JP2009525733A - 乳房炎耐性 - Google Patents
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Abstract
【選択図】 図1
Description
連鎖不均衡は、過去を遡る組換え事象(recombination events)を反映し、家系(families:ファミリー)内でのLDマッピングの使用はマッピングの分解能を増大させる。LDが存在するのは、集団中に観察されるハプロタイプが、各ハプロタイプにおける個々の遺伝的マーカーの頻度を相互に掛けることによって予測されるハプロタイプ頻度と一致しない場合である。この点で、ハプロタイプという用語は、相互に遺伝する傾向がある一染色体上に存在する一組の密接に連鎖した遺伝的マーカーを意味する。LDマッピングが効率的であるためには、遺伝的マーカーの密度が、所定の集団内でLDが広がる距離と調和する必要がある。多数の遺伝的マーカー(284個の常染色体マイクロサテライトマーカー)を使用する乳牛集団におけるLDの研究において、LDは、染色体内(intrachromosomal)マーカーについて数十センチモルガン(centimorgans)に渡って広がることが実証された(Farnir et al., 2000)。同様に、Georges, M(2000)の報告によれば、家畜における特定の表現型(phenotype)と連鎖する遺伝的マーカーの位置の信頼区間(confidence interval)は、典型的には20〜30cMである(おそらく500〜1000遺伝子に対応する)(Georges, M., 2000)。高い信頼度をもって興味のある特定の領域のマップを使用するために、連鎖不均衡の存在が考慮される。
雄ウシの娘を、乳房炎耐性及びSCCについてスコアリングした。体細胞スコア(somatic cell score, SCS)は、乳記録スキーム(milk recording scheme)から得られるlog10変換した体細胞数値の平均として(10,000/mLで)定義した。この平均は出産後10日〜180日の期間でとった。息子の形質に対する推定育種価(estimated breeding values, EBV)を、家系構成を無視する単一形質の最良線形不偏予測(Best Linear Unbiased Prediction, BLUP)動物モデルを使用して算出した。これらのEBVをQTL解析に用いた。個々の形質で用いた娘の登記項目(registrations)は以下であった:
デンマークにおける臨床型乳房炎:第一出産前5日〜出産後50日の期間での臨床型乳房炎の治療症例、
スウェーデン及びフィンランドにおける臨床型乳房炎:第一出産前7日〜出産後150日の期間での臨床型乳房炎の治療症例、
デンマークにおけるSCS:第一出産後10日〜180日の期間での平均SCS、
スウェーデンにおけるSCS:第一出産後10日〜150日の期間での平均SCS、
フィンランドにおけるSCS:第一出産後10日〜305日の期間での平均SCS。
本発明による方法はウシ被験体の試料を分析することを含む。ここで、当該試料は、当該方法において使用するためのウシ遺伝子材料を提供可能な任意の好適な試料であり得る。ウシ遺伝子材料は、例えば、血液試料、組織試料(例えば脾臓(spleen)、頬側塗抹(buccal smears))、体表(body surface)(毛又は爪)の切取り部、乳及び/又は精液(semen)から抽出、単離され、必要に応じて精製され得る。試料は新鮮でもよく、凍結してもよい。
グランドドーターデザイン(grand daughter design)は、育種において広範に使用されている祖父についての、及び祖父の息子が出生児を出産した場合には当該息子についての、DNAベースのマーカーからデータを分析することを含む。DNAマーカーデータと共に使用されることとなる表現型データは、当該息子の娘由来である。かかる表現型データは、例えば乳生産の特徴、出産に関する特徴、肉質又は疾患であり得る。娘の一群は、その父親から一方のアレルを受け継ぐ一方、別の群の娘は、その父親から他方のアレルを受け継いでいる。2つの群からのデータを比較することにより、特定の染色体の断片が問題の形質に影響を及ぼす1つ又は複数の遺伝子を保有しているかどうかについての情報を得ることができる。QTLが染色体のこの断片内に存在するかどうかを結論付けることができる。
BTAは、ウシ常染色体(Bos Taurus autosome)の短縮形である。本発明の一態様は、ウシ被験体における乳房炎に対する耐性を判断するための方法であって、当該ウシ被験体からの試料中で、乳房炎耐性を示す少なくとも1つの形質と連鎖する少なくとも1つの遺伝的マーカーの有無を検出することを含み、当該少なくとも1つの遺伝的マーカーが、ウシ染色体BTA9上で、多型マイクロサテライトマーカーC6orf93及びinra084に隣接する領域、及び多型マイクロサテライトマーカーC6orf93及びinra084を含む領域、並びに/又はウシ染色体BTA11上で、多型マイクロサテライトマーカーHELMTT43及びBM3501に隣接する領域、及び多型マイクロサテライトマーカーHELMTT43及びBM3501を含む領域に位置し、当該少なくとも1つの遺伝的マーカーの有無が当該ウシ被験体又はその出生児の乳房炎耐性を示す、方法に関する。本明細書に記載されるような連鎖不平衡の概念のために、本発明は、ウシ被験体において乳房炎に対する耐性を判断することにも関する。ここで、少なくとも1つの遺伝的マーカーが、乳房炎に対する耐性についてのウシの形質と連鎖する。ウシ被験体において乳房炎に対する耐性を判断するために、一つより多くの遺伝的マーカーが本発明において利用され得ると理解される。例えば少なくとも1つの遺伝的マーカーとは、精度が増大し得るように、少なくとも2つ以上の遺伝的マーカーの組合せであり得て、例えば少なくとも3つの遺伝的マーカー、例えば4つの遺伝的マーカー、例えば少なくとも5つの遺伝的マーカー、例えば6つの遺伝的マーカー、例えば少なくとも7つの遺伝的マーカー、例えば8つの遺伝的マーカー、例えば少なくとも9つの遺伝的マーカー、例えば10個の遺伝的マーカーである。
表50に、本発明により使用され得るプライマーを示す。表50で特定されるプライマー対は個々に使用してもよく、表50の1つ又は複数のプライマー対と併用してもよい。かかるプライマー又はプローブの設計は、当業者である分子生物学者には明らかであろう。かかるプライマーは、任意の好都合な長さ、例えば最大50塩基長、最大40塩基長、さらに好都合には最大30塩基長、例えば8〜25塩基長又は8〜15塩基長を有する。概して、かかるプライマーは、領域内の対応する野生型又はバリアント遺伝子座(variant locus)と完全に相補的な塩基配列(base sequences)を含むであろう。しかしながら、必要に応じて、過度にオリゴヌクレオチドプローブの判別力(discriminatory power)に影響を及ぼさないという条件で、1つ又は複数ののミスマッチ(mismatches)を導入してもよい。本発明のプライマー/プローブは、検出を容易にするための1つ又は複数の標識を保有し得る。
Tm(℃)=81.5+16.6(log[一価カチオン(monovalent cations)(モーラー(molar))])+0.41(%G+C)−(500/N)
(式中、Nはプローブ長である)を用いて算出される。ハイブリダイゼーションがホルムアミドを含有する溶液中で実行される場合、融解温度は、等式Tm(℃)=81.5+16.6(log[一価カチオン(モーラー(molar))])+0.41(%G+C)−(0.61%ホルムアミド)−(500/N)(式中、Nはプローブ長である)を使用して算出される。概して、ハイブリダイゼーションは、(DNA−DNAハイブリッドについては)Tmより約20〜25℃低い温度で、(RNA−DNAハイブリッドについては)Tmより10〜15℃低い温度で実行される。
遺伝的マーカーが遺伝子材料中に存在するかどうかを検出するために、当業者に既知の標準的方法が適用され得る(例えば核酸増幅を用いて)。遺伝的マーカーが乳房炎耐性形質に遺伝的に連鎖するかどうかを判断するために、順列検定(permutation test)を適用するか(Doerge and Churchill, 1996)、又はピエフォ法(Piepho-method)を適用することができる(Piepho, 2001)。順列検定の原理はDoerge and Churchill(1996)によって十分に記載されている一方、ピエフォ法はPiepho(2001)によって十分に記載されている。回帰法を使用する家系内解析における有意な連鎖に、1変異当たり10000の順列が、順列検定を使用して作製された(Doerge and Churchill, 1996)。5%の染色体全体水準での閾値は、遺伝的マーカーと、乳房炎耐性及び体細胞数形質との間の連鎖についての有意な証拠であると見なされた。また、QTLは異なる雄親家系で確認された。分散成分(variance component)法を使用する家系間解析及び多形質解析(multi-trait analysis)については、ピエフォ法を使用して有意水準(significance level)を求めた(Piepho, 2001)。5%の染色体全体水準での閾値は、遺伝的マーカーと、乳房炎耐性及び体細胞数形質との間の連鎖についての有意な証拠であると見なされた。
本発明の別の態様は、ウシ被験体における乳房炎に対する耐性に関連した少なくとも1つの遺伝的マーカーの有無を検出する際に使用するための診断キットであって、少なくとも1つのオリゴヌクレオチド配列及びそれらの組合せを含み、ヌクレオチド配列が配列番号1〜配列番号192のいずれか及び/又はそれらの任意の組合せから選択される、診断キットに関する。
[実施例]
動物材料は39個の父系性雄親家系(paternal sire families)を有するグランドドーターデザインから成り、出生児を調べた息子の総数は、4つの乳牛品種、即ちデンマークホルスタイン(DH)及びデンマークレッド(DR)、フィンランドエアシャー(FA)及びスウェーデンレッドアンドホワイト(SRB)で1513頭であった。これらの39個の家系は、5つのDH、9つのDR、11個のFA、及び14個のSRBの祖父家系から成る。祖父1頭当たりの息子の数は16〜161頭の範囲であり、平均家系サイズは38.8であった。
以下のプロトコールに従って、精液からゲノムDNAを精製した。精液ストローを解凍後、ストローの両端を鋏で切り落とし、精液内容物を1.5ml容のエッペンドルフチューブに移した。0.9% NaCl 1mlを使用して、ストローを洗い、管中に流し入れた。次にチューブを2000rpmで5分間遠心分離し、その後上清(supernatant)を除去した。この洗浄工程を2回繰り返した。次に、300μlの緩衝液S(10mM Tris-HCl(pH8)、100mM NaCl、10mM EDTA(pH8)、0.5% SDS)、1M DTT 20μl及びプロナーゼ(20mg/ml)(Boehringer)20μlを、チューブに入れる。混合後、チューブをゆっくりと回転させながら一晩インキュベートし、飽和NaCl 180μlを添加後、15秒間激しく撹拌する。チューブを11000rpmで15分間遠心分離する。上清0.4mlを2ml容チューブに移し、96%エタノール1mlを添加し、チューブをゆっくりと回転させることによって混合を達成する。次にチューブを、11000rpmで10分間遠心分離する。液体を注ぎ出すことによって上清を除去し、70%エタノール(0.2ml)を用いてペレット(pellet)を洗浄し、再度11000rpmで10分間遠心分離する。エタノールを注ぎ出し、ペレットを乾燥させて、55℃で30分間、TE緩衝液0.5ml中に再懸濁する。
TEMPアーゼ(GeneChoice)ポリメラーゼ及び供給元(GeneChoice)により提供される反応緩衝液Iを使用して、8μlの容量中でPCR反応を実行した。通常、各多重PCR(multiplex PCR)中には、5つの異なるマーカーが含まれる(DNA 1μl、TEMPアーゼ酵素0.1μl、0.2mM dNTP、1.2mM MgCl2、0.3μM各プライマー)。
本研究のBTA9については、45個のマイクロサテライトマーカーが食肉動物研究所のウェブサイト(www.marc.usda.gov/genome/genome.html)から選択された。BTA9はHSA6qに対してオーソロガス(orthologous)であるので、HSA6qにそって28個の公開された遺伝子及びESTが(Ctgf、Vip、Vil2、Rgs17、Ros1、Slc16a10、Oprm、igf2r、Esr1、Deadc1、Pex3、C6orf93、Ifngr1、Shprh、Epm2a、AK094944、AK094379、Utrn、Tnf、plg、arid1b、Iama4、hivep2、C6orf055、CITED2、RP1−172K10、AIG1、GRM)、SNP及びマイクロサテライトスクリーニングのために選択された。連鎖解析によって、BTA9の緻密なマップを作製するために、本研究で同定された8つの新規のマイクロサテライトマーカー及び29個のSNPが、系統に渡って(across the pedigree)遺伝子型同定された。
遺伝子及びMARCマイクロサテライトを含むマイクロサテライトをマッピングするために、特異的なプライマー対をウシの配列から設計した。染色体9に沿って、総数120個を超えるマーカーをウシRHパネルに用いた。65個の遺伝子及び34個のマイクロサテライトが増幅の成功、即ちウシDNAで適切なサイズのバンドを示し、ハムスターDNAでは増幅しなかった。これらは、3000−ラドパネルロスリン/ケンブリッジウシRHパネル(3000-rad panel Roslin/Cambridge bovine RH panel, Williams et al., 2002)で同定された。RH細胞株DNA 25ng、各プライマー0.5μM、200μM dNTP、3mM MgCl2、0.5UのTaqポリメラーゼ(BIOLine)を含有する全量20μlでPCR増幅を行った。反応条件は、94℃で3分間のタッチダウンから始めた後、93℃で30秒間、1サイクルごと0.5℃ずつ減少させる65〜45℃で30秒間のタッチダウン、及び72℃で1分間を40サイクル、そして72℃で5分間の最終伸長工程であった。PCR反応物を電気泳動し、PCR産物10μlを臭化エチジウム染色ミニゲル(2.5%アガロース)に充填し、2人の独立した観察者がアンプリコン(amplicons)の有無をスコア化した。複製物のパターンの間、又は異なる観察者のスコア間で幾らかの差異があった場合、PCR反応及びゲル電気泳動を繰り返した。幾つかのハイブリッドの結果が不明瞭なままであった場合、マーカーを廃棄した。
雄ウシの娘を、乳房炎耐性及びSCSについてスコア化した。息子の形質に対する推定育種価(estimated breeding values, EBV)を、家系構造を無視する単一形質の最良線形不偏予測(Best Linear Unbiased Prediction, BLUP)動物モデルを使用して算出した。これらのEBVをQTL解析において使用した。個々の形質で使用される娘の登記項目(registrations)は以下の通り。
デンマークでの臨床型乳房炎:第一出産前5日〜出産後50日の期間での、臨床型乳房炎の治療症例。
スウェーデン及びフィンランドでの臨床型乳房炎:第一出産前7日〜出産後150日の期間での、臨床型乳房炎の治療症例。
デンマークでのSCS:第一出産後10日〜180日の期間での平均SCS。
スウェーデンでのSCS:第一出産後10日〜150日の期間での平均SCS。
フィンランドでのSCS:第一出産後10日〜305日の期間での平均SCS。
統計分析
以下で示されるような多くの統計法が、乳房炎に関連する又はそれと連鎖する遺伝的マーカー、ひいては乳房炎耐性の決定に用いられた。
QTLを同定するためには連鎖解析(LA)を用いるが、それは、偶然から予想されるより高頻度で系統内の疾患又は形質価に関連する染色体領域に、遺伝的マーカーを家系内でタイピングすることによって行う。かかる連鎖領域は、偶発的な遺伝的バリアントを包含する可能性が高い。データは一連のモデルを用いて解析した。最初に、すべての形質について多点回帰アプローチを用いた単一形質モデルを家系内で解析した。家系内で有意な効果を有する染色体は、家系間で見出されたQTLを検証し且つQTLを特徴付けるために、分散成分法(variance component method)を用いて解析した。
マーカーの集団アレル頻度(allele frequencies)を、EMアルゴリズムを使用して推定した。その後、アレル頻度が誤差無く分かると仮定した。雄親におけるフェーズを出生児のマーカー型に基づいて決定した。その後、このフェーズが誤差無く分かると仮定した。各マップ位置での分離確率(segregation probabilities)は、Haldaneのマッピング関数を同時使用して、染色体上のすべてのマーカーからの情報を使用して算出した(Haldane, 1919)。表現型を分離確率に回帰した。有意性閾値(significance thresholds)を、順列検定を使用して算出した(Churchill and Doerge, 1994)。
分散成分(VC)ベースの方法(Sorensen et al., 2003)を用いて、家系間連鎖解析を行った。VCを用いたLAでは、任意の2つの創始者ハプロタイプ(founder haplotypes)(Hs及びHm)のQTLアレル間の祖因同一性(Identity by descent, IBD)確率を0、即ち創始者ハプロタイプは関連しなかったと仮定する(Meuwissen et al., 2002)。雄親から父系性若しくは母系性のQTLアレルを受け継ぐ確率を計算するために(Freyer et al., 2004)、雄親ハプロタイプ及び息子の父系性遺伝ハプロタイプ(paternally inherited haplotypes)を用いた。そして、回帰アルゴリズム(Wang et al., 1995)を用いて、IBD行列を計算した。染色体に沿った各マーカーブラケット(
marker bracket)の中点(midpoint)でIBD行列を計算し、続く分散成分推定手順で用いた。QTLによって説明される相加的(additive)な遺伝的分散の総量の割合は、2σ2 h/(2σ2 h+σ2 u)(式中、σ2 h及びσ2 uはそれぞれ、ハプロタイプ効果(haplotypes effect)及び相加的な多遺伝子性効果(polygenic effect)に関連する分散成分に対応する)と推定した。
各形質を、連鎖解析を使用して別個に解析した。完全なモデル(full model)は以下の通り表現され得る:
多形質解析を行った。Lund et al., 2003に従って、モデル(1)をモデル(2)に記載されるように多形質多QTLモデルに拡張させることができる。
形質はnq個のQTLを用いた以下の線形混合モデルを使用してモデル化される:
記号
複合連鎖及び連鎖不平衡解析(combined linkage and linkage disequilibrium analysis)において、任意の2つの創始者ハプロタイプのQTLアレル間のIBD確率を、Meuwissen and Goddard(2001)によって記載された方法を用いて計算した。この方法は、合体理論(coalescence theory)(Hudson, 1985)に基づき、隣接マーカーの状況同一性(identity-by-state, IBS)状態に依存しつつ、2つのハプロタイプが推定QTLにおいてIBDである確率を概算する。要するに、QTLでのIBD確率は、この位置を囲むアレルの周りのマーカーハプロタイプ(marker haplotypes)の類似性に基づいており、即ちこの位置近くに多くの(非)同一マーカーアレル(marker alleles)があれば、当該マップ位置における高い(低い)IBD確率が示唆される。IBD確率の実際の水準は有効集団サイズ(effective population size)、Neに影響される。両方のハプロタイプが共有するマーカーアレルを前提として、現世代と任意のベース世代(Tg世代前)との間の合体(coalescence)の確率を算出する(Hudson, 1985)。観察データからTg及びNeを推定するのは簡単ではない。シミュレーション研究は、QTL位置の推定がNe及びTgの選択に対して比較的鈍感であることを示す(Meuwissen and Goddard, 2000)。したがって、我々はTg=100及びNe=100の値を用いた。10個のマーカーのウィンドウを考慮し、IBD確率を計算した。我々は4マーカーウィンドウも用いて、4マーカーが10マーカーのハプロタイプによって既に同定されたピークを再現するのに十分であるかどうかを調べるために、LDLAピーク領域でのIBD確率を計算した。創始者ハプロタイプを機能的に明瞭に区別できるクラスターにグループ分けした。我々は、距離尺度(distance measure)として(1-IBDij)を用い、階層的クラスター形成アルゴリズム平均連鎖(hierarchical clustering algorithm average linkage)を適用し、すべての創始者ハプロタイプ間の遺伝的関係(genetic relationship)を表す有根樹状図(rooted dendrogram)を作製した。この樹状図を根元から下向きにスキャンし、すべての合体ハプロタイプ(coalescing haplotypes)が距離尺度(1-IBDij)<Tcを有するようなノード(nodes)に達するまで分枝を切断する。クラスターは、共通のノードに合体(coalesce)するハプロタイプの群として定義される。クラスター内のハプロタイプは同一のQTLアレルを有すると仮定し(IBD確率=1.0)、異なるクラスター由来のハプロタイプは異なるQTLアレルを有し、したがって独立していると考える(IBD確率=0)。そのため、連鎖不平衡情報に対応するIBD行列の上部は明瞭に区別できる創始者ハプロタイプに対応する単位行列である。息子の父系性ハプロタイプ(paternal haplotypes)における連鎖情報に対応するIBD行列の下部は、回帰アルゴリズムを用いて構築する(Wang et al., 1995)。IBD行列は、それぞれのマーカー区間(marker interval)の中点で計算し、続く分散成分推定手順で用いた。
平均情報被制限最大尤度アルゴリズム(average information restricted maximum likelihood algorithm)を用いて、分散成分を推定した(Jensen et al., 1997)。このモデルにおけるランダム効果に関する分散成分に関して、被制限尤度を最大にした。特定位置の格子(a grid of specific positions)に渡る一連の被制限尤度を最大にすることによって、QTL位置の被制限尤度のプロファイルが得られる(Sorensen et al., 2003)。染色体に沿って、それぞれのマーカーブラケットの中点でパラメーターを推定した。
ゲノム毎の第一種の過誤(genome-wise type I error)を制御するおおよその閾値水準を計算するための迅速な方法を使用して、分散成分解析についての有意性閾値を算出した(Piepho, 2001)。QTLの存在についての仮説検定は、尤度比検定(likelihood ratio test, LRT)統計、LRT=−2ln(Lreduced−Lfull)の漸近分布(asymptotic distribution)を基礎とした(式中、Lreduced及びLfullはそれぞれ、低減モデル(reduced model)及び完全モデル(full model)下での最大尤度であった)。低減モデルでは、解析する染色体についてのQTL効果を常に排除した。この方法は、順列手順(permutation procedures)の代替法であり、複雑な状況で適用可能である。この方法には、染色体に沿ったそれぞれの推定QTL位置からのLRT、染色体の数、LRTについての自由度(degree of freedom, df)(df=Hfullのパラメーター数−Hreducedのパラメーター数)、及び染色体毎の第一種の過誤発生率(chromosome-wise type I error rate)が必要である。染色体毎の5%の有意水準が有意であると見なした。
表53に、BTA9についての回帰分析の結果を示す。図1〜図8は、回帰分析についてのQTLを示すグラフである。家系間QTL解析でQTLを検出するために、分散成分法を使用した。図9〜図16は、分散成分ベースの方法におけるQTLについてのLD、LDLA及びLDプロファイルを示す。図17〜図20はハプロタイプ効果を示す。
家系内回帰分析によって、CM及びSCSについてのQTLがDR品種中の2つの家系で分離されることが分かった。2つの形質についてのQTLは同じ区間には位置していなかった。VC法を用いた家系間連鎖解析では、QTL効果は有意ではなかった。LDLA及びLD解析では、マーカーBMS2819及びINRA144間の74.08cMで高いQTLピークが観察された。LD解析におけるLRTピーク(13.6)は、複合LDLA解析で観察されたLRTピーク(8.51)よりも高かった。このQTLは、相加的な遺伝的分散の44%及びCMについての表現型分散の22%を説明した。初期設定としては(by default)、10個のマーカーのハプロタイプ(推定位置の各側で5つのマーカー)を用いて、或る位置のIBD確率を求めた。我々は、4つのマーカーのハプロタイプ(即ち推定位置の各側で2つのマーカー)も用いて、これらの4マーカー(BM4208−BMS2819−INRA144−INRA084)ハプロタイプ内に同様のLDLA/LDピークを観察した。この品種におけるこれらの4マーカーブラケット内では、SCSについてのLDLA複合ピークも観察された。IBD確率が0.90以上の雌親(dam)ハプロタイプを一緒にクラスター化した。DRにおいては、クラスター形成前では305個の創始者ハプロタイプが存在し、クラスター形成後クラスターは54個に減少した。5つのクラスターの頻度が5%を超え、最大クラスターの頻度は10%であり、また5つの雄親ハプロタイプが最大クラスターとクラスター形成した。これらの54個のハプロタイプ及びまた雄親から受け継いだハプロタイプについてのハプロタイプ効果が推定された。高及び低乳房炎耐性に関連したハプロタイプが同定された。
家系内回帰分析をフィンランドエアシャー家系で行った場合に、CM及びSCSに影響を及ぼすQTLが分離することが見出された。CMに対するQTLは58〜79cMの間に位置していた。SCSに影響を及ぼすQTLは、32〜44cM(LRT統計ピークは37cMにある)間に位置していた。LAプロファイル上、CMのQTLについての複合LDLAピークがマーカーBM4208−BMS2819−INRA144内に観察された。CMについて、同じ領域でLDピークも観察された。LAプロファイル上、SCsについての1つのLDLAピークがマーカーDIK2810及びDIK5364間の38cMで観察された。CMにおける全分散(total variance)の4%が74cMのQTLによって説明され、このQTLはFAにおいてSCSには効果を示さなかった。38cMでのQTLは、SCSにおいては全分散の18%を説明し、これはCMに対してほんのわずかしか効果がなかった。クラスター形成確率を0.90にすると、CMにおける最大LDLAピーク(即ちマーカーBM4208及びBMS2819間の区間中心(mid interval))では、442個の創始者ハプロタイプが38個のクラスターにグループ分けされた。頻度が5%を超えるクラスターが9つ存在していた。最大クラスターの頻度は14%であった。高及び低乳房炎耐性に関連したハプロタイプが同定された。
DR及びFAウシと同様に、スウェーデンレッドアンドホワイトウシでも、家系内回帰分析を行った場合に、CM及びSCSに影響を及ぼすQTLがBTA9上で分離することが見出された。CM及びSCSについてのQTLは共に同じ区間に位置していた。CMのQTLは家系間LA解析において有意であった(P<0.01)。SCSのQTLは家系間LA解析において有意ではなかった。SCSについてのLRTピークは73cMにあった。家系間解析におけるCMのQTLについての検定統計のピークは67.4cMにあり、QTL区間は59〜81cMであった。LRT統計は家系間LA解析では極めて有意であったが、SRBウシにおけるこのQTLについてのLAプロファイル上ではLDLAピークは全く観察されなかった。LA解析におけるLRT統計のピーク位置で、QTL分散はCM形質の全分散の25%であった。DR及びFA品種のCMのQTLについてのLDLAピークは、SRBで観察されたLAプロファイルに含まれる。CMについてのSRBデータにおいて、LDLAピークは全く観察されなかったが、DR及びFAにおいてピークが位置していたマーカー区間でSRBにおいて多くのクラスター形成が起こっていた。例えば、FAにおいて最大のLDLAピークが位置している、BM4208−BMS2819の区間中心(mid interval)で、及びDRにおいて最大のLDLAピークが位置している隣接区間(BMS2819−INRA144)で、SRBにおける全400個の創始者ハプロタイプの中で、それぞれ37個及び48個のクラスターが存在していた。
デンマークホルスタインウシにおいても、CM及びSCSに影響を及ぼすQTLの分離が家系内回帰分析で示された。CMのQTLは、VC法を用いた家系間LA解析で有意であった(P<0.01)。LAプロファイル上で小さなLDLAピークが観察されたが、DHにおけるQTLについては確証的なLDピークは見られなかった。LAにおけるCMのQTLについてのLRT統計は42.9cMで最大になり、そのLRT統計は10.6であった。QTL区間は29〜51cMと極めて大きく広がっていた。CMのQTLについての1つの小さなLDピークが、DR及びFA集団において74cMで観察されたLDピークと一致している。SCCのQTLの検定統計のピークは48.7cMにあり、区間は44〜58cMである。全分散のうち、各LAにおいて最大ピークをとるQTLによって説明される部分は、それぞれCMについて27%、及びSCSについて17%であった。CMについての最大LDピークは73.35cMにあり、この領域でDRについて高いLDピークが観察された。DHにおいては、SCSについてのLDピークは全く観察されなかった。
品種内(within-breed)LA、LDLA及びLD解析によって、CMに影響を及ぼすQTLが、2つ以上の集団において74cM近辺で分離されることが分かった。したがって、この調査における様々な品種間のデータを組合せて、品種間QTL解析を行った。品種間のQTL解析の結果を表20、21及び22に示す。品種内解析を行った場合、DR及びFAウシにおけるCMのQTLについてのLDLAピークが隣接マーカー区間に位置していた。しかしながら、DR及びFAの複合データを解析した場合は、マーカーブラケット(BMS2819−INRA144)においてCMの高いLDLAピークが観察されたが、これはLDピークとも一致している。FA及びSRBデータの複合解析(combined analysis)によっては、LAプロファイル上でより高いLDLAピークは与えられなかったが、74cMの同じマーカー区間でLDピークが観察された。DR、FA及びSRBの複合データ解析によっても、LA上の同じ領域(即ちBM4208−BMS2819−INRA144)においてより高いLDLAピークが与えられた。LDピークも同じ位置に存在し、LA上のより高いLDLAピークを証明した。DR及びFAの連合解析(joint analysis)によって、SCSのQTLについて、マーカーDIK2810及びDIK5364間の38cMで高いLDLAピークが示された。また、FA及びSRBの複合解析においては、SCSのQTLについて同じ位置でLDLAピークが観察された。しかしながら、DR、FA及びSRBを一緒に解析すると、このLDLAピークは消失した。
SCSは乳房炎耐性の指標形質(indicator trait)である。CMに関与する多くの遺伝子がSCSに対する効果も有していることが予測された。したがって、BTA9上で分離するQTLが両方の形質に対する多面発現効果(pleiotropic effect)を有しているかどうか、又はこのQTLが連鎖QTLであるかを調べるために、CM及びSCSの多形質解析を行った。DRデータの単一形質LDLA解析によっては、同じマーカー区間(即ちBMS2819及びINRA144間)でCM及びSCSのLDLAピークが示されたが、二形質の複合解析によっては、マーカーSLU2及びC6orf93間の69.1cMでLDLAピークが与えられた。品種内解析において、CM及びSCSの両方に影響を及ぼすQTLを有するモデルについて、FA、SRはLDLAピークを示さなかった。しかしながら、3つの品種DR、FA及びSRBを組合せ、二形質モデルで解析した場合、LRTの統計が19.7であるLDLAピークが、INRA144及びINRA084のマーカー区間で観察された。
上記のQTL細密(fine)マッピングの結果は、4マーカー領域(BM4208−BMS2819−INRA144−INRA084)内に、CMについて分離するQTLを指し示す。したがって、創始者ハプロタイプのクラスター形成及びハプロタイプ効果を、マーカーBMS2819及びINRA144間の中点で調べた。これは品種内で行われ、また3つの品種DR、FA及びSRB間でも行われた。これは、これらの3つの品種がその起源で関係しているためである。高及び低乳房炎耐性に関連したハプロタイプが同定された。
統計分析
下記のような多くの統計法が、乳房炎、ひいては乳房炎耐性に関連した、又はそれと連鎖した遺伝的マーカーの決定に用いられた。
偶然予測されるものよりも高頻度で、系統内の疾患又は形質価(trait values)に関連する染色体領域に対して、家系における遺伝的マーカーをタイピングすることによってQTLを同定するのに、連鎖解析(LA)を用いる。かかる連鎖領域は偶発的な遺伝的バリアントを含有する可能性が高い。データは一連のモデルで解析した。3つの相補的アプローチを用いた:(i)GDQTLソフトウェア(B. Guldbrandsten, 2005 personal communication)を用いる回帰ベースの方法(Haley and Knott, 1992)による半同胞家系内分離解析(within half-sib family segregation analysis)、(ii)分散成分法を用いる家系間連鎖解析、及び(iii)分散成分法を用いる複合連鎖不平衡連鎖解析(combined linkage disequilibrium linkage analysis, combined LDLA)。それぞれの形質についての雄親のQTL分離状態を決定するために、GDQTLを用いることによって、それぞれの家系を個々に解析した。それぞれの雄親についての染色体毎の有意水準を求めるのに順列検定を用いた(n=10000)(Churchill and Doerge, 1994)。次の工程は、形質及びQTL位置にかかわらず、QTLを分離する家系からのデータセットを組合せた、分散成分ベースの方法(Sorensen et al., 2003)を用いる家系間連鎖解析であった。Piepho(2001)によって提示された方法を用いて閾値を算出した。第3の工程は、すべての分離家系及び非分離家系を包含する複合LDLA解析(Lund et al., 2003)であった。連鎖QTLから多面発現性(pleiotropic)QTLを分けるために、多形質モデル及び多QTLモデルを解析した。QTLが、2つ以上の品種においてBTA11の同じ領域に分離することが観察された場合、品種間のデータを組合せてLDLA解析を行った。
分散成分(VC)ベースの方法(Sorensen et al., 2003)を用いて、家系間連鎖解析を行った。VCを用いたLAにおいて、任意の2つの創始者ハプロタイプ(Hs及びHm)のQTLアレル間の祖因同一性(IBD)確率を0(即ち創始者ハプロタイプは関連がなかった)と仮定する(Meuwissen et al., 2002)。雄親から父系性又は母系性のQTLアレルを受け継ぐ確率を計算するために、雄親ハプロタイプ及び息子の父系性遺伝ハプロタイプを用いる(Freyer et al., 2004)、そして、再帰アルゴリズムを用いてIBD行列を計算した(Wang et al., 1995)。IBD行列は、染色体に沿った各マーカーブラケットの中点で計算し、続く分散成分推定手順で用いた。相加的な遺伝的分散の全体のうち、QTLによって説明される割合は、2σ2 h/(2σ2 h+σ2 u)と推定した(式中、σ2 h及びσ2 uはそれぞれ、ハプロタイプ効果及び相加的な多遺伝子性効果に関連する分散成分に対応する)。
各形質は、連鎖解析を使用して別個に解析した。完全なモデルは以下の通り表現され得る:
多形質解析を行った。Lund et al., 2003に従って、モデル(1)をモデル(2)に記載されるように多形質多QTLモデルに拡張させることができる。
この形質はnq個のQTLで以下の線形混合モデルを用いてモデル化される:
記号
マーカーでの集団アレル頻度を、EMアルゴリズムを使用して推定した。その後、アレル頻度は誤差無く分かったと仮定した。雄親におけるフェーズは出生児のマーカー型に基づいて求めた。その後、このフェーズは誤差無く分かったと仮定した。各マップ位置での分離確率は、Haldaneのマッピング関数を同時使用して、染色体上のすべてのマーカーからの情報を使用して算出した(Haldane, 1919)。表現型を分離確率に回帰した。有意性閾値を、順列検定を使用して算出した(Churchil and Doerge, 1994)。
平均情報被制限最大尤度アルゴリズム(average information restricted maximum likelihood algorithm)を用いて、分散成分を推定した(Jensen et al., 1997)。このモデルにおけるランダム効果に関する分散成分に関して、被制限尤度を最大にした。特定位置の格子(a grid of specific positions)にわたる一連の被制限尤度を最大にすることによって、QTL位置の被制限尤度のプロファイルが得られる(Sorensen et al., 2003)。染色体に沿って、それぞれのマーカーブラケットの中点でパラメーターを推定した。相加的な遺伝的分散の全体のうち、QTLによって説明される割合は、2σ2 h/(2σ2 h+σ2 u)と推定した(式中、σ2 h及びσ2 uはそれぞれ、ハプロタイプ効果及び相加的な多遺伝子性効果に関連する分散成分に対応する)。
連鎖解析:任意の2つの創始者ハプロタイプ(Hs及びHm)のQTLアレル間のIBD確率を0(即ち創始者ハプロタイプは関連しなかった)と仮定する(Meuwissen et al., 2002)。雄親から父系性又は母系性のQTLアレルを受け継ぐ確率を計算するために、雄親ハプロタイプ及び息子の父系性遺伝ハプロタイプを用いる、そして、回帰アルゴリズムを用いてIBD行列を計算した(Wang et al., 1995)。IBD行列は、染色体に沿った2cM区間毎で計算し、続く分散成分推定手順に用いた。
複合連鎖及び連鎖不平衡解析(combined linkage and linkage disequilibrium analysis)において、任意の2つの創始者ハプロタイプのQTLアレル間のIBD確率を、Meuwissen and Goddard(2001)によって記載された方法を用いて計算した。この方法は、合体理論(coalescence theory)(Hudson, 1985)に基づき、隣接マーカーの状況同一性(identity-by-state, IBS)状態に依存しつつ、2つのハプロタイプが推定QTLにおいてIBDである確率を概算する。要するに、QTLでのIBD確率は、この位置を囲むアレルの周りのマーカーハプロタイプの類似性に基づいており、即ちこの位置近くに多くの(非)同一マーカーアレルがあれば、当該マップ位置における高い(低い)IBD確率が示唆される。IBD確率の実際の水準は有効集団サイズ、Neに影響される。両方のハプロタイプが共有するマーカーアレルを前提として、現世代と任意のベース世代(Tg世代前)との間の合体(coalescence)の確率を算出する(Hudson, 1985)。観察データからTg及びNeを推定するのは簡単ではない。シミュレーション研究は、QTL位置の推定がNe及びTgの選択に対して比較的鈍感であることを示す(Meuwissen and Goddard, 2000)。したがって、我々はTg=100及びNe=100の値を用いた。10個のマーカーのウィンドウを考慮し、IBD確率を計算した。我々は異なるマーカー−ウィンドウ、例えば6マーカー、4マーカー等も用いて、少ないマーカーであっても、10マーカーのハプロタイプで検出したQTL分散を説明するのに十分であるかどうかを調べるために、LDLAピーク領域でのIBD確率を計算した。創始者ハプロタイプを明瞭に区別できるクラスターにグループ分けした。我々は、距離尺度として(1-IBDij)を用い、階層的クラスター形成アルゴリズム平均連鎖を適用し、すべての創始者ハプロタイプ間の遺伝的関係を表す有根樹状図を作製した。この樹状図を根元から下向きにスキャンし、すべての合体ハプロタイプ(coalescing haplotypes)がTcより小さい距離尺度(1-IBDij)を有するようなノードに達するまで分枝を切断する。クラスターは、共通のノードに合体(coalesce)するハプロタイプの群として定義される。クラスター内のハプロタイプは同一のQTLアレルを有すると仮定し(IBD確率=1.0)、異なるクラスター由来のハプロタイプは異なるQTLアレルを有し、したがって独立していると考える(IBD確率=0)。そのため、連鎖不平衡情報に対応するIBD行列の上部は明瞭に区別できる創始者ハプロタイプに対応する単位行列である。息子の父系性ハプロタイプにおける連鎖情報に対応するIBD行列の下部は、回帰アルゴリズムを用いて構築する(Wang et al., 1995)。IBD行列を、それぞれのマーカー区間の中点で計算し、続く分散成分推定手順で用いた。
ゲノム毎の第一種の過誤(genome-wise type I error)を制御するおおよその閾値水準を計算するための迅速な方法を使用して、分散成分解析についての有意性閾値を算出した(Piepho, 2001)。QTLの存在についての仮説検定は、尤度比検定(likelihood ratio test, LRT)統計、LRT=−2ln(Lreduced−Lfull)の漸近分布(asymptotic distribution)を基礎とした(式中、Lreduced及びLfullはそれぞれ、低減モデル(reduced model)及び完全モデル(full model)下での最大尤度であった)。低減モデルでは、解析する染色体についてのQTL効果を常に排除した。この方法は、順列手順(permutation procedures)の代替法であり、複雑な状況で適用可能である。この方法には、染色体に沿ったそれぞれの推定QTL位置からのLRT、染色体の数、LRTについての自由度(degree of freedom, df)(df=Hfullのパラメーター数−Hreducedのパラメーター数)、及び染色体毎の第一種の過誤発生率(chromosome-wise type I error rate)が必要である。染色体毎の5%の有意水準が有意であると見なした。
表57はBTA11上の回帰分析の結果を示す。分散成分法を用いたLA解析の結果は表58に示す。LDLA結果は表59に示し、LD解析結果は表60に示す。図21(FA)、図23(SRB)及び図25(レッド混合)は臨床型乳房炎形質についての回帰分析のためのQTLを示すグラフであり、図22(FA)、図24(SRB)及び図26(レッド混合)は体細胞スコア形質についてのQTLを示すグラフである。家系間QTL解析でQTLを検出するのに、分散成分法を用いた。臨床型乳房炎について、LA、LDLA及びLDを用いた分散成分ベースの方法で得られたQTLプロファイルは、図27(FA)、図28(IBDのための4マーカーウィンドウを用いたFA)、及び図31(レッド混合)に示す。SCS形質についてのLA、LDLA及びLD解析におけるQTLプロファイルは、図29(FA)、図30(SRB)及び図32(レッド混合)に示す。4マーカーのハプロタイプを用いたフィンランドエアシャーにおける最大LDLAピークでの臨床型乳房炎形質に対する大きいクラスターの効果は図33に示す。
回帰分析を用いたBTA11についての8つのフィンランドエアシャー(FA)半同胞家系全データ間解析によって、5%の水準で有意な2つのQTLが得られた。臨床型乳房炎に影響を及ぼすQTLは11.3cMに位置し、体細胞スコアに影響を及ぼすQTLは64.1cMにあった。1つの家系が乳房炎のQTLで有意であった一方で、他の2つの家系は有意性閾値に達していた。これら3つの家系のQTL区間は重複していたが、広い領域に広がっていた。2つのフィンランドエアシャー家系はSCSのQTLについて有意であり、これら2つの家系におけるQTL位置は6cM離れていた。分散成分法を用いた臨床型乳房炎についての家系間連鎖解析の尤度比検定(LRT)の最大統計は、14.2cMで5.74であった。複合連鎖不平衡及び連鎖解析(LDLA)を行った場合、16.8cMではっきりしたQTLピークが存在し、マーカーMNB−40及びAUP1間のLRTは11.82であった。臨床型乳房炎についてのLD解析の最大LRTは、マーカーDIK4637及びUMBTL103間の20.6cMで観察されたが、MNB−40及びAUP1間のLD(LRT=3.18)についても幾らかの証拠が存在していた。臨床型乳房炎の分散のうち、最大LDLAピークにおけるQTLによって説明される部分は、全分散の15%であった。初期設定としては(by default)、IBD確率を推定するのに10マーカーウィンドウを用いた。4マーカーウィンドウでLDLA解析を繰り返した(図28)。マーカーAUP1及びBM716間の17.8cMで、はっきりしたQTLピーク(LRT=9.7)が観察された。この4マーカーの間の区間は2.1cMである。2つのフィンランドエアシャー雄親家系は、SCSのQTLについて55〜70cMの領域で分離していた。最も可能性のあるQTL位置は、すべてのFA家系を包含する多点回帰分析(multipoint regression analysis)において64.1cMであった。分散成分を用いたLA解析は、62.8cMで最大LRT(6.6)を有する。QTL区間は相当な幅を維持したままであった。この領域でLDが観察されなかったので、LDLA解析によってQTL区間を絞り込むことはできなかった。多面発現性QTLモデル(即ちBTA11上の臨床型乳房炎及びSCSの両方の形質に影響を及ぼすQTL)は収束しなかった。二連鎖QTLモデル(two linked QTL model)では、臨床型乳房炎のQTLは14.2cM、SCSのQTLは61.6cMに位置し、LRTは16.62であった。したがって、それぞれ1つが1つの形質に影響を及ぼす2つのQTLがBTA11上で分離されることを結論付けることができる。
スウェーデンレッドアンドホワイト(SRB)の家系間の多点回帰分析によって、SCSに影響を及ぼすQTLはBTA11上で分離し、QTLの最も可能性のある位置は61.2cMであることが示された。2つの家系は当該QTLについて有意であった。これらの2つの家系におけるQTLの考えられる位置は20cM離れていた(59.8及び40.4cM)。SRBにおいて家系間連鎖分析を分散成分法を用いて行った場合、SCSについてのQTL区間は非常に大きかった。QTL区間内のLDが不十分であったため、LDLA解析によってQTL区間を絞り込むことはできなかった。SCSに影響を及ぼす二連鎖QTLが30〜70cMの領域に位置して存在するかどうかを調べるのに、2-QTLモデルを使用した。SCSに影響を及ぼす61.2cMのQTLを固定し、SCSに影響を及ぼす別のQTLを求めてこの領域をスキャンした。しかしながら、この領域でSCSに影響を及ぼす第二のQTLについての痕跡は全くなかった。このQTLはSRBウシにおける臨床型乳房炎に対する多面発現効果を有していない。
スウェーデンレッドアンドホワイト種はノルディックエアシャーウシ種に密接に関連している(Holmberg and Andersson-Eklund, 2004)。SCSに影響を及ぼすBTA11上のQTLは、FA(62.8cM)及びSRB(61.4cM)の両方において分離することが観察された。したがって、これら2つの品種のデータは、BTA11上のQTL細密マッピングのために組み合わされた。1つのデンマークレッド(DR)家系が、BTA11上のQTLについて臨床型乳房炎では56.0cMで、及びSCSでは66.9cMで分離して観察された。デンマークレッドウシはFA及びSRBにも歴史的に関連している。したがって、DR家系は、BTA11の連合解析(joint analysis)のために13のFA及びSRB家系に包含させた。分散成分を用いた臨床型乳房炎形質についての家系間連鎖解析は14.2cMで最大LRT(4.72)を有していた。レッドのデータの連合解析(joint Red data analysis)でFA内解析よりもLAピークがより小さい理由は、(BTA11の近位末端においてQTLについて分離しない)SRB及びDR家系を包含しているためであった。レッドの複合データについてのLDLAピークは16.8cMにあった(LRT=10.1)。レッドのデータにおいてLDの最大の証拠は18.2cMにあったが、マーカーMNB−40及びAUP1間の最大LDLAピーク(LRT=3.8)にLDの証拠が存在した。複合レッドデータ解析(combined Red data analysis)において、SCSに影響を及ぼすQTLは大きい区間を有していた(20cM)。分散成分を用いた連鎖解析のLRTは、62.4で14.6であった。最大のLDLAピークは、マーカーMS2177及びHELMTT44間の61.4cMにあった。LA解析よりもLDLA解析においてLRTが小さい理由は、SCSのQTL区間内でLDが不足しているためであった。家系内及び家系間の連鎖解析(回帰及び分散成分の両方)から、BTA11上でSCSのQTLが分離するという有力な証拠が存在したが、QTL区間内でLDが不足していたために、QTL位置を絞り込むことはできなかった。
4マーカーウィンドウを用いたLDLA解析によって、マーカーAUP1及びBM716間の17.8cMに臨床型乳房炎のQTLが位置することが示された。FA、SRB及び1つのDR家系の連合解析(joint analysis)によって、この位置でのQTL情報は主にフィンランドエアシャー家系に由来していることが示された。したがって、マーカーAUP1及びBM716間の中点におけるクラスター及びその効果は、フィンランドエアシャーのみで調べた。この位置で、340個の創始者ハプロタイプが63個のクラスターに合体(coalesce)した。頻度が5%を超える8つのクラスターが存在し、最大のクラスターの頻度は9.7%であった。2つの祖父ハプロタイプを包含する32個のハプロタイプを有する1つのクラスターは、表現型の標準偏差が−0.13の推定効果を有していた。
ハプロタイプ解析
Claims (80)
- ウシ被験体における乳房炎に対する耐性を判断する方法であって、乳房炎耐性を示す少なくとも1つの形質と連鎖する少なくとも1つの遺伝的マーカーの有無を該ウシ被験体からの試料中で検出することを含み、該少なくとも1つの遺伝的マーカーが、ウシ染色体BTA9上で、多型マイクロサテライトマーカーC6orf93及びinra084に隣接する領域、及び多型マイクロサテライトマーカーC6orf93及びinra084を含む領域、並びに/又はウシ染色体BTA11上で、多型マイクロサテライトマーカーHELMTT43及びBM3501に隣接する領域、及び多型マイクロサテライトマーカーHELMTT43及びBM3501を含む領域に位置し、該少なくとも1つの遺伝的マーカーの有無が、該ウシ被験体又はそれらの出生児の乳房炎耐性を示す、ウシ被験体における乳房炎に対する耐性を判断する方法。
- ウシ被験体における乳房炎に対する耐性を判断する方法であって、乳房炎耐性を示す少なくとも1つの形質と連鎖する少なくとも1つの遺伝的マーカーの有無を該ウシ被験体からの試料中で検出することを含み、該少なくとも1つの遺伝的マーカーが、ウシ染色体BTA9上で、多型マイクロサテライトマーカーC6orf93及びinra084に隣接する領域、及び多型マイクロサテライトマーカーC6orf93及びinra084を含む領域に位置し、該少なくとも1つの遺伝的マーカーの有無が該ウシ被験体又はそれらの出生児の乳房炎耐性を示す、ウシ被験体における乳房炎に対する耐性を判断する請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーが乳房炎に対する耐性についてのウシの形質と連鎖する、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーが、BTA9の遺伝的マーカーC6orf93及びinra084に隣接する領域、及び遺伝的マーカーC6orf93及びinra084を含む領域に位置する、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーが、BTA9の遺伝的マーカーbms2251及びinra084に隣接する領域、及び遺伝的マーカーbms2251及びinra084を含む領域に位置する、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーが、BTA9の遺伝的マーカーbm7234及びinra144に隣接する領域、及び遺伝的マーカーbm7234及びinra144を含む領域に位置する、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーが、BTA9の遺伝的マーカーbms2819及びinra144に隣接する領域、及び遺伝的マーカーbms2819及びinra144を含む領域に位置する、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーが、BTA9の遺伝的マーカーbms2251及びinra144に隣接する領域、及び遺伝的マーカーbms2251及びinra144を含む領域に位置する、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーが、BTA9の遺伝的マーカーbms2819及びinra084に隣接する領域、及び遺伝的マーカーbms2819及びinra084を含む領域に位置する、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーが、BTA9の遺伝的マーカーbm7234及びbms2819に隣接する領域、及び遺伝的マーカーbm7234及びbms2819を含む領域に位置する、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーが、BTA9の遺伝的マーカーbm7234及びbm4208に隣接する領域、及び遺伝的マーカーbm7234及びbm4208を含む領域に位置する、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーが、BTA9の遺伝的マーカーinra144及びrgs17に隣接する領域、及び遺伝的マーカーinra144及びrgs17を含む領域に位置する、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーが、BTA9の遺伝的マーカーinra144及びinra084に隣接する領域、及び遺伝的マーカーinra144及びinra084を含む領域に位置する、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーが、BTA9の遺伝的マーカーinra084及びrgs17に隣接する領域、及び遺伝的マーカーinra084及びrgs17を含む領域に位置する、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーが、遺伝的マーカーbm4208及びinra144に隣接する領域、及び遺伝的マーカーbm4208及びinra144を含む領域に位置する、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーが、遺伝的マーカーbm7234及びinra084に隣接する領域、及び遺伝的マーカーbm7234及びinra084を含む領域に位置する、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーが、遺伝的マーカーEPM2A及びbm7234に隣接する領域、及び遺伝的マーカーEPM2A及びbm7234を含む領域に位置する、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーが、遺伝的マーカーbms2251及びbm7234に隣接する領域、及び遺伝的マーカーbms2251及びbm7234を含む領域に位置する、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーがマイクロサテライトマーカーC6orf93である、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーがマイクロサテライトマーカーDIK4986である、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーがマイクロサテライトマーカーmm12e6である、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーがマイクロサテライトマーカーPEX3である、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーがマイクロサテライトマーカーDEAD21である、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーがマイクロサテライトマーカーBMS2251である、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーがマイクロサテライトマーカーEPM2Aである、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーがマイクロサテライトマーカーBM7234である、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーがマイクロサテライトマーカーBM4208である、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーがマイクロサテライトマーカーBMS2819である、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーがマイクロサテライトマーカーINRA144である、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーがマイクロサテライトマーカーINRA084である、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーがマイクロサテライトマーカーrgs17である、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーが遺伝的マーカーの組合せである、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーが、BTA9の69.35cM〜74.5cMの領域に位置する、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーが、BTA9の71.3cM〜74.5cMの領域に位置する、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーが、BTA9の72.3cM〜74.5cMの領域に位置する、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーが、BTA9の73.95cM〜74.5cMの領域に位置する、請求項1に記載の方法。
- マイクロサテライトマーカーC6orf93を増幅するプライマー対が配列番号75及び配列番号76である、請求項19に記載の方法。
- マイクロサテライトマーカーPEX3を増幅するプライマー対が配列番号81及び配列番号82である、請求項22に記載の方法。
- マイクロサテライトマーカーEPM2Aを増幅するプライマー対が配列番号87及び配列番号88である、請求項25に記載の方法。
- マイクロサテライトマーカーrgs17を増幅するプライマー対が配列番号99及び配列番号100である、請求項31に記載の方法。
- ウシ被験体における乳房炎に対する耐性を判断する方法であって、少なくとも1つの遺伝的マーカーが、ウシ染色体11上で、多型マイクロサテライトマーカーHELMTT43及びBM3501に隣接する領域、及び多型マイクロサテライトマーカーHELMTT43及びBM3501を含む領域に位置し、該少なくとも1つの遺伝的マーカーが乳房炎耐性と連鎖し、乳房炎耐性を示す少なくとも1つの形質と連鎖する少なくとも1つの遺伝的マーカーの有無を前記被験体からの遺伝子材料中で検出することを包含し、前記少なくとも1つの遺伝的マーカーの存在が乳房炎耐性を示すこと、及び/又は乳房炎耐性を示す出生児を産むことを示す、ウシ被験体における乳房炎に対する耐性を判断する請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーが、BTA11の遺伝的マーカーHELMTT43及びINRA177に隣接する領域、及び遺伝的マーカーHELMTT43及びINRA177を含む領域に位置する、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーが、BTA11の遺伝的マーカーHELMTT43及びMNB−70に隣接する領域、及び遺伝的マーカーHELMTT43及びMNB−70を含む領域に位置する、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーが、BTA11の遺伝的マーカーMNB−40及びMNB−70に隣接する領域、及び遺伝的マーカーMNB−40及びMNB−70を含む領域に位置する、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーが、BTA11の遺伝的マーカーBP38及びINRA131に隣接する領域、及び遺伝的マーカーBP38及びINRA131を含む領域に位置する、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーが、BTA11の遺伝的マーカーBM2818及びINRA177に隣接する領域、及び遺伝的マーカーBM2818及びINRA177を含む領域に位置する、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーが、BTA11の遺伝的マーカーBMS1953及びBM2818に隣接する領域、及び遺伝的マーカーBMS1953及びBM2818を含む領域に位置する、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーが、BTA11の遺伝的マーカーHELMTT43及びZAP70に隣接する領域、及び遺伝的マーカーHELMTT43及びZAP70を含む領域に位置する、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーが、BTA11の遺伝的マーカーZAP70及びIL18RAに隣接する領域、及び遺伝的マーカーZAP70及びIL18RAを含む領域に位置する、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーが、BTA11の遺伝的マーカーINRA131及びBM6445に隣接する領域、及び遺伝的マーカーINRA131及びBM6445を含む領域に位置する、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーが、BTA11の遺伝的マーカーBM304及びBM7169に隣接する領域、及び遺伝的マーカーBM304及びBM7169を含む領域に位置する、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーが、BTA11の遺伝的マーカーBM7169及びDIK5170に隣接する領域、及び遺伝的マーカーBM7169及びDIK5170を含む領域に位置する、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーが、遺伝的マーカーBM6445及びBMS1048に隣接する領域、及び遺伝的マーカーBM6445及びBMS1048を含む領域に位置する、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーが、遺伝的マーカーMB110及びBMS2047に隣接する領域、及び遺伝的マーカーMB110及びBMS2047を含む領域に位置する、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーが、遺伝的マーカーIL18RA及びBM2818に隣接する領域、及び遺伝的マーカーIL18RA及びBM2818を含む領域に位置する、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーが、遺伝的マーカーBM2818及びBM7169に隣接する領域、及び遺伝的マーカーBM2818及びBM7169を含む領域に位置する、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーが、遺伝的マーカーBMS2325及びDIK4637に隣接する領域、及び遺伝的マーカーBMS2325及びDIK4637を含む領域に位置する、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーが、遺伝的マーカーIL18RA及びAUP1に隣接する領域、及び遺伝的マーカーIL18RA及びAUP1を含む領域に位置する、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーが、遺伝的マーカーDIK4637及びUMBTL103に隣接する領域、及び遺伝的マーカーDIK4637及びUMBTL103を含む領域に位置する、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーがマイクロサテライトマーカーIL18RAである、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーがマイクロサテライトマーカーMNB−40である、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーがマイクロサテライトマーカーUAP1である、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーがマイクロサテライトマーカーDIK4637である、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーがマイクロサテライトマーカーUMBTL103である、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーがマイクロサテライトマーカーINRA177である、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーがマイクロサテライトマーカーUMBTL20である、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーがマイクロサテライトマーカーBM716である、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーがマイクロサテライトマーカーDIK2653である、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーがマイクロサテライトマーカーBM2818である、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーが遺伝的マーカーの一組合せである、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーが、BTA11の2.249cM〜97.223cMの領域に位置する、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーが、BTA11の2.249cM〜35.098cMの領域に位置する、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーが、BTA11の19.440cM〜23.829cMの領域に位置する、請求項1に記載の方法。
- マイクロサテライトマーカーIL18RAを増幅するプライマー対が配列番号125及び配列番号126である、請求項60に記載の方法。
- マイクロサテライトマーカーMNB−40を増幅するプライマー対が配列番号127及び配列番号128である、請求項61に記載の方法。
- マイクロサテライトマーカーDIK4637を増幅するプライマー対が配列番号141及び配列番号142である、請求項63に記載の方法。
- マイクロサテライトマーカーUMBTL103を増幅するプライマー対が配列番号143及び配列番号144である、請求項64に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝的マーカーが乳房炎を引き起こす遺伝子と連鎖する、請求項1に記載の方法。
- 請求項1の方法によって乳房の健康特性を判断することを含む、育種目的でウシ被験体を選抜する方法。
- 乳房炎に対する耐性に関連した少なくとも1つの遺伝的マーカーのウシ被験体における有無を検出する際に用いる診断キットであって、少なくとも1つのオリゴヌクレオチド配列及びその組合せを包含し、該ヌクレオチド配列が配列番号1〜配列番号192のいずれか、及び/又はそれらの任意の組合せから選択される、乳房炎に対する耐性に関連した少なくとも1つの遺伝的マーカーのウシ被験体における有無を検出する際に用いる診断キット。
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