JP2009521239A - エステラーゼ活性を有する新規なポリペプチドおよび組換えエステラーゼ、並びに、それらの使用 - Google Patents

エステラーゼ活性を有する新規なポリペプチドおよび組換えエステラーゼ、並びに、それらの使用 Download PDF

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Abstract

配列番号1のアミノ酸配列を示す、エステラーゼ活性を有するポリペプチドおよび組換えタンパク質、並びにその使用。
【選択図】なし

Description

発明の詳細な説明
本発明は、エステラーゼ活性、特に2−アルキル−5−ハロペンタ−4−エンカルボキシルエステラーゼ活性を有するポリペプチド、およびエステラーゼ活性を有する酵素的に活性な組換えタンパク質、並びに、ラセミ化合物2−アルキル−5−ハロペンタ−4−エンカルボキシルエステルエナンチオマー混合物を分解するための、それらの使用に関する。
エナンチオマー的に濃縮された2−アルキル−5−ハロペンタ−4−エンカルボン酸およびそのエステルは、例えば、レニン抑制特性を有し、製剤上、降圧剤として使用され得るデルタ−アミノ−ガンマ−ヒドロキシ−オメガ−アリールアルカンカルボキサミドなどの医薬品を製造する際の重要な中間体である。
エステラーゼは、一般に、ラセミ化合物の分解および非対称化に使用される。
しかしながら、キラル化合物の製造に適したエステラーゼとして商業的に入手可能なものは、非常に少ない。
実験室規模では、ブタの肝臓由来のエステラーゼ抽出物の使用が知られている。ブタ肝臓エステラーゼ(PLE)は、古くに、天然ソースから分離され、その活性も以前から知られている(シモンズ,J.P.(Simonds,J.P.)(1919年)アメリカン・ジャーナル・オブ・フィジオロジー(Amer.J.Physiol.)48、141頁;バーマン,E.(Bamann,E.)ら(1934年)ホッペ−ザイラーズ,Z.(Hoppe−Seyler Z.)229、15頁;ファルコナー,J.S.(Falconer,J.S.)およびテーラー,D.B.(Taylor,D.B.)(1946年)バイオケミカル・ジャーナル(Biochem.J.)40、831−834頁)。
PLEの特性を明らかにするために、種々の研究も既に行われている(ヘイマン,E.(Heymann,E.)およびユンゲ,W.(Junge,W.)(1979年)ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(Eur.J.Biochem.)95、509−518頁;レーナー,R.(Lehner,R.)およびベルガー,T.(Verger,T.)(1997年)バイオケミストリー(Biochemistry)36、1861−1868頁)。さらに、例えば国際公開第01/09079号パンフレットにおいて、ブタ肝臓由来のエステラーゼ抽出物が、メチル−5−クロロ−2−(1−メチルエチル)−4−ペンテノアートの(R)エナンチオマーを選択的に加水分解できることを示すことも可能となっている。
しかしながら、そのようなブタの肝臓などの天然ソースからのエステラーゼ抽出物には欠点がある。
第1に、バッチ毎に品質が異なり、したがって、工業的プロセスの最適化が困難である。第2に、医薬品の製造に動物資源を使用することは、ウイルスやプリオンを常に排除できるとは限らないことから、望ましくない。
こうした理由から、標準化された品質を有する組換えブタ肝臓エステラーゼを、微生物中で生産することが求められている。
例えばフェブス・レター(FEBS Lett.)(1991年)、293、37−41頁に、推定エステラーゼ遺伝子のクローニングが記載されている。活性なブタ肝臓エステラーゼ酵素の最初の機能発現は、国際公開第02/48322号パンフレットで初めて報告された。国際公開第2004/055177号パンフレットには、国際公開第02/48322号パンフレットに記載の配列番号1(rPLE)の組換えブタ肝臓エステラーゼを部位特異的突然変異誘発法により再度組換えたエステラーゼの製造が記載されている。国際公開第2004/055177号パンフレット、および同じ発明者によって書かれたプロテイン・エンジニアリング(Protein Engineering)、16、1139−1145頁、2003年の論文から明らかなように、国際公開第02/48322号パンフレットのrPLE配列に対する修飾は、デイビッド(David)ら、(1998年)、ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(Eur.J.Biochem.)257、142−148頁に記載されている組換えブタ腸内エステラーゼ(PICE)が得られるように選択された。
ラセミ化合物2−アルキル−5−ハロペンタ−4−エンカルボキシルエステルの分解については、これらの論文のいずれにも記載されていない。
しかしながら、2−アルキル−5−ハロペンタ−4−エンカルボキシルエステルに対し所望の立体選択的活性を有し、かつ、バイオ技術により容易に製造することができるエステラーゼに対する要求が満たされていないため、これに対応する新規な組換えエステラーゼを提供することが本発明の目的であった。
フェブス・レター(FEBS Lett.)(1991年)、293、37−41頁および国際公開第02/48322号パンフレットに記載された公知のブタ肝臓エステラーゼ(PLE)の遺伝子を、ブタ肝臓由来のmRNAから出発するcDNAとして分離し、クローニングする試みの中で、公知のPLE配列に加えて、第2の新規なエステラーゼ配列を見出した。対応するタンパク質乃至エステラーゼ、すなわち公知のrPLEと新規の「代替」エステラーゼ(rAPLE)が製造される2つの配列の発現に続いて、意外にも、rAPLEのみがラセミ化合物2−アルキル−5−ハロペンタ−4−エンカルボキシルエステルを選択的に分解できることが明らかとなった。
したがって、本発明の目的は、アミノ酸配列が、公知のPLE配列と比べて、全548個のアミノ酸のうち、21個が異なる、新規なエステラーゼ活性を有するポリペプチド、および、新規な組換えエステラーゼ(rAPLE)によって、達成することができた。新規なrAPLEは、また、ブタ腸内カルボキシルエステラーゼ(PICE)とも、アミノ酸配列において、全548個のアミノ酸のうち、12個が異なる。しかしながら、PICEはブタの腸管に見出されるものである。
本発明は、したがって、配列番号1のアミノ酸配列を含む、エステラーゼ活性を有するポリペプチドに関する。
本発明は、さらに、配列番号1のアミノ酸配列を含む、エステラーゼ活性を有する新規な組換えタンパク質に関する。
本発明のポリペプチドおよび組換えrAPLEは、式(I)
Figure 2009521239

(式中、RはC〜Cのアルキル基であり、RはC〜Cのアルキルであり、Xは塩素、臭素またはヨウ素である)で示されるラセミ化合物2−アルキル−5−ハロペンタ−4−エンカルボキシルエステルを立体選択的に分解することができる。
エステラーゼ活性を有する本発明のポリペプチド、および、新規な組換えエステラーゼrAPLEは、上述したように、フェブス・レター(FEBS Lett.)(1991年)、293、37−41頁に開示されている公知の配列とは、全548個のアミノ酸のうち21個が異なり、デイビッド(David)ら、(1998年)ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(Eur.J.Biochem.)257、142−148頁に開示されている公知のPICEタンパク質とは、全548個のアミノ酸のうち、12個が異なる。
本発明の新規なrAPLEのタンパク質配列は、以下のアミノ酸の位置が、PLEタンパク質の公知の配列と異なる。
Figure 2009521239
本発明のタンパク質および新規な組換えrAPLEは、さらに、配列番号1に示す配列を修飾した配列の形態であってもよい。それは、例えば、α因子シグナル配列に由来するGluAlaGluAlaなどのように、配列のNまたはC末端でアミノ酸の置換、欠失または付加などの通常の修飾を行うことによって、あるいは、他のタンパク質と融合させることによって得ることができる。
本発明は、また、さらに、適切な活性、特に2−アルキル−5−ハロペンタ−4−エンカルボキシルエステルに対して適切な活性を有する本発明の酵素のタンパク質配列を修飾した突然変異タンパク質を含むものである。突然変異タンパク質は、例えば、本発明の酵素をコードするDNAを、公知の突然変異誘発技術(ランダム変異導入法、部位特異的突然変異誘発法、進化分子工学的手法、遺伝子シャッフル法など)により、そのDNAが本発明の酵素とアミノ酸が少なくとも1個異なる酵素をコードするように修飾し、その後、その修飾DNAを適当な宿主細胞中で発現させることによって、得ることができる。したがって、本発明は、また、前述の変異、欠失、伸張、融合によって得られ、所望のエステラーゼ活性を有する酵素をコードする、配列番号1で示されるDNA配列を修飾した配列を含むものである。
エステラーゼ活性、特に2−アルキル−5−ハロペンタ−4−エンカルボキシルエステラーゼ活性は、ここでは、式(I)で示されるラセミ化合物2−アルキル−5−ハロペンタ−4−エンカルボキシルエステルを分解する能力と定義される。
本発明のポリペプチドおよび組換えrAPLEは、以下に記載するように製造することができる。
まず、適当なキットを使用して、ブタの肝臓からmRNAを分離し、その後、mRNA抽出物をベースに逆転写によってcDNAを生産する。
その後、公知のブタ肝臓エステラーゼ遺伝子配列、GenBankアクセス番号X63323(マツシマ(Matsushima)ら、1991年)をベースとして特定のPCRプライマーを調製し、その後、増幅およびクローニングを行う。
これらの特定のプライマーは、
Figure 2009521239

である。
PLEタンパク質をコードする適切なヌクレオチド配列を含み、そしてプライマー中に必須のものとして存在するプライマー部分は、太字で示してある。
このプライマーの残りの配列部分には、例えば、制限エンドヌクレアーゼの開裂部位情報(イタリック体)、あるいは、発現に重要な配列要素が含まれる。この部分は、本発明のrAPLEを製造する際に変更してもよい。
その後、プライマー1および2を用い、既存技術のPCR法により増幅を行う。
このPCR生成物は、その後、適当な宿主生物の中で、コードされたrAPLEタンパク質の異種発現を行う発現構築体を、既存の方法により調製するために使用される。これには、PCR生成物を、最初に、プラスミドベクター中にクローニングしておくことが好ましい。
こうして得られた組換えプラスミドを、その後、適当な宿主、例えば、大腸菌(Escherichia coli)に形質転換する。その後、得られたいくつかのクローンの挿入部分の配列を決定する。
意外にも、その中に、異なる配列を有する2つの組換えクローン群が同定された。マツシマ(Matsushima)ら、(1991年)フェブス・レター(FEBS Lett.)293、37−41頁に記載のPLEの推定配列と100%同一のものと、配列番号2(APLE配列)に示すような、発現すると本発明の配列番号1のアミノ酸配列となる新規なヌクレオチド配列である。
本発明は、さらに、本発明のポリペプチドおよび組換えエステラーゼrAPLEをコードする核酸またはヌクレオチド配列に関する。
例えば、そのような核酸は、配列番号2で示されるヌクレオチド配列を有する。
本発明は、また、さらに、本発明のポリペプチドおよび組換えエステラーゼrAPLEをコードするヌクレオチド配列を含むか、または、配列番号2で示されるヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列に関する。
さらに、標準化された合成技術、例えば、自動DNA合成装置を使用して、本発明のエステラーゼをコードする、本発明の核酸配列に対応する、適当なオリゴヌクレオチドを調製することも可能である。
本発明のエステラーゼをコードする核酸配列が純粋に合成により調製されることは、それ故、そのような酵素は動物ソースから得ないので、薬剤またはその中間体の製造に使用するうえで、特に有利である。
その後、見出された2つの配列(PLEおよびAPLE配列)を発現させる。
公知のブタ肝臓エステラーゼ(PLE、Swiss−Prot ID Q29550)は、N末端シグナル配列およびC末端ERリテンションシグナルである最後の4個のアミノ酸HAELを含む。
公知のPLEおよび新規なAPLEを発現させるために、配列を適当な発現系に導入するベクターを構築する。その後、これらの発現構築体を適切な宿主細胞に形質転換する。
適切な宿主細胞は、ここでは、例えば、微生物、動物細胞糸および植物である。
原核微生物および真核微生物のいずれも使用することができる。好ましい原核宿主(細菌)は、大腸菌(Escherichia coli)およびバチルス(Bacillu)属(例えば、B.スブチリス(B.subtilis)、B.リケニホルミス(B.licheniformis)、B.アミロリクエファシエンス(B.amyloliquefaciens)、シュードモナス(Pseudomonas)属(例えば、P.フルオレッセンス(P.fluorescens)、P.プチダ(P.putida))、またはストレプトマイセス(Streptomyces)属(例えば、S.リビダンス(S.lividans)、S.テンダエ(S.tendae))の菌株である。真核微生物が好ましく、菌類が特に好ましい。その例としては、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、ピヒア・パストリス(Pichia pastoris)、クルイベロマイセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)またはアスペルギルス(Aspergillus)種が挙げられる。
発現は、分泌性発現または細胞内発現であり、そして誘導的および構成的である。
細菌の発現では、種に特異的なシグナルを、標的タンパク質を誘導的または構成的に発現させ、細胞内および分泌系に局在化させる商業的に入手可能なタンパク質発現菌株およびベクター(例えば、Invitrogen、Novagen、New England Biolabsなどの企業から提供される)として選択することができ、さらに、溶解性の活性なタンパク質を得るために、タンパク質の正しい折りたたみを可能にするかまたは促進する技術を使用することもできる。
タンパク質は、分泌で発現されることが好ましく、この場合、PLEおよびAPLEの配列が、N−末端を介してS.セレビシエ(S.cerevisiae)のα因子シグナル配列と連結するベクターを構築することが好ましい。
さらに、例えば、ハードウィック(Hardwick)ら、(1990年)エムボ・ジャーナル(EMBO J.)9、623−630頁に記載されているように、ERリテンションシグナルとして機能するC−末端テトラペプチドHAELをさらに欠失させた構築体を調製することも可能である。
さらに好ましい発現は、ERリテンションシグナルを有するかまたは有さない構築体の誘導的発現である。
意外にも、ERリテンションシグナルを有する構築体もまた発現し、ラセミ化合物2−アルキル−5−ハロペンタ−4−エンカルボキシルエステルを選択的に分解することができるrAPLEを得ることができる。
APLE遺伝子のヌクレオチド配列から誘導される新規なエステラーゼrAPLEのアミノ酸配列を、配列番号1に示す。
意外にも、新規なポリペプチド、またはrAPLEタンパク質は、公知のrPLEとは対照的に、ラセミ化合物2−アルキル−5−ハロペンタ−4−エンカルボキシルエステルを立体選択的に分解し得ることを見出すことができた。それらは、例えば、P.パストリス(P.pastoris)細胞中で、それぞれAPLEおよびPLEをコードするDNAセグメントの発現により得られたものである。
したがって、本発明は、さらに、式(I)
Figure 2009521239

(式中、RはC〜Cのアルキル基であり、RはC〜Cのアルキルであり、Xは塩素、臭素またはヨウ素である)で示されるラセミ化合物2−アルキル−5−ハロペンタ−4−エンカルボキシルエステルを分解するための、配列番号1に示す配列に対し少なくとも80%の同一性を有する、本発明のエステラーゼ活性を有するポリペプチドおよび組換えエステラーゼ(rAPLE)の使用に関する。
本発明のエステラーゼ活性を有するポリペプチドおよび組換えエステラーゼ(rAPLE)は、配列番号1に示すタンパク質の配列に対する同一性が、少なくとも90%であることが好ましく、少なくとも98%であることが特に好ましい。本発明のエステラーゼ活性を有するポリペプチドまたは組換えエステラーゼ(rAPLE)を、例えば、突然変異、欠失、伸長、融合などの通常の修飾により、配列番号1に示すDNA配列に修飾を行って得られた、所望のエステラーゼ活性を有する酵素をコードする配列とともに、使用することも可能である。
これに関連して、エナンチオマー的に濃縮された式(II)
Figure 2009521239

(式中、RはC〜Cのアルキル基であり、AはH、R(ここで、RはC〜Cのアルキルであってよい)またはR(ここで、RはRとは異なるアルキル基である)であり、Xは塩素、臭素またはヨウ素である)で示される2−アルキル−5−ハロペンタ−4−エンカルボン酸またはそのエステルは、式(I)
Figure 2009521239

(式中、R、RおよびXは上で定義されたとおりである)
で示される2−アルキル−5−ハロペンタ−4−エンカルボキシルエステルのエナンチオマー混合物を、水、または式ROH(ここで、RはRとは異なるアルキル基である)で示されるアルコールの求核試薬としての存在下、本発明のポリペプチドまたは本発明のrAPLEによって変換し、
a)残存する、エナンチオマー的に濃縮された、式(II)においてAがRである2−アルキル−5−ハロペンタ−4−エンカルボキシルエステルを分離するか、または
b)アルコールが求核試薬として使用されている場合、得られた、エナンチオマー的に濃縮された、式(II)においてAがRである2−アルキル−5−ハロペンタ−4−エンカルボキシルエステルを分離するか、または
c)水が求核試薬として使用されている場合、得られた、式(II)においてAがHである2−アルキル−5−ハロペンタ−4−エンカルボン酸を分離する
ことによって得ることができる。
式(II)において、Rは、例えばメチル、エチル、n−およびi−プロピル、n−、i−およびt−ブチル、ペンチル、並びにヘキシルなどのC〜Cのアルキル基である。
〜Cのアルキル基が好ましく、i−プロピル基が特に好ましい。
Aは、H、R(ここで、RはC〜Cのアルキル基、好ましくはC〜Cのアルキル基、特に好ましくはメチル基である)、またはR(ここで、RはRとは異なるアルキル基である)である。RはC〜Cのアルキル基であることが特に好ましい。
Xは、塩素、臭素またはヨウ素であり、好ましくは塩素である。
エナンチオマー的に濃縮された化合物とは、ここでは、エナンチオマー過剰率(ee)が、>80%、好ましくは>90%、特に好ましくは>97%を示すものを意味する。
本発明の酵素は、さらに、任意の形態で使用することができる。例えば、分散体として、溶液として、固定化して、粗酵素として、ソースから公知の精製方法を組み合わせて得られた酵素として、要求される酵素活性を有する全細胞(必要に応じて、固定化および/または透過化される)(天然のものまたは遺伝子修飾によるもの)として、または、そのような細胞の溶解物中で。
本発明の転換反応温度は、通常0〜90℃、好ましくは10〜60℃である。反応溶液のpHは、4〜11、好ましくは6〜9である。
溶媒の選択は、使用する求核試薬に依る。
もし、例えば、水を求核試薬とする場合、使用することができる溶媒は、水、水と水溶性溶媒、例えば、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、t−ブタノールなどのアルコール、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトンまたはジメチルスルホキシドなどとの混合物、あるいは、水と非水溶性溶媒、例えば、例えばトルエン、キシレンなどの芳香族化合物、例えばヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどのアルカン、例えばジイソプロピルエーテル、メチルt−ブチルエーテルなどのエーテルなどとの2相系である。もし求核試薬がアルコールである場合、溶媒として、アルコールROH(ここで、Rはアルキル基であるが、Rとは異なるものである)を使用することが好ましい。しかしながら、アルコールと、例えばテトラヒドロフラン、ヘプタン、トルエン、ヘキサン、CHCN、メチルt−ブチルエーテルなどの有機溶媒との混合物を使用することも可能である。
酵素を触媒としてラセミ化合物を分解した後、所望の最終生成物を分離する。これは、残存する、エナンチオマー的に濃縮された、式(II)においてAがRである2−アルキル−5−ハロペンタ−4−エンカルボキシルエステルであるか、あるいは、水が求核試薬である場合、得られた、式(II)においてAがHである2−アルキル−5−ハロペンタ−4−エンカルボン酸であり、アルコールが求核試薬である場合、エナンチオマー的に濃縮された、式(II)においてAがRである2−アルキル−5−ハロペンタ−4−エンカルボキシルエステルである。
分離は、例えば、例えば抽出、結晶化、カラムクロマトグラフィ、蒸留などの従来法によって行うことができる。
本発明の方法により、式(I)に対応する酸またはエステルが、98%までの理論収率で、かつ、>99%までのe.e.で、得られる。
[実施例1:mRNAの分離およびcDNAの生成]
新しく食肉処理されたブタの肝臓0.7g(地域の食肉処理場から入手)を液体窒素中で凍結し、乳鉢でホモジナイズし、放出されたmRNAを、Fast Track mRNA extraction kit 2.0(Invitrogen、カールスバッド(Carlsbad)、カリフォルニア州(Calif.)、米国(USA))を使用し、製造者によって作成された説明書(Fast Track 2.0 kit manual;バージョンJ;082301;25−0099)にしたがって、分離または抽出した。抽出により、全量12.9μgのmRNAが得られた。
その後、このmRNAの0.26μgを、製造者の説明書にしたがい、RT−PCR用のSuperScript III First−Strand synthesis systemを使用して、cDNAを生成するためのテンプレートとして使用した。
[実施例2:ブタの肝臓からのcDNAフラグメントの増幅とクローニング]
GenBankアクセス番号X63323(マツシマ(Matsushima)ら、1991年)のブタ肝臓エステラーゼ遺伝子配列をベースに、特定のプライマーを調整した。
Figure 2009521239
公知のPLE配列に相同の塩基は、太字で示してある。制限エンドヌクレアーゼの認識配列は強調のためにイタリック体で示してある。
増幅は、マニュアル「フュージョン・ハイ−フィデリティ・DNA・ポリメラーゼ(Phusion High−Fidelity DNA Polymerase)」(Finnzymes)に従い、1UのPhusion DNA polymerase(Finnzymes、Espoo、フィンランド(Finland))、テンプレートとして500ngのcDNA、それぞれ20μmolのプライマー1および2、5μlのdNTP混合物(各2mM)の全てを、1×Phusion HF buffer中に含む、50μlの混合物中で行い、まず98℃、30秒間の変性工程から開始し、続いて、30サイクル(98℃で10秒間、68℃で20秒間、72℃で1分間)の増幅、そして、完全な生成物を得るために70℃で8分間の最終インキュベーションを行った。
このPCRによって、1.8kbのサイズのDNAフラグメントが得られた(アガロースゲル電気泳動により測定)。
このPCR生成物を、その後、Qiaquick kit(Qiagen、Hilden、ドイツ(Germany))を使用し、付属のマニュアルに従って精製した。
約0.1μgの精製PCR生成物を制限エンドヌクレアーゼEcoRIで切断し、EcoRI開裂点を介して、プラスミドベクターpHILZおよびpHIL−D2にクローニングした。
その後、ベクターを、「カレント・プロトコルズ・イン・モリキュラー・バイオロジー(Current Protocols in Molecular Biology)」に従って調製した、TOP10エレクトロコンピテントセルへ形質転換した。
「Dye Deoxy Terminator Cycle Sequencing」キット(Applied Biosystems Inc.、Forster City、カリフォルニア州、米国)を使用して、得られたいくつかのクローンの挿入部分の配列を決定した。
これにより、2つの配列が同定され、一方は、予測された、マツシマ(Matsushima)ら、(1991年)フェブス・レター(FEBS Lett.)293、37−41に記載の配列に100%対応するものであり、他方の配列は、配列番号2に対応するものであった。
[実施例3:α因子シグナル配列の導入およびC−末端の改変]
公知のタンパク質PLEおよび本発明のタンパク質rAPLEを分泌発現させるために、PLEおよびAPLEの配列がクローニングベクターpPICZ α(Invitrogen)のα因子開始配列に、N−末端で結合しているベクターを構築した。さらに、C−末端テトラペプチドHAELを欠失させた構築体を作製した。
PCR I:EcoRIalpha1/alphaPLE2のプライマー対を使用して、クローニングベクターpPICZ α(Invitrogen)のα因子シグナル配列を増幅させた。50μlの混合物(テンプレート2ng、各プライマー0.5μM、dNTP0.2mM、Phusion DNA polymerase(Finnzymes)1U、全て1×Phusion HF buffer中、マニュアル「フュージョン・ハイ・フィデリティ・DNA・ポリメラーゼ(Phusion High−Fidelity DNA Polymerase)(Finnzymes)に従う)中でPCRを行った。
95℃で3分間の変性の後、30サイクル(95℃で30秒間、57℃で30秒間、72℃で15秒間)の増幅、そして最終工程は72℃で7分間行った。
PCR II:PLEalpha1/EcoRIPLE+ER2のプライマー対か、またはPLEalpha1/EcoRIPLE2(C−末端HAELテトラペプチドの欠失)のプライマー対を使用して、PLEおよびAPLE配列をpHILZプラスミドから増幅した。
これらのPCRもまた、50μlの混合物(テンプレート2ng、各プライマー0.5μM、dNTP0.2mM、Phusion DNA polymerase(Finnzymes)1U、全て1×Phusion HF buffer中、マニュアル「フュージョン・ハイ・フィデリティ・DNA・ポリメラーゼ(Phusion High−Fidelity DNA Polymerase)(Finnzymes)に従う)中で実施した。
95℃で3分間の変性の後、30サイクル(95℃で30秒間、57℃で30秒間、72℃で15秒間)の増幅、そして最終工程は72℃で7分間行った。
PCR III:PCRIおよびPCRIIの生成物3μlを使用して、プライマーレスPCRにより、これら2つの生成物を結合した。
伸長は、dNTP0.2mM、Phusion DNA polymerase(Finnzymes)1Uの全てを、1×Phusion HF buffer中に含む、45μlの混合物中で実施した。
反応混合物を95℃で3分間加熱した後、95℃で30秒間、72℃で45秒間のサイクルを10サイクル実施した。これらのオーバーラップする伸長生成物を増幅するために、5μlのプライマー混合物(水3μl、5μMのEcoRIalpha1プライマー1μlおよび5μMのEcoRIPLE+ER2またはEcoRIPLE2プライマー1μl)を加えた。生成物を、20PCRサイクル(95℃で30秒間、57℃で30秒間、72℃で1分間)および72℃で7分間の単一の停止温度で増幅させた。
[プライマー配列:]
Figure 2009521239

テンプレートに相同の領域は太字、制限エンドヌクレアーゼの認識配列はイタリック体。
[実施例4:ピヒア・パストリス(Pichia pastoris)中において、ブタ肝臓エステラーゼを異種発現するための発現構築体の構築]
実施例3で得られたオーバーラップ伸長PCR生成物を、Qiaquick kit(Qiagen、Hilden、ドイツ)を使用し、付属のマニュアルに従って精製した。約0.1μgの精製PCR生成物を、EcoRI制限エンドヌクレアーゼを使用して切断し、EcoRI開裂点を介して、プラスミドベクターpGAPZ A(Invitrogen)にクローニングした。
例えば、NcoIによるコントロール開裂を参照して、挿入配列がプロモータに関して正しい方向であるかどうかをチェックした。
いずれの場合にも、正しい方向に挿入された配列を有するクローンを選別し、配列を決定し、保存した。
対応するプラスミドを次のように命名した。
マツシマ(Matsushima)ら、(1991年)フェブス・レター(FEBS Lett.)293、37−41頁に記載の公知のPLE配列を含有するプラスミドは、pGAPZ A PLE−ER(HAELテトラペプチドが欠失)およびpGAPZ A PLE+ER(HAELテトラペプチドが依然存在)と命名した。
新規なAPLE配列から誘導されたプラスミドは、pGAPZ A APLE−ER(HAELテトラペプチドが欠失)およびpGAPZ A APLE−ER(HAELテトラペプチドが依然存在)と命名した。
[実施例5:ピヒア・パストリス(Pichia pastoris)中における、ブタ肝臓エステラーゼの構成的発現]
pGAPZ A PLE−ER、pGAPZ A PLE+ER、pGAPZ A APLE−ER、pGAPZ A APLE+ERのプラスミドを、P.パストリス(P.pastoris)X−33に形質転換した。形質転換は、InvitrogenのPichia Expressions kit取扱説明書に従って行った。形質転換体を、100mg/lのゼオシン(zeocin)を含有するYPDプレート(1%酵母抽出物、2%ペプトン、2%D−グルコース、2%寒天)上で選別した。100mg/lのゼオシンを含有するYPDプレート上へ、52個のゼオシン耐性クローンをストリークし、15%グリセロール中で保存した。
[実施例6:エステラーゼ活性体の定性分析]
100mg/lのゼオシンを含有するYPDプレート上で、P.パストリス(P.pastoris)形質転換体を、30℃で48時間培養した。細胞をWhatman 541 hardened ashless 70mmφ filter上に採り、空気乾燥させた。呈色反応によりエステラーゼ活性体を可視化するために、6mgのα−ナフチルアセテート(Sigma、500mμlのアセトンに溶解)、2.5mgのテトラアゾ化o−ジアニシジン(Fast Blue Salt BN、Sigma、125μlの水に溶解)および5mlの、0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH7)からなる溶液とともに、フィルターをインキュベートした。
活性体は、4種のプラスミド、pGAPZ A PLE−ER、pGAPZ A PLE+ER、pGAPZ A APLE−ER、pGAPZ A APLE+ERの1つを組み込んだ形質転換体の全てで検出された。これにより、エステラーゼ活性を有する機能性タンパク質が発現したことがわかる。チェックのために、空ベクターを組込んだクローンについても同様にテストした。この場合、同等の反応期間において、有意のエステラーゼ活性体を観察することはできなかった。
[実施例7:メチル5−クロロ−2−(1−メチルエチル)−4−ペンテノエートに対する立体選択的エステラーゼ活性]
実施例6に記載したように、100mg/lのゼオシンを含有するYPDプレート上で、P.パストリス(P.pastoris)形質転換体を、30℃で48時間培養した。細胞をWhatman 541 hardened ashless 70mmφ filter上に採り、空気乾燥させた。フィルターを、基質溶液A(ラセミ化合物メチル5−クロロ−2−(1−メチルエチル)−4−ペンテノエート100μl、0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH8)200μl、10mg/mlフェノールレッド150μl、DMSO450μl、HO650μl)または基質溶液B(ラセミ化合物に代えてメチル(2S、4E)−5−クロロ−2−(1−メチルエチル)−4−ペンテノエートを使用する以外は溶液Aと同じ)とともにインキュベートした。基質に特異的なエステラーゼ活性により、エステル基質の加水分解で酸が放出される結果、pHが低下し、それによりフェノールレッド指示薬の色が黄色に変化する。
このことから、pGAPZ A APLE−ERプラスミドを含有する形質転換体は、基質溶液Aの上でテストすると、3〜4時間のインキュベーション後にシグナル(コロニー周辺が黄色に変色)を発したが、基質溶液Bでは有意の変換が見られないことが明らかとなった(図1)。
pGAPZ A PLE−ERおよびpGAPZ A PLE+ERにより得られた形質転換体は、同一条件下で、基質溶液AおよびBのいずれとも反応しなかった。
これにより、組換えrAPLEは組替えrPLEとは異なる基質特異性を有しており、rAPLEを使用するメチル5−クロロ−2−(1−メチルエチル)−4−ペンテノエートの加水分解は(R)エナンチオマーに対し立体選択的に起きることがわかった。
[実施例8:SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動]
10μlの2×SDSサンプル緩衝液(125mMトリス塩酸、pH6.8;4%SDS、20%グリセロール、5%β−メルカプトエタノール、0.05%ブロモフェノールブルー)を、10μlの商業的に入手可能なブタ肝臓エステラーゼ、または、pGAPZ A APLE−ERもしくは空のpGAPZ Aプラスミド(コントロール菌株)を含有するP.パストリス(P.pastoris)培養物(2リットルのバッフル付アーレンマイヤー(Erlenmeyer)フラスコ内、250mlのYPD培地中、100rpm、28℃で72時間)の60倍濃縮(SartoriusのCentricon Ultrafiltrations−Spin Columns)上澄み10μlに加えた。
サンプルを95℃で5分間加熱した後、12.5%ポリアクリルアミドゲル(4%スタッキングゲル)上でタンパク質を分離し、検出のために、クマシー・ブリリアントブルー(Coomassie Brilliant Blue)R250により着色した。pGAPZ A APLEプラスミドを有する酵母菌株では、SDS−PAGEで、rAPLEに対して予期されたサイズ(約60kDa)のタンパク質バンドが現れるが、コントロール菌株では現れない(図2)。商業的に入手可能なブタ肝臓エステラーゼを比較のために併せ分析したが、同じサイズ領域に、2つのタンパク質バンドが現れた(図2の矢印)。
[実施例9:AOX1プロモータによるブタ肝臓エステラーゼの誘導発現]
制限エンドヌクレアーゼXhoIにより、プラスミドpGAPZ A PLE−ER、pGAPZ A PLE+ER、pGAPZ A APLE−ER、pGAPZ A APLE+ERを切断し、APLEおよびPLEをコードするそれぞれのフラグメントを、ERリテンションシグナルを有しているものも有していないものも、XhoI開裂点を介して、pPIC9ベクター(Invitrogen)にクローニングした。制限エンドヌクレアーゼNcoIによるコントロール開裂を用いて、AOX1プロモータに対して、正しい方向のフラグメントをチェックした。AOX1プロモータを有するベクターを、実施例4でプラスミドに命名したように、pPIC9 PLE−ER、pPIC9 PLE+ER、pPIC9 APLE−ERおよびpPIC9 APLE+ERと命名し、SalIで直線化し、P.パストリス(P.pastoris)KM71に形質転換した。形質転換およびHis原栄養体の選別は、Invitrogenのピヒア(Pichia)発現キットの取扱説明書に従って行った。選別した形質転換体およびKM71菌株を、Invitrogenのピヒア(Pichia)発現キットに従って、完全培地上で終夜培養し、1%メタノールで48時間、誘導した。得られた培養物を、実施例7で記載した定性的pHシフト法を用い、それぞれの場合、混合物中の培養物2μlを試験することによって分析した。AOX1誘導プロモータのコントロール下での発現は、実施例7の構成的発現を記載した状況と比較すると、ラセミ化合物メチル5−クロロ−2−(1−メチルエチル)−4−ペンテノエートに対して非常に高いrAPLE酵素活性を示した。フェニルレッドの色の変化(赤から黄色)は、わずか数分後に検出することができた(図3)。意外にも、rAPLE活性は、C末端におけるERリテンションシグナルHAELの存在の有無に無関係であった。すなわち、ERリテンションシグナルを有するrAPLEを発現する細胞でさえ、活性を示した。対照的に、rPLEを産生する酵母菌株は、ラセミ化合物メチル5−クロロ−2−(1−メチルエチル)−4−ペンテノエートに対して全く活性を示さなかった。
メチル5−クロロ−2−(1−メチルエチル)−4−ペンテノエートに対する立体選択的エステラーゼ活性を示す。 組換えAPLEのSDS−PAGEを示す。 AOX1プロモータによるブタ肝臓エステラーゼの誘導発現を示す。

Claims (9)

  1. エステラーゼ活性を有し、かつ配列番号1のアミノ酸配列を示すポリペプチド。
  2. エステラーゼ活性を有し、かつ配列番号1のアミノ酸配列を示す組換えタンパク質。
  3. 配列番号1に示すアミノ酸配列に対し少なくとも80%の同一性を示し、かつ式(I)
    Figure 2009521239

    (式中、RはC〜Cのアルキル基であり、RはC〜Cのアルキルであり、Xは塩素、臭素またはヨウ素である)で示される2−アルキル−5−ハロペンタ−4−エンカルボキシルエステルのラセミ化合物の分解に活性を有するポリペプチドまたは組換えタンパク質。
  4. 突然変異、欠失、挿入、伸長および/または融合の群からの通常の修飾によって修飾されたアミノ酸配列を示す請求項1〜3のいずれか一項に記載のエステラーゼ活性を有するポリペプチドまたは組換えタンパク質。
  5. 請求項1に記載のポリペプチド、または請求項2に記載の組換えタンパク質をコードするヌクレオチド配列。
  6. 配列番号2に示す配列を有するヌクレオチド配列。
  7. 請求項5または6に記載のヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列。
  8. 式(I)
    Figure 2009521239

    (式中、RはC〜Cのアルキル基であり、RはC〜Cのアルキルであり、Xは塩素、臭素またはヨウ素である)で示される2−アルキル−5−ハロペンタ−4−エンカルボキシルエステルのラセミ化合物の分解のための、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリペプチドまたは組換えタンパク質の使用。
  9. エナンチオマー的に濃縮された式(II)
    Figure 2009521239

    (式中、RはC〜Cのアルキル基であり、AはH、R(ここで、RはC〜Cのアルキルであってよい)またはR(ここで、RはRとは異なるアルキル基である)であり、Xは塩素、臭素またはヨウ素である)で示される2−アルキル−5−ハロペンタ−4−エンカルボン酸またはそのエステルを製造する方法であって、式(I)
    Figure 2009521239

    (式中、R、RおよびXは上で定義されたとおりである)
    で示される2−アルキル−5−ハロペンタ−4−エンカルボキシルエステルのエナンチオマー混合物を、水、または式ROH(ここで、RはRとは異なるアルキル基である)で示されるアルコールの求核試薬としての存在下、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリペプチドまたは組換えエステラーゼによって変換し、
    a)残存する、エナンチオマー的に濃縮された、式(II)においてAがRである2−アルキル−5−ハロペンタ−4−エンカルボキシルエステルを分離するか、または
    b)アルコールが求核試薬として使用されている場合、得られた、エナンチオマー的に濃縮された、式(II)においてAがRである2−アルキル−5−ハロペンタ−4−エンカルボキシルエステルを分離するか、または
    c)水が求核試薬として使用されている場合、得られた、式(II)においてAがHである2−アルキル−5−ハロペンタ−4−エンカルボン酸を分離する
    ことを含む方法。
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