JP2009525024A - Kcnq5上の新規なレチガビン結合部位 - Google Patents

Kcnq5上の新規なレチガビン結合部位 Download PDF

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Abstract

本明細書では、カリウムチャネルアクチベーターレチガビンに対する応答性を欠いた突然変異型KCNQ5カリウムチャネルの核酸配列およびポリペプチド配列が開示される。また、本明細書では、前述の突然変異型KCNQ5カリウムチャネルの使用に関する方法およびキットも開示される。

Description

本明細書は、KCNQ5上の新規なレチガビン結合部位、その遺伝子、核酸、タンパク質、ベクター、および使用方法が開示される。
イオンチャネルは、カルシウム、カリウム、ナトリウムおよび塩化物を含むイオンの、細胞内外への流れを調節する細胞タンパク質である。これらのチャネルは神経伝達、筋収縮および細胞分泌などのプロセスに影響を及ぼす。イオンチャネルの中でも、カリウムチャネルは最も偏在しており、神経、筋肉、腺、免疫組織、生殖組織および上皮組織などの様々な動物細胞に見られる。これらのチャネルはある条件下でカリウム流を細胞内および/または細胞外へ向かわせる。例えば、これらのチャネルの開口時に外向きのカリウムイオン流は、細胞内部をより陰性とし、細胞にかかる脱分極性電圧を打ち消す。これらのチャネルは、例えば、カルシウム感受性、電圧依存性ゲーティング、セカンドメッセンジャー、細胞外リガンドおよびATP感受性によって調節される。
カリウムチャネルは、一般にニューロンおよび筋肉細胞を過分極する働きをする膜貫通タンパク質である。生理学的研究では、カリウム電流はほとんどの細胞に見られ、興奮性細胞の電気特性の調節をはじめ、広範な機能に関連していることが示されている。カリウムチャネルの種類により、その機能活性は膜電圧、種々のリガンド、タンパク質リン酸化、または他のセカンドメッセンジャーにより制御されている可能性がある(例えば、米国特許第6,893,858号)。
カリウムチャネルファミリーは、哺乳動物組織においておよそ70のメンバーを有する。最近同定されたKCNQサブファミリー(Kv7)は、細胞の興奮性の決定因子として重要な機能的役割を果たしていることが示された。最近の証拠は、KCNQカリウムチャネルサブユニットが数種の組織におけるM電流活動の分子的基礎をなしていることを示す。この遺伝子ファミリーはKCNQ1〜KCNQ5(Kv7.1〜7.5)と呼ばれる少なくとも5つの主要サブユニットを含むまでに進化した。これらのサブユニットは同時に組み立てられ、ヘテロメリックおよびホモメリック双方の機能的イオンチャネルを形成することが示されている。
電圧依存性カリウムチャネルは膜電位の重要なレギュレーターであり、ニューロンまたは心筋細胞などの電気的に活性な細胞の興奮性を変調する。電圧依存性カリウム(K)チャネルの数種のクラスがクローニングされている(例えば、Lerche C et al., J. Biol. Chem. 275:22395-22400 (2000)参照)。
5つのKCNQカリウムチャネル遺伝子のうち4つの突然変異が、心臓LQT症候群(KCNQ1)、癲癇(KCNQ2および3)、先天性難聴(KCNQ4)を招く多様な疾病に関連づけられている。中枢神経系(CNS)で実証されたM電流の形成におけるKCNQ5の重要性のために、この遺伝子の不全はニューロンの興奮性の障害をもたらすと予測される(例えば、Lerche C et al., J. Biol. Chem. 275:22395-22400 (2000); Schroeder BC et al., J. Biol. Chem. 275:24089-95 (2000)参照)。
カリウムチャネルは、心拍、動脈拡張、インスリン放出、神経細胞の興奮性の調節および腎臓電解質輸送の調節を含む、多くの生理学的プロセスに関与している。
レチガビン(N−(2−アミノ−4−(4−フルオロベンジルアミノ)−フェニル)カルバミン酸エチルエステル)は、KCNQ5を含む、ある種のKCNQチャネルを開口することが分かっている。しかしながら、レチガビンは、37%配列同一性までKCNQ5と相同なKCNQ1に対して増強作用は持たない。レチガビンは、これらのチャネルの開口確率を高めることによりその細胞作用を発揮する(Main J, Mol. Pharmacol. 58:253-62 (2000); Wickenden A et al., Mol. Pharmacol. 58:591-600 (2000))。この個々のKCNQチャネルの増強はまとまって、全細胞KCNQにより媒介されるコンダクタンスの有意な増大により作り出された、特に脱分極細胞における細胞膜の過分極をもたらす。
本明細書では、レチガビンに応答する機能的特性を失ったKCNQ5の突然変異体を開示する。
一態様は、KCNQ5(W270L)ポリペプチドの全部または一部をコードする単離されたポリヌクレオチドに関する。
別の態様は、
(a)配列番号1を含む核酸配列;
(b)配列番号2をコードするポリヌクレオチド;
(c)配列番号1と少なくとも約95%の相同性を有するポリペプチドをコードする核酸配列(ただし、ヌクレオチド808〜810における置換は、アミノ酸ロイシンの保存的置換をもたらすコドンに対するものである);
(d)高ストリンジェント条件下で配列番号1とハイブリダイズし得る核酸分子;
(e)(a)、(b)、(c)または(d)に相補的な核酸分子;および
(f)配列番号1の変異体
からなる群から選択されるポリヌクレオチドを含む単離されたポリヌクレオチドに関する。
別の実施形態は、KCNQ1由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドである。
さらなる態様は、
(a)ヌクレオチド769〜1062が配列番号5で置換されている、配列番号3を含む核酸配列;
(b)アミノ酸257〜354がKCNQ1由来のS5−S6トランスメンブランドメインで置換されている、配列番号4をコードするポリヌクレオチド;
(c)高ストリンジェント条件下で(a)または(b)の核酸配列とハイブリダイズし得る核酸分子;および
(d)(a)、(b)または(c)に相補的な核酸分子
からなる群から選択されるポリヌクレオチドを含む単離されたポリヌクレオチドに関する。
別の態様は、
(a)ヌクレオチド769〜873が配列番号5のヌクレオチド1〜105で置換されている、配列番号3を含む核酸配列;
(b)配列番号4のアミノ酸257〜291がKCNQ1由来のS5トランスメンブランドメインで置換されている、配列番号4をコードするポリヌクレオチド;
(c)高ストリンジェント条件下で(a)または(b)の核酸配列とハイブリダイズし得る核酸分子;および
(d)(a)、(b)または(c)に相補的な核酸分子
からなる群から選択されるポリヌクレオチドを含む単離されたポリヌクレオチドに関する。
別の実施形態は、
(a)KCNQ5(W270L)ポリペプチドのアミノ酸配列;
(b)配列番号2を含むアミノ酸配列;
(c)(a)の変異体;および
(d)配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列(ただし、アミノ酸270における置換はアミノ酸ロイシンに対する保存的置換である)
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドである。
さらなる態様は、前述の単離されたポリペプチドである少なくとも1つのKCNQ5サブユニットを含むKCNQ二量体チャネルに関する。別の態様は、前述の単離されたポリペプチドである少なくとも1つのKCNQ5サブユニットを含むKCNQ四量体チャネルに関する。
さらなる実施形態は、配列番号2を含むKCNQ5(W270L)ポリペプチドと特異的に結合する抗体である。
別の態様は、配列番号2由来の少なくとも8個の連続するアミノ酸を含むKCNQ5(W270L)ポリペプチド断片(該断片は配列番号2のアミノ酸270を含む)と特異的に結合する抗体に関する。
さらなる態様は、KCNQ1由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含む単離されたKCNQ5ポリペプチドに関する。
さらなる態様は、KCNQ1由来のS5トランスメンブランドメインを含む単離されたKCNQ5ポリペプチドに関する。さらなる態様は、KCNQ1由来のS5−S6トランスメンブランドメインまたはS5トランスメンブランドメインを含む前述の単離されたKCNQ5ポリペプチドである少なくとも1つのKCNQ5サブユニットを含むKCNQ二量体チャネルに関する。別の態様は、KCNQ1由来のS5−S6トランスメンブランドメインまたはS5トランスメンブランドメインを含む前述の単離されたKCNQ5ポリペプチドである少なくとも1つのKCNQ5サブユニットを含むKCNQ四量体チャネルに関する。
別の態様は、薬剤のスクリーニング方法に関し、その方法は、
(a)薬剤と、
(i)KCNQ5(W270L)ポリペプチドの全部または一部をコードするポリヌクレオチド;
(ii)KCNQ1由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(iii)KCNQ1由来のS5トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(iv)KCNQ5(W270L)ポリペプチドのアミノ酸配列を含むポリペプチド;
(v)KCNQ1由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチド;および
(vi)KCNQ1由来のS5トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチド
からなる群から選択されるKCNQ5分子
を接触させること;および
(b)KCNQ5活性に対する該薬剤の作用を検出すること
を含み、KCNQ5活性の低下または増強の検出が、薬剤がKCNQ5のモジュレーターであることを示す。
さらなる実施形態は、薬剤のスクリーニング方法であり、その方法は、
(a)細胞と薬剤を接触させること;および
(b)(i)KCNQ5(W270L)ポリペプチドの全部または一部をコードするポリヌクレオチド;
(ii)KCNQ1由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(iii)KCNQ1由来のS5トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(iv)KCNQ5(W270L)ポリペプチドのアミノ酸配列を含むポリペプチド;
(v)KCNQ1由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチド;および
(vi)KCNQ1由来のS5トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチド
からなる群から選択されるKCNQ5分子の発現レベルを測定すること
を含み、
KCNQ5発現の低下または増強の検出が、薬剤がKCNQ5のモジュレーターであることを示す。
別の態様は、哺乳動物における膀胱制御の誘導もしくは維持、尿失禁の治療もしくは予防、または神経因性疼痛の治療もしくは予防の方法に関し、その方法は、前述の方法のいずれかにより同定された薬剤の薬理学的有効量を、それを必要とする哺乳動物に投与することを含む。
別の態様は、KCNQ5ポリペプチドと結合し得るポリペプチドを同定する方法に関し、その方法は、
(a)KCNQ5ポリペプチドをコードする配列が1つのハイブリッドベクターに保持され、かつ、cDNAまたはゲノムDNAライブラリー由来の配列が第二のハイブリッドベクターに保持されている二ハイブリッド法を哺乳動物に適用すること[なお、該KCNQ5ポリペプチドは、
(i)KCNQ5(W270L)ポリペプチドのアミノ酸配列を含むポリペプチド;
(ii)KCNQ1由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチド;および
(iii)KCNQ1由来のS5トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチド
からなる群から選択される];
(b)宿主細胞を前記ベクターで形質転換すること;
(c)陽性形質転換細胞を単離すること;および
(d)前記第二のハイブリッドベクターを抽出して、KCNQ5ポリペプチドと結合するポリペプチドをコードする配列を得ること
を含む。
さらなる態様は、KCNQ5ポリペプチドを検出する方法に関し、その方法は、
(a)KCNQ5(W270L)ポリペプチドのアミノ酸配列を含むKCNQ5ポリペプチドと選択的に結合する抗体;
(b)KCNQ1由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチドと選択的に結合する抗体;
(c)KCNQ1由来のS5トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチドと選択的に結合する抗体;および
(d)配列番号2由来の少なくとも8個の連続するアミノ酸を含むKCNQ5(W270L)ポリペプチド断片と選択的に結合する抗体(この断片は配列番号2由来のアミノ酸270を含む)
からなる群から選択される抗体と、KCNQ5ポリペプチド、KCNQ5(W270L)ポリペプチドまたはKCNQ5(W270L)ポリペプチド断片を含むと思われるサンプル中の分子との結合を検出することを含み、ここで、該抗体は、サンプル中に存在するKCNQ5ポリペプチド、KCNQ5(W270L)ポリペプチドまたはKCNQ5(W270L)ポリペプチド断片との特異的結合を可能とする条件下でサンプルと接触され、抗体とサンプル中の分子の結合が、KCNQ5ポリペプチド、KCNQ5(W270L)ポリペプチドまたはKCNQ5(W270L)ポリペプチド断片の存在を示す。
さらなる実施形態は、KCNQ5の発現を検出する方法であり、その方法は、
KCNQ5を発現すると思われる細胞または組織に由来するサンプルにおいて、
(i)KCNQ5(W270L)ポリペプチドのアミノ酸配列を含むポリペプチド;
(ii)KCNQ1由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチド;および
(iii)KCNQ1由来のS5トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチド
からなる群から選択されるKCNQ5ポリペプチドをコードするmRNAを、
(i)KCNQ5(W270L)ポリペプチドの全部または一部をコードするポリヌクレオチド;
(ii)KCNQ1由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;および
(iii)KCNQ1由来のS5トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
からなる群から選択されるポリヌクレオチドから由来の少なくとも12個の連続するヌクレオチドを含むプローブで検出することを含む。
別の実施形態は、KCNQ5遺伝子が突然変異または欠失しているかどうかを判定する方法であり、その方法は、対象に由来する細胞または組織のサンプルにおいて、KCNQ5タンパク質をコードする遺伝子の完全性に影響を及ぼす少なくとも1つの変異またはKCNQ5遺伝子の異所性発現を特徴とする遺伝的変異の存在または不在を検出することを含み、この検出工程は、
(i)KCNQ5(W270L)ポリペプチドの全部または一部をコードするポリヌクレオチド;
(ii)KCNQ1由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;および
(iii)KCNQ1由来のS5トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
からなる群から選択されるポリヌクレオチド由来の少なくとも12個の連続するヌクレオチドを含む少なくとも1つのプローブまたはプライマーを用いて行われる。
さらなる態様は、KCNQ5ポリペプチドの変異体を同定する方法に関し、その方法は、KCNQ5突然変異体を含むコンビナトリアルライブラリーをKCNQ5ポリペプチドアゴニストまたはアンタゴニストに関してスクリーニングすることを含み、該KCNQ5ポリペプチドは、
(i)KCNQ5(W270L)ポリペプチドのアミノ酸配列を含むポリペプチド;
(ii)KCNQ1由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチド;および
(iii)KCNQ1由来のS5トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチド
からなる群から選択される。
さらなる態様は、KCNQ5ポリペプチドを単離する方法に関し、その方法は、
(a)KCNQ5抗体を、
(iv)KCNQ5(W270L)ポリペプチドのアミノ酸配列を含むポリペプチド;
(v)KCNQ1由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチド;および
(vi)KCNQ1由来のS5トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチド
からなる群から選択されるKCNQ5ポリペプチドを含むと思われるサンプルと接触させること;および
(b)そのサンプルからKCNQ5抗体−KCNQ5ポリペプチド複合体を単離すること
を含む。
さらなる実施形態は、KCNQ5ポリペプチドを産生する方法であり、その方法は、
(a)発現ベクターを含む形質転換宿主細胞を、KCNQ5ポリペプチドが産生されるような適切な培地で培養すること[該発現ベクターは、
(i)KCNQ5(W270L)ポリペプチドの全部または一部をコードするポリヌクレオチド;
(ii)KCNQ1由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;および
(iii)KCNQ1由来のS5トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
からなる群から選択されるポリヌクレオチドを含む];および
(b)所望により工程(a)のKCNQ5ポリペプチドを回収すること
を含む。
別の実施形態は、KCNQ5活性の亢進を必要とする哺乳動物の処置方法であり、その方法は、それを必要とする哺乳動物に、
(i)KCNQ5(W270L)ポリペプチドの全部または一部をコードするポリヌクレオチド;
(ii)KCNQ1由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(iii)KCNQ1由来のS5トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(iv)KCNQ5(W270L)ポリペプチドのアミノ酸配列を含むポリペプチド;
(v)KCNQ1由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチド;および
(vi)KCNQ1由来のS5トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチド
からなる群から選択される、治療有効量のKCNQ5分子を投与することを含む。
さらなる態様は、KCNQ5活性の低下を必要とする哺乳動物の処置方法に関し、その方法は、それを必要とする哺乳動物に治療有効量の、
(a)(i)KCNQ5(W270L)ポリペプチドの全部または一部をコードするポリヌクレオチド;
(ii)KCNQ1由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;および
(iii)KCNQ1由来のS5トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
からなる群から選択されるポリヌクレオチドに対してアンチセンスであるKCNQ5アンチセンスポリヌクレオチド;または
(b)(A)KCNQ5(W270L)ポリペプチドのアミノ酸配列を含むKCNQ5ポリペプチドと選択的に結合する抗体;
(B)KCNQ1由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチドと選択的に結合する抗体;
(C)KCNQ1由来のS5トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチドと選択的に結合する抗体;および
(D)配列番号2由来の少なくとも8個の連続するアミノ酸を含むKCNQ5(W270L)ポリペプチド断片と選択的に結合する抗体(該断片は配列番号2由来のアミノ酸270を含む)
からなる群から選択されるKCNQ5抗体
を投与することを含む。
別の態様は、抗KCNQ5ポリペプチド抗体を得る方法に関し、その方法は、
(a)免疫原性KCNQ5ポリペプチドまたはKCNQ5ポリペプチドに独特なその免疫原性部分で動物を免疫処理すること[該KCNQ5ポリペプチドは、
(i)KCNQ5(W270L)ポリペプチドのアミノ酸配列を含むポリペプチド;
(ii)KCNQ1由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチド;および
(iii)KCNQ1由来のS5トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチド
からなる群から選択される];および
(b)その動物からKCNQ5ポリペプチドと特異的に結合する抗体を単離すること
を含む。
さらなる態様は、KCNQ5ポリペプチドの機能的イオンチャネルをコードする能力を評価する方法に関し、その方法は、
(a)宿主細胞を、
(i)KCNQ5(W270L)ポリペプチドのアミノ酸配列を含むポリペプチド;
(ii)KCNQ1由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチド;および
(iii)KCNQ1由来のS5トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチド
からなる群から選択されるKCNQ5ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドでトランスフェクトすること;
(b)その宿主細胞においてKCNQ5ポリペプチドを発現させること;および
(c)KCNQ5ポリペプチドのイオン電流の大きさを電気生理学的に測定すること
を含む。
別の実施形態は、対象において、KCNQ5活性および/または発現の調節から利益を得る疾病または症状を予防する方法であり、その方法は、その対象に、KCNQ5ポリペプチドまたはKCNQ5発現もしくは少なくとも1つのKCNQ5活性を調節する薬剤を投与することを含み、該KCNQ5ポリペプチドは、
(i)KCNQ5(W270L)ポリペプチドのアミノ酸配列を含むポリペプチド;
(ii)KCNQ1由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチド;および
(iii)KCNQ1由来のS5トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチド
からなる群から選択される。
さらなる実施形態は、KCNQ5ポリペプチドまたはポリヌクレオチドを検出するためのキットであり、そのキットは、
(a)標識化合物または生体サンプル中のKCNQ5ポリペプチドまたはポリヌクレオチドを検出し得る薬剤;
(b)そのサンプル中のKCNQ5ポリペプチドまたはポリヌクレオチドの量を測定するための手段;
(c)そのサンプル中のKCNQ5ポリペプチドまたはポリヌクレオチドの量を標体と比較するための手段;および
(d)所望により、KCNQ5ポリペプチドまたはポリヌクレオチドを検出するためのキットの使用説明書
を含み、該KCNQ5ポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、
(i)KCNQ5(W270L)ポリペプチドの全部または一部をコードするポリヌクレオチド;
(ii)KCNQ1由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(iii)KCNQ1由来のS5トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(iv)KCNQ5(W270L)ポリペプチドのアミノ酸配列を含むポリペプチド;
(v)KCNQ1由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチド;および
(vi)KCNQ1由来のS5トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチド
からなる群から選択される。
別の実施形態はは、KCNQ5活性のモジュレーターを同定するためのキットであり、該キットは、
(a)KCNQ5ポリペプチドを含む細胞または組成物;
(b)KCNQ5ポリペプチド活性を測定するための手段;および
(c)所望により、KCNQ5活性のモジュレーターを同定するためのキットの使用説明書
を含み、該KCNQ5ポリペプチドは、
(i)KCNQ5(W270L)ポリペプチドのアミノ酸配列を含むポリペプチド;
(ii)KCNQ1由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチド;および
(iii)KCNQ1由来のS5トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチド
からなる群から選択される。
さらなる実施形態は、対象において、異常なKCNQ5発現および/または活性に付随する障害を診断するためのキットであり、該キットは、
(a)KCNQ5ポリペプチドまたはポリヌクレオチドの発現を測定するための試薬;
(b)対象の結果を比較する対照;および
(c)所望により、診断目的でのキットの使用説明書
を含み、
該KCNQ5ポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、
(i)KCNQ5(W270L)ポリペプチドの全部または一部をコードするポリヌクレオチド;
(ii)KCNQ1由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(iii)KCNQ1由来のS5トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(iv)KCNQ5(W270L)ポリペプチドのアミノ酸配列を含むポリペプチド;
(v)KCNQ1由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチド;および
(vi)KCNQ1由来のS5トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチド
からなる群から選択される。
他の目的および利点は、当業者には、以下に続く詳細な説明を参照すれば明らかになる。
配列の簡単な説明
配列番号1は、KCNQ(W270L)cDNAを表す。
配列番号2は、KCNQ(W270L)タンパク質を表す。
配列番号3は、野生型ヒトKCNQ5 cDNAを表す。
配列番号4は、野生型ヒトKCNQ5タンパク質を表す。
配列番号5は、ヒトKCNQ1 cDNA由来のS5−S6トランスメンブランドメインを表す。
配列番号6は、ヒトKCNQ1由来のS5−S6トランスメンブランドメインを表す(翻訳されたアミノ酸配列)。
配列番号7は、野生型ヒトKCNQ1 DNAを表す。
配列番号8は、野生型ヒトKCNQ1タンパク質を表す。
出願人らは、本開示に引用されている全ての参照文献の全内容を明示して組み入れる。さらに、量、濃度または他の値またはパラメーターが範囲、好ましい範囲、または好ましい上方値と好ましい下方値の一覧のいずれかで示されている場合、範囲が別に開示されているとしても、いずれかの上方の範囲限界または好ましい値と下方の範囲限界または好ましい値の対から形成される全範囲を具体的に開示するものと理解される。本明細書において数値の範囲が記載されている場合、特に断りがない限り、その範囲はその終点ならびにその範囲内の全ての整数および分数を含むものとする。本発明の範囲は、範囲を定義する場合に挙げられている特定の値に限定されるものではない。
I.定義
本開示では、いくつかの用語が使用される。
本明細書において「約」または「およそ」とは、示されている値または範囲の20%以内、好ましくは10%以内、より好ましくは5%以内を意味する。
「変化レベル」とは、正常または非形質転換生物のものとは異なる量または割合での、生物における遺伝子産物の産生を指す。ポリペプチドの過剰発現は、まず、コード領域が、所望の発達段階の所望の組織において遺伝子または構築物の発現を指示することができるプロモーターと作動可能なように連結されているキメラ遺伝子またはキメラ構築物を構築することにより達成することができる。便宜であることから、このキメラ遺伝子またはキメラ構築物は同じ遺伝子に由来するプロモーター配列と翻訳リーダー配列を含み得る。転写終結シグナルをコードする3’非コード配列も提供することができる。その後、本キメラ遺伝子またはキメラ構築物が構築可能である。プラスミドベクターの選択は、宿主細胞を形質転換するのに用いる方法によって異なる。当業者ならば、キメラ遺伝子またはキメラ構築物を含む宿主細胞を首尾よく形質転換し、選択し、増殖させるためにプラスミドベクター上に存在しなければならない遺伝エレメントについてよく知っている。また、当業者ならば、種々の独立した形質転換事象がレベルやパターンの異なる発現をもたらすこと(例えば、De Almedia ERP et al., Mol. Genet. Genomics 218:78-86 (1989))、従って、所望の発現レベルおよびパターンを提示する系統を得るためには、複数の事象をスクリーニングしなければならないことが分かるであろう。このようなスクリーニングはDNAのサザン分析、mRNAのノーザン分析、タンパク質発現のウエスタンもしくは免疫組織化学分析、または表現型分析により行うことができる。
「抗体」は、抗原上に存在するエピトープと結合し得る免疫グロブリン分子を含む。本明細書において、この用語はモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体などの完全な免疫グロブリン分子だけでなく、抗イディオタイプ抗体、突然変異体、断片、融合タンパク質、二重特性抗体、ヒト化タンパク質、および必要な特異性の抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の修飾物も包含する。
「cDNA」とは、細胞または生物体内に存在するmRNA分子が逆転写酵素などの酵素を用いてcDNAとなった相補的DNAを含む。「cDNAライブラリー」は、細胞または生物体内に存在するmRNA分子が逆転写酵素を用いてcDNA分子とされ、その後、ベクターに挿入されたものの集合体を含む。その後、このライブラリーを目的の特定のcDNA(および従ってmRNA)に対してプロービングすることができる。
「含む」とは、「〜本質的になる」および「〜からなる」という用語により包含される具体例を含むものとする。同様に、「〜本質的になる」とは、「〜からなる」という用語により包含される具体例を含むものとする。
本明細書において「KCNQ5ポリペプチド」、「KCNQ5アミノ酸配列」または「KCNQ5タンパク質」とは、KCNQ5M電流カリウムチャネル活性を保持しつつ、KCNQ5ポリペプチドを実質的にKチャネルアクチベーターレチガビンに対して非感受性とする少なくとも1つのアミノ酸修飾を有する非野生型KC5ポリペプチドを指す。他方、「野生型KCNQ5」(例えば、ヒト野生型KCNQ5を表す配列番号4)はレチガビン応答性である(Wickendon AD et al., Brit. J. Pharmacol. 132:381-84 (2001)参照)。「KCNQ5(W270L)ポリペプチド」、「KCNQ5(W270L)アミノ酸配列」または「KCNQ5(W270L)タンパク質」とは、アミノ酸270においてトリプトファン残基(全長ヒト野生型タンパク質の270番のアミノ酸)からロイシン残基への点突然変異を有するヒトKCNQ5ポリペプチドを指し、これはKCNQ5(W270L)ポリペプチドにレチガビン非感受性を付与する。配列番号2はKCNQ5(W270L)ポリペプチドを表す。
一実施形態において、KCNQ5ポリペプチドはヒトKCNQ5ポリペプチドである。別の実施形態では、KCNQ5ポリペプチドは非ヒト哺乳動物KCNQ5ポリペプチドである。好ましい非ヒト哺乳動物KCNQ5ポリペプチドとしては、ラットKCNQ5ポリペプチド(同一所有者の同時係属中米国仮出願第60/760,249号)およびマウスKCNQ5ポリペプチド(GenBank(登録商標)受託番号NM_023872)が挙げられ、双方ともレチガビン感受性であり(例えば、Jensen HS et al., Brain Res. Mol. Brain Res. 139:52-62 (2005)参照)、ヒト野生型KCNQ5と高い相同性を有し(ラットでは94.7%、マウスでは95.2%)、かつ、W270と同等であると考えられるアミノ酸(ラットではW269、マウスではW271)を含む。
本明細書において、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)「キメラタンパク質」または「融合タンパク質」とは、非KCNQ5または非KCNQ5(W270L)ポリペプチドと作動可能なように連結されたKCNQ5またはKCNQ5(W270L)ポリペプチドを含む。「非KCNQ5ポリペプチド」とは、KCNQ5タンパク質と実質的に相同でないタンパク質、例えば、KCNQ5タンパク質とは異なり、同じまたは異なる生物に由来するタンパク質に相当するアミノ酸配列を有するポリペプチドを指す。「非KCNQ5(W270L)ポリペプチド」とは、KCNQ5(W270L)タンパク質とは実質的に相同でないタンパク質、例えば、KCNQ5(W270L)タンパク質とは異なり、同じまたは異なる生物に由来するタンパク質に相当するアミノ酸配列を有するポリペプチドを指す。KCNQ5またはKCNQ5(W270L)融合タンパク質の中で、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)ポリペプチドはKCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質の全部または一部に相当し得る。好ましい実施形態では、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)融合タンパク質は、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質の少なくとも1つの生物学的に活性な部分を含む。この融合タンパク質内で、「作動可能なように連結される」とは、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)ポリペプチドと非KCNQ5または非KCNQ5(W270L)ポリペプチドが互いにインフレームで融合していることを示すものとする。この非KCNQ5または非KCNQ5(W270L)ポリペプチドは、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)ポリペプチドのN末端またはC末端に融合させることができきる。
「KCNQ5ポリヌクレオチド」または「KCNQ5核酸配列」とは、KCNQ5M電流カリウムチャネル活性を保持しつつ、KCNQ5ポリペプチドを実質的にKチャネルアクチベーターレチガビンに対して非感受性とする少なくとも1つのアミノ酸修飾を有するKCNQ5ポリペプチドをコードする非野生型KCNQ5ポリヌクレオチドを指す。他方、「野生型KCNQ5ポリヌクレオチド」または「野生型KCNQ5核酸配列」(例えば、ヒト野生型KCNQ5ポリヌクレオチドを表す配列番号3)は、レチガビン応答性の野生型KCNQ5をコードする(Wickendon AD et al., Brit. J. Pharmacol. 132:381-84 (2001)参照)。
「コード配列」またはRNA、ポリペプチド、タンパク質もしくは酵素などの発現産物「をコードする」配列とは、発現した際にそのRNA、ポリペプチド、タンパク質または酵素の産生をもたらすヌクレオチド配列、すなわち、そのポリペプチド、タンパク質または酵素のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列である。
「相補的」とは、互いにハイブリダイズし得るヌクレオチド塩基間の関係を表すために用いる。例えば、DNAに関しては、アデノシンはチミジンに相補的であり、シトシンはグアニンに相補的である。
本明細書において、「有効量」、「治療有効量」、および「有効用量」とは、必要とする哺乳動物に投与した際に、例えば、火傷、挫傷、擦傷、裂傷、骨折、靱帯断裂、腱断裂、筋断裂、ウイルス感染、細菌感染、原虫感染または真菌感染、接触性皮膚炎、炎症(例えば、外傷、感染、外科術、火傷または炎症成分を有する疾病により起こるもの)、癌などにより引き起こされる体性痛、皮膚痛もしくは内臓痛、または歯痛;例えば、癌、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染、組織外傷、感染、自己免疫疾患、糖尿病、関節炎、糖尿病性神経障害、三叉神経痛または薬物投与による中枢神経系または末梢神経系への傷害により引き起こされる神経因性疼痛などの各種疼痛を含む、中枢神経系(CNS)および末梢神経系に関連する症状またはそれらの有害な症状の少なくとも部分的な改善;例えば、例えば、パニック障害、全身性不安障害またはストレス障害、特に、急性ストレス障害、情動障害、アルツハイマー病、運動失調、外傷または脳卒中または神経変性疾患により引き起こされるCNS損傷、認識欠陥、強迫行動、痴呆、うつ病、ハンチントン病、躁病、記憶欠陥(memory inpairment)、記憶障害(memory disorder)、記憶不全(memory dysfunction)、動作障害(motion disorder)、運動障害(motor disorder)、加齢性記憶喪失、神経変性疾患、パーキンソン病およびパーキンソン様運動障害、恐怖症、ピック病、精神病、統合失調症、脊髄損傷、振戦、発作、痙攣、癲癇、シュタルガルト様黄斑ジストロフィー、錐体桿体黄斑ジストロフィー、サラ病、癲癇、筋弛緩薬、解熱薬、抗不安薬、抗片頭痛薬、鎮痛薬、双極性障害、単極性うつ病、機能的腸疾患(例えば、消化不良および過敏性腸症候群)、下痢、便秘、各種尿失禁(例えば、切迫性尿失禁、腹圧性尿失禁、溢出性尿失禁または無意識性尿失禁および混合型尿失禁)、尿意切迫、不安定膀胱、神経因性膀胱、聴力損失、耳鳴、緑内障、認知障害、慢性炎症性および神経因性疼痛の処置;例えば、癌、炎症、眼病および種々のCNS障害の処置に関する薬物依存性または薬物耐性の予防および軽減に有効なエフェクター分子の量を指す。
「発現する」および「発現」とは、遺伝子またはDNA配列中の情報を顕現可能とする、または顕現させること、例えば、対応する遺伝子またはDNA配列の転写および翻訳に関与する細胞機能を活性化させることによりタンパク質を産生することを意味する。DNA配列は細胞内で、または細胞によって発現され、タンパク質などの「発現産物」を形成する。発現産物はそれ自体、例えば、生じたタンパク質は、細胞によって「発現」されたとも言うことができる。発現産物は細胞内、細胞外または分泌型として特徴付けることができる。「細胞内」とは、細胞の内部であるものを意味する。「細胞外」とは、細胞の外部であるものを意味する。ある物質が細胞上または細胞内のいずれかの場所から細胞外に有意な程度で見られる場合には、その物質は細胞によって「分泌される」。「アンチセンス阻害」とは、標的タンパク質の発現を抑制し得るアンチセンスRNA転写物の産生を指す。「過剰発現」とは、生物体における、正常または非形質転換生物における産生レベルを超える遺伝子産物の産生を指す。「抑制」とは、外来または内因性の遺伝子またはRNA転写物の発現を抑制することを指す。
「発現系」とは、例えば、ベクターに保持されている、または宿主細胞に導入された外来DNAによりコードされているタンパク質の発現のための、好適な条件下にある宿主細胞および適合ベクターを意味する。
「遺伝子」とは、1以上のタンパク質または酵素の全部または一部を含む特定のアミノ酸配列をコードする、または特定のアミノ酸配列に相当するコード配列の前(5’非コード配列)および後(3’非コード配列)に調節配列を含むDNA配列を意味する。「天然遺伝子」とは、自然界でその固有の調節配列とともに見られる遺伝子を指す。「キメラ遺伝子」または「キメラ構築物」とは、自然界ではともに見られない調節配列とコード配列を含む、天然でない遺伝子または構築物のいずれかを指す。よって、キメラ遺伝子またはキメラ構築物は、異なる起源に由来する調節配列とコード配列、または同じ起源に由来するが、自然界で見られるものとは異なる様式で配置されている調節配列とコード配列を含み得る。「内因性遺伝子」とは、ある生物のゲノム内のその本来の位置にある天然遺伝子を指す。「外来」遺伝子とは、その宿主生物には通常見られないが、遺伝子導入により宿主生物に導入された遺伝子を指す。外来遺伝子は、非天然生物に挿入された天然遺伝子またはキメラ遺伝子を含み得る。「導入遺伝子」は、形質転換法によってゲノムに導入された遺伝子である。
「遺伝子的に修飾される」とは、外来遺伝子または核酸配列を含む、かつ/または発現する細胞を含み、これは次に細胞またはその後代の遺伝子型または表現型を改変する。この用語は、細胞の内因性ヌクレオチドに対する付加、欠失または破壊を含む。
「遺伝子産物」とは、遺伝子が転写および翻訳された際に生成するアミノ酸(例えば、ペプチドまたはポリペプチド)を含む。
「異種」とは、天然には存在しないエレメントの組合せを指す。例えば、異種DNAは、その細胞、またはその細胞の染色体部位には本来存在しないDNAを指す。好ましくは、異種DNAは、その細胞に対して外来の遺伝子を含む。異種発現調節エレメントは、自然界でそれが作動可能なように連結されているものとは異なる遺伝子と作動可能なように連結されているエレメントである。
本明細書において「ホモメリック」とは、1種類のサブユニットだけを含むイオンチャネルを指す。例えば、ホモメリック二量体(「ホモ二量体」)KCNQチャネルは、2つの同一のKCNQ5ポリペプチドサブユニットからなり得る。ホモメリック四量体(「ホモ四量体」)は、4つの同一のKCNQ5ポリペプチドサブユニットからなり得る。本明細書において「ヘテロメリック」とは、少なくとも2つの異なるサブユニットを含むイオンチャネルを指す。例えば、ヘテロメリック二量体(「ヘテロ二量体」)KCNQチャネルは、1つのKCNQ5ポリペプチドサブユニットと1つのKCNQ3サブユニットからなり、またはヘテロ二量体KCNQチャネルは、1つのKCNQ5ポリペプチドサブユニットと異なる1つのKCNQ5ポリペプチドサブユニットからなり得る。ヘテロメリック四量体(「ヘテロ四量体」)KCNQチャネルは、1、2、3または4つのKCNQ5ポリペプチドサブユニットからなり得る(ただし、4つ全てのサブユニットがKCNQ5ポリペプチドサブユニットである場合には、それらのサブユニットの少なくとも1つが他の3つとは異なる)。
「相同」とは、2つのポリマー(すなわち、ポリペプチド分子または核酸分子)間の配列類似性の程度を指す。本明細書で示される相同性%の数値は、2つのポリマー間で可能な最大相同性、すなわち、2つのポリマーが一致する(相同な)位置の数が最大となるようにアラインされた場合の相同性%を表す。「相同」および「相同性」はまた、スーパーファミリー(例えば、免疫グロブリンスーパーファミリー)由来のタンパク質および異種由来の相同タンパク質(例えば、ミオシン軽鎖など)をはじめとする「共通の進化起源」を有するタンパク質間の関係を指す(例えば、Reeck GR et al., Cell 50:667 (1987)参照)。このようなタンパク質(およびそれらのコード遺伝子)は、類似性%に関してであれ、または保存された位置における特定の残基もしくはモチーフの存在に関してであれ、それらの配列類似性によって表されるような配列相同性を有する。よって、「配列類似性」とは、共通の進化起源を有しても有さなくてもよいタンパク質の核酸またはアミノ酸配列の間の同一性または一致の程度を指す(Reeck GR et al.,前掲参照)。しかしながら、一般的な使用において、また、本願において、「高度に」などの副詞で修飾される場合の「相同」とは配列類似性を指すことがあり、共通の進化起源に関連するか関連しないかは問わない。
2つのアミノ酸配列または2つの核酸配列の同一性%を決定するためには、これらの配列を最適な比較のためにアラインする(例えば、最適なアライメントのために第一および代にのアミノ酸配列または核酸配列の一方または双方にギャップを導入することができる)。好ましい実施形態では、比較のためにアラインされた参照配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、いっそうより好ましくは少なくとも60%、いっそうより好ましくは少なくとも70%、80%または90%である。次に、対応する位置の残基を比較し、一方の配列のある位置が他方の配列の対応する位置と同じ残基で占められていれば、それらの分子はその位置において同一である。従って、2配列間の同一性%は、2配列が共有している同一の位置の数の関数である(すなわち、同一性%=同一の位置の数/位置の総数×100)。2配列間の同一性%は、2配列の最適なアライメントのために導入されるギャップの数および各ギャップの長さを考慮した、それらの配列が共有している同一の位置の数の関数である。
2排列間の配列比較および同一性%の決定は、数学的アルゴリズムを用いて行うことができる。配列比較に使用される数学的アルゴリズムの非限定例として、Karlin S and Altschul SF, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873-77 (1993)の場合のように改変されたKarlin S and Altschul SF, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2264-68 (1990)がある。このようなアルゴリズムはAltschul SF et al., J. Mol. Biol. 215:403-10 (1990)のNBLASTおよびXBLASTプログラム(バージョン2.0)に組み込まれている。BLASTヌクレオチド検索は、核酸分子と相同なヌクレオチド配列を得るために、NBLASTプログラム スコア=100、ワードレングス=12を用いて行うことができる。BLASTタンパク質検索は、タンパク質分子と相同なアミノ酸配列を得るために、XBLASTプログラム、スコア=50、ワードレングス=3を用いて行うことができる。比較のためのギャップ挿入アライメントを得るためには、Gapped BLASTを、Altschul SF et al., Nucleic Acids Res. 25:3389-3402 (1997)に記載されているように使用することができる。BLASTおよびGapped BLASTプログラムを用いる場合、個々のプログラム(例えば、XBLASTおよびNBLAST)のデフォルトパラメーターを使用することができる。もう1つの好ましい、配列比較に用いられる非限定的アルゴリズムとして、Myers EW and Miller W, Comput. Appl. Biosci. 4:11-17 (1988)のアルゴリズムがある。このようなアルゴリズムは、GCG配列アラインメントソフトウエアパッケージの一部であるALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれている。アミノ酸配列の比較にALIGNプログラムを用いる場合には、PAM120ウエイト・レシジュ・テーブル、ギャップレングスペナルティー12、およびギャップペナルティー4を使用することができる。
タンパク質配列のアライメントに用いられるもう1つの非限定例として、Lipman−Pearsonアルゴリズム(Lipman DJ and Pearson WR, Science 227:1435-41 (1985))がある。Lipman−Pearsonアルゴリズムを用いる場合には、PAM250ウエイト・レシジュ・テーブル、ギャップレングスペナルティー12、ギャップペナルティー4、およびKutple 2を使用することができる。核酸配列のアライメントに用いられる数学的アルゴリズムの好ましい非限定例として、Wilbur−Lipmanアルゴリズム(Wilbur WJ and Lipman DJ, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80:726-30 (1983))がある。Wilbur−Lipmanアルゴリズムを用いる場合には、ウィンドウ20、ギャップペナルティー3、Ktuple 3を使用することができる。Lipman−PearsonアルゴリズムおよびWilbur−Lipmanアルゴリズムは双方とも、例えば、DNASTAR配列解析ソフトウエアパッケージの一部であるMEGALIGNプログラム(例えば、バージョン3.1.7)に組み込まれる。
配列解析用のその他のアルゴリズムも当技術分野で公知であり、Torelli A and Robotti CA, Comput. Appl. Biosci. 10:3-5 (1994)に記載されているADVANCEおよびADAM;ならびに; Pearson WR and Lipman DJ, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2444-48 (1988)に記載されているFASTAが挙げられる。
好ましい実施形態では、2つのアミノ酸配列間の同一性%は、GCGソフトウエアパッケージのGAPプログラムで、Blosum 62マトリックスかPAM250マトリックスのいずれかと、ギャップウェイト16、14、12、10、8、6または4およびウェイトレングス1、2、3、4、5または6を用いて決定される。さらにもう1つの好ましい実施形態では、2つのヌクレオチド配列間の同一性%は、GCGソフトウエアパッケージのGAPプログラムで、NWSgapdna、CMPマトリックス、ギャップウェイト40、50、60、70または80およびウェイトレングス1、2、3、4、5または6を用いて決定される。
タンパク質アライメントはまた、Geneworksグローバルタンパク質アライメントプログラム(例えば、バージョン2.5.1)で、コスト/オープンギャップセット(cost to open gep set)5、コスト/レングセンギャップセット(cost to lengthen gap set)5、ミニマム・ダイアゴナル・レングス・セット(minimum diagonal length set)4、マキシマム・ダイアゴナル・オフセット・セット(maximum diagonal offset set)130、コンセンサス・カットオフ・セット(consensus cutoff set)50%およびPam 250マトリックスを用いて行うことができる。
これらの核酸配列およびタンパク質配列はさらに、例えば、他のファミリーメンバーまたは関連配列を同定すべく公開データベースの検索を行うために「クエリー配列」として使用することができる。このような検索はAltschul SF et al., J. Mol. Biol. 215:403-10 (1990)のNBLASTおよびXBLASTプログラム(バージョン2.0)を用いて行うことができる。BLASTヌクレオチド検索は、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)核酸分子と相同なヌクレオチド配列を得るためには、NBLASTプログラム、スコア=100、ワードレングス=12を用いて行うことができる。BLASTタンパク質検索は、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質分子と相同なアミノ酸配列を得るためには、XBLASTプログラム、スコア=50、ワードレングス=3を用いて行うことができる。比較のためのギャップ挿入アライメントを得るためには、Gapped BLASTを、Altschul SF et al., Nucleic Acids Res. 25:3389-3402 (1997)に記載されているように使用することができる。BLASTおよびGapped BLASTプログラムを用いる場合、個々のプログラム(例えば、XBLASTおよびNBLAST)のデフォルトパラメーターを使用することができる。例えば、ヌクレオチド配列は、デフォルトBlastnマトリックス1−3で、ギャップペナルティーセット:エグジステンス11およびエクステンション1を用いて分析することができる。アミノ酸配列は、デフォルト設定:Blosum62マトリックス、ギャップペナルティーセット:エグジステンス11およびエクステンション1を用いて分析することができる。
「宿主細胞」とは、例えば、細胞による遺伝子、DNAもしくはRNA配列、タンパク質または酵素の発現など、ある物質を細胞によって産生させるために何らかの方法で選択、修飾、形質転換、増殖または使用もしくは操作される任意の生物の任意の細胞を意味する。
核酸分子は、その核酸分子の一本鎖型が適当な温度および溶液イオン強度の条件下で他の核酸分子とアニーリング可能な場合、cDNA、ゲノムDNAまたはRNAなどの別の核酸分子と「ハイブリダイズ可能」である(Sambrook J et al. (eds.), Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2d Ed. 1989) Cold Spring Harbor Laboratory Press, NY. Vols. 1-3 (ISBN 0-87969-309-6))。温度およびイオン強度条件は、ハイブリダイゼーションの「ストリンジェンシー」を決定する。相同核酸の予備スクリーニングのためには、Tが55℃相当の低ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は、例えば、5×SSC、0.1%SDS、0.25%ミルク、およびホルムアミド不含;または30%ホルムアミド、5×SSC、0.5%SDSを使用することができる。より高いTに相当する中ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件、例えば、40%ホルムアミド、5×または6×SCCである。最高Tに相当する高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は、例えば、50%ホルムアミド、5×または6×SCCである。ハイブリダイゼーションには、2つの核酸が相補的配列を含む必要があるが、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに応じて塩基間のミスマッチが起こり得る。核酸をハイブリダイズさせるのに適当なストリンジェンシーは、当技術分野で周知の変数である核酸の長さと相補性の程度によって異なる。2つのヌクレオチド配列間の類似性または相同性の程度が大きいほど、その配列を含む核酸のハイブリッドのT値が大きくなる。核酸ハイブリダイゼーションの相対的安定性(より高いTに相当)は、RNA:RNA、DNA:RNA、DNA:DNAの順に低下する。100ヌクレオチド長より長いハイブリッドについて、Tを算出する方程式が導き出されている(Sambrook et al.,前掲)。
KCNQサブユニットを含む電圧依存性カリウムチャネルの「インヒビター」、「アクチベーター」、「開口薬」または「モジュレーター」とは、KCNQチャネル機能に関するin vitroおよびin vivoアッセイを用いて同定された阻害分子または活性化分子を指す。特に、インヒビター、アクチベーター、およびモジュレーターとは、KCNQチャネル機能を増強し、それにより対象の疼痛を軽減する化合物を指す。「インヒビター」は、チャネルまたはスピードの低下、遮断、回避、活性化の遅延、不活性化、脱感作、またはダウンレギュレーション、または脱活性化の促進を果たす化合物である。「アクチベーター」は、チャネル活性の増強、開口、活性化、補助、活性化の促進、感作、またはアップレギュレーション、または不活性化の遅延もしくは緩慢化を果たす化合物である。このようなインヒビターおよびアクチベーターに関するアッセイには、例えば、細胞または細胞膜で組換えKCNQを発現させ、その後、チャネルを通るイオン流を直接的または間接的に測定することを含む。
「単離された」とは、その物質がその元の、または天然の環境(例えば、天然物の場合には天然環境)から取り出されていることを意味する。従って、生きている動物中に存在する天然ポリヌクレオチドまたはポリペプチドは単離されているとは言えないが、同じポリヌクレオチドまたはポリペプチドでも、天然系で共存している物質のいくらかまたは全てからヒトの介入によって分離または改変されていれば、単離されていると言える。例えば、「単離された核酸断片」は、場合により合成の、非天然の、または改変されたヌクレオチド塩基を含んでいてもよい一本鎖または二本鎖であるRNAまたはDNAのポリマーである。DNAポリマーの形態の単離された核酸断片は、cDNA、ゲノムDNAまたは合成DNAの1以上のセグメントからなり得る。このようなポリヌクレオチドはベクターの一部であってもよいし、かつ/またはこのようなポリヌクレオチドまたはポリペプチドは組成物の一部であってもよく、このようなベクターまたは組成物は、それが天然に見られる環境の一部ではないことからやはり単離されていると言える。同様に、「実質的に精製された」とは、天然に見られる隣接化学環境からヒトの介入によって分離、またはそうでなければ取り出されている物質を指す。実質的に精製されたポリペプチドまたは核酸は、当技術分野で一般に知られているいくつかの技術および手順のいずれかにより取得または産生することができる(例えば、Scopes R (1987) In: Protein purification: principle and practice, Springer-Verlag, NY. General protein and DNA/RNA purificartion references: Current protocols in Molecular biology, Green publishing associates and John Wiley & Sons参照)。
「哺乳動物」とは、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ウシ、ヒツジ、ブタ、ネズミまたは他の家畜または実験室哺乳動物を指す。当業者ならば、ある1種の哺乳動物において病態の重篤度を軽減する療法は、別種の哺乳動物に対するその療法の効果を予測するものとなることが分かるであろう。
「変調する」とは、ある機能の抑制、増強または誘導を指す。例えば、遺伝子発現の「変調」または「調節」とは、遺伝子の活性の変化を指す。発現の変調とは、限定されるものではないが、遺伝子の活性化と遺伝子の抑制を含み得る。「変調する」または「調節する」とはまた、タンパク質、酵素、インヒビター、シグナルトランスデューサー、受容体、転写アクチベーター、補因子などの生物活性を増加または低下させる方法、条件または薬剤も指す。この活性の変化はmRNA翻訳、DNA転写、および/またはmRNAもしくはタンパク質分解の増加または低下であり得、これは生物活性の増加または低下に対応し得る。このような増強または阻害はシグナル伝達経路の活性化などの特定の事象の発生に依存している場合があり、かつ/または特定の細胞種だけで顕現する場合もある。
「変調された活性」とは、タンパク質の生物学的に活性な形態により変調された活性、症状、疾病または表現型のいずれかを指す。変調は生物学的に活性なタンパク質の濃度に影響を及ぼすことにより、例えば、発現または分解を調節することによって、例えば、基質の阻害、活性化、結合または放出を通じ、化学的または構造的のいずれかの修飾としての直接的なアゴニスト的作用またはアンタゴニスト的作用によって、または付加的因子を含み得る直接的または間接的作用によって影響を受け得る。
本明細書において「天然」核酸分子とは、天然に存在するヌクレオチド配列を有する(例えば、天然タンパク質をコードする)RNAまたはDNA分子を指す。
本明細書において「核酸分子」とは、一本鎖型または二本鎖らせんのいずれかの、リボヌクレオシド(アデノシン、グアノシン、ウリジンまたはシチジン;「RNA分子」)またはデオキシリボヌクレオシド(デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシチミジンまたはデオキシシチジン;「DNA分子」)のリン酸エステルポリマー形態、またはホスホロチオエートおよびチオエステルなどのそのいずれかのホスホエステル類似体を指す。二本鎖DNA−DNA、DNA−RNA、およびRNA−RNAらせんがあり得る。核酸分子、特にDNAまたはRNA分子とは、その分子の一次構造および二次構造のみを言い、特定の三次形態に限定されるものではない。よって、この用語には、とりわけ、直鎖(例えば、制限断片)または環状DNA分子、プラスミドおよび染色体に見られる二本鎖DNAが含まれる。特定の二本鎖DNA分子の構造を述べる際に、本発明では、DNAの非転写鎖(すなわち、mRNAと相同な配列を有する鎖)に沿った5’から3’方向の配列だけを示す慣例に従って記載することができる。
「作動可能なように連結される」とは、核酸分子、すなわちDNAと1以上の調節配列(例えば、プロモーターまたはその一部)が、その核酸分子からのmRNAの転写が可能なように、または適当な分子がその調節配列に結合されている場合に、その核酸分子の産物(すなわち、ポリペプチド)発現が可能なように接続されることを意味する。融合構築物内で、「作動可能なように連結される」とは、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)ポリヌクレオチドと非KCNQ5または非KCNQ5(W270L)ポリヌクレオチドが互いにインフレームで融合されていることを示すものとする。非KCNQ5または非KCNQ5(W270L)ポリヌクレオチドは、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)ポリヌクレオチドの3’側または5’側に融合させることができる。
「相同性%」とは、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド間のアミノ酸配列の同一性の程度を指す。2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチド間の相同性は、いずれかの配列のある位置においてヌクレオチドまたはアミノ酸が一致する総数の直接的関数であり、例えば、それらの配列のいずれかのヌクレオチド総数の半分が同じであれば、その2配列は50%の相同性を示すと言える。
「ポリヌクレオチド」または「ヌクレオチド配列」は、DNAおよびRNAなどの核酸中の一連のヌクレオチド塩基(「ヌクレオチド」とも呼ばれる)であり、2以上のヌクレオチドのいずれの鎖も意味する。ヌクレオチド配列は一般に、タンパク質および酵素を製造するために細胞機構が用いている情報を含む遺伝情報を有する。これらの用語には、二本鎖または一本鎖ゲノムおよびcDNA、RNA、合成および遺伝子操作ポリヌクレオチド、ならびにセンスおよびアンチセンス双方のポリヌクレオチドが含まれる。これには一本鎖および二本鎖分子、すなわち、DNA−DNA、DNA−RNA、およびRNA−RNAハイブリッド、ならびにアミノ酸主鎖に塩基をコンジュゲートすることにより形成された「タンパク質核酸」(PNA)が含まれる。これにはまた、例えば、チオ−ウラシル、チオ−グアニン、およびフルオロ−ウラシルなど、修飾塩基を含む核酸も含まれる。
核酸分子がRNAである場合、本明細書に示される非RNA配列のT(チミン)はU(ウラシル)に置き換わっていると考えられる。例えば、配列番号1はcDNA配列として本明細書に開示されている。従って、当業者には、この配列に由来する配列を含むRNA分子は例えばTがUに置換されているということが明白である。
「ポリペプチド」とは、2以上のサブユニットアミノ酸、アミノ酸類似体またはペプチドミメティクスの化合物を含む。これらのサブユニットはペプチド結合により連結することができる。別の実施形態では、サブユニットは、例えばエステル、エーテルなどの他の結合によって連結することができる。本明細書において「アミノ酸」とは、グリシンおよびD型またはL型双方の光学異性体を含む、天然および/または非天然または合成アミノ酸、ならびにアミノ酸類似体およびペプチドミメティクスを含む。3以上のアミノ酸からなるペプチドは一般にオリゴペプチドと呼ばれる。3より多くのアミノ酸からなるペプチドはポリペプチドまたはタンパク質と呼ばれる。
「プライマー」には、一般に、標的とハイブリダイズした後、その標的に相補的なポリヌクレオチドの重合を促進することにより、対象とするサンプル中に存在する標的または「鋳型」と結合する遊離の3’−OHを有する短いポリヌクレオチドが含まれる。「ポリメラーゼ連鎖反応」(「PCR」)は、「上流」および「下流」プライマーからなる「プライマー対」または「プライマーセット」と、DNAポリメラーゼ、一般に、熱安定性のあるポリメラーゼ酵素などの重合触媒を用いて標的ポリヌクレオチドの複製コピーが作製される反応である。PCRのための方法は当技術分野で周知であり、例えば、MacPherson et al., IRL Press at Oxford University Press (1991)に教示されている。PCRまたは遺伝子クローニングなど、ポリヌクレオチドの複製コピーを産生する全てのプロセスを本明細書では「複製」と総称する。プライマーはまた、サザンまたはノーザンブロット分析などのハイブリダイゼーション反応でプローブとして使用することもできる(例えば、Sambrook J et al.,前掲参照)。
ポリヌクレオチド操作に関して用いる場合の「プローブ」は、標的とハイブリダイズすることにより、対象とするサンプル中に存在する標的を検出する試薬として提供されるオリゴヌクレオチドを含む。通常、プローブは、標識またはハイブリダイゼーション反応の前または後のいずれかに標識を付着させ得る手段を含む。好適な標識としては、限定されるものではないが、放射性同位元素、蛍光色素、化学発光化合物、色素、および酵素を含むタンパク質が挙げられる。
「プロモーター配列」は、細胞内のRNAポリメラーゼと結合して下流(3’方向)コード配列の転写を開始させることができるDNA調節領域である。本明細書の目的では、このプロモーター配列は、その3’末端に転写開始部位が接し、バックグラウンドを超える検出可能なレベルの転写を開始させるのに必要な最小数の塩基またはエレメントを含むように上流(5’方向)へ延長される。このプロモーター配列内には、転写開始部位(便宜にはヌクレアーゼS1を用いたマッピングにより定義される)ならびにRNAポリメラーゼの結合を担うタンパク質結合ドメイン(コンセンサス配列)が見られる。
本明細書において「精製された」とは、無関連の材料、すなわち、その材料が得られた天然材料を含む夾雑物の存在を低減または排除する条件下で単離された材料について言う。例えば、精製されたタンパク質は、好ましくは、細胞内で会合している他のタンパク質または核酸を実質的に含まず、精製された核酸分子は、好ましくは、細胞内で一緒に見られたタンパク質または他の無関連の核酸分子を実質的に含まない。本明細書において「実質的に含まない」とは、その材料の分析試験に関して操作上用いる。好ましくは、夾雑物を実質的に含まない精製された材料は純度が少なくとも50%、より好ましくは少なくとも90%、よりいっそう好ましくは少なくとも99%である。純度はクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、イムノアッセイ、組成物分析、生物アッセイ、および当技術分野で公知の他の方法により評価することができる。
精製のための方法は当技術分野で周知である。例えば、核酸は沈殿、クロマトグラフィー(分取固相クロマトグラフィー、オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション、および三重らせんクロマトグラフィーを含む)、超遠心分離、および他の手段により精製することができる。ポリペプチドおよびタンパク質は、限定されるものではないが、分取ディスクゲル電気泳動、等電点電気泳動、HPLC、逆相HPLC、ゲル濾過、イオン交換および分配クロマトグラフィー、沈殿および塩析クロマトグラフィー、抽出および向流分配法により精製することができる。目的によっては、タンパク質が、限定されるものではないが、ポリヒスチジン配列、または抗体と特異的に結合するFLAGおよびGSTのような配列など、精製を容易にする付加的な配列タグを含む、組換え系でポリペプチドを産生することが好ましい。次に、このポリペプチドは、宿主細胞の粗細胞溶解液から、適当な固相マトリックス上でのクロマトグラフィーにより精製することができる。あるいは、タンパク質に対して、またはそれに由来するペプチドに対して作製した抗体を精製試薬として使用することもできる。細胞は、例えば、遠心分離、マトリックス分離(例えば、ナイロンウール分離)、パンニングおよび他の免疫選択技術、枯渇法(例えば、夾雑細胞の補体枯渇)、およびセルソーティング(例えば、蛍光活性化セルソーティング(FACS))をはじめとする種々の技術によって精製することができる。他の精製法も可能である。精製された材料は、それが元々会合していた細胞成分の約50%未満、好ましくは約75%未満、最も好ましくは約90%未満を含み得る。「実質的に純粋」とは、当技術分野で公知の標準的な精製技術を用いて達成可能な最高純度を示す。
「試験化合物」とは、既知の化学構造を有するが、既知の機能または生物活性を有する必要はない化合物を含む。試験化合物はまた未同定の構造を有していてもよく、または例えば植物抽出物などの粗生体サンプル由来の未知の化合物の混合物であってもよい。精製された化学化合物の集合体または種々の起源の粗抽出物の集合体を指す「化学ライブラリー」から多数の化合物を無作為にスクリーニングすることができる。これらの化学ライブラリーは化学的に合成された化合物、または天然産物から精製された化合物を含み得る。これらの化合物は、例えば、タンパク質、ペプチド、糖タンパク質、ステロイド、脂質、リン脂質、核酸およびリポタンパク質などの無機もしくは有機小分子または大型の有機化合物を含み得る。化合物の供試量は化学ライブラリーによって異なるが、精製された(均質な)化合物ライブラリーでは、10μMが一般に最高の初期供試用量である。細胞に試験化合物を導入する方法は当技術分野で周知である。
「トランスフェクション」とは、外来核酸を細胞へ導入することを意味する。「形質転換」とは、「外来」(すなわち、外因性または細胞外)遺伝子、DNAまたはRNA配列を宿主細胞へ導入することを意味し、その結果、宿主細胞は導入された遺伝子または配列を発現し、所望の物質、一般には、導入された遺伝子または配列によりコードされているタンパク質または酵素を産生する。導入された遺伝子または配列はまた「クローニングされた」または「外来の」遺伝子または配列とも呼ばれることがあり、開始、停止、プロモーター、シグナル、分泌または細胞の遺伝子機構に用いられる他の配列などの調節または制御配列を含み得る。この遺伝子または配列は非機能的配列または既知の機能を持たない配列を含み得る。導入DNAまたはRNAを受容し、発現する宿主細胞は、「形質転換された」ものであり、「形質転換体」または「クローン」である。宿主細胞に導入されるDNAまたはRNAは、宿主細胞と同じ属もしくは種の細胞、または異なる属もしくは種の細胞を含め、いずれに起源するものでもよい。よって、さらなる実施形態は、上記のベクターで形質転換された宿主細胞に関する。一実施形態では、宿主細胞は原核細胞である。さらなる実施形態では、宿主細胞は真核細胞である。好ましい実施形態では、宿主細胞はエシェリヒア・コリ(E. coli)細胞である。
「変異体」とは、修飾または改変された遺伝子、DNA配列、酵素、細胞などを示すためにも用いることができる。ヌクレオチドおよびアミノ酸置換、付加または欠失がこの「変異体」という用語に含まれる。また、化学的に修飾された天然および合成KCNQ5分子もこの「変異体」という用語に含まれる。例えば、変異体は、参照ポリペプチドとは異なるポリペプチドも指す場合がある。一般に、参照ポリペプチドと、参照ポリペプチドとはアミノ酸配列が異なるポリペプチドとの間の違いは、参照と変異体のアミノ酸配列が全体的に密接に類似しており、いくつかの領域が同一である。変異体と参照ポリペプチドは1以上の置換、欠失、付加、融合および末端切断によってアミノ酸配列が異なり、それは保存的であっても非保存的であってもよく、いずれの組合せで存在してもよい。例えば、変異体は、いくつかの、例えば50〜30、30〜20、20〜10、10〜5、5〜3、3〜2、2〜1のアミノ酸が任意の組合せで挿入、置換または欠失されているものであり得る。さらに、変異体は、末端または内部欠失によるなど、参照配列よりも短くなることにより参照ポリペプチド配列とは異なるポリペプチドの断片であってもよい。ポリペプチドの変異体はまた、例えば、前駆体部分の切断によって活性化されて活性な成熟ポリペプチドを産生し得る前駆体タンパク質など、このようなタンパク質と実質的に同じ生物学的機能を保持するポリペプチドを含む。これらの変異体は、タンパク質をコードする構造遺伝子のヌクレオチド配列の違いにより特徴付けられる対立遺伝子変異体であり得るし、あるいは異なるスプライシングまたは翻訳後修飾を含み得る。変異体はまた、実質的に同じ生物活性を有するが、異なる種から得られた関連タンパク質も含む。当業者ならば、単一または複数のアミノ酸置換、欠失、付加または交換を有する変異体を作出することができる。これらの変異体としてはとりわけ、(i)1以上のアミノ酸残基が保存的または非保存的アミノ酸残基(好ましくは、保存的アミノ酸残基)で置換され、このような置換アミノ酸残基が遺伝コードによりコードされていてもいなくてもよいもの、または(ii)そのペプチドまたはタンパク質から1以上のアミノ酸が欠失されているもの、または(iii)そのポリペプチドまたはタンパク質に1以上のアミノ酸が付加されているもの、または(iv)1以上のアミノ酸残基が置換基を含むもの、または(v)成熟ポリペプチドが、そのポリペプチドの半減期を高めるための化合物などの別の化合物(例えば、ポリエチレングリコール)と融合されているもの、または(vi)リーダー配列または分泌配列または成熟ポリペプチドもしくは前駆体タンパク質配列の精製のために使用される配列など、付加的なアミノ酸が成熟ポリペプチドに融合されているものが挙げられる。ポリペプチドの変異体はまた、天然の対立遺伝子変異体などの天然変異体であってもよいし、あるいは天然に存在することが知られていない変異体であってもよい。上記で定義されたような変異体は全て、当技術分野の教示の範囲内にあると思われる。
「ベクター」、「クローニングベクター」および「発現ベクター」とは、DNAを宿主細胞に導入して、導入された配列の発現をもたらし得るビヒクルを指す。「属間ベクター」は、属間のコンジュゲーションを可能とする、すなわち、エシェリヒア・コリから別の細胞系統へとDNAを直接渡す系を用いるベクターである。属間コンジュゲーションは形質転換よりも操作が少ない。
ベクターは一般に、外来DNAが挿入された伝達可能な因子のDNAを含む。あるDNAセグメントを別のDNAセグメントへ挿入する一般的な方法は、制限部位と呼ばれる特定の部位(ヌクレオチドの特定の基)でDNAを切断する制限酵素と呼ばれる酵素の使用を含む。「カセット」とは、ベクターの定義された制限部位に挿入することができる発現産物をコードするDNAコード配列またはDNAセグメントを指す。これらのカセット制限部位は適切なリーディングフレームにカセットが確実に挿入されるように設計される。一般に、外来DNAはベクターDNAの1以上の制限部位に挿入され、その後、そのベクターによって伝達可能なベクターDNAとともに宿主細胞に運ばれる。発現ベクターなどの挿入DNAまたは付加DNAを有するDNAのセグメントまたは配列は「DNA構築物」とも呼ばれる。一般的なベクター種は「プラスミド」であり、プラスミドは通常細菌起源の、一般に二本鎖DNAの自律型分子であり、付加的(外来)DNAを容易に受容することができ、好適な宿主細胞に容易に導入することができる。プラスミドベクターは多くの場合、コードDNAとプロモーターDNAを含み、外来DNAの挿入に好適な1以上の制限部位を有する。コードDNAは、特定のタンパク質または酵素に対する特定のアミノ酸配列をコードするDNA配列である。プロモーターDNAは、そのコードDNAの配列を誘導、調節またはそうでなければ媒介するDNA配列である。プロモーターDNAとコードDNAは同じ遺伝子に由来していてもよいし、あるいは異なる遺伝子に由来していてもよく、同じまたは異なる生物に由来するものでもよい。組換えクローニングベクターは多くの場合、クローニングまたは発現のための1以上の複製系と、宿主における選択のための1以上のマーカー、例えば、抗生物質耐性と、1以上の発現カセットを含む。ベクター構築物は、当業者の範囲内である標準的な分子生物学的技術および組換えDNA技術を用いて作製することができる。このような技術は文献に十分説明されている。例えば、Sambrook J et al.,前掲; DNA Cloning: A Practical Approach, Volumes I and II (D.N. Glover ed. 1985); Ausubel FM et al. (eds.), Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, Inc. (1994)参照。汎用され、市販されているベクターとして、例えば、Invitrogen (Carlsbad, Calif.)製のpcDNA3およびpCRベクター、ならびにPromega (Madison, Wis.)製のpGEMベクターが挙げられる。
「電圧依存性」活性(“Voltage-gated” activity or “voltage-gating” or “voltage dependence”)とは、個々のポリペプチドモノマーまたはサブユニットからなるカリウムチャネルの特徴を指す。一般に、細胞が脱分極すると、電圧依存性カリウムチャネル開口の確率が高まる。電圧依存性カリウムチャネルは基本的に、典型的な細胞におけるカリウムの逆転電位(E)よりもプラス側の膜電位でカリウムの流出を可能とするが、これはこのチャネルがこのような電圧で開口する確率が高いからである。カリウム流出を駆動する電気的ポテンシャル(すなわち、電位)はカリウムの濃度勾配によってバランスが取られていることから、Eは、正味のカリウムイオン流が無い膜電位である。細胞の膜電位は主としてそれらのカリウムチャネルによって異なり、一般に哺乳動物細胞では−60〜−100mVの間である。この値はカリウムの逆転電位」または「ネルンスト(Nernst)」電位としても知られる。いくつかの電圧依存性カリウムチャネルは不活性化を受け、より高い膜電位においてカリウム流出を低減することができる。カリウムチャネルはまた、Eに対してマイナスの膜電位で開口を維持する場合にはカリウム流入も可能となる(例えば、Adams and Nonner, in Potassium Channels, pp. 40-60 (Cook, ed., 1990)参照)。この電圧依存性の特徴は、例えば、外部溶液の[K]を変化させ、チャネル電流の活性化電位を測定すること(例えば、米国特許第5,670,335号参照)、種々の条件下でパッチクランプ技術または電圧クランプを用いて電流を測定すること、また、種々の条件下で放射性標識トレーサーまたは電圧感受性色素を用いてイオン流を測定することなどにより、チャネルを通る電流およびイオン流の変化を測定する様々な技術によって測定することができる。
II.KCNQ5またはKCNQ5(W270L)またはその一部をコードする単離されたポリヌクレオチド
本明細書に開示されている方法を実施するにあたって、細胞におけるKCNQ5またはKCNQ5(W270L)の活性および/または発現を変調するために種々の薬剤を使用することができる。一実施形態において、薬剤はKCNQ5またはKCNQ5(W270L)ポリペプチドまたはその一部をコードする核酸分子である。このような核酸分子を以下にさらに詳細に記載する。
遺伝コードにより定義されるように、特定のタンパク質のアミノ酸配列とそのタンパク質をコードし得るヌクレオチド配列との間には既知かつ明確な一致が存在する(下記参照)。同様に、遺伝コードにより定義されるように、特定の核酸分子のヌクレオチド配列とその核酸分子によりコードされているアミノ酸配列との間にも既知かつ明確な一致が存在する。
遺伝コード
アラニン (Ala, A) GCA, GCC, GCG, GCT
アルギニン (Arg, R) AGA, ACG, CGA, CGC, CGG, CGT
アスパラギン (Asn, N) AAC, AAT
アスパラギン酸 (Asp, D) GAC, GAT
システイン (Cys, C) TGC, TGT
グルタミン酸 (Glu, E) GAA, GAG
グルタミン (Gln, Q) CAA, CAG
グリシン (Gly, G) GGA, GGC, GGG, GGT
ヒスチジン (His, H) CAC, CAT
イソロイシン (Ile, I) ATA, ATC, ATT
ロイシン (Leu, L) CTA, CTC, CTG, CTT, TTA, TTG
リシン (Lys, K) AAA, AAG
メチオニン (Met, M) ATG
フェニルアラニン (Phe, F) TTC, TTT
プロリン (Pro, P) CCA, CCC, CCG, CCT
セリン (Ser, S) AGC, AGT, TCA, TCC, TCG, TCT
トレオニン (Thr, T) ACA, ACC, ACG, ACT
トリプトファン (Trp, W) TGG
チロシン (Tyr, Y) TAC, TAT
バリン (Val, V) GTA, GTC, GTG, GTT
終結シグナル (end) TAA, TAG, TGA
遺伝コードの重要かつ周知の特徴はその冗長性であり、これによりタンパク質を産生するのに用いられるほとんどのアミノ酸では、1を超えるコードヌクレオチドトリプレットが使用可能である(上記に示す)。よって、いくつかの異なるヌクレオチド配列が所定のアミノ酸配列をコードし得る。このようなヌクレオチド配列は、全ての生物において同じアミノ酸配列の産生をもたらすことから(ある生物はいくつかの配列を他の配列よりも効率的に翻訳する場合があるが)、機能的に等価であるとみなされる。さらに、場合によっては、プリンまたはピリミジンのメチル化変異体が所定のヌクレオチド配列に見られることがある。このようなメチル化はトリヌクレオチドコドンと対応するアミノ酸との間のコード関係には影響しない。
以上のことを鑑みれば、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)ポリペプチド(またはその一部)をコードするDNAまたはRNA分子のヌクレオチド配列を用いれば、そのDNAまたはRNA分子をアミノ酸配列へと翻訳するための遺伝コードを用い、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)アミノ酸配列を誘導することができる。同様に、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)アミノ酸配列のいずれについても、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質をコードし得る対応するポリヌクレオチド配列をその遺伝コードから推定することができる(その冗長性のために、あるアミノ酸配列に対して複数のポリヌクレオチド配列が生じする)。よって、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)ポリヌクレオチド配列のについての本発明の記載および/または開示は、そのポリヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列の記載および/または開示も含むものと考えるべきである。同様に、本明細書におけるKCNQ5またはKCNQ5(W270L)アミノ酸配列の記載および/または開示は、そのアミノ酸配列をコードし得る可能性のある全てのポリヌクレオチド配列の記載および/または開示を含むと考えるべきである。
一態様は、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質またはその生物学的に活性な部分をコードする単離された核酸分子、ならびにKCNQ5−またはKCNQ5(W270L)をコードするポリヌクレオチド(例えば、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)mRNA)を同定するためにハイブリダイゼーションプローブとして用いるのに十分な核酸断片およびKCNQ5またはKCNQ5(W270L)ポリヌクレオチドの増幅または突然変異のためにPCRプライマーとして使用するための断片に関する。KCNQ5タンパク質の生物学的に活性な部分は、例えば、6つのトランスメンブランドメイン、孔領域、および保存されたC末端領域を含む。KCNQ5またはKCNQ5(W270L)核酸分子の使用を述べる場合、このようなポリヌクレオチドの断片ならびに全長KCNQ5またはKCNQ5(W270L)ポリヌクレオチドが使用可能である。
本明細書で開示されるポリヌクレオチド、例えば、配列番号1またはその一部は、標準的な分子生物学的技術および本明細書で示される配列情報を用いて単離することができる。例えば、配列番号1のポリヌクレオチド配列の全部または一部をハイブリダイゼーションプローブとして用い、KCNQ5(W270L)ポリヌクレオチドを標準的なハイブリダイゼーションおよびクローニング技術(例えば、Sambrook, J., Fritsh, E. F., and Maniatis, T. Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989に記載の通り)を用いて単離することができる。
さらに、配列番号1の全部または一部を含むポリヌクレオチドは、例えば、配列番号1の配列に基づいて設計された合成オリゴヌクレオチドプライマーを用い、PCRにより単離することができる。
ポリヌクレオチドは、鋳型としてのcDNA、mRNAまたはゲノムDNAと標準的なPCR増幅技術に従うオリゴヌクレオチドプライマーを用いて増幅することができる。このようにして増幅されたポリヌクレオチドを適当なベクターにクローニングし、DNA配列解析により特性決定することができる。さらに、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)ポリヌクレオチド配列に対応するオリゴヌクレオチドを標準的な合成技術により、例えば自動化DNA合成装置を用いて作製することができる。
好ましい実施形態では、単離されたポリヌクレオチドは、配列番号1で示されるポリヌクレオチド配列を含む。
別の好ましい実施形態では、単離されたポリヌクレオチドは、配列番号1で示されるポリヌクレオチド配列またはこのポリヌクレオチド配列の一部の相補物であるポリヌクレオチドを含む。配列番号1で示されるポリヌクレオチド配列に相補的なポリヌクレオチドは、配列番号1で示されるポリヌクレオチド配列とハイブリダイズして安定な二重らせんを形成し得るに十分に、配列番号1で示されるポリヌクレオチド配列と相補的なものである。
さらに別の好ましい実施形態では、単離されたポリヌクレオチドは、配列番号1で示されるポリヌクレオチド配列(例えば、ヌクレオチド配列の全長に対して)またはこのヌクレオチド配列の一部と少なくとも約95%、98%またはそれを超える相同性のあるポリヌクレオチド配列を含む。
さらに、ポリヌクレオチドは、配列番号1のポリヌクレオチド配列の一部のみ、例えば、プローブもしくはプライマーとして使用可能な断片またはKCNQ5(W270L)タンパク質の生物学的に活性な部分をコードする断片を含み得る(ただし、この断片は配列番号1のヌクレオチド808〜810を含む)。このプローブ/プライマーは一般に、実質的に精製されたオリゴヌクレオチドを含む。一実施形態において、このオリゴヌクレオチドは、ストリンジェント条件下で、配列番号1のセンス配列の少なくとも約12または15、好ましくは約20または25、より好ましくは約30、35、40、45、50、55、60、65、75または100の連続するポリヌクレオチドとハイブリダイズするヌクレオチド配列の領域を含む。別の実施形態では、ポリヌクレオチドは、少なくとも約100、200、300、400、500、600または700ヌクレオチド長であって、かつ、ストリンジェントハイブリダイゼーション条件下で配列番号1のポリヌクレオチド配列またはその相補物とハイブリダイズするポリヌクレオチド配列を含む。
別の実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号1の少なくとも約100、200、300、400、500、600、700またはそれを超える連続するヌクレオチドを含む(ただし、この断片は配列番号1のヌクレオチド808〜810を含む。
他の実施形態では、ポリヌクレオチドは、少なくとも約100、200、300、400、500、600、700またはそれを超える配列番号1のポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドと少なくとも95%の同一性、より好ましくは98%の同一性を有し、ただし、ヌクレオチド808〜810における置換は、アミノ酸ロイシンに対する保存的置換をもたらすコドンのものである(例えば、アラニン、グリシン、イソロイシンまたはバリンをコードする置換)。
別の実施形態では、ポリヌクレオチドは、KCNQ5の野生型S5−S6トランスメンブランドメインの代わりにKCNQ1由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチドをコードする。このヒトS5−S6トランスメンブランドメインは、そのアミノ酸配列の疎水性に基づいたGCGプログラムを用いた二次構造推定により決定されたものである。S5はアミノ酸L266〜V287を含み、S6はアミノ酸L326〜L352を含む。KCNQ5の結晶構造の欠如のために、配列番号6は推定S4−S5リンカーへの延長領域を含む。よって、一実施形態において、KCNQ5のS5−S6トランスメンブランドメインは、配列番号4のアミノ酸257〜354に相当する配列番号3のヌクレオチド769〜1062を含む。好ましくは、このS5−S6トランスメンブランドメインはヒトKCNQ1に由来し、より好ましくは、配列番号5によりコードされるS5−S6トランスメンブランドメインである。一実施形態において、このポリヌクレオチドは、ヌクレオチド769〜1062が配列番号5で置換されている配列番号3を含む核酸配列である。別の実施形態では、このポリヌクレオチドは、アミノ酸257〜354がKCNQ1由来のS5−S6トランスメンブランドメイン、好ましくは、配列番号6で表されるS5−S6トランスメンブランドメインで置換されている配列番号4をコードする。
別の実施形態では、ポリヌクレオチドは、KCNQ5の野生型S5トランスメンブランドメインの代わりにKCNQ1由来のS5トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチドをコードする。ヒトKCNQ5のS5トランスメンブランドメインは、配列番号4のアミノ酸S257〜A291をコードする配列番号3のポリヌクレオチド769〜873に相当する。好ましくは、このS5トランスメンブランドメインはヒトKCNQ1に由来し、より好ましくは、配列番号5のヌクレオチド1〜105によりコードされるS5トランスメンブランドメインである。一実施形態において、このポリヌクレオチドは、ヌクレオチド769〜873が配列番号5のヌクレオチド1〜105で置換されている配列番号3を含む核酸配列である。別の実施形態では、このポリヌクレオチドは、アミノ酸257〜291がKCNQ1由来のS5トランスメンブランドメイン、好ましくは、配列番号6のアミノ酸1〜35で表されるS5トランスメンブランドメインで置換されている配列番号4をコードする。
KCNQ5またはKCNQ5(W270L)ポリヌクレオチド配列に基づくプローブを用い、同一または相同なタンパク質をコードする転写物またはゲノム配列を検出することができる。好ましい実施形態では、このプローブはさらにそれに結合されている標識基を含み、例えば、この標識基は放射性同位元素、蛍光化合物、酵素または酵素補因子であり得る。このようなプローブは、対象に由来する細胞のサンプル中のKCNQ5またはKCNQ5(W270L)をコードするポリヌクレオチドのレベルを測定すること、例えば、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)mRNAレベルを検出するか、または野生型KCNQ5遺伝子が突然変異しているかどうか、もしくは欠失しているかどうかを決定することなどにより、野生型KCNQ5タンパク質を異所発現する細胞または組織、特に、脳、骨格筋および膀胱を同定するための診断試験キットの一部として使用することができる。
「KCNQ5(W270L)タンパク質の生物学的に活性な部分」をコードする核酸断片は、配列番号1のポリヌクレオチド配列の一部(ただし、この断片は配列番号1のヌクレオチド808〜810を含み、KCNQ5(W270L)生物活性(すなわち、Kチャネル遮断薬TEAに非感受性である、電圧非依存性の、ゆっくり活性化するK選択性電流の形成およびプラスの膜電圧において顕著な内向きの整流の提示)を有するポリペプチドをコードする)を単離し、このKCNQ5(W270L)タンパク質のコード部分を発現させ(例えば、in vitro組換え発現による)、このKCNQ5(W270L)タンパク質のコード部分の活性を評価することにより調製することができる。
遺伝コードの縮重により配列番号1と異なるが、配列番号1によりコードされているものと同じKCNQ5(W270L)タンパク質をコードするポリヌクレオチドが本開示に包含される。よって、別の実施形態では、単離されたポリヌクレオチドは、配列番号2で示されるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を有する。
KCNQ5またはKCNQ5(W270L)分子の天然対立遺伝子変異体およびホモログに相当する核酸分子は、例えば、標準的なハイブリダイゼーション技術に従い、ハイブリダイゼーションプローブとして本明細書に開示されるcDNAまたはその一部を用い、本明細書に開示されるKCNQ5またはKCNQ5(W270L)ポリヌクレオチドに対するそれらの相同性に基づいて単離することができる。例えば、KCNQ5(W270L)DNAは、ハイブリダイゼーションプローブとしての配列番号1の全部または一部と標準的なハイブリダイゼーション技術(例えば、Sambrook J et al.,前掲に記載の通り)を用い、ゲノムDNAライブラリーから単離することができる。さらに、KCNQ5遺伝子の全部または一部えを包含するポリヌクレオチドは、配列番号1の配列に基づいて設計されたオリゴヌクレオチドプライマーを用い、ポリメラーゼ連鎖反応により単離することができる。例えば、細胞からmRNAを単離することができ(例えば、Chirgwin et al., Biochemistry 18: 5294-99 (1979)のチオシアン酸グアニジニウム抽出法による)、逆転写酵素を用いてcDNAを調製することができる(例えば、Gibco/BRL, Bethesda, Md.から入手可能なMoloney MLV逆転写酵素;またはSeikagaku America, Inc., St. Petersburg, Fla.から入手可能なAMV逆転写酵素)。PCR増幅のための合成オリゴヌクレオチドプライマーは、配列番号1で示されるポリヌクレオチド配列に基づいて設計することができる。鋳型としてのcDNAあるいはゲノムDNAと標準的なPCR増幅技術に従う適当なオリゴヌクレオチドプライマーを用いてポリヌクレオチドを増幅することができる。このようにして増幅したポリヌクレオチドを適当なベクターにクローニングし、DNA配列解析により特性決定することができる。さらに、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)ポリヌクレオチド配列に相当するオリゴヌクレオチドを、標準的な合成技術により、例えば、自動化DNA合成装置を用いて作製することができる。
別の実施形態では、単離されたポリヌクレオチドは、数学的アルゴリズムを用い、共有されるヌクレオチド配列の属性に基づいて同定することができる。このようなアルゴリズムは上記に詳しく述べられている(例えば、前記の第I節)。
別の実施形態では、単離されたポリヌクレオチドは少なくとも15、20、25、30またはそれを超えるポリヌクレオチド長であり、ストリンジェント条件下で配列番号1のヌクレオチド配列またはその相補物を含む核酸分子とハイブリダイズする。別の実施形態では、このポリヌクレオチドは少なくとも30、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550または600のヌクレオチド長である。好ましくは、これらの条件は、互いに少なくとも95%、好ましくは少なくとも約98%相同な配列が一般にと互いにハイブリダイゼーションを維持するような条件である。好ましくは、ストリンジェント条件下で配列番号1の配列またはその相補物とハイブリダイズする単離された核酸分子は天然核酸分子に相当する。
別の実施形態では、例えば配列番号1のポリヌクレオチド配列に対する突然変異により微細な変異を導入し、それにより、KCNQ5(W270L)タンパク質の機能活性を変化させずに、コードされているタンパク質のアミノ酸配列に変異をもたらすことができる。例えば、配列番号1の配列において、「非必須」アミノ酸残基においてアミノ酸置換をもたらすヌクレオチド置換を行うことができる。「非必須」アミノ酸残基は、KCNQ5(W270L)分子の機能活性を変化させずに、KCNQ5(W270L)ポリヌクレオチド(例えば、配列番号1の配列)から変異させることができる残基である。従って、当業者ならば、非必須であり、従って、置換されてもよい残基の例を、KCNQ5(W270L)関連分子のアミノ酸アライメントを行い、保存されていない残基を判定することにより特定することができる。このような残基は、保存されていないことから、置換されてもよい可能性が高い。
よって、別の態様は、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)活性に必須でないアミノ酸残基に変異を含むKCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質をコードするポリヌクレオチドに関する。このようなKCNQ5(W270L)タンパク質は、例えば、配列番号2とアミノ酸配列が異なるが、なお、固有のKCNQ5(W270L)活性を保持している。例えば、KCNQ5(W270L)タンパク質の非天然変異体をコードする単離されたポリヌクレオチドは、コードされているタンパク質に1以上のアミノ酸置換、付加または欠失が導入されるように、配列番号1のポリヌクレオチド配列に1以上のヌクレオチド置換、付加または欠失を導入することにより作出することができる。(ただし、ヌクレオチド808〜810における置換はアミノ酸ロイシンに対する保存的置換をもたらすコドンに対するものである)。突然変異は、部位特異的突然変異誘発およびPCR媒介突然変異誘発などの標準的な技術により配列番号1に導入することができる。好ましくは、保存的アミノ酸置換は1以上の非必須アミノ酸残基においてなされる。「保存的アミノ酸置換」とは、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置換されているものである。類似の側鎖を有するアミノ酸残基は当技術分野で定義されており、塩基性側鎖(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分枝側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)がある。よって、KCNQ5(W270L)ポリペプチドの非必須アミノ酸残基は好ましくは、同じ側鎖ファミリーに由来する別のアミノ酸残基で置換される。
あるいは、別の実施形態では、突然変異は飽和突然変異誘発によるなどしてKCNQ5またはKCNQ5(W270L)コード配列の全域または一部に沿って無作為に導入することができ、得られた突然変異体を、例えば、それらの転写活性化能または機能活性を保持する突然変異体の特定能に関してスクリーニングすることができる。突然変異誘発後、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)突然変異体タンパク質は宿主細胞で組換え発現させることができ、その突然変異体タンパク質の機能活性を、KCNQ5活性の評価のために当技術分野で利用可能なアッセイを用いて判定することができる。これらのアッセイとしては、限定されるものではないが、宿主として哺乳動物細胞を用いるパッチクランプ全細胞記録または宿主としてアフリカツメガエル(Xenopus laevis)卵母細胞を用いる双極電圧クランプ法が挙げられる。
さらに別の態様は、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)融合タンパク質をコードする単離されたポリヌクレオチドに関する。全長KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)活性を有するポリペプチドまたはペプチドをコードする第一のポリヌクレオチド配列が、非KCNQ5または非KCNQ5(W270L)タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドをコードする第二のポリヌクレオチド配列と作動可能なように連結されたものを少なくとも含む、このようなポリヌクレオチドは、標準的な組換えDNA技術を用いて作製することができる。
好ましい実施形態では、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質は、例えば、宿主として哺乳動物細胞を用いるパッチクランプ全細胞記録または宿主としてアフリカツメガエル(Xenopus laevis)卵母細胞を用いる双極電圧クランプ法などの上記のような電気生理学的方法を用いて、機能的イオンチャネルをコードする能力に関してアッセイすることができる。一態様では、KCNQ5ポリペプチドはKCNQ1由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含む。別の態様では、KCNQ5ポリペプチドはKCNQ1由来のS5トランスメンブランドメインを含む。
上記のKCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質をコードするポリヌクレオチドの他、別の態様は、それに対してアンチセンスである単離されたポリヌクレオチドに関する。「アンチセンス」核酸は、タンパク質をコードする「センス」核酸に相補的な、例えば、二本鎖cDNA分子のコード鎖に相補的な、またはmRNA配列に相補的なヌクレオチド配列を含む。よって、アンチセンス核酸はセンス核酸と水素結合可能である。アンチセンス核酸は全KCNQ5またはKCNQ5(W270L)コード鎖またはその一部のみに相補的であり得る。一実施形態において、アンチセンス核酸分子は、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)をコードするヌクレオチド配列のコード鎖の「コード領域」に対してアンチセンスである。「コード領域」とは、アミノ酸残基へ翻訳されるコドンを含むヌクレオチド配列の領域を指す。「非コード領域」とは、アミノ酸へ翻訳されない、コード領域をフランキングしている5’および3’配列を指す(すなわち、5’および3’非翻訳領域とも呼ばれる)。
本明細書に開示されているKCNQ5またはKCNQ5(W270L)をコードするコード鎖配列が与えられれば、ワトソンとクリックの塩基対形成の法則に従ってアンチセンス核酸を結成することができる。このアンチセンスポリヌクレオチドは、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)mRNAの全コード領域に相補的であってよいが、より好ましくは、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)mRNAのコード領域または非コード領域の一部に対してだけアンチセンスであるオリゴヌクレオチドである。例えば、このアンチセンスオリゴヌクレオチドはKCNQ5(W270L)mRNAの翻訳開始部位前後の領域に相補的であり得る。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、45または50ヌクレオチド長であり得る。アンチセンスポリヌクレオチドは、当技術分野で公知の手順を用い、化学合成および酵素的連結反応を用いて構築することができる。例えば、アンチセンス核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)は、天然ヌクレオチドまたはそれらの分子の生体安定性を高めるよう、またはアンチセンス核酸とセンス核酸の間で形成される二重らせんの物理的安定性を高めるよう設計された様々に修飾されたヌクレオチドを用いて化学的に合成することができ、例えば、ホスホロチオエート誘導体およびアクリジン置換ヌクレオチドが使用可能である。アンチセンス核酸を作出するのに使用可能な修飾ヌクレオチドの例としては、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセチルシトシン、5−(カルボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、β−D−ガラクトシルキューオシン、イノシン、N6−イソペンテニルアデニン、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−アデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、β−D−マンノシルキューオシン、5’−メトキシカルボキシメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、ワイブトキソシン、シュードウラシル、キューオシン、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、5−メチル−2−チオウラシル、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)w、および2,6−ジアミノプリンが挙げられる。あるいは、アンチセンス核酸は、核酸がアンチセンス配向でサブクローニングされている発現ベクターを用いて生物学的に作製することができる(すなわち、この挿入された核酸から転写されたRNAは対象とする標的核酸に対してアンチセンス配向にある、以下のサブセクションでさらに記載)。
これらのアンチセンスポリヌクレオチドは一般に、対象に投与されるか、またはin situで生成され、その結果、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質をコードする細胞mRNAおよび/またはゲノムDNAとハイブリダイズするか、もしくはそれと結合し、それにより、例えば転写および/または翻訳を阻害することによりその部分の発現を阻害する。このハイブリダイゼーションは、安定な二重らせん形成するための従来のヌクレオチド相補性によるものであってもよいし、あるいは例えばDNA二重らせんと結合するアンチセンスポリヌクレオチドの場合には、二重らせんの主溝における特異的相互作用を介するものでもよい。アンチセンスポリヌクレオチドの投与経路の例には、組織部位における直接注射が含まれる。あるいは、アンチセンスポリヌクレオチドは選択された細胞を標的とするように修飾した後、全身投与することもできる。アンチセンス分子は、例えば、全身投与では、例えば、そのアンチセンスポリヌクレオチドを細胞表面受容体または抗原と結合するペプチドまたは抗体と連結することにより、選択された細胞表面上で発現される受容体または抗原と特異的に結合するように修飾することができる。これらのアンチセンスポリヌクレオチドはまた、本明細書に記載のベクターを用い、細胞に送達することもできる。アンチセンス分子の十分な細胞内濃度を達成するために、アンチセンスポリヌクレオチドが強力なpol IIまたはpol IIIプロモーターの制御下に置かれているベクター構築物が好ましい。
さらに別の実施形態では、アンチセンスポリヌクレオチドはα−アノマー核酸分子である。α−アノマー核酸分子は、通常のβ−ユニットとは対照的に鎖が互いに平行に走る相補的RNAと特異的な二本鎖ハイブリッドを形成する(Gaultier C et al., Nuleic Acids Res. 15:6625-41 (1987))。アンチセンス核酸分子はまた、2’−o−メチルリボヌクレオチド(Inoue H et al., Nuleic Acids Res. 15:6131-48 (1987))またはキメラRNA−DNA類似体(Inoue H et al., FEBS Lett. 215:327-30 (1987))を含んでもよい。
さらに別の実施形態では、アンチセンスポリヌクレオチドはリボザイムである。リボザイムは、リボザイムが相補的領域を有する、mRNAなどの一本鎖核酸を切断し得るリボヌクレアーゼ活性を有する触媒RNA分子である。よって、リボザイム(例えば、ハンマーヘッドリボザイム(Haselhoff J and Gerlach WL, Nature 334:585-91(1988))に記載)を、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)mRNA転写物を触媒的に切断し、それにより、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)mRNAの翻訳を阻害するために使用可能である。配列番号1のヌクレオチド配列に基づき、KCNQ5(W270L)コード核酸に対して特異性を有するリボザイムを設計することができる。例えば、活性部位のヌクレオチド配列がKCNQ5(W270L)コードmRNA内の被切断ヌクレオチド配列に相補的であるテトラヒメナL−19 IVS RNAの誘導体を構築することができる(例えば、米国特許第4,987,071号および同第5,116,742号参照)。あるいは、KCNQ5(W270L)mRNAは、RNA分子のプールから特異的なリボヌクレアーゼ活性を有する触媒RNAを選択するためにも使用可能である(例えば、Bartel D and Szostak JW, Science 261:1411-18 (1993)参照)。
あるいは、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)の調節領域(例えば、KCNQ5(W270L)プロモーターおよび/またはエンハンサー)に相補的なヌクレオチド配列を標的化し、標的細胞においてKCNQ5またはKCNQ5(W270L)遺伝子の転写を妨げる三重らせん構造を形成させることにより、遺伝子発現を阻害することもできる(一般に、Helene C, Anticancer Drug Des. 6:569-84 (1991); Helene C et al., Ann. N. Y. Acad Sci. 660:27-36 (1992); Maher LJ, Bioassays 14:807-15 (1992)参照)。
さらに別の実施形態では、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)ポリヌクレオチドは、例えば、分子の安定性、ハイブリダイゼーションまたは溶解度を改良するために、塩基部分、糖部分またはリン酸主鎖で修飾することができる。例えば、これらのポリヌクレオチドのリン酸デオキシリボース主鎖をペプチド核酸を生じるように修飾することができる(Hyrup B et al., Bioorg. Med. Chem. 4:5-23 (1996)参照)。本明細書において、「ペプチド核酸」および「PNA」とは、核酸ミミック、例えば、リン酸デオキシリボース主鎖がシュードペプチド主鎖に置換され、4つの天然核酸塩基だけが保持されているDNAミミックを指す。PNAの天然主鎖は、低イオン強度の条件下でDNAおよびRNAとの特異的ハイブリダイゼーションが可能であることが示されている。PNAオリゴマーの合成は、Hyrup B et al., 前掲;Perry-O’Keefe H et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:14670-75 (1996)に記載されているような標準的固相ペプチド合成プロトコールを用いて行うことができる。
KCNQ5またはKCNQ5(W270L)ポリヌクレオチドのPNAは、治療適用および診断適用に使用可能である。例えば、PNAは、例えば、転写もしくは翻訳の休止を誘導すること、または複製を阻害することにより、遺伝子発現の配列特異的変調のためのアンチセンスまたは抗原因子として使用することができる。KCNQ5またはKCNQ5(W270L)核酸分子のPNAは、遺伝子内の一塩基対突然変異の分析において(例えば、PNA指示PCRクランピングによる)、他の酵素と併用する場合に「人工制限酵素」として(例えば、S1ヌクレアーゼ(Hyrup B et al., 前掲)、またはDNAシーケンシングまたはハイブリダイゼーションのためのプローブまたはプライマーとして(Hyrup B et al., 前掲; Perry-O’Keefe H et al., 前掲)使用することもできる。
別の実施形態では、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)ポリヌクレオチドのPNAは、PNAに親油性基または他の補助基を付着させることにより、またはPNA−DNAキメラの形成により、またはリポソームもしくは当技術分野で公知の薬物送達の他の技術の使用によって修飾することができる(例えば、それらの安定性または細胞取り込みを増強するため)。例えば、PNAとDNAの有利な特性を併せ持ち得るKCNQ5またはKCNQ5(W270L)ポリヌクレオチドのPNA−DNAキメラが作出できる。このようなキメラは、DNA認識酵素(例えば、RNアーゼ HおよびDNAポリメラーゼ)をDNA部分と相互作用させ、同時に、PNA部分は結合親和性および特異性を提供する。PNA−DNAキメラは、塩基スタッキング、核酸塩基間の結合の数、および配向に関して選択された適当な長さのリンカーを用いて連結することができる(Hyrup B et al., 前掲)。PNA−DNAキメラの合成は、Hyrup B et al., 前掲およびFinn PJ et al., Nucleic AcidZ Res. 24:3357-63 (1996)に記載のようにして行うことができる。例えば、DNA鎖は、標準的なホスホルアミダイトカップリング化学を用いて固相支持体上で合成することができ、PNAとDNAの5’末端の間に例えば5’−(4−メトキシトリチル)アミノ−5’−デオキシ−チミジンホスホルアミダイトなどの修飾ヌクレオシド類似体を使用することができる(Mag M et al., Nucleic Acid Res. 17: 5973-88 (1989))。次に、PNAモノマーを段階的にカップリングして、5’PNAセグメントおよび3’DNAセグメントとのキメラ分子を作出する(Finn PJ et al., 前掲)。あるいは、5’DNAセグメントおよび3’PNAセグメントを用いてキメラ分子を合成することもできる(Petersen KH et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 5:1119-24 (1995))。
他の実施形態では、このオリゴヌクレオチドは、ペプチド(例えば、in vivoにおいて宿主細胞受容体を標的とするため)または細胞膜(例えば、Letsinger RL et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:6553-56 (1989); Lemaitre M et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:648-52 (1987);PCT公報WO88/09810参照)または血液脳関門(例えば、PCT公報WO89/10134参照)を渡る輸送を補助する薬剤などの他の付加基を含んでもよい。さらに、オリゴヌクレオチドはハイブリゼーション誘発型切断剤(例えば、van der Krol AR et al., Biotechniques 6:958-76 (1988)参照)またはインターカレート剤(例えば、Zon G, Pharm. Res. 5:539-49 (1988)参照)を用いて修飾することもできる。このため、オリゴヌクレオチドを別の分子(例えば、ペプチド、ハイブリダイゼーション誘発型架橋剤、輸送剤またはハイブリダイゼーション誘発型切断剤)とコンジュゲートさせてもよい。
一実施形態において、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)ポリヌクレオチド発現は、短い干渉RNA(siRNA)により阻害することができる。siRNAは19〜25のヌクレオチドを有するdsRNAである。siRNAは、Dicerと呼ばれるRNアーゼIII関連ヌクレアーゼによってより長いdsRNA分子を分解することにより内部生成させることができる。siRNAは外から細胞に導入することもできるし、あるいは発現構築物の転写により導入することもできる。ひと度生成されると、siRNAはタンパク質成分と会合して、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)として知られるエンドリボヌクレアーゼ含有複合体となる。ATPにより生成された、ほどかれたsiRNAはRISCを活性化し、そして、ワトソン−クリック塩基対合により相補的mRNA転写物を標的とし、それにより、このmRNAを切断および破壊する。mRNAの切断はsiRNA鎖が接している領域の中央付近で起こる。この配列特異的mRNA分解の結果、遺伝子サイレンシングが生じる。
siRNA媒介遺伝子サイレンシングを達成するには、少なくとも2つの方法を使用することができる。まず、siRNAをin vitroで合成し、細胞の導入して遺伝子発現を一時的に抑制することができる。合成siRNAはRNAiを得る容易かつ効率的な方法を提供する。siRNAは、例えば、対照的な二ヌクレオチドの3’オーバーハングを有する19RNAヌクレオチドを含み得る短い混合型オリゴヌクレオチドの二重らせんである。合成21bp siRNA二重らせん(例えば、19RNA塩基の後にUUまたはdTdT 3’オーバーハングが続く)を用い、哺乳動物細胞において配列特異的遺伝子サイレンシングを達成することができる。これらのsiRNAは哺乳動物細胞において、多くのタンパク質の翻訳の非特異的抑制を生じ得るより長い二本鎖RNA(dsRNA)によるDNA依存性プロテインキナーゼ(PKR)を活性化させることなく、標的とする遺伝子の翻訳を特異的に抑制することができる。
次に、siRNAをベクターからin vivoで発現させることができる。このアプローチを用いて、細胞またはトランスジェニック動物でsiRNAを安定発現させることができる。一実施形態において、siRNA発現ベクターは、ポリメラーゼIII(pol III)転写単位からのsiRNA転写を駆動するように操作されている。Pol III転写単位は、短いAT豊富転写終結単位を開き、2bpのオーバーハング(例えば、UU)〜ヘアピンsiRNAの付加に至る(siRNA機能に有用な特徴)ことから、ヘアピンsiRNAの発現に好適である。Pol III発現ベクターはsiRNAを発現するトランスジェニックマウスを作出するためにも使用可能である。
別の実施形態では、siRNAは組織特異的に発現させることができる。このアプローチでは、まず、選択された細胞系統またはトランスジェニックマウスの核内でプロモーター(CMV(pol II)など)から長いdsRNAを発現させる。この長いdsRNAは核内でsiRNAへとプロセシングされる(例えばDicerによる)。このsiRNAは核から出て、遺伝子特異的サイレンシングを媒介する。同様のアプローチが、組織特異的ノックダウンマウスを作出するための組織特異的(pol II)プロモーターとのコンジュゲーションにも使用可能である。
UUなどの3’二ヌクレオチドオーバーハングは、siRNAの設計に使用することができる。場合によっては、このオーバーハングのG残基は、siRNAが一本鎖G残基においてRNアーゼにより切断される可能性があるので避けられる。
siRNA配列自体に関しては、GC含量が30〜50%のsiRNAがある特定の場合におけるよりG/C含量のより高いものよりも有効であり得ることが分かっている。さらに、4〜6ヌクレオチドのポリ(T)トラックはRNA pol IIIの終結シグナルとして働き得ることから、RNA pol IIIプロモーターから発現される配列を設計する特定の場合には、標的配列中の4を超えるTまたはAのストレッチは避けられることがある。さらに、mRNAのいくつかの領域は、高度な構造を有するか、または調節タンパク質が接しているかのいずれかであり得る。よって、これは遺伝子配列の長さに沿った種々の位置においてsiRNA標的部位を選択するのに役立ち得る。最後に、この可能性ある標的部位を適当なゲノムデータベース(ヒト、マウス、ラットなど)と比較することができる。他のコード配列に相同な、16〜17を超える連続する塩基対を有する標的配列も場合によっては考慮から除外されることがある。
一実施形態において、siRNAは、短いスペーサー配列によって隔てられた2つの逆転リピートを含み、終結部位として働く一連なりのTで終わるように設計することができる。このデザインは、短いヘアピンsiRNA中に保持されていると推定されるRNA転写物を産生する。siRNA標的配列の選択、推定ヘアピンのステムをコードする逆転リピートの長さ、逆転リピートの順序、ヘアピンのループをコードするスペーサー配列の長さおよび組成、ならびに、5’−オーバーハングの存在または不在は所望の結果を達成するために変更可能である。
これらのsiRNA標的は、mRNA配列をAA二ヌクレオチドに関してスキャンし、そのAAのすぐ下流の19ヌクレオチドを記録することにより選択することができる。その他の方法を用いてsiRNA標的を選択することもできる。一例では、siRNA標的配列の選択は、その標的配列がGGで始まり、かつ、BLAST検索により分析されるように他の遺伝子との有意な配列相同性を持たない限り、単に経験的に決定される(例えば、Sui G et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99:5515-20 (2002)参照)。別の例では、より精巧な方法を用いてsiRNA標的配列を選択する。この手順では、内在するmRNAの接近可能ないずれかの部位を合成オリゴデオキシリボヌクレオチド/RNアーゼH法による分解の標的とすることができる(例えば、Lee NS et al., Nature Biotechnol. 20:500-05 (2002)参照)。
別の実施形態では、このヘアピンsiRNA発現カセットは、標的のセンス鎖の後に、短いスペーサー、標的のアンチセンス鎖および転写ターミネーターとしての5〜6個のTを含むように構築される。siRNA発現構築物内のセンス鎖およびアンチセンス鎖の順序は、ヘアピンsiRNAの遺伝子サイレンシング活性に影響を与えずに変更することができる。ある場合では、順序の逆転が遺伝子サイレンシング活性の部分的低下をもたらす場合がある。
siRNA発現カセットのステムとして使用されるヌクレオチド配列の長さは例えば19〜29の範囲であり得る。ループサイズは3〜23ヌクレオチドの範囲であり得る。他のおよび/またはループサイズも使用可能である。
さらに別の実施形態では、ヘアピンsiRNAが遺伝子サイレンシングに機能的である限り、ヘアピンsiRNA構築物において5’オーバーハングを使用することができる。ある特定の例では、この5’オーバーハングは約6個のヌクレオチド残基を含む。
なおさらに別の実施形態では、RNAiの標的配列は、好ましくは配列番号1のヌクレオチド808〜810を含む配列番号1の21マーの配列断片である。この標的配列の5’末端は二ヌクレオチド「NA」(ここで、「N」はいずれの塩基であってもよく、「A」はアデニンを表す)を含む。残りの19マー配列のGC含量は35%〜55%の間である。さらに、この残りの19マー配列は4つの連続するAまたはT(すなわち、AAAAまたはTTTT)、3つの連続するGまたはC(すなわち、GGGまたはCCC)、または7つの一連なりの「GC」を含まない。
RNAi標的配列を選択するために、さらなる判定基準を使用することもできる。例えば、残りの19マー配列のGC含量を45%〜55%の間に限定することもできる。さらに、3つの連続する同一塩基(すなわち、GGG、CCC、TTTまたはAAA)または5以上の塩基の塩基パリンドローム配列を有する19マー配列を除外する。さらに、残りの19マー配列を、他の遺伝子との配列相同性が低いように選択することができる。ある特定の例では、可能性のある標的配列を、NCBIのヒトUniGeneクラスター配列データベースに対してBLASTN検索する。このヒトUniGeneデータベースは遺伝子により方向付けられたクラスター(gene-oriented cluster)の非冗長セットを含む。各UniGeneクラスターはユニークな遺伝子を表す配列を含む。BLASTN検索で他のヒト遺伝子がヒットしない19マーの配列を選択することができる。検索中、e値はストリンジェント値(「1」など)に設定することができる。
siRNA配列ならびに他のいずれかの誘導RNAi配列の有効性は、当技術分野で公知の種々の方法を用いて評価することができる。例えば、siRNA配列を、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)を発現する細胞に導入することができる。細胞内のKCNQ5またはKCNQ5(W270L)のポリペプチドレベルまたはmRNAレベルを検出することができる。siRNA配列の導入前と後のKCNQ5またはKCNQ5(W270L)の発現レベルの実質的な差が、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)の発現を抑制する上でのsiRNA配列の有効性の指標となる。ある特定の例では、他の遺伝子の発現レベルもまた、siRNA配列の導入の前後でモニタリングされる。KCNQ5またはKCNQ5(W270L)発現に対して阻害作用を有するが、他の遺伝子の発現には有意な影響を及ぼさないsiRNA配列を選択することができる。別の特定の例では、複数のsiRNAまたは他のRNAi配列を同じ標的細胞に導入することができる。これらのsiRNAまたはRNAi配列はKCNQ5またはKCNQ5(W270L)発現を特異的に阻害するが、他の遺伝子の発現は阻害しない。さらに別の特定の例では、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)と他の遺伝子の発現を阻害するsiRNAまたは他のRNAi配列を選択することができる。
アンチセンスポリヌクレオチドは、形質転換細胞またはトランスジェニック細胞内で異種発現カセットから産生することができる。あるいは、アンチセンスポリヌクレオチドは、in vitro培養培地、またはin vivo循環系もしくは間質液のいずれかで、外部環境に投与される可溶性オリゴヌクレオチドを含み得る。外部環境に存在する可溶性アンチセンスポリヌクレオチドは細胞質への接近を果たし、特定のmRNA種の翻訳を阻害することが示されている。
III.単離されたKCNQ5およびKCNQ5(W270L)タンパク質、その断片、ならびに抗KCNQ5および抗KCNQ5(W270L)抗体
別の態様は、抗KCNQ5または抗KCNQ5(W270L)抗体を作製するために免疫原として用いるのに好適な単離されたKCNQ5およびKCNQ5(W270L)タンパク質、およびその生物学的に活性な部分、ならびにポリペプチド断片に関する。一実施形態において、KCNQ5およびKCNQ5(W270L)タンパク質は、標準的なタンパク質精製技術を用いた適当な精製スキームによって細胞または組織源から単離することができる。別の実施形態では、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質は、組換えDNA技術により産生される。組換え発現の代わりに、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)ポリペプチドを、標準的なペプチド合成技術を用いて化学的に合成することもできる。例えば配列番号2に示されているようにKCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質の使用を論じる上で、全長KCNQ5またはKCNQ5(W270L)ポリペプチドではないこのようなタンパク質の断片ならびに全長KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質が使用可能であると理解される。
別の態様は、単離されたKCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質に関する。好ましくは、KCNQ5(W270L)タンパク質は、配列番号1によりコードされるアミノ酸配列またはその一部を含む。別の好ましい実施形態では、このタンパク質は配列番号2のアミノ酸配列またはその一部を含む。他の実施形態では、このタンパク質は、アミノ酸270における置換はKCNQ5ポリペプチドに対してレチガビン感受性を再確立しないかぎり、配列番号2で示されるアミノ酸配列またはその一部と少なくとも90%、より好ましくは95%、いっそうより好ましくは98%のアミノ酸同一性を有する。KCNQ5(W270L)ポリペプチド分子の好ましい部分は生物学的に活性であり、例えば、哺乳動物細胞系統またはアフリカツメガエル(Xenopus laevis)卵母細胞などの宿主系において機能的カリウム選択性イオンチャネルをコードする能力を有するKCNQ5(W270L)ポリペプチドの一部などである。
KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質の生物学的に活性な部分としては、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質のアミノ酸配列と十分相同な、またはそれに由来するアミノ酸配列を含むペプチドがあり、全長KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質よりも少ないアミノ酸を含み、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質の少なくとも1つの活性を示す。
別の態様は、KCNQ5の野生型トランスメンブランドメインの代わりにKCNQ1由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチドに関する。好ましくは、このS5−S6トランスメンブランドメインはヒトKCNQ1由来のものである。一実施形態において、KCNQ5ポリペプチドのアミノ酸配列は、アミノ酸257〜354がKCNQ1由来のS5−S6トランスメンブランドメインで置換されている配列番号4を含む。好ましくは、配列番号4のアミノ酸257〜354は配列番号6で置換されている。
別の態様は、KCNQ5の野生型トランスメンブランドメインの代わりにKCNQ1由来のS5トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチドに関する。好ましくは、このS5トランスメンブランドメインはヒトKCNQ1由来のものである。一実施形態において、KCNQ5ポリペプチドのアミノ酸配列は、アミノ酸257〜291がKCNQ1由来のS5トランスメンブランドメインで置換されている配列番号4を含む。好ましくは、配列番号4のアミノ酸257〜291は配列番号6の1〜35で置換されている。
また、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)キメラまたは融合タンパク質も提供される。例えば、一実施形態において、融合タンパク質は、KCNQ5(W270L)メンバー配列がGST配列のC末端に融合されているGST−KCNQ5(W270L)メンバー融合タンパク質である。別の実施形態では、この融合タンパク質は、KCNQ5(W270L)メンバーヌクレオチド配列が、pCEP4−HAベクター(Herrscher RF et al., Genes Dev. 9:3067-82 (1995))などのベクターに、KCNQ5(W270L)メンバー配列がインフルエンザ血球凝集素エピトープタグにインフレームで融合されるように挿入されているKCNQ5(W270L)−HA融合タンパク質である。このような融合タンパク質は、組換えKCNQ5(W270L)メンバーの精製を補助することができる。
組換え技術により産生された融合タンパク質およびペプチドは、このタンパク質またはペプチドを含む細胞の混合物および培地から分泌および単離することができる。あるいは、このタンパク質またはペプチドは細胞質に保持され、細胞を採取し、溶解し、タンパク質を単離することができる。細胞培養は一般に、宿主細胞、培地およびその他の副産物を含む。細胞培養に好適な培地は当技術分野で周知である。タンパク質およびペプチドは、タンパク質およびペプチドを精製するために当技術分野で公知の技術を用いて、細胞培養培地、宿主細胞またはその双方から単離することができる。宿主細胞をトランスフェクトし、タンパク質およびペプチドを精製するための技術は当技術分野で公知である。
好ましくは、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)融合タンパク質は、標準的な組換えDNA技術によって産生される。例えば、種々のポリペプチド配列をコードするDNA断片を、例えば、平滑末端またはジグザグ(stagger)末端、適当な末端を提供する制限酵素消化、適当であれば付着末端の充填、望ましくない連結を回避するためのアルカリ性ホスファターゼ処理、および酵素的連結などの標準的な技術に従い、インフレームでともに連結する。別の実施形態では、融合遺伝子は、自動化DNA合成装置を含む標準的な技術により合成することができる。あるいは、遺伝子断片のPCR増幅は、2つの連続する遺伝子断片(その後、アニーリングされ、再増幅されてキメラ遺伝子配列を生じ得る)の間に相補的オーバーハングを生じるアンカープライマーを用いて行うことができる(例えば、Current Protocols in Molecular Biology, eds. Ausubel et al., John Wiley & Sons: 1992参照)。さらに、融合部分(例えば、GSTポリペプチドまたはHAエピトープタグ)を予めコードしている多くの発現ベクターが市販されている。KCNQ5をコードする、またはKCNQ5(W270L)をコードする核酸をこのような発現ベクターに、その融合部分がKCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質にインフレームで連結されるようにクローニングすることができる。
別の実施形態では、この融合タンパク質は、そのN末端に異種シグナル配列を含むKCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質である。ある特定の宿主細胞(例えば、哺乳動物宿主細胞)では、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)の発現および/または分泌は異種シグナル配列に使用により増強することができる。このKCNQ5またはKCNQ5(W270L)融合タンパク質を医薬組成物に組み込み、in vivoにおいて対象に投与することができる。KCNQ5またはKCNQ5(W270L)融合タンパク質の使用は、例えば、尿失禁または神経因性疼痛に関連する症状などの障害の処置に治療上有用であり得る。さらに、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)融合タンパク質は、対象において抗KCNQ5または抗KCNQ5(W270L)抗体を産生するために免疫原として使用することもできる。
同様に、本明細書では、機能的チャネルの少なくとも1つのサブユニットが本明細書に記載のKCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質またはポリペプチドである機能的カリウムチャネルも提供される。KCNQチャネルは、ホモ二量体、ヘテロ二量体、ホモ四量体およびヘテロ四量体を形成することが知られている。例えば、KCNQ5(W270L)タンパク質はそれ自体とともにホモ二量体を、別種由来のKCNQ5タンパク質とヘテロ二量体を、KCNQ5(W270L)タンパク質変異体とともにヘテロ二量体を、KCNQ3とともにヘテロ二量体を、3つの同じKCNQ5(W270L)サブユニットとともにホモ四量体を、少なくとも1つの異なるKCNQ5サブユニットとともにヘテロ四量体を、または少なくとも1つの異なるKCNQタンパク質、例えば、KCNQ3とともにヘテロ四量体を形成することができる。
別の態様は、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)アゴニスト(ミメティクス)またはKCNQ5またはKCNQ5(W270L)アンタゴニストのいずれかとして機能するKCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質の変異体に関する。KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質の変異体は、例えば、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質の個々の点突然変異または末端切断などの突然変異誘発により作出することができる。KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質のアゴニストは、天然型のKCNQ5タンパク質と実質的に同じ生物活性、またはそのサブセットを保持できる。KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質のアンタゴニストは、例えば、野生型KCNQ5タンパク質の細胞活性を競合的に変調することにより、天然型のKCNQ5タンパク質の1以上の活性を阻害することができる。よって、機能の限定された変異体で処置することにより、特定の生物作用を惹起することができる。一実施形態において、天然型のタンパク質の生物活性のサブセットを有する変異体で対象を処置すると、天然型のKCNQ5タンパク質による処置に比べて、対象における副作用が少なくなる。
一実施形態は、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)の少なくとも1つのアミノ酸残基を酸化、還元または当技術分野で公知の他の誘導体化法によって修飾することにより形成され得るKCNQ5またはKCNQ5(W270L)の誘導体に関する。
一実施形態において、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)アゴニスト(ミメティクス)またはKCNQ5またはKCNQ5(W270L)アンタゴニストのいずれかとして機能するKCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質の変異体は、例えば、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質の末端切断型突然変異体などの突然変異体のコンビナトリアルライブラリーを、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質のアゴニスト活性またはアンタゴニスト活性に関してスクリーニングすることにより同定することができる。このKCNQ5ポリペプチドはKCNQ1由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含み得る。あるいは、KCNQ5ポリペプチドは、KCNQ1由来のS5トランスメンブランドメインを含み得る。一実施形態において、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)変異体の変化に富んだライブラリーは核酸レベルにおけるコンビナトリアル突然変異誘発により作出され、変化に富んだ遺伝子ライブラリーによりコードされる。KCNQ5またはKCNQ5(W270L)変異体の変化に富んだライブラリーは、例えば、合成オリゴヌクレオチドの混合物を遺伝子配列に、可能性のあるKCNQ5またはKCNQ5(W270L)配列の縮重セットが個々のポリペプチドとして、あるいはまたその中にKCNQ5またはKCNQ5(W270L)配列のセットを含むより大きな融合タンパク質セット(例えば、ファージディスプレーのため)として発現可能なように、酵素的に連結することによって作製することができる。
縮重オリゴヌクレオチド配列から可能性のあるKCNQ5またはKCNQ5(W270L)変異体のライブラリーを作製するために使用可能な様々な方法がある。縮重遺伝子配列の化学合成は自動DNA合成装置で行うことができ、この合成遺伝子を次に適当な発現ベクターに連結することができる。遺伝子の縮重セットを用いることで、1つの混合物で、可能性のあるKCNQ5またはKCNQ5(W270L)配列の所望のセットをコードするあらゆる配列の提供が可能となる。縮重オリゴヌクレオチドを合成するための方法は当技術分野で公知である(例えば、Narang SA, Tetrahedron 39:3-22 (1983); Itakura K et al., Annu. Rev. Biochem. 53:323-56 (1984); Itakura K et al., Science 198:1056-63 (1977); Ike Y et al., Nucleic Acids Res. 11:477-88 (1983)参照)。
さらに、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質コード配列の断片のライブラリーを用いて、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質の変異体のスクリーニングとその後の選択のために、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)断片の変化に富んだ集団を作製することもできる。一実施形態において、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)コード配列の二本鎖PCR断片を、1分子当たり約1回だけニッキングが起こる条件下でヌクレアーゼで処理し、二本鎖DNAを変性させ、このDNAを復元して、種々のニック産物からセンス/アンチセンス対を含み得る二本鎖DNAを形成し、SIヌクレアーゼ処理により再形成された二重らせんから一本鎖部分を除去し、得られた断片ライブラリーを発現ベクターに連結することにより、コード配列断片のライブラリーを作製することができる。この方法により、種々のサイズのKCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質のN末端、C末端および内部断片をコードする発現ライブラリーを誘導することができる。
点突然変異または末端切断技術により作製されたコンビナトリアルライブラリーの遺伝子産物をスクリーニングするため、および選択された特性を有する遺伝子産物のcDNAライブラリーをスクリーニングするためのいくつかの技術が当技術分野で知られている。このような技術は、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質のコンビナトリアル突然変異誘発により作製された遺伝子ライブラリーの迅速スクリーニングに適合可能である。大きな遺伝子ライブラリーをスクリーニングするために最も広く用いられている、ハイスループット分析に従う技術は、一般に、遺伝子ライブラリーを複製可能な発現ベクターにクローニングすること、得られたベクターライブラリーで適当な細胞を形質転換すること、および所望の活性の検出が、その産物が検出された遺伝子をコードするベクターの単離を助ける条件下でコンビナトリアル遺伝子を発現させることを含む。ライブラリーにおける機能的突然変異体の頻度を高める技術である帰納的集合突然変異誘発(REM)は、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)変異体を同定するためのスクリーニングアッセイと併用することができる(Arkin AP and Youvan DC, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:7811-15 (1992); Delgrave S et al., Protein Eng. 6:327-31 (1993))。
一実施形態において、細胞に基づくアッセイを用いて変化に富んだKCNQ5またはKCNQ5(W270L)ライブラリーを分析することができる。例えば、発現ベクターのライブラリーを、KCNQ5(W270L)を合成する細胞系統にトランスフェクトすることができる。次に、これらのトランスフェクト細胞を培養すると、KCNQ5(W270L)および特定の突然変異体KCNQ5(W270L)が合成され、細胞上清中のKCNQ5(W270L)活性に対する突然変異体の発現の作用を、例えば、いくつかの酵素的アッセイのいずれかにより検出することができる。次に、それらの細胞からプラスミドDNAを回収し、そのKCNQ5(W270L)活性の阻害、あるいはまた増強のスコア、および個々のクローンをさらに特性決定することができる。
天然アミノ酸のみからなるKCNQ5またはKCNQ5(W270L)ポリペプチドに加え、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)ペプチドミメティクスも提供される。ペプチド類似体は医薬産業で鋳型ペプチドと類似の特性を有する非ペプチド薬剤として汎用されている。これらの種の非ペプチド化合物は「ペプチドミメティクス」または「ペプチドミメティクス」と呼ばれ(Fauchere J, Adv. Drug Res. 15:29 (1986); Veber DF and Freidinger RM, Trends Neurosci. 8:392-96 (1985); Evans BE et al., J. Med. Chem 30:1229-39 (1987))、通常、コンピューター分子モデリングの助けで開発される。治療上有用なペプチドと構造的に類似するペプチドミメティクスを使用すれば、同等の治療作用または予防作用を得ることができる。一般に、ペプチドミメティクスは、KCNQ5(W270L)などのパラダイムポリペプチド(すなわち、生物活性または薬理活性を有するポリペプチド)に構造上類似しているが、当技術分野で公知であり、以下の参照文献:Spatola AF in “Chemistry and Biochemistry of Amino Acids, Peptides, and Proteins,” B. Weinstein, ed., Marcel Dekker, New York, p. 267 (1983); Spatola, AF, Vega Data (March 1983), Vol. 1, Issue 3,“Peptide Backbone Modifications” (general review); Morley JS, Trends Pharmcol. Sci. 1:463-68 (1980) (general review); Hudson D et al., Int. J. Pept. Prot. Res. 14:177-85 (1979)(−CHNH−、CHCH−); Spatola AF et al., Life Sci. 38:1243-49 (1986)(−CH−S); Hann MM, J. Chem. Soc. Perkin Trans. 1, 307-314 (1982) (−CH−CH−,シスおよびトランス); Almquist RG et al., J. Med. Chem. 23:1392-98 (1980)(−COCH−); Jennings-White C et al., Tetrahedron Lett. 23:2533-34 (1982)(−COCH−); EP 0 045 665(−CH(OH)CH−); Holladay MW et al., Tetrahedron Lett., 24:4401-04 (1983)(−C(OH)CH−); Hruby VJ, Life Sci. 31:189-99 (1982)(−CH−S−)にさらに記載されている方法により、−CHNH−、−CHS−、−CH−CH−、−CH=CH−(シスおよびトランス)、−COCH−、−CH(OH)CH−、およびCHSO−からなる群より選択される結合によって任意に置換される1以上のペプチド結合を有する。特定の好ましい非ペプチド結合は−CHNH−である。このようなペプチドミメティクスは、例えば、より経済的な産生、より大きな化学安定性、薬理特性の増強(半減期、吸収、効力、有効性など)、特異性の変更(例えば、生物活性の広域性)、抗原性の低減、その他を含むポリペプチドの具体例を超える有意な利点を持ち得る。ペプチドミメティクスの標識は通常、質的構造活性データおよび/または分子モデリングにより推定されるペプチドミメティック上の非干渉位置への1以上の標識の直接的またはスペーサー(例えば、アミド基)を介した共有結合を含む。このような非干渉位置は一般に、治療作用をもたらすべくペプチドミメティックが結合する高分子と直接的接触を形成しない位置である。ペプチドミメティクスの誘導体化(例えば、標識)は、ペプチドミメティックの所望の生物活性または薬理活性と実質的に干渉すべきでない。
KCNQ5またはKCNQ5(W270L)アミノ酸配列の1以上のアミノ酸の、同じ種類のD−アミノ酸(例えば、L−リシンの代わりにD−リシン)での体系的置換を用い、より安定なペプチドを作製することができる。さらに、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)アミノ酸配列または実質的に同一の配列変異体を含む抑制ペプチドは、当技術分野で公知の方法により、例えば、ペプチドを環化する分子内ジスルフィド橋を形成し得る内部システイン残基を付加することによって作製することができきる(Rizo J and Gierasch LM, Ann. Rev. Biochem. 61:387-416 (1992))。
本明細書で同定されているKCNQ5またはKCNQ5(W270L)ポリペプチドのアミノ酸配列により、当業者は、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)ペプチド配列およびその配列変異体に相当するポリペプチドを作製することができる。このようなポリペプチドは、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)ペプチド配列を、しばしばより大きなポリペプチドの一部としてコードするポリヌクレオチドの発現により、原核宿主細胞または真核宿主細胞で産生することができる。あるいは、このようなペプチドは化学法によって合成することもできる。組換え宿主における異種タンパク質の発現、ポリペプチドの化学合成、およびin vitro翻訳は当技術分野で周知であり、Sambrook J et al., 前掲; Berger and Kimmel, Methods in Enzymology, Volume 152, Guide to Molecular Cloning Techniques (1987), Academic Press, Inc., San Diego, Calif.; Gutte B and Merrifield RB, J. Am. Chem. Soc. 91:501-02 (1969); Chaiken IM, CRC Crit. Rev. Biochem. 11:255-301 (1981); Kaiser ET et al., Science 243:187-92 (1989); Merrifield B, Science 232:341-47 (1986); Kent SBH, Ann. Rev. Biochem. 57:957-89 (1988); Offord, R. E. (1980) Semisynthetic Proteins, Wiley Publishingにさらに記載されている。
ペプチドは一般に直接的化学合成により産生することができる。ペプチドは、N末端および/またはC末端に共有結合により結合された非ペプチド部分を有する修飾ペプチドとして産生することができる。ある特定の好ましい実施形態では、カルボキシ末端またはアミノ末端のいずれかまたは双方が化学的に修飾される。末端アミノ基およびカルボキシル基の最も一般的な修飾はそれぞれアセチル化およびアミド化である。アシル化(例えば、アセチル化)またはアルキル化(例えば、メチル化)などのアミノ末端修飾およびアミド化などのカルボキシ末端修飾、ならびに環化を含む他の末端修飾を様々な実施形態に組み込むことができる。ある種のアミノ末端および/またはカルボキシ末端修飾および/または核配列へのペプチド延長は、安定性の増強、効力および/または有効性の増大、血清プロテアーゼ耐性、望ましい薬物動態特性その他などの有利な物理的、化学的、生化学的および薬理学的特性をもたらす場合がある。
単離されたKCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質またはその一部もしくは断片はまた、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体製造の標準的な技術を用い、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)と結合する抗体を作製するために免疫原として使用することもできる。全長KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質が使用可能であり、あるいはまた、別の態様は免疫原として用いるためのKCNQ5またはKCNQ5(W270L)の抗原性ペプチド断片を提供する。KCNQ5またはKCNQ5(W270L)の抗原性ペプチドは少なくとも8個のアミノ酸残基を含み、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)のエピトープを包含し、これにより、このペプチドに対して生じた抗体はKCNQ5またはKCNQ5(W270L)との特定の免疫複合体を形成する。好ましくは、抗原性ペプチドは少なくとも10個のアミノ酸残基、より好ましくは少なくとも15個のアミノ酸残基、いっそうより好ましくは少なくとも20個のアミノ酸残基、最も好ましくは少なくとも30個のアミノ酸残基を含む。一実施形態において、抗原性ペプチドは配列番号2のアミノ酸270を含む。
抗原性ペプチドに包含される好ましいエピトープは、タンパク質表面にあり、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)ポリペプチドに独特である、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)ポリペプチドの領域、例えば、親水性領域である。一実施形態において、このようなエピトープは、ヒトなどのある種に由来するKCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質に特異的なものである(すなわち、種間で保存されていないKCNQ5またはKCNQ5(W270L)ポリペプチドの領域にわたる抗原性ペプチドが免疫原として用いられ、このような非保存的残基は本明細書に示されているものなどのアライメントを用いて判定することができる)。親水性の領域を特定するためには、このタンパク質の標準的な疎水性分析を行うことができる。
KCNQ5またはKCNQ5(W270L)免疫原は一般に、好適な対象(例えば、ウサギ、ヤギ、マウスまたは他の哺乳動物)を免疫原で免疫化することにより抗体を作製するために使用される。適当な免疫原性調製物は例えば、組換え発現されたKCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質または化学的に合成されたKCNQ5またはKCNQ5(W270L)ペプチドを含むことができる。この調製物は、フロイントの完全もしくは不完全アジュバントまたは同等の免疫刺激薬などのアジュバントをさらに含むことができる。好適な対象を免疫原性KCNQ5またはKCNQ5(W270L)調製物で免疫化することにより、ポリクローナル抗KCNQ5または抗KCNQ5(W270L)抗体応答が誘発される。
よって、別の態様は抗KCNQ5または抗KCNQ5(W270L)抗体の使用に関する。ポリクローナル抗KCNQ5または抗KCNQ5(W270L)抗体は上記のように、好適な対象をKCNQ5またはKCNQ5(W270L)免疫原で免疫化することにより作製することができる。免疫対象の抗KCNQ5または抗KCNQ5(W270L)抗体力価は、固定化KCNQ5またはKCNQ5(W270L)ポリペプチドを用いる酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)などの標準的な技術により、経時的にモノタリングすることができる。所望により、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)ポリペプチドに対する抗体分子を哺乳動物から(例えば、血液から)単離し、IgG画分を得るためのタンパク質Aクロマトグラフィーなどの周知の技術によりさらに精製することができる。免疫化後の適当な時点、例えば、抗KCNQ5または抗KCNQ5(W270L)抗体力価が最高になった際に、抗体産生細胞を対象から得、Kohler G and Milstein C, Nature 256:495-97 (1975)(また、Brown JP et al., J. Immunol. 127:539-46 (1981); Brown JP et al., J. Biol. Chem. 255:4980-83 (1980); Yeh MY et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 76:2927-31 (1979); Yeh MY et al., Int. J. Cancer 29:269-75 (1982)も参照)により最初に記載されたハイブリドーマ技術、より最近のヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozbor D and Roder JC, Immunol. Today 4:72-79 (1983))、EBV−ハイブリドーマ技術(Cole et al. (1985), Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc., pp. 77-96)、またはトリオーマ技術などの標準的な技術によりモノクローナル抗体を作製するために使用することができる。モノクローナル抗体ハイブリドーマを作製するための技術は周知である(一般に、Kenneth RH, in Monoclonal Antibodies: A New Dimension In Biological Analyses, Plenum Publishing Corp., New York, N.Y. (1980); Lerner EA, Yale J. Biol. Med., 54:387-402 (1981); Gefter ML et al., Somatic Cell Genet. 3:231-36 (1977)参照)。要するに、上記のように、不死細胞系統(一般に、骨髄腫)を、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)免疫原で免疫化した哺乳動物由来のリンパ球(一般に、脾細胞)と融合させ、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)ポリペプチドと特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを同定するために、得られたハイブリドーマ細胞の培養上清をスクリーニングする。
リンパ球と不死化細胞系統を融合させるために用いられる多くの周知のプロトコールのいずれかを、抗KCNQ5または抗KCNQ5(W270L)モノクローナル抗体を作製する目的で適用することができる(例えば、Galfre G et al., Nature 266:550-52 (1977); Geifer ML et al., 前掲; Lerner EA, 前掲; Kenneth RH, 前掲参照)。さらに、当業者ならば、このような方法の多くの変形形態があり、それらもまた有用であることが分かるであろう。一般に、不死細胞系統(例えば、骨髄腫細胞系統)は、リンパ球と同じ哺乳動物種に由来する。例えば、ネズミハイブリドーマは、免疫原性調製物で免疫化したマウスに由来するリンパ球を不死化マウス細胞系統と融合させることにより作製することができる。好ましい不死細胞系統は、ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジンを含有する培養培地(「HAT培地」)に感受性のあるマウス骨髄腫細胞系統である。例えば、P3−NS1/1−Ag4−1、P3−x63−Ag8.653またはSp2/O−Ag14骨髄腫系統など、いくつかの骨髄腫細胞系統はいずれも、標準的な技術に従って融合相手として使用可能である。これらの骨髄腫系統はAmerican Type Culture Collection (ATCC), Rockville, Mdから入手可能である。一般に、HAT感受性マウス骨髄腫細胞は、ポリエチレングリコール(「PEG」)を用いてマウス脾細胞に融合させる。この融合から得られたハイブリドーマ細胞を次に、融合していない骨髄腫細胞および非産生的に融合した骨髄腫細胞を死滅させる(融合していない脾細胞は形質転換されていないことから、数日後に死に至る)HAT培地を用いて選択する。モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞は、例えば、標準的なELISAアッセイを用い、ハイブリドーマ培養上清をKCNQ5またはKCNQ5(W270L)分子と結合する抗体に関してスクリーニングすることにより検出する。
モノクローナル抗体選択ハイブリドーマを作製するための別法として、モノクローナル抗KCNQ5または抗KCNQ5(W270L)抗体は、組換えコンビナトリアル免疫グロブリンライブラリー(例えば、抗体ファージディスプレーライブラリー)をKCNQ5またはKCNQ5(W270L)でスクリーニングし、それにより、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)ポリペプチドと結合する免疫グロブリンライブラリーメンバーを単離することにより、同定および単離することができる。ファージディスプレーライブラリーを作製およびスクリーニングするためのキットが市販されている(例えば、GE Healthcare Recombinant Phage Antibody System, Catalog No. 27-9400-01)。さらに、抗体ディスプレーライブラリーの作製およびスクリーニングにおける使用に特に従う方法および試薬の例は、例えば、米国特許第5,223,409号;WO92/18619;WO91/17271;WO92/20791;WO92/15679;WO93/01288;WO92/01047;WO92/09690;WO90/02809;Fuchs P et al., Biotechnology (N.Y.) 9:1370-72 (1991); Hay BN et al., Hum. Antibodies Hybrydomas 3:81-85 (1992); Huse WD et al., Science 246:1275-81 (1989); Griffiths AD et al., EMBO J. 12:725-34 (1993); Hawkins RE et al., J. Mol. Biol. 226:889-96 (1992); Clarkson T et al., Nature 352:624-28 (1991); Gram H et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:3576-80 (1992); Garrard LJ et al., Biotechnology (N.Y.) 9:1373-77 (1991); Hoogenboom HR et al., Nucleic Acids Res. 19:4133-37 (1991); Barbas CF et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:7978-82 (1991);およびMcCafferty J et al., Nature 348:552-54 (1990)に見出すことができる。
さらに、ヒト部分と非ヒト部分の双方を含む、標準的な組換えDNA技術を用いて作製することができるキメラおよびヒト化モノクローナル抗体などの組換え抗KCNQ5または抗KCNQ5(W270L)抗体も本開示の範囲内にある。このようなキメラおよびヒト化モノクローナル抗体は、当技術分野で公知の組換えDNA技術により、例えば、WO87/02671;EP0184187;EP0171496;EP0173494;WO86/01533;米国特許第4,816,567号;EP0125023;Better M et al., Science 240:1041-43 (1988); Liu AY et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:3439-43 (1987); Liu AY et al., J. Immunol. 139:3521-26 (1987); Sun LK et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:214-18 (1987); Nishimura Y et al., Cancer Res. 47:999-1005 (1987); Wood CR et al., Nature 314:446-49 (1985); Shaw DR et al., J. Natl. Cancer Inst. 80:1553-59 (1988); Morrison SL, Science 229:1202-07 (1985);米国特許第5,225,539号;Verhocyan M et al., Science 239:1534-36 (1988);およびBeidler CB et al., J. Immunol. 141:4053-60 (1988)に記載の方法を用いて作製することができる。
さらに、ヒト化抗体は、米国特許第5,565,332号に開示されているものなどの標準的なプロトコールに従って作製することができる。別の実施形態では、抗体鎖または特異的結合対メンバーは、例えば、米国特許第5,565,332号、同第5,871,907号または同第5,733,743号に記載のものなど、当技術分野で公知の技術を用い、特異的結合対メンバーのポリペプチド鎖と複製可能な遺伝ディスプレーパッケージの成分との融合物をコードする核酸分子を含むベクターと、1つの結合対メンバーの第二のポリペプチド鎖をコードする核酸分子を含むベクターの間の組換えにより作製することができる。
抗KCNQ5または抗KCNQ5(W270L)抗体(例えば、モノクローナル抗体)は、アフィニティークロマトグラフィーまたは免疫沈降などの標準的な技術によりKCNQ5またはKCNQ5(W270L)ポリペプチドを単離するために使用可能である。KCNQ5ポリペプチドはKCNQ1由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含み得る。あるいは、KCNQ5ポリペプチドはKCNQ1由来のS5トランスメンブランドメインを含み得る。抗KCNQ5または抗KCNQ5(W270L)抗体は、細胞由来の天然KCNQ5ポリペプチドの精製および宿主細胞で発現される組換え産生KCNQ5またはKCNQ5(W270L)ポリペプチドの精製を容易にすることができる。さらに、抗KCNQ5または抗KCNQ5(W270L)抗体は、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質(例えば、細胞溶解液または細胞上清において)を検出するためにも使用可能である。KCNQ5ポリペプチドはKCNQ1由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含み得る。あるいは、KCNQ5ポリペプチドはKCNQ1由来のS5トランスメンブランドメインを含み得る。検出は、抗体と検出可能な物質を結合させる(すなわち、物理的に連結する)ことにより容易にすることができる。よって、一実施形態では、抗KCNQ5または抗KCNQ5(W270L)抗体を検出可能な物質で標識する。検出可能な物質の例としては、種々の酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光物質および放射性物質が挙げられる。好適な酵素の例としては、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼまたはアセチルコリンエステラーゼが挙げられ、好適な補欠分子族複合体の例としては、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンが挙げられ、好適な蛍光物質の例としては、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシルまたはフィコエリトリンが挙げられ、発光物質の例としては、ルミノールが挙げられ、好適な放射性物質の例としては、125I、131I、35SまたはHが挙げられる。
抗KCNQ5または抗KCNQ5(W270L)抗体はまた、
(a)動物を免疫原性KCNQ5ポリペプチドまたはKCNQ5ポリペプチドに独特なその免疫原性部分で免疫化すること;および
(b)その動物からKCNQ5ポリペプチドと特異的に結合する抗体を単離すること
を含むプロセスにより得ることができる。
好ましくは、KCNQ5ポリペプチドは、(i)KCNQ5(W270L)ポリペプチドのアミノ酸配列を含むポリペプチド;(ii)KCNQ1由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチド;および(iii)KCNQ1由来のS5トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチドからなる群から選択される。より好ましくは、免疫原性KCNQ5ポリペプチドは配列番号2である。
よって、一実施形態において、抗KCNQ5または抗KCNQ5(W270L)抗体は、タンパク質活性を阻害するために例えば細胞内で使用することができる。細胞内のタンパク質機能を阻害するための細胞内抗体の使用は当技術分野で公知である(例えば、Carlson JR, Mol. Cell. Biol. 8:2638-46 (1988); Biocca S et al., EMBO J. 9:101-08 (1990); Werge TM et al., FEBS Lett. 274:193-98 (1990); Carlson JR, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:7427-28 (1993); Marasco WA et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:7889-93 (1993); Biocca S et al., Biotechnology (N.Y.) 12:396-99 (1994); Chen S-Y et al., Hum. Gene Ther. 5:595-601 (1994); Duan L et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:5075-79 (1994); Chen S-Y et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:5932-36 (1994); Beerli RR et al., J. Biol. Chem. 269:23931-36 (1994); Beerli RR et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 204:666-72 (1994); Mhashilkar AM et al., EMBO J. 14:1542-51 (1995); Richardson JH et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:3137-41 (1995);WO94/02610;およびWO95/03832参照)。
一実施形態において、そのベクターを細胞に導入した際に、細胞の細胞内コンパートメントで機能的抗体として発現されるような形態で抗体鎖をコードする組換え発現ベクターを作製する。本明細書に開示されている阻害法に従うKCNQ5またはKCNQ5(W270L)活性の阻害のためには、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質と特異的に結合する細胞内抗体を細胞の細胞質内または細胞外で発現させる。細胞内抗体発現ベクターを作製するため、対象とする標的タンパク質、例えば、KCNQ5(W270L)に特異的な抗体鎖をコードする抗体軽鎖および重鎖cDNAを、一般に、KCNQ5(W270L)タンパク質に特異的なモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマから単離する。抗KCNQ5(W270L)モノクローナル抗体または組換え抗KCNQ5(W270L)モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマは上記のように作製することができる。KCNQ5(W270L)タンパク質に特異的なモノクローナル抗体が同定されれば(例えば、ハイブリドーマ由来のモノクローナル抗体またはコンビナトリアルライブラリー由来の組換え抗体のいずれか)、そのモノクローナル抗体の軽鎖および重鎖をコードするDNAを、標準的な分子生物学技術によって単離する。ハイブリドーマ由来抗体については、軽鎖および重鎖cDNAを、例えば、PCR増幅またはcDNAライブラリースクリーニングにより得ることができる。ファージディスプレーライブラリー由来のものなどの組換え抗体については、ライブラリースクリーニング過程で単離されたディスプレーパッケージ(例えば、ファージ)から軽鎖および重鎖をコードするcDNAを単離する。それからPCRプライマーまたはcDNAライブラリープローブが作製可能な抗体軽鎖および重鎖遺伝子のヌクレオチド配列は当技術分野で公知である。例えば、多くのこのような配列がKabat EA et al. (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242および「Vbase」ヒト生殖細胞系配列データベースに開示されている。
抗体軽鎖および重鎖配列が得られたら、標準的な方法を用い、これらを組換え発現ベクターにクローニングする。軽鎖および重鎖の細胞質発現を可能とするため、軽鎖および重鎖の疎水性リーダーをコードするヌクレオチド配列を除去する。細胞内抗体発現ベクターは、いくつかの異なる形態の1つに細胞内抗体をコードすることができる。例えば、一実施形態において、このベクターは全長抗体軽鎖および重鎖をコードし、その結果、全長抗体が細胞内で発現される。別の実施形態では、このベクターは全長軽鎖をコードするが、重鎖のVH/CH1領域のみをコードするので、細胞内でFab断片が発現される。最も好ましい実施形態では、ベクターは、軽鎖および重鎖の可変領域がフレキシブルペプチドリンカー(例えば、(GlySer))により連結されている単鎖抗体(scFv)をコードし、単鎖分子として発現される。細胞においてKCNQ5またはKCNQ5(W270L)活性を阻害するためには、抗KCNQ5または抗KCNQ5(W270L)細胞内抗体をコードする発現ベクターを、本明細書に述べられている標準的なトランスフェクション法により細胞に導入される。
IV.組換え発現ベクターおよび宿主細胞
別の態様は、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質(またはその一部)をコードする核酸を含むベクター、好ましくは発現ベクターに関する。この核酸はKCNQ1由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチドをコードする。あるいは、この核酸はKCNQ1由来のS5トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチドをコードする。これらの組換え発現ベクターは宿主細胞において核酸の発現に好適な形態で核酸を含み、これはこれらの組換え発現ベクターが、発現に用いられる宿主細胞に基づいて選択され、発現させる核酸配列に作動可能なように連結された1以上の調節配列を含むことを意味する。「調節配列」とは、プロモーター、エンハンサーおよび他の発現制御エレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含むものとする。このような調節配列は、例えば、Goeddel, Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, Calif. (1990)に記載されている。調節配列としては、多くの宿主細胞種でヌクレオチド配列の構成的発現を指示するものと、ある特定の宿主細胞でのみヌクレオチド配列の発現を指示するもの(例えば、組織特異的調節配列)を含む。当業者ならば、発現ベクターのデザインが、形質転換される宿主細胞の選択肢と同じ因子、所望のタンパク質の発現レベルなどによって異なり得ることが分かるであろう。これらの発現ベクターを宿主細胞に導入することで、本明細書に記載の核酸によりコードされている、融合タンパク質またはペプチド(例えば、KCNQ5(W270L)タンパク質、KCNQ5(W270L)タンパク質の突然変異型、融合タンパク質など)をはじめとするタンパク質またはペプチドを産生することができる。
組換え発現ベクターは、原核生物または真核細胞におけるKCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質またはタンパク質断片の発現のために設計することができる。例えば、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質は、エシェリヒア・コリ(E. coli)などの細菌細胞、昆虫細胞(バキュロウイルス発現ベクター)、酵母細胞、両生類細胞または哺乳動物細胞で発現させることができる。好適な宿主細胞はGoeddel, 前掲にさらに詳しく記載されている。あるいは、組換え発現ベクターは、例えば、T7プロモーター調節配列とT7ポリメラーゼを用い、in vitroで転写および翻訳可能である。
原核生物におけるタンパク質の発現は、ほとんどの場合、エシェリヒア・コリで、融合タンパク質か非融合タンパク質のいずれかの発現を指示する構成プロモーターまたは誘導プロモーターを含むベクターを用いて行われる。融合ベクターは、そこにコードされているタンパク質に、通常はその組換えタンパク質のアミノ末端に、いくつかのアミノ酸を付加する。このような融合ベクターは一般に、1)組換えタンパク質の発現の増強、2)組換えタンパク質の溶解度の向上、および3)アフィニティー精製におけるリガンドとしての働きによる組換えタンパク質の精製の補助、の3つの目的に役立つ。多くの場合、融合タンパク質の精製後の融合部分からの組換えタンパク質の分離を可能とするため、融合発現ベクターにおいて、タンパク質分解切断部位は融合部分と組換えタンパク質の接合部に導入される。このような酵素およびそれらのコグネイト認識配列としては、Xa因子、トロンビンおよびエンテロキナーゼが挙げられる。典型的な融合発現ベクターとしては、例えば、それぞれグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)またはマルトースE結合タンパク質を標的組換えタンパク質に融合させるpGEX(Pharmacia Biotech Inc; Smith DB and Johnson KS, Gene 67:31-40 (1988))およびpMAL(New England Biolabs, Beverly, Mass.)が挙げられる。
精製された融合タンパク質は例えば、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)活性アッセイ(例えば、以下に詳細に記載される直接アッセイまたは競合アッセイ)で用い、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質に特異的な抗体を作製することができる。
好適な誘導性非融合エシェリヒア・コリ発現ベクターの例としては、pTrc(Amann E et al., Gene 69:301-15 (1988))およびpET 11d(Studier et al., Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, Calif. (1990) pp. 60-89)が挙げられる。pTrcベクターからの標的遺伝子発現は、ハイブリッドtrp−lac融合プロモーターからの宿主RNAポリメラーゼ転写によるものである。pET 11dベクターからの標的遺伝子発現は、同時発現されるウイルスRNAポリメラーゼ(T7 gn1)によって媒介されるT7 gn10−lac融合プロモーターからの転写によるものである。このウイルスポリメラーゼは、宿主株BL21(DE3)またはHMS174(DE3)により、lacUV 5プロモーターの転写制御下にT7 gn1遺伝子を担持する定着プロファージから供給される。
エシェリヒア・コリにおいて組換えタンパク質の発現を最大にする1つの方法論は、組換えタンパク質のタンパク質分解切断能が損なわれている宿主細菌中でタンパク質を発現させることである(Gottesman S, Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, Calif. (1990) pp. 119-28)。別法として、各アミノ酸の個々のコドンがエシェリヒア・コリで優先的に利用されるように、発現ベクターに挿入する核酸の核酸配列を変化させることである(Wada K et al., Nucleic Acids Res. 20(Suppl.):2111-18 (1992))。このような核酸配列の変更は、標準的なDNA合成技術により行うことができる。
別の実施形態では、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)発現ベクターは酵母発現ベクターである。酵母菌S.セレビシエ(S. cerevisiae)での発現のためのベクターとしては、pYepSec1(Baldari C et al., EMBO J. 6:229-34 (1987))、pMFa(Kurjan J and Herskowitz I, Cell 30:933-43 (1982))、pJRY88(Schultz LD et al., Gene 54:113-23 (1987))、pYES2(Invitrogen Corporation, San Diego, Calif.)、およびpicZ(Invitrogen Corp, San Diego, Calif.)が挙げられる。
あるいは、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質またはポリペプチド、バキュロウイルス発現ベクターを用いて昆虫細胞で発現させることもできる。培養昆虫細胞(例えば、Sf9細胞)におけるタンパク質発現に利用可能なバキュロウイルスベクターとしては、pAc系(Smith GE et al., Mol. Cell. Biol. 3:2156-65 (1983))およびpVL系(Lucklow VA and Summers MD, Virology 170:31-39 (1989))が挙げられる。
さらに別の実施形態は、哺乳動物発現ベクターを用い、哺乳動物細胞において核酸を発現させる。哺乳動物発現ベクターの例としては、pCDM8(Seed B, Nature 329:840-41 (1987))およびpMT2PC(Kaufman RJ et al., EMBO J. 6:187-95 (1987))が挙げられる。哺乳動物細胞において用いる場合、発現ベクターの制御機能はウイルス調節エレメントにより提供される場合が多い。例えば、慣用のプロモーターは、ポリオーマ、アデノウイルス2、サイトメガロウイルス、およびシミアンウイルス40に由来するものである。原核細胞および真核細胞双方のための他の好適な発現系としては、Sambrook, J., Fritsh, E. F., and Maniatis, T. Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989の第16章および第17章を参照。
別の実施形態では、組換え哺乳動物発現ベクターは、特定の細胞種で優先的に核酸の発現を指示することができる(例えば、核酸を発現させるために組織特異的調節エレメントが用いられる)。組織特異的調節エレメントは当技術分野で公知である。好適な組織特異的プロモーターの非限定例として、アルブミンプロモーター(肝臓特異的;Pinkert CA et al., Genes Dev. 1:268-77 (1987))、リンパ特異的プロモーター(Calame K and Eaton S, Adv. Immunol. 43:235-75 (1988))、特にT細胞受容体のプロモーター(Winoto A and Baltimore D, EMBO J. 8:729-33 (1989))および免疫グロブリンのプロモーター(Banerji J et al., Cell 33:729-40 (1983); Queen C and Baltimore D, Cell 33:741-48 (1983))、ニューロン特異的プロモーター(例えば、神経線維プロモーター; Byrne GW and Ruddle FH, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:5473-77 (1989))、膵臓特異的プロモーター(Edlund T et al., Science 230:912-16 (1985))、および乳腺特異的プロモーター(例えば、乳漿プロモーター;米国特許第4,873,316号およびEP0264166)が挙げられる。例えば、ネズミhoxプロモーター(Kessel M and Gruss P, Science 249:374-79 (1990))およびα−フェトタンパク質プロモーター(Camper SA and Tilghman SM, Genes Dev. 3:537-46 (1989))などの発達段階的に調節されるプロモーターも包含される。
さらに、遺伝子発現が重金属イオン(例えば、Mayo KE et al., Cell 29:99-108 (1982); Brinster RL et al., Nature 296:39-42 (1982); Searle PF et al., Mol. Cell. Biol. 5:1480-89 (1985)参照)、熱ショック(例えば、Nouer L et al. (1991) in Heat Shock Response, ed. Nouer L, CRC, Boca Raton, Fla., pp. 167-220参照)、ホルモン(例えば、Lee F et al., Nature 294:228-32 (1981); Hynes NE et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78:2038-42 (1981); Klock G et al., Nature 329:734-36 (1987); Israel DI and Kaufman RJ, Nucleic Acids Res. 17:2589-2604 (1989);WO93/23431参照)、FK506関連分子(例えば、WO94/18317参照)またはテトラサイクリン(Gossen M and Bujard H, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:5547-51 (1992); Gossen M et al., Science 268:1766-69 (1995);WO94/29442;WO96/01313参照)により調節される系など、哺乳動物細胞に用いるための誘導調節系も当技術分野で公知である。よって、別の実施形態は、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)DNAが誘導真核生物プロモーターと作動可能なように連結されている組換え発現ベクターを提供し、それにより真核細胞におけるKCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質の誘導発現を可能とする。
また、単腕相同組換え(one-arm homologous recombination)を用いて内因性タンパク質を発現させる方法も当技術分野で公知である(例えば、米国公開特許出願第2005/0003367号;Zeh et al., Assay Drug Dev. Technol. 1:755-65 (2003); Qureshi et al., Assay Drug Dev. Technol. 1:767-76 (2003)参照)。要するに、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)標的配列と作動可能なように連結されたプロモーターを含む単離されたゲノム構築物を均質な細胞集団(例えば、ヒト細胞系統の均質集団またはチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞の均質集団に導入する。このプロモーターはKCNQ5またはKCNQ5(W270L)標的遺伝子に対して異種である。組換えの後、このプロモーターはKCNQ5またはKCNQ5(W270L)ポリペプチドをコードするmRNAの転写を制御する。次に、これらの細胞集団を、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)ポリペプチドを発現させる条件下でインキュベートする。
さらなる態様は、アンチセンス配向で発現ベクターにクローニングされているDNA分子を含む組換え発現ベクターを提供する。すなわち、このDNA分子は、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)mRNAに対してアンチセンスであるRNA分子の発現(DNA分子の転写による)を可能とする様式で、調節配列と作動可能なように連結される。アンチセンス配向でクローニングされた核酸と作動可能なように連結された調節配列は、例えばウイルスプロモーターおよび/またはエンハンサーなどの様々な細胞種でアンチセンスRNA分子の連続的発現を指示するものを選択することもできるし、あるいは調節配列は、アンチセンスRNAの構成的発現、組織特異的発現または細胞種特異的発現を指示するものを選択することもできる。アンチセンス発現ベクターは、アンチセンス核酸が高効率調節領域の制御下で産生される組換えプラスミド、ファージミドまたは弱毒ウイルスの形態であってよく、この活性はベクターが導入される細胞種により決定することができる。アンチセンス遺伝子を用いた遺伝子発現の調節の考察としては、Weintraub H et al., Trends Genet. 1:22-25 (1985)を参照。
別の態様は、組換え発現ベクターが導入されている宿主細胞に関する。例えば、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質は細菌細胞(例えば、エシェリヒア・コリなど)、昆虫細胞、酵母細胞、両生類細胞(例えば、アフリカツメガエル(Xenopus laevis)卵母細胞など)または哺乳動物細胞(例えば、CHO細胞またはCOS細胞など)で発現させることができる。他の好適な宿主細胞も当業者に公知である。
ベクターDNAは標準的な形質転換またはトランスフェクション技術によって原核細胞または真核細胞に導入することができる。本明細書において、「形質転換」および「トランスフェクション」は、例えば、リン酸カルシウムもしくは塩化カルシウム共沈殿、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション、リポフェクションまたはエレクトロポレーションをはじめ、外来核酸(例えばDNA)を宿主細胞に導入するための当技術分野で認知されている種々の技術を指すものとする。宿主細胞を形質転換またはトランスフェクトするのに好適な方法は、Sambrook J et al.(前掲)および他の実験手引書に見出すことができる。
哺乳動物細胞の安定なトランスフェクションについては、用いる発現ベクターおよびトランスフェクションによって、外来遺伝子をそれらのゲノムに組み込むことができるのは細胞の一部だけであることが知られている。これらの組み込み体を同定および選択するためには、一般に、目的の遺伝子とともに選択マーカー(例えば、抗生物質耐性)をコードする遺伝子を宿主細胞に導入する。好ましい選択マーカーとしては、G418、ハイグロマイシンおよびメトトレキサートなどの薬剤耐性を付与するものが挙げられる。選択マーカーをコードする核酸は、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質をコードするものと同じベクターで宿主細胞に導入することもできるし、あるいは別のベクターで導入することもできる。導入した核酸細胞で安定的にトランスフェクトされた細胞は、薬剤選択により同定することができる(例えば、選択マーカー遺伝子が組み込まれている細胞は生残し、他の細胞は死滅する)。
KCNQ5またはKCNQ5(W270L)で安定的にトランスフェクトされたエシェリヒア・コリの場合、このような系統はKCNQ5またはKCNQ5(W270L)遺伝子が誘導可能なように作製することができる。例えば、発現された遺伝子の調節は、テトラサイクリン応答エレメント(TRE)を含むプロモーター配列の制御下に、tet制御型トランスアクチベーター(tTA)を含む第一の「レギュレーター」プラスミドと、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)を含む第二の「応答」プラスミドの二重の安定発現により行うことができる。市販されているレギュレータープラスミドはネオマイシン選択用に操作されたベクター中にあり、応答ベクターを第二の選択マーカーを含むように構築する必要がある。このようなマーカーを用い、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)発現を、例えば、テトラサイクリンまたはテトラサイクリン関連化合物(例えば、ドキシサイクリン)などの薬剤の存在下でオフとし、例えばテトラサイクリンなどの薬剤が培養培地に加えられない場合にはオンとすることができる。この種の細胞系統に構築により、それが通常毒性である細胞においてKCNQ5またはKCNQ5(W270L)の安定発現を可能となる。
培養原核または真核宿主細胞などの宿主細胞を用い、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質を産生(すなわち発現)されることができる。よって、さらなる態様は、宿主細胞を用い、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質を産生する方法を提供する。一実施形態において、この方法は、宿主細胞(KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質をコードする組換え発現ベクターが導入される)を、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質が産生されるような好適な培地で培養することを含む。別の実施形態では、この方法はさらに、培地または宿主細胞からKCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質を単離することを含む。
また、ある特定の宿主細胞を用い、非ヒトトランスジェニック動物を作出することもできる。例えば、一実施形態において、宿主細胞は、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)コード配列が導入されている受精卵母細胞または胚幹細胞である。次に、このような宿主細胞を用い、外因性のKCNQ5またはKCNQ5(W270L)配列がそれらのゲノムに導入されている非ヒトトランスジェニック動物、または内因性のKCNQ5配列が変更されている相同組換え動物を作出することができる。このような動物はKCNQ5またはKCNQ5(W270L)ポリペプチドの機能および/または活性の研究のため、また、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)活性のモジュレーターを同定および/または評価するために有用である。本明細書において「トランスジェニック動物」とは、その動物の1以上の細胞が導入遺伝子を含む非ヒト動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはラットまたはマウスなどの齧歯類である。トランスジェニック動物の他の例としては、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、ヤギ、ニワトリ、両生類などがある。導入遺伝子は、トランスジェニック動物が発達する細胞のゲノムに組み込まれ、成熟した動物のゲノムに留まり、それにより、トランスジェニック動物の1以上の細胞種または組織で、コードされている遺伝子産物の発現を指示する外因性のDNAである。本明細書において「相同組換え動物」とは、内因性のKCNQ5遺伝子が、内因性の遺伝子と、動物の細胞、例えば、動物の発達前の動物の胚細胞に導入された外因性のDNA分子との間の相同組換えにより変更されている非ヒト動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはマウスである。
トランスジェニック動物は、KCNQ5−またはKCNQ5(W270L)をコードする核酸を、例えば、マイクロインジェクションまたはレトロウイルス感染により受精卵母細胞の雄性前核に導入し、その卵母細胞を偽妊娠雌代理母動物内で発達させることにより作出することができる。配列番号1またはその一部のKCNQ5(W270L)配列は、非ヒト動物のゲノムに導入遺伝子として導入することができる。あるいは、別のKCNQファミリーメンバーなどのKCNQ5(W270L)遺伝子ホモログを、配列番号1のKCNQ5(W270L)ファミリーcDNA配列とのハイブリダイゼーション(上記にさらに詳しく記載されている)に基づいて単離し、導入遺伝子として使用することもできる。
また、導入遺伝子の発現効率を高めるため、イントロン配列およびポリアデニル化シグナルを導入遺伝子に含めることもできる。特定の細胞に対してKCNQ5またはKCNQ5(W270L)導入遺伝子の発現を指示するために、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質組織に特異的調節配列を作動可能なように連結することができる。胚操作およびマイクロインジェクションによってトランスジェニック動物、特にマウスなどの動物を作出する方法は当技術分野の標準となっており、例えば、米国特許第4,736,866号;同第4,870,009号;同第4,873,191号;およびHogan B, Manipulating the Mouse Embryo, (Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1986)に記載されている。他のトランスジェニック動物の作出にも同様の方法が使用される。トランスジェニック創始動物は、そのゲノムにおけるKCNQ5またはKCNQ5(W270L)導入遺伝子の存在および/またはそれらの動物の組織または細胞におけるKCNQ5またはKCNQ5(W270L)mRNAの発現に基づいて同定することができる。次に、トランスジェニック創始動物を用いて、導入遺伝子を有するさらなる動物を繁殖させる。さらに、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質をコードする導入遺伝子を有するトランスジェニック動物を、他の導入遺伝子を有する他のトランスジェニック動物とさらに交配することもできる。
相同組換え動物を作出するため、欠失、付加または置換が導入され、それにより、KCNQ5遺伝子を変更する、例えば機能的に破壊する、KCNQ5遺伝子の少なくとも一部を含むベクターを作製する。好ましい実施形態では、このベクターは、相同組換え時に内因性のKCNQ5遺伝子が機能的に破壊される(すなわち、もはや機能的タンパク質をコードしない;「ノックアウト」ベクターとも呼ばれる)ように設計する。あるいは、このベクターは、相同組換え時に内因性のKCNQ5遺伝子が突然変異またはそうでなければ変更され、しかしながらやはり機能的タンパク質をコードするように設計することができる(例えば、配列番号1のヌクレオチド808〜810はそれにより内因性のKCNQ5タンパク質のアミノ酸270が変更されるように変更することができる)。相同組換えベクターでは、KCNQ5遺伝子の変更部分はその5’および3’末端においてKCNQ5遺伝子のさらなる核酸配列がフランキングしており、ベクターが保持している外因性のKCNQ5遺伝子と胚幹細胞内の内因性のKCNQ5遺伝子との間での相同組換えの発生を可能とする。この付加的なフランキングKCNQ5核酸配列は内因性遺伝子との相同組換えを成功するに十分な長さである。一般に、数キロベースのフランキングDNA(5’および3’の両末端)がベクターに含まれる(例えば、相同組換えベクターに関する記載はThomas KR and Capecchi MR, Cell 51:503-12 (1987)参照)。このベクターを胚幹細胞に導入し(例えば、エレクトロポレーションによる)、導入されたKCNQ5遺伝子が内因性のKCNQ5遺伝子と相同組換えされている細胞を選択する(例えば、Li E et al., Cell 69:915-26 (1992)参照)。次に、これらの選択細胞を動物(例えばマウス)の胚盤胞に注入し、集合キメラを形成させる(例えば、Bradley A, Teratocarcinomas and Embryonic Stem Cells: A Practical Approach, Robertson EJ, ed. (IRL, Oxford, 1987) pp. 113-152参照)。その後、キメラ胚を好適な偽妊娠雌代理母動物に移植し、胚を分娩させる。それらの生殖細胞に相同組換えされたDNAを保持する後代を用い、導入遺伝子の生殖細胞系伝達により動物の全細胞が相同組換えされたDNAを含む動物を繁殖させる。相同組換えベクターおよび相同組換え動物を構築するための方法は、例えば、Bradley A, Curr. Opin. Biotechnol. 2:823-29 (1991);WO90/11354;WO91/01140;およびWO93/04169にさらに詳しく記載されている。
以上に加え、当業者ならば、相同組換えのための当技術分野で公知の他のアプローチも本明細書の開示に当てはまることが分かるであろう。酵素支援部位特異的組込み系が当技術分野で公知であり、第二の標的DNA分子内の所定の位置にDNA分子を組み込むために適用可能である。このような酵素支援組込み系の例として、Creレコンビナーゼ−lox標的系(例えば、Baubonis W and Sauer B, Nucleic Acids Res. 21:2025-29 (1993);およびFukushige S and Sauer B, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:7905-09 (1992)に記載のとおり)およびFLPレコンビナーゼ−FRT標的系(例えば、Dang DT and Perrimon N, Dev. Genet. 13:367-75 (1992);およびFiering S et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:8469-73 (1993)に記載のとおり)が挙げられる。また、WO94/29442およびWO96/01313に記載されているものなどのテトラサイクリンにより調節される誘導性相同組換え系も使用可能である。
例えば、別の実施形態では、導入遺伝子の調節発現を可能とする選択された系を含むトランスジェニック非ヒト動物を作出することができる。このような系の一例として、バクテリオファージP1のcre/loxPレコンビナーゼ系がある。cre/loxPレコンビナーゼ系の記載に関しては、例えば、Lakso M et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:6232-36 (1992)を参照。レコンビナーゼ系の別の例として、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)のFLPレコンビナーゼ系がある(O’Gorman S et al., Science 251:1351-55 (1991))。cre/loxPレコンビナーゼ系を用いて導入遺伝子の発現を調節する場合、Creレコンビナーゼと選択されたタンパク質の双方をコードする導入遺伝子を含む動物が必要である。このような動物は、例えば、一方は選択されたタンパク質をコードする導入遺伝子を含み、他方はレコンビナーゼをコードする導入遺伝子を含む、2匹のトランスジェニック動物を交配させることによる「二重」のトランスジェニック動物の構築により提供することができる。
本明細書に記載の非ヒトトランスジェニック動物のクローンもまた、例えば、Wilmut I et al., Nature 385:810-13 (1997);WO97/07668;およびWO97/07669に記載の方法に従って作出することができる。要するに、トランスジェニック動物に由来する細胞、例えば、体細胞を単離し、増殖期を脱してG期に入らせる。次に、この静止細胞を、例えば、電気パルスの使用により、その静止細胞が単離されたものと同種の動物からの除核した卵母細胞と融合させることができる。その後、この再構成卵母細胞を、桑実胚または胚盤胞へと発達するように培養した後、偽妊娠雌代理母に移植する。この雌代理母動物から産まれた後代は、その細胞、例えば体細胞が単離された動物のクローンである。
V.本発明の使用および方法
イオンチャネルは薬剤の優れた標的である。本明細書に開示されているポリヌクレオチドは、突然変異型電圧依存性カリウムチャネルをコードし、そのモジュレーターは、例えば、火傷、挫傷、擦傷、裂傷、骨折、靱帯断裂、腱断裂、筋断裂、ウイルス感染、細菌感染、原虫感染または真菌感染、接触性皮膚炎、炎症(例えば、外傷、感染、外科術、火傷または炎症成分を有する疾病により起こるもの)、癌などにより引き起こされる体性痛、皮膚痛もしくは内臓痛、または歯痛;例えば、癌、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染、組織外傷、感染、自己免疫疾患、糖尿病、関節炎、糖尿病性神経障害、三叉神経痛または薬物投与による中枢神経系または末梢神経系への傷害により引き起こされる神経因性疼痛などの各種疼痛を含む、中枢神経系(CNS)および末梢神経系に関連する症状またはそれらの有害な症状の診断、処置、予防または改善;例えば、例えば、パニック障害、全身性不安障害またはストレス障害、特に、急性ストレス障害、情動障害、アルツハイマー病、運動失調、外傷または脳卒中または神経変性疾患により引き起こされるCNS損傷、認識欠陥、強迫行動、痴呆、うつ病、ハンチントン病、躁病、記憶欠陥(memory inpairment)、記憶障害(memory disorder)、記憶不全(memory dysfunction)、動作障害(motion disorder)、運動障害(motor disorder)、加齢性記憶喪失、神経変性疾患、パーキンソン病およびパーキンソン様運動障害、恐怖症、ピック病、精神病、統合失調症、脊髄損傷、振戦、発作、痙攣、癲癇、シュタルガルト様黄斑ジストロフィー、錐体桿体黄斑ジストロフィー、サラ病、癲癇、筋弛緩薬、解熱薬、抗不安薬、抗片頭痛薬、鎮痛薬、双極性障害、単極性うつ病、機能的腸疾患(例えば、消化不良および過敏性腸症候群)、下痢、便秘、各種尿失禁(例えば、切迫性尿失禁、腹圧性尿失禁、溢出性尿失禁または無意識性尿失禁および混合型尿失禁)、尿意切迫、不安定膀胱、神経因性膀胱、聴力損失、耳鳴、緑内障、認知障害、慢性炎症性および神経因性疼痛の処置;例えば、癌、炎症、眼病および種々のCNS障害の処置に関する薬物依存性または薬物耐性の予防および軽減に有用である。
本明細書に記載の核酸分子、タンパク質、タンパク質ホモログおよび抗体は、次の方法:a)好ましくは脳、骨格筋または膀胱の処置方法;b)スクリーニングアッセイ;c)推定医学(例えば、診断アッセイ、予後アッセイ、臨床試験のモニタリングまたは薬理遺伝学)の1以上で使用可能である。単離された核酸分子は、例えば、下記でさらに詳しく記載されるように、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質を発現させるため(例えば、遺伝子療法適用において宿主細胞で組換え発現ベクターにより)、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)mRNA(例えば、生体サンプルで)またはKCNQ5遺伝子の遺伝的変異を検出するため、また、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)活性を変調するために使用可能である。さらに、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質は、天然KCNQ5またはKCNQ5(W270L)結合タンパク質をスクリーニングするため、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)活性を変調する薬剤または化合物をスクリーニングするため、ならびに例えば、KCNQ5タンパク質の産生不足もしくは過剰産生、またはKCNQ5野生型タンパク質に比べて低いまたは異常な活性を有するKCNQ5タンパク質形態の産生を特徴とする、KCNQ5の変調から利益を受ける障害を処置するために使用することができる。さらに、抗KCNQ5または抗KCNQ5(W270L)抗体は、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質を検出および単離するため、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質のバイオアベイラビリティを調節するため、また、KCNQ5活性を変調する(例えば、脳においてKCNQ5活性を低下させると、CNSにおけるニューロンの興奮性が高まる)ために使用することができる。好ましい実施形態では、本明細書に開示されている方法、例えば、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)の検出、変調などは、CNS、骨格筋または膀胱平滑筋で行われる。
A.KCNQ5またはKCNQ5(W270L)を変調する方法
一態様では、例えば、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)の発現および/または活性を変調する薬剤を同定する目的で細胞においてKCNQ5またはKCNQ5(W270L)を変調する方法、ならびに異常なKCNQ5発現もしくは活性に付随する障害、またはKCNQ5活性の変調から利益を受ける障害のリスクのある(もしくは罹患しやすい)、またはその障害を有する対象を処置する予防法および治療法の双方を提供する。
さらに別の態様は、細胞においてKCNQ5またはKCNQ5(W270L)発現および/または活性を変調する方法に関する。これらの変調方法は、細胞を、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)発現および/または活性を変調する薬剤と接触させることを含み、その結果、細胞のKCNQ5またはKCNQ5(W270L)発現および/または活性は変調される。この薬剤は細胞におけるKCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質の活性を変調することによるか、またはKCNQ5またはKCNQ5(W270L)遺伝子の転写もしくはKCNQ5またはKCNQ5(W270L)mRNAの翻訳を変調することにより働き得る。
よって、一実施形態において、この薬剤はKCNQ5またはKCNQ5(W270L)活性を阻害する。阻害剤は、例えば、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)活性を直接阻害することにより、またはKCNQ5またはKCNQ5(W270L)に負の調節を行うシグナル伝達経路経路を変調することにより機能し得る。別の実施形態では、この薬剤はKCNQ5またはKCNQ5(W270L)活性を刺激する。刺激剤は、例えば、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)活性を直接刺激することにより、またはKCNQ5またはKCNQ5(W270L)活性の刺激をもたらすシグナル伝達経路を変調することにより機能し得る。阻害剤の例としては、アンチセンスKCNQ5またはKCNQ5(W270L)核酸分子(例えば、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)mRNAの翻訳を阻害するため)、細胞内抗KCNQ5または抗KCNQ5(W270L)抗体(例えば、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質の活性を阻害するため)、およびKCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質のドミナントネガティブ突然変異体が挙げられる。KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質の活性を阻害するために使用可能な他の阻害剤としては、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)活性を阻害する化学化合物がある。このような化合物は本明細書に記載されているように、このような化合物を選択するスクリーニングアッセイを用いて同定することができる。その上、またはその代わりに、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)活性を阻害する化合物を当技術分野で公知のアプローチを用いて設計することができる。
別の変調方法によれば、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)活性は、細胞を刺激剤と接触させることにより細胞において刺激される。このような刺激剤の例としては、活性KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質および細胞のKCNQ5またはKCNQ5(W270L)活性を増強するために細胞に導入されたKCNQ5またはKCNQ5(W270L)をコードする核酸分子が挙げられる。好ましい刺激剤はKCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質をコードする核酸分子であり、この核酸分子は細胞内での活性KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質の発現に好適な形態で細胞に導入される。細胞内でKCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質を発現させるためには、一般に、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)cDNAをまず、本明細書に記載されているように、標準的な分子生物学的技術を用い、組換え発現ベクターに導入する。KCNQ5またはKCNQ5(W270L)cDNAは、例えば、本明細書に記載されているように、PCRを用いた増幅により、または適当なcDNAライブラリーをスクリーニングすることにより得ることができる。KCNQ5またはKCNQ5(W270L)cDNAを単離および増幅した後、そのDNA断片を発現ベクターに導入し、本明細書に記載されているように、標準的な方法により標的細胞へトランスフェクトする。KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質の活性および/または発現を刺激するために使用可能な他の刺激剤としては、KCNQ5活性を増強する化合物など、細胞におけるKCNQ5活性および/または発現を刺激する化学化合物がある。このような化合物は、本明細書に詳しく記載されているように、このような化合物を選択するスクリーニングアッセイを用いて同定することができる。
これらの変調方法は、in vitro(例えば、細胞を薬剤とともに培養することによるか、または薬剤を培養細胞に導入することによる)、あるいはまた、in vivo(例えば、薬剤を対象に投与することによるか、または遺伝子療法によるなど、薬剤を対象の細胞に導入することによる)で行うことができる。in vitro変調法を行うためには、標準的な方法により対象から細胞を得、in vitroで変調剤とともにインキュベート(すなわち培養)し、細胞におけるKCNQ5またはKCNQ5(W270L)活性を変調させることができる。
核酸(KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質をコードする組換え発現ベクター、アンチセンスRNA、細胞内抗体またはドミナントネガティブインヒビターを含む)を含む刺激剤または阻害剤に関しては、in vivoにおいて核酸(例えばDNA)を細胞に導入するための当技術分野で公知の方法を用い、薬剤を対象の細胞に導入することができる。このような方法の例としては、次のものを含む非ウイルス法およびウイルス法の双方を含む。
直接注入:裸のDNAを、DNAを細胞に直接注入することにより、in vivoにおいて細胞に導入することができる(例えば、Acsadi G et al., Nature 332:815-18 (1991); Wolff JA et al., Science 247:1465-68 (1990)参照)。例えば、in vivoにおいてDNAを細胞に注入するための送達装置(例えば、「遺伝子銃」)が使用可能である。このような装置は市販されている(例えば、Bio-Rad Laboratories, Hercules, Calif.から)。
陽イオン脂質:裸のDNAをin vivoにおいて、DNAと陽イオン脂質を複合化することによるか、またはDNAを陽イオンリポソームに封入することにより、細胞に導入することができる。好適な陽イオン脂質製剤の例としては、N−[−1−(2,3−ジオレオイルオキシ)プロピル]N,N,N−トリエチルアンモニウムクロリド(DOTMA)および1:1モル比の1,2−ジミリスチルオキシ−プロピル−3−ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DMRIE)とジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)が挙げられる(例えば、Logan JJ et al., Gene Ther. 2:38-49 (1995); San H et al., Hum. Gene Ther. 4:781-88 (1993)参照)。
受容体媒介DNA取り込み:裸のDNAはまた、ポリリジンなど、細胞表面受容体のリガンドと結合される陽イオンとDNAを複合化することにより、in vivoにおいて細胞に導入することもできる(例えば、Wu GY and Wu CH, J. Biol. Chem. 263:14621-24 (1988); Wilson JM et al., J. Biol. Chem. 267:963-67 (1992);米国特許第5,166,320号参照)。DNA−リガンド複合体と受容体の結合は、受容体により媒介されるエンドサイトーシスによりDNAの取り込みを促進する。細胞内リソソームによる複合体の分解を避けるには、自然状態でエンドソームを破壊し、それにより細胞質中に物質を放出するアデノウイルスキャプシッドと結合されたDNA−リガンド複合体を使用することができる(例えば、Curiel DT et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:8850-54 (1991); Cristiano RJ et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:2122-26 (1993)参照)。
レトロウイルス:欠陥レトロウイルスは、遺伝子療法の目的で遺伝子導入に使用するために十分特性決定されている(総説としては、Miller AD, Blood 76:271-78 (1990)参照)。組換えレトロウイルスは、レトロウイルスゲノムに目的のヌクレオチド配列が組み込まれているように構築することができる。さらに、レトロウイルスを複製欠陥とするためにレトロウイルスゲノムの一部を除去することができる。次に、複製欠陥レトロウイルスを、標準的な技術によりヘルパーウイルスの使用によって標的細胞の感染に使用可能なビリオンへとパッケージングする。組換えレトロウイルスを産生するプロトコールおよびin vitroまたはin vivoにおいてこのようなウイルスを細胞に感染させるプロトコールは、Current Protocols in Molecular Biology, Ausubel FM et al. (eds.) Greene Publishing Associates, (1989), Sections 9.10-9.14および他の標準的な実験手引書に見出すことができる。好適なレトロウイルスの例としては、当業者に周知のpLJ、pZIP、pWEおよびpEMが挙げられる。好適なパッケージングウイルス系統としては、ψCrip、ψCre、ψ2、およびψAmが挙げられる。レトロウイルスは、in vitroおよび/またはin vivoにおいて種々の遺伝子を上皮細胞、内皮細胞、リンパ球、筋芽細胞、肝細胞、骨髄細胞をはじめとする多くの異なる細胞種に導入するために用いられている(例えば、Eglitis MA et al., Science 230:1395-98 (1985); Danos O and Mulligan RC, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:6460-64 (1988); Wilson JM et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:3014-18 (1988); Armentano D et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:6141-45 (1990); Huber BE et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:8039-43 (1991); Ferry N et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:8377-81 (1991); Chowdhury JR et al., Science 254:1802-05 (1991); van Beusechem VW et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:7640-44 (1992); Kay MA et al., Hum. Gene Ther. 3:641-47 (1992); Dai Y et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10892-95 (1992); Hwu P et al., J. Immunol. 150:4104-15 (1993);米国特許第4,868,116号;米国特許第4,980,286号;WO89/07136;WO89/02468;WO89/05345;およびWO92/07573参照)。レトロウイルスベクターは、レトロウイルスゲノム(およびそれに挿入されている外来核酸)が宿主ゲノムに組み込まれ、その細胞に核酸を安定導入するためには標的細胞の分裂が必要である。よって、標的細胞の複製を刺激することが必要であり得る。
アデノウイルス:アデノウイルスのゲノムは、それが目的の遺伝子産物をコードおよび発現するが、通常の溶菌ウイルスの生活環におけるその複製能に関して不活性化されるように操作することができる(例えば、Berkner KL, Biotechniques 6:616-29 (1988); Rosenfeld MA et al., Science 252:431-34 (1991);およびRosenfeld MA et al., Cell 68:143-55 (1992)参照)。アデノウイルス株Adタイプ5 d1324または他のアデノウイルス株(例えば、Ad2、Ad3、Ad7など)に由来する好適なアデノウイルスベクターは当業者によく知られている。組換えアデノウイルスは、有効な遺伝子送達ビヒクルとするのに分裂細胞を必要とせず、さらに、気道上皮(Rosenfeld MA et al., Cell 68:143-55 (1992))、内皮細胞(Lemarchand P et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:6482-86 (1992))、肝細胞(Herz J and Gerard RD, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:2812-16 (1993))および筋肉細胞(Quantin B et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:2581-84 (1992))をはじめとする多様な細胞種の感染に使用可能であるという点で有利である。さらに、導入されたアデノウイルスDNA(およびそこに含まれている外来DNA)は宿主細胞のゲノムに組み込まれず、エピソームで維持され、これにより、導入されたDNAが、宿主ゲノム(例えば、レトロウイルスDNA)が導入されるようになる状況で挿入突然変異誘発の結果として起こり得る潜在的問題を回避する。さらに、アデノウイルスゲノムの外来DNA保持能は他の遺伝子送達ベクターよりも大きい(最大8キロベース)(Berkner KL et al., 前掲; Haj-Ahmad Y and Graham FL, J. Virol. 57:267-74 (1986))。現在使用されているほとんどの複製欠陥アデノウイルスベクターは、ウイルスE1およびE3遺伝子の全部または一部を欠損しているが、80%といった多くのアデノウイルス遺伝物質を保持している。
アデノ随伴ウイルス:アデノ随伴ウイルス(AAV)は、効率的複製および産生的生活環のためのヘルパーウイルスとしての、アデノウイルスまたはヘルペスウイルスなどの別のウイルスを必要とする天然の欠陥ウイルスである(総説としては、Muzyczka N, Curr. Top. Microbiol. Immunol. 158:97-129 (1992)参照)。それはまた、そのDNAが非分裂細胞に組み込むことができ、高頻度の安定な組み込みを示す数少ないウイルスの1つである(例えば、Flotte TR et al., Am. J. Respir. Cell. Mol. Biol. 7:349-56 (1992); Samulski RJ et al., J. Virol. 63:3822-28 (1989);およびMcLaughlin SK et al., J. Virol. 62:1963-73 (1988)参照)。300塩基対といった小さなAAVを含むベクターをパッケージングすることができ、組み込むことができる。外因性のDNAのためのスペースは約約4.5kbに制限される。Tratschin JD et al., Mol. Cell. Biol. 5:3251-60 (1985)に記載されているようなAAVベクターは細胞にDNAを導入するために使用することができる。種々の核酸がAAVベクターを用いて種々の細胞種に導入されている(例えば、Hermonat PL and Muzyczka N, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6466-70 (1984); Tratschin JD et al., Mol. Cell. Biol. 4:2072-81 (1985); Wondisford FE et al., Mol. Endocrinol. 2:32-39 (1988); Tratschin JD et al., J. Virol. 51:611-19 (1984);およびFlotte TR et al., J. Biol. Chem. 268:3781-90 (1993)参照)。
特定の発現ベクター系および核酸を細胞に導入する方法の有効性は当技術分野で慣例的に用いられている標準的なアプローチにより評価することができる。例えば、細胞に導入されたDNAはフィルターハイブリダイゼーション技術(例えば、サザンブロット法)により検出することができ、導入されたDNAの転写により産生されたRNAは例えばノーザンブロット法、RNアーゼ保護または逆転写酵素−ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)により検出することができる。遺伝子産物は、例えば、特異的抗体を用いるなど、産生されたタンパク質の免疫検出、または遺伝子産物の機能活性を検出するための機能的アッセイによるなどの適当なアッセイにより検出することができる。
KCNQ5またはKCNQ5(W270L)変調剤が処置に使用できる様々な病態がある(例えば、本明細書の第V節参照)。
1.予防方法
一態様は、対象において、対象にKCNQ5またはKCNQ5(W270L)ポリペプチドまたはKCNQ5ポリペプチド発現もしくは少なくとも1つのKCNQ5活性を変調する薬剤を投与することにより、KCNQ5活性および/または発現の変調から利益を受ける疾病または症状、例えば、異常なKCNQ5発現または活性に付随する障害(例えば、尿失禁および神経因性疼痛など)を予防する方法を提供する。一態様において、KCNQ5ポリペプチドはKCNQ1由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含み得る。あるいは、KCNQ5ポリペプチドはKCNQ1由来のS5トランスメンブランドメインを含み得る。異常なKCNQ5発現または活性により引き起こされる、またはその一因となる疾病のリスクのある対象は、例えば、本明細書に記載されているような診断アッセイまたは予後アッセイのいずれかまたは組合せにより同定することができる。予防薬の投与は、疾病または障害が予防されるように、またはそうでなければその進行が遅延されるように、KCNQ5異常に特徴的な徴候の発現前に行うことができる。KCNQ5異常または症状のタイプに応じて、例えば、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)ポリペプチド、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)アゴニストまたはKCNQ5またはKCNQ5(W270L)アンタゴニスト剤が対象の処置に使用可能である。適当な薬剤は本明細書に記載のスクリーニングアッセイに基づいて決定することができる。
2.治療方法
別の態様は、治療目的でKCNQ5の発現または活性を変調する方法に関する。よって、一例としての実施形態では、変調方法は、細胞と、細胞に会合しているKCNQ5タンパク質の1以上の活性を変調するKCNQ5(W270L)ポリペプチドまたは薬剤を接触させることを含む。KCNQ5タンパク質活性を変調する薬剤は、核酸もしくはタンパク質などの本明細書に記載されているような薬剤、KCNQ5タンパク質の天然標的分子(例えば、KCNQ5結合タンパク質)、KCNQ5またははKCNQ5(W270L)抗体、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)アゴニストもしくはアンタゴニスト、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)アゴニストもしくはアンタゴニストのペプチドミメティック、または他の小分子であり得る。一実施形態において、この薬剤は1以上のKCNQ5活性を刺激する。このような刺激剤の例としては、活性KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質およびその細胞に導入されているKCNQ5またはKCNQ5(W270L)ポリペプチドをコードする核酸分子が挙げられる。別の実施形態では、この薬剤は1以上のKCNQ5活性を阻害する。このような阻害剤の例としては、アンチセンスKCNQ5またはKCNQ5(W270L)核酸分子、抗KCNQ5または抗KCNQ5(W270L)抗体、およびKCNQ5またはKCNQ5(W270L)インヒビターが挙げられる。これらの変調方法はin vitroで(例えば、細胞を薬剤とともに培養することによる)、あるいはまたin vivoで(例えば、対象に薬剤を投与することによる)行うことができる。さらなる態様はそれ自体、KCNQ5タンパク質の変調から利益を受ける(例えば、本明細書の第V節に記載のとおり)か、またはKCNQ5タンパク質もしくは核酸分子の異常な発現もしくは活性を特徴とする疾病または障害に罹患している個体を処置する方法を提供する。一実施形態において、この方法は、KCNQ5発現または活性を変調する(例えば、アップレギュレーションまたはダウンレギュレーションする)薬剤(例えば、本明細書に記載のスクリーニングアッセイにより同定された薬剤)または薬剤の組合せを投与することを含む。別の実施形態では、この方法は、低下したまたは異常なKCNQ5発現または活性を補うための療法としてKCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質または核酸分子を投与することを含む。
KCNQ5活性の刺激は、KCNQ5が異常にダウンレギュレーションされている、および/またはKCNQ5活性の亢進が有益な作用を有する可能性のある状況で望ましい。同様に、KCNQ5活性の阻害は、KCNQ5が異常にアップレギュレーションされている、および/またはKCNQ5活性の低下が有益な作用を有する可能性のある状況で望ましい。KCNQ5の変調が望ましい状況の例としては、KCNQ5関連障害の処置である(例えば、本明細書の第V節参照)。
本明細書に開示されている方法により同定された薬剤は、不安定膀胱または尿失禁を受けている、または受けやすい哺乳動物において望ましい膀胱制御を誘導、補助または維持するのに有用である。これらの方法は、特発性不安定膀胱、夜尿症、夜間頻尿、排尿不全、および尿失禁をはじめとする膀胱関連の排尿状態および不安定膀胱の予防、処置または抑制を含む。また、本発明の方法で前立腺肥大に続発する不安定膀胱も治療または予防可能である。本明細書に開示されている方法によって同定された薬剤はまた、いつでも望む時に排尿の一時的遅延をもたらすのにも有用である。これらの薬剤はまた、膀胱を安定化し、切迫尿失禁、腹圧性尿失禁または切迫性と腹圧性尿失禁の組合せ(切迫性腹圧性混合尿失禁とも呼ばれる)を治療または予防するのに利用することができる。これらの方法は、前立腺肥大などの続発症状に関連する尿失禁の予防または治療の補助を含む。
これらの方法は、レシピエントに排尿の切迫性および頻度を制御させるために利用可能である。本発明のこの方法は、不安定膀胱、神経陰性膀胱、排尿不全、活動亢進膀胱、排尿筋活動亢進、排尿筋過剰弛緩または無抑制膀胱としても知られる切迫尿失禁の治療、予防、抑制および改善を含む。
上記のように、有用な方法としては、活動亢進または不安定膀胱、神経陰性膀胱、感覚性膀胱切迫または過剰弛緩膀胱の治療、予防、抑制または改善を含む。これらの使用は、限定されるものではないが、前立腺炎、前立腺肥大、間質性膀胱炎、尿路感染または膣炎に排尿切迫が伴っている膀胱活動および不安定に対するものが挙げられる。これらの薬剤はまた、頻尿尿意切迫症候群および排尿回数減少症候群としても知られる機能低下膀胱(lazy bladder)の症状の抑制または矯正を補助するためにも使用可能である。
これらの薬剤はまた、利尿剤、バソプレシンアンタゴニスト、抗コリン作用薬、鎮静薬または催眠薬、麻薬、α−アドレナリン作動性のアゴニスト、α−アドレナリン作動性アンタゴニストまたはカルシウムチャネル遮断薬をはじめとする他の薬剤の投与に伴う、またはその投与の結果としての尿失禁、排尿不安定またはまたは排尿切迫の治療、予防、抑制または制限にも使用可能である。
本明細書に開示されている方法によって同定された薬剤は、膀胱制御の誘導もしくは補助、または成人使用および小児使用を含む、このような軽減を必要とするヒトにおいて、本明細書に記載の疾患の予防もしくは治療に有用であり得る。しかしながら、それらはまた、特にイヌおよびネコの膀胱制御法を含む獣医学的適用にも利用可能であり得る。所望により、本明細書の方法はまた、ヒツジ、ウシ、ブタおよびウマ種などの農場動物とともに使用することもできる。
B.スクリーニングアッセイ:
一態様は、モジュレーター、すなわち、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質と結合する候補またはまたは試験化合物または薬剤(例えば、ペプチド、ペプチドミメティクス、小分子または他の薬剤)を同定するための方法(本明細書では「スクリーニングアッセイ」としても呼ばれる)は、例えば、KCNQ5もしくはKCNQ5(W270L)発現またはKCNQ5もしくはKCNQ5(W270L)活性に対して刺激作用または阻害作用を有する。
これらの試験化合物は、生物学的ライブラリー;空間的にアドレス可能な平行固相または液相ライブラリー;デコンヴォルーションを必要とする合成ライブラリー法;「一ビーズ一化合物」ライブラリー法;およびアフィニティークロマトグラフィー選択を用いる合成ライブラリー法を含む、当技術分野で公知のコンビナトリアルライブラリー法における多くのアプローチのいずれかを用いて得ることができる。この生物学的ライブラリーアプローチはペプチドライブラリーに限定されるが、他の4つのアプローチは、化合物のペプチド、非ペプチドオリゴマーまたは小分子ライブラリーに適用可能である(Lam KS, Anticancer Drug Des. 12:145-67 (1997))。
分子ライブラリー合成方法の例は例えば、DeWitt SH et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6909-13 (1993); Erb E et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:11422-26 (1994); Zuckermann RN et al., J. Med. Chem. 37:2678-85 (1994); Cho CY et al., Science 261:1303-05 (1993); Carrell T et al., Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33:2059-61 (1994); Carrell T et al., Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33:2061-64 (1994);およびGallop MA et al., J. Med. Chem. 37:1233-51 (1994)など、当技術分野で見出すことができる。
化合物のライブラリーは、例えば、溶液中(例えば、Houghten RA et al., Biotechniques 13:412-21 (1992))またはビーズ上(Lam KS et al., Nature 354:82-84 (1991))、チップ(Fodor SPA et al., Nature 364:555-56 (1993))、細菌(米国特許第5,223,409号)、胞子(米国特許第5,223,409号)、プラスミド(Cull MG et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:1865-69 (1992))またはファージ上(Scott JK and Smith GP, Science 249:386-90 (1990); Devlin JJ et al., Science 249:404-06 (1990); Cwirla SE et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 87:6378-82 (1990); Felici F et al., J. Mol. Biol. 222:301-10 (1991);米国特許第5,223,409号)に提供することができる。
変調剤および天然抽出物のライブラリーを試験する多くの薬剤スクリーニングプログラムにおいては、所定の時間内に検査される変調剤の数を最大にするために、ハイスループットアッセイが望ましい。精製または半精製タンパク質に由来し得るものなど、無細胞系で実施されるアッセイは、試験変調剤によって媒介される分子標的における変更の迅速な発達および比較的容易な検出を可能とするために作出できるという点でしばしば「一次」スクリーニングと呼ばれる。さらに、試験変調剤の細胞毒性および/またはバイオアベイラビリティの影響は、in vitro系では一般に無視することができ、その代わりにこのアッセイは主として分子標的に対する薬剤の作用に着目し、これは上流エレメントまたは下流エレメントとの結合親和性の変更に表れるためである。
一態様では、薬剤をKCNQ5分子と接触させ、KCNQ5活性に対するその薬剤の作用を検出することにより、薬剤をスクリーニングする。KCNQ5活性の増加または低下の検出は、薬剤がKCNQ5のモジュレーターであることを示す。KCNQ5分子は、KCNQ5(W270L)ポリペプチドの全部または一部をコードするポリヌクレオチド、KCNQ1由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、またはKCNQ1由来のS5トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドであり得る。あるいは、KCNQ5分子はKCNQ5(W270L)ポリペプチドのアミノ酸配列を含むポリペプチド、KCNQ1由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチドまたはKCNQ1由来のS5トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチドであり得る。
別の態様では、薬剤は、細胞と薬剤を接触させ、KCNQ5分子の発現レベルを測定することによりスクリーニングされる。KCNQ5発現の低下または増加の検出は、薬剤がKCNQ5のモジュレーターであることを示す。KCNQ5分子は、KCNQ5(W270L)ポリペプチドの全部または一部をコードするポリヌクレオチド、KCNQ1由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、またはKCNQ1由来のS5トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドであり得る。あるいは、このKCNQ5分子は、KCNQ5(W270L)ポリペプチドのアミノ酸配列を含むポリペプチド、KCNQ1由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチドまたはKCNQ1由来のS5トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチドであり得る。
一実施形態は、KCNQ5タンパク質またはポリペプチドまたはその生物学的に活性な部分と結合する、またはその活性を変調する、例えば、KCNQ5ポリペプチドの、不安および/または神経因性疼痛に対するニューロンの興奮性を軽減する能力、または尿失禁に対して膀胱平滑筋活動を「鎮静化する」能力を変調する候補または試験化合物をスクリーニングするためのアッセイを提供する。「鎮静化」とは、失禁患者の膀胱平滑筋細胞の異常な収縮を抑制することを意味する。
対象KCNQ5またはKCNQ5(W270L)ポリペプチドの正常な細胞機能のアゴニストまたはアンタゴニストのいずれかである、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)ホモログを含む変調剤をスクリーニングするためのアッセイを用いることができる。例えば、一態様は、KCNQ5活性を有するKCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質を有する指標組成物が提供される方法を提供する。この指標組成物を試験化合物と接触させることができる。次に、指標組成物の変化によって測定されるKCNQ5活性に対する試験化合物の作用を測定し、それにより、KCNQ5タンパク質の活性を変調する化合物を同定することができる。試験化合物の存在下でのKCNQ5活性のレベルにおける増加または低下などの統計学的に有意な変化(試験化合物の不在下で検出されたものと比較)は、試験化合物がKCNQ5変調剤であることを示す。指標組成物は例えば、細胞または細胞抽出物であり得る。
変調剤の有効性は、種々の濃度の試験変調剤を用いて得られたデータから用量応答曲線を作製することにより評価することができる。さらに、比較のためのベースラインを得るために対照アッセイも行うことができる。対照アッセイでは、KCNQ5結合エレメントを含む組成に単離および精製されたKCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質を加え、変調剤の不在下で複合体の形成を定量する。
さらに別の実施形態では、アッセイは無細胞アッセイであり、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質またはその生物学的に活性な部分を試験化合物と接触させ、その試験化合物の、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質またはその生物学的に活性な部分と結合する能力を測定する。試験化合物とKCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質の結合は上記のように直接的または間接的のいずれかで測定することができる。一実施形態において、このアッセイはKCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質または生物学的に活性な部分を、野生型KCNQ5と結合する既知の化合物と接触させてアッセイ混合物を形成すること、このアッセイ混合物を試験化合物と接触させること、および試験化合物の、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質と相互作用する能力を測定することを含み、試験化合物の、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質と相互作用する能力の測定は、試験化合物の、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)ポリペプチドまたはその生物学的に活性な部分と優先的に結合する能力を既知の化合物と比較して測定することを含む。
KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質は、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)を発現する細胞の溶解液として、精製もしくは半精製ポリペプチドとして、または組換え発現ポリペプチドとして提供することができる。一実施形態において、無細胞アッセイ系はさらに、細胞抽出物、またはミトコンドリアなどの単離された細胞成分を含む。このような細胞成分は、当技術分野で公知の技術を用いて単離することができる。好ましくは、無細胞アッセイ系はさらに、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)が相互作用する少なくとも1つの標的分子を含み、ここで、試験化合物の、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)と標的分子の相互作用を変調する能力がモニタリングされ、それにより、試験化合物がKCNQ5またはKCNQ5(W270L)活性のモジュレーターと同定する。試験化合物の、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質の活性を変調する能力の測定は、例えば、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質の、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)標的分子と結合する能力を、直接的結合を測定するための上記の方法の1つにより測定することによって達成することができる。KCNQ5(W270L)タンパク質の、KCNQ5(W270L)標的分子と結合する能力の測定はまた、リアルタイム生体分子相互作用分析(BIA)(例えば、Sjolander S and Urbaniczky C, Anal. Chem. 63:2338-45 (1991)およびSzabo A et al., Curr. Opin. Struct. Biol. 5:699-705 (1995)参照)などの技術を用いて行うことができる。本明細書において「BIA」は、相互作用物(例えば、BIAcore)を標識せずに、リアルタイムで生物特異的な相互作用を研究する技術である。表面プラズモン共鳴(SPR)の光学現象の変化を、生体分子間のリアルタイム反応の指標として用いることができる。
さらに別の実施形態では、無細胞アッセイは、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質またはその生物学的に活性な部分を、野生型KCNQ5タンパク質と結合する既知の化合物と接触させて、アッセイ混合物を形成すること、そのアッセイ混合物を試験化合物と接触させること、および試験化合物の、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質と相互作用する能力を測定することを含み、ここで、試験化合物の、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質と相互作用する能力の測定は、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質の、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)標的分子と優先的に結合するか、またはその活性を変調する能力を測定することを含む。
これらの無細胞アッセイは、可溶性および/または膜結合型タンパク質の双方に従う。膜結合型タンパク質(例えば、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質)が使用される無細胞アッセイの場合、膜結合型のタンパク質が溶液中で維持されるように可溶化剤を利用することが望ましい。このような可溶化剤の例としては、n−オクチルグルコシド、n−ドデシルグルコシド、n−ドデシルマルトシド、オクタノイル−N−メチルグルカミド、デカノイル−N−メチルグルカミド、トリトン(登録商標)X−100、トリトン(登録商標)X−114、Thesit(登録商標)、イソトリデシポリ(エチレングリコールエーテル)、3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアミニオ]−1−プロパンスルホネート(CHAPS)、3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアミニオ]−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホネート(CHAPSO)またはN−ドデシル=N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネートなどの非イオン性洗剤が挙げられる。
KCNQ5またはKCNQ5(W270L)標的分子は、例えば、タンパク質であり得る。タンパク質−タンパク質相互作用の検出を可能とする好適なアッセイ(例えば、免疫沈降、ツーハイブリッドアッセイなど)は当技術分野で公知である。試験化合物の存在下および不在下でこのようなアッセイを実施することにより、これらのアッセイを用いて、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)と標的分子の相互作用を変調する(例えば、阻害または促進する)化合物を同定することができる。
KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質の、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)分子のリガンドと結合または相互作用する能力の測定は、例えば、直接的結合により行うことができる。直接的結合アッセイでは、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質は放射性同位元素または酵素標識と結合させることができ、その結果、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質とKCNQ5またはKCNQ5(W270L)標的分子の結合が、複合体における標識KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質の検出により測定することができる。例えば、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)分子、例えば、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質は、例えば、125I、35S、14C、32PまたはHで直接的または間接的のいずれかで標識することができ、この放射性同位元素は、放射の直接的計数またはシンチレーション計数により検出される。あるいは、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)分子を、例えば、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼまたはルシフェラーゼなどで酵素標識することができ、この酵素標識は適当な基質から生成物への変換の測定により検出される。
一般に、これらのタンパク質の一方または双方の非複合体形態からの複合体の分離を容易にするため、ならびにアッセイの自動化を図るためにKCNQ5またはKCNQ5(W270L)またはその結合タンパク質を固定化することが望ましい。KCNQ5またはKCNQ5(W270L)と上流または下流結合エレメントとの結合を、候補薬剤の存在下および不在下で、反応物を含むのに好適な容器を達成することができる。例としては、マイクロタイタープレート、試験管およびマイクロ遠沈管が挙げられる。一実施形態において、融合タンパク質は、タンパク質がマトリックスと結合できるようにするドメインを付加する融合タンパク質を提供することができる。例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ/KCNQ5(W270L)(GST/ KCNQ5(W270L))融合タンパク質をグルタチオンセファロースビーズ(Sigma Chemical, St. Louis, Mo.)またはグルタチオン誘導体化マイクロタイタープレートへ吸着させることができ、次に、これを細胞溶解液および試験変調剤と合わせ、例えば塩およびpHの生理学的条件からやや高いストリンジェント条件などの複合体形成に資する条件下でインキュベートした混合物が望ましい。インキュベーション後、これらのビーズを洗浄して結合していない標識を除去し、マトリックスに固定化して放射性標識を直接(例えば、シンチラントの代わりにビーズ)、または続いて複合体を解離した後の上清で測定する。あるいは、マトリックスから複合体を解離させ、SDS−PAGEにより分離し、ビーズ画分中に見られるKCNQ5(W270L)−結合タンパク質のレベルを標準的な電気泳動技術を用いてゲルから定量することもできる。
タンパク質をマトリックス上に固定化する他の技術も、対象アッセイに用いるために使用可能である。例えば、KCNQ5(W270L)またはそのコグネイト結合タンパク質は、ビオチンとストレプトアビジンのコンジュゲーションを利用して固定化することができる。例えば、ビオチン化KCNQ5(W270L)分子は、当技術分野で周知の技術(例えば、ビオチン化キット、Pierce Biotechnology, Rockford, III.)を用い、ビオチン−NHS(N−ヒドロキシ−スクシンイミド)から作製し、ストレプトアビジンでコーティングされた96ウェルプレート(Pierce Biotechnology)に固定化することができる。あるいは、KCNQ5(W270L)と反応性があるが、上流エレメントまたは下流エレメントの結合とは干渉しない抗体をプレートのウェルに誘導体化し、抗体とのコンジュゲーションによりKCNQ5(W270L)をウェルに捕捉することができる。上記のように、KCNQ5(W270L)結合タンパク質(KCNQ5(W270L)−BP)と試験変調剤の調製物をプレートのKCNQ5(W270L)提示ウェル中でインキュベートし、ウェルに捕捉された複合体の量を定量することができる。GST固定化複合体に関して上記したものの他、このような複合体を検出するための方法の例としては、KCNQ5(W270L)結合エレメントと反応性があるか、またはKCNQ5(W270L)タンパク質と反応性があり、結合エレメントと競合する抗体を用いる複合体の免疫検出;ならびに内因性活性または外因性活性いずれかの、結合エレメントに関連する酵素活性を検出することによる酵素結合アッセイが挙げられる。後者の場合、酵素は化学的にコンジュゲートさせることもできるし、あるいはKCNQ5(W270L)結合タンパク質との融合タンパク質として提供することもできる。例示のため、KCNQ5(W270L)結合タンパク質は、セイヨウワサビペルオキシダーゼと化学的に架橋することもできるし、あるいはセイヨウワサビペルオキシダーゼと遺伝的に融合させることもでき、複合体中に捕捉されたタンパク質の量は酵素の発色基質、例えば、3,3’−ジアミノ−ベンザジンテトラヒドロクロリド(terahydrochloride)または4−クロロ−1−ナフトールを用いて評価することができる。同様に、このタンパク質とグルタチオン−S−トランスフェラーゼを含む融合タンパク質を提供することもでき、複合体の形成は、1−クロロ−2,4−ジニトロベンゼンを用いてGST活性を検出することにより定量される(Habig WH et al., J. Biol. Chem. 249:7130-39 (1974))。
複合体中に捕捉されたタンパク質の1つを定量するための免疫検出による方法では、抗KCNQ5または抗KCNQ5(W270L)抗体などの、タンパク質に対する抗体を使用することができる。あるいは、複合体において検出されるタンパク質は、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)配列の他に、抗体が容易に得られる(例えば、商業的供給源から)第二のタンパク質を含む融合タンパク質の形態で「エピトープタグ」を付けることができる。例えば、上記のGST融合タンパク質はまた、GST部分に対する抗体を用い、結合の定量に使用することもできる。他の有用なエピトープタグとしては、c−myc由来の10残基配列を含むmyc−エピトープ(例えば、Ellison MJ and Hochstrasser M, J. Biol. Chem. 266:21150-57 (1991)参照)、ならびにpFLAG(登録商標)系(SigmaAldrich, St. Louis, Mo.)またはpEZZ−Aタンパク質系(GE Healthcare, Piscataway, NJ)が挙げられる。
化合物の、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)とそれらの個々の標的分子の間の相互作用を変調する能力を、相互作用物のいずれも標識せずに測定することも、本開示の範囲内ある。例えば、KCNQ5、KCNQ5(W270L)または標的分子の標識を行わずに、マイクロフィジオメーター(microphysiometer)を用いて、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)とそれらの個々の標的分子との相互作用を検出することができる(例えば、McConnell HM et al., Science 257:1906-12 (1992)参照)。本明細書において「マイクロフィジオメーター」(例えば、サイトセンサー(Cytosensor))は、光アドレス電位応答センサー(light-addressable potentiometric sensor)(LAPS)を用い、細胞がその環境を酸性化する速度を測定する分析機器である。この酸性化速度の変化は、化合物と受容体の間の相互作用の指標として使用可能である。
無細胞アッセイの他、KCNQ5およびKCNQ5(W270L)タンパク質に関する本明細書の開示は、小分子アゴニスト/アンタゴニストなどを同定するための細胞に基づくアッセイの作出を容易にする。例えば、細胞は、試験薬剤により媒介される標的細胞によるKCNQ5またはKCNQ5(W270L)応答の変調をスコアリングするアッセイを用い、目的の試験変調剤の存在下および不在下で組換えKCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質を発現または過剰発現させることができる。例えば、無細胞アッセイの場合と同様、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)依存性応答に統計学的に有意な変化(増加または低下のいずれか)をもたらす変調剤を同定することができる。
KCNQ5またはKCNQ5(W270L)の発現のために使用可能な組換え発現ベクターは当技術分野で公知だえる(前記の考察を参照)。一実施形態において、発現ベクター内で、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)コード配列は、指標細胞においてKCNQ5またはKCNQ5(W270L)の構成発現または誘導発現を可能とする調節配列と作動可能なように連結されている。細胞においてKCNQ5またはKCNQ5(W270L)の構成発現または誘導発現を可能とする組換え発現ベクターの使用は、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)の活性を増強または阻害する化合物の同定に好ましい。別の実施形態では、発現ベクター内で、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)コード配列は、内因性のKCNQ5遺伝子の調節配列(すなわち、内因性遺伝子に由来するプロモーター調節領域)と作動可能なように連結されている。KCNQ5またはKCNQ5(W270L)の発現が内因性調節配列により制御される組換え発現ベクターの使用が好ましい。一実施形態において、アッセイは、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)標的分子(例えば、KCNQ5細胞内相互作用分子)を発現する細胞を試験化合物と発現させること、および試験化合物の、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)標的分子の活性を変調する(例えば、刺激または阻害する)能力を測定することを含む細胞に基づくアッセイである。試験化合物の、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)標的分子の活性を変調する能力の測定は、例えば、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質の、KCNQ5もしくはKCNQ5(W270L)標的分子またはそのリガンドと結合する能力を測定することにより行うことができる。
例示的な実施形態では、KCNQ5(W270L)の発現または活性が細胞内で変調され、目的の読み取り値に対する目的の変調剤の作用を測定することができる(例えば、KCNQ5(W270L)チャネルを発現するアフリカツメガエル(Xenopus laevis)卵母細胞からイオン電流の大きさを電気生理学的に測定することができる)。
別の実施形態では、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)発現のモジュレーターは、細胞が候補化合物と接触され、細胞におけるKCNQ5またはKCNQ5(W270L)mRNAまたはタンパク質の発現が測定される方法で同定される。候補化合物の存在下でのKCNQ5またはKCNQ5(W270L)mRNAまたはタンパク質の発現レベルを、候補化合物の不在下でのKCNQ5またはKCNQ5(W270L)mRNAまたはタンパク質の発現レベルと比較する。次に、この候補化合物を、この比較に基づくKCNQ5またはKCNQ5(W270L)発現のモジュレーターとして同定することができる。例えば、候補化合物の存在下でのKCNQ5(W270L)mRNAまたはタンパク質の発現が、その不在下よりも高い(例えば、統計学的に有意に高い)場合、その候補化合物はKCNQ5(W270L)mRNAまたはタンパク質発現の刺激剤と同定される。あるいは、候補化合物の存在下でのKCNQ5(W270L)mRNAまたはタンパク質の発現が、その不在下よりも低い(例えば、統計学的に有意に低い)場合、その候補化合物はKCNQ5(W270L)mRNAまたはタンパク質発現のインヒビターと同定される。細胞におけるKCNQ5またはKCNQ5(W270L)mRNAまたはタンパク質の発現レベルは、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)mRNAまたはタンパク質を検出するための本明細書に記載の方法によって測定することができる。
好ましい実施形態では、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質の、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)標的分子と結合する、またはそれと相互作用する能力の測定は、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)または標的分子の活性の読み取り値を評価することにより行うことができる。例えば、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)または標的分子の活性は、標的の細胞セカンドメッセンジャーの誘導を検出すること、適当な基質の標的の触媒/酵素活性を検出すること、リポーター遺伝子(検出可能なマーカー、例えばクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼをコードする核酸と作動可能なように連結された標的応答調節エレメントを含む)の誘導を検出すること、または例えば、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)チャネルの遮断により誘導されるCa2+流入などの標的により調節される細胞応答を検出することにより判定することができる。
さらに別の態様では、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質またはその一部は、ツーハイブリッドアッセイまたはスリーハイブリッドアッセイ(例えば、米国特許第5,283,317号;Zervos AS et al., Cell 72:223-32 (1993); Madura K et al., J. Biol. Chem. 268:12046-54 (1993); Bartel P et al., Biotechniques 14:920-24 (1993); Iwabuchi K et al., Oncogene 8:1693-96 (1993);およびWO94/10300参照)において「おとり(bait)タンパク質」として用い、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)と結合する、またはそれと相互作用し、かつ/またはKCNQ5またはKCNQ5(W270L)活性に関与する他のタンパク質を同定することができる。このようなKCNQ5結合タンパク質はまた、例えば、KCNQ5媒介シグナル伝達経路の下流エレメントとしてのKCNQ5タンパク質またはKCNQ5標的によるシグナルの増幅に関与している可能性もある。あるいは、このようなKCNQ5またはKCNQ5(W270L)結合タンパク質はKCNQ5またはKCNQ5(W270L)インヒビターであり得る。
ツーハイブリッド系は、分離可能なDNA結合ドメインと活性化ドメインからなるほとんどの転写因子のモジュラー特性に基づく。要するに、このアッセイは、2つの異なるDNA構築物を用いる。1つの構築物では、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質をコードする遺伝子を、既知の転写因子(例えば、GAL−4)のDNA結合ドメインをコードする遺伝子に融合する。このKCNQ5タンパク質は、KCNQ1由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチドであってもよい。あるいは、KCNQ5タンパク質は、KCNQ1由来のS5トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチドであり得る。他の構築物において、DNA配列ライブラリーからの、未同定のタンパク質(「餌(prey)」または「サンプル」)をコードするDNA配列を、既知の転写因子の活性化ドメインをコードする遺伝子に融合する。この「おとり」タンパク質と「餌」タンパク質がin vivoで相互作用してKCNQ5またはKCNQ5(W270L)依存性複合体を形成し得る場合、その転写因子のDNA結合ドメインと活性化ドメインは近接されている。この近接により、転写因子に応答性のある転写調節部位と作動可能なように連結されたリポーター遺伝子(例えば、LacZ)の転写が可能となる。リポーター遺伝子の発現を検出し、機能的転写因子を含む細胞コロニーを単離し、これを用い、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質と相互作用するタンパク質をコードするクローン遺伝子を得ることができる。
一態様では、同定された薬剤は既知のKCNQチャネル遮断薬またはアクチベーターの新規な類似体である。例えば、一実施形態において、同定された薬剤はレチガビン類似体である。別の例の実施形態では、同定された薬剤はXE991の新規な類似体である。さらなる例としての実施形態では。これらの薬剤は式:
Figure 2009525024
[式中、
は、水素、C−C−アルキル、C−C−アルカノイルまたはAr基から選択され;
は、水素またはC−C−アルキルから選択され;
は、C−C−アルコキシ、NH、C−C−アルキルアミノ、C−C−ジアルキルアミノ、Ar基により置換されたアミノ、C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、Ar基またはArO−基から選択され;
は、水素、C−C−アルキルまたはAr基から選択され;
は、水素またはC−C−アルキルまたはAr基から選択される;
Alkは、Ar基により置換されていてもよい1〜9個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルキレン基であり;
Arは、基R、Rおよび/またはRで置換されているフェニルであり、これらの基R、RおよびRは同一であるか、または異なり、H、C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、ヒドロキシ、C−C−アルコキシ、C−C−アルカノイルオキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、C−C−ハロゲノアルキル、−CN、−NH、−NH−C−C−アルキル、−N(C−C−アルキル)、−COH、−CO−C−C−アルキル、−CO−O−C−C−アルキル、−COAr、−CO−OAr、−CONH、−CONH−C−C−アルキル、−CON(C−C−アルキル)、−CONHAr、−NH−CO−C−C−アルキル、−NHCO−Ar、−NHCO−C−C−アルコキシ、−N−H−CO−Ar、−NHCO−NH、−NHCO−N(−C−C−アルキル)、−NHCO−NHAr、−NH−SO−C−C−アルキル、−NH−SOAr、−NH−SO−ニトロフェニル、−SO−OH、−SO−C−C−アルキル、−SO−Ar、−SO−C−C−アルコキシ、−SO−OAr、−−O−NH、−SO−NH−C−C−アルキル、−SO−N(C−C−アルキル)、−SO−NHAr、−SO−C−C−アルコキシを表し;
nは0または1である]
の化合物の類似体である。
さらなる態様は、上記のスクリーニングアッセイにより同定された新規な薬剤に関する。よって、適当な動物モデルにおいて本明細書に記載のように同定された薬剤をさらに使用することは本開示の範囲内である。例えば、本明細書に記載のように同定された薬剤(例えば、KCNQ5(W270L)変調剤、アンチセンスKCNQ5(W270L)ポリヌクレオチド、KCNQ5(W270L)特異的抗体またはKCNQ5(W270L)結合相手)は、このような薬剤を用いた処置の有効性、毒性または副作用を決定するために動物モデルで使用可能である。あるいは、本明細書に記載のように同定された薬剤は、このような薬剤の作用機序を決定するために動物モデルで使用可能である。さらに、別の態様は、本明細書に記載の処置のための、上記のスクリーニングアッセイにより同定された新規な薬剤の使用に関する。
C.合理的創薬の方法
KCNQ5またはKCNQ5(W270L)およびKCNQ5またはKCNQ5(W270L)結合ポリペプチドは、候補KCNQ5変調剤の合理的創薬に使用することができる。KCNQ5またはKCNQ5(W270L)ポリペプチドは、タンパク質X線結晶学または他の構造解析法、例えば、DOCKプログラム(例えば、Kuntz ID et al., J. Mol. Biol. 161: 269-88 (1982); Kuntz ID, Science 257:1078-82 (1992)参照)およびその変形形態に使用可能である。このようにして得られた構造情報に基づき、可能性のある治療薬を合理的に設計することができる。
D.検出アッセイ
本明細書で同定されたcDNA配列の一部または断片(および対応する完全遺伝子配列)はポリヌクレオチド試薬として多くの方法で使用可能である。例えば、これらの配列は、(i)それらの個々の遺伝子を染色体上にマッピングし、従って、遺伝病に関連する遺伝子領域を位置決定するため;(ii)微量の生体サンプルから個体を特定するため(組織タイピング);および(iii)生体サンプルの法医学的同定に使用可能である。
E.予測医学
別の態様は、診断アッセイ、予後アッセイおよび臨床試験のモニタリングが予後(予測)目的に用いられる予測医学の分野、それにより、個体を予防的に処置することに関する。よって、一態様は、生体サンプル(例えば、血液、血清、細胞、組織(好ましくは、脳、骨格筋または膀胱))に関して、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質および/または核酸の発現ならびにKCNQ5またはKCNQ5(W270L)の活性を測定し、それにより、ある個体が異常なKCNQ5発現または活性に関連する疾病または障害に罹患しているかどうか、または障害を発症するリスクがあるかどうかを判定するための診断アッセイに関する。さらなる態様は、ある個体がKCNQ5タンパク質、核酸発現または活性に付随する障害を発症するリスクがあるかどうかを判定するための予後(または予測)アッセイを提供する。例えば、生体サンプルにおいてKCNQ5遺伝子における突然変異をアッセイすることができる。このようなアッセイは予後または予測目的で、それにより、KCNQ5タンパク質、核酸の発現または活性を特徴とする、または関連する障害の発生前に個体を予防的に処置するために使用可能である。
別の態様は、臨床試験においてKCNQ5の発現または活性に対する薬剤(例えば、薬物、化合物)の影響をモニタリングすることに関する。
これらおよび他の薬剤は、以下の節でさらに詳しく記載する。
1.診断アッセイ
生体サンプル中のKCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質または核酸の有無を検出するための方法例としては、試験対象から生体サンプルを得、その生体サンプルを、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質をコードするKCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質または核酸(例えば、mRNA、ゲノムDNA)を検出し得る化合物または薬剤と接触させることを含み、その結果、生体サンプルにおいてKCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質または核酸の有無が検出される。KCNQ5またはKCNQ5(W270L)mRNAまたはゲノムDNAの検出に好ましい薬剤は、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)mRNAまたはゲノムDNAとハイブリダイズし得る標識された核酸プローブである。この核酸プローブは、例えば、KCNQ5(W270L)核酸、例えば、配列番号1の核酸またはその一部、例えば、少なくとも12、15、30、50、100、250、500またはそれを超えるヌクレオチド長であり、かつ、ストリンジェント条件下でKCNQ5またはKCNQ5(W270L)mRNAまたはゲノムDNAと特異的にハイブリダイズするに十分なオリゴヌクレオチドであり得る。本診断アッセイに用いるための他の好適なプローブも本明細書に記載されている。
KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質を検出するための好ましい薬剤は、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質と結合し得る抗体、好ましくは、検出可能な標識を有する抗体である。抗体はポリクローナルであるか、またはより好ましくはモノクローナルである。完全な抗体またはその断片(例えば、FabまたはF(ab’))も使用可能である。プローブまたは抗体に関して「標識されている」とは、検出可能な物質とプローブまたは抗体を結合(すなわち、物理的結合)させることによるプローブまたは抗体の直接的標識、ならびに別の試薬との反応性(すなわち、直接的標識)によるプローブまたは抗体の間接的標識を含むものとする。間接的標識の例としては、蛍光標識二次抗体を用いた一次抗体の検出、およびビオチンによるDNAプローブの末端標識(蛍光標識ストレプトアビジンで検出することができる)が挙げられる。「生体サンプル」とは、対象から単離された組織、細胞、および体液、ならびに対象内にある組織、細胞(好ましくは、脳、骨格筋または膀胱)および体液を含むものとし、すなわち、本検出法はin vitroならびにin vivoの生体サンプルにおいてKCNQ5またはKCNQ5(W270L)mRNA、タンパク質またはゲノムDNAを検出するために使用可能である。例えば、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)mRNAの検出のためのin vitro技術としては、ノーザンハイブリダイゼーションおよびin situハイブリダイゼーションが挙げられる。KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質の検出のためのin vitro技術としては、ELISA、ウエスタンブロット、免疫沈降および免疫蛍光が挙げられる。KCNQ5またはKCNQ5(W270L)ゲノムDNAの検出のためのin vitro技術としては、サザンハイブリダイゼーションが挙げられる。さらに、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質の検出のためのin vivo技術としては、対象への標識抗KCNQ5または抗KCNQ5(W270L)抗体の導入が含まれる。例えば、抗体を放射性マーカーで標識することができ、対象におけるその存在および位置は標準的な画像技術によって検出することができる。
一実施形態において、生体サンプルは試験対象由来のタンパク質分子を含む。あるいは、生体サンプルは試験対象由来のmRNA分子または試験対象由来のゲノムDNA分子を含み得る。好ましい生体サンプルは、対象から標準的な手段で単離された脳または膀胱サンプルである。
別の実施形態では、これらの方法はさらに、対照とする対象から対照生体サンプルを得ること、その対照サンプルを、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質、mRNAまたはゲノムDNAを検出し得る化合物または薬剤と接触させ、それにより、その生体サンプルにおいてKCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質、mRNAまたはゲノムDNAの存在が検出されること、および対照サンプル中のKCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質、mRNAまたはゲノムDNAの存在を試験サンプル中のKCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質、mRNAまたはゲノムDNAの存在と比較することを含む。
一態様はまた、生体サンプルにおいてKCNQ5またはKCNQ5(W270L)の存在を検出するためのキットを包含する。例えば、このキットは、生体サンプル中のKCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質またはmRNAを検出し得る標識化合物または薬剤;サンプル中のKCNQ5またはKCNQ5(W270L)の量を測定するための手段;およびサンプル中のKCNQ5またはKCNQ5(W270L)の量を標準と比較するための手段を含み得る。この化合物または薬剤は好適な容器にパッケーングすることができる。このキットはさらに、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質または核酸を検出するためにこのキットを用いることに関する使用説明書を含み得る。
2.予後アッセイ
本明細書に記載の診断法は、異常なKCNQ5発現または活性に関連する疾患または障害に罹患しているか、または発症するリスクのある対象を特定するためにさらに利用することができる。例えば、前述の診断アッセイまたは以下のアッセイのような本明細書に記載のアッセイは、KCNQ5タンパク質、核酸の発現または活性に付随する障害に罹患しているか、または発症するリスクのある対象を特定するために利用することができる。よって、さらなる態様は、異常なKCNQ5発現または活性に関連する疾患または障害を特定するための方法を提供し、その方法では、試験サンプルが対象から得られ、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質または核酸(例えばmRNA、ゲノムDNA)が検出され、この場合、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質または核酸が存在することが異常なKCNQ5発現または活性に関連する疾患または障害に罹患しているか、または発症するリスクのある対象の特徴である。本明細書において、「試験サンプル」とは、目的の対象から得られる生体サンプルを指す。例えば、試験サンプルは体液(例えば血清)、細胞サンプルまたは組織であり得る。
さらに、本明細書に記載の予後アッセイは、異常なKCNQ5発現または活性に関連する疾患または障害を治療するための薬剤(例えばアゴニスト、アンタゴニスト、ペプチド模倣薬、タンパク質、ペプチド、核酸、小分子または他の薬剤候補)を対象に投与することができるかどうかを判定するために用いることができる。よって、別の態様は、異常なKCNQ5発現または活性に付随する障害のための薬剤で対象を効果的に治療することができるかどうかを判定するための方法を提供し、その方法では、試験サンプルが得られ、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質または核酸の発現または活性が検出される(例えば、この場合、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質または核酸の発現または活性が豊富であることが異常なKCNQ5発現または活性に付随する障害を治療するための薬剤を投与することができる対象の特徴である)。
前記の方法はKCNQ5遺伝子における遺伝的変異を検出し、それによって、変異遺伝子を有する対象がKCNQ5遺伝子に付随する障害のリスクがあるかどうかを判定するためにも使用することができる。好ましい実施形態では、前記方法は、対象に由来する細胞のサンプルにおいて、KCNQ5タンパク質をコードする遺伝子の完全性に影響を及ぼす少なくとも1つの変異またはKCNQ5遺伝子の異所性発現を特徴とする遺伝的変異の存在または不在を検出することを含む。例えば、このような遺伝的変異は、1)KCNQ5遺伝子からの1以上のヌクレオチドの欠失;2)KCNQ5遺伝子への1以上のヌクレオチドの付加;3)KCNQ5遺伝子の1以上のヌクレオチドの置換;4)KCNQ5遺伝子の染色体再配列;5)KCNQ5遺伝子のメッセンジャーRNA転写物のレベルにおける変異;6)KCNQ5遺伝子の異常な修飾、例えばゲノムDNAのメチル化パターン;7)KCNQ5遺伝子のメッセンジャーRNA転写物の非野生型スプライシングパターンの存在;8)KCNQ5タンパク質の非野生型レベル;9)KCNQ5遺伝子の対立遺伝子欠失;および10)KCNQ5タンパク質の不適切な翻訳後修飾の少なくとも1つが存在することを確認することによって検出することができる。本明細書に記載のとおり、KCNQ5遺伝子における変異を検出するために用いることができる数多くの、当技術分野で公知のアッセイ技術が存在する。好ましい生体サンプルは標準的な手段によって対象から単離された組織サンプル、例えば、脳または膀胱サンプルである。前記検出は、KCNQ5ポリヌクレオチドに由来する少なくとも12個の連続するヌクレオチドを含む、少なくとも1つのプローブまたはプライマーを用いて行うことができる。好ましくは、前記KCNQ5ポリヌクレオチドはKCNQ5(W270L)ポリペプチドの全部または一部をコードし、KCNQ1由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチドコードし、またはKCNQ1由来のS5トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチドをコードする。より好ましくは、前記プローブまたはプライマーはヌクレオチド808〜810を含む、配列番号1に由来する少なくとも12個の連続するヌクレオチドを含む。
ある特定の実施形態では、変異の検出には、アンカーPCRまたはRACE PCRなどのPCR(例えば米国特許第4,683,195号および同第4,683,202号参照)において、あるいは、連結連鎖反応(LCR)(例えばLandegren U et al., Science 241:1077-80 (1988); Nakazawa H et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:360-64 (1994)参照)においてプローブ/プライマーを使用することを必要とし、これらのうちの後者はKCNQ5遺伝子における点突然変異を検出するのに特に有用であり得る(例えば、Abravaya K et al., Nucleic Acids Res. 23:675-82 (1995)参照)。この方法は、患者から細胞サンプルを採取する工程と、該サンプルの細胞から核酸(例えばゲノム性、mRNAまたはそれらの両方)を単離する工程と、該核酸サンプルを、KCNQ5遺伝子(存在する場合には)のハイブリダイゼーションおよび増幅が起こるような条件下でKCNQ5遺伝子と特異的にハイブリダイズする1以上のプライマーと接触させる工程と、増幅産物の存在または不在を検出する工程、または増幅産物の大きさを検出し、その長さを対照サンプルと比較する工程とを含み得る。PCRおよび/またはLCRは、本明細書に記載の、突然変異を検出するために用いられる任意の技術とともに予備的増幅工程として用いることが望ましいと思われる。
代替的な増幅方法には、例えば、自律的配列複製(Guatelli JC et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:1874-78 (1990))、転写増幅系(Kwoh DY et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:1173-77 (1989))、Q−βレプリカーゼ(Lizardi PM et al., Biotechnology (N.Y.) 6:1197 (1988))またはその他の任意の核酸増幅法が含まれ、その後に、当業者に周知の技術を用いて増幅された分子の検出を行う。これらの検出スキームは、核酸分子が極めて少数しか存在しない場合、該分子の検出に特に有用である。
代替的な実施形態では、サンプル細胞に由来するKCNQ5遺伝子における突然変異は、制限酵素切断パターンの変化によって同定することができる。例えば、サンプルDNAおよび対照DNAを単離し、増幅し(所望により)、1種以上の制限エンドヌクレアーゼで消化し、ゲル電気泳動によって断片長サイズを決定し、比較する。サンプルDNAと対照DNAとの間の断片長サイズの違いはサンプルDNAにおける突然変異の存在を示す。さらに、配列特異的リボザイムの使用(例えば、米国特許第5,498,531号参照)を用いて、リボザイム切断部位の発生または消失によって特異的突然変異の存在について評価することができる。
他の実施形態では、KCNQ5における遺伝子突然変異は、サンプル核酸および対照核酸、例えばDNAまたはRNAを、数百または数千のオリゴヌクレオチドプローブを含む高密度アレイとハイブリダイズさせることによって同定することができる(Cronin MT et al., Hum. Mutat. 7: 244-55 (1996); Kozal MJ et al., Nat. Med. 2:753-59 (1996))。例えば、KCNQ5における遺伝子突然変異は、Cronin MT et al. (前掲)に記載のとおり、光発生DNAプローブを含む二次元アレイにおいて同定することができる。簡潔には、プローブの第1のハイブリダイゼーションアレイを、連続重複プローブの線形アレイを作成することによって配列間の塩基変化を同定する目的で、サンプルおよび対照における長いDNAストレッチを走査するために使用することができる。この工程は点突然変異の同定を可能にする。この工程に続いて、検出された全ての変異体または突然変異に相補的なより小規模の特化したプローブアレイを使用することによって特異的突然変異の特徴付けを可能にする第2のハイブリダイゼーションアレイを行う。それぞれの突然変異アレイは、一方が野生型遺伝子に相補的であって、他方が突然変異遺伝子に相補的である並列プローブセットで構成される。
さらに別の実施形態では、当技術分野で公知の種々の配列決定反応のうち任意のものを、KCNQ5遺伝子を直接配列決定し、サンプルKCNQ5またはKCNQ5(W270L)の配列を対応する野生型(対照)配列と比較することによって突然変異を検出するために用いることができる。配列決定反応の例には、Maxam AM and Gilbert W, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 74:560-64 (1977) or Sanger F et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 74:5463-67 (1977)によって開発された技術に基づくものが含まれる。診断アッセイ(例えば、Naeve CW et al., Biotechniques 19:448-53 (1995)参照)を行う際には、質量分析による配列決定(例えばWO94/16101;Cohen AS et al., Adv. Chromatogr. 36:127-62 (1996);およびGriffin HG and Griffin AM, Appl. Biochem. Biotechnol. 38:147-59 (1993)参照)を含む、種々の自動配列決定手順の任意のものを利用することができることも意図される。
KCNQ5遺伝子における突然変異を検出するための他の方法には、RNA/RNAまたはRNA/DNAヘテロ二本鎖におけるミスマッチ塩基を検出するために切断剤からの保護が用いられる方法が含まれる(Myers RM et al., Science 230:1242-46 (1985))。一般に、「ミスマッチ切断」の技術は、野生型KCNQ5配列を含む(標識された)RNAまたはDNAを、組織サンプルから得られた突然変異している可能性のあるRNAまたはDNAとハイブリダイズさせることによって形成されたヘテロ二本鎖を提供することによって開始される。この二本鎖を、対照鎖およびサンプル鎖間の塩基対ミスマッチのために存在することになるような二本鎖の一本鎖領域を切断する薬剤によって処理する。例えば、RNA/DNA二本鎖は、RNアーゼで処理して、DNA/DNAハイブリッドはS1ヌクレアーゼで処理して、ミスマッチ領域を酵素消化することができる。他の実施形態では、DNA/DNA二本鎖またはRNA/DNA二本鎖をヒドロキシルアミンまたは四酸化オスミウム、およびピペリジンで処理して、ミスマッチ領域を消化することができる。ミスマッチ領域の消化後、突然変異部位を決定するために、得られた材料を変性ポリアクリルアミドゲルにより大きさで分離する(例えば、Cotton RGH et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:4397-4401 (1988); Saleeba JA and Cotton RGH, Meth. Enzymol. 217:286-95 (1993)参照)。好ましい実施形態では、前記対照DNAまたはRNAは検出のために標識することができる。さらに別の実施形態では、前記ミスマッチ切断反応で、細胞のサンプルから得られたKCNQ5における点突然変異を検出し、マッピングするための定義されたシステムにおいて二本鎖DNAにおけるミスマッチ塩基対を認識する1以上のタンパク質(いわゆる「DNAミスマッチ修復」酵素)を使用する。例えば、大腸菌のmutY酵素はG/AミスマッチのAを切断し、HeLa細胞由来のチミジンDNAグリコシラーゼはG/TミスマッチのTを切断する(Hsu IC et al., Carcinogenesis 15:1657-62 (1994))。典型的な実施形態によれば、KCNQ5(W270L)配列、例えば、配列番号1に基づくプローブを試験細胞からのcDNAまたは他のDNA産物とハイブリダイズさせる。この二本鎖をDNAミスマッチ修復酵素で処理し、切断産物が生じていれば、電気泳動プロトコールなどによって検出することができる(例えば米国特許第5,459,039号参照)。
他の実施形態では、KCNQ5遺伝子における突然変異を同定するために電気泳動移動度の変化が用いられる。例えば、突然変異核酸と野生型核酸との間の電気泳動移動度の違いを検出するために、一本鎖DNA高次構造多型(SSCP)を用いてよい(Orita M et al., Proc Natl. Acad. Sci USA: 86:2766-70 (1989);Cotton RGH, Mutat. Res. 285:125-44 (1993); Hayashi K, Genet. Anal. Tech. Appl. 9:73-79 (1992)も参照)。サンプルKCNQ5またはKCNQ5(W270L)核酸および対照KCNQ5核酸の一本鎖DNA断片は変性させ、再生させることが可能である。一本鎖核酸の二次構造は配列によって異なり;電気泳動移動度に生じた変化から単一塩基の変化の検出も可能になる。前記DNA断片は標識プローブで標識または検出してよい。アッセイの感受性は、配列の変化に対する二次構造の感受性がより高いRNA(DNAよりむしろ)を用いることによって高め得る。好ましい実施形態では、本方法は、電気泳動移動度の変化に基づいてヘテロ二本鎖分子を分離するためにヘテロ二本鎖分析を利用する(Keen J et al., Trends Genet. 7:5 (1991))。
さらに別の実施形態では、変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)を用いて、変性剤の勾配を含むポリアクリルアミドゲルにおける突然変異断片または野生型断片の移動をアッセイする(Myers RM et al., Nature 313:495-98 (1985))。分析方法としてDGGEを用いる場合には、例えばおよそ40bpの高融点GCリッチDNAのGCクランプを付加することによって、確実に、PCRによってDNAが完全には変性しないようにDNAを修飾する。さらなる実施形態では、対照DNAおよびサンプルDNAの移動度の違いを確認するために、変性勾配の代わりに温度勾配を用いる(Rosenbaum V and Riesner D, Biophys. Chem. 26:235-46 (1987))。
点突然変異を検出するための他の技術の例には、限定されるものではないが、選択的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション、選択的増幅、または選択的プライマー伸長が含まれる。例えば、オリゴヌクレオチドプライマーを調製してよく、そのオリゴヌクレオチドプライマーでは既知の突然変異を中央に配置し、続いて完全なマッチが認められた場合にのみハイブリダイゼーションを可能にする条件下で標的DNAとハイブリダイズさせる(Saiki RK et al., Nature 324:163-66 (1986); Saiki RK et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:6230-34 (1989))。このような対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドは、該オリゴヌクレオチドをハイブリダイゼーション用メンブランに結合し、標識標的DNAとハイブリダイズさせると、PCRにより増幅された標的DNAまたは多数の異なる突然変異とハイブリダイズする。
あるいは、選択的PCR増幅に依存する対立遺伝子特異的増幅技術を、開示した組成物および方法とともに用いてもよい。特異的増幅のためのプライマーとして用いられるオリゴヌクレオチドは、(増幅がディファレンシャルハイブリダイゼーションに依存するように)該分子の中心に(Gibbs RA et al., Nucleic Acids Res. 17:2437-48 (1989))または一方のプライマーの3’末端に目的の突然変異を有していてよく、その場合、適切な条件下では、ミスマッチによりポリメラーゼ伸長が防止または低減され得る(Prosser J, Trends Biotechnol. 11:238-46 (1993))。さらに、切断に基づく検出をもたらすために突然変異の領域に新規制限部位を導入することが望ましい場合もある(Gasparini P et al., Mol. Cell
. Probs 6:1-7 (1992))。ある特定の実施形態では、増幅のためにTaqリガーゼを用いて増幅を行ってもよいと考えられる(Barany F, Proc. Natl. Acad. Sci USA 88:189-93 (1991))。このような場合では、5’配列の3’末端で完全なマッチが存在する場合にのみ連結が起こり、増幅の存在または不在を探すことによって特異的部位での既知の突然変異の存在を検出することが可能になる。
本明細書に記載の方法は、例えば、本明細書に記載の少なくとも1つのプローブ核酸または抗体試薬を含む、予めパッケージングされた診断キットを利用することによって行ってよく、このキットは、例えば、KCNQ5遺伝子が関与する疾患または疾病の症状または家族歴を示す患者を診断する臨床設定において便宜に使用し得る。
さらに、KCNQ5が発現される任意の細胞種または組織を本明細書に記載の予後アッセイに用いてよい。
VI.KCNQ5変調薬の投与
KCNQ5またはKCNQ5(W270L)変調薬は、例えば、第V章、前掲に記載した状態を治療するためにin vivoでの医薬投与に適した生物学的に適合した形態で対象に投与される。「in vivoでの投与に適した生物学的に適合した形態」とは、タンパク質の治療作用がいかなる毒性作用をも上回っている、投与されるタンパク質の形態を意味する。「対象」とは、免疫応答が引き起こされ得る生物、例えば、哺乳動物を含むものとする。本明細書に記載の薬剤の投与は、治療上活性な量の薬剤単独または医薬上許容される担体と組み合わせて含む任意の薬理学的形態によってよい。
治療組成物の治療上活性な量の投与は、所望の結果を得るのに必要な投与量および期間において量効果があるものとして定義される。例えば、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)変調薬の治療上活性な量は個体の病状、年齢、性別、および体重などの因子、ならびに個体において所望の応答を引き起こすペプチドの能力に応じて異なることがある。最適な治療応答をもたらすように投与計画(Dosage regima)を調整してよい。例えば、1日数回に分けて毎日投与してよく、または治療状況の緊急性によって示されるように比例的に用量を低減してよい。
治療組成物または医薬組成物は、当技術分野で公知の任意の好適な経路(例えば、静脈内、皮下、筋肉内、経皮的、くも膜下腔内または大脳内を含む)またはex vivo処置プロトコールでの細胞への投与によって投与することができる。投与は、注射によるように急速であってよくまたは緩慢な注入もしくは徐放性処方物の投与によるように長期間にわたってよい。
KCNQ5またはKCNQ5(W270L)はまた、所望の製薬学的または薬力学的特性を与える薬剤と連結またはコンジュゲートすることもできる。例えば、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)は、血液脳関門を横断しての浸透または輸送を促進する当技術分野で公知の任意の物質、例えばトランスフェリン受容体に対する抗体とカップリングし、静脈内注射により投与することができる(例えば、Friden PM et al., Science 259:373-77 (1993)参照)。さらに、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)は、溶解度、安定性、半減期、および他の医薬上有利な特性についての所望の特性を得るために、ポリエチレングリコールなどのポリマーと安定的に連結することができる(例えばDavis et al., Enzyme Eng. 4:169-73 (1978); Burnham NL, Am. J. Hosp. Pharm. 51:210-18 (1994)参照)。
さらに、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)ポリペプチドは、細胞のサイトゾルへの送達を助ける組成物に含めることができる。例えば、前記ペプチドを、前記ペプチドを細胞のサイトゾルへ送達することができるリポソームなどの担体部分とコンジュゲートしてよい。このような方法は当技術分野で周知である(例えば、Amselem S et al., Chem. Phys. Lipids 64:219-37 (1993)参照)。あるいは、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)ポリペプチドを、特異的輸送ペプチドを含むように修飾してもよく、またはKCNQ5またはKCNQ5(W270L)ポリペプチドを細胞へ送達することができるこのような輸送ペプチドと融合してもよい。さらに、前記ポリペプチドをマイクロインジェクションによって直接細胞へ送達してもよい。
前記組成物は医薬調製物の形態で通常使用される。このような調製物は製剤分野において周知の方法によって作製される。1つの好ましい調製物では生理食塩水のビヒクルを利用するが、他の医薬上許容される担体例えば生理学的濃度の他の無毒の塩、5%グルコース水溶液、滅菌水なども用いてよいものとする。本明細書において、「医薬上許容される担体」とは、あらゆる溶媒、分散媒、被覆剤、抗菌薬および抗真菌薬、等張剤および吸収遅延薬などを含む。医薬上活性な物質に関するこのような媒質および薬剤の使用は当技術分野で周知である。任意の標準的な媒質または薬剤が前記活性化合物と不適合である場合を除いて、治療組成物におけるその使用が意図される。補助活性化合物もまた、前記組成物に組み込むことができる。好適なバッファーが前記組成物中に含まれていることが望ましい場合もある。このような溶液は、必要に応じて、凍結乾燥し、注射用滅菌水の添加により再構成することができる滅菌アンプルで保存することができる。一次溶媒は水性あるいは非水性であってよい。KCNQ5またはKCNQ5(W270L)はまた、処置を必要とする組織に埋め込むことができる固体または半固体の生物学的に適合したマトリックスに組み込むこともできる。
前記担体はまた、前記処方物のpH、浸透圧、粘性、透明度、色、無菌性、安定性、溶解速度または臭気を改変または維持するための他の医薬上許容される賦形剤も含み得る。同様に、前記担体は、放出または血液脳関門を横断しての吸収もしくは浸透を改変または維持するためのさらに他の医薬上許容される賦形剤も含んでよい。このような賦形剤は、単位投与形もしくは複数回投与形のいずれかでの非経口投与用または持続注入もしくは周期的注入による直接注入用の投与量を処方するために通常習慣的に使用される物質である。
用量投与は、投与形の薬物動態パラメーターおよび用いる投与経路によって繰り返すことがある。
また、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)ポリペプチドまたはその断片を含むある特定の処方物が経口投与されるということも提供される。このような処方物は、好ましくは、封入され、好適な担体とともに固体投与形に処方される。好適な担体、賦形剤、および希釈剤のいくつかの例には、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アラビアガム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、ケイ酸カルシウム、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、ゼラチン、糖蜜、メチルセルロース、ヒドロキシ安息香酸メチルおよびヒドロキシ安息香酸プロピル、タルク、マグネシウム、ステアリン酸塩、水、鉱油などが含まれる。前記処方物は、滑沢剤、湿潤剤、乳化剤および沈殿防止剤、防腐剤、甘味剤または香味剤をさらに含み得る。前記組成物は、当技術分野で周知の手法を使用することによっての患者への投与後に有効成分の急速放出、持続放出または遅延放出をもたらすように処方してもよい。前記処方物はまた、タンパク質分解を減少させる物質および/または例えば、界面活性剤などの吸収を促進する物質も含み得る。
投与を容易にし、投与量を均一にするために、非経口用組成物を投与量単位形に処方することが特に有利である。本明細書において投与量単位形は、治療する哺乳動物対象に関する単位投与量として適した物理的に独立した単位を指し;各単位には必要な医薬担体と関連して所望の治療作用をもたらすように算出された所定量の活性化合物が含まれる。投与量単位形に関する詳細は、(a)活性化合物の特有の性質および得られる特定の治療作用ならびに(b)個体における感受性の処置のためのこのような活性化合物の配合分野にある制限によって決定され、直接依存する。具体的な用量は、当業者ならば、例えば患者の近似体重もしくは体表面積または身体空間の占有体積によって容易に算出することができる。この用量は選択した特定投与経路に応じて算出されもする。処置のための近似投与量を決定するのに必要な計算のさらなる微調整が当業者によって通常行われる。当業者ならば必要以上に実験を行うことなく、標的細胞のアッセイ調製物における本明細書において開示した活性に照らしてこのような計算を行うことができる。正確な投与量は、標準的な用量−応答研究を併用して決定される。実際に投与される組成物の量は、治療する1以上の状態;投与する組成物の選択;個々の患者の年齢、体重、および応答;患者の症状の重篤度;ならびに選択された投与経路を含む関連状況に照らして医師によって決定されることは理解されるであろう。
このような化合物の毒性および治療効力は、細胞培養物または実験動物において、例えば、LD50(集団の50%に対して致死的な用量)およびED50(集団の50%において治療上有効な用量)を決定するための、標準的な製薬学的手順によって決定することができる。毒性作用と治療作用との間の用量比が治療係数であり、それはLD50/ED50比として表すことができる。大きな治療指数を示す化合物が好ましい。有害な副作用を示す化合物を使用してよいが、このような化合物を罹患組織の部位に向ける送達系を設計する際に、非感染細胞(uninfected cells)に起こり得る損傷を最小限に抑え、それによって、副作用を低減するように注意を払う必要がある。
細胞培養アッセイおよび動物研究から得られたデータは、ヒトで使用するための投与量の範囲を計画するために用いることができる。このような化合物の投与量は、ほとんどまたは全く毒性のない、ED50を含む循環濃度の範囲内にあることが好ましい。投与量は、使用する投与形および用いる投与経路に応じてこの範囲内で変更してよい。本明細書において開示した方法において使用するいかなる化合物においても、治療上有効な用量は細胞培養アッセイから最初に推定することができる。用量は、細胞培養物において決定されるようなIC50(すなわち、症状の最大阻害の50%を達成する試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成するように、動物モデルにおいて計画し得る。このような情報を用いて、ヒトにおいて有用な用量をより正確に決定することができる。血漿中のレベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーによって測定し得る。
一実施形態において、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)ポリペプチドは、患者に、生物学的に活性な形態のKCNQ5もしくはKCNQ5(W270L)またはKCNQ5もしくはKCNQ5(W270L)の前駆体、すなわち、体内ですぐに生物学的活性形態のKCNQ5またはKCNQ5(W270L)へと変換され得る分子を産生することができるベクターまたは細胞を埋め込むことによって治療上投与され得る。
1つのアプローチでは、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)を分泌する細胞を患者への埋め込みのために半透膜内に封入し得る。前記細胞はKCNQ5もしくはその前駆体を正常に発現する細胞であり得、または前記細胞はKCNQ5もしくはKCNQ5(W270L)もしくはその生物学的に活性な断片もしくはその前駆体を発現するように形質転換し得る。前記細胞はヒト起源のものであることことが好ましい。しかしながら、本明細書における処方物および方法は、ヒトへの適用だけでなく獣医学的適用にも用いることができ、本明細書において「患者」または「対象」とは、ヒト患者および獣医学的患者を含むものとする。
薬剤(例えば薬物または化合物)がKCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質の発現または活性に及ぼす影響のモニタリングは、基本的な薬物スクリーニングにおいてだけでなく、臨床試験においても適用することができる。例えば、KCNQ5遺伝子発現、タンパク質レベルの低下またはKCNQ5活性のダウンレギュレーションを示す対象の臨床試験において、本明細書に記載のスクリーニングアッセイによってKCNQ5遺伝子発現、タンパク質レベルを上昇させるまたはKCNQ5活性をアップレギュレートすると決定される薬剤の有効性をモニタリングすることができる。あるいは、KCNQ5遺伝子発現、タンパク質レベルの上昇またはKCNQ5活性のアップレギュレーションを示す対象の臨床試験において、スクリーニングアッセイによってKCNQ5遺伝子発現、タンパク質レベルを低下させるまたはKCNQ5活性をダウンレギュレートすると決定される薬剤の有効性をモニタリングすることができる。このような臨床試験では、KCNQ5遺伝子と、好ましくは、障害に関係していた他の遺伝子の発現または活性を、特定の細胞の表現型の「リードアウト」またはマーカーとして用いることができる。
例えば、限定されるものではないが、KCNQ5をはじめとする、(例えば本明細書に記載のとおりスクリーニングアッセイによって確認された)KCNQ5活性を変調する薬剤(例えば化合物、薬物または小分子)での処置によって細胞において変調される遺伝子を同定することができる。よって、KCNQ5関連障害への薬剤の作用を、例えば、臨床試験において研究するために、細胞を単離し、RNAを調製し、KCNQ5関連障害に関係しているKCNQ5および他の遺伝子それぞれの発現レベルについて解析することができる。遺伝子発現のレベル(すなわち、遺伝子発現パターン)は、本明細書に記載のとおりノーザンブロット分析またはRT−PCRによって、あるいは産生したタンパク質の量を測定することによって、本明細書に記載の方法のうちの1つによって、またはKCNQ5もしくは他の遺伝子の活性レベルを測定することによって定量することができる。このように、遺伝子発現パターンは、薬剤に対する細胞の生理学的応答を示すマーカーとしての機能を果たし得る。従って、この応答状態は、薬剤での個体の処置前、および処置中の様々な時点で判定され得る。
好ましい実施形態は、薬剤(例えばアゴニスト、アンタゴニスト、ペプチド模倣薬、タンパク質、ペプチド、核酸、小分子または本明細書に記載のスクリーニングアッセイによって同定された他の薬物候補)での対象の処置の有効性をモニタリングするための方法を提供し、その方法は、(i)薬剤の投与前に対象に由来する投与前サンプルを得る工程と;(ii)該投与前サンプルにおいてKCNQ5もしくはKCNQ5(W270L)タンパク質、mRNA、またはゲノムDNAの発現レベルを検出する工程と;(iii)該対象から1以上の投与後サンプルを得る工程と;(iv)該投与後サンプルにおいてKCNQ5もしくはKCNQ5(W270L)タンパク質、mRNA、またはゲノムDNAの発現または活性のレベルを検出する工程と;(v)該投与前サンプルにおけるKCNQ5もしくはKCNQ5(W270L)タンパク質、mRNA、またはゲノムDNAの発現または活性のレベルを、1以上の該投与後サンプルにおけるKCNQ5もしくはKCNQ5(W270L)タンパク質、mRNA、またはゲノムDNAと比較する工程と;(vi)それに応じて該対象への該薬剤の投与を変更する工程とを含む。例えば、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)の発現または活性を検出されたレベルよりも高いレベルまで上昇させるため、すなわち、前記薬剤の有効性を高めるためには、前記薬剤の投与の増加が望ましいかもしれない。また、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)の発現または活性を検出されたレベルよりも低いレベルまで低下させるため、すなわち、前記薬剤の有効性を低下させるためには、前記薬剤の投与の減少が望ましいかもしれない。このような実施形態によれば、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)の発現または活性は、観察可能な表現型応答の不在下でさえも薬剤の有効性の指標として用い得る。
好ましい実施形態では、例えば、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)の発現および/または活性の変調によって利益を得るであろう対象において第V章(前掲)に記載した状態を変調するKCNQ5またはKCNQ5(W270L)変調薬の能力を、該薬剤の投与後に患者の状態の改善を検出することによって測定することができる。当業者ならば患者の特定の状態に適した指標を用いてこのような改善を容易に測定することができる。生検材料採取の患者に対する危険性および/または損害が高い状況では、患者の状態の変化を測定することによって患者の応答をモニタリングすることが好ましい。
KCNQ5またはKCNQ5(W270L)のレベルは種々の状態によって変化する可能性があり、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)レベルの定量によって臨床的に有用な情報がもたらされると思われる。
さらに、病状の処置において、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)を含む組成物を体外から投与することができ、血清において、任意の所望の組織コンパートメントにおいて、または罹患組織においてKCNQ5またはKCNQ5(W270L)ポリペプチドのある特定の目標レベルを実現することが望ましいであろう。それゆえ、患者においてまたは患者から得られた組織生検サンプルを含む生体サンプルにおいてKCNQ5またはKCNQ5(W270L)ポリペプチドのレベルをモニタリングし得ること、場合によっては、天然KCNQ5のレベルをモニタリングすることも有利であろう。従って、別の態様では、患者に由来するサンプルにおいてKCNQ5またはKCNQ5(W270L)の存在を検出するための方法を提供する。
VII.本発明のキット
別の態様は、スクリーニングアッセイ、変調法、または診断アッセイを実施するためのキットに関する。例えば、スクリーニングアッセイを実施するためのキットは、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)ポリペプチドを含む細胞と、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)ポリペプチド活性を決定するための手段と、所望により、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)活性のモジュレーターを同定するためのキットの使用説明書とを含み得る。もう1つの実施形態では、スクリーニングアッセイを実施するためのキットは、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)ポリペプチドを含む組成物と、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)活性を決定するための手段と、所望により、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)活性のモジュレーターを同定するためのキットの使用説明書とを含み得る。
別の実施形態は、変調法を実施するためのキットを提供する。このキットは、例えば、好適な担体中の、好適な容器に、所望により、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)活性を変調するためのモジュレーターの使用説明書とともにパッケージングされる変調薬(例えばKCNQ5またはKCNQ5(W270L)阻害薬または刺激薬)を含み得る。
別の態様は、対象における異常なKCNQ5発現および/または活性に付随する障害を診断するためのキットに関する。このキットは、KCNQ5またはKCNQ5(W270L)の発現を判定するための試薬(例えばKCNQ5またはKCNQ5(W270L)mRNAの検出のための核酸プローブあるいはKCNQ5またはKCNQ5(W270L)タンパク質の検出のための1以上の抗体)と、対象の結果を比較する対照と、所望により、診断用キットの使用説明書とを含み得る。
本明細書において開示した方法の実施では、特に断りのない限り、細胞生物学、細胞培養、分子生物学、トランスジェニック生物学、微生物学、組換えDNA、および免疫学の標準的な技術を使用し、そのような技術は当技術分野の技術の範囲内である。このような技術は文献において十分に説明されている。例えば、Molecular Cloning A Laboratory Manual, 2nd Ed., ed. by Sambrook, Fritsch and Maniatis (Cold Spring Harbor Laboratory Press: 1989); DNA Cloning, Volumes I and II (D. N. Glover ed., 1985); Oligonucleotide Synthesis (M. J. Gait ed., 1984); U.S. Patent No. 4,683,195; Nucleic Acid Hybridization (B. D. Hames & S. J. Higgins eds. 1984); Transcription And Translation (B. D. Hames & S. J. Higgins eds. 1984); Culture Of Animal Cells (R. I. Freshney, Alan R. Liss, Inc., 1987); Immobilized Cells And Enzymes (IRL Press, 1986); B. Perbal, A Practical Guide To Molecular Cloning (1984); the treatise, Methods In Enzymology (Academic Press, Inc., N.Y.); Gene Transfer Vectors For Mammalian Cells (J. H. Miller and M. P. Calos eds., 1987, Cold Spring Harbor Laboratory); Methods In Enzymology, Vols. 154 and 155 (Wu et al. eds.), Immunochemical Methods In Cell And Molecular Biology (Mayer and Walker, eds., Academic Press, London, 1987); Handbook Of Experimental Immunology, Volumes I-IV (D. M. Weir and C. C. Blackwell, eds., 1986); Manipulating the Mouse Embryo, (Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1986)参照。
本明細書における開示内容を次の実施例においてさらに定義する。これらの実施例では、好ましい実施形態を示しているが、これらの実施例は単に例示するために記載されているということは理解すべきである。上記の考察およびこれらの実施例から、当業者は好ましい特徴を確認することができ、その精神および範囲を逸脱することなく、様々な用途および条件に適合させるために様々な変更および修飾を加えることができる。
一般的手順
KCNQ5およびKCNQ1チャネルのアフリカツメガエル卵母細胞への発現−ヒトKCNQ5およびKCNQ1遺伝子を、卵母細胞発現用に特別に操作されたpKSMベクターにクローニングした。これらの遺伝子配列はDNA塩基配列決定法によって確認された。gene bank受託番号は:KCNQ5、NM_019842(配列番号3);KCNQ1、U89364.1(配列番号7)である。これらの構築物をXbaI制限酵素(NEB, Beverly, MA)によって線状化した。in vitro転写はmMESSAGE mMACHINE(登録商標)キット(Ambion, Austin, TX)を使用して行い、cRNAをフェノール抽出によって精製した。アフリカツメガエル卵母細胞にはDrumond Nanojet卵母細胞注入装置(a Drumond Nanoject oocyte injector)(Drummond Scientific Co., Broomall, PA)を使用しておよそ9.2ng cRNAを含有する46nl溶液を注入した。注射の3〜7日後に電気生理学的記録を行った。
電気生理学−全ての試験を室温(22〜23℃)で従来の卵母細胞双極電圧クランプ記録(TEVC)を用いて行った。記録用電極を、Sutter社製P−97ピペットプラー(Sutter Instrument, Novato, CA)を使用して1.5mmガラスピペットから引き出し、3M KClを充填した。そのピペット先端を慎重に折り取って、0.5〜1Mオームの電極抵抗を得た。Dagan社製CA−1増幅器(Dagan Corporation, Minneapolis MN)を使用し、保持電位を−100mVに固定した。チャネル活性化の電位依存を試験するために、一連の脱分極電位パルスを印加した。レチガビンの作用の経時的推移を観察するために、40mVの単一(3秒)電位パルスを15秒間隔で繰り返し印加した。Pulse 8.5ソフトウエアのHEKA社製コンピューターインターフェース(HEKA Elektronik, Lambrecht, Germany)を使用して、増幅器を制御し、分析用データをデジタル化した。
溶液および薬品−卵母細胞のインキュベーションおよび記録のために、(単位mM)NaCl、96、KCl、2、CaCl、1.8、MgCl、1、HEPES、10を含有するND96溶液を使用した。レチガビンをDMSO中50mMの保存溶液として作製し、試験に使用する直前に所望の濃度に希釈した。KCNQ5チャネルについてDMSOを試験し、1%まで作用は認められなかった。全ての試験において、0.4%未満のDMSOを使用した。
高速浴灌流システム(ALA Scientific Instruments, Westbury, NY)によって細胞に化合物を適用し、浴溶液交換は10秒以内に終えた。
データ分析−電流振幅を、HEKA社製Pulsefit 8.5ソフトウエアを使用してオンラインで測定した。巨視的電流からチャネルコンダクタンスを得るために、K逆転電位がND96溶液中で−80mVであるように近づけ、次の式を適用した:G=I/(V+80)、式中、Gは全卵母細胞コンダクタンスであり、Iは全卵母細胞電流であり、Vは電流の誘導に使用した電位である。データを平均±SEとして表し、対応のあるスチューデントt検定を行った。差はP<0.05において有意であると考えられた。
実施例1
KCNQ1由来のS5−S6領域を含むKCNQ5ポリヌクレオチド(配列番号6をコードする、配列番号8のアミノ酸S253−V355)を作製するために、KCNQ1遺伝子のS5−S6領域にフランキングする1対のオリゴプライマーを使用して、KCNQ1由来のDNA断片を得た。両方のプライマーは、S5の上流およびS6の下流の対応するジャンクション領域においてKCNQ5遺伝子配列を重複する各末端に導入DNA配列を含む。これらのプライマーと、鋳型としてKCNQ1構築物を使用したPCR産物を精製し、鋳型としてKCNQ5構築物を使用する2回目のPCRのために部位特異的突然変異誘発プライマーとして使用した。次いで、QuickChangeプロトコールを用いた部位特異的突然変異誘発を適用した(Stratagene, La Jolla, CA)。全ての突然変異をDNA塩基配列決定法によって確認した。
機能的キメラ(KCNQ1由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含むKCNQ5)へのレチガビンの作用を試験した。図1Aおよび図1Bにて示されるように、50μMレチガビンはもはやチャネル活性を増大しなかった。5分の適用期間中、電流振幅も電位依存性活性化も大きく変化しなかった(図1C)。このキメラチャネルへのレチガビン作用の劇的な崩壊により、KCNQ5におけるレチガビンの作用部位がS5−S6トランスメンブランドメインの領域に位置する可能性が最も高いことが示唆された。
実施例2
レチガビンの作用部位をさらに詳細に分析するために、KCNQ1由来のS5−S6トランスメンブランドメインを二つの部分、S5トランスメンブランドメインおよびS6トランスメンブランドメイン(リンカーを含む)に分け、それらの対応するKCNQ5キメラチャネルにKCNQ1由来のS5トランスメンブランドメインまたはS6トランスメンブランドメインを含めた。スワップされたS6トランスメンブランドメインを含むキメラチャネルは−100〜100mVの膜電位において電流を示さなかった。KCNQ1由来のS5ドメインを含むもう一方のキメラは極めて独特な活性化特性を有する外向き整流として機能した。図2A、左のパネルにて示されるように、この突然変異体は膜電位が20mVより高い場合に不活性化するように思われる。チャネルを膜脱分極によって活性化させた場合には、一過性外向き電流(150〜200m秒)が可視化され、チャネル活性化がはっきりと一様に二成分となった。膜電位が20mVより低い場合には、チャネル活性化パターンは野生型に類似しており、はっきりとした不活性化は認められなかった。
次に、KCNQ1由来のS5トランスメンブランドメインを含むKCNQ5へのレチガビンの作用を試験した。定常電流の振幅を最大レベルで安定させたKCNQ1発現卵母細胞由来のS5トランスメンブランドメインを含むKCNQ5にレチガビンを適用した。図2Bにて示されるように、50μMレチガビンはもはやこの突然変異体に作用しなかった。浴適用5分で、40mVへの脱分極によって誘導されたチャネル電流は一定であった。図2Cはレチガビン処置前後のI〜V曲線を示している。電流振幅も電流の電位依存もレチガビンによって修飾されなかった(図2Aの右のパネル、図2C)。この発見はレチガビン作用の分子依存性がS5ドメイン内に存することを示している。
実施例3
5種のKCNQメンバー全てのS5ドメインは、レチガビンに対するKCNQ1の無応答の主な原因となった可能性がある独特のアミノ酸残基に関してアライメントし、検索した配列であった。図3、上のパネルにて示されるように、KCNQ1とKCNQ5との間に10個の不適合残基が存在する。図3で強調した、それらのうちの7個はKCNQ1に独特であり得る。そのため、KCNQ5における突然変異は、KCNQ1における対応物に対して個々に修飾される7個の残基のそれぞれについて起こした。1つの突然変異体、KCNQ5(F282Y)は、卵母細胞で発現されるときにその機能性を失った。その他の6つの突然変異体は機能的であり、試験範囲の膜電位において十分なレベルの電流を示した。次に、これらの突然変異体の各々へのレチガビンの作用を試験した。図3の下のパネルにて示されるように、2つの突然変異体、KCNQ5(A269T)およびKCNQ5(W270L)(配列番号1、配列番号2をコードする)はレチガビンに対して著しく低い応答を示した。実施例2におけるS5ドメインスワップ突然変異体と同様に、KCNQ5(W270L)はレチガビンに対する応答を完全に失い、このトリプトファン残基がレチガビンの作用に重要であることを示唆する。
実施例4
S5におけるこの特定のトリプトファン残基へのレチガビン作用の機能的依存をさらに調査するために、KCNQ1のS5ドメインにおける対応する残基の逆突然変異を起こし、この突然変異がレチガビンによって活性化され得るKCNQ1をもたらす可能性があると推測した。驚くべきことに、この突然変異体、KCNQ1(L171W)は、実際にはレチガビン感受性となった。しかしながら、KCNQ1(L171W)は、活性化される代わりに、レチガビンによって遮断された。図4Aにて示されるように、野生型KCNQ1チャネルは50μMレチガビンに対してわずかな応答を示したが、200μMレチガビンに対して若干の阻害応答を示した。対照的に、50μMレチガビンはKCNQ1(L171W)の定常状態の電流振幅を明らかに減少させ、200μMレチガビンは80mVにおいて定常電流を62.5%阻害した(図4B)。おそらく、レチガビンによって誘導された最も大きな変化はチャネル活性化に対するものであったであろう。図4Cにて示されるように、レチガビンは80mVで誘発される電流の活性化速度論を単一指数関数的活性化経時的推移から二重指数関数的活性化経時的推移に修飾し、これは不活性化速度論の修飾によって説明することができる。レチガビンは、KCNQ1(L171W)の定常電流レベルを低下させただけでなく、チャネル活性化の電位依存を修飾もした(図4Dおよびその挿入図)。レチガビンに対する高度に増強された感受性は、レチガビン分子がKCNQ5またはKCNQ1(L171W)のS5ドメインにおけるトリプトファン残基に接近することができ、その結果として、電位依存性活性化のアップまたはダウンレギュレーションが起こることを強く示唆する。
実施例1〜4は、KCNQ5チャンネル開閉におけるS5ヘリックスの重要性を強調し、KCNQカリウムチャネルへのレチガビンの作用についての分子的解釈を与える。
(A)50μMレチガビンの不在下(左のパネル)および存在下(右のパネル)での、−100から60mVまで増分10mV(保持電圧は−100mV)の一連の脱分極電圧パルスによって誘発されたQ5Q1Pの電流トレース。(B)Q5Q1P突然変異体に対するレチガビン作用の経時的推移。(C)50μMレチガビンの不在下(n=9)および存在下(n=7、適用5分後)での、Q5Q1P突然変異体の電流(I)−電圧関係。各データ点のいずれにも有意差は見られない(p>0.05)。 (A)50μMレチガビンの不在下(左のパネル)および存在下(右のパネル)での、−100から60mVまで増分10mV(保持電圧は−100mV)の一連の脱分極電圧パルスによって誘発されたQ5Q1S5の電流トレース。(B)Q5Q1P突然変異体に対するレチガビン作用の経時的推移。(C)50μMレチガビンの不在下(n=7)および存在下(n=7)での、Q5Q1S5突然変異体の電流(I)−電圧関係。各データ点のいずれにも有意差は見られない(p>0.05)。 KCNQ5におけるS5ドメインの突然変異誘発分析。KCNQファミリーの5つのメンバー全ての配列アラインメントを上に示す。KCNQ1と他のメンバーの間で最も多様性の高い残基を太字で強調し、KCNQ5の対応する残基をそれぞれKCNQ1のそれらの対応物に突然変異させた。その後、単一の突然変異を有する各突然変異体を50μMレチガビンで試験し、電流振幅の保持増分(IA/I)を下のグラフにプロットした。全ての突然変異体で、nは6に相当する。 (A)レチガビンの不在下(対照)ならびに50μMおよび200μMレチガビンの存在下でKCNQ1野生型から記録した電流トレース。(B)レチガビンの不在下(対照)ならびに50μMおよび200μMレチガビンの存在下でKCNQ1 L171Wから記録した電流トレース。(C)レチガビンの不在下(対照)ならびに50μMおよび200μMレチガビンの存在下でKCNQ1 L171Wから、80mVまでの電圧パルスにより誘発された多重電流トレース。(D)レチガビンの不在下(○)ならびに50μM(□)および200μM(△)レチガビンの存在でのKCNQ1 L171Wの電流−電位関係。−100から80mVまで増分10mVの一連の脱分極電圧パルスによって誘発された定常状態の電流振幅を、対照群において膜電位80mVによって誘発されたレベルに対してノーマライズした。保持電位は−100mVであった。各群10個の卵母細胞からデータを取った。レチガビンの不在下(○)および200μMレチガビンの存在下(△)において80mVレベル(Gmax)に対してノーマライズされたチャネルコンダクタンス(G)を、チャネル活性化の電位依存性に対するレチガビンの作用と比較して示す。

Claims (100)

  1. KCNQ5(W270L)ポリペプチドの全部または一部をコードする単離されたポリヌクレオチド。
  2. (a)配列番号1を含む核酸配列;
    (b)配列番号2をコードするポリヌクレオチド;
    (c)配列番号1と少なくとも約95%の相同性を有するポリペプチドをコードする核酸配列(ただし、ヌクレオチド808〜810における置換は、アミノ酸ロイシンの保存的置換をもたらすコドンに対するものである);
    (d)高ストリンジェント条件下で配列番号1とハイブリダイズし得る核酸分子;
    (e)(a)、(b)、(c)または(d)に相補的な核酸分子;および
    (f)配列番号1の変異体
    からなる群から選択されるポリヌクレオチドを含む、単離されたポリヌクレオチド。
  3. 単離されたポリヌクレオチドがDNAである、請求項1または2記載の単離されたポリヌクレオチド。
  4. 単離されたポリヌクレオチドがRNAである、請求項1または2記載の単離されたポリヌクレオチド。
  5. 請求項2に記載の単離されたポリヌクレオチドのセンス配列の少なくとも12、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、75、100、200、300、400、600または700個の連続するヌクレオチドを含み、かつ配列番号1のヌクレオチド808−810を含む、単離されたポリヌクレオチド断片。
  6. 請求項5に記載の単離されたポリヌクレオチド断片を含む、プライマーまたはプローブ。
  7. (d)の核酸分子を以下の条件下:6xSSC、45℃で配列番号1とハイブリダイズさせ、0.2xSSC、0.1%SDS、50℃で少なくとも1回洗浄される、請求項2記載の単離されたポリヌクレオチド。
  8. (d)の核酸分子を以下の条件下:6xSSC、45℃で配列番号1とハイブリダイズさせ、0.2xSSC、0.1%SDS、55℃で少なくとも1回洗浄される、請求項7記載の単離されたポリヌクレオチド。
  9. (d)の核酸分子を以下の条件下:6xSSC、45℃で配列番号1とハイブリダイズさせ、0.2xSSC、0.1%SDS、65℃で少なくとも1回洗浄される、請求項8記載の単離されたポリヌクレオチド。
  10. 請求項2に記載の単離されたポリヌクレオチドを含む、ベクター。
  11. ベクターがプラスミドである、請求項10記載のベクター。
  12. ベクターが発現ベクターである、請求項10記載のベクター。
  13. 請求項10−12のいずれか一項に記載のベクターで形質転換される宿主細胞。
  14. 原核細胞である、請求項13記載の宿主細胞。
  15. 原核細胞がエシェリヒア・コリ細胞である、請求項14記載の宿主細胞。
  16. 真核細胞である、請求項13記載の宿主細胞。
  17. 真核細胞が昆虫細胞、酵母細胞、哺乳動物細胞またはアフリカツメガエル卵母細胞である、請求項16記載の宿主細胞。
  18. 請求項2に記載の単離されたポリヌクレオチドを含むヒト以外のトランスジェニック動物。
  19. 請求項2に記載の単離されたポリヌクレオチドに対してアンチセンスである、単離されたアンチセンスポリヌクレオチド。
  20. アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイムまたはsiRNAである、請求項19記載の単離されたアンチセンスポリヌクレオチド。
  21. KCNQ1から由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチド。
  22. S5−S6トランスメンブランドメインがヒトKCNQ1から由来する、請求項21記載の単離されたポリヌクレオチド。
  23. (a)配列番号3を含む核酸配列であって、ヌクレオチド769〜1062が配列番号5で置換されている、核酸配列;
    (b)配列番号4をコードするポリヌクレオチドであって、アミノ酸257〜354がKCNQ1由来のS5−S6トランスメンブランドメインで置換されている、ポリヌクレオチド;
    (c)高ストリンジェント条件下で(a)または(b)の核酸配列とハイブリダイズする能力を有する核酸分子;および
    (d)(a)、(b)または(c)に相補的な核酸分子
    からなる群から選択されるポリヌクレオチドを含む、単離されたポリヌクレオチド。
  24. (b)のS5−S6トランスメンブランドメインが配列番号6である、請求項23記載の単離されたポリヌクレオチド。
  25. KCNQ1から由来のS5トランスメンブランドメインを含有するKCNQ5ポリペプチドをコードする、単離されたポリヌクレオチド。
  26. S5トランスメンブランドメインがヒトKCNQ1から由来する、請求項25記載の単離されたポリヌクレオチド。
  27. (a)ヌクレオチド769〜873が配列番号5のヌクレオチド1〜105で置換されている、配列番号3を含む核酸配列;
    (b)配列番号4のアミノ酸257〜291がKCNQ1から由来のS5トランスメンブランドメインで置換されている、配列番号4をコードするポリヌクレオチド;
    (c)高ストリンジェント条件下で(a)または(b)の核酸配列とハイブリダイズする能力を有する核酸分子;および
    (d)(a)、(b)または(c)に相補的な核酸分子
    からなる群から選択されるポリヌクレオチドを含む、単離されたポリヌクレオチド。
  28. (b)のS5トランスメンブランドメインが配列番号6のアミノ酸1〜35である、請求項27記載の単離されたポリヌクレオチド。
  29. (a)KCNQ5(W270L)ポリペプチドのアミノ酸配列;
    (b)配列番号2を含むアミノ酸配列;
    (c)(a)の変異体;および
    (d)配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列(ただし、アミノ酸270における置換はアミノ酸ロイシンに対する保存的置換である)
    からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチド。
  30. 第2の非KCNQ5(W270L)ポリペプチドに作動可能なように連結されている請求項29に記載の単離されたポリペプチドからなる第1のポリペプチドを含む、融合タンパク質。
  31. 請求項30に記載の融合タンパク質をコードする、単離されたポリヌクレオチド。
  32. 少なくとも一つのペプチド結合が、−CHNH−、−CHS−、−CH−CH−、シス−CH=CH−、トランス−CH=CH−、−COCH−、−CH(OH)CH−、およびCHSO−からなる群より選択される結合によって置換されている、請求項29に記載の単離されたポリペプチドを含む、ペプチドミメティクス。
  33. 請求項29に記載の単離されたポリペプチドの少なくとも8個の連続したアミノ酸を含む単離されたペプチド断片であって、該断片が配列番号2のアミノ酸270を含む、単離されたペプチド断片。
  34. 請求項29に記載の単離されたポリペプチドの少なくとも10個の連続したアミノ酸を含む単離されたペプチド断片であって、該断片が配列番号2のアミノ酸270を含む、単離されたペプチド断片。
  35. 請求項29に記載の単離されたポリペプチドの少なくとも15個の連続したアミノ酸を含む単離されたペプチド断片であって、該断片が配列番号2のアミノ酸270を含む、単離されたペプチド断片。
  36. 請求項29に記載の単離されたポリペプチドの少なくとも20個の連続したアミノ酸を含む単離されたペプチド断片であって、該断片が配列番号2のアミノ酸270を含む、単離されたペプチド断片。
  37. 請求項29に記載の単離されたポリペプチドの少なくとも30個の連続したアミノ酸を含む単離されたペプチド断片であって、該断片が配列番号2のアミノ酸270を含む、単離されたペプチド断片。
  38. 配列番号2を含むKCNQ5(W270L)ポリペプチドに特異的に結合する、抗体。
  39. 抗体がモノクローナル抗体である、請求項38記載の抗体。
  40. 抗体がポリクローナル抗体である、請求項38記載の抗体。
  41. 配列番号2から由来の少なくとも8個の連続したアミノ酸を含むKCNQ5(W270L)ポリペプチド断片に特異的に結合する抗体であって、該断片が配列番号2のアミノ酸270を含む、抗体。
  42. KCNQ1から由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含有する、単離されたKCNQ5ポリペプチド。
  43. S5−S6トランスメンブランドメインがヒトKCNQ1から由来する、請求項42記載の単離されたKCNQ5ポリペプチド。
  44. KCNQ5ポリペプチドのアミノ酸配列が、アミノ酸257−354がKCNQ1から由来のS5−S6トランスメンブランドメインで置換されている配列番号4を含む、請求項42記載の単離されたKCNQ5ポリペプチド。
  45. 配列番号4のアミノ酸257−354が配列番号6で置換されている、請求項44記載の単離されたKCNQ5ポリペプチド。
  46. KCNQ1から由来のS5トランスメンブランドメインを含有する、単離されたKCNQ5ポリペプチド。
  47. S5トランスメンブランドメインがヒトKCNQ1から由来する、請求項46記載の単離されたKCNQ5ポリペプチド。
  48. KCNQ5ポリペプチドのアミノ酸配列が、アミノ酸257−291がKCNQ1から由来のS5トランスメンブランドメインで置換されている配列番号4を含む、請求項46記載の単離されたKCNQ5ポリペプチド。
  49. 配列番号4のアミノ酸257−291が配列番号6のアミノ酸1−35で置換されている、請求項48記載の単離されたKCNQ5ポリペプチド。
  50. 請求項29、42または46の単離されたポリペプチドである、少なくとも1個のKCNQ5サブユニットを含む、KCNQ二量体チャネル。
  51. チャネルサブユニットが共に請求項29、42または46の単離されたポリペプチドである、請求項50記載のKCNQ二量体チャネル。
  52. 一のサブユニットがKCNQ3である、請求項50記載のKCNQ二量体チャネル。
  53. KCNQ3サブユニットがヒトKCNQ3である、請求項52記載のKCNQ二量体チャネル。
  54. 請求項29、42または46の単離されたポリペプチドである、少なくとも1個のKCNQ5サブユニットを含む、KCNQ四量体チャネル。
  55. 4チャネルサブユニットの2つが請求項29、42または46の単離されたポリペプチドである、請求項54記載のKCNQ四量体チャネル。
  56. 4チャネルサブユニットの3つが請求項29、42または46の単離されたポリペプチドである、請求項55記載のKCNQ四量体チャネル。
  57. チャネルサブユニットの4つすべてが請求項29、42または46の単離されたポリペプチドである、請求項56記載のKCNQ四量体チャネル。
  58. 少なくとも1つのサブユニットがKCNQ3である、請求項54記載のKCNQ四量体チャネル。
  59. KCNQ3サブユニットがヒトKCNQ3である、請求項58記載のKCNQ四量体チャネル。
  60. 薬剤のスクリーニング方法であって、
    (a)薬剤と、
    (i)KCNQ5(W270L)ポリペプチドの全部または一部をコードするポリヌクレオチド;
    (ii)KCNQ1から由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含有するKCNQ5ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
    (iii)KCNQ1から由来のS5トランスメンブランドメインを含有するKCNQ5ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
    (iv)KCNQ5(W270L)ポリペプチドのアミノ酸配列を含むポリペプチド;
    (v)KCNQ1から由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含有するKCNQ5ポリペプチド;および
    (vi)KCNQ1から由来のS5トランスメンブランドメインを含有するKCNQ5ポリペプチド
    からなる群から選択されるKCNQ5分子とを接触させること;および
    (b)該薬剤のKCNQ5活性に対する作用を検出すること
    を含み、ここでKCNQ5活性の低下または増強の検出が、薬剤がKCNQ5のモジュレーターであることを示す、方法。
  61. KCNQ5活性がニューロンの興奮性を低下させるか、膀胱平滑筋を鎮静化する、請求項60記載の方法。
  62. KCNQ5活性がKCNQ5チャネルのイオン電流の大きさを電気生理学的に測定することで検出される、請求項60記載の方法。
  63. 無細胞アッセイによりなされる、請求項60記載の方法。
  64. 薬剤のスクリーニング方法であり、
    (a)細胞と薬剤を接触させること;および
    (b)(i)KCNQ5(W270L)ポリペプチドの全部または一部をコードするポリヌクレオチド;
    (ii)KCNQ1から由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含有するKCNQ5ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
    (iii)KCNQ1から由来のS5トランスメンブランドメインを含有するKCNQ5ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
    (iv)KCNQ5(W270L)ポリペプチドのアミノ酸配列を含むポリペプチド;
    (v)KCNQ1から由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含有するKCNQ5ポリペプチド;および
    (vi)KCNQ1から由来のS5トランスメンブランドメインを含有するKCNQ5ポリペプチド
    からなる群から選択されるKCNQ5分子の発現レベルを測定すること
    を含み、
    ここで、KCNQ5発現の低下または増強の検出が、薬剤がKCNQ5のモジュレーターであることを示す、方法。
  65. 請求項60−64に記載のいずれかの方法により同定される薬剤。
  66. 薬剤がレチガビン類似体である、請求項65記載の薬剤。
  67. 式:
    Figure 2009525024
    [式中、
    は、水素、C−C−アルキル、C−C−アルカノイルまたはAr基から選択され;
    は、水素またはC−C−アルキルから選択され;
    は、C−C−アルコキシ、NH、C−C−アルキルアミノ、C−C−ジアルキルアミノ、Ar基により置換されたアミノ、C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、Ar基またはArO−基から選択され;
    は、水素、C−C−アルキルまたはAr基から選択され;
    は、水素またはC−C−アルキルまたはAr基から選択される;
    Alkは、Ar基により置換されていてもよい1〜9個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルキレン基であり;
    Arは、基R、Rおよび/またはRで置換されているフェニル基であり、これらの基R、RおよびRは同一であるか、または異なり、H、C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、ヒドロキシ、C−C−アルコキシ、C−C−アルカノイルオキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、C−C−ハロゲノアルキル、−CN、−NH、−NH−C−C−アルキル、−N(C−C−アルキル)、−COH、−CO−C−C−アルキル、−CO−O−C−C−アルキル、−COAr、−CO−OAr、−CONH、−CONH−C−C−アルキル、−CON(C−C−アルキル)、−CONHAr、−NH−CO−C−C−アルキル、−NHCO−Ar、−NHCO−C−C−アルコキシ、−N−H−CO−Ar、−NHCO−NH、−NHCO−N(−C−C−アルキル)、−NHCO−NHAr、−NH−SO−C−C−アルキル、−NH−SOAr、−NH−SO−ニトロフェニル、−SO−OH、−SO−C−C−アルキル、−SO−Ar、−SO−C−C−アルコキシ、−SO−OAr、−O−NH、−SO−NH−C−C−アルキル、−SO−N(C−C−アルキル)、−SO−NHAr、−SO−C−C−アルコキシを表し;
    nは0または1を意味する]
    で示される化合物の類似体である、請求項65記載の薬剤。
  68. 哺乳動物における膀胱制御を誘導または維持する方法であって、その必要とする哺乳動物に、請求項60−64に記載のいずれかの方法により同定された治療有効量の薬剤を投与することを含む、方法。
  69. 哺乳動物における尿失禁を治療または予防する方法であって、その必要とする哺乳動物に、請求項60−64に記載のいずれかの方法により同定された治療有効量の薬剤を投与することを含む、方法。
  70. 哺乳動物における神経因性疼痛を治療または予防する方法であって、その必要とする哺乳動物に、請求項60−64に記載のいずれかの方法により同定された治療有効量の薬剤を投与することを含む、方法。
  71. KCNQ5ポリペプチドとの結合能を有するポリペプチドを同定する方法であって、
    (a)KCNQ5ポリペプチドをコードする配列が1つのハイブリッドベクターに保持され、かつ、cDNAまたはゲノムDNAライブラリーから由来の配列が第二のハイブリッドベクターに保持されている二ハイブリッド法を哺乳動物に適用すること、ここで、該KCNQ5ポリペプチドは、
    (i)KCNQ5(W270L)ポリペプチドのアミノ酸配列を含むポリペプチド;
    (ii)KCNQ1から由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含有するKCNQ5ポリペプチド;および
    (iii)KCNQ1から由来のS5トランスメンブランドメインを含有するKCNQ5ポリペプチド
    からなる群から選択される;
    (b)宿主細胞を該ベクターで形質転換すること;
    (c)陽性形質転換細胞を単離すること;および
    (d)第二のハイブリッドベクターを抽出して、KCNQ5ポリペプチドと結合するポリペプチドをコードする配列を得ること
    を含む、同定方法。
  72. KCNQ5ポリペプチドを検出する方法であって、
    (a)KCNQ5(W270L)ポリペプチドのアミノ酸配列を含むKCNQ5ポリペプチドと選択的に結合する抗体;
    (b)KCNQ1から由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含有するKCNQ5ポリペプチドと選択的に結合する抗体;
    (c)KCNQ1から由来のS5トランスメンブランドメインを含有するKCNQ5ポリペプチドと選択的に結合する抗体;および
    (d)配列番号2から由来の少なくとも8個の連続するアミノ酸を含むKCNQ5(W270L)ポリペプチド断片と選択的に結合する抗体、ここで該断片は配列番号2から由来のアミノ酸270を含む;
    からなる群から選択される抗体と、KCNQ5ポリペプチド、KCNQ5(W270L)ポリペプチドまたはKCNQ5(W270L)ポリペプチド断片を含有すると思われるサンプル中の分子との結合を検出することを含み、ここで、該抗体を、サンプル中に存在するKCNQ5ポリペプチド、KCNQ5(W270L)ポリペプチドまたはKCNQ5(W270L)ポリペプチド断片との特異的結合を可能とする条件下でサンプルと接触させ、抗体とサンプル中の分子の結合が、KCNQ5ポリペプチド、KCNQ5(W270L)ポリペプチドまたはKCNQ5(W270L)ポリペプチド断片の存在を示すところの、方法。
  73. サンプルが中枢神経系、骨格筋または膀胱平滑筋から由来する、請求項72記載の方法。
  74. 中枢神経系サンプルが脳から由来する、請求項73記載の方法。
  75. KCNQ5の発現を検出する方法であって、
    KCNQ5を発現すると思われる細胞または組織に由来するサンプルにおいて、
    (i)KCNQ5(W270L)ポリペプチドのアミノ酸配列を含むポリペプチド;
    (ii)KCNQ1から由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含有するKCNQ5ポリペプチド;および
    (iii)KCNQ1から由来のS5トランスメンブランドメインを含有するKCNQ5ポリペプチド
    からなる群から選択されるKCNQ5ポリペプチドをコードするmRNAを、
    (i)KCNQ5(W270L)ポリペプチドの全部または一部をコードするポリヌクレオチド;
    (ii)KCNQ1から由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含有するKCNQ5ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;および
    (iii)KCNQ1から由来のS5トランスメンブランドメインを含有するKCNQ5ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
    からなる群から選択されるポリヌクレオチドから由来の少なくとも12個の連続するヌクレオチドを含むプローブで検出することを含む、検出方法。
  76. プローブが、ヌクレオチド808−810を含め、配列番号1から由来の少なくとも12個の連続するヌクレオチドを含む、請求項75記載の方法。
  77. 組織が脳、骨格筋または膀胱である、請求項75記載の方法。
  78. KCNQ5遺伝子が突然変異または欠失しているかどうかを判定する方法であって、対象から由来する細胞または組織のサンプルにおいて、KCNQ5タンパク質をコードする遺伝子の完全性に影響を及ぼす少なくとも1つの変異またはKCNQ5遺伝子の異所性発現を特徴とする遺伝的変異の存在または不在を検出することを含み、ここで該検出工程は、
    (i)KCNQ5(W270L)ポリペプチドの全部または一部をコードするポリヌクレオチド;
    (ii)KCNQ1から由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含有するKCNQ5ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;および
    (iii)KCNQ1から由来のS5トランスメンブランドメインを含有するKCNQ5ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
    からなる群から選択されるポリヌクレオチドから由来の少なくとも12個の連続するヌクレオチドを含む少なくとも1つのプローブまたはプライマーを用いて行われる、検出方法。
  79. プローブまたはプライマーが、ヌクレオチド808−810を含め、配列番号1から由来の少なくとも12個の連続するヌクレオチドを含む、請求項78記載の方法。
  80. 組織が脳、骨格筋または膀胱である、請求項78記載の方法。
  81. KCNQ5ポリペプチドの変異体を同定する方法であって、KCNQ5突然変異体を含むコンビナトリアルライブラリーをKCNQ5ポリペプチドアゴニストまたはアンタゴニストについてスクリーニングすることを含み、ここで該KCNQ5ポリペプチドが、
    (i)KCNQ5(W270L)ポリペプチドのアミノ酸配列を含むポリペプチド;
    (ii)KCNQ1から由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含有するKCNQ5ポリペプチド;および
    (iii)KCNQ1から由来のS5トランスメンブランドメインを含有するKCNQ5ポリペプチド
    からなる群から選択される、同定方法。
  82. 請求項81に記載の方法により同定されるKCNQ5変異体。
  83. KCNQ5ポリペプチドを単離する方法であって、
    (a)KCNQ5抗体を、
    (iv)KCNQ5(W270L)ポリペプチドのアミノ酸配列を含むポリペプチド;
    (v)KCNQ1から由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含有するKCNQ5ポリペプチド;および
    (vi)KCNQ1から由来のS5トランスメンブランドメインを含有するKCNQ5ポリペプチド
    からなる群から選択されるKCNQ5ポリペプチドを含有すると思われるサンプルと接触させること;および
    (b)そのサンプルからKCNQ5抗体−KCNQ5ポリペプチド複合体を単離することを含む、単離方法。
  84. 抗体が、
    (a)配列番号2を含むKCNQ5ポリペプチドと特異的に結合する抗体;および
    (b)配列番号2から由来の少なくとも8個の連続したアミノ酸を含むKCNQ5ポリペプチド断片と特異的に結合する抗体、ここで該断片は配列番号2から由来のアミノ酸270を包含する
    からなる群より選択される、請求項83記載の方法。
  85. KCNQ5ポリペプチドを産生する方法であって、
    (a)発現ベクターを含む形質転換宿主細胞を、KCNQ5ポリペプチドが産生されるような適当な培地で培養すること;ここで該発現ベクターは、
    (i)KCNQ5(W270L)ポリペプチドの全部または一部をコードするポリヌクレオチド;
    (ii)KCNQ1から由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含有するKCNQ5ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;および
    (iii)KCNQ1から由来のS5トランスメンブランドメインを含有するKCNQ5ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
    からなる群から選択されるポリヌクレオチドを含み;および
    (b)工程(a)のKCNQ5ポリペプチドを回収してもよいこと
    を含む、産生方法。
  86. KCNQ5活性の亢進を必要とする哺乳動物の処置方法であり、その必要とする哺乳動物に、
    (i)KCNQ5(W270L)ポリペプチドの全部または一部をコードするポリヌクレオチド;
    (ii)KCNQ1から由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含有するKCNQ5ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
    (iii)KCNQ1から由来のS5トランスメンブランドメインを含有するKCNQ5ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
    (iv)KCNQ5(W270L)ポリペプチドのアミノ酸配列を含むポリペプチド;
    (v)KCNQ1から由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含有するKCNQ5ポリペプチド;および
    (vi)KCNQ1から由来のS5トランスメンブランドメインを含有するKCNQ5ポリペプチド
    からなる群から選択される、治療有効量のKCNQ5分子を投与することを含む、治療方法。
  87. 治療が尿失禁または神経因性疼痛に対するものである、請求項86記載の方法
  88. KCNQ5活性の低下を必要とする哺乳動物の処置方法であって、その必要とする哺乳動物に、治療有効量の、
    (a)(i)KCNQ5(W270L)ポリペプチドの全部または一部をコードするポリヌクレオチド;
    (ii)KCNQ1から由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含有するKCNQ5ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;および
    (iii)KCNQ1から由来のS5トランスメンブランドメインを含有するKCNQ5ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
    からなる群から選択されるポリヌクレオチドに対してアンチセンスであるKCNQ5アンチセンスポリヌクレオチド;または
    (b)(A)KCNQ5(W270L)ポリペプチドのアミノ酸配列を含むKCNQ5ポリペプチドと選択的に結合する抗体;
    (B)KCNQ1から由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含有するKCNQ5ポリペプチドと選択的に結合する抗体;
    (C)KCNQ1から由来のS5トランスメンブランドメインを含有するKCNQ5ポリペプチドと選択的に結合する抗体;および
    (D)配列番号2から由来の少なくとも8個の連続するアミノ酸を含むKCNQ5(W270L)ポリペプチド断片と選択的に結合する抗体、ここで該断片は配列番号2から由来のアミノ酸270を含む;
    からなる群から選択されるKCNQ5抗体
    を投与することを含む、方法。
  89. KCNQ5アンチセンスポリヌクレオチドがアンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイムまたはsiRNAである、請求項88記載の方法。
  90. 抗KCNQ5ポリペプチド抗体を得る方法であって、
    (a)免疫原性KCNQ5ポリペプチドまたはKCNQ5ポリペプチドに独特なその免疫原性部分で動物を免疫処理すること、ここで該KCNQ5ポリペプチドは、
    (i)KCNQ5(W270L)ポリペプチドのアミノ酸配列を含むポリペプチド;
    (ii)KCNQ1から由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含むKCNQ5ポリペプチド;および
    (iii)KCNQ1から由来のS5トランスメンブランドメインを含有するKCNQ5ポリペプチド
    からなる群から選択される;および
    (b)その動物からKCNQ5ポリペプチドと特異的に結合する抗体を単離すること
    を含む、方法。
  91. 免疫原性KCNQ5ポリペプチドが配列番号2である、請求項90記載の方法。
  92. KCNQ5ポリペプチドの機能的イオンチャネルをコードする能力をアッセイする方法であって、
    (a)宿主細胞を、
    (i)KCNQ5(W270L)ポリペプチドのアミノ酸配列を含むポリペプチド;
    (ii)KCNQ1から由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含有するKCNQ5ポリペプチド;および
    (iii)KCNQ1から由来のS5トランスメンブランドメインを含有するKCNQ5ポリペプチド
    からなる群から選択されるKCNQ5ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドでトランスフェクトすること;
    (b)その宿主細胞においてKCNQ5ポリペプチドを発現させること;および
    (c)KCNQ5ポリペプチドのイオン電流の大きさを電気生理学的に測定すること
    を含む、方法。
  93. 工程(c)が全細胞を記録するか、または双極電圧クランプ法によりなされる、請求項92記載の方法。
  94. 全細胞を記録することにおいて、宿主細胞が哺乳動物細胞である、請求項93記載の方法。
  95. 双極電圧クランプ法において、宿主細胞がアフリカツメガエル卵母細胞である、請求項93記載の方法。
  96. 対象において、KCNQ5活性および/または発現の調節から利益を得る疾患または症状を予防する方法であって、該対象に、KCNQ5ポリペプチドまたはKCNQ5発現もしくは少なくとも1つのKCNQ5活性を調節する薬剤を投与することを含み、ここで該KCNQ5ポリペプチドが、
    (i)KCNQ5(W270L)ポリペプチドのアミノ酸配列を含むポリペプチド;
    (ii)KCNQ1から由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含有するKCNQ5ポリペプチド;および
    (iii)KCNQ1から由来のS5トランスメンブランドメインを含有するKCNQ5ポリペプチド
    からなる群から選択される、方法。
  97. 症状が尿失禁または神経因性疼痛である、請求項96記載の方法。
  98. KCNQ5ポリペプチドまたはポリヌクレオチドを検出するためのキットであって、
    (a)標識化合物または生体サンプル中のKCNQ5ポリペプチドまたはポリヌクレオチドの検出能を有する薬剤;
    (b)そのサンプル中のKCNQ5ポリペプチドまたはポリヌクレオチドの量を測定するための手段;
    (c)そのサンプル中のKCNQ5ポリペプチドまたはポリヌクレオチドの量を標体と比較するための手段;および
    (d)KCNQ5ポリペプチドまたはポリヌクレオチドを検出するためのキットの任意の使用説明書
    を含み、ここで該KCNQ5ポリペプチドまたはポリヌクレオチドが、
    (i)KCNQ5(W270L)ポリペプチドの全部または一部をコードするポリヌクレオチド;
    (ii)KCNQ1から由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含有するKCNQ5ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
    (iii)KCNQ1から由来のS5トランスメンブランドメインを含有するKCNQ5ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
    (iv)KCNQ5(W270L)ポリペプチドのアミノ酸配列を含むポリペプチド;
    (v)KCNQ1から由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含有するKCNQ5ポリペプチド;および
    (vi)KCNQ1から由来のS5トランスメンブランドメインを含有するKCNQ5ポリペプチド
    からなる群から選択されるところの、検出用キット。
  99. KCNQ5活性のモジュレーターを同定するためのキットであって、
    (a)KCNQ5ポリペプチドを含む細胞または組成物;
    (b)KCNQ5ポリペプチド活性を測定するための手段;および
    (c)KCNQ5活性のモジュレーターを同定するためのキットの任意の使用説明書
    を含み、ここで該KCNQ5ポリペプチドが、
    (i)KCNQ5(W270L)ポリペプチドのアミノ酸配列を含むポリペプチド;
    (ii)KCNQ1から由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含有するKCNQ5ポリペプチド;および
    (iii)KCNQ1から由来のS5トランスメンブランドメインを含有するKCNQ5ポリペプチド
    からなる群から選択されるところの、同定用キット。
  100. 対象において、異常なKCNQ5発現および/または活性に付随する障害を診断するためのキットであって、
    (a)KCNQ5ポリペプチドまたはポリヌクレオチドの発現を測定するための試薬;
    (b)対象の結果を比較する対照;および
    (c)診断目的での任意のキットの使用説明書
    を含み、
    ここで該KCNQ5ポリペプチドまたはポリヌクレオチドが、
    (i)KCNQ5(W270L)ポリペプチドの全部または一部をコードするポリヌクレオチド;
    (ii)KCNQ1から由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含有するKCNQ5ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
    (iii)KCNQ1から由来のS5トランスメンブランドメインを含有するKCNQ5ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
    (iv)KCNQ5(W270L)ポリペプチドのアミノ酸配列を含むポリペプチド;
    (v)KCNQ1から由来のS5−S6トランスメンブランドメインを含有するKCNQ5ポリペプチド;および
    (vi)KCNQ1から由来のS5トランスメンブランドメインを含有するKCNQ5ポリペプチド
    からなる群から選択される、診断用キット。
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