニター方法。
  35. 移植当日にドナー対象から採取した試料からの複数遺伝子の組合せに対応する遺伝子発現規模を検出し、
    移植後レシピエント対象から採取した試料からの複数遺伝子に対応する遺伝子発現の規模を検出し、
    第一の値を第二の値と比較することを含み、第一の値が第二の値より低いかまたは高い場合、レシピエント対象が拒絶反応発症の危険に直面していることが予測され、上記複数遺伝子が表3に示したものである、
    対象における移植拒絶反応のモニター方法。
  36. 移植拒絶の危険に直面した対象におけるそのモニター方法であって、
    拒絶阻害剤の投与前に移植対象から投与前試料を採取し、
    投与前試料における複数遺伝子の遺伝子発現規模を検出し、
    移植対象から一つまたはそれ以上の投与後試料を入手し、
    投与後の一試料または複数試料における複数遺伝子の遺伝子発現規模を検出し、
    投与前試料における複数遺伝子の遺伝子発現規模を、投与後の一試料または複数試料における遺伝子発現規模と比較し、
    その結果に応じて作用物質を調節することを含み、上記複数遺伝子が表3に列挙したものである方法。
  37. 処置を必要とする対象における移植拒絶の予防、阻止、縮小または処置方法であって、表3に示した1個またはそれ以上の遺伝子またはそれらの遺伝子によりコード化される遺伝子産物の合成、発現または活性をモジュレーションする化合物を対象に投与することを含み、その結果拒絶反応の少なくとも一つの兆候が改善される方法。
  38. 表3に示した1個またはそれ以上の遺伝子または遺伝子産物の遺伝子発現レベルをモニターすることを含む、移植拒絶の予防、阻止、縮小または処置に使用する作用物質の同定方法。
  39. 移植対象が腎臓移植対象である、上記請求項のいずれかに記載の方法。
  40. 遺伝子によりコード化されるタンパク質の存在を検出することにより遺伝子発現の規模を評価する、上記請求項のいずれかに記載の方法。
  41. タンパク質に特異的に結合する試薬を用いてタンパク質の存在を検出する、請求項40記載の方法。
  42. ノーザン・ブロット分析、逆転写PCRおよび実時間定量的PCRから成る群から選択される技術により遺伝子発現の規模を検出する、請求項35〜41のいずれかに記載の方法。
  43. 複数遺伝子の遺伝子発現の規模を検出する、請求項35〜41のいずれかに記載の方法。
  44. 移植拒絶反応に関するバイオマーカーとしての表3に列挙した複数遺伝子またはその発現産物の組合せの使用。
  45. 対象における移植拒絶反応の予防または処置用の医薬の製造を目的とする、表3に示した1個または複数遺伝子、またはその発現産物の合成、発現または(of)活性をモジュレーションする化合物の使用。
  46. 移植拒絶反応が急性移植拒絶反応であり、遺伝子が表3に列挙されたものである、上記請求項のいずれかに記載の方法または使用。
  47. 試料が、血液、血清および尿から成る群から選択される、請求項34〜36のいずれかに記載の方法。
  48. 対象における移植拒絶反応のモニター方法であって、
    拒絶反応を起こしていないことが判明している移植対象の試料における複数遺伝子の組合せに対応する遺伝子発現の規模を基準値とし、
    移植後対象から採取した試料における複数遺伝子の組合せに対応する遺伝子発現の規模を検出し、
    第一の値を第二の値と比較することを含み、第一の値が第二の値より低いかまたは高い場合、移植対象が拒絶反応発症の危険に直面していることが予測され、上記複数遺伝子が表3に示したものである方法。
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