JP2009527766A - 重複密度(od)ヒートマップおよびコンセンサスデータ表示 - Google Patents

重複密度(od)ヒートマップおよびコンセンサスデータ表示 Download PDF

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Abstract

【課題】大きなデータセットの中でのトレンド視覚化を単純化するような形で多数のデータセットの重複表示を生成または提供するシステムおよび方法を実現する。
【解決手段】大きいデータセットの中でのトレンド視覚化を有利にも単純化するような形で多数のデータセットの重複表示を生成または提供するシステムおよび方法である。複数の類似データセットのために1つの2次元の発生計数アレイが生成される。アレイ中の各要素は、データ値x、yの対応する対がN個のデータセットのうちの複数のものの中で発生する回数であり、各アレイ要素は、xおよびyデータ値の離散的間隔に対応する。ひとたびアレイが生成されたならば、所望の重複百分率と各アレイ要素の値を比較することによって、重複密度のグラフィカル表示を生成することができる。所望の重複百分率を満たす値をもつアレイ要素は、変動する度合いの重複百分率を表わす単数または複数のカラー、陰影および/またはパターンを用いて、表示オブジェクトとしてレンダリングされる。
【選択図】図1

Description

本発明は、一般にデータ表示、より詳しくは、多数の重複するデータセットの表示に関する。
数多くの分野において、科学者は大量のデータの意味を理解しその中にパターンを見出さなくてはならない。その一例は、薬物および疾病といったような動揺に応答した代謝性変化の研究である代謝学(メタボロミクス:metabolomics)の分野にある。代謝学は、核磁気共鳴(NMR)分光法、質量分析法(MS)およびクロマトグラフィといったような分析化学技術と統計的分析を融合させている。創薬および薬品開発の中心となるものと予測されている代謝学は、数多くの疾病のためのより早期で、より速く、より正確な診断を導き得る。
一般に、大量のデータを同時に表示する場合、従来の表示システムを用いてデータ内のトレンドを視覚化することは、不可能と言わないまでも非常に困難であり得る。例えば、図1は、複数のIRスペクトルの従来のグラフィカル表示の一例を示す。各スペクトルに、異なる固有カラーが任意に割当てられる。異なるスペクトルの間には明らかに重複が存在するが、この従来の積層データ表示タイプでは、表示されたIRスペクトル間の最高重複領域を視覚化することは、不可能とは言わないまでも困難である。
従って、上述のおよびその他の問題を克服するシステムおよび方法を提供することが望ましい。かかるシステムおよび方法は、重複するデータの有用な表示を提供しなければならず、増強されたデータマイニングおよびトレンド視覚化能力を提供するためのデータ表示の融通性ある操作を可能にすべきである。
本発明は、大きなデータセットの中でのトレンド視覚化を有利にも単純化するような形で多数のデータセットの重複表示を生成または提供するシステムおよび方法を提供する。一般に本発明は、表示が望まれているあらゆるタイプのデータのグラフィカル表示に適用可能である。例えば、本発明は、ケミインフォマティクス(cheminformatics)、分析情報科学、代謝学、計量化学(ケモメトリクス:chemometrics)、ゲノミクス、プロテオミクス(proteomics)、及びその他の専門領域からの大量のグラフィカルデータを分析するために使用することができ、ライフサイエンスおよび診断を含めた科学研究の全ての部門における適用可能性を有する。
本発明によれば、複数の類似データセットについて2次元発生計数アレイが生成される。アレイ内の各要素の値は、データ値x、yの対応する対がN個のデータセットのうちの複数のものの中で発生する回数であり、各アレイ要素は、xおよびyデータ値の離散的間隔に対応する。発生計数プロセスは、ある態様においては、処理されつつある全てのデータセットの組合せ表示の上に2次元アレイを重ね合わせ、各アレイ要素について、対応するアレイ要素のx−y範囲内のデータをもつデータセットの数を計数することと類似している。ひとたびアレイが生成されたならば、所望の重複百分率と各アレイ要素の値を比較することによって、重複密度のグラフィカル表示を生成することができる。所望の重複百分率を満たす値をもつアレイ要素は、表示オブジェクトとしてレンダリングされる。例えば、ある態様において、重複の特定の百分率または一範囲の重複百分率を表わすOD HEATMAPは、全N個データセット間の最高重複領域を記すための1つの特定のカラー、陰影またはパターンから、中間重複のカラー、陰影またはパターンの一範囲を伴って、全てのデータセットの間の最低の重複の領域を記すための第2のカラー、陰影またはパターンまでの範囲にわたる単数もしくは複数のカラー、陰影、および/またはパターンの一範囲として表示され得る。
本発明のある態様によれば、複数の類似データセットを表示するためのデータを生成する方法が提供されている。この方法は、標準的には、数量xおよびyを表わすデータ値の2つ以上の対を各々含むN個のデータセットのうちの複数のものを受信するステップと、各アレイ要素について発生計数値Mを決定することによりX×Y個の要素を含む発生計数アレイを生成するステップであって、各発生計数値Mが、N個のデータセットのうちの複数のものの中で対応するデータ値x、y対が発生する回数であり、各アレイ要素がxおよびyデータ値の離散的間隔であるステップと、を含む。この方法は、同じく標準的に一範囲のデータ重複百分率を識別する重複密度指標を受信するステップと、識別された重複百分率範囲内にあるアレイ要素を決定するステップと、識別されたデータ重複百分率範囲内にあるアレイ内の前記要素を表わすグラフィカル表示のためのグラフィカルデータを生成するステップと、を含む。ある態様においては、この指標は、0%〜100%の間のデータ重複百分率範囲を識別することができ、対応する表示は2個のデータセットと全N個のデータセットの間の和集合を表わす。ある態様では、指標は100%に等しいデータ重複百分率を識別することができ、表示は全N個のデータセットの共通集合を表わしている。ある態様では、指標は0%に等しいデータ重複百分率を識別でき、表示は全N個のデータセットの差集合または全N個のデータセットの固有値をあらわす。
本発明の別の態様によれば、プロセッサにより実行された時点で、複数の類似データセットの表示をレンダリングするためのグラフィカルデータを生成するようにプロセッサを制御するためのコードを含むコンピュータ可読媒体が提供されている。このコードには、標準的に各発生計数値Mが、N個のデータセットのうちの複数のものの中で対応するデータ値x、y対が発生する回数であり、各アレイ要素がxおよびyデータ値の離散的間隔であるものとして、各アレイ要素について発生計数値Mを決定することによって、数量xおよびyを表わすデータ値の2つ以上の対を各々含むN個のデータセットのうちの複数のもののための、X×Y個の要素を含む発生計数アレイを生成するための命令が含まれる。コードにはまた、ユーザーが入力した重複密度指標に応答してもつ識別された重複百分率内にあるアレイ要素を決定するための命令も含まれる、ここでこの指標はデータ重複百分率を識別する。コードにはさらに、識別されたデータ重複百分率内にあるアレイ内の要素を表わすグラフィカル表示のためのグラフィカルデータを生成するための命令も含まれている。ある態様では、指標は0%〜100%の間のデータ重複百分率範囲を識別でき、ここで対応する表示は2個のデータセットと全N個のデータセットの間の和集合を表わしている。ある態様では、指標は100%に等しいデータ重複百分率を識別し、ここで表示は全N個のデータセットのうちの複数のものの共通集合を表わしている。ある態様においては、指標は0%に等しいデータ重複百分率を識別でき、ここで表示は全N個のデータセットの差集合または全N個のデータセットの固有値を表わしている。
図面およびクレームを含む、明細書の残りの部分を参照することで、本発明のその他の特長および利点が認識される。本発明のさらなる特長および利点ならびに本発明のさまざまな実施形態の構造および運用について、以下で、添付図面に関連して詳述されている。図面中、同じ参照番号は、同一のまたは機能的に類似の要素を表わしている。
本発明は、大きなデータセット内のトレンド視覚化を有利にも簡略化するような形で多数のデータセットの重複表示を生成または提供するシステムおよび方法を提供する。一般に、本発明は、表示されることが望まれるあらゆるタイプのデータのグラフィカル表示に対し適用可能である。
ある態様では、例えば、本発明は、以下のグラフィカルオブジェクトタイプを含む大きなデータセット内のトレンドおよび共通性を評価し発見するために有用である。すなわち、円偏光二色性(CD)、導電率測定法、電量測定法;ゲル電気泳動法などの結果としてもたらされるデンシトグラム、示差走査熱量測定法(DSC)、示差熱分析法(DTA)、電子スピン共鳴(ESR)、ゲル電気泳動法などの結果としてもたらされるエレクトロフェログラム、ガスクロマトグラム(GC)、高性能液体グロマトグラム(HPLC)、ヒストグラムプロット、赤外線(IR)スペクトル、イオン移動度分光分析(IMS)、液体クロマトグラム(LC)、質量スペクトル(MS)、核磁気共鳴(NMR)、旋光分散(ORD)、ポーラログラフィ、電位差測定法、ラマンスペクトル、超臨界流体(SCF)クロマトグラム、熱重量分析(TGA)、紫外−可視(UV−Vis)スペクトル、ボルタンメトリ、螢光X線(XRF)スペクトル、X線粉末回折(XRPD)、X−Y折れ線グラフ、X−Y散布図その他である。
ある態様では、本発明は、各々分析的に注目する数量を表わす一対の値を有する、複数のデータポイントを各々含むデータセットの処理に適用可能である。かかるデータセットは、一方の軸が1つの注目する数量を表わし、もう一方の軸がもう1つの注目する数量を表わしている2次元座標系内で表現することができる。例えばIRスペクトルの場合には、値対は周波数(または波長)と強度値を表してもよい。図1は、複数のIRスペクトルの従来のグラフィカル表現の一例を示しており、ここでx軸は波長値を表わし、y軸は(正規化された)強度値を表わす。各スペクトルには、異なる固有カラーが任意に割当てられる。異なるスペクトルの間には明らかに重複が存在するが、この従来のタイプの積層データ表示では、表示されたオブジェクト(表示されたIRスペクトル)の間での最高重複領域を視覚化することは、不可能とは言わないまでも困難である。以下で論述する通り、本発明の技術は、グラフィカルオブジェクトの重複度の増強された視覚化を可能にする。
同様にして、別の態様では、本発明は、各々分析上注目する数量を表わす3つ(以上)の値を有する、複数のデータポイントを各々含むデータセットを処理することに適用可能である。かかるデータセットは、各軸が3つのタイプのデータ値のうちの1つを表わす3次元(またはそれ以上の次元)の座標系内で表示することができる。かかるデータセットは同様に、3つ(以上)のデータ値のうちの2つが2次元座標系を定義づけるのに使用されている状態で、2次元座標系内で検分することもできる。かかるデータセットを2次元座標系で検分することは、3次元(またはそれ以上の次元)の画像の横断面スライスをとることと類似している。従って、本発明は、3(以上の)次元を表わす視覚的表示に適用可能である。しかしながら、単純さを期して、以下の論述は、2次元視覚データ表示に焦点をあてるものとする。
本発明によれば、複数のデータセットまたはデータオブジェクトの重複表示を生成するためのプロセス100の実施形態が、一般的に図2を参照しながら記述される。ステップ100では、複数のデータセットが受信されるかまたはその他の形で取得される。ある態様では、このデータセットは、連続的でかつ1本の軸に沿って離散的な間隔で等しく間隔どりされているデータを内含しているべきである。例えば、図1において、IRスペクトルデータは約4cm-1の離散的間隔でx軸(波数)に沿って連続的データを含む。
プロセス100がIR分光計といったようなデータ取得装置内に常駐する知能モジュール(例えば命令を実行するプロセッサ)内に実装される場合、データセットは、データが収集されるにつれて実時間で知能モジュールに提供され得、そうでなければ、これをメモリユニットまたはバッファ内に保管し、実験が完了したあと知脳モジュールに提供することもできる。同様にして、取得装置へのネットワーク接続(例えばLAN、VPN、イントラネット、インターネットなど)または直接接続(例えばUSB、もしくはその他の有線または無線接続)を介してデスクトップコンピュータシステムまたはその他のコンピュータシステムといった別のシステムにデータセットを提供することもでき、また、CD、DVD、フロッピー(登録商標)ディスクなどといった携帯用媒体上にこれを提供することもできる。ある態様においては、データセットは各々、分析的に注目する数量を表わす少なくとも一対の値(または2次元アレイ)を有するデータポイントを含む。例えば、IRスペクトルの場合、該値対は、周波数(または波長)および強度値を表わす可能性がある。データセットをステップ110で受信または取得した後、このデータセットを処理することができる。
ステップ120では、任意には、データセットが正規化される。例えば、ある態様においては、このデータセットは同じx−y解像度に正規化される。処理中のすべてのデータセットが同じ計器により提供される場合、全てのデータセットが同じx−y解像度を有する確率が高いことから、このステップは必要でないかもしれない。しかしながら、例えば最大値で全データセットを除し任意の値を乗じることなどにより、1または100といったような任意の値に最大値をセットすることでxおよび/またはy値を正規化することも可能である。付加的には、データセットをステップ110以前に正規化することが可能である。例えば、別のプロセスまたはシステムがデータセットを正規化し、処理および重複およびコンセンサス表示の生成のための正規化されたデータセットを提供することができる。
ステップ130では、発生計数プロセスが実行される。ある態様においては、2次元発生計数アレイが生成される。この態様においては、各データセットが同じx軸範囲及び同じy軸範囲に分割される。例えば、x軸を1000の離散的間隔に分け、y軸を1000の離散的間隔に分ける可能性があり、これは1000×1000という次元の発生計数アレイ(106個のアレイ要素)に対応し、そうでなければ、x軸を1000の離散的間隔に割り、y軸を500の離散的間隔に割ることができ、これは1000×500の次元の発生計数アレイ(5×105個のアレイ要素に対応する。一般に、x軸およびy軸の間隔は同じであっても、異なるものであってもよい。同様に、発生計数アレイは、最高106、108、1010またはそれ以上のアレイ要素の数を有するものといったようにあらゆる次元のものであり得る。発生計数プロセスは、処理中の全てのデータセットの組合せ表示全体にわたり2次元アレイを置き、各アレイ要素について、そのアレイ要素のx−y範囲内にデータを有するデータセットの数を計数することと類似している。
図3は、2つのデータセットについて4×4の発生計数アレイを生成する簡略化した例を示している。図3aは、x−y座標系中にプロットされた2つのデータセットを示す。図示されているように、プロットは、合計16のアレイ要素について4つのx値間隔と4つのy値間隔にわたっている。図3bは、各々の個別データセットについて1つの発生計数アレイを例示している。この例では、4×4アレイ内の各アレイ要素には、データセットがそのアレイ要素のx−y範囲内のデータを内含しているか否かにより1または0が割当てられる。図3cは、両方のデータセットのための組合せ型発生計数アレイを例示している。これを見るとわかるように、各アレイ要素は、データセットがそのアレイ要素範囲内にデータを内含するか否かにより、0、1または2の値を有する。この態様において、発生計数アレイを生成する場合、各アレイ要素は発生計数プロセスが適用されるデータセットの数である0〜Nの範囲内の値Mを有することになる。Nという値をもつ該発生計数アレイ内のあらゆるアレイ要素が、全N個のデータセットに共通であるデータポイントを表わす。同様にして、0という値をもつアレイ要素は、N個のデータセットのいずれにも含まれないデータポイントを表わす。中間値(M=1〜N−1)は、1個以上であるがN個のデータセットの全てではないデータセットに共通であるデータポイントを表わす。特異的アレイ要素についての共通性度は、特定のアレイ要素値の値Mを処理されるデータセットの数Nで除することによって決定できる。すなわち、
M/N=共通性度
M/N=1である場合には、処理される全てのデータセットは、該アレイ要素により表わされるデータ値を含む。アレイ要素により表わされるそのx−yデータ値範囲内では全てのデータセットの完全な重複が存在する。同様にして、M/N<1である場合、完全な重複未満のものが存在する。M/N=0である場合には、データセットのいずれも、アレイ要素により表わされるx−yデータ値範囲内のデータを含まない。以下でさらに詳細に論述する通り、重複表示をレンダリングする上で使用するための重複度を決定するためには、最大のM値Mmaxひいては発生計数アレイについての最大のM/N値(M/N)maxも同様に有用である。同様に、重複度を決定するためには、発生計数アレイの最小のM値、(M/N)minも有用である。
ある態様においては、発生計数アレイを生成する場合に補間値を用いることができる。例えば、データセットが、1000×1000発生計数アレイについて500のx値しか含まない場合、補間プロセスを(例えば最小2乗プロセス、三次スプライン補間プロセスなどを用いて実施して、補間データ値を提供することができる。同様に、1つのアレイ要素をとり囲む2つ(またはそれ以上)のデータ値の単純平均を使用することもできる。
図2に戻ると、ステップ140で、重複表示が生成される。ある態様においては、ユーザは、表示タイプおよび表示すべき重複度を選択することができる。表示タイプには、以下でさらに詳述する通り、重複密度ヒートマップ(ODヒートマップ)表示および重複密度コンセンサス(ODコンセンサス)表示が含まれる。このステップでは、表示が望まれる重複度が、入力パラメータとして要求される。デフォルトとして、完全な重複を表示するパラメータを提供することができる。1つの態様においては、重複度は、図4〜9に示され以下でより詳しく論述されているスライダ10を用いてユーザが選択できる。
1つの態様においては、例えばデータセットを処理している知脳モジュールと結合されたディスプレイといったような表示装置上で、OD HEATMAPの表示はレンダリングされ得る。本明細書で使用されるOD HEATMAPというのは、重複したデータオブジェクトを表わすオブジェクトである。ある態様においてOD HEATMAPは、全N個のデータオブジェクト(OBJECTS)間の最高重複領域を示すための1つの特定のカラー、陰影またはパターンから、中間重複領域を示すカラー、陰影またはパターンのある範囲を伴って、全てのOBJECTSの間の最低の重複の領域を示すための第2のカラー、陰影またはパターンに至る範囲のカラー、陰影および/またはパターンのある範囲として表示される。一般に「OBJECT」というのは、それが受信したデータセットであるかまたは処理されたデータセット例えばOD HEATMAP OBJECTかOD CONSENSUS OBJECTであるかに関わらずデータセットを意味する。いかなるオブジェクトであろうともそれ自体、例えばその他のデータOBJECTSとの比較のための標準としてOD CONSENSUSオブジェクトを用いて、後の処理のために使用することが可能である。
OD HEATMAPは、全てのOBJECTSの和集合(UNION)を定義する重複したOBJECTSの全ての領域、全てのOBJECTS(INTERSECTION)に共通である重複したOBJECTSの領域、または重複したOBJECTSの各領域内で重複するオブジェクトの百分率により定義されるUNIONまたはINTERSECTIONの間のあらゆる範囲を表示するものとして定義可能である。別の態様においては、OD HEATMAPは、固有であるかまたは異なるものであるかまたは以下で論述する通り、共通の部分がほとんどもしくは全くないOBJECTSの領域を表示するものとして定義可能である。
ある態様では、OD HEATMAPを定義するために、IからJおよびJからKの範囲内の数値スケールが用いられ、ここでKは、オブジェクトの100%が全N個のオブジェクトに重複している(INTERSECTION;(M/N)max)データを表わし、Jは全てのデータ(UNION;M/N>0)を表わし、JとKとの間の中間値は、UNIONとINTERSECTIONとの間の幾分かの範囲を表わす。同様にして、Iは、いかなるオブジェクトも重複しないデータ(UNION MINUS ALL INTERSECTION;(M/N)min)を表わし、IとJとの間の中間値は、UNIONと(UNION MINUS ALL INTERSECTIONS)の間の何かを表わす。I、JおよびKは、I=−100、J=0およびK=100といったようなあらゆる任意の値であり得る。
OD HEATMAPについて表示すべきカラーを決定するために、ある態様においては、正規化された発生計数値が決定され、例えば各アレイ値Mに(カラーの数−1)/Mmaxを乗じることによって、カラースケールに整合させられる。例えば、16のカラー(4ビットカラースケール)については、各々のアレイ要素値に15/Mmaxが乗算される。OD HEATMAP表示例およびHEATMAP オブジェクトおよび表示カラーを決定するためのサンプルコードが以下で紹介される。ある態様では、ユーザは、表示をレンダリングするために用いられるODスケール値および/またはカラースケールを選択することができる。
別の態様では、OD CONSENSUSの表示をレンダリングすることができる。ある態様では、OD CONSENSUSというのは、ODスケール値において全てのデータセット(OBJECTS)の最大値を表わす1つのオブジェクトである。OD CONSENSUSは新規作成され得、そうでなければ、(例えば、ODスケール上のI=INTERSECTION MINUS ALL UNIONS、J=UNION、およびK=INTERSECTIONの任意のスケール上で)重複密度の量を特定し、所与のODスケール値における全てのOBJECTSの最大密度値に基づいて単一のオブジェクトを新規作成することにより、ユーザがいずれかのOD HEATMAPをOD CONSENSUSに変換することができる。OD CONSENSUSは、例えば、その他のデータOBJECTSと比較するための標準として、OBJECTとして使用可能である。ANOD CONSENSUS表示例及びCONSENSUSオブジェクトを決定するためのサンプルコードが以下で紹介される。
図4〜8は、I、JおよびKがそれぞれ〜100、0および100の任意値にセットされている状態でODスケールを用いて本発明によるOD HEATMAPおよびOD CONSENSUS表示の例を示している。図4は、ODスケール値が0にセットされた状態でのOD HEATMAPとして図1に示されたIRスペクトルの表示を示す。ODスケール値が0にセットされた状態で(UNION)、重複密度レベルの如何に関わらず、OD HEATMAPの全ての部域が表示されている。この例では、全てのスペクトルOBJECTSの100%の重複を表わすスペクトル(ODスケール=100)の領域は、赤(この例のために任意に選択されたもの、カラーはユーザが定義できる)で表示され、単一スペクトルにより網羅されたスペクトルの領域(ODスケール=−100)は、紫色(この例のために任意に選択されたもの、カラーはユーザが定義できる)で表示され、中間の重複密度レベルを表わす全てのスペクトル領域は、赤から紫色までの範囲のカラーによって表わされる。
図5は、ODスケール値が100にセットされている状態でのOD HEATMAP表示として、図1に示されたIRスペクトルの表示を示す。ODスケールが100にセットされた状態で、比較されたオブジェクトセット内の全てのOBJECTSの中に存在するスペクトルの部域のみが表示されている。換言すると、図4中で純粋な赤に見えた値のみが、図5中に表示されている。図5は、セット中の全てのスペクトルに共通の部域を明確に示している。
図6は、ODスケール値が50にセットされている状態でのOD HEATMAP表示として図1に示されたIRスペクトルの表示を示す。ODスケールが50にセットされた状態で、スペクトル領域の50%以上が重複しているIRスペクトルの部域が表示されている。すなわち、0.5以上のM/Mmax値をもつIRスペクトル発生計数アレイの部域が表示されている。図6は、スペクトルセット内の最も共通した部域を明確に示している。
図7は、ODスケール値=50、すなわちスペクトルOBJECTSの50%が重複する全てのスペクトル領域の最大値の単一のコンセンサスIRスペクトルを表わすOD CONSENSUS表示を示す。これは図6内に表示されたHEATMAP OBJECTの最大値に対応する。
図8は、ODスケール値が−100にセットされた状態でOD HEATMAP表示として図1に示されたIRスペクトルの表示を示している。ODスケールが−100にセットされた状態で、スペクトル領域の0%が重複しているIRスペクトルの部域が表示されている。すなわち、全く重複のない固有データ(UNION MINUS ALL INTERSECTIONS;(M/N)min)が表示されている。
ある態様においては、ユーザは、ODスケール値をIとJとの間のあらゆる値、例えば−100と0との間のあらゆる小数およびJとKとの間のあらゆる値例えば0と100との間のあらゆる小数にグラフィカル調整することができる。例えば、これは、図9および図4〜8の右側に示されているスライダ10と対話するマウス、キーボードまたはその他の選択デバイスなどを用いて、表示の右側にあるグラフィカルスライダとユーザが対話することにより、リアルタイムで行なうことができる。図示されているように、スライダ10は、「Common,」、「ALL」および「Unique」レベルの中でおよびそれらの間でユーザが選択できるようにする。ある態様では、「All」レベルは、全てのODレベルについて全ODヒートマップを表示する。ある態様において、「Common,」レベルを選択すると、オブジェクトの100%に共通である部域すなわち最高のODレベルをもつオブジェクトのみが表示される。スライダをスケールの「Common,」レベルまで移動すると、最低のODレベルの情報のうちの単数又は複数のものが除去されることになる。「Unique」レベルを選択すると、完全に固有でその他のどのオブジェクトとも共通部分をもたない部域、すなわち最低のODレベルをもつオブジェクトのみが表示される。スライダを「Unique」まで移動させると、最高のODレベルの情報のうちの単数または複数のものが除去されることになる。例えば、図1に表示されたIRスペクトルについては、ユーザがスライダ10から「Common,」を選択した場合、図5に類似した表示が表示されることになる(INTERSECTION)。同様にしてユーザがスライダ10から「ALL」を選択した場合、図4と類似の表示が表示されることになる(UNION)。ユーザがスライダ10から「Unique」を選択した場合、図8に類似した表示が表示されることになる(OD DIFFERENCE;UNION MINUS ALL INTERSECTIONS;(M/N)min)。
ある態様に従って図4〜7に示された表示スライダ10のJからKのスライダ部分を用いてx−y値のスペクトル(2次元)スペクトルの入力アレイに対しオペレーション130および140を実施するように設定されたコードの一例が、以下に示されている。
Figure 2009527766
別の態様に従うと、x−y−z値のスペクトル(3次元)ベクトルの入力アレイについて、ヒートマップアレイが割当てられた場所がX×Y×Zの要素を含み、上述のコードの一部分は、以下のように現われる可能性がある。
Figure 2009527766
この態様においては、3次元グラフィカルOD HEATMAPおよびOD CONSENSUS表示を生成またはレンダリングすることができ、そうでなければ、適切なX−Y、X−ZまたはY−Zヒートマップアレイ要素を選択することにより(例えばz、yまたはxを特定の値にセットすることにより)2次元表示を生成することができる。
1つの態様によれば、表示を生成し図9に示されている全表示スライダ10と共に使用するための正規化されたコンセンサススペクトルを生成するように設定されたコードの一例が以下に示されている。
Figure 2009527766
同様にして、3次元ベクトルのための正規化されたコンセンサスサーフェスを生成するためのコードの一例は、次のように表わしてもよい。
Figure 2009527766
図10に示されているように、さらに別の態様によれば、最小(Min)および最大(Max)の両方のレベルについての個々のスライダアームをもつスライダバーが提供される。上述のコードについては、「Min」および「Max」スライダアームは、ユーザが「MinCutoff」および「MaxCutoff」値を選択することを可能にする。例えば、図1に表示されているIRスペクトルについて、ユーザが図10(1)に示されている設定を選択した場合、図4に類似した表示が表示されることになる(UNION)。同様にして、ユーザが図10(2)に示された設定を選択する場合、図5に類似した表示が表示されることになる(INTERSECTION)。ユーザが図10(3)に示された設定を選択した場合、図8に類似した表示が、表示されることになる(UNION MINUS ALL INTERSECTIONS)。「MinCutoff」および「MaxCutoff」の中間値を選択すると、選択された重複範囲についての表示が生成されることになる。図4−9を再び参照すると、スライダ10は、「MaxCutoff」値が100(または100%)にセットされた状態でユーザが「MinCutoff」値を調整することができるように設定されていることがわかる。
本発明のプロセスまたはその一部分は、コンピュータシステムのプロセッサ上で実行されるコンピュータコード内に実装され得る、ということを認識すべきである。このコードは、プロセス100のさまざまな態様およびステップを実装するべく1つのプロセッサまたは多数のプロセッサを制御するための命令を含んでいる。このコードは標準的にはハードディスク、ROM、RAMまたはCD、DVDなどといったような携帯用媒体の上に記憶されている。同様にしてプロセッサ100またはその一部分は、プロセッサに結合されたメモリユニット内に記憶された命令を実行するプロセッサを含むデータ取得装置内に実装され得る。かかる命令を含むコードの一部分または全てを、コードソースに対する直接的接続または有線および/または無線ネットワーク接続上でデータ取得装置メモリユニットに転送されるかまたはダウンロードされ得るキャリヤ信号の形で体現されてもよいし、そうでなければ周知の通りの携帯用媒体を用いて提供されてもよい。ある態様においては、本発明のプロセスは,C、C++、C#、Fortran、VisualBasicなどといったさまざまなプログラミング言語、ならびに、データの視覚化および分析に有用な予めパッケージ化されたルーチン、機能および手順を提供できるMathematica(登録商標)といったようなアプリケーションを用いて、コード化可能である。後者のもう1つの例としてはMATLAB(登録商標)がある。
本発明のOD表示システムおよび方法は、さまざまな科学的および統計的な研究努力の分野で直接応用可能である。例えば、代謝学の分野では、OD表示システムおよび方法は、研究者が、統計学的分析で分類された各々の疾病状態の結果としてもたらされる収集されたスペクトルまたはクロマトグラムからOD CONSENSUSを用いて、統計学的分析で分類された各疾病状態についてのバイオマーカーを作り出すことを可能にしている。結果としてのOD CONSENSUSスペクトルまたはクロマトグラムにより、研究者は、OD CONSENSUSスペクトルまたはクロマトグラムによってセットされた標準に対し直接未知のスペクトルまたはクロマトグラムを比較することで、1つの疾病状態を診断することができる。OD DIFFERNCES表示も、例えば代謝学の分野で有用である。
GHについて実施例を用い特定の実施形態に関して記述してきたが、GHが開示された実施形態に制限されるものでないということを理解すべきである。反対に、当業者にとっては明白であると思われるようなさまざまな修正および類似の配置はこれを網羅することが意図されている。従って、添付のクレームの範囲には、かかる修正および類似の配置を全て包含するように最も広い解釈がなされるべきである。
従来の積層表示内の、全て直鎖および分枝アルカンである25IRスペクトルを示す図である。 本発明の1実施形態による複数のデータセットまたはデータオブジェクトの重複表示を生成するためのプロセスの結果を例示する図である。 2つのデータセットについての4×4の発生計数アレイを生成する簡略化された例を示す図である。 ODスケール値が0にセットされた状態でのOD HEATMAPとして、図1中に示されたIRスペクトルの表示を例示する図である。 ODスケール値が100にセットされた状態でのOD HEATMAPとして図1に示されたIRスペクトルの表示を例示する図である。 ODスケール値が50にセットされた状態でのOD HEATMAPとして図1に示されたIRスペクトルの表示を例示する図である。 ODスケール値=50、すなわちスペクトルOBJECTSの50%が重複している全てのスペクトル領域の最大値の単一のコンセンサスIRスペクトルを表わすOD CONSENSUSとして、図1中に示されたIRスペクトルの表示を例示する図である。 ODスケールが−100にセットされた状態でのOD HEATMAPとして、図1に示されたIRスペクトルの表示を例示する図である。 ある態様による、ユーザが異なる表示タイプおよびパラメータを選択できるようにするスライダバーを示す図である。 ある態様による、ユーザが最小(Min)および最大(Max)のカットオフレベルの両方を選択できるようにするための、個々のスライダアームを伴うスライダバーを示す図である。

Claims (24)

  1. 複数の類似データセットを表示する方法であって、
    数量xおよびyを表わすデータ値の2つ以上の対を各々含むN個のデータセットのうちの複数のものを受信するステップと、
    各アレイ要素について発生計数値Mを決定することによりX×Y個の要素を含む発生計数アレイを生成するステップであって、各前記発生計数値Mが、N個のデータセットのうちの複数のものの中で対応するデータ値x、y対が発生する回数であり、各アレイ要素がxおよびyデータ値の離散的間隔であるステップと、
    データ重複百分率を識別する重複密度指標を受信するステップと、
    識別された前記データ重複百分率内にあるアレイ要素を決定するステップと、
    前記識別されたデータ重複百分率内にあるアレイ内の前記要素を表わすグラフィカル表示のためのグラフィカルデータを生成するステップと、
    を備える方法。
  2. 同じXおよびY次元にN個のデータセットのうちの複数のものを正規化するステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
  3. 前記正規化するステップが受信ステップの後に実施される請求項2に記載の方法。
  4. 前記正規化するステップが受信ステップの前に実施される請求項2に記載の方法。
  5. 前記グラフィカル表示が、前記識別されたデータ重複百分率を有するアレイ内の全ての要素を表わす重複密度HEATMAP表示であり、異なる発生計数値範囲をもつ要素が異なるカラー、陰影および/またはパターンで表示される請求項1に記載の方法。
  6. 前記重複密度指標が0%〜100%の間のデータ重複百分率範囲を識別し、前記グラフィカル表示が2個のデータセットと全N個のデータセットの間の和集合を表わす請求項5に記載の方法。
  7. 前記重複密度指標が100%に等しいデータ重複百分率を識別し、前記グラフィカル表示が全N個のデータセットの共通集合を表わす請求項5に記載の方法。
  8. 前記重複密度指標が0%に等しいデータ重複百分率を識別し、前記グラフィカル表示が全N個のデータセットの差集合を表わす請求項5に記載の方法。
  9. 前記グラフィカル表示が、前記識別されたデータ重複百分率をもつアレイ内の全ての要素の最大値を表わす重複密度CONSENSUS表示である請求項1に記載の方法。
  10. 前記決定するステップには、
    max≦Nである最大発生計数値Mmaxをアレイ全体について決定するステップと、
    各アレイ要素について、その要素が前記識別されたデータ重複百分率内に入るか否かを見極めるためM/Mmaxと前記重複密度指標を比較するステップと、
    を含む請求項1に記載の方法。
  11. 前記重複密度指標がユーザにより入力される請求項1に記載の方法。
  12. 受信した前記重複密度指標には最小値が含まれ、最大値がプリセットされている請求項11に記載の方法。
  13. 受信した前記重複密度指標には最小値及び最大値が含まれている請求項11に記載の方法。
  14. 受信した前記重複密度指標がユーザにより実時間で調整される請求項11に記載の方法。
  15. データ取得装置内に常駐するかまたはそれに結合されたプロセッサ内に実装される請求項1に記載の方法。
  16. 前記グラフィカルデータを用いて表示装置上でグラフィカル表示をレンダリングするステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
  17. 複数の類似データセットの表示をレンダリングするためのグラフィカルデータを生成するようにプロセッサを制御するためのコードを含むコンピュータ可読媒体であって、前記コードは、
    各発生計数値Mが、N個のデータセットのうちの複数のものの中で対応するデータ値x、y対が発生する回数であり、各アレイ要素がxおよびyデータ値の離散的間隔であるものとして、各前記アレイ要素について発生計数値Mを決定することによって、数量xおよびyを表わすデータ値の2つ以上の対を各々含むN個のデータセットのうちの複数のもののための、X×Y個の要素を含む発生計数アレイを生成する命令と、
    ユーザが入力した重複密度指標に対する応答性をもつ識別されたデータ重複百分率内にあるアレイ要素を決定する命令と、
    識別された前記データ重複百分率内にあるアレイ内の前記要素を表わすグラフィカル表示のためのグラフィカルデータを生成する命令と、
    を含むコンピュータ可読媒体。
  18. 同じXおよびY次元にN個のデータセットのうちの複数のものを正規化するための命令を含む、請求項17に記載のコンピュータ可読媒体。
  19. 前記重複密度指標が0%〜100%の間のデータ重複百分率範囲を識別し、前記グラフィカル表示が2個のデータセットと全N個のデータセットの間の和集合を表わす請求項17に記載のコンピュータ可読媒体。
  20. 前記重複密度指標が100%に等しいデータ重複百分率を識別し、前記グラフィカル表示が全N個のデータセットの共通集合を表わす請求項17に記載のコンピュータ可読媒体。
  21. 前記重複密度指標が0%に等しいデータ重複百分率を識別し、前記グラフィカル表示が全N個のデータセット全体を通して固有の値を表わす請求項17に記載のコンピュータ可読媒体。
  22. 前記グラフィカル表示が、前記識別されたデータ重複百分率をもつアレイ内の全ての要素の最大値を表わす重複密度CONSENSUS表示である請求項17に記載のコンピュータ可読媒体。
  23. 前記グラフィカル表示が、前記識別されたデータ重複百分率を有するアレイ内の全ての要素を表わす重複密度HEATMAP表示であり、異なる発生計数値範囲をもつ要素が異なるカラー、陰影および/またはパターンで表示される請求項17に記載のコンピュータ可読媒体。
  24. 前記決定する命令は、
    max≦Nである最大発生計数値Mmaxをアレイ全体について決定する命令と、
    各アレイ要素について、その要素が前記識別されたデータ重複百分率内に入るか否かを見極めるためM/Mmaxと前記重複密度指標を比較する命令と、
    を含む請求項17に記載のコンピュータ可読媒体。
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