JP2009523443A - 癌診断のためのマーカー及び方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は顆粒性白血球のコロニー刺激因子(G−CSF)遺伝子の変異特性を用いて癌を診断するためのマーカー及び方法に係り、さらに詳しくは、癌診断用のマーカーとしてG−CSF遺伝子のエクソン2領域の3’末端とエクソン4領域の5’末端が連結されたオリゴヌクレオチドを用いた癌診断及び/または進行度評価方法に関する。本発明によれば、G−CSFの遺伝子変異特性を用いて高速で且つ正確に癌を診断することができる。
Description
本発明は顆粒性白血球のコロニー刺激因子(G−CSF、 Granulocyte Colony Stimulating Factor)遺伝子における変異を用いた癌を診断するためのマーカー及び方法に係り、さらに詳しくは、癌診断用のマーカーとしてG−CSF遺伝子のエクソン2領域の3’末端とエクソン4領域の5’末端が連結されたオリゴヌクレオチドを用いた癌診断及び/または進行度評価方法に関する。
一般に、癌の診断は、(1)光学顕微鏡、電子顕微鏡などを用いた形態学的な分析による形態学的な診断、(2)癌組織内において発現される特定のタンパク質の分析による免疫組織化学的な診断(Iran, Biomed. J., 3:99, 1999; Lancet, 2:483, 1986)、(3)癌組織内において現れる遺伝子の突然変異などの分子生物学的な異常の分析による分子生物学的な診断などの方法を用いて行われる。これらの方法のうち、形態学的な診断や免疫組織学的な診断の場合、分子生物学的な診断と比較して遥かに長い時間がかかり、経済的な負担も遥かに高い。分子生物学的な方法はその作業が相対的に単純であり、いくつかの場合には短時間で結果が分かるため、現在、新規な診断方法の開発・研究の核心となっている。近年、Health Digit社が様々な癌診断のためのタンパク質チップシステムを開発し、世界初で中国医薬品安全庁から臨床診断許可を受けたという報告もされている(www.health-digit.com)。しかしながら、これもまた、1つのバイオマーカーによりあらゆる癌を診断するものではなく、10個以上の多いタンパク質をバイオマーカーとして利用するものである。
上記の如き方法の効率よい適用に当たって最も重要なのは、癌の発生の有無をより正確で且つ手軽に確認可能な癌診断マーカーの選択及び使用である。癌診断マーカーとしていくつかの遺伝子(Steve, M. et al., J. Clin. Oncology, 20:3165-3175, 2002; Sridlhar, R. et al., J. Clin. Oncology, 20:1932-1941, 2002)またはタンパク質(Goessl et al., Urology, 58:335-338, 2001; Zhou et al., Breast Cancer Res. Treat., 66:217-224, 2001;大韓民国特許公開番号2001-0061173)が報告されており、これらの中で、実際の診断に利用されている場合もある。既存に用いられている癌に対するマーカーのうち、臓器特異性の低いCEA、BFP、TPA、IAPの場合には感度が低下して偽陽性の恐れがある。これに対し、臓器特異性の高いAFP、PIVKA II、Esterase I、CA19−9、CA50、SPan−1、Antigen、CA15−3、BCA225などのマーカーの場合には、当初から標的臓器を目的に利用するときに限って有用であるという短所がある。
マイクロアレイ技術を用いて、病理学的・生理学的な状態に応じて異なる癌診断マーカー候補群を発見しながら診断学的な有効性のある遺伝子を発掘しようとしている(Liu, H.X. et al., Nat. Genet., 27:55-58, 2001; Wilson, C.A. et al., Oncogene, 14:1-16, 1997; Weissensteiner, T., Nucleic Acids Res., 26:687, 1998; Zolezzi, F. et al., Am. J. Med. Genet., 71:366-370, 1997; Mottes J.R. and Iverson, L.E., Neuron, 14:613-623, 1995; Crook, R. et al., Nat. Med., 4:452-455, 1998; Jiang, Z.H. and Wu, J.Y., Proc. Soc. Exp. Biol. Med., 220:64-72, 1999)。
しかしながら、上記の如き方法によって見出される癌診断マーカー候補群はほとんどがEST(Expressed Sequence Tag)からなるため、これらは一つのデータの特徴として定義されるだけであり、信頼を与えるべき特定の候補群を選別することや、これらがどの遺伝子由来のものであるかを把握することが決して容易ではないのが現状である。特に、ヒトゲノム遺伝子の解析を通じて知られている遺伝子の数とこれから多くのアイソフォーム(isoform)あるいは変異体が発現されて生物学的な機能とその複雑性を有することが見出された。このため、ゲノム全体を通じて、変異体がどの遺伝子から、どのような環境において発現され、これらの機能が何であるかを究めることが今後の別の課題となっている。このような様々な変異体の存在は、異常な変異体の形成と癌の発生との関連の可能性を予測可能にする有効な根拠になりうる(Cartegni, L. et al., Nat. Rev. Genet., 3:285-298, 2002; Schweighoffer, F. et al., Pharmacogenomics, 1:187-197, 2000; Blencowe, B.J., Trends Biochem. Sci., 25:106-110, 2000; Cooper, T.A. and Mattox, W., Am. J. Hum. Genet., 61:259-266, 1997)。
また、本発明者らは、各種の癌を診断可能な新規な癌診断マーカーを開発するために長年に亘って研究を行い、その結果、癌細胞または癌組織の場合、G−CSF遺伝子の転写過程においてエクソン3領域の欠損が特異的に現れることを確認し、G−CSF mRNAまたはcDNA変異断片またはタンパク質を癌診断マーカーとして用いて癌を診断する方法に関する特許を出願している(WO2003/027288A1)。前記特許の癌診断マーカーとしてG−CSF遺伝子断片を利用するマイクロアレイにおいては、生物学的な試料中からエクソン3領域の欠失されたG−CSF遺伝子断片を検出するために、G−CSF遺伝子のエクソン3DNA断片と共にG−CSF遺伝子のエクソン1、2、4及び5のDNA断片のうちいずれか1以上の断片を核酸プローブとして使用する。本発明者らにより開発されたG−CSF遺伝子のエクソン3領域の欠失の有無を測定することを特徴とする癌診断方法は、遺伝子変異体の特徴を応用して癌を診断するための技術の一つであり、ほとんどの癌においてその変異体が現れるため、有用な癌診断マーカーの候補に属するものであると言える。
一方、G−CSF遺伝子をはじめとして、遺伝子は、一般に、それから各種のアイソフォームと変異体が生成可能であるため、G−CSF遺伝子のエクソン3領域の欠失の有無を測定するに当たって、マイクロアレイの上に固定されたプローブ断片は高い感度を示さなければならない。また、癌細胞または癌組織の場合、変異されたG−CSF遺伝子と共に正常的なG−CSF遺伝子またはこれらの断片が存在する可能性があるため、G−CSF遺伝子のエクソン3領域の欠失の有無だけを測定して癌を診断することは信頼度や感度が低下する恐れがあり、さらに、癌の進行状態を把握する上で問題となる。
そこで、本発明者らは、エクソン3領域の欠失したG−CSF遺伝子断片を検出するための核酸プローブとして、前記要件を充足し、あるいは、問題点を解消可能な新規な核酸プローブを開発するために鋭意努力した結果、G−CSF遺伝子のエクソン2領域の3’末端とエクソン4領域の5’末端が連結された塩基配列を含むオリゴヌクレオチドを癌診断マーカーとして使用する場合、癌診断に際して他のプローブに比べて大幅に増大された高い感度を示すということを確認すると共に、G−CSF遺伝子のエクソン2領域の3’末端とエクソン4領域の5’末端が連結された塩基配列を含むオリゴヌクレオチドを、G−CSF遺伝子のエクソン3領域の一部または全部の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと共に癌診断マーカーとして併用することにより、癌の進行度を明確に診断することができるということを確認し、本発明を完成するに至った。
従って、本発明の主たる目的は、顆粒性白血球のコロニー刺激因子G−CSF遺伝子のエクソン2領域の3’末端とエクソン4領域の5’末端が連結されたスプライス接合部位の塩基配列を必須に含有する癌診断用のオリゴヌクレオチドを提供することにある。
本発明の他の目的は、前記オリゴヌクレオチドを含有する癌診断用のキット及び前記オリゴヌクレオチドを用いた癌診断方法を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明は、顆粒性白血球のコロニー刺激因子G−CSF遺伝子のエクソン2領域の3’末端とエクソン4領域の5’末端が連結されたスプライス接合部位の塩基配列を必須に含有する癌診断用のオリゴヌクレオチドを提供する。
本発明において、前記オリゴヌクレオチドは、配列番号1または配列番号2の塩基配列を必須に含有することを特徴とする。
また、本発明は、前記オリゴヌクレオチドを含有する癌診断用のキットを提供する。
本発明において、前記キットは、G−CSF遺伝子のエクソン3領域の一部または全部の塩基配列を必須に含有するオリゴヌクレオチドをさらに含有する癌の進行度評価用のものであることを特徴とする。
さらに、本発明は、(a)哺乳動物の生物学的な試料からG−CSF核酸試料を得るステップと、(b)得られたG−CSF核酸試料を増幅させるステップと、(c)増幅された試料からG−CSF遺伝子のエクソン2領域の3’末端とエクソン4領域の5’末端が連結されたスプライス接合部位の塩基配列を含有するオリゴヌクレオチドの有無を確認するステップと、を含む癌診断方法を提供する。
本発明において、前記ステップ(c)は、増幅された試料からG−CSF遺伝子のエクソン2領域の3’末端とエクソン4領域の5’末端が連結されたスプライス接合部位の塩基配列の有無、及び、エクソン3領域の一部または全部の塩基配列を含有するオリゴヌクレオチドの有無を同時に確認するステップを含むことを特徴とする。
本発明の他の特徴及び実施態様は、下記の詳細な説明及び特許請求の範囲からなお一層明らかになる。
本発明は、転写後の過程において生じるG−CSF遺伝子の変異断片であって、エクソン2領域の3’末端とエクソン4領域の5’末端が連結されたスプライス接合部位の塩基配列を必須に含有するオリゴヌクレオチドをプローブとして用いてマイクロアレイを含む遺伝子的な分析方法により癌を診断し、及び/または癌の進行度を評価する方法に関する。すなわち、本発明は、G−CSF遺伝子においてエクソン3領域が欠失されてエクソン2領域とエクソン4領域が結合されたG−CSF遺伝子の変異体を癌診断マーカーとして用いて癌を診断し、及び/または癌の進行度を評価する方法に関する。
正常的な人体において、G−CSF遺伝子は、スプライシング過程中にエクソン1〜エクソン5が正常的に連結されるが、癌または癌が進行中の細胞においてはエクソン3が欠失された変異体の形態でスプライシングが起こり、エクソン3の欠失されたmRNAが生成される(図1)。人体由来のG−CSF遺伝子のエクソン2領域は2種類のタイプ(A型、B型)を有しており、このため、エクソン2領域とエクソン3領域との接合部位も2種類のタイプを有することになる(図2)。また、G−CSF遺伝子のスプライシング結果、正常細胞においてはエクソン1〜エクソン5をいずれも有するG−CSFmRNAが分離され、癌細胞においてはエクソン3の欠失されたmRNAが分離され、このようなmRNAの違いはG−CSF遺伝子に特異的なプライマーを用いたPCRによっても確認することができる(図3)。
癌細胞において特異的に発現される(または、抑制される)遺伝子及び遺伝的な突然変異などを確認する分子生物学的な方法としては、例えば、PCR(Bottema, C.D., Mutat. Res., 233:93-102, 1993; Nelson, D.L., Curr. Opin. Genet. Dev., 1:62-68, 1991; Pourzand, C. and Cerutti, P., Mutat. Res., 288: 113-121, 1993; Holland, P.M. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA,8:7276-7280, 1991)、1本鎖高次構造多型(SSCP、Single-Stranded Conformation Polymorphism)(Glavac, D., Hum. Mutat., 19:384-394, 2002; Strippoli, P. et al., Int. J. Mol. Med., 8:567-572, 2001)、DNA塩基配列の分析(Sanger, F. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA,74:6463-5467, 1997)、タンパク質切断テスト(PTT、Protein Truncation Test) (Hardy, C.A., Methods Mol. Biol., 187:87-108, 2002)、自動塩基配列分析法(Boutin, P. et al., Hum. Mutat., 15(2):201-203, 2000)、LOH(loss of heterozygosity)解析(Yang, Q. et al., Clin. Cancer Res., 8:2890-2893, 2002)、MSI(microsatellite instability)解析(Furlan, D. et al., J. Pathol., 197:603-609, 2002)、MALDI−TOFを用いた遺伝子検査(Leushner J., Expert. Rev. Mol. Dign., 1:11-18, 2001)、ハイブリダイゼーションによる遺伝子検査(Wetmur, J.G., Critical Reviews in Biochem. Mol. Biol., 26:227-259, 1991)、DNAチップによる遺伝子検査(Goessl et al., Urology, 58:335-338, 2001; Zhou et al., Brest Cancer Res. Treat., 66:217-224, 2001;大韓民国特許公開番号2001-0061173)、タンパク質チップを用いた検査(Pharmacogenomics, 1:385-393, 2000)などがある。このため、当業者は、上述した方法をはじめとする公知の分子生物学的な方法を適切に応用してG−CSFの転写後過程において起こる本発明による特異変異体のスプライス接合部位の有無を容易に確認できることが理解できるであろう。本発明者らは、このような変異体の有無を確認可能な最も実効性あるプローブは、スプライシング接合部位の有無を確認可能なプローブ候補群だけであることを見出し、それによって、その有無を確認可能な診断方法を発明するに至った。しかしながら、利用可能な前記多くの方法のうち、本発明によるG−CSFの転写後過程において生じる特異変異体の確認はPCR、ハイブリダイゼーション、DNAチップを利用することが好ましく、且つ、容易である。
本発明による癌診断のために先行されるべきことは、被検組織または細胞からG−CSF遺伝子及びこの変異体を獲得することである。通常、組織または細胞から分離される特定の遺伝子試料は微量であるため、PCR反応により増幅されなければならず、このような増幅のためにはプライマーが考案されなければならない。本発明において、G−CSF遺伝子のエクソン2領域とエクソン4領域のスプライス接合部位の全体またはその一部を増幅するために、このようなスプライス接合部位の有無を検出するためのプライマーであるDNA核酸断片が必要となる。すなわち、本発明において、プライマーとは、エクソン2領域とエクソン4領域のスプライス接合部位の一部または全体を含むG−CSF遺伝子の核酸配列を増幅可能なオリゴヌクレオチドを意味する。このようなプライマーを考案することは当業者により容易に行うことができる。このため、前記スプライス接合部位の一部または全体を含むG−CSF遺伝子変異体を増幅するために、当業者がデザイン可能な全てのプライマーが本発明のプライマー範囲に含まれる。
本発明の一様態は、G−CSF遺伝子のエクソン2領域の3’末端とエクソン4領域の5’末端が連結されたスプライス接合部位を含むDNA断片が付着されており、癌を診断するのに有用な遺伝子マイクロアレイまたはメンブレンを含む。遺伝子マイクロアレイは、一般に、特定の試薬により処理されたスライドガラスの表面上にオリゴヌクレオチドプローブを付着してハイブリダイゼーション法によりプローブに相補的な遺伝子を検出するのに利用可能なものであり、DNAチップなどがここに含まれる。メンブレンは、ハイブリダイゼーションにおいてスライドガラスの代わりに使用可能なものであり、特に限定されず、DNA断片を固定化可能なものであれば、いずれも使用可能である。好ましくは、ナイロンまたはニトロセルロースメンブレンが使用可能である。
スライドガラス、メンブレンなどの表面にプローブを固定することは、この分野における通常の技術により容易に行うことができる。また、標的の準備及びハイブリダイゼーションとストリッピングも通常の技術により行うことができる。
本発明の他の特定の様態は、G−CSF遺伝子のエクソン2領域の3’末端とエクソン4領域の5’末端が連結されたスプライス接合部位を含むDNA断片と診断学的に許容される通常の担体を含む癌診断用の組成物を含む。本発明のさらに他の特定の様態は、G−CSF遺伝子のエクソン2領域の3’末端とエクソン4領域の5’末端が連結されたスプライス接合部位を含むDNA断片とこれを用いたDNAマイクロアレイを含む診断キットを含む。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。但し、これらの実施例は単に本発明を一層詳しく説明するためのものであり、本発明の要旨により本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではないということは、当業界における通常の知識を有する者にとって明らかである。
<実施例1:組織(細胞)別サンプルの調製>
本発明の実施例において用いた正常細胞と癌細胞は、下記の表1に示す。表1中、下線のサンプルは正常と同様な結果を示す場合である。
本発明の実施例において用いた正常細胞と癌細胞は、下記の表1に示す。表1中、下線のサンプルは正常と同様な結果を示す場合である。
前記癌細胞株はいずれも表1に記載の機関から自由に分譲されて利用可能なものである。延世大学医科大学癌転移研究センターから分譲された癌細胞株の場合には、下記の方法により製作されている。進行性癌患者から無菌的に腹水を得て細胞のクランピングを防ぐためにヘパリン10unit/mlを添加後、400xgにおいて10分間遠心分離した。遠心分離して得られた沈殿細胞を25cm2フラスコに培養した。赤血球が多量含有されている場合には、フィコールパーク(Ficoll-Hypaque)により800xgにおいて比重遠心分離後、単核球層だけを得て5%CO2、37℃の条件下において培養した。培養一日後(16−18時間後)、培養液をさらに400xgにおいて10分間遠心分離し、沈殿細胞を他の25cm2フラスコに移して培養した。培養液中の細胞状態を位相差顕微鏡により観察しながら週2−3回新たな培地に入れ替えた。細胞の観察に際し、癌細胞群落が確認されれば、酵素であるトリプシン−EDTAを処理するか、あるいは、コロニーを得るか、あるいは、スクレーパーを用いて癌細胞群落だけを得るか、あるいは、浮遊液に存在する癌細胞をさらに遠心分離して正常細胞などを除去して純粋な癌細胞だけを得てパッセージ別に凍結して保管した。
ヒト白血球細胞の場合には、下記の方法により得ることができる。血液8mLを50mLのコーニングチューブに移してRBC溶解緩衝溶液24mLを添加して間歇的に混和しながら4℃において10分間静置した。4℃、2、000rpmにおいて12分間遠心分離して白血球ペレットを確認した後、上澄液を除去した。もし、RBC(赤血球)が残っている場合には、上記の過程を繰り返し行った。最終的に得られた白血球ペレットにトリゾールを添加してRNAを分離した。
<実施例2:細胞からのmRNA及びcDNAの調製>
各癌細胞株、正常細胞及び正常組織からの総RNAはTRI−試薬(Invitrogen、アメリカ)を用いて分離した。液体窒素を用いて急速凍結した組織サンプルにトリゾール試薬1mLを添加し、常温において5分間反応させた。ここに0.2mLクロロホルムを添加し、15秒中にボルテックスした後、常温において5分間反応させた。前記サンプルを12、000xg、4℃において15分間遠心分離した後、水溶性層を新たなチューブに移し、イソプロピルアルコールを同量添加し、4℃において10分間遠心分離した後、ペレットが外れないように上澄液を除去し、70%エタノールにより75、000xg、4℃において5分間沈殿物を洗浄した。RNAペレットをよく乾燥した後、RNaseフリーの蒸留水により溶解させた。
各癌細胞株、正常細胞及び正常組織からの総RNAはTRI−試薬(Invitrogen、アメリカ)を用いて分離した。液体窒素を用いて急速凍結した組織サンプルにトリゾール試薬1mLを添加し、常温において5分間反応させた。ここに0.2mLクロロホルムを添加し、15秒中にボルテックスした後、常温において5分間反応させた。前記サンプルを12、000xg、4℃において15分間遠心分離した後、水溶性層を新たなチューブに移し、イソプロピルアルコールを同量添加し、4℃において10分間遠心分離した後、ペレットが外れないように上澄液を除去し、70%エタノールにより75、000xg、4℃において5分間沈殿物を洗浄した。RNAペレットをよく乾燥した後、RNaseフリーの蒸留水により溶解させた。
それぞれの細胞株及びヒト組織由来の癌細胞及び正常細胞から得たmRNAからcDNAを合成するためにRT−PCRを行った。総RNA2μgとオリゴ(dT)16−プライマー1μLにRNaseフリーの蒸留水を添加して最終的な体積が11μLとなるようにした後、90℃において5分間反応させ、アイスにより素早く冷却した。他のチューブに反応緩衝溶液4μL、10mMdNTPs2μL、RNAaseインヒビター1μL、RTase2μLを混合した後、この混合物をチューブに8.5μLずつ分注し、室温において10分間反応させた。前記反応物を42℃において90分間反応させ、95℃のものに移して15分間さらに反応させた後、素早くアイスにより冷却させて反応を終了し、それぞれのcDNAを調製した。
<実施例3:癌診断のためのプローブの実効性検査のためのDNAチップ製作1>
癌に特異的な変異体の特徴を用いた診断方法に使用可能なプローブ候補を製作し、これらの実効性を検査した。プローブは20個のオリゴヌクレオチドでG−CSFのエクソン2領域において1個、エクソン3領域において重なり合わないように4個、エクソン4領域において1個ずつデザインした。G−CSFのエクソン2部分は選択的スプライシングにより2種類(ヒトG−CSFa、ヒトG−CSFb)を有しているため(Tshuchiya, M. et al., EMBO J., 5:575-581, 1986)、エクソン2領域においてデザインしたプローブはそれぞれ2種類にデザインした。これらの塩基配列は、表2に示す。
癌に特異的な変異体の特徴を用いた診断方法に使用可能なプローブ候補を製作し、これらの実効性を検査した。プローブは20個のオリゴヌクレオチドでG−CSFのエクソン2領域において1個、エクソン3領域において重なり合わないように4個、エクソン4領域において1個ずつデザインした。G−CSFのエクソン2部分は選択的スプライシングにより2種類(ヒトG−CSFa、ヒトG−CSFb)を有しているため(Tshuchiya, M. et al., EMBO J., 5:575-581, 1986)、エクソン2領域においてデザインしたプローブはそれぞれ2種類にデザインした。これらの塩基配列は、表2に示す。
DNAプローブを固定化するために全てのDNA断片プローブを合成するとき、3’位置にアミノリンカーカラム(Cruachem、Glasgrow、Scotland)を用いてアミン基を有する塩基を挿入し、スライドガラスはアルデヒド基によりコーティングされているものを購入(CEL Associates, Inc., Huston Taxas, USA)した。
プローブを3xSSC(0.45M NaCl、15mM C6H5Na3O7、pH7.0)緩衝溶液に溶解させた状態で、本発明者自身で製作したマイクロアレイヤーを用いて(Yoon et al., J. Microbiol. Biotechnol., 10:21-26, 2000)DNAプローブを集積した後、55%程度の湿度が維持される条件下において1時間以上化学反応を誘導し、6時間以上放置してDNAプローブを固定化した(図4)。プローブの濃度は100μMにし、全体のプローブを180μmの間隔をおいて順番に集積化してマイクロアレイを製作した。プローブのアミン基とガラス板上のアルデヒドとの間の反応が円滑に行われて固定化が上手く行われているかを確認するために、サイブログリーンII(Molecular Probes, Inc., Leiden, Netherlands)により染色して確認した。
<実施例4:特異変異体検出標的サンプルの製作>
実施例2において、それぞれの細胞株から抽出したmRNAあるいはcDNAを鋳型としてアシンメトリックPCR法を行った。非対称増幅方法のためのPCR反応は、下記の条件下において行った。1回目の変性は94℃において5分間、2回目の変性は94℃において1分間行った。アニーリングは50〜56℃において1分、伸長は72℃において30秒間行い、これを30回繰り返し行った。この後、72℃において5分間最後の伸長を1回行った。非対称PCR反応に用いられたプライマー対は、下記の通りである。リバースプライマーとしては、検出のためにFITCにより標識されているプライマーを用いた。
実施例2において、それぞれの細胞株から抽出したmRNAあるいはcDNAを鋳型としてアシンメトリックPCR法を行った。非対称増幅方法のためのPCR反応は、下記の条件下において行った。1回目の変性は94℃において5分間、2回目の変性は94℃において1分間行った。アニーリングは50〜56℃において1分、伸長は72℃において30秒間行い、これを30回繰り返し行った。この後、72℃において5分間最後の伸長を1回行った。非対称PCR反応に用いられたプライマー対は、下記の通りである。リバースプライマーとしては、検出のためにFITCにより標識されているプライマーを用いた。
フォワードプライマー:5’−ACCCCCCTGGGCCCTGCC−3’(配列番号13)
リバースプライマー:FITC−5’−CTGCTGCCAGATGGTGGT−3’(配列番号14)
リバースプライマー:FITC−5’−CTGCTGCCAGATGGTGGT−3’(配列番号14)
PCR反応結果として生成された産物は、アガロースゲル電気泳動法により確認した。各PCR産物において、二本鎖DNA断片及び1本鎖DNA断片が同時に合成されていることを確認した(図3)。ハイブリダイゼーション緩衝溶液(6xSSPE、20%(v/v)ホルムアミド)にアシンメトリックPCR法により増幅させた遺伝子を15μL程度入れて合計の体積が200μLになるように製造した。製造された溶液をプローブが固定されているガラス板(癌診断DNAチップ1、図4)の上に分注した後、プローブ−クリップ・プレス−シール培養室(Sigma Co., St. Louis, MO.)により覆った後、30℃の恒温震とう培養器において6時間かけて反応させて相補的な結合を誘導した。時間が経過した後、3xSSPE(0.45M NaCl、15mM C6H5Na3O7、pH7.0)、2xSSPE(0.3M NaCl、10mM C6H5Na3O7、pH7.0)、1xSSPE(0.15M NaCl、5mM C6H5Na3O7、pH7.0)の順にそれぞれ5分ずつ洗浄した。
<実施例5:癌診断DNAチップ1のテスト結果>
実施例3において製作されたDNAチップにアシンメトリックPCR法により増幅された標的産物を適用した後、スキャンアレイ5000(GSI Lumonics Inc., Bedford,MA., USA)を用いて検索した。プローブに対する結果を予測するために、先ず、G−CSFエクソン3領域の欠失されたプラスミドと非欠失のプラスミドをもって、G−CSF部分をアシンメトリックPCR法により増幅した後、DNAチップに適用して調べてみた。プラスミドに含まれているG−CSF遺伝子の欠失されたものと非欠失のものの塩基配列はそれぞれ配列番号26及び27と同様である。
実施例3において製作されたDNAチップにアシンメトリックPCR法により増幅された標的産物を適用した後、スキャンアレイ5000(GSI Lumonics Inc., Bedford,MA., USA)を用いて検索した。プローブに対する結果を予測するために、先ず、G−CSFエクソン3領域の欠失されたプラスミドと非欠失のプラスミドをもって、G−CSF部分をアシンメトリックPCR法により増幅した後、DNAチップに適用して調べてみた。プラスミドに含まれているG−CSF遺伝子の欠失されたものと非欠失のものの塩基配列はそれぞれ配列番号26及び27と同様である。
その結果、図5に示すように、欠失された部位においてはE2E4aのプローブにおいてのみシグナルが現れることを分かる。このプラスミドは、A型のエクソン2を有している(図1)。これに対し、非欠失のプラスミドの場合において、E2E3aのプローブとエクソン3領域のプローブにおいてシグナルが現れることを確認することができた。もし、欠失されたタイプと非欠失のタイプが混在している状態であれば、これらの2種類の結果が混合された結果を予測することができる。図6は、細胞別の標的DNAを図4のDNAチップに適用してスキャンアレイ5000により検出された結果である。図6に示すように、特異体だけが有しうるエクソン2領域とエクソン4領域により製作されたプローブを用いた場合に限って、各プローブ別に癌細胞を区別することができた。
<実施例6:癌診断のためのプローブの実効性検査のためのDNAチップ2の製作及びテスト結果>
E2E4の癌診断への実効性をテストするために、新規なタイプのDNAチップ2を製作した(図7)。判読を容易にするために、2種類のエクソンのタイプを両方とも併せ持たせた(図7のE2E4はA型とB型の2種類のタイプをいずれも含む、E2E3はE2E3aとE2E3bのA型とB型の2種類のタイプをいずれも含む)。プローブの固定は実施例3において述べた固定化方法などの方法により行い、実施例4において用意された標的サンプルをハイブリダイゼーションさせた結果、図8に示すように、製作されたDNAチップにより癌の有無を容易に診断可能なシステムの開発に、このエクソン2領域とエクソン4領域により製作されたプローブの方が最も有力であることが分かった。シグナルを高めるために、スプライス接合部位の塩基配列を基に下記表3の塩基配列のプローブに適用した。
E2E4の癌診断への実効性をテストするために、新規なタイプのDNAチップ2を製作した(図7)。判読を容易にするために、2種類のエクソンのタイプを両方とも併せ持たせた(図7のE2E4はA型とB型の2種類のタイプをいずれも含む、E2E3はE2E3aとE2E3bのA型とB型の2種類のタイプをいずれも含む)。プローブの固定は実施例3において述べた固定化方法などの方法により行い、実施例4において用意された標的サンプルをハイブリダイゼーションさせた結果、図8に示すように、製作されたDNAチップにより癌の有無を容易に診断可能なシステムの開発に、このエクソン2領域とエクソン4領域により製作されたプローブの方が最も有力であることが分かった。シグナルを高めるために、スプライス接合部位の塩基配列を基に下記表3の塩基配列のプローブに適用した。
<実施例7:癌診断のためのプローブの実効性検査のためのDNAチップ3の製作>
エクソン2領域とエクソン4領域により製作されたプローブが最も有力であることを確認するために、各領域別に塩基配列別にプローブをデザインしてDNAチップ3を新規に製作した(図9)。各プローブのG−CSF遺伝子内における大まかな位置は図10の通りであり、各プローブの塩基配列は下記表4の通りである。プローブは、実施例3において述べた固定化方法と同様の方法により固定した。
エクソン2領域とエクソン4領域により製作されたプローブが最も有力であることを確認するために、各領域別に塩基配列別にプローブをデザインしてDNAチップ3を新規に製作した(図9)。各プローブのG−CSF遺伝子内における大まかな位置は図10の通りであり、各プローブの塩基配列は下記表4の通りである。プローブは、実施例3において述べた固定化方法と同様の方法により固定した。
<実施例8:癌診断のためのプローブの実効性検査のためのDNAチップ3のテスト>
実施例7において製作されたDNAチップ3(図9)に実施例4において述べたアシンメトリックPCR法により増幅された標的産物を適用した後、スキャンアレイ5000(GSI Lumonics Inc., Bedford, MA.)を用いて検索した。プローブに対する結果を予測するために、先ず、G−CSFエクソン3部位が欠失されたプラスミドと非欠失のプラスミドをもってG−CSF部分をアシンメトリックPCR法により増幅した後、DNAチップに適用して調べてみた。
実施例7において製作されたDNAチップ3(図9)に実施例4において述べたアシンメトリックPCR法により増幅された標的産物を適用した後、スキャンアレイ5000(GSI Lumonics Inc., Bedford, MA.)を用いて検索した。プローブに対する結果を予測するために、先ず、G−CSFエクソン3部位が欠失されたプラスミドと非欠失のプラスミドをもってG−CSF部分をアシンメトリックPCR法により増幅した後、DNAチップに適用して調べてみた。
図11は、各プローブの結果を適用された生物学的な試料別に示す図である。左側の表において、緑色により表示された試料は正常として分類された試料の結果であり、中間の赤色により表示された試料は癌として分類された試料の結果であり、右側のものはこれらの試料の結果を一緒に解析して癌診断マーカーの最終候補群に対する結果を示すものである。表の各欄において示す黄色の度合いは、シグナルの有無及び強度を示し、右側の表の欄に示す赤色は癌を判別可能な実効性を有する強力なプローブ候補群を示す。
図11に示すように、各エクソン領域に対してデザインされたプローブ候補群のうち、癌を判別可能な有力なプローブはエクソン2領域とエクソン4領域により製作されたプローブであり、ここで、A型に対するプローブが癌においてさらに上手く現われ、配列番号4と配列番号1が同時に現われる場合、これは、A型(図1)のエクソン2を有する癌特異変異体を有していると解釈することができる。同様に、配列番号5と配列番号2が同時に現われる場合、これは、B型(図1)のエクソン2を有する癌特異変異体を有していると解釈することができる。
これに対し、正常細胞を区別可能な有力な候補群は、エクソン3領域のプローブ(塩基配列8)であると言えるが、このプローブが適用された癌試料のうち、ほとんどの試料にシグナルを示しているため、このプローブの有無をもって正常試料と癌試料を判別することは不可能である。なお、エクソン3領域の他の部位のプローブの場合には、正常試料と癌試料の両方においてシグナルを示さないため、これらによって正常試料と癌試料を判断することは不可能である。
A型のエクソン2領域を有するプラスミドを鋳型として標的サンプルを実施例4における方法と同様に製作してDNAチップ3(図9)に適用した結果、図12に示すように、E2E4aプローブはG−CSF遺伝子のエクソン3が欠失されたプラスミドサンプルにおいてのみシグナルが現われた。プラスミドに含まれているG−CSF遺伝子の欠失されたものと非欠失のものの塩基配列はそれぞれ配列番号26及び27と同様である。
図13は、各試料別の標的DNAを図11のDNAチップ3に適用してスキャンアレイ5000により検出した結果である。図13から明らかなように、各プローブ別に癌細胞を区別可能な唯一の根拠であるエクソン2領域とエクソン4領域のスプライス接合部位により製作されたプローブの有無により癌有無を確認することができる。赤い円により表示された個所が、本発明者らにより実効性が確認された癌診断マーカーとなる。
<実施例9:正常及び患者血液または組織からのRNAの抽出>
各癌細胞株、正常血液及び正常組織から、総RNAは、TRI−試薬(GIBCO−BRL、アメリカ)を用いて分離した。血液の場合、血液用TRI−LS試薬(GIBCO−CRL、アメリカ)を用いて分離した。血液:LS試薬を1:3の割合にて添加した。場合によっては、血液サンプルを予め1:1に希釈した後に、試薬を1:3の割合にて添加することもできる。血液サンプル(または、血液希釈サンプル)0.25mlに対してTRIZOL LS試薬0.75mlを添加し、プロトコルによってRNAを抽出することができる。組織の場合、液体窒素を用いて急速凍結させて砕いた組織サンプルにトリゾール試薬1mLを添加し、プロトコルによってRNAを抽出することができる。
各癌細胞株、正常血液及び正常組織から、総RNAは、TRI−試薬(GIBCO−BRL、アメリカ)を用いて分離した。血液の場合、血液用TRI−LS試薬(GIBCO−CRL、アメリカ)を用いて分離した。血液:LS試薬を1:3の割合にて添加した。場合によっては、血液サンプルを予め1:1に希釈した後に、試薬を1:3の割合にて添加することもできる。血液サンプル(または、血液希釈サンプル)0.25mlに対してTRIZOL LS試薬0.75mlを添加し、プロトコルによってRNAを抽出することができる。組織の場合、液体窒素を用いて急速凍結させて砕いた組織サンプルにトリゾール試薬1mLを添加し、プロトコルによってRNAを抽出することができる。
1mLのトリゾール試薬混合サンプルは常温において5分間反応させた。ここに0.2mLクロロホルムを添加した後、15秒かけて激しく震とうさせた後、常温において5分間放置した。前記サンプルを12000xg、4℃において15分間遠心分離した後、水溶性層を新たなチューブに移し、イソプロピルアルコールを同量添加し、4℃において10分間反応させた。反応液を12000xg、4℃において10分間遠心分離した後、沈殿物が外れないように上澄液を捨て、70%エタノールにより7500xg、4℃において5分間遠心分離を行い、沈殿物を洗浄した。RNAをよく乾燥した後、RNaseフリーの蒸留水により溶解した。
<実施例10:RNAからG−CSF遺伝子の増幅>
それぞれの血液または組織由来の癌細胞及び正常細胞から得たmRNAからcDNAを合成し、G−CSF遺伝子の増幅のために逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応法(RT−PCR)を行った。総RNA1〜2μgとONE−STEP PCR premix(Intron Inc.,大韓民国)8μLに表5に記載の配列番号28及び29のプライマーを添加し、最終的な体積が20μLになるようにRNaseフリーの蒸留水を添加した後、表5に記載の条件下で増幅反応を行うことにより、RNAから直接増幅することができる。配列番号30及び31のプライマーを用いてGAPDHに対する増幅反応を行い、これをRNA増幅に対する対照群として用いた。
それぞれの血液または組織由来の癌細胞及び正常細胞から得たmRNAからcDNAを合成し、G−CSF遺伝子の増幅のために逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応法(RT−PCR)を行った。総RNA1〜2μgとONE−STEP PCR premix(Intron Inc.,大韓民国)8μLに表5に記載の配列番号28及び29のプライマーを添加し、最終的な体積が20μLになるようにRNaseフリーの蒸留水を添加した後、表5に記載の条件下で増幅反応を行うことにより、RNAから直接増幅することができる。配列番号30及び31のプライマーを用いてGAPDHに対する増幅反応を行い、これをRNA増幅に対する対照群として用いた。
50μLの全体反応体積を基準としたとき、ONE−STEP PCR技法(表2)により増幅された1次産物1−2μLを鋳型として用い、hG−CSFの増幅のためには配列番号32及び33のプライマーを用いるが、配列番号33には蛍光(Cy5あるいは他の種類の蛍光)が標識されたものを用いた。フォワードプライマー(配列番号32)とリバースプライマー(配列番号33)の添加割合を1:5から1:10へと変えて大差を置くアシンメトリックPCR法により2回目のPCRを行うことにより、最終的な増幅産物を得た。
GAPDHの場合にも同様に、リバースプライマー(配列番号31)を蛍光標識して上記の反応を行うことにより得ることができる。
<実施例11:実際の患者診断への適用のためのDNAチップの製作及びハイブリダイゼーションの結果>
それぞれのプローブ(E2E4a及びE2E4b)を50μMの濃度にて3XSSCスポッティング溶液に混合してDNAチップを製造した(図14)。図14中、青い四角形により表示された個所が、癌を示すプローブが位置する領域である。
それぞれのプローブ(E2E4a及びE2E4b)を50μMの濃度にて3XSSCスポッティング溶液に混合してDNAチップを製造した(図14)。図14中、青い四角形により表示された個所が、癌を示すプローブが位置する領域である。
前記DNAチップを用いて、実施例8と9に従い正常人及び患者から配列番号32及び33のプライマーを用いて増幅された産物に対するハイブリダイゼーションを行った(図15)。実験に対する対照群の確認のために、配列番号30及び31のプライマーを用いて増幅された産物を一緒にハイブリダイゼーションした。適用された患者はそれぞれの図面に示す。図15中、紫色の楕円は、癌を示すプローブにおけるシグナルを示すものである。
その結果、図15に示すように、本発明による癌診断用のDNAチップを患者診断に適用した結果、製作されたDNAチップ上において、本発明による癌診断用のプローブが癌診断マーカーとして優秀性を有していることを確認することができた。
以上述べたように、本発明は、G−CSF遺伝子のエクソン2領域の3’末端とエクソン4領域の5’末端が連結されたスプライス接合部位の塩基配列を必須に含有するオリゴヌクレオチド、前記オリゴヌクレオチドを含有する癌診断用のキット及び前記核酸分子を用いた癌診断方法を提供する効果がある。本発明によれば、G−CSFの遺伝子変異特性を用いて高速で且つ正確に癌を診断することができる。
以上、本発明の内容の特定の部分を詳述したが、当業界における通常の知識を有する者にとって、このような具体的な記述は単なる好適な実施様態に過ぎず、これにより本発明の範囲が制限されることはないという点は明らかであろう。よって、本発明の実質的な範囲は特許請求の範囲とこれらの等価物により定まると言えるであろう。
Claims (9)
- 顆粒性白血球のコロニー刺激因子G−CSF遺伝子のエクソン2領域の3’末端とエクソン4領域の5’末端が連結されたスプライス接合部位の塩基配列を必須に含有する癌診断用のオリゴヌクレオチド。
- 配列番号1または配列番号2の塩基配列を必須に含有する請求項1に記載の癌診断用のオリゴヌクレオチド。
- 請求項1または請求項2に記載のオリゴヌクレオチドを含有する癌診断用のキット。
- G−CSF遺伝子のエクソン3領域の一部または全部の塩基配列を必須に含有するオリゴヌクレオチドをさらに含有する、癌の進行度評価用の請求項3に記載のキット。
- 前記オリゴヌクレオチドは配列番号1または配列番号2の塩基配列を必須に含有することを特徴とする請求項4に記載のキット。
- 前記キットはマイクロアレイであることを特徴とする請求項3に記載の癌診断用のキット。
- 以下のステップを含む癌診断方法:
(a)哺乳動物の生物学的な試料からG−CSF核酸試料を得るステップと、
(b)得られたG−CSF核酸試料を増幅させるステップと、
(c)増幅された試料からG−CSF遺伝子のエクソン2領域の3’末端とエクソン4領域の5’末端が連結されたスプライス接合部位の塩基配列を含有するオリゴヌクレオチドの有無を確認するステップ。 - 前記ステップ(c)は、増幅された試料からG−CSF遺伝子のエクソン2領域の3’末端とエクソン4領域の5’末端とが連結されたスプライス接合部位の塩基配列の有無、及び、エクソン3領域の一部または全部の塩基配列を含有するオリゴヌクレオチドの有無を同時に確認するステップを含むことを特徴とする請求項7に記載の癌診断方法。
- 前記オリゴヌクレオチドは配列番号1または配列番号2の塩基配列を必須に含有する請求項7または請求項8に記載の癌診断方法。
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